説明

イオン性(コ)ポリマー樹脂とマトリックス(コ)ポリマーとのブレンド

本発明は、ポリマー又はコポリマーマトリックス中にブレンドされた高分子電解質樹脂を含有するポリマー樹脂ブレンドに関する。特に、前記高分子電解質樹脂は、加水分解性基を持たない(コ)ポリマーである。前記マトリックスポリマーは、強靱で高い耐化学薬品性を有する(コ)ポリマー、好ましくはフルオロポリマーである。前記ポリマー樹脂ブレンドは、フィルム、特に燃料電池に用いるためのMEA用に有用なフィルムを形成させるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー又はコポリマーマトリックス中にブレンドされた高分子電解質樹脂を含有するポリマーブレンドに関する。特定的には、前記高分子電解質樹脂は、加水分解性基(加水分解し得る基)を持たない(コ)ポリマーである。前記マトリックスポリマーは、強靱で高い耐化学薬品性を有する(コ)ポリマー、好ましくはフルオロポリマーである。ポリマー樹脂ブレンドは、フィルム、特に燃料電池に用いるためのMEA用に有用なフィルムを形成させるのに有用である。
【背景技術】
【0002】
ペルフルオロカーボンイオン交換膜は、高いカチオン輸送を提供し、イオン交換膜として広く用いられてきた。ポリマー性イオン交換膜は、固体状高分子電解質又はポリマー交換膜(PEM)と称することができる。燃料電池用途については要件が厳しいので、最も一般的に用いられる膜及び商品として入手できるものは、ペルフルオロスルホン化Nafion(登録商標)、Flemion(登録商標)及びAciplex(登録商標)ポリマーから作られたものである。レポート及び文献にはこれらの膜がうまく作用すると報告されているが、しかし商業化に向けたさらなる技術開発を邪魔するいくつかの限界も示されている。加えて、それらは液体燃料についてよりも気体燃料についての方がうまく作用する。これは主として液体燃料のクロスオーバーが電池性能を低下させるせいである。膜の耐化学薬品性及び機械的強度は、燃料電池用途にとって重要な特性である。実際、膜にはしばしば高い圧力差、水和−脱水サイクル、及びその他のストレスが多い状況が加えられる。また、膜が50μm未満のように非常に薄い場合には、機械的強度が重要になる。さらに、燃料電池やバッテリーの用途に用いる場合、膜は200℃に達し得る温度において非常に酸性の強い媒体中で、金属イオンの存在及び時として溶剤の存在のせいで、酸化性及び/又は還元性環境中に置かれる。この環境は、膜が化学的及び電気化学的に耐性があり且つ熱的安定であることを必要とする。
【0003】
これまでのところ、多くのフッ素含有膜には、次の内の1つ以上の欠点があった:
(i)膜を通る液体及び気体の高いクロスオーバー;
(ii)フッ素化ポリマーとその他のポリマーとの間の不均質ブレンディング(これは劣った特性につながる);
(iii)ある種の液体燃料の存在下において不充分な耐化学薬品性;
(iv)貧弱な電気化学的耐性;
(v)スルホン化基の均質分布の欠如;
(vi)貧弱な機械的特性;及び/又は貧弱な熱安定性。
【0004】
米国特許出願公開第2005−077233号明細書には、小さいドメインサイズを有する高分子電解質ポリマーブレンド及びその製造方法が記載されている。前記高分子電解質ポリマーは、イオン性基及び/又はイオン化性基(即ちイオン化可能基)(特にスルホネート又はホスホネート基)を含有する非ペルフッ素化ポリマー樹脂が、フルオロポリマーマトリックスと組み合わされたものである。開示された高分子電解質についての1つの問題点は、エステル及びアクリルアミドのような加水分解に対して不安定な基を含有するものは厳しい化学環境中で加水分解してイオン化性官能基の損失をもたらす傾向があるということである。
【0005】
国際公開WO99/67304号パンフレットには、新規の類のフルオロエーテル置換芳香環を有する不飽和化合物及びこれらの化合物から生成されるポリマーが記載されている。このポリマーの1つの用途は、電気化学的電池におけるセパレーターとしてのものである。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005−077233号明細書
【特許文献2】国際公開WO99/67304号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料電池用途における使用についての限界を克服する膜についての要望がある。
【0007】
驚くべきことに、フルオロポリマーと加水分解性基を持たない高分子電解質とを含有するポリマーブレンドを用いることによって、高いレベルの耐化学薬品性及び機械的強度を有する電気化学的電池用の膜を形成させることができるということがわかった。
【0008】
本発明の目的は、優れたプロトン伝導性及び耐化学薬品性を有する高分子電解質を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、高分子電解質がフルオロポリマーのようなマトリックスポリマー中に均一に分布され且つドメインサイズが非常に小さい膜又はフィルムを提供することにある。
【0010】
さらなる目的は、加水分解に対して安定であり(非加水分解性であり)、比較的低価格の出発原料を用いるものであり、そしてできるだけ少ない数の変化(転化)で生成させることができる明確な高分子電解質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、本発明の好ましい実施態様の原理に従って、フルオロポリマーと加水分解性基を持たない高分子電解質とを含有するポリマーブレンドによって達成される。フルオロポリマーマトリックス中のビニル樹脂のドメインサイズは、500nm又はそれ未満であるのが好ましい。
【0012】
本明細書において用語ポリマー及び(コ)ポリマーとは、1種以上のモノマーから生成されるポリマーを指す。これは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及び4種以上のモノマーから生成されるポリマーを包含する。コポリマーとは、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーの両方、並びにグラフトコポリマーを指す。コポリマーはまた、ホモポリマーの側基の一部の部分反応/置換によって2つ以上の異なる部分を側鎖として有するポリマー主鎖をもたらすことによって生成されるコポリマー類似ポリマーを指すためにも用いられる。
【0013】
本発明は、ポリマー又はコポリマーマトリックス中にブレンドされた高分子電解質樹脂を含有するポリマー樹脂ブレンドに関する。特定的には、前記高分子電解質樹脂は、加水分解性基を持たない(コ)ポリマーである。前記マトリックスポリマーは、強靱で高い耐化学薬品性を有する(コ)ポリマー、好ましくはフルオロポリマーである。
【0014】
前記マトリックスポリマーは、米国特許出願公開第2005−077233号明細書にマトリックスとして記載されたポリマー及びコポリマーの内の任意のものであることができるので、これを参照用にここに取り入れる。好ましくは、ポリマーマトリックスは、少なくとも1種のフルオロポリマーを含有する。このフルオロポリマーは、ホモポリマー又はその他のタイプのポリマーであることができ、フルオロポリマーの混合物やフルオロポリマーと非フルオロポリマーとの混合物であることもできる。好ましくは、フルオロポリマーは熱可塑性フルオロポリマーであり、存在するその他のポリマーを含めた配合物中のその他の成分とのポリマーブレンドを形成することもできる。好ましくは、フルオロポリマーは、ポリ(フッ化ビニリデン)ホモポリマーのようなポリ(フッ化ビニリデン)ポリマーである。フルオロポリマーのその他の非限定的な例には、少なくとも1個のフッ素原子を含有するポリ(アルキレン)、例えばポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニル)又はそれらの組合せが包含される。より一層好ましくは、フルオロポリマーは、フッ化ビニリデン約30〜約100重量%及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する少なくとも1種のポリ(アルキレン){例えばヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン及び/又はフッ化ビニル}0〜約70重量%を含有するポリマー組成物である。好ましくは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、オリゴマー及びその他のタイプのポリマーを包含することができるフルオロポリマーの分子量は、約80000MW〜約1000000MW、より一層好ましくは約100000MW〜約500000MWである。前記フルオロポリマーは、米国特許第3051677号、同第3178399号、同第3475396号、同第3857827号及び同第5093427号の各明細書に記載された技術を用いて調製することができるので、これらすべてを参照用にここに取り入れる。
【0015】
前記マトリックスポリマーは、1種以上の高分子電解質(コ)ポリマーとブレンドされる。高分子電解質コポリマーは、イオン性基又はイオン化性基及び架橋し得る基(架橋性基)を含有する。イオン化性基は、好ましくはスルホネート、ホスホネート又はカルボキシレート基である。イオン性基又はイオン化性基の割合は高くすべきであり、高分子電解質中に好ましくは25〜99重量%、より一層好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは70〜95重量%にすべきである。イオン性基又はイオン化性基は、高分子電解質を生成させるために用いたモノマー上に存在していてもよく、重合後反応において高分子電解質に加えてもよい。
【0016】
架橋用部分の割合は、コポリマーの重量を基準として1〜75重量%、好ましくは1〜50重量%、より一層好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%とする。架橋は、慣用の方法(自己縮合、第2の架橋剤の添加又は放射線架橋を含むが、これらに限定されるわけではない)によって行うことができる。これらは、文献に充分に記載されており、当技術分野においてよく知られている。自己縮合架橋に付すことができるモノマーの非限定的な例には、第1、第2及び第3アミン;N−メチロールアクリルアミド;イソブトキシメタクリルアミド;N−メチレンビスアクリルアミド;アリル基、スチリル基;並びにグリシジルメタクリレート:が包含される。第2の架橋剤の例には、遊離の又はブロックされたイソシアネート類、メラミン類、エポキシ類、カルボキシレート類、α,ω−ジハロアルカン類、α,ω−ジアルデヒド類、カルボン酸類、アルコキシシラン類、シリコーン類、アジリジン類、及びカルボジイミド類が包含される。特定の架橋化学用に選択することができる触媒には、有機スズ類、スルホン酸類又はアミン類が包含される。放射線架橋の例には、電子ビーム、紫外線及びガンマ線が包含される。
【0017】
高分子電解質は、非ペルフッ素化、一部ペルフッ素化又は全体ペルフッ素化(コ)ポリマーであることができる。ペルフッ素化の割合は、得られる(コ)ポリマーブレンドのイオン伝導性、機械的強度及び透過性に対して劇的な効果を有することがある。
【0018】
本願発明において有用な高分子電解質は、非加水分解性基を含有するものである。エステル(例えばアクリレート及びメタクリレート)並びにアクリルアミドのような容易に加水分解し得る基を有するモノマーは、厳しい化学環境中(例えばバッテリー酸中)で加水分解し、容易にイオン化する能力を失うことがわかった。好ましい高分子電解質は、スチレン構造又はビニルエーテル構造を有するものである。
【0019】
高分子電解質は、乳化重合、懸濁重合、逆乳化重合又は溶液重合によって生成させることができる。これはまた、重合後の変性によって生成させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の高分子電解質及び該高分子電解質を作る方法を、一般的観点及び特定的観点の両方から、その特定実施態様、即ちビニルエーテルタイプの高分子電解質、及びスチレンタイプの高分子電解質を参照して、例示する。また、2種のモノマーを用いる伝統的な共重合、及び2種以上の官能性モノマー単位を生成させるためのホモポリマーの部分反応に基づくコポリマーの生成の両方を示す特定的実施態様及び一般的実施態様も例示する。
【0021】
ビニルエーテルタイプ構造
【0022】
本発明のビニル−エーテルタイプの高分子電解質構造体の一般構造は、次のものである。
【化1】

(ここで、
Lは非ペルフッ素化アルキル又はアルキレン−エーテルアルキレン−エーテル結合であり、
L’は結合又はアルキル若しくはアルキレン−エーテルアルキレン−エーテル結合であり、
nは25〜99モル%、好ましくは50%超、特に好ましくは70%超であり、
mは1〜75モル%、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満であり、
Aはスルホネート、ホスホネート又はカルボキシレートであり、
Bは架橋し得る基である。)
【0023】
前記コポリマーの一般的合成ルートは、次のものである。
【化2】

{ここで、
XはCl、Br又はIであり、
YはC2〜C12の又は芳香族含有の脂肪族(−CH2−)(例えば−CH2−Ph−CH2−)であり、
Mはアルカリ(土類)金属(Li、Na、K、Rb、Cs)であり、
n:mは好ましくは80:20〜90:10(モル/モル)である。}
【0024】
前記コポリマーの別の一般的合成ルートは、次のものである。
【化3】

(ここで、
ZはC2〜C5の脂肪族若しくはペルフルオロ脂肪族、又は芳香族若しくはペルフルオロ芳香族であり、
MHは金属水素化物(例えばNaH)であり、
n:mは好ましくは80:20〜90:10モル/モルである。)
【0025】
変換(転化)条件は変化し得る。典型的には、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)をDMSO中に溶解させ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、強塩基性アミン又は金属水素化物のような塩基性反応成分を添加し、次いでスルホン化アルキルハライド又はスルトンを穏やかに加熱(30〜50℃)しながらゆっくり添加する。仕上げは、好適な溶剤中にポリマーを沈殿させ、次いで溶剤で洗浄することから成る。
【0026】
ビニルエステルタイプの高分子電解質の別の合成は、金属アルキルスルホン酸塩をテトラアルキルアンモニウムの形で用いることを除いて上記のものと同様のものである。これは、DMSO以外の有機溶剤中におけるその溶解性を促進すると共に、最終ポリマーをテトラアルキルアンモニウム塩として提供し、これはさらに加工し且つポリフッ化ビニリデン(PVDF)とブレンドするのに有利である。
【化4】

【0027】
アルキルスルホン酸塩の変換のための条件は、出発Na塩の水溶液をHCl又はH2SO4によって酸性にしてpH<0にし、蒸発乾固させ、最小限の水中に再溶解させ、水酸化テトラアルキルアンモニウムで中和してpH>10にする。
【0028】
別法においては、PVAを最初に金属アルコラートの形に転化させる。これは乾燥溶剤(DMSO)中で好適な金属水素化物(例えば水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム)を用いることによって達成することができる。生成した金属アルコラートは、前の例におけるアルコールを上回る高い反応性を有する。次いで所望のポリマーを与えるためにハロアルキルスルホン酸塩(M+若しくはテトラアルキルアンモニウムの形)又はスルトンを添加することができる。
【化5】

【0029】
さらに別の有用な別法においては、出発ポリマーはポリ(ビニルアセテート)(PVAc)であり、これはもちろんポリ(ビニルアルコール)への前駆体ポリマーである。この場合、前記エステルはその場でアルコラートに転化され、ハロアルキルスルホン酸塩上の置換はすべて1工程で行われる。PVAcはPVAよりはるかに有機溶剤中に可溶であるので、この別法はより広範に条件を変えられるという利点を有する。テトラアルキルアンモニウムの形のハロアルキルスルホン酸塩を用いる場合にはテトラアルキルアンモニウム塩は通常の溶剤中に可溶なので、反応は大抵の場合均質であることができる。
【化6】

【0030】
上記の変換のための出発原料として用いられるPVAに加えて、ビニルアルコール(又は酢酸ビニル)のコポリマーを用いることができる。これは、例えばエチレン単位の組込みが機械的強度及び耐久性を補助することができるので、有利であり得る。また、スチレン構造も同様のメカニズムにより、好適なエステル−又はOH官能化ポリ(スチレン)を用いて出発することによって生成させることができる。
【化7】

n:m>1:1(モル/モル)
【化8】

Zは結合、又は脂肪族若しくは芳香族リンカーである。
【0031】
スチレンタイプ構造
【0032】
本発明のスチレンタイプの高分子電解質構造体の一般構造は、次のものである。
【化9】

(ここで、
Wは結合、O、NH、S、SO又はSO2であり、
YはC1〜C12のアルキル、芳香族又はアルキレン−エーテルアルキレン−エーテル結合(例えば(−CH2−)1-12)であり、
Zは結合、又はC1〜C12のアルキル、芳香族若しくはアルキレン−エーテルアルキレン−エーテル結合であり、
nは1〜99モル%、好ましくは50%超、特に好ましくは70%超であり、
mは1〜99モル%、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満であり、
Aはスルホネート、ホスホネート又はカルボキシレートであり、
Bは架橋し得る基である。)
【0033】
上記の一般構造に基づけば、これらのタイプのコポリマーへの多くのルートを思い描くことができ、その中には、予め官能化されたモノマーの(共)重合、及び適宜官能化されたポリスチレンの重合後変性が包含されるが、これらに限定されるわけではない。これらのコポリマーへの特に好ましいルートのいくつかを以下に概説する。
【0034】
4−ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(NaVBS)とビニルベンジルアルコール(VBA)との直接共重合を実施することができる。これらのモノマーは、文献に記載されたように合成される。[NaVBS−米国特許第2909508号明細書、VBA−Bamford, C. H.及びLindsay, H.;Polymer, 14, 330-332(1973)。]これらのモノマーの溶液重合は、好適な溶剤(例えばDMSO、NMP、DMF、DMAc等)中で標準的な技術を用いて実施することができる。これらのモノマーのコポリマーはまた、乳化タイプの重合又は逆乳化タイプの重合で合成することもできるが、溶液重合が好ましい。
【化10】

【0035】
単一のエーテル結合を有し、本発明の高分子電解質を生成させるのに有用なスルホン化スチレンモノマーを合成するための1つの方法を、以下に示す。VBCは、Dow社(特殊モノマー事業部)からの商品であり、3−及び4−ビニル異性体の混合物として得られる。この分子と様々なα−ヒドロキシ、α−アミノ又はα−スルフィド、ω−スルホネートとを反応させることによって、ベンジルクロリド部分の求核置換をもたらして、スチリル単位とスルホネートとの間に様々なスペーサーを有するスチレンタイプのモノマーを製造することができる。
【化11】

{ここで、VBCは4−ビニルベンジルクロリド、3−及び4−ビニル異性体の混合物であり、
WはOH、NH2又はSHであり、
YはC1〜C12のアルキル、芳香族又はアルキレン−エーテル、アルキレン−エーテル結合であり、
Mはアルカリ(土類)金属(Li、Na、K、Rb、Cs)又はテトラアルキルアンモニウム対イオンである。}
【0036】
示した構造は、WがOHであり且つYが−CH2−CH2−CH2−である場合に得られる。
【0037】
生成したスルホン化スチレンモノマーは、次いで前記のようにヒドロキシル官能化スチレンモノマーと共重合させることによって、所望のコポリマー構造を与えることができる。
【化12】

【0038】
高分子電解質上のヒドロキシル(又は他の架橋性)官能基は、上に示したようにヒドロキシル官能性モノマーから得ることができる。別法として、(共)重合の際に好適なエステル官能化モノマーを用い、次いでエステルを脱保護(変換)して所望のアルコールにすることもできる。これを上記のスルホン化モノマー(ポリマー)合成の内の1つと組み合わせることによって、下に示すように所望の最終(コ)ポリマー構造が製造される。
【化13】

{ここで、
Wは結合、O、NH、S、SO又はSO2であり、
YはC1〜C12のアルキル、芳香族又はアルキル−エーテル又はアルキレン−エーテル結合(例えば(−CH2−)1-12)であり、
Zは結合、又はC1〜C12のアルキル、芳香族若しくはアルキルエーテル若しくはアルキレン−エーテル結合であり、
RはC1〜C12のアルキル又は芳香族であり、
nは1〜99モル%、好ましくは50%超、特に好ましくは70%超であり、
mは1〜99モル%、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満である。}
【0039】
エステル含有コモノマーは、スチレン性状である必要はない。これは、スルホン化(又はその他の官能性)スチレンモノマーと共重合させることが必要なだけである。
【化14】

【0040】
同様に、スルホネート官能性も重合前にモノマー成分に組み込む必要はない。適切な官能性モノマーの重合及び続いてのスルホネート単位の置換によって最終構造が製造される。これらのルートの両方(スルホネート置換及びエステル脱保護)を示す例は、次の通りである。
【化15】

{ここで、
Wは結合、又はC1〜C12アルキル、アルキル−芳香族、アルキルエーテル若しくはアルキレン−エーテル結合であり、
Xはハライド(Cl、Br、I)であり、
W’はWであるが、これらは正確に同じ構造である必要はなく、
Yは結合、O、NH、S、SO、SO2であり、
RはC1〜C12のアルキル又は芳香族であり、
R’はC1〜C12のアルキル又は芳香族であり、Rと同一である必要はないが同一であってもよく、
nは1〜99モル%、好ましくは50%超、特に好ましくは70%超であり、
mは1〜99モル%、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満である。}
【0041】
WがCH2であり、W’が結合であり、RがCH3であり、XがClであり、YがOであり且つR’がCH2−CH2−CH2である1つの実施態様において、高分子電解質の合成は、次の通りである。
【化16】

【0042】
1つの好ましい実施態様において、本発明のコポリマー高分子電解質は、単一のホモポリマーから、選択的官能化によって所望の(コ)ポリマーを生成させることによって合成される。官能化工程は、所望のn:m比を有する最終コポリマーを製造するために非常にうまく制御されなければならない。例えば次の通りである。
【化17】

{ここで、
WはC1〜C12のアルキル、芳香族、アルキルエーテル又はアルキレン−エーテルであり、
W’はC1〜C12のアルキル、芳香族、アルキルエーテル又はアルキレン−エーテルであるが、必ずしもWと同じである必要はなく、
Xはハライド(Cl、Br、I)であり、
X’はハライド(Cl、Br、I)であり、必ずしもXと同じである必要はなく、
Yはアルキル又は芳香族エステルであり、
Mはアルカリ(土類)金属(Li、Na、K、Rb、Cs)又はテトラアルキルアンモニウムカチオンである。}
【0043】
特定的な例には、次のものがある。
【化18】

この場合、WはCH2であり、XはClであり、Yはアセテートであり、X’はBrであり、W’はプロピルであり、MはNaである。
【0044】
さらに、ヒドロキシル化ホモポリマーは、類似のヒドロキシル化モノマーの直接重合によって生成させることができる。これは、ハライド含有モノマーから転化させることを必要とするものではない。次いで、上に示したようにヒドロキシル化ホモポリマーを用いて、所望のコポリマー構造を形成させることができる。
【化19】

(ここで、WはC1〜C12のアルキル、芳香族、アルキルエーテル又はアルキレン−エーテルである。)
【0045】
本発明において有用な追加のスチリルタイプのモノマーの非限定的な例には、スルホベタインが包含され、これはスルホネート基及びそれ自身の対イオン(第4級アンモニウム)を含有するモノマーを意味する。下に示すタイプのスチリルスルホベタインタイプのモノマーについては、置換は2位置におけるものである必要はなく、3位置若しくは4位置又は複数位置においても置換可能である。また、アンモニウム対イオンが環に垂下していることも可能であり、必ずしもこの例において示したようなピリジニウムタイプのイオンである必要はない。示されたヒドロキシル官能化モノマーは、この報告において前記したものと同様である。上記のコポリマーは、その他の系におけるように、そして当技術分野においてよく知られているように、好適な溶剤中での典型的なフリーラジカル共重合によって製造することができる。
【化20】

【0046】
本発明の別の実施態様は、フッ素化スルホネート側基を有する芳香族モノマーのポリマー又はコポリマーを含有する高分子電解質である。1つの例は、国際公開WO99/67304号パンフレット(参照用にここに取り入れる)に記載されたモノマーである。このタイプのモノマーには、次の一般構造を有するものがある:
【化21】

(ここで、
fはフルオロアルキレン又はフルオロアルキレン−エーテルであり;
YはC、O又はNであり;
f’はフルオロアルキレン又はフルオロアルキレン−エーテルである);
及び
【化22】

(ここで、
(R)mは重合性基、Br又はIであり;
f、Rf’及びYは上記の通りである)。
フッ素化スルホネート側基を有する芳香族モノマーは、ホモポリマーを生成させるために用いることができ、また、それらを他のエチレン性不飽和モノマーと共重合させることによって本発明の高分子電解質を生成させることもできる。コポリマーを生成させるのに用いるための好ましいモノマーは、スチレンである。次いで(コ)ポリマーをマトリックスポリマー中にブレンドする。
【0047】
高分子電解質は、ポリマー又はコポリマーマトリックス中にブレンドされて、本発明のポリマーブレンドを形成する。このポリマーブレンドは、上及び本明細書全体に記載された2種以上のポリマーと、前記の類のマトリックスポリマーから選択される少なくとも1種及び前記の類の高分子電解質から選択される少なくとも1種との任意のタイプの混合物であることができる。好ましくは、前記ポリマーブレンドは、選択したポリマーの緊密ブレンドである。マトリックスポリマーの量は5〜95重量%であることができ、高分子電解質の量は95〜5重量%であることができる。好ましくは前記マトリックスポリマーは40〜80重量%の量で存在させ、前記高分子電解質は20〜60重量%の量で存在させる。
【0048】
多くの場合において、高分子電解質相上に存在させる酸基は、最初は中和された形にある。カチオンは、第IA族金属(Na、K、Cs、Rb)又はホスホニウム、イミダゾリウム若しくはベンゾアミダゾリウムのような有機カチオンから成ることができる。本発明の高分子電解質とマトリックス(コ)ポリマーとのブレンドプロセスを効率良く続けるためには、高分子電解質上の該スルホン酸基を最初にプロトンでイオン交換(プロトン化)しなければならない。これは、高分子電解質の溶液を、前もって好適なイオン交換樹脂を装填しておいたカラム中に通すことによって、達成される。前記カラムは、処理されるべき高分子電解質の量に応じてある範囲の直径及び長さを有するものであることができる。典型的なカラムは、1.0インチ〜36.0インチ、好ましくは6.0インチ〜18.0インチの直径を有する。カラムの長手方向は、12.0インチ〜144.0インチ、好ましくは24.0インチ〜72.0インチの長さを有する。カラムのボトム部は円錐形状であり、装置中を通る液体の流れを制御するための止め栓又は同様の装置を具備する。
【0049】
高分子電解質のイオン交換(プロトン化)をもたらすためには、所定量のイオン交換樹脂をカラムに添加する。Dowex Marathon(Dow Chemicals社)イオン交換樹脂は、用いることができる1つの類の樹脂の一例である。特に、Dowex Marathon A、Marathon B又はMarathon C樹脂を用いることができる。カラム中に装填する樹脂の量は、(製造業者の仕様に準拠して)イオン交換されるべき酸基の数に対して少なくとも1倍〜10倍当量とする。好ましくは、樹脂の使用量は、イオン交換されるべき酸基の数に対して1〜5倍とする。このカラムは次いで、カラムから溶出する水のpHが5.0以上になるまで、脱イオン水で数回洗浄する。中和された高分子電解質を次いで好適な溶剤中に溶解させて、均質溶液にする。この溶剤は、高分子電解質中に存在する化学官能基の種類に応じて選択すべきである。典型的には、極性プロトン性溶剤又は極性非プロトン性溶剤を用いる。高分子電解質溶液は、カラムの頂部に添加され、流れ出る間に交換樹脂と接触する。追加の溶剤が、樹脂が乾き切るのを防ぐのに充分な量で、カラムの頂部に添加される。流出液のpHを継続的に監視する。溶出液のpHが5.0以下に下がった時に、プロトン化された高分子電解質の溶液をカラムの底部から採集する。pHが5.0以上に戻った時に、高分子電解質溶液の採集を停止する。これによって、プロトン化された高分子電解質の溶液が得られる。残留カチオンの含有率は、当業者によく知られた分析技術によって定量化される。
【0050】
好ましい具体例において、前記ブレンド方法は、最初に高分子電解質上の酸性プロトン含有イオン化性基と好適な水酸化テトラアルキルアンモニウム(TAAOH)とを反応させてテトラアルキルアンモニウム塩を生成させることによって開始される。好ましくは、アンモニウム塩は少なくとも186の分子量を有するものである。好適なアンモニウム塩の例には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム及びテトラヘキシルアンモニウムが包含される。
【0051】
このTAAで中和された高分子電解質(「TAA中和高分子電解質」と言う)の溶液は次いで、選択したマトリックス(コ)ポリマーを適切に溶解させることができる溶剤に溶剤交換することができる。イオン交換カラム及びTAAOH中和用に用いた溶剤がマトリックス(コ)ポリマーをも溶解させる場合には、この工程は必要ない。好ましい具体例は、イオン交換カラムに流した溶剤からTAA中和高分子電解質及びマトリックス(コ)ポリマーの両方が完全に可溶な別の溶剤への交換を包含する。このプロセスは好ましくは、TAA中和高分子電解質溶液に新たな溶剤を添加し、次いで加熱し且つ真空にしながら元の溶剤を除去(真空蒸留)することから成る。この「溶剤交換」をもたらすための別の方法は、TAA中和高分子電解質を沈殿させ、次いでこのポリマーを濾過し、新たな溶剤中に再溶解させることを含むものである。元の溶剤がすべて除去されたら、同じ溶剤中に前もって溶解させた適量のマトリックス(コ)ポリマーを添加する。上述のように、ブレンド溶液中のマトリックスポリマーの量は5〜95重量%であることができ、高分子電解質の量は95〜5重量%であることができる。好ましくは、マトリックスポリマーはブレンド溶液中に40〜80重量%の量で存在させ、高分子電解質は20〜60重量%の量で存在させる。このブレンドされた溶液は次いで、流延されて薄いフィルムにされ、又はさらに加工されてイオン交換膜のような有用な物品が得られる。
【0052】
ブレンドされた溶液の流延は、当業者によく知られた多くの様々な手順によって実施することができる。特に、加熱を伴う溶液流延が選択される。所定量のポリマーブレンド溶液を適当な基材上に置く。次いで鋭利な金属ナイフを、基材に対して横方向に、ナイフと基材との間に間隔を取りながら、引く。この間隔の厚さ及びポリマーブレンドの粘度が、形成されるフィルムの厚さを調節する。形成されるフィルムの厚さは、材料の最終用途に依存し、1.0μm〜2.0mmの範囲にすることができる。好ましくは、形成されるフィルムの厚さは、10.0μm〜500.0μm、特に好ましくは20.0μm〜250.0μmとする。この「濡れた」フィルムを次いで、空気循環オーブン中で高温において乾燥させる。フィルムを乾燥させる時間及び温度は、広く変えることができる。採用する温度は、20℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃、特に好ましくは120℃〜200℃とする。濡れたフィルムに対する乾燥時間も、広く変えることができる。オーブン滞留時間は、工業的に適用できるものであるべきであり、1.0秒〜24時間、好ましくは1.0分〜2.0時間、特に好ましくは1.0分〜45.0分で変化させることができる。
【0053】
最終乾燥フィルムの厚さは、乾燥前の濡れたフィルムの元々の厚さに依存する。この厚さは、最終物品に予定される用途に応じて変化する。この厚さは、1.0μm〜2.0mm、好ましくは5.0μm〜500.0μm、特に好ましくは10.0μm〜300.0μmとする。この乾燥フィルムは、当業者によく知られた典型的な方法によって基材から取り外される。典型的には、フィルムを基材から直接機械的に又は金属ナイフを用いて剥離させる。別法として、基材からのフィルムを取り外す助けをするために、フィルムを水和させ又は水中若しくは溶剤中に沈めることができる。
【0054】
流延フィルム中の高分子電解質のドメインサイズは、好ましくは1.0μm未満、より一層好ましくは1nm〜500nmの範囲にすべきである。ここで論じられるドメインサイズは、最大ドメインサイズ及び/又は平均ドメインサイズに関する。好ましい実施態様において、言及されるドメインサイズは最大ドメインサイズであるが、平均ドメインサイズであることもできる。
【0055】
本発明のポリマーブレンドのプロトン伝導性は、20mS/cm超、好ましくは50mS/cm、特に好ましくは100mS/cm超である。さらに、前記ポリマーブレンドは高度の機械的強度、低い水和時膨潤、加水分解(化学)安定性、及び熱水又は熱酸環境中における低い硫黄損失割合(スルホン化されている場合)を有する。
【0056】
本発明のポリマーブレンドから製造される膜のような物品は次いで、そのまま用いることもでき、また、酸洗浄工程によってさらに処理してテトラアルキル基を取り除くと同時に、出発(コ)ポリマー成分上に存在するイオン化性基を再プロトン化することもできる。加えて、寸法安定性を改善するために、架橋を利用することもできる。架橋は、高分子電解質、マトリックス(コ)ポリマー又はそれら両方の上に存在する側部官能基に外部からの試薬を作用させることによって実施することができる。また、高分子電解質又はマトリックス(コ)ポリマー上にすでに懸垂している内部架橋性基を組み込み、次いでこれを外的刺激(熱又は放射線)を加えることによって適宜活性化させることも実行可能である。
【0057】
上記の様々な利点のせいで、本発明の非限定的な用途には、フィルム、膜、燃料電池、コーティング、イオン交換樹脂、油回収、生体膜、バッテリー等が包含され得る。得られる物品は、バッテリー又は燃料電池用途のための選択透過性膜として用いることができる。さらに、得られた物品は、膜−電極組立体の構築のための電極に適用することができ、様々な液体を吸収することができ、また、機械的完全性を高めるために補強用マット又は多孔質織物上又は中に導入することもできる。
【0058】
本発明のポリマーブレンドから、ポリマー性イオン膜又は高分子電解質膜を作ることができる。形成されたフィルム又は膜は、単層として用いることもでき、多層フィルム又は膜の一部であることもできる。ポリマー性イオン膜は、慣用のフィルム製造法、例えば溶融押出、溶剤流延、ラテックス流延等によって製造することができる。本発明の膜から膜電極組立体を作ることができ、この膜電極組立体を用いて燃料電池を製造することができる。膜を形成させるために本発明のポリマーを用いるに当たって、このポリマーは、ポリマーブレンド中に存在する高分子電解質に対して、任意の当量(酸基のg/全ポリマーのg)を有することができ、好ましくは約200〜約8000の当量、より一層好ましくは約200〜約1500、さらにより一層好ましくは約200〜約1400の当量を有する。
【0059】
より詳細には、本発明の組成物は特に燃料電池、バッテリー等に有用である。燃料電池及びバッテリーに用いられるデザイン及び成分は、ポリマー性イオン交換膜の形成に本発明の組成物を用いることを除いて、慣用の燃料電池及びバッテリーにおけるものと同じである。従って、米国特許第5795668号明細書、ヨーロッパ特許公開第1202365A1号公報、国際公開WO98/22989号、同WO02/075835号及びWO98/20573号各パンフレット、並びにLinら、Journal of Applied Polymer Science, Vol. 70, 121-127(1998)に記載されたような燃料電池及びバッテリーを作るためのデザイン及び態様を本発明において用いることができ、これらの文献の全体を参照用にここに全部取り入れる。前記の膜は、単独で用いることもでき、シリカ等のような慣用の充填剤と共に用いることもできる。前記燃料電池は、液体又は気体燃料、例えば炭化水素若しくはメタノールのような液体、又は水素のような気体を用いることができる。本発明の燃料電池は、広範な操作条件において作動することができる。本発明の燃料電池は、多孔質支持体層及びイオン交換樹脂を有し、このイオン交換樹脂は前記多孔質支持体層の少なくとも一方の面の上に担持される。本発明は、水素、直接メタノール又はその他の燃料電池において有用であることができる。好ましくは、本発明の燃料電池は、低い燃料クロスオーバー、高いプロトン伝導性及び/又は高い機械的強度を有する。膜の厚さは慣用のものであることができるが、しかし約0.5〜約10ミルであるのが好ましく、約0.5ミル〜約5ミルであるのがより一層好ましい。さらに、前記膜は、好ましくは約200〜約2500、より一層好ましくは約200〜約1400の当量を有する。前記多孔質支持体層は、任意の慣用の材料、例えばフルオロ含有ポリマー又はその他の炭化水素含有ポリマー、例えばポリオレフィンから作られたものであることができる。前記多孔質支持体層は、孔直径、多孔度及び厚さに関して慣用のパラメーターを有する。本発明の燃料電池は、好ましくは、優れたプロトン伝導性、耐化学薬品性及び低い気体クロスオーバー、比較的高い電気抵抗、並びに高いプロトン伝導性を有する。
【実施例】
【0060】
スルホン化ポリ(ビニルアルコール)合成
【0061】
例1:スルホプロピル化PVA(40%スルホン化、方法1)
【0062】
5.0gのポリ(ビニルアルコール)(PVA)(99%加水分解、Mw約144k、Aldrich社)を90℃において200ミリリットルの無水DMSO中に溶解させ、次いで室温まで冷ました。別途、28.80g(OHに対して1.13当量)の3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(NaBPS)を窒素下で100ミリリットルの中に無水DMSO中に溶解させた。3.0g(OHに対して1.1当量)の水素化ナトリウム(NaH)を窒素下で150ミリリットルの無水DMSO中に溶解させてスラリーを形成させた。このNaHスラリーを窒素下で、250ミリリットルの滴下漏斗、機械式撹拌機及び隔壁を備えた2リットルの丸底フラスコに素早く添加した。次いで前記PVA溶液を前記滴下漏斗中に装填し、素早く撹拌しながら前記NaHスラリーにゆっくり添加した。この混合物を気体発生が止まるまで1時間撹拌した。次いで前記NaBPS溶液を素早く添加し、この反応混合物を室温において18時間撹拌した。1.0ミリリットルの5.0重量%塩酸水溶液を添加し、次いで反応溶液を2リットルの素早く撹拌したアセトン中に注いだ。オフホワイト色の沈殿を濾過し、500ミリリットルのアセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(8.50g、40%)
1H−NMR(D2O):δ4.40−δ3.80(ブロード、4.79H、バックボーン(主鎖の)CH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、4.82H、バックボーンCH2)。
【0063】
例2:スルホプロピル化PVA(60%スルホン化、方法1)
【0064】
43.33gのNaBPS(OHに対して1.7当量)を200ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたものを用いたことを除いて、この項の例1に概説した手順に正確に従った。(12.65g、59%)
1H−NMR(D2O):δ4.40−3.80(ブロード、バックボーンCH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、3.23H、バックボーンCH2)。
【0065】
例3:スルホプロピル化PVA(10%スルホン化、方法1)
【0066】
20.0gのPVAを300ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの、15.46gのNaBPS(OHに対して0.15当量)を200ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの及び1.66g(OHに対して0.15当量)のNaHを100ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたものを用いたことを除いて、この項の例1に概説した手順に正確に従った。(26.5g、75%)
1H−NMR(D2O):δ4.40−3.80(ブロード、14H、バックボーンCH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2.17H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、23.5H、バックボーンCH2)。
【0067】
例4:スルホプロピル化PVA(100%スルホン化、方法2)
【0068】
5.0gのポリ(ビニルアルコール)(PVA)(99%加水分解、Mw約144k、Aldrich社)を90℃において200ミリリットルの無水DMSO中に溶解させ、次いで室温まで冷ました。別途、13.90g(OHに対して1.00当量)のプロパンスルトンを窒素下で50ミリリットルの無水DMSO中に溶解させた。3.0g(OHに対して1.1当量)の水素化ナトリウム(NaH)を窒素下で150ミリリットルの無水DMSO中に溶解させてスラリーを形成させた。このNaHスラリーを窒素下で、250ミリリットルの滴下漏斗、機械式撹拌機及び隔壁を備えた2リットルの丸底フラスコに素早く添加した。次いで前記PVA溶液を前記滴下漏斗中に装填し、素早く撹拌しながら前記NaHスラリーにゆっくり添加した。この混合物を気体発生が止まるまで1時間撹拌した。次いで前記プロパンスルトン溶液を15分かけて添加し、この反応混合物を室温において18時間撹拌した。1.0ミリリットルの5.0重量%塩酸水溶液を添加し、次いで反応溶液を2リットルの素早く撹拌したアセトン中に注いだ。オフホワイト色の沈殿を濾過し、500ミリリットルのアセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(20.2g、95%)
1H−NMR(D2O):δ4.40−3.80(ブロード、2.66H、バックボーンCH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、1.98H、バックボーンCH2)。
【0069】
例5:スルホプロピル化PVA(70%スルホン化、方法2)
【0070】
25.0gのPVAを450ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの、51.0gのプロパンスルトン(OHに対して0.80当量)を100ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの及び10.91g(OHに対して0.80当量)のNaHを450ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたものを用いたことを除いて、この項の例4に概説した手順に正確に従った。(106.8g、128%(不純物DMSO))
1H−NMR(D2O):δ4.40−3.80(ブロード、3.17H、バックボーンCH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、2.65H、バックボーンCH2)。
【0071】
例6:スルホプロピル化PVA(50%スルホン化、方法2)
【0072】
20.0gのPVAを200ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの、28.10gのプロパンスルトン(OHに対して0.50当量)を100ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの及び5.46g(OHに対して0.50当量)のNaHを150ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたものを用いたことを除いて、この項の例4に概説した手順に正確に従った。(52.5g、99%)
1H−NMR(D2O):δ4.40−3.80(ブロード、3.83H、バックボーンCH−O、プロピルO−CH2)、δ3.35−δ3.15(ブロード、2H、プロピルCH2−SO3)、δ2.40−δ2.20(ブロード、2H、プロピルC−CH2−C)、δ2.20−δ1.70(ブロード、3.87H、バックボーンCH2)。
【0073】
例7:スルホブチル化PVA
【0074】
34.0gのPVAを350ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたもの、85.0g(63.6ミリリットル)のブタンスルトン(OHに対して0.80当量)及び19.47g(OHに対して1.05当量)のNaHを250ミリリットルの無水DMSO中に溶解させたものを用いたことを除いて、この項の例4に概説した手順に正確に従った。(128.7g、103%(残留DMSO))
1H−NMR(D2O):δ6.05−5.81(ブロードm、0.29H、アリルCH)、δ5.25−δ5.05(ブロードm、0.58H、アリルCH2)、δ4.16−δ3.40(ブロード、2.45H、バックボーンCH−O、ブチル−O−CH2)、δ3.10−δ2.85(ブロードm、2H、ブチル−CH2−SO3)、δ2.60−δ2.40(ブロードm、0.59H、アリルC=C−CH2−)、δ2.10−δ0.50(ブロード、5.42H、ブチル−CH2−CH2−、バックボーン−CH2−)。
【0075】
スルホアルキル化ポリスチレン系コポリマー合成
【0076】
モノマー合成
【0077】
例8:ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(NaVBS)、手順A
【0078】
亜硫酸ナトリウム(872.1g、6.919モル、Aldrich社)及び塩化テトラブチルアンモニウム(37.0g、0.133モル、Fluka社)を脱イオン水(6000.0g、6.00リットル)中に含有させた溶液を22リットルの丸底フラスコ中に装填し、機械的に撹拌しながら45℃に加熱した。別途、塩化ビニルベンジル(1000.0g、6.29モル、Dow社、純度96%、m−異性体57%、p−異性体43%)を、ヨウ化ナトリウム(1037g、6.919モル、Aldrich社)をアセトン(4740g、6.00リットル)中に含有させた溶液に添加し、これを12リットルの丸底フラスコに添加し、40℃において0.25時間撹拌した。沈殿(NaCl)を濾過によって除去し、200ミリリットルのアセトンで洗浄した。濾過したアセトン溶液を即座に前記の塩の水溶液に添加した。この2相混合物を40℃において80分間撹拌した。前記アセトンを真空中で蒸発させた。残留水性混合物を濾過して湿り気のあるビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(NaVBS)を白色ペーストとして得た。このペーストを真空中で乾燥させた。(694g、50.1%)
1H−NMR(D2O):δ7.30−7.55(m、4H、芳香族)、δ6.80(dd、1H、ビニル)、δ5.87(dd、1H、ビニル)、δ5.33(dd、1H、ビニル)、δ4.16(s、2H、ベンジル)。
【0079】
例9:ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(NaVBS)、手順B
【0080】
100ガロンのガラス裏張り反応器に46.5ガロンの水及び20.0ガロンのアセトンを室温において装填した。この混合物に、18.0kgの亜硫酸ナトリウム、1.0kgのヨウ化ナトリウム及び20.0kgの塩化ビニルベンジル(Dow社Specialty Monomers事業部、m−異性体55%、p−異性体45%)を添加した。この混合物を窒素で30分間スパージし、次いで50℃に加熱し、この温度に24時間保った。次いでアセトン及び約20ガロンの水を真空蒸留によって除去した。残ったスラリーを10℃に冷却し、濾過して、淡黄色固体を回収した。濾液を反応器に戻し、さらに15ガロンの水を真空蒸留によって除去した。固体を一緒にし、真空中で40℃において乾燥させた。回収された収量は13.1kgだった(45%)。
1H−NMR(D2O):
【0081】
例10:ビニルベンジルアルコール(VBA)、手順A
【0082】
塩化ビニルベンジル(VBC、90%、m−異性体とp−異性体との混合物、安定化されたもの、4.3g、25ミリモル)をDMSO(11.0g)中の酢酸カリウム(KOAc)(3.2g、33ミリモル)の混合物に添加した。この混合物を40℃において2時間撹拌した。反応混合物のサンプル5ミリリットルを取り出し、10ミリリットルの水に添加した。この溶液を20ミリリットルずつの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチルを蒸発させて、黄色オイルを得た。
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.35(m、4H、芳香族)、δ6.70(m、1H、ビニル)、δ5.75(d、1H、ビニル)、δ5.25(d、1H、ビニル)、δ5.07(s、2H、ベンジル)、δ2.07(s、3H、メチルエステル)。
【0083】
残りの反応混合物にエタノール(7ミリリットル)、脱イオン水(36ミリリットル)及びNaOH(1.19g、30ミリモル)を添加し、1時間還流した。40ミリリットルのEtOAcで抽出し、次いでMgSO4で乾燥させ、溶剤を蒸発させて、黄色オイルを得た。(3.18g、収率99%)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.35(m、4H、芳香族)、δ6.70(m、1H、ビニル)、δ5.75(d、1H、ビニル)、δ5.25(d、1H、ビニル)、δ4.65(d、2H、ベンジル)。
【0084】
例11:ビニルベンジルアルコール(VBA)、手順B
【0085】
12リットルの三つ口丸底フラスコに機械式撹拌機、凝縮管及び熱電対を備え付けた。このフラスコに2.3リットルの氷酢酸、663.0gの酢酸カリウム及び613.7gの塩化ビニルベンジルを添加した。この混合物を110℃において18時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーを用いて、反応の程度を測定した。生成物を2リットルずつのEtOAc(酢酸エチル)で2回抽出した。有機抽出物を一緒にし、中性(pH約7)になるまでNaHCO3(重炭酸ナトリウム)水溶液で洗浄し、次いで2リットルの水で再び洗浄した。EtOAcを減圧下で除去して、薄茶色のオイル703gを得た。(収率99%)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.35(m、4H、芳香族)、δ6.70(m、1H、ビニル)、δ5.75(d、1H、ビニル)、δ5.25(d、1H、ビニル)、δ5.07(s、2H、ベンジル)、δ2.07(s、3H、メチルエステル)。
【0086】
機械式撹拌機、凝縮管及び熱電対を備え付けた第2の12リットルフラスコに、761.0g(13.56モル)のKOH(水酸化カリウム)、3.5リットル(86.6モル)のMeOH(メタノール)、1.1リットル(58.38モル)の水及び前の工程からの703gの酢酸ビニルベンジルを装填して、暗赤色溶液を得た。この反応物を加熱還流し、次いでTLCによって反応が1時間後に完了したことが示された。この反応混合物を室温まで冷まし、4リットルずつのジエチルエーテルで2回抽出した。次いでエーテル層を4リットルずつの塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、次いで4リットルずつの水で2回洗浄した。エーテル層をMgSO4(硫酸マグネシウム)で乾燥させ、濾過した。減圧下で濾液からエーテルを除去して、茶色のオイルを得た。(487.0g、収率91%)(全体で94%)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.35(m、4H、芳香族)、δ6.70(m、1H、ビニル)、δ5.75(d、1H、ビニル)、δ5.25(d、1H、ビニル)、δ4.65(d、2H、ベンジル)。
【0087】
例12:塩化4−(ビニルフェニル)マグネシウム(VP−MgCl)
【0088】
250ミリリットルの二口丸底フラスコに、2.5gのマグネシウム(Mg)やすり屑(0.14モル)を装填し、撹拌棒、滴下漏斗及び凝縮管を備え付けた。前記Mgやすり屑を窒素下で一晩激しく撹拌した。このMgに10ミリリットルの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の100マイクロリットルの1,2−ジブロモエタンの溶液を注射器によって添加した。この混合物を室温において薄茶色になるまで撹拌した。反応温度を10℃以下に保ちながら、30ミリリットル乾燥THF中の13.85gの4−クロロスチレン(0.1モル)を滴下漏斗によって1時間かけて添加した。4−クロロスチレンを全部添加した後に、混合物を室温まで温め、さらに30分間撹拌した。次いで温度を上昇させ、反応物をさらに2時間還流した。反応物を0℃に冷却し、すぐに次の反応に用いた。
【0089】
例13:1−(4−ビニルフェニル)エタノール(1−VPE)
【0090】
この項の例12において調製したVP−MgCl溶液に、50ミリリットルのTHF中の4.84gのアセチルアルデヒド(0.11モル)の溶液を添加した。この溶液は、反応温度を0℃に保ちながら滴下漏斗から滴下した。次いで反応物を0℃においてさらに1時間撹拌した。温度を20℃以下に保ちながら、60ミリリットルの2M塩酸(HCl)水溶液を滴下漏斗から添加した。反応物を濾過し、100ミリリットルずつのジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過した。ジエチルエーテルを室温において真空蒸発によって除去した。(13.6gの淡黄色オイル、91.6%)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.40(m、4H、芳香族)、δ6.72(m、1H、ビニル)、δ5.82(d、1H、ビニル)、δ5.23(d、1H、ビニル)、δ4.73(q、1H、CH−O)、δ1.35(d、3H、CH3)。
【0091】
例14:2−(4−ビニルフェニル)エタノール(2−VPE)
【0092】
この項の例12において調製したVP−MgCl溶液に、50ミリリットルのTHF中の4.84gのエチレンオキシド(0.11モル)の溶液を添加した。この溶液は、反応混合物を0℃に保ちながら1時間かけて滴下漏斗から添加した。この添加の終了後に、0℃においてさらに1時間撹拌を続ける。次いで反応物を0℃においてさらに1時間撹拌した。温度を20℃以下に保ちながら、60ミリリットルの2M塩酸(HCl)水溶液を滴下漏斗から添加した。反応物を濾過し、100ミリリットルずつのジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過した。ジエチルエーテルを室温において真空蒸発によって除去した。(11.2gの白色ワックス状固体、75.7%)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.20−δ7.40(m、4H、芳香族)、δ6.72(m、1H、ビニル)、δ5.75(d、1H、ビニル)、δ5.23(d、1H、ビニル)、δ4.70(t、1H、OH)、δ3.65(t、2H、CH2−O)、δ2.72(t、2H、CH2−C)。
【0093】
(コ)ポリマー合成(重合)
【0094】
例14:ポリ(NaVBS)
【0095】
脱イオン水(266g)中のビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(20.00g、0.073モル、純度80%)の溶液を撹拌しながら40℃に加熱し、次いで窒素で10分間スパージした。スパージ時間の終わり近くに、Vazo 56WSP(74mg、0.27ミリモル、DuPont社)を添加した。この反応混合物を85℃に加熱し、24時間加熱した。このポリマーをアセトン(2.25リットル)中に沈殿させ、液体をデカンテーションした。真空中で乾燥させて、ポリ(ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム)を得た。(半透明板状物、14.55g、91%)
(GPC:Mw=91k、PDI=2.2、ポリアクリル酸の狭い標準に対して)
1H−NMR(D2O):δ7.22(ブロード、2H、芳香族)、δ6.67(ブロード、2H、芳香族)、δ4.15(ブロード、2H、ベンジルCH2)、δ0.30−2.55(ブロード、3H、バックボーンCH、CH2)。
【0096】
例15:ポリ(VBA)
【0097】
10.0gのビニルベンジルアルコール(VBA)(74.6ミリモル)、29.0ミリリットルの脱イオン水、3.82ミリリットルの20.0重量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDDS)水溶液(2.48ミリモル)、1.83ミリリットルの5.0重量%重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液(0.86ミリモル)及び1.83ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液(VBAに対して0.5モル%)を100ミリリットルの丸底フラスコに添加した。この混合物を0℃に1時間冷却し、その後に1.30ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(VBAに対して0.5モル%)を添加した。この溶液を窒素で15分間スパージした。フラスコをゴム隔壁で塞ぎ、30℃の油浴中に2.5時間入れた。この時間の後に、ポリマーを300ミリリットルのメタノール中に沈殿させ、濾過し、真空中で乾燥させた。(9.80g、98%)
(GPC:Mw=80k、PDI=4.0、ポリアクリル酸の狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.30−δ6.10(ブロード、4H、芳香族)、δ4.65−δ4.25(ブロード、2H、ベンジルのCH2)、δ2.20−δ0.90(ブロード、3H、バックボーンCH、CH2)。
【0098】
例16:ポリ(VBC)
【0099】
50.0gの塩化ビニルベンジル(VBC)(Dow社Specialty Monomers事業部、3−異性体55%、4−異性体45%)、145.0ミリリットルの脱イオン水、16.65ミリリットルの20.0重量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDDS)水溶液(12.40ミリモル)、8.0ミリリットルの5.0重量%重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液(3.75ミリモル)及び8.0ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液(VBCに対して0.5モル%)を500ミリリットルの丸底フラスコに添加した。この混合物を0℃に1時間冷却し、その後に5.65ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(VBCに対して0.5モル%)を添加した。この溶液を窒素で15分間スパージした。フラスコをゴム隔壁で塞ぎ、30℃の油浴中に3時間入れた。この時間の後に、ポリマーを1500ミリリットルのメタノール中に沈殿させ、濾過し、真空中で乾燥させた。(47.5g、95%)
(GPC:Mw=733k、PDI=6.3、ポリアクリル酸の狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.30−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ4.75−δ4.30(ブロード、2H、ベンジルのCH2)、δ2.40−δ0.90(ブロード、3H、バックボーンCH、CH2)。
【0100】
例17:ポリ(t−BuOS)手順A
【0101】
8.79gのt−ブトキシスチレン(t−BuOS)(46.3ミリモル)、23.3ミリリットルの脱イオン水、3.82ミリリットルの20.0重量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDDS)水溶液(2.48ミリモル)、1.83ミリリットルの5.0重量%重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液(0.86ミリモル)及び1.29ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液(t−BuOSに対して0.5モル%)を100ミリリットルの丸底フラスコに添加した。この混合物を0℃に1時間冷却し、その後に0.92ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(t−BuOSに対して0.5モル%)を添加した。この溶液を窒素で15分間スパージした。フラスコをゴム隔壁で塞ぎ、30℃の油浴中に3時間入れた。この時間の後に、ポリマーを300ミリリットルのメタノール中に沈殿させ、濾過し、真空中で乾燥させた。(6.15g、70%)
(GPC:Mw=1200k、PDI=10.0、ポリスチレンの狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ6.75−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ2.13−δ0.80(ブロード、12H、バックボーンCH、CH2、t−ブチルCH3)。
【0102】
例18:ポリ(t−BuOS)手順B
【0103】
t−BuOSに対して1.0モル%の開始剤、即ち2.58ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液、1.84ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を用いたことを除いて、手順A(例17)について記載したものと同じ態様で重合を実施した。
(GPC:Mw=700k、PDI=5.0、ポリスチレンの狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ6.75−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ2.13−δ0.80(ブロード、12H、バックボーンCH、CH2、t−ブチルCH3)。
【0104】
例19:ポリ(t−BuOS)手順C
【0105】
t−BuOSに対して1.5モル%の開始剤、即ち3.87ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液、2.76ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を用いたことを除いて、手順A(例17)について記載したものと同じ態様で重合を実施した。
(GPC:Mw=185k、PDI=4.0、ポリスチレンの狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ6.75−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ2.13−δ0.80(ブロード、12H、バックボーンCH、CH2、t−ブチルCH3)。
【0106】
例20:ポリ(アセトキシスチレン)
【0107】
10.0gのアセトキシスチレン(AcS)(Aldrich社、96%)、29.0ミリリットルの脱イオン水、3.33ミリリットルの20.0重量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDDS)水溶液(2.48ミリモル)、1.6ミリリットルの5.0重量%重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液(0.75ミリモル)及び1.6ミリリットルの5.0重量%過硫酸カリウム水溶液(AcSに対して0.5モル%)を100ミリリットルの丸底フラスコに添加した。この混合物を0℃に1時間冷却し、その後に1.13ミリリットルの5.0重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(AcSに対して0.5モル%)を添加した。この溶液を窒素で15分間スパージした。フラスコをゴム隔壁で塞ぎ、30℃の油浴中に3時間入れた。この時間の後に、ポリマーを300ミリリットルのメタノール中に沈殿させ、濾過し、真空中で乾燥させた。(9.50g、95%)
(GPC:Mw=554k、PDI=4.0、ポリアクリル酸の狭い標準に対して)。
1H−NMR(DMSO−d6):δ7.00−δ6.25(ブロード、4H、芳香族)、δ2.38−δ2.00(ブロード、3H、アセチルCH3)、δ2.05−δ1.00(ブロード、3H、バックボーンCH、CH2)。
【0108】
例21:ポリ(NaVBS−co−VBA)
【0109】
ビニルベンジルアルコール(207g、1.39モル)を35℃において脱イオン水(8766g)中のビニルベンジルスルホン酸ナトリウム(NaVBS、1058g、2.49モル、51.9%モノマー、35.1%水、13%ヨウ化物不純物)の溶液に添加した。この混合物を窒素で0.5時間スパージした。スパージ期間の終わり近くに、Vazo 56WSP(2.71g、10.0ミリモル、DuPont社)を添加した。この反応混合物を80℃に加熱し、窒素下で3.5時間撹拌した。3.5時間の反応時間の後に、2回目装填分のVazo 56WSP(1.35g、5.00ミリモル)を添加し、さらに2時間重合を続けた。重合後に、溶液を80℃に保ち、窒素でパージして容量を約50%減少させた。ポリマーがアセトンから沈殿した。NaVBSのポリマーへの転化率を、重量分析及び分光光度分析で見積もった(95%転化)。
1H−NMR(D2O):δ7.16(ブロード、2H、芳香族)、δ6.63(ブロード、2H、芳香族)、δ4.43(ブロード、0.4H、ベンジルアルコールCH2)、δ4.08(ブロード、1.6H、ベンジルスルホネートCH2)、δ−0.75−2.75(ブロード、3H、バックボーンCH、CH2)。
【0110】
例22:ポリ(NaVBS−co−HEMA)
【0111】
250ミリリットルの丸底フラスコ中で9.30g(42.2ミリモル)のNaVBSを40℃において水中に溶解させた。この溶液を窒素で15分間パージした。この溶液に、1.22g(9.39ミリモル)のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)及び34.11mg(0.1258ミリモル)のVAZO 56WSPを添加した。この混合物を85℃に24時間加熱した。ポリマーを875ミリリットルのアセトン中に沈殿させ、真空中で乾燥させた(収量9.22g、92%)。ゲル透過クロマトグラフィーは、高分子量を示した(280k、ポリスチレンスルホネートの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ7.50−δ6.25(ブロード、4H、芳香族)、δ4.25−δ3.75(ブロード、2H、ベンジル性)、δ3.60−δ2.80(ブロード、1.08H、エチルCH2)、δ2.50−δ1.00(ブロード、バックボーンCH、CH2)、δ1.0−δ0.20(ブロード、0.84H、CH3)。
1H−NMRデータから計算してHEMA22%組み込み。
【0112】
例23:ポリ(NaVBS−co−1−VPE)
【0113】
250ミリリットルの丸底フラスコに6.60gのNaVBS(30.0ミリモル)、2.96gの1−VPE(20.0ミリモル)、27.0mgのVazo 56WSP(0.10ミリモル)、66.0ミリリットルの水及び撹拌棒を装填した。この混合物に窒素を15分間吹き込み、このフラスコをゴム隔壁で塞ぎ、80℃の油浴中に入れて24時間激しく撹拌した。次いで反応混合物を激しく撹拌しながら300ミリリットルのアセトン中にゆっくり沈殿させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(7.90g、83%、Mw=45k、PDI=2.25、スルホン化ポリスチレンの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ8.25−δ5.50(ブロード、4H、芳香族)、δ4.50−δ3.50(ブロード、1.44H、ベンジル性)、δ2.75−δ0.25(ブロード、バックボーンCHCH2、C−CH3)。
【0114】
例24:ポリ(NaVBS−co−2−VPE)
【0115】
250ミリリットルの丸底フラスコに、13.20gのNaVBS(60.0ミリモル)、4.44gの2−VPE(30.0ミリモル)、54.0mgのVazo 56WSP(0.2ミリモル)、133ミリリットルの水及び撹拌棒を装填した。この混合物を窒素で15分間スパージし、次いでゴム隔壁で塞ぎ、80℃の油浴中に入れて24時間激しく撹拌した。次いで反応混合物を激しく撹拌しながら500ミリリットルのアセトン中にゆっくり沈殿させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(16.0g、91%、Mw=47.6k、PDI=2.1、スルホン化ポリスチレンの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ8.25−δ5.50(ブロード、4H、芳香族)、δ4.60−δ3.20(ブロード、2H、ベンジル及びCH2−O)、δ3.20−δ2.30(ブロード、ベンジルのCH2−C)、δ2.30−d0.25(ブロード、バックボーンCH2及びCH)。
【0116】
例25:ポリ(NaSS−co−VBA)
【0117】
500ミリリットルの丸底フラスコに、27.9gのNaSS(135.3ミリモル)、8.1gのVBA(60.2ミリモル)、109mgのVazo 56WSP(0.4ミリモル)、396ミリリットルの水及び撹拌棒を装填した。この混合物を窒素で15分間スパージし、次いでゴム隔壁で塞ぎ、激しく撹拌しながら80℃に24時間加熱した。次いで反応混合物を激しく撹拌しながら500ミリリットルのアセトン中にゆっくり沈殿させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(22g、スルホン化モノマーの64モル%、Mw=237k、PDI=2.6、スルホン化ポリスチレンの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ7.84−δ5.85(ブロード、芳香族)、δ4.60−δ4.06(ブロード、2H、ベンジルのCH2−O)、δ2.50−δ0.50(ブロード、バックボーンCH2及びCH)。
【0118】
例26:ポリ(NaSS−co−HEMA)
【0119】
500ミリリットルの丸底フラスコに、27.9gのNaSS(135.3ミリモル)、8.1gのHEMA(60.2ミリモル)、109mgのVazo 56WSP(0.4ミリモル)、396ミリリットルの水及び撹拌棒を装填した。この混合物を窒素で15分間スパージし、次いでゴム隔壁で塞ぎ、激しく撹拌しながら80℃に24時間加熱した。次いで反応混合物を激しく撹拌しながら500ミリリットルのアセトン中にゆっくり沈殿させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(39.4g、スルホン化モノマー%の64モル%、Mw=457k、PDI=3.7、スルホン化ポリスチレンの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ7.90−δ5.95(ブロード、芳香族)、δ3.72−δ2.86(ブロード、4H、O−CH2−CH2−OH)、δ2.13−δ0.05(ブロード、バックボーンCH3、CH2及びCH)。
【0120】
例27:ポリ(NaSS)
【0121】
500ミリリットルの丸底フラスコに13.8gのNaSS(66.9ミリモル)、109mgのVazo 56WSP(0.4ミリモル)、196ミリリットルの水及び撹拌棒を装填した。この混合物を窒素で15分間スパージし、次いでゴム隔壁で塞ぎ、激しく撹拌しながら80℃に24時間加熱した。次いで反応混合物を激しく撹拌しながら500ミリリットルのアセトン中にゆっくり沈殿させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。(10g、Mw=490k、PDI=3.6、スルホン化ポリスチレンの狭い標準に対して)。
1H−NMR(D2O):δ7.94−δ5.94(ブロード、芳香族)、δ2.10−δ0.22(ブロード、バックボーンCH2及びCH)。
【0122】
例28:ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(p(AMPS))
【0123】
1000ミリリットルの円筒状反応器に、還流凝縮管、機械式撹拌機を備え付け、50.0ミリリットルの脱イオン水を装填し、75℃に加熱した。別の容器中で151.6gのAMPS及び545.2ミリリットルの水をAMPSが完全に溶解するまで互いに混合した。前記反応器及びAMPS溶液を窒素で15分間スパージした。別途、446mgのVazo 56WSPを9.47gの水中に溶解させた。AMPS及びVazo 56WSP溶液を1時間かけて前記反応器中に、激しく撹拌しつつ反応温度を75℃に保ちながら、ゆっくり供給した。反応物を75℃においてさらに2時間撹拌した。最終反応混合物を室温まで冷ました。この混合物は極めて粘性があることが観察され、高分子量ポリマーの存在を示した。
【0124】
(コ)ポリマー合成(重合後変性)
【0125】
例29:スルホエチル化p(VBC)
【0126】
滴下漏斗を備えた250ミリリットルの丸底フラスコ中で窒素下で電磁式に撹拌しながら、1.0gのポリ(塩化ビニルベンジル)(p(VBC))を99.0gの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させた。別途、1.068g(Clに対して1.1当量)のイセチオン酸ナトリウム(NaISA)を19.0gのDMSO中に窒素下で溶解させた。第3の容器中で、0.165g(Clに対して1.05当量)の水素化ナトリウム(NaH)を3.1gのDMSOに窒素下で添加し、撹拌してスラリーを形成させた。このNaHスラリーを次いで250ミリリットルの丸底フラスコに窒素パージ下で電磁式に撹拌しながら添加した。次いで素早く撹拌しながら前記NaISA溶液をゆっくり添加した。NaH/NaISA混合物(イセチオン酸二ナトリウム)を、気体の発生が止まるまで室温において30分間撹拌した。この混合物を次いで素早くp(VBC)反応器の滴下漏斗に移した。次いでこのイセチオン酸二ナトリウム溶液を前記p(VBC)溶液に素早く撹拌しながらゆっくり添加した。この混合物を室温においてさらに18時間撹拌した。この時間の後に、1.0ミリリットルの5.0v/v%塩酸水溶液を添加した。次いでこの溶液を素早く撹拌しながら1リットルのテトラヒドロフラン中にゆっくり注いで、白色沈殿を形成させた。沈殿を濾過し、100ミリリットルの脱イオン水中に再び溶解させ、800ミリリットルのテトラヒドロフラン中にゆっくり注いだ。白色ポリマー粉末を濾過によって採集し、真空中で乾燥させた。
1H−NMR(D2O):δ7.40−δ5.75(ブロード、4H、芳香族)、δ4.60−δ4.00(ブロード、2H、ベンジル性)、δ4.00−δ3.30(ブロード、2H、エチル−CH2−SO3)、δ3.25−δ2.80(ブロード、2H、エチル−O−CH2−C)、δ2.25−δ0.75(ブロード、3H、バックボーンCH2、CH)。
【0127】
例30:スルホプロピル化p(VBC)
【0128】
滴下漏斗を備えた250ミリリットルの丸底フラスコ中で窒素下で電磁式に撹拌しながら、1.0gのポリ(塩化ビニルベンジル)(p(VBC))を99.0gの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させた。別途、2.13g(Clに対して2.0当量)の3−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(NaHPS)を42.5gの無水DMSO中に窒素下で溶解させた。第3の容器中で、0.3464g(Clに対して2.2当量)の水素化ナトリウム(NaH)を5.0gのDMSO中に窒素下で添加し、撹拌してスラリーを形成させた。このNaHスラリーを次いで250ミリリットルの丸底フラスコに窒素パージ下で電磁式に撹拌しながら添加した。次いで素早く撹拌しながら前記NaHPS溶液をゆっくり添加した。NaH/NaHPS混合物(ヒドロキシプロパンスルホン酸二ナトリウム)を、気体の発生が止まるまで室温において30分間撹拌した。次いでこの混合物をp(VBC)反応器の滴下漏斗に素早く移した。ヒドロキシプロパンスルホン酸二ナトリウム溶液を前記p(VBC)溶液に素早く撹拌しながらゆっくり添加した。この混合物を室温においてさらに18時間撹拌した。この時間の後に、1.0ミリリットルの5.0v/v%塩酸水溶液を添加した。次いでこの溶液を素早く撹拌しながら1リットルのアセトン中にゆっくり注いで、白色沈殿を形成させた。沈殿を濾過し、100ミリリットルの脱イオン水中に再び溶解させ、800ミリリットルのアセトン中にゆっくり注いだ。白色ポリマー粉末を濾過によって採集し、真空中で乾燥させた。
1H−NMR(D2O):δ7.40−δ5.75(ブロード、4H、芳香族)、δ4.60−δ4.20(ブロード、2H、ベンジル性)、δ4.20−δ3.50(ブロード、2H、プロピル−O−CH2−)、δ3.10−δ2.60(ブロード、2H、プロピル−CH2−SO3)、δ2.25−δ1.75(ブロード、2H、プロピル−C−CH2−C)、δ1.50−δ0.50(ブロード、3H、バックボーンCH−CH2)。
【0129】
例31:p(tBuOS)のポリ(ビニルフェノール)への転化
【0130】
250ミリリットルの丸底フラスコ中で2.0gのp(t−BuOS)(Mw約1200k、PDI=10.0)を62.0gの1,4−ジオキサン中に溶解させた。この溶液に、17.9gの濃塩酸(水中に37.0重量%)を添加した。この混合物を窒素下で80℃において4時間撹拌した。この反応溶液を次いで400ミリリットルの水中に注いだ。このスラリーを5.0重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって中和してpH=7にした。ポリマー粉末を濾過し、真空中で乾燥させた。
(1.30g、95%、Mw=600k、PDI=8.0、ポリ(アクリル酸)の狭い標準に対して)。
1H−NMR(DMSO−d6):δ9.10−δ8.80(ブロード、1H、OH)、δ6.75−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ2.20−δ0.90(ブロード、バックボーンCH、CH2)。
【0131】
例32:p(アセトキシスチレン)のポリ(ビニルフェノール)への転化
【0132】
1.0gのポリ(アセトキシスチレン)(6.16ミリモルアセトキシ基)を室温において37.7ミリリットルの1,4−ジオキサン中に溶解させた。この素早く撹拌した溶液に、19.3ミリリットルの脱イオン水中の2.47gの水酸化ナトリウム(61.7ミリモル)の溶液を添加した。次いでこの反応混合物を40℃に4時間加熱した。得られた混合物を室温まで冷まし、過剰量の5.0v/v%塩酸水溶液で酸性にした。沈殿したポリマーを脱イオン水で数回洗浄し、真空中で乾燥させた。
(0.73g、98%、Mw=630k、PDI=5.0、ポリ(アクリル酸)の狭い標準に対して)
1H−NMR(DMSO−d6):δ9.10−δ8.80(ブロード、1H、OH)、δ6.75−δ6.20(ブロード、4H、芳香族)、δ2.20−δ0.90(ブロード、バックボーンCH、CH2)。
【0133】
例33:ポリ(ビニルフェノール)(pVPh)のスルホプロピル化
【0134】
滴下漏斗を備えた100ミリリットルの丸底フラスコ中で窒素下で電磁式に撹拌しながら、1.0gのpVPh(Mw約600k、PDI約4.0)を19.0gの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させた。別途、1.88g(OHに対して1.0当量)の3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(NaBPS)を窒素下で5.64gの無水DMSO中に溶解させた。第3の容器中で、0.220g(OHに対して1.1当量)の水素化ナトリウム(NaH)を5.0gのDMSOに窒素下で添加し、撹拌してスラリーを形成させた。次いでこのNaHスラリーを250ミリリットルの丸底フラスコに、窒素パージ下で電磁式に撹拌しながら添加した。次いで素早く撹拌しながら前記pVPh溶液をゆっくり添加した。このNaH/pVPh混合物(ポリ(ナトリウムビニルフェノラート))を、気体の発生が止まるまで室温において30分間撹拌した。次いで前記NaBPS溶液を素早く添加し、室温において18時間撹拌した。この溶液を次いで素早く撹拌しながら500ミリリットルのアセトン中にゆっくり注いで、白色沈殿を形成させた。白色ポリマー粉末を濾過によって採集し、真空中で乾燥させた。(2.0g、91%)
1H−NMR(D2O):δ7.10−δ5.90(ブロード、4H、芳香族)、δ4.10−δ3.80(ブロード、2H、プロピル−O−CH2−)、δ2.90−δ2.50(ブロード、2H、プロピル−CH2−SO3)、δ2.20−δ1.80(ブロード、2H、プロピル−C−CH2−C)、δ2.00−δ0.50(ブロード、3H、バックボーンCH−CH2)。
【0135】
塩の形の(コ)ポリマーのプロトン化(コ)ポリマーへのイオン交換
多くのタイプの塩の形の水溶性の酸性ポリマーについての一般的手順
【0136】
例34:小規模イオン交換
【0137】
ガラスカラム(直径7.5cm、長さ24cm)にDowex(登録商標)Marathon Cイオン交換樹脂(約300g)を添加した。このカラムを脱イオン水で徹底的にすすぎ、次いで脱イオン水(191.2g)中のポリ(ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム−co−ビニルベンジルアルコール)(47.49g)の10重量%溶液を装填した。溶出液を画分分けして採集し、これらをプロトン化されたポリマーの存在を測定するためにpHストリップで試験した。ポリマーを含有する画分を一緒にして、ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)の3%溶液(38.6g、90%)を得た。元素分析及びフェノールフタレイン終点までのNaOHによる酸−塩基滴定による交換効率(Na+に対するH+)99%超。
【0138】
例35:大規模イオン交換
【0139】
ガラスカラム(直径30.5cm、長さ122cm)に圧縮窒素ライン(最大圧力25psi)及び脱イオン水入口を備え付けた。次いでDowex(登録商標)Marathon Cイオン交換樹脂(21.74リットル、濡れたもの)を添加した。このカラムを脱イオン水で徹底的にすすぎ、次いで脱イオン水(14.0kg)中のポリ(ビニルベンジルスルホン酸ナトリウム−co−ビニルベンジルアルコール)(3970g)の20重量%溶液を装填した。この溶液は、窒素過剰圧力(17psigまで)により0.4床容量/時間の速度でカラム中に通し、溶出液を区分して採集した。溶出液のpHを、プロトン化されたポリマーの存在を測定するためにpH試験ストリップで連続的に試験した。最も高い濃度でポリマーを含有する画分を一緒にして、17.5重量%溶液のポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)(2540g、69%)を得た。元素分析及びフェノールフタレイン終点までのNaOHによる酸−塩基滴定による交換効率(Na+に対するH+)99.8%。
【0140】
プロトン化された高分子電解質の溶液のTAAOH中和
【0141】
例36:ポリ(スチレンスルホン酸)の水酸化テトラブチルアンモニウム中和
【0142】
15.00gの30重量%ポリ(スチレンスルホン酸)(Polyscience社から購入、MW=70kg/モル)水溶液を9.22gの55重量%水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)水溶液と一緒にし、室温において60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで15.03gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート)のNMP中の38重量%溶液(残留水含有率0.2重量%以下)が得られた。
【0143】
例37:ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)の水酸化テトラブチルアンモニウム中和
【0144】
153.94gの2.6重量%ポリ(スチレンスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)(MW=237kg/モル、70重量%スチレンスルホン酸)水溶液を6.79gの55重量%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで30.0gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)のNMP中の20重量%溶液(残留水含有率0.7重量%以下)が得られた。
【0145】
例38:ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ヒドロキシエチルメタクリレート)の水酸化テトラブチルアンモニウム中和
【0146】
7.03gの12.2重量%ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ヒドロキシエチルメタクリレート)(MW=190kg/モル、79重量%VBS)水溶液を1.56gの55重量%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで6.91gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TBAOH中和ポリ(VBS−co−ヒドロキシエチルメタクリレート)のNMP中の27重量%溶液が得られた。
【0147】
例39:ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)のTPAOH中和
【0148】
24.02gの16.8重量%ポリ(VBS−co−ビニルベンジルアルコール)(MW=60kg/モル、86重量%VBS)水溶液を8.31gの40.9重量%水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで29.74gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TPAOH中和ポリ(VBS−co−ビニルベンジルアルコール)のNMP中の20重量%溶液が得られた。
【0149】
例40:ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)のTBAOH中和
【0150】
72.31gの13.9重量%ポリ(ビニルベンジルスルホン酸−co−ビニルベンジルアルコール)(MW=260kg/モル、85重量%VBS)水溶液を19.26gの55重量%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで79.36gのNMP及び143.86gのアセトニトリルを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を共沸蒸留によって除去した。これにより、TBAOH中和ポリ(ビニルベンジルスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)のNMP中の20重量%溶液(残留水含有率0.09重量%以下)が得られた。
【0151】
例41:ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)のTBAOH中和
【0152】
17.25gの20.1重量%ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)水溶液(MW=120kg/モル)を6.35gの55%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで15.35gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TBAOH中和ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)のNMP中の35重量%溶液が得られた。
【0153】
例42:ポリ(アクリル酸)のTBAOH中和
【0154】
4.98gのポリ(アクリル酸)(MW=450kg/モル)を81.40gのNMP中に溶解させることによってポリ(アクリル酸)酸溶液を調製した。ポリ(アクリル酸)は、Sigma-Aldrich社から購入したものをそのまま用いた。7.58gの前記ポリ(アクリル酸)溶液を0.649gの55重量%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。
【0155】
例43:spPVAのTBAOH中和
【0156】
15.7gの10.9重量%スルホプロピル化PVA(MW=144kg/モル、56モル%スルホン化)水溶液をガラス瓶中で3.84gの55%TBAOH水溶液と一緒にし、室温において少なくとも60分間撹拌した。中和された高分子電解質溶液に次いで8.04gのNMPを添加した。中和された高分子電解質溶液を次いで真空中で60℃に加熱して水を除去した。これにより、TBAOH中和スルホプロピル化ポリ(ビニルアルコール)のNMP中の31重量%溶液(残留水含有率0.2重量%以下)が得られた。
【0157】
中和された高分子電解質溶液とマトリックスコポリマーとのブレンディング
【0158】
例44:TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート)及びKynar(登録商標)PVDF
【0159】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(PVDF15重量%)24.36gを、例36からの38重量%TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート)10.08gと一緒にし、膜流延の前に室温において4時間撹拌した。
【0160】
例45:TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート)及びKynar(登録商標)PVDF
【0161】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)18.99gを、例37からの20重量%TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)14.17gと一緒にし、室温において4時間撹拌した。この溶液に、0.9973gのDesmodur N 3300A架橋剤(Bayer社からの脂肪族ポリイソシアネート)を添加し、膜流延の前に室温において2時間撹拌した。
【0162】
例46:TBAOH中和ポリ(VBS−co−ヒドロキシルエチルメタクリレート)及びKynar(登録商標)PVDF
【0163】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)10.73gを、例38からの27重量%TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)6.16gと一緒にし、室温において4時間撹拌した。この溶液に、0.7135gのDesmodur BL 3175A架橋剤(Bayer社からのブロックされた脂肪族ポリイソシアネート)及び0.030gのFascat 4202(Arkema社からのジブチルスズジラウレート)を添加した。この溶液を膜流延の前に室温において2時間撹拌した。
【0164】
例47:TPAOH中和ポリ(VBS−co−VBA)及びKynar(登録商標)PVDF
【0165】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)13.69gを、例39からの20重量%TPAOH中和ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)8.03gと一緒にし、室温において4時間撹拌した。この溶液に、0.85gのDesmodur BL 3175A架橋剤及び0.026gのFascat 4202を添加した。この溶液を次いで膜流延の前に室温において2時間撹拌した。
【0166】
例48:TBAOH中和ポリ(VBS−co−VBA)及びKynar(登録商標)PVDF
【0167】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)12.96gを、例40からの20重量%TBAOH中和ポリ(スチレンスルホネート−co−ビニルベンジルアルコール)11.12gと一緒にし、室温において4時間撹拌した。この溶液に、0.3420gのDesmodur N 3300A架橋剤を添加した。この溶液を膜流延の前に室温において2時間撹拌した。
【0168】
例49:TBAOH中和ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)及びKynar(登録商標)PVDF
【0169】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)43.06gを、例41からの35重量%TBAOH中和ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)19.3gと一緒にし、膜流延の前に室温において4時間撹拌した。
【0170】
例50:TPAOH中和ポリ(アクリル酸)及びKynar(登録商標)PVDF
【0171】
Kynar(登録商標)2801及びNMPを含有する溶液(15重量%ポリマー)5.30gを次いで、膜流延の前に、例42からの中和されたポリ(アクリル酸)溶液8.23gと室温において4時間ブレンドした。
【0172】
例51:TBAOH中和されたspPVA及びKynar(登録商標)PVDF
【0173】
Kynar(登録商標)PVDF 2801及びNMPを含有する溶液(15重量%PVDF)4.72gを、例43からの31重量%TBAOH中和スルホプロピル化ポリ(ビニルアルコール)5.5gと一緒にし、室温において4時間撹拌した。この溶液に、0.290gのDesmodur N 3300A架橋剤を添加した。この溶液を膜流延前に室温において2時間撹拌した。
【0174】
ポリマーブレンド溶液の乾燥
【0175】
例52:
【0176】
例44〜51に記載したポリマーブレンド溶液の膜への流延を、Mathis LTE Labdryerを用いて行った。おおよそ15インチ×12インチの寸法であるアルミホイルを流延用の基材として用いた。約15gのポリマー溶液を前記ホイル上に塗りつけ、ドクターブレードを用いて約300μmの厚さの濡れたフィルムにした。得られた薄いフィルムを次いで1800〜2300rpmの空気流で177℃に7分間加熱した。乾燥膜を次いでオーブンから取り出し、室温まで冷ました。すべてのポリマーブレンド溶液組成物は、25〜50μmの範囲の乾燥フィルム厚さを有する膜を生成した。
【0177】
高分子電解質/マトリックス(コ)ポリマーブレンドフィルムの洗浄及び酸性化
【0178】
例53:
【0179】
例52においてアルミホイル上に流延した膜を基材から引き離すために、これらの膜を18MΩ脱イオン水中に浸漬した。次いで支え(基材)のない膜を1M塩酸水溶液の浴中に60〜65℃において120分間浸漬した。次いでそれらを脱イオン水で洗浄し、1M硫酸水溶液中に60〜65℃において120分間浸漬した。次いでこれらの膜を硫酸浴から取り出し、残留酸を除去するために18MΩ脱イオン水で洗浄した。次いで酸の形の膜を空気乾燥させ、その後の使用のために室温において貯蔵した。
【0180】
膜−電極組立体の製造
【0181】
上で論じた方法によって製造された多くのタイプの高分子電解質/マトリックス(コ)ポリマーブレンドフィルムからの膜−電極組立体(MEA)の製造のための一般的手順
【0182】
例54:
【0183】
商品として入手できる電極及びガスケットを、試験用セルに適合するための適当な寸法及び形状に切り取る。電極及びガスケットの隙間及び/又は重なりは存在しないべきである。ステンレス鋼ホットプレスプレート/インサート(挿入物)上に1つの電極及び1つのガスケットのそれぞれが置かれる。次いで電極の表面を脱イオン水で濡らす。次いでこの電極表面上に濡れた膜のピースを置き、平らにする。次いで上の膜表面に脱イオン水の層を塗布し、この層の上に第2の電極を置く。電極を整列させ、過剰分の水をそっと絞り出す。MEAの上に第2のガスケットを置き、次にインサート及びトッププレスプレートを置く。次いで組立体の全体を、予備加熱されたプレス中に所定の時間及び温度で入れる。次いでこれを取り出し、低圧下で室温まで冷ます(1〜2ポンド)。ステンレス鋼プレスプレートからMEAを慎重に取り外し(膜はインサートに僅かに粘着してもよい)、過剰分の膜/ガスケット材料を切り落とす。完成したMEAを試験用セルに入れ、適切な所定の力でボルトを締める。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】例54に記載したような典型的な膜電極組立体の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性基を持たないポリマーブレンドであって、
(a)次の一般式:
【化1】

又は
【化2】

(ここで、
Wは結合、O、NH、S、SO又はSO2であり、
YはC1〜C12のアルキル、芳香族又はアルキレン−エーテル結合であり、
Zは結合又はC1〜C12のアルキル、芳香族若しくはアルキレン−エーテル結合であり、
nは50%超であり、
mは50%未満であり、
Lは非ペルフッ素化アルキル又はアルキレン−エーテル結合であり、
L’は結合又はアルキル若しくはアルキレン−エーテル結合であり、
Aはスルホネート、ホスホネート又はカルボキシレートであり、
Bは架橋し得る基である)
を有する高分子電解質コポリマー
及び
(b)マトリックスポリマー
を含み、
(a)と(b)とが異なるものであり、且つ
(a)が500nm未満のドメイン寸法を有する
ものである、前記ポリマーブレンド。
【請求項2】
nが70%超であり且つmが30%未満である、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記マトリックスポリマーがフルオロポリマーを含む、請求項1又は2に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記ドメインサイズが1nm〜100nmである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記の架橋し得る基(B)がヒドロキシル基である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記の基(A)がスルホネート基である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記高分子電解質コポリマー(a)がテトラアルキルアンモニウム塩である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
1つ以上の層を含む物品であって、少なくとも1つの層が請求項1に記載の高分子電解質を含む、前記物品。
【請求項9】
燃料電池膜、イオン交換膜、コーティング、油回収膜、生体膜、MEA又はバッテリーを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
請求項1に記載の高分子電解質の溶液を形成させるための方法であって、
(a)初期塩の形の前記高分子電解質を、好適なイオン交換カラム及び樹脂を用いてイオン交換してプロトンの形に(プロトン化)し;
(b)前記高分子電解質(a)を水酸化テトラアルキルアンモニウムで中和し;
(c)高分子電解質が残る溶剤を変更し;
(d)前記の中和されたポリマーをマトリックスポリマーの溶液とブレンドし;
(e)前記のブレンドされた溶液からフィルム又は膜を形成させる:
ことを含む、前記方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−545834(P2008−545834A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513525(P2008−513525)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/018636
【国際公開番号】WO2006/127309
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】