説明

イオン液体で被覆される多孔質不均一系担持金属触媒、生成プロセス、及び触媒使用方法

発明は、多孔質不均一系触媒に関する。ポリ不飽和化合物の各不飽和結合の比較的高い水素化選択性で触媒作用を及ぼす触媒を生成するために、触媒の内面がイオン液体で被覆されること、が提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質不均一系触媒、生成プロセス、及び触媒使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的水素化反応は、例えば有用な中間生産物を合成して生成するための石油処理によって得られるカーボンカットのプロセス(例えば、シクロオレフィンを生成するための芳香族化合物の選択的水素化、エチレンを生成するためのアセチレンの水素化、1-ブテン及び/又は2-ブテンを生成するためのブタジエンの水素化、及びスチレンを生成するためのフェニルアセチレンの水素化)において、非常に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
選択的水素化反応において使用される触媒は、しばしば、例えば担持ニッケル触媒、担持パラジウム触媒、又は担持白金触媒といった、担持金属触媒である。これらの触媒は、所望の水素化反応を促進し、同じことに関して所定の選択性をまた有するが、望まれていない副産物の比率は、特に高い変換速度において、一般に、まだ比較的高い。
【0004】
本発明の目的は、それゆえ、ポリ不飽和化合物の各不飽和結合における比較的高い水素化選択性で触媒作用を及ぼす触媒を提供することである。
【0005】
この目的は、触媒の内面がイオン液体(IL)で被覆されるという、前記によるタイプの触媒を基幹として達成される。
【0006】
ポリ不飽和化合物の各不飽和結合の水素化においては、発明による触媒は、比較的高い変換速度にて、比較的高い選択性を有する。
【0007】
発明による触媒は、プロセス工学の点において容易に生成され得ると共に、すぐに入手できる物質をこのように安価で使用することができる。
【0008】
発明による触媒は、気体又は液体の状態で反応を触媒するために使用され得るという有利な点もまた有する。しかしながら、発明による触媒の高い選択性をできる限り長く確保するために、触媒は、好ましくは、イオン液体被覆の剥離をもたらさない反応条件だけを基本的に受ける。
【課題を解決するための手段】
【0009】
既に上述したように、発明による触媒は、内面がイオン液体で被覆される多孔質不均一系触媒である。多孔質不均一系触媒は、それ自身、前もって形成された触媒である、即ち、発明による触媒は、十分に作られた多孔質触媒を使用することと、それをイオン液体で被覆することとによって、生成される。
【0010】
本発明は、イオン液体で被覆される特別な不均一系触媒に制限されない。むしろ、全ての不均一系触媒は、イオン液体に被覆され得る、即ち、選択的水素化以外の選択的反応に使用されるそれらを含む。適した触媒は、例えば、ニッケル、コバルト、銅、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金からなる群から選択された金属を含む。前に挙げられた金属の触媒は、任意に、骨格触媒の構成にもなり得る。不均一系触媒は、ドープされ得るし、又はドープされ得ない。適したドーピング金属は、例えば、IUPAC命名法(Handbook of Chemistry and Physics ,第80版,1999−2000年)による要素の周期表におけるグループ3〜12の要素から選択され得る。
【0011】
もし、発明による触媒が担持金属触媒を含むならば、触媒活性金属は、発明による触媒の総重量に対して、好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%、特に2〜10重量%の量を有する。
【0012】
WasserscheidとKeimとによって、「Angewandte Chemie」2000,112の3926〜3945頁で定義されているように、イオン液体は、比較的低い温度で溶ける塩である。イオン液体は、それゆえ比較的低い温度ですでに液体である。加えて、それらは、一般に、可燃性ではなく、そして、測定可能な蒸気圧を有しない。
【0013】
本発明のフレームワーク内では、イオン液体は、200℃以下、好ましくは150℃以下、特に好ましくは100℃以下の融解点又は融解範囲を有する塩を意味する。
【0014】
さらに、好まれるイオン液体は、好ましくは少なくとも1,000g/mol、特に好ましくは少なくとも500g/molのモル質量を有するそれらである。
【0015】
さらに、好まれるイオン液体は、実際には有機であるそれらの陽イオン(カチオン)と、実際には有機又は無機であるそれらの陰イオン(アニオン)である。
【0016】
イオン液体は、陽(ポジティブ)イオン及び陰(ネガティブ)イオンから構成されるが、電荷として全体で中性である。その陽(ポジティブ)イオンと、そしてまた、その陰(ネガティブ)イオンとは、主に1価であるが、5以下、好ましくは4以下、特に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下の電荷を有する多価の陽イオン(アニオン)及び/又は陰イオン(カチオン)でも可能である。各イオンの中の電荷は、局部的であるか又は非局部的であるかのどちらかである。
【0017】
本発明は、内面が特定のイオン液体で被覆された触媒に制限されず、全ての適したイオン液体が使用され得るし、異なったイオン液体の混合体もまた含まれる。
【0018】
発明による触媒が対象とする目的により、触媒は、固体触媒又は担持不均一系触媒であるならば、好まれ得る。
【0019】
発明の好まれる実施形態によれば、発明による触媒は、粉末又は成形体として構成される。
【0020】
発明による触媒は、懸濁プロセスにおいて、高い生産性及び選択性を有する粉末として、使用され得る。粉末のような標準的な粒のサイズは、10〜250マイクロメートルであるが、1マイクロメートルよりさらに小さい粒もまた、例えば触媒担体としてカーボンブラックを使用しているときに、使用され得る。
【0021】
成形体は、例えば、固定ベッドで操作されるプロセスにおいて、好んで使用される。好まれる成形体は、球、コーン、ストランド、中空ストランド、星型ストランド、固体シリンダ、中空シリンダ、タブレット、三つ葉、砂粒、等であって、0.5〜5mmの特徴のある直径、又は、モノリスや同じようなに構成されたパック(Ullmann's Encyclopedia 第6版 2000年電子リリース Chapter Fixed-Bed Reactors,Par.2:Catalyst Forms for Fixed−Bed Reactors 参照)を有する。
【0022】
イオン液体で被覆している多孔質不均一系触媒によって、触媒の活性が非常に顕著に減少し得るので、2cm以上の直径を有する成形体でさえも、受け入れなければならない生成物選択性に関して、重大なロスをすること無く使用され得ること、が発見された。好まれる成形体は、それゆえ、1mm〜2cm、好ましくは2mm〜1.8cm、好ましくは4mm〜1.5cm、そしてより好ましくは6mm〜1.2cmの直径又は外寸を有する。
【0023】
多孔質不均一系触媒は、その上、金属触媒、好ましくは固体金属触媒又は担持金属触媒であること、が好まれ得る。担持金属触媒は、好ましくは担持遷移金属触媒、特に担持貴金属触媒である。
【0024】
触媒のBET比表面積は、イオン液体被覆がなければ、10〜300m2 /g、好ましくは15〜80m2 /g、特に好ましくは20〜50m2 /gであること、が好まれ得る。BET比表面積は、ドイツ工業規格66132による窒素吸着によって、一点方法で測定される。
【0025】
触媒のBET比表面積は、イオン液体被覆があれば、8〜240m2 /g、好ましくは12〜64m2 /g、特に好ましくは16〜40m2 /gであること、がさらに好まれ得る。
【0026】
加えて、触媒の全孔容積(ドイツ工業規格66133(水銀ポロシメータ)により測定された孔容積)は、イオン液体被覆がなければ、100mm3 /gより大きく、好ましくは180mm3 /gより大きいこと、が好まれ得る。
【0027】
触媒の全孔容積は、イオン液体被覆があれば、80mm3 /gより大きく、好ましくは144mm3 /gより大きいこと、もまた好まれ得る。
【0028】
発明による触媒の好まれる実施形態によれば、触媒の孔容積の最大10%、好ましくは最大8%、好ましくは最大6%、そして特に好ましくは最大5%は、イオン液体被覆がなければ、10nmより小さい半径を有する孔で構成される。
【0029】
本発明による触媒のさらに好まれる実施形態によれば、触媒の孔容積の最大10%、好ましくは最大8%、好ましくは最大6%、そして特に好ましくは最大5%は、イオン液体被覆がなければ、500nmより大きい半径を有する孔で構成される。
【0030】
発明による触媒のさらに好まれる実施形態においては、触媒の平均孔直径は、イオン液体被覆がなければ、10〜100nmであること、を提供される。
【0031】
加えて、発明による触媒の好まれる変更によれば、触媒の平均孔直径は、イオン液体被覆があれば、5〜100nmとなり得る。
【0032】
原則として、本発明のフレームワーク内では、発明による触媒は、どんなイオン液体及び陽イオン(カチオン)で被覆され得ると共に、それに応じてどんなタイプにでもなり得る。陽イオン(カチオン)として好まれるのは、一般に、例えばアンモニウムイオン、又はホスホニウムイオン、又は、五又は六員複素環を少なくとも一つ含む陽イオン(カチオン)であって、その複素環は、少なくとも一つのリン原子又は窒素原子と、任意に一つの酸素原子又は硫黄原子とを備える。特に好まれるのは、五又は六員複素環を少なくとも一つ含む陽イオン(カチオン)であって、その複素環は、一つ、二つ又は三つの窒素原子と、一つの硫黄原子又は一つの酸素原子とを備える。さらに特に好まれるのは、一つ又は二つの窒素原子を有する五又は六員複素環を少なくとも一つ含む陽イオン(カチオン)である。
【0033】
イオン液体の陽イオン(カチオン)は、以下の一般式IL−1〜IL−23の化合物から選択されること、が好まれ得る。
【化1】


ラジカルR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ他と独立して、水素、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子、及び/又はC1-C18アルキル置換複素環、C12-C18アルキル、C6-C12アリール、(一つ又は複数の隣接しない酸素原子、及び/又は硫黄原子、及び/又は一つ又は複数の置換された又は置換されていない)イミノ基に割り込まれたC5-C12シクロアルキル、(酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する)5〜6員複素環からなる群から選択されたラジカルとなり得るものであり、
前記のラジカルの二つは、不飽和である又は飽和された環部分であって(一つ又は複数の酸素原子、及び/又は、硫黄原子、及び/又は、一つ又は複数の置換された又は置換されていない)イミノ基に任意的に割り込まれ得る環部分の生成で、ともに結合され得るものであり、環部分は、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子及び/又は複素環ラジカルによって、置換され得るものであり、
そして加えて、R4は、C1-C18アルキロイル、C1-C18アルキルオキシカルボニル、C5-C12シクロアルキルカルボニル及びC6-C12アリーロイルからなるラジカルの群から選択され、前記群のメンバーは、一つ又は複数の官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子及び/又は複素環ラジカルによって、それぞれ置換され、C1-C18、C5-C12、又はC6-C12は、アルキル鎖を参照する。
【0034】
それらの前記官能基は、以下の官能基の群を意味する。アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はC1-C18アルキルで置換された複素環、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、アルファ-アルファ-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチル-フェニル)-エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)-エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、2-エトキシエチル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシエチル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル、一つ又は複数の隣接しない酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は一つ又は複数の置換された又は置換されていないイミノ基に割り込まれたC2-C18アルキル、例えば、5-ヒドロキシ-3-オキサ-ペンチル、8-ヒドロキシ-3、6-ジオキサン-オクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタジシル、9-ヒドロキシ-5-オキサノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサテトラジシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、H-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトタラデシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサ-ノニル及び14-エトキシ-5,10-オキサテトラジシル。
【0035】
二つのラジカルは、お互いで環を構成するなら、これらのラジカルは共に、好ましくは、1-3-プロピレン、1,4-ブチレン、2-オキサ-1,3-プロピレン、1-オキサ-1,3-プロピレン、2-オキサ-1,3-プロピレン、1-オキサ-1,3-プロピレン、1-アザ-1,3-プロピレン、1-C1-C4アルキル-1-アザ-1,3-プロピレン、1-4-ブタ-1,3-ジエニレン、1-アザ-1,4-ブタ-1,3-ジエニレン又は2-アザ1,4-ブタ-1,3-ジエニレンを表し得る。
【0036】
イオン液体の好まれる陽イオン(カチオン)において、酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、制限されない。一般に、ラジカルごとに、5より多くなく、好ましくは4より多くなく、特に3より多くない。さらに、少なくとも一つ、特に好ましくは、少なくとも二つの炭素原子が、二つのヘテロ原子間に有する。
【0037】
好まれるイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソ-プロピルイミノ、n-ブチルイミノ又はt-ブチルイミノであり得る。
【0038】
さらに、前記官能基は、以下の官能基の群を表す。カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、C1-C4-アルキルオキシカルボニル、シアノ、C1-C4アルキルオキシ、官能基によって置換されたC6-C12アリール、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環、例えば、フェニル、トリル、キシリル、アルファ−ナフチル、ベータ−ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフロオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロポリフェニル、t-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジエトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシエチルフェニル、官能基によって置換されたC5-C12シクロアルキル、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロへキシル、ジクロロシクロヘキシル又はジクロロシクロペンチル、置換された又は置換されてない二環系(例えば、ノルボルニル又はノルボルネニル)、(酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有している)五又は六員複素環、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンジチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルチノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はt-ブチルチオフェニル、及びC1-C4アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル又はt-ブチル。
【0039】
1-C4アルキロイル(アルキルカルボニル)は、例えば、アセチル、プロピオニル、n-ブチロイル、s-ブチロイル、t-ブチロイル、2-エチルヘキシルカルボニル、デカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチルであり得る。
【0040】
1-C18アルキルオキシカルボニルは、例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、s-ブチルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルであり得る。
【0041】
5-C12シクロアルキルカルボニルは、例えば、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル又はシクロドデシルカルボニルであり得る。
【0042】
5-C12アリーロイル(アリールカルボニル)は、例えば、ベンゾイル、トルイル、キシロイル、アルファ−ナフトイル、ベータ−ナフトイル、クロロベンゾイル、ジクロロベンゾイル、トリクロロベンゾイル又はトリメチルベンゾイルであり得る。
【0043】
好まれるのは、水素、メチル、エチル、n-ブチル、2-ヒドロキシエチル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)-エチル、2-エトキシカルボニル-エチル、2-n-ブトキシカルボニル-エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ又は塩素から、それぞれお互いに独立するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10である。
【0044】
4は、好ましくは、メチル、エチル、n-ブチル、2-ヒドロキシエチル、2-シアノエチル、2-メトキシカルボニル-エチル、2-エトキシカルボニル-エチル、2-n-ブトキシカルボニル-エチル、アセチル、プロピオニル、t-ブチリル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はn-ブトキシカルボニルである。
【0045】
特に好まれるアンモニウムイオン(IL−1)は、お互いから独立するそれらであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択され、そして、R1,R2及びR3がメチル、エチル、n-ブチル、2-ヒドロキシエチル、ベンジル又はフェニルから選択される。
【0046】
特に好まれるホスホニウムイオン(IL−1)は、お互いから独立するそれらであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択され、そして、R1,R2及びR3がフェニル、フェノキシ、エトキシ及びn-ブトキシから選択される。
【0047】
特に好まれるピローリジウムイオン(IL−3)は、お互いから独立するそれらであり、R3及びR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択され、そして、全ての他のラジカルが水素を表す。
【0048】
特に好まれる1-ピラゾーリニウムイオン(IL−4)は、お互いから独立するそれらであり、R4までの全てのラジカルが水素又はメチルから選択され、そしてR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択される。
【0049】
特に好まれる2-ピラゾーリニウムイオン(IL−5)は、お互いから独立するそれらであり、R5が水素、メチル、エチル又はフェニルから、そして、R4がアクチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そしてその他のラジカルが水素又はメチルから選択される。
【0050】
特に好まれる3-ピラゾーリニウムイオン(IL−6)は、お互いから独立するそれらであり、R3及びR5がハロゲン、メチル、エチル又はフェニルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そして残りのラジカルが水素又はメチルから選択される。
【0051】
特に好まれる1H-ピラゾーリニウムイオン(IL−7)は、お互いから独立するそれらであり、R5がハロゲン、メチル又はエチルから、R1、R2及びR3が水素又はメチルから、そしてR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択される。
【0052】
特に好まれる3H-ピラゾーリニウムイオン(IL−8)は、お互いから独立するそれらであり、R2が水素、メチル又はエチルから、R1、R3及びR5が水素又はメチルから、そしてR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択される。
【0053】
特に好まれる4H-ピラゾーリニウムイオン(IL−9)は、お互いから独立するそれらであり、R1、R2、R3及びR5が水素又はメチルから、そしてR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから選択される。
【0054】
特に好まれるイミダゾーリニウムイオン(IL−10)は、お互いから独立するそれらであり、R5又はR6が水素、メチル又はエチルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そして他のラジカルが水素又はメチルから選択される。
【0055】
特に好まれるイミダゾーリニウムイオン(IL−11)は、お互いから独立するそれらであり、R5、R6又はR7が水素、メチル又はエチルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そして他のラジカルが水素又はメチルから選択される。
【0056】
特に好まれるイミダゾーリニウムイオン(IL−12)は、お互いから独立するそれらであり、R3又はR7が水素、メチル、エチル、n-ブチル又はフェニルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、R5又はR6が水素、メチル又はエチルから、そしてR1又はR2が水素又はメチルから選択される。
【0057】
特に好まれるイミダゾーリニウムイオン(IL−13)は、お互いから独立するそれらであり、R1がメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-ヒドロキシエチル及び2-シアノエチルからなる群から、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そしてその他のラジカルがお互いから独立して水素、メチル又はエチルから選択される。
【0058】
特に好まれる1,2,4-トリアゾニウムイオン(IL−14)及び(IL−15)は、お互いから独立するそれらであり、R1又はR2並びにR1又はR3がそれぞれ水素、メチル、エチル、又はフェニルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そしてR3又はR2が水素、メチル又はフェニルから選択される。特に好まれる1,2,3-トリアゾニウムイオン(IL−16)及び(IL−17)は、お互いから独立するそれらであり、R3及びR1がそれぞれ水素、メチル又はエチルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そしてR1又はR2並びにR2又R3がそれぞれ水素又はメチルから選択され、もしくは、R1及びR2並びにR2及びR3がそれぞれ1,4-ブタ-1,3-ジエニレンであり、そして全ての他のラジカルが水素である。
【0059】
特に好まれるチアゾリウムイオン(IL−18)又はオキサゾリウムイオン(IL−19)は、お互いから独立するそれらであり、R1が水素、メチル、エチル、又はフェニルから、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルから、そしてR2又はR3が水素又はメチルから選択される。
【0060】
特に好まれるピリジニウムイオン(IL−20)は、それらのラジカルの内一つであり、R1、R2、R3、R5及びR6がメチル、エチル又は塩素であり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルであり、そして全ての他のラジカルが水素である、もしくは、R1がジメチルアミノであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はブチルであり、そして全ての他ラジカルが水素である、もしくは、R2がカルボキシ又はカルボキサミド、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチル、そして全ての他のラジカルが水素である、もしくは、R2及びR3もしくはR2及びR1が1,4-ブタ-1,3-ジエニレンであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルであり、そして全ての他のラジカルが水素である。
【0061】
特に好まれるピリジニウムイオン(IL−21)は、それらであり、R1、R4及びR5が水素又はメチルであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルであり、そしてR3が水素、メチル又はエチルである、もしくは、R2及びR5がメチルであり、R1が水素であり、R3が水素、メチル又はエチルであり、そしてR4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルである。
【0062】
特に好まれるピリジニウムイオン(IL−22)は、それらのラジカルの内一つであり、R1、R2、R3及びR5がメチル又はエチルであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルであり、そして全ての他のラジカルが水素である、もしくは、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチル、そして全ての他のラジカルが水素である。
【0063】
特に好まれるピリジニウムイオン(IL−23)は、それらであり、R1、R2、R3及びR5が全てメチルであり、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチルである、もしくは、R4がアセチル、メチル、エチル又はn-ブチル、そして全ての他のラジカルが水素である。
【0064】
上記陽イオン(カチオン)基のIL−1〜IL−23について、上記アミノニウムイオン、ホスホニウムイオン、ピリジニウムイオン及びイミダゾリウムイオンは、特に好まれる。
【0065】
陽イオン(カチオン)として、とても特に好まれるのは、1,2-ジメチルピリジニウム、1-メチル-2-エチルピリジニウム、1-メチル-2-エチル-6-メチルピリジニウム、n-メチルピリジニウム、1-ブチル-2-メチルピリジニウム、1-ブチル-2-エチルピリジニウム、1-ブチル-2-エチル-6-メチルピリジニウム、n-ブチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-n-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、3,4-ジメチルイミダゾリウム、2-エチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、3-メチル-2-エチルイミダゾリウム、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウム、3-ブチル-1-エチルイミダゾリウム、3-ブチル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウム、3-ブチル-1,4,5-トリメチルイミダゾリウム、3-ブチル-1,4-ジメチルイミダゾリウム、3-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1,3-ジブチル-2-メチルイミダゾリウム、3-ブチル-4-メチルイミダゾリウム、3-ブチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウム及び3-ブチル-2-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムである。
【0066】
特に好まれるのは、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-n-ブチル-3-メチルイミダゾリウム及び1-n-ブチル-3-エチルイミダゾリウムである。
【0067】
ジアザビシクロノネン又はジアザビシクロウンデセンに由来する陽イオン(カチオン)もまた可能である。
【0068】
上記実施形態と同じように、イオン液体の陰イオン(アニオン)は、どんなタイプからもなり得る。しかしながら、イオン液体の陰イオン(アニオン)が、F-、Cl-、Br-、I-、PF6-、BF4-、アルキル硫酸塩、好ましくは、C1〜C18のアルキル硫酸塩、エーテル硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフラート、亜硫酸塩、硫酸水素塩、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素、塩化アルミニウム、好ましくは、AlCl4-、Al2Cl7-又はAl3Cl10-、三臭化アルミニウム、亜硝酸塩、硝酸塩、金属錯体、例えば、塩化銅CuCl2-のような金属ハロゲン、リン酸塩、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、炭酸塩、炭酸水素塩、スルホン酸塩、トシレート(トシル基)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、シアン化物及びイソシアネート(イソシアン酸塩)、からなる群から選択されるならば、好まれる。
【0069】
エーテル硫酸塩は、一般式の目下の化合物を意味し、
【化2】

nが1〜8の整数であり、そしてRがC1〜C18のアルキルラジカルである。
【0070】
イオン液体被覆の平均厚さが少なくともイオン液体の各イオン層の厚さと等しければ、発明による触媒の有利な効果が特に明らかになること、が分かった。
【0071】
発明による触媒の好まれる実施形態によれば、イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の各イオン層の厚さと等しい又はイオン液体の各イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.1イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.2イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは1.3イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは1.4イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは1.5イオン層の厚さより大きい。イオン層は、本発明のフレームワーク内では、イオン液体の陽イオン(アニオン)/陰イオン(カチオン)ペアの単層被覆を意味する。
【0072】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1.6イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.7イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは1.8イオン層の厚さよりも大きく、さらに好ましくは1.9イオン層の厚さよりも大きく、特に好ましくは少なくとも2.0イオン層の厚さよりも大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも2.1イオン層の厚さよりも大きいこと、がさらに好まれる。
【0073】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.2イオン層の厚さより大きく、好ましくは2.3イオン層の厚さより大きく、好ましくは2.4イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは2.5イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは少なくとも2.6イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも2.7イオン層の厚さよりも大きいこと、がさらに好まれ得る。
【0074】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.8イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは2.9イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは3.0イオン層の厚さよりも大きく、さらに好ましくは3.1イオン層の厚さよりも大きく、特に好ましくは少なくとも3.2イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも3.3イオン層の厚さより大きいこと、もまた好まれ得る。
【0075】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の3.4イオン層の厚さより大きく、好ましくは3.5イオン層の厚さより大きく、好ましくは3.6イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは3.7イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは少なくとも3.8イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも3.9イオン層の厚さより大きいこと、もまた好まれ得る。
【0076】
原則として、イオン液体被覆は、非常に大きい厚さを有し得る。しかしながら、層厚さが所定の層厚さを越えてさらにどんなに増加されても、これは、その結果、選択性が変わらないままであるが、触媒の活性においては、減少へと単純につながる。発明による触媒の他の実施形態において、イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の40イオン層の厚さより小さく、好ましくは38イオン層の厚さより小さく、好ましくは36イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは34イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは32イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは30イオン層の厚さより小さいこと、が好まれる。
【0077】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の28イオン層の厚さより小さく、好ましくは26イオン層の厚さより小さく、好ましくは24イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは22イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは20イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは19イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれ得る。
【0078】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の18イオン層の厚さより小さく、好ましくは17イオン層の厚さより小さく、好ましくは16イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは15イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは14イオンの厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは13イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれ得る。
【0079】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の12イオン層の厚さより小さく、好ましくは11イオン層の厚さより小さく、好ましくは10イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは9.5イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは9イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは、8.8イオン層の厚さより小さいこと、がさらに好まれ得る。
【0080】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の8.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは8.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは8.2イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは8イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは7.8イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは7.6イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれ得る。
【0081】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の7.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは7.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは7.0イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは6.8イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは6.6イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは6.4イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれて提供され得る。
【0082】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の6.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは6イオン層の厚さより小さく、好ましくは5.8イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは5.6イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは5.4イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは5.2イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれ得る。
【0083】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の5イオン層の厚さより小さく、好ましくは4.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは4.6イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは4.4イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは4.2イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは4イオン層の厚さより小さいこと、もまた好まれ得る。
【0084】
本発明によるプロセスのさらに好まれる実施形態によれば、イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の10イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.1イオン層の厚さより大きく且つ9.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.2イオン層の厚さより大きく且つ9.6イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは1.3イオン層の厚さより大きく且つ9.4イオン層の厚さより小さく、より好ましくは1.4イオン層の厚さより大きく且つ9.2イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは1.5イオン層の厚さより大きく且つ9イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは1.6イオン層の厚さより小さく且つ8.8イオン層の厚さより小さい。
【0085】
本発明による触媒の他の好まれる実施形態によれば、イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1.7イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の8.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.8イオン層の厚さより大きく且つ8.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.9イオン層の厚さより大きく且つ8.2イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2イオン層の厚さより大きく且つ8イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.1イオン層の厚さより大きく且つ7.8イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは2.2イオン層の厚さより大きく且つ7.6イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは2.3イオン層の厚さより大きく且つ7.4イオン層の厚さより小さいこと、が提供される。
【0086】
発明による触媒の他の好まれる実施形態において、イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.4イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の7.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは2.5イオン層の厚さより大きく且つ7イオン層の厚さより小さく、好ましくは2.6イオン層の厚さより大きく且つ6.8イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.7イオン層の厚さより大きく且つ6.6イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.8イオン層の厚さより大きく且つ6.4イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは2.9イオン層の厚さより大きく且つ6.2イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは3イオン層の厚さより大きく且つ6イオン層の厚さより小さいこと、が提供される。
【0087】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の3.1イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の5.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは3.2イオン層の厚さより大きく且つ5.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは3.3イオン層の厚さより大きく且つ5.4イオン層の厚さより小さく、より好ましくは3.4イオン層の厚さより大きく且つ5.2イオン層の厚さより小さく、より好ましくは3.5イオン層の厚さより大きく且つ5イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは3.6イオン層の厚さより大きく且つ4.8イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは3.7イオン層の厚さより大きく且つ4.6イオン層の厚さより小さいこと、も好まれて提供される。
【0088】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1イオン層の厚さと同じもしくは1イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の10イオン層の厚さより小さく、好ましくは2イオン層の厚さより大きく且つ9イオン層の厚さより小さく、好ましくは3イオン層の厚さより大きく且つ8イオン層の厚さより小さく、より好ましくは4イオン層の厚さより大きく且つ7イオン層の厚さより小さく、より好ましくは5イオン層の厚さより小さく6イオン層の厚さより小さいこと、が特に好まれる。
【0089】
発明による触媒の他の好まれる実施形態によれば、イオン液体被覆は、0.15〜10nmの平均厚さ、好ましくは0.16〜9.5nmの平均厚さ、好ましくは0.17〜9nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.18〜8.5nmの平均厚さ、特に好ましくは0.19〜8nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.2〜7.5nmの平均厚さを有すること、が提供される。
【0090】
イオン液体被覆は、0.21〜7nmの平均厚さ、好ましくは0.22〜6.5nmの平均厚さ、好ましくは0.23〜6nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.24〜5.5nmの平均厚さ、特に好ましくは0.25〜5nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.26〜4.5nmの平均厚さを有すること、が好まれ得る。
【0091】
イオン液体被覆は、0.27〜4nmの平均厚さ、好ましくは0.28〜3.5nmの平均厚さ、好ましくは0.29〜3nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.3〜2.5nmの平均厚さ、特に好ましくは0.3〜2nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.3〜1.5nmの平均厚さを有すること、もまた好まれ得る。
【0092】
イオン液体被覆は、0.3〜1.3nmの平均厚さ、好ましくは0.3〜1.2nmの平均厚さ、好ましくは0.3〜1.1nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.3〜1nmの平均厚さ、特に好ましくは、0.3〜0.8nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.3〜0.6nmの平均厚さを有すること、もまた好まれ得る。
【0093】
発明による触媒の他の好まれる実施形態によれば、イオン液体被覆は、0.17〜1.7nmの平均厚さ、好ましくは0.34〜1.53nmの平均厚さ、好ましくは0.51〜1.36nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.68〜1.19nmの平均厚さ、そして特に好ましくは0.85〜1.02nmの平均厚さを有すること、が提供される。
【0094】
本発明による触媒のさらに好まれる実施形態によれば、均一系触媒は、イオン液体被覆に含まれること、が提供される。
【0095】
発明による触媒のさらに好まれる実施形態によれば、多孔質触媒は、担持触媒であって、触媒担体は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ゼオライト、及び、例えばカーボン・ナノチューブ又はカーボン・ナノフィブルのようなナノマテリアルからなる群から選択された材料を使用して生成される、ことが提供される。
【0096】
上記酸化された担体材料は、好ましくは、例えば、混合酸化物、又は、例えばTiO2、SiO2、Al23、ZrO2、MgO、SiC2又はZnOといった所定の組成の生成に使用され得る。さらに、好ましい、カーボンブラック、アセチレン・ブラック、石炭、グラファイト、ハイドロタルサイト又は当業者にそれ自体が知られるさらなる担体材料は、異なった可能性のある変更において、使用され得る。担体材料は、好ましくは、例えばアルカリ性又はアルカリ土類金属で、又はリン、ハロゲン化物及び/又は硫酸塩で、ドープされ得る。一般に、酸/塩基性質は、触媒の性質上好ましい効果を奏し得るそのようなドーピングによって、変更される。上記水素化活性金属は、適当なプロセスによって、例えば、含浸、イオン交換、共沈(例えば、担体と結合沈殿、前記担体の上に沈殿、イオン交換又は化学蒸着(CVD))によって、担体上に溶着され得る。
【0097】
発明は、また、内面がイオン液体で被覆される多孔質不均一系触媒の生成のためのプロセスにも関し、以下のステップを含む。
a)所定の溶媒の中にイオン液体を溶解するステップ。
b)多孔質不均一系触媒を、ステップa)によるイオン液体を含んでいる溶媒と接触させるステップ。
c)溶媒を取り除くステップ。
【0098】
多孔質な不均一系触媒が発明による触媒であること、が好まれる。
【0099】
発明は、また、ステップa)〜c)を有する上記プロセスによって得ることができる触媒にも関する。
【0100】
発明は、また、内面がイオン液体で被覆される多孔質不均一系触媒の生成するためのプロセスにも関し、以下のステップを含む。
a)所定の溶媒の中にイオン液体を溶解するステップ。
b)吸引によってもたらされる流れと大気圧以下の圧力とが支配するチャンバーの中に、触媒を導入するステップ。
c)イオン液体を含んでいる溶媒をチャンバーの中に導入するステップ。
d)ガスとイオン液体を含んでいる溶媒との混合体を生成するステップ。
e)ステップd)からの混合体を触媒に連続的に通すステップ。
f)溶媒を取り除くステップ。
【0101】
使用されるガスは、例えば希ガス又は窒素のような、保護ガスである。ガスは、空気の成分によって、イオン液体の分解を防止するために使用される。
【0102】
チャンバーの吸引によってもたらされる大気圧以下の圧力は、800mbar(80kPa)以下であること、が好まれる。
【0103】
プロセスは、300mbar(30kPa)〜500mbar(50kPa)の圧力にて実施されること、もまた好まれる。
【0104】
ガスと、イオン液体を含んでいる溶媒との混合体を生成する間に、1マイクロメートル〜900マイクロメートルの平均直径を有するドロップが生成されること、もまた好まれる。
【0105】
発明は、また、ステップa)〜f)を有する上記プロセスによって得ることができる触媒にも関する。
【0106】
発明は、また、発明による触媒の使用にも関し、ポリ不飽和化合物の不飽和基の選択的水素化のために、特に、シクロオレフィンを生成するための芳香族化合物の水素化、エチレンを生成するためのアセチレンの水素化、モノレフィン中のジオレフィンの水素化、特に、1-ブテン及び/又は2-ブテンを生成するためのブタジエンの水素化、スチレンを形成するためのフェニルアセチレンの水素化、プロピレンを形成するためのメチルアセチレン及びプロパジエンの水素化、芳香族化合物をロスすること無しで芳香族化合物のフローの中におけるオレフィン及びジオレフィンの水素化、又はシクロドデセンを生成するためのシクロドデカトリエンの水素化のために、使用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0107】
以下の実施例は、図面の説明と併せて、発明を説明する役割を果たす。
【0108】
(実施例1)
6×6mmに計量している錠剤の形態にて市販されるSud−Chemie株式会社のG−33 RSの担持ニッケル触媒は、ボールミルを用いて、粉末となった。125〜250マイクロメートルの範囲の直径を有する粒子は、ニッケル金属を活性化するために、粉末の生成物から分離され、水素雰囲気を減少させられ、300℃の温度で加熱された。
【0109】
上記活性化された、被覆されてないニッケル触媒(イオン液体被覆のない触媒)は、次の計測や反応における比較例として、使用された。
【0110】
(実施例2)
発明による触媒を生成するために、上記実施例1において生成され、被覆されてない活性ニッケル触媒の0.8145gは、100mlのCH2Cl2と0.05gの1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムオクチル硫酸塩とからなるイオン液体としての溶媒の中に、保護窒素雰囲気下、及び蒸発されたCH2Cl2溶媒下、及びロータリ蒸発器による真空下で、懸濁された。
【0111】
(実施例3)
実施例1によるイオン液体被覆のない活性ニッケル触媒の孔系と、実施例2によるイオン液体被覆を有するニッケル触媒の孔系は、BET及びポロシメータ計測を用いて、特徴付けられた。
【0112】
図1は、被覆された及び被覆されてない触媒の孔容積と、孔径との間の関係を表す。被覆されてない及び被覆された触媒の曲線1a及び2aは、それぞれ被覆された触媒の孔が直径に関わらず大部分において十分に均一な厚さにてイオン液体で被覆されること、を表す。データは、イオン液体が被覆されてないニッケル触媒のオリジナル体積の約22vol%を覆うこと、を表す。
【0113】
図2は、被覆されてない及び被覆されたニッケル触媒の内表面積(比表面積)と、孔径との間の関係を表す。被覆されてない及び被覆されたニッケル触媒の曲線1b及び2bは、それぞれイオン液体被覆に起因して、被覆された触媒の内表面積(比表面積)が被覆されていない触媒と比較して約45%減少されること、を表す。約0.6nmのイオン液体被覆の平均厚さは、これから計算され得る。
【0114】
(実施例4)
被覆されてないニッケル触媒の活性量と被覆されているニッケル触媒の活性量とを確かめるために、二つの前記触媒は、シクロオクタジエンの水素化反応において、使用される。
【0115】
被覆されてないニッケル触媒を用いたシクロオクタジエンの水素化は、以下の反応条件内で起きた。
dcat = 125-250 μm
m0cyclooctadiene = 0.178 g
Vdodecane = 150 ml
T = 50°C
pH2 = 50 bar
n = 2000 l/min
mcat = 0.1134.
【0116】
イオン液体で被覆されているニッケル触媒を用いたシクロオクタジエンの水素化は、以下の反応条件下で起きた。
dcat = 125-250 μm
m0cyclooctadiene = 0.172 g
Vdodecane = 150 ml
T = 50°C
pH2 = 50 bar
n = 2000 l/min
mcat = 0.8145.
【0117】
図3において、改良された実験時間に関して、非荷電ニッケル触媒(曲線1c)と、イオン液体で被覆されたニッケル触媒(曲線1c)とに対し、シクロオクタジエンの水素化の変換速度を表している。
【0118】
曲線は、イオン液体で被覆されたニッケル触媒にとって、50%のシクロオクタジエンの変換のために必要な実験時間が約5,000kg s/m3であり、一方、被覆されてないニッケル触媒にとって、同じ変換速度のために、約15,000kg s/m3の実験時間が必要であること、を表す。したがって、イオン液体で被覆されたニッケル触媒にとっての反応速度が約3倍遅いこと、になる。
【0119】
反応の後に、イオン液体で満たされるニッケル触媒は、110℃の温度の真空下で乾き、それからBET及び水銀ポロシメータ計測を用いて特徴付けられる孔系となった。孔容積と孔径との間の関係、及び内表面積(比表面積)と孔径との関係は、それぞれ図1及び図2の曲線3a及び3bによって、表される。被覆されたニッケルの孔容積と内表面積(比表面積)とにおけるそれぞれの減少は、恐らく、孔が216℃の沸点を有するドデカン溶媒の残留物で覆われるという事実によるものである。
【0120】
(実施例5)
水素化反応に関して、被覆されてないニッケル触媒の選択性を測定するために、非荷電ニッケル触媒は、シクロオクタジエンの水素化反応の間に、使用された。シクロオクタジエンは、以下の反応条件下で水素化された。
mcat = 0.11 g
dcat = 125-250 μm
m0cyclooctadiene = 0.18 g
Vdodecane = 150 ml
T = 50°C
pH2 = 50 bar
n = 2000 l/min
c0cyclooctadiene = 10.9 mol/m3
c0H2 = 194 mol/m3.
【0121】
図4において、シクロオクタジエンの残留部分、シス−シクロオクテン及びシクロオクテンの生成の変化は、1d、1e及び1fと番号付けられたそれぞれの曲線によって、表される。1eは、水素化反応の間に、シス−シクロオクテンの比率が最大約20%に到達すること、を表し、それは、26%のシス−シクロオクテンに関する選択性に一致する。
【0122】
図5において、曲線1g及び1hは、問題になっている反応のシス−シクロオクテン及びシクロオクテンに関するそれぞれの選択性の変化を表す。曲線1gは、シクロオクタジエン変換が増加するにつれて、シス−シクロオクテンの選択性における比較的急な下降を表す。
【0123】
(実施例6)
水素化反応に関して、イオン液体で被覆されたニッケル触媒の選択性を確かめるために、被覆されたニッケル触媒は、シクロオクタジエンの水素化において、以下の反応条件下で使用された。
mcat = 0.81 g
dcat = 125-250 μm
m0cyclooctadiene = 0.17 g
Vdodecane = 150 ml
T = 50°C
pH2 = 50 bar
n = 2000 l/min.
【0124】
上記された水素化反応以降の、シクロオクタジエンの、シス−シクロオクテンの、シクロオクテンの変化は、2d、2e及び2fとそれぞれに番号付けられた曲線によって、表される。曲線2eは、65%のシス−シクロオクテンの最大比率を有し、それは、72%のシス−シクロオクテンに関する選択性と一致する。問題となっている反応の間に、シス−シクロオクテン及びシクロオクテンに関する選択性の変化は、図7において、2g及び2hとそれぞれ番号付けられた曲線を用いて、表される。被覆されてないニッケル触媒と比較すると、イオン液体で被覆された発明によるニッケル触媒は、シス−シクロオクテンの選択性においては、シクロオクタジエンの水素化が増加する間のシクロオクタジエン交換のように比較的緩やかな下降を表す。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】水素化反応に用いられた後の、イオン液体被覆されてない担持ニッケル触媒(曲線1a)、比較例として、イオン液体で被覆された発明によるニッケル触媒(曲線2a)、及び発明による触媒(曲線3a)の孔容積と孔径との間における、BET及び水銀ポロシメータを用いて確認された関係のグラフ表示を示す。
【図2】水素化反応に用いられた後の、イオン液体被覆されてない担持ニッケル触媒(曲線1b)、イオン液体で被覆された発明によるニッケル触媒(曲線2b)、及び発明による触媒(曲線3b)の内表面積(比表面積)と孔径との間における、BET及び水銀ポロシメータを用いて確認された関係のグラフ表示を示す。
【図3】水素とのシクロオクタジエンの反応において、イオン液体被覆のない触媒(曲線1c)及び発明による触媒(曲線2c)の、変換速度と改良された実験時間との間の関係を示す。
【図4】イオン液体被覆のない担持ニッケル触媒を用いて、シクロオクタジエンの水素化の間に、改良された実験時間に関して、シクロオクタジエンの残留部分(曲線1d)と、シス−シクロオクテン(曲線1e)及びシクロオクテン(曲線1f)の生成を示す。
【図5】イオン液体被覆のない担持ニッケル触媒を用いて、シクロオクタジエンの水素化の間に、シクロオクタジエン変換に関して、シス−シクロオクテン(曲線1g)及びシクロオクテン(曲線1h)に関する選択性を示す。
【図6】イオン液体に被覆された担持ニッケル触媒を用いて、シクロオクタジエンの水素化の間に、改良された実験時間に関して、シクロオクタジエンの残留部分(曲線2d)と、シス−シクロオクテン(曲線2e)及びシクロオクテン(曲線2f)の生成を示す。
【図7】イオン液体で被覆された担持ニッケル触媒を用いて、シクロオクタジエンの水素化の間に、シクロオクタジエン変換に関して、シス−シクロオクテン(曲線2g)及びシクロオクテン(曲線2h)に関する選択性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の内面がイオン液体で被覆されることを特徴とする多孔質不均一系触媒。
【請求項2】
固体触媒又は担持不均一系触媒であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項3】
粉末又は成形体として構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項4】
触媒のBET比表面積は、イオン液体被覆がなければ、10〜300m2 /g、好ましくは15〜80m2 /g、特に好ましくは20〜50m2 /gであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項5】
触媒のBET比表面積は、イオン液体被覆があれば、8〜240m2 /g、好ましくは12〜64m2 /g、特に好ましくは16〜40m2 /gであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項6】
触媒の全孔容積は、イオン液体被覆がなければ、100mm3 /gより大きく、好ましくは180mm3 /gより大きいことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項7】
触媒の全孔容積は、イオン液体被覆があれば、80mm3 /gより大きく、好ましくは144mm3 /gより大きいことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項8】
触媒の孔容積の最大10%、好ましくは最大8%、好ましくは最大6%、そして特に好ましくは最大5%は、イオン液体被覆がなければ、10nmより小さい半径を有する孔で構成されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項9】
触媒の孔容積の最大10%、好ましくは最大8%、好ましくは最大6%、そして特に好ましくは最大5%は、イオン液体被覆がなければ、500nmより大きい半径を有する孔で構成されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項10】
触媒の平均孔直径は、イオン液体被覆がなければ、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項11】
触媒の平均孔直径は、イオン液体被覆があれば、5〜100nmであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項12】
イオン液体の陽イオンは、以下の一般式IL−1〜IL−23の化合物から選択され、


ラジカルR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ他と独立して、水素、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子、及び/又はC1-C18アルキル置換複素環、C12-C18アルキル、C6-C12アリール、(一つ又は複数の隣接しない酸素原子、及び/又は硫黄原子、及び/又は一つ又は複数の置換された又は置換されていない)イミノ基に割り込まれたC5-C12シクロアルキル、(酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する)5〜6員複素環からなる群から選択されたラジカルであり、
前記のラジカルの二つは、不飽和である又は飽和された環部分であって(一つ又は複数の酸素原子、及び/又は、硫黄原子、及び/又は、一つ又は複数の置換された又は置換されていない)イミノ基に任意的に割り込まれる環部分の生成で、ともに結合され、
環部分は、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子及び/又は複素環ラジカルによって、置換され、
そして加えて、R4は、C1-C18アルキロイル、C1-C18アルキルオキシカルボニル、C5-C12シクロアルキルカルボニル及びC6-C12アリーロイルからなるラジカルの群から選択され、
前記群のメンバーは、一つ又は複数の官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘトロ原子及び/又は複素環ラジカルによって、それぞれ置換され、
1-C18、C5-C12、又はC6-C12は、アルキル鎖を参照することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項13】
イオン液体の陰イオンは、F-、Cl-、Br-、I-、PF6-、BF4-、アルキル硫酸塩、好ましくは、C1〜C18のアルキル硫酸塩、エーテル硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフラート、亜硫酸塩、硫酸水素塩、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素、塩化アルミニウム、好ましくは、AlCl4-、Al2Cl7-又はAl3Cl10-、三臭化アルミニウム、亜硝酸塩、硝酸塩、金属錯体、例えば、塩化銅CuCl2-のような金属ハロゲン、リン酸塩、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、炭酸塩、炭酸水素塩、スルホン酸塩、トシル基、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、シアン化物及びイソシアン酸塩、からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項14】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の各イオン層の厚さと等しい又はイオン液体の各イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.1イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.2イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは1.3イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは1.4イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは1.5イオン層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項15】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1.6イオン層の厚さより大きく、好ましくは1.7イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは1.8イオン層の厚さよりも大きく、さらに好ましくは1.9イオン層の厚さよりも大きく、特に好ましくは少なくとも2.0イオン層の厚さよりも大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも2.1イオン層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項16】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.2イオン層の厚さより大きく、好ましくは2.3イオン層の厚さより大きく、好ましくは2.4イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは2.5イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは少なくとも2.6イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも2.7イオン層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項17】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.8イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは2.9イオン層の厚さよりも大きく、好ましくは3.0イオン層の厚さよりも大きく、さらに好ましくは3.1イオン層の厚さよりも大きく、特に好ましくは少なくとも3.2イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも3.3イオン層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項18】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の3.4イオン層の厚さより大きく、好ましくは3.5イオン層の厚さより大きく、好ましくは3.6イオン層の厚さより大きく、さらに好ましくは3.7イオン層の厚さより大きく、特に好ましくは少なくとも3.8イオン層の厚さより大きく、そしてさらに特に好ましくは少なくとも3.9イオン層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項19】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の40イオン層の厚さより小さく、好ましくは38イオン層の厚さより小さく、好ましくは36イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは34イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは32イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは30イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項20】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の28イオン層の厚さより小さく、好ましくは26イオン層の厚さより小さく、好ましくは24イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは22イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは20イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは19イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜19の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項21】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の18イオン層の厚さより小さく、好ましくは17イオン層の厚さより小さく、好ましくは16イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは15イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは14イオンの厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは13イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項22】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の12イオン層の厚さより小さく、好ましくは11イオン層の厚さより小さく、好ましくは10イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは9.5イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは9イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは8.8イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項23】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の8.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは8.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは8.2イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは8イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは7.8イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは7.6イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項24】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の7.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは7.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは7.0イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは6.8イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは6.6イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは6.4イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜23の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項25】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の6.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは6イオン層の厚さより小さく、好ましくは5.8イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは5.6イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは5.4イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは5.2イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜24の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項26】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の5イオン層の厚さより小さく、好ましくは4.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは4.6イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは4.4イオン層の厚さより小さく、特に好ましくは4.2イオン層の厚さより小さく、そしてさらに特に好ましくは4イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項27】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の10イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.1イオン層の厚さより大きく且つ9.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.2イオン層の厚さより大きく且つ9.6イオン層の厚さより小さく、さらに好ましくは1.3イオン層の厚さより大きく且つ9.4イオン層の厚さより小さく、より好ましくは1.4イオン層の厚さより大きく且つ9.2イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは1.5イオン層の厚さより大きく且つ9イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは1.6イオン層の厚さより小さく且つ8.8イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項28】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の1.7イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の8.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.8イオン層の厚さより大きく且つ8.4イオン層の厚さより小さく、好ましくは1.9イオン層の厚さより大きく且つ8.2イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2イオン層の厚さより大きく且つ8イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.1イオン層の厚さより大きく且つ7.8イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは2.2イオン層の厚さより大きく且つ7.6イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは2.3イオン層の厚さより大きく且つ7.4イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜13及び27の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項29】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の2.4イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の7.2イオン層の厚さより小さく、好ましくは2.5イオン層の厚さより大きく且つ7イオン層の厚さより小さく、好ましくは2.6イオン層の厚さより大きく且つ6.8イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.7イオン層の厚さより大きく且つ6.6イオン層の厚さより小さく、より好ましくは2.8イオン層の厚さより大きく且つ6.4イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは2.9イオン層の厚さより大きく且つ6.2イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは3イオン層の厚さより大きく且つ6イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜13及び27〜28の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項30】
イオン液体被覆は、平均厚さを有し、該厚さは、イオン液体の3.1イオン層の厚さより大きく且つイオン液体の5.8イオン層の厚さより小さく、好ましくは3.2イオン層の厚さより大きく且つ5.6イオン層の厚さより小さく、好ましくは3.3イオン層の厚さより大きく且つ5.4イオン層の厚さより小さく、より好ましくは3.4イオン層の厚さより大きく且つ5.2イオン層の厚さより小さく、より好ましくは3.5イオン層の厚さより大きく且つ5イオン層の厚さより小さく、さらにより好ましくは3.6イオン層の厚さより大きく且つ4.8イオン層の厚さより小さく、そして特に好ましくは3.7イオン層の厚さより大きく且つ4.6イオン層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1〜13及び27〜29の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項31】
イオン液体被覆は、0.15〜10nmの平均厚さ、好ましくは、0.16〜9.5nmの平均厚さ、好ましくは、0.17〜9nmの平均厚さ、さらに好ましくは、0.18〜8.5nmの平均厚さ、特に好ましくは、0.19〜8nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.2〜7.5nmの平均厚さを有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項32】
イオン液体被覆は、0.21〜7nmの平均厚さ、好ましくは0.22〜6.5nmの平均厚さ、好ましくは0.23〜6nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.24〜5.5nmの平均厚さ、特に好ましくは0.25〜5nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.26〜4.5nmの平均厚さを有することを特徴とする請求項1〜13及び31の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項33】
イオン液体被覆は、0.27〜4nmの平均厚さ、好ましくは0.28〜3.5nmの平均厚さ、好ましくは0.29〜3nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.3〜2.5nmの平均厚さ、特に好ましくは0.3〜2nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.3〜1.5nmの平均厚さを有することを特徴とする請求項1〜13及び31〜32の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項34】
イオン液体被覆は、0.3〜1.3nmの平均厚さ、好ましくは0.3〜1.2nmの平均厚さ、好ましくは0.3〜1.1nmの平均厚さ、さらに好ましくは0.3〜1nmの平均厚さ、特に好ましくは、0.3〜0.8nmの平均厚さ、そして最も好ましくは0.3〜0.6nmの平均厚さを有することを特徴とする請求項1〜13及び31〜33の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項35】
イオン液体被覆は、均一系触媒を含むことを特徴とする請求項1〜34の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項36】
多孔質触媒は、担持触媒であって、触媒担体は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ゼオライト、及び、例えばカーボン・ナノチューブ又はカーボン・ナノフィブルのようなナノマテリアルからなる群から選択された材料を使用して生成されることを特徴とする請求項1〜35の何れか1項に記載の多孔質不均一系触媒。
【請求項37】
内面がイオン液体で被覆される多孔質不均一系触媒の生成プロセスであって、以下のステップを含むことを特徴とする生成プロセス。
a)所定の溶媒の中にイオン液体を溶解するステップ。
b)多孔質不均一系触媒を、ステップa)によるイオン液体を含んでいる溶媒と接触させるステップ。
c)溶媒を取り除くステップ。
【請求項38】
多孔質不均一系触媒は、請求項1〜36の何れか1項に記載の触媒であることを特徴とする請求項37に記載の生成プロセス。
【請求項39】
内面がイオン液体で被覆される多孔質不均一系触媒の生成プロセスであって、以下のステップを含むことを特徴とする生成プロセス。
a)所定の溶媒の中にイオン液体を溶解するステップ。
b)吸引によってもたらされる流れと大気圧以下の圧力とが支配するチャンバーの中に、触媒を導入するステップ。
c)イオン液体を含んでいる溶媒をチャンバーの中に導入するステップ。
d)ガスとイオン液体を含んでいる溶媒との混合体を生成するステップ。
e)ステップd)からの混合体を触媒に連続的に通すステップ。
f)溶媒を取り除くステップ。
【請求項40】
吸引によってもたらされるチャンバー内の大気圧以下の圧力は、800mbar以下であることを特徴とする請求項39に記載の生成プロセス。
【請求項41】
プロセスは、300mbar〜500mbarの圧力にて実施されることを特徴とする請求項39又は40に記載の生成プロセス。
【請求項42】
ガスと、イオン液体を含んでいる溶媒との混合体を生成する間に、1マイクロメートル〜900マイクロメートルの平均直径を有するドロップが生成されることを特徴とする請求項39〜41の何れか1項に記載の生成プロセス。
【請求項43】
ポリ不飽和化合物の不飽和基の選択的水素化のために、特に、シクロオレフィンを生成するための芳香族化合物の水素化、エチレンを形成するためのアセチレンの水素化、モノレフィンの中でジオレフィンの水素化、特に、1-ブテン及び/又は2-ブテンを形成するためのブタジエンの水素化、スチレンを形成するためのフェニルアセチレンの水素化、プロピレンを形成するためのメチルアセチレン及びプロパジエンの水素化、芳香族化合物をロスすること無しで芳香族化合物のフローの中におけるオレフィン及びジオレフィンの水素化、又はシクロドデセンを形成するためのシクロドデカトリエンの水素化のために、請求項1〜36の何れか1項に記載の触媒を使用することを特徴とする触媒使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−534181(P2009−534181A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506968(P2009−506968)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003595
【国際公開番号】WO2007/124896
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508131358)ズード−ケミー アーゲー (30)
【Fターム(参考)】