説明

イソシアネートの改良された色安定性

【課題】イソシアネートの改良された色安定性を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート、ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒、および、立体障害性フェノール酸化防止剤及び第二アリールアミン酸化防止剤の1以上を含む第一酸化防止剤およびオルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤から選ばれた1つ以上の酸化防止剤を含む、二成分ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用される硬化剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は色安定化組成物に関し、より詳細には、ポリウレタンコーティング、フィルム等の製造に用いられるイソシアネート、特にポリイソシアネートオリゴマーおよびプレポリマーの色を安定化させるのに有用な色安定化組成物に関する。ポリイソシアネートはまた、接着剤、封止剤およびエラストマーを形成するのに使用できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
二成分熱硬化性ポリウレタンは、例えば、自動機械装置、装置および保護被覆を必要とする他の表面のコーティングなどの広範囲の応用における保護コーティング又は塗膜に広く使用されている。これらの室温硬化性ポリウレタンは、ポリイソシアネートおよびポリオールあるいはアミン等の活性水素化合物を含む成分から調製される。
【0003】
二成分ポリウレタンコーティング系は、例えば、アクリル系ポリオールあるいはポリエステルポリオールを含むポリオール成分と反応して有用な膜を形成するポリイソシアネート成分を含む。この系はまた、有機溶媒、およびいろいろな補助成分、例えば、界面活性剤、顔料、分散剤、希釈剤および充填剤を含む。このタイプのコーティングは、熱や他の外部のエネルギー源の適用なしに形成して得られる最も高品質なコーティングの一つである。これらのコーティングは、大きな機械装置、飛行機、船および車両の様な熱硬化できない対象物に非常に有用である。
【0004】
幾つかの実施態様において、二成分ポリウレタン組成物は高温で硬化する。この様な系は高温で変色し易いことが認識され、この様なポリウレタン系の色を安定化させる先行技術による方法が開発された。これらの方法の取り組み方法はポリイソシアネートの精製か安定化である。例えば、米国特許第4,297,472号明細書は少量の隣接ジオールを配合物に添加してポリウレタンの色安定性を向上させることを教示する。米国特許第4,065,362号明細書は有機イソシアネートを精製するプロセスを教示し、米国特許第3,715,381号明細書は2,4−ジ(t−ブチル)−p−クレゾール(BHT)を配合物中に加えることを教示し、米国特許第2,957,903号明細書はある量の亜燐酸トリアリールをポリイソシアネートに加えることを教示する。米国特許第4,677,154号明細書はポリウレタン、特に熱可塑性ポリウレタンの変色を無くすことに関し、反応混合物にイソシアネート成分に対し0.01〜1重量%のBHTとして特性化される安定化剤パッケージおよび亜燐酸トリス(ノニルフェニル)、チオジプロピオン酸ジステアリル、亜燐酸トリイソデシル、トリチオ亜燐酸トリラウリルを含む特定の群の化合物から選ばれる化合物あるいはこれらの化合物の混合物を添加することにより行なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他の二成分ポリウレタン系は、ポリイソシアネートとポリオールの反応を促進する触媒の存在下、比較的穏やかな温度で硬化可能である。この様な低温硬化性の二成分ポリウレタンコーティング系の一実施態様において、触媒は系のポリイソシアネート成分に含まれて「硬化剤」成分を形成し、これはついでポリオール成分と一緒にされて硬化性コーティング組成物を形成する。しかしながら、触媒をこの様な系のポリイソシアネート成分に含めると、ポリイソシアネートおよび関連するコーティングの望ましくない変色の可能性を著しく増大させることが判った。また、公知の色安定化方法にも拘らず、イソシアネートと活性水素化合物の反応のための触媒の存在下におけるイソシアネートの溶液の色を効果的に安定化させる安定化剤に対する必要性が存在することが判っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明によれば、イソシアネートの色は、亜燐酸トリアルキル成分(該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約10個未満の炭素原子を有する)を含む色安定化剤を色安定化に効果的な量でイソシアネートと混合することにより安定化できることが発見された。典型的には、安定化剤は、フェノール酸化防止剤成分(例えば、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエンおよび2−tert−ブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれたt−ブチル化ヒドロキシトルエン)をさらに含む系である。
【0007】
第一の様態においては、本発明は二成分ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用される硬化剤組成物に向けられていて、該硬化剤組成物は
ポリイソシアネート、
該ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒、および
立体障害性フェノール酸化防止剤及び第二アリールアミン酸化防止剤の1つ以上を含む第一酸化防止剤、および、
オルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤
から選ばれた1つ以上の酸化防止剤
を含むことを特徴とする。
【0008】
第二の様態においては、本発明はポリウレタンを製造するのに用いるに適当なポリイソシアネート配合物に向けられていて、この配合物中において、色安定化するに効果的な量の安定化剤系は全ポリイソシアネート成分に対して約0.1〜約2.0重量%の亜燐酸トリアルキル成分(該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約10個未満の炭素原子を有している)を含む。
【0009】
第三の様態においては、本発明はポリウレタンを製造する配合物に使用する色安定化されたイソシアネート組成物を提供し、色安定化されたイソシアネート組成物は
(a)フェノール酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエンおよび2−tert−ブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれるt−ブチル化ヒドロキシトルエン、
(b)亜燐酸トリアルキル成分、該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約10個未満の炭素原子を有する、および
(c)1つ以上のイソシアネート
を含む。
【0010】
第四の様態においては、本発明は、ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用するための色が安定化された硬化剤組成物を製造する方法に向けられ、本方法は、ポリイソシアネート、ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒、および以下から選ばれる1つ以上の酸化防止剤を混合することを含む:
立体障害性フェノール酸化防止剤および第二アリールアミン酸化防止剤の1つ以上を含む第一酸化防止剤および
オルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤。
【0011】
第五の様態においては、本発明はポリウレタンコーティング組成物の成分として使用するための硬化剤組成物の色を安定化する方法に向けられていて、該硬化剤組成物はポリイソシアネートおよびポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒を含み、本方法は、該硬化剤組成物に以下から選ばれる1つ以上の酸化防止剤を色を安定化させる量で添加することを含む:
立体障害性フェノール酸化防止剤および第二アリールアミン酸化防止剤の1つ以上を含む第一酸化防止剤および
オルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤。
【0012】
本発明により、イソシアネートの保存寿命は向上する。
【0013】
発明の詳細な説明
適当な立体障害性フェノール酸化防止剤には酸化防止剤として市場で入手できる立体障害性フェノール、例えば、2,4−ジメチル−6−ブチルフェノール、4,4’− メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)および2,6−ジ−tert−ブチル−N−N’ジメチルアミノ−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2,8−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール等の英国、サザンプトンのLaporte Performance Chemicalsからイオノール(Ionol)あるいはイオノックス(Ionox)の商品名で入手できる立体障害性フェノールが含まれる。
【0014】
適当な第二アリールアミン酸化防止剤には、例えば、ジフェニルアミン、アルキルジフェニルアミン、フェニルナフチルアミンおよびアルキルフェニルナフチルアミン等の酸化防止剤としての使用で知られる第二アミンが含まれる。
【0015】
一実施態様においては、第一酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエンあるいは“BHT”としても知られる2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含む。
【0016】
適当なオルガノホスフィット酸化防止剤は、酸化防止剤としての使用で知られるオルガノホスフィット類を含む。一実施態様においては、オルガノホスフィットは次式の一つあるいは二つ以上の化合物を含み、
(RO)
ここに各Rはそれぞれ独立してアルキルあるいはアリールである。
【0017】
ここに用いられているときに、「アルキル」なる語は直鎖アルキル基、分枝アルキル基および環状アルキル基を含む飽和脂肪基の基を指し、ここにこの様な直鎖アルキル基および分枝アルキル基は各々場合によりシクロアルキルで置換されてよく、この様なシクロアルキル基は必要ならば直鎖アルキルあるいは分枝アルキルで置換されてよく、そしてこの様な直鎖アルキル、分枝アルキルおよびシクロアルキル基は各々場合によりアリールで置換されてよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、イソデシル、ステアリル、イコシル、シクロヘキシル、フェニルメチルを含む。
【0018】
ここに用いられるときに、「アリール」なる語は1つ以上の不飽和炭化水素六員環を含む化合物を意味し、ここに不飽和は形式的には三つの共役二重結合で表され、またこれはこの様な環の1つ以上の炭素原子においてそれぞれ独立して選ばれたアルキル基により置換でき、そして例えば、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、ジメトキシフェニル、5−イソプロピル−2−メチルフェニル、メチルフェニル、tert−ブチルフェニル、ノニルフェニルを含む。
【0019】
一実施態様において、各Rはそれぞれ独立して(C−C30)アルキルあるいは(C−C30)アリールである。ここに用いられているときに、有機基について「(C−C)」(ここにnとmは各々正の整数である)はこの基が一つの基当りn個の炭素原子〜m個の炭素原子を含むことを意味する。
【0020】
一実施態様において、各Rはそれぞれ独立して(C−C30)アルキル、より典型的には(C10−C30)アルキルあるいは(C−C30)アルキルである。
【0021】
一実施態様において、各Rはそれぞれ独立して(C−C)アルキル、より典型的には(C−C)アルキルである。
【0022】
適当なオルガノホスフィットは、例えば、亜燐酸トリス(ブチル)、亜燐酸トリス(オクチル)、亜燐酸トリス(フェニル)、亜燐酸トリス(ノニルフェニル)、亜燐酸トリス(ブチルトリペンチル)、亜燐酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチル)を含む。
【0023】
一実施態様において、オルガノホスフィット酸化防止剤は亜燐酸トリアルキルを含み、ここに該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は好ましくは約9個未満の炭素原子を有し、より好ましくは約3個(例えば、トリ−n−プロピルあるいはトリ−イソプロピル)から約5個(例えば、トリ−n−ペンチル、トリ−sec−ペンチルあるいはトリ−ネオ−ペンチル)の炭素原子を有し、最も好ましくはn−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルからなる群から選ばれた亜燐酸トリブチルである。ある分子内の3つのアルキル基の各々は、各々が10個未満、より好ましくは9個未満、さらにより好ましくは8個未満、すなわち約1〜約7個の炭素原子を有する限り、同じでも異なっていてもよい。各アルキル基は直鎖状あるいは分枝状でよい。
【0024】
第一酸化防止剤および第二酸化防止剤は典型的には約一ヶ月以上の期間、より典型的には一年以上、約25℃で硬化剤組成物の色を安定化させるのに効果的な量が含まれる。色安定化に効果的な量はこれらが混合されているポリイソシアネート組成物の総重量に対して、典型的には約0.01〜約3.0、好ましくは約0.1〜約2.0、最も好ましくは約0.2〜約1.0重量%(第一酸化防止剤および第二酸化防止剤の合計)である。
【0025】
本発明の色安定化された組成物および方法に用いられる第一酸化防止剤化合物の第二酸化防止剤化合物に対する重量比は、両者が含まれる場合は、典型的には重量ベースで略等しいが、広汎に変わり得る、例えば、約10:1 〜約1:10、より典型的には約2:1〜約1:2の範囲、より典型的には約1.5:1〜約1:1.5、最も典型的には約1:1である。
【0026】
本発明の色安定化成分はポリウレタンを製造するために使用する任意の適当なポリイソシアネート中に用いることができる。この様なポリイソシアネートは、モノマーポリイソシアネートか、ポリイソシアネートオリゴマーかあるいは幾つかのペンダント(pendant)NCO基を有するプレポリマーであることができる。多官能基イソシアネートは次の一般式、
O=C=N−Y−(N=C=O)
(式中、Yは芳香族、脂肪族あるいは環状脂肪族多原子価基であり、nは1以上である)を有する。適当なイソシアネートの例としては、イソフォロンジイソシアネート、1,3−および1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、α,α’−ジイソシアナトジプロピルエーテル、1,3−シクロブタンジイソシアネート、2,2−および2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、2,5−および3,5−ビス(イソシアナトメチル)−8−メチル−1,4−メタノデカヒドロナフタレン、1,5−, 2,5−,1,6−および2,6−ビス(イソシアナトメチル)−4,7−メタノヘキサヒドロインダン、1,5−,2,5−および2,6−ビス(イソシアナト)−4,7−メタンヘキサヒドロインダン、2,4’−および4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4−および2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、パーヒドロ2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、α,α’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナートビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジフェニルビフェニル、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、N,N’−(4,4’−ジメチル−3,3’−ジイソシアナトジフェニル)ウレチジオン、m−キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル、4,4’,4”−トリイソシアナトトリフェニルメタン等、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
適当なポリイソシアネートオリゴマーは、2つ以上のイソシアネート官能性モノマー繰返し単位/分子を含む化合物であり、ポリイソシアネート二量体、ポリイソシアネート三量体、ビス−二量体等の2つ以上のポリイソシアネート二量体の縮合生成物、ビス−三量体等の2つ以上のポリイソシアネート三量体の縮合生成物、ならびに二量体と三量体のいろいろな縮合生成物が含まれ、典型的にはイソシアネートモノマーの縮合により得られる。適当なポリイソシアネートオリゴマーの例としては、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、6−イミノ−5−オキサ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、6−イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン、5−オキサ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、ウレチジン−2,4−ジオン、4−イミノ−2−オキソ−1,3−ジアゼチジンならびにウレタンあるいはカルバミン酸エステル、アロフォネート、ウレア、ビウレットおよびカルボジイミドが含まれる。この様なポリオソシアネートオリゴマーのさらなる例としては、Rhodia, Inc.製のTolonate HDTのようなヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDT−三量体)を挙げることができる。他の適当なポリイソシアネートオリゴマーの例としては、イソフォロンジイソシアネート、高粘度あるいは低粘度ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体からなるヘキサメチレンジイソシアネート三量体およびノルボルネンジイソシアネートビウレットおよび三量体から得られるオリゴマー等の脂肪族ポリイソシアネートオリゴマーがある。本発明の組成物においては、このイソシアネートは典型的にはブロックされていない、すなわち、遊離したイソシアネート官能性を有している。
【0028】
一実施態様において、ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート1分子当り平均して1より大きく、約20まで、より典型的には約2〜約20、さらにより典型的には約2.5〜約10のイソシアネート基を含む。
【0029】
本発明の色安定化剤成分は、ポリイソシアネートオリゴマーの実質的に無水溶液、例えば、約35〜約90重量%固形分を含むこの様なポリイソシアネートオリゴマーの溶媒溶液を色安定化させるのに特に効果的である。
【0030】
本発明の色安定化化合物は、純ポリイソシアネート中に、あるいは色安定化剤化合物およびポリイソシアネートオリゴマーと相溶性のある任意の適当な有機溶媒中に、例えば、酸素化炭化水素(例えば、ケトン、エステル、エーテル、グリコールエステルおよびグリコールエーテルエステル)、ハロゲン化炭化水素および脂肪族および/あるいは芳香族炭化水素およびこれらの混合物等の非プロトン性溶媒中に添加できる。典型的な酸素化溶媒は酢酸ブチルであり、典型的なアルカリール炭化水素はキシレンの混合異性体である。典型的には、溶媒は主要量の酸素化炭化水素と副次量の脂肪族および/あるいは芳香族炭化水素の混合物である(例えば、約4:1〜約1.5:1の重量比で)。イソシアネート組成物中の溶媒の量は組成物の重量に対し典型的には約65〜約10%、より典型的的には約50〜約20%である。
【0031】
色安定化組成物は、イソシアネート組成物がイソシアネートと反応性水素化合物の反応のための触媒も含んでいる場合でも効果的であることが判った。
【0032】
この様な触媒の例としては第三アミンあるいはアミジンおよび有機金属化合物およびこれらの混合物がある。適当なアミンは非環状化合物と、特に環状化合物の両方であり、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、1,4−ジアザビシクロオクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミンならびにこれらの混合物がある。適当な有機金属化合物には有機すず、有機亜鉛、有機ビスマスおよび有機ジルコニウム化合物ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0033】
好ましく使われる触媒は特に有機すず化合物である。有機すず化合物はすずと有機成分の両方を含む化合物であり、より具体的には1以上のSn−C結合を含む化合物である。有機化合物はより広い意味では、例えば、オクタン酸すず(II)およびステアリン酸すず(II)等の塩が含まれる。すず化合物はより狭い意味では、とりわけ、一般式Rn+1SnX3−nに対応する四価のすずの化合物を含み、ここにnは0〜2の数、Rはアルキル、アリール、アルカリールおよび/あるいはアラルキル基であり、最後にXは酸素、硫黄あるいは窒素化合物である。基RあるいはXは互いに結合していてもよく、その場合はすずと環を形成する。この様な化合物はEP 491 268, EP 490 277およびEP 423 643に記載されている。Rは最も適切には 4個以上の炭素原子を含み、より特別には8個以上の炭素原子を含む。上限は一般に12個の炭素原子である。好ましい実施態様においては、n = 0あるいは1および1および0の混合物である。Xは好ましくは酸素化合物であり、すなわち有機すず酸化物、水酸化物、アルコラート、β−ジカルボニル化合物、カルボキシレートあるいは無機酸のエステルである。しかしながら、Xはまた硫黄化合物、すなわち、有機すず硫化物、チオラートあるいはチオ酸エステルでもよい。Sn−S化合物の中で、チオグリコール酸エステル、例えば次の基を含む化合物
−S−CH−CH−CO−O−(CH10−CHあるいは
−S−CH−CH−CO−O−CH−CH(C)−CH−CH−CH−CH
が特に関心が持たれる。これらの様な化合物は別の基準を満足する。すなわち、有機すず化合物の分子量は好ましくは400を、より特別には250を、より好ましくは600を超えるべきである。
【0034】
好ましいクラスの化合物はジアルキルすずカルボキシレート(IV)(X=O−CO−R)。カルボン酸は2個以上、好ましくは10個以上、より好ましくは14〜32個の炭素原子を含む。一実施態様においては、触媒はジアルキルすずジカルボキシレートを含み、ここにジアルキルすずジカルボキシレートのアルキル基はそれぞれ独立して、1つの基当り1〜12個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、ジアルキルすずジカルボキシレートのカルボキシレート基はそれぞれ独立して、1つの基当り2〜32個の炭素原子含むカルボキシレート基から選ばれる。ジカルボン酸を使用することもできる。以下は具体的に酸として挙げられる。アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、琥珀酸、ピメリン酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、特に2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸。具体的なジアルキルすずジカルボキシレートにはジブチルすずジアセテート、ジオクチルすずジアセテート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずビス−(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルすずジラウレート、トリブチルすずアセテート、ビス−(β−メトキシカルボニルエチル)すずジラウレートおよびビス−(β−アセチルエチル)すずジラウレート。
【0035】
すず酸化物およびすず硫化物およびすずチオラートも使用できる。具体的な化合物はビス−(トリブチルすず)オキサイド、ビス−(トリオクチルすず)オキサイド、ジブチルおよびジオクチルすず−ビス−(2−エチルヘキシルチオラート)、ジブチルおよびジオクチルすずジドデシルチオラート、ビス−(β−メトキシカルボニルエチル)−すずジドデシルチオラート、ビス−(β−アセチルエチル)−すず−ビス−(2−エチルヘキシルチオラート)、ジブチルおよびジオクチルすずジドデシルチオラート、ブチルおよびオクチルすずトリス−(チオグリコール酸−2−エチルヘキソエート)、ジブチルおよびジオクチルすず−ビス−(チオグリコール酸−2−エチルへキソエート)、トリブチルおよびトリオクチルすず−(チオグリコール酸−2−エチルへキソエート)およびブチルおよびオクチルすず−トリス−(チオエチレングリコール−2−エチルヘキソエート)、ジブチルおよびジオクチルすず−ビス−(チオエチレングリコール−2−エチルヘキソエート)、トリブチルおよびトリオクチルすず−(チオエチレングリコール−2−エチルヘキソエート)、次の一般式
n+1Sn(SCHCHOCOC173−n
(ここにRはC4−8アルキル基)を有するもの、ビス−(β−メトキシカルボニルエチル)−すず−ビス−(チオエチレングリコール−2エチルヘキソエート)、ビス−(β−メトキシカルボニルエチル)−すず−ビス−(チオグリコール酸−2−エチルヘキソヘート)およびビス−(β−アセチルエチル)−すず−ビス−(チオエチレングリコール−2−エチルヘキソエート)およびビス−(β−アセチルエチル)−すず−ビス−(チオグリコール酸−2−エチルへキソエート)である。
【0036】
列挙するすず化合物のその他の群には、水酸化トリブチルすず、ジブチルすずジエチラート、ジブチルすずジブチラート、ジヘキシルスズジヘキシラート、ジブチルすずジアセチルアセトナート、ジブチルすずジエチルアセチルアセテート、ビス−(ブチルジクロロすず)−オキシド、ビス−(ジブチルクロロすず)サルファイド、二塩化ジブチルすずおよび二塩化ジオクチルすず、ジブチルすずジチオアセテートおよびジオクチルすずジチオアセテートが含まれる。
【0037】
一実施態様においては、硬化剤組成物は触媒的に効果的な量の触媒を含む。「触媒的に効果的な量」なる語は反応物に対する殆ど化学量論的な量の触媒を意味する。ここに使われるときに、触媒的に有効な量は典型的にはポリイソシアネート1,000,000 重量部(“pbw”)当り約10〜約5,000 pbwの触媒、より典型的にはポリイソシアネート1,000,000 pbw当り約100〜約5,000 pbwの触媒である。
【0038】
本発明の硬化剤組成物は硬化剤と反応性水素化合物、例えば、ポリオールと一緒にして反応性コーティング組成物を形成して使用する。適当なポリオールは当該技術分野で知られており、例えば、ポリエステルポリオールおよびアクリル系ポリオールである。
【0039】
Tolonate HDT(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)を用いて行なった以下の実施例により本発明は説明されるが、本発明はこれに限られるものではない。
【実施例】
【0040】
Tolonate HDT, BHT、亜燐酸トリブチル(TBP)および亜燐酸トリイソオクチル(TioP)およびジブチルすずジラウレート(DBTDL)を下記表1に示す相対量で含む硬化剤組成物の試料を酢酸ブチル/メチルアミルケトン/キシレンの1:1:0.5ブレンド中で作った。%固形分、触媒濃度、BHTおよび亜燐酸エステル濃度を変化させるスクリーニング実験デザインシリーズを用いて、これらの試料を調製した。触媒濃度は%固形分に基づいている。
【0041】
試料を60℃のオブン中でそれぞれ1週間、2週間および4週間の間老化させた。10 mmパス長さのセルを装備したミノルタCT−310比色計を用いて老化試料のAPHA 値を得た。APHA値を統計デザインプログラムJMPに入力し、データを解析した。モデルは、4週APHA値を用いて、調整アール二乗(an R−squared adjusted) = 0.84で作った。
【0042】
以下は、1000 ppmの触媒濃度のモデルに基づく結果である。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート、
前記ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒、および、
立体障害性フェノール酸化防止剤及び第二アリールアミン酸化防止剤の1つ以上を含む第一酸化防止剤、および
オルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤
から選ばれた1つ以上の酸化防止剤、
を含む、二成分ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用される硬化剤組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートは一般式
O=C=N−Y−(N=C=O)
(式中、Yは芳香族、脂肪族あるいは環状脂肪族多価基であり、nは1以上である)の一つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートは、イソフォロンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートあるいはノルボルネンジイソシアネートから誘導される1つ以上の脂肪族ポリイソシアネートオリゴマーを含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項4】
前記触媒は第三アミン、アミジン、有機金属化合物あるいはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項5】
前記触媒は、ジアルキルすずカルボキシレートを含み、ここにジアルキルすずジカルボキシレートのアルキル基がそれぞれ独立して、1〜12個の炭素原子/基を含むアルキル基から選ばれ、ジアルキルすずジカルボキシレートのカルボキシレート基がそれぞれ独立して、2〜32個の炭素原子/基を含むカルボキシレート基から選ばれる、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項6】
前記第一酸化防止剤は、2,4−ジメチル−6−ブチルフェノール、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)および2,6−ジ−tert−ブチル−N,N’−ジメチルアミノ−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2,8−ジ−tert−ブチルフェノールおよび4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールから選ばれる1つ以上の立体障害性フェノールを含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項7】
前記オルガノホスフィットは式
(RO)
(式中、各Rはそれぞれ独立してアルキルあるいはアリールである)で表される1以上の化合物を含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項8】
前記オルガノホスフィットは、亜燐酸トリス(ブチル)、亜燐酸トリス(オクチル)、亜燐酸トリス(フェニル)、亜燐酸トリス(ノニルフェニル)、亜燐酸トリス(ブチルトリペンチル)および亜燐酸トリス(2,4−ジ−t−ブチル)から選ばれた1つ以上のオルガノホスフィットを含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項9】
前記硬化剤は、さらに有機溶媒を含む、請求項1に記載の硬化剤組成物。
【請求項10】
イソシアネート化合物あるいはイソシアネートオリゴマーおよび亜燐酸トリアルキル成分(該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約10個未満の炭素原子を有する)を含む安定化剤を含む、活性水素化合物との触媒反応に有用な安定なイソシアネート組成物。
【請求項11】
さらにフェノール酸化防止剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリイソシアネート化合物あるいはポリイソシアネートオリゴマー、
該ポリイソシアネートと活性水素化合物との反応のための有機すず触媒、
亜燐酸トリアルキル(該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約4個の炭素原子を有する)を含む約0.1〜約2重量%の安定化剤、および
非プロトン性溶媒
を含む、安定なポリイソシアネート組成物。
【請求項13】
t−ブチル化ヒドロキシトルエンを該亜燐酸トリアルキル成分とほぼ同量でさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリイソシアネート化合物はヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記有機すず触媒はジブチルすずジラウレートである、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
フェノール酸化防止剤成分および亜燐酸トリアルキル成分(該亜燐酸トリアルキル成分の各アルキル基は約10個未満の炭素原子を有する)を含む、イソシアネートの色を安定化させるのに有用な組成物。
【請求項17】
前記フェノール酸化防止剤はブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記フェノール酸化防止剤はブチル化ヒドロキシアニソールである、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記触媒はジアルキルすずジカルボキシレートを含み、ここにジアルキルすずジカルボキシレートのアルキル基はそれぞれ独立して、1〜12個の炭素原子/基を含むアルキル基から選ばれ、ジアルキルすずジカルボキシレートのカルボキシレート基はそれぞれ独立して、2〜32個の炭素原子/基を含むカルボキシレート基から選ばれる、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
ポリイソシアネート、前記ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒、立体障害性フェノールあるいは第二アリールアミンあるいはそれらの混合物を含む第一酸化防止剤、および、1つ以上のオルガノホスフィットを含む第二酸化防止剤を混合することを含む、ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用するための色が安定化された硬化剤組成物を製造する方法。
【請求項21】
ポリウレタンコーティング組成物の成分として使用するための硬化剤組成物の色を安定化する方法であって、該硬化剤組成物はポリイソシアネートおよび該ポリイソシアネートと反応性水素化合物との反応を促進するための触媒を含み、立体障害性フェノール酸化防止剤および第二アリールアミン酸化防止剤の1つ以上を含む第一酸化防止剤およびオルガノホスフィット酸化防止剤の1つ以上を含む第二酸化防止剤から選ばれた1つ以上の酸化防止剤を該硬化剤組成物に色を安定化させる量で添加することを含む、方法。

【公開番号】特開2012−211325(P2012−211325A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−118685(P2012−118685)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2006−520333(P2006−520333)の分割
【原出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(598109291)ローディア インコーポレイティド (41)
【Fターム(参考)】