説明

イソ酪酸(1R*,2R*,4R*)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの塩

本発明は、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト(oct)−5−エン−2−イルエステルの結晶塩、その製造方法、当該結晶塩を含む医薬組成物、及び医薬、特にチャンネルブロッカーとしてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
塩結晶型
本発明は、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト(oct)−5−エン−2−イルエステル(以下、「化合物」とも記載する。)又はそのエナンチオマーの新規な塩結晶型、その製造方法、当該塩結晶型を含む医薬組成物、及び慢性安定狭心症、高血圧、(腎臓及び心臓の)虚血、心房細動を含む不整脈、心肥大又はうっ血性心不全の治療又は予防におけるカルシウムチャンネルブロッカーとしてのそれらの使用に関する。本発明の当該塩結晶型はまた、単独で、又は医薬組成物中で、人及び他の哺乳類における腎臓病、糖尿病及びその合併症、高アルドステロン症、てんかん、神経因性疼痛又は癌の治療のために使用してもよい。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの心血管疾患は、心臓及び血管平滑筋細胞の細胞膜を介した、異常に上昇したカルシウムの流入の結果としてのカルシウム過負荷と関連づけられる。細胞外カルシウムがこれらの細胞内に入る3つの主要な経路がある:1)受容体―活性化型カルシウムチャンネル、2)リガンド依存型カルシウムチャンネル、3)電圧駆動型カルシウムチャンネル(VOCs)。
【0003】
VOCsは、6つの主要なカテゴリーに分類される:L(Long−lasting)、T(Transient)、N(Neuronal)、P(プルキンエ細胞)、Q(Pの後)及びR(Remaining又はResistant)。
【0004】
L型カルシウムチャンネルは、カルシウムの内側への移動を司り、心臓及び血管平滑筋細胞の収縮を引き起こすため、心血管系分野における、これらのチャンネルのブロッカーの適用が示唆される。このような見地から、L型カルシウムチャンネルは、60年代初期より、医療において用いられており、現在、収縮期拡張期高血圧及び狭心症の一次治療として推奨されている。
【0005】
T型カルシウムチャンネルは、冠状及び抹消脈管、洞結節及びプルキンエ繊維、脳、副腎等の種々の組織及び腎臓において見られる。この広範な分布は、T型カルシウムチャンネルが心血管保護作用を有し、睡眠障害、気分障害、うつ病、偏頭痛、高アルドステロン血症、早期分娩、尿失禁、アルツハイマー病等の脳老化又は神経変性障害に対し効果を有することを示唆する。
【0006】
最初のL型及びT型カルシウムチャンネルブロッカーであるMibefradil(Posicor(登録商標))は、主にLチャンネルを標的とするカルシウムチャンネルブロッカーに対し優位な効果を示した。Mibefradilは、Lチャンネルブロッカーでよく見られる、変力作用、反射性頻脈、血管収縮性ホルモンの分泌又は末梢性浮腫等の好ましくない副作用を示すことなく、高血圧及び狭心症の治療に用いられた。加えて、mibefradilは、潜在的な心筋保護効果(Villame、Cardiovascular Drugs and Therapy 15、41−28、2001;Ramires、J Mol Cell Cardiol 1998、30、475−83)、腎保護作用(Honda、Hypertension 19、2031−37、2001)を示し、また、心不全の治療において有効な効果を示した(Clozel、Proceedings Association American Physicians 1999、111、429−37、)。
【0007】
このようなプロファイルを持つ化合物に対する大きな需要にもかかわらず、許容できないCYP 3A4薬物間相互作用のため、mibefradilは、1998年に(上市から1年後)市場から回収された。さらに、ECG異常(すなわち、QT延長)及びMDR−1介在ジゴキシン流出との相互作用も報告された(du Souich、Clin Pharmacol Ther 67、249−57、2000;Wandel、Drug Metab Dispos 2000、28、895−8、)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
「化合物」(イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル)の塩結晶型が、特定の条件下において見出されることがわかった。「化合物」の当該塩結晶型は新規であり、そして、特に「化合物」の遊離塩基(WO2008/132679)又は二塩酸塩と比べて有利な特性を有するかもしれない。そのような利点は、より良い流動特性、より良い溶解性、より小さい吸湿性、製造におけるより良い再現性(例えば、より良いろ過パラメーター、形成のより良い再現性、より良い沈降性)、制御された形態学的特性及び/又はより良い長期安定性を含むかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、参照実施例S1から得られた結晶型における、「化合物」の二塩酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):3.02°(100%)、9.19°(88%)、9.77°(81%)、10.81°(16%)、12.50°(19%)、12.94°(21%)、13.15°(30%)、14.30°(26%)、14.62°(24%)、15.36°(66%)、16.14°(37%)、17.08°(73%)、18.12°(76%)、19.46°(45%)、19.71°(40%)、20.54°(35%)、20.92°(31%)、21.17°(29%)、21.56°(41%)、22.47°(29%)、22.90°(22%)、23.99°(24%)、25.41°(52%)、26.05°(31%)、26.90°(32%)、27.28°(24%)及び28.45°(37%)。
【図2】図2は、実施例S2から得られた結晶型における、「化合物」の二メチルスルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):3.97°(100%)、7.21°(42%)、10.00°(39%)、14.09°(40%)、14.45°(29%)、15.99°(55%)、16.38°(22%)、17.16°(51%)、18.12°(44%)、18.34°(53%)、18.60°(19%)、19.38°(25%)、20.62°(35%)、21.02°(74%)、21.79°(18%)、22.24°(25%)、26.66°(30%)及び27.63°(29%)。
【図3】図3は、実施例S3から得られた結晶型における、「化合物」の二トルエンスルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):4.35°(31%)、5.79°(100%)、7.43°(16%)、8.62°(17%)、10.93°(19%)、11.51°(31%)、13.98°(34%)、15.81°(26%)、18.06°(30%)、19.00°(20%)、19.39°(21%)、19.84°(31%)、20.30°(25%)及び25.51°(20%)。
【図4】図4は、実施例S4から得られた結晶型における、「化合物」の硫酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−30°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):2.85°(100%)、8.50°(21%)、9.50°(28%)、11.78°(85%)、13.26°(41%)、13.69°(51%)、14.19°(82%)、15.78°(40%)、16.47°(39%)、17.12°(38%)、18.91°(40%)、19.48°(43%)、26.77°(65%)及び27.24°(63%)。
【図5】図5は、実施例S5から得られた結晶型における、「化合物」の二マレイン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):5.07°(26%)、8.19°(12%)、10.15°(93%)、15.26°(39%)、17.20°(12%)、17.61°(18%)、20.39°(100%)、20.88°(12%)、22.63°(47%)、23.93°(43%)、24.27°(26%)、24.51°(13%)、24.73°(17%)、25.61°(21%)、29.42°(25%)及び32.93°(16%)。
【図6】図6は、実施例S6から得られた結晶型における、「化合物」のセスキ−フマル酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):5.27°(57%)、8.05°(100%)、12.93°(18%)、15.20°(10%)、15.50°(20%)、19.45°(14%)、20.31°(31%)、20.61°(62%)、21.11°(27%)、22.77°(15%)、25.42°(11%)、26.22°(11%)及び31.27°(21%)。
【図7】図7は、実施例S7から得られた結晶型における、「化合物」の二臭化水素酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法1により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(2−40°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):3.1°(59%)、6.2°(28%)、9.3°(18%)、14.4°(11%)、15.6°(100%)、17.3°(33%)、18.1°(15%)、19.4°(20%)、20.0°(37%)、21.4°(14%)、22.8°(16%)及び34.8°(43%)。
【図8】図8は、塩形成の一般的手順から得られた結晶型における、「化合物」のセスキ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(8−26.5°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):9.9°(40%)、10.4°(18%)、12.8°(42%)、14.2°(100%)、15.0°(73%)、18.3°(68%)、19°(54%)、20.1°(39%)、20.6°(48%)、21.3°(83%)、23.8°(13%)、24.9°(14%)及び26.2°(22%)。
【図9】図9は、塩形成の一般的手順から得られた結晶型における、「化合物」の二ベンゼンスルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(8−26.5°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):8.1°(16%)、8.5°(18%)、10.9°(20%)、11.4°(16%)、12.3°(20%)、12.6°(37%)、12.9°(22%)、13.4°(55%)、14.6°(32%)、15.3°(37%)、16.1°(27%)、17.5°(71%)、17.9°(37%)、19.1°(22%)、19.4°(25%)、20.1°(46%)、21.3°(91%)、21.8°(46%)、22.7°(100%)、23.6°(18%)、24.5°(20%)及び25.5°(21%)。
【図10】図10は、塩形成の一般的手順から得られた結晶型における、「化合物」の二エタンスルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(8−26.5°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):9.6°(25%)、9.9°(21%)、10.5°(23.3%)、11.2°(27%)、11.9°(17%)、12.9°(48%)、14.5°(53%)、15.0°(40%)、15.7°(100%)、16.5°(65%)、17.0°(40%)、17.7°(49%)、19.0°(67%)、19.7°(69%)、20.4°(68%)、21.5°(55%)、22.6°(67%)及び23.3°(47%)。
【図11】図11は、塩形成の一般的手順から得られた結晶型における、「化合物」の二ナフタレン−2−スルホン酸塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定されたX線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータ(2θ)での、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(8−26.5°の範囲の2シータから選択した、10%より大きな相対強度を有するピークを報告する。):9.8°(98%)、11.2°(45%)、11.8°(24%)、13.7°(20%)、14.6°(33%)、15.6°(100%)、16.9°(90%)、19.4°(96%)、22.4°(45%)及び23.9°(23%)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図の説明
図1〜図11のX線回折ダイアグラムにおいては、屈折角2シータ(2θ)を横軸に、測定値を縦軸にプロットする。
【0011】
発明の詳細な説明
1) 本発明は、「化合物」(イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル)の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩に関し;当該結晶塩は:
・1当量の「化合物」;
・臭化水素酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸及びエタンスルホン酸から成る群より選択される酸、1〜2当量からなる酸成分;及び
・0〜5当量の水
からなる。
【0012】
2) 別の態様は、「化合物」が光学的に活性なイソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルである、態様1)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0013】
3) 別の態様は、「化合物」が光学的に活性なイソ酪酸 (1S,2S,4S)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルである、態様1)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0014】
4) 別の態様は、「化合物」が、負の旋光性を有する光学活性形態のイソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルである、態様1)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0015】
5) 別の態様は、当該結晶塩が、0〜3(特に0.5〜3、とりわけ1〜2)当量の水を含む、態様1)〜4)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0016】
6) 別の態様は、当該結晶塩が、0当量の水を含む、態様1)〜4)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0017】
7) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が、1又は2(特に2)当量の臭化水素酸、1又は2当量の硫酸、1又は2(特に2)当量のマレイン酸、1〜2(特に1.5)当量のフマル酸、1又は2(特に2)当量のメタンスルホン酸、1又は2(特に2)当量のパラ−トルエンスルホン酸、1又は2(特に2)当量のベンゼンスルホン酸、1〜2(特に1.5)当量のナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1又は2(特に2)当量のナフタレン−2−スルホン酸又は1又は2(特に2)当量のエタンスルホン酸からなる、態様1)〜6)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0018】
副態様において、当該結晶塩の酸成分は、好ましくは、2当量の臭化水素酸、1又は2当量の硫酸、2当量のマレイン酸、1〜2(特に1.5)当量のフマル酸、2当量のメタンスルホン酸、2当量のパラ−トルエンスルホン酸又は2当量のベンゼンスルホン酸からなる。別の副態様において、当該結晶塩の酸成分は、好ましくは、1又は2(特に2)当量のマレイン酸又は1〜2(特に1.5)当量のフマル酸からなる。
【0019】
8) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量の臭化水素酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。副態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量の臭化水素酸からなり;そして当該結晶塩が約3当量の水を含む、態様1)〜5)又は7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0020】
9) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が1又は2当量の硫酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0021】
10) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のマレイン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0022】
11) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が1〜2(特に1.5)当量のフマル酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0023】
12) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のメタンスルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0024】
13) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のパラ−トルエンスルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0025】
14) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のベンゼンスルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0026】
15) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が1〜2(特に1.5)当量のナフタレン−1,5−ジスルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0027】
16) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のナフタレン−2−スルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0028】
17) 別の態様は、当該結晶塩の酸成分が2当量のエタンスルホン酸からなる、態様1)〜7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0029】
18) 別の態様は、当該結晶塩が:
・1当量の「化合物」又は態様2)〜4)のいずれか1つに定義する光学的に活性な「化合物」;
・2当量のマレイン酸;及び
・0当量の水:
からなる、態様1)又は10)に従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩に関する。
【0030】
19) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ: 10.15°、20.39°及び22.63°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様10)又は18)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0031】
20) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.07°、8.19°、10.15°、15.26°、17.61°、20.39°、22.63°、23.93°、24.27°及び25.61°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様10)又は18)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0032】
21) 別の態様は、本質的に、図5に表される粉末X線回折パターンを示す、態様10)又は18)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0033】
22) 別の態様は、本明細書に記載の方法を用い、示差走査熱量測定により決定した約147℃の融点を有する、態様10)又は18)〜21)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0034】
23) 別の態様において、本発明は:
1. 「化合物」(682g、84%w/w、1.05mol)のEtOAc(6.3L、11容量)中の溶液を還流し;
2. MeOH(630mL、1.1容量)中に溶解したマレイン酸(256g、2.2mol、2.1eq)を添加し;
3. 得られた混合物を還流下で15分間攪拌し、そして30分以内に65−68℃に冷却し;
4. 0.04%w/wのシードクリスタルで任意にシードし;
5. 3時間以内に当該混合物を40℃に冷却し;
6. 1時間以内に当該混合物を20℃に冷却し;
7. 0.2barの窒素下、固形物をろ過し、そして当該固形物をEtOAc(1500mL 2.6容量)でリンスし;そして
8. 当該固形物を1気圧の窒素下で24時間乾燥する;
ことにより得ることができる、態様10)又は18)〜22)のいずれか1つに従う結晶塩に関する。
【0035】
24) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.3°、15.6°及び17.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様8)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0036】
25) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:6.2、9.3°、15.6°、17.3°、18.1°、19.4°、20.0°及び22.8°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様8)又は24)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0037】
26) 別の態様は、本質的に、図7に表される粉末X線回折パターンを示す、態様8)、24)又は25)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0038】
27) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.27°、8.05°及び20.61°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様11)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0039】
28) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.27°、8.05°、12.93°、19.45°、20.61°、21.11°及び31.27°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様11)又は27)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0040】
29) 別の態様は、本質的に、図6に表される粉末X線回折パターンを示す、態様11)、27)又は28)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0041】
30) 別の態様は、本明細書に記載の方法を用い、示差走査熱量測定により決定した約180℃の融点を有する、態様11)又は27)〜29)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0042】
31) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:7.21°及び10.00°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様12)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0043】
32) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:3.97°、7.21°、10.00°、15.99°、17.16°及び21.02°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様12)又は31)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0044】
33) 別の態様は、本質的に、図2に表される粉末X線回折パターンを示す、態様12)、31)又は32)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0045】
34) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.79°及び19.84°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様13)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0046】
35) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:4.35°、5.79°、10.93°、13.98°、15.81°及び19.84°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様13)又は34)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0047】
36) 別の態様は、本質的に、図3に表される粉末X線回折パターンを示す、態様13)、34)又は35)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0048】
37) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:13.4°、17.5°及び21.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様14)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0049】
38) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:12.6°、13.4°、14.7°、17.5°、21.3°及び22.7°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様14)又は37)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0050】
39) 別の態様は、本質的に、図9に表される粉末X線回折パターンを示す、態様14)、37)又は38)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0051】
40) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.9°、14.2°及び21.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様15)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0052】
41) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.9°、12.9°、14.2°、20.1°、20.6°及び21.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様15)又は40)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0053】
42) 別の態様は、本質的に、図8に表される粉末X線回折パターンを示す、態様15)、40)又は41)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0054】
43) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.8°、11.2°及び15.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様16)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0055】
44) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.8°、11.2°、15.6°、22.4°及び23.9°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様16)又は43)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0056】
45) 別の態様は、本質的に、図11に表される粉末X線回折パターンを示す、態様16)、43)又は44)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0057】
46) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:11.2°、15.7°及び20.4°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様17)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0058】
47) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:11.2°、14.5°、15.7°、17.7°、20.4°及び22.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様17)又は46)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0059】
48) 別の態様は、本質的に、図10に表される粉末X線回折パターンを示す、態様17)、46)又は47)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0060】
49) 本発明はさらに、
・1当量の「化合物」;
・約1当量の硫酸からなる酸成分;及び
・約6当量の水;
からなる、「化合物」(イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル)の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩に関する。
【0061】
50) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:11.78°、13.69°及び14.19°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様49)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0062】
51) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:2.85°、8.50°、9.50°、11.78°、13.26°、13.69°及び14.19°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様49)又は50)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0063】
52) 別の態様は、本質的に、図4に表される粉末X線回折パターンを示す、態様49)、50)又は51)に従う「化合物」の結晶塩に関する。
【0064】
疑義を避けるために、上記態様の1つ、特に態様19)、20)、24)、25)、27)、28)、31)、32)、34)、35)、37)、38)、40)、41)、43)、44)、46)、47)、50)及び51)の1つが、「粉末X線回折ダイアグラムにおける、以下の屈折角2θにおけるピーク」に言及する場合は常に、当該粉末X線回折ダイアグラムは、Cu Kα1照射(λ=1.5406Å)を用いて得られたものであり;そして本明細書で提供される2θ値の精度は+/−0.1〜0.2°の範囲内であることが理解されるべきである。特に、本発明の態様及びクレーム中でピークに対する屈折角2シータ(2θ)を特定する場合、記載された当該2θ値は、当該値−0.2°から当該値+0.2°(2θ+/−0.2°)の間;そして好ましくは当該値−0.1°から当該値+0.1°(2θ+/−0.1°)の間と理解されるべきである。
【0065】
疑義を避けるために、立体異性体の相対配置は下記のように示される:イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルは、
イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル又は
イソ酪酸 (1S,2S,4S)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル、
又は、例えばラセミ体のように、これらの2種のエナンチオマーの混合物を意味する。
【0066】
本明細書に記載した「化合物」、すなわちイソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの塩結晶型が本発明の範囲に包含され、「化合物」はラセミ体であってもよく;絶対配置(1R,2R,4R)のエナンチオマーの光学活性体であっても;絶対配置(1S,2S,4S)のエナンチオマーの光学活性体であっても;又はこれらの2種のエナンチオマーのいかなる混合物あってもよい。好ましくは、本明細書に記載の方法を用いて決定される負の旋光性を有する光学活性体である。
【0067】
化合物、塩、医薬組成物、疾病等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、塩等をも意味することが意図されている。
【0068】
「光学的に活性な」という用語は、本発明の文脈において、「化合物」の少なくとも90、好ましくは少なくとも95、そして最も好ましくは少なくとも99重量パーセントが、「化合物」の一方のエナンチオマーの形態で存在することを意味するものと理解される。
【0069】
「本質的に純粋な」という用語は、本発明の文脈において、「化合物」の結晶の少なくとも90、好ましくは少なくとも95、そして最も好ましくは少なくとも99重量パーセントが、本発明の結晶型、特に本発明の単一の結晶型で存在すること、を特に意味するものと理解される。
【0070】
例えば、粉末X線回折ダイアグラムにおけるピークの存在を定義する場合、通常の方法は、S/N比(S=シグナル、N=ノイズ)の点からこれを行うことである。この定義に従えば、粉末X線回折ダイアグラムにピークが存在しなければならないと述べる場合、粉末X線回折ダイアグラムのピークは、x(xは1より大きい数値である。)より大きい、通常は2より大きい、特に3より大きいS/N比(S=シグナル、N=ノイズ)を持つことにより定義されるものと理解されるべきである。
【0071】
結晶型が、本質的に、それぞれ図1〜図11に表される粉末X線回折パターンを示す、という記載の文脈において、「本質的に」という用語は、少なくとも当該図に表されるダイアグラムの主要なピーク、すなわち、ダイアグラムにおいて最も強いピークと比べ、10%、特に20%を超える相対強度を有するピークが存在しなければならないことを意味する。しかしながら、粉末X線回折の当業者は、粉末X線回折ダイアグラムの相対強度が、好ましい配向効果に起因する強い強度変動に付され得ることを認識しているはずである。
【0072】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X−10%XからX+10%Xの間、好ましくはX−5%XからX+5%Xの間を表す。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」の用語は、この出願において、Y−10℃からY+10℃の間、好ましくはY−5℃からY+5℃の間を表す。室温は約25℃の温度を意味する。本出願において、n当量(nは数値である。)という用語が用いられる場合、本出願の範囲内において、nは数値nの近傍を意味し、好ましくはnは正確な数値nを意味する。
【0073】
態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩は、医薬として、例えば経腸又は非経口投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。
【0074】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者にもよく知られた様式で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutical Manufacturing」[published by Lippincott Williams & Wilkins]を見よ。)、本発明の結晶型を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体又は液体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0075】
態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩は、単一成分として、又は「化合物」の他の結晶型若しくはアモルファス形態との混合物として使用してもよい。
【0076】
態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩は、
・慢性安定狭心症、高血圧、(腎臓及び心臓の)虚血、心房細動を含む不整脈、心肥大又はうっ血性心不全の治療又は予防に適切であり、そして/又はそのための医薬の製造において有用である。
【0077】
さらにまた、態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩は、以下の疾病群の単独の疾病又はそれらの任意の組み合わせに対して適切であり、そして/又はそのための医薬の製造に有用である:
・人及び他の哺乳類における腎臓病、糖尿病及びその合併症、高アルドステロン症、てんかん、神経因性疼痛又は癌の治療用;
・抗細動薬、抗喘息薬、抗動脈硬化薬、肺バイパス用心停止液の添加剤、血栓溶解療法の補助薬としての、抗凝集薬としての、又は、不安定性狭心症の治療薬としての使用のため;
・高血圧、特に、門脈圧亢進、エリスロポエチンによる治療に続発する高血圧及び低レニン性高血圧の治療又は予防のため;
・低酸素性又は虚血性疾患における使用、又は、例えば、(例えば、心肺バイパス手術後に起こる)心、腎及び脳虚血及び再灌流、冠動脈及び脳血管れん縮等の治療のための抗虚血薬としての使用、抹消血管疾患(例えば、レイノー病、間欠は行、高安病)、疼痛クリーゼの初発及び/又は進展を含む鎌状赤血球症の治療における使用のため;
・急性及び慢性腎不全、糖尿病性ネフローゼ、高血圧によるネフローゼ、糸球体傷害、老化又は透析に関連する腎障害、腎硬化症、造影剤及びシクロスポリンに関連する腎毒性、腎虚血、原発性膀胱尿管逆流症又は糸球体硬化症を含む、腎、糸球体及びメサンギウム細胞機能に関連する疾患の治療又は予防のため;
・心筋梗塞の治療、心肥大、原発性及び二次性肺高血圧症の治療、繊維化の阻害、左心室肥大、リモデリング及び不全の阻害を含むうっ血性心不全、又は血管形成術若しくはステント後の再狭窄の治療における使用のため;
・内毒血症若しくはエンドトキシンショック、又は出血性ショックの治療のため;
・生殖器、特に海綿体への血流を改善することによる、男性(例えば、糖尿病、脊髄損傷、前立腺全摘除、心理的要因及び他の原因による勃起不全)及び女性双方における性機能障害の治療のため;
・癌又は細胞増殖に関連する臓器障害の予防及び/若しくは縮小のため;
・代謝障害又は慢性炎症性疾患、インスリン依存性又は非インスリン依存性糖尿病及びその合併症(例えば、神経障害、網膜症)、高アルドステロン症、骨リモデリング、乾癬、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症サルコイドーシス又は湿疹性皮膚炎の治療のため;
・肝毒性及び突然死、合併症(例えば、肝毒性、繊維化、硬変)を含む初期及び進行肝疾患及び障害、血管外皮細胞腫に起因する高血圧等の腫瘍の有害な影響、尿路及び/又は膀胱の痙攣性疾患、肝腎症候群、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、混合型クリオグロブリン血症等の血管炎に関連する免疫疾患、腎不全及び肝毒性に関連する繊維化の治療のため;
・潰瘍性大腸炎、クローン病、胃粘膜損傷、潰瘍炎症性腸疾患及び虚血性腸疾患等の胃腸疾患、胆管炎等の胆嚢若しくは胆管に基づく疾患、膵炎、細胞増殖の制御、前立腺肥大症又は移植における使用のため、又は止痢薬としての使用のため;
・気管支収縮に関連する疾患、又は閉塞性肺疾患及び成人窮迫症候群等の慢性若しくは急性の炎症性障害の治療のため;
・神経因性疼痛、末梢性の痛み、及び前立腺癌又は骨癌に関連する痛み等の癌に関連する痛みを含む痛みの緩和のため;
・脳梗塞、一過性脳虚血発作、偏頭痛及びクモ膜下出血等の中枢神経系血管障害、中枢神経系行動障害の治療、アルツハイマー型痴呆、老人性痴呆及び血管性痴呆等を含む痴呆、てんかん又は睡眠障害の治療のため;又は
・上記の使用の結果としての一般罹患率及び/又は死亡率の減少のため。
【0078】
本発明はまた、薬学的に活性な量の態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩を対象に投与することを含む、ここに言及した疾患又は障害の予防又は治療のための方法に関する。
【0079】
さらに、態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩、特に本質的に純粋な結晶塩はまた、好ましくは、スタチン等の高脂血症薬、クマリン等の抗凝固薬、クロピドグレル等の抗血栓薬、β−ブロッカー及び他の心保護薬から選択される1又は2以上の薬剤と組み合わせて使用してもよい。
【0080】
本発明はまた、ラセミ体及び光学的に活性な形態の「化合物」を製造する方法、及び態様1)〜51)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶塩の製造及び定性分析の方法にも関し、当該方法は、下記の実験の部に記載される。
【実施例】
【0081】
実験の部
以下の実施例は本発明をより詳細に説明する。温度は摂氏度で記載する。他の記載が無い場合には、百分率は重量によって記載する。
【0082】
この項において、及び前記の部分において使用される略語:
aq. 水性
ca. 約
CC シリカゲル上カラムクロマトグラフィー
DCM ジクロロメタン
DIPA ジイソプロピルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン、Huenigの塩基、
エチル−ジイソプロピルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノ−ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DSC 示差走査熱量測定
eq. 当量
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
Fig. 図
h 時間
H−NMR 水素−1 核磁気共鳴
Hept ヘプタン
Hex ヘキサン
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MEK 2−ブタノン
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
NEt トリエチルアミン
Pd/C 炭素上パラジウム
2−PrOH イソプロパノール
Red−Al 水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム
RH 相対湿度
rt 室温
rpm 分当たりの回転数
sat. 飽和
TBME tert−ブチルメチルエーテル
tert.− 三級
THF テトラヒドロフラン
TsOH パラ(p)−トルエンスルホン酸
XRPD 粉末X線回折
【0083】
粉末X線回折分析(XRPD)
方法1:粉末X線回折パターンは、反射配置におけるCu Kα−照射で作動する3°のウィンドウを持つLynxEye検出器を備えたBruker D8 AdvanceX線回折計(Bragg−Brentano)上で収集した。典型的には、X−線チューブを40kV/40mAで走査させた。2〜50°、2シータ(2θ)の走査範囲に渡って、0.02°(2θ)のステップサイズ及び37秒のステップタイムを適用した。発散スリットは、サンプルホルダーの深さに応じて、可変的にV12又はV20に設定した。粉末(0.1mmの深さに対しては約15mg、そして1mmの深さに対しては約80mg)を、0.1mm又は1mmの深さのシリコン単結晶サンプルホルダー内にわずかにプレスし、そして分析の間、サンプルをそれ自体のプレイン中で回転させた。選択したサンプルをカプトンホイルで覆った。回折データは、装置評価ソフトウェア(EVA)を用いて、Kα2成分を除去した後に、Cu Kα1(λ=1.5406Å)を用いてレポートされる。加えて、データ取得中にカプトンで覆ったサンプルについては、装置評価ソフトウェア(EVA)を用いて、バックグラウンドシグナルを除いた。これまでに測定された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/−0.1〜0.2°の範囲内である。
【0084】
方法2:粉末X線回折パターンは、反射配置におけるCu Kα−照射で作動するGADDS HiStar検出器を備えたBruker D8 HTS X線回折計上で収集した。典型的には、X線チューブを、40kV/40mAにて走査させた。装置の作動は、コランダム標品(NIST1976)を用いてチェックする。室温条件下で走査するサンプルは、受け取った状態の粉末を用いて平板試料として調製した。約3mgのサンプルを、顕微鏡用スライド上に静かにプレスした。データは、1フレーム内で、180秒のアクイジション時間(acquisition time)で、7.6°〜26.7°、2θの角度範囲に渡って収集した。回折データは、Kα2成分を除去することなくレポートし、バックグラウンドシグナルは装置評価ソフトウェア(EVA)を用いて除いた。これまでに測定された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/−0.1〜0.2°の範囲内である。
【0085】
融点は、Buchi B−540装置上で測定し、そして校正しないか;又は、明記する場合には、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した:
DSCデータは、Perkin Elmer DSC7上で収集した。典型的には、乾燥窒素下で蓋をせずに前もって16時間貯蔵した2−3mgのサンプルを、封止したゴールドパン内で、−20℃から200℃に、20℃ min−1で加熱した。融点はピーク温度としてレポートする。
【0086】
旋光度は、室温にて、ナトリウムD線(λ=589nm)を用いて、Jasco P−1030装置上で測定した。
【0087】
H−NMRはBruker Avance 400(400MHz)上で測定した;化学シフトは、使用溶媒と関連して、ppmで示す;多重度:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、p=五重項、hex=六重項、sept=九重項、m=多重項、dm=多重項の二重項、br=広域、結合定数はHzで示す。)NMRアッセイは、ヒドロキノンジメチルエーテルを内部標準として用いて測定した。
【0088】
吸湿性は、SPS11−100m(Projekt Messtechnik、ウルム、ドイツ)上での、走査重量測定蒸気吸着測定により評価した(スキャン速度は、時間当たり5%の相対湿度変化とし、サイクルを50%の相対湿度で開始し、次いで乾固までスキャンし、そして95%の相対湿度まで吸着スキャン(an upwards scan)を行った。分類は、the European Pharmacopea Technical Guide(1999年版)(例えば、わずかに吸湿性:2%未満の質量増加及びmass/massが0.2%か、それ以上)に従って行った。吸着スキャンにおける40%相対湿度と80%相対湿度との間の質量変化を考慮した。
【0089】
LC−MSは下記の条件を用いて行った:HP 1100 Binary Pump及びDADを備えたFinnigan Navigator、カラム:4.6x50mm、Zorbax SB−AQ、5μm、120Å、勾配:0.04%のトリフルオロ酢酸を含む5−95%のアセトニトリル水溶液、1min、流速:4.5mL/min、tはminで記載する。
【0090】
化合物は、分取用HPLC(カラム:X−terra RP18、50x19mm、5μm、勾配:0.5%のギ酸を含む10−95%のアセトニトリル水溶液)又はシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製する。ラセミ体は、分取用HPLCにより、それらのエナンチオマーに分離することができる(好ましい条件:Daicel、ChiralCel OD 20x250mm、10μm、ヘキサン中4%エタノール、流速10−20mL/min)。
【0091】
I. 「化合物」の製造及び定性分析
「化合物」の製造はWO2008/132679により知られている:
中間体の製造
重要な中間体Kの製造のための一般的手順:
ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル又はビシクロ[3.2.2]ノン(non)−8−エン−6−イル誘導体である重要な中間体K1A及びK2Aは、相対配置(R,R,R)を有する主ラセミ体(すなわち、シクロヘキセン部分の架橋−(CH−が、ヒドロキシである基−ORに対しcisである)と相対配置(R,S,R)を有する副ラセミ体(すなわち、シクロヘキセン部分の架橋−(CH−が、ヒドロキシである基−ORに対しtransである)の混合物として得られる。主及び副ラセミ体は、手順A1.5において、重要な中間体K1Aについて記載した通りに分離することができる。主ラセミ体は分離され、そして下記の実施例の製造において使用される。
【0092】
K1A:rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル
K1A.1(手順A1.1):rac−(1R,4R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,5−ジオン
25mLの2−(トリメチルシリルオキシ)−1,3−シクロヘキサジエンと13mLのα−アセトキシアクリロニトリルを混合し、そして封止した容器内で、150℃にて22h加熱した。得られた暗オレンジ色の粘凋な油状物を200mLのMeOHに溶解した。2.2gのナトリウムメトキシドの、150mLのMeOH中の溶液を滴下した後、反応混合物をrtにて3h攪拌し、氷/水中に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機相を真空濃縮し、そして粗製の残渣を、EtOAc−Hept(1:2)を用いてCCで精製して、7.9gのrac−(1R,4R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,5−ジオンを得た。LC−MS:t=0.44min。
【0093】
K1A.2(手順A1.2):rac−(1R,4R)−スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]−5−オン
120mLのトルエン中に溶解した、4.0gのrac−(1R,4R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,5−ジオン(中間体K1A.1)に、1.7mLのエチレングリコールと0.27gのTsOHを添加し、そして溶液を激しく攪拌しながら3.5h加熱還流した。反応混合物をrtに冷却し、飽和aq.NaHCOでクェンチし、EtOで抽出し、そして有機相を蒸発させた。粗生成物を、Hex−EtOAc(7:3)を用いてCCで精製し、2.41gのrac−(1R,4R)−スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]−5−オンを黄色の油状物として得た。LC−MS:t=0.64min;[M+H+CHCN]:224.35。
【0094】
K1A.3(手順A1.3):rac−(7R,8R,10R)−とrac−(7R,8S,10R)−7,10−(1,2−エチレン)−8−フェニル−1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オールの混合物
2.41gのrac−(1R,4R)−スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]−5−オン(中間体K1A.2)の、EtO中の溶液80mLに、フェニルマグネシウムブロミド溶液(EtO中1M)14.5mLを10minに渡って滴下した。反応混合物をrtにて4h攪拌した。次いで混合物を氷で注意深くクェンチし、2N HCl、8mLを添加し、そして相を分離した。有機相を蒸発させ、そして粗生成物を、Hept−EtOAC(7:3)を用いてCCで精製して、0.37gの7,10−(1,2−エチレン)−8−フェニル−1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オールを無色の油状物として得た。(ジアステレオマーのCCによる分離が可能であるが、ここでは行わなかった。)LC−MS:t=0.84min;[M−HO+H]:243.34。
【0095】
K1A.4(手順A1.4):rac−(1R,4R)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オン
0.54gの7,10−(1,2−エチレン)−8−フェニル−1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体K1A.3)の、20mLのアセトン中の溶液に、200mgのTsOHを添加し、次いで混合物をrtにて2d攪拌した。反応混合物をsat.aq.NaHCOでクェンチし、EtOACで抽出し、そして有機相を蒸発させた。粗生成物を、Hept−EtOAC(7:3)を用いてCCで精製し、0.34gのrac−(1R,4R)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オンを無色の油状物として得た。LC−MS:t=0.93min;[M+H+CHCN]:240.11。
【0096】
K1A.5(手順A1.5):rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル及びrac−(1R,2S,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル
0.51mLのDIPAの、0.5mLのTHF中の溶液に、2.2mLのn−ブチルリチウム(Hex中1.6M)を−20℃にて滴下した。10min後、0.5mLのトルエンを添加し、そして溶液を30min攪拌した。混合物を−50℃に冷却し、0.73mLの酢酸tert.−ブチルを添加し、そして攪拌を−50℃にて1h継続した。次いで、1mLのTHFに溶解した0.32gのrac−(1R,4R)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オン(中間体K1A.4)を添加し、そして溶液を−50〜−20℃にて2.5hに渡って攪拌した。反応混合物を氷/aq.HCl上に注ぎ、有機相を分離し、洗浄し、そして蒸発させた。粗製の反応生成物を、Hept−EtOAc(9:1)を用いてCCで精製し、0.30gの主ラセミ体、rac−(1R,2R,4R)−2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルを白色の固体として、そして0.07gの副ラセミ体、rac−(1R,2S,4R)−2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルを無色の油状物として得た。LC−MS(主ラセミ体):t=1.06min;[M−(CH−HO+H]:241.11。LC−MS(副ラセミ体):t=1.05min;[M+H]:315.18。
【0097】
K1A.6:(1S,2S,4S)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル及び(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル
rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルを、prep.キラルHPLC(カラム:Daicel ChiralPak AD−H、20x250mm、5μm;Hex/EtOH、95:5、流速16mL/min)を用いて、各エナンチオマーに分離した。キラル分析HPLC(Daicel ChiralPak AD−H、4.6x250mm、5μm;Hex/EtOH、95:5、流速0.8mL/min):(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル:エナンチオマーA:t=6.70min。(1S,2S,4S)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステル:エナンチオマーB:t=7.93min。
【0098】
BB. [3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミン
BB.1 3,6−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミン
6.0gの1,4−ジメトキシ−2,3−ジニトロ−ベンゼン(Eur.J.Org.Chem.2006、2786−2794)を220mLのEtOH中に溶解し、Nで3回脱気し、そして600mgの10wt%Pd/Cを添加することにより、3,6−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミンを合成した。反応液をH雰囲気下(バルーン)で攪拌した。2日後、さらに300mgの10wt%Pd/Cを添加し、そして混合物をさらに24h攪拌した。セライトのパッド上でろ過し、そしてEtOH及びEtOAcで洗浄することにより、真空濃縮の後、4.3gの3,6−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミンを黒色の固体として得た。LC−MS:t=0.48min;[M+H]:169.09。
【0099】
BB.2 [3−(2−アミノ−3,6−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−プロピル]−メチル−カルバミン酸 ベンジルエステル
3.1gの4−(ベンジルオキシカルボニル−メチル−アミノ)−酪酸の、80mLのDCM中の溶液に、6.5mLのDIPEA、1.8gのHOBt、2.6gのEDC及び154mgのDMAPを添加した。10min攪拌した後、20mLのDCMに溶解した2.1gの3,6−ジメトキシ−ベンゼン−1,2−ジアミンを添加し、そして混合物をrtにて一晩攪拌した。反応をsat.aq.NaHCOでクェンチし、相を分離し、そして有機相を塩水(brine)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空濃縮して、粗製の表題化合物を黒色の油状物として得た。LC−MS:t=0.88min;[M+H]:402.06。
【0100】
BB.3 [3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−カルバミン酸 ベンジルエステル
上記の粗製3−(2−アミノ−3,6−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−プロピル]−メチル−カルバミン酸 ベンジルエステルの、16mLのトルエン中の混合物に、4mLのDMFと1.9gのTsOHを添加し、そして反応液を150℃に2h、マイクロ波中で加熱した。Sat.aq.NaHCOを添加し、そして相を分離した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空濃縮し、シリカゲルのショートパッド上でEtOAcを用いてろ過し、そして再び濃縮した。EtOAcを用いたCCによる精製により、2.7gの3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−カルバミン酸 ベンジルエステルを茶色の樹脂として得た。LC−MS:t=0.85min;[M+H]:384.62。
【0101】
BB.4 [3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミン
2.6gの3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−カルバミン酸 ベンジルエステルの、60mLのEtOH中の溶液を、Nで3回脱気した後、260mgの10wt%Pd/Cを添加した。次いで、反応混合物を、H雰囲気下(バルーン)、rtにて5h攪拌した。セライトのパッド上でのろ過、そしてEtOHでの洗浄により、真空濃縮の後、1.7gの3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミンを茶色のフォームとして得た。LC−MS:t=0.57min;[M+H]:250.13。
【0102】
「化合物」の製造
参照実施例1A:rac−イソ酪酸(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
1.1(手順P1.1):rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸
4.0gのrac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルの、25mLのEtOH中の溶液に、2.1gのLiOH.HO、8mLのHO及び22mLのMeOHを添加した。反応混合物をrtにて3d攪拌し、次いで濃縮した。残渣を水とEtOの間で分画した。水層を分離し、そして1N HClで酸性化することにより、白色の固体が生成した。その固体をろ過し、5mLのaq.HClで洗浄し、そして真空乾燥して、3.2gのrac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸を白色の固体として得た。LC−MS:t=0.86min;[M−HO+H]:241.28。
【0103】
1.2(手順P1.2):rac−(1R,2R,4R)−N−[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−2−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−N−メチル−アセタミド
280mgのrac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸の、7mLのTHF中の溶液に、0.58mLのDIPEA、175mgのHOBt及び250mgのEDCを、rtにて添加した。10min攪拌した後、270mgの3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミンを添加し、そして反応混合物をrtにて一晩攪拌した。反応混合物をsat.aq.NaHCOでクェンチし、相を分離し、そして有機相を水と塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空濃縮した。EtOAc−MeOH(5:1から2:1へ)を用いてCCにより精製して、475mgのrac−(1R,2R,4R)−N−[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−2−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−N−メチル−アセタミドを白色のフォームとして得た。LC−MS:t=0.91min;[M+H]:490.06。
【0104】
1.3(手順P1.3):rac−(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オール
310mgのrac−(1R,2R,4R)−N−[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−2−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−N−メチル−アセタミドの、8mLのトルエン中の溶液に、0.77mLのRed−Al溶液(トルエン中65%)を0℃にて滴下した。0℃にて10min攪拌した後、冷却浴を除き、そして攪拌をrtにて3h続けた。次いで、反応混合物を、1M NaOH/氷の混合物中に注意深く注ぎ、そして10min攪拌した。水相をトルエンで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空濃縮した。EtOAc−MeOH(2:1)を用いてCCで精製して、230mgのrac−(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オールを白色のフォームとして得た。LC−MS:t=0.79min;[M+H]:476.13。
【0105】
1.4:rac−イソ酪酸(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
199mgのrac−(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オールの、4mLのDCM中の溶液に、0.2mLのNEtと0.1mLのイソ酪酸クロリドを、0℃にて添加した。反応混合物を一晩攪拌して、温度をゆっくりとrtに到達させた。反応をsat.aq.NaHCOでクェンチし、相を分離し、そして水相をDCMで再抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空濃縮した。残渣を3mLのEtOAcに再溶解し、シリカゲルと1.5mLのMeOHを添加し、そして混合物を7d激しく攪拌した。混合物をろ過し、EtOAc−MeOH(2:1)で徹底的に洗浄し、そして蒸発させた。EtOAc−MeOH(5:1から3:1へ、+0.1%NEt)を用いてCCで精製して、186mgのrac−イソ酪酸(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルをベージュ色のフォームとして得た。LC−MS:t=0.90min;[M+H]:546.23。
【0106】
参照実施例2A:イソ酪酸(1S,2S,4S)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
2.1:(1S,2S,4S)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸
rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルのエナンチオマーB(K1A.6を見よ。)を用い、参照実施例1A中の手順P1.1に従って製造。LC−MS:t=0.91min;[M−HO+H]:241.10。
【0107】
2.2:(1S,2S,4S)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オール
上記の(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸を用い、参照実施例1A中の手順P1.2〜P1.3に従って製造。LC−MS:t=0.78min;[M+H]:476.09。
【0108】
2.3:イソ酪酸(1S,2S,4S)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
上記の2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オールを用い、参照実施例1A中の手順P1.4に従って製造。LC−MS:t=0.89min;[M+H]:546.19。
【0109】
参照実施例3A:イソ酪酸(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
3.1:(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸
rac−(1R,2R,4R)−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸 tert.−ブチルエステルのエナンチオマーA(K1A.6を見よ。)を用い、参照実施例1中の手順P1.1に従って製造。LC−MS:t=0.91min;[M−HO+H]:241.16。
【0110】
3.2:(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オール
上記の(2−ヒドロキシ−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イル)−酢酸を用い、参照実施例1中の手順P1.2〜P1.3に従って製造。LC−MS:t=0.79min;[M+H]:476.09。
【0111】
3.3:イソ酪酸(1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル
上記の2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−オールを用い、参照実施例1A中の手順P1.4に従って製造。LC−MS:t=0.89min;[M+H]:546.11。旋光度:αD(c=10mg/mL EtOH)=−21.5°。1H NMR(MeOD、400MHz) δ7.39−7.37(m、2H)、7.30(t、J=6.4Hz、2H)、7.24−7.20(m、1H)、6.60(s、2H)、6.43(br d、J=7.6Hz、1H)、3.91(s、6H)、3.27−3.23(m、1H)、3.18−3.15(m、1H)、2.87(t、J=7.6Hz、2H)、2.54(sept、J=7.0Hz、1H)、2.47−2.37(m、4H)、2.21(s、3H)、2.19−2.12(m、1H)、2.01−1.92(m、5H)、1.75−1.65(m、2H)、1.48−1.38(m、1H)、1.27−1.19(m、1H)、1.16(d、J=7.0Hz、6H)。
【0112】
生物学的試験
インビトロアッセイ Lチャンネル
参照実施例1A、2Aおよび3AのLチャンネル拮抗活性(IC50値)を、下記の実験法に従って測定した。補助サブユニットβ−2a及びα2δ−1に加え、ヒトCa1.2チャンネルを発現するヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞を、培地(10%の熱非働化ウシ胎児血清(FCS)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのG418、40μg/mlのゼオシン及び100μg/mlのハイグロマイシンを含むDMEM)で培養する。細胞を、384穴ブラッククリアボトム滅菌済プレート(poly−L−lysine−コート、Becton Dickinson)に、20.000細胞/ウェルにてシードする。シードしたプレートを、37℃、5% COにて、一晩インキュベートする。アッセイにおいて20mMの最終濃度で使用するため、アッセイバッファー(0.1%のBSA、20mMのHEPES、0.375g/lのNaHCOを含み、NaOHでpH7.4に調整したHBSS)中の80mMストックソリューションとして、KCl溶液を調製する。拮抗薬は、DMSO中の10mMストックソリューションとして調製し、384穴プレート内で、まずDMSOで、次にアッセイバッファーで希釈し、3xのストックを得る。アッセイの日に、25μlの染色バッファー(20mMのHEPES、0.375g/lのNaHCO及び3μMの蛍光性カルシウム指示薬fluo−4 AM(10%のpluronicを含む、DMSO中の1mMストックソリューション)を含むHBSS)を、シードしたプレートの各ウェルに添加する。384穴セルプレートを、37℃、5%COで60minインキュベートした後、各ウェルを、50μlのアッセイバッファーで2回洗浄し、各ウェルにつき50μlの同バッファーを、室温での平衡化(30−60分)のために残しておく。Fluorescent Imaging Plate Reader(FLIPR、Molecular Devices)内で、各ウェルにつき25μlの拮抗薬をプレートに添加し、3minインキュベートし、最後に、細胞の脱分極のために、各ウェルにつき25μlのKCl溶液を添加する。各ウェルについて、2秒のインターバルで8分間、蛍光を測定し、各蛍光ピークの曲線下の面積を、拮抗剤の代わりにビークルを用いた場合に、20mM KClにより誘導される蛍光ピークの面積と比較する。各拮抗薬について、IC50値(KCl−により誘導される蛍光反応の50%を阻害するのに必要な化合物の(nMで表した)濃度)を、10μMまで測定する。
【0113】
参照実施例化合物1A、2Aおよび3AのIC50値が測定され、156〜439nMの範囲内である。
【0114】
インビトロアッセイ Tチャンネル:
参照実施例1A、2Aおよび3AのTチャンネル拮抗活性(IC50値)を、下記の実験法に従って測定し、データを表1に示す。
【0115】
ヒトCa3.1、Ca3.2又はCa3.3チャンネルをそれぞれ発現するヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞を、培地(10%の熱非働化ウシ胎児血清(FCS)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン及び1mg/mlのG418を含むDMEM)で培養する。細胞を、384穴ブラッククリアボトム滅菌済プレート(poly−L−lysine−コート、Becton Dickinson)に、20.000細胞/ウェルにてシードする。シードしたプレートを、37℃、5%COにて、一晩インキュベートする。アッセイにおいて10mMの最終濃度で使用するため、TEA−ヒドロキシドでpH7.2に調整した、100mMのテトラメチルアンモニウムクロリド(TEA−クロリド)、50mMのHEPES、2.5mMのCaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl中の100mMストックソリューションとして、Ca2+溶液を調製する。拮抗薬は、DMSO中の10mMストックソリューションとして調製し、384穴プレート内で、まずDMSOで、次にTEA−ヒドロキシドでpH7.2に調整した、100mMのTEA−クロリド、50mMのHEPES、2.5mMのCaCl、5mMのKCl、1mMのMgClで希釈し、9xのストックを得る。アッセイの日に、25μlの染色バッファー(20mMのHEPES、0.375g/lのNaHCO及び3μMの蛍光性カルシウム指示薬fluo−4 AM(10%のpluronicを含む、DMSO中の1mMストックソリューション)を含むHBSS)を、シードしたプレートの各ウェルに添加する。384穴セルプレートを、37℃、5%COで60minインキュベートした後、各ウェルを、0.1%のBSA、20mMのHEPES、0.375g/lのNaHCOを含むHBSS、50μlを用いて2回洗浄し、各ウェルにつき50μlの同バッファーを、室温での平衡化(30−60分)のために残しておく。Fluorescent Imaging Plate Reader(FLIPR、Molecular Devices)内で、各ウェルにつき6.25μlの拮抗薬をプレートに添加し、3minインキュベートし、最後に、各ウェルにつき6.25μlのCa2+溶液を添加する。各ウェルについて、2秒のインターバルで8分間、蛍光を測定し、各蛍光ピークの曲線下の面積を、拮抗剤の代わりにビークルを用いた場合に、10mM Ca2+により誘導される蛍光ピークの面積と比較する。各拮抗薬について、IC50値(Ca2+により誘導される蛍光反応の50%を阻害するのに必要な化合物の(nMで表した)濃度)を、10μMまで測定する。
【0116】
【表1】

【0117】
Langendorff法(Lgdff)による単離した心臓に対する効果
参照実施例1A、2Aおよび3Aを、それらの血圧降下作用及び心筋収縮に対するそれらの効果について試験した。単離したマウスの心臓に対するEC50を、文献(Doring HJ.、The isolated perfused heart according to Langendorff technique−−function−−application、Physiol. Bohemoslov. 1990、39(6)、481−504;Kligfield P、Horner H、Brachfeld N.、A model of graded ischemia in the isolated perfused rat heart、J.Appl.Physiol.1976 Jun、40(6)、1004−8)に従って測定した。
【0118】
上記のLangendorff試験について記載した手順を用い、参照実施例1Aの化合物について5nMのEC50が測定された。
【0119】
II. 「化合物」の塩結晶型の製造
II.a) 「化合物」を用いた塩形成の一般的手順:
1eq.の「化合物」を溶媒1に溶解した。溶液を50℃にした。溶媒2に溶解した2当量の酸を添加した。混合物を50℃にて5min攪拌し、そして熱源のスイッチを切った。混合物を1時間以内にrtに冷ました。沈殿が観察された場合には、混合物をろ過し、そして固形物を単離した。固形物が得られない場合には、混合物を蒸発乾固し、そして6容量のヘプタンを添加した。混合物を加熱還流し、全部が溶解するまで3容量のEtOAcを添加した。溶解が完了しない場合には、さらに3容量のEtOAcを添加した。溶解がなお完了しない場合には、できるだけ少量のMeOHを、溶解が完了するまで添加した。混合物をゆっくりとrtに冷ました。Rtにて、容器をスパチュラで引っかき、そして0℃にさらに冷却した。混合物をろ過し、そして溶液をrotavapor上で蒸発乾固した。
【0120】
ここで使用する「容量」という用語は、1kgの固形物質に対して1Lを意味する。
【0121】
溶媒1=ベンゼンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、サッカリン、パラ−トルエンスルホン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、リンゴ酸、グリコール酸、ケトグルタル酸及びフマル酸に対しては、8容量のEtOAc;
溶媒1=臭化水素酸及び塩酸に対しては、1.8容量のEtOAc;
溶媒1=硫酸及びリン酸に対しては、8容量のアセトン;
溶媒1=クエン酸、コハク酸及び酒石酸に対しては7容量のアセトン。
溶媒2=クエン酸に対しては7容量のEtOAc;
溶媒2=ベンゼンスルホン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、サリチル酸及びサッカリン(部分的に溶解性)に対しては3容量のEtOAc;
溶媒2=パラ−トルエンスルホン酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、リンゴ酸、グリコール酸、ケトグルタル酸及びフマル酸に対しては3容量のMeOH;
溶媒2=コハク酸に対しては15容量のアセトン;
溶媒2=酒石酸に対しては12容量のEtOH;
溶媒2=臭化水素酸、塩酸、硫酸及びリン酸に対しては水。
【0122】
上記の一般的手順を用いて得られた結果を、表1及び2に要約する。「化合物」の塩結晶型を製造するために特定の手順を用いた場合には、そのうような手順を、下記の参照実施例S1及び実施例S2〜S7に記載する。
【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
参照実施例S1:「化合物」の二−塩酸塩の製造及び定性分析
7.598mLのaq.HCl(0.1N)を200.7mgの「化合物」に添加し、白色の懸濁液を生成させた。5mLの2−PrOHを添加し、そして得られた清澄な溶液を窒素下で蒸発乾固させた。4mLのTBMEを残渣に添加し、そして懸濁液を温度サイクル(T1=20℃、T2=25℃、それぞれの保持時間1h;加熱及び冷却速度は5℃/h、500rpm)の下で振とうした。サイクルを18回繰り返した後、懸濁液をろ過し、そして固形物を真空乾燥して、「化合物」の二−塩酸塩、265mgを得た。
【0128】
【表6】

【0129】
実施例S2:「化合物」の二−メタンスルホン酸塩の製造及び定性分析
0.0476mLのメタンスルホン酸を、7mlのEtOAcに溶解した、199.7mgの「化合物」の清澄な溶液に添加した。この清澄な溶液を窒素下で蒸発乾固し、そして得られた残渣を、4mLのEtOAc/ヘプタン(1:3)混合物中に懸濁し、そして温度サイクル(T1=20℃、T2=25℃、それぞれの保持時間1h;加熱及び冷却速度5℃/h、500rpm)の下で振とうした。サイクルを18回繰り返した後、懸濁液をろ過し、そして固形物を真空乾燥した。得られた固形物を1mLのTBMEに懸濁し、そして温度サイクル(T1=20℃、T2=25℃、それぞれの保持時間1h;加熱及び冷却速度5℃/h、500rpm)の下で振とうした。サイクルを18回繰り返した後、懸濁液をろ過し、そして固形物を真空乾燥して、「化合物」の二−メタンスルホン酸塩を得た。
【0130】
【表7】

【0131】
実施例S3:「化合物」の二−パラ−トルエンスルホン酸塩の製造及び定性分析
199.7mgの「化合物」を、7mLのEtOAcに溶解した。10mLのEtOAcに溶解した、139.2mgのパラ−トルエンスルホン酸を添加した。清澄な溶液を窒素下で蒸発乾固し、そして残渣を、4mLのEtOAc/Hept(1:3)混合物に懸濁し、そして温度サイクル(温度サイクル:T1=20℃、T2=25℃、それぞれの保持時間1h;加熱及び冷却速度5℃/h、500rpm)の下で振とうした。サイクルを18回繰り返した後、溶媒を窒素下で蒸発させ、そして固体残渣を2mlのEtOAcに懸濁した。短時間(3min)の超音波処理の後、懸濁液を、温度サイクル(温度サイクル:T1=20℃、T2=25℃、それぞれの保持時間1h;加熱及び冷却速度5℃/h、500rpm)の下で振とうした。サイクルを18回繰り返した後、懸濁液をろ過し、そして固形物を真空乾燥して、173.8mgの「化合物」の二−パラ−トルエンスルホン酸塩を得た。
【0132】
【表8】

【0133】
実施例S4:「化合物」の硫酸塩の製造及び定性分析
0.733mLの水性硫酸(0.5M)を、200.2mgの「化合物」のMEK10mL中の溶液に添加し、清澄な溶液を生成させた。2日後、得られた懸濁液をろ過し、そして固形物を1h真空乾燥して、約6当量の水を含む、「化合物」のモノ硫酸塩を得た。
【0134】
【表9】

【0135】
実施例S5:「化合物」の二−マレイン酸塩の製造及び定性分析
MeOH(630mL、1.1容量)に溶解したマレイン酸(256g、2.2mol、2.1eq)を、「化合物」(682g、84%w/w(NMRアッセイ)、1.05mol)のEtOAc(6.3L、11容量)中の還流溶液に添加した。得られた混合物を還流下で15分攪拌し、次いで30分以内に65−68℃に冷却し、そして「化合物」の二−マレイン酸塩のシードクリスタル(シードクリスタルは、同じプロトコルを用いた注意深い結晶化の後に得られた。)0.04%w/wでシードした。次いで、混合物を3h以内に65−68℃から40℃に冷却した。次いで、得られた懸濁液を1hに渡って20℃に冷却し、0.2barの窒素下でろ過し、そしてEtOAc(1500mL 2.6容量)でリンスした。次いで、得られた白色の固体を、1気圧の窒素下で24時間乾燥して、「化合物」の二−マレイン酸塩715g(88%)を得た。
【0136】
【表10】

【0137】
実施例S6:「化合物」のセスキ−フマル酸塩の製造
199.5mgの「化合物」を、5mLのEtOAcに溶解した。85.4mgのフマル酸の、5mLのTHF中の清澄な溶液を、ゆっくりと添加した。得られた清澄な溶液を、窒素下で3mLの溶液に濃縮し、沈殿を生成させた。混合物をろ過し、そして固形物を真空乾燥した。得られた固体は、「化合物」のセスキ−フマル酸塩であった。
【0138】
【表11】

【0139】
実施例S7:「化合物」の二−臭化水素酸塩の製造
水性臭化水素酸の2モル水溶液0.3665mLを、199.8mgの「化合物」の、0.4mlのTHF中の溶液にゆっくりと添加し、そして得られた懸濁液を加熱した(ヒートガン)。清澄な溶液をr.t.に冷却して、沈殿を生成させた。3mLのTHFを添加し、懸濁液を振とうし、そして固形物を真空乾燥した(1h、3mbar)。得られた固体は、約3当量の水を含む、「化合物」の二−臭化水素酸塩であった。
【0140】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩であって:
・1当量のイソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル;
・臭化水素酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸及びエタンスルホン酸から成る群より選択される酸、1〜2当量からなる酸成分;及び
・0〜5当量の水
からなる上記結晶塩。
【請求項2】
化合物が光学的に活性なイソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルである、請求項1に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項3】
当該結晶塩の酸成分が、1又は2当量の臭化水素酸、1又は2当量の硫酸、1又は2当量のマレイン酸、1〜2当量のフマル酸、1又は2当量のメタンスルホン酸、1又は2当量のパラ−トルエンスルホン酸、1又は2当量のベンゼンスルホン酸、1〜2当量のナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1又は2当量のナフタレン−2−スルホン酸又は1又は2当量のエタンスルホン酸からなる、請求項1又は2に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項4】
当該結晶塩の酸成分が、2当量の臭化水素酸、2当量のマレイン酸又は1.5当量のフマル酸からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項5】
当該結晶塩が:
・1当量の化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステル;
・2当量のマレイン酸;及び
・0当量の水:
からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項6】
粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:10.15°、20.39°及び22.63°におけるピークの存在により特徴づけられ、当該粉末X線回折ダイアグラムが、Cu Kα1照射を用いることにより得られ、そして2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である、請求項5に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項7】
粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.07°、8.19°、10.15°、15.26°、17.61°、20.39°、22.63°、23.93°、24.27°及び25.61°におけるピークの存在により特徴づけられ、当該粉末X線回折ダイアグラムが、Cu Kα1照射を用いることにより得られ、そして2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である、請求項5に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項8】
図5に表される粉末X線回折パターンを本質的に示す、請求項5に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項9】
本明細書に記載の方法を用い、示差走査熱量測定により決定した約147℃の融点を有する、請求項5に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項10】
1. 「化合物」(682g、84%w/w、1.05mol)のEtOAc(6.3L、11容量)中の溶液を還流し;
2. MeOH(630mL、1.1容量)中に溶解したマレイン酸(256g、2.2mol、2.1eq)を添加し;
3. 得られた混合物を還流下で15分間攪拌し、そして30分以内に65−68℃に冷却し;
4. 0.04%w/wのシードクリスタルで任意にシードし;
5. 3時間以内に当該混合物を40℃に冷却し;
6. 1時間以内に当該混合物を20℃に冷却し;
7. 0.2barの窒素下、固形物をろ過し、そして当該固形物をEtOAc(1500mL 2.6容量)でリンスし;そして
8. 当該固形物を1気圧の窒素下で24時間乾燥する;
ことにより得ることができる、請求項5に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項11】
当該結晶塩の酸成分が1.5当量のフマル酸からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項12】
粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:5.27°、8.05°及び20.61°におけるピークの存在により特徴づけられ、当該粉末X線回折ダイアグラムが、Cu Kα1照射を用いることにより得られ、そして2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である、請求項11に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項13】
当該結晶塩の酸成分が2当量の臭化水素酸からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項14】
粉末X線回折ダイアグラムにおいて、以下の屈折角2θ:9.3°、15.6°及び17.3°におけるピークの存在により特徴づけられ、当該粉末X線回折ダイアグラムが、Cu Kα1照射を用いることにより得られ、そして2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である、請求項13に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
慢性安定狭心症、高血圧、(腎臓及び心臓の)虚血、心房細動を含む不整脈、心肥大又はうっ血性心不全の治療又は予防のための医薬粗製物の製造のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の、化合物、イソ酪酸 (1R,2R,4R)−2−(2−{[3−(4,7−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロピル]−メチル−アミノ}−エチル)−5−フェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−イルエステルの結晶塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−506416(P2012−506416A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532754(P2011−532754)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054637
【国際公開番号】WO2010/046857
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】