説明

イヌリンタイプフルクタンを含む化粧品リンス−オフ組成物

髪及び/又は皮膚のトリートメントのための化粧品リンス−オフ(すすぎ流し)組成物の製造のためのイヌリンタイプフルクタンの使用が開示される。その組成物は、慣用の量での慣用の成分とは別に、0.10〜10%のイヌリンタイプフルクタンを含み、そして(i)陽イオン性重合体、(ii)ウレタン基を有する非イオン性単量体を含む三元重合体、そして(iii)イヌリンタイプフルクタンとは異なる多糖類を含まない。本発明に従う典型的なリンス−オフ組成物はまた、イヌリンタイプフルクタン中に天然に存在する単糖類及び二糖類とは別に、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、二−及びオリゴ−糖類を含まない。生物分解性であり、そして表面水上に富栄養化作用を有せず、従来の化粧品リンス−オフ組成物中の陽イオン性重合体コンディショニング剤を完全に代替えするために用いられることができる。新規なリンス−オフ組成物がまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌリンタイプフルクタンを含む化粧品リンス−オフ(すすぎ流し:rinse−off)組成物に関し、その製造方法に関し、ならびに化粧品リンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニング剤の全体的代替物としてのイヌリンタイプフルクタンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリンス−オフ(すすぎ流し)組成物は経済的に重要なクラスの化粧品を構成する。リンス−オフ組成物は、それらの適用後に、一方では所望の化粧品効果を与える量で髪及び/又は皮膚上に一種以上の成分の付着物を残しながら、水ですすぎ流される(リンスされる)髪及び/又は皮膚のトリートメントのために意図される水性組成物である。典型的なリンス−オフ組成物は、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、シャワーシャンプー、シャワーゲル及び浴用フォーム(foams)を包含する。リンス−オフ組成物の主要な特徴は、クリーニング(清浄化)効果及びせっけん泡立ち効果、及び髪にトリートメントを意図する場合のコンディショグ効果の提供、及び皮膚のトリートメントを意図する場合の柔軟な且つ滑らかな感触の提供を包含する。さらに、重要な特徴はリンス−オフ組成物の粘稠性、均質性及び安定性を包含する。
【0003】
そこで、リンス−オフ化粧品の組成は、大部分は意図される適用により決定される。したがって、リンス−オフ組成物に所望の物理化学的性質を提供するために、そして意図する適用のための所望の化粧品性質及び効果を提供するために種々の成分を含有する。
【0004】
本明細書において、従来の化粧品リンス−オフ組成物の構成成分(components)を成分(ingredients)と称する。
第1のクラスの成分は、せっけん及び洗浄剤を包含するクリーニング(清浄)剤(クレンジング剤)により構成される。後者の洗浄剤は、陰イオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤、及びそれらの混合物を包含する。顕著な張力活性(tensio−active)及びせっけん泡立ち形成性の性質を有するクリーニング剤は豊富な泡を提供し、そしてほこり、天然脂肪及び発汗の残留物のような汚染物質を、髪及び皮膚から有効に除去するのを促進する。
【0005】
第2のクラスの成分は、髪のトリートメントのためのリンス−オフ組成物の必須成分であるコンディショニング剤により構成される。コンディショニング剤は、髪における静電気を最少にし、そして髪を容易に操作し易いようにし、容易にもつれをほぐすことが可能になるようにし、そして濡れた髪及び乾いた髪を櫛で梳かすのが容易であり、且つ滑らかであるようにする。さらに、それらは、髪にボリューム感、光沢及び柔軟性を与える。これらの及び他の通常の化粧品効果を、また本明細書においてコンディショニング性質又はコンディショニング効果と慣例的に称する。
【0006】
コンディショニング剤は、化粧品組成物をすすぎ流した(リンスした)ときに、髪の所望のコンディショニング性質を提供する付着物を髪上に残す、陽イオン性−、陰イオン性−及び非イオン性コンディショニング剤として本明細書において称される、陽イオンタイプ、陰イオンタイプ又は非イオンタイプの化合物である。
【0007】
陽イオン性コンディショニング剤は、典型的には陽イオン性重合体、即ち陽イオン基、及び/又は水性媒体中でイオン化可能であって、陽イオン基を形成する基を含有する、重合体化合物である。陽イオン基は、例えば四級窒素原子を有する基である。したがって、後者の陽イオン基を有する重合体は、しばしばポリ第四級化合物(polyquaternium compounds)と称される。
【0008】
陽イオン性重合体と言う用語により、本明細書において陽イオン性重合体コンディショニング剤を意味する。
髪は、マイナス(陰)に帯電されており、そして髪に相対するそれらの対向する電荷に起因して、陽イオン性重合体は容易に髪と相互作用し、そして前記陽イオン性重合体を含有する化粧品組成物をリンスした(すすぎ流しした)ときに髪の上に付着物を残す。髪の上の陽イオン性重合体の付着は、コンディショニング性質を提供する。なおまた、陽イオン性重合体は水をベースとするシャンプー組成物中で容易に溶解することができ、これはリンス−オフ組成物の調製を容易にする。
【0009】
陰イオン性コンディショニング剤は、いわゆる陰イオン性重合体、即ち1種以上のカルボン酸基を有する単位を含有する重合体化合物である。典型的な陰イオン性コンディショニング剤は、例えばアルギン酸塩である。
【0010】
非イオン性コンディシヨニング剤は、高分子量化合物及び或る種の重合体化合物を包含する、非イオン性タイプの化合物からなる。典型的な非イオン性タイプのコンディショニング剤は、種々のワックス状及び油性物質、及びシリコーン類、シリコーン含有共重合体を包含する。
【0011】
それらのマイナス(陰)電荷、及び電荷の不存在のそれぞれに起因して、陰イオン性タイプの化合物及び非イオン性タイプの化合物は、通常陽イオン性タイプの化合物に比較して、有効性が低いコンディショニング剤である。
【0012】
それらの性能及び水中への溶解性から考えて、陽イオン性重合体が好ましくはコンディショニング剤として使用され、そして現時点で、慣用の化粧品リンス−オフ組成物の約75%は、陽イオン性重合体を含有する。
【0013】
リンス−オフ組成物においてコンディショニング剤として使用される典型的な陽イオン性重合体は、WO 02/055036に開示されている。
【0014】
市場で手に入れることができる陽イオン性重合体は、(International Specialty ProductsからGafquatと言う商標名で市販されている)ビニルピロリドン、及び硫酸ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの単独重合体、及び(ONDED Nalcoから商標名Merquatとして市販されている)塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体、そして(Amercholから商標名UCARETMポリマーとして市販されている)セルロースの(トリメチル−アンモニウムプロピルエーテル)クロライド誘導体を包含する。
【0015】
別のクラスの成分は、いわゆる増粘剤又は粘度改良剤、即ち組成物がゲル又はクリーム、粘性液体、注入可能な又は自由流動性の液体として出現するように、所望の粘度を化粧品リンス−オフ組成物に与える成分により構成される。
【0016】
さらに、増粘剤をまた、リンス−オフ組成物に物理的安定性を与えるために使用する。これに関して、安定性とは組成物の均質性の維持を言う。増粘剤は、大部分組成物が乳液(エマルション)の形で存在する場合に組成物が異なる液体層に分離するのを防止し、組成物が懸濁液の形で存在する場合に固体相の沈降を防止し、又は若干の成分の結晶化を防止する。典型的に使用される増粘剤は、キサンタンガム、アルギン酸塩、及び架橋アクリル(共)重合体、例えばTego Carbomer(Degussa Care Specialtiesの商標名)及びCarbopol(Noveonの商標名)を包含する。
【0017】
化粧品リンス−オフ組成物はさらに,通常種々の追加の成分、例えば着色剤、香料、抗菌剤、pH−安定剤、酸化防止剤、及び或る種の成分の化学反応から生ずる暗色化を阻止する安定剤を含む。
【0018】
そこで、化粧品リンス−オフ組成物の所望の性質は、一方では物理化学的特徴、特に適当な粘度、物理的安定性及び良好なすすぎ流し(リンス)性質を包含し、そして他方では、皮膚の滑らかな感触及び髪の容易なもつれほぐし、柔軟な感触及び良好なコンディショニングのような、皮膚及び/又は髪上の化粧品効果を包含する。
【0019】
リンス−オフ組成物に前記及び他の所望の性質を与える成分についての調査において、種々の成分、及び成分の組み合わせが評価され、そして多種多様のリンス−オフ組成物が既に開示されてきた。
【0020】
例えば、或る種の糖類及び多糖類は、髪又は皮膚上に所望の化粧品効果、特に柔軟な且つ滑らかな感触を提供すにために開示され、その一方で、或る種の多糖類、特にでんぷん及び変性でんぷん、ペクチン類、ガム類及び他の重合体化合物、特にアクリル重合体は、増粘剤として開示された。
【0021】
しかしながらほとんどのこれらの成分及びそれらの組み合わせの使用は、しばしば一方では所望の化粧品性質を示すが、しかし他方では不十分な物理化学的性質及び/又は他の欠点を示す組成物を生じたか、又はその逆の場合を生じた。
【0022】
代表的な先行技術の組成物を下に示す。示されるすべてのパーセンテージ(%)は、他のように規定しない限りは、重量によるパーセントである。
【0023】
米国特許第2,237,629号は、パルミチン酸のモノエタノールアミドのスルホン酸エステルのアンモニウム塩の25%、糖(さとうきび砂糖)の10%、水の65%及び適当な量の香料及び/又は着色剤からなるシャンプーを開示している。
【0024】
米国特許第3,998,761号は、慣用の洗浄剤システム、典型的には合成スルホン酸塩又は合成非イオン性洗浄剤、及びコンディショニング剤としてビール固形分の4〜20%を含むシャンプー組成物を開示している。ビール固形分は主として、タンパク質類と、分子当たり1グルコース単位以上を含有する多分散性多糖類との混合物から構成される。そのシャンプーはさらに、慣用の成分、例えば、不透明化剤、金属封鎖剤、増粘剤、泡ビルダー、ビルダー及び抗菌剤を含む。
【0025】
米国特許第3,988,438号は、洗浄性ならびにコンディショニング性質を有するヘアシャンプーを開示しており、その組成は種々の洗浄剤、及び溶媒、安定剤、保存料、金属封鎖剤、香料及び着色剤のような添加剤に加えて、多糖類、即ちアルギン酸塩(好ましくはアルギン酸のトリエチルアミン(TEA)塩)を含む。
【0026】
EP 0591443は、病原性又は望ましくない微生物相菌株に相対して下記の有益な微生物相の発現を優先させることを目的として、皮膚の処置又は膣粘膜の処置のための組成物を製造するために、皮膚又は膣微生物相の有益な菌株により容易に代謝される、オリゴ糖類、即ちグルコ−オリゴ糖類、フルクト−オリゴ糖類、ガラクト−オリゴ糖類及びそれらの混合物の使用を開示している。オリゴ糖類の0.1〜20%及びそれ以上でさえ含むことができるその組成物は典型的には、シャンプー、液体せっけん又はボディ−乳液の形にある。
【0027】
米国特許第4,364,837号は、20〜75%の水、0.1〜30%の少なくとも1種の非イオン性又は陽イオン性コンディショニング剤、3〜60%の陰イオン性洗浄剤及び15〜70%の水混和性糖類を含む自由に注入することができるシャンプー組成物を開示している。前記糖類は、単糖類及び二糖類、主としてグルコースからなる鎖を有し、そして少なくともグルコースの3以上の単位を含有する多糖類分子ならびに水素添加生成物及びそれらの混合物を包含する。フクルトースへのグルコースの酵素変換により形成された高フルクトースシロップがまた、適当な糖類である。糖類は約20〜100のデキストロース当量を有しなければならない。そのシャンプー組成物の欠点は糖類のその高い含有量(15〜70%)である。
【0028】
米国特許第6,261,578号B1は、皮膚及び髪のトリートメントのための化粧品リンス−オフ組成物を開示しており、それはイヌリンを包含するが、しかし好ましくはグアルガムである多糖類、そしてα,β−モノエチレン不飽和を含有するカルボン酸からなる単量体、ウレタン基を有する非イオン性単量体、及び第1の上記単量体とは異なるモノエチレン不飽和を有する非界面活性性の単量体から構成されるアクリル三元重合体(ターポリマー)の組み合わせからなる。多糖類と前記三元重合体との組み合わせは、所望の化粧品性能と組み合わさってその化粧品組成物に所望の増粘性を提供する。しかしながら、WO 02/055034A2(第1頁第17行〜第19行)及びWO 02/055036A2(第1頁第18行〜第21行)によれば、前記組成物は、不十分なすすぎ流し(リンス)、酸性pHでの不十分な安定性、ケラチン質物質上への不十分な再配分及び/又は不十分な化粧品性質を包含する欠点がいぜんとして存在する。
【0029】
WO 02/055034A2は、化粧品的に許容できる媒体中に、少なくとも1種のフルクタン、好ましくはイヌリン、少なくとも1種の他の多糖類、及びケラチン質のトリートメントのために有益である少なくとも1種の薬剤の組み合わせを含有する髪及び皮膚のトリートメントのための化粧品リンス−オフ組成物を開示している。その組成物はビロードのような滑らかな質感を有し、容易にすすぎ流され(リンスされ)、そして髪及び皮膚に柔軟な感触を提供する。しかしながら、それらは所望の性質を提供するためには少なくとも2種の異なる多糖類を必要とする欠点を有する。この特徴はリンス−オフ組成物の組成及び製造を複雑にし、これは明らかに技術的及び経済的な欠点を生ずる。
【0030】
WO 02/055036A2は、化粧品的に許容できる媒体中に、陽イオン性重合体及び少なくとも1種のフルクタンの組み合わせを含む化粧品リンス−オフ組成物を開示している。その組成物は、髪のもつれほぐしを改良し、皮膚及び髪のようなトリートメントをほどこしたケラチン質物質に柔軟な感触を提供し、そして容易にすすぎ流し(リンス)をすることができる。
【0031】
化粧品リンス−オフ組成物が広範囲に使用される事実にもかかわらず、それでもやはり、1つ以上の不利な点又は欠点が存在する。典型的な不利な点は、広く使用される成分のかなり貧弱な生物分解性、特に陽イオン性重合体及びアクリレート含有重合体増粘剤のかなり貧弱な生物分解性を包含する。
【0032】
なお、また、ほとんどのリンス−オフ組成物は、陽イオン性重合体の存在から生ずるその上の不利な点を示す。コンディショニング剤としてのそれらの高度に望ましい性質にもかかわらず、はっきりと言えば陽イオン性重合体は、化粧品リンス−オフ組成物において毎年使用されるそれらの窒素含有量及び非常に多量の陽イオン重合体から生ずる、表層水上への望ましくない富栄養化作用を示す。したがって、陽イオン性重合体はコンディショニング剤として望ましさが少なくなってきており、そして化粧品リンス−オフ組成物においての陽イオン性重合体の使用を制限する傾向さえ存在する。
【0033】
したがって、好ましくは表層水の富栄養化への一因とならない容易に生物分解することができる成分から構成される、別のそして/又は改良された化粧品リンス−オフ組成物について、産業界では続けて調査研究している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的
本発明は、好ましくは、従来のリンス−オフ組成物の1つ以上の不利な点又は欠点が存在しない、髪及び/又は皮膚のトリートメントのための別の化粧品リンス−オフ(すすぎ流し:rinse−off)組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
発明の記載
別のリンス−オフ組成物を調査研究して、本発明者等は、フルクタンタイプの糖類、特にイヌリンタイプのフルクタン類がコンディショニング剤として適当であり、そして所望のコンディショニング効果及び所望の性質を提供する水性化粧品リンス−オフ組成物の製造のための構成成分として適当であることを見い出した。さらに、本発明者等は、イヌリンタイプフルクタン類の使用が従来の水性化粧品リンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニング剤(陽イオン性重合体)の全体的な代替えを可能にすることを、驚くべきことに見い出した。
【0036】
便宜のために、本明細書において、本発明に従うリンス−オフ組成物を構成する物質を構成成分(component)と称する。これとは異なって、上に記載したように、従来のリンス−オフ組成物を構成する物質を本明細書において、成分(ingredient)と称する。さらに、組成物に関して、%(パーセント)は、以後、重量パーセント(重量%)について称する。
【0037】
したがって、第1の面において、本発明は、リンス−オフ組成物が、(リンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して乾燥物質重量パーセント(%)で)0.10〜10%、好ましくは0.5〜5%、最も好ましくは1〜3%のイヌリインタイプフルクタンを含むことを特徴とし、そしてリンス−オフ組成物は(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤が存在せず、(ii)α,β−モノエチレン不飽和を含有するカルボン酸からなる単量体、ウレタン基を有する非イオン性単量体及び第1の上に記載された単量体とは異なるモノエチレン不飽和を有する非界面活性性単量体から構成される三元重合体(ターポリマー)(以後略して“三元重合体”と称する)が存在せず、そして(iii)イヌリンタイプフルクタンとは異なる多糖類が存在しないことを特徴とする、化粧品リンス−オフ組成物の製造のためのイヌリンタイプフルクタンの使用に関する。
【0038】
典型的な態様において、リンス−オフ組成物は、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類、二糖類とは別に、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、二−及びオリゴ−糖類がまた、存在しない。したがって、フルクトース、グルコース、スクロース及びジフルクトースの二無水物は、本発明に従うリンス−オフ組成物中に存在することができる。
【0039】
慣用的に、オリゴ糖類は、10以下の重合度(DP)を有する糖分子を称し、それに対して多糖類は10より高いDPを有する糖分子を称する。
【0040】
イヌリンタイプフルクタンとは別に、本発明に従うリンス−オフ組成物の前記構成成分は、上記制限以外は、慣用のリンス−オフ組成物の、慣用的量で1種以上の成分により構成される。
【0041】
イヌリンタイプフルクタンは、そのリンス−オフ組成物のコンディショニング効果の種類及び性能に実質的に影響することなしに、リンス−オフ組成物中に完全に溶解されることができるか又はほんの部分的に溶解されることができる。
好ましい態様において、イヌリンタイプフルクタンは、コンディショニング剤として典型的に使用される。
【0042】
追加の好ましい態様において、イヌリンタイプフルクタンは、従来の化粧品リンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニング剤に対する全体的な代替物として用いられることができる。この代替えのための、陽イオン性重合体:イヌリンタイプフルクタンの重量比は重要ではないけれども、その比は好ましくは1:1〜1:10の範囲内にある。
【0043】
第2面において、本発明は、(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤、(ii)上に規定されたとおりの三元重合体、及び(iii)イヌリンタイプフルクタンとは異なる多糖類を除いて、リンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して、乾燥物質重量パーセント(%)で0.10〜10%、好ましくは0.5〜5%、最も好ましくは1〜3%のイヌリンタイプフルクタン、水、及び慣用の化粧品リンス−オフ組成物の慣用の量での1種以上の成分により構成される1種以上の他の構成成分が、一緒に混合されることを特徴とする、化粧品リンス−オフ組成物の製造方法に関する。
【0044】
典型的な態様において、イヌリンタイプフルクタン構成成分又は前記他の構成成分はいずれも、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類及び二糖類の他には、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、二糖類及びオリゴ糖類を含まない。
【0045】
本発明に従う方法は、慣用の技術に従って行うことができる。構成成分の同時混合は、回分式であるか、あるいは直列式混合のような連続方法で行うことができる。
【0046】
回分式同時混合は、例えば下記のとおりにして行うことができる:予め設定された量の水に、かきまぜながら、構成成分を別々に又は同時に加えて、そして均質な組成物が得られるまでかき混ぜを続ける。過度な泡形成を避けるために、混合物をゆっくりとかき混ぜる。かき混ぜは、典型的には小さな混合用バッフルのみを有する反応器中で低い速度で回転するアンカー(anchor)かき混ぜ機により行われる。構成成分の添加の順序は重要ではないけれども、過度の泡形成を避けるために、関連する成分を有する慣用のリンス−オフ組成物の製造のために通常使用される順序に従うことが推奨される。したがって通常は泡形成性界面活性剤及び増粘剤とは別の、構成成分と共に予め設定された量の水を装入する。前記混合物の均質化後に、混合物が均質になるまで低い速度でかき混ぜながら、続いて界面活性剤及び最後に増粘剤を加える。
【0047】
本発明の方法に従う同時混合は、1種以上の構成成分を一緒に混合する;構成成分の一部分を、それ以外の残りの構成成分及び/又は前記の構成成分の一部を相補する部分を含む1以上の予備混合物(premix)組成物と共に一緒に混合するか、あるいは2つ以上の予備混合物組成物を同時に混合することにより、任意に行われることができる。同時混合方法において、水は任意に予備混合物の1つ以上に部分的に又は全体的に包含されることができる構成成分として考えられる。予備混合物の使用は好ましく、そして実際的な及び/又は技術的な理由のために有益であろう。
【0048】
1種以上の構成成分の溶解性を増大させ、そして/又は同時混合を容易にするために、混合物又は予備混合物を温めることは、ときには有益であろう。混合物又は予備混合物を温めることができる最大温度は当業者に知られているか、又は日常の実験により容易に決定することができる。
【0049】
また、所望の均質な混合物を得るための適当な装置、方法及びかき混ぜ持続時間は当業界に周知であるか、又は日常の実験により、不当な負担なしで、当業者により決定されることができる。
【0050】
第3の面において、本発明は、(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤、(ii)上に定義されたとおりの三元重合体、及び(iii)イヌリンタイプフルクタン類とは異なる多糖類を除いて、リンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して乾燥物質重量パーセント(%)で0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、最も好ましくは1〜3%のイヌリンタイプフルクタン、水、及び慣用の化粧品リンス−オフ組成物の、慣用の量での1種以上の成分により構成される1種以上の他の構成成分を含有することを特徴とする化粧品リンス−オフ組成物に関する。
【0051】
典型的な態様において、本化粧品リンス−オフ組成物はまた、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類及び二糖類とは別に、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、二糖類及びオリゴ糖類が存在しない。
【0052】
本発明に従うリンス−オフ組成物は、それらの組成に依存して、溶液として、二液相混合物として、乳液(エマルション)として、又は懸濁液として出現することができる。それらは許容出来る物理化学的安定性を示し、そして典型的にはヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、シャワーシャンプー、シャワーゲル、又は浴用フォーム(foam)のような均質な、注入可能な又は自由流動性液体の形で出現する。
【0053】
フルクタンは、末端グルコース単位を有していてもよいか、又はそれを有していなくてもよいポリフルクトース分子からなる糖類から構成される。フルクタンはレバンとイヌリンとに細分類される。
レバンタイプのフルクタンは、フルクトース単位がβ(2−6)フルクトシル−フルクトース結合によりほとんどが相互に結合されているポリフルクトース分子から構成されている。レバンは或る種の植物種(species)により及び或る種の細菌により合成される。
【0054】
イヌリンタイプのフルクタンは、フルクトース単位がβ(2−1)フルクトシル−フルクトース結合により相互に、専ら又は主として結合されているポリフルクトース分子から構成されている。ポリフルクトース分子は、すべてのフルクトース単位が専らβ(2−1)フルクトシル−フルクトース結合により相互に結合されている場合は線状である可能性があるが、しかしまた、フルクトース単位がβ(2−6)フルクトシル−フルクトース結合により相互に或る程度まで、しかし50%未満について結合されている場合は分枝されている可能性がある。ポリフルクトース分子は、一般式GFn及びFm(但し、Gはグルコシル単位を表し、Fはフルクトシル単位であり、そしてn及びmは分子中のフクルトシル単位の数を示す整数である)により表される。値n+1及びmはDPにより表される重合度として言及され、そしてイヌリンタイプフルクタンのポリフルクトース分子の特徴である。
【0055】
イヌリンタイプフルクタンは当業界に周知である。それは多くの植物種により合成され、細菌活性から由来でき、例えばスクロースからインビトロで酵素的に合成されることができ、そして細菌源及び植物源の大きなイヌリン分子の部分加水分解により得られることができる。イヌリンタイプフルクタンは、ポリフルクトース分子の、av.DPとして示される数平均重合度(略して平均重合度)によりとりわけ特徴づけられる線状及び/又は分枝化ポリフルクトース分子の多分散混合物として天然に生ずる。イヌリンタイプフルクタンのDP及びav.DPはフルクタンの源により左右される。
【0056】
2〜10の範囲のDPを有する分子から構成されるイヌリンタイプフルクタンはオリゴフルクトース、フルクト−オリゴ糖又はイヌロ−オリゴ糖と、慣用的に且つ相互交換的に称される。2〜約100,000の範囲のDPを有する分子から構成されるイヌリンタイプフルクタンは、通常イヌリンと名づけられる。したがって、イヌリンタイプフルクタンにより、本明細書においてイヌリン及びオリゴフルクトースの両方を意味する。
【0057】
植物源からのイヌリンは、2〜約200、大部分は2〜約100の範囲のDPを有する。イヌリンは、チコリ(Cichorium intybus)の根茎から、きくいも(Jerusalem artichoke)(Helianthus tuberosus)及びダリアの根茎から、そしてブルーアガーベ(Blue Agave)の頭部(head)(pina)から、ほとんどが単離される。生来形、即ちDPを増加させたり又は減少させたりのための処理なしで、チコリイヌリンは2〜約70の範囲のDP及び約10〜約12のav.DPを有し、きくいもイヌリンは2〜約40の範囲のDP及び約6のav.DPを有し、ダリアイヌリンは約15〜約20のav.DPを有し、そしてアガーベイヌリンは約14〜約18のav.DPを有する。
【0058】
チコリイヌリンは、僅かに分枝されており(約2〜5%の分枝を含有する)、それに対してアガーベイヌリンは高度に分枝されている。
細菌由来のイヌリンは、通常、高度に分枝されており、そして通常約10,000〜約100,000の範囲の高いDPを有する。
【0059】
酵素的に合成されたイヌリンタイプフルクタンは、ほとんど10より低いDP、典型的には3〜5の範囲のDPを有する。
イヌリン分子の部分加水分解により得られたオリゴフルクトースは典型的には2〜約9の範囲のDPを有する。
【0060】
商業的な規模で、イヌリンは主としてチコリ根茎から製造される。チコリイヌリンは例えばRAFTILINEと言う商標名でORAFTI S.A.(ベルギー)から種々の等級で噴霧乾燥粉末として市販されている。典型的なRAFTILINEの等級は、ST(=2〜約70の範囲のDP及び10〜12のav.DPを有し、そして総計約8%のグルコース、フルクトース及びスクロースを含有する標準級)、GR(=顆粒化粉末の形での標準級)、LS(=10〜12のav.DPを有するが、しかしグルコース、フルクトース及びスクロースを総計1%未満で含有する低い糖の等級)、HP(=高い性能の等級、即ちグルコース、フルクース及びスクロースが本質的に存在しない、10〜約70の範囲のDP及び少なくとも約23のav.DPを有する長鎖イヌリン)を包含する。
【0061】
約14〜16のav.DPを有するアガーベイヌリンは、例えばIndustrias Colibri Azul S.A.de C.V.(メキシコ)からGAVEDIETPRと言う商標名で市販されている。
オリゴフルクトースは、植物源からの又は細菌源からのイヌリンの部分(酸性又は酵素)加水分解により、又は周知の技術に従ってインビトロ酵素合成により工業的規模で得ることができる。
【0062】
チコリイヌリンの部分的酵素加水分解により得られるオリゴフルクトースは、例えばRAFTILOSEと言う商標名でORAFTI S.A.(ベルギー)から幾つかの等級で市販されている。典型的な等級は、RAFTILOSEP95(2〜9のDP、主として2〜7のDP、及びグルコース、フルクトース及びスクロースの総計で最大約7%を有するオリゴフルクトース(乾燥物質(d.m.)に基づいて)≧93%を含有する約97%のd.m.を有する噴霧乾燥粉末)、RAFTILOSEL95(RAFTILOSEP95の組成に相当するd.m.組成を有する約75%乾燥物質を含有する水性液体)、及びRAFTILOSEL85(2〜約9、主として2〜約7の範囲のDP及び総計で約5〜10%のグルコース及びフルクトース、及び約5〜9%のスクロースのオリゴフルクトースを(d.m.に基づいて)約85を含有する約75%の乾燥物質を含有する水性液体)を包含する。
【0063】
インビトロ酵素合成により得られる3〜約5のDPを有するオリゴフルクトースは、例えばBegin−Meiji(フランス/日本)からACTILIGHT及びNEOSUGARの商標名で、そして米国のGTCからのNutrafloraの商標名で市販されている。
前記のイヌリンタイプフルクタン及びそれらの市販等級のすべは本発明に従って使用するために適している。
【0064】
本発明の好ましい態様において、イヌリンタイプフルクタンは、オリゴフルクトース、好ましくは2〜9、典型的には2〜7又は3〜5の範囲のDPを有するオリゴフルクトースである。高度に好ましいオリゴフルクトースは、チコリイヌリンから酵素加水分解により得られる、例えばORAFTI S.A.(ベルギー)からRAFTILOSEの商標名で市販されている商業等級の生成物である。
【0065】
本発明の他の好ましい態様においてイヌリンタイプフルクタンは2〜約200の範囲のDPを有するイヌリン、さらに好ましくは2〜約100の範囲のDPを有するイヌリン、典型的には2〜約100の範囲のDPを有する植物由来のイヌリンである。
【0066】
本発明の高度に好ましい態様においてイヌリンタイプフルクタンはチコリイヌリンである。本発明に従うイヌリンの好ましい等級は、2〜約70の範囲のDPを有するチコリイヌリン、例えば市販製品のRAFTILINEST、GR及びLS、ならびに約10〜約70の範囲のDP及び20〜25のav.DPを有する長鎖チコリイヌリン、例えば市販製品のRAFTILINEHP(RAFTILINE:ベルギーのORAFTI S.A.の商標名)を包含する。
【0067】
さらに好ましい態様において、イヌリンタイプフルクタンはきくいもからのイヌリン又はダリアからのイヌリンである。
本発明のなお他の好ましい態様において、イヌリンタイプフルクタンは、分枝化イヌリン、例えばアガーベイヌリン、典型的には市販製品GAVEDIETPR(メキシコのIndustrias Colibri Azul S.A.の商標名)のような約14〜18のav.DPを有するブルーアガーベからのイヌリンである。
【0068】
慣用のリンス−オフ組成物の成分により構成される前記他の構成成分及び通常使用されるその量は、当業者に周知である。別法として、本発明に従う特定のリンス−オフ組成物のための適当な成分及びその適当な量を、不当な負担なしに当業者により慣用の成分から日常的に選択し且つ決定することができる。典型的にはこれらの慣用の成分は、例えば、水は別として、石けん、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの混合物のような洗浄剤、クリーニング剤、及び泡ビルダー;泡安定剤;保存料;抗菌剤;安定剤;リンス−オフ組成物の色劣化を防止する薬剤;金属封鎖剤;ビルダー;増粘剤;着色剤;不透明化剤;及び香気付与剤、を包含する1つ以上のクラスの1種以上の化合物を含む。これらの慣用の成分は当業界において周知であり、そして例えばWO 02/055034、WO 02/055036及び米国特許第4,364,837号において開示されている。
【実施例】
【0069】
以下に提供される諸例により、本発明をさらに例示する。
例 1
ヘアシャンプーリンス−オフ組成物の調製
一般的な方法
異なる等級のイヌリンタイプフルクタンを用いて本発明に従うリンス−オフ組成物を、慣用の技術及び機器により以下のとおりにして調製した:
−−水、イヌリンタイプフルクタン、PEG−7グリセリンココエート(cocoate)及びPEG−200水素添加グリセリルパルメート(palmate)を混合し且つ均質化して予備混合物1(相A)を形成した。
−−予備混合物とは別に、すべての他の構成成分を混合し且つ均質化して予備混合物2(相B)を形成した。
−−次に予備混合物1及び予備混合物2を一緒にし、そして均質化し、そしてpHを所望の値に調節し(相C)、注入可能なヘアシャンプーを形成した。
【0070】
イヌリンタイプフルクタンを、イヌリンタイプフルクタンとは異なる糖類と置き換えるか、又は陽イオン性重合体、即ちポリクァテルニウム−10(Polyquaternium−10)(米国のAmercholからのUCAREポリマーJR400の商標名)と置き換えるかして、また前記一般的な方法に従って、比較用のヘアシャンプー組成物を調製した。
【0071】
調製したヘアシャンプーの組成を下記表1に示す。
[表1]
表 1
・30%のラウリル硫酸アンモニウム(第1界面活性剤)
(Ufarol AM30;ノルウェーUNGERの商標名)、
・7%のココアミドプロピルヒドロキシスルタイン(第2界面活性剤)
(Quvaq HSLS;ベルギーGOVAの商標名)、
・4%のSabodermSHO(=35%のPEG−7グリセリルココエート(c
ocoate)、35%のPEG−200水素添加グリセリルパルメート(palm
ate)、30%の水)(増粘剤及び泡形成剤)
(Saboderm:イタリーのSABOの商標名)、
・1%のPhenochem:(フェノキシエタノール+メチル−、エチル、プロピ
ル−、ブチル−パラベン)(保存料)
(Phenochem:イスラエルのSHARONの商標名)、
+コンディショニング剤(示されるとおりの%)は下記のいずれかである:
−イヌリンタイプフルクタン、又は
−陽イオン性重合体(ポリクァテルニウム−10(Ucareポリマー
JR−400:米国Amercholの商標名)又は
−イヌリンタイプフルクタンとは異なる糖類、
+くえん酸:5.5の所望のpHに到達させる量、
+水:組成物を100%に完成させる量。
【0072】
例 2
ヘアシャンプーリンス−オフ組成物の比較
例1において調製された組成物の泡形成を、以下の一般的な方法により試験した:5リットルのビーカー中1リットルのシャンプーに30秒持続時間中に予め設定された速度で窒素を吹き込み、そして形成された泡を測定した(泡のcmでの高さ)。調べたシャンプー及び結果を下記表2に示す。
【0073】
【表2】


*:比較例:イヌリンタイプフルクタンを0.5%ポリクァテルニウム−10により置き換えた。
【0074】
それらの結果から、ポリクァテルニウム−10コンディショニング剤が、イヌリンタイプフルクタンにより完全に置き換えられたシャンプーが5%の濃度で確実に、そして或るフルクタン類については10%の濃度まででさえ、良好な泡形成の性質をいぜんとして維持していることが分かる。
【0075】
例 3
例1に従うリンス−オフ組成物の幾つかの機能性をパネル試験により調べた。トリートメントされた髪の視覚的及び感覚的評価に基づいて、等級づけが示された。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
ST:RaftilineST(ベルギーOrafti S.A.の商標名);
P95:RaftiloseP95(ベルギーOrafti S.A.の商標名);
Raftisweet:RaftisweetF85/75(75%の乾燥重量での85%フルクトース/15%グルコースシロップ)(ベルギーOrafti S.A.の商標名);
Polyquat−10:Ucareポリマー−JR−400(米国Amercholの商標名);
・マルトデキストリン(1):Maltrin QD M440(DE 5のマルトデキストリンについてのGrain Processing Corp.〔GPC〕の商標名);
マルトデキストリン(2):Glucidex 19D(DE 19のマルトデキストリンについてのRoquettes Freres(フランス)の商標名;
・得点の記号:0:普通、中間;+1:良好;+2:いっそう良好;+3:非常に良好;−1:悪い;(そしてそれらの得点間の表示)。
【0078】
グルコース、フルクトース、スクロース及びマルトデキストリン類は効果が無く、それに対してイヌリンタイプフルクタンは、一般に所望のコンディショニング効果を提供し、特に良好な乾燥感触及びボリウム感を提供している。
【0079】
例 4
ヘアシャンプーリンス−オフ組成物の調製
例1の一般的方法に従ってイヌリンタイプフルクタン又は陽イオン性重合体ポリクァテルニウム−10(Polyquaternium−10)(*:比較用)を含有するシャンプー組成物を調製した。
【0080】
それらのシャンプーの組成は以下のとおりである:
[表4]
・30%のラウリル硫酸アンモニウム(第1界面活性剤)
(Ufarol AM 30:ノルウェーのUNGERの商標名)、
・7%のココアミドプロピルヒドロキシスルタィン(第2界面活性剤)
(Qovaq HSLS:ベルギー、GOVAの商標名)、
・4%のSabodermSHO(=35%のPEG−7グリセリル ココエート(
cocoate)、35%のPEG−200水素添加グリセリルパルメート(pal
mate)、30%の水)(増粘剤及び泡形成剤)(Saboderm:イタリー
のSABOの商標名)、
・1%のPhenochem:(フェノキシエタノール+メチル−、エチル−、プロ
ピル−、ブチル−パラベン)(保存量)(Phemochem:イスラエルのSH
ARONの商標名)、
・0.3%のヨーグルト粉末(Yogurtene:英国QUESTの商標名)、
・0.2%のPEG−14M(Polyox:Union Carbideの商標名
)、
・0.3%のビスヒドロキシエチルビスセチルマロンアミド(Questamide
H:英国QUESTの商標名)、
・0.5%のアンズの種油(ドイツHenry Lamotte製)、
・0.15%のNatureinカゼインペプチド(英国Quest製)、
・0.2%のNaturein米ペプチド(英国Quest製)、
・0.5%のグレープフルーツのVegebios(フランスSOLABIA製)、
・0.5%の白色いらくさグリコリセート(フランスSOLABIA製)、
・0.5%のレモングリコリセート(フランスSOLABIA製)、
+(下記表4において示されるものとして)イヌリンタイプフルクタン
RaftilineGR(ベルギーORAFTI S.A.)、又は
Polyquaternium−10(ポリクァテルニウム−10)
(UcareポリマーHR−400:米国Amerchol商標名)、
+水(組成物を100%に完成させる量)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0081】
リンス−オフ組成物の機能性を調べ、そして例3において示されたようにして等級をつけた。結果を下記表4に示す。
【表5】


得点の記号:0:普通、中間;+1良好;(そして得点間の表示)。
【0082】
それらの結果は、イヌリンタイプフルクタン、特に2〜約70の範囲のDP及び約10〜12のav.DPのチコリイヌリンにより、陽イオン性重合体コンディショニング剤を完全に置き換えたことにより、とりわけ良好な泡立ち性質及び良好なコンディショニング性質を提供する、シャンプとして適当であるリンス−オフ組成物を配合することができることを示している。
イヌリンタイプフルクタンの非常に適当な濃度は1〜5%、最適には約2%である。
【0083】
例 5
ヘアシャンプーの調製及び評価
シャンプーAと称する本発明に従うヘアシャンプー、及びシャンプーBと称する対応する従来の組成物を、下記表5に示される組成物を用いて例1において概略して示された一般的な方法により調製した。クエン酸の代わりに乳酸を、所望のpHに到達させるために用いた。
【0084】
【表6】


(1):ベルギーのORAFTI S.A.の商標名、
(2):UcareポリマーJR400(米国Amercholの商標名)、
(3):Polyox;米国Union Carbideの商標名、
(4):スイス国Luziの商標名。
【0085】
本発明に従うシャンプーの機能性を、イヌリンタイプフルクタンの代わりに陽イオン性重合体Polyquaternium−10(ポリクァテルニウム−10)を含有する対応シャンプー組成物と比較して、“ハーフ−ヘッド試験”で評価した。その評価は、下記表6に示されるような髪の長さ及びスタイルの範囲を包含するように選ばれた10人の被実験者のグループで二重盲検法研究として行われた。
【0086】
【表7】

【0087】
それらの試験は、“ハーフヘッド(half head)試験”、即ち被実験者の半数が、頭部の左側上にシャンプーAを受容し、そして右側上にシャンプーBを受容した。そして被実験者の第2の半数がそれとは異なる対向側にそれらのシャンプーを適用して受容した。
【0088】
得点システムは、0〜100の階級に基づいていた。湿潤髪感触以外は、得点が高ければ高いほどに良好な性能を示す。湿潤髪感触について最適な得点は50であり、脂ぎった過剰コンディショニング化感触は得点に0に帰しており、そしてばさばさした過剰洗い感触は得点100に帰している。
【0089】
評価されたパラメータの各々についての得点を、計算された平均値と一緒に下記表7に示す。これらの平均値をまた、図1に示されるレーダーチャート図上にプロットし、比較を容易にした。
【0090】
【表8】

【0091】
【表9】

【0092】
図1にはイヌリン又はポリクァテルニウム−10(Polyquaternium−10)を含有するヘアシャンプーの、10人の被実験者のグループについての“ハーフ−ヘッド試験”評価のレーダーチャート図が示される。
【0093】
イヌリンタイプフルクタンは、有効なリンス−オフ組成物の製造のために適しており、そしてリンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニング剤と完全に置き換わるために適していると言うことが図1から分かる。さらに、図1は、イヌリンタイプフルクタンを含有する髪リンス−オフ組成物と、又は陽性イオン重合体ポリクォタニウム−10(Polyquaternium−10)との間に、機能においてほとんど差が存在しないことを示している。
【0094】
イヌリンタイプフルクタンを、本発明に従う髪及び/又は皮膚のトリートメントのための化粧品リンス−オフ組成物の製造のために使用できること、そして前記組成物が陽イオン性重合体ポリクォタニウム−10(Polyquaternium−10)を含有する従来の標準の組成物の機能に匹敵できる機能を示す有効な化粧品リンス−オフ組成物であることが上記諸例から明らかに分かる。
【0095】
さらに、イヌリンタイプフルクタンは、化粧品リンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニング剤に対する全体的な代替物として適当であることが明らかである。陽イオン性重合体よりも高い量(重量%)のイヌリンタイプフルクタンを、匹敵できる機能性を得るために使用しなければ成らないかもしれない。しかしながら、陽イオン性重合体に比較しての、イヌリンタイプフルクタンの前記高い量は、陽イオン化合物の代わりにイヌリンタイプフルクタンの使用から生ずる幾つかの利点により相殺される。
【0096】
事実、本発明に従うリンス−オフ組成物には、その多くが貧弱な生物分解性であり、望ましくない富栄養化作用を有し、そして/又は或る程度細胞毒性である、望ましさが少ない陽イオン性重合体が存在しない。陽イオン性重合体とは異なって、イヌリンタイプフルクタンは、非毒性であり、容易に生物分解されることができ、そしてフルクタンも、その分解生成物もいずれも富栄養化を示さない。
【0097】
イヌリンタイプフルクタンの使用の追加の利点は、例えばDP範囲、av.DP、及び/又は水性媒体又は水性リンス−オフ媒体中の溶解性を考慮に入れることにより、意図した用途又は組成物のために最も適当なイヌリンタイプフルクタンを、日常の実験により、不当な負担なしに選ぶことを可能にする、種々の等級を手に入れることができることにある。
【0098】
さらに、異なるDP範囲を有する種々のイヌリンタイプのフルクタンの等級を手に入れることができることは、リンス−オフ組成物において用いられるイヌリンタイプフルクタンの等級を選ぶことにより、リンス−オフ組成物の粘度を僅かにだけ調節することを可能にする。
【0099】
なお、その上の利点は、種々の商業級のイヌリンタイプフルクタンが、手ごろな費用で容易に手に入れることができ、そしてそれらが継続できる資源材料である事実にある。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】イヌリン又はポリクォタニウム−10を含有するヘヤシャンプーの、10人の被実験者のグループについての“ハーフ−ヘッド試験”評価のレーダーチャート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪および/または肌をトリートメントするための化粧品リンス−オフ組成物の製造のためのイヌリンタイプフルクタンの使用であって、
前記リンス−オフ組成物が、リンス−オフ組成物の慣用の量での慣用成分とは別に、リンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して乾燥物質重量パーセント(%)で0.10〜10%のイヌリインタイプフルクタンを含むことを特徴とし、
(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤、
(ii)α,β−モノエチレン不飽和を含有するカルボン酸からなる単量体、ウレタン基を有する非イオン性単量体及び最初に記載した単量体とは異なるモノエチレン不飽和を有する非界面活性性単量体から構成される三元重合体(以後“三元重合体”)、及び
(iii)イヌリンタイプフルクタンとは異なる多糖類を含まないことを特徴とする使用。
【請求項2】
リンス−オフ組成物がまた、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類及び二糖類は別にして、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、二−及びオリゴ−糖類を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
イヌリンタイプフルクタンをコンディショニング剤として使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
イヌリンタイプフルクタンを、従来のリンス−オフ組成物における陽イオン性重合体コンディショニングの完全な代替物として使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
リンス−オフ組成物が、0.5〜5%の濃度でイヌリンタイプフルクタンを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
イヌリンタイプフルクタンがオリゴフルクトースであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
オリゴフルクトースが2〜9の範囲のDPを有することを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
オリゴフルクトースが3〜5の範囲のDPを有することを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
イヌリンタイプフルクタンがイヌリンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
イヌリンが2〜100の範囲のDPを有することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
イヌリンタイプフルクタンが2〜70の範囲のDPを有するチコリイヌリンであることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
イヌリンタイプフルクタンが、アガーベ、きくいも又はダリアからのイヌリンであることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤、(ii)請求項1に記載の三元重合体及び(iii)イヌリンタイプフルクタンとは異なる多糖類を除いて、請求項1、6〜12のいずれか1項に規定されたイヌリンタイプフルクタンをリンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して0.10〜10重量%、水、及び慣用のリンス−オフ組成物の慣用の量での1種以上の成分により構成される1種以上の他の構成成分を一緒に混合することを特徴とする、化粧品リンス−オフ組成物の製造方法。
【請求項14】
イヌリンタイプフルクタン構成成分又は前記他の構成成分はいずれも、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類及び二糖類は別にして、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類、又は二−及びオリゴ−糖類を含まないことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1種以上の構成成分を一緒に混合する;構成成分の1部分を、それ以外の残りの構成成分及び/又は前記の構成成分の一部を相補する部分を含む1以上のプレミックス組成物と一緒に混合する;あるいは2つ以上のプレミックス組成物を一緒に混合することを包含することを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
(i)陽イオン性重合体コンディショニング剤、(ii)請求項1に記載の三元重合体、及び(iii)イヌリンタイプフルクタン類とは異なる多糖類を除いて、請求項6〜12のいずれか1項に定義されたとおりのイヌリンタイプフルクタンをリンス−オフ組成物の合計重量に基づいて計算して0.10〜10重量%、水、及び慣用の化粧品リンス−オフ組成物の慣用の量での1種以上の成分により構成される1種以上の他の構成成分を含有することを特徴とする化粧品リンス−オフ組成物。
【請求項17】
リンス−オフ組成物がまた、イヌリンタイプフルクタンに天然に存在する単糖類及び二糖類は別にして、イヌリンタイプフルクタンとは異なる単糖類及び二−及びオリゴ−糖類を含まないことを特徴とする、請求項16に記載の化粧品リンス−オフ組成物。
【請求項18】
イヌリンタイプフルクタンがオリゴフルクトースであることを特徴とする、請求項16又は17に記載の化粧品リンス−オフ組成物。
【請求項19】
イヌリンタイプフルクタンがイヌリンであることを特徴とする、請求項16又は17に記載の化粧品リンス−オフ組成物。
【請求項20】
イヌリンが2〜100の範囲のDPを有することを特徴とする、請求項19に記載の化粧品リンス−オフ組成物。
【請求項21】
イヌリンタイプフルクタンが、チコリイヌリン、アガーベイヌリン、ダリアイヌリン及びきくいもイヌリンからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項20に記載の化粧品リンス−オフ組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−525488(P2007−525488A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543478(P2006−543478)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014035
【国際公開番号】WO2005/058258
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(500562363)テイエンセ スイケラフイナデリユ ナムローゼ フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】