説明

イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物、イミダゾールジペプチド類含有飲食品、及びイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法

【課題】魚介類を原料とし、イミダゾールジペプチド類を高含有しつつヒ素含有量が低く、更には、低塩分で、変色の少ないイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法を提供すること。
【解決手段】魚介類から抽出されたエキス類を脱塩処理し、得られた脱塩処理液を弱酸性イオン交換樹脂に通液させた後、前記弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄し、次いで塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させて、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素化合物の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品や飲食品等に幅広く用いることのできる、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物及びそれを含有する飲食品、並びにイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダゾールジペプチドは、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体にアミノ酸が結合したペプチドであり、代表的なものとして、アンセリン(β−アラニル−1−メチルヒスチジン)、カルノシン(β−アラニルヒスチジン)、バレニン(β−アラニル−3−メチルヒスチジン)が知られている。そして、イミダゾールジペプチドには、呈味増強効果があることから、調味料の分野での利用が検討されており、また、最近では、抗疲労効果や抗酸化性が見出され、機能性食品素材としても注目を集めている。
【0003】
イミダゾールジペプチドは、マグロやカツオなどの高速回遊魚や、牛、豚、鶏などの筋肉中に多く存在している。したがって、これらを原料とするエキス中には、イミダゾールジペプチドが豊富に含まれている。
【0004】
そして、これまでに、様々なイミダゾールジペプチドの精製方法が検討されており、例えば、下記特許文献1には、魚介類、家禽、家畜又は鯨の肉から得られるエキス類からタンパク質及び/又は脂肪を除去する前処理工程と、前記前処理工程で得られた処理液を、食塩阻止率の異なる2種以上の逆浸透膜を組み合わせて用いてイミダゾールジペプチド類を分離・精製する膜処理工程とを含むイミダゾールジペプチド類含有組成物を製造する方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、畜肉加工廃液並びにその濃縮物である畜肉エキスを、中性〜酸性条件のpHにおいて電気透析して脱塩することにより、L‐カルニチン、ヒスチジン関連ペプチド、タウリンを豊富に含む畜肉抽出物を製造する方法が開示されている。
【0006】
更に、下記特許文献3には、カツオ煮汁よりL−ヒスチジンを回収した母液を脱塩後、弱酸性イオン交換樹脂(H型)に通液して、アンモニア水で吸着成分を分別溶離して、カツオ煮汁からジペプチドを分離精製する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−092996号公報
【特許文献2】特開2001−046021号公報
【特許文献3】特公平6−093827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、魚介類から得られるエキス類には、イミダゾールジペプチド類が豊富に含まれており、資源量としても豊富に存在するものの、畜肉類等のエキス類に比べて多くのヒ素化合物が含まれている。
【0008】
カツオやマグロ等の魚介類に含まれるヒ素化合物は、毒性の低い有機態であり、また、その90%以上がアルセノベタインであることが知られている。しかしながら、一般的には、ヒ素化合物は、毒性の強い無機態の印象が強いため、製品イメージとしては良くない。更には、食品等におけるヒ素含量の基準は、有機態と無機態を分別していないため、魚介類から得られるエキス類を原料としたイミダゾールジペプチド類高含有組成物中にヒ素が残存している場合には、配合において種々の制限を受けてしまう。
【0009】
そこで、魚介類から得られるエキス類を原料とした場合、ヒ素化合物の分離除去処理が必要となる。しかしながら、魚介類に含有するヒ素化合物の主成分であるアルセノベタインは、分子量がイミダゾールジペプチド類に近く、また正負両方の電荷を有することから、アルセノベタインとイミダゾールジペプチドとの抽出・精製工程における挙動は非常に類似している。そのため、上記特許文献1、2に開示された方法では、アルセノベタインとイミダゾールジペプチド類とを分離することはできず、イミダゾールジペプチドの精製過程においてヒ素化合物も濃縮されてしまう。
【0010】
また、上記特許文献3に開示された方法であっても、アルセノベタインとイミダゾールジペプチド類とを効率よく分離することはできず、更には、上記特許文献3では、弱酸性イオン交換樹脂に吸着させたイミダゾールジペプチド類等の吸着物質を、アンモニア水を用いて溶出しているが、この溶出工程において、溶出液を褐変させてしまう。そのため、食品や化粧品等への配合において大きく影響をもたらし、用途が限定されたり、商品価値を低下させてしまう。
【0011】
その他にも、魚介類のエキス類からイミダゾールジペプチドを分離精製する方法は報告されているが、その手法や、使用する薬品等から工業的に利用できるものではなかった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、資源量として豊富に存在する魚介類由来のエキス類を活用すべく、魚介類を原料とし、イミダゾールジペプチド類を高含有しつつヒ素含有量が低く、更には、低塩分で、変色の少ないイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物及びそれを含む飲食品を提供することにある。また本発明のもう1つの目的は、魚介類を原料とし、イミダゾールジペプチド類を高含有しつつヒ素含有量が低く、更には、低塩分で、変色の少ないイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するにあたって、本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、魚介類から抽出して得られたイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物であって、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、魚介類由来でありながら、ヒ素の含有量が極めて少ないため、幅広い分野に利用することができる。
【0015】
また、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が、0.5以下であることが好ましい。これによれば、褐色の着色の少ないため、商品価値を低下させることなく幅広い飲食品に用いることのできる。
【0016】
また、塩分の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下であることが好ましい。これによれば、特に減塩飲食品などに好適に用いることができる。
【0017】
また、前記魚介類は、カツオ、マグロ、サケ、クジラ、ウナギ、サメから選ばれた1種以上であることが好ましい。更にまた、前記イミダゾールジペプチド類は、アンセリン、カルノシン、バレニンから選らればれた1種以上であることが好ましい。
【0018】
そして、本発明の飲食品は、上記イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を含有し、イミダゾールジペプチド類の含量が0.1%以上、かつヒ素の含量が0.15ppm以下であることを特徴とする。
【0019】
一方、本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法は、魚介類から抽出されたエキス類を脱塩処理し、得られた脱塩処理液を弱酸性イオン交換樹脂に通液させた後、前記弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄し、次いで塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させて、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を得ることを特徴とする。
【0020】
魚介類には、イミダゾールジペプチド類が豊富に含まれているものの、畜肉類等のエキス類に比べて多くのヒ素化合物が含まれている。本発明によれば、魚介類から抽出されたエキス類を、弱酸性イオン交換樹脂に通液させて、イミダゾールジペプチド類を吸着させた弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄することで、魚介類から抽出したエキス類から、ヒ素化合物を分離除去できる。これは、ヒ素化合物の、弱酸性イオン交換樹脂に対する吸着力は、イミダゾールジペプチド類のそれよりも弱いためであると考えられる。そして、水洗浄を行った弱酸性イオン交換樹脂を、塩酸を用いてイミダゾールジペプチド類を含む吸着物質を溶出させることで、溶出液の変色を抑制できる。
【0021】
本発明において、(1)前記塩酸で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液をpH2〜5.5に調整した後、活性炭脱色を行うことにより、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が0.5以下となるようにするか、(2)前記塩酸で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液を、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することにより、塩分含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下となるようにするか、(3)前記塩酸で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液を、pH2〜5.5に調整した後、活性炭脱色を行い、次いで、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することにより、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が0.5以下で、塩分含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下となるようにすることが好ましい。
【0022】
また、前記エキス類として、カツオ、マグロ、サケ、クジラ、ウナギ、サメから選ばれた1種以上の魚介類から抽出して得られる魚介エキスを用いることが好ましい。これらの魚介類は、イミダゾールジペプチド類を多く含んでいることから、イミダゾールジペプチド類の含有量の高いイミダゾールジペプチド類含有魚介抽出液とすることができる。
【0023】
また、前記水洗浄を、2〜20RVの通液量で行うことが好ましい。これによれば、ヒ素化合物を効率的に除去でき、ヒ素含有量の極めて少ないイミダゾールジペプチド類含有魚介抽出液とすることができる。
【0024】
また、魚介類から抽出されたエキス類を、食塩阻止率60〜80%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することが好ましい。上記塩分阻止率の逆浸透膜によって、イミダゾールジペプチド類と食塩とを効率的に分離できるので、塩分含有量の少ないイミダゾールジペプチド類含有魚介抽出液とすることができる。
【0025】
そして、更にスプレードライ処理を行い、粉末状のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、魚介類由来でありながら、ヒ素の含有量が極めて少なく、飲食品、化粧品等、幅広い分野に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物とは、魚介類から抽出して得られたエキス類から、イミダゾールジペプチド類を分離精製させた抽出物であって、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下である。
【0028】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の原料となる魚介類としては、イミダゾールジペプチド類を含有していれば特に制限されないが、例えば、カツオ、マグロ、サケ、クジラ、ウナギ、サメ等が挙げられ、資源量として豊富なカツオやマグロが特に好ましい。
【0029】
そして、本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が、0.5以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましい。前記吸光値が0.5以下であれば化粧品や飲食品に配合した際の色調に及ぼす影響が少ない。
【0030】
また、本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、塩分の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下であることが好ましく、0.2以下がより好ましい。
【0031】
次に、本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法について説明する。
【0032】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法は、魚介類から抽出されたエキス類を脱塩処理する脱塩処理工程と、脱塩処理工程で得られた脱塩処理液を弱酸性イオン交換樹脂に通液させる吸着工程と、吸着工程後の弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄する洗浄工程と、洗浄工程後の弱酸性イオン交換樹脂に塩酸及び/又は食塩水を通液させて弱酸性イオン交換樹脂に吸着させた吸着物質を溶出させる溶出工程とから主に構成されている。
【0033】
上記エキス類としては、上述した魚介類の魚肉から水抽出、熱水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の方法により抽出したエキス類を用いる。なお、前記エキス類としては、市販されているものを用いてもよい。
【0034】
上記エキス類は、塩分濃度が高いため、塩分を低減させるべく、エキス類を脱塩処理する必要があり、塩分濃度が1質量%以下となるように脱塩処理することが好ましい。エキス類の脱塩処理方法としては、イオン交換膜を用いた電気透析法、逆浸透膜を用いた方法等が挙げられる。
【0035】
電気透析法による脱塩処理において、イオン交換膜としては、特に限定されないが、例えば、商品名「ネオセプタCL−25T、CM−1〜2、AM−1〜3」(徳山曹達社製)、商品名「セレミオンCMV/AMV」(旭硝子社製)等が挙げられる。
【0036】
また、逆浸透膜による脱塩処理において、逆浸透膜としては、食塩阻止率60〜80%のいわゆるルーズRO膜と呼ばれる種類の逆浸透膜が挙げられ、具体的には、商品名「NTR−7250」(日東電工社製)、商品名「SU−610」(東レ社製)等が挙げられる。上記食塩阻止率の逆浸透膜を装着した膜分離装置に、Brixが1〜20%となるように希釈したエキス類を通液して、脱塩処理を行うことで、イミダゾールジペプチド類が膜を透過することなく、塩分のみが透過し、エキス類から効率よく脱塩をすることができる。なお、食塩阻止率が上記よりも低い場合は、イミダゾールジペプチド類が膜を透過するため、イミダゾールジペプチド類の回収率が低下し、上記よりも高い場合は、脱塩効率が低下する傾向にある。
【0037】
次に、上記脱塩処理後のエキス類(以下より、「脱塩処理液」と記す)を、H型に置換された弱酸性イオン交換樹脂(以下より、「弱酸性イオン交換樹脂」と記す)に通液し、イミダゾールジペプチド類を吸着させる。上記イミダゾールジペプチド類を吸着させるにあたり、強酸性イオン交換樹脂を用いた場合、イミダゾールジペプチド類以外の中性・酸性アミノ酸や、ペプチドがイオン交換樹脂に吸着されてしまうため、イミダゾールジペプチド類の含量を高めることが困難になり、更には、吸着成分が増加するために樹脂量に対するイミダゾールジペプチド類含有抽出液の処理量が低下してしまう。そして、ヒ素化合物も強く吸着してしまうため、イミダゾールジペプチド類とヒ素化合物の分離が困難となり、本発明の目的を達成することが出来ない。弱酸性イオン交換樹脂を用いることで、イミダゾールジペプチド類の含量を高めることができ、更には、ヒ素含有量を低減もしくはヒ素化合物を除去できる。
【0038】
本発明において弱酸性イオン交換樹脂とは、カルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するイオン交換樹脂であり、強酸性イオン交換樹脂とはスルホ基等の強酸性の官能基を有するイオン交換樹脂である。
【0039】
本発明における弱酸性イオン交換樹脂としては、特に限定されるものではなく、市販のものが幅広く利用でき、例えば商品名「アンバーライトIRC76」(オルガノ社製)、商品名「ダイアイオンWK‐40」(三菱化学社製)、商品名「デュオライトC476」(住化ケムテックス社製)等が挙げられる。
【0040】
上記弱酸性イオン交換樹脂への上記脱塩処理液の濃度及び負荷量は、原料や抽出液の製造方法、塩分濃度、及び使用するイオン交換樹脂により異なるので、使用するイオン交換樹脂の吸着容量範囲内で適宜決定すればよい。また、流速については特に制限されず、通液する上記脱塩処理液の性状や、使用する樹脂に応じて適宜決定し、例えば0.5〜8SVの流速で通液させる。なお、SVとは、単位時間当たりにカラムに通液した溶液の樹脂量に対する量を表し、1時間に樹脂量と同量の溶液を通液した場合の流速を1SVとする。
【0041】
上記弱酸性イオン交換樹脂に脱塩処理液を通液させた後、該弱酸性イオン交換樹脂に水を通液して非吸着成分、及び吸着力の弱い成分を溶出させる、すなわち弱酸性イオン交換樹脂の水洗浄を行う。
【0042】
上記水洗浄は、2〜20RVの通液量で行うことが好ましく、より好ましくは4〜10RVである。なお、RVとは樹脂量を表し、樹脂量と同量の溶液を通液した場合の通液量を1RVとする。
【0043】
弱酸性イオン交換樹脂に対するヒ素化合物の吸着力は、イミダゾールジペプチド類のそれよりも弱く、水洗浄においても溶出でき、使用する樹脂により異なるものの、上記通液条件による水洗浄によってほぼ完全に溶出でき、イミダゾールジペプチド類とヒ素化合物の分離が可能となる。通液量が上記よりも多い場合、水洗浄によってヒ素化合物と共にイミダゾールジペプチド類も溶出してしまうおそれがあり、イミダゾールジペプチド類の回収率が劣る傾向にあり、通液量が上記よりも少ない場合、ヒ素化合物を十分分離溶出させることができず、イミダゾールジペプチド類の精製が不十分となる傾向にある。
【0044】
また、上記水洗浄における、水の流速は特に制限されず、使用する樹脂に応じて適宜決定し、例えば0.5〜8SVの流速で通液させることが好ましい。
【0045】
弱酸性イオン交換樹脂の水洗浄後、弱酸性イオン交換樹脂に塩酸及び/又は食塩水を通液させて、弱酸性イオン交換樹脂に吸着させた吸着物質を溶出させる。
【0046】
弱酸性イオン交換樹脂から吸着物質を溶出させるにあたり、塩酸、食塩水の濃度及び通液量については、イミダゾールジペプチド類を溶出できる条件であれば特に制限はなく、使用するイオン交換樹脂によっても異なるため特に限定は出来ないが、例えば、1〜2Nの塩酸を2〜4RVの通液量で溶出させる、又は1〜2mol/lの食塩水を2〜8RVの通液量で溶出させることが好ましい。また、塩酸と食塩水とを併用して溶出する場合、上記塩酸及び食塩水を連続的に通液するか、塩酸と食塩の合計として1〜2mol/lの溶液を2〜6RVの通液量で溶出させることが好ましい。
【0047】
ここで、上記洗浄工程において、水洗浄が不十分であった場合においては、上記溶出画分にヒ素化合物が混在してしまう。しかしながら、ヒ素化合物はイミダゾールジペプチド類よりも、弱酸性イオン交換樹脂から溶出しやすいため、弱酸性イオン交換樹脂に塩酸及び/又は食塩水を通液させてから、上記通液量2RV未満で回収した上記溶出画分には、ヒ素化合物が含有している可能性があるが、弱酸性イオン交換樹脂に塩酸及び/又は食塩水を通液させてから、上記通液量2RV以降の上記溶出画分を回収することで、ヒ素化合物とイミダゾール化合物とを分離することができる。なお、上記洗浄工程において十分量の水を通液した場合には、同工程中でヒ素化合物をほぼ完全に除去されているため、上記溶出画分の全量を回収してもヒ素化合物が混入することはない。
【0048】
魚介類から抽出して得られたエキス類を、上述のようにして処理することで、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、ヒ素化合物の含量が、イミダゾールジペプチド類の1に対して150ppm以下であるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を得ることができる。固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量は、10〜80質量%がより好ましく、20〜80%が特に好ましい。また、ヒ素化合物の含量は、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき15ppm以下がより好ましく、1.5ppm以下が特に好ましい。
【0049】
本発明においては、上記溶出工程で得られた上記溶出画分を、活性炭を用いて脱色処理するか、脱塩処理(二次脱塩処理)することが好ましく、活性炭脱色を行った後、更に脱塩処理することが特に好ましい。
【0050】
活性炭による脱色処理は、上記溶出画分を塩酸、もしくは苛性ソーダやソーダ灰等のナトリウム塩を用いて溶出液のpHを2.5〜5.5に調整することが好ましい。pHが上記範囲外であると、活性炭による脱色効果が不十分となる傾向にある。
【0051】
活性炭による脱色処理方法としては、特に制限は無く、pH調整を行った上記溶出画分(以下、「溶出画分中和液」と記す)に、直接活性炭を添加するバッチ方式や、活性炭をあらかじめ充填したカラムに、上記溶出画分中和液を通液するカラム方式等が例示できる。
【0052】
本発明においては、溶出工程で得られた上記溶出画分を、このように活性炭脱色処理し、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値を0.5以下とすることが好ましく、0.3以下がより好ましい。
【0053】
また、脱塩処理(以下より「二次脱塩処理」と記す)は、上記溶出画分を塩酸、もしくは苛性ソーダやソーダ灰等のナトリウム塩を用いて、pH3.5〜7.0に調整した後に行うことが好ましい。二次脱塩処理は、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩を行うことが好ましく、このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−729」(日東電工社製)等が挙げられる。上記食塩阻止率の逆浸透膜を装着した膜分離装置にBrixが1〜20%となるように調整した上記中和液を通液して、脱塩処理を行うことで、イミダゾールジペプチド類が膜を透過することなく、塩分のみが透過し、溶出画分中和液から効率よく脱塩をすることができる。なお、電気透析法や食塩阻止率60〜80%の逆浸透膜を用いて脱塩を行った場合、イオン交換樹脂処理を行う前では、イミダゾールジペプチド類を透過させずに塩分のみを透過させるため、効率よく脱塩処理できるが、イオン交換樹脂処理後では、理由は明らかではないが、イミダゾールジペプチド類が塩分と共に膜を透過してしまい、イミダゾールジペプチド類の回収率が著しく低下してしまう。また、上記弱酸性イオン交換樹脂の溶出工程において、硫酸や硝酸、有機酸及びこれらの塩を用いた場合や、その後のpH調整工程において、有機酸やカルシウム塩、マグネシウム塩等のナトリウム塩以外を用いた場合、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜では、膜に対する透過率が低いため、脱塩が困難となる。上記弱酸性イオン交換樹脂の溶出工程において塩酸及び/又は食塩水を用いて、更にpH調整において塩酸、及び苛性ソーダやソーダ灰等を用いて、脱塩の対象となる塩類を食塩とした上で、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いることにより、食塩のみが膜を透過するため、食塩を効率よく除去しつつ、イミダゾールジペプチド類を高い収率で回収することができる。
【0054】
本発明においては、溶出工程で得られた上記溶出画分を、このように二次脱塩処理し、塩分含量を、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下とすることが好ましく、0.4以下がより好ましく、0.2以下が特に好ましい。
【0055】
そして、本発明においては、溶出工程で得られた上記溶出画分を、必要に応じて、活性炭を用いて脱色処理や、脱塩処理(二次脱塩処理)を行った後、スプレードライ処理を行い、粉末状にすることが好ましい。粉末状にすることで、長期の保存に適したものとすることができる。
【0056】
スプレードライ処理条件としては、通常、イン120〜200℃、アウト50〜120℃で行えばよい。また、本発明においては、上記処理溶液に、デンプン、デキストリン、乳糖、トレハロース等の賦形剤を添加してもよい。これにより、スプレードライ法でより容易に粉末乾燥化することができ、効率的な製造が可能となる。
【0057】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、イミダゾールジペプチド類を高濃度で含有し、かつヒ素化合物、塩分等の不純物が少なく、色調も薄いため、飲食品、化粧品と幅広く利用可能な組成物である。
【0058】
飲食品に配合して利用する場合、後述するサプリメントや一般的な飲食品等に対し、イミダゾールジペプチド類が0.1%以上、かつヒ素含量が0.15ppm以下となるように上記イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を配合することが好ましい。
【0059】
サプリメントとしては、その形態としては特に限定は無く、液剤、散剤、錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、ゼリー、チュアブル、ペースト等が挙げられる。
【0060】
また、一般的な飲食品としては、(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
【0061】
また、化粧品に配合して使用する場合は、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、パック剤等、様々な形態で使用することが可能である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、イミダゾールジペプチド類の含量は、自動アミノ酸分析計(日立製作所製)を用いて分析を行った。また、塩分の含量はモール法により、ヒ素化合物の含量は原子吸光光度法によりそれぞれ分析した。なお、ヒ素化合物の含量については三酸化ヒ素換算で示した。
【0063】
(実施例1)
常法に従って調製したマグロエキス(ブリックス63%、イミダゾールジペプチド2.3%〔アンセリン2.1%+カルノシン0.2%〕、塩分11%〔イミダゾールジペプチド1に対して塩分が4.8〕、ヒ素化合物13ppm〔イミダゾールジペプチド1に対してヒ素が565ppm〕を含む)20kgに100Lの水を加えて希釈した。
【0064】
この希釈液を、食塩阻止率60%の逆浸透膜(商品名「NTR−7250」、日東電工社製)を装着した膜分離装置(商品名「RUW−5A」、日東電工社製)を用いて脱塩した。具体的には、上記希釈液を濃縮槽に投入し、循環通液を行い、濃縮槽の液量が60Lになった時点で60Lの加水を行い、更に濃縮を行った。同様の加水操作を合計4回行い、脱塩マグロエキス(ブリックス15.8%、イミダゾールジペプチド0.77%〔アンセリン0.7%+カルノシン0.07%〕、塩分0.1%〔イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.13〕を含む)56kgを得た。
【0065】
次に、上記脱塩マグロエキスの全量を、あらかじめH型に置換された弱酸性イオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオンWK−40」、三菱化学社製)25Lが充填されたカラムに30L/hの流速で通液し、次いで60Lの脱イオン水を同様の流速で通液した。
【0066】
次に、1規定の塩酸75Lを同様の流速で通液し、溶出液を回収することにより、塩酸溶出画分(アンセリン0.4%、カルノシン0.04%を含む)75Lを得た。また、この塩酸溶出画分には、イミダゾールジペプチド1に対して12ppmのヒ素化合物(ヒ素として9ppm)が検出され、原料の約50分の1に低減されていた。
【0067】
次に、上記塩酸溶出画分にソーダ灰を加えて、pH4.2に調製した。この塩酸溶出画分中和液に活性炭(商品名「タケコール50WR」武田キリン食品社製)100gを添加して脱色を行った。
【0068】
次に、上記イミダゾールジペプチド類含有脱色液を、食塩阻止率93%の逆浸透膜(商品名「NTR−729」、日東電工社製)を装着した膜分離装置(商品名「RUW−5A」、日東電工社製)を用いて脱塩した。具体的には、上記希釈液を濃縮槽に投入し、循環通液を行い、濃縮槽の液量が15Lになった時点で15Lの加水を行い、更に濃縮を行った。同様の加水操作を合計7回行い、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出液(ブリックス7.0%、イミダゾールジペプチド1.76%〔アンセリン1.6%+カルノシン0.16%〕、塩分0.1%〔イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.05〕を含む)14kgを得た。
【0069】
最後に、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出液に、デキストリン1.2kgを加えて噴霧乾燥を行い、粉末状のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物(アンセリン10.5%、カルノシン1.1%を含む)1.9kgを得た。
【0070】
この粉末状のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物には、ヒ素化合物が1.6ppm(ヒ素として1.2ppm、イミダゾールジペプチド1に対してヒ素が10ppm)が含まれていた。また、塩分を強熱残分(600℃、8時間)として求めたところ0.2%(イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.02)であった。更に、この粉末状のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とし、波長420nmの光に対する吸光値を測定したところ、0.295であった。
【0071】
(実施例2)
弱酸性イオン交換樹脂への脱イオン水の通液量を150Lとした以外は、実施例1と同様の条件で製造を行い、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物(アンセリン11.0%、カルノシン1.1%を含む)1.9kgを得た。このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物からヒ素化合物は検出されなかった(検出限界0.2ppm(ヒ素として0.15ppm))。また、塩分を強熱残分(600℃、8時間)として求めたところ0.2%(イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.02)であった。更に、このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とし、波長420nmの光に対する吸光値を測定したところ、0.290であった。
【0072】
(実施例3)
弱酸性イオン交換樹脂処理後の脱塩において、食塩阻止率60%の逆浸透膜(商品名「NTR−7250」、日東電工社製)を用いた以外は実施例1と同様の条件で製造を行い、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物(アンセリン5.0%、カルノシン0.5%を含む)1.8kgを得た。このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物にはヒ素化合物が1.4ppm(ヒ素として1.1ppm、イミダゾールジペプチド1に対してヒ素が25ppm)が含まれていた。また、塩分を強熱残分(600℃、8時間)として求めたところ0.1%(イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.02)であった。更に、このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とし、波長420nmの光に対する吸光値を測定したところ、0.300であった。本例では、弱酸性イオン交換樹脂処理後の脱塩におけるイミダゾールジペプチド類の回収率が、実施例1の約2分の1であった。
【0073】
(実施例4)
弱酸性イオン交換樹脂処理後の塩酸溶出画分中和液を、pHを6.7に調整した以外は実施例1と同様の条件で製造を行い、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物(アンセリン10.4%、カルノシン1.0%を含む)1.9kgを得た。このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物には、ヒ素化合物が1.6ppm(ヒ素として1.2ppm、イミダゾールジペプチド1に対してヒ素が11ppm)が含まれていた。また、塩分を強熱残分(600℃、8時間)として求めたところ0.2%(イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.02)であった。更に、このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とし、波長420nmの光に対する吸光値を測定したところ、0.621であった。本例では脱色時のpHが高かったため、十分に脱色されず、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の色調が濃くなった。
【0074】
(比較例1)
弱酸性イオン交換樹脂への脱イオン水の通液量を40Lとした以外は、実施例1と同様の条件で製造を行い、イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物(アンセリン10.0%、カルノシン1.0%を含む)1.9kgを得た。このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物にはヒ素化合物が22ppm(ヒ素として17ppm、イミダゾールジペプチド1に対してヒ素が200ppm)が含まれていた。また、塩分を強熱残分(600℃、8時間)として求めたところ0.2%(イミダゾールジペプチド1に対して塩分が0.02)であった。更に、このイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とし、波長420nmの光に対する吸光値を測定したところ、0.305であった。本例では弱酸性イオン交換樹脂への脱イオン水の通液量が少ないためにヒ素化合物の除去が十分にされなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物は、畜肉由来品の代替として、飲食品、化粧品等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類から抽出して得られたイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物であって、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であることを特徴とするイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物。
【請求項2】
イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が、0.5以下である請求項1記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物。
【請求項3】
塩分の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下である請求項1又は2に記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物。
【請求項4】
前記魚介類は、カツオ、マグロ、サケ、クジラ、ウナギ、サメから選ばれた1種以上である請求項1〜3のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物。
【請求項5】
前記イミダゾールジペプチド類は、アンセリン、カルノシン、バレニンから選らればれた1種以上である請求項1〜4のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を含有し、イミダゾールジペプチド類の含量が0.1%以上、かつヒ素の含量が0.15ppm以下であることを特徴とする飲食品。
【請求項7】
魚介類から抽出されたエキス類を脱塩処理し、得られた脱塩処理液を弱酸性イオン交換樹脂に通液させた後、前記弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄し、次いで塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させて、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、かつ、ヒ素の含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物を得ることを特徴とするイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項8】
前記塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液をpH2〜5.5に調整した後、活性炭脱色を行うことにより、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が0.5以下となるようにする請求項7に記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項9】
前記塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液を、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することにより、塩分含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下となるようにする請求項7に記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項10】
前記塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させた溶出液を、pH2〜5.5に調整した後、活性炭脱色を行い、次いで、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することにより、イミダゾールジペプチド類の含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が0.5以下で、塩分含量が、質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき0.8以下となるようにする請求項7に記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項11】
前記エキス類として、カツオ、マグロ、サケ、クジラ、ウナギ、サメから選ばれた1種以上の魚介類から抽出して得られる魚介エキスを用いる請求項7〜10のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項12】
前記水洗浄を、2〜20RVの通液量で行う請求項7〜11のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項13】
魚介類から抽出されたエキス類を、食塩阻止率60〜80%の逆浸透膜を用いて脱塩処理する請求項7〜12のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。
【請求項14】
更にスプレードライ処理を行い、粉末状のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物とする請求項7〜13のいずれか一つに記載のイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法。

【公開番号】特開2007−181421(P2007−181421A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1229(P2006−1229)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【Fターム(参考)】