説明

イメージセンサユニットおよび画像読取装置

【課題】 組立性の向上を図ることができるイメージセンサを提供する。
【解決手段】 イメージセンサ50は、長手方向を有する筐体49と、この筐体49の長手方向の両端部に設けられ、ローラを回転可能に保持するローラユニット91を保持可能なローラユニット保持部90A,90Bと、を備え、筐体49とローラユニット91との間に配置されることにより、このイメージセンサ50と原稿台ガラスとの間隔を調整可能な調節シート110の位置決め部材105A,105Bがローラユニット保持部90A,90Bに設けられているので、調節シート110をイメージセンサに容易に配置させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば原稿等の被読取媒体に対して光を照射し、この被読取媒体からの反射光を光電変換して制御部に出力するイメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿上に記録されている画像を読み取るための画像読取装置が搭載された複写機や複合機が知られている。この画像読取装置は、いわゆるフラットベッドスキャナであり、原稿を載置可能なプラテン(原稿台)ガラスと、このプラテンガラスの直下であって、ガラス面と平行に往復動可能に配置されたイメージセンサユニットとを備えている。ここでイメージセンサユニットとはCCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等の略直方体形状の筐体を有するイメージセンサが保持部材(例えば、キャリッジ)に搭載されたものをいう。また、画像読取装置には、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものもある。ADFによる搬送過程において原稿が移動原稿読取用のプラテンガラスを通過し、このプラテンガラスの下方の読取位置に固定配置されたイメージセンサユニットによって原稿の画像が読み取られるのである。
【0003】
特許文献1に記載のイメージセンサユニットは、略直方体形状の筐体を有するイメージセンサが保持部材に搭載され、イメージセンサ12の上面13が上方を向くように画像読取装置の内部に配置されている。このイメージセンサユニットは、その長手方向を主走査方向とし、主走査方向と直交する方向を副走査方向(図12における矢印11の方向)として原稿等の被読取媒体の画像読み取りを行う。
【0004】
このとき、イメージセンサ12が長手方向に傾いたり、あるいは矢印11の方向(筐体
の短手方向)に回転したりすると、イメージセンサ12は、上記原稿が載置されているプ
ラテンガラスに対して傾いてしまい、その結果、原稿から画像を正確に読み取ることができない。そのため、従来では、イメージセンサ12の両端部に、円滑なスライドを支援するためのローラユニット6A,6Bが配置されている。
【0005】
図13は、従来のイメージセンサ12の要部分解斜視図であって、上記ローラユニット6A,6Bがイメージセンサ12から分離された状態が示されている。ローラユニット6Bは、フレーム7A,7Bと、このフレーム7A,7Bの両端部に配置されたローラ8、9とを備えている。フレーム7Bは、2つの係合ピン10を備えている。但し、図13においては、図の角度の関係上、1つの係合ピン10のみが記載されている。イメージセンサ12は、その端部に2つの係合孔11を備えている。この2つの係合孔11に上記2つの係合ピン10が嵌め込まれることによって、ローラユニット6Bがイメージセンサ12の一方の端部に取り付けられる。上記ローラユニット6Aも上記ローラユニット6Bと同様の構成である。但し、図12においては、図の角度の関係上、係合ピンは図示されていない。この2つの係合ピンがイメージセンサ12の端部に設けられた2つの係合孔13に嵌め込まれることにより、ローラユニット6Bがイメージセンサ12の他方の端部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−266314公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、複写機や複合機の小型化が進められている。特に、フラットベッドタイプの画像読取装置を備えた複合機等では、イメージセンサとして、CCDよりも体積の小さいCISを用いることが多い。ところが、このCISはCCDに比べて焦点深度が極めて浅いので、CISと原稿台ガラスとの距離に精度が求められる。そこで、各構成要素の寸法公差を調整するために、ローラユニットとイメージセンサとの間に薄板状の調整部材が挿入されることが多い。
【0008】
しかしながら、特許文献1のローラユニット6A,6Bからは2つの係合ピン10が突出しており、イメージセンサ12の上面3に設けられている2つの係合孔11,11又は13,13に嵌め込まれる構成となっているので、薄板状の調整部材を配置するのが困難であった。すなわち、ローラユニット6A,6Bを天地逆にして2つの係合ピン10に調整部材に設けられた一対の挿通孔が挿通された後、ローラユニット6A,6Bを天地逆にしてイメージセンサ12の上面3に設けられた2つの係合孔11,11又は13,13にローラユニット6A,6Bの2つの係合ピン10を嵌め込まなければならないが、ローラユニット6A,6Bをイメージセンサ12に載置する際に、調整部材がローラユニット6A,6Bから脱落する可能性が高い。また、イメージセンサ12の上面3の係合孔11,11又は13,13と調整部材の挿通孔とが連通するように調整部材をイメージセンサ12の上面3に載置させた後に、ローラユニット6A,6Bの係合ピン10を係合孔11,11又は13,13に挿入するのは、非常に細かな作業となり組立性が悪化するからである。
【0009】
また、特許文献1のローラユニット6A,6Bに取り付けられたローラ8,9は、筐体の上面を平面視した際、イメージセンサ12の短手方向において、筐体の外側に配置されている。このイメージセンサ12を、フラットベッドスキャナとADFの両方を備えた画像
形成装置に適用すると、イメージセンサ12が短手方向に傾いてしまう虞がある。一般的に、フラットベッドスキャナとADFの両方とを備えた画像読取装置では、プラテンガラス
21,23はそれぞれ独立したガラス板によって構成され、分離部20Cによって分離さ
れて配置される。近年では、複写機や複合機の小型化が望まれており、画像読取装置においても各部材が小型化されている。従って、画像読取装置を副走査方向に小型化するためにはADF用のプラテンガラス23の副走査方向の幅も小さく設定される。しかし、イメー
ジセンサ12のようにローラ8,9が筐体の外側に配置されていると、たとえば、ローラ8はADF用のプラテンガラス23に密着され、ローラ9はフラットベッドスキャナ用のプ
ラテンガラス21に密着されてしまう、もしくはローラ9が分離部20Cに密着されてしまう虞がある。すなわち、ローラ8,9がそれぞれ別々の部材に密着されてしまうことにより、イメージセンサ12をプラテンガラス23に対して正確に位置決めすることができない。つまり、イメージセンサ12が傾いてしまい、結果として良好な読取結果を得ることができない虞れがある。(図14(a)および図14(b)参照)
そこで、本発明の目的は、組立性の向上を図るとともに、イメージセンサをプラテンガラスに対して高精度に位置決めすることができるイメージセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のイメージセンサは、第1の読取領域と、原稿を静止載置可能な第2の読取領域と、を有する原稿台ガラスと、第1の読取領域の上方に設けられた原稿搬送装置と、短手方向と長手方向とを有する筐体を備えたイメージセンサと、原稿台ガラスの下面に当接され、前記イメージセンサを原稿台ガラスの下面に対して位置決めする複数の当接位置決め部材と、からなり、前記原稿台ガラスの下面に沿って前記筐体の短手方向に往復動可能なイメージセンサユニットであって、当該イメージセンサユニットは、前記第1の読取領域で、前記原稿搬送装置によって搬送される原稿を読み取る第1の読取状態と、前記第2の読取領域下面に沿って前記筐体の短手方向に移動されながら前記第2の読取領域に静止載置された原稿を読み取る第2の読取状態と、の2つの状態で原稿を読取可能であり、前記複数の当接位置決め部材は前記筐体の短手方向の両端部に設けられ、前記筐体の短手方向における前記複数の当接位置決め部材間の距離は、
前記イメージセンサユニットが第1の読取状態によって原稿を読み取るとき、前記複数の当接位置決め部材が前記原稿台ガラスの前記第1の領域下面に当接され、前記イメージセンサユニットが前記第2の読取状態によって原稿を読み取るとき、前記複数の当接位置決め部材が前記原稿台ガラスの前記第2の領域下面に当接されるように、設定されることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載のイメージセンサは、請求項1に記載の発明において、前記複数の当接位置決め部材のうちの少なくとも1つは、原稿台ガラスの下面に当接しながら転動するローラであることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3に記載のイメージセンサは、請求項1に記載の発明において、前記複数の当接位置決め部材は、原稿台ガラスの下面に当接しながら転動する複数のローラであることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4に記載のイメージセンサは、請求項3に記載の発明において、前記複数のローラは、前記イメージセンサの前記筐体の短手方向と長手方向によって作られる面を平面視した際に、その投影面積内に配置されることを特徴とするものである。
【0014】
更に、請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1〜4に記載のイメージセンサユニットを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜3の発明によれば、筐体の短手方向における複数の当接位置決め部材間の距離は、イメージセンサユニットが第1の読取状態によって原稿を読み取るとき、複数の当接位置決め部材が原稿台ガラスの第1の領域下面に当接され、イメージセンサユニットが第2の読取状態によって原稿を読み取るとき、複数の当接位置決め部材が原稿台ガラスの第2の領域下面に当接されるように、設定されるので、がプラテンガラスに対して傾くことが防止される。すなわち、イメージセンサがプラテンガラスに対して高精度に位置決めされ、結果として良好な読取結果を得ることができるという効果を奏する。
請求項4の発明は、イメージセンサを筐体の短手方向と長手方向によって作られる面を平面視した際に、ローラが、その投影面積内に配置される。よって、イメージセンサユニットの短手方向を小型化することができるという効果を奏する。
請求項5の発明は、画像読取装置に請求項1〜4に記載のイメージセンサユニットが備えられたものであるので、請求項1〜4の効果と同様の効果を奏する。その結果、良好な画像の読み取りが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】読取載置台の内部構成を示す平面図である。
【図3】読取載置台の主要構成を示す縦断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るイメージセンサユニットの構成を示す斜視図である。
【図5】図4のイメージセンサユニットの要部分解拡大図である。
【図6】ローラユニットの要部分解拡大図である。
【図7】イメージセンサユニットの要部拡大図である。
【図8】イメージセンサユニットの上面拡大図である。
【図9】イメージセンサユニットの側面拡大図である。
【図10】第2の実施の形態におけるイメージセンサの分解斜視図
【図11】第2の実施の形態におけるローラユニットのフレームを底板側から見た斜視図
【図12】従来のイメージセンサユニットの要部斜視図である。
【図13】従来のイメージセンサユニットの要部分解斜視図である。
【図14】(a),(b)は従来のイメージセンサユニットとプラテンガラスとの位置関係を表した概略図である。
【図15】図3のXV−XV矢視における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
尚、以下に説明する具体的な装置等は、本発明の実施の形態の一例にすぎず、本発明の実施の形態が以下に詳述される具体例に限定されるものではないことは明白である。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の外観構成を示す斜視図、図2は、読取載置台の内部構成を示す平面図、図3は、読取載置台の主要構成を示す縦断面図、図4は、第1の実施の形態に係るイメージセンサユニットの構成を示す斜視図、図5は、図4
のイメージセンサユニットの要部分解拡大図、図6は、ローラユニットの要部分解拡大図、図7は、イメージセンサユニットの要部拡大図、図8は、イメージセンサユニットの上面拡大図、図9は、イメージセンサユニットの側面拡大図、図10は、第2の実施の形態におけるイメージセンサの分解斜視図、図11は第2の実施の形態におけるローラユニットのフレームを底板側から見た斜視図、図12は、従来のイメージセンサユニットの要部斜視図、図13は、図12に示すイメージセンサユニットの要部分解斜視図、図14(a
)(b)は従来のイメージセンサユニットとプラテンガラスとの位置関係を表した概略図
、図15は図3のXV−XV矢視における断面図、である。
【0020】
以下、本発明にかかる第1の実施の形態の構成を説明する。
【0021】
画像読取装置1は、例えば、プリンタ機能とスキャナ機能とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)のスキャナ部として用いられたり、複写機の画像読取部として用いられたりするものであるが、プリンタ機能等は本発明において任意の機構であり、例えば、スキャナ機能のみを有するフラットベッドスキャナ(FBS:Flatbed Scanner)として画像読取装置1を実現してもよい。
【0022】
図1に示されるように、画像読取装置1は、FBSとして機能する読取載置台2に対して、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿押さえカバー4が開閉自在に取り付けられてなる。読取載置台2は、略直方体の筐体20の天面に原稿台ガラスたるプラテンガラス21が配設され、この筐体20内に画像読取ユニット5が内蔵されてなる。プラテンガラス(第1の読取領域)21の上面は、原稿載置面である。したがって、画像読取装置1をFBSとして用いる場合(第1の読取状態)には、まずプラテンガラス21上に被読取媒体である原稿が載置され、原稿押さえカバー4が閉じられることにより原稿が固定される。続いて、イメージセンサユニット52がプラテンガラス21の下方を走査することにより、この原稿の画像読み取りが行われる。
【0023】
また、読取載置台2の正面側には、操作パネル22が設けられている。操作パネル22は各種操作ボタンや液晶表示部等から構成されており、画像読取装置1は、この操作パネル22からの指示によって動作する。なお、本画像読取装置1をMFDとして実現する場合には、操作パネル22による指示のほか、接続されたコンピュータからスキャナドライバ等を介して送信される指示によっても動作する。
【0024】
原稿押さえカバー4には、前述されたようにADF3が備えられている。ADF3は原稿押さえカバー4を閉じた状態で原稿トレイ(不図示)から排紙トレイ(不図示)へ原稿を連続搬送する。画像読取装置1を自動原稿搬送読取装置として用いる場合(第2の読取状態)には、ADF3による搬送過程において原稿がADF用のプラテンガラス(第2の読み取り
領域)23を通過し、このプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置されたイメージセンサユニット52がこの原稿の画像を読み取る。なお、本発明においてADF3は任意の構成である。
【0025】
読取載置台2の筐体20は、上面が開口した容器状の下フレーム20Aと、上カバー20Bとからなる。上カバー20B中央には、開口が形成されている。この開口は分離部20Cによってプラテンガラス21を露出するための開口と、プラテンガラス23を露出するための開口とに隔てられている。本実施例においては、プラテンガラス21とプラテンガラス23とは、それぞれ独立した1枚のガラス板として構成され分離部20Cによって隔てられて配置されているが、プラテンガラス21,23は1枚の同一のガラス板であってもよい。
図2に示されるように、下フレーム20A内に上記画像読取ユニット5が配設されている。下フレーム20A及び上カバー20Bは共に合成樹脂製のものであって、下フレーム20Aは、底板を構成するベース部24と、このベース部24の周囲から起立した側壁25と、画像読取ユニット5が配設される部分と操作パネル22の基板等が配設される部分とを区画する区画板26とが一体的に成形されたものである。なお、下フレーム20Aには、さらに、プラテンガラス21を支持するための支持リブや、各種部材をネジ止めするためのボス部、電気配線等のための貫通孔等が設けられているが、これらは読取載置台2の実施態様に応じて適宜設計されるものなので、詳細な説明は省略する。
【0026】
画像読取ユニット5は、図2に示されるように、イメージセンサユニット52、ローラユニット94、ガイドシャフト62、及びベルト駆動機構30から構成されている。イメージセンサユニット52は、イメージセンサ50とキャリッジ51とが組み合わされて構成される。イメージセンサ50は、被読取媒体である原稿に光を照射し、この原稿からの反射光を光電変換して電気信号を出力する密着型のイメージセンサであり、一般にCISと呼ばれるものである。イメージセンサ50は、キャリッジ51に搭載される筐体49を有し、筐体49の長手方向を主走査方向、短手方向を副走査方向として、プラテンガラス21,23の下方を往復動可能に配設される(図4参照)。キャリッジ51は、下フレーム20Aの幅方向に渡って架設されたガイドシャフト62と嵌合し、ベルト駆動機構30により駆動されて、ガイドシャフト62上を摺動して移動するものである(図4参照)。キャリッジ51がイメージセンサ50をプラテンガラス21,23に密着させるように搭載してガイドシャフト62上を移動することにより、イメージセンサ50がプラテンガラス21,23に平行に往復動されるのである。
【0027】
図3に示されるように、キャリッジ51は、その上側に担持するようにして上記イメージセンサ50を搭載しており、キャリッジ51の下面には、ガイドシャフト62を上方から跨ぐようにして嵌合するシャフト受け部54が形成されている。そして、このシャフト受け部54とガイドシャフト62とが嵌合して、キャリッジ51がガイドシャフト62に担持されてガイドシャフト62の軸方向に摺動自在となっている。
【0028】
また、シャフト受け部54の側方には、ベルト掴持部55(図3参照)が下方へ突設されている。このベルト掴持部55は、ベルト駆動機構30のタイミングベルト61を掴むことにより、このタイミングベルト61とキャリッジ51とを連結するためのものである。これにより、ベルト駆動機構30からキャリッジ51に駆動力が伝達されて、ガイドシャフト62上をキャリッジ51が往復移動する。ベルト駆動機構30に関しては本発明の趣旨と無関係であるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
また、図5に示されるように、上記イメージセンサ50が搭載されるキャリッジ51の底部71には、キャリッジ51の主走査方向の左右2箇所にバネ受け部56が形成されている。コイルバネ57は、バネ受け部56により位置決めされて、イメージセンサ50とキャリッジ51との間に設けられている。このコイルバネ57の付勢力によって、キャリッジ51に搭載されたイメージセンサ50はプラテンガラス21,23の下面に密着されている。
【0030】
イメージセンサ50の両端側には、上記ローラユニット94が設けられている。このローラユニット94については、後に詳述される。前述のように、イメージセンサ50は、プラテンガラス21,23の下面に押圧されながらキャリッジ51の移動に伴ってプラテンガラス21,23に沿って移動する。このローラユニット94は、イメージセンサ50の円滑な移動を支援するものである。また、ローラユニット94は、イメージセンサ50とプラテンガラス21,23との距離を一定に維持するスペーサの役割も果たしている。
【0031】
イメージセンサユニット52は、上述した通り、イメージセンサ50とキャリッジ51とが組み合わされて構成される。図4に示されるように、イメージセンサ50は、その上面63が平面視で細長矩形である直方体形状の筐体49を有する。筐体49の上面63には、筐体49に内蔵されたLED(Light Emitting Diode:図示せず)の光を導く導光体64が筐体49の長手方向に連続して配設されている。この導光体64により、LEDの光がイメージセンサ50の
筐体49の上面63と対向配置されるプラテンガラス21,23に向けて出射される。また、筐体49の上面63には、複数の集光レンズ65が導光体64と平行するように筐体49の長手方向に一列に配設され、読取ラインB65を形成している。さらに、筐体49の内部には、集光レンズ65の直下に複数の光電変換素子(図示せず)が集光レンズ65と同方向に列設されている。従って、LEDから出射された光はプラテンガラス21上に載置された原稿(被読取媒体)又はプラテンガラス23上を移動する原稿(被読取媒体)に照射され、その反射光が集光レンズ65により光電変換素子に集光される。光電変換素子は反射光の強度に応じた電気信号を出力する。このようにして、イメージセンサ50は、原稿(被読取媒体)の画像を電気信号として出力する。
【0032】
イメージセンサ50の筐体49の底面であって、筐体49の長手方向の一方の端部側にはコネクタ部(図示せず)が設けられている。コネクタ部は、イメージセンサ50のLEDや光電変換素子と電気的に接続されて、制御部と信号等の入出力を行うためのものである。コネクタ部には電気ケーブル(図示せず)が接続され、この電気ケーブルにより、イメージセンサ50と画像読取装置1の制御部とが電気的に接続される。画像読取装置1の制御部は、例えば、各種演算を行うためのCPU、各種制御プログラムが格納されたROM、データを一時格納するためのRAM、駆動回路や各種インタフェース等を駆動するためのASIC等からなるものである。上記電気ケーブルにより、イメージセンサ50と制御部との間に電気信号路が形成される。しかし、コネクタ部は本発明の趣旨とは無関係であるので、ここでは詳述しない。
【0033】
イメージセンサ50の筐体49の長手方向は、画像読み取りにおける主走査方向である。この主走査方向の長さ、すなわちイメージセンサ50の筐体49の長手方向の長さは、イメージセンサ50が読み取り可能な最大サイズの被読取媒体に対応した長さである。本実施形態では、イメージセンサ50は、A4サイズの被読取媒体に対応した長さを有している。
【0034】
以下、イメージセンサ50のローラユニット保持部90A,90B及びローラユニット94の構成について詳述する。
【0035】
図5に示されるように、筐体49の長手方向の両端部にはローラユニット保持部90A,90Bが設けられている。このローラユニット保持部90A,90Bは、筐体49の長手方向の角部に形成された段部から構成されている。具体的には、この段部は、筐体49の上面63に対して直交する垂直面150と、これに連続するとともに垂直面150と直交する載置面151とによって形成されている。従って、垂直面150は、筐体49の上面63から下方に延びる面である。また、載置面151は、垂直面150の下端から上記長手方向の外向きに延びる面であって、上面63と平行な面である。
【0036】
そして、上記ローラユニット94は、この垂直面150と載置面151とから形成される段部に載置される。この載置面151は、上記ローラユニット94及び後述する調節シート110を位置決め固定するための一対の位置決め突起105(位置決め部材)を有している。この一対の位置決め突起105が後述されるローラユニット94の一対の位置決め孔106A、106Bに嵌合されることにより、ローラユニット94は当該ローラユニット保持部90A,90Bに位置決め固定される。
【0037】
また、イメージセンサ50の筐体49の短手方向に相当するローラユニット保持部90A,90Bの寸法W1は、所定寸法に設定されている。この寸法W1は、イメージセンサ50の仕様により種々設定されるが、イメージセンサ50の筐体49の短手方向の寸法W2以下となるように設定されている。
【0038】
また、イメージセンサ50の筐体49の長手方向に相当するローラユニット保持部90A,90Bの寸法T1は、所定寸法に設定されている。この寸法T1は、イメージセンサ50の仕様により種々設定されるが、イメージセンサ50の筐体49の長手方向に相当する載置面151の寸法T2以下となるように設定されている。
【0039】
従って、ローラユニット94がローラユニット保持部90A,90Bに位置決め固定されたときには、ローラユニット94はイメージセンサ50の筐体49の上面63を平面視した際に、その投影面積内に配置されるので、イメージセンサユニット52自体を小型化でき、結果として画像読取装置1を小型化できるのである。
【0040】
このローラユニット94は、図5,図6に示されるように、フレーム91と、一対のローラ(当接位置決め部材)92,93とを備えている。フレーム91は、上記ローラ92,93を支持するブロックとして構成されている。フレーム91は、寸法W1の一対の側板95,96及びこれらを連結する一対の連結板97A(寸法T1)、一対の連結板97B、更には底板107を備えており、これらは、例えば合成樹脂により一体的に形成されている。この構成によって、フレーム91には2つのローラ収容部97,98が形成されている。各ローラ収容部97,98に上記ローラ92,93が収容される。また底板107には、上述したイメージセンサ50のローラユニット保持部90A,90Bに配置されている一対の位置決め突起105と嵌合可能な一対の位置決め孔106A、106Bが設けられている。また、図6に示されるように、位置決め孔106Bは、位置決め孔106Aよりも側板95,96に沿った方向に長く形成されている。これは載置面151上の一対の位置決め突起105との寸法公差を考慮したものである。また、上記側板95,96に軸受部100,101が設けられている。この軸受部100,101は、各側板95,96に設けられた切欠凹部からなり、ローラ92,93に設けられた支持軸102,103を回転自在に支持する。
【0041】
ローラ92は、円盤状を呈し、上記支持軸102を備えている。この支持軸102は、ローラ92の中心に設けられ、イメージセンサ50の筐体49の長手方向と平行な方向に延びている。この支持軸102の両端部が上記側板95,96の軸受部100に嵌合支持され、ローラ92は、上記ローラ収容部90内に回転自在な状態で配置される。ローラ93は、円盤状を呈し、上記支持軸103を備えている。この支持軸103は、ローラ93の中心に設けられ、イメージセンサ50の筐体49の長手方向と平行な方向に延びている。この支持軸103の両端部が上記側板95,96の軸受部101に嵌合支持され、ローラ93は、上記ローラ収容部90内に回転自在な状態で配置される。
【0042】
また、ローラ92と、ローラ93とは、仮想直線104上に配置されている(図7参照)。この仮想直線104は、上記イメージセンサ50の筐体49の短手方向と平行な方向に沿って仮想的に設定される直線である。すなわち、一対のローラ92,93は、一直線上に配置されており、イメージセンサ50の筐体49の長手方向と平行な方向にはずれていない。もっとも、一対のローラ92,93が、上記長手方向にずれていたとしても、ローラユニット94がローラユニット保持部90A,90Bに位置決め固定されたときには、イメージセンサ50の筐体49の上面63を平面視した際に、ローラユニット94がその投影面積内に配置されていればよい。
また、支持軸102と支持軸103とを隔てる距離は所定距離D1となるように設定されている。この距離D1は、イメージセンサ50の仕様により種々設定されるが、イメージセンサユニット52がプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置された状態において、イメージセンサユニット52の長手方向の両端部に設けられたローラ92と、ローラ93とが、プラテンガラス23の下面に密着されるように設定されている。ここで、イメージセンサユニット52がプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置された状態とは、イメージセンサ50の読取ライン65Aがプラテンガラス23の読取位置R1にある状態をいう。
従って、イメージセンサユニット52がプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置されたときには、長手方向の両端部に設けられたローラ92と、ローラ93とが、プラテンガラス23の下面に密着される。すなわち、イメージセンサユニット52に設けられた全てのローラ92,93が同一のガラス板(プラテンガラス23)の下面に密着されるので、イメージセンサ50の上面63がプラテンガラス23の下面に対して確実に位置決めされる。その結果、良好な画像の読み取りが実現される。
また、距離D1は、イメージセンサユニット52がプラテンガラス21の下方の読取開始位置R3に配置された状態において、イメージセンサユニット52の長手方向の両端部に設けられたローラ92と、ローラ93とが、プラテンガラス21の下面に密着されるようにも設定されている。
よって、読取開始位置R2においてイメージセンサユニット52に設けられた全てのローラ92,93が同一のガラス板(プラテンガラス21)の下面に密着されるので、イメージセンサ50の上面63がプラテンガラス23の下面に対して確実に位置決めされた状態で、原稿の画像読み取りが開始される。その結果、良好な画像の読み取りが実現される。
【0043】
ローラユニット94がローラユニット保持部90A,90Bに位置決め固定されるとき、載置面151と底板107の間には調整部材たる調節シート110が設けられる。調節シート110はイメージセンサ50の焦点をプラテンガラス21の表面28に合わせるために、イメージセンサ50とプラテンガラス21,23との距離を調節するためのものである。調節シート110はPET(Polyethylene Terephthalate)等の素材からなる薄
膜片であり、この調節シート110には一対の挿通孔111A,111Bが設けられている。図5に示されるように、挿通孔111Bは、挿通孔111Aよりもイメージセンサ50の筐体49の短手方向に沿った方向に長く形成されている。これも載置面151上の一対の位置決め突起105との寸法公差を考慮したものである。
【0044】
以下に、図5および図6を参照して、ローラユニット94がイメージセンサ50の筐体49に位置決め固定される手順の概略が述べられる。
【0045】
まず、調節シート110に設けられた一対の挿通孔111A,111Bがローラユニット保持部90Aに設けられた一対の位置決め突起105に挿通され位置決めされる。このとき、イメージセンサ50とプラテンガラス21との距離を調節するために、調節シート110は複数枚重ねて配置されてもよく、また、場合によっては配置されなくてもよい。また、ローラユニット保持部90Bにも同様に調節シート110が適宜位置決めされる。
【0046】
次に、一対のローラ92,93がフレーム91に支持された状態で、前述のように、フレーム91の一対の位置決め穴106A、106Bに上記位置決め突起105が嵌合される。これにより、ローラユニット94は、図7に示されるように、筐体49に位置決め固定される。この状態で、図3に示されるように、ローラユニット94のローラ92,93は、上記プラテンガラス21の裏面27に当接する。そして、各ローラ92,93は、上記支持軸92、93を中心に回転することにより、上記プラテンガラス21の裏面27を転動する。
【0047】
本実施形態に係る画像読取装置1では、図3に示されるように、プラテンガラス21の表面28は、原稿が載置される原稿載置面を構成する。原稿は、プラテンガラス21の表面28に下向きに載せられる。そして、示されるように画像読取ユニット5のキャリッジ50が図3の紙面に垂直な方向に移動することによって、当該原稿が走査されて、原稿上の画像が読み取られる。
【0048】
キャリッジ50の長手方向の端部にローラユニット94が設けられており(図7参照)、このローラユニット94に設けられたローラ92,93は、上記イメージセンサ50の筐体49の短手方向に並設された状態でプラテンガラス21の裏面27に当接している(図3参照)。したがって、キャリッジ50は、その端部が上記ローラ92,93に支持された状態で移動し、そのため、キャリッジ50がプラテンガラス21の裏面27に対して傾くことなく、円滑に移動する。また、このローラユニット94は、キャリッジ50の筐体49に設けられたローラユニット保持部90A,90Bに収められており、しかも上述した通り、イメージセンサ50の筐体49の短手方向に相当するローラユニット保持部90A,90Bの寸法W1は、イメージセンサ50の筐体49の短手方向の寸法W2以下となるように設定されている。また、イメージセンサ50の筐体49の長手方向に相当するローラユニット保持部90A,90Bの寸法T1は、イメージセンサ50の筐体49の長手方向に相当する載置面151の寸法T2以下となるように設定されている。したがって、イメージセンサ50の筐体49の上面63を平面視した際に、ローラユニット94はその投影面積内に配置される。そのため、キャリッジ50の設計において、その長手方向及び短手方向の寸法を抑制することができる。その結果、イメージセンサユニット52自体を小型化でき、結果として画像読取装置1を小型化できるのである。
【0049】
また、上記ローラユニット94が上記ローラ92,93を備えているので、イメージセンサ50が移動する際に傾くことが防止され、イメージセンサ50とプラテンガラス21の裏面27との距離が一定に保たれる。その結果、良好な画像の読み取りが実現される。また、支持軸102と支持軸103とを隔てる距離は、所定距離D1となるように設定されている。この所定距離D1は、イメージセンサユニット52がプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置された状態において、イメージセンサユニット52に設けられた全てのローラ92,93が同一のガラス板(プラテンガラス23)の下面に密着され、且つ、イメージセンサユニット52がプラテンガラス21の下方の読取開始位置R3に配置された状態において、イメージセンサユニット52に設けられた全てのローラ92,93が同一のガラス板(プラテンガラス21)の下面に密着されるように設定されている。よって、読取位置R1においても、読取開始位置R2においても、イメージセンサユニット52に設けられた全てのローラ92,93が同一のガラス板の下面に密着されるので、イメージセンサ50の上面63がプラテンガラス21,23の下面に対して確実に位置決めされる。すなわち、画像読取装置1をFBSとして用いる場合と自動原稿搬送読取装置として用いる場合の双方において良好な画像の読み取りが実現される。
【0050】
また特に、本実施形態では、上記一対のローラ92,93は、上記仮想直線104上に配置されている。すなわち、各ローラ92,93は、上記短手方向に並設されている。したがって、キャリッジ50が移動するときに、一対のローラ92,93がキャリッジ50に対して相対的に傾くことが確実に防止されるという利点がある。また、一対のローラ92,93がプラテンガラス21の裏面27に対して相対的に傾くこと、及びキャリッジ50がプラテンガラス21の裏面27に対して相対的に傾くことが確実に防止されるという利点がある。
【0051】
また、本実施形態では、ローラユニット94は、上記段部(図5参照)から構成されるローラユニット保持部90A,90Bに収められている。そして、ローラユニット94は、従来のように、筐体49の上面63に載置されるのではなく、当該上面63から下方に落とし込まれるようにして上記段部を構成する載置面151に載置される。したがって、ローラユニット94は、ローラ92,93の頂部が筐体49の上面63から若干上方に突出するように当該筐体49に配置される。これにより、イメージセンサ50は、プラテンガラス21の裏面27にきわめて近接した状態で位置決めされ、その結果、イメージセンサ50は、上記原稿から画像を正確に読み取ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、調節シート110は、この調節シート110に設けられた一対の挿通孔111A,111Bがローラユニット保持部90Aに設けられた一対の位置決め突起105に挿通されることによって位置決めされるから、組立性が向上する。すなわち、ローラユニット94の底板107に位置決め突起105のような突起が設けられ、載置面151に位置決め孔106A,106Bのような位置決め孔が設けられている場合に比して組立性が向上するのである。ローラユニット94の底板107に突起が設けられ、載置面151に位置決め孔が設けられた構成の場合、ローラユニット94を天地逆にして底板107に設けられている突起に調節シート110に設けられた一対の挿通孔111A,111Bが挿通された後、ローラユニット94を天地逆にして載置面151に設けられた位置決め孔にローラユニット94の突起を嵌め込まなければならない。しかし、ローラユニット94を載置面151に載置する際に、調節シート110がローラユニット94の底板107から落下する可能性が高い。また、載置面151の位置決め孔と調節シート110の挿通孔111A,111Bとが連通するように調節シート110を載置面151に載置させた後に、ローラユニット94の底板107の突起を載置面151の位置決め孔に挿入するのは、非常に細かな作業となり組立性が悪化するからである。次に、イメージセンサユニット52の構成について詳述する。
【0053】
イメージセンサ50の筐体49の両端部には、図4〜図9に示されるように、軸部68A,68Bが設けられている。軸部68A,68Bは、キャリッジ51に対して、イメージセンサ50の副走査方向の位置決めを行うものである。
【0054】
軸部68A,68Bは直径L1の円柱状の軸に、この軸心から等しい距離に、ほぼ平行な一組の平面部70がそれぞれ形成されてなるものである。この一組の平面部は距離L2だけ隔てられて設けられている。距離L2は距離L1より小さく設定される。このような軸をここでは小判軸と称する。
【0055】
また一対の軸部68A,68Bのうち、一方の軸部68Aの起端部には当接部67が形成され、先端部には突出部66が形成されている。
【0056】
図4,図5に示されるように、キャリッジ51は、上記イメージセンサ50が搭載される、上面が開放された容器状のものである。キャリッジ51は、図5に示されるように、底部71とこの底部71の副走査方向側の両端から上方へ立設された壁72とを有する。底部71の主走査方向側の両端には、一対の軸受部73A,73Bが形成されている。この一対の軸受部73A,73Bは、上記一対の軸部68A,68Bとそれぞれ係合可能な位置に配置されている。この一対の軸受部73A,73Bは、底部71から上方に突設され、突片74に溝幅L1´(この場合、僅かにL1´>L1)を有するU字形状の溝75が穿設されてなる。また、溝75の開放端には一対の抜け止め部75aが距離L2´(この場合、僅かにL2´>L2)を隔てて形成されている(但し、L1´>L2´。図9参照)。
【0057】
以下に、図4〜図9を参照しながら、イメージセンサ50とキャリッジ51とでイメージセンサユニット52が形成される手順が述べられる。
【0058】
まず、イメージセンサ50とキャリッジ51の主走査方向の左右が揃うように、イメージセンサ50の上面63とキャリッジ51の底部71とがほぼ直交するように配置された後、軸部68A,68Bの平面部70が、溝75に設けられた抜け止め部75aとそれぞれ対向する向きで溝75に嵌入される。
【0059】
ここで、イメージセンサ50の上面63に対する下面(図示せず)とキャリッジ51の底部71とが対向配置されるようにイメージセンサ50を軸部68A,68Bを中心に回転させる。すると、イメージセンサ50の上面63に対する下面(図示しない)は、キャリッジ51の底部71に設けられたバネ受け部56によって位置決めされたコイルバネ57に当接される。このコイルバネ57によって、イメージセンサ50とキャリッジ51とは互いに離間する方向に付勢される。
【0060】
この状態で、イメージセンサ50はキャリッジ51に対して副走査方向に位置決めされる。すなわち、溝75の短手方向の幅L1´と軸部68A,68Bの直径L1とを適宜設
計することによって、イメージセンサ50はキャリッジ51に対して副走査方向に位置決めされる。
【0061】
また、イメージセンサ50のキャリッジ51に対する主走査方向における位置決めは、上記軸受部73の突片74と、軸部68Aに形成されている当接部67および突出部66とが協働することによって行われる。すなわち、突片74の厚みと、当接部67から突出部66までの距離とを適宜設計することによって、イメージセンサ50はキャリッジ51に対して主走査方向に位置決めされる。
【0062】
また、キャリッジ51の軸受部73に形成された溝75は、副走査方向に溝幅を有し、イメージセンサユニットが画像読取装置1内に配置されたときにはプラテンガラス21,23に向かって開放されたU字形状である。従って、軸部68A,68Bは溝75に沿って移動することが可能であり、すなわちイメージセンサ50は、コイルバネ57の伸縮に応じて、キャリッジ51に対してプラテンガラス21,23方向に接離可能である。
【0063】
このようにして、イメージセンサ50はキャリッジ51に対しておよび回動可能かつ接離可能であるように支持され、主走査方向および副走査方向に位置決めされる。
【0064】
また、円柱状の軸の直径L1と、一対の抜け止め部75aの離間距離L2´と、軸部68A,68Bに設けられた、一組の平面部70の離間距離L2とを適宜設計することによって、軸部68が溝75から誤って外れることを防止できる。
【0065】
このように、本実施形態では、軸部68A,68Bは、イメージセンサ50の筐体49の長手方向の両端面69から突設され、一対の軸部68A,68Bのうち一方の軸部68Aには、当接部67と突出部66とからなる位置決め部材が形成されている。また、軸受部73は、キャリッジ51の主走査方向側の両端に形成され、一対の軸受部73のうち一方の軸受部73は、軸部68Aに設けられた当接部67および突出部66と協働して、キャリッジ51に対して筐体49の長手方向の位置決めを行う。よって、イメージセンサユニットの短手方向の長さに、位置決め部材の副走査方向の長さが含まれる構成と比較して、イメージセンサユニット52の副走査方向の大きさを小さくすることが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、当接部67と突出部66が軸部68Aと一体的に形成されているが、少なくとも当接部67と突出部66の何れか一方をイメージセンサ50の筐体49とは別部材として形成し、後から軸部68Aに固着させる構成であってもかまわない。
【0067】
また、一対の軸部68A,68Bのうち、一方の軸部68Aには当接部67と突出部66とからなる位置決め部材が形成されているので、軸部68A,68Bの両方に主走査方向を決めるための部材が形成される場合に比して、設計の自由度が向上する。すなわち、軸部68A,68Bの両方に主走査方向を決めるための部材が設けられる場合には、イメージセンサ50自身の寸法公差とキャリッジ51の寸法公差とを精度良く合わせざるを得ず、部品の歩留まりが低下する虞れがあるからである。
【0068】
また、キャリッジ51の軸受部73に形成された溝75は副走査方向に溝幅を有し、プラテンガラス21側に向かって開放されたU字形状(図5(b)参照)であるように設けられている。よって、イメージセンサ50の軸部68は溝75に沿って移動することができ、すなわちイメージセンサ50は、イメージセンサ50とキャリッジ51との間に設けられたコイルバネ57の伸縮に応じて、キャリッジ51に対して接離可能である。従って、プラテンガラス21の裏面とキャリッジ51との間隔が諸条件により変化した場合であっても、イメージセンサ50の上面63とプラテンガラス21の裏面との間隔を一定に保つことができ、イメージセンサ50が原稿から画像を良好に読み取ることができる。
【0069】
次に、本発明に係る第2の実施形態が図10〜図11を参照して説明される。なお、第1の実施形態と同様の箇所には同番号が付与されているので、その箇所については詳述しない。
【0070】
この第2の実施の形態のイメージセンサ350は、第1の実施の形態におけるイメージセンサ50とは、ローラユニット保持部190A,190Bの構造が異なっているだけである。第2の実施の形態のローラユニット194は、第1の実施の形態におけるローラユニット94とは、底板207の構造及びフレーム191の寸法が異なっているだけである。
【0071】
以下、イメージセンサ350及びローラユニット194の構造が説明される。
【0072】
イメージセンサ350は、その上面163が平面視で細長矩形である直方体形状の筐体149を有する。筐体149の上面163には、筐体149に内蔵されたLED(Light Emitting Diode:図示せず)の光を導く導光体64が筐体149の長手方向に連続して配設されている。この導光体64により、LEDの光がイメージセンサ350の筐体149の上面163と対向配置されるプラテンガラス21,23に向けて出射される。また、筐体149の上面163には、複数の集光レンズ65が導光体64と平行するように筐体149の長手方向に一列に配設されている。イメージセンサ350の内部構造や信号出力の構成等はイメージセンサ50と同様であるので、ここでは詳述しない。
【0073】
以下、イメージセンサ350のローラユニット保持部190A,190B及びローラユニット194の構成について詳述する。
【0074】
図10に示されるように、イメージセンサ350の筐体49の長手方向の両端部にはローラユニット保持部190A,190Bが設けられている。このローラユニット保持部190A,190Bは、筐体149の長手方向の角部に形成された凹部から構成されている。具体的には、この凹部は、筐体149の上面163に対して直交する垂直面250A,250Bと、これに連続するとともに垂直面250A,250Bと直交する載置面251とによって形成されている。請求項にいう位置決め部材は、垂直面250A,250Bと、載置面251とから構成されている。従って、垂直面250A,250Bは、筐体149の上面163から下方に延びる面である。また、載置面251は、上面163と平行な面である。
【0075】
そして、上記ローラユニット194は、この垂直面250A,250Bと載置面251とから形成される凹部に収納載置される。ローラユニット194の寸法は、この凹部に収容されるように適宜設定されればよい。この載置面251は、上記ローラユニット194を位置決め固定するための一対の位置決め孔205A,205Bを有している。この一対の位置決め孔205A,205Bが後述されるローラユニット194の一対の位置決め突起206と嵌合されることにより、ローラユニット194は当該ローラユニット保持部190A,190Bに位置決め固定される。
【0076】
従って、ローラユニット194がローラユニット保持部190A,190Bに位置決め固定されたときには、ローラユニット194はイメージセンサ350の筐体149の上面163を平面視した際に、その投影面積内に配置されるので、図示しないキャリッジとで構成されるイメージセンサユニット自体を小型化でき、結果として画像読取装置1を小型化できるのである。
【0077】
このローラユニット194は、図10に示されるように、フレーム191と、一対のローラ192,193とを備えている。フレーム191は、上記ローラ192,193を支持するブロックとして構成されている。図11に示されるように、フレーム191は底板207を備えており、例えば合成樹脂により形成されている。底板207には、上述したイメージセンサ350のローラユニット保持部190A,190Bに配置されている一対の位置決め孔205A,205Bと嵌合可能な一対の位置決め突起206が設けられている。また、図10に示されるように、位置決め孔205Bは、位置決め孔205Aよりも筐体149の短手方向に沿った方向に長く形成されている。これはローラユニット194の底板207から突出する一対の位置決め突起206との寸法公差を考慮したものである。
【0078】
ローラユニット194がローラユニット保持部190A,190Bに位置決め固定されるとき、第1の実施の形態と同様に、載置面251と底板207の間には、調節シート110が設けられる。この調節シート110の構成については、詳述しない。
【0079】
以下に、図10および図11を参照して、ローラユニット194がイメージセンサ350の筐体149に位置決め固定される手順の概略が述べられる。
【0080】
まず、調節シート110に設けられた一対の挿通孔111A,111Bが一対の位置決め孔205A,205Bと対向する方向で、調節シート110がローラユニット保持部190Aに設けられた凹部内に挿入されて位置決めされる。このとき、孔の長さの関係上、挿通孔111Aと位置決め孔205Aとが対向配置され、挿通孔111Bと位置決め孔205Bとが対向配置されていることが望ましい。イメージセンサ350とプラテンガラス21,23との距離を調節するために、調節シート110は複数枚重ねて配置されてもよく、また、場合によっては配置されなくてもよい。また、ローラユニット保持部190Bにも同様に調節シート110が適宜位置決めされる。
【0081】
次に、一対のローラ192,193がフレーム191に支持された状態で、前述のように、フレーム191の一対の位置決め突起206が上記位置決め孔205A,205Bが嵌合される。これにより、ローラユニット194は、筐体149に位置決め固定される。しかし、適宜設計することによりフレーム191の一対の位置決め突起206と上記位置決め孔205A,205Bとを無くしたとしても、ローラユニット194は凹部によって位置決め固定され得る。従って、位置決め突起206や位置決め孔205A,205Bは任意の構成要件である。
【0082】
この第2の実施の形態においても、調節シート110はローラユニット保持部190A,190Bに形成されている凹部に挿入されるだけなので、第1の実施形態と同様に、組立性の向上を図ることが可能である。
【0083】
また、第1の実施の形態や第2の実施の形態においても、調節シート(調整部材)を位置決めする位置決め部材によってローラユニットの位置決めも可能となるので、ローラユニットの位置決め部材を他に形成するスペースが必要無く、イメージセンサを小型化することができる。
また、第2の実施の形態においても、ローラ192,193間の距離は、第1の実施の形態におけるローラ92,93間の距離と同様にして設定される。すなわち、イメージセンサユニット350がプラテンガラス23の下方の読取位置R1に固定配置された状態において、イメージセンサ350に設けられた全てのローラ192,193が同一のガラス板(プラテンガラス23)の下面に密着され、且つ、イメージセンサ350がプラテンガラス21の下方の読取開始位置R3に配置された状態において、イメージセンサ350に設けられた全てのローラ192,193が同一のガラス板(プラテンガラス21)の下面に密着されるように設定されている。よって、読取位置R1においても、読取開始位置R2においても、イメージセンサ350に設けられた全てのローラ192,193が同一のガラス板の下面に密着されるので、イメージセンサ350がプラテンガラス21,23の下面に対して確実に位置決めされる。すなわち、画像読取装置1をFBSとして用いる場合と自動原稿搬送読取装置として用いる場合の双方において良好な画像の読み取りが実現される。
【符号の説明】
【0084】
1 画像読取装置
2 読取載置台
3 自動原稿搬送装置
4 原稿押さえカバー
5 画像読取ユニット
6A ローラユニット
6B ローラユニット
7A フレーム
7B フレーム
8 ローラ
9 ローラ
10 係合ピン
11 矢印
12 イメージセンサ
13 上面
14 イメージセンサ
15A ローラユニット
15B ローラユニット
17 ローラ
18 ローラ
19 裏面
20 原稿載置台の筐体
20A 下フレーム体
20B 上カバー
21 プラテンガラス
22 操作パネル
23 プラテンガラス
24 ベース部
25 側壁
26 区画版
27 裏面
28 表面
30 ベルト駆動機構
49 筐体
50 イメージセンサ
51 キャリッジ
52 イメージセンサユニット
54 シャフト受け部
56 バネ受け部
57 コイルバネ
61 タイミングベルト
62 ガイドシャフト
63 上面
64 導光体
65 集光レンズ
66 突出部
67 当接部
68A 軸部
68B 軸部
70 平面部
71 底部
72 壁
73A 軸受部
73B 軸受部
74 突片
75 溝
90A ローラユニット保持部
90B ローラユニット保持部
91 フレーム
92 ローラ
93 ローラ
94 ローラユニット
95 側板
96 側板
97 ローラ収容部
98 ローラ収容部
99 係合ピン
100 軸受部
101 軸受部
102 支持軸
103 支持軸
104 仮想直線
105 位置決め穴
106 係合孔
107 底板
110 調節シート
111A 取付け部
111B 取付け部
149 筐体
150 垂直面
151 載置面
163 上面
191 フレーム
192 ローラ
193 ローラ
194 ローラユニット
205A 位置決め孔
205B 位置決め孔
206 位置決め突起
207 底板
250A 垂直面
250B 垂直面
251 載置面
350 イメージセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の読取領域と、原稿を静止載置可能な第2の読取領域と、を有する原稿台ガラスと、第1の読取領域の上方に設けられた原稿搬送装置と、
短手方向と長手方向とを有する筐体を備えたイメージセンサと、
原稿台ガラスの下面に当接され、前記イメージセンサを原稿台ガラスの下面に対して位置決めする複数の当接位置決め部材と、からなり、前記原稿台ガラスの下面に沿って前記筐体の短手方向に往復動可能なイメージセンサユニットであって、
当該イメージセンサユニットは、前記第1の読取領域で、前記原稿搬送装置によって搬送される原稿を読み取る第1の読取状態と、前記第2の読取領域下面に沿って前記筐体の短手方向に移動されながら前記第2の読取領域に静止載置された原稿を読み取る第2の読取状態と、の2つの状態で原稿を読取可能であり、
前記複数の当接位置決め部材は前記筐体の短手方向の両端部に設けられ、前記筐体の短手方向における前記複数の当接位置決め部材間の距離は、
前記イメージセンサユニットが第1の読取状態によって原稿を読み取るとき、前記複数の当接位置決め部材が前記原稿台ガラスの前記第1の領域下面に当接され、
前記イメージセンサユニットが前記第2の読取状態によって原稿を読み取るとき、前記複数の当接位置決め部材が前記原稿台ガラスの前記第2の領域下面に当接されるように、
設定されることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記複数の当接位置決め部材のうちの少なくとも1つは、原稿台ガラスの下面に当接しながら転動するローラであることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記複数の当接位置決め部材は、原稿台ガラスの下面に当接しながら転動する複数のローラであることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記複数のローラは、前記イメージセンサの前記筐体の短手方向と長手方向によって作られる面を平面視した際に、その投影面積内に配置されることを特徴とする請求項3に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のイメージセンサユニットを備えた画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−48252(P2012−48252A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221585(P2011−221585)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2007−10364(P2007−10364)の分割
【原出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】