説明

イメージセンサ及びその製造方法、並びにセンサデバイス

【課題】装置を小型化及び簡素化することができ、低コストで製造することが可能なイメージセンサ及びその製造方法、並びにセンサデバイスを提供する。
【解決手段】複数の受光素子を備え、入射した光を電気信号に変換する光電変換部2を覆うように、光透過性材料からなる絶縁層3を形成する。そして、光電変換部2の直上域の絶縁層3上に、電鋳法などにより、測定時に試料6が充填される1又は複数のウェル5を形成して、イメージセンサ1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を使用したイメージセンサ及びその製造方法、並びにこのイメージセンサを搭載したセンサデバイスに関する。より詳しくは、ゲル状又は液体状の試料を測定対象とするイメージセンサの構造、製造方法及びセンサデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、溶液のpH測定、DNAやたんぱく質の解析などを、二次元画像として表示する化学センサ又はバイオセンサの需要が増加している。このような化学センサとしては、例えば、集光した光スポットによる励起電流から半導体素子の表面電位を読み取る表面電位測定法(SPV法)を利用したLight Addressable Potentiometric Sensor(LAPS)がある(例えば、特許文献1,2参照。)
【0003】
一方、特許文献1,2などに記載されている従来の化学センサは、検出画像を二次元マップとして取り込むことができるが、基板表面から光を入射させるため、透明基板や透明電極が必要となる。また、これらのセンサは、光源と素子がそれぞれ1つであるため、光源をスポット状態にしても発生した励起キャリアが半導体素子の平面方向に拡散して、観察対象となる励起電流の範囲が広がってしまう。このため、画像分解能が低いという問題点がある。
【0004】
そこで、従来、検出感度が高く、かつノイズ成分が少ない信号が得られ、更に、電荷信号を二次元的データとして出力することが可能なデバイスとして、CCD及びCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を検出手段に用いた化学センサやバイオセンサが提案されている(例えば、特許文献3〜6参照。)。また、半導体基板に、光源、セル及び受光部を集積形成した溶液成分センサもある(特許文献7参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−131276号公報
【特許文献2】特開2008−241335号公報
【特許文献3】特開2004−301648号公報
【特許文献4】特開2009−165219号公報
【特許文献5】特開2006−162585号公報
【特許文献6】特開2005−227155号公報
【特許文献7】特開平6−18421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献3,4に記載の分析装置は、高い分解能が求められる場合には、別途ウェルと検出器とのアライメント(位置合わせ)を行う手段が必要となるため、装置の小型化及び簡素化が困難であるという問題点がある。
【0007】
一方、特許文献5に記載のセンサは、導電性薄膜に試料を直接接触させ、試料の化学反応で生じる電気信号をダイオードで感知しているため、僅かな電気信号を導電性薄膜で捕らえる必要がある。このため、例えば導電性薄膜を金属で形成した場合、表面粗さや酸化状態などが検出感度に大きく影響し、その表面形状や形成プロセスの維持管理を極めてシビアに行わなければならないという問題点がある。また、特許文献5に記載のセンサでは、CCDは試料から発せられる電気信号を感知しているに過ぎず、光現象を二次元画像として出力することはできない。
【0008】
更に、特許文献6に記載のイメージセンサは、測定対象の試料をセンサの保護膜上に直接載せて観察しているため、粘度の低い試料の測定には不向きであり、また、複数種の試料を同時に測定することもできないという問題点がある。更にまた、特許文献7に記載のセンサは、複数の基板を貼り合わせて製造されるが、その際、精度良く位置合わせすることが難しいという問題点がある。更に、このセンサは、濃度など試料の成分分析を目的とするものであり、前述した特許文献5に記載のセンサと同様に、試料の光現象を二次元画像として出力することはできない。
【0009】
そこで、本発明は、装置を小型化及び簡素化することができ、低コストで製造することが可能なイメージセンサ及びその製造方法、並びにセンサデバイスを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るイメージセンサは、複数の受光素子を備え、入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、光透過性材料からなり、前記光電変換部を覆うように形成された絶縁層と、前記光電変換部の直上域の絶縁層上に形成された1又は複数のウェルと、を有し、前記光電変換部の受光素子により、前記ウェル内に充填された試料の光現象を検出するものである。
本発明においては、光電変換部とウェルとが一体で形成されているので、アライメント手段が不要となる。これにより、装置を小型化及び簡素化することができると共に、低コスト化を実現することができる。
このイメージセンサでは、受光素子の1画素又は複数画素毎に、1つのウェルを形成してもよい。
また、前記光電変換部は、例えばCCD又はCMOSにより構成することができる。
更に、前記ウェルの表面には、保護膜が形成されていてもよい。
更にまた、少なくとも前記ウェルの側面には、光吸収層又は光反射層を形成することもできる。
【0011】
本発明に係るイメージセンサの製造方法は、半導体ウエハにマトリクス状に複数の光電変換部を形成する工程と、前記光電変換部上に光透過性材料からなる絶縁層を形成する工程と、前記光電変換部の直上域の絶縁層上に1又は複数のウェルを形成する工程と、前記ウェル形成後のウエハを切断してチップ化する工程と、を有する。
本発明においては、半導体装置の製造技術を応用してイメージセンサを製造しているため、光電変換部の直上域の所定の位置に、精度良くウェルを形成することができる。
この製造方法では、例えば、ウェルとなる部分にレジスト層を設け、それ以外の部分にめっき法により金属からなる壁構造体を形成し、その後前記レジスト層を除去することにより、ウェルを形成してもよい。
又は、前記絶縁層上にレジスト層及び金属層を形成し、該レジスト層のウェルとなる部分以外の部分を露光してレジスト樹脂を硬化させると共に、未硬化のレジスト樹脂及びその直上域に設けられた金属層を除去することによりウェルを形成してもよい。
【0012】
本発明に係るセンサデバイスは、前述したイメージセンサが搭載されたものである。
本発明においては、光電変換部とウェルとが一体化されたイメージセンサが搭載されているため、光電変換部とウェルとの位置合わせのためのアライメント手段が不要となる。これにより、装置を小型化、簡素化及び低コスト化することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光電変換部とウェルとを一体化しているため、装置を小型化及び簡素化することができると共に、低コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイメージセンサの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係るイメージセンサの製造方法をその工程順に示す図である。
【図3】(a)〜(f)は電鋳法によりウェル5を形成する方法を、その工程順に示す断面図である。
【図4】(a)〜(g)はハードマスク層を備えた壁構造体によりウェル5を形成する方法を、その工程順に示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係るセンサデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す各実施形態に限定されるものではない。また、説明は、以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態 (センサ構造の例)
2.第2の実施の形態
(製造方法:電鋳法によりウェルを形成する例)
3・第2の実施形態の変形例
(製造方法:ハードマスク層を備えた壁構造体でウェルを形成する例)
4.第3の実施の形態 (センサデバイスの例)

【0016】
<1.第1の実施の形態>
[イメージセンサの構成]
先ず、本発明の第1実施形態に係るイメージセンサについて説明する。図1は本実施形態のイメージセンサの構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態のイメージセンサ1は、光電変換部2上に、絶縁層3を介して、測定対象のゲル状又は液体状の試料6が貯留される1又は複数のウェル5が形成されている。
【0017】
[光電変換部2]
光電変換部2は、試料6の光現象を検出して、電気信号として出力するものであり、複数の受光素子がマトリクス状に配設されている。このような光電変換部2は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子により構成することができる。
【0018】
[絶縁層3]
絶縁層3は、光電変換部2とウェル5を構成する壁構造体4とを電気的に絶縁するものであり、試料6や受光素子での光検出に影響しない材料で形成されている。具体的には、絶縁層3は、例えば酸化シリコン(SiO)及び窒化シリコン(SiN)などの光透過性がある無機材料、ポリイミドなどの高融点でかつ光透過性がある高分子材料で形成することができる。
【0019】
[ウェル5]
ウェル5は、壁構造体4よって区画された空間であり、例えば光電変換部2に設けられた受光素子の1画素又は複数画素毎に設けられている。そして、このウェル5内において、測定対象のゲル状又は液体状の試料6について、光現象の測定を行う。このウェル5を構成する壁構造体4の高さ、幅及び強度は特に限定されるものではなく、所定量の試料6を貯留できるものであればよい。
【0020】
また、ウェル5の形状は、例えば平面視で四角形状又は六角形状とすることができる。ウェル5の形状を、平面視で四角形状にした場合、光電変換部2の受光素子と同一形状又はその整数倍の形状とすることができるため、検出精度が向上する。特に、ウェル5の形状が平面視で六角形状の場合、ウェル5内で発光した光が多重反射しやすくなるため、受光素子がウェル5内で起こる発光現象を最大限に取り込むことが可能となる。更に、試料6がビーズを含む場合は、ウェル5の形状が平面視で六角形状であると、ビーズが最密充填されやすくなり、検出精度が向上する。
【0021】
更に、壁構造体4は、金属材料で形成されているか又はその一部に金属層を有していることが望ましい。なお、壁構造体4が金属層を有する構造の場合、その他の部分を構成する材料は、実装工程に耐えうる程度の耐熱性を有するものであればよい。このような材料で構成することにより、受光素子への集光効果及び受光効率を向上させることができる。
【0022】
また、少なくとも、ウェル5(壁構造体4)の側面は、光を透過しない材料で形成されていることが望ましい。これにより、ノイズを低減し、高分解能で検出することが可能となる。更に、本実施形態のイメージセンサ1では、壁構造体4の表面に保護膜が形成されていてもよい。これにより、例えば、試料6とウェル5(壁構造体4)との相互作用や、壁構造体4の変質や劣化を防止することができる。
【0023】
このように、本実施形態のイメージセンサ1では、光電変換素子2とウェル5とが一体で形成されているため、アライメント作業や手段が不要となる。また、ウェル5は、光電変換素子2と同様に、ウエハプロセスで形成することが可能であるため、位置合わせ精度を数μm以内に抑えることができる。これにより、高分解能の分析が可能となる。
【0024】
更に、このイメージセンサ1では、受光素子の画素とウェル5とを対応させて形成することも可能であるため、高分解能での分析を実現することができる。更にまた、ウェル5内で細胞の培養などを行うことも可能であるため、試料5の経時変化を観察することも可能である。
【0025】
<2.第2の実施の形態>
[イメージセンサの製造方法の概要]
次に、本発明の第2の実施形態として、前述した1の実施形態のイメージセンサの製造方法について説明する。図2(a)〜(c)は本実施形態のイメージセンサの製造方法をその工程順に示す図である。本実施形態においては、先ず、図2(a)に示すように、半導体ウエハ11に、光電変換素子2としてCCDやCMOSなどの固体撮像素子を形成し、その上に絶縁層3を形成する。これら光電変換素子2及び絶縁層3の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
【0026】
次に、図2(b)に示すように、絶縁層2上にウェル5を形成する。その方法は、特に限定されるものではないが、例えば、金属材料により壁構造体4を形成する場合は、後述する電鋳法などを適用することができる。その後、図2(c)に示すように、公知の方法によりウエハ11を切断し、個々のイメージセンサ1に分離する。
【0027】
[電鋳法によるウェル5の形成]
以下、電鋳(めっき)法により、ウエハレベルでウェル5を作製する方法について、光電変換素子2が既存のCMOSである場合を例にして、具体的に説明する。電鋳法は、化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や物理蒸着(PVD: Physical Vapor Deposition)法では製膜に時間がかかり、形成が困難な数μm〜数十μmの厚い金属膜を形成することができるため、半導体デバイスのバンプ形成やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの構造体形成などで一般的に用いられている。
【0028】
図3(a)〜(f)は電鋳法によりウェル5を形成する方法を、その工程順に示す断面図である。電鋳法によりウェル5を形成する場合は、先ず、図3(a)に示すように、複数のCMOS21が形成され、表面に絶縁層3が形成された半導体ウエハの所定位置に、スパッタ法及び真空蒸着法などの薄膜体積法により、シード層12となる金属膜を形成する。このシード層12は、厚さが数十nm程度あればよく、例えばAu、Ag、Cu、Ni、Cr、Pt、Pd若しくはこれらの合金、又は積層膜により形成することができる。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、シード層12を形成後のウエハ表面に、スピンコート法などによりレジスト溶液を塗布するか、又はフィルムレジストを貼付し、厚膜レジスト層13を形成する。その後、図3(c)に示すように、露光及び現像を行い、ウェル5となる部分を残して、レジスト層13を除去する。
【0030】
そして、図3(d)に示すように、電鋳(めっき)法により、シード層12から金属膜を成長させて、壁構造体4を形成する。その際、壁構造体4の材料としては、例えばAu、Ag、Cu、Ni、Cr、Pt、Pd若しくはこれらの合金、又はこれらの金属と耐食性を有するZn、Cd、Pbとの合金などを使用することができる。また、壁構造体4の高さは、ウェル5内に貯留される試料6に応じて適宜設定することができるが、1μm以上とすることが望ましい。
【0031】
次に、図3(e)に示すように、剥離液又はOなどのドライアッシングを用いて、レジスト13を除去し、ウェル5を形成する。そして、例えば試料6が金属材料と反応する虞がある場合など、試料6の特性に応じて、図3(f)に示すように、壁構造体4及びウェル5を保護膜7で被覆してもよい。なお、保護膜7は、必要な場合のみ形成すればよい。また、壁構造体4を無電界めっきで形成する場合は、シード層12も不要である。
【0032】
このように、本実施形態のイメージセンサの製造方法では、電鋳法により金属材料からなる壁構造体4を形成しているため、ウェル5内で多重反射が生じやすく、集光効率及び受光効率に優れたイメージセンサを、低コストで製造することができる。また、電鋳法の場合、壁構造体4形成後のレジスト層13の除去が容易であるため、残留物によるウェル5の底部(受光部)における光透過率低下の心配もない。更に、このイメージセンサでは、光電変換部とウェルとが一体で形成されているので、アライメント手段が不要となり、装置を小型化及び簡素化することができる。
【0033】
<3.第2の実施の形態の変形例>
[イメージセンサの製造方法の概要]
次に、本発明の第2の実施形態の変形例として、ハードマスク層を備えた壁構造体により、ウェル5を形成する方法について説明する。前述した第2の実施形態のイメージセンサの製造方法では、電鋳法により金属材料で壁構造体4を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属材料からなるハードマスク層とレジスト層とを組み合わせて壁構造体4を形成することもできる。
【0034】
[ウェルの形成方法]
図4(a)〜(g)はハードマスク層を備えた壁構造体によりウェル5を形成する方法を、その工程順に示す断面図である。本変形例では、先ず、図4(a)に示すように、複数のCMOS21が形成され、表面に絶縁層3が形成された半導体ウエハ表面に、スピンコート法などによりレジスト溶液を塗布するか、又はフィルムレジストを貼付し、厚膜レジスト層13を形成する。その際使用するレジスト材料としては、ポリイミド樹脂及びPEEKなどの200℃以上の耐熱性があるものが望ましい。
【0035】
次に、図4(b)に示すように、厚膜レジスト層13上に、金属材料などからなるハードマスク層16を形成する。その後、図4(c)に示すように、ハードマスク層16上にレジスト層17を形成し、マスク18を使用して、ウェル5のパターニングを行う。そして、図4(d)に示すように、露光及び現像を行い、壁構造体4となる部分のレジスト層17を除去し、更に、図4(e)に示すように、メタルエッチング、厚膜レジスト層13のエッチング及びアッシングを行って、ウェル5を形成する。
【0036】
このように、壁構造体4の一部がレジスト層13で構成されている場合、試料から発せられた光が、ウェル5の側面(壁構造体4)に入射し、隣接するウェル5の検出部で誤って検知されることがある。このような誤検知を防止し、検出精度を高めるためには、ウェル5(壁構造体4)の側面に、検出光を反射する反射層や検出光を吸収する吸収層を設ければよい。
【0037】
反射層9を設ける場合は、例えば、図4(f)に示すように、壁構造体4の表面に、Au、Ag、Pt、Alなどからなる金属層を形成すればよい。また、吸収層は、例えば、図4(g)に示すように、レジスト溶液にカーボンなどを混合した黒色樹脂溶液を、壁構造体4の表面に塗布し、露光を行った後、ポストべーク及び現像を行って、黒色レジスト層8を形成すればよい。
【0038】
このように、本実施形態のイメージセンサの製造方法では、壁構造体4の一部にハードマスク層が設けられているため、壁構造体4形成後のレジスト層13の除去が容易であり、低コストで、検出感度及び検出精度に優れたイメージセンサを製造することができる。なお、本変形例のイメージセンサの製造方法における上記以外の構成及び効果は、前述した第2の実施形態と同様である。
【0039】
<4.第3の実施の形態>
[センデバイスの構造]
次に、本発明の第3の実施形態に係るセンサデバイスについて説明する。図5(a)〜(c)は本実施形態のセンサデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図である。図5(c)に示すように、本実施形態のセンサデバイス30は、前述した第1の実施形態のイメージセンサ1を搭載したパッケージ基板31を、他の電子部品33a,33bと共に回路基板32上に実装したものである。
【0040】
このセンサデバイス30では、イメージセンサ1のウェル5内に試料6を充填した後、パッケージ基板31上にキャップ34を載置し、接着剤、光硬化剤又は熱圧着などにより、パッケージ内を封止することもできる。この場合、キャップ34の材料は特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。
【0041】
[センサデバイス30の製造方法]
次に、前述したセンサデバイス30の製造方法について説明する。本実施形態のセンサデバイス30を製造する際は、先ず、図5(a)に示すイメージセンサ1を、パッケージ基板31に実装する(図5(b)参照)。次に、図5(c)に示すように、イメージセンサ1が搭載されたパッケージ基板31を、駆動回路などの周辺回路を備えた回路基板32に、例えばイメージセンサ1の検出データをリアルタイムで処理するための処理カード(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの電子部品33a,33bと共に実装する。
【0042】
[動作]
本実施形態のセンサデバイス30は、イメージセンサ1に設けられたウェル5に試料6が充填されると、光電変換部2によりその光現象が検出され、二次元画像として出力される。その際、例えば本実施形態のセンサデバイス30を化学センサとして使用する場合などは、外部に設置された光源からウェル5内の試料6に光を照射してもよい。また、本実施形態のセンサデバイス30を、例えば遺伝子検査に用いる場合には、試料自身の発光を検知することも可能である。
【0043】
本実施形態のセンサデバイス30は、光電変換部2とウェル5とが一体で形成されたイメージセンサ1が搭載されているため、アライメント手段が不要となる。これにより、装置を小型化及び簡素化することができると共に、低コストで高分解能の分析を実現することができる。更に、壁構造体4を金属材料で形成したイメージセンサ1を使用した場合には、ウェル5内で多重反射効果により、従来のセンサデバイスに比べて検出効率を大幅に向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 イメージセンサ
2 光電変換部
3 絶縁層
4 壁構造体
5 ウェル
6 試料
7 保護膜
8 黒色レジスト層
9 反射層
11 半導体ウエハ
12 シード層
13、17 レジスト層
16 ハードマスク層
18 マスク
21 CMOS
31 パッケージ基板
32 回路基板
33a、33b 電子部品
34 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光素子を備え、入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、
光透過性材料からなり、前記光電変換部を覆うように形成された絶縁層と、
前記光電変換部の直上域の絶縁層上に形成された1又は複数のウェルと、を有し、
前記光電変換部の受光素子により、前記ウェル内に充填された試料の光現象を検出するイメージセンサ。
【請求項2】
前記受光素子の1画素又は複数画素毎に、1つのウェルが形成されている請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記光電変換部が、CCD又はCMOSにより構成されている請求項2に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記ウェルの表面に、保護膜が形成されている請求項3に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
少なくとも前記ウェルの側面に、光吸収層又は光反射層が形成されている請求項3に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
半導体ウエハにマトリクス状に複数の光電変換部を形成する工程と、
前記光電変換部上に光透過性材料からなる絶縁層を形成する工程と、
前記光電変換部の直上域の絶縁層上に1又は複数のウェルを形成する工程と、
前記ウェル形成後のウエハを切断してチップ化する工程と、を有するイメージセンサの製造方法。
【請求項7】
ウェルとなる部分にレジスト層を設け、それ以外の部分にめっき法により金属からなる壁構造体を形成し、その後前記レジスト層を除去することにより、ウェルを形成する請求項6に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層上にレジスト層及び金属層を形成し、該レジスト層のウェルとなる部分以外の部分を露光してレジスト樹脂を硬化させると共に、未硬化のレジスト樹脂及びその直上域に設けられた金属層を除去することによりウェルを形成する請求項6に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のイメージセンサが搭載されたセンサデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137742(P2011−137742A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298487(P2009−298487)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】