説明

イメージング方法およびこの方法を行うための装置

本発明は,生物発光および/または蛍光マーカーと放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で同時に決定するイメージング方法に関する。この方法においては,生物発光および/または蛍光マーカーの分布は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器により独立して検出し,放射性マーカーの分布は,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器により同時に独立して検出する。さらに,本発明はまた,イメージング方法を実施するための装置に関し,該装置は,第1の検出器として少なくとも1つのCCDカメラ(1,2),第2の検出器として少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器(3),および,生物発光および/または蛍光マーカーの光子を本質的に反射し,放射性マーカーの光子を本質的に透過させる層(5)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,生物発光,蛍光および放射性マーカーのインビボ分布を決定するためのイメージング方法に関する。本発明はさらに,イメージング方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング方法を用いる形態学的,機能的および生化学的パラメータの定性的および定量的検出は,医学研究および応用の種々の分野の基礎である。腫瘍研究に用いられている既知のイメージング方法の例としては,とりわけ,放射性核種を用いる単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)または蛍光または生物発光を用いる光学的手法がある。
【0003】
単一光子放出コンピュータトモグラフィーの場合には,調べるべき動物またはヒトに放射性マーカーを注入する。このマーカーは,これを運ぶ生物学的担体に依存して,動物/ヒトの特定のタイプの臓器または組織に集まる。放射性マーカーは放射性照射(γ照射)を放出し,調べるべき被験物の特定の領域におけるその強度は,前記領域中のマーカーの濃度に依存する。放射性照射は,γカメラまたはシンチレーションカメラにより検出する。小実験動物で高解像度の実験を行うためには,γ光子を検出するための装置が,例えば,D.P.McElroy et al.:Evaluation of A−SPECT:ADesktop Pinhole SPECT Systemf or Small Animal Imaging,Proc.Med.Imag.Conf.San Diego 2001,M10−4またはA.G.Weisenberger et al.:DevelopmentofaNovelRadiationImagingDetector System for in vivo Gene Imaging in Small Animal Studies,IEEE Transactions
on Nuclear Science,Vol.45,No.3(June1998)1743−1749に開示されている。そのようなトモグラフィーの応用分野の例は,前臨床研究または放射性トレーサー開発である。
【0004】
インビボ実験用として従来知られるさらに別のイメージング方法は,蛍光または生物発光マーカーを用いる光学的方法である。後者は,例えばレポーター遺伝子として作用し,付随する蛋白質が測定可能な光学的シグナルを生ずるため,遺伝子発現を観察するために用いられている。蛋白質ルシフェラーゼをコードする遺伝子は,最もよく用いられるレポーター遺伝子である。この場合,特定の蛋白質の遺伝子をルシフェラーゼ遺伝子で置き換える。付随するプロモーターの活性化により,次にルシフェラーゼ遺伝子の転写が推進される。北米の蛍であるPhotinus pyralisの酵素ルシフェラーゼは,ATPおよびMg2+の存在下でルシフェリンの酸化的脱炭酸反応を触媒する。これによって,光が放たれ,これは蓄積してこれらの動物からの光放出を形成する。したがって,ルシフェリンおよびATPの存在下において生ずる発光は,ルシフェラーゼの発現を示す。この光学的シグナルは,例えば,CCDカメラ等により容易に測定することができる。生物発光レポーター遺伝子と同様の方法で,蛍光レポーター遺伝子,例えば,グリーン蛍光蛋白質(GFP)の遺伝子も用いられている。そのような蛋白質は,外部光源からの照射により刺激されて蛍光を生ずる。光学的方法による遺伝子発現のインビボイメージングは,例えば,C.Bremer,R.Weissleder:in vivo Imaging
of Gene Expression:MR and Optical Technologies,Academic Radiology,Vol.8,No.1(January 2001)15−23に開示されている。これらの方法はまた,とりわけ,
インビボ腫瘍モニタリングに用いられている(R.Weissleder et al.:in vivo Imaging of Tumors with Protease−Activated Near−Infrared Fluorescent Probes,Nature Biotechnology,Vol.17(April 1999)375−378)。
【0005】
光学的(蛍光または発光)光子を放出する分子の利点は,とりわけ,放射性標識した成分にはない医学的に興味深い特定の化学的特性を有することである。例えば,特定の酵素的相互作用によりこれらを活性化することができる。対照的に,放射性物質が放出するγ線は密度の高い組織と相互作用する可能性が光学的光子よりはるかに低いため,放射性物質は大きい体積または厚さの組織を通って浸透することができるという利点を有する。さらに,これらは調べるべき組織の生化学的特性とほとんどまたは全く相互作用しないという利点を有する。従来技術においては,両方のイメージング方法,すなわち,蛍光または発光分子により放出される光学的光子を検出する方法と,一方では放射性同位体により放出されるより高いエネルギーの光子を検出する方法とは,異なる装置で別々に実施されている。2つのイメージング方法により得られる画像は,同時にかつ同じ投影角で得ることができないため,その比較は限定された程度でのみ可能である。2つの方法を順番に実施すると,調べるべき被験物の負担が過剰となること,速度論的実験の再現性がないこと,イメージングの幾何学,動物および組織の動きおよび画像の正しい重ね合わせがが同一ではないことなどの問題が生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって,本発明は,従来技術の欠点を回避し,上述の2つの手法の利点を組み合わせるという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は,生物発光および/または蛍光マーカーおよび放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で同時に測定するイメージング方法の手段により達成される。この方法では,生物発光および/または蛍光マーカーの分布を,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器で独立して検出し,放射性マーカーの分布を,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器で同時に独立して検出することにより測定する。
【0008】
この点に関して,投影とは,イメージングされるべき対象物に対して,検出器の特定の投影立体角における三次元エネルギー分布の2次元イメージングとして理解すべきである。本発明においては,対象物に対する2つの検出器システムの投影立体角は同一である。すなわち,対象物は,両方の検出器により同一の投影角度から“見られる”。
【0009】
生物発光および/または蛍光マーカーの光学的光子は1eV−3eVの範囲の(第1の)平均エネルギーを有する。放射性マーカーの光子は10keV−600keVの範囲の第2の平均エネルギーを有する。本発明にしたがうイメージング方法は,インビボで行う。これは,例えば生きた実験動物に適用することができる。この場合に有利な点は,生きている生物中の活性物質の移動,代謝および排出を観察すること,およびその自然環境中で生物学的プロセスを測定することが可能であることである。
【0010】
本発明の好ましい態様においては,第1の平均エネルギーを有する生物発光および/または蛍光マーカーの光子と,第2の平均エネルギーを有する放射性マーカーの光子とは,層の助けにより,独立して検出するために分離される。層は,光子をそのエネルギーに依
存する様式で本質的に反射または透過させる。一例として,γ照射は層との相互作用が全くまたはほとんどなく透過され,一方,より低いエネルギーの光学的照射は層により反射される。このことにより,調べるべき被験物中のマーカーにより同じ投影角度で放出される,異なるエネルギーを有する光子を独立して検出することが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい態様においては,層は,生物発光および/または蛍光マーカーの光子を少なくとも1つの第1の検出器の方向に反射させ,放射性マーカーの光子を少なくとも1つの第2の検出器の方向に透過させるよう作用する。したがって,異なるエネルギーを有する光子は,層により分離されるのみならず,これらを検出する検出器の方向に既に“舵取り”されている。
【0012】
好ましくは,生物発光および/または蛍光マーカーは,ルシフェラーゼレポーターのマーカー,近赤外線領域に放出波長を有するマーカー分子(NIRF分子)およびGFP(グリーン蛍光蛋白質)の分子からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。この群からのマーカーは,既にレポーター遺伝子のコンセプト中に首尾良く統合されており,インビボ(生きている)動物で検出されている。ルシフェラーゼは酵素反応の状況において青色または黄緑色の光を生ずる(上述を参照)。光を放出する産物のための出発物質を形成する酵素基質は,ルシフェリンと称されている。ルシフェラーゼ/ルシフェリン系は,例えば,蛍Photinus pyralis(最大放出562nm),他の蛍および多くの発光性海洋性細菌(最大放出489nm)において見出される。
【0013】
最もよく特性決定されているグリーン蛍光蛋白質(GFP)は,太平洋のクラゲAequorea victoriaおよびウミシイタケRenilla reniformisに由来するものである。いずれの場合も,GFPは青色の化学発光を緑色の蛍光(最大放出508nm)に変換する。GFPは238アミノ酸からなる比較的小さい蛋白質である。
【0014】
近赤外線領域に放出波長を有する分子(NIRFマーカー)は,組織中で相互作用する可能性が可視波長スペクトル中に波長を有する光子より低く,したがって,より深く浸透する。
【0015】
例として,蛋白質,脂質,RNAまたはDNAを,生物発光および/または蛍光マーカーによりまたは放射性マーカーによりマーキングすることができる。
【0016】
好ましくは,放射性マーカーは,As−72,Br−75,Co−55,Cu−61,Cu−67,Ga−67,Gd−153,I−123,I−125,I−131,In−111,Ru−97,Tl−201,Tc−99mおよびXe−133の群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。それぞれ用いられる放射性同位体は,測定すべき生物学的プロセスに応じて,その半減期およびそれが放出する放射エネルギーに関してマーカーとして選択される。
【0017】
本発明の好ましい態様においては,第1の平均エネルギーを有する光子の検出は,少なくとも1つのCCDカメラにより行い,第2の平均エネルギーを有する光子の検出は,少なくとも1つの窓を有するコリメータを含む少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器により行う。
【0018】
CCD(電荷結合素子)は,光子を高感度で検出するための電荷結合イメージングセンサーである。CCDカメラは,画像の個々の点を生成する多数の小さい光感受性ゾーン(ピクセル)に分けることができる。ピクセルのグリッドは,半導体結晶(通常はシリコン)上に回路構造により形成される。CCDカメラの動作方法は,半導体材料中で衝突する
光による電子の解放に基づく。ピクセル上に落ちた光子は少なくとも1つの電子を解放し,これは電位によりピクセルの位置で固定して保持される。ピクセルの位置から解放される電子の数は,この位置に入射する光の強度と比例する。各ピクセル中で電子の数を測定し,その結果として画像を再構築することができる。CCDは冷却すべきである。さもなくば,光の入射の結果としてではなく熱の結果として解放されたより多くの電子が読み出されるからである。本発明の場合,生物発光および/または蛍光マーカーの光学的光子は,好ましくは少なくとも1つのCCDカメラを用いて検出する。
【0019】
SPECT検出器は通常γカメラまたはシンチレーションカメラを含む。シンチレータは放射性同位体から放出されるγ線を吸収する。これに対する応答として,シンチレータは可視光を含む光シンチレーションを放出し,これはSPECT検出器の一群の光電子増倍管により検出され,測定可能な電気的シグナルに変換される。身体中の光子の放射性放出の位置は,コリメータが身体とシンチレータとの間に配置されている場合にのみ決定することができる。このコリメータは,シンチレータ光子からの遮蔽として働き,シンチレータ光子はコリメータ幾何学により規定される受容領域中に配置されない。さらに,コリメータは,検出器システムの視野を規定する。
【0020】
本発明はさらに,本発明にしたがうイメージング方法を実施するための装置に関する。この装置は,第1の検出器として少なくとも1つの冷却したCCDカメラ,第2の検出器として少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器,および生物発光および/または蛍光マーカーの光子を本質的に反射し,放射性マーカーの光子を本質的に透過させる層を含む。層は(先に述べたように)異なるエネルギーを有する光子を分離するよう働き,これらは異なる検出器(CCDカメラおよびSPECT検出器)で検出される。SPECT検出器は,好ましくはコリメータ,シンチレータ,多数の光電子増倍管,および付随する電子的要素を含む。
【0021】
本発明の場合,検出器および層は,好ましくは共通のハウジング中に予め決定された空間的配置で固定的に取り付けられる。CCDは放射性核種により放出される光子のエネルギースペクトルには感受性ではないため,遮蔽は必要ではなく,CCDは全体として遮蔽された断層撮影機中に完全に統合させることができる。
【0022】
本発明の場合には,検出器の配置によって,高度反射層または乱反射層を用いる。高度反射層としては,例えば,低い減衰係数を有する適当な基板材料上にアルミニウムを蒸着させる。そのような層は従来技術から入手可能である。乱反射薄層も同様に従来技術において,例えば適当な基板材料に塗布したプラスチックの微細粒子の形で,入手可能である。本発明の場合には,放射性同位体光子の減衰およびスキャッタリングを最小とすることを確実にして,原理的にこれらの効果を無視しうるようにするため,層は可能な限り薄くするよう意図される。層によるスキャッタリングおよび吸収が存在する場合には,検出後の画像の再構築においてこれらを補正することができる。最小の厚さは,要求される静電特性,例えば平面スティフネスによって決まる。
【0023】
本発明の好ましい態様においては,少なくとも1つのSPECT検出器は,多数のシンチレーション結晶を有する(例えば平面の)シンチレーション結晶アレイおよび空間的に分解する光電子増倍管アレイを含む。シンチレーション結晶は,高エネルギーγ線を可視光に変換するよう働く密度の高い透明な結晶材料(例えば,NaI(Tl))である。可視光は,光電子増倍管アレイにより空間的に分解する様式で電気的シグナルの形で検出される。
【0024】
本発明はさらに,生物発光および/または蛍光マーカーのインビボ分布と放射性マーカーのインビボ分布とを共通の測定装備により同一の投影角で交互に測定するイメージング
方法に関する。この方法においては,生物発光および/または蛍光マーカーの分布を,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器を用いて独立して検出することにより測定し,これと交互に,放射性マーカーの分布を,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器を用いて独立して検出することにより測定する。
【0025】
本発明にしたがうこの方法を実施するために,好ましくは,SPECT検出器用のコリメータとして働くマスクが,測定の間にCCDカメラの視野の外に動くことができ,再び視野内に動くことができる装置を用いる。
【0026】
この場合,マスクをCCDカメラの視野の外側に設置すると,これらの光学的イメージングシステムの感度が著しく増加する。しかし,この状態では(コリメータなしで)放射性同位体光子を検出することは不可能である。したがって,SPECT検出器は,好ましくはマスクがビーム経路から除かれている場合には作動しない。マスクがビーム経路中に設置されている場合には,好ましくはCCDカメラは作動しない。マスクを2つの位置(CCDカメラの視野の中/外)に時間的に交互に導入することにより,本発明にしたがう装置の好ましい適用モードが得られる。
【0027】
本発明は,好ましくは,小動物(例えば,マウスまたはラット)のインビボ研究のために,遺伝子発現のインビボ観察のために,および乳,前立腺,皮膚癌および甲状腺のイメージングのために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
図1は,2つのCCDカメラおよび1つのSPECT検出器を有する,本発明にしたがう装置の好ましい態様を示す。
【0030】
本発明のこの好ましい態様の場合,本発明にしたがう装置は,互いに向かい合った2つのCCDカメラ1,2,CCDカメラ1,2に垂直に配置されたSPECT検出器3,SPECT検出器3の前面に配置され90°の角度で曲がっている遮蔽4,および遮蔽4上に固定され,同様に90°の角度で曲がっている層5を含み,前記層の曲り端6は遮蔽4の曲り端上に位置しており,層5は遮蔽4中の窓7を覆っている。層5は,光学的光子,例えば,生物発光および/または蛍光マーカーからの光子を反射し,γ光子,例えば,放射性マーカーからの光子を透過させる。窓7を有する遮蔽4は,SPECT検出器3のコリメータとして働く。調べるべき被験物(この場合はマウス8)は,好ましくはプレキシグラス(Plexiglas)からなる薄壁の透明なチューブ9中に配置され,前記コリメータの
前面にできるだけ近く配置される。マウス8が放射性および生物発光および/または蛍光マーカーを含み,かつ前記マーカーが遮蔽4の方向に光子を放出すると,光子は,そのエネルギーに依存して,層5において主として反射されるか,または層5により主として透過される。図1には,低エネルギーの光学的照射について3つのビーム進路10,11,12が示される。3つのビーム10,11,12は,層5において90°の角度で反射され,その結果,直接CCDカメラ1,2に向かい,ここで検出される。中または高エネルギーのγ光子は相互作用することなくまたはわずかな相互作用で層5を通過することができる。次にこれらは遮蔽(例えば,鉛またはタングステン製)により吸収されるか,または窓7を通って通過してSPECT検出器3に入り,ここで検出される。SPECT検出器は,シンチレーション結晶アレイ13および光電子増倍管アレイ14を含み,これらは入射したγ光子を光学的光子に変換し,次に電流に変換する。SPECT検出器3および遮蔽4および層5,ならびにCCDカメラ1,2は,互いに特定の空間的配置を維持する
ようにハウジング15中で固定して配置される。固定して配置された要素を有するハウジング15は,異なる角度で測定データを得るために,マウス8を含むチューブ9のまわりに,好ましくは360°回転することができる。一方,固定して配置されたハウジング15中で,チューブ9をマウス8と一緒に回転させることも考えられる。
【0031】
図1における投影立体角は,定義により0°である。検出器のイメージング平面は互いに平行であるが(すなわち,同じ0°の投影角度を有する),CCDカメラ1,2のイメージング平面は,SPECTシステムのイメージング平面に対してそれぞれプラス/マイナス90°回転する。両方のCCD1,2の視野(光子投影軌跡)が90°回転するため(反射層5により),同一の投影角が与えられる。
【0032】
図2は,本発明のさらに別の可能な態様の検出器の空間的配置の概略図を示す。
【0033】
この場合,図1からの設計が適用され,さらに,予めチューブ9中に置かれた被験物16の中心を通りCCDカメラの縦軸に平行に伸びている軸方向回転軸に対して鏡像様式で構築される。すなわち,一方の方向に放出された光子は,第1および第2のCCDカメラ1,2および第1のSPECT検出器20により検出することができ,反対方向に放出された光子は,第3および第4のCCDカメラ17,18および第2のSPECT検出器19により検出することができる。
【0034】
図3は,2つのCCDカメラおよび2つのSPECT検出器を有する,本発明にしたがう装置のさらに別の好ましい態様を示す。
【0035】
本発明のこの好ましい態様の場合,本発明にしたがう装置は,同じ方向に向けられ互いに間隔をあけて置かれた2つのCCDカメラ1,2,CCDカメラ1,2と垂直に配置された2つのSPECT検出器19,20,2つのSPECT検出器19,20の間にそれぞれ少なくとも2つの窓7を有する2つのマスク23,24,および2つのレンズ25,26を含む。さらに,この装置はそれぞれ本質的に層5を含む2つの反射器27,28を含み,これらは,生物発光および/または蛍光マーカーから放出され,マスク中の窓を通ってSPECT検出器の方向に進み,レンズにより集束された光子を主としてCCDカメラの方向に反射するような方向に向けられている。マウス8に含まれる生物発光および/または蛍光マーカーおよび放射性マーカーにより放出される異なるエネルギーを有する光子は,まず窓7を有するマスク23,24を通過しなければならず,前記マスクはSPECTコリメータとして働く。次に,光学的光子はレンズ25,26により各々の反射器27,28の層5上に集束され,高度に反射性の層5で各々のCCDカメラ1,2の方向に反射され,ここで検出される。2つの光学的ビーム29,30のビーム進路が図3に示される。γ光子は,レンズ25,26および反射器27,28とほとんどまたは全く相互作用せず,このため各々のSPECT検出器19,20のシンチレーション結晶アレイ13の方向に妨げのない窓7の受容コーン31中を伝わり,ここで検出される。レンズ25,26および層5により引き起こされるスキャッタリングおよび吸収が存在する場合には,取得後の数学的な画像再構築においてこれらを補正することができる。レンズ25,26は,好ましくは,放射性同位体光子に対して低い減衰係数を有する材料,例えばプレキシグラスからなる。
【0036】
ハウジング15中で組み合わせられた全体の固定された配置(CCDカメラ1,2,反射器27,28,レンズ25,26,マスク23,24およびSPECT検出器19,20)は,調べるべき被験物のまわりすべてで同一の角距離で一連の測定データを得ることを可能とするために,チューブ9のまわりに,好ましくは360°回転することができる。
【0037】
原理的には,マウス8を調べるためには,図3に図示される装置の半分のみ,すなわち,CCDカメラ1,マスク23,SPECT検出器19,レンズ25,および層5を有する反射器27で十分である。しかし,図3に示される二重の構成は,この設計をトモグラフィーに応用する場合には,同じ取得についてカメラシステムの感度が2倍になるという利点を有する。
【0038】
図3に示される本発明にしたがう装置は,測定の間にチューブ9中で動く可能性のあるマウスの現在の位置を判定するための位置センサー35を任意に含む。この場合には,外部からマウスに取り付けられたマーカーの位置を連続的に記録する光学的(標準的)位置合わせシステムが含まれる。この追加の位置合わせシステムは,マウスがチューブ9中で動くことが許容されている場合にのみ必要である。この場合には,インビボで取得される分布から動物の動きを正確に得ること(およびこれを補正すること)は不可能であるためである。
【0039】
図4は,本発明にしたがう装置のさらに別の態様を示す。
【0040】
本発明のこの好ましい態様の場合,本発明にしたがう装置は,互いに向かい合っている2つのSPECT検出器19,20の間に,互いに反対方向に平行に向けられた2つのCCDカメラ1,2,それぞれ少なくとも2つの窓7を有する2つのマスク23,24,およびSPECT検出器19,20の前面に設置された各々の層5を含み,この層は,生物発光および/または蛍光マーカーから放出される光子を主として反射し,放射性マーカーにより放出される光子を主として透過させる。この場合,ハウジング15は2つの対称に構築されたチャンバ32,33に分けられ,その中心に調べるべき被験物(マウス8)がチューブ9中で置かれる。ハウジング15中で組み合わされた全体の構成は,前記被験物のまわりに好ましくは360°回転可能なように装着されている。マスク23,24は,マウス8から互いに反対側に設置され,蛍光,発光および放射性マーカーから放出された光子の一部は前記マスクの窓7を通って進み,SPECT検出器の受容コーン31に入る。放射性マーカーの光子は主として層5と相互作用することなく通過し,次にSPECT検出器19,20により検出される。蛍光または生物発光マーカーからのより低いエネルギーを有する光子は,主として層5で反射される。層5は,好ましくは,生物発光および/または蛍光マーカーから放出される光子を乱反射するため,反射される照射の一部がCCDカメラ1,2の方向に反射され,ここで検出される。図4にCCDカメラの視野34が示される。
【0041】
原理的には,マウス8を調べるためには,図4に図示される装置の半分のみ,すなわち,CCDカメラ1,マスク23および乱反射層5を有するSPECT検出器20でも十分である。しかし,図4に示される二重の構成は,両方の方向に放出された光子が検出されるため,全体として高い測定シグナルが得られるという利点を有し,したがって,これからより高い解像度の画像を計算することができる。
【0042】
図5は,可動マスクを有する,図3に示される本発明にしたがう装置の態様の変形を示す。
【0043】
原理的には,本発明にしたがう装置のこの態様の構造は,図3に示される態様と対応する。さらに,この変形の場合,第1および第2のマスク23,24は,取得の間にはCCDカメラ1,2の視野の外に導かれ(位置Aから位置Bに),再び元の位置(A)に戻ることができるように取り付けられている。マスク23,24がCCDカメラ1,2の視野の外側(位置B)に置かれていると,これらの光学的イメージングシステムの感度は顕著に増加する。しかし,この状態では(コリメータなしで),放射性同位体光子を検出することは不可能である。したがって,ビームの経路からマスク23,24が除かれている場
合には,SPECT検出器19,20は作動しない。本発明のこの態様においてはレンズは必要ではない。CCDカメラ1,2は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出されるビームの焦点が合う光学的配置で提供される。本発明にしたがう装置の図5に示される態様において,マスク23,24が位置Aにある場合,CCDカメラ1,2は,好ましくは作動しない。マスク23,24を位置AおよびBに時間的に交互に導入することにより,図3の設計のさらに好ましい適用のモードが得られる。
【0044】
図6は,1つのみのCCDカメラを有する,図1に示される本発明にしたがう装置の態様の好ましい変形を示す。
【0045】
本発明のこの好ましい態様の場合には,図1に示されるイメージング原理が適用される。遮蔽4,窓7を含むSPECTカメラ3の構造および運転方法,および反射層5の配置および運転方法は,図1に記載される装置と同一である。ただし,この変形態様において異なる点では,反射層5の別々の視野は,鏡39,40,45の配置により,CCDカメラ38の対物レンズ中で,したがって光感受性マトリクス上に,互いに隣接するようにイメージングされるように規定されている。鏡39および45は,好ましくは平面的であるよう形成され,一方鏡40は凹面カーブであるように形成することができる。鏡45は一方の側で透過性であり,したがってNIRFマーカーを刺激するために任意にレーザービームを導入することができる。
【0046】
CCDカメラ38の空間的解像度は,対象物8中の光子スキャッタリングプロセスのために制限される対象物(ここではマウス8)における物理学的に可能な幾何学的解像度より少なくとも1桁高いため,このタイプの投影アセンブリを選択することができる。この変形の利点は,空間的によりコンパクトな構造およびより安価である,本発明の主題の1つの態様である。
【0047】
異なる大きさの動物を最適にイメージングすることができるようにするため,図6に図示される変形態様においては,遮蔽4,窓7および反射表面5を含むSPECTカメラ3,ならびに鏡45,および対構成レーザービーム(coupling-in arrangements)43を,ステッパーモーター44によりとりはずすことができるプラットホーム41上に装着する。CCDカメラ38のイメージングの視野は,対象物8からCCDカメラ38の対物レンズへの2つの半視野の平均イメージング長さが同一の倍率であるように規定される。この条件は,対象物8に対して移動可能プラットホーム41の半径方向の位置が変化した場合にも確保される。その上に装着されたすべての部分装置,および,例えば,推進に必要なステッパーモーター44,鏡39および40,遮蔽4,およびCCDカメラ38を含むプラットホーム41は,回転可能な支持台42に固定されている。支持台42はステッパーモーター46により360°回転することができ,したがって,画像データを得る目的で,両方のカメラシステムの投影同一の(projection-identical)視野を,対象物8に対して任意の所望の共通の投影角度で配置することができる。支持台42は回転可能な様式でハウジング15に取り付けられているが,ステッパーモーター46はハウジング15に固定的に接続されている。
【0048】
本発明の記載されるすべての態様において,窓は皿型を有する長い(counter-sunk elongate)開口部である。これらの長皿型開口部は,例えば,図4の詳細拡大図Aに示され
る外観を有する。この場合,窓は外側36から特定の直径37に狭まり,次に中心からなるべく遠く保持される。このことにより,円錐形に先細となった窓端の領域への同位体光子の浸透を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は,本発明にしたがうイメージング方法を実施するための,本発明にしたがう装置の好ましい態様を示す。
【図2】図2は,本発明にしたがう装置のさらに別の可能な態様における,検出器の空間的配置の概略図を示す。
【図3】図3は,2つのCCDカメラおよび2つのSPECT検出器を有する,本発明にしたがう装置のさらに別の好ましい態様を示す。
【図4】図4は,2つのCCDカメラおよび2つのSPECT検出器を有する,本発明にしたがう装置のさらに別の好ましい態様を示す。
【図5】図5は,可動マスクを有する,図3に示される本発明にしたがう装置の態様の変形を示す。
【図6】図6は,1つのみのCCDカメラを有する,図1に示される本発明にしたがう装置の態様の好ましい変形を示す。
【符号の説明】
【0050】
1.第1のCCDカメラ
2.第2のCCDカメラ
3.SPECT検出器
4.遮蔽
5.層
6.層の曲り端
7.窓
8.マウス
9.チューブ
10.第1のビーム進路
11.第2のビーム進路
12.第3のビーム進路
13.シンチレーション結晶アレイ
14.光電子増倍管アレイ
15.ハウジング
16.被験物
17.第3のCCDカメラ
18.第4のCCDカメラ
19.第2のSPECT検出器
20.第1のSPECT検出器
23.第1のマスク
24.第2のマスク
25.第1のレンズ
26.第2のレンズ
27.第1の反射器
28.第2の反射器
29.第1の光ビーム
30.第2の光ビーム
31.SPECT検出器の受容コーン
32.第1のチャンバ
33.第2のチャンバ
34.CCDカメラの視野
35.位置センサー
36.窓の狭小化
37.開口部の中心における一定の直径
38.さらに別のCCDカメラ
39.鏡,平面
40.鏡,凹面カーブ
41.プラットホーム,半径方向に移動可能
42.支持台,回転可能
43.対構成レーザービーム
44.第1のステッパーモーター
45.鏡,一方の側が透過性
46.第2のステッパーモーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物発光および/または蛍光マーカーおよび放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で同時に決定するためのイメージング方法であって,生物発光および/または蛍光マーカーの分布は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器により独立して検出することにより決定され,放射性マーカーの分布は,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器により同時に独立して検出することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の平均エネルギーを有する生物発光および/または蛍光マーカーの光子と第2の平均エネルギーを有する放射性マーカーの光子とが,光子をそのエネルギーに依存する様式で本質的に反射または透過する層(5)の助けにより,独立した検出のために分離される,請求項1記載のイメージング方法。
【請求項3】
層(5)が,生物発光および/または蛍光マーカーの光子を少なくとも1つの第1の検出器の方向に反射し,かつ,放射性マーカーの光子を少なくとも1つの第2の検出器の方向に透過させるよう作用する,請求項2記載のイメージング方法。
【請求項4】
生物発光および/または蛍光マーカーが,ルシフェラーゼレポーターのマーカー,近赤外線領域に放出波長を有するマーカー分子(NIRF分子)およびGFP(グリーン蛍光蛋白質)の分子からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む,請求項1−3のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項5】
放射性マーカーが,As−72,Br−75,Co−55,Cu−61,Cu−67,Ga−67,Gd−153,I−123,I−125,I−131,In−111,Ru−97,Tl−201,Tc−99mおよびXe−133から選択される少なくとも1つのマーカーを含む,請求項1−4のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項6】
第1の平均エネルギーを有する光子の検出が,少なくとも1つのCCDカメラ(1,2;38)により行われ,第2の平均エネルギーを有する光子の検出が,少なくとも1つの窓(7)を含みコリメータを含む少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器(3)により行われる,請求項1−5のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項7】
共通の測定装備により,生物発光および/または蛍光マーカーのインビボ分布および放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で交互に決定するためのイメージング方法であって,生物発光および/または蛍光マーカーの分布は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器により独立して検出することにより決定され,これと交互に,放射性マーカーの分布は,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器により独立して検出することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1−7のいずれかに記載のイメージング方法を実施するための装置であって,第1の検出器に少なくとも1つのCCDカメラ(1,2,38),第2の検出器として少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器(3),および生物発光および/または蛍光マーカーの光子を本質的に反射し,かつ放射性マーカーの光子を本質的に透過させる層(5)を含む装置。
【請求項9】
少なくとも1つのSPECT検出器(3)が,多数のシンチレーション結晶を含むシンチ
レーション結晶アレイ(13)および空間的に分解する光電子増倍管アレイ(14)を含む,請求項8記載の装置。
【請求項10】
互いに向かい合う2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),CCDカメラ(1,2,38)と垂直に配置されているSPECT検出器(3),SPECT検出器(3)の前面に配置され,90°の角度で曲がっている遮蔽(4),および遮蔽(4)上に固定され,同様に90°の角度で曲がっている層(5)を含み,前記層の曲り端(6)は遮蔽(4)の曲り端上に位置しており,層(5)は,遮蔽(4)中の窓(7)を覆っており,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を主として反射し,かつ放射性マーカーにより放出される光子を主として透過させる,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
互いに向かい合っている2つのSPECT検出器(19,20)の間で,互いに平行に向けられており反対側に位置する2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),およびそれぞれ少なくとも2つの窓(7)を有する2つのマスク(23,24)を含み,各々の層(5)はSPECT検出器(19,20)の前面に設置されており,前記層は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を主として反射させ,かつ放射性マーカーにより放出される光子を主として透過させる,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
層(5)が生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を乱反射する,請求項11記載の装置。
【請求項13】
同じ方向に向けられ互いに間隔をあけて置かれた2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),CCDカメラ(1,2;38)に垂直に配置されている2つのSPECT検出器(19,20),2つのSPECT検出器(19,20)の間に置かれたそれぞれ少なくとも2つの窓(7)を有する2つのマスク(23,24)および2つのレンズ(25,26),本質的に層(5)を含む2つの反射器(27,28)を含み,層は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出され,マスク(23,24)中の窓(7)を通してSPECT検出器(19,20)の方向に進み,レンズ(25,26)により焦束された光子を,CCDカメラ(1,2)の方向に主として反射させる方向に向けられている,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
調べるべき被験物の現在の位置を決定するための位置センサー(35)を含む,請求項13記載の装置。
【請求項15】
マスク(23,24)が,測定の間にCCDカメラ(1,2;38)の視野の外(位置B)に動くことができ,視野の中(位置A)に動くことができる,請求項13および14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
窓(7)が皿型の長い開口部である,請求項10−15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
冷却CCDカメラ(38),CCDカメラ(38)に垂直に配置されたSPECT検出器(3),SPECT検出器(3)の前面に配置され90°の角度で外側に曲がっている遮蔽(4),および遮蔽(4)上に固定され同様に90°の角度で曲がっている反射層(5)を含み,前記層の曲り端(6)は遮蔽(4)の曲り端上に位置しており,反射層(5)は遮蔽(4)中の窓(7)を覆っており,SPECT検出器(3),遮蔽(4),ならびに反射層(5)および窓(7),および鏡(45)および対構成レーザー(43)が移動可能な様式で形成されているプラットホーム(41)上に取り付けられている,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
移動可能プラットホーム(41)が,回転可能な様式で形成されている支持台(42)上に配置されている,請求項17記載の装置。
【請求項19】
反射層(5)の別々の視野が,鏡(39,40,45)の配置によりCCDカメラ(38)の対物レンズ中で互いに近接する様式でイメージングされる,請求項17記載の装置。
【請求項20】
レーザービームにより対象物(8)中のNIRFマーカーを励起するために,対構成レーザービーム(43)および一方の側が透過性の鏡(45)が移動可能プラットホーム(41)上に互いに反対側に取り付けられている,請求項17記載の装置。
【請求項21】
小動物のインビボ研究,遺伝子発現のインビボ観察,または乳,前立腺,皮膚腫瘍または甲状腺のイメージングのための,請求項1−7のいずれかに記載のイメージング方法の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物発光および/または蛍光マーカーおよび放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で同時に決定するためのイメージング方法であって,生物発光および/または蛍光マーカーの分布は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器により独立して検出することにより決定され,放射性マーカーの分布は,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器により同時に独立して検出することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の平均エネルギーを有する生物発光および/または蛍光マーカーの光子と第2の平均エネルギーを有する放射性マーカーの光子とが,光子をそのエネルギーに依存する様式で本質的に反射または透過する層(5)の助けにより,独立した検出のために分離される,請求項1記載のイメージング方法。
【請求項3】
層(5)が,生物発光および/または蛍光マーカーの光子を少なくとも1つの第1の検出器の方向に反射し,かつ,放射性マーカーの光子を少なくとも1つの第2の検出器の方向に透過させるよう作用する,請求項2記載のイメージング方法。
【請求項4】
生物発光および/または蛍光マーカーが,ルシフェラーゼレポーターのマーカー,近赤外線領域に放出波長を有するマーカー分子(NIRF分子)およびGFP(グリーン蛍光蛋白質)の分子からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む,請求項1−3のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項5】
放射性マーカーが,As−72,Br−75,Co−55,Cu−61,Cu−67,Ga−67,Gd−153,I−123,I−125,I−131,In−111,Ru−97,Tl−201,Tc−99mおよびXe−133から選択される少なくとも1つのマーカーを含む,請求項1−4のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項6】
第1の平均エネルギーを有する光子の検出が,少なくとも1つのCCDカメラ(1,2;
38)により行われ,第2の平均エネルギーを有する光子の検出が,少なくとも1つの窓(7)を含みコリメータを含む少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器(3)により行われる,請求項1−5のいずれかに記載のイメージング方法。
【請求項7】
共通の測定装備により,生物発光および/または蛍光マーカーのインビボ分布および放射性マーカーのインビボ分布を同一の投影角で交互に決定するためのイメージング方法であって,生物発光および/または蛍光マーカーの分布は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される第1の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第1の検出器により独立して検出することにより決定され,これと交互に,放射性マーカーの分布は,放射性マーカーにより放出される第2の平均エネルギーを有する光子を少なくとも1つの第2の検出器により独立して検出することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1−7のいずれかに記載のイメージング方法を実施するための装置であって,第1の検出器に少なくとも1つのCCDカメラ(1,2,38),第2の検出器として少なくとも1つの単一光子放出コンピュータトモグラフィー(SPECT)検出器(3),および生物発光および/または蛍光マーカーの光子を本質的に反射し,かつ放射性マーカーの光子を本質的に透過させる層(5)を含む装置。
【請求項9】
少なくとも1つのSPECT検出器(3)が,多数のシンチレーション結晶を含むシンチレーション結晶アレイ(13)および空間的に分解する光電子増倍管アレイ(14)を含む,請求項8記載の装置。
【請求項10】
互いに向かい合う2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),CCDカメラ(1,2,38)と垂直に配置されているSPECT検出器(3),SPECT検出器(3)の前面に配置され,90°の角度で曲がっている遮蔽(4),および遮蔽(4)上に固定され,同様に90°の角度で曲がっている層(5)を含み,前記層の曲り端(6)は遮蔽(4)の曲り端上に位置しており,層(5)は,遮蔽(4)中の窓(7)を覆っており,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を主として反射し,かつ放射性マーカーにより放出される光子を主として透過させる,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
互いに向かい合っている2つのSPECT検出器(19,20)の間で,互いに平行に向けられており反対側に位置する2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),およびそれぞれ少なくとも2つの窓(7)を有する2つのマスク(23,24)を含み,各々の層(5)はSPECT検出器(19,20)の前面に設置されており,前記層は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を主として反射させ,かつ放射性マーカーにより放出される光子を主として透過させる,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
層(5)が生物発光および/または蛍光マーカーにより放出される光子を乱反射する,請求項11記載の装置。
【請求項13】
同じ方向に向けられ互いに間隔をあけて置かれた2つの冷却CCDカメラ(1,2;38),CCDカメラ(1,2;38)に垂直に配置されている2つのSPECT検出器(19,20),2つのSPECT検出器(19,20)の間に置かれたそれぞれ少なくとも2つの窓(7)を有する2つのマスク(23,24)および2つのレンズ(25,26),本質的に層(5)を含む2つの反射器(27,28)を含み,層は,生物発光および/または蛍光マーカーにより放出され,マスク(23,24)中の窓(7)を通してSPECT検出器(19,20)の方向に進み,レンズ(25,26)により焦束された光子を
,CCDカメラ(1,2)の方向に主として反射させる方向に向けられている,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
調べるべき被験物の現在の位置を決定するための位置センサー(35)を含む,請求項13記載の装置。
【請求項15】
マスク(23,24)が,測定の間にCCDカメラ(1,2;38)の視野の外(位置B)に動くことができ,視野の中(位置A)に動くことができる,請求項13および14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
窓(7)が皿型の長い開口部である,請求項10−15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
冷却CCDカメラ(38),CCDカメラ(38)に垂直に配置されたSPECT検出器(3),SPECT検出器(3)の前面に配置され90°の角度で外側に曲がっている遮蔽(4),および遮蔽(4)上に固定され同様に90°の角度で曲がっている反射層(5)を含み,前記層の曲り端(6)は遮蔽(4)の曲り端上に位置しており,反射層(5)は遮蔽(4)中の窓(7)を覆っており,SPECT検出器(3),遮蔽(4),ならびに反射層(5)および窓(7),および鏡(45)および対構成レーザー(43)が移動可能な様式で形成されているプラットホーム(41)上に取り付けられている,請求項8および9のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
移動可能プラットホーム(41)が,回転可能な様式で形成されている支持台(42)上に配置されている,請求項17記載の装置。
【請求項19】
反射層(5)の別々の視野が,鏡(39,40,45)の配置によりCCDカメラ(38)の対物レンズ中で互いに近接する様式でイメージングされる,請求項17記載の装置。
【請求項20】
レーザービームにより対象物(8)中のNIRFマーカーを励起するために,対構成レーザービーム(43)および一方の側が透過性の鏡(45)が移動可能プラットホーム(41)上に互いに反対側に取り付けられている,請求項17記載の装置。
【請求項21】
小動物のインビボ研究または遺伝子発現のインビボ観察を行うか,または乳,前立腺,皮膚腫瘍または甲状腺をイメージングする,請求項1記載のイメージング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−501877(P2006−501877A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−511820(P2004−511820)
【出願日】平成15年6月11日(2003.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006102
【国際公開番号】WO2003/104799
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(504385513)
【Fターム(参考)】