説明

イリジウム(Ir)のフェニル及びフルオレニル置換フェニル−ピラゾール錯体

【課題】有機発光デバイスを提供する。
【解決手段】アノード、カソードの間に発光性の下式を有する化合物を含む。


式中、Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり;Rは独立して、水素、アルキル等;m,nは少なくとも1の値を有し;m+nは、前記金属に結合しうる配位子の最大数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年3月24日に出願された米国仮出願60/457,012に関連し且つそれに基づく優先権を主張し、その全体を本願に援用する。
【0002】
本発明は有機発光デバイス(OLED)に関し、さらに具体的にはそのようなデバイスに用いられる燐光有機材料に関する。さらに詳細には、本発明はOLEDに組み込まれた場合に改良されたエレクトロルミネッセンス効率をもつ燐光材料に関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によってますます待望されるものとなってきている。そのようなデバイスを作成するために用いられる多くの材料は比較的安価であり、そのため、有機オプトエレクトロニクスデバイスは無機デバイスに対して価格優位性についての潜在的可能性を有する。加えて、有機材料元来の特性、例えばその柔軟性は、柔軟性基材上への製作などの特定用途について有機材料を非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光センサーが含まれる。OLEDについては、有機材料は従来の材料を越える性能上の優位性を有する可能性がある。例えば、有機発光層が発光する波長は一般に適切なドーパントによって容易に調節されうる。
【0004】
本明細書で用いるように、用語「有機」は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製造するために用いることができる小分子有機材料並びに高分子材料を含む。「小分子(small molecule)」は、高分子ではない全ての有機材料をいい、「小分子」は実際には非常に大きくなりうる。小分子はいくつかの場合には繰り返し単位を含みうる。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、「小分子」群からその分子を除外しない。小分子はまた、例えばポリマー骨格の側鎖(ペンダント基)又はその骨格の一部として高分子中に組み込まれることができる。小分子はまた、デンドリマーの中心残基として働くことができ、デンドリマーは中心残基の上に構築された一連の化学的外殻構造からなる。デンドリマーの中心残基は、蛍光又は燐光小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは、小分子であると考えられる。
【0005】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に発光する有機薄膜を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明(イルミネーション)、及びバックライトなどの用途に用いるためのますます興味ある技術になりつつある。いくつかのOLED材料及び構成が米国特許第5,844,363号、同6,303,238号、同5,707,745号に記載されており、その全体を本願に援用する。
【0006】
OLEDデバイスは(常にではないが)通常、電極の少なくとも1つを通して発光することが意図されており、1又は2以上の透明電極が有機オプトエレクトロニクスデバイス中では有用である。例えば、インジウム錫オキサイド(ITO)などの透明電極材料がボトム電極として用いられうる。その全体を本願に援用する米国特許第5,703,436号、及び同5,707,745号に開示されているものなどの透明トップ電極も用いることができる。ボトム電極を通してのみ発光することが意図されているデバイスに対してはトップ電極は透明ある必要はなく、高い電気伝導性を有する厚く且つ反射性の金属層から構成することができる。同様に、トップ電極を通してのみ発光することが意図されているデバイスについては、ボトム電極は不透明及び/又は反射性であることができる。電極が透明である必要がない場合、より厚い層を用いることはより良好な伝導性をもたらし、反射性電極を用いることは、光を透明電極に向けて反射することによって、他方の電極を通して発光する光量を増加させうる。完全に透明なデバイスもまた製造することができ、この場合両方の電極とも透明である。側方(サイド)発光OLEDもまた製造されることができ、そのようなデバイスにおいては1又は両方の電極が不透明又は反射性であることができる。
【0007】
本明細書で用いるように「トップ」とは基材から最も離れていることを意味し、一方、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。例えば、2つの電極を有するデバイスについては、ボトム電極は基材に最も近い電極であり、通常は作成される最初の電極である。ボトム電極は2つの表面を有し、ボトム面は基材に一番近く、トップ面は基材からより離れている。第一の層が第二の層「の上に配置される」と記載された場合は、第一の層は基材からより離れて配置されている。第一の層が第二の層と「物理的に接触」していると特定されていない限り、第一の層と第二の層との間にその他の層が存在しうる。例えば、間に多くの有機層がある場合でも、カソードがアノードの上に配置されると記載されうる。
【0008】
本明細書で用いるように「溶液加工可能(ソリューション・プロセシブル)」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかにおいて、液体媒体中に溶解でき、分散でき、もしくは液体媒体中で輸送でき、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0009】
燐光発光分子の一つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイについての工業規格は「飽和」色といわれる特定の色を発光するために適合された画素を必要とする。特に、これらの規格は、飽和赤、飽和緑、及び飽和青画素を必要とする。色はCIE座標を用いて測定されることができ、これは当技術分野で周知である。
【0010】
工業規格は、そのようなフルカラーディスプレイの寿命が少なくとも約5000時間であることを求めている。加えて、高い安定性と効率は、高品質ディスプレイの重要な特性である。これらの要求は、赤、緑、及び青の波長領域において、当分野で達成されているものよりもより長い寿命、より高い安定性、及びより高い効率を示す燐光発光材料に対するニーズを生み出すことに一役かっている。
【0011】
緑発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムであり、以下の構造を有する:
【0012】
【化1】

【0013】
この図及び後の図において、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線で表す。Ir(ppy)はCIE0.30,0.63でスペクトルを発し、初期輝度500cd/cmで約10000時間の半減期をもち、約6%の量子効率を有する(Kwongら、Appl. Phys. Lett., 81, 162 (2002))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献2】米国特許第6,310,360号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002-0034656号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2002-0182441号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2003-0072964号公報
【特許文献6】国際出願公開WO02/074015号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Baldoら, 「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices(有機エレクトロルミネッセンスデバイス(有機電界発光素子)からの高効率燐光放射)」, Nature, vol.395, 151〜154, 1998
【非特許文献2】Baldoら, 「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence(エレクトロフォスフォレッセンスに基づく非常に高効率の緑色有機発光デバイス)」, Appl. Phys. Lett., vol.75, No.3, 4-6 (1999)
【非特許文献3】Adachiら, 「Nearly 100% Internal Phosphorescent Efficiency In An Organic Light Emitting Devices(有機発光素子におけるほぼ100%の内部燐光効率)」, J. Appl. Phys., 90, 5048 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
〔本発明のまとめ〕
有機発光デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本デバイスはアノード、カソード、及びアノード及びカソードの間に配置され且つこれらと電気的に結合された発光層を有する。この発光層はさらに以下の構造を有する化合物をさらに含みうる。
【0018】
【化2】

【0019】
上記式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり、(C−N)は金属に結合された少なくとも1の他の配位子とは異なり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基Rで置換されていることができ;
mは少なくとも1の値を有し;
nは少なくとも1の値を有し;nが3である場合、Rはシアノ基ではなく;
m+nは、上記金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0020】
上記発光層は、少なくとも第一の配位子及び第二の配位子に結合した金属を含む化合物をさらに含むことができ、ここで、この第一の配位子は、その他の配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項エネルギーを有する。この化合物は、金属に結合した第一の配位子を一つのみ有することができる。それぞれの配位子は有機金属であることができる。
【0021】
本発光材料は、発光デバイス中に組み込まれた場合、高められたエレクトロルミネッセンス効率と改良された寿命を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、別個の電子輸送層、正孔輸送層、及び発光層をその他の層とともに有する有機発光デバイスを示す。
【図2】図2は、別個の電子輸送層をもたない反転型有機発光デバイスを示す。
【図3】図3は、fac-Ir(3bppz)3、fac-Ir(4bppz)3、fac-Ir(14dppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3の77Kにおける発光スペクトルを示す。
【図4】図4は、fac-Ir(3bppz)3、fac-Ir(4bppz)3、fac-Ir(14dppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3の室温における発光スペクトルを示す。
【図5】図5は、室温におけるポリスチレン中のfac-Ir(14dppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3の発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔発明の詳細な説明〕
一般に、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され且つこれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。本明細書で用いるように、「の間に配置され且つこれらと電気的に接続された」とは、言及した層が隣接し且つ直接接触していることをいうものではない。むしろ、言及した層の間に追加の層が配置されることを許容する。電流が流れると、アノードは正孔を(1以上の)有機層中に注入し、カソードは(1以上の)有機層中に電子を注入する。注入された正孔及び電子は、それぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子及び正孔が同一分子上に局在した場合、励起エネルギー状態を有する局在化した電子−正孔対である「励起子(エキシトン)」が形成される。この励起子が発光機構を通って減衰するときに光が放射される。いくつかの場合には、励起子は励起分子(エキシマー)又は励起錯体(エキシプレックス)上に局在することもできる。無放射機構、例えば熱減衰もまた生じうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0024】
最初のOLEDは、発光分子の一重項状態から発光(「蛍光」)する発光分子を用いており、例えば、その全体を本願に援用する米国特許第4,769,292号公報に開示されているとおりである。蛍光発光は一般に10ナノ秒未満の概算時間で起こる。
【0025】
さらに最近、三重項状態から発光(「燐光」)する発光材料を含むOLEDが実証されている。Baldoら, 「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices(有機エレクトロルミネッセンスデバイス(有機電界発光素子)からの高効率燐光放射)」, Nature, vol.395, 151〜154, 1998 (「Baldo-I」) ;及びBaldoら, 「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence(エレクトロフォスフォレッセンスに基づく非常に高効率の緑色有機発光デバイス)」, Appl. Phys. Lett., vol.75, No.3, 4-6 (1999) (「Baldo-II」)、これらの全体を本願に援用する。燐光は「禁制」遷移といわれており、なぜならこの遷移がスピン状態の変化を必要とし、量子力学はそのような遷移が好ましくないことを示しているからである。結果として、燐光は一般に少なくとも10ナノ秒よりも長い概算時間、典型的には100ナノ秒よりも長い概算時間で起こる。燐光の自然な放射寿命が長すぎる場合は、三重項は無放射機構によって減衰し、いかなる光も放射されない。有機燐光はまたしばしば、非常に低温において、非共有電子対をもつヘテロ原子を含む分子で観測される。2,2’−ビピリジンはそのような分子である。液体窒素温度で燐光を示す材料が室温で燐光を示さないことがあるように、無放射減衰機構は典型的には温度依存性である。しかし、Baldoによって実証されたとおり、この問題は室温で燐光発光する燐光化合物を選択することによって解決されうる。代表的な発光層はドープされているか又はドープされていない燐光有機金属材料を含んでおり、これは米国特許第6,303,238号、同6,310,360号;米国特許出願公開第2002-0034656号公報;同2002-0182441号公報;及び同2003-0072964号公報;ならびにWO-02/074015号パンフレットに開示されているとおりである。
【0026】
一般に、OLED中の励起子は約3:1の割合、すなわち、約75%の三重項及び25%の一重項が作られると考えられる。Adachiら, 「Nearly 100% Internal Phosphorescent Efficiency In An Organic Light Emitting Devices(有機発光素子におけるほぼ100%の内部燐光効率)」, J. Appl. Phys., 90, 5048 (2001) を参照されたい。これはその全体を本願に援用する。多くの場合、一重項励起子は項間交差によって三重項励起状態にそのエネルギーを容易に移すことができるが、三重項励起子はそのエネルギーを一重項励起状態に容易に移すことがない。結果として、100%の内部量子効率が、燐光OLEDについて理論的には可能である。蛍光デバイスにおいては、三重項励起子のエネルギーはデバイスを加熱する無放射減衰機構で通常は失われ、非常に低い内部量子効率しか得られない。三重項励起状態から発光する燐光材料を利用するOLEDが、例えば、米国特許第6,303,238号に開示されており、この全体を本願に援用する。
【0027】
燐光は、三重項励起状態から中間の非三重項状態への遷移によって進み、非三重項状態から発光減衰が起こりうる。例えば、ランタノイド元素に配位した有機分子は、そのランタノイド金属に局在化した励起状態からしばしば燐光発光する。しかし、そのような材料は三重項励起状態から直接燐光発光せず、その代わりにランタノイド金属イオン上に集中した原子励起状態から発光する。ユーロピウムジケトネート錯体は、このタイプの種の一つの群を例証している。
【0028】
三重項からの燐光は、有機分子を高い原子番号の原子に非常に近接させて、好ましくは結合を介して閉じこめることによって、蛍光を越えて強めることができる。この現象は重原子効果とよばれ、スピン−起動結合として公知の機構によって作り出される。そのような燐光遷移は、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)などの有機金属分子の励起金属配位子電荷移動(MLCT)状態から観測されうる。
【0029】
本明細書で用いるように、用語「三重項エネルギー」は、与えられた材料の燐光スペクトル中に認められる最高エネルギー特性に相当するエネルギーをいう。最高エネルギー特性は燐光スペクトル中の最大強度を有するピークである必要はなく、例えば、そのようなピークの高いエネルギー側の明確な肩の局所的な極大であることができる。
【0030】
図1は有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定比率で拡大したものではない。デバイス100は基材110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、及びカソード160を含みうる。カソード160は第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は説明した層を順に堆積させることによって作製できる。
【0031】
基材110は、所望する構造特性を備えるいずれか任意の適切な基材でありうる。基材110は柔軟であるか又は硬いことができる。基材110は透明、半透明、又は不透明であることができる。プラスチック及びガラスが好ましい硬い基材材料の例である。プラスチック及び金属箔は好ましい柔軟な基材材料の例である。基材110は回路の作製を容易にするために半導体材料であることができる。例えば、基材110はシリコンウエハーであり、その上に回路を作製して、次に基材上に堆積されるOLEDを制御することを可能にできる。その他の材料を使用することができる。基材110の材料及び厚さは、所望する構造及び光学特性が得られるように選択できる。
【0032】
アノード115は、正孔を有機層に輸送する充分な導電性の任意の適切なアノードであることができる。アノード115の材料は、約4eVよりも大きな仕事関数を有することが好ましい(「高仕事関数材料」)。好ましいアノード材料には、導電性金属酸化物、例えば、インジウム錫オキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、アルミニウム亜鉛オキサイド(AlZnO)、及び金属が含まれる。アノード115(及び基材110)は、ボトム発光デバイスを作製するために充分透明なものであることができる。好ましい透明な基材及びアノードの組み合わせは、市販されている、ガラス又はプラスチック(基材)上に堆積されたITO(アノード)である。柔軟且つ透明な基材−アノード組み合わせは、米国特許第5,844,363号に開示されており、その全体を本願に援用する。アノード115は不透明及び/又は反射性であることができる。反射性アノード115は、デバイスのトップから放射される光の量を増加させるために、いくつかのトップ発光デバイスにとって好ましい。アノード115の材料及び厚さは、所望する導電性及び光学特性を得るように選択されうる。アノード115が透明な場合、所望する導電性を得るために充分な厚さであり、なお所望する程度の透明性をもたらすのに充分に薄い、特定材料に対する厚さの範囲が存在しうる。その他のアノード材料及び構造が用いられうる。
【0033】
正孔輸送層125は、正孔を輸送可能な材料を含有する。正孔輸送層130は真性(ドープなし)か又はドープされていることができる。ドーピングは導電性を高めるために用いられうる。a−NPD及びTPDは真性のホール輸送層の例である。p−ドープされたホール輸送層の例は、50:1のモル比でm−MTDATAをF−TCNQでドープしたものであり、Forrestらの米国特許出願第10/173,682号に開示されているとおりであり、この出願を本願に援用する。その他のホール輸送層を用いることができる。
【0034】
発光層135は、アノード115とカソード160との間に電流を通じたときに、発光可能な有機材料を含むことができる。発光層135は、蛍光発光材料も用いられうるが、燐光発光材料を含むことが好ましい。燐光材料が好ましいのは、そのような材料に伴う、より高い発光効率のためである。発光層135はまた、電子、正孔、及び/又は励起子を捕捉できる発光材料でドープされた、電子及び/又は正孔を輸送可能なホスト材料を含むことができ、そうして励起子が発光機構を通じて発光材料から緩和しうる。発光層135は輸送及び発光特性を結合した単一材料を含むことができる。発光材料がドーパントであるか又は主要成分であるか否かにかかわらず、発光層135はその他の材料、例えば発光材料の発光を調節するドーパント、を含むことができる。発光層135は、組み合わせによって所望するスペクトルの光を発光することのできる複数の発光材料を含有することができる。燐光発光材料の例には、Ir(ppy)が含まれる。蛍光発光材料の例には、DCM及びDMQAが含まれる。ホスト材料の例には、Alq、CBP、及びmCPが含まれる。発光及びホスト材料の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号中に開示されており、本特許明細書全体を本願に援用する。発光材料は発光層135中に様々な方法で含有されうる。例えば、発光性小分子はポリマー中に組み込まれうる。その他の発光層用材料及び構造が用いられうる。
【0035】
電子輸送層140は、電子を輸送可能な材料を含むことができる。電子輸送層140は真性(アンドープ)又はドープされていることができる。ドーピングは導電性を高めるために用いられうる。Alqは真性の電子輸送層の例である。n−ドープされた電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、Forrestらの米国特許出願第10/173,682号中に開示されているとおりであり、この出願全体を本願に援用する。その他の電子輸送層が用いられうる。
【0036】
電子輸送層の電荷輸送成分は、電子がカソードから電子輸送層のLUMO(最低非占有分子軌道)準位中に効率的に注入されることができるように選択しうる。「電荷輸送成分」とは、実際に電子を輸送するLUMOに関わる材料である。この成分はベース材料であるか、又はドーパントであることができる。有機材料のLUMO準位は一般にその材料の電子親和力によって特徴づけられることができ、カソードの相対的電子注入効率は一般にカソード材料の仕事関数によって特徴づけられることができる。このことは、電子輸送層(ETL)及び隣接するカソードの好ましい特性は、そのETLの電荷輸送成分の電子親和力とカソード材料の仕事関数によって特定されうることを意味する。特に、高い電子注入効率を達成するために、カソード材料の仕事関数は、電子輸送層の電荷輸送成分の電子親和力よりも約0.75eVを超えて大きくない、より好ましくは高々約0.5eVよりも大きくないことが好ましい。同様の考慮が、電子が注入されるすべての層に対して適用される。
【0037】
カソード160は、カソード160が電子を伝導でき且つ電子をデバイス100の有機層に注入することができるような当技術分野で公知の任意の適切な材料又は材料の組み合わせであることができる。カソード160は、透明又は不透明であることができ、さらに反射性であることができる。金属及び金属酸化物は、適当なカソード材料の例である。カソード160は単一層であるか、又は複合構造を有することができる。図1は、薄い金属層162とより厚い導電性金属酸化物層164とを有する複合カソード160を示す。複合カソードにおいて、より厚い層164のための好ましい材料には、ITO、IZO、及び当分野で公知のその他の材料が含まれる。その全体を本願に援用する米国特許第5,703,436号及び同5,707,745号は、上に積層された透明な電気伝導性のスパッタ堆積されたITO層をもつMg:Agなどの薄い金属層を有する複合電極を含むカソードの例を開示している。カソード160のうちの下に重なる有機層と接触している部分は、それが単一層カソード160であるか、複合電極の薄い金属層162であるか、あるいはその他の部分であるかにかかわらず、約4eVよりも小さな仕事関数を有する材料(「低仕事関数材料」)から作られていることが好ましい。その他のカソード材料及び構造を用いることができる。
【0038】
阻止層は、発光層を離れる電荷担体(電子もしくは正孔)及び/又は励起子の数を低減するために用いることができる。電子阻止層130は、電子が発光層135から正孔輸送層125の方へ離れることを阻止するために、発光層135と正孔輸送層125の間に配置される。同様に、正孔阻止層140は、正孔が発光層135から電子輸送層145の方へ離れることを阻止するために、発光層135と電子輸送層145との間に配置されることができる。阻止層はまた、励起子が発光層から拡散して出て行くことを阻止するためにも用いることができる。阻止層の理論及び使用は、Forrestらの米国特許第6,097,147号及び米国特許出願第10/173,682号中により詳細に記載されており、これらの全体を本願に援用する。
【0039】
本明細書で用いるように、「阻止層」の用語は、デバイスを通る電荷担体及び/又は励起子の移動を顕著に抑制する障壁をもたらす層を意味し、その層が電荷担体及び/又は励起子を完全に遮断することを必要とすることを示唆しているものではない。デバイス中のそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的により高い効率をもたらしうる。さらに、阻止層はOLEDの所望する領域に発光を限定するために用いることもできる。
【0040】
一般に、注入層は、一つの層、例えば電極又は有機層から隣接する有機層中への電荷担体の注入を改善しうる材料からなる。注入層はまた、電荷輸送機能をも演じることができる。デバイス100において、正孔注入層120はアノード115から正孔輸送層125への正孔の注入を改善する任意の層であることができる。CuPcは、ITOアノード115及びその他のアノードからの正孔注入層として用いることができる材料の例である。デバイス100において、電子注入層150は電子輸送層145中への電子の注入を改善する任意の層であることができる。LiF/Alは、隣接する層から電子輸送層中への電子注入層として用いることができる材料の例である。その他の材料又は材料の組み合わせが注入層のために用いられうる。具体的なデバイスの構造に応じて、注入層はデバイス100に示されたものとは異なる位置に配置されることができる。注入層のより多くの例は、Luらの米国特許出願第09/931,948号に提供されており、この出願全体を本願に援用する。正孔注入層は、溶液堆積材料、例えばスピンコーティングされたポリマー、例えばPEDOT:PSSなどを含むことができ、あるいは蒸着された小分子材料、例えばCuPc又はMTDATAであることができる。
【0041】
正孔注入層(HIL)は、アノードから正孔注入材料への効率的な正孔注入をもたらすために、アノード表面を平坦化又は濡らすことができる。ホール注入層はまた、本明細書中で説明した相対的イオン化ポテンシャル(IP)エネルギーによって定義したように、HILの一方側上に隣接するアノード層とHILの反対側の正孔輸送層と好ましく適合しているHOMO(最高占有分子軌道)を有する電荷輸送成分を含有することもできる。「電荷輸送成分」は、実際に正孔を輸送するHOMOに関与する材料である。この成分はHILのベース材料であるか、又はドーパントであることができる。ドープされたHILを用いることは、ドーパントをその電気的特性のために選択することを可能にし、さらにホストが形態学的特性、例えば濡れ、柔軟性、強靱性などのために選択されることを可能にする。HIL材料についての好ましい特性は、正孔がアノードからHIL材料中へ効率的に注入されうることである。特にHILの電荷輸送成分はアノード材料のIPより高々約0.7eV大きなIPを有することが好ましい。さらに好ましくは、電荷輸送成分は、アノード材料よりも高々約0.5eV大きなIPを有する。同様の考えが、正孔が注入されるすべての層に適用される。HIL材料は、OLEDの正孔輸送層に典型的に用いられている従来の正孔輸送材料とはさらに異なっており、OLED中ではそのようなHIL材料は従来の正孔輸送材料の正孔伝導性よりも実質的に小さな正孔伝導度を有することができる。本発明のHILの厚さは、アノード層の表面を平坦化又は濡らすことを助けるために充分な厚さであることができる。たとえば、10nm程度の薄さのHIL厚さは、非常に滑らかなアノード表面のために受け入れられうる。しかし、アノード表面は非常に粗い傾向があるために、50nm以下のHILの厚さがいくつかの場合には望ましい可能性がある。
【0042】
保護層は、次の製造工程の間、下に重ねられた層を保護するために用いられうる。例えば、金属又は金属酸化物のトップ電極を作製するために用いられる工程は、有機層を損傷する可能性があり、保護層はそのような損傷を低減又は除去するために用いられうる。デバイス100において、保護層155はカソード160を作製する間、下に重ねられた有機層への損傷を低減しうる。保護層は、それが輸送する担体のタイプ(デバイス100においては電子)に対して高い担体移動度を有することが好ましく、そうすることで保護層がデバイス100の作動電圧を著しく増加させることがない。CuPc、BCP、及び様々な金属フタロシアニンが、保護層に用いられうる材料の例である。その他の材料又は材料の組み合わせが用いられうる。保護層155の厚さは、有機保護層160が配置された後に行う製造工程によって下に重ねられた層への損傷がほとんどないか又は全くないために充分な厚さであり、さらに、デバイス100の作動電圧を顕著に上昇させるほど厚くないことが好ましい。保護層155はその導電性を高めるためにドープされることができる。例えば、CuPc又はBCP保護層160は、Liでドープされうる。保護層のより詳細な説明は、全体を本願に援用するLuらの米国特許出願第09/931,948号中に見いだすことができる。
【0043】
図2は反転型OLED200を示す。このデバイスは、基材210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積することによって作製されうる。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有しており、かつデバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するために、デバイス200は「反転型」OLEDということができる。デバイス100に関して説明した材料と同様の材料が、デバイス200の対応する層に用いられうる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層が除外されうるかの一例を提供する。
【0044】
図1及び図2に図示した単純な積層構造は、非限定的な例の目的で提供したものであり、本発明の態様は、多種多様なその他の構造と結合して用いられうることが理解される。説明した具体的な材料及び構造は事実上の例示であり、その他の材料及び構造が用いられうる。説明した様々な層を異なるやり方で組み合わせることによって機能的OLEDを完成することができ、あるいは、設計、性能、及びコスト要因に基づいて、層を完全に取り除くことができる。具体的に説明していないその他の層もまた含めることができる。具体的に説明したもの以外の材料を用いることができる。ここで提供した例の多くは、様々な層を単一材料を含むように説明しているが、材料の組み合わせ、例えばホスト及びドーパントの混合物、又はより一般的に混合物、が使用されうることが理解される。さらに、層は様々な補助層を有することができる。本明細書で様々な層に与えられた名称は、厳格に制限することを意図されたものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ正孔を発光層220に注入するので、正孔輸送層又は正孔注入層として説明されうる。一つの態様においては、OLEDはカソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして説明されうる。この有機層は単一層を含むことができ、あるいは、例えば、図1及び2に関して説明されたように様々な有機材料の複数層をさらに含むことができる。
【0045】
例えば、その全体を本願に援用するFriendらの米国特許第5,247,190号に記載されているポリマー材料を含むOLED(PLED)のように、具体的に説明していない構造及び材料もまた用いることができる。さらなる例の目的で、単一の有機層を有するOLEDを使用することができる。例えば、その全体を本願に援用するForrestらの米国特許第5,707,745号に記載されているように、OLEDは重ねることができる。OLED構造は、図1及び2に図示された単純な層構造から逸脱することができる。例えば、基材は、Forrestらの米国特許第6,091,195号に記載されたとおりのメサ構造などの、アウトカップリングを改善するための角度を付けた反射性表面、及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号に記載されたとおりのピット構造を含むことができ、これらの特許はその全体を本願に援用する。
【0046】
別途特定されていない限り、さまざまな態様の任意の層が、任意の適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、その全体を本願に援用する米国特許第6,013,982号及び同6,087,196号に記載されたような、熱蒸発、インクジェット、その全体を本願に援用するForrestらの米国特許第6,337,102号に記載されたような有機気相蒸着法(OVPD)、その全体を本願に援用する米国特許出願第10/233,470号に記載されたような有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積が含まれる。その他の適切な堆積法には、スピンコーティング及びその他の溶液ベースの方法が含まれる。溶液ベースの方法は、窒素又は不活性雰囲気中で行われることが好ましい。その他の層については、好ましい方法には熱蒸発が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての堆積、その全体を本願に援用する米国特許第6,294,398号及び同6,468,819号に記載されたような低温溶着(コールドウェルディング)、インクジェット及びOVJDなどのいくつかの堆積方法と結合されたパターンニング、が含まれる。その他の方法もまた用いられうる。堆積される材料は、具体的な堆積方法にそれらを適合させるために変性されうる。例えば、好ましくは少なくとも3つの炭素原子を含む、分岐した又は分岐していない、アルキル及びアリール基などの置換基は、溶液加工をされるための能力を高めるために小分子に用いられうる。20以上の炭素を有する置換基が用いられることもでき、3〜20の炭素が好ましい範囲である。非対称構造をもつ材料は対称構造を有するものよりも優れた溶液加工性を有しうるが、なぜなら非対称材料は再結晶する傾向が低いためである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工されるための能力を高めるために用いられうる。
【0047】
本発明の態様にしたがって作製されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、広告板、室内又は屋外照明及び/又は信号のための明かり、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明なディスプレイ、柔軟なディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、車両、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、又は表示板を含む多種多様な消費財中に組み込まれうる。様々な制御機構が本発明にしたがって作製されたデバイスを制御するために用いることができ、パッシブマトリクス及びアクティブマトリクスを含む。多くのデバイスは人間が快適な温度範囲、例えば18℃から30℃、さらに好ましくは室温(20〜25℃)で用いることが意図されている。
【0048】
ここに記載した材料及び構造は、OLED以外のデバイスでの用途を有しうる。例えば、有機太陽電池及び有機光センサーは上記材料及び構造を採用しうる。さらに一般的には、有機デバイス、例えば有機トランジスタは上記材料及び構造を採用しうる。
【0049】
本発明のある態様においては、OLED中に組み込まれた場合に改善された効率を有する燐光化合物が提供される。この発光化合物は以下の構造(式I)を有する。
【0050】
【化3】

【0051】
式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり、(C−N)は金属に結合された少なくとも1の他の配位子とは異なり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基Rで置換されていることができ;
mは少なくとも1の値を有し;
nは少なくとも1の値を有し;かつ、
m+nは、上記金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0052】
Mは、40より大きな原子量を有する任意の金属でありうる。好ましい金属には、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au、及びAgが含まれる。さらに好ましくは、上記金属は、Ir又はPtである。最も好ましくは、上記金属はIrである。
【0053】
本明細書で用いるとおり、用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む。
【0054】
本明細書で用いるとおり、用語「アルキル」は、直鎖状及び分岐状アルキル基を含む。好ましいアルキル基は1〜15の炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル及びその他同様のものを含む。加えて、アルキル基は場合により、ハロゲン、CN、COR、C(O)R、NR、環式アミノ、NO、及びORから選択される1以上の置換基で置換されていることができる。
【0055】
本明細書で用いるように用語「シクロアルキル」は環式アルキル基を含む。好ましいシクロアルキル基は3〜7の炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、及びその他同様のものが含まれる。加えて、シクロアルキル基は場合によっては、ハロゲン、CN、COR、C(O)R、NR、環式アミノ、NO、及びORから選択される1以上の置換基で置換されていることができる。
【0056】
本明細書で用いるように用語「アルケニル」は直鎖状び分岐状アルケン基の両者を包含する。好ましいアルケニル基は2〜15の炭素原子を含むものである。加えて、アルケニル基は場合によっては、ハロゲン、CN、COR、C(O)R、NR、環式アミノ、NO、及びORから選択される1以上の置換基で置換されていることができる。
【0057】
本明細書で用いるように用語「アルキニル」は直鎖状及び分岐状アルキン基の両者を包含する。好ましいアルキニル基は2〜15の炭素原子を含むものである。加えて、アルキニル基は場合によっては、ハロゲン、CN、COR、C(O)R、NR、環式アミノ、NO、及びORから選択される1以上の置換基で置換されることができる。
【0058】
本明細書で用いるように用語「アルキルアリール」は芳香族基を置換基として有するアルキル基を包含する。加えて、アルキルアリール基は、場合によっては、ハロゲン、CN、COR、C(O)R、NR、環式アミノ、NO、及びORから選択される1以上の置換基でアリールが置換されていることができる。
【0059】
本明細書で用いるように用語「ヘテロ環式基」は非芳香族環式基を包含する。好ましいヘテロ環式基は少なくとも1つのヘテロ原子を含む3〜7の環原子を含むものであり、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、及びその他同様のものなどの環式アミン類、並びにテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及びその他同様のものなどの環式エーテル類を含む。
【0060】
本明細書で用いるように用語「アリール」又は「芳香族基」は単環式基及び多環式システムを包含する。多環式環は2つの炭素が2つの隣接している環(これらの環は縮合している)によって共有されており、少なくとも1つの環が芳香族であって、例えば、他方の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロ芳香族である。
【0061】
本明細書で用いるように用語「ヘテロアリール」は、1〜3のヘテロ原子を含みうる単環ヘテロ芳香族基、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、及びピリミジン、その他同様のものを包含する。ヘテロアリールの語はまた、2つの隣接する環(これらの環は縮合している)に2つの原子が共有されている2以上の環を有する多環式ヘテロ芳香族システムを含み、ここで少なくとも1つの環はヘテロアリールであり、例えば、その他の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロ芳香族であることができる。
【0062】
全ての値の範囲、例えばn及びmに与えられている値は、全体の範囲を含む。したがって、例えば、0〜4の間の範囲は値0、1、2、3、及び4を含む。
【0063】
(C−N)は光活性配位子を表し、この配位子は「光活性」といわれる。なぜなら、それが発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられるからである。配位子が光活性であるか否かは、その配位子が存在する具体的化合物に左右される。例えば、Ir(ppy)のそれぞれのppy配位子は光活性と考えられる。しかし、化合物(ppy)IrXにおいては、2つのppy配位子がIrに配位しているとともに、X配位子がそのIrに配位しており、特にX配位子がppy配位子よりも低い三重項エネルギーを有する場合には、ppy配位子は光活性ではないかもしれない。好ましい(C−N)配位子には、tpy、ppy、4,6−Fppy、4−MeO−4,6−Fppy、4’−DMA−4,6−Fppy、2−ppy及び2−thpyが含まれる。光活性配位子のその他の例は、その全体を本願に援用するBrownらの米国特許出願第10/289,915号に開示されている。
【0064】
nは具体的なタイプの配位子の数を表し、この配位子は室温で発光しない。nは少なくとも1の値を有する。mは具体的なタイプの光活性配位子の数を表し、少なくとも1の値を有する。金属に結合しうる配位子の最大数は、m+nである。
【0065】
好ましい態様においては、nは2である。さらに好ましくは、各配位子は有機金属(性)である。
【0066】
本発明の態様の化合物は、式Iの光活性配位子の少なくとも1つと重金属イオンを含み、生成する材料は(i)炭素−金属結合、及び(ii)窒素−金属結合を有する。したがって、本発明の態様の化合物は以下の部分構造を含む。
【0067】
【化4】

【0068】
式中、金属M及び各置換基Rは式Iの定義に従って規定される。
【0069】
本発明のある態様においては、発光化合物は以下の構造を有する配位子を含む。
【0070】
【化5】

【0071】
式中、各Rは式Iの定義に従って規定される。
【0072】
本発明のある態様は以下の構造をもつ化合物を含む。
【0073】
【化6】

【0074】
式中、金属M、各置換基R、m、n、及び(C−N)は、式Iの定義に従って規定される。好ましくは、Mはイリジウム(Ir)である。別の好ましい態様においては、R、R10、及びR12〜R14は水素である。最も好ましい態様においては、nは2であり、mは1である。本発明の態様は以下の構造をもつ配位子を含む。
【0075】
【化7】

【0076】
各Rは水素であることが好ましい。
【0077】
本発明の好ましい態様は以下の構造を含む。
【0078】
【化8】

【化9】

【化10】

【0079】
別の態様においては、式Iの化合物は、nが金属Mに結合しうる配位子の最大数であり、mが0である構造を含む。この態様においては、M及び各置換基Rは、Rがシアノ基でないことを注目すべき例外として、式Iの定義に従って規定される。本発明のある態様は以下の構造をもつ化合物を含む。
【0080】
【化11】

【0081】
式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。Mはイリジウム、かつ各Rは水素であることが好ましい。本発明のある態様は以下の構造をもつ配位子を含む。
【0082】
【化12】

【0083】
ここで、各Rは水素であることが好ましい。
【0084】
配位子としてフェニルピラゾール誘導体を用いるホモレプティック(金属中心に結合した全ての配位子が同一構造を有する)イリジウム錯体、例えば上記態様、は、劣ったエレクトロルミネッセンス品質しか示さないことが発見されている。そのような錯体は、液体溶液中又は固体状態のいずれかにおいて、室温で発光しないことが観察されている。しかし、シアノ置換イリジウムフェニルピラゾール錯体は、室温において450nm付近のピーク波長で発光することが以前報告されている。Kwonら「Blue Phosphorescent Cyclometalated Iridium Complex through phenylpyrazole derivatives: Synthesis, Characterization and B3LYP Density functional Theory (DFT) Calculations(フェニルピラゾール誘導体を介する青色燐光シクロメタル化イリジウム錯体:合成、特徴付け、及びB3LYP密度関数理論(DFT)計算)」,4th International Conference on Electroluminescence of Molecular Materials and Related Phenomena, Aug, 27-30,2004, Jeju Island, Korea。ホモレプティックイリジウム錯体は、77Kにおいて400nm付近のピーク波長値でUV領域において発光することが観測されている。このフェニルピラゾール配位子上に特定の置換基をいれることが、ルミネッセンス効率を著しく改善すると考えられる。具体的には、フェニルピラゾール配位子中のフェニル、ナフチル、又はピリジル基置換が、デバイスの寿命を改善し、かつエレクトロルミネッセンス効率を高めると考えられる。加えて、このフェニルピラゾール配位子に隣接する置換基を縮合(縮合環化)することもまた寿命及びデバイスの効率を改善すると考えられる。これらの置換基は非限定的な例として提供するものであり、改善された寿命及び高められた効率を示す他の置換フェニルピラゾール配位子を用いることができる。
【0085】
好ましい態様においては、式Iで定義された置換基Rの1つ以上が、フェニル、ナフチル、又はピリジルであり、これらは置換又は非置換であることができる。少なくとも1つの置換基Rがフェニルであることが好ましい。好ましい態様には以下の構造を有する化合物が含まれる。
【0086】
【化13】

【0087】
式中、金属M、各置換基R、m、n、及び(C−N)は式Iの定義に従って規定される。Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。加えて、又はそれに代えて、任意の2つの隣接する置換位置は一緒に、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、この環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることができ、この4〜7員環式基は置換基Xでさらに置換されていることができる。本発明の好ましい態様は以下の構造を有する配位子を含む。
【0088】
【化14】

【0089】
式中、各置換基Rは式Iの定義に従って規定される。Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。加えて、又はそれに代えて、任意の2つの隣接する置換位置は一緒に、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、この環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることができ、この4〜7員環式基は置換基Xでさらに置換されていることができる。
【0090】
別の態様においては、式Iで定義されるとおり、少なくとも2つの置換基Rが縮合して4〜7員環式基を形成し、この環式基は場合によっては置換されていることができる。好ましい態様においては、上記置換基は5又は6員環式基を形成する。好ましい態様は以下の構造を有する化合物を含む。
【0091】
【化15】

【化16】

【0092】
式中、金属M、各置換基R、m、n、及び(C−N)は式Iの定義に従って規定される。Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。加えて、又はそれに代えて、任意の2つの隣接する置換位置は一緒に、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、この環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることができ、この4〜7員環式基は置換基Xでさらに置換されていることができる。Zは、−CH、−CRR、−NH、−NR、−O、−S、−SiRから選択される。本発明の好ましい態様は以下の構造を有する配位子を含む。
【0093】
【化17】

【0094】
式中、各置換基Rは、式Iの定義に従って規定される。Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。加えて、又はそれに代えて、任意の2つの隣接する置換位置は一緒に、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、この環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることができ、この4〜7員環式基は置換基Xでさらに置換されていることができる。Zは、−CH、−CRR、−NH、−NR、−O、−S、−SiRから選択される。
【0095】
本発明の好ましい態様においては、置換フェニルピラゾール金属錯体はヘテロレプティックである。ヘテロレプティック金属錯体においては、金属中心に結合した配位子は、少なくとも1つの他の配位子と異なる構造を有する。少なくとも1つの配位子が、室温における燐光発光配位子であり、少なくとも1つの配位子が室温における燐光発光配位子でないことが好ましい。1つの配位子だけが室温において燐光発光体であることが、さらに好ましい。本発明の態様のヘテロレプティック錯体は、ホモレプティック金属錯体よりもいくつかの利点を有している。分子間消光の起こりやすさは本発明の態様のヘテロレプティック錯体については、ホモレプティック錯体に対するよりも低く、それはヘテロレプティック錯体に結合している好ましいエネルギー移動部位の密度がより低いことによると考えられる。例えば、ビス(1−(4,6−ジフルオロフェニル)ピラゾレート,N,C2’)イリジウム(フェニルピリジナート,N,C)、これは本発明の一具体的態様であり、これにおいては金属中心に結合した唯一つの発光性配位子があるだけであり、三重項はこの発光性配位子(すなわちフェニルピリジナート)上に局在化される。分子内消光の好ましい低減は、デバイス効率を高めることにつながる。
【0096】
さらに、本発明の態様の配位子においてフッ素置換することは、その置換された配位子の三重項エネルギーを一般的に上昇させる。その結果、配位子が非発光性であって充分に高い三重項エネルギーを有する配位子を設計するための一つの方法は、本発明の態様のフェニルピラゾール配位子の水素をフッ素置換することによるものである。
【0097】
シクロメタル化錯体がヘテロレプティックである好ましい態様においては、発光性配位子は非発光性配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項エネルギーを有する。発光性配位子は500〜520nmの波長に相当する三重項エネルギーを有しうる。別の態様においては、発光性配位子は590nmよりも長い波長に相当する三重項エネルギーを有する。好ましい態様においては、発光性配位子は480nmよりも短い波長に相当する三重項エネルギーを有する。一つの態様においては、室温において発光性の配位子はただ一つである。ある化合物中で発光性である配位子は、同じ金属に結合する、より低い三重項エネルギーを有する他の配位子の存在によって、別の化合物中では非発光性であることもある。この場合、エネルギーはより高い三重項エネルギーをもつ配位子から、より低い三重項エネルギーを有する配位子に移動し、その結果、最初により高い三重項エネルギーを有する配位子は発光に寄与しない。別の態様においては、室温における発光性配位子は唯一つであり、この配位子は有機金属(性)である。
【0098】
別の態様においては、金属に配位している各配位子は、金属と有機金属結合を形成する。第三周期遷移金属、例えば、Ir及びPtに配位している場合、有機金属配位子は非有機金属配位子よりも熱的により安定であると考えられる。シクロメタル化錯体がヘテロレプティックである好ましい態様においては、2つの非発光性配位子がイリジウムに配位している。この場合、ルミネッセンススペクトルは、本発明の態様のホモレプティック有機金属シクロメタル化錯体のスペクトルに対してブルーシフト(浅色効果)することが観測されている。このブルースペクトルシフトは、有機金属錯体中での炭素と金属原子の間の強い静電相互作用によると考えられる。
本発明の合成された錯体については、メリジオナル異性体(meridional isomers)とフェーシャル異性体(facial isomers)は同様に振る舞うことが観測されている。したがって、位置異性体の選択は、デバイス性能に大きな影響を及ぼさないと考えられる。メリジオナル異性体は、より容易に合成されることが発見されていることから好ましい。例えば、フェーシャル異性体は一般にメリジオナル異性体を変換することによって合成される。フェーシャル異性体は、有機金属化合物において現在最も一般的異性体であることから好ましいものでありうる。
【0099】
本明細書で説明した様々な態様は例のためだけであり、本発明の範囲を限定することは意図されていない。例えば、本明細書で説明した多くの材料及び構造は、本発明の思想から離れることなくその他の材料及び構造で置換されうる。なぜ本発明が機能するかについての様々な理論は限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、電荷移動に関する理論は、限定することを意図していない。
【0100】
〔材料の定義〕
本明細書で用いるように、略号は以下を表す:
CBP: 4,4’-N,N-ジカルバゾール-ビフェニル
m-MTDATA: 4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン
Alq3: 8-トリス-ヒドロキシキノリンアルミニウム
Bphen: 4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
n-BPhen: n-ドープされたBPhen(リチウムでドープ)
F4-TCNQ: テトラフルオロ-テトラシアノ-キノジメタン
p-MTDATA: p-ドープされたm-MTDATA(F4-TCNQでドープ)
Ir(ppy)3: トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム
Ir(ppz)3: トリス(1-フェニルピラゾロト,N,C(2’)イリジウム(III)
BCP: 2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
TAZ: 3-フェニル-4-(1’-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール
CuPc: 銅フタロシアニン
ITO: インジウム錫オキシド
NPD: N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(1-ナフチル)-ベンジジン
TPD: N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-トリル)ベンジジン
BAlq: アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)4-フェニルフェノレート
mCP: 1,3-N,N-ジカルバゾール-ベンゼン
DCM: 4-(ジシアノエチレン)-6-(4-ジメチルアミノスチリル-2-メチル)-4H-ピラン
DMQA: N,N’-ジメチルキナクリドン
PEDOT:PSS: ポリスチレンスルホネート(PSS)とポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の水性分散液
tpy: 2-(p-トリル)ピリジン
ppy: 2-フェニルピリジン
4,6-F2ppy: 2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジン
4-MeO-4,6-F2ppy: 2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)-4-メトキシピリジン
4’-DMA-4,6-F2ppy: 2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
2-thpy: 2-(2’-チエニル)ピリジン
(46dfppz)2Ir(ppy): ビス(1-(4,6-ジフルオロフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)(2-フェニルピリジナート-N,C2’)
(46dfppz)2Ir(tpy): ビス(1-(4,6-ジフルオロフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)(2-(p-トリル)ピリジナート-N,C2’)
(46dfppz)2Ir(4’,6’-F2ppy): ビス(1-(4,6-ジフルオロフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)(2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナート-N,C2’)
(46dfppz)2Ir(4-MeO-4’,6’-F2ppy): ビス(1-(4,6-ジフルオロフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)(2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)-4-メトキシピリジナート-N,C2’)
(46dfppz)2Ir(4-DMA-4’,6’-F2ppy): ビス(1-(4,6-ジフルオロフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)(2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)-4-(N,N’-ジメチルアミノ)ピリジナート-N,C2’)
3bppz: 1-(3-ビフェニル)ピラゾール
4bppz: 1-(4-ビフェニル)ピラゾール
14dppz: 1,4-ジフェニルピラゾール
4bpppz: 1-(4-ビフェニル)-4-フェニルピラゾール
2dmflpz: 1-(2-(9,9-ジメチル)フルオレニル)ピラゾール
3dmflpz: 1-(3-(9,9-ジメチル)フルオレニル)ピラゾール
fac-Ir(3bppz)3: fac-トリス(1-(3-ビフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)
fac-Ir(4bppz)3: fac-トリス(1-(4-ビフェニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)
fac-Ir(14bppz)3: fac-トリス(1,4-ジフェニルピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)
fac-Ir(4bpppz)3: fac-トリス(1-(4-ビフェニル)-4-フェニルピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)
fac-Ir(2dmflpz)3: fac-トリス(1-(2-(9,9-ジメチル)フルオレニル)ピラゾレート-N,C2’)イリジウム(III)
【0101】
〔実施例〕
本発明の具体的な代表的態様を、どのようにそれらの態様を作りうるかを含めてこれから説明する。本具体的態様、材料、条件、方法のパラメータ、装置等は、本発明を必ずしも限定しないことが理解される。
【0102】
〔実施例1〕 置換フェニルピラゾールの一般的合成経路
【0103】
【化18】

【0104】
上記の合成経路によって合成した配位子を表Iにまとめる。
【0105】
【表1】

【0106】
〔実施例2〕 ビフェニルピラゾールの一般的合成経路
【0107】
【化19】

【0108】
上記の合成経路によって合成した配位子を表IIにまとめる。
【0109】
【表2A】

【表2B】

【0110】
〔実施例3〕 2dmflpz配位子の合成
【0111】
【化20】

【0112】
〔実施例4〕 3dmflpz配位子の合成
【0113】
【化21】

【0114】
〔実施例5〕 (46dfppz)2Ir(ppy)、(46dfppz)2Ir(tpy)、(46dfppz)2Ir(4’,6’-F2ppy)、(46dfppz)2Ir(4-MeO-4’,6’-F2ppy)、及び(46dfppz)2Ir(4’-DMA-4’,6’-F2ppy)のメリジオナル異性体の合成
【0115】
[(46dfppz)2IrCl]2錯体、1〜1.05当量の適切な配位子、5〜10当量のKCOを、グリセリン中、不活性雰囲気下で140〜145℃に20〜24時間加熱した。混合物を室温まで冷却した後、蒸留水を加え、得られた沈殿を濾別し、いくつかに分けた蒸留水で洗浄し、空気乾燥した。粗生成物を次にシリカゲルカラム上でジクロロメタンを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行い、60〜80%の純粋なメリオジナルヘテロレプティックイリジウムトリス-シクロメタル化錯体が得られた。
【0116】
〔実施例6〕 (46dfppz)2Ir(ppy)、(46dfppz)2Ir(tpy)、(46dfppz)2Ir(4’,6’-F2ppy)、(46dfppz)2Ir(4-MeO-4’,6’-F2ppy)、及び(46dfppz)2Ir(4’-DMA-4’,6’-F2ppy)のフェーシャル異性体の合成
【0117】
アルゴンで脱ガスした上記メリオジナル錯体のアセトニトリル溶液に、UV光(254nm又は360nm)を24〜48時間照射し、その後、溶媒を減圧下で除去した。次に粗生成物を、ジクロロメタンを用いてシリカゲルクロマトグラフィー上でクロマトグラフィーを行い、>90%の純粋なフェーシャルヘテロレプティックイリジウムトリス-シクロメタル化錯体を得た。
【0118】
〔実施例7〕 fac-Ir(3bppz)3、fac-Ir(4bppz)3、fac-Ir(14bppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3、及びIr(ppz)3の合成
【0119】
[(C^N)2Ir(O^O)]錯体、1〜1.1当量の適切なシクロメタル化配位子、をグリセリン中で不活性ガス雰囲気下に20〜24時間還流させた。混合物を室温に冷却後、蒸留水を加え、さらに得られた沈殿物を濾別し、いくつかの部分にわけた蒸留水で洗浄し、空気乾燥させた。粗生成物を次にジクロロメタンを用いてシリカカラム上でクロマトグラフィーを行い、60〜80%の純粋なフェーシャルヘテロレプティックイリジウムトリス-シクロメタル化錯体を得た。
【0120】
表IIIに、実施例5及び6の化合物の光物理特性をまとめた。
【0121】
【表3A】

【表3B】

【0122】
表IVには、fac-Ir(C-N)3錯体の光化学特性及び光物理特性をまとめている。酸化及び還元電位は、対照としてフェロセンを用いて無水DMF中で測定した。全ての還元電位は可逆的である。スペクトル及び寿命データは、Nを吹き込んで脱ガスした2−MeTHF溶液を用いて得た。
【0123】
【表4】

【0124】
図3は、fac-Ir(3bppz)3、fac-Ir(4bppz)3、fac-Ir(14bppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3についての77Kにおける発光スペクトルを示す。
【0125】
図4は、fac-Ir(3bppz)3、fac-Ir(4bppz)3、fac-Ir(14bppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3についての室温における発光スペクトルを示す。
【0126】
図5は、室温でポリスチレン中における、fac-Ir(14bppz)3、fac-Ir(4bpppz)3、fac-Ir(2dmflpz)3の発光スペクトルを示す。
【0127】
本発明を具体例及び好ましい態様に関して説明したが、本発明はこれら実施例及び態様に限定されないことが理解される。請求項に係る本発明はしたがって、当業者には明らかなとおり、本明細書に記載した具体例及び好ましい態様からの変形を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

(式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり、(C−N)は前記金属に結合された少なくとも1の他の配位子とは異なり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基Rで置換されていることができ;
mは少なくとも1の値を有し;
nは少なくとも1の値を有し;かつ、
m+nは、前記金属に結合しうる配位子の最大数である。)
を有する化合物。
【請求項2】
nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各配位子が有機金属である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造:
【化2】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Mが、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Ru、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au、及びAgからなる群から選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
MがIrである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
、R10、及びR12〜R14がHである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
nが2であり、mが1である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
以下の構造:
【化3】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
以下の構造:
【化4】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
以下の構造:
【化5】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項12】
以下の構造:
【化6】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項13】
以下の構造:
【化7】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造:
【化8】

を有する、請求項8記載の化合物。
【請求項15】
置換基が独立して、置換又は非置換のフェニル、ナフチル、又はピリジルから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
少なくとも1つの置換基がフェニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が以下の:
【化9】

(式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができる。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が以下の:
【化10】

【化11】

(式中、
Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができ;
Zは、−CH、−CRR、−NH、−NR、−O、−S、−SiRから選択される。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が以下の:
【化12】

【化13】

からなる群から選択される構造を有する、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が燐光発光材料である、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
少なくとも1つの配位子が室温において燐光発光配位子であり、さらに少なくとも1つの配位子が室温において燐光発光配位子ではない、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が480nm未満のピーク波長で発光する、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
以下の構造:
【化14】

(式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基RまたはCNで置換されていることができ;
Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
nは少なくとも1の値を有し;かつ、
m+nは、前記金属に結合しうる配位子の最大数である。)
を有する化合物。
【請求項24】
nが3であり、mが0である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Mが、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Ru、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au、及びAgからなる群から選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
MがIrである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
、及びR11〜R14がHである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
室温で発光性である第一の配位子に結合した金属を含む化合物であって、
正確に一つの第一の配位子が前記金属に結合し、かつ、
前記第一の配位子が、前記金属に結合したすべての他の配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項状態を有し、かつ、
前記金属が40より大きな原子量を有する化合物。
【請求項29】
前記第一の配位子が有機金属である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記第一の配位子が480nm未満の波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
前記第一の配位子が、500〜520nmの波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
前記第一の配位子が590nmより大きな波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項33】
少なくとも第一の配位子と第二の配位子に結合した金属Mを含む化合物であって、
各配位子は有機金属であり;かつ、
前記第一の配位子は、前記第二の配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項エネルギーを有し、かつ、
Mは40よりも大きな原子量を有する金属である、化合物。
【請求項34】
前記第一の配位子が480nm未満の波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記第一の配位子が500〜520nmの波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
前記第一の配位子が590nmよりも長い波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
(a)アノード;
(b)カソード;及び
(c)前記アノード及び前記カソードの間に配置され、かつ前記アノード及び前記カソード電気的に接続された発光層、
を含み、前記発光層が以下の構造:
【化15】

(式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
(C−N)は置換又は非置換シクロメタル化配位子であり、(C−N)は前記金属に結合された少なくとも1の他の配位子とは異なり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基Rで置換されていることができ;
mは少なくとも1の値を有し;
nは少なくとも1の値を有し;かつ、
m+nは、前記金属に結合しうる配位子の最大数である。)
を有する化合物をさらに含む有機発光デバイス。
【請求項38】
nが2である、請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
各配位子が有機金属である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
以下の構造:
【化16】

を有する、請求項37に記載のデバイス。
【請求項41】
Mが、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Ru、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au、及びAgからなる群から選択される、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
MがIrである、請求項41に記載のデバイス。
【請求項43】
、R10、及びR12〜R14がHである、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
nが2であり、mが1である、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
以下の構造:
【化17】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
以下の構造:
【化18】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項47】
以下の構造:
【化19】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項48】
以下の構造:
【化20】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項49】
以下の構造:
【化21】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項50】
以下の構造:
【化22】

を有する、請求項44に記載のデバイス。
【請求項51】
置換基が独立して、置換又は非置換のフェニル、ナフチル、又はピリジルから選択される、請求項37に記載のデバイス。
【請求項52】
少なくとも1つの置換基がフェニルである、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記デバイスが以下の:
【化23】

(式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができる。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記デバイスが以下の:
【化24】

【化25】

(式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができ;
Zは、−CH、−CRR、−NH、−NR、−O、−S、−SiRから選択される。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項37に記載のデバイス。
【請求項55】
前記化合物が以下の:
【化26】

【化27】

からなる群から選択される構造を有する、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記化合物が燐光発光材料である、請求項37に記載のデバイス。
【請求項57】
少なくとも1つの配位子が室温において燐光発光配位子であり、さらに少なくとも1つの配位子が室温において燐光発光配位子でない、請求項37に記載のデバイス。
【請求項58】
前記化合物が480nm未満のピーク波長で発光する、請求項37に記載のデバイス。
【請求項59】
(a)アノード;
(b)カソード;及び
(c)前記アノードと前記カソードの間に配置され、且つ前記アノードと前記カソードに電気的に接続された発光層を含み、前記発光層はさらに以下の構造:
【化28】

(式中、
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基R及びCNで置換されていることができる。)
を有する化合物をさらに含む有機発光デバイス。
【請求項60】
以下の構造:
【化29】

(式中、
Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択される。)
を有する、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
Mが、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Ru、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au、及びAgからなる群から選択される、請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
MがIrである、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
、及びR11〜R14がHである、請求項62に記載のデバイス。
【請求項64】
(a)アノード;
(b)カソード;及び
(c)前記アノードと前記カソードの間に配置され、且つ前記アノードと前記カソードに電気的に接続された発光層を含み、前記発光層がさらに以下の構造:
室温で発光性の第一の配位子に結合した金属、
ここでは、
正確に1つの前記第一の配位子が前記金属に結合し、さらに、
前記第一の配位子は前記金属に結合する全ての他の配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項エネルギーを有し、さらに
前記金属が40より大きな原子量を有する、
を有する化合物をさらに含む、有機発光デバイス。
【請求項65】
前記第一の配位子が有機金属である、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
前記第一の配位子が480nm未満の波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項64に記載のデバイス。
【請求項67】
前記第一の配位子が500〜520nmに相当する三重項エネルギーを有する、請求項64に記載のデバイス。
【請求項68】
前記第一の配位子が590nmよりも長い波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項64に記載のデバイス。
【請求項69】
(a)アノード;
(b)カソード;及び
(c)前記アノードと前記カソードの間に配置され、且つ前記アノードと前記カソードに電気的に接続された発光層を含み、前記発光層がさらに以下の構造:
少なくとも第一の配位子及び第二の配位子に結合した金属M、
ここでは、
各配位子は有機金属であり、さらに
前記第一の配位子は、前記第二の配位子の三重項エネルギーに相当する波長よりも少なくとも80nm長い波長に相当する三重項エネルギーを有し、さらに
Mが40より大きな原子量を有する金属である、
を有する化合物をさらに含む、有機発光デバイス。
【請求項70】
前記第一の配位子が、480nm未満の波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項69に記載のデバイス。
【請求項71】
前記第一の配位子が、500〜520nmの波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項69に記載の化合物。
【請求項72】
前記第一の配位子が、590nmよりも長い波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項69に記載のデバイス。
【請求項73】
前記デバイスが消費財に組み込まれる、請求項69記載のデバイス。
【請求項74】
(a)アノード;
(b)カソード;及び
(c)前記アノードと前記カソードの間に配置され、且つ前記アノードと前記カソードに電気的に接続された発光層を含み、
前記発光層がさらに以下の構造:
【化30】

(式中、
それぞれのRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、さらに前記4〜7員環式基は場合によっては置換基Rで置換されていることができる。)
を有する化合物をさらに含む、有機発光デバイス。
【請求項75】
前記配位子が以下の構造:
【化31】

を有する、請求項74に記載のデバイス。
【請求項76】
、R10及びR12〜R14がHである、請求項75に記載のデバイス。
【請求項77】
置換基が、置換又は非置換のフェニル、ナフチル、又はピリジルから独立して選択される、請求項74に記載のデバイス。
【請求項78】
少なくとも1つの置換基がフェニルである、請求項77に記載のデバイス。
【請求項79】
前記配位子が以下の:
【化32】

(式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができる。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項78に記載のデバイス。
【請求項80】
前記化合物が以下の:
【化33】

(式中、Xは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、CN、CF、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、又はヘテロ環式基、から選択され;
加えて又はそれに代えて、任意選択された2つの隣接置換位置は一緒になって、独立して縮合4〜7員環式基を形成し、前記環式基はシクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、前記4〜7員環式基はさらに置換基Xで置換されていることができ;
Zは、−CH、−CRR、−NH、−NR、−O、−S、−SiRから選択される。)
からなる群から選択される構造を有する、請求項74に記載のデバイス。
【請求項81】
前記配位子が以下の:
【化34】

からなる群から選択される構造を有する、請求項80に記載のデバイス。
【請求項82】
前記配位子が燐光発光配位子である、請求項74に記載のデバイス。
【請求項83】
前記配位子が、480nm未満の波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項74に記載のデバイス。
【請求項84】
前記第一の配位子が、500〜520nmの波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項74に記載のデバイス。
【請求項85】
前記第一の配位子が、590nmより長い波長に相当する三重項エネルギーを有する、請求項74に記載のデバイス。
【請求項86】
前記デバイスが消費財に組み込まれる、請求項74に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−116843(P2012−116843A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−5099(P2012−5099)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2006−509320(P2006−509320)の分割
【原出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(592048844)ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (26)
【Fターム(参考)】