説明

インキ、ライトガイド及び照明装置

【課題】耐打鍵性及び導光部材に対する密着性に優れる光拡散部を形成できると共に導光部材の黄変を十分に防止できるインキ、ライトガイド及び照明装置を提供すること。
【解決手段】白色顔料と、40℃以下のガラス転移温度を有するバインダ樹脂とを含み、熱乾燥により100%以下の破断伸びを示すことが可能であることを特徴とするインキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ、ライトガイド及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器の操作パネルには、照明機能を有するものが多くなっている。このような操作パネルとして、複数個の押しボタン部を有するキーマットと、キーマットの押しボタン部を照明する照明装置とを備えるものが知られている。照明装置は一般に、キーマットを裏側から照明するための光をガイドするライドガイドと、ライトガイドに光を入射させる光源と、ライトガイドに対向配置されるメンブレンスイッチとで構成される。例えば特許文献1では、ライトガイドが、光源から出射される光を導光する導光部材を有し、導光部材からの光によってキーマットの押しボタン部が裏側から照明されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−53063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載のライトガイドでは、光源から出射される光が導光部材に入射されるだけであるため、キーマットの押しボタン部の輝度が低くなる。
【0005】
そこで、導光部材のキーマット側の表面において、押しボタン部を通る直線上に、白色顔料及びバインダ樹脂を含むインキを塗布し、このインキを熱乾燥させ、光拡散部を形成することによって押しボタン部の輝度を向上させることが考えられる。
【0006】
ここで、バインダ樹脂として、紫外線硬化型樹脂を用いることが考えられる。ライトガイドの導光部材は通常、ポリウレタン樹脂で構成されるため、紫外線硬化型樹脂としてウレタンオリゴマーを使用することで導光部材に対する光拡散部の密着性を向上させることができる。また架橋密度を大きくすることでライトガイドの光拡散部の耐打鍵性を向上させることもできる。しかし、インキを紫外線によって硬化させる際に、紫外線がポリウレタン樹脂からなる導光部材にも照射されるため、導光部材が黄変しやすくなる。このため、光源から導光部材に光を入射させ、導光部材から光拡散部に入射した光によってキーマットの押しボタン部を照明すると、押しボタン部が黄色く見えてしまう。
【0007】
一方、紫外線硬化型インキの代わりに、アクリル樹脂などを溶剤に溶解し、このアクリル樹脂溶液にシリカなどを添加してなる熱硬化型インキを導光部材に塗布し、このインキを硬化させて光拡散部を形成することも考えられる。しかし、この場合、光拡散部を繰り返し打鍵すると、打鍵時の応力により光拡散部がクリープしてしまう場合があった。すなわち、熱硬化型インキを用いて得られる光拡散部には耐打鍵性の点で改善の余地があった。またアクリル樹脂によっては、導光部材に対する光拡散部の密着性が不十分な場合があった。そのため、操作パネルの使用時に、光拡散部が導光部材から剥離してキーマットの押しボタン部に対して位置ズレを起こし、押圧しても押しボタン部が正常に点灯しないことがあった。従って、ライトガイドを短期間で交換する必要があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐打鍵性及び導光部材に対する密着性に優れる光拡散部を形成できると共に導光部材の黄変を十分に防止できるインキ、ライトガイド及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ライトガイドの光拡散部を、ガラス転移温度が所定値以下であるバインダ樹脂を含み且つ熱乾燥により破断伸びを所定値以下とすることが可能なインキを用いて形成することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち本発明は、白色顔料と、40℃以下のガラス転移温度を有するバインダ樹脂とを含み、熱乾燥により100%以下の破断伸びを示すことが可能であることを特徴とするインキである。
【0011】
このインキによれば、当該インキを導光部材上に塗布し、インキ中に含まれるバインダ樹脂を熱によって乾燥させて光拡散部を形成し、導光部材と光拡散部とからなるライトガイドを製造すると、耐打鍵性、及び導光部材に対する密着性に優れた光拡散部を形成することができる。またインキが熱によって乾燥されるため、導光部材がポリウレタン樹脂を含むように構成されていても、導光部材の黄変を十分に防止することが可能となる。
【0012】
また本発明は、ポリウレタン樹脂を含む導光部材と、前記導光部材の表面に設けられ、前記導光部材から入射される光を拡散する複数の光拡散部とを備え、前記光拡散部が、上述したインキを熱乾燥させることにより得られるライトガイドである。
【0013】
このライトガイドによれば、光拡散部が耐打鍵性に優れるため、光拡散部が繰り返し打鍵されても、光拡散部がクリープしにくくなる。また光拡散部は、導光部材に対する密着性に優れる。このため、光拡散部が、導光部材から剥離しにくくなる。従って、ライトガイドを長期間にわたって使用することが可能となる。さらに導光部材の黄変が十分に防止されているため、光拡散部を正常な色で表示することが可能となる。
【0014】
また本発明は、上述したライトガイドと、前記ライトガイドの前記導光部材に対し前記光拡散部と反対側に設けられるメンブレンスイッチとを備え、前記メンブレンスイッチが、基材と、前記基材に対して前記ライドガイド側の表面上であって、前記光拡散部を通る直線上に配置されるメタルドームとを有する照明装置である。
【0015】
なお、本発明において、「熱乾燥」は以下のように定義される。すなわちバインダ樹脂が熱可塑性樹脂でインキ中に硬化剤が配合されない場合は、「熱乾燥」とは、インキ中の溶剤の95質量%以上が除去されるように加熱することを言うものとする。またバインダ樹脂が熱可塑性樹脂でインキ中に硬化剤が配合される場合、及び、バインダ樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、「熱乾燥」とは、インキ中の溶剤の95質量%以上が除去されるように且つバインダ樹脂が架橋されるように加熱することを言うものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐打鍵性及び導光部材に対する密着性に優れる光拡散部を形成できると共に導光部材の黄変を十分に防止できるインキ、ライトガイド及び照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る照明装置を適用した操作パネルを示す部分断面図である。
【図2】実施例及び比較例で得られるライトガイドについて打鍵試験を行っている状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る照明装置を適用した操作パネルを示す部分断面図である。図1に示すように、操作パネル100は、透光性の本体部1、本体部1の一面側に設けられる複数の透光性の押しボタン部2、及び本体部1に対し押しボタン部2と反対側に設けられる透光性の突起部3を有するキーマット10と、キーマット10の押しボタン部2の各々を照明する照明装置20とを備えている。
【0020】
照明装置20は、ライトガイド30と、ライトガイド30に光を入射させる発光素子50と、発光素子50からライトガイド30に光を入射させることが可能なメンブレンスイッチ40とを備えている。
【0021】
ライトガイド30は、導光部材31と、導光部材31に対してメンブレンスイッチ40と反対側の表面に設けられ、導光部材31から入射される光を拡散する光拡散部32とを備えている。ここで、光拡散部32はインキを熱乾燥させることで得られる。インキは、バインダ樹脂と、白色顔料と、バインダ樹脂を溶解させる溶剤とを含むものである。ここで、バインダ樹脂は40℃以下のガラス転移温度を有している。また光拡散部32は100%以下の破断伸びを示す。
【0022】
メンブレンスイッチ40は、基材41と、基材41のライトガイド30側の表面上であって、光拡散部32を通る直線上に設けられるメタルドーム42と、メタルドーム42を覆うように設けられる押さえシート43とを備えている。基材41の表面側には接点44及び接点46が設けられている。メタルドーム42はドーム状となっており、メタルドーム42の底部には接点45が設けられている。メタルドーム42の縁部と接点44とは接触しており、接点45は基材41の表面に設けられる接点46と接触可能となっている。
【0023】
この操作パネル100においては、キーマット10の押しボタン部2を押圧すると、突起部3によって光拡散部32が押圧され、それに伴い、導光部材31が撓み、導光部材31によって、押さえシート43を介してメタルドーム42が押圧されて、メタルドーム42が凹む。すると、メタルドーム42の接点45が、基材41に設けられた接点46と接触する。なお、発光素子50からは光が出射され、その光が導光部材31に入射されるようになっている。そして、導光部材31から光拡散部32に入射された光は、光拡散部32で拡散され、その光によって押しボタン部2が照明され、押しボタン部2が点灯する。
【0024】
ここで、ライトガイド30の光拡散部32は、耐打鍵性に優れる。このため、押しボタン部2を通じて光拡散部32が繰り返し打鍵されても、光拡散部32がクリープしにくくなる。また光拡散部32は、導光部材31に対する密着性に優れる。このため、光拡散部32が導光部材31から剥離しにくくなる。従って、ライトガイド30を長期間にわたって使用することが可能となる。また導光部材31の黄変が十分に防止される。このため、押しボタン部2を正常な色で表示することが可能となる。
【0025】
次に、上記操作パネル100の構成の詳細について説明する。
【0026】
(キーマット)
キーマット10は、シリコンラバー、ポリウレタン樹脂などで構成される。
【0027】
(ライトガイド)
光拡散部32は、上述したように、白色顔料と、バインダ樹脂と、バインダ樹脂を溶解させる溶剤とを含むインキを熱乾燥させることにより得られる。
【0028】
白色顔料としては、例えば酸化チタン、シリカ又は酸化亜鉛などが用いられる。中でも、酸化チタンが、可視光における屈折率が高く、導光部材31からの光を光拡散部32に入射させやすいことから好ましい。
【0029】
バインダ樹脂としては、例えばポリエステル樹脂が用いられる。
【0030】
バインダ樹脂は、熱硬化性樹脂でもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。また、バインダ樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、インキに硬化剤を配合することができる。硬化剤としては、例えばメラミン樹脂、エポキシ樹脂又はイソシアネート樹脂を用いることが可能である。上記樹脂(硬化剤)は、官能基を少なくとも3個有することが好ましい。この場合、硬化性や反応性をより向上させることができる。なお、バインダ樹脂が熱可塑性樹脂であり且つバインダ樹脂の熱乾燥温度が低い場合には硬化剤の配合率は、バインダ樹脂と白色顔料との合計を基準(100質量%)として0質量%でもよい。すなわちバインダ樹脂が熱可塑性樹脂であり且つバインダ樹脂の熱乾燥温度が低い場合にはインキには硬化剤を配合しなくてもよい。
【0031】
バインダ樹脂のガラス転移温度は40℃以下であり、好ましくは10℃以下である。但し、0℃以上であることが耐磨耗性の観点から好ましい。バインダ樹脂のガラス転移温度は、DSC法によって測定された温度を言う。
【0032】
インキは通常は、溶媒を含む。溶媒は、バインダ樹脂を溶解させるものであればよく、このような溶媒としては、例えばトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどを用いることができる。
【0033】
インキとしては、熱乾燥により破断伸びを100%以下とすることが可能なものが用いられる。ここで、インキとしては、熱乾燥により破断伸びを50%以下とすることが可能なものが好ましく、30%以下とすることが可能なものがより好ましい。但し、インキとしては、作業時に導光部材31が伸ばされた際により割れにくくなることから、熱乾燥により破断伸びを5%以上とすることが可能なものが好ましい。
【0034】
インキにおいて、バインダ樹脂の配合率は、バインダ樹脂と白色顔料との合計を基準(100質量%)として、30〜80質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。バインダ樹脂の配合率が上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合に比べて輝度をより高めることができる。
【0035】
導光部材31を構成する材料としては、ポリウレタン樹脂が用いられる。
【0036】
(発光素子)
発光素子50としては、例えばLEDが用いられる。
【0037】
(メンブレンスイッチ)
メタルドーム42を構成する材料は、金属であればよく、このような金属としては、例えばステンレス、銅などが挙げられる。
【0038】
押さえシート43を構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートなどの樹脂が用いられる。
【0039】
基材41を構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートが用いられる。
【0040】
次に、操作パネル100の製造方法について説明する。
【0041】
まずキーマット10を用意する。
【0042】
一方、ライトガイド30を用意する。そのために、まず導光部材31を用意する。そして、白色顔料と、バインダ樹脂と、溶剤とを含むインキを用意し、インキを導光部材31の表面上に塗布する。そして、インキを加熱して、バインダ樹脂を熱乾燥させ、光拡散部32を形成する。このとき、バインダ樹脂を熱乾燥させる温度は、導光部材31の耐熱性を考慮すると、通常は60〜85℃であり、好ましくは65〜70℃である。また熱乾燥時間も、インキの破断伸びを100%以下にする温度であればよく、通常はIR炉で30秒〜2分である。
【0043】
他方、導光部材31の側面に発光素子50を固定する。
【0044】
こうしてライトガイド30の準備が完了する。
【0045】
次に、メンブレンスイッチ40を用意する。そのためにはまず基材41を準備し、基材41の上に、キーマット31の押しボタン部2に対応する位置にメタルドーム42を配置する。このとき、メタルドーム42の縁部が、基材41上に設けられる接点44と接触するように且つメタルドーム42に設けた接点45が、基材41上に設けられる接点46と接触可能となるようにメタルドーム42を配置する。次に、メタルドーム42を覆うように押さえシート43を配置する。押さえシート43には、粘着剤層(図示せず)が設けられており、例えば粘着剤層により押さえシート43が基材41に固定される。
【0046】
こうしてメンブレンスイッチ40が得られる。
【0047】
そして、メンブレンスイッチ40の押さえシート43側にライトガイド30を配置する。このとき、光拡散部32をメンブレンスイッチ40と反対側に向けるようにライトガイド30を配置する。またライトガイド30の光拡散部32とメンブレンスイッチ40のメタルドーム42とが同一直線上に配置されるようにする。
【0048】
次に、ライトガイド30の光拡散部32側にキーマット10を配置する。このとき、ライトガイド30の光拡散部32と、キーマット10の押しボタン部2とが同一直線上に配置されるようにする。
【0049】
こうして操作パネル100の製造が完了する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1〜3及び比較例1〜5)
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートからなる溶剤に、表1に示すバインダ樹脂(ポリエステル樹脂)を溶解させてなるバインダ溶液を用意した。このとき、使用したバインダ樹脂はいずれもユニチカ(株)製である。そして、バインダ溶液中のバインダ樹脂と酸化チタンとを、表1に示す割合(単位は質量部)で混合し、3本ロールにより分散させ、インキを得た。
【0052】
またバインダ樹脂のガラス転移温度を表1に示す。
【0053】
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜5のインキについて以下の特性を評価した。
【0054】
(破断伸び)
実施例1〜3及び比較例1〜5のインキを、バーコート法によりテフロンシート上に塗布し、塗膜を作製した。
【0055】
次に、作製した塗膜を、60℃に設定したIR炉に1分間入れて熱乾燥させた。
【0056】
次に、熱乾燥させた塗膜をテフロンシートから剥がし、その熱乾燥させた塗膜について、10mm/secの条件で引張試験を行い、破断伸びを測定した。結果を表1に示す。
【0057】
(ポリウレタンフィルムに対する光拡散部の密着性)
実施例1〜3及び比較例1〜5のインキについて、その熱乾燥体である光拡散部のポリウレタンフィルムに対する密着性を調べた。具体的には、以下のようにして密着性を調べた。
【0058】
まず上記インキを、スクリーン印刷法によってポリウレタンフィルム上に印刷してドットパターンを形成した。そして、このドットパターン付きポリウレタンフィルムを、60℃に設定したIR炉に1分間入れてドットパターンを熱乾燥させ、光拡散部を形成した。こうしてライトガイドを作製した。
【0059】
続いて、ライトガイドに対し、光拡散部を覆うようにセロハンテープをポリウレタンフィルムに貼り付け、指の腹でセロハンテープをポリウレタンフィルムに押し付けた後、セロハンテープを剥離した。
【0060】
このとき、セロハンテープと共に剥離した光拡散部の数が0個である場合には、合格とし、1個以上である場合には不合格とした。結果を表1に示す。なお、表1において、合格の場合は「○」で示し、不合格の場合は「×」で示した。
【0061】
(耐打鍵性)
実施例1〜3及び比較例1〜5のインキについて、その熱乾燥体である光拡散部の耐打鍵性を調べた。具体的には、以下のようにして耐打鍵性を調べた。
【0062】
まず上記と同様にして、ポリウレタンフィルム上に光拡散部を形成してライトガイドを形成した。そして、ライトガイドについて、図2に示すように、打鍵試験機210と、光源(LED)50と、メンブレンスイッチ240とを用いて打鍵試験を行った。図2に示すように、打鍵試験機210は、本体部201と、本体部201のメンブレンスイッチ240側に設けられる突起部203と、本体部201に対し突起部203と反対側に設けられる押しボタン部202とを有するキーマット部を備えている。キーマット部は、シリコンラバーで構成した。またメンブレンスイッチ240は、フレキシブル回路基板241と、フレキシブル回路基板241の上に設けられるメタルドーム242と、メタルドーム242を覆うようにフレキシブル回路基板241上に設けられ、ポリエチレンテレフタレートからなる押さえシート243とで構成されている。なお、図2において、符号230はライトガイドを示しているが、光拡散部は省略してある。符号244は、フレキシブル回路基板241に設けられ、メタルドーム242と接触する回路を示し、符号246は、フレキシブル回路基板241に設けられ、メタルドーム242が凹むことによりメタルドーム242と接触する回路を示すものである。このときの試験条件は下記の通りであった。
・力:8N
・打鍵回数:100万回
【0063】
また試験に際しては、ライトガイドの光拡散部が、メタルドーム242と、打鍵試験機210の突起部203との間に配置されるようにした。打鍵試験の結果を表1に示す。
【0064】
なお、打鍵試験後、すべての光拡散部について、割れや導光部材からの剥離が生じていない場合には合格とし、表1において「○」で示した。一方、光拡散部の1個でも割れや導光部材からの剥離が生じている場合には不合格とし、表1において「×」で示した。
【0065】
(導光部材の黄変)
実施例1〜3及び比較例1〜5のインキを用い、上記と同様にして、ポリウレタンフィルム上に光拡散部を形成してライトガイドを形成した。そして、ライトガイドの導光部材を目視にて観察し、黄変が起こっているかどうかを調べた。結果を表1に示す。

【表1】

【0066】
表1に示す結果より、実施例1〜3のインキは、耐打鍵性、導光部材の黄変及び導光部材に対する光拡散部の密着性のいずれについても合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜5のインキは、耐打鍵性、導光部材の黄変及び導光部材に対する光拡散部の密着性のいずれかについて合格基準に達していなかった。
【0067】
このことから、本発明のインキによれば、耐打鍵性及び導光部材に対する密着性に優れる光拡散部を形成できると共に導光部材の黄変を十分に防止できることが確認された。
【符号の説明】
【0068】
20…照明装置
30…ライトガイド
31…導光部材
32…光拡散部
40…メンブレンスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料と、
40℃以下のガラス転移温度を有するバインダ樹脂とを含み、
熱乾燥により100%以下の破断伸びを示すことが可能である
ことを特徴とするインキ。
【請求項2】
ポリウレタン樹脂を含む導光部材と、
前記導光部材の表面に設けられ、前記導光部材から入射される光を拡散する複数の光拡散部とを備え、
前記光拡散部が、請求項1に記載のインキを熱乾燥させることにより得られるライトガイド。
【請求項3】
請求項2に記載のライトガイドと、
前記ライトガイドの前記導光部材に対し前記光拡散部と反対側に設けられるメンブレンスイッチとを備え、
前記メンブレンスイッチが、
基材と、
前記基材に対して前記ライドガイド側の表面上であって前記光拡散部を通る直線上に配置されるメタルドームとを有する照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−1881(P2013−1881A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136958(P2011−136958)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】