説明

インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

【課題】 従来のインクと比較してはるかに優れた光沢性を有する画像を形成することができる、インクジェット用にも好適に適用可能な、レッドのインクの提供。
【解決手段】 少なくとも顔料として、C.I.ピグメントレッド254を含有するインクであって、さらに、1,2−アルカンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することを特徴とするインク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用にも好適に適用可能な、特定の顔料を含有するインク、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法によって得られる画像の耐光性、耐ガス性、さらには耐水性などの堅牢性を優れたものとするために、色材として顔料を含有する顔料インクが用いられるようになってきている。しかし、顔料と同様に色材として用いられる染料を含有する染料インクと比較して、顔料インクを用いた場合には、得られる画像の発色性が劣る場合があることや、光沢を有する記録媒体などに記録した場合、画像の光沢性が十分に得られないという課題がある。
【0003】
発色性に関しては、シアン、マゼンタ、及びイエローの基本3原色のインクを用いる場合、従来の顔料インクで形成した画像は、染料インクで記録した画像と比較して、色再現領域が狭く、十分な発色性が得られているとは言えなかった。このため、堅牢性に優れる色材である顔料を使用したインクであっても、色再現領域を広げることが強く要求されている。例えば、上記基本3原色のインクの他に、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレットなど、基本3原色以外の色相を有する色材を用いたいわゆる特色インクを追加し、色再現領域の拡大を目的とした提案がなされている(特許文献1及び2参照)。また、レッドインクで記録される色再現領域の彩度を高めるために、顔料としてC.I.ピグメントレッド254を用いたインクや該インクを含むインクセットに関する提案がある(特許文献3及び4参照)。
【0004】
また、光沢性に関しては、顔料は粒子の形状を有するため、顔料インクを用いて光沢を有する記録媒体などに記録した場合に得られる画像の光沢性は未だに十分なレベルとは言えない。これは、以下のような理由によるものである。インクジェット記録方法に使用する顔料インクには、通常、インク中において分散している状態の平均粒子径が100nm程度である顔料を含有させる。光沢を有する記録媒体にこのようなインクを付与すると、粒子径を有さないため記録媒体に浸透する染料とは異なり、顔料は記録媒体のインク受容層の細孔に浸透しづらいため、記録媒体の表面やその近傍に定着する。このため、光沢を有する記録媒体において、インクが付与された領域では、インクが付与されていない領域と比較して平滑性が相対的に低下し、光沢性が低下するのである。このため、記録媒体の表面に形成されたインクのドットの平滑性を高めることで画像の光沢性を向上させることを目的として、インクに1,2−アルカンジオールを含有させることに関する提案がある(特許文献5参照)。
【特許文献1】国際公開第99/05230号パンフレット
【特許文献2】特開2000−248217号公報
【特許文献3】特開2004−155830号公報
【特許文献4】特開2007−119708号公報
【特許文献5】特開2005−194500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、好ましいレッドの色相を有する顔料であるC.I.ピグメントレッド254に着目した。そして、該顔料を含有する、レッドのインクを用いて得られる画像の光沢性を従来のレベルよりもはるかに向上したレベルとするための検討を行った。具体的には、前記顔料と1,2−アルカンジオールとを共に含有するインクについて検討を行った。その結果、前記顔料と1,2−アルカンジオールを併用することにより、併用しない場合と比較して、得られる画像の光沢性はある程度向上することが確認された。しかし、記録媒体へのインクの付与量が多くなるほど、すなわち、複数のドットが重なれば重なるほど画像の光沢性は低下し、優れた光沢性のレベルには依然として達しないことがわかった。つまり、前記顔料は、従来、画像の光沢性を向上するとされている1,2−アルカンジオールとを単純に併用しても、十分なレベルの光沢性を有する画像が得られるようなインクとはならないことがわかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来のインクと比較してはるかに優れた光沢性を有する画像を形成することができる、インクジェット用にも好適に適用可能な、レッドのインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクは、少なくとも顔料として、C.I.ピグメントレッド254を含有するインクであって、さらに、1,2−アルカンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のインクと比較してはるかに優れた光沢性を有する画像を形成することができる、インクジェット用にも好適に適用可能な、レッドのインクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載において、C.I.ピグメントレッド254のことを単に「顔料」と呼ぶことがある。
【0014】
本発明は、C.I.ピグメントレッド254及び1,2−アルカンジオールを含有するインクにおいて生じる上記の技術課題を解決するためになされたものである。本発明者らは上記技術課題に対して、C.I.ピグメントレッド254及び1,2−アルカンジオールを含有するインクに、各種の化合物を添加することで得られる画像の光沢性のレベルについて検討を行った。その結果、C.I.ピグメントレッド254及び1,2−アルカンジオールを含有するインクに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加することで、画像の光沢性が特に顕著に向上することがわかった。ポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用することで、画像の光沢性が向上するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
【0015】
先にも述べたように、画像の光沢性が十分に得られないのは、画像の表面の平滑性が低いためである。したがって、画像の光沢性を向上させるためには、複数のドットが重なるような領域においても、ドット(画像)が高い平滑性を有すればよいと言える。また、ドットが高い平滑性を有すれば、記録媒体における非記録部分と画像の部分とにおいても段差が認識されにくくなり、記録媒体の全領域に渡って均一な光沢性を呈するようになる。
【0016】
ここで、ドットの平滑性を高めるためには、以下のようにすればよい。すなわち、記録ヘッドから吐出された液滴の状態のインクが記録媒体に付着してインクのドットが形成される際に、インク中の水性媒体などの液体成分が記録媒体に吸収される以前に、記録媒体の表面において該ドットが速やかに濡れ拡がるようにすればよい。つまり、記録媒体の表面において濡れ広がりやすいようなインクは、濡れ広がりにくいインクに比べて、形成されるドットの高さを抑えることができるのである。このようにして、記録媒体の非記録部分とドットが形成された部分(画像の部分)の段差が抑えられるため、濡れ広がり性が大きいインクは、濡れ広がり性が小さいインクに比べて、光沢性が顕著に向上する。
【0017】
1,2−アルカンジオールは、記録ヘッドからインクが吐出された直後、すなわち液滴が形成された際に速やかに液滴の界面張力を低下させる作用がある。このため、1,2−アルカンジオールを含有するインクは、記録媒体の表面においてインクが濡れ広がりやすく、ある程度画像の光沢性を向上することができると考えられる。
【0018】
画像品位をより向上させるためにインクジェット記録方法において近年多用されるいわゆる多パス記録では、得られる画像の光沢性が低下しやすいという課題がある。この多パス記録とは、記録ヘッドを主走査方向に2回以上走査させることによって単位領域の画像を記録する方法であり、記録媒体の単位領域に対して、記録ヘッドのn回の走査によって画像を形成する画像形成方法がnパス記録(nは1以上)である。上記の単位領域とは、解像度に対応した1画素や1回の記録ヘッドの走査で形成される画像の領域である1バンドなどのことであり、種々の領域として設定することができる。
【0019】
多パス記録を行う場合、先の記録パスで形成されたドットが記録媒体に定着し終わった後に、それに続く記録パスでドットが形成されることになり、これらのドットはその少なくとも端部が重なることが多い。このため、多パス記録を行う場合は、複数のドット間に段差が生じることで、ドットの平滑性がより低くなり、光沢性が低下しやすい。したがって、多パス記録を行うような場合にも、画像の光沢性を高いレベルで得るためには、先の記録パスで形成されたドットとその上に形成されるドット、すなわち後の記録パスで付与されるドットとの相溶性を考慮する必要がある。例えば、先に形成されたドット、つまり、記録媒体にほぼ定着しているようなドットの上に後から付与されるインク滴が相溶性を有するようにすれば、複数のドット間における段差を抑えることができ、平滑性が高くなるため、光沢性の向上が期待できる。
【0020】
上記のような技術思想に基づいて本発明者らが検討を行った結果、本発明で使用するC.I.ピグメントレッド254及び1,2−アルカンジオールを含有するインクに、さらにポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有させるというインクの構成に至った。かかる構成のインクによれば、先に形成されたドットが記録媒体に定着するまでの時間を若干長くすることが可能となる。このため、先に形成されたドットとその上に付与されるインク滴との相溶性を向上させることで、複数のドット間における段差が抑制され、平滑性が高くなり、光沢性が顕著に向上すると考えられる。
【0021】
<インク>
以下、本発明のインクを構成する成分などについて詳細に説明する。
【0022】
(顔料:C.I.ピグメントレッド254)
本発明のインクに使用する顔料は、C.I.ピグメントレッド254である。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。インクを構成する水性媒体中への顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散型顔料)や、顔料粒子の表面の少なくとも一部を樹脂などにより被覆したマイクロカプセル型顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
〔樹脂分散型顔料〕
分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料を使用する場合、樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体に分散させることができるものが好ましい。分散剤として使用することができる樹脂としては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体、又はこれらの塩など。
【0024】
本発明においては、分散剤として使用する樹脂は、その酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のものを用いることが好ましい。また、その重量平均分子量が、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下の樹脂を用いることが好ましい。また、インク中の樹脂の含有量は、インク中における顔料の含有量に対して、質量比率で、0.1倍以上3.0倍以下であること、すなわち、樹脂の含有量/顔料の含有量=0.1以上3.0以下であることが好ましい。なお、この場合の樹脂及び顔料の含有量の値は、インク全質量を基準とした場合における各成分の含有量のことである。
【0025】
〔自己分散型顔料〕
顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料を使用する場合、親水性基としてはアニオン性基などのイオン性基を用いることが好ましい。自己分散型顔料は、分散剤を使用することなく顔料を水性媒体中に分散させることができるものである。このような自己分散型顔料としては、顔料粒子の表面にアニオン性基などのイオン性基を結合させたアニオン性顔料が挙げられる。前記イオン性基としては、具体的には、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−POなどが挙げられる。上記式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、Rは炭素原子数1乃至12のアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のナフチル基である。上記アニオン性基において「M」として表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb、及びCsなどが挙げられる。また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウムなどが挙げられる。
【0026】
〔樹脂結合型の自己分散型顔料〕
顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料を使用する場合、顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して化学的に結合させた官能基と、イオン性モノマー及び疎水性モノマーの共重合体と、の反応物を含むものを用いることが好ましい。このような樹脂結合型の自己分散型顔料も、分散剤を使用することなく顔料を水性媒体中に分散させることができるものである。
【0027】
〔マイクロカプセル型顔料〕
顔料粒子の表面の少なくとも一部を樹脂などにより被覆したマイクロカプセル型顔料を使用する場合、顔料をマイクロカプセル化する方法としては、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などの従来公知の方法を利用することができる。具体的には、例えば、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法、酸析法、転相乳化法などが挙げられる。顔料粒子の表面を被覆する物質としては、有機高分子化合物などの樹脂を使用することが好ましい。
【0028】
<1,2−アルカンジオール>
本発明のインクは、1,2−アルカンジオールを含有することが必要である。1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオールなどが挙げられる。インク中の1,2−アルカンジオールの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明のインクに用いる1,2−アルカンジオールは、アルキル基の炭素数が5乃至8であることが好ましい。具体的には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。炭素数が5未満であると画像の光沢性を向上する効果が小さくなる場合があり、炭素数が8を越えるとほとんど水に溶解せず、水に溶解させるためには何らかの共溶媒が必要となる場合がある。
【0030】
<ポリオキシエチレンアルキルエーテル>
本発明のインクは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することが必要である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、下記式で表される構造を有するものである。インク中のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下、さらには0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
【0031】
【数1】

【0032】
(上記式中、Rはアルキル基、nは整数である。)
本発明のインクに使用するポリオキシエチレンアルキルエーテルは、その疎水基である上記式中のR(アルキル基)の炭素数が界面活性能を有するような範囲、例えば、炭素数が12乃至22であればよい。具体的には、例えば、ラウリル基(12)、セチル基(16)、ステアリル基(18)、オレイル基(18)、ベヘニル基(22)などが挙げられる(括弧内の数値はアルキル基の炭素数である)。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水部である上記式中のn、すなわちエチレンオキサイド基の数は10以上、また、40以下であることが好ましい。
【0033】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリフィン法により求められるHLB値が13以上20以下であるものを用いることが好ましい。HLB値が13未満であるとドットの定着を緩和する作用が小さくなり、光沢性を向上する効果が十分に得られない場合がある。なお、HLB値の上限は後述する通り20であり、本発明で使用できるポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値の上限も20以下である。
【0034】
ここで、グリフィン法について説明する。グリフィン法によるHLB値は、界面活性剤の親水基の式量と分子量から下記式(1)により求めることができる。グリフィン法によるHLB値は界面活性剤の親水性や親油性の程度を示すものであり、0から20の値を取る。このHLB値が低いほど界面活性剤の親油性すなわち疎水性が高くなり、逆に、HLB値が高いほど界面活性剤の親水性が高くなる。
【0035】
【数2】

【0036】
(水性媒体)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
【0037】
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、以下に挙げるようなものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、以下の水溶性有機溶剤を用いることができる。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルカノール類。1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオールなどの上記で挙げた1,2−アルカンジオール以外のアルカンジオール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレングリコール類。グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体などの多価アルコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。平均分子量200乃至1,000の、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。
【0038】
水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
【0039】
(その他の成分)
インクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。また、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
【0040】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行う本発明のインクジェット記録方法に用いる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
【0041】
<インクカートリッジ>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジとしては、かかるインクを収容するインク収容部を備えた本発明のインクカートリッジが挙げられる。
【0042】
<記録ユニット>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットとしては、かかるインクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた本発明の記録ユニットが挙げられる。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインクを吐出する記録ユニットを好ましく用いることができる。特に、本発明においては、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを用いることが好ましい。前記発熱部接液面を構成する金属及び/又は金属酸化物は、具体的には、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。
【0043】
<インクジェット記録装置>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクジェット記録装置としては、かかるインクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた本発明のインクジェット記録装置が挙げられる。特に、前記インクを収容するインク収容部を有する記録ヘッドの内部のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを作用することによりインクを吐出するインクジェット記録装置が挙げられる。
【0044】
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。インクジェット記録装置は、各機構の役割から、給紙部、搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部、及びこれらを保護し、意匠性を持たせる外装部などで構成される。
【0045】
図1は、インクジェット記録装置の斜視図である。また、図2及び図3は、インクジェット記録装置の内部機構を説明する図であり、図2は右上部からの斜視図、図3はインクジェット記録装置の側断面図をそれぞれ示す。
【0046】
給紙を行う際には、給紙トレイM2060を含む給紙部において、記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に搬送された記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に搬送される。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転し、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
【0047】
記録媒体に画像を形成する際には、キャリッジ部は、記録ヘッドH1001(図4;詳細な構成は後述する)を目的の画像を形成する位置に配置して、電気基板E0014からの信号にしたがって記録媒体にインクを吐出する。記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体を行方向に搬送する副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。画像が形成された記録媒体は、排紙部において、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれた状態で搬送されて、排紙トレイM3160に排出される。
【0048】
なお、クリーニング部は、画像を形成する前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする。キャップM5010で記録ヘッドH1001の吐出口をキャッピングした状態で、ポンプM5000を作動すると、記録ヘッドH1001の吐出口から不要なインクなどが吸引されるようになっている。また、キャップM5010を開いた状態で、キャップM5010の内部に残っているインクなどを吸引することにより、残インクによる固着やその他の弊害が起こらないようになっている。
【0049】
(記録ヘッドの構成)
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。図4は、ヘッドカートリッジH1000の構成を示した図であり、また、ヘッドカートリッジH1000に、インクカートリッジH1900を装着する様子を示した図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
【0050】
インクジェット記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びレッドの各インクで画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7色分が独立に用意されている。なお、上記において、少なくともひとつのインクに、本発明のインクを用いる。そして、図4に示すように、それぞれのインクカートリッジH1900が、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱可能となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000を搭載した状態でも行うことができる。
【0051】
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録素子基板、プレート、電気配線基板H1300、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などで構成される。記録素子基板は第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101で構成され、プレートは第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400で構成される。
【0052】
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAlなどの電気配線は成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路はフォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
【0053】
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明する正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下、ノズル列ともいう)である。第1の記録素子基板H1100には、イエローインクのノズル列H2000、マゼンタインクのノズル列H2100、及びシアンインクのノズル列H2200の3色分のノズル列が形成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクのノズル列H2300、ブラックインクのノズル列H2400、レッドインクのノズル列H2500、及び淡マゼンタインクのノズル列H2600の4色分のノズル列が形成されている。各ノズル列は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に所定の間隔で並ぶ複数個のノズルによって構成されている。ノズルの数はインクの種類ごとに同じであっても、異なっていてもよい。
【0054】
以下、図4及び図5を参照して説明する。第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されている。ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されている。この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持する。
【0055】
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加する。この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有する。外部信号入力端子H1301は、カートリッジホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0056】
インクカートリッジH1900を保持するカートリッジホルダーH1500には、流路形成部材H1600が、例えば、超音波溶着により固定され、インクカートリッジH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成する。インクカートリッジH1900と係合するインク流路H1501のインクカートリッジ側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクカートリッジH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0057】
さらに、上記したように、カートリッジホルダー部と記録ヘッド部H1001とを接着などで結合することで、ヘッドカートリッジH1000が構成される。なお、カートリッジホルダー部は、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、及びシールゴムH1800から構成される。また、記録ヘッド部H1001は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される。
【0058】
なお、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じた膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うサーマルインクジェット方式の記録ヘッドについて述べた。この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂、オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用することができる。
【0059】
サーマルインクジェット方式は、オンデマンド型に適用することが特に有効である。オンデマンド型の場合には、インクを保持する液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。このことによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、インクに膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できる。この気泡の成長及び収縮により吐出口を介してインクを吐出することで、少なくともひとつの滴を形成する。駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長及び収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。
【0060】
また、本発明のインクは、前記のサーマルインクジェット方式に限らず、下記に述べるような、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置においても好ましく用いることができる。かかる形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備えてなる。そして、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクをノズルから吐出する。
【0061】
インクジェット記録装置は、上記したように、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。さらに、インクカートリッジは、記録ヘッドに対して分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもの、また、インクジェット記録装置の固定部位に設けられて、チューブなどのインク供給部材を介して記録ヘッドにインクを供給するものでもよい。また、記録ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクカートリッジに設ける場合には、以下の構成とすることができる。すなわち、インクカートリッジのインク収容部に吸収体を配置した形態、又は可撓性のインク収容袋とこれに対してその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などとすることができる。また、インクジェット記録装置は、上記したようなシリアル型の記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態を採るものであってもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
【0063】
<顔料分散液の調製>
顔料(C.I.ピグメントレッド254)10部、分散剤20部、及びイオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。前記分散剤としては、酸価210mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られたものを用いた。遠心分離処理によって粗大粒子を除去し後、さらに、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、顔料の含有量が10%、樹脂(分散剤)の含有量が20%である顔料分散液を得た。
【0064】
<インクの調製>
下記表1に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、実施例及び比較例の各インクをそれぞれ調製した。なお、下記表1中、EMALEX 709及び712、並びにNIKKOL BC−40TXはいずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、これらのアルキル基(R)、エチレンオキサイド基の数(n)、及びHLB値はそれぞれ以下の通りである。
EMALEX 709:R=ラウリル基、n=9、HLB値=12(日本エマルジョン製)
EMALEX 712:R=ラウリル基、n=12、HLB値=13(日本エマルジョン製)
NIKKOL BC−40TX:R=セチル基、n=40、HLB値=20(日光ケミカルズ製)
【0065】
【表1】

【0066】
<評価>
上記で得られた実施例及び比較例の各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS 990i;キヤノン製)のマゼンタインクのポジションに装着した。そして、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に、記録デューティを50%及び150%としたベタ画像をそれぞれ記録した。得られた記録物の各記録デューティの画像について、マイクロヘイズメータープラス(BYKガードナー製)を用いて、画像の部分の20°光沢度を測定し、光沢性の評価を行った。光沢性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表2に示す。
AA:20°光沢度が80以上であった
A:20°光沢度が60以上80未満であった
B:20°光沢度が60未満であった
【0067】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】インクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の断面図である。
【図4】ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。
【図5】ヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図6】ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
【符号の説明】
【0069】
M2041 分離ローラ
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 カートリッジホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクカートリッジ
H2000 イエローノズル列
H2100 マゼンタノズル列
H2200 シアンノズル列
H2300 淡シアンノズル列
H2400 ブラックノズル列
H2500 レッドノズル列
H2600 淡マゼンタノズル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料として、C.I.ピグメントレッド254を含有するインクであって、
さらに、1,2−アルカンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することを特徴とするインク。
【請求項2】
前記1,2−アルカンジオールが、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値が、13以上20以下である請求項1又は2に記載のインク。
【請求項4】
インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項5】
インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項6】
インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とする記録ユニット。
【請求項7】
インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−121034(P2010−121034A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295794(P2008−295794)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】