説明

インクカートリッジ及びインクカートリッジセット

【課題】個人向けのインクジェット記録装置において小型化に貢献し、ビジネス向けのインクジェット記録装置においては標準容量と大容量とが選択的に装着可能であり、個人向け及びビジネス向けの両方においてカートリッジ装着部が共通化され、かつ、外観によって容量の区別が容易なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】第1カートリッジ30は、インク供給部37が配置された前壁40及び前壁40から隔てられた位置に対向して配置された後壁42を有し、前壁40と後壁42との間にインクを貯留するインク室36が設けられた本体30と、前壁40から後壁42と反対側へ向かって延びる第2突起46とを具備する。第2突起46は長さL1を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジを一方向へ付勢する付勢部材と、インクカートリッジと係合する係合部材と、を備えた記録装置に装着可能なインクカートリッジ及びインクカートリッジセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるチューブ供給方式のインクジェット記録装置では、インクカートリッジが、記録ヘッドを搭載するキャリッジの外部に配置されており、このインクカートリッジと記録ヘッドとがチューブを介して接続されている。このインクカートリッジは、装置本体の正面に開口を有するカートリッジ装着部に対して、開口を介して水平方向へ装着される(特許文献1参照)。このカートリッジ装着部は、インクカートリッジを着脱可能に収容する。カートリッジ装着部にインクカートリッジが装着されると、インクカートリッジから記録ヘッドに至るインク通路が形成される。このインク通路を通じてインクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給される。
【0003】
インクカートリッジは、容器本体とカバー部材との間に配置されるコイルバネにより構成されている。カートリッジ装着部に対してインクカートリッジを装着すると、溶基本対とカバー部材との間に配置されるコイルバネにより、容器本体が開口側に付勢された状態ロックアームがコイルバネの付勢力に抗して静止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−132098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述されたような構造において、ロックアームが解除されてインクカートリッジが開口へ移動されたときに、インクカートリッジの停止位置を異ならせるにはコイルバネのバネ定数を異なることとなる。しかしながら、コイルバネのバネ定数を大きくすると、容器本体に付与される付勢力やロックアームへの負荷がおおきくなり、場合によっては、カートリッジ装着部やインクカートリッジが破損するおそれがある。また、例えば、個人向けのインクジェット記録装置においては、大容量のインクカートリッジが装着可能でなくてもよいが、カートリッジ装着部がビジネス向けのインクジェット記録装置と共通化されると、カートリッジ装着部の内部空間におけるデッドスペースが、個人向けのインクジェット記録装置の小型化、特に幅方向の小型化に対して阻害要因となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カートリッジ装着部から取り出しが容易なインクカートリッジ、又は外観によって容量の区別が容易なインクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、インクカートリッジを一方向へ付勢する付勢部材を備えた記録装置に装着可能なインクカートリッジであって、内部と外部とを連通する連通部を有する第1壁及び当該第1壁から隔てられた位置に対向して配置された第2壁を有し、当該第1壁と当該第2壁との間にインクを貯留するインク室が設けられた本体と、上記付勢部材によって付勢される第1方向と直交する第2方向における上端側又は下端側の少なくとも一方において、上記第1壁側から上記第2壁と反対側へ向かって延びる突起と、を具備してなり、上記突起における上記第1方向に沿った長さが、第1長さ又は第2長さである。
【0008】
突起において装着方向である第1方向の長さを変更することにより、カートリッジ装着部を共用した場合に、いずれのカートリッジ装着部へインクカートリッジを装着した場合でも、デッドスペースが生じることがない。また、突起の第1方向に沿った長さが第1長さ又は第2長さによって、インクカートリッジの種類(容量)の区別が外観上容易である。また、突起が第1長さ又は第2長さであるかにかかわらず、第1壁における連通部の位置が一定に設計され得る。第1壁と第2壁とは、付勢部材によって付勢される第1方向へ離間されている。これにより、第1方向と直交する方向のインクカートリッジの幅が変化されることなく、インク室の容量が変更されることも可能である。
【0009】
(2) 上記突起の上記第1方向に沿った長さに拘わらず、上記第1壁と上記第2壁との距離が一定であってもよい。
【0010】
一定距離だけ離間された第1壁と第2壁との間に容量の異なるインク室が設けられてもよいし、容量の同じインク室に異なる量のインクが充填されてもよい。カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジは、付勢部材によって開口側へ付勢される。このとき、付勢されたインクカートリッジは、開口側へ移動する。第1壁と第2壁との距離が一定であり、かつ突起の長さが第1長さ又は第2長さが選択されることによって、開口側へ移動されたインクカートリッジの停止位置が付勢方向に対して異なる。例えば、隣り合うインクカートリッジの双方が共に開口側へ移動されて、各インクカートリッジが並んだ状態で上記停止位置に配置された状態であっても、隣り合うインクカートリッジの停止位置が異ならせることも可能であり、ユーザはインクカートリッジの第2壁側を容易に摘み持つことができる。
【0011】
(3) 上記突起の第1長さ及び第2長さは、上記本体における上記第2壁側の当該インクカートリッジの外形状に対応したものであってもよい。
【0012】
本体の第2壁側は、付勢方向の前側(挿入方向の後側)となる。この付勢方向の前側はユーザによって視認しやすい。一方、突起は、付勢方向の後側(挿入方向の前側)となる。第2壁側の外形状によって、ユーザが突起の長さを容易に判別できる。
【0013】
(4) 上記本体における上記第2壁側の当該インクカートリッジの外壁における上記第2方向の長さが、インク室に充填されるインクの初期容量に対応した第3長さ又は第4長さであってもよい。
【0014】
これにより、第1壁と第2壁との間隔を一定とし、かつ突起の長さに対応して第2壁側の外形状を異ならせることができる。
【0015】
(5) 上記第1壁の上端と上記第2壁との上端とを連結する一対の壁のいずれか一方の外面に、上記付勢部材の付勢力を受ける受け部が設けられていてもよい。
【0016】
第1壁の上端と第2壁との上端とを連結する一対の壁の外面は、突起の長さにかかわらず一定形状とすることができるので、受け部を一定の位置とすることができる。
【0017】
(6) 本発明は、第1壁と当該第1壁から隔てられて配置された第2壁との間に、インクを貯留するインク室が配置された本体と、上記第1壁側に配置されて上記インク室と外部とを連通する連通部と、上記本体の第1壁側から上記インク室から離れる向きへ延びる突起と、を具備するインクカートリッジを少なくとも2つ備えたインクカートリッジセットであって、上記突起が延びる長さが第1長さである第1カートリッジと、上記突起が伸びる長さが第2長さである第2カートリッジと、を含むものとして捉えられてもよい。
【0018】
これにより、突起の第1方向に沿った長さが第1長さ又は第2長さによって、第1インクカートリッジと第2カートリッジとを外観によって容易に区別することができる。また、突起が第1長さ又は第2長さであるかにかかわらず、第1壁における連通部の位置が一定に設計され得る。
【0019】
(7) 上記第2カートリッジにおける上記第2壁の上端と下端との上記第2方向に沿った第2距離が、上記第1カートリッジにおける上記第2壁の上端と下端との上記第2方向に沿った第1距離に比べて短くてもよい。
【0020】
第2カートリッジの第2壁側は、付勢される向きの前側(挿入方向の後側)となる。この付勢される向きの前側はユーザによって視認しやすい。一方、突起は、付勢される向きの後側(挿入方向の前側)となる。第2壁側の外形状によって、ユーザが第2カートリッジを容易に判別できる。なお、第1カートリッジと第2カートリッジとは相対的な概念なので、第1カートリッジと第2カートリッジとが入れ替わっても、本発明の作用効果が奏される。
【0021】
(8) 上記第2カートリッジにおける上記上端側及び上記下端側に各々配置された上記第2カートリッジの各外面を少なくとも含んで把持部が構成されていてもよい。
【0022】
これにより、第2カートリッジの取り出しが容易である。
【0023】
(9) 上記第1カートリッジにおける上記第1壁の上端と下端との第3距離が上記第1距離と等しく、かつ上記第1壁の上端と連絡する上面及び上記第1壁の下端と連絡する下面が、いずれも上記第1壁及び上記第2壁に対して直交するように配置されてもよい。
【0024】
これにより、第1カートリッジの本体が直方体形状となり、インク室の容量を増加させることが容易である。
【0025】
(10) 上記第1カートリッジ又は上記第2カートリッジを一方向へ付勢する付勢部材と、上記第1カートリッジ又は上記第2カートリッジと係合する係合部材とを備えた記録装置に装着可能であってもよい。
【0026】
付勢部材によって付勢された状態において、係合部材と係合されることによって、第1カートリッジ又は第2カートリッジが記録装置に装着される。係合部材との係合が解除されると、付勢部材に付勢された第1カートリッジ又は第2カートリッジが記録装置から飛び出る向きへ移動される。
【0027】
(11) 上記第1カートリッジ又は上記第2カートリッジの装着姿勢において、上記突起が、上記連通部の下方に配置されていてもよい。
【0028】
(12) 上記突起が、その先端が上記連通部の先端より上記インク室から離れた位置となるように延出されていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、インクカートリッジの外観によって容量の区別がユーザに容易となり得る。また、インクジェット記録装置の小型化に貢献することも可能である。また、隣り合うインクカートリッジの停止位置を異ならせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインク供給装置100を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、第1カートリッジ30の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1カートリッジ30の構成を示す側面図である。
【図4】図4は、第1カートリッジ30の構成を示す側面図である。
【図5】図5は、第2カートリッジ60の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、第2カートリッジ60の構成を示す側面図である。
【図7】図7は、第2カートリッジ60の構成を示す側面図である。
【図8】図8は、第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を示す断面図である。
【図9】図9は、第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外される過程を示す断面図である。
【図10】図10は、第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外される過程を示す断面図である。
【図11】図11は、第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110に装着された状態を示す断面図である。
【図12】図12は、第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110から取り外される過程を示す断面図である。
【図13】図13は、第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110から取り外される過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0032】
[プリンタ10の概要]
プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。図1に示されるように、プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60が選択的に装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。
【0033】
第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21の近傍にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0034】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0035】
前述された構造のプリンタ10が、本発明における記録装置に相当する。なお、本実施形態に係るプリンタ10の構成は、本発明における記録装置の一態様に過ぎず、その他の公知の構成のインクジェットプリンタの構成が採用されてもよい。
【0036】
[第1カートリッジ30]
図2から図4に示されるように、第1カートリッジ30はインクが貯留される容器である。第1カートリッジ30の内部空間がインク室36である。第1カートリッジ30は、図3に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「着脱方向50」と称する。)に沿って着脱される。第1カートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に着脱される。着脱方向50が、本発明における第1方向に相当する。
【0037】
第1カートリッジ30は、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、幅方向51に細く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる本体31の壁が前壁40であり、後方側となる本体31の壁が後壁42である。前壁40と後壁42とは、着脱方向50において対向している。前壁40が本発明の第1壁に相当し、後壁42が本発明の第2壁に相当する。高さ方向52が、本発明における第2方向に相当する。
【0038】
本体31は、インク室36を構成する内部容器35と、内部容器35を覆うカバー部材34とから構成されている。本実施形態においては、前壁40及び後壁42は、カバー部材34により構成されている。内部容器35の内部空間であるインク室36は、前壁40及び後壁42の近傍に渡って存在している。
【0039】
なお、本発明における本体は、カバー部材34及び内部容器35に分かれて構成されている必要はなく、一体の成型品などとして構成されていてもよい。具体的には、容器本体を光遮断性の樹脂を用いて挿入方向前方側を開口した箱形状に形成する。この内部をインク室36とし、開口には、光透過性の樹脂からなる蓋を取り付ける。この蓋を前壁とする。前壁には、残量検知部33、インク供給部37が一体に形成されている。また、前壁には、第1突起45及び第2突起46を取り付け可能な構成である。
【0040】
本体31の前壁40における高さ方向52の中央付近には、残量検知部33が設けられている。各図には現れていないが、残量検知部33は、光センサ114から出射された赤外光を透過させる透光性の樹脂からなる一対の壁を含むインク室36に通ずるように、一方が開口である箱形である。第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられた光センサ114に対して、残量検知部33が赤外光を透過させる状態と、残量検知部33が赤外光を遮光又は減衰させる状態とがある。この残量検知部33の状態に応じて、インク室36内のインク残量が所定量未満になったことが判定される。なお、残量検知部33において公知の検出子が設けられてもよいし、インク残量の判定手法としては、公知の手段が採用されればよい。また、光センサ114が赤外光を出射する壁面は垂直であっても傾斜していてもよい。
【0041】
本体31の前壁40における残量検知部33の上側に、大気連通口32が設けられている。大気連通口32は、前壁40を奥行き方向53へ貫通する貫通孔である。大気連通口32を介してインク室36の空気層と大気とが連通され得る。各図には現れていないが、大気連通口32は、バルブなどによって開閉可能に構成されている。大気連通口32が開かれることによって、インク室36の気圧が大気圧となる。この大気連通口32は、必ずしも前壁40に設けられる必要はなく、インク室36の内部と外部とを連通させるものであれば配置は限定されない。また、インク室36内が負圧に維持されるのであれば、大気連通口32は必ずしも設けられなくてもよい。
【0042】
本体31の前壁40における残量検知部33の下側に、インク供給部37が設けられている。インク供給部37は、円筒形状の外形をなしており、前壁40から着脱方向50に沿って外側へ突出している。インク供給部37の中心部に、着脱方向50に延びるインク流路38が形成されている。インク流路38を通ってインク室36からインクニードル122へインクが流出される。インク供給部37が、本発明における連通部に相当する。
【0043】
本体31の上壁39における後壁42側は、前壁40側に対して低くなっており、この段差によって垂直壁43が形成されている。垂直壁43は、第1カートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる平面である。垂直壁43には、第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述されるロックレバー145が係合する。この垂直壁43は、第1カートリッジ30を外側に押し出させる付勢力を受けるものであり、本発明における受け部に相当する。
【0044】
本体31には、第1突起45及び第2突起46が設けられている。第1突起45は、本体31の前壁40の上端に設けられている。第1突起45の幅は、前壁40の幅と同じである。第1突起45は、前壁40から着脱方向50に沿って後壁42とは反対側へ延出されている。この第1突起45は、前壁40の幅と同幅であるが、前壁40の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。
【0045】
第2突起46は、本体31の前壁40の下端に設けられている。したがって、第2突起46は、インク供給部37の下方に配置されている。第2突起46の幅は、前壁40の幅と同じである。第2突起46は、前壁40から着脱方向50に沿って後壁42とは反対側へ延出されている。第2突起46の先端は、インク供給部37の先端よりインク室36から離れた位置まで延出されている。第2突起46は、前壁40から着脱方向50へ沿って長さL1だけ突出している。この長さL1は、インク室36に充填されるインクの初期容量に対応した長さである。つまり、第2突起46は、インクの初期容量によって着脱方向50に沿った長さが異なる。本実施形態では、第1カートリッジ30は、大容量のインクカートリッジであり、標準容量の第2カートリッジ60より多くのインクがインク室36に充填される。この長さL1が、本発明における第1長さに相当する。この第2突起45は、前壁40の幅と同幅であるが、前壁40の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。
【0046】
第2突起46の長さL1は、本体31における後壁42側の外形状に対応している。本体31は、側面視(図3)において直方体である。後壁42は、高さ方向52に沿った長さL3を有する。この長さL3は、インクの初期容量に対応している。この長さL3が、本発明における第3長さ及び第1距離に相当する。
【0047】
本体31は、前壁40と後壁42との着脱方向50に沿った長さL5を有する。この長さL5は、第2突起46の長さL1に拘わらず一定である。また、本体31の前壁40の高さ、つまり、上壁39と下壁41との距離(長さ)L7は、長さL3とほぼ等しい。上壁39と下壁41との距離L7が、本発明における第3距離に相当する。
【0048】
[第2カートリッジ60]
図5から図7に示されるように、第2カートリッジ60はインクが貯留される容器である。第2カートリッジ60の内部空間がインク室66である。第2カートリッジ60は、図5に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して着脱方向50に沿って着脱される。第2カートリッジ60は、起立状態のままカートリッジ装着部110に着脱される。
【0049】
第2カートリッジ60は、略直方体形状の本体61を有する。本体61は、幅方向51に細く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる本体61の壁が前壁70であり、後方側となる本体61の壁が後壁72である。前壁70が本発明の第1壁に相当し、後壁72が本発明の第2壁に相当する。前壁70と後壁72とは、着脱方向50において対向している。
【0050】
本体61は、インク室66を構成する内部容器65と、内部容器65を覆うカバー部材64とから構成されている。本実施形態においては、前壁70及び後壁72は、カバー部材64により構成されている。内部容器65の内部空間であるインク室66は、後壁72とは離間されて配置されている。インク室66は、後壁72から離間されている分だけ、第1カートリッジ30のインク室36と比べて、奥行き方向53の寸法が小さく、かつ、充填可能なインク容量も少ない。
【0051】
なお、本発明における本体は、カバー部材64及び内部容器65に分かれて構成されている必要はなく、一体の成型品などとして構成されていてもよい。具体的には、容器本体を光遮断性の樹脂を用いて挿入方向前方側を開口した箱形状に形成する。この内部をインク室66とし、開口には、光透過性の樹脂からなる蓋を取り付ける。この蓋を前壁とする。前壁には、残量検知部63、インク供給部67が一体に形成されている。また、前壁には、第1突起75及び第2突起76を取り付け可能な構成である。
【0052】
本体61の前壁70における高さ方向52の中央付近には、残量検知部63が設けられている。各図には現れていないが、残量検知部63は、光センサ114から出射された赤外光を透過させる透光性の樹脂からなる一対の壁を含むインク室66に通ずるように、一方が開口である箱形である。第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられた光センサ114に対して、残量検知部63が赤外光を透過させる状態と、残量検知部63が赤外光を遮光又は減衰させる状態とがある。この残量検知部63の状態に応じて、インク室66内のインク残量が所定量未満になったことが判定される。なお、残量検知部63において公知の検出子が設けられてもよいし、インク残量の判定手法としては、公知の手段が採用されればよい。また、光センサ114が赤外光を出射する壁面は垂直であっても傾斜していてもよい。
【0053】
本体61の前壁70における残量検知部63の上側に、大気連通口62が設けられている。大気連通口62は、前壁70を奥行き方向53へ貫通する貫通孔である。大気連通口62を介してインク室66の空気層と大気とが連通され得る。各図には現れていないが、大気連通口62は、バルブなどによって開閉可能に構成されている。大気連通口62が開かれることによって、インク室66の気圧が大気圧となる。この大気連通口62は、必ずしも前壁70に設けられる必要はなく、インク室66の内部と外部とを連通させるものであれば配置は限定されない。また、インク室66内が負圧に維持されるのであれば、大気連通口62は必ずしも設けられなくてもよい。
【0054】
本体61の前壁70における残量検知部63の下側に、インク供給部67が設けられている。インク供給部67は、円筒形状の外形をなしており、前壁70から着脱方向50に沿って外側へ突出している。インク供給部67の中心部に、着脱方向50に延びるインク流路68が形成されている。インク流路68を通ってインク室66からインクニードル122へインクが流出される。インク供給部67が、本発明における連通部に相当する。
【0055】
本体61の上壁69における後壁72側は、前壁70側に対して低くなっており、この段差によって垂直壁73が形成されている。垂直壁73は、第2カートリッジ60の幅方向51及び高さ方向52に拡がる平面である。垂直壁73には、第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述されるロックレバー145が係合する。この垂直壁73は、第2カートリッジ60を外側に押し出させる付勢力を受けるものであり、本発明における受け部に相当する。
【0056】
本体61には、第1突起75及び第2突起76が設けられている。第1突起75は、本体61の前壁70の上端に設けられている。第1突起75の幅は、前壁70の幅と同じである。第1突起75は、前壁70から着脱方向50に沿って後壁72とは反対側へ延出されている。この第1突起75は、前壁70の幅と同幅であるが、前壁70の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。
【0057】
第2突起76は、本体61の前壁70の下端に設けられている。したがって、第2突起76は、インク供給部67の下方に配置されている。第2突起76の幅は、前壁70の幅と同じである。第2突起76は、前壁70から着脱方向50に沿って後壁72とは反対側へ延出されている。第2突起76の先端は、インク供給部67の先端よりインク室66から離れた位置まで延出されている。第2突起76は、前壁70から着脱方向50へ沿って長さL2だけ突出している。この長さL2は、インク室66に充填されるインクの初期容量に対応した長さである。つまり、第2突起76は、インクの初期容量によって着脱方向50に沿った長さが異なる。本実施形態では、第2カートリッジ60は、標準容量のインクカートリッジであり、大容量の第1カートリッジ30より少ないインクがインク室66に充填される。そして、長さL2は、長さL1より長い(長さL1<長さL2)。この長さL2が、本発明における第2長さに相当する。なお、第2突起46,76の長さは、インクの初期容量だけでなく、各インク室36,66に貯留されているインクの色の違いや、染料や顔料などの成分の違い、通常版と廉価版のようにインクカートリッジの価格の違いなどに対応されていてもよい。
【0058】
第2突起76の長さL2は、本体61における後壁72側の外形状に対応している。本体61は、側面視(図6)において、直方体の一部が後壁72の下端側において欠けた形状である。後壁72は、高さ方向52に沿った長さL4を有する。この長さL4は、インクの初期容量に対応している。本実施形態では、長さL4は、第1カートリッジ30の後壁46の長さL3より短い(長さL3>長さL4)。この長さL4が、本発明における第4長さ及び第2距離に相当する。
【0059】
本体61は、前壁70と後壁72との着脱方向50に沿った長さL6を有する。この長さL6は、第2突起76の長さL2に拘わらず一定である。従って、第1カートリッジ30の長さL5と第2カートリッジ60の長さL6とは等しい(長さL5=長さL6)。また、第1カートリッジ30の本体31の幅は、第2カートリッジ60の本体61の幅と等しい。
【0060】
本体61において、後壁72の上端と連続する上壁69と後壁72の下端と連続する下壁71とを連続する側壁77,78によって、把持部74が構成されている。この把持部74は、カートリッジ装着部110から第2カートリッジ60が引き出されるときに、摘み持たれる部分である。
【0061】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、第1カートリッジ30及び第2カートリッジ60を選択的に装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110に第1カートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0062】
[カートリッジ装着部110]
図1及び図8に示されるように、カートリッジ装着部110は、装置の前面側に開口112を有する。開口112を通じてカートリッジ装着部110へ第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60が着脱される。第1カートリッジ30及び第2カートリッジ60は、カートリッジ装着部110の内部空間の底面である支持面108によって水平方向へ移動可能に支持される。
【0063】
カートリッジ装着部110には、光センサ114、ロック機構144、スライド部材135、コイルバネ139及び連結部121などが設けられている。
【0064】
カートリッジ装着部110の内部空間の奥には、光センサ114が設けられている。光センサ114は、残量検知部33において検出子を検知するものである。光センサ114は、光を出射可能な発光ダイオードなどの発光素子と、発光素子から出射された拡散赤外光を受光可能なフォトトランジスタなどの受光素子とにより構成された光透過型のフォトインタラプタである。これら発光素子と受光素子とが図8における紙面前後方向に配置されている。残量検知部33における検出子が光センサ114に検出されているか否かによって、インクの残量が所定量未満になったかどうかが判定される。
【0065】
なお、残量検知部33,63には、検出子がなくてもよい。すなわち、光センサ114は、発光素子と受光素子とが水平方向に対向されている。そして、発光素子から出射された光は受光素子に受光される。そして、残量検知部33,63内にインクがある状態では、発光素子から出射された光が遮断又は減衰され、残量検知部33,63内にインクがない状態では、発光素子から出射された光が透過されるように構成されていてもよい。また、残量検知部33,63内にインクがある状態では、発光素子から出射された光が受光素子に到達しないように反射され、残量検知部33,63内にインクがない状態では、発光素子から出射された光が受光素子に到達するように反射されるように構成されていてもよい。
【0066】
スライド部材135は、カートリッジ装着部110の奥の下端側に形成された空間130に配置されている。空間130は、カートリッジ装着部110の内部空間と連続している。スライド部材135は、空間130において着脱方向50に沿ってスライド可能に支持されている。スライド部材135は、第1カートリッジ30の第2突起46及び第2カートリッジ60の第2突起76の挿入経路に配置されており、第2突起46又は第2突起76と当接可能である。
【0067】
空間130にはコイルバネ139が設けられている。コイルバネ139は、スライド部材135を開口112側、つまり、第2カートリッジ30及び第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110から抜き出される向きへ弾性付勢するものである。コイルバネ139の一端が、空間130の奥壁133に連結されている。コイルバネ139の他端は、スライド部材135に連結されている。コイルバネ139が自然長である場合、つまり、スライド部材135に外力が加えられていない状態では、スライド部材135は、開口112側の所定の位置に配置される(図10参照)。第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、第1カートリッジ30の第2突起46がスライド部材135に当接して奥壁133側へ押圧される。これにより、コイルバネ139が収縮されるとともに、スライド部材135が奥壁133側の位置(図8参照)へスライドされる。スライド部材が奥壁133側へスライドする位置は、第2突起46,76の長さL1,L2に依存する。スライド部材135及びコイルバネ139が、本発明における付勢部材に相当する。
【0068】
カートリッジ装着部110には、ロック機構144が設けられている。ロック機構144は、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60が装着位置に配置された状態で、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60が開口112から飛び出す向き(図8から図13における左向き)へ移動することを規制して、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60を装着位置に保持する。
【0069】
ロック機構144は、大別すると、ロックレバー145と、ロックレバー145に付勢力を付与するコイルバネ148とにより構成されている。ロックレバー145は、図10に示されるアンロック位置と、図8に示されるロック位置との間で回動可能に支持されている。ロックレバー145に外力が加えられていない状態では、ロックレバー145はコイルバネ148によって常にロック位置側へ付勢されている。ロックレバー145の一端に係合端部146が設けられている。ロック機構144は、係合端部146が第1カートリッジ30の垂直壁43又は第2カートリッジ60の垂直壁73と係合することにより、カートリッジ装着部110における第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60のロックが実現される。ロックレバー145が、本発明における係合部材に相当する。
【0070】
カートリッジ装着部110の内部空間の奥には、連結部121が設けられている。連結部121には、管状のインクニードル122(図1参照)が設けられている。インクニードル122は、着脱方向50に沿って延出された管形状の部材である。インクニードル122は、カートリッジ装着部110の背面側においてインクチューブ20と接続されている。カートリッジ装着部110に第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60が装着されると、インクニードル122がインク供給部37のインク流路38又はインク供給部67のインク流路68に挿入されて、インク供給部37又はインク供給部67と連結部121とが連結する。これにより、インク室36又はインク室66からインクニードル122を通じてインクチューブ20へインクが供給される。
【0071】
[第1カートリッジ30の着脱動作]
図8に示されるように、第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、スライド部材135は、第2突起46に押圧されて空間130の奥壁133側へスライドされる。また、スライド部材135のスライドにともなって、コイルバネ139が自然長から収縮される。コイルバネ139が収縮することにより、スライド部材135はスライド部材135から開口112側へ向かう付勢力を受ける。これにより、装着状態の第1カートリッジ30が開口112から飛び出す向きへ弾性付勢される。
【0072】
装着過程において、第1カートリッジ30の垂直壁43が、ロックレバー145の係合端部146より奥側へ挿入され、ロックレバー145の係合端部146が垂直壁43と係合する位置へ回動される。コイルバネ139により弾性付勢された第1カートリッジ30は開口112から飛び出そうとするが、ロックレバー145の係合端部146と垂直壁43とが係合するので、第1カートリッジ30が装着位置に保持される。また、装着位置において、連結部121のインクニードル122が、第1カートリッジ30のインク流路38に挿入されて、インク室36からインクが外部へ供給可能となる。
【0073】
第1カートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される際には、ユーザがロックレバー145における操作部147を押し下げる。これにより、ロックレバー145が反時計方向へ回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動する(図9参照)。ロックレバー145がアンロック位置になると、係合端部146が第1カートリッジ30の垂直壁43よりも上方に配置される。これにより、係合端部146が垂直壁43から離れる。したがって、コイルバネ139からの弾性付勢力を受けて、第1カートリッジ30は、開口112から飛び出す向き(図9における左向き)へ移動する。これにより、連結部121のインクニードル122が、第1カートリッジ30のインク流路38から抜ける。
【0074】
図10に示されるように、コイルバネ139が自然長に復元すると、第1カートリッジ30は更に弾性付勢力を受けることがなく、支持面108等との摩擦によって停止する。このとき、第1カートリッジ30の本体31は、後壁42側の一部が開口112から飛び出した状態となる。第1カートリッジ30の本体31が開口112から飛び出す量は、第2突起46の長さL1と本体31の長さL5に依存する。
【0075】
[第2カートリッジ60の着脱動作]
図11に示されるように、第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110に装着されると、スライド部材135は、第2突起76に押圧されて空間130の奥壁133側へスライドされる。また、スライド部材135のスライドにともなって、コイルバネ139が自然長から収縮される。コイルバネ139が収縮することにより、スライド部材135はスライド部材135から開口112側へ向かう付勢力を受ける。これにより、装着状態の第2カートリッジ60が開口112から飛び出す向きへ弾性付勢される。
【0076】
装着過程において、第2カートリッジ60の垂直壁73が、ロックレバー145の係合端部146より奥側へ挿入され、ロックレバー145の係合端部146が垂直壁73と係合する位置へ回動される。コイルバネ139により弾性付勢された第2カートリッジ60は開口112から飛び出そうとするが、ロックレバー145の係合端部146と垂直壁73とが係合するので、第2カートリッジ60が装着位置に保持される。また、装着位置において、連結部121のインクニードル122が、第2カートリッジ60のインク流路68に挿入されて、インク室66からインクが外部へ供給可能となる。
【0077】
第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110から脱抜される際には、ユーザがロックレバー145における操作部147を押し下げる。これにより、ロックレバー145が反時計方向へ回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動する(図12参照)。ロックレバー145がアンロック位置になると、係合端部146が第2カートリッジ60の垂直壁73よりも上方に配置される。これにより、係合端部146が垂直壁73から離れる。したがって、コイルバネ139からの弾性付勢力を受けて、第2カートリッジ60は、開口112から飛び出す向き(図12における左向き)へ移動する。これにより、連結部121のインクニードル122が、第2カートリッジ60のインク流路68から抜ける。
【0078】
図13に示されるように、コイルバネ139が自然長に復元すると、第2カートリッジ60は更に弾性付勢力を受けることがなく、支持面108等との摩擦によって停止する。このとき、第2カートリッジ20の本体21は、後壁42側の一部が開口112から飛び出した状態となる。第2カートリッジ60の本体61が開口112から飛び出す量は、第2突起76の長さL2と本体61の長さL6に依存する。本体61の長さL6は、第1カートリッジ30の本体31の長さL5と等しいが、第2突起76の長さL2は、第1カートリッジ30の第2突起46の長さL1より長い。したがって、本体61は、第1カートリッジ30の本体31より、長さL2と長さL1の差分だけ開口112から大きく飛び出す。
【0079】
[実施形態の効果]
第2突起46,76の着脱方向50に沿った長さが長さL1又は長さL2が異なることによって、本体31と本体61との形状や寸法が同じにされても、第1カートリッジ30と第2カートリッジ60との区別、つまりインク初期容量の区別が外観上容易である。
【0080】
第2突起46,76の長さL1又は長さL2にかかわらず、カートリッジ装着部110に装着された状態において、前壁40におけるインク供給部37,67の位置が一定に設計され得る。
【0081】
第1カートリッジ30及び第2カートリッジ60において、第2突起46,76以外の構成の大部分が共通化される。また、第1カートリッジ30及び第2カートリッジ60の形状を幅方向51に対して変更せずに、インク室36,66の容量を変化させることができるので、幅広なインクカートリッジを採用する必要がないため、カートリッジ装着部110にデッドスペースを作らずに、プリンタ10を小型化することができる。
【0082】
また、第2突起46,76の長さL1又は長さL2に拘わらず、本体31の前壁40と後壁42と0の長さL5と、本体61の前壁70と後壁72との長さL6と等しいので、第2突起46,76が互いに異なる長さL1又は長さL2であることによって、カートリッジ装着部110から取り外されるときに、開口112側へ移動された第1カートリッジ30と第2カートリッジ60との停止位置が着脱方向50に対して異なる。これにより、第1カートリッジ30と第2カートリッジ60とが隣り合って配置されても、ユーザは第2カートリッジ60の把持部74を容易に摘み持つことができる。
【0083】
また、第2突起46,76の長さL1及び長さL2は、本体31,61における第2壁42,72側の外形状に対応しているので、第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60がカートリッジ装着部110に装着されて、第2突起46,76が視認できない状態においても、後壁42,72側の外形状を視認することによって、容易に第1カートリッジ30又は第2カートリッジ60を判別することができる。
【0084】
また、本体31,61における後壁42,72の長さL3及び長さL4が、インク室36,66に充填されるインクの初期容量に対応しているので、各本体31,61において、長さL5及び長さL6とを等しくして、かつ第2突起46,76の長さに対応して後壁42,72側の外形状を異ならせることができる。
【0085】
また、本体31,61にロックレバー145の被係合部146と係合する垂直壁46,73が設けられているので、上壁39,69の外面が第2突起46,76の長さL1又はL2にかかわらず一定形状とすることができるので、垂直壁46,73を一定の位置とすることができる。
【0086】
また、第2カートリッジ60に把持部74が設けられているので、第2カートリッジ60の取り出しが容易である。
【0087】
また、第1カートリッジ30における上壁39と下壁41との距離は、前壁40側及び後壁42側においてほぼ等しく、かつ上壁39及び下壁41が上壁39及び下壁41に直交する側面視が長方形なので、第1カートリッジ30の本体31が直方体形状となり、インク室36の容量を増加させることが容易である。
【0088】
[変形例]
なお、前述された実施形態においては、第1カートリッジ30の第2突起46の長さL1と第2カートリッジ60の第2突起76の長さL2とが異なるが、第1カートリッジ30の第1突起45の長さと第2カートリッジ60の第1突起75の長さとが異なるように構成されてもよい。そのような実施態様においては、カートリッジ装着部110において、スライド部材135及びコイルバネ139が、第1突起45及び第2突起75と当接可能なように上側に配置されればよい。
【符号の説明】
【0089】
10・・・プリンタ(記録装置)
30・・・第1カートリッジ(インクカートリッジ)
31,61・・・本体
36,66・・・インク室
37,67・・・インク供給部(連通部)
39,69・・・上壁
40,70・・・前壁(第1壁)
42,72・・・後壁(第2壁)
43,73・・・垂直壁(受け部)
46,76・・・第2突起(突起)
60・・・第2カートリッジ(インクカートリッジ)
74・・・把持部
77,78・・・側壁
135・・・スライド部材(付勢部材)
139・・・コイルバネ(付勢部材)
145・・・ロックレバー(係合部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクカートリッジ(30,60)を一方向へ付勢する付勢部材(139)を備えた記録装置に装着可能なインクカートリッジであって、
内部と外部とを連通する連通部(37,67)を有する第1壁(40,70)及び当該第1壁(40,70)から隔てられた位置に対向して配置された第2壁(42,72)を有し、当該第1壁(40,70)と当該第2壁(42,72)との間にインクを貯留するインク室(36,66)が設けられた本体(31,61)と、
上記付勢部材によって付勢される第1方向と直交する第2方向における上端側又は下端側の少なくとも一方において、上記第1壁(40,70)側から上記第2壁(42,72)と反対側へ向かって延びる突起(46,76)と、を具備してなり、
上記突起(46,76)における上記第1方向に沿った長さが、第1長さ(L1)又は第2長さ(L2)であるインクカートリッジ。
【請求項2】
上記突起(46,76)の上記第1方向に沿った長さに拘わらず、上記第1壁(40,70)と上記第2壁(42,72)との距離(L5,L6)が一定である請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
上記突起(46,76)の第1長さ(L1)及び第2長さ(L2)は、上記本体(31,61)における上記第2壁(42,72)側の当該インクカートリッジ(30,60)の外形状に対応したものである請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
上記本体(31,61)における上記第2壁(42,72)側の当該インクカートリッジ(30,60)の外壁における上記第2方向の長さが、上記突起(46,76)の長さに対応した第3長さ(L3)又は第4長さ(L4)である請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
上記第1壁(40,70)の上端と上記第2壁(42,72)との上端とを連結する一対の壁のいずれか一方の外面に、上記付勢部材の付勢力を受ける受け部(43,73)が設けられた請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
第1壁(40,70)と当該第1壁(40,70)から隔てられて配置された第2壁(42,72)との間に、インクを貯留するインク室が配置された本体(31,61)と、
上記第1壁(40,70)側に配置されて上記インク室(36,66)と外部とを連通する連通部(37,67)と、
上記本体(31,61)の第1壁(40,70)側から上記インク室(36,66)から離れる向きへ延びる突起(46,76)と、を具備するインクカートリッジを少なくとも2つ備えたインクカートリッジセット(30,60)であって、
上記突起(46)が延びる長さが第1長さ(L1)である第1カートリッジ(30)と、上記突起(76)が伸びる長さが第2長さ(L2)である第2カートリッジ(60)と、を含むインクカートリッジセット。
【請求項7】
上記第2カートリッジ(60)における上記第2壁(42,72)の上端と下端との上記第2方向に沿った第2距離(L4)が、上記第1カートリッジ(30)における上記第2壁(42,72)の上端と下端との上記第2方向に沿った第1距離(L3)に比べて短い請求項6に記載のインクカートリッジセット。
【請求項8】
上記第2カートリッジ(60)における上記上端側及び上記下端側に各々配置された上記第2カートリッジの各外面を少なくとも含んで把持部(74)が構成されている請求項7に記載のインクカートリッジセット。
【請求項9】
上記第1カートリッジ(30)における上記第1壁(40,70)の上端と下端との第3距離(L7)が上記第1距離(L3)と等しく、かつ上記第1壁(40,70)の上端と連絡する上面(39)及び上記第1壁(40,70)の下端と連絡する下面(41)が、いずれも上記第1壁(40,70)及び上記第2壁(42,72)に対して直交するように配置された請求項6に記載のインクカートリッジセット。
【請求項10】
上記第1カートリッジ(30)又は上記第2カートリッジ(60)を一方向へ付勢する付勢部材(139)と、上記第1カートリッジ(30)又は上記第2カートリッジ(60)と係合する係合部材(145)とを備えた記録装置(10)に装着可能である請求項6から9のいずれかに記載のインクカートリッジセット。
【請求項11】
上記第1カートリッジ(30)又は上記第2カートリッジ(60)の装着姿勢において、上記突起(46,76)が、上記連通部(37,67)の下方に配置された請求項6から10のいずれかに記載のインクカートリッジセット。
【請求項12】
上記突起(46,76)が、その先端が上記連通部(37,67)の先端より上記インク室(36,66)から離れた位置となるように延出された請求項11に記載のインクカートリッジセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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