インクジェットプリンタ
【課題】記録媒体の浮き上がりを防止する押さえローラの保守作業を容易に実施できるインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1には、記録媒体11の浮き上がりを防止する押さえローラ52が設けられている。この押さえローラ52は、プラテン搬送機構14が記録位置にある時、ラインヘッド41よりも搬送方向上流側で、且つ近傍の近接位置に位置し、プラテン搬送機構14が退避位置にある時、ラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52との間の空間が近接位置より広くなる離間位置に位置する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1には、記録媒体11の浮き上がりを防止する押さえローラ52が設けられている。この押さえローラ52は、プラテン搬送機構14が記録位置にある時、ラインヘッド41よりも搬送方向上流側で、且つ近傍の近接位置に位置し、プラテン搬送機構14が退避位置にある時、ラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52との間の空間が近接位置より広くなる離間位置に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドの上流側に設けられ、搬送される記録媒体の浮き上がりを防止する記録媒体押さえローラを備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタの中には、搬送される記録媒体の幅以上となるように1つ、又は複数のインクヘッドによってラインヘッドを構成し、記録媒体のみを移動して記録媒体上への記録を行うフルライン型インクジェットプリンタ(以下、ラインプリンタと称する)がある。
【0003】
このようなラインプリンタでは、搬送される記録媒体が浮き上がった場合にラインヘッドと接触することを防止するために、例えば、特許文献1のようにラインヘッドより搬送方向上流側で、且つ近傍に用紙押さえローラを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した用紙押さえローラは ラインヘッドより搬送方向上流側、且つ近傍に設けられているため、吐出されたインクから発生するインクミストや、記録媒体に着弾したインクの転写等により用紙押さえローラ自体にインク(汚れ)が付着する場合がある。この付着したインクが引き続き搬送されてくる次の記録媒体に転写されて付着した場合、記録された画像の品質を著しく低下させる。このため、用紙押さえローラは、定期的に又はインクが付着した都度、クリーニングする必要がある。
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に代表されるように、用紙押さえローラは、ラインヘッドの近傍に設けられているため、姿勢が制約されて作業性が悪く、クリーニングする際に作業者の手やクリーニング用クロス等がラインヘッドのノズル面に接触し、ラインヘッドを破損させてしまう虞があり、十分な注意が必要となる。また、用紙押さえローラの交換を行う際においても、同様なことが起こる。
【0007】
そこで本発明は、記録媒体の浮き上がりを防止する押さえローラの保守作業を容易に実施できるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、インクを吐出する複数のノズルからなるノズル面を有する記録ヘッドと、少なくとも1つ以上の前記記録ヘッドを配列して保持するヘッド保持部材と、前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向して、該ノズル面下を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を上昇させて前記記録ヘッドにより記録を行うように近接される第1の位置と、前記搬送機構を下降させて前記記録ヘッドと該搬送機構との間にスペースを空けるように離間させる第2の位置との間で、前記搬送機構を昇降可能に保持する移動機構と、少なくとも前記記録媒体の幅以上の長さを有し、前記搬送機構の移動に従い、前記第1の位置で前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で、通過する前記記録媒体を自重により押さえ、前記第2の位置で前記記録ヘッドのノズル面から離間する記録媒体押さえローラ部と、を備えるインクジェットプリンタを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の浮き上がりを防止する押さえローラの保守作業を容易に実施できるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の記録媒体押さえローラ部を適用した第1の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示した断面図である。
【図2】図2は、ヘッドフレーム及びヘッド保持部材の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、ヘッド保持部材、及びラインヘッドを下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、記録部に設けられた記録媒体押さえローラ部の配置例を示す図である。
【図5】図5は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。
【図6】図6は、アーム支持部と凸部との関係を示す図である。
【図7】図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部の状態を示す図、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。
【図8】図8は、第1の変形例における記録媒体押さえローラ部を正面側から見た外観構成を示す図である。
【図9】図9は、記録媒体押さえローラ部を下方のノズル面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、第2の実施形態におけるストッパ機構を備えた押さえローラ部において、押さえローラが近接位置に位置している状態を示す図である。
【図11】図11(a)は、ストッパ機構の外観構成を示す図、図11(b)は、操作手順について説明するための図である。
【図12】図12(a),(b),(c),(d)は、ストッパ機構の解除による押さえローラの移動状態を示す図である。
【図13】図13(a)は、第3の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部における、押さえローラが近接位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(c)は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。
【図14】図14(a)は、第4の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部における押さえローラが接近位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図14(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部の外観構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の記録媒体押さえローラ部を適用した第1の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示した断面図である。図2は、ヘッドフレーム及びヘッド保持部材の外観構成を示す斜視図である。図3は、ヘッド保持部材、及びラインヘッドを下方から見た斜視図である。図4は、記録部に設けられた記録媒体押さえローラ部の配置例を示す図である。図5は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。図6は、アーム支持部と凸部との関係を示す図である。図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部の状態を示す図であり、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。尚、記録媒体の搬送方向をY軸方向、このY軸方向と水平に直交する方向をX軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向(上下方向)とする。
【0012】
インクジェットプリンタ1は、大別して、供給部2と、搬送機構3と、記録部4と、移動機構5と、排出部6とで構成される。これらの構成部位は、装置フレーム7に組み付けられている。尚、本実施形態では、発明の要旨に関わる部位のみを示しており、図示していないが、他にも、インク供給機構、メンテナンス機構、及び装置全体の制御を行う制御部等の通常のプリンタが備える構成部位は搭載しているものとする。
【0013】
供給部2は、複数の記録媒体11が装填された給紙トレイ12を有している。図1においては、1つの給紙トレイ12を示しているが、種々のサイズの記録媒体に対応できるように複数の給紙トレイ12を装着可能な構成としてもよい。また、これらの給紙トレイ12は、記録部4の搬送上流側に配置され、本実施形態では、インクジェットプリンタ1の一方の側面に設けられている。勿論、給紙トレイ12は、設計仕様により、任意の位置に設けることは容易であり、例えば、装置フレーム7内に配置してもよい。
【0014】
搬送機構3は、供給搬送機構13と、プラテン搬送機構14と、排出搬送機構15とで構成される。
供給搬送機構13は、給紙トレイ12の記録媒体11に当接するピックアップローラ21と、レジストローラ対22と、で構成されている。給紙トレイ12に収納された記録媒体11は、ピックアップローラ21により1枚ずつ取り出されて、レジストローラ対22に搬送される。このレジストローラ対22は、ピックアップローラ21から受け取った記録媒体11に傾き(斜行)があれば、修正を行い、画像記録に対する搬送タイミングを調整して、プラテン搬送機構14に受け渡しを行う。
【0015】
プラテン搬送機構14は、記録部4と対向して配置され、記録部4の直下を通過するように記録媒体11を搬送する。
プラテン搬送機構14は、搬送フレーム23と、複数のローラ24と、搬送ベルト25と、プラテン26と、ファン27とで構成されている。搬送フレーム23は、複数のローラ24を回転可能に支持している。これらのローラ24には、多数の孔が形成された搬送ベルト25が巻回装着されている。これらローラ24のうちの少なくとも1つには、図示しないモータ等の駆動源が接続されている。
【0016】
また、搬送フレーム23は、搬送ベルト25下方でプラテン26を支持している。このプラテン26は、搬送される記録媒体11が蛇行しないように、予め定められた平面度を有している。尚、プラテン26は、平面度を出しやすい形状となっており、本実施形態では、板状となっている。このプラテン26には、多数の孔が形成されている。
【0017】
さらに、搬送フレーム23は、プラテン26下方でファン27を支持している。ファン27によって発生した負圧は、プラテン26及びベルト25のそれぞれの孔を通じて、搬送ベルト25上に記録媒体11を吸着保持させることができる。
搬送ベルト25は、モータで駆動されるローラ24により搬送方向上流側から下流側に回転(移動)し、レジストローラ対26から受け渡された記録媒体11の先端から吸着保持して、記録部4の各ラインヘッド41の下方を所定速度で通過させて、排出搬送機構15に搬送する。
【0018】
排出搬送機構15は、排出ローラ対32により構成される。排出ローラ対32は、記録部4で画像記録された記録媒体11を排出部6へと搬送する。
移動機構5は、プラテン搬送機構14の下方に設置され、搬送フレーム23を昇降可能に支持する。つまり、移動機構5は、図1に示すプラテン搬送機構14を記録媒体11に対して画像記録を行う位置Aで示す第1の位置としての記録位置と、記録位置よりも下降させて、JAM(ジャム)時やラインヘッド41のクリーニング処理等を行う位置Bで示す第2の位置としての退避位置(非画像記録位置)と、に移動させる。
【0019】
この移動機構5は、搬送フレーム23の下端縁を支持するための少なくとも4個の昇降アーム29が設けられている。本実施形態では、搬送フレーム23の下端縁の四隅を昇降アーム29が支持している。これらの昇降アーム29の先端には、コロ30が設けられている。また、各昇降アーム35は、装置フレーム7に回動可能に設けられたアーム軸31にそれぞれに保持されている。
【0020】
これらの昇降アーム35は、上流側と下流側に分かれて対に連結され、図示されない駆動源により、アーム軸31を中心として、互いにコロ30が近づく方向に、例えば、90度回動して水平に倒し、プラテン搬送機構14を位置Bまで降下させる。この位置がプラテン搬送機構14における退避位置(第2の位置)である。
【0021】
反対に、互いにコロ30が遠退く方向に、例えば、90度回動して垂直に立ち上げて、プラテン搬送機構14を位置Aまで上昇させる。この位置がプラテン搬送機構14における記録位置(第1の位置)である。尚、プラテン搬送機構14の昇降における停止位置は、設計仕様に基づき変更可能である。例えば、最下降位置より手前の途中の停止位置を退避位置と設定することもできる。また、移動機構5としては、例えば、プラテン搬送機構14をワイヤによりつり上げる吊り上げ機構であってもよいし、パンタグラフ機構等を適用してもよい。
【0022】
尚、本実施形態では、移動機構5がプラテン搬送機構14を移動させることによりラインヘッド41と搬送ベルト25との間隔を記録位置と非画像記録位置としたが、これに限らず、記録部4を移動させてもよいし、記録部4及びプラテン搬送機構14の両方を移動させてもよい。つまり、移動機構5は、記録部4とプラテン搬送機構14との少なくとも一方を移動させて、ラインヘッド41と搬送ベルト25との間隔を記録位置と非画像記録位置とにする。
【0023】
排出部6は、排出トレイ13により構成される。排出トレイ13は、排出ローラ対32によって排出される画像記録された記録媒体11を収納する。尚、排出部6は、後処理(例えば、シフト処理、穿孔処理、綴じ処理、折り込み処理及び、糊付け処理等)等を行う後処理装置としてもよい。
【0024】
記録部4は、プラテン搬送機構14に対向して配置される。この記録部4は、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)と、ヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)と、ヘッドフレーム43と、複数のギャップ調整部材44と、複数の記録媒体押さえローラ部51と、で構成される。
【0025】
ヘッドフレーム43には、図示しないが、給紙側に2点、排紙側に1点の合計3点の支持部が設けられている。これらの支持部によってヘッドフレーム43は、装置フレーム7に支持されている。このヘッドフレーム43には、ヘッド保持部材42及びギャップ調整部材44が取り付けられている。
【0026】
ギャップ調整部材44は、図2に示すように、ヘッドフレーム43の下面、即ちプラテン搬送機構14と対向する面の記録媒体の搬送を妨げない位置、例えば4隅に設けられている。これらのギャップ調整部材44は、ヘッドフレーム43とプラテン搬送機構14との間隔を所定の値に維持する。即ち、ラインヘッド41のノズル面と記録媒体との距離を調整する。
【0027】
ヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)は、図1及び図2に示すように、各ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)に対応して設けられている。このヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)は、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)を位置決めして保持する。
【0028】
尚、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)は、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色インクのインク滴を搬送機構4によって搬送される記録媒体11に対して吐出する。また、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)は、複数のノズルが記録媒体11の記録領域以上の長さ(ノズル列長)に配列されたノズル列が形成されたノズル面(インク吐出面)を有している。
【0029】
ここで、図3を用い、ラインヘッド41K、及びヘッド保持部材42Kの詳細を示している。尚、他のラインヘッド41C〜41Y、及びヘッド保持部材42C〜42Yについても同様な構成をしている。
【0030】
本実施形態のラインヘッド41Kは、図3に示すように、6個のインクヘッド41K1−41K6によって構成されている。このインクヘッド41K1−41K6は、記録媒体11の幅方向(搬送方向と直交する方向)に沿って記録媒体11の幅以上の長さとなるように、交互に2列に配置(千鳥状配置)されている。この時、搬送方向から見て、インクヘッドの端部分(ノズル列の端)が互いに重なるように配置される。この重なりは、記録媒体に画像を記録した際に、筋状の未記録領域(白スジ)を防止するためである。尚、本実施形態では、ラインヘッド41Kを構成するにあたってインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)した例を説明するが、これに限定されるものではなく、3列以上の配置であってもよし、1本の長尺なインクヘッドであってもよい。
【0031】
このように構成されたラインヘッド41Kは、ヘッド保持部材42Kに位置決めされて保持される。つまり、ヘッド保持部材42Kには、図2に示すように、インクヘッド41K1−41K6を保持するための6個の開口部46が設けられている。インクヘッド41K1−41K6は、これら開口部46にそれぞれ挿入され、位置調整が行われた後に固定される。
【0032】
また、ヘッド保持部材42Kには、図3に示すように、搬送方向下流側の側面で、且つ長手方向(記録媒体の幅方向)の両端側に後述する記録媒体押さえローラ部51を支持する支持部(アーム支持部)42aと、アーム支持部42aに支持された記録媒体押さえローラ部51を回動可能にするためにアーム支持部42aと対応した位置に搬送方向と平行な溝(スリット)54と、が設けられている。
【0033】
次に、記録媒体押さえローラ部51について説明する。
記録媒体押さえローラ部51は、図4に示すように、各インク色を吐出するラインヘッド41K,41C,41M,41Yのそれぞれに1つが設けられている。ここでは、ラインヘッド41は、2列のインクヘッドで構成されているため、2列に1つの記録媒体押さえローラ部51が設けられている例である。
【0034】
この記録媒体押さえローラ部51は、図5に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)53と、で構成される。押さえローラ52は、両端部52aの直径が中央部52bの直径より大きい段付きローラとなっている。
押さえローラ52の両端部52aは、画像記録時に搬送ベルト25と接触する。これによって、押さえローラ52は、搬送ベルト25の回転に従動して回転する。
【0035】
また、押さえローラ52の中央部52bは、画像記録時に搬送ベルト25と非接触となる。この押さえローラ52の中央部52bは、搬送ベルト25によって記録媒体11が通過する領域である。換言すれば、押さえローラ52の中央部52bは、記録媒体幅程度の長さに亘って形成されている。このように、中央部52bの直径を両端部52aより小さくすることにより、記録媒体が正常に搬送ベルト25に吸着されていた場合、記録媒体11の表面に非接触で通過させることができる。従って、上流側でインクが吐出された記録媒体に対して、押さえローラ52が記録面に接触することを極力避けることができるため、ローラ汚れの発生を少なくすることができる。
【0036】
支持アーム53は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム53は、他端側に円柱形ツメである凸部53aが設けられている。
この凸部53aは、図6に示すように、前述したアーム支持部42aによって支持される。アーム支持部42aは、図6に示すように、凸部53aの直径Rと略同じ横幅及び高さを有するように角筒状のスペースが形成されている。凸部53aは、このスペース内でスムーズに、且つガタが無い状態で回動する。すなわち、支持アーム53は、凸部53aを中心にヘッド保持部材42に対して回動する。また、支持アーム53は、図4に示すように、凸部53aがアーム支持部42aに支持され、溝54を抜けて下方に延出している。
【0037】
尚、図6においては、アーム支持部42aのスペースは、角筒形状であるが、勿論、円筒形状であってもよい。また、回動をスムーズに行うためにベアリング等を介在させて凸部53aをアーム支持部42aに支持させてもよい。
【0038】
次に、記録媒体押さえローラ部51の動作について説明する。
図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部51の状態を示している。
【0039】
図7(a)に示すようにプラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、ラインヘッド41より搬送方向上流側で、且つラインヘッド41の近傍に位置する。この位置を第1のローラ位置としての近接位置とする。この近接位置では、押さえローラ52は、搬送ベルト25と接触している。また、この近接位置では、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L1となっている。つまり、ラインヘッド41のノズル面より押さえローラ52の回転中心軸が距離L1だけ搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)側に位置している。
【0040】
これによって、押さえローラ52(記録媒体押さえローラ部51)は、通過する記録媒体11に対して、搬送ベルト25からの浮き上がりを防止する。換言すれば、搬送ベルト25から記録媒体11が浮き上がったとしてもラインヘッド41と接触することはない。 尚、記録媒体押さえローラ部51は、押さえローラ52と支持アーム53の自重により、記録媒体11の浮き上がりを防止している。
【0041】
押さえローラ52に付着したインク、紙粉等の汚れを除去する時、或いは押さえローラ52を交換する時は、以下のように行われる。尚、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。
【0042】
まず、プラテン搬送機構14を、図7(a)に示す記録位置から図7(b)に示す退避位置に移動(下降)させる。プラテン搬送機構14を下降させている過程において、記録媒体押さえローラ51は、プラテン搬送機構14の下降に追従して回動する。具体的には、支持アーム53は、押さえローラ52及び支持アーム53の自重によって凸部53aを中心に矢印mで示す方向に回動する。換言すれば、近接位置に位置する押さえローラ52は、搬送ベルト25と接触しながら矢印mで示す方向に回動する。
【0043】
そして、最終的に図7(b)に示すように、支持アーム53は、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L2になった位置で回動(移動)が停止し、プラテン搬送機構14は、搬送ベルト25と押さえローラ52との接触が解除され、搬送ベルト25と押さえローラ52と間に空間が形成された位置(退避位置)で停止する。
【0044】
この時の押さえローラ52の位置を第2のローラ位置としての離間位置とする。この離間位置では、押さえローラ52は、搬送ベルト25と非接触となっている。また、この離間位置では、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L2となっている。つまり、近接位置に押さえローラ52がある時のラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52の回転中心軸との距離L1より離間位置に押さえローラ52がある時のラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52の回転中心軸との距離L2の方が大きくなる。換言すれば、ラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52との間の空間が近接位置より離間位置の方が広くなる。
【0045】
このように、近接位置にある押さえローラ52より離間位置にある押さえローラ52の方がラインヘッド41のノズル面から距離(L2−L1)だけ搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)側に離間している。
【0046】
また、離間位置にある押さえローラ52は、図7(b)に示すように、回動中心となる凸部53aの真下(垂直下)まで達せずに、所定の角度θだけ上流側の位置で停止した状態となっている。さらに詳しく説明すると、支持アーム53は、ラインヘッド41のノズル面と直交する仮想線に対して所定の角度θだけ上流側に傾いた状態で回動が停止する。この傾きの角度θは、溝54の端の切欠形状(溝長)を調整することにより、実現している。勿論、別途にストッパ部材を設けてもよい。これによって、プラテン搬送機構14が上昇した際に、押さえローラ52を必ずラインヘッド41より搬送方向上流側に回動させることができる。
【0047】
そして、この離間位置において、作業者により押さえローラ52の拭き取りや交換等の保守作業を行う。保守作業が終わると、プラテン搬送機構14を、図7(b)に示す退避位置から図7(a)に示す記録位置に移動(上昇)させる。具体的には、まず、離間位置にある押さえローラ52に搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)が接触する。この接触した状態でさらに搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)を上昇させる。この時、前述したように、押さえローラ52(支持アーム53)は、所定の角度θだけ上流側の位置で停止した状態となっているため、搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)を上昇させた際、押さえローラ52(支持アーム53)は、必ず搬送方向上流側へと回動を始める。
【0048】
そして、図7(a)に示すように、押さえローラ52は、近接位置となり、搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)は、記録位置となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、プラテン搬送機構14を下降させて退避位置に移動させることにより、記録媒体押さえローラ部51の押さえローラ52がラインヘッドから離間して、吊り下がった状態となり、容易に拭き取り、交換などの保守作業を実施することができ、作業性が著しく向上するだけでなく、作業者の手がラインヘッドのノズル面に接触することがないため、接触によるノズル面の破損等を防止できる。また、押さえローラ52が吊り下がった際に、支持アーム53が上流側に傾きを持った状態で停止しているため、単にプラテン搬送機構14を上昇させても、必ずラインヘッドの上流側に押さえローラ52を戻すことができる。
【0049】
次に図8及び図9を参照して、第1の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部の変形例について説明する。図8は、第1の変形例における記録媒体押さえローラ部を正面側から見た外観構成を示す図であり、図9は、記録媒体押さえローラ部を下方のノズル面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【0050】
前述した第1の実施形態では、ラインヘッド41は、複数のインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)することで構成され、このラインヘッド41は、1つのヘッド保持部材42によって保持されていた。そして、このヘッド保持部材42に1つの記録媒体押さえローラ部51を設けた構成例であった。本変形例においても、ラインヘッドを複数のインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)することで構成する点は同様だが、本変形例では、列毎にヘッド保持部材を設け、このヘッド保持部材毎に1つの記録媒体押さえローラ部を設けた点が異なる。
【0051】
具体的には、図8及び図9に示すように、ラインヘッド41Kは、搬送方向上流側のインクヘッド41K1,41K3,41K5で構成されるヘッド列41kaと、搬送方向下流側のインクヘッド41K2,41K4,41K6で構成されるヘッド列41kbと、で構成されている。そして、ヘッド列41Kaは、ヘッド保持部材42Kaによって保持され、ヘッド列41Kbは、ヘッド保持部材42Kbによって保持されている。ヘッド保持部材42Ka、ヘッド保持部材42Kbのそれぞれには、前述した第1の実施形態と同様な記録媒体押さえローラ部51が設けられている。尚、他色についても同様である。
【0052】
このように本変形例によれば、前述した第1の実施形態における効果に加えて、ラインヘッドを構成する各インクヘッドの直前に押さえローラを配置することができ、より浮き上がりを防止することができる。
【0053】
次に、図10乃至図12を参照して、第2の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図10は、本実施形態のストッパ機構を備えた押さえローラ部において、押さえローラ52が近接位置に位置している状態を示す図である。図11(a)は、ストッパ機構の外観構成を示す図、図11(b)は、操作手順について説明するための図である。図12(a)〜(d)は、ストッパ機構の解除による押さえローラの移動状態を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
前述した第1の実施形態では、記録媒体押さえローラ部は、プラテン搬送機構14の下降に追従して、押さえローラ52が回動して近接位置から離間位置に移動した。本実施形態では、手動で解除可能なストッパ機構を設けて、プラテン搬送機構14が下降した退避位置にあるとき、必要に応じて押さえローラを近接位置から離間位置まで回動(移動)させる。
【0055】
まず、ストッパ機構60の構成について説明する。
ストッパ機構60は、スライドガイド部材55と、ばね56と、ばね固定ピン57と、固定板58と、スライドガイドノブ59と、で構成されている。ヘッドフレーム43の正面側には、2つの固定板58と1つのばね固定ピン57が取り付けられている。
【0056】
搬送方向上流側の固定板58には、スライドガイドノブ59が回転可能に設けられている。このスライドガイドノブ59には、軸部を介して1/3の円板状で先端側(回転方向nから見て)から後端側にかけて径が徐々に大きくなる作用部59aが形成されている。
【0057】
また、2つの固定板58は、スライドガイド部材55をY方向(水平方向)にスライド可能に支持している。このスライドガイト部材55の搬送方向上流側の一端側には、スライドガイドノブ59の作用部59aが接触する受け部55aが設けられている。また、スライドガイド部材55には、各記録媒体押さえローラ部51の支持アーム53にそれぞれに当接する、例えば、円柱形状の複数のボス55bが設けられている。
【0058】
ばね56は、一端側がばね固定ピン57に取り付けられ、他端側がスライドガイド部材55に取り付けられている。このばね56は、スライドガイド部材55を−Y方向に引っ張っている。
【0059】
次に、ストッパ機構60の動作について説明する。尚、図12(a)〜(c)では、代表的にラインヘッド41K周りを示している。
前述した第1の実施形態と同様にプラテン搬送機構14を下降させた際、本実施形態では、支持アーム53は、プラテン搬送機構14の下降には同期せず、僅かに回動(下降)すると、ボス55bに当接する。これによって、支持アーム53の回動(移動)は、停止する。(図10、図12(a)の状態)つまり、押さえローラ52の位置は、略近接位置の状態を維持している。尚、ボス55bに当接するまでの僅かな遊びとなる揺動範囲は、押さえローラ52が記録媒体の厚みに追従するために必要な移動範囲である。また、上記の状態をストッパ機構60の第1のストッパ状態とする。
【0060】
この状態から押さえローラ52の保守作業を行う際は、まず、図11(b)に示すようにスライドガイドノブ59をn方向に回転させる。これにより、スライドガイドノブ59の作用部59aがスライドガイド部材55の受け部55aに接触する。そして、さらにスライドガイドノブ59を回転させると、ばね56の付勢力に抗して、スライドガイド部材55がY方向にスライド移動する。この移動する距離は、作用部59aの円板状の径の大きさによる。
【0061】
スライドガイド部材55がY方向にスライド移動すると、ボス55bも移動する。つまり、ボス55bは、凸部53aに近づくように移動する。そのため、ボス55bに当接している支持アーム53は、ボス55bとの当接位置を変えながら押さえローラ52及び支持アーム53の自重によってm方向に回動する(図12(b)の状態)。
【0062】
そして、最終的に、ボス55bが凸部53aの直下近傍まで移動した位置でスライドガイド部材55のY方向へのスライド移動が停止する。この時、支持アーム53は、ボス55bに当接した状態であり、前述したように、支持アーム53が所定の角度θだけ上流側に傾いた状態である。
【0063】
つまり、支持アーム53がラインヘッド41のノズル面と直交する仮想線に対して所定の角度θだけ上流側に傾いた状態で回動が停止する。(図12(c)の状態)これにより、押さえローラ52は、離間位置となる。尚、上記の状態をストッパ機構60の第2のストッパ状態とする。
【0064】
押さえローラ52の保守作業が終了すると、プラテン搬送機構14を退避位置から記録位置まで上昇させると共に、ストッパ機構60を第2のストッパ状態から第1のストッパ状態に戻す。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。さらに、本実施形態によれば、プラテン搬送機構14の下降に追従して、押さえローラが近接位置から離間位置に回動するのではなく、手動で押さえローラを近接位置から離間位置に移動することができる。
【0066】
これにより、押さえローラの保守作業を行う必要がない時は、押さえローラを近接位置に維持させておくことができる。尚、本実施形態では、押さえローラが近接位置に位置している時は、図10に示すように、カバーによって押さえローラが隠れた状態となり、押さえローラが離間位置に位置した時にのみ、図12(d)で示すように、押さえローラがカバーから露出する形態を取っている。
【0067】
次に、図13(a),(b)を参照して、第3の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図13(a)は、押さえローラが近接位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(c)は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
この記録媒体押さえローラ部61は、図13に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)62と、で構成される。押さえローラ52は、前述した第1の実施形態と同様である。支持アーム62は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム62は、他端側に円柱形ツメである凸部62aが設けられている。この支持アーム62は、移動部分が直線形状のアームであり、押さえローラ52を回転可能に支持する支持部分手前から上流方向に略45度程度屈曲している。
【0068】
また、支持アーム62は、ヘッド保持部材42の搬送方向上流側で、且つ長手方向(記録媒体の幅方向)の両端側に設けられたアーム支持部64によって支持されている。つまり、支持アーム62の凸部62aは、垂直(Z軸)方向に昇降可能に、アーム支持部64内に収容される。凸部62aは、支持アーム62が下降した際に下限のストッパとして機能する。尚、アーム支持部64は、凸部62aが垂直(Z軸)方向に移動する際、ガタが無い状態で移動できるように凸部62aの移動をガイドしている。
【0069】
プラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14(主として、搬送ベルト25)に当接した状態で近接位置に位置する。この時、記録媒体押さえローラ部51は、支持アーム62と押さえローラ52の自重により、搬送されてくる記録媒体を押圧して浮き上がりを防止している。
【0070】
また、プラテン搬送機構14が記録位置から退避位置に移動するために下降されると、プラテン搬送機構14の下降に伴い、押さえローラ52は搬送ベルト25と当接したまま一体的に垂直方向に直線的に下降し、ラインヘッド41のノズル面より離間する。そして、図13(b)に示すように、凸部62aの係止により支持アーム62の下降が停止し、押さえローラ52が離間位置に停止する。以降は、押さえローラ52は搬送ベルト25と非接触となり、吊り下げられた状態となる。また、押さえローラ52を近接位置に戻す場合は、プラテン搬送機構14を記録位置まで上昇されることで、押さえローラ52(支持アーム62)が直線的に押し上げられて復帰する。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。さらに、本実施形態によれば、押さえローラ52が垂直方向に直線的に昇降されるため、少ない設置スペースで設けることができる。
【0072】
尚、本実施形態においても、前述した第2の実施形態におけるストッパ機構を変形して用いることができる。例えば、押さえローラ52が近接位置で保持されている状態の時に、前述したボス55aが嵌合する切欠部を支持アーム62に形成する。切欠部にボス55aが嵌合している状態で、プラテン搬送機構14を下降させても、押さえローラ52は、近接位置で保持されている状態を維持する。
【0073】
また、スライドガイドノブ59を操作して、スライドガイド部材55をY方向に移動させると、ボス55aが切欠部から外れ出る。この状態の時に、プラテン搬送機構14を下降させると、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14に当接した状態で下降し、プラテン搬送機構14が退避位置に到達するまでの途中で、前述した離間位置に至る。
【0074】
これにより、押さえローラ52の保守作業時には、押さえローラ52を離間位置に移動させることができ、一方、押さえローラ52の保守作業時を行わない時には、プラテン搬送機構14を下降させても、ストッパ機構により押さえローラ52を近接位置に保持させることができる。
【0075】
次に、図14(a),(b)を参照して、第4の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図14(a)は、押さえローラが接近位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図14(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部の外観構成を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
この記録媒体押さえローラ部71は、図14に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)72と、で構成される。押さえローラ52は、前述した第1の実施形態と同様である。支持アーム72は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム67は、他端側に円柱形ツメである凸部72aが設けられている。
【0077】
この支持アーム72は、昇降可能にアーム支持部74内に収容される。アーム支持部74は、搬送方向上流側の斜め下方向、例えば45度方向に向かうように、ヘッド保持部材42に形成されている。凸部72aは、支持アーム72が下降した際に下限のストッパとして機能する。
【0078】
プラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14(主として、搬送ベルト25)に当接した状態で押し上げられて近接位置に位置する。この時、記録媒体押さえローラ部71は、支持アーム72と押さえローラ52の自重により、搬送されてくる記録媒体を押圧して浮き上がりを防止している。
【0079】
また、プラテン搬送機構14が記録位置から退避位置に移動するために下降されると、プラテン搬送機構14の下降に伴い、押さえローラ52は搬送ベルト25と当接したままアーム支持部74にガイドされながら直線的に下降し、ラインヘッド41のノズル面より離間する。
【0080】
そして、図14(b)に示すように、凸部72aの係止により支持アーム72の下降が停止し、押さえローラ52が離間位置に停止する。以降は、押さえローラ52は搬送ベルト25と非接触となり、吊り下げられた状態となる。また、押さえローラ52を近接位置に戻す場合は、プラテン搬送機構14を記録位置まで上昇されることで、押さえローラ52(支持アーム72)が直線的に斜め上に押し上げられて復帰する。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。尚、本実施形態においても、前述した第2の実施形態と同様なストッパ機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…インクジェットプリンタ、2…供給部、3…搬送機構、4…記録部、5…移動機構、6…排出部、7…装置フレーム、11…記録媒体、12…給紙トレイ、13…供給搬送機構、14…プラテン搬送機構、15…排出搬送機構、21…ピックアップローラ、22…レジストローラ対、23…搬送フレーム、24…ローラ、25…搬送ベルト、26…プラテン、27…ファン、29…昇降アーム、30…コロ、31アーム軸、32…排出ローラ対、35…昇降アーム、41,41K,41C,41M,41Y)…ラインヘッド、42,42K,42C,42M,42Y…ヘッド保持部材、43…ヘッドフレーム、44…ギャップ調整部材、51…記録媒体押さえローラ部、52…押さえローラ、53…支持アーム(ローラ支持部材)、53a…凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドの上流側に設けられ、搬送される記録媒体の浮き上がりを防止する記録媒体押さえローラを備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタの中には、搬送される記録媒体の幅以上となるように1つ、又は複数のインクヘッドによってラインヘッドを構成し、記録媒体のみを移動して記録媒体上への記録を行うフルライン型インクジェットプリンタ(以下、ラインプリンタと称する)がある。
【0003】
このようなラインプリンタでは、搬送される記録媒体が浮き上がった場合にラインヘッドと接触することを防止するために、例えば、特許文献1のようにラインヘッドより搬送方向上流側で、且つ近傍に用紙押さえローラを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した用紙押さえローラは ラインヘッドより搬送方向上流側、且つ近傍に設けられているため、吐出されたインクから発生するインクミストや、記録媒体に着弾したインクの転写等により用紙押さえローラ自体にインク(汚れ)が付着する場合がある。この付着したインクが引き続き搬送されてくる次の記録媒体に転写されて付着した場合、記録された画像の品質を著しく低下させる。このため、用紙押さえローラは、定期的に又はインクが付着した都度、クリーニングする必要がある。
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に代表されるように、用紙押さえローラは、ラインヘッドの近傍に設けられているため、姿勢が制約されて作業性が悪く、クリーニングする際に作業者の手やクリーニング用クロス等がラインヘッドのノズル面に接触し、ラインヘッドを破損させてしまう虞があり、十分な注意が必要となる。また、用紙押さえローラの交換を行う際においても、同様なことが起こる。
【0007】
そこで本発明は、記録媒体の浮き上がりを防止する押さえローラの保守作業を容易に実施できるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、インクを吐出する複数のノズルからなるノズル面を有する記録ヘッドと、少なくとも1つ以上の前記記録ヘッドを配列して保持するヘッド保持部材と、前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向して、該ノズル面下を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を上昇させて前記記録ヘッドにより記録を行うように近接される第1の位置と、前記搬送機構を下降させて前記記録ヘッドと該搬送機構との間にスペースを空けるように離間させる第2の位置との間で、前記搬送機構を昇降可能に保持する移動機構と、少なくとも前記記録媒体の幅以上の長さを有し、前記搬送機構の移動に従い、前記第1の位置で前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で、通過する前記記録媒体を自重により押さえ、前記第2の位置で前記記録ヘッドのノズル面から離間する記録媒体押さえローラ部と、を備えるインクジェットプリンタを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の浮き上がりを防止する押さえローラの保守作業を容易に実施できるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の記録媒体押さえローラ部を適用した第1の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示した断面図である。
【図2】図2は、ヘッドフレーム及びヘッド保持部材の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、ヘッド保持部材、及びラインヘッドを下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、記録部に設けられた記録媒体押さえローラ部の配置例を示す図である。
【図5】図5は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。
【図6】図6は、アーム支持部と凸部との関係を示す図である。
【図7】図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部の状態を示す図、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。
【図8】図8は、第1の変形例における記録媒体押さえローラ部を正面側から見た外観構成を示す図である。
【図9】図9は、記録媒体押さえローラ部を下方のノズル面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、第2の実施形態におけるストッパ機構を備えた押さえローラ部において、押さえローラが近接位置に位置している状態を示す図である。
【図11】図11(a)は、ストッパ機構の外観構成を示す図、図11(b)は、操作手順について説明するための図である。
【図12】図12(a),(b),(c),(d)は、ストッパ機構の解除による押さえローラの移動状態を示す図である。
【図13】図13(a)は、第3の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部における、押さえローラが近接位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(c)は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。
【図14】図14(a)は、第4の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部における押さえローラが接近位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図14(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部の外観構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の記録媒体押さえローラ部を適用した第1の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示した断面図である。図2は、ヘッドフレーム及びヘッド保持部材の外観構成を示す斜視図である。図3は、ヘッド保持部材、及びラインヘッドを下方から見た斜視図である。図4は、記録部に設けられた記録媒体押さえローラ部の配置例を示す図である。図5は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。図6は、アーム支持部と凸部との関係を示す図である。図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部の状態を示す図であり、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。尚、記録媒体の搬送方向をY軸方向、このY軸方向と水平に直交する方向をX軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向(上下方向)とする。
【0012】
インクジェットプリンタ1は、大別して、供給部2と、搬送機構3と、記録部4と、移動機構5と、排出部6とで構成される。これらの構成部位は、装置フレーム7に組み付けられている。尚、本実施形態では、発明の要旨に関わる部位のみを示しており、図示していないが、他にも、インク供給機構、メンテナンス機構、及び装置全体の制御を行う制御部等の通常のプリンタが備える構成部位は搭載しているものとする。
【0013】
供給部2は、複数の記録媒体11が装填された給紙トレイ12を有している。図1においては、1つの給紙トレイ12を示しているが、種々のサイズの記録媒体に対応できるように複数の給紙トレイ12を装着可能な構成としてもよい。また、これらの給紙トレイ12は、記録部4の搬送上流側に配置され、本実施形態では、インクジェットプリンタ1の一方の側面に設けられている。勿論、給紙トレイ12は、設計仕様により、任意の位置に設けることは容易であり、例えば、装置フレーム7内に配置してもよい。
【0014】
搬送機構3は、供給搬送機構13と、プラテン搬送機構14と、排出搬送機構15とで構成される。
供給搬送機構13は、給紙トレイ12の記録媒体11に当接するピックアップローラ21と、レジストローラ対22と、で構成されている。給紙トレイ12に収納された記録媒体11は、ピックアップローラ21により1枚ずつ取り出されて、レジストローラ対22に搬送される。このレジストローラ対22は、ピックアップローラ21から受け取った記録媒体11に傾き(斜行)があれば、修正を行い、画像記録に対する搬送タイミングを調整して、プラテン搬送機構14に受け渡しを行う。
【0015】
プラテン搬送機構14は、記録部4と対向して配置され、記録部4の直下を通過するように記録媒体11を搬送する。
プラテン搬送機構14は、搬送フレーム23と、複数のローラ24と、搬送ベルト25と、プラテン26と、ファン27とで構成されている。搬送フレーム23は、複数のローラ24を回転可能に支持している。これらのローラ24には、多数の孔が形成された搬送ベルト25が巻回装着されている。これらローラ24のうちの少なくとも1つには、図示しないモータ等の駆動源が接続されている。
【0016】
また、搬送フレーム23は、搬送ベルト25下方でプラテン26を支持している。このプラテン26は、搬送される記録媒体11が蛇行しないように、予め定められた平面度を有している。尚、プラテン26は、平面度を出しやすい形状となっており、本実施形態では、板状となっている。このプラテン26には、多数の孔が形成されている。
【0017】
さらに、搬送フレーム23は、プラテン26下方でファン27を支持している。ファン27によって発生した負圧は、プラテン26及びベルト25のそれぞれの孔を通じて、搬送ベルト25上に記録媒体11を吸着保持させることができる。
搬送ベルト25は、モータで駆動されるローラ24により搬送方向上流側から下流側に回転(移動)し、レジストローラ対26から受け渡された記録媒体11の先端から吸着保持して、記録部4の各ラインヘッド41の下方を所定速度で通過させて、排出搬送機構15に搬送する。
【0018】
排出搬送機構15は、排出ローラ対32により構成される。排出ローラ対32は、記録部4で画像記録された記録媒体11を排出部6へと搬送する。
移動機構5は、プラテン搬送機構14の下方に設置され、搬送フレーム23を昇降可能に支持する。つまり、移動機構5は、図1に示すプラテン搬送機構14を記録媒体11に対して画像記録を行う位置Aで示す第1の位置としての記録位置と、記録位置よりも下降させて、JAM(ジャム)時やラインヘッド41のクリーニング処理等を行う位置Bで示す第2の位置としての退避位置(非画像記録位置)と、に移動させる。
【0019】
この移動機構5は、搬送フレーム23の下端縁を支持するための少なくとも4個の昇降アーム29が設けられている。本実施形態では、搬送フレーム23の下端縁の四隅を昇降アーム29が支持している。これらの昇降アーム29の先端には、コロ30が設けられている。また、各昇降アーム35は、装置フレーム7に回動可能に設けられたアーム軸31にそれぞれに保持されている。
【0020】
これらの昇降アーム35は、上流側と下流側に分かれて対に連結され、図示されない駆動源により、アーム軸31を中心として、互いにコロ30が近づく方向に、例えば、90度回動して水平に倒し、プラテン搬送機構14を位置Bまで降下させる。この位置がプラテン搬送機構14における退避位置(第2の位置)である。
【0021】
反対に、互いにコロ30が遠退く方向に、例えば、90度回動して垂直に立ち上げて、プラテン搬送機構14を位置Aまで上昇させる。この位置がプラテン搬送機構14における記録位置(第1の位置)である。尚、プラテン搬送機構14の昇降における停止位置は、設計仕様に基づき変更可能である。例えば、最下降位置より手前の途中の停止位置を退避位置と設定することもできる。また、移動機構5としては、例えば、プラテン搬送機構14をワイヤによりつり上げる吊り上げ機構であってもよいし、パンタグラフ機構等を適用してもよい。
【0022】
尚、本実施形態では、移動機構5がプラテン搬送機構14を移動させることによりラインヘッド41と搬送ベルト25との間隔を記録位置と非画像記録位置としたが、これに限らず、記録部4を移動させてもよいし、記録部4及びプラテン搬送機構14の両方を移動させてもよい。つまり、移動機構5は、記録部4とプラテン搬送機構14との少なくとも一方を移動させて、ラインヘッド41と搬送ベルト25との間隔を記録位置と非画像記録位置とにする。
【0023】
排出部6は、排出トレイ13により構成される。排出トレイ13は、排出ローラ対32によって排出される画像記録された記録媒体11を収納する。尚、排出部6は、後処理(例えば、シフト処理、穿孔処理、綴じ処理、折り込み処理及び、糊付け処理等)等を行う後処理装置としてもよい。
【0024】
記録部4は、プラテン搬送機構14に対向して配置される。この記録部4は、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)と、ヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)と、ヘッドフレーム43と、複数のギャップ調整部材44と、複数の記録媒体押さえローラ部51と、で構成される。
【0025】
ヘッドフレーム43には、図示しないが、給紙側に2点、排紙側に1点の合計3点の支持部が設けられている。これらの支持部によってヘッドフレーム43は、装置フレーム7に支持されている。このヘッドフレーム43には、ヘッド保持部材42及びギャップ調整部材44が取り付けられている。
【0026】
ギャップ調整部材44は、図2に示すように、ヘッドフレーム43の下面、即ちプラテン搬送機構14と対向する面の記録媒体の搬送を妨げない位置、例えば4隅に設けられている。これらのギャップ調整部材44は、ヘッドフレーム43とプラテン搬送機構14との間隔を所定の値に維持する。即ち、ラインヘッド41のノズル面と記録媒体との距離を調整する。
【0027】
ヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)は、図1及び図2に示すように、各ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)に対応して設けられている。このヘッド保持部材42(42K,42C,42M,42Y)は、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)を位置決めして保持する。
【0028】
尚、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)は、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色インクのインク滴を搬送機構4によって搬送される記録媒体11に対して吐出する。また、ラインヘッド41(41K,41C,41M,41Y)は、複数のノズルが記録媒体11の記録領域以上の長さ(ノズル列長)に配列されたノズル列が形成されたノズル面(インク吐出面)を有している。
【0029】
ここで、図3を用い、ラインヘッド41K、及びヘッド保持部材42Kの詳細を示している。尚、他のラインヘッド41C〜41Y、及びヘッド保持部材42C〜42Yについても同様な構成をしている。
【0030】
本実施形態のラインヘッド41Kは、図3に示すように、6個のインクヘッド41K1−41K6によって構成されている。このインクヘッド41K1−41K6は、記録媒体11の幅方向(搬送方向と直交する方向)に沿って記録媒体11の幅以上の長さとなるように、交互に2列に配置(千鳥状配置)されている。この時、搬送方向から見て、インクヘッドの端部分(ノズル列の端)が互いに重なるように配置される。この重なりは、記録媒体に画像を記録した際に、筋状の未記録領域(白スジ)を防止するためである。尚、本実施形態では、ラインヘッド41Kを構成するにあたってインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)した例を説明するが、これに限定されるものではなく、3列以上の配置であってもよし、1本の長尺なインクヘッドであってもよい。
【0031】
このように構成されたラインヘッド41Kは、ヘッド保持部材42Kに位置決めされて保持される。つまり、ヘッド保持部材42Kには、図2に示すように、インクヘッド41K1−41K6を保持するための6個の開口部46が設けられている。インクヘッド41K1−41K6は、これら開口部46にそれぞれ挿入され、位置調整が行われた後に固定される。
【0032】
また、ヘッド保持部材42Kには、図3に示すように、搬送方向下流側の側面で、且つ長手方向(記録媒体の幅方向)の両端側に後述する記録媒体押さえローラ部51を支持する支持部(アーム支持部)42aと、アーム支持部42aに支持された記録媒体押さえローラ部51を回動可能にするためにアーム支持部42aと対応した位置に搬送方向と平行な溝(スリット)54と、が設けられている。
【0033】
次に、記録媒体押さえローラ部51について説明する。
記録媒体押さえローラ部51は、図4に示すように、各インク色を吐出するラインヘッド41K,41C,41M,41Yのそれぞれに1つが設けられている。ここでは、ラインヘッド41は、2列のインクヘッドで構成されているため、2列に1つの記録媒体押さえローラ部51が設けられている例である。
【0034】
この記録媒体押さえローラ部51は、図5に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)53と、で構成される。押さえローラ52は、両端部52aの直径が中央部52bの直径より大きい段付きローラとなっている。
押さえローラ52の両端部52aは、画像記録時に搬送ベルト25と接触する。これによって、押さえローラ52は、搬送ベルト25の回転に従動して回転する。
【0035】
また、押さえローラ52の中央部52bは、画像記録時に搬送ベルト25と非接触となる。この押さえローラ52の中央部52bは、搬送ベルト25によって記録媒体11が通過する領域である。換言すれば、押さえローラ52の中央部52bは、記録媒体幅程度の長さに亘って形成されている。このように、中央部52bの直径を両端部52aより小さくすることにより、記録媒体が正常に搬送ベルト25に吸着されていた場合、記録媒体11の表面に非接触で通過させることができる。従って、上流側でインクが吐出された記録媒体に対して、押さえローラ52が記録面に接触することを極力避けることができるため、ローラ汚れの発生を少なくすることができる。
【0036】
支持アーム53は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム53は、他端側に円柱形ツメである凸部53aが設けられている。
この凸部53aは、図6に示すように、前述したアーム支持部42aによって支持される。アーム支持部42aは、図6に示すように、凸部53aの直径Rと略同じ横幅及び高さを有するように角筒状のスペースが形成されている。凸部53aは、このスペース内でスムーズに、且つガタが無い状態で回動する。すなわち、支持アーム53は、凸部53aを中心にヘッド保持部材42に対して回動する。また、支持アーム53は、図4に示すように、凸部53aがアーム支持部42aに支持され、溝54を抜けて下方に延出している。
【0037】
尚、図6においては、アーム支持部42aのスペースは、角筒形状であるが、勿論、円筒形状であってもよい。また、回動をスムーズに行うためにベアリング等を介在させて凸部53aをアーム支持部42aに支持させてもよい。
【0038】
次に、記録媒体押さえローラ部51の動作について説明する。
図7(a)は、プラテン搬送機構が記録位置に位置している時の記録媒体押さえローラ部51の状態を示している。
【0039】
図7(a)に示すようにプラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、ラインヘッド41より搬送方向上流側で、且つラインヘッド41の近傍に位置する。この位置を第1のローラ位置としての近接位置とする。この近接位置では、押さえローラ52は、搬送ベルト25と接触している。また、この近接位置では、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L1となっている。つまり、ラインヘッド41のノズル面より押さえローラ52の回転中心軸が距離L1だけ搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)側に位置している。
【0040】
これによって、押さえローラ52(記録媒体押さえローラ部51)は、通過する記録媒体11に対して、搬送ベルト25からの浮き上がりを防止する。換言すれば、搬送ベルト25から記録媒体11が浮き上がったとしてもラインヘッド41と接触することはない。 尚、記録媒体押さえローラ部51は、押さえローラ52と支持アーム53の自重により、記録媒体11の浮き上がりを防止している。
【0041】
押さえローラ52に付着したインク、紙粉等の汚れを除去する時、或いは押さえローラ52を交換する時は、以下のように行われる。尚、図7(b)は、プラテン搬送機構が退避位置に位置している時の記録媒体押さえローラの状態を示す図である。
【0042】
まず、プラテン搬送機構14を、図7(a)に示す記録位置から図7(b)に示す退避位置に移動(下降)させる。プラテン搬送機構14を下降させている過程において、記録媒体押さえローラ51は、プラテン搬送機構14の下降に追従して回動する。具体的には、支持アーム53は、押さえローラ52及び支持アーム53の自重によって凸部53aを中心に矢印mで示す方向に回動する。換言すれば、近接位置に位置する押さえローラ52は、搬送ベルト25と接触しながら矢印mで示す方向に回動する。
【0043】
そして、最終的に図7(b)に示すように、支持アーム53は、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L2になった位置で回動(移動)が停止し、プラテン搬送機構14は、搬送ベルト25と押さえローラ52との接触が解除され、搬送ベルト25と押さえローラ52と間に空間が形成された位置(退避位置)で停止する。
【0044】
この時の押さえローラ52の位置を第2のローラ位置としての離間位置とする。この離間位置では、押さえローラ52は、搬送ベルト25と非接触となっている。また、この離間位置では、押さえローラ52の回転中心軸とラインヘッド41のノズル面との距離が距離L2となっている。つまり、近接位置に押さえローラ52がある時のラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52の回転中心軸との距離L1より離間位置に押さえローラ52がある時のラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52の回転中心軸との距離L2の方が大きくなる。換言すれば、ラインヘッド41のノズル面と押さえローラ52との間の空間が近接位置より離間位置の方が広くなる。
【0045】
このように、近接位置にある押さえローラ52より離間位置にある押さえローラ52の方がラインヘッド41のノズル面から距離(L2−L1)だけ搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)側に離間している。
【0046】
また、離間位置にある押さえローラ52は、図7(b)に示すように、回動中心となる凸部53aの真下(垂直下)まで達せずに、所定の角度θだけ上流側の位置で停止した状態となっている。さらに詳しく説明すると、支持アーム53は、ラインヘッド41のノズル面と直交する仮想線に対して所定の角度θだけ上流側に傾いた状態で回動が停止する。この傾きの角度θは、溝54の端の切欠形状(溝長)を調整することにより、実現している。勿論、別途にストッパ部材を設けてもよい。これによって、プラテン搬送機構14が上昇した際に、押さえローラ52を必ずラインヘッド41より搬送方向上流側に回動させることができる。
【0047】
そして、この離間位置において、作業者により押さえローラ52の拭き取りや交換等の保守作業を行う。保守作業が終わると、プラテン搬送機構14を、図7(b)に示す退避位置から図7(a)に示す記録位置に移動(上昇)させる。具体的には、まず、離間位置にある押さえローラ52に搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)が接触する。この接触した状態でさらに搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)を上昇させる。この時、前述したように、押さえローラ52(支持アーム53)は、所定の角度θだけ上流側の位置で停止した状態となっているため、搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)を上昇させた際、押さえローラ52(支持アーム53)は、必ず搬送方向上流側へと回動を始める。
【0048】
そして、図7(a)に示すように、押さえローラ52は、近接位置となり、搬送ベルト25(プラテン搬送機構14)は、記録位置となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、プラテン搬送機構14を下降させて退避位置に移動させることにより、記録媒体押さえローラ部51の押さえローラ52がラインヘッドから離間して、吊り下がった状態となり、容易に拭き取り、交換などの保守作業を実施することができ、作業性が著しく向上するだけでなく、作業者の手がラインヘッドのノズル面に接触することがないため、接触によるノズル面の破損等を防止できる。また、押さえローラ52が吊り下がった際に、支持アーム53が上流側に傾きを持った状態で停止しているため、単にプラテン搬送機構14を上昇させても、必ずラインヘッドの上流側に押さえローラ52を戻すことができる。
【0049】
次に図8及び図9を参照して、第1の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部の変形例について説明する。図8は、第1の変形例における記録媒体押さえローラ部を正面側から見た外観構成を示す図であり、図9は、記録媒体押さえローラ部を下方のノズル面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【0050】
前述した第1の実施形態では、ラインヘッド41は、複数のインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)することで構成され、このラインヘッド41は、1つのヘッド保持部材42によって保持されていた。そして、このヘッド保持部材42に1つの記録媒体押さえローラ部51を設けた構成例であった。本変形例においても、ラインヘッドを複数のインクヘッドを2列に配置(千鳥状配置)することで構成する点は同様だが、本変形例では、列毎にヘッド保持部材を設け、このヘッド保持部材毎に1つの記録媒体押さえローラ部を設けた点が異なる。
【0051】
具体的には、図8及び図9に示すように、ラインヘッド41Kは、搬送方向上流側のインクヘッド41K1,41K3,41K5で構成されるヘッド列41kaと、搬送方向下流側のインクヘッド41K2,41K4,41K6で構成されるヘッド列41kbと、で構成されている。そして、ヘッド列41Kaは、ヘッド保持部材42Kaによって保持され、ヘッド列41Kbは、ヘッド保持部材42Kbによって保持されている。ヘッド保持部材42Ka、ヘッド保持部材42Kbのそれぞれには、前述した第1の実施形態と同様な記録媒体押さえローラ部51が設けられている。尚、他色についても同様である。
【0052】
このように本変形例によれば、前述した第1の実施形態における効果に加えて、ラインヘッドを構成する各インクヘッドの直前に押さえローラを配置することができ、より浮き上がりを防止することができる。
【0053】
次に、図10乃至図12を参照して、第2の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図10は、本実施形態のストッパ機構を備えた押さえローラ部において、押さえローラ52が近接位置に位置している状態を示す図である。図11(a)は、ストッパ機構の外観構成を示す図、図11(b)は、操作手順について説明するための図である。図12(a)〜(d)は、ストッパ機構の解除による押さえローラの移動状態を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
前述した第1の実施形態では、記録媒体押さえローラ部は、プラテン搬送機構14の下降に追従して、押さえローラ52が回動して近接位置から離間位置に移動した。本実施形態では、手動で解除可能なストッパ機構を設けて、プラテン搬送機構14が下降した退避位置にあるとき、必要に応じて押さえローラを近接位置から離間位置まで回動(移動)させる。
【0055】
まず、ストッパ機構60の構成について説明する。
ストッパ機構60は、スライドガイド部材55と、ばね56と、ばね固定ピン57と、固定板58と、スライドガイドノブ59と、で構成されている。ヘッドフレーム43の正面側には、2つの固定板58と1つのばね固定ピン57が取り付けられている。
【0056】
搬送方向上流側の固定板58には、スライドガイドノブ59が回転可能に設けられている。このスライドガイドノブ59には、軸部を介して1/3の円板状で先端側(回転方向nから見て)から後端側にかけて径が徐々に大きくなる作用部59aが形成されている。
【0057】
また、2つの固定板58は、スライドガイド部材55をY方向(水平方向)にスライド可能に支持している。このスライドガイト部材55の搬送方向上流側の一端側には、スライドガイドノブ59の作用部59aが接触する受け部55aが設けられている。また、スライドガイド部材55には、各記録媒体押さえローラ部51の支持アーム53にそれぞれに当接する、例えば、円柱形状の複数のボス55bが設けられている。
【0058】
ばね56は、一端側がばね固定ピン57に取り付けられ、他端側がスライドガイド部材55に取り付けられている。このばね56は、スライドガイド部材55を−Y方向に引っ張っている。
【0059】
次に、ストッパ機構60の動作について説明する。尚、図12(a)〜(c)では、代表的にラインヘッド41K周りを示している。
前述した第1の実施形態と同様にプラテン搬送機構14を下降させた際、本実施形態では、支持アーム53は、プラテン搬送機構14の下降には同期せず、僅かに回動(下降)すると、ボス55bに当接する。これによって、支持アーム53の回動(移動)は、停止する。(図10、図12(a)の状態)つまり、押さえローラ52の位置は、略近接位置の状態を維持している。尚、ボス55bに当接するまでの僅かな遊びとなる揺動範囲は、押さえローラ52が記録媒体の厚みに追従するために必要な移動範囲である。また、上記の状態をストッパ機構60の第1のストッパ状態とする。
【0060】
この状態から押さえローラ52の保守作業を行う際は、まず、図11(b)に示すようにスライドガイドノブ59をn方向に回転させる。これにより、スライドガイドノブ59の作用部59aがスライドガイド部材55の受け部55aに接触する。そして、さらにスライドガイドノブ59を回転させると、ばね56の付勢力に抗して、スライドガイド部材55がY方向にスライド移動する。この移動する距離は、作用部59aの円板状の径の大きさによる。
【0061】
スライドガイド部材55がY方向にスライド移動すると、ボス55bも移動する。つまり、ボス55bは、凸部53aに近づくように移動する。そのため、ボス55bに当接している支持アーム53は、ボス55bとの当接位置を変えながら押さえローラ52及び支持アーム53の自重によってm方向に回動する(図12(b)の状態)。
【0062】
そして、最終的に、ボス55bが凸部53aの直下近傍まで移動した位置でスライドガイド部材55のY方向へのスライド移動が停止する。この時、支持アーム53は、ボス55bに当接した状態であり、前述したように、支持アーム53が所定の角度θだけ上流側に傾いた状態である。
【0063】
つまり、支持アーム53がラインヘッド41のノズル面と直交する仮想線に対して所定の角度θだけ上流側に傾いた状態で回動が停止する。(図12(c)の状態)これにより、押さえローラ52は、離間位置となる。尚、上記の状態をストッパ機構60の第2のストッパ状態とする。
【0064】
押さえローラ52の保守作業が終了すると、プラテン搬送機構14を退避位置から記録位置まで上昇させると共に、ストッパ機構60を第2のストッパ状態から第1のストッパ状態に戻す。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。さらに、本実施形態によれば、プラテン搬送機構14の下降に追従して、押さえローラが近接位置から離間位置に回動するのではなく、手動で押さえローラを近接位置から離間位置に移動することができる。
【0066】
これにより、押さえローラの保守作業を行う必要がない時は、押さえローラを近接位置に維持させておくことができる。尚、本実施形態では、押さえローラが近接位置に位置している時は、図10に示すように、カバーによって押さえローラが隠れた状態となり、押さえローラが離間位置に位置した時にのみ、図12(d)で示すように、押さえローラがカバーから露出する形態を取っている。
【0067】
次に、図13(a),(b)を参照して、第3の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図13(a)は、押さえローラが近接位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図13(c)は、押さえローラと支持アームの外観構成を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
この記録媒体押さえローラ部61は、図13に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)62と、で構成される。押さえローラ52は、前述した第1の実施形態と同様である。支持アーム62は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム62は、他端側に円柱形ツメである凸部62aが設けられている。この支持アーム62は、移動部分が直線形状のアームであり、押さえローラ52を回転可能に支持する支持部分手前から上流方向に略45度程度屈曲している。
【0068】
また、支持アーム62は、ヘッド保持部材42の搬送方向上流側で、且つ長手方向(記録媒体の幅方向)の両端側に設けられたアーム支持部64によって支持されている。つまり、支持アーム62の凸部62aは、垂直(Z軸)方向に昇降可能に、アーム支持部64内に収容される。凸部62aは、支持アーム62が下降した際に下限のストッパとして機能する。尚、アーム支持部64は、凸部62aが垂直(Z軸)方向に移動する際、ガタが無い状態で移動できるように凸部62aの移動をガイドしている。
【0069】
プラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14(主として、搬送ベルト25)に当接した状態で近接位置に位置する。この時、記録媒体押さえローラ部51は、支持アーム62と押さえローラ52の自重により、搬送されてくる記録媒体を押圧して浮き上がりを防止している。
【0070】
また、プラテン搬送機構14が記録位置から退避位置に移動するために下降されると、プラテン搬送機構14の下降に伴い、押さえローラ52は搬送ベルト25と当接したまま一体的に垂直方向に直線的に下降し、ラインヘッド41のノズル面より離間する。そして、図13(b)に示すように、凸部62aの係止により支持アーム62の下降が停止し、押さえローラ52が離間位置に停止する。以降は、押さえローラ52は搬送ベルト25と非接触となり、吊り下げられた状態となる。また、押さえローラ52を近接位置に戻す場合は、プラテン搬送機構14を記録位置まで上昇されることで、押さえローラ52(支持アーム62)が直線的に押し上げられて復帰する。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。さらに、本実施形態によれば、押さえローラ52が垂直方向に直線的に昇降されるため、少ない設置スペースで設けることができる。
【0072】
尚、本実施形態においても、前述した第2の実施形態におけるストッパ機構を変形して用いることができる。例えば、押さえローラ52が近接位置で保持されている状態の時に、前述したボス55aが嵌合する切欠部を支持アーム62に形成する。切欠部にボス55aが嵌合している状態で、プラテン搬送機構14を下降させても、押さえローラ52は、近接位置で保持されている状態を維持する。
【0073】
また、スライドガイドノブ59を操作して、スライドガイド部材55をY方向に移動させると、ボス55aが切欠部から外れ出る。この状態の時に、プラテン搬送機構14を下降させると、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14に当接した状態で下降し、プラテン搬送機構14が退避位置に到達するまでの途中で、前述した離間位置に至る。
【0074】
これにより、押さえローラ52の保守作業時には、押さえローラ52を離間位置に移動させることができ、一方、押さえローラ52の保守作業時を行わない時には、プラテン搬送機構14を下降させても、ストッパ機構により押さえローラ52を近接位置に保持させることができる。
【0075】
次に、図14(a),(b)を参照して、第4の実施形態に係る記録媒体押さえローラ部について説明する。図14(a)は、押さえローラが接近位置にある記録媒体押さえローラ部を示し、図14(b)は、押さえローラが離間位置にある記録媒体押さえローラ部の外観構成を示す図である。尚、本実施形態の構成部材で、前述した第1の実施形態における構成部材と同等なものには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
この記録媒体押さえローラ部71は、図14に示すように、押さえローラ52と、2本の支持アーム(ローラ支持部材)72と、で構成される。押さえローラ52は、前述した第1の実施形態と同様である。支持アーム72は、一端側で押さえローラ52を回転可能に支持する。また、支持アーム67は、他端側に円柱形ツメである凸部72aが設けられている。
【0077】
この支持アーム72は、昇降可能にアーム支持部74内に収容される。アーム支持部74は、搬送方向上流側の斜め下方向、例えば45度方向に向かうように、ヘッド保持部材42に形成されている。凸部72aは、支持アーム72が下降した際に下限のストッパとして機能する。
【0078】
プラテン搬送機構14が記録位置にある時、押さえローラ52は、プラテン搬送機構14(主として、搬送ベルト25)に当接した状態で押し上げられて近接位置に位置する。この時、記録媒体押さえローラ部71は、支持アーム72と押さえローラ52の自重により、搬送されてくる記録媒体を押圧して浮き上がりを防止している。
【0079】
また、プラテン搬送機構14が記録位置から退避位置に移動するために下降されると、プラテン搬送機構14の下降に伴い、押さえローラ52は搬送ベルト25と当接したままアーム支持部74にガイドされながら直線的に下降し、ラインヘッド41のノズル面より離間する。
【0080】
そして、図14(b)に示すように、凸部72aの係止により支持アーム72の下降が停止し、押さえローラ52が離間位置に停止する。以降は、押さえローラ52は搬送ベルト25と非接触となり、吊り下げられた状態となる。また、押さえローラ52を近接位置に戻す場合は、プラテン搬送機構14を記録位置まで上昇されることで、押さえローラ52(支持アーム72)が直線的に斜め上に押し上げられて復帰する。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同等な効果をえることができる。尚、本実施形態においても、前述した第2の実施形態と同様なストッパ機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…インクジェットプリンタ、2…供給部、3…搬送機構、4…記録部、5…移動機構、6…排出部、7…装置フレーム、11…記録媒体、12…給紙トレイ、13…供給搬送機構、14…プラテン搬送機構、15…排出搬送機構、21…ピックアップローラ、22…レジストローラ対、23…搬送フレーム、24…ローラ、25…搬送ベルト、26…プラテン、27…ファン、29…昇降アーム、30…コロ、31アーム軸、32…排出ローラ対、35…昇降アーム、41,41K,41C,41M,41Y)…ラインヘッド、42,42K,42C,42M,42Y…ヘッド保持部材、43…ヘッドフレーム、44…ギャップ調整部材、51…記録媒体押さえローラ部、52…押さえローラ、53…支持アーム(ローラ支持部材)、53a…凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルからなるノズル面を有する記録ヘッドと、
少なくとも1つ以上の前記記録ヘッドを配列して保持するヘッド保持部材と、
前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向して、該ノズル面下を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を上昇させて前記記録ヘッドにより記録を行うように近接される第1の位置と、前記搬送機構を下降させて前記記録ヘッドと該搬送機構との間にスペースを空けるように離間させる第2の位置との間で、前記搬送機構を昇降可能に保持する移動機構と、
少なくとも前記記録媒体の幅以上の長さを有し、前記搬送機構の移動に従い、前記第1の位置で前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で、通過する前記記録媒体を自重により押さえ、前記第2の位置で前記記録ヘッドのノズル面から離間する記録媒体押さえローラ部と、
を具備することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側において、通過する前記記録媒体の浮き上がりを押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に回動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、回動により移動して前記押さえローラを垂直方向より搬送方向上流側に傾くように支持する、アーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記支持アームのそれぞれに宛がわれる複数の突起部と、
前記突起部を複数設けられ、該突起部が前記支持アームと当接した状態でスライド移動するスライドガイド部材と、
前記スライドガイド部材を搬送方向下流側にスライド移動させるスライド移動部と、
で構成され、
前記第1の位置において、前記突起部で前記支持アームを係止した状態の時に、前記搬送機構を下降させても、前記押さえローラが前記第1の位置における係止状態を維持することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で通過する前記記録媒体の浮き上がりを自重により押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に垂直移動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、前記押さえローラを垂直方向に下降させて、前記記録ヘッドのノズル面から前記押さえローラを離間するように支持する、屈曲部を有するアーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で通過する前記記録媒体の浮き上がりを自重により押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に斜め移動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、前記押さえローラを斜め下方向に下降させて、前記記録ヘッドのノズル面から前記押さえローラを離間するように支持する、アーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルからなるノズル面を有する記録ヘッドと、
少なくとも1つ以上の前記記録ヘッドを配列して保持するヘッド保持部材と、
前記記録ヘッドの前記ノズル面に対向して、該ノズル面下を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を上昇させて前記記録ヘッドにより記録を行うように近接される第1の位置と、前記搬送機構を下降させて前記記録ヘッドと該搬送機構との間にスペースを空けるように離間させる第2の位置との間で、前記搬送機構を昇降可能に保持する移動機構と、
少なくとも前記記録媒体の幅以上の長さを有し、前記搬送機構の移動に従い、前記第1の位置で前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で、通過する前記記録媒体を自重により押さえ、前記第2の位置で前記記録ヘッドのノズル面から離間する記録媒体押さえローラ部と、
を具備することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側において、通過する前記記録媒体の浮き上がりを押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に回動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、回動により移動して前記押さえローラを垂直方向より搬送方向上流側に傾くように支持する、アーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記支持アームのそれぞれに宛がわれる複数の突起部と、
前記突起部を複数設けられ、該突起部が前記支持アームと当接した状態でスライド移動するスライドガイド部材と、
前記スライドガイド部材を搬送方向下流側にスライド移動させるスライド移動部と、
で構成され、
前記第1の位置において、前記突起部で前記支持アームを係止した状態の時に、前記搬送機構を下降させても、前記押さえローラが前記第1の位置における係止状態を維持することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で通過する前記記録媒体の浮き上がりを自重により押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に垂直移動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、前記押さえローラを垂直方向に下降させて、前記記録ヘッドのノズル面から前記押さえローラを離間するように支持する、屈曲部を有するアーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記記録媒体押さえローラ部は、
前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で通過する前記記録媒体の浮き上がりを自重により押さえる押さえローラと、
各一端が前記押さえローラの両端をそれぞれに回転可能に支持し、各他端が前記ヘッド保持部材に斜め移動可能に取り付けられ、前記移動機構が前記第1の位置にある場合に、前記押さえローラを前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側で揺動可能に支持し、前記移動機構が前記第2の位置に移動する場合に、前記押さえローラを斜め下方向に下降させて、前記記録ヘッドのノズル面から前記押さえローラを離間するように支持する、アーム形状を成す支持アームと、で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−194676(P2011−194676A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63118(P2010−63118)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
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