説明

インクジェットプリンタ

【課題】インクタンク内に存在する泡の量を減少させることのできるインクジェットプリンタが求められている。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、インクを貯留するインクタンク2と、このインクタンク2から供給されるインクを被印刷物Pの表面に向けて噴射するプリントヘッド3と、プリントヘッド3から噴射されたインクのうち印刷に使用されないインクKrを回収しインクタンク2に戻すインク回収手段4とを有していて、インク回収手段4は、インクタンク2のインク回収方向上流側に配備された前受けタンク44と、前受けタンク44へ回収される時のインクの泡立ちを低減させる泡立ち防止手段5と、前受けタンク44の底部とインクタンク2の底部とを連通する連結管12と、加熱により前受けタンク44内の消泡を行なう加熱消泡手段90または90Aとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの泡の発生を押さえ、泡による前受けタンクからインクタンクへのインクの溢れ出しや、泡の巻き込みによる不具合を防止し、前受けタンクの吸排気口からインクが溢れ出すことのないインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に大別すると、インクジェットプリンタは、連続的にインクの液滴を吐出し、帯電およびその電荷量に応じてインク飛行方向を偏向させて印字を行うコンティニュアス方式と、必要な位置に必要なときだけインク液滴を吐出するDOD(ドロップ・オン・デマンド)方式とに分類される。
これらのインクジェットプリンタにおいては、プリンタの吐出特性に応じた粘度や表面張力等の物性値に適宜調製されたインクが使用されている。そして、インクに要求される種々の特性のなかでも、インクを流動させたときの泡の発生は、インク回収時の回収不良や吐出の不安定性を招き、吸排気口からインクが溢れ出すなど、好ましくない特性となっている。
【0003】
特に、コンティニュアス方式のプリンタにおいて、ガターからインクを回収する過程で減圧にてインクの回収を行う際には、インクとともに空気をも吸引して多量の泡を発生させるため、インクが発泡性を持っている(または消泡性を持っていない)ことは大きな問題となる。
従って、泡を発生しやすい原料を用いてインクを調製する場合、あるいは仕上がった処方が泡を多量に発生するような場合は、泡の発生を抑えるためにシリコン系消泡剤等の消泡成分が添加されることが多い。
【0004】
特許文献1には、このようなコンティニュアス方式のプリンタに使用される発泡性の少ないインクについて記載されている。これらは、使用する材料によって発泡性を少なくする試みである。
また、特許文献2には、DOD方式のインクジェットプリンタにおける排出液の発泡の対応について消泡剤の使用と消泡手段が記載されている。しかしながら、DOD方式におけるメンテナンス用のインク排出に伴うものであるため、対象とするインク量は少なく、断続的なインク回収となっている。すなわち、ほぼ連続的にインクを回収するコンティニュアス方式のインクジェットプリンタにおけるインク回収とは、あまりにも回収形態が異なる。前記したような消泡剤の使用は泡の発生を顕著に抑えることができるため、対応策として好ましい方法ではあるが、インクの用途においては、印字後の消泡剤の影響によるはじきや、ピンホール発生による印字の不適正が問題になることがある。また、使用用途によっては消泡剤自体の使用が制限される分野もある。更に、水性のインクにおいては、一般的に使用される消泡剤であるシリコン樹脂のエマルジョンが、温度変化や経時において安定な分散性をなくして消泡性を失ったり、あるいはエマルジョンの破壊によりインク容器や送液の配管の一部に付着、堆積する等の発生を生じることがある。
【0005】
そこで、泡の発生しやすいインクを用いた場合でも、泡の発生による回収タンクからのインクの溢れ出しや、吐出不良をなくすための技術が必要とされる。このような泡の発生を低減させる方式のインクジェットプリンタとしては、特許文献3に開示されたものが知られている。図5に示すように、文献3開示のインクジェットプリンタ100は、プリントヘッド3のノズル31のノズルプレート33から噴射されたインクKdのうち、印刷に供されるものは偏向飛行して被印刷物P50の表面に噴射される。一方、噴射されたインクKdのうち、印字に無関係な、飛行軌道の修正を受けないインク滴Kdは、インク回収手段40のガター41で収受され回収ポンプ80の駆動により回収管42から吸引回収される。このインク回収手段40で回収されたインクは、気体供給装置70によって空気が供給されることにより加圧されるとともに、霧噴出口62からインクタンク2内に霧状に噴出される。このようにして、インクタンク2に戻されたインクKrは、ポンプ9の駆動により、必要に応じて溶剤タンク8からの溶剤とともにメインタンク10に移送されて粘度調整され、更にポンプ11の駆動によりフィルタなどを経てプリントヘッド3に送られて再利用される。このインクジェットプリンタ91によれば、回収されてインクタンク2に戻されるインクに気体供給装置70からの空気の圧力が加えられ、インクおよび空気が霧噴出口62からインクタンク2内に噴射されることによって霧状にされる。これにより、インクタンク2内に泡があったとしても霧滴により消泡されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−238849号公報
【特許文献2】特開2009−160896号公報
【特許文献3】特開2001−293886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、泡発生が非常に多いインクをコンティニュアス方式のインクジェットプリンタに使用する場合は、以下のような問題が懸念される。すなわち、インクタンク内で発生した泡はインクの液面上方に存在するので、この泡の影響によりインクの液体部分の残量検知が困難になることが多々ある。そして、インク残量の検知が不正確なままであると、インクの液体部分がなくなっても、泡の存在によってインク残量が誤表示されてしまうことがある。これにより、インク残量の表示が不正確になるため、インクの供給が不足した場合であるにも拘わらず、インクの供給不足警告が発せられないという事態を生じるおそれがある。あるいは、通常、インクの液体部分の上方にのみ存在する泡部分は、インクの液体部分の量が十分であればメインタンクにまで混入しない。しかしながら、インクタンクにおいてインクの液体部分が底をつくと、泡部分も巻き込まれてメインタンクまで移動してしまうことがある。すなわち、折角、泡の発生を抑制したにも拘わらず、泡をメインタンクまで到達させて、吐出の不安定やインク粘度の検知不良、あるいは関連する弁開閉の検知異常を誘発させるという問題を生じさせる。また、インクタンクには、インクの流出入によるタンク内圧の変動を抑制する空気抜きの目的で、外部と連通する給排気口が形成されているが、その給排気口から接続管路を通ってインクが溢れ出すという問題も生じさせる。一方で、インクジェットプリンタにて印字する用途は多種多様になっており、インクにも種々の特長ある特性が求められるようになっている。そして、使用されるインクは、材料の制約や特性の制約から、必ずしも発泡性の少ないインクばかりとは限らない。そこで、発泡性があっても安定な動作を行なえるようなインクジェットプリンタが嘱望されている。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、回収されてインクタンクに戻されたインクが泡立って漏れ出てしまうことのないインクジェットプリンタの提供を目的とする。また、インク回収時の泡立ちを低減させるとともに、インクタンクにおけるインク残量検知が泡に妨害されないようにし、インク残量検知の不正確さや、インク残量検知の不正確に起因するメインタンクへの泡の混入を防止することを目的とする。そして、メインタンクへの泡の混入を防ぐことで、安定した印字を継続させるものである。更には、インクの供給不足による無印字を含む印字トラブルを未然に防ぐことを目的とする。加えて、インクタンク内に存在する泡の量を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係るインクジェットプリンタは、インクを貯留するインクタンクと、このインクタンクから供給されるインクを被印刷物の表面に向けて噴射するプリントヘッドと、このプリントヘッドから噴射されたインクのうち印刷に使用されないインクを回収し前記インクタンクに戻すインク回収手段とを有していて、このインク回収手段は、インクタンクのインク回収方向上流側に配備された前受けタンクと、この前受けタンクへ回収される時のインクの泡立ちを低減させる泡立ち防止手段と、前受けタンクの底部と前記インクタンクの底部とを連通する連結管と、加熱により前受けタンク内の消泡を行なう加熱消泡手段と、を備えているものである。
【0010】
また、前記構成において、泡立ち防止手段は、回収したインクを前受けタンクの内周壁面ないしインク液面に向けて霧状に噴出させる霧噴出機構を備えていて、この霧噴出機構は、インク噴出角度がインク液面に対し0度を超え90度以下となるように配置されているものである。
【0011】
そして、請求項2における霧噴出機構は、回収したインクに気体を供給して加圧する気体供給装置と、前受けタンク内のインク液面上方位置に配備されて回収インクおよび気体供給装置からの気体を霧状に噴出する噴射ノズルと、前受けタンク内の気体を抜き出すために前受けタンクに形成された気体抜出し口と、この気体抜出し口と気体供給装置の気体吸込み側とを連通する吸込み側管路と、を備えているものである。
【0012】
また、請求項1〜3における加熱消泡手段が、噴射ノズルの噴出方向上流側に配備されて噴射ノズルに流入する回収インクおよび気体を加熱するノズル入側ヒータで構成されているものである。
【0013】
更に、請求項1〜3における加熱消泡手段が、前受けタンク内のインク液面上方位置に配備されたタンク内ヒータで構成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るインクジェットプリンタによれば、インクタンクのインク回収方向上流側の前受けタンクと、この前受けタンクへのインクの泡立ちを低減させる泡立ち防止手段とを備えているので、前受けタンクで泡立ち防止手段により回収インクの泡立ちを低減化することができる。そして、前受けタンクの底部とインクタンクの底部とを連通する連結管とを備えているので、前受けタンクの底部に溜まった回収インクの液体部分のみを、タンク底面から連結管を通してインクタンクに流入させることができる。従って、泡をインクタンクに流入させることがない。ひいては、このインクがプリントヘッドで再利用されるから、安定した印字を継続させることができ、インクの供給不足による無印字を含む印字トラブルを未然に防ぐこともできる。特に、加熱により前受けタンク内の消泡を行なう加熱消泡手段を備えているので、泡立ち防止手段による泡立ち低減化作用に加えて、加熱消泡手段による破泡作用も奏することができる。従って、前受けタンク内に存在する泡の量を大幅に減少させることができる。
【0015】
また、泡立ち防止手段を構成する霧噴出機構が、インク噴出角度がインク液面に対し0度を超え90度以下となるように配置されているものでは、インクの液面上方に在る泡にインクの霧滴を確実に当てて、泡を効率よく消泡することができる。
【0016】
そして、霧噴出機構が、気体供給装置と、噴射ノズルと、前受けタンクの気体抜出し口と、吸込み側管路とを備えているものでは、気体供給装置により気体が回収インクに混入されて圧力が更に高められるので、噴射ノズルから確実にインクの霧滴を噴出することができる。また、前受けタンク内の気体を循環使用するので、外気を導入した場合のように排気処理手段を設ける必要がなく、気体抜出し口および吸込み側管路という簡素な構成により気体供給を行なうことができる。
【0017】
また、噴射ノズルの噴出方向上流側にノズル入側ヒータが配備されているものでは、噴射直前の気体および回収インクを加熱することで気体が大きく膨張するため、回収インクが霧状に噴出しやすくなることから泡になりにくく、且つ、泡を拡大破裂させる効果も高くなる。また、前受けタンク内の空気温度を変化させることで、前受けタンク内に存在する泡表面の表面張力バランスを崩して一層泡を破裂させやすくすることができ、高い消泡効果を得ることができる。
【0018】
更に、前受けタンク内のインク液面上方位置にタンク内ヒータが配備されているものでは、タンク内ヒータに接触する泡自体を直接加熱することで、泡の拡張力がその表面張力に打ち勝ち、または乾燥により破裂させる消泡作用をもたらす。また、タンク内ヒータ周辺の温度が上がることで、ヒータ近傍に存在する泡表面の表面張力バランスを崩して一層泡を破裂させやすくすることができ、高い消泡効果を得ることができる。
【0019】
従って、本発明のインクジェットプリンタでは、消泡成分を含有しないインクを使用しても、上記構成により、前受けタンク内の泡を低減化することができ、インクタンクひいてはプリンタヘッドに泡を含むインクを供給することがなく、インクを含んだ泡が前受けタンクの吸排気口から溢れ出すといったことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【図2】前記インクジェットプリンタの前受けタンクの側断面図である。
【図3】図2におけるA−A線矢視で示した一部断面を含む前受けタンクおよびインクタンクの正面図である。
【図4】前記前受けタンクをインクタンクとして用いた比較例となるインクジェットプリンタの部分構成を示す概略構成図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るインクジェットプリンタの実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す概略構成図、図2は前記インクジェットプリンタの前受けタンクの側断面図、図3は図2におけるA−A線矢視で示した一部断面を含む前記前受けタンクおよびインクタンクの正面図である。
各図において、この実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、インクを貯留するインクタンク2と、インクタンク2からメインタンク10を経て供給されるインクを被印刷物P(例えば鶏卵)の表面に向けて噴射するプリントヘッド3と、プリントヘッド3から噴射されたインクのうち印刷に使用されないインク滴Kdを回収してインクインク2に戻すためのインク回収手段4とを備えている。
【0022】
前記のインク回収手段4は、プリントヘッド3の前部に配備されたガター41と、一端がガター41に接続された回収管42と、回収管42の途中に配備された例えばダイヤフラム駆動式の回収ポンプ43と、回収管42が接続されてインクタンク2のインク回収方向上流側に配備された前受けタンク44と、前受けタンク44へ回収される時のインクの泡立ちを低減させる泡立ち防止手段5と、前受けタンク44とインクタンク2のそれぞれの底面を連通する連結管12と、前受けタンク44内のインク液面k1の上方位置に配備されたタンク内ヒータ90とから構成されている。タンク内ヒータ90は、例えば棒状カートリッジヒータ(例えば容量20W)で具現化される。このタンク内ヒータ90には、電源装置および制御装置(いずれも図示省略)とつながる給電用配線91が接続されており、タンク内ヒータ90の表面温度は例えば40℃程度に制御される。
【0023】
前記のプリントヘッド3は、ノズル31と、ピエゾ振動子32と、ノズルプレート33と、帯電電極34と、検知電極35と、偏向電極36とを備えた、コンティニュアス方式のプリントヘッドである。このプリントヘッド3では、ノズル31のノズルプレート33から噴射されたインクが、帯電電極34で帯電されて液滴状になり、偏向電極36により、印字に必要なインク滴Kdのみが帯電電荷量に応じて偏向され被印刷物Pの表面に向けて吐出される。一方、印字に無関係なインク滴Kdは、そのまま直進してインク回収用のガター41に飛び込み吸引により回収される。
【0024】
前記の前受けタンク44は、上面に形成されたインク供給口部28と装着口部46がキャップ29と係止用蓋47により蓋止される密閉容器として構成されている。装着口部46はその開口軸心が水平方向に対し角度θぶん傾かせて形成されている。インク供給口部28はインク補充用でありキャップ29によって開閉自在に封止される。円盤状の係止用蓋47はその中心部に噴射ノズル61が貫通して取り付けられている。係止用蓋47には、気体抜出し口71を有するジョイント73が貫通して取り付けられている。このジョイント73は吸込み側管路72を介して回収ポンプ43の吸込み側の回収管42に接続されている。この係止用蓋47は装着口部46に螺止される。前受けタンク44の底面の一部は下向きに陥没した深底部45となっており、深底部45の下底面44Cと残りの上底面44Bとから成る2段底となっている。下底面44Cには、連通口50を有するジョイント口金49が貫通して取り付けられている。
【0025】
前記のインクタンク2は、部品共用の観点から、前受けタンク44と同じ形状、構造の本体容器が使用される。すなわち、本体容器上面に、キャップ29と係止用蓋47で蓋止されるインク供給口部28と装着口部46(いずれも図示省略)が形成されている。また、インクタンク2の底面も下底面2Cと上底面2Bとから成る2段底になっている。下底面2Cには、連通口52を有するジョイント口金51が貫通して取り付けられている。既述した連結管12はジョイント口金49とジョイント口金51とに接続されている。係止用蓋47(図示省略)には供給管13が貫通して設けられており、供給管13の一端は上底面2Bの直上位置で開口している。そして、前受けタンク44とインクタンク2はプリンタケーシング48の上面内側に横並びに取り付けられており、それぞれの下底面2C,44Cがほぼ同じ高さ位置H2となるように配置されている。
【0026】
前記した供給管13の他端開口14は粘度調整器30付きのメインタンク10内に開口している。供給管13の途中には、開閉弁22とポンプ9が配備されている。ポンプ9の吸込み側には、溶剤Sを収容した溶剤タンク8からの供給管21が連結され、供給管21に開閉弁23が設けられている。メインタンク10に収容されたインクKは液面センサー55により液面高さが検出される。そして、メインタンク10の下部とプリントヘッド3のノズル31とは供給管15で連結されている。供給管15には、インクKをプリントヘッド3に送るポンプ11、ストレーナ16、および、プリントヘッド3に供給するインクの量を調節するレギュレータ17が配備されている。また、前受けタンク44、インクタンク2、溶剤タンク8のそれぞれの上部には、外部と連通する吸排気用配管57が接続されている。
【0027】
上記の泡立ち防止手段5は回収時のインクを泡立たせないようにして前受けタンク44に戻すものであるが、本実施形態において具体的には、回収したインクを前受けタンク44の内周壁面44Aないしインク液面k1に向けて霧状に噴出させる霧噴出機構6を備えることにより構成されている。この霧噴出機構6は、回収ポンプ43と、回収ポンプ43吐出側の回収管42と、前受けタンク44内でインクKrの液面k1の上方位置に設けられた噴射ノズル61と、回収したインクに気体を供給して加圧する気体供給装置7とを備えている。
【0028】
気体供給装置7は、前受けタンク44内の気体(大部分が空気)を抜き出すための気体抜出し口71を有するジョイント73と、気体抜出し口71と気体供給装置7の気体吸込み側とを連通する吸込み側管路72と、ポンプ吸込み側の回収管42と、回収ポンプ43とから構成される。気体供給装置7により、回収したインクに加圧エアーを供給するようになっている。このように気体供給装置7が、回収されたインクにエアーを圧入することにより、回収インクを前受けタンク44に霧状に噴出させるようになっている。
【0029】
そして、噴射ノズル61は、ガター41から回収されたインク滴Kdと気体供給装置7からの気体(ほとんどが空気)を霧状の霧滴Kfにして前受けタンク44内に噴出するようになっている。噴射ノズル61は、その軸心Cとインク液面k1(=水平線Bの方向)との間のインク噴出角度θが例えば45度となる配置で前受けタンク44の係止用蓋47に取り付けられている。このインク噴出角度θは0度を超え90度以下であれば特に限定されない。インク噴出角度θが0度の場合は、液面K1の上方にある泡Wを多量に消泡できないことから、消泡量が泡発生量に追いつかず44内に泡Wが充満してしまう。また、霧噴出機構6の霧噴出口62は、前受けタンク44内に近づくほど内径が細くなるように形成され、これにより回収されたインクが前受けタンク44内に霧状に噴出されるようになっている。
【0030】
そして、インクタンク2には、収容されたインクKrの液面k2の液面高さHを検出する液面センサー18が設けられている。この液面センサー18は、インクKrに浮くフロート19により液面高さHを検出するように構成されており、フロート19の上下作動範囲Rが前受けタンク44の下底面44Cよりも上方位置となるように配置されている。すなわち、液面センサー18は、前受けタンク44中の液体部分のインクの液面高さが、上方の残留泡を連結管12に吸い込ませないような、下底面44cから十分な高さ位置、例えば下底面44cから1〜2cm上の高さ位置に配置される。この1〜2cmの高さ位置は、インクタンク2の液面センサー18のフロート19で液面高さを検出するために必要な揺動角度を確保するための高さである。
【0031】
更に、インクジェットプリンタ1は制御装置20を備えており、制御装置20はCPU25を中心構成とされ、メモリ26およびタイマ27を有している。制御装置20のデータ入力側には、液面センサー18からの信号線が接続されている。制御装置20のデータ出力側には、インクタンク2内のインク不足に係る警報を発する警報装置24への信号線が接続されている。メモリ26には、インクタンク2中のインクKrの下限液面高さ値である所定液面高さH1値と、印刷動作停止のための所定時間Tが、予め設定入力され格納されている。
【0032】
上記のように構成されたインクジェットプリンタ1の作用を次に説明する。
インクジェットプリンタ1において、プリントヘッド3のノズル31から吐出されたインクKdは被印刷物Pの表面に噴射される。一方、ノズルプレート33から噴射されたインクKdのうち、印字に無関係な、偏向を受けないインク滴Kdは、ガター41に吸い込まれて回収される。このガター41に回収されたインクは、回収管42を通り回収ポンプ43により前受けタンク44へ送られる。同時に回収ポンプ43によって吸込み側管路72からの気体も供給されることによりインクが加圧される。このように加圧されたインクおよび気体が、噴射ノズル61において絞られている霧噴出口62により霧状の霧滴Kfにされて前受けタンク44内に噴出される。このようにして、前受けタンク44に戻されたインクKrのうち、泡Wを含まない液体部分のインクKrのみが連通管12を通ってインクタンク2に流入する。そして、ポンプ9の駆動によりインクタンク2からメインタンク10に移送されたのち、ポンプ11の駆動によりストレーナ16およびレギュレータ17を経てプリンタヘッド3に送られ使用される。因みに、ガター41からの回収インク量は例えば5mL/分であり、回収ポンプ43から吐出される空気量は例えば5L/分である。
【0033】
そうして、液面センサー18により検出されたインクタンク2内のインクKrの液面高さH値が所定液面高さH1値を下回ったとき、制御装置20のCPU25は、警報装置24に指令信号を出力して警報を発報させ、タイマ27を起動して計時を開始させる。そして、計時された時間が警報発報から所定時間T経過してもインクタンク2の液面高さH値が所定液面高さH1値以上にならないとき、印刷動作を停止させる指令信号をプリントヘッド3、回収ポンプ43、ポンプ9,11、開閉弁22,23などに出力する。これにより、インクジェットプリンタ1が停止されるので、インクの供給不足による無印字を含む印字トラブルを未然に防ぐことができる。
【0034】
従って、上記した構成のインクジェットプリンタ1によれば、回収されて前受けタンク44に戻されるインクに、気体供給装置7の回収ポンプ43によって圧力が加えられるとともに、噴射ノズル61における霧噴出口62の絞り構造によりインクに加えられる圧力が更に高められる。これにより、回収インクを前受けタンク44内に向けて確実に霧状の霧滴Kfにして噴出することができる。
【0035】
その結果、消泡性を有するインクを使用しない場合も含め、すなわちあらゆるインクを使用した場合であっても、回収インクが前受けタンク44に戻される時に、前受けタンク44内の泡を消すことができる。従って、泡が堆積して前受けタンク44から泡が漏れ出すといった不具合を防ぐことができる。
【0036】
また、霧噴出機構6の噴射ノズル61は、インク噴出角度θが水平面Bに対し45度に配置されているので、インクKrの液面上方に在る泡Wにインクの霧滴Kfを確実に当てて泡Wを効率よく消泡することができる。そして、前受けタンク44内の気体を循環使用するので、気体抜出し口71および吸込み側管路72という簡素な構成により気体供給を行なうことができる。前記した気体抜出し口71は噴出ノズル61の直上位置に設けられているので、噴射ノズル61から噴出されたインクの霧滴Kfにより泡Wが消された空間から気体が抜き出されて気体供給装置7の回収ポンプ43に吸引されるので、泡の液体分を吸引しないから気体の量が相対的に多くなって加圧力が高くなり、よりいっそう確実にインクの霧滴を発生させて泡を消すことができる。
【0037】
特に、このインクジェットプリンタ1では、前受けタンク44内のインク液面k1の上方位置(この例ではキャップ29)にタンク内ヒータ90が配備されているので、タンク内ヒータ90と接触する泡W自体を直接加熱することができる。これにより、泡Wの拡張力がその表面張力に打ち勝ち、または、乾燥により破裂させる消泡作用をもたらす。また、タンク内ヒータ90の周辺温度が上がるので、タンク内ヒータ90の近傍に存在する泡W表面の表面張力バランスを崩すことができる。その結果、一層泡Wを破裂させやすくすることができ、高い消泡効果を持つものとなる。すなわち、タンク内ヒータ90が、加熱により前受けタンク44内の泡Wの消泡を行なう加熱消泡手段の一例を構成している。ひいては、前受けタンク44内の泡Wが気体抜出し口71や吸排気用配管57のタンク開口に届かないから、これらの口を経て泡Wが前受けタンク44から溢れ出すことを防止できる。
【0038】
また、インクタンク2の下底面2Cと前受けタンク44の下底面44Cとを連通する連結管12を備えているので、前受けタンク44の底部44Cに溜まった回収インクKrの液体部分のみを、タンク底面から連結管12を通してインクタンク2に流入させることができる。従って、泡Wをインクタンク2に流入させることがない。そして、これらの下底面2C,44Cは同じ高さ位置H1となるように配置されているので、前受けタンク44内のインクの液体部分の量の多少に拘わらず、前受けタンク44内のインクKrを連結管12からインクタンク2へ流入させることができる。
【0039】
このように、前受けタンク44の次にインクタンク2を経由させることで、メインタンク10への泡の混入を防止することができる。従来は泡の発生によりインク供給の検知時点の不安定を招いていたが、インクの供給警告の確実な検知が可能となる。尚、インクタンク2を省略して、前受けタンク44にフロートセンサーを設ける方法も、泡の混入やインク供給の不足による警告が可能であるが、インクの液体部分が不足した場合、インクタンク2の緩衝作用がないため、警報を発するとほぼ同時にプリンタの稼働を停止する必要がある。警告が発せられてから、必ずしもプリンタの管理担当者が瞬時にインクの供給ができるとは限らない。従って、供給対応に余裕をもたさないと、稼働中のプリンタの印字を猶予なく停止させてしまい、印字ラインの稼働率を下げてしまう。あるいは、逆に余裕を持たせ過ぎプリンタ停止を遅らせ過ぎると、メインタンク10に泡を混入させることになる。このような緩衝作用をインクタンク2は有しているのである。
【0040】
本発明のインクジェットプリンタは、発泡性のインクであっても使用することができる。この発泡性のインクとしては、消泡剤の使用をしないもので、特に水性のインクにおいては、消泡剤のエマルション状態の不安定性を有することのないインクとして使用できる。従って、温度変化におけるエマルションの破壊等のない分散安定性が確保される。このような消泡成分を含有しないインクは、空気が吹き込まれた際に、発泡前の液面高さの5倍以上の高さに泡が成長するインクである。このインク200mLを1Lの円筒容器に入れて空気を吹き込むと、インクの泡が円筒容器から溢れ出る。このような発泡性を有するインク材料としては、水性のインクにおいて、多量の色素分や多糖類が例示される。そして、これらを多量に溶解させるようなインクにおいて発泡性が顕著となる。このようなインクは、鉄クロロフィリンナトリウムを2.0重量%以上、印字後の濃度をさらに濃くするために、好ましくは4%以上含有するインクである。
【0041】
本発明は、前記の発泡性を制御するプリンタと鉄クロロフィリンナトリウムを2.0重量%以上含有するインクジェットインクが、消泡成分を含まない材料で構成されたものであり、このインクを用いて、例えば食品または食品包装である被印刷物Pの表面に好適にマーキング印刷を行なうことができる。
また、発泡性のあるインクジェットインクとして、鉄クロロフィリンナトリウム2〜6重量%、プロピレングリコール10〜25重量%、糊料0.01〜1重量%、水 残部からなるインクであり、使用される湖料がヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の天然物からの誘導体となっている食品添加物ないし食品素材とより構成したインクであることより、卵の卵殻へのマーキングに適するものとなる。
【0042】
本発明では、消泡成分を含まないインクにおいても、プリンタにおける発泡によるインクのあふれ出しや吐出の不安定に対応できる。泡の発生については、通常のインクタンクに相当する容器を仮定したときに、インク中に空気をバブリングさせる方法において、インク量の液面高さにおいて5倍以上の泡の成長をするようなインクにおいても対応できるものである。前記インクにおいては、鉄クロロフィリンナトリウムの含有量を増加させることで発泡性が顕著となり、鉄クロロフィリンナトリウムの含有量として3.5重量%を超えると、泡の高さがインクの液面高さの5倍以上をはるかに超え、インクのあふれ出しに至る場合が多い。
【0043】
そして、消泡剤を用いることによって発生すると推定されるプリンタ内での配管への消泡剤の一部残留、プリンタ内温度変化によって生ずる消泡剤のエマルションの状態変化、さらには破壊、そして、それに伴う、ノズルからの微妙な不均一吐出、インクのドット形成時の切れ等の微妙な変化を、前記のインクは消泡剤を用いないことにより対応できる。また、印字後のドット形成、はじき等を、上記のようにしてマーキングすることにより、発泡性が高いにも拘わらずインクの泡によるあふれ、インク残量検知の不安定さの解消、それにともなう泡の混入による印字不良の防止、インクの供給不足による無印字発生の防止が可能となる。
【実施例】
【0044】
上記インクジェットプリンタ1に、下記する実施例1〜実施例5の処方のインクを使用して、印字の安定性を確認した。実施例1〜実施例5の処方により調製したインクは、鉄クロロフィリンナトリウム2〜6重量%と、プロピレングリコール10〜25重量%と、糊料(例えばヒドロキシプロピルセルロースまたはアルギン酸ナトリウム)0.01〜1重量%と、残量の水とを含んで成るインクであり、消泡成分は含んでいない。これらに対し、消泡成分としてシリコン系消泡剤を0.2重量%含有するインクを比較例1,2として調製した。これらの実施例および比較例のインクの使用したときのインクジェットプリンタ1の状態と各インクの物性を、下記の表1に示す。表中で「バブリングの泡高さ」は、1Lの円筒容器に試料インク200mLを入れて空気を吹き込み、空気吹き込み前の液面高さに対する泡の高さを測定したものである。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示した結果から明らかなように、この実施形態のインクジェットプリンタ1に用いた実施例1〜5のインクは、バブリングの泡高さが5倍以上であるにも拘わらず、インクジェットプリンタ1において、前受けタンク44からインクタンク2への泡の巻き込みはなかった。また、500時間運転後のプリンタ配管部やフィルタ部での異物付着は観察されず、常温使用時のガターの汚れも見られなかった。
これに対し、インクジェットプリンタ1に用いた比較例1,2のインクは、バブリングの泡高さが1.5倍以下であるが、プリンタ配管部やフィルタ部に消泡剤に起因したシリコンの付着が見られた。また、ガターにも微量ではあるが汚れが付着していた。但し、前受けタンク44からインクタンク2への泡の巻き込みはなかった。
【0047】
インクジェットプリンタ1の前受けタンク44が泡立ち防止手段5を備えているが、インクタンク2の液面センサー18を省略した場合でも、実施例1〜5のインクおよび比較例1,2のインクのいずれも前受けタンク44からインクタンク2への泡の漏れは生じていない。
一方で、泡立ち防止手段5を全く備えていない場合、実施例1〜5のインクは前受けタンク44からインクタンク2への泡の洩れが発生したが、比較例1,2のインクでは前受けタンク44からインクタンク2への泡の洩れはなかった。
【0048】
因みに、図4に示したインクジェットプリンタ1aのように、既述のインクジェットプリンタ1から液面センサー18付きのインクタンク2を省略した構成を採った場合(溶剤タンク8は記載を省略)を考える。この場合、前受けタンク44に十分な量のインクKrが収容されているときは、前受けタンク44からメインタンク10への泡Wの移動は比較的少なくプリンタ稼動に問題はない。但し、前受けタンク44内は、多量の泡W,W,W,・・・の存在があってインク供給口部28を開けても、インクKrの液量を確認できない状態となっている。そのために、インク補給の適切なタイミングを逸することがあった。そうして、図4に示した状態のように、前受けタンク44内のインクKrの量が少なくなってきたときは、前受けタンク44内の泡Wが供給管13を通ってメインタンク10のインクK中に大量に移送されてしまい、メインタンク10内が泡Wだらけになり、この泡Wがプリントヘッド3に供給されて印刷不良を引き起こすというおそれがある。
【0049】
尚、本発明に係るインクジェットプリンタは、前記のような構成に限定されるものではなく、以下のような構成であってもよい。タンク内ヒータ90に替えて、図1および図2中に2点鎖線で示したように、例えば噴射ノズル61の噴出方向上流側に隣接した直前位置の回収管42に取り付けられたノズル入側ヒータ90Aであっても構わない。このノズル入側ヒータ90Aは、回収管42の周囲を囲むように取り付けられた筒状カートリッジヒータ(例えば容量20W)で具現化され、ノズル入側ヒータ90Aの表面温度は、インク性能を劣化させない温度例えば40℃程度に制御される。このインクジェットプリンタにおいては、噴射ノズル61の噴出方向上流側にノズル入側ヒータ90Aが配備されているので、噴射直前の気体および回収インクを加熱することで気体を大きく膨張させて噴出圧を高めることができる。それにより、回収インクが霧状に噴出しやすくなることから、泡Wになりにくく、且つ、泡Wを拡大破裂させる効果も高められる。また、前受けタンク44内の空気温度を変化させることで、前受けタンク44内に存在する泡W表面の表面張力バランスを崩して一層泡Wを破裂させやすくすることができ、高い消泡効果を持たせることができる。すなわち、ノズル入側ヒータ90Aは、加熱により前受けタンク44内の泡Wの消泡を行なう加熱消泡手段の別例を構成する。無論、ノズル入側ヒータ90Aと、既述したタンク内ヒータ90の双方を同時に併用しても構わない。
【0050】
また、霧噴出機構6は、前記のように、気体供給装置7、および噴射ノズル61の霧噴出口62の全てを備えて構成されているものに限定されず、気体供給装置7、または噴射ノズル61の霧噴出口62のどちらか一方を備えている構成であってもよい。
【0051】
また、インクタンク2中のインクの液面高さを検出する液面センサーとして、上記では、フロート19により液面高さを検出する方式のものを例示したが、それ以外に、例えば電流により液面を検出する方式や、光により液面を検出する方式のものなどを適宜選定して用いることができる。但し、上記したフロート式の液面センサー18を用いることが、液面高さを確実に反映して検出できる点で好ましい。これは、電流検出方式による電極でのインクの電気分解や電着の発生に起因するインクの劣化や凝集の発生、あるいは光検出方式によるインクタンク壁面の汚れ等に起因するインク面の確認不良などの問題を生じるおそれがないためである。
【符号の説明】
【0052】
1 インクジェットプリンタ
2 インクタンク
2C 下底面
3 プリントヘッド
4 インク回収手段
5 泡立ち防止手段
6 霧噴出機構
7 気体供給装置
12 連結管
42 回収管
43 回収ポンプ
44 前受けタンク
44A 内周壁面
44C 下底面
47 係止用蓋
61 噴射ノズル
62 霧噴出口
71 気体抜出し口
72 吸込み側管路
90 タンク内ヒータ(加熱消泡手段)
90A ノズル入側ヒータ(加熱消泡手段)
C 軸心
K インク
Kr 回収されたインク
Kd インク滴
k1 液面
B 水平線
P 被印刷物
W 泡
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するインクタンクと、このインクタンクから供給されるインクを被印刷物の表面に向けて噴射するプリントヘッドと、このプリントヘッドから噴射されたインクのうち印刷に使用されないインクを回収し前記インクタンクに戻すインク回収手段とを有していて、このインク回収手段は、インクタンクのインク回収方向上流側に配備された前受けタンクと、この前受けタンクへ回収される時のインクの泡立ちを低減させる泡立ち防止手段と、前受けタンクの底部と前記インクタンクの底部とを連通する連結管と、加熱により前受けタンク内の消泡を行なう加熱消泡手段を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
泡立ち防止手段は、回収したインクを前受けタンクの内周壁面ないしインク液面に向けて霧状に噴出させる霧噴出機構を備えていて、前記霧噴出機構は、インク噴出角度がインク液面に対し0度を超え90度以下となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
霧噴出機構は、回収したインクに気体を供給して加圧する気体供給装置と、前受けタンク内のインク液面上方位置に配備されて回収インクおよび気体供給装置からの気体を霧状に噴出する噴射ノズルと、前受けタンク内の気体を抜き出すために前受けタンクに形成された気体抜出し口と、この気体抜出し口と気体供給装置の気体吸込み側とを連通する吸込み側管路と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
加熱消泡手段が、噴射ノズルの噴出方向上流側に配備されて噴射ノズルに流入する回収インクおよび気体を加熱するノズル入側ヒータで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
加熱消泡手段が、前受けタンク内のインク液面上方位置に配備されたタンク内ヒータで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166363(P2012−166363A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26941(P2011−26941)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(391040870)紀州技研工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】