説明

インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置

【課題】積層したヘッドチップで構成されるインクジェットヘッドにおいて、小型軽量で、かつ安価なインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】 インク流路12から導入したインクが、ヘッドチップブロック50を構成するが、個別のインク流路を持たない複数のヘッドチップ2、5に対しても流入するための貫通穴やヘッドチップ側面に形成された導入孔などの経路を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出してイメージを被記録媒体に記録するインクジェット記録装置に用いるインクジェットヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット記録装置が知られており、このインクジェットヘッドは多数のノズル、圧力発生部やインク導入孔で構成された1つのユニットとするものがよく使用される。このようなインクジェットヘッドのうち、複数列に配したノズル群や圧力発生群を有するインクジェットヘッドは公知であり、その一例として位置をずらして2列に配したノズル列を有するインクジェットヘッドユニットの概略断面図を図12、ヘッドチップブロックの平面図を図13、インクジェットヘッド全体の概略断面図を図14、に示す。
【0003】
図に示すように、圧電セラミックプレート2および5には、複数の溝3が並設され、各溝3は、側壁で分離されている。
各溝3の長手方向一端部は圧電セラミックプレート2および圧電セラミックプレート5の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。
【0004】
また、圧電セラミックプレート2および5の溝3の開口側には、各溝3の浅くなった端部と連通する共通インク室32、33を構成するインク室プレート7および10がそれぞれ接合されて2つのヘッドチップが形成され、この2つのヘッドチップの圧電セラミックプレート2、5同士を接合し、ヘッドチップブロック50が構成されている。
【0005】
ヘッドチップブロック50の端面には、ノズルプレート15が接合されており、ノズルプレート15の各溝3に対向する位置にはノズル孔16が形成されている。ノズルプレート15とヘッドチップブロック50はヘッドキャップ17によって固定され、圧電セラミックプレート2、5上に形成された図示しない電極と駆動回路基板はフレキシブル基板によって接続されている。
【0006】
さらに、2つのインク室プレート7、10上には、共通インク室32、33にインクを供給するためのインク流路34、35がそれぞれ固定され、インク流路34、35の中央部にはインク導入のためのインク導入ジョイント39、40が形成されている。インク導入ジョイント39、40には印字中の圧力変動を吸収するための圧力緩和ユニット41、42がそれぞれ接続されている。また、このインク流路34、35には、ノズル孔16に異物が流れ込むことを防ぐためのフィルタ36、37が固定されている。
【0007】
このように構成されるインクジェットヘッドでは、圧力緩和ユニット41、42、インク流路34、35を介し、各溝3内にインクを充填し、所定の駆動電界を作用させると、溝3内の容積が変化し、これにより、溝3内のインクがノズル孔16から吐出する。つまり、インク流路34、インク室プレート7と圧電セラミックプレート2にインクが流れる経路が一組となっており、同様にしてインク流路35、インク室プレート10と圧電セラミックプレート5にインクが流れる経路が一組となって、それぞれ独立する構成となっている。つまり、積層したヘッドチップブロック50に対して、2つのインク流路を有する構造となっている。
【特許文献1】特開2001−315333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のインクジェットヘッドの場合、インク流路34、インク室プレート7と圧電セラミックプレート2にインクが流れる経路が一組で、同様にしてインク流路35、インク室プレート10と圧電セラミックプレート5にインクが流れる経路が一組となって、それぞれ独立する構成となっているので、一つのヘッドチップブロック50に対し、2つのインク流路が必要であり、さらにそれに付随する圧力緩和ユニットも2つ必要となる。これによって、インクジェットヘッドの厚み方向のサイズが大きくなり、重量も軽量化できず、かつ部品点数も多くなるためコストも大きくなるという問題がある。
【0009】
また、このようなインクジェットヘッドを複数搭載し、インクジェット記録装置を構成しようとする場合、取り付け面積が大きくなり、また、重量も大きくなるという課題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、インクジェットヘッドの小型・軽量化が可能で、かつ安価にてインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の第一の態様は、ノズル孔に連通して並設された複数の溝を有する第一のアクチュエータ基板と、溝のそれぞれにインクを供給する第一のインク室を有する第一のインク室プレートと、からなる少なくともひとつの第一のヘッドチップと、
インク供給部と第一のインク室とをつなぐインク流路と、ノズル孔に連通して並設された複数の溝を有する第二のアクチュエータ基板と、第二のアクチュエータ基板に設けられた溝のそれぞれにインクを供給する第二のインク室を有する第二のインク室プレートと、
インク流路と第二のインク室とをつなぐインク供給手段とからなる、ひとつ以上の第二のヘッドチップと、からなるインクジェットヘッドにある。このような構成にすることによって、インク供給部と直接個別につながっていないヘッドチップにもインクを供給することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明では、たとえば一つのインク流路から導入したインクがヘッドチップブロックを構成するすべてのヘッドチップに対しインクを導入できる構造とするため、インクジェットヘッドを小型軽量化ができ、かつ、部品点数も減らすことができるため、安価にてインクジェットが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係るインクジェットヘッド全体の正面図で、図2は、本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッド全体の概略断面図である。図3は、実施形態1に係る本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの吐出圧力発生部周辺を示す分解図、図4(a)は実施形態1にインクジェットヘッドのヘッドチップブロックの平面図、図4(b)実施形態1にインクジェットヘッドのヘッドチップブロックのA−A′矢視断面図である。図5は、実施形態1に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図で、図6、図7はそれぞれ図5のC-C'矢視断面図、D−D′矢視断面図である。
【0014】
図示するように、本実施形態1のインクジェットヘッド1は、ヘッドチップブロック50と、この一方面側に設けられるインク流路12と、ヘッドを駆動するための駆動回路等が搭載された回路基板22と、ヘッドチップブロック50内の圧力変化を緩和させる圧力緩和ユニット19とを有し、これらの各部材は、それぞれベース18に固定されている。この圧力緩和ユニット19は、インク流路12の中央に設けられている流路ジョイント26を介し、インク流路12に接続され、ヘッドチップブロック50内にインクを導入する構造となっている。
【0015】
続いて吐出のための圧力発生源となるヘッドチップブロック50周辺の詳細について説明する。ヘッドチップブロック50を構成するアクチュエータ基板である圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5には、ノズル孔16に連通する複数の溝3が並設され、各溝3は、側壁6で隔離されている。
【0016】
各溝3の長手方向の一端部は圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の一端面まで延設されており、他端部は、他端面まで延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。
また、各溝3の幅方向両側の側壁6には、溝3の開口側に長手方向に亘って駆動電界印加用の電極4が形成されている。
【0017】
圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5に形成される各溝3は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状により形成されてしまう。また、各溝3内に形成される電極4は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。このような溝3の両側の側壁6の開口側に設けられた電極4には、フレキシブル基板20の一端が接合され、フレキシブル基板20の他端側は、回路基板22上の図示しない駆動回路に接合されることで、電極4は駆動回路に電気的に接続されている。
【0018】
圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の溝3の外側にはそれぞれ2箇所ずつインク孔14が形成されており、また、インク室プレートA7およびインク室プレートB10の外側にはそれぞれ2箇所ずつインク室孔9と11が形成されている。
【0019】
さらに、圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の溝3の開口側には、インク室プレートA7およびインク室プレートB10がそれぞれ接合されている。インク室プレートA7およびインク室プレートB10には、厚さ方向に貫通して形成されたインク室A8およびインク室B21が並設された溝3全体に亘って設けられている。圧電セラミックプレートA2とインク室プレートA7が接合された部材と、圧電セラミックプレートB5とインク室プレートB10が接合された部材が、それぞれの圧電セラミックプレートA2と圧電セラミックプレートB10の溝3が加工されていない面同士を向かい合わせ積層され、ヘッドチップブロック50が形成され、インク室A8およびインク室B21が外側になるようになっている。
【0020】
また、本実施形態では、インク流路12と接合されているヘッドチップ(圧電セラミックプレートA2、インク室プレートA7)を第一のヘッドチップとし、インク流路12と接合されていないヘッドチップ(圧電セラミックプレートB5、インク室プレートB10)を第二のヘッドチップとしている。
【0021】
また、本実施形態では、ヘッドチップを2個結合させてインクジェットヘッドを形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のヘッドチップを結合させ、そのうちの少なくともひとつのヘッドチップにインク流路を設けることに特徴がある。
【0022】
そして、本実施形態では圧電セラミックプレートA2と圧電セラミックプレートB10の溝3が等間隔でずれるように千鳥状に配列する位置に接合され、同時にインク孔14とインク室孔9、11がそれぞれ重なり合い、貫通する位置になっている。本実施形態では溝3が千鳥状に配列したが使用目的に合わせて同一位置に接合しても全く問題ない。また、本実施形態では、ヘッドチップブロック50の両端2ヵ所にインク孔14およびインク室孔9、11を設けた場合について説明したが、どちらか一方でも、2つ以上であっても問題なく、貫通する孔の数に限定されるものではない。そして、インク室9、11はインク室A8およびインク室B21の一部に設けた場合について説明したが、特に位置に限定されるものではない。
【0023】
さらに、インク室プレートA7およびインク室プレートB10は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレートとの接合後の変形を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いることが好ましい。
【0024】
また、圧電セラミックプレートA2、圧電セラミックプレートB5とインク室プレート7、インク室プレートB10とで形成されるヘッドチップブロック50の溝3が開口している端面には、ノズルプレート15が接合されており、ノズルプレート15の各溝3に対向する位置にはノズル孔16が形成されている。
【0025】
本実施形態では、ノズルプレート15は、ヘッドチップブロック50の溝3が開口している端面の面積よりも大きくなっている。このノズルプレート15は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル孔16を形成したものである。また、図示しないが、ノズルプレート15の被印刷物に対向する面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が設けられている。
【0026】
さらに、ヘッドチップブロック50の各溝3が開口している端面側の外周面には、ノズルプレート15を支持するヘッドキャップ17が接合されている。このヘッドキャップ17は、ノズルプレート15の接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート15を安定して保持するためのものである。そして、このような構成のヘッドチップブロック50、ヘッドキャップ17は、ベース18に接合固定されている。
【0027】
一方、このインク室プレートA7、インク室プレートB10のうち、一方面のインク室プレートA7に、インク流路12が接合されている。インク流路12は、中央に流路ジョイント26が設けられており、圧力緩和ユニット19に接続され、実際のインクは流路ジョイント26を介しインクを供給する仕組みとなっている。また、インク流路12には、インク室プレートA7に相対向する部分に、インク内に混在した、例えば、ゴミ等を除去するための孔径8ミクロンの流路フィルタ13が各溝3の並設方向に亘って設けられている。
【0028】
そして、本実施形態のインクジェットヘッドでは、例えば、初期充填時等にインク供給部であるインクタンクからのインクが圧力緩和ユニット19に充填され、更に、流路ジョイント26を介しインク流路12内にインクが導入される。さらに、インクは、流路フィルタ13を通過し、インク室プレートA7に到達して、一部はインク室A8に流れ圧電セラミックプレートA2の各溝3に充填される。また、もう一部のインクはインク室プレートA7の両端に形成されたインク室孔9、インク孔14およびインク室プレートB10の両端に形成されたインク室孔11を通過し、インク室B21にインクが満たされ、圧電セラミックプレートB5の各溝3にインクが充填される。圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の各溝3に通過したインクは、ノズル孔16に到達し、インクの吐出が可能な状態になる。尚、ここではインク充填のための方法について詳細な説明を省略したが、ノズル孔16側からの吸引ポンプ(図示せず)による減圧によって行う場合でも、また、圧力緩和ユニット19側からの加圧ポンプ(図示せず)による加圧によって行う場合のどちらも問題なく、インク充填は可能である。
【0029】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットヘッドでは、ヘッドチップブロック50を貫通するインク室孔9、11およびインク孔14で構成するインク供給手段が設けられているため、インク室プレートA7、または、インク室プレートB10のどちらか一方に一つのインク流路12を設置すれば圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の両方の溝3にインクを充填できる仕組みとなっており、インクジェットヘッドを小型軽量化ができ、かつ、部品点数も減らすことができるため、安価にてインクジェットが提供できる。
【0030】
次に、実施形態1に係るインクジェットヘッドに関連して、より印字の均一性を向上させた場合について説明する。図8は実施形態2に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図で、図9は実施形態2に係る図8のE−E′矢視断面図である。図示するように、本実施形態2のインクジェットヘッドは、実施形態1の構造に類似しているが、インク流路12を接合したインク室プレートA7ともう一方のインク室プレートB10にかかるインクの流路抵抗を均一化するために、インク室プレートA7にはインク導入孔25が設けられた流路調整板A23を接合し、もう一方のインク室プレートB10には流路調整板B24を接合した構造とした。そして、本実施形態のインクジェットヘッドでは、例えば、初期充填時等にインクタンクからのインクが圧力緩和ユニット19に充填され、更に、流路ジョイント26を介しインク流路12内にインクが導入される。さらに、インクは、流路フィルタ13を通過し、インク流路12と流路調整板A23で形成される空隙に満たされる。続いてインクは流路調整板A23の両端に形成されたインク導入孔25を通過し、インク室プレートA7に到達して、一部はインク室A8に流れ圧電セラミックプレートA2の各溝3に充填される。また、もう一部のインクはインク室プレートA7の両端に形成されたインク室孔9、インク孔14およびインク室プレートB10の両端に形成されたインク室孔11を通過し、流路調整板24とインク室プレートB10で形成される空隙となるインク室B21にインクが満たされ、圧電セラミックプレートB5の各溝3にインクが充填される。したがって、流路調整板A23とインク室A8で形成される空隙と、流路調整板B24とインク室B21で形成される空隙がインク流路12から受ける圧力がより均一にできるため、圧電セラミックプレートA2と圧電セラミックプレートB5の駆動によって吐出する性能の均一化が可能となる。
【0031】
尚、本実施形態ではインク室プレートB10上に流路調整板24を設けたが、ベース18に直接インク室プレート面を接合し、流路調整板24を省略しても機能上は問題ない。
【0032】
次に、図10は、実施形態3に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図で、図11(a)は、実施形態3に係るインクジェットヘッドのヘッドチップブロックの平面図、図11(b)B−B´矢視断面図である。
【0033】
図示するように、本実施形態3のインクジェットヘッドは、実施形態1のインクジェットヘッドと基本構成は類似しており、積層したヘッドチップブロック51の一方面側に設けられるインク流路31の構造が変わっており、2つの圧電セラミックプレートA2とB5にインクを供給する経路が違っている構造である。
【0034】
さらに詳細について説明する。圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の溝3の開口側には、インク室プレートA52およびインク室プレートB53がそれぞれ接合されており、インク室プレートA52およびインク室プレートB53には、厚さ方向に貫通して形成されたインク室A54およびインク室B55が並設された溝3全体に亘って設けられ、インク室A54とインク室B55の外側に外周部と繋がるようにチップ側壁溝A27とチップ側壁溝B28がそれぞれ設けられている。
【0035】
圧電セラミックプレートA2とインク室プレートA52が接合された部材と、圧電セラミックプレートB5とインク室プレートB53が接合された部材が、それぞれの圧電セラミックプレートA2と圧電セラミックプレートB5の溝3が加工されていない面同士を向かい合わせ積層され、ヘッドチップブロック51が形成され、インク室A54およびインク室B55が外側になるようになっている。そして、本実施形態では圧電セラミックプレートA2と圧電セラミックプレートB10の溝3が等間隔でずれるように千鳥状に配列する位置に接合されている。
【0036】
さらに、インク室プレートA52およびインク室プレートB53にそれぞれインク室カバーA29インク室カバーB30が接合され、チップ側壁溝A27とチップ側壁溝B28の両側が開口した構造となっている。
【0037】
一方、このインク室プレートA52、インク室プレートB53のうち、一方面のインク室プレートA52側から、インク流路31が接合されており、インク流路31の両端はチップ側壁溝A27とチップ側壁溝B28で形成される開口部を被うような構造となっている。
【0038】
そして、本実施形態のインクジェットヘッドでは、例えば、初期充填時等にインクタンクからの供給されたインクがインク流路31内にインクが導入され、インクは、流路フィルタ13を通過し、インク室カバーA29に到達して、さらに、インク導入路56を経由し、チップ側壁溝A27とチップ側壁溝B28にインクが満たされる。続いて、インクはインク室A54およびインク室B55に導入された後、圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の各溝3に通過したインクは、ノズル孔16に到達し、インクの吐出が可能な状態になる。尚、ここではインク充填のための方法について詳細な説明を省略したが、ノズル孔16側からの吸引ポンプ(図示せず)による減圧によって行う場合でも、また、圧力緩和ユニット19側からの加圧ポンプ(図示せず)による加圧によって行う場合のどちらも問題なく、インク充填は可能である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットヘッドでは、インク室プレートA52、または、インク室プレートB53のどちらか一方に一つのインク流路31を設置すれば圧電セラミックプレートA2および圧電セラミックプレートB5の両方の溝3にインクを充填できる仕組みとなっているため、インクジェットヘッドを小型軽量化ができ、かつ、部品点数も減らすことができるため、安価にてインクジェットヘッドが提供できる。
【0040】
ここで、図15に本願のインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置を示す。インクジェットヘッド1は、一対のガイドレール72a,72b上の軸方向に移動自在なキャリッジ81に搭載されており、インクチューブ71を介してインク供給部であるインクタンク80からインクを供給し、ガイドレール72a,72bの一端側に設けられてキャリッジ駆動モータ73に連結されたプーリ74aと、他端側に設けられたプーリ74bとに掛け渡されたタイミングベルト75を介して搬送される。インクジェットヘッド1の搬送方向と直交する方向の両側には、ガイドレール72a,72bに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ76及び77(被記録媒体搬送手段)が設けられている。これらの搬送ローラ76、77は、インクジェットヘッド1の下方に当該インクジェットヘッド1の搬送方向とは直交する方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0041】
このようなインクジェット記録装置により、被記録媒体Sを送りつつインクジェットヘッド1をその送り方向とは直交方向に走査することにより、被記録媒体S上に文字及び画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッド全体の正面図
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッド全体の概略断面図
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの吐出圧力発生部周辺を示す 分解図
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドのヘッドチップブロックの平 面図及びA−A′矢視断面図
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図
【図6】本発明の実施形態1に係る図5のC−C′矢視断面図
【図7】本発明の実施形態1に係る図5のD−D′矢視断面図
【図8】本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図
【図9】本発明の実施形態2に係る図8のE−E′矢視断面図
【図10】本発明の実施形態3に係るインクジェットヘッドの要部の概略正面図
【図11】本発明の実施形態3に係るインクジェットヘッドのヘッドチップブロックの 平面図及びE−E′矢視断面図
【図12】従来のインクジェットヘッド要部の概略断面図
【図13】従来のインクジェットヘッドのヘッドチップブロックの平面図
【図14】従来のインクジェットヘッド全体の概略断面図
【図15】本発明のインクジェット記録装置
【符号の説明】
【0043】
1 インクジェットヘッド
2 圧電セラミックプレートA(第一のヘッドチップ)
3 溝
4 電極
5 圧電セラミックプレートB(第二のヘッドチップ)
6 側壁
7 インク室プレートA(第一のヘッドチップ)
8 インク室A
9 インク室孔
10 インク室プレートB(第二のヘッドチップ)
11 インク室孔
12 インク流路
13 流路フィルタ
14 インク孔
15 ノズルプレート
16 ノズル孔
17 ノズルキャップ
18 ベース
19 圧力緩和ユニット
21 インク室B
23 流路調整板A
24 流路調整板B
25 インク導入孔
29 インク室カバーA
34、35 インク流路
41、42 圧力緩和ユニット
50 ヘッドチップブロック
56 インク導入路
80 インクタンク(インク供給部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル孔に連通して並設された複数の溝を有する第一のアクチュエータ基板と、
前記溝のそれぞれにインクを供給する第一のインク室を有する第一のインク室プレートと、
からなる少なくともひとつの第一のヘッドチップと、
インク供給部と前記第一のインク室とをつなぐインク流路と、
ノズル孔に連通して並設された複数の溝を有する第二のアクチュエータ基板と、前記第二のアクチュエータ基板に設けられた前記溝のそれぞれにインクを供給する第二のインク室を有する第二のインク室プレートと、
前記インク流路と前記第二のインク室とをつなぐインク供給手段とからなる、ひとつ以上の第二のヘッドチップと、からなるインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記第一のヘッドチップの個数が、前記第二のヘッドチップの個数よりすくない請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記第一のヘッドチップの個数が1つである請求項1又は2記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記インク供給手段が、前記ヘッドチップを構成する部材に形成した貫通穴である請求項1から3のいずれか1項記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記インク供給手段が、前記ヘッドチップの側面の導入穴である請求項1から3のいずれか1項記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記第一のインク室内に、前記第一のインク室内と前記第二のインク室内のインク流れを均一にする流路調整板を設けた請求項1から5のいずれか1項記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部と、前記インクジェットヘッドからインクが吐出される被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と、からなるインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−50687(P2007−50687A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59007(P2006−59007)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】