インクジェットヘッドの製造方法
【課題】インクジェットヘッドの駆動部間に残存する圧電体を除去してクロストークを低減させることができ、薄型化された駆動部を有するインクジェットヘッドが製造できるインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、インクが収容される複数のチャンバ、チャンバに圧力を提供する駆動部を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、チャンバに隣接するインクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、チャンバの位置に対応して圧電体が残存するように、圧電体をダイシングして駆動部を形成する工程と、隣り合う駆動部間に残存する圧電体が除去されるように、インクジェットヘッドの一面をエッチングする工程と、を含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、インクが収容される複数のチャンバ、チャンバに圧力を提供する駆動部を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、チャンバに隣接するインクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、チャンバの位置に対応して圧電体が残存するように、圧電体をダイシングして駆動部を形成する工程と、隣り合う駆動部間に残存する圧電体が除去されるように、インクジェットヘッドの一面をエッチングする工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
インクジェットプリンタは、電気的信号を物理的力に変換してノズルを介してインク液滴を吐出することにより印刷が行われる装置である。インクジェットヘッドは、チャンバ、リストリクタ、ノズル、及び圧電体などの多様な部品をそれぞれの層に加工し、これらを互いに接合する方式で製作することができる。
【０００３】
このようなインクジェットヘッド技術は、従来の紙や繊維に印刷するグラフィックインクジェット産業分野だけでなく、最近のプリント基板、ＬＣＤパネルなどの電子部品の製作にも使用されるなど、その適用が拡大されている。
【０００４】
しかし、従来のグラフィックプリント技術に比べて、機能性インクを正確かつ精度よく吐出しなければならない電子部品用インクジェットプリント技術には、従来のインクジェットヘッドには要求されなかった機能が要求される。例えば、吐出液滴のサイズや速度の偏差などが基本的に要求されており、それ以外にも、生産量を増加させるための高密度のノズル及び高周波数特性が要求されている。これら要求に応じて薄型化されたインクジェットヘッドの駆動部に対する開発が必要とされている。
【０００５】
一方、図１は従来技術によるインクジェットヘッド１２を示す正断面図である。図１に示すように、従来の圧電体は、インクジェットヘッドの一面に接合された後、それぞれのチャンバ６上にて独立した駆動部２として駆動されるように、ダイシング（dicing）を行った。
【０００６】
この時、それぞれの駆動部２を完全に切断すると、インクジェットヘッド１２のシリコーン基板４に大きなストレスを与えることになる。しかし、この問題から、圧電体を完全に切断しないと、図１に示すように、隣り合うそれぞれの駆動部２が互いに連結されて、クロストーク（crosstalk）を誘発する恐れがあった。
【０００７】
さらに、ダイシング工程時、インクジェットヘッドへのストレスのために薄い切断刃（Saw blade）を用いて二回のダイシング工程を行うと、隣り合う駆動部間に壁（wall）形態の圧電体の残存物８が残って、クロストークの原因となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
こうした従来技術の問題点を解決するために、本発明は、クロストークを低減させ、薄型化された駆動部を有するインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明の一実施形態によれば、インクが収容される複数のチャンバと、チャンバに圧力を提供する駆動部と、を含むインクジェットヘッドを製造する方法であって、チャンバに隣接するインクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、チャンバの位置に対応して圧電体が残存するように、圧電体をダイシングして駆動部を形成する工程と、隣り合う駆動部間に残存する圧電体が除去されるように、インクジェットヘッドの一面をエッチング（etching）する工程と、を含むインクジェットヘッドの製造方法が提供される。
【００１０】
ここで、圧電体を形成する工程は、焼結された圧電体をインクジェットヘッドの一面に接合することにより行われることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の実施例によれば、インクジェットヘッドの駆動部間に残存する圧電体を除去してクロストークを低減させ、薄型化された駆動部を有するインクジェットヘッドを製造することができる。
【００１２】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】従来技術によるインクジェットヘッドを示す正断面図である。
【図２】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す側断面図である。
【図３】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの製造方法を示す順序図である。
【図４】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図５】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図６】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す正断面図である。
【図７】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの一部を示す正断面図である。
【図８】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの一部を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の特徴及び利点が以下の図面と発明の実施の形態により明確になるが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【００１５】
本発明によるインクジェットヘッドの製造方法の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応の構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【００１６】
図２は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す側断面図である。図２に示すように、インクジェットヘッド１００は、リザーバ１１１、リストリクタ１１３、チャンバ１１４、メンブレイン１１５、駆動部１９０、及びノズル１１６を含むことができる。
【００１７】
リザーバ１１１はインクを収容しており、リストリクタ１１３を介してインクをチャンバ１１４に供給する。リザーバ１１１には流入口１１２を介してインクジェットヘッド１００の外部からインクが供給されることができる。流入口１１２はチャンバ１１４と共に第３プレート３０に形成されることができ、リザーバ１１１は第２プレート２０に形成されることができる。
【００１８】
リストリクタ１１３は、リザーバ１１１と後述するチャンバ１１４とを連結させ、リザーバ１１１からチャンバ１１４にインクを供給するチャンネルとしての機能を行うことができる。リストリクタ１１３はリザーバ１１１と共に第２プレート２０に形成されることができる。
【００１９】
リストリクタ１１３は、リザーバ１１１よりも小さな断面積を有するように形成され、後述する駆動部１９０によりチャンバ１１４に圧力が提供されるとリザーバ１１１からチャンバ１１４に供給されるインクの流れを制御することができる。
【００２０】
チャンバ１１４の一端はリストリクタ１１３に連結され、他端はノズル１１６に連結される。チャンバ１１４は、インクジェットヘッド１００の内部に形成されインクを収容し、その上面はメンブレイン１１５でカバーされる。
【００２１】
複数のチャンバ１１４は、長手方向にインクジェットヘッド１００の内部に形成されることができる。それにより、上述したリザーバ１１１も長手方向に延びて複数形成されることができ、リストリクタ１１３もそれぞれのチャンバ１１４とリザーバ１１１との間に形成されることができる。
【００２２】
ノズル１１６は、それぞれのチャンバ１１４の他端に連結され、チャンバ１１４に収容されているインクをインクジェットヘッド１００の外部に吐出する通路として機能することができる。ノズル１１６は第１プレート１０に形成されることができる。
【００２３】
チャンバ１１４の位置に対応するインクジェットヘッド１００の一側、すなわちメンブレイン１１５の上面に駆動部１９０を結合することができる。駆動部１９０は振動を発生させ、この振動をメンブレイン１１５を介してチャンバ１１４に伝達することにより、チャンバ１１４に圧力を供給することができる。メンブレイン１１５は第４プレート４０に形成されることができる。
【００２４】
インクジェットヘッド１００の一側には、駆動部１９０に電圧を印加するための上部電極（図示せず）及び下部電極（図示せず）を結合することができる。
【００２５】
上述したノズル１１６、チャンバ１１４、リストリクタ１１３、及びリザーバ１１１を含むインクジェットヘッド１００は、それぞれの構成要素が形成されている第１プレート１０、第２プレート２０、第３プレート３０、及び第４プレート４０を積層することで形成できる。第１プレート１０、第２プレート２０、第３プレート３０、及び第４プレート４０は、シリコン基板であることができる。以下、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法を説明する。
【００２６】
図３は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００製造方法を示す順序図である。図３に示すように、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法は、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面に、焼結された圧電体４００を接合する工程（Ｓ１００）、チャンバ１１４の位置に対応して圧電体４００をダイシングし駆動部１９０を形成する工程（Ｓ２００）、及び隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されるようにインクジェットヘッド１００の一面をエッチングする工程（Ｓ３００）を含んでおり、インクジェットヘッド１００の駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されることによりクロストークを低減でき、かつ薄型化された駆動部１９０を有するインクジェットヘッド１００を製造することができる。
【００２７】
図４及び図５は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００を示す平面図である。図３を参照すると、ステップＳ１００で、図４に示すように、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面に、焼結された圧電体４００を接合する。
【００２８】
チャンバ１１４はインクジェットヘッド１００の内部に形成されており、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面、具体的に、インクジェットヘッド１００の上面に、焼結された圧電体４００が接合されることができる。
【００２９】
焼結された圧電体４００はバルク（bulk）形態であって、バルク形態の圧電体４００がチャンバ１１４の位置に対応してインクジェットヘッド１００の上面に接合されることができる。圧電体４００は接着剤などを用いてインクジェットヘッド１００の上面に接合されてもよい。
【００３０】
ステップＳ２００で、図５に示すように、それぞれのチャンバ１１４の位置に対応して、隣り合って形成される駆動部１９０間に圧電体４００が残存するように圧電体４００をダイシングし駆動部１９０を形成する。上述したように、複数のチャンバ１１４はインクジェットヘッド１００の長手方向に並んで配列されており、ダイシング工程はそれぞれのチャンバ１１４ごとに圧電体４００が分離され駆動部１９０が形成されるように、圧電体４００を切断することができる。
【００３１】
図６は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００を示す正断面図である。図６に示すように、ダイシング工程は、隣り合う駆動部１９０を分離形成するために１回行うことができ、これにより、隣り合う駆動部１９０間に壁（wall）形態の圧電体４００の残存物が形成されることを防止することができる。
【００３２】
ダイシング工程は、圧電体４００が完全に切断されない深さで行われることができる。これは、圧電体４００を完全に切断する際に第４プレート４０に加えられるストレスを最小化するためである。
【００３３】
図７及び図８は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の一部を示す正断面図である。図７に示すように、ダイシング工程を経た隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００の厚さは、後述のエッチング工程により除去される駆動部１９０の厚さと同じであってもよい。これにより、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去すると共に所望の厚さを有する駆動部１９０を形成することができる。
【００３４】
ステップＳ３００で、図８に示すように、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されるように、インクジェットヘッド１００の一面をエッチングする。エッチング工程は、例えば、湿式エッチング（wet etching）方式を行うことにより、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去することができ、これらが物理的に分離されるようにエッチング条件を調節することができる。エッチング液としては、圧電体４００をエッチングできる様々な溶液を適用でき、例えば１ＢＨＦ：２ＨＣｌ：４ＮＨ４Ｃｌ：４Ｈ２Ｏの組成を有する溶液を使用することができる。
【００３５】
したがって、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法は、機械的方法であるダイシング工程の限界を、化学的方法であるエッチングで補完することにより、隣り合う駆動部１９０間を分離することができる。よって、第４プレート４０にストレスを加えることなく、クロストークの発生を防止でき、インクジェットヘッド１００の吐出特性を向上させることができる。
【００３６】
一方、エッチング工程は、インクジェットヘッド１００の一面全体にわたって行われることができ、インクジェットヘッド１００の一面に別途のエッチングレジストを形成する工程は省略可能である。したがって、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去すると共に駆動部１９０の厚さを低減することができる。
【００３７】
結局、焼結されたバルク形態の圧電体４００を使用して薄型化された駆動部１９０を形成でき、インクジェットヘッド１００の駆動電圧を低減させ、インクジェットヘッド１００の周波数特性を向上させることができる。
【００３８】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【００３９】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、及び方法における動作、手順、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【００４０】
１００ インクジェットヘッド
１１４ チャンバ
１１５ メンブレイン
１９０ 駆動部
４００ 圧電体
【技術分野】
【０００１】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
インクジェットプリンタは、電気的信号を物理的力に変換してノズルを介してインク液滴を吐出することにより印刷が行われる装置である。インクジェットヘッドは、チャンバ、リストリクタ、ノズル、及び圧電体などの多様な部品をそれぞれの層に加工し、これらを互いに接合する方式で製作することができる。
【０００３】
このようなインクジェットヘッド技術は、従来の紙や繊維に印刷するグラフィックインクジェット産業分野だけでなく、最近のプリント基板、ＬＣＤパネルなどの電子部品の製作にも使用されるなど、その適用が拡大されている。
【０００４】
しかし、従来のグラフィックプリント技術に比べて、機能性インクを正確かつ精度よく吐出しなければならない電子部品用インクジェットプリント技術には、従来のインクジェットヘッドには要求されなかった機能が要求される。例えば、吐出液滴のサイズや速度の偏差などが基本的に要求されており、それ以外にも、生産量を増加させるための高密度のノズル及び高周波数特性が要求されている。これら要求に応じて薄型化されたインクジェットヘッドの駆動部に対する開発が必要とされている。
【０００５】
一方、図１は従来技術によるインクジェットヘッド１２を示す正断面図である。図１に示すように、従来の圧電体は、インクジェットヘッドの一面に接合された後、それぞれのチャンバ６上にて独立した駆動部２として駆動されるように、ダイシング（dicing）を行った。
【０００６】
この時、それぞれの駆動部２を完全に切断すると、インクジェットヘッド１２のシリコーン基板４に大きなストレスを与えることになる。しかし、この問題から、圧電体を完全に切断しないと、図１に示すように、隣り合うそれぞれの駆動部２が互いに連結されて、クロストーク（crosstalk）を誘発する恐れがあった。
【０００７】
さらに、ダイシング工程時、インクジェットヘッドへのストレスのために薄い切断刃（Saw blade）を用いて二回のダイシング工程を行うと、隣り合う駆動部間に壁（wall）形態の圧電体の残存物８が残って、クロストークの原因となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
こうした従来技術の問題点を解決するために、本発明は、クロストークを低減させ、薄型化された駆動部を有するインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明の一実施形態によれば、インクが収容される複数のチャンバと、チャンバに圧力を提供する駆動部と、を含むインクジェットヘッドを製造する方法であって、チャンバに隣接するインクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、チャンバの位置に対応して圧電体が残存するように、圧電体をダイシングして駆動部を形成する工程と、隣り合う駆動部間に残存する圧電体が除去されるように、インクジェットヘッドの一面をエッチング（etching）する工程と、を含むインクジェットヘッドの製造方法が提供される。
【００１０】
ここで、圧電体を形成する工程は、焼結された圧電体をインクジェットヘッドの一面に接合することにより行われることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の実施例によれば、インクジェットヘッドの駆動部間に残存する圧電体を除去してクロストークを低減させ、薄型化された駆動部を有するインクジェットヘッドを製造することができる。
【００１２】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】従来技術によるインクジェットヘッドを示す正断面図である。
【図２】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す側断面図である。
【図３】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの製造方法を示す順序図である。
【図４】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図５】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図６】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す正断面図である。
【図７】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの一部を示す正断面図である。
【図８】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドの一部を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の特徴及び利点が以下の図面と発明の実施の形態により明確になるが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【００１５】
本発明によるインクジェットヘッドの製造方法の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応の構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【００１６】
図２は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドを示す側断面図である。図２に示すように、インクジェットヘッド１００は、リザーバ１１１、リストリクタ１１３、チャンバ１１４、メンブレイン１１５、駆動部１９０、及びノズル１１６を含むことができる。
【００１７】
リザーバ１１１はインクを収容しており、リストリクタ１１３を介してインクをチャンバ１１４に供給する。リザーバ１１１には流入口１１２を介してインクジェットヘッド１００の外部からインクが供給されることができる。流入口１１２はチャンバ１１４と共に第３プレート３０に形成されることができ、リザーバ１１１は第２プレート２０に形成されることができる。
【００１８】
リストリクタ１１３は、リザーバ１１１と後述するチャンバ１１４とを連結させ、リザーバ１１１からチャンバ１１４にインクを供給するチャンネルとしての機能を行うことができる。リストリクタ１１３はリザーバ１１１と共に第２プレート２０に形成されることができる。
【００１９】
リストリクタ１１３は、リザーバ１１１よりも小さな断面積を有するように形成され、後述する駆動部１９０によりチャンバ１１４に圧力が提供されるとリザーバ１１１からチャンバ１１４に供給されるインクの流れを制御することができる。
【００２０】
チャンバ１１４の一端はリストリクタ１１３に連結され、他端はノズル１１６に連結される。チャンバ１１４は、インクジェットヘッド１００の内部に形成されインクを収容し、その上面はメンブレイン１１５でカバーされる。
【００２１】
複数のチャンバ１１４は、長手方向にインクジェットヘッド１００の内部に形成されることができる。それにより、上述したリザーバ１１１も長手方向に延びて複数形成されることができ、リストリクタ１１３もそれぞれのチャンバ１１４とリザーバ１１１との間に形成されることができる。
【００２２】
ノズル１１６は、それぞれのチャンバ１１４の他端に連結され、チャンバ１１４に収容されているインクをインクジェットヘッド１００の外部に吐出する通路として機能することができる。ノズル１１６は第１プレート１０に形成されることができる。
【００２３】
チャンバ１１４の位置に対応するインクジェットヘッド１００の一側、すなわちメンブレイン１１５の上面に駆動部１９０を結合することができる。駆動部１９０は振動を発生させ、この振動をメンブレイン１１５を介してチャンバ１１４に伝達することにより、チャンバ１１４に圧力を供給することができる。メンブレイン１１５は第４プレート４０に形成されることができる。
【００２４】
インクジェットヘッド１００の一側には、駆動部１９０に電圧を印加するための上部電極（図示せず）及び下部電極（図示せず）を結合することができる。
【００２５】
上述したノズル１１６、チャンバ１１４、リストリクタ１１３、及びリザーバ１１１を含むインクジェットヘッド１００は、それぞれの構成要素が形成されている第１プレート１０、第２プレート２０、第３プレート３０、及び第４プレート４０を積層することで形成できる。第１プレート１０、第２プレート２０、第３プレート３０、及び第４プレート４０は、シリコン基板であることができる。以下、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法を説明する。
【００２６】
図３は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００製造方法を示す順序図である。図３に示すように、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法は、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面に、焼結された圧電体４００を接合する工程（Ｓ１００）、チャンバ１１４の位置に対応して圧電体４００をダイシングし駆動部１９０を形成する工程（Ｓ２００）、及び隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されるようにインクジェットヘッド１００の一面をエッチングする工程（Ｓ３００）を含んでおり、インクジェットヘッド１００の駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されることによりクロストークを低減でき、かつ薄型化された駆動部１９０を有するインクジェットヘッド１００を製造することができる。
【００２７】
図４及び図５は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００を示す平面図である。図３を参照すると、ステップＳ１００で、図４に示すように、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面に、焼結された圧電体４００を接合する。
【００２８】
チャンバ１１４はインクジェットヘッド１００の内部に形成されており、チャンバ１１４に隣接するインクジェットヘッド１００の一面、具体的に、インクジェットヘッド１００の上面に、焼結された圧電体４００が接合されることができる。
【００２９】
焼結された圧電体４００はバルク（bulk）形態であって、バルク形態の圧電体４００がチャンバ１１４の位置に対応してインクジェットヘッド１００の上面に接合されることができる。圧電体４００は接着剤などを用いてインクジェットヘッド１００の上面に接合されてもよい。
【００３０】
ステップＳ２００で、図５に示すように、それぞれのチャンバ１１４の位置に対応して、隣り合って形成される駆動部１９０間に圧電体４００が残存するように圧電体４００をダイシングし駆動部１９０を形成する。上述したように、複数のチャンバ１１４はインクジェットヘッド１００の長手方向に並んで配列されており、ダイシング工程はそれぞれのチャンバ１１４ごとに圧電体４００が分離され駆動部１９０が形成されるように、圧電体４００を切断することができる。
【００３１】
図６は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００を示す正断面図である。図６に示すように、ダイシング工程は、隣り合う駆動部１９０を分離形成するために１回行うことができ、これにより、隣り合う駆動部１９０間に壁（wall）形態の圧電体４００の残存物が形成されることを防止することができる。
【００３２】
ダイシング工程は、圧電体４００が完全に切断されない深さで行われることができる。これは、圧電体４００を完全に切断する際に第４プレート４０に加えられるストレスを最小化するためである。
【００３３】
図７及び図８は本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の一部を示す正断面図である。図７に示すように、ダイシング工程を経た隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００の厚さは、後述のエッチング工程により除去される駆動部１９０の厚さと同じであってもよい。これにより、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去すると共に所望の厚さを有する駆動部１９０を形成することができる。
【００３４】
ステップＳ３００で、図８に示すように、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００が除去されるように、インクジェットヘッド１００の一面をエッチングする。エッチング工程は、例えば、湿式エッチング（wet etching）方式を行うことにより、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去することができ、これらが物理的に分離されるようにエッチング条件を調節することができる。エッチング液としては、圧電体４００をエッチングできる様々な溶液を適用でき、例えば１ＢＨＦ：２ＨＣｌ：４ＮＨ４Ｃｌ：４Ｈ２Ｏの組成を有する溶液を使用することができる。
【００３５】
したがって、本発明の一実施例によるインクジェットヘッド１００の製造方法は、機械的方法であるダイシング工程の限界を、化学的方法であるエッチングで補完することにより、隣り合う駆動部１９０間を分離することができる。よって、第４プレート４０にストレスを加えることなく、クロストークの発生を防止でき、インクジェットヘッド１００の吐出特性を向上させることができる。
【００３６】
一方、エッチング工程は、インクジェットヘッド１００の一面全体にわたって行われることができ、インクジェットヘッド１００の一面に別途のエッチングレジストを形成する工程は省略可能である。したがって、隣り合う駆動部１９０間に残存する圧電体４００を除去すると共に駆動部１９０の厚さを低減することができる。
【００３７】
結局、焼結されたバルク形態の圧電体４００を使用して薄型化された駆動部１９０を形成でき、インクジェットヘッド１００の駆動電圧を低減させ、インクジェットヘッド１００の周波数特性を向上させることができる。
【００３８】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【００３９】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、及び方法における動作、手順、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【００４０】
１００ インクジェットヘッド
１１４ チャンバ
１１５ メンブレイン
１９０ 駆動部
４００ 圧電体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
インクが収容される複数のチャンバと、前記チャンバに圧力を提供する駆動部と、を含むインクジェットヘッドを製造する方法であって、
前記チャンバに隣接する前記インクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、
前記チャンバの位置に対応して前記圧電体が残存するように、前記圧電体をダイシングして前記駆動部を形成する工程と、
互いに隣り合う前記駆動部の間に残存する前記圧電体が除去されるように、前記インクジェットヘッドの一面をエッチングする工程と、
を含むインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項２】
前記圧電体を形成する工程は、
焼結された前記圧電体を前記インクジェットヘッドの一面に接合することにより行われることを特徴とする請求項１に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項１】
インクが収容される複数のチャンバと、前記チャンバに圧力を提供する駆動部と、を含むインクジェットヘッドを製造する方法であって、
前記チャンバに隣接する前記インクジェットヘッドの一面に圧電体を形成する工程と、
前記チャンバの位置に対応して前記圧電体が残存するように、前記圧電体をダイシングして前記駆動部を形成する工程と、
互いに隣り合う前記駆動部の間に残存する前記圧電体が除去されるように、前記インクジェットヘッドの一面をエッチングする工程と、
を含むインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項２】
前記圧電体を形成する工程は、
焼結された前記圧電体を前記インクジェットヘッドの一面に接合することにより行われることを特徴とする請求項１に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１０−１０５３８３（Ｐ２０１０−１０５３８３Ａ）
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１３８６１２（Ｐ２００９−１３８６１２）
【出願日】平成２１年６月９日（２００９．６．９）
【出願人】（５９４０２３７２２）サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド． (1,585)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月９日（２００９．６．９）
【出願人】（５９４０２３７２２）サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド． (1,585)
【Ｆターム（参考）】
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