説明

インクジェット印刷装置

【課題】インクジェット印刷装置において、インクミストによる汚れを低減させる。
【解決手段】プラテンベルト222の記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズル214との間隔Dが大きくなる場合、平面視において、インクジェットノノズル214上の各位置から用紙Pの搬送方向の上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔221cの大きさを小さくするように、その少なくとも一つの貫通孔221cの大きさを調節する大きさ調節手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,用紙等の記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置において、カールや、波打ち状に変形した用紙の姿勢を矯正するために、プラテンの表面に吸引力が発生する多数の貫通孔を形成し、プラテン上に多孔性のプラテンベルトを摺動させ、ベルト孔に吸引力を発生させることにより、用紙を吸着搬送することが知られている。
【0003】
特許文献1には、プラテンベルト上面とインクジェットヘッド下面に備えるインクジェットノズルとの間隔(以下、ヘッドギャップという)を用紙の厚さに対応させて調節することにより、プラテンベルトにより吸着搬送される用紙がインクジェットヘッドのノズル面に接触したり、その接触によってジャムが発生したりすることを防止するインクジェット印刷装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記インクジェット印刷装置においては、用紙で閉塞されていないベルト孔がプラテンの貫通孔の上を通過する際、そのベルト孔と貫通孔を介してプラテンベルト上方の空気がプラテン下方に吸い込まれ、プラテンベルト上で気流が発生する。この気流は、ヘッドギャップが大きいほどその発生する範囲が広がり、プラテンベルト上で気流の乱れを発生する虞がある。
【0006】
このような気流の乱れがインクジェットノズルの近傍で発生すると、インク吐出時の微小なインク滴(以下、インクミストという)が飛散して用紙や装置内部に付着し、印刷品質の低下や装置内の汚染の原因となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ヘッドギャップを用紙の厚さに対応させて調節しつつ、インクミストによる汚れも低減させることができるインクジェット印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1のインクジェット印刷装置は、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に作用する負圧により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔(ヘッドギャップ)を変更する間隔変更手段と、その間隔の大きさに基づいて貫通孔の大きさを調節する大きさ調節手段とを備え、大きさ調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体の搬送方の上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の大きさを小さくするように、その少なくとも一つの貫通孔の大きさを調節するものであることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、貫通孔の位置が平面視においてノズル上の特定の位置から最も近いとは、プラテンをインクジェットノズル側から見た場合に、その開口部のインクジェットノズルに近い側の縁とインクジェットノズル上の特定の位置との間の距離が最も小さいことを意味する。以下同じ。
【0010】
貫通孔の大きさとは、貫通孔の断面積を意味する。断面積が場所によって異なる場合は最小断面積を意味する。
【0011】
上記装置において、大きさ調節手段は、上記間隔が大きくなる場合、上記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の大きさを小さくするように、その半数以上の貫通孔の大きさを調節するものであってもよい。
【0012】
また、プラテンが、上部プラテンと下部プラテンからなるものであり、大きさ調節手段が、上部プラテンに対する下部プラテンの位置をずらすことにより、貫通孔の大きさを調節するものであってもよい。
【0013】
また、上記装置は、上記間隔の大きさに基づいて貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段を備え、位置調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その少なくとも一つの貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものであってもよい。
【0014】
ここで、貫通孔の位置が平面視においてインクジェットノズルから離れるとは、プラテンをインクジェットノズル側から見た場合に、その開口部のインクジェットノズルに近い側の縁とインクジェットノズルとの間の距離が大きくなることを意味する。以下同じ。
【0015】
貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するとは、貫通孔とインクジェットノズルの相対的な位置を変更できる種々の態様での調節を広く意味するものであり、たとえば位置が固定されたインクジェットノズルに対して貫通孔の位置を変更することにより相対的な位置を調節する場合や、位置が固定された貫通孔に対してインクジェットノズルの位置を変更することにより相対的な位置を調節する場合や、貫通孔とインクジェットノズルの両方の位置を変更することにより相対的な位置を調節する場合が含まれる。以下同じ。
【0016】
本発明の第2のインクジェット印刷装置は、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に作用する負圧により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔を変更する間隔変更手段と、その間隔の大きさに基づいて貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段とを備え、位置調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体の搬送方向上流側において最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その少なくとも一つの貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
上記装置において、位置調節手段は、上記間隔が大きくなる場合、上記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その半数以上の貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものであってもよい。
【0018】
また、プラテンが、上部プラテンと下部プラテンからなるものであり、位置調節手段が、上部プラテンに対する下部プラテンの位置をずらすことにより、相対的な位置を調節するものであってもよい。
【0019】
本発明の第3のインクジェット印刷装置は、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に発生する吸引力により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔を有するプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させることにより、前記貫通孔を介して前記ベルト孔に吸引力を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、記録媒体が封筒である場合に、封筒の搬送方向と直交する方向の幅が大きいほど搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔が大きくなるようにその間隔を調節する間隔調節手段と、記録媒体が封筒である場合に、上記間隔が大きくなる場合、前記吸引力が発生する領域の記録媒体の搬送方向と直交する方向の幅が大きくなるように、貫通孔の開閉を調節する開閉調節手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1のインクジェット印刷装置によれば、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に作用する負圧により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔を変更する間隔変更手段と、その間隔の大きさに基づいて貫通孔の大きさを調節する大きさ調節手段とを備え、大きさ調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の大きさを小さくするように、その少なくとも一つの貫通孔の大きさを調節する大きさ調節手段とを備えているので、ヘッドギャップが大きくなっても、上記少なくとも一つの貫通孔の大きさを小さくすることによってインクジェットノズル近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0021】
上記装置において、大きさ調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、上記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の大きさを小さくするように、その半数以上の貫通孔の大きさを調節するものである場合には、インクミストによる汚れをより効果的に低減させることができる。
【0022】
また、上記装置が、上記間隔の大きさに基づいて貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段を備え、位置調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その少なくとも一つの貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものである場合には、ヘッドギャップが大きくなっても、上記少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるようにすることによってインクジェットノズル近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0023】
本発明の第2のインクジェット印刷装置によれば、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に作用する負圧により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔を変更する間隔変更手段と、その間隔の大きさに基づいて貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段とを備え、位置調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、平面視において、インクジェットノズル上の各位置から記録媒体の搬送方向上流側において最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その少なくとも一つの貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段とを備えているので、ヘッドギャップが大きくなっても、上記少なくとも一つの貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるようにすることによってインクジェットノズル近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0024】
上記装置において、位置調節手段が、上記間隔が大きくなる場合、上記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の位置がインクジェットノズルから離れるように、その半数以上の貫通孔のインクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものである場合には、インクミストによる汚れをより効果的に低減させることができる。
【0025】
本発明の第3のインクジェット印刷装置によれば、複数のベルト孔を有し、それらのベルト孔に発生する吸引力により記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔を有するプラテンと、プラテンの搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させることにより、前記貫通孔を介して前記ベルト孔に吸引力を発生させる減圧手段と、プラテンに対向させて設けられ、搬送ベルトにより搬送される記録媒体にインクを吐出するインクジェットノズルと、記録媒体が封筒である場合に、該封筒の搬送方向と直交する方向の幅が大きいほど搬送ベルトの記録媒体が吸着される側の面とインクジェットノズルとの間隔が大きくなるようにその間隔を調節する間隔調節手段と、記録媒体が封筒である場合に、上記間隔が大きくなる場合、前記吸引力が発生する領域の記録媒体の搬送方向と直交する方向の幅が大きくなるように、貫通孔の開閉を調節する開閉調節手段とを備えているので、搬送ベルトにおいて吸引力を発生する領域の幅を封筒の幅に対応させて適切に制限することができ、インクジェットノズル近傍での気流の乱れを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】インクジェット印刷装置の概略構成図
【図2】ヘッドホルダの平面図
【図3】ヘッドホルダの斜視図
【図4】プラテンの平面図
【図5】プラテンを上方からみた斜視図
【図6】プラテンを下方からみた斜視図
【図7A】ヘッドギャップが小さい場合の下部プラテンの位置を示す図(その1)
【図7B】ヘッドギャップが大きい場合の下部プラテンの位置を示す図(その1)
【図8A】図7AのB1−B1断面図
【図8B】図7BのB2−B2断面図
【図9A】ヘッドギャップが小さい場合の下部プラテンの位置を示す図(その2)
【図9B】ヘッドギャップが大きい場合の下部プラテンの位置を示す図(その2)
【図10A】ヘッドギャップが小さい場合の下部プラテンの位置を示す図(その3)
【図10B】ヘッドギャップが大きい場合の下部プラテンの位置を示す図(その3)
【図11】封筒の幅に応じたヘッドギャップの設定方法を説明するための図
【図12A】プラテンのデフォルト状態を示す底面図
【図12B】プラテンのデフォルト状態を示す平面図
【図13A】ヘッドギャップが大きい場合のプラテン状態を示す底面図
【図13B】ヘッドギャップが大きい場合のプラテン状態を示す平面図
【図14A】ヘッドギャップが小さい場合のプラテン状態を示す底面図
【図14B】ヘッドギャップが小さい場合のプラテン状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、第1のインクジェット印刷装置の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置1の概略構成図である。インクジェット印刷装置1は、給紙部10、印刷部20、排紙部30、反転部40および制御部50から構成されている。
【0028】
給紙部10は印刷部20に用紙Pを供給するものであり、インクジェット印刷装置1の側面下方に設けられた未印刷の用紙Pを積載する給紙台11、用紙Pを給紙台11から印刷部20へ導く給紙経路12、給紙台11から用紙Pを一枚ずつ取り出す給紙ローラ対13、用紙Pを印刷部20に所定のタイミングで送り込むタイミングローラ対14から構成されている。
【0029】
印刷部20は給紙部10から用紙Pを搬入し、用紙Pにインクを吐出して印刷し、用紙Pを排紙部30へ搬出するものであり、インクを吐出するヘッドユニット21、ヘッドユニット21の下方で用紙Pを搬送するプラテンユニット22から構成されている。なお、ヘッドユニット21およびプラテンユニット22に関する詳細は後述する。
【0030】
排紙部30は印刷された用紙Pを搬送して排紙するものであり、インクジェット印刷装置1の側面上方に設けられた印刷済みの用紙Pを積載する排紙台31、印刷済みの用紙Pを印刷面が下方を向いた状態で印刷部20から排紙台31に導く排紙経路32、排紙経路32上の用紙Pを一枚ずつ送り出す複数の排紙ローラ対33から構成されている。
【0031】
反転部40は片面印刷済みの用紙Pを一旦停止し、未印刷面が上方を向いた状態で用紙Pを再び印刷部20に送りだすものであり、排紙台31の裏側に設けられたバッファ空間41、排紙経路32の途中から分岐して用紙Pをバッファ空間41へ導く分岐経路42、バッファ空間41から用紙Pをタイミングローラ対14へ導く再給紙経路43、分岐経路42,再給紙経路43上の用紙Pを送り出す複数の反転ローラ対44を備えている。
【0032】
制御部50は各部の動作制御や、不図示の操作パネルを通じてのユーザーからの指示を処理するものである。
【0033】
次に、インクジェット印刷装置1の全体動作について説明する。未印刷の用紙Pが給紙台11から給紙ローラ対13によって給紙経路12上に取り出される。給紙経路12上の用紙Pはタイミングローラ対14によって所定のタイミングで印刷部20に送り出される。
【0034】
印刷部20では、プラテンユニット22が所定速度で用紙Pを搬送し、ヘッドユニット21が用紙Pにインクを吐出して印刷を行う。印刷済みの用紙は、排紙ローラ対33によって一枚ずつ排紙経路32上に送りだされ、印刷面が下方を向く状態で排紙台31へ導かれて排紙される。
【0035】
また、両面印刷を行う場合は、排紙経路32上の途中に設けられた不図示の経路切換機構によって排紙経路32上の用紙Pを分岐経路42に送り出し、バッファ空間41に導く。バッファ空間41から再給紙経路43に用紙Pを送り出し、再びタイミングローラ対14に導き、印刷部20へ再給紙を行う。なお、以下の説明においては、用紙Pの搬送方向に直交する方向を主走査方向、用紙Pの搬送方向を副走査方向として説明する。
【0036】
次に、印刷部20のヘッドユニット21について説明する。ヘッドユニット21は、複数のインクジェットヘッド211と、そのインクジェットヘッド211を保持するヘッドホルダ212とから構成されている。
【0037】
図2はヘッドホルダ212の平面図、図3はヘッドホルダ212の斜視図である。ヘッドホルダ212には、上図に示すように、主走査方向および副走査方向に所定の間隔で千鳥状に複数の取付孔213が形成されている。ヘッドホルダ212は、各取付孔213に各インクジェットヘッド211を挿入し、不図示のフランジ等で各インクジェットヘッド211を挿入した状態で保持するものである。
【0038】
再び図1を参照して説明する。インクジェットヘッド211は、インクを用紙Pに向けて吐出するインクジェットノズル214を備えている。インクジェットノズル214は、圧電素子に電圧をかけることにより素子を振動させ、ノズルから均一な液滴を吐出させるものであり。インクジェットヘッド211の下面で走査方向に直線状のラインノズル215を形成している。すなわち各インクジェットノズル214はライン単位でインクを吐出する。
【0039】
本実施形態では、同一色のインクを吐出するインクジェットヘッド211が6個単位で分類され、黒色K、マゼンタ色M、シアン色Cおよびイエロー色Yのいずれか一色を吐出する。
【0040】
次に、プラテンユニット22について説明する。プラテンユニット22は、ヘッドユニット21の下方で各インクジェットノズル214と対向する位置に配置されたプラテン221、プラテン221上を摺動するように掛け渡された無端のプラテンベルト222、プラテンベルト222を駆動する駆動ローラ223、従動ローラ224およびプラテン221の下方の空間を負圧にするファン225から構成されている。
【0041】
また、プラテンユニット22は、モーター、ソレノイドなどの駆動手段によりプラテンベルト222の高さ位置を上下に可変する機構を備え、その高さは制御部50によって制御されている。制御部50は、用紙Pの厚さが大きいほど、ヘッドホルダ212に対するプラテンベルト222上面の高さが高くなるように制御する。制御部50は、プラテンベルト222上面の高さを連続的または段階的に変えることができる。これにより、用紙Pの厚さが大きいほどヘッドギャップは大きくなるように設定される。ここで設定されたヘッドギャップの情報は、インクジェット印刷装置1に備える不図示のメモリに保存される。ここで、ヘッドホルダ212の高さ可変機構、駆動手段および制御部50は、本発明における間隔変更手段を構成する。
【0042】
図4はプラテン221の平面図、図5はプラテン221を上方からみた斜視図、図6はプラテン221を下方からみた斜視図である。なお、図4においては、各インクジェットヘッド211の投影位置を破線で示している。図示のように、プラテン221はプレート部材であり、上部プラテンUPと下部プラテンLPとからなる二層構造をなしている。
【0043】
上部プラテンUPには、図4に示すように、プラテンベルト222のベルト孔222aが通過する範囲に複数のプラテン孔221aが千鳥状に形成されている。また、上部プラテンUPの表面には、プラテン孔221aと連通する凹部221bが形成されている。
【0044】
下部プラテンLPは、インクジェットヘッド211直下位置の付近において、上部プラテンの下面上を副走査方向に摺動可能に設けられた、主走査方向に延びる複数のプレート部材226a、226bから構成されている。各プレート部材226a、226bは、モーター、ソレノイドなどの駆動手段によりその上部プラテンの下面上における位置を可変する機構を有し、その位置が制御部50によって制御されている。
【0045】
制御部50は、メモリに記憶されているヘッドギャップの設定情報を取得し、その設定情報に基づいて各プレート部材226a、226bの位置を制御する。図7AはヘッドギャップGが小さい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対するプレート部材226a、226bの位置を示す底面図、図7BはヘッドギャップGが大きい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対するプレート部材226a、226bの位置を示す底面図であり、図8Aは図7AのB1−B1断面図、図8Bは図7BのB2−B2断面図である。
【0046】
制御部50は、ヘッドギャップGの値が所定の閾値より小さい場合には、図7Aおよび図8Aに示すように、各プレート部材226a、226bを上部プラテンのプラテン孔と重ならないようにインクジェットノズル214の真下位置NU側に退避させ、ヘッドギャップGが所定の閾値を越える場合には、図7Bおよび図8Bに示すように、各プレート部材226a、226bをそれらのプレート部材によって上部プラテンのプラテン孔221aの一部が塞がるようにインクジェットノズル214の真下位置NUから離れる側へ移動させる。
【0047】
これにより、ヘッドギャップGが大きくなる場合、インクジェットノズル214近傍において上部プラテンUPと下部プラテンLPを貫通する貫通孔221cの大きさが小さくなるとともに、その貫通孔221cのインクジェットノズル214に近い側の縁とインクジェットノズル214の真下位置NUとの間の距離がd1からd2(>d1)へと大きくなる。なお、本実施形態では、図7Aに示すように、インクジェットノズル214の真下位置NUから記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔グループG1および搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔グループG2からなる貫通孔群のうち略半数の貫通孔について、その位置や大きさを調節している。
【0048】
なお、制御部50は、ヘッドギャップGが所定の閾値を超えるか否かの判断に基づいて各プレート部材226a、226bの位置を段階的に制御するものであってもよいし、ヘッドギャップGの大小に応じて、各プレート部材226a、226bの位置を連続的に制御するものであってもよい。ここで、下部プラテンLPの位置可変機構、駆動手段および制御部50は、本発明における大きさ調節手段および位置調節手段を構成する。
【0049】
プラテンベルト222には、千鳥状に複数のベルト孔222aが形成されている。ファン225がプラテン221の下方の空間を負圧にすることにより、各貫通孔221cに吸引力を発生させる。なお、プラテン221の下方の空間は不図示のフレームにより密閉されている。
【0050】
プラテンベルト222が、プラテン221上を摺動することにより、凹部221b上を通過したベルト孔222aにも吸引力が発生する。ベルト孔222aに発生する吸引力は貫通孔221cの上を通過する際に最大となる。
【0051】
タイミングローラ対14で送り出された用紙Pは、不図示のセンサにより副走査方向上流の先端が検出され、各ベルト孔222aによってプラテンベルト222上に吸着保持されて搬入される。用紙Pがインクジェットノズル214の真下位置を所定の速度で通過することにより、各インクジェットヘッド211よりライン単位でインクが吐出され、用紙Pに画像が形成される。なお、ヘッドユニット21によるインクの吐出とプラテンユニット22による用紙Pの搬送のタイミングは制御部50によって制御されている。
【0052】
以上に説明したとおり、本実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、ヘッドギャップGが大きくなっても、インクジェットノズル214近傍に位置する貫通孔221cの大きさを小さくし、かつ、その位置がインクジェットノズル214から離れるようにすることによってインクジェットノズル214近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0053】
以下、第1のインクジェット印刷装置における第2の実施形態について説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、ヘッドギャップGが大きくなる場合、インクジェットノズル214近傍の貫通孔について、そのインクジェットノズル214に対する位置は変化させずにその大きさのみを小さくする点で、実施形態1または2のインクジェット印刷装置と異なる。以下、実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同じ構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図9AはヘッドギャップGが小さい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対するプレート部材226c、226dの位置を示す底面図、図9AはヘッドギャップGが大きい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対する226c、226dの位置を示す底面図である。
【0055】
本実施形態では、制御部50が、ヘッドギャップGの値が所定の閾値より小さい場合には、図9Aに示すように、各プレート部材226c、226dを上部プラテンのプラテン孔と重ならないようにインクジェットノズル214の真下位置NUから離れる側へ退避させ、ヘッドギャップGが所定の閾値を越える場合には、図9Bに示すように、各プレート部材226c、226dをそれらのプレート部材によって上部プラテンのプラテン孔221aの一部が塞がるようにインクジェットノズル214の真下位置NU側へ移動させる。これにより、ヘッドギャップGが大きくなる場合、インクジェットノズル214近傍において上部プラテンUPと下部プラテンLPを貫通する貫通孔の大きさが小さくなる。これにより、インクジェットノズル214近傍における吸引力が低下する。
【0056】
この実施形態のインクジェット印刷装置によれば、ヘッドギャップGが大きくなっても、インクジェットノズル214近傍に位置する貫通孔の大きさを小さくすることによってインクジェットノズル214近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0057】
以下、第2のインクジェット印刷装置の実施形態について説明する。本実施形態に係るインクジェット印刷装置は、ヘッドギャップGが大きくなる場合、インクジェットノズル214近傍の貫通孔について、その大きさは変化させずにその位置のみをインクジェットノズル214から離れるようにする点で、インクジェット印刷装置1と異なる。以下、インクジェット印刷装置1との相違点を中心に説明し、インクジェット印刷装置1と同じ構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図10AはヘッドギャップGが小さい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対するプレート部材226e、226fの位置を示す底面図、図10AはヘッドギャップGが大きい場合における上部プラテンのプラテン孔221aに対するプレート部材226e、226fの位置を示す底面図である。
【0059】
本実施形態では、下部プラテンが、上部プラテンのプラテン孔221aより小さい大きさの開口221dを有するものであり、制御部50が、ヘッドギャップGの値が所定の閾値より小さい場合には、図10Aに示すように、各プレート部材226e、226fを、その各開口221dが各プラテン孔221aと重なる範囲内において、インクジェットノズル214の真下位置NU側へ移動させ、ヘッドギャップGが所定の閾値を越える場合には、図10Bに示すように、各プレート部材226e、226fを、その各開口221dが各プラテン孔221aと重なる範囲内において、インクジェットノズル214の真下位置NUから離れる側へ移動させる。
【0060】
これにより、ヘッドギャップGが大きくなる場合、インクジェットノズル214近傍において上部プラテンUPと下部プラテンLPを貫通する貫通孔のインクジェットノズル214に近い側の縁とインクジェットノズル214の真下位置NUとの間の距離がd1からd2(>d1)へと大きくなる。これにより、インクジェットノズル214近傍における吸引力が低下する。
【0061】
この実施形態のインクジェット印刷装置によれば、ヘッドギャップGが大きくなっても、インクジェットノズル214近傍に位置する貫通孔の位置がインクジェットノズル214から離れるようにすることによってインクジェットノズル214近傍における吸引力を低下させ、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れを低減させることができる。これにより、インクジェットノズル214近傍での気流の乱れに起因するインクミストによる汚れも低減させることができる。
【0062】
なお、上記各実施例では、平面視において、インクジェットノズル214上の各位置から記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち略半数の貫通孔について、その位置や大きさを調節する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、その貫通孔群のうち少なくとも1以上、好ましくは50パーセント以上、より好ましくは80パーセント以上の貫通孔について、その位置や大きさを調節するようにしてもよい。
【0063】
以下、第3のインクジェット印刷装置の実施形態について説明する。本実施形態に係るインクジェット印刷装置は、用紙Pが封筒である場合に、その封筒の主走査方向の幅に応じてヘッドギャップGを設定し、その設定されたヘッドギャップGに応じてプラテンにおける貫通孔の開閉を調節する点で、インクジェット印刷装置1と異なる。以下、インクジェット印刷装置1との相違点を中心に説明し、インクジェット印刷装置1と同じ構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、まず、給紙部10または給紙経路12上に設けられた光センサなどの用紙検知装置によって給紙部10から給紙される用紙Pの主走査方向の幅が測定され、取得される。なお、ユーザがインクジェット印刷装置に備える操作パネルを用いて用紙Pの幅を入力したのを受けて取得してもよい。ここで取得された用紙Pの幅の情報は、インクジェット印刷装置に備えるメモリに保存される。
【0065】
次に、制御部50が、メモリに記憶されている用紙Pの幅Dの情報を取得し、その情報に基づいて用紙Pが封筒であるか否かを判断し、封筒であると判断された場合には、ヘッドギャップGを下記式(1)により算出し、設定する。ここで、定型の封筒はその幅が既知であることから、取得された幅が定型封筒の幅である場合にはその用紙Pは封筒であると判別することができる。また、封筒の主走査方向の幅とは、図11の上図に示すように、封筒の短辺方向の長さをいう。
【数1】

ここで、αは坪量による補正係数であり、θは、図11の下図に示すように、封筒Eが吸着搬送される際にその短辺方向の両端部Aが搬送ベルト面に対して浮き上がる角度である。
【0066】
下記表1に、α=1、θ=2°としたときに、封筒の幅Dに対して上記式(1)によって設定されるヘッドギャップGを示す。表1に示すように、封筒の幅Dが大きいほどヘッドギャップGが大きくなるように設定される。
【表1】

【0067】
また、本実施形態では、プラテン221は上部プラテンUP2と下部プラテンLP2とからなり、制御部50が、ヘッドギャップGの設定情報に基づいて、図12A〜図14Bに示すように、上部プラテンUP2に対する下部プラテンLP2の位置を制御する。具体的には、用紙Pが封筒であり、ヘッドギャップGが3mmを超える場合には、図12Aの低面図および図12Bの平面図に示すようなプラテン221のデフォルト状態から、図13Aの低面図および図13Bの平面図に示すように、上部プラテンUPに対する下部プラテンLP2の位置をA方向に所定量移動させ、ヘッドギャップGが3mm以下である場合には、図14Aの低面図および図14Bの平面図に示すように、上部プラテンUPに対する下部プラテンLP2の位置をA方向にさらに移動させる。
【0068】
これにより、用紙Pが封筒である場合には、下部プラテンLP2によって上部プラテンUPの主走査方向の端部から所定範囲内に形成されている一部のプラテン孔221の開口が塞がれ、その位置における吸引力の発生が制限される。さらに、ヘッドギャップGが3mmを超える場合は、3mm以下である場合よりも、吸引力の発生が制限される範囲の主走査方向の幅が小さくなるので、搬送ベルト222上において吸引力が発生する領域の主走査方向の幅が大きくなる。
【0069】
この実施形態のインクジェット印刷装置によれば、用紙Pが封筒である場合に、その封筒の主走査方向の幅が大きいほどヘッドギャップGが大きくなるようにヘッドギャップGを調節するとともに、ヘッドギャップGが大きくなる場合、吸引力が発生する領域の主走査方向の幅が大きくなるように、貫通孔の開閉を調節しているので、搬送ベルト222において吸引力を発生する領域の幅を封筒の幅に対応させて適切に制限することができ、インクジェットノズル近傍での気流の乱れを低減させることができる。
【符号の説明】
【0070】
G ヘッドギャップ
UP 上部プラテン
LP 下部プラテン
NU インクジェットノズルの真下位置
1 インクジェット印刷装置
50 制御部
211 インクジェットヘッド
212 ヘッドホルダ
214 インクジェットノズル
221 プラテン
221a プラテン孔
221c 貫通孔
222 プラテンベルト
222a ベルト孔
225 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
複数のベルト孔を有し、該ベルト孔に作用する負圧により前記記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、
前記プラテンの前記搬送ベルトとは反対側に前記負圧を発生させる減圧手段と、
前記プラテンに対向させて設けられ、前記搬送ベルトにより搬送される前記記録媒体に前記インクを吐出するインクジェットノズルと、
前記搬送ベルトの前記記録媒体が吸着される側の面と前記インクジェットノズルとの間隔を変更する間隔変更手段と、
前記間隔の大きさに基づいて前記貫通孔の大きさを調節する大きさ調節手段とを備え、
該大きさ調節手段が、前記間隔が大きくなる場合、平面視において、前記インクジェットノズル上の各位置から前記記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および前記搬送方向下流側に最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の大きさを小さくするように、該少なくとも一つの貫通孔の大きさを調節するものであることを備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記大きさ調節手段が、前記間隔が大きくなる場合、前記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の大きさを小さくするように、該半数以上の貫通孔の大きさを調節するものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記プラテンが、上部プラテンと下部プラテンからなるものであり、
前記大きさ調節手段が、前記上部プラテンに対する前記下部プラテンの位置をずらすことにより、前記貫通孔の大きさを調節するものであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記間隔の大きさに基づいて前記貫通孔の前記インクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段を備え、
該位置調節手段が、前記間隔が大きくなる場合、平面視において、前記インクジェットノズル上の各位置から前記記録媒体の搬送方向上流側に最も近い位置にある貫通孔および前記搬送方向下流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置が前記インクジェットノズルから離れるように、該少なくとも一つの貫通孔の前記インクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のインクジェット印刷装置。
【請求項5】
記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
複数のベルト孔を有し、該ベルト孔に作用する負圧により前記記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔が設けられているプラテンと、
前記プラテンの前記搬送ベルトとは反対側に前記負圧を発生させる減圧手段と、
前記プラテンに対向させて設けられ、前記搬送ベルトにより搬送される前記記録媒体に前記インクを吐出するインクジェットノズルと、
前記搬送ベルトの前記記録媒体が吸着される側の面と前記インクジェットノズルとの間隔を変更する間隔変更手段と、
前記間隔の大きさに基づいて前記貫通孔の前記インクジェットノズルに対する相対的な位置を調節する位置調節手段を備え、
該位置調節手段が、前記間隔が大きくなる場合、平面視において、前記インクジェットノズル上の各位置から前記記録媒体の搬送方向上流側において最も近い位置にある貫通孔および前記搬送方向下流側において最も近い位置にある貫通孔からなる貫通孔群のうち少なくとも一つの貫通孔の位置が前記インクジェットノズルから離れるように、該少なくとも一つの貫通孔の前記インクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものであることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記位置調節手段が、前記間隔が大きくなる場合、前記貫通孔群のうち半数以上の貫通孔の位置が前記インクジェットノズルから離れるように、該半数以上の貫通孔の前記インクジェットノズルに対する相対的な位置を調節するものであることを特徴とする請求項5記載のインクジェット印刷装置。
【請求項7】
前記プラテンが、上部プラテンと下部プラテンからなるものであり、
前記位置調節手段が、前記上部プラテンに対する前記下部プラテンの位置をずらすことにより、前記相対的な位置を調節するものであることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット印刷装置。
【請求項8】
記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
複数のベルト孔を有し、該ベルト孔に発生する吸引力により前記記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを摺動可能に支持するとともに、複数の貫通孔を有するプラテンと、
前記プラテンの前記搬送ベルトとは反対側に負圧を発生させることにより、前記貫通孔を介して前記ベルト孔に吸引力を発生させる減圧手段と、
前記プラテンに対向させて設けられ、前記搬送ベルトにより搬送される前記記録媒体に前記インクを吐出するインクジェットノズルと、
前記記録媒体が封筒である場合に、該封筒の搬送方向と直交する方向の幅が大きいほど前記搬送ベルトの前記記録媒体が吸着される側の面と前記インクジェットノズルとの間隔が大きくなるように該間隔を調節する間隔調節手段と、
前記記録媒体が封筒である場合に、前記間隔が大きくなる場合、前記吸引力が発生する領域の前記搬送方向と直交する方向の幅が大きくなるように、前記貫通孔の開閉を調節する開閉調節手段を備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12B】
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【図12A】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2012−51331(P2012−51331A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197578(P2010−197578)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】