説明

インクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置

【課題】基板同士の貼り合わせが不要で、接着剤によるノズル開口部の塞がりを防止できるようにしたインクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】ドライバ回路3を有する基板1の表面側に流路形成膜10を形成する工程と、流路形成膜10に溝部を形成する工程と、溝部に犠牲膜を充填する工程と、犠牲膜及び流路形成膜10上に振動膜30を形成する工程と、振動膜30をエッチングして犠牲膜を底面とする貫通孔hを形成する工程と、基板1を裏面側からエッチングしてリザーバ5を形成する工程と、流路形成膜10をエッチングしてノズル開口部22を形成する工程と、リザーバ5及び貫通孔hを介して犠牲膜をエッチングし除去する工程と、振動膜30上に圧電素子50を形成して貫通孔hを塞ぐ工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置に関し、特に、基板同士の貼り合わせが不要で、接着剤によるノズル開口部の塞がりを防止できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図8(a)に示すように、従来例に係るインクジェット式記録ヘッド200は、圧電素子(即ち、ピエゾ素子)201と、圧電素子を駆動するためのドライバ回路203と、圧電素子を封止するための封止板205と、外部からインク液の供給を受けるリザーバ207と、振動板209及び圧力発生室211を有する基板210と、ノズル開口部213が形成されたノズル板220と、を備える。このような構成のインクジェット式記録ヘッド200は、図8(b)に示すように、上記各部位が接着剤で接着されると共に、圧電素子201とドライバ回路203とがワイヤーボンディングで接続することにより、組み上げられている。
【0003】
また、近年では、ノズル開口部の配置間隔の高密度化が進んでおり、ワイヤーボンディングによる圧電素子201とドライバ回路203の接続は技術的限界に近づきつつある。このような流れを受けて、上記の基板や封止板にドライバ回路を直接形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。この方法によれば、圧電素子とドライバ回路の接続を、フォトリソグラフィー技術による金属配線の形成や、フリップチップ実装により行うので、ワイヤーボンディングよりも微細な接続が可能である。このため、ノズル開口部の配置間隔の高密度化に対応することができる。
【特許文献1】特開2001−205815号公報
【特許文献2】特開2001−162794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1、2等に開示された方法は、基板同士の貼り合わせを前提とした方法である。つまり、複数の基板にそれぞれ素子の形成や加工を施したものを貼り合わせるため、工程が煩雑で低コスト化が困難であった。
また、基板同士の貼り合わせは接着剤により行われるが、この接着剤が接合面からはみ出してノズル開口部を塞いでしまう可能性があった。このような可能性は、ノズル開口部が小径化しその配置間隔が高密度化するほど増大すると考えられる。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、基板同士の貼り合わせが不要で、接着剤によるノズル開口部の塞がりを防止できるようにしたインクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔発明1〜3〕 発明1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、集積回路を有する基板の一方の面側に流路形成膜を形成する工程と、前記流路形成膜に溝部を形成する工程と、前記溝部に犠牲膜を充填する工程と、前記犠牲膜及び前記流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、前記振動膜をエッチングして前記犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、前記基板を他方の面側から前記犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、前記流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記犠牲膜を除去する工程と、前記犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0006】
ここで、「犠牲膜」には、「流路形成膜」に対してエッチングの選択性が高い膜(即ち、流路形成膜よりもエッチングされ易い膜)を用いることが好ましい。例えば、流路形成膜がシリコン酸化(SiO2)膜の場合は、犠牲膜にアモルファスシリコン(a−Si)膜を用いることができる。また、流路形成膜がa−Si膜の場合は、犠牲膜にSiO2膜を用いることができる。さらに、流路形成膜がポリシリコン(Poly−Si)膜の場合は、犠牲膜にSiO2膜又はシリコンゲルマニウム(SiGe)膜を用いることができる。犠牲膜としてのSiO2膜は、エッチングレートが比較的速いPSG(Phospho Silicate Glass)膜でも良い。
【0007】
発明2のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、集積回路を有する基板の一方の面側に第1流路形成膜を形成する工程と、前記圧力発生室と前記リザーバとを繋ぐ第1連通路となる領域の前記第1流路形成膜及び、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とを繋ぐ第2連通路となる領域の前記第1流路形成膜にそれぞれ溝部を形成する工程と、前記溝部を埋め込むように前記基板の一方の面の上方全体に犠牲膜を形成する工程と、前記犠牲膜上に第2流路形成膜を形成する工程と、前記圧力発生室となる領域の前記犠牲膜上から前記第2流路形成膜を除去する工程と、前記犠牲膜及び前記第2流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、前記振動膜をエッチングして前記犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、前記基板を他方の面側から前記犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、前記第2流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記犠牲膜を除去する工程と、前記犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0008】
発明3のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、集積回路を有する基板の一方の面側に第1流路形成膜を形成する工程と、前記圧力発生室と前記リザーバとを繋ぐ第1連通路となる領域の前記第1流路形成膜及び、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とを繋ぐ第2連通路となる領域の前記第1流路形成膜にそれぞれ第1溝部を形成する工程と、前記第1溝部に第1犠牲膜を充填する工程と、前記第1流路形成膜及び前記第1犠牲膜上に第2流路形成膜を形成する工程と、前記圧力発生室となる領域の前記第2流路形成膜に第2溝部を形成する工程と、前記第2溝部に第2犠牲膜を充填する工程と、前記第2犠牲膜及び前記第2流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、前記振動膜をエッチングして前記第2犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、前記基板を他方の面側から前記第1犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、前記第2流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記第1犠牲膜及び前記第2犠牲膜を除去する工程と、前記第1犠牲膜及び前記第2犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
発明1〜3のインクジェット式記録ヘッドの製造方法によれば、1枚の基板に対して半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)を行うことにより、インクジェット式記録ヘッドを製造することができる。従来例と比べて、複数枚の基板を貼り合わせる必要がないので、工程を簡素化でき低コスト化が可能である。また、貼り合わせのための接着剤が不要であるため、接着剤によりノズル開口部が塞がれる可能性がない。このため、インクジェット式記録ヘッドを低コストで、歩留まり高く製造することが可能となる。
また、犠牲膜をエッチングする際に、リザーバだけでなく、リザーバと貫通孔の両方からエッチング液やエッチングガスを供給することができるため、犠牲膜を効率良く除去することができる。
【0010】
〔発明4〕 発明4のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、発明1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記貫通孔を形成する工程と、前記ノズル開口部を形成する工程とを並行して行うことを特徴とするものである。
このような方法によれば、工程数の削減に寄与することができる。また、犠牲膜を除去する際に、ノズル開口部が既に形成されているので、リザーバ及び貫通孔とノズル開口部を介して犠牲膜をエッチングし除去することができる。リザーバ及び貫通孔だけでなく、ノズル開口部からもエッチング液やエッチングガスを供給することができるため、犠牲膜をさらに効率良く除去することができる。
【0011】
〔発明5〕 発明5のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、発明4のインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記流路形成膜、又は、前記第2流路形成膜及び前記第1流路形成膜をエッチングして前記集積回路に至る第1コンタクトホールを形成する工程、をさらに含み、前記貫通孔を形成する工程と、前記ノズル開口部を形成する工程及び前記第1コンタクトホールを形成する工程を並行して行うことを特徴とするものである。このような方法によれば、工程数の削減に寄与することができる。
【0012】
〔発明6〕 発明6のインクジェット式記録ヘッドの製造方法は、発明1から発明5の何れか一のインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、前記集積回路を前記基板の一方の面に形成する工程、をさらに含み、前記集積回路の配線材料には高融点金属を用いることを特徴とするものである。ここで、「高融点金属」は、例えばタングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi2)、チタン(Ti)又はチタンシリサイド(TiSi2)等であり、例えば1500℃以上の融点を持つ金属のことである。
このような方法によれば、例えば、圧電素子を形成する際に700℃程度の熱処理を行う場合でも、熱を原因とする断線等の不具合発生を防止することができる。
【0013】
〔発明7、8〕 発明7のインクジェット式記録ヘッドは、外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドであって、集積回路及び前記リザーバが形成された基板と、前記基板の一方の面側に設けられて、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とが形成された流路形成膜と、前記流路形成膜上に設けられて前記圧力発生室を覆う振動膜と、前記振動膜上に設けられた圧電素子と、を備え、前記振動膜には貫通孔が形成されており、当該貫通孔は前記圧電素子によって塞がれていることを特徴とするものである。
【0014】
発明8のインクジェット式記録ヘッドは、発明7のインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記インクジェット式記録ヘッドは、前記圧力発生室内の圧力変化により、前記リザーバに供給されたインク液を前記ノズル開口部から吐出することを特徴とするものである。
発明7、8のインクジェット式記録ヘッドによれば、基板同士の貼り合わせがなく、接着剤によるノズル開口部の塞がりが防止されたインクジェット式記録ヘッドを提供することができる。
【0015】
〔発明9〕 発明9のインクジェット式記録装置は、発明7又は発明8のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするものである。
このような構成であれば、基板同士の貼り合わせがなく、接着剤によるノズル開口部の塞がりが防止されたインクジェット式記録ヘッドを具備することができる。このようなインクジェット式記録ヘッドは、低コストで、歩留まり高く製造することができるので、インクジェット式記録装置の安価化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)をX1−X´1線で切断したときの断面図である。図1(a)及び(b)に示すように、このインクジェット式記録ヘッド100は、例えば基板1と、流路形成膜10と、振動膜30と、圧電素子(即ち、ピエゾ素子)50とを備える。
【0017】
基板1は、例えば面方位(100)のバルクシリコン基板である。この基板1の表面(即ち、図1(b)において上側の面)には、圧電素子50を駆動するためのドライバ回路3が一体に形成されている。また、この基板1には、裏面(即ち、図1(b)において下側の面)から表面にかけて径が徐々に小さくなるように形成された貫通穴が形成されている。この貫通穴が、外部からインク液の供給を受けるリザーバ5である。リザーバ5の容積は、後述する全ての圧力発生室20の容積に対して、それよりも十分に大きい。さらに、基板1の表面にはドライバ回路3を保護するための保護膜7が形成されている。
【0018】
流路形成膜10は、基板1の表面側に形成されている。この流路形成膜10は例えば積層構造であり、基板1側からみて1層目の第1流路形成膜11と、2層目の第2流路形成膜12とを有する。この流路形成膜10には、個々に区画された複数のインク流路が形成されている。ここで、インク流路とは、インク液が流れる経路のことであり、インク連通路19と、圧力発生室20と、ノズル連通路21と、ノズル開口部22とを有する。図1(b)に示すように、インク連通路19はリザーバ5と圧力発生室20とを繋いで当該間でインク液が流れるようにする流路であり、ノズル連通路21は圧力発生室20とノズル開口部22とを繋いで当該間でインク液が流れるようにする流路である。なお、インク液に圧力を与える圧力発生室20の容積と、ノズル開口部22の大きさは、インク液の吐出量とその吐出スピード、吐出周波数などに応じて最適化されている。
【0019】
また、流路形成膜10とその下の保護膜7には、ドライバ回路3の表面(即ち、能動面)に形成されたパッド電極等を底面とする第1コンタクトホール64が形成されている。さらに、流路形成膜10上に振動膜30が形成されている。振動膜30は弾性膜であり、流路形成膜10上に形成されて圧力発生室20を覆っている。この振動膜30には、例えば、個々の圧力発生室20に対応してそれぞれ複数の貫通孔hが設けられている。
【0020】
圧電素子50は、振動膜30を介して圧力発生室20の真上に形成されている。図1(b)に示すように、この圧電素子50は、下部電極51と、下部電極51上に形成された圧電体52と、圧電体52上に形成された上部電極53とを有する。下部電極51は、例えば複数の圧電素子50にわたる共通の電極である。また、圧電体52は、電圧を加えると伸長、収縮する、又は、歪みが生じるような誘電体であり、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。さらに、上部電極53は、下部電極51とは異なり共通の電極ではなく、個々の圧電体と1:1で対応した個別の電極である。この圧電素子50は、個々の圧力発生室20の真上にそれぞれ設けられている。なお、上記の振動膜30に設けられた複数の貫通孔hは、その全てが圧電素子50の下部電極51により塞がれている。
【0021】
また、この圧電素子50を覆うように基板1の表面側には保護膜60が形成されている。そして、この保護膜60には上部電極53を底面とする第2コンタクトホール65が形成されている。この第2コンタクトホール65と、流路形成膜10及び保護膜7に形成された第1コンタクトホール64とを埋め込むように配線67が形成されている。この配線67により、上部電極53がドライバ回路3にそれぞれ接続されている。また、圧電素子50の下部電極51は配線68によって保護膜60上に引き出されている。
【0022】
このような構成のインクジェット式記録ヘッド100は、図示しない外部インク供給手段からリザーバ5にインク液を取り込み、図中の矢印で示すように、リザーバ5からノズル開口部22に至るまでの間をインク液で満たしておく。そして、ドライバ回路3からの記録信号に従い、圧電素子50の上部電極53と下部電極51との間に電圧を印加して圧電体52を伸長、収縮させ、又は、歪みを生じさせる。これにより、振動膜30が変形して圧力発生室20内の圧力が高まり、ノズル開口部22からインク液を吐出する。
【0023】
次に、上記のインクジェット式記録ヘッド100の製造方法について説明する。図2〜図6は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図であり、図2(a)〜図3(c)、図4(b)、図5(a)〜図6(b)は断面図、図4(a)は平面図である。
図2(a)において、まず始めに、例えば面方位(100)のバルクシリコンウエーハからなる基板1を用意する。次に、図2(b)に示すように、圧電素子50を駆動するためのドライバ回路3を基板1の表面側に形成する。このドライバ回路3の形成は半導体プロセスで行う。なお、ドライバ回路3の内部に形成される配線(例えば、トランジスタ等を繋ぐ配線や、最上層の配線であるパッド電極を含む)は、アルミニウム(Al)等の低融点金属ではなく、例えばW、WSi2、Ti又はTiSi2などの高融点金属で形成しておくことが好ましい。その理由は、後の圧電体膜の形成工程で例えば700℃程度の熱処理を行うからである。ドライバ回路3の内部に形成される配線を、例えば1500℃以上の融点を持つ金属で形成しておくことにより、後工程で700℃程度の熱処理を行う場合でも、熱を原因とする断線等の不具合発生を防止することができる。
【0024】
次に、図2(c)に示すように、ドライバ回路3を覆うように基板1の表面上に保護膜7を形成する。この保護膜7は、例えばSiO2膜、又は、シリコン窒化(Si34)膜等であり、その形成は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)で行う。
次に、図3(a)に示すように、保護膜7上に第1流路形成膜11を形成する。第1流路形成膜11の厚さは例えば5000〜15000nmであり、その形成は例えばCVDで行う。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、第1流路形成膜11を部分的にエッチングして、例えば、インク連通路19(図1参照。)となる領域と、ノズル連通路21(図1参照。)となる領域と、ノズル開口部22(図1参照。)となる領域に、それぞれ溝部13を形成する。基板1表面の上方全体に犠牲膜14を形成して溝部13を埋め込む。犠牲膜14の厚さは、例えば溝部13の深さと略同一の厚さ、又はそれ以上の厚さとする。犠牲膜14は例えばCVDで形成する。これにより、犠牲膜14の被形成面の凹凸形状(即ち、第1流路形成膜11と溝部13の段差)が犠牲膜14の表面側に反映される。
【0025】
次に、図3(b)に示すように、犠牲膜14上に第2流路形成膜12を形成する。第2流路形成膜12の厚さは例えば5000〜15000nmであり、その形成は例えばCVDで行う。そして、例えばCMPにより、第2流路形成膜12に平坦化処理を施して、第1流路形成膜11上の犠牲膜14表面を露出させる。これにより、圧力発生室20(図1参照。)を形成する領域は、第2流路形成膜12に形成された溝部16に犠牲膜14が充填されたような構造となる。
【0026】
なお、本実施形態では、リザーバ5(図1参照。)を形成した後で犠牲膜14を除去する。このため、犠牲膜14には、第1流路形成膜11及び第2流路形成膜12(即ち、流路形成膜10)に対してエッチングの選択性が高い膜、つまり、所定のエッチング条件において流路形成膜10よりもエッチングされ易い膜、を用いることが好ましい。
例えば、流路形成膜10がSiO2膜の場合は、犠牲膜14にa−Si膜を用いることができる。また、流路形成膜10がa−Si膜の場合は、犠牲膜14にSiO2膜を用いることができる。さらに、流路形成膜10がPoly−Si膜の場合は、犠牲膜14にSiO2膜又はSiGe膜を用いることができる。上記のSiO2膜は、PSG(Phospho Silicate Glass)膜でも良い。
【0027】
また、犠牲膜14の形成方法はCVDに限定されない。例えば、1μm以下の超微粒子をヘリウム(He)等のガスの圧力によって高速で基板1に衝突させることにより成膜するいわゆるガスデポジション法或いはジェットモールディング法と呼ばれる方法を用いて、犠牲膜14を形成しても良い。
次に、図3(c)に示すように、第2流路形成膜12及び犠牲膜14上に振動膜30を形成する。振動膜30は上述したように弾性膜であり、例えばSiO2膜又は酸化ジルコニウム(ZrO2)、若しくはこれらを積層した膜からなり、その厚さは例えば1〜2μmである。振動膜30にZrO2を用いる場合は、例えば、第2流路形成膜12及び犠牲膜14上にジルコニウム(Zr)を形成し、その後、Zrを500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより、ZrO2を形成すれば良い。なお、振動膜30の材料は上記の種類に限定されないが、リザーバ5(図1参照。)を形成する工程及び犠牲膜14を除去する工程でエッチングされない若しくはエッチングされにくい材料を用いることが好ましい。
【0028】
また、この振動膜30の形成工程と前後して、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、基板1を裏面側から部分的にエッチングしてリザーバ5を形成する。ここでは、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いて基板1をウェットエッチングする。KOHを用いた異方性のウェットエッチングにより、リザーバ5は徐々に径が小さくなるように形成され、その側面には(111)面が露出する。なお、リザーバ5の形成はウェットエッチングに限定されず、例えば、ドライエッチングで行ってもよい。また、この実施形態では、圧電素子50(図1参照。)を形成する前にリザーバ5を形成しているが、これに限定されず、何れの工程でリザーバ5を形成してもよい。
【0029】
次に、リザーバ5の底面で露出した保護膜7をエッチングして除去する。例えば、保護膜7がSiO2膜の場合は、フッ酸(HF)溶液を用いたウェットエッチング又はドライエッチングにより、保護膜7を除去する。また、保護膜7がSi34膜の場合は、熱リン酸溶液を用いたウェットエッチング又はドライエッチングにより、保護膜7を除去する。これにより、リザーバ5の底面から犠牲膜14が露出することとなる。
【0030】
次に、図4(a)及び(b)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、振動膜30を部分的にエッチングして犠牲膜14を底面とする貫通孔hを複数形成する。ここでは、圧力発生室20(図1参照。)となる領域の一つ一つの真上に、複数の貫通孔hをそれぞれ形成する。個々の貫通孔hの直径は例えば1〜2μmである。なお、図4(a)及び(b)に示すように、この貫通孔hの形成工程では、貫通孔hと共に、ノズル開口部22と、ドライバ回路3に接続するための第1コンタクトホール64とを同時に形成してもよい。
【0031】
そして、図5(a)に示すように、リザーバ5及び貫通孔hと、ノズル開口部22を介して犠牲膜14をエッチングする。これにより、犠牲膜14が完全に取り除かれ、流路形成膜10と振動膜30とに囲まれた空間、即ち、インク流路が形成される。犠牲膜14のエッチングはドライエッチング又はウェットエッチングのどちらで行っても良いが、ここでは、流路形成膜10のエッチング速度よりも犠牲膜14のエッチング速度の方が大きいエッチングガス、又はエッチング液を用いて犠牲膜14をエッチングする。
【0032】
例えば、流路形成膜10がSiO2膜であり、犠牲膜14がa−Si膜である場合は、エッチングガスとしてフッ化キセノン(XeF2)ガスを用いることができる。また、流路形成膜10がa−Si膜又はPoly−Si膜であり、犠牲膜14がPSG膜である場合は、エッチング液としてHF溶液を用いることができる。このようにエッチング条件を選択することにより、流路形成膜10のエッチングを抑制しつつ、犠牲膜14を選択的にエッチングして除去することができる。
【0033】
なお、上記のように、貫通孔hと第1コンタクトホール64とを同時に形成した場合は、犠牲膜14をエッチングする際に、第1コンタクトホール64の底面でドライバ回路3の配線(例えば、パッド電極等)が露出している。従って、この場合は、流路形成膜10のエッチング速度よりも犠牲膜14のエッチング速度の方が大きく、且つ、ドライバ回路3の配線をエッチングしないようなエッチングガス、又はエッチング液を用いて犠牲膜14をエッチングすることが好ましい。
【0034】
次に、図5(b)に示すように、振動膜30上に下部電極膜を形成して貫通孔hを埋め込む。ここでは、例えば、スパッタリング法により振動膜30上に下部電極膜を形成する。この下部電極膜の材料としては、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等が好適である。その理由は、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。下部電極膜の材料には、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持することができるような材料を選択して用いる必要がある。特に、圧電体膜としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないような材料を選択して用いることが望ましい。このような条件を満たす材料として、Pt、Ir等が好適である。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、下部電極膜を部分的にエッチングして、共通電極としての形状を有した下部電極51を形成する。
【0035】
そして、圧電体膜を成膜する。ここでは、例えば、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布し乾燥してゲル化し、さらに高温で焼結すること(即ち、ゾルーゲル法)で圧電体膜を形成する。圧電体膜の材料としては、PZT系の材料が好適であり、その場合の焼結温度は例えば700℃程度である。なお、この圧電体膜の成膜方法は、ゾルーゲル法に限定されず、例えば、スパッタリング法、又は、MOD法(有機金属熱塗布分解法)などのスピンコート法により成膜してもよい。或いは、ゾルーゲル法又はスパッタリング法若しくはMOD法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法により成膜してもよい。このような方法により形成される圧電体膜の厚さは、例えば0.2〜5μmである。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により圧電体膜を部分的にエッチングして、図6(a)に示すように、所定形状を有した圧電体52を形成する。
【0036】
次に、上部電極膜を成膜する。上部電極膜は、導電性の高い材料であればよく、Al、金(Au)、ニッケル(Ni)、Pt等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用することができる。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により上部電極膜を部分的にエッチングして、図6(b)に示すように、所定形状を有した上部電極53を形成する。これにより、振動膜30上に、下部電極51と圧電体52と上部電極53とからなる圧電素子50が完成する。
なお、本実施形態では、下部電極51を圧電素子50の共通電極とし、上部電極53を圧電素子50の個別電極としているが、ドライバ回路3や配線の都合でこれを逆にしても良い。つまり、下部電極51を個別電極とし、上部電極53を共通電極としても良い。
【0037】
次に、図6(b)において、圧電素子50が形成された振動膜30上の全面に保護膜60を形成する。保護膜60は例えばアルミナ(Al23)であり、その形成は例えばスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)、又は、MOCVD(Metal Organic CVD)で行う。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、上部電極53上に第2コンタクトホール65を形成する。そして、基板1の表面全体に導電膜を形成して、第1コンタクトホール64及び第2コンタクトホール65を埋め込む。さらに、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、導電膜を部分的にエッチングする。これにより、個々の圧電素子50の上部電極53とドライバ回路3とをそれぞれ電気的に接続する配線67(図1参照。)と、共通の電極である下部電極51を保護膜60上に引き出す配線68(図1参照。)とを形成する。以上のような工程を経て、図1(a)及び(b)に示したインクジェット式記録ヘッド100が完成する。
【0038】
このように、本発明の実施形態によれば、1枚の基板1に対して半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)を行うことにより、インクジェット式記録ヘッドを製造することができる。従来例と比べて、複数枚の基板を貼り合わせる必要がないので、工程を簡素化でき低コスト化が可能である。また、貼り合わせのための接着剤が不要であるため、接着剤によりノズル開口部22が塞がれる可能性がない。このため、インクジェット式記録ヘッドを低コストで、歩留まり高く製造することが可能となる。さらに、犠牲膜をエッチングする際に、リザーバ5だけでなく、リザーバ5と貫通孔hの両方からエッチング液やエッチングガスを供給することができるため、犠牲膜14を効率良く除去することができる。
【0039】
また、このようなインクジェット式記録ヘッドをインクジェット式記録装置に搭載することにより、インクジェット式記録装置の安価化にも寄与することができる。
この実施形態では、基板1の表面が本発明の「一方の面」に対応し、基板1の裏面が本発明の「他方の面」に対応し、ドライバ回路3が本発明の「集積回路」に対応している。また、インク連通路19が本発明の「第1連通路」に対応し、ノズル連通路21が本発明の「第2連通路」に対応している。
なお、上記の実施形態では、図3(a)及び(b)に示したように、保護膜7上に第1流路形成膜11を形成し、第1流路形成膜11に溝部13を形成する。次に、基板1の表面全体に犠牲膜14を形成して溝部13を埋め込み、犠牲膜14上に第2流路形成膜12を形成する。その後、第2流路形成膜12に平坦化処理を施して、第1流路形成膜11上の犠牲膜14の表面を露出させる場合について説明した。
【0040】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、図7(a)及び(b)に示すように、CMPにより第1流路形成膜11を平坦化しても良い。その場合は、例えば図7(c)に示すように、平坦化された第1流路形成膜11上に第2流路形成膜12を形成する。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、第2流路形成膜12をエッチングして溝部15を形成する。そして、図7(b)に示すように、溝部15を埋め込むように基板1の上方全面に犠牲膜16を形成する。その後、例えばCMPにより、犠牲膜16を平坦化する。平坦化後は、図7(e)に示すように、圧力発生室20(図1参照。)となる領域において犠牲膜16の表面が露出した状態となる。
【0041】
このような方法であっても、図7(e)以降の工程で、犠牲膜16及び第2流路形成膜12上に振動膜30を形成し、続いて、図3(c)〜図6(b)の工程を順次行うことにより、図1(a)及び(b)に示したインクジェット式記録ヘッド100を完成することができる。また、上記の実施形態と同様、図4の工程では、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、圧力発生室20(図1参照。)となる領域の第2流路形成膜12を部分的にエッチングして、第2犠牲膜15を底面とする貫通孔hを複数形成する。これにより、犠牲膜14、16を効率良く除去することができる。
図7(a)〜(e)では、溝部13が本発明の「第1溝部」に対応し、溝部15が本発明の「第2溝部」に対応している。また、犠牲膜14が本発明の「第1犠牲膜」に対応し、犠牲膜16が本発明の「第2犠牲膜」に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す図。
【図2】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その1)。
【図3】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その2)。
【図4】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その3)。
【図5】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その4)。
【図6】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その5)。
【図7】インクジェット式記録ヘッド100の他の製造方法を示す図。
【図8】従来例を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 基板、3 ドライバ回路、5 リザーバ、7 保護膜、10 流路形成膜、11 第1流路形成膜、12 第2流路形成膜、13、15 溝部、14、16 犠牲膜、19 インク連通部、20 圧力発生室、21 ノズル連通部、22 ノズル開口部、30 振動膜、50 圧電素子、51 下部電極、52 圧電体、53 上部電極、60 保護膜、64 第1コンタクトホール、65 第2コンタクトホール、67、68 配線、h 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、
集積回路を有する基板の一方の面側に流路形成膜を形成する工程と、
前記流路形成膜に溝部を形成する工程と、
前記溝部に犠牲膜を充填する工程と、
前記犠牲膜及び前記流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、
前記振動膜をエッチングして前記犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、
前記基板を他方の面側から前記犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、
前記流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、
前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記犠牲膜を除去する工程と、
前記犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項2】
外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、
集積回路を有する基板の一方の面側に第1流路形成膜を形成する工程と、
前記圧力発生室と前記リザーバとを繋ぐ第1連通路となる領域の前記第1流路形成膜及び、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とを繋ぐ第2連通路となる領域の前記第1流路形成膜にそれぞれ溝部を形成する工程と、
前記溝部を埋め込むように前記基板の一方の面の上方全体に犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜上に第2流路形成膜を形成する工程と、
前記圧力発生室となる領域の前記犠牲膜上から前記第2流路形成膜を除去する工程と、
前記犠牲膜及び前記第2流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、
前記振動膜をエッチングして前記犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、
前記基板を他方の面側から前記犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、
前記第2流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、
前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記犠牲膜を除去する工程と、
前記犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項3】
外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、
集積回路を有する基板の一方の面側に第1流路形成膜を形成する工程と、
前記圧力発生室と前記リザーバとを繋ぐ第1連通路となる領域の前記第1流路形成膜及び、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とを繋ぐ第2連通路となる領域の前記第1流路形成膜にそれぞれ第1溝部を形成する工程と、
前記第1溝部に第1犠牲膜を充填する工程と、
前記第1流路形成膜及び前記第1犠牲膜上に第2流路形成膜を形成する工程と、
前記圧力発生室となる領域の前記第2流路形成膜に第2溝部を形成する工程と、
前記第2溝部に第2犠牲膜を充填する工程と、
前記第2犠牲膜及び前記第2流路形成膜上に振動膜を形成する工程と、
前記振動膜をエッチングして前記第2犠牲膜を底面とする貫通孔を形成する工程と、
前記基板を他方の面側から前記第1犠牲膜が露出するまでエッチングして前記リザーバを形成する工程と、
前記第2流路形成膜をエッチングして前記ノズル開口部を形成する工程と、
前記リザーバ及び前記貫通孔を介して前記第1犠牲膜及び前記第2犠牲膜を除去する工程と、
前記第1犠牲膜及び前記第2犠牲膜を除去する工程の後で、前記振動膜上に圧電素子を形成して前記貫通孔を塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔を形成する工程と、前記ノズル開口部を形成する工程とを並行して行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記流路形成膜、又は、前記第2流路形成膜及び前記第1流路形成膜をエッチングして前記集積回路に至る第1コンタクトホールを形成する工程、をさらに含み、
前記貫通孔を形成する工程と、前記ノズル開口部を形成する工程及び前記第1コンタクトホールを形成する工程を並行して行うことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記集積回路を前記基板の一方の面に形成する工程、をさらに含み、
前記集積回路の配線材料には高融点金属を用いることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
【請求項7】
外部からインク液の供給を受けるリザーバと、前記リザーバに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室に連通するノズル開口部と、を備えるインクジェット式記録ヘッドであって、
集積回路及び前記リザーバが形成された基板と、
前記基板の一方の面側に設けられて、前記圧力発生室と前記ノズル開口部とが形成された流路形成膜と、
前記流路形成膜上に設けられて前記圧力発生室を覆う振動膜と、
前記振動膜上に設けられた圧電素子と、を備え、
前記振動膜には貫通孔が形成されており、当該貫通孔は前記圧電素子によって塞がれていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【請求項8】
前記インクジェット式記録ヘッドは、前記圧力発生室内の圧力変化により、前記リザーバに供給されたインク液を前記ノズル開口部から吐出することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット式記録ヘッド。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−226794(P2009−226794A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76375(P2008−76375)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】