インクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法
【課題】インクノズルから印刷物に向けて液体インクを吐出するインクジェット装置において、印刷作業を休止した際に、インクジェットヘッドのインクノズルの乾燥を防止するインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法を提供する。
【解決手段】
インクノズルから印刷物に向けて液体インクを吐出するインクジェット装置において、印刷作業を休止した際に、インクジェットヘッドのインクノズルの乾燥を防止するためにインクノズル形成面にロール状の剥離可能な粘着シートを粘着被覆するキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法。
【解決手段】
インクノズルから印刷物に向けて液体インクを吐出するインクジェット装置において、印刷作業を休止した際に、インクジェットヘッドのインクノズルの乾燥を防止するためにインクノズル形成面にロール状の剥離可能な粘着シートを粘着被覆するキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷物に液体インクを吐出するインクジェットヘッドのインクノズルの乾燥を防止するインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法に関する。印刷物としては液晶ディスプレー等のカラーフィルター、有機ELディスプレーの電極形成物が例示できる。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット式記録装置は、印刷物とインクジェットヘッドが相対的に主走査方向に往復移動する。
【０００３】
また、副走査方向に間欠的に設定量ずつ送る印刷物送り手段を備え、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させつつ、該ヘッドから液体インクを前記印刷物に吐出して印刷を行うように構成されている。
【０００４】
また、インクジェット式記録装置においては、公知のように圧力発生器で液体インクを所定圧で加圧する。そして、その圧力に基づいて液体インクをインクノズルから印刷物に向けてコントロールされた大きさのインク滴として吐出する。
【０００５】
また、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性は、一定に維持される必要がある。そして、インクノズルからのインク吐出特性が変動すると印刷物の品質が低下する。
【０００６】
さらに、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性は、インクノズル形成面におけるインクの固化、塵、埃などの付着によるインクノズルの目詰まり、あるいはインクノズルからの気泡の進入等が原因となって変動する。
【０００７】
そのために、インクジェット式記録装置は、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性を一定に維持しなければならない。
【０００８】
また、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性の各変動原因を排除し、維持するための吐出特性維持装置が設けられている。
【０００９】
前記吐出特性維持装置には、キャッピング装置と吸引装置とワイピング装置が設けられている。
【００１０】
前記キャッピング装置は非吐出時にインクノズル形成面を密閉してインクの乾燥を防止する。さらに、インク粘度の上昇を抑える。
【００１１】
また、吸引装置はインクノズルの目詰まりや、混入した気泡を除去する。そして、インクをインクノズルから強制的に吸引排出させる。さらに、ワイピング装置はインクノズル形成面を払拭し、清掃する。
【００１２】
従来、インクジェット式記録装置の一時休止時には、インクノズルの下方方向に箱形状の物でノズル形成面を囲んでインクノズルの乾燥を防止する。このようなキャッピング方法が吐出特性維持装置の主流であった。
【００１３】
また、インクジェット式記録装置の印刷作業を一時休止する際に、インクノズルの乾燥を防止するために、図４又は図５に示すように、インクノズルの下方方向にインク受け皿等が用いられていた。
【００１４】
例えば、図4に示すように、インクヘッド１０１のインクノズル１０２の下方方向に箱形状のインク受け皿１０３と吸引ポンプ１０４とインクタンク１０５が設けられている。そして、インクノズル１０２が乾燥しないように液体インクに加える圧力を下げ、液体インクが乾燥しない程度の液体インクをインク受け皿１０３方向に吐出していた。
【００１５】
また、図５に示すようにインクヘッド１０１のインクノズル１０２の下方方向に箱形状のインク受け皿１０３と吸引ポンプ１０４とインクタンク１０５が設けられている。そして、インク受け皿１０３の中にスポンジ等の液体吸収部材１０６が設けられている。
【００１６】
前記液体吸収部材１０６はインクヘッド１０１のインクノズル１０２を覆い、且つ、液体吸収部材１０６に含侵されている溶剤等の液体により液体インクの乾燥を防止している。
【００１７】
さらに、液体保持手段の液体の蒸発によるノズルの乾燥を有効に防止する液体噴射装置（例えば、特許文献１参照。）等が知られている。
【００１８】
この装置は、図６に示すように液体を吐出するノズルとノズル形成部材とを有する液体噴射ヘッド１１０と、前記ノズルを覆うように配置することが可能な構成となっているキャッピング手段１２０と、前記キャッピング手段１２０内に配置される液体を含侵した液体保持手段と、前記液体保持手段１２３に液体を補充する液体補充手段と、を有し、前記液体保持手段に含侵されている前記液体の蒸発量情報を予測する蒸発量予測手段等と、前記液体補充手段が、前記蒸発量予測手段の蒸発量情報に基づき前記液体保持手段に前記液体を補充する構成となっている。
【００１９】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２００５−７４８３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
しかし、いずれの方法も長時間印刷作業を休止しているとインクノズル周縁が乾燥する。そして、作業を再開した際に、インク吐出特性が悪くなるという問題がある。
【００２１】
また、インクヘッドのノズル径（約３０μｍ）が微小である為に、インクノズルが目詰まりし易く、且つ、目詰が生じた時には、再吐出が難しいという問題がある。
【００２２】
さらに、インクヘッドを交換しなければならない場合には、交換作業に非常に手間がかかるという問題がある。
【００２３】
また、インクノズルの乾燥を防ぐための装置は非常に多く提案されている。しかし、前記液体噴射装置のように構造が複雑で、操作が煩雑で、手間が掛かり、且つ、装置が高価であるという問題がある。
【００２４】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、印刷作業等を長時間休止してもインクノズルの乾燥が防げる。そして、印刷作業を再開した際に、吐出特性が下がることなく安定した印刷作業ができる。さらに、簡単な構造で、操
作が容易で、且つ、安価であるインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項１に係る発明は、
印刷物に対して液体インクを吐出するインクジェットヘッドが設けられているインクジェットヘッドガントリーがその休止部方向に移行するその入口側方向にインクノズル形成面の下方方向にロール状に設けられている剥離可能な粘着シートと平行し、インクノズル形成面を粘着被覆し、インクノズルの乾燥を防止する剥離可能なロール状の粘着シートが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置のキャッピング装置である。
【００２６】
次に、本発明の請求項２に係る発明は、
インクジェットヘッドのインクノズルから印刷物に吐出するインクノズルのインクノズル形成面に剥離可能な粘着シートを粘着被覆する事により、インクノズルの乾燥を防止することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２７】
次に、本発明の請求項３に係る発明は、
前記剥離可能な粘着シートがロール状であることを特徴とする請求項２記載のインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２８】
次に、本発明の請求項４に係る発明は、
前記剥離可能な粘着シートの基材がポリエチレンで、粘着剤がアクリル系で形成されていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２９】
次に、本発明の請求項５に係る発明は、
前記インクノズル形成面に粘着被覆される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれていて、インクノズル形成面の先端から押し当て、転がす状態で剥離可能な粘着シートを粘着被覆することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法である。
【発明の効果】
【００３０】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置は簡単な構造で、操作が容易で、且つ、安価でできる。
【００３１】
また、本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置はメンテナンス等が容易である。
【００３２】
さらに、印刷作業を長時間休止してもインクノズルの乾燥を防止できる。また、印刷作業を再開した際に、吐出圧等を調整することなく均一で安定した吐出特性が得られる。
【００３３】
また、本発明のインクノズルの乾燥防止方法は、インクノズルの形成面に剥離可能な粘着シートが完璧に粘着被覆されるために、長時間インクノズルの乾燥を防止することができる。
【００３４】
また、インクノズル形成面に粘着被覆された剥離可能な粘着シートは使い捨てであるために、インクノズルのメンテナンスが容易である。
【００３５】
さらに、剥離可能な粘着シートを使用する際には、剥離可能な粘着シートがロール状で、ノズル形成面の先端から線状態で粘着被覆される。このために、粘着被覆された剥離可能な粘着シートに皺が寄らない。そして、空気の混入を防ぎ、インクノズルの目詰まりを
完全に防ぐ事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３６】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【００３７】
図１は本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の一実施例の概略を示す斜視図である。
【００３８】
図１に示すようにインクジェット式記録装置はインクジェットヘッドカントリート１とテーブル７と吐出特性維持装置３と主走査方向移動装置４と副操作方向移動装置５等から構成されている。
【００３９】
そして、前記インクジェットヘッドカントリート１には、適宜の数のインクヘッド６等が並べて設けられている。また、前記テーブル７には、印刷する印刷物２が載置されている。そして、前記インクジェットヘッドカントリート１を印刷物２が載置されている主走査方向４に移動させながらインクノズルから吐出した液体インクにより、適宜の文字あるいは絵柄、又はパターン等が印刷される。
【００４０】
また、副操作方向移動装置５の後方方向に休止部１０が設けられている。そして、この休止部１０の下方方向にキャッピング装置が形成される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれ具備されている。
【００４１】
また、図には示していないがインクノズルの底先端面には、インクノズル形成面が設けられている。この面はポリエチレン、好ましくはアクリル系樹脂で、厚さが０．０３〜０．０８ｍｍに形成されている。
【００４２】
また、印刷作業を休止する際には、前記インクジェットヘッドカントリート１が副操作方向移動装置５の後方に設けられている休止部１０に移動する。そして、図２に示すように休止部１０の、入口側方向でインクジェットヘッドカントリート１に設けられているインクノズル形成面の先端がロール状に巻かれている剥離可能な粘着シート８と一直線状状態で交差対面する。
【００４３】
前記対面は図２あるいは図３に示すベアリング付ロール上昇機構９によって剥離可能な粘着シートがインクノズル形成面に線状で押し当てられる。そして、インクジェットヘッドカントリート１が図３に示すように副操作方向移動装置５の後方に移動すると同時に、インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが全面粘着被覆される。
【００４４】
前記インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが全面粘着被覆されると、図には示していないが制御盤からの信号によって剥離可能な粘着シートが適宜裁断される。そして、略同時にベアリング付ロール上昇機構９も降下する。
【００４５】
また、インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが粘着被覆される際に、剥離可能な粘着シートがロール状であるために、線状状態で粘着被覆される。このためにインクノズル形成面に粘着被覆された該粘着シートに皺が生じない。そして、脱気する状態で粘着被覆されるために粘着被覆部分に空気等が入らず、インクノズルの乾燥防止が完璧にできる。
【産業上の利用可能性】
【００４６】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方
法は液晶ディスプレー等のカラーフィルター、有機ELディスプレーの電極形成物等を印刷するインクノズルの乾燥防止として優れていることはもとより、ガラス板、あるいは合板等の保護シート貼りをはじめ包装分野又は製菓・製パン分野の生産ライン等にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の一実施例の概略を示す斜視図である。
【図２】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための斜視図である。
【図３】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための斜視図である。
【図４】従来のインクジェット式記録装置のインクノズルの乾燥防止方法の概略を説明するための概略図である。
【図５】従来のインクジェット式記録装置のインクノズルの乾燥防止方法の概略を説明するための概略図である。
【図６】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【００４８】
１…インクジェットガントリー
２…印刷物
３…吐出特性維持装置
４…主走査方向移動装置
５…副操作方向移動装置
６…ノズルヘッド
７…テーブル
８…ロール状剥離可能な粘着シート
９…ベアリング付ロール上昇降下機構
１０…休止部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷物に液体インクを吐出するインクジェットヘッドのインクノズルの乾燥を防止するインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法に関する。印刷物としては液晶ディスプレー等のカラーフィルター、有機ELディスプレーの電極形成物が例示できる。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット式記録装置は、印刷物とインクジェットヘッドが相対的に主走査方向に往復移動する。
【０００３】
また、副走査方向に間欠的に設定量ずつ送る印刷物送り手段を備え、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させつつ、該ヘッドから液体インクを前記印刷物に吐出して印刷を行うように構成されている。
【０００４】
また、インクジェット式記録装置においては、公知のように圧力発生器で液体インクを所定圧で加圧する。そして、その圧力に基づいて液体インクをインクノズルから印刷物に向けてコントロールされた大きさのインク滴として吐出する。
【０００５】
また、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性は、一定に維持される必要がある。そして、インクノズルからのインク吐出特性が変動すると印刷物の品質が低下する。
【０００６】
さらに、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性は、インクノズル形成面におけるインクの固化、塵、埃などの付着によるインクノズルの目詰まり、あるいはインクノズルからの気泡の進入等が原因となって変動する。
【０００７】
そのために、インクジェット式記録装置は、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性を一定に維持しなければならない。
【０００８】
また、インクジェットヘッドのインクノズルからのインク吐出特性の各変動原因を排除し、維持するための吐出特性維持装置が設けられている。
【０００９】
前記吐出特性維持装置には、キャッピング装置と吸引装置とワイピング装置が設けられている。
【００１０】
前記キャッピング装置は非吐出時にインクノズル形成面を密閉してインクの乾燥を防止する。さらに、インク粘度の上昇を抑える。
【００１１】
また、吸引装置はインクノズルの目詰まりや、混入した気泡を除去する。そして、インクをインクノズルから強制的に吸引排出させる。さらに、ワイピング装置はインクノズル形成面を払拭し、清掃する。
【００１２】
従来、インクジェット式記録装置の一時休止時には、インクノズルの下方方向に箱形状の物でノズル形成面を囲んでインクノズルの乾燥を防止する。このようなキャッピング方法が吐出特性維持装置の主流であった。
【００１３】
また、インクジェット式記録装置の印刷作業を一時休止する際に、インクノズルの乾燥を防止するために、図４又は図５に示すように、インクノズルの下方方向にインク受け皿等が用いられていた。
【００１４】
例えば、図4に示すように、インクヘッド１０１のインクノズル１０２の下方方向に箱形状のインク受け皿１０３と吸引ポンプ１０４とインクタンク１０５が設けられている。そして、インクノズル１０２が乾燥しないように液体インクに加える圧力を下げ、液体インクが乾燥しない程度の液体インクをインク受け皿１０３方向に吐出していた。
【００１５】
また、図５に示すようにインクヘッド１０１のインクノズル１０２の下方方向に箱形状のインク受け皿１０３と吸引ポンプ１０４とインクタンク１０５が設けられている。そして、インク受け皿１０３の中にスポンジ等の液体吸収部材１０６が設けられている。
【００１６】
前記液体吸収部材１０６はインクヘッド１０１のインクノズル１０２を覆い、且つ、液体吸収部材１０６に含侵されている溶剤等の液体により液体インクの乾燥を防止している。
【００１７】
さらに、液体保持手段の液体の蒸発によるノズルの乾燥を有効に防止する液体噴射装置（例えば、特許文献１参照。）等が知られている。
【００１８】
この装置は、図６に示すように液体を吐出するノズルとノズル形成部材とを有する液体噴射ヘッド１１０と、前記ノズルを覆うように配置することが可能な構成となっているキャッピング手段１２０と、前記キャッピング手段１２０内に配置される液体を含侵した液体保持手段と、前記液体保持手段１２３に液体を補充する液体補充手段と、を有し、前記液体保持手段に含侵されている前記液体の蒸発量情報を予測する蒸発量予測手段等と、前記液体補充手段が、前記蒸発量予測手段の蒸発量情報に基づき前記液体保持手段に前記液体を補充する構成となっている。
【００１９】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２００５−７４８３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
しかし、いずれの方法も長時間印刷作業を休止しているとインクノズル周縁が乾燥する。そして、作業を再開した際に、インク吐出特性が悪くなるという問題がある。
【００２１】
また、インクヘッドのノズル径（約３０μｍ）が微小である為に、インクノズルが目詰まりし易く、且つ、目詰が生じた時には、再吐出が難しいという問題がある。
【００２２】
さらに、インクヘッドを交換しなければならない場合には、交換作業に非常に手間がかかるという問題がある。
【００２３】
また、インクノズルの乾燥を防ぐための装置は非常に多く提案されている。しかし、前記液体噴射装置のように構造が複雑で、操作が煩雑で、手間が掛かり、且つ、装置が高価であるという問題がある。
【００２４】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、印刷作業等を長時間休止してもインクノズルの乾燥が防げる。そして、印刷作業を再開した際に、吐出特性が下がることなく安定した印刷作業ができる。さらに、簡単な構造で、操
作が容易で、且つ、安価であるインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項１に係る発明は、
印刷物に対して液体インクを吐出するインクジェットヘッドが設けられているインクジェットヘッドガントリーがその休止部方向に移行するその入口側方向にインクノズル形成面の下方方向にロール状に設けられている剥離可能な粘着シートと平行し、インクノズル形成面を粘着被覆し、インクノズルの乾燥を防止する剥離可能なロール状の粘着シートが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置のキャッピング装置である。
【００２６】
次に、本発明の請求項２に係る発明は、
インクジェットヘッドのインクノズルから印刷物に吐出するインクノズルのインクノズル形成面に剥離可能な粘着シートを粘着被覆する事により、インクノズルの乾燥を防止することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２７】
次に、本発明の請求項３に係る発明は、
前記剥離可能な粘着シートがロール状であることを特徴とする請求項２記載のインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２８】
次に、本発明の請求項４に係る発明は、
前記剥離可能な粘着シートの基材がポリエチレンで、粘着剤がアクリル系で形成されていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のインクノズルの乾燥防止方法である。
【００２９】
次に、本発明の請求項５に係る発明は、
前記インクノズル形成面に粘着被覆される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれていて、インクノズル形成面の先端から押し当て、転がす状態で剥離可能な粘着シートを粘着被覆することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法である。
【発明の効果】
【００３０】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置は簡単な構造で、操作が容易で、且つ、安価でできる。
【００３１】
また、本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置はメンテナンス等が容易である。
【００３２】
さらに、印刷作業を長時間休止してもインクノズルの乾燥を防止できる。また、印刷作業を再開した際に、吐出圧等を調整することなく均一で安定した吐出特性が得られる。
【００３３】
また、本発明のインクノズルの乾燥防止方法は、インクノズルの形成面に剥離可能な粘着シートが完璧に粘着被覆されるために、長時間インクノズルの乾燥を防止することができる。
【００３４】
また、インクノズル形成面に粘着被覆された剥離可能な粘着シートは使い捨てであるために、インクノズルのメンテナンスが容易である。
【００３５】
さらに、剥離可能な粘着シートを使用する際には、剥離可能な粘着シートがロール状で、ノズル形成面の先端から線状態で粘着被覆される。このために、粘着被覆された剥離可能な粘着シートに皺が寄らない。そして、空気の混入を防ぎ、インクノズルの目詰まりを
完全に防ぐ事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３６】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【００３７】
図１は本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の一実施例の概略を示す斜視図である。
【００３８】
図１に示すようにインクジェット式記録装置はインクジェットヘッドカントリート１とテーブル７と吐出特性維持装置３と主走査方向移動装置４と副操作方向移動装置５等から構成されている。
【００３９】
そして、前記インクジェットヘッドカントリート１には、適宜の数のインクヘッド６等が並べて設けられている。また、前記テーブル７には、印刷する印刷物２が載置されている。そして、前記インクジェットヘッドカントリート１を印刷物２が載置されている主走査方向４に移動させながらインクノズルから吐出した液体インクにより、適宜の文字あるいは絵柄、又はパターン等が印刷される。
【００４０】
また、副操作方向移動装置５の後方方向に休止部１０が設けられている。そして、この休止部１０の下方方向にキャッピング装置が形成される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれ具備されている。
【００４１】
また、図には示していないがインクノズルの底先端面には、インクノズル形成面が設けられている。この面はポリエチレン、好ましくはアクリル系樹脂で、厚さが０．０３〜０．０８ｍｍに形成されている。
【００４２】
また、印刷作業を休止する際には、前記インクジェットヘッドカントリート１が副操作方向移動装置５の後方に設けられている休止部１０に移動する。そして、図２に示すように休止部１０の、入口側方向でインクジェットヘッドカントリート１に設けられているインクノズル形成面の先端がロール状に巻かれている剥離可能な粘着シート８と一直線状状態で交差対面する。
【００４３】
前記対面は図２あるいは図３に示すベアリング付ロール上昇機構９によって剥離可能な粘着シートがインクノズル形成面に線状で押し当てられる。そして、インクジェットヘッドカントリート１が図３に示すように副操作方向移動装置５の後方に移動すると同時に、インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが全面粘着被覆される。
【００４４】
前記インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが全面粘着被覆されると、図には示していないが制御盤からの信号によって剥離可能な粘着シートが適宜裁断される。そして、略同時にベアリング付ロール上昇機構９も降下する。
【００４５】
また、インクノズル形成面に剥離可能な粘着シートが粘着被覆される際に、剥離可能な粘着シートがロール状であるために、線状状態で粘着被覆される。このためにインクノズル形成面に粘着被覆された該粘着シートに皺が生じない。そして、脱気する状態で粘着被覆されるために粘着被覆部分に空気等が入らず、インクノズルの乾燥防止が完璧にできる。
【産業上の利用可能性】
【００４６】
本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置及びインクノズルの乾燥防止方
法は液晶ディスプレー等のカラーフィルター、有機ELディスプレーの電極形成物等を印刷するインクノズルの乾燥防止として優れていることはもとより、ガラス板、あるいは合板等の保護シート貼りをはじめ包装分野又は製菓・製パン分野の生産ライン等にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の一実施例の概略を示す斜視図である。
【図２】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための斜視図である。
【図３】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための斜視図である。
【図４】従来のインクジェット式記録装置のインクノズルの乾燥防止方法の概略を説明するための概略図である。
【図５】従来のインクジェット式記録装置のインクノズルの乾燥防止方法の概略を説明するための概略図である。
【図６】本発明のインクジェット式記録装置のキャッピング装置の概略を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【００４８】
１…インクジェットガントリー
２…印刷物
３…吐出特性維持装置
４…主走査方向移動装置
５…副操作方向移動装置
６…ノズルヘッド
７…テーブル
８…ロール状剥離可能な粘着シート
９…ベアリング付ロール上昇降下機構
１０…休止部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
印刷物に対して液体インクを吐出するインクジェットヘッドが設けられているイクキジェットヘッドガントリーがその休止部方向に移行するその入口側方向にインクノズル形成面の下方方向にロール状に設けられている剥離可能な粘着シートと平行し、インクノズル形成面を粘着被覆し、インクノズルの乾燥を防止する剥離可能なロール状の粘着シートが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置のキャッピング装置。
【請求項２】
インクジェットヘッドのインクノズルから印刷物に吐出するインクノズルのインクノズル形成面に剥離可能な粘着シートを粘着被覆する事により、インクノズルの乾燥を防止することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項３】
前記剥離可能な粘着シートがロール状であることを特徴とする請求項２記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項４】
前記剥離可能な粘着シートの基材がポリエチレンで、粘着剤がアクリル系で形成されていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項５】
前記インクノズル形成面に粘着被覆される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれていて、インクノズル形成面の先端から押し当て、転がす状態で剥離可能な粘着シートを粘着被覆することを特徴とする請求項２〜４のいずれかに記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項１】
印刷物に対して液体インクを吐出するインクジェットヘッドが設けられているイクキジェットヘッドガントリーがその休止部方向に移行するその入口側方向にインクノズル形成面の下方方向にロール状に設けられている剥離可能な粘着シートと平行し、インクノズル形成面を粘着被覆し、インクノズルの乾燥を防止する剥離可能なロール状の粘着シートが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置のキャッピング装置。
【請求項２】
インクジェットヘッドのインクノズルから印刷物に吐出するインクノズルのインクノズル形成面に剥離可能な粘着シートを粘着被覆する事により、インクノズルの乾燥を防止することを特徴とするインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項３】
前記剥離可能な粘着シートがロール状であることを特徴とする請求項２記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項４】
前記剥離可能な粘着シートの基材がポリエチレンで、粘着剤がアクリル系で形成されていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【請求項５】
前記インクノズル形成面に粘着被覆される剥離可能な粘着シートがロール状に巻かれていて、インクノズル形成面の先端から押し当て、転がす状態で剥離可能な粘着シートを粘着被覆することを特徴とする請求項２〜４のいずれかに記載のインクノズルの乾燥防止方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−８３６４６（Ｐ２００７−８３６４６Ａ）
【公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２７７４１４（Ｐ２００５−２７７４１４）
【出願日】平成１７年９月２６日（２００５．９．２６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月２６日（２００５．９．２６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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