説明

インクジェット式記録装置

【課題】沈殿しやすいインクを用いるインクジェット式記録装置において、インクタンクとインクヘッドとを接続するインク供給経路におけるインクの沈殿を防止する。
【解決手段】インクジェットプリンタ10は、インクを貯留したメインタンク106と、インクを吐出するインクヘッド104と、メインタンク106に接続された上流端とインクヘッド104に接続された下流端とを有し、メインタンク106とインクヘッド104とを接続するインク供給チューブ107,108,109と、一端が三方弁12を介してインク供給チューブ107,108に接続され、他端が三方弁14を介してインク供給チューブ108,109に接続されたインク還流チューブ16と、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクを循環させるポンプ18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタ等のインクジェット式記録装置が知られている。図14は、従来のインクジェットプリンタの一例を模式的に表す説明図である。このインクジェットプリンタ100は、その下面にノズルを備えたインクヘッド104と、カートリッジ方式のメインタンク106と、サブタンク110とを備えている。メインタンク106とサブタンク110とは、インク供給チューブ108を介して接続されている。サブタンク110とインクヘッド104とは、インク導出管118を介して接続されている。また、インクジェットプリンタ100は、インクヘッド104を封止してインクヘッド104の洗浄を行うクリーニングユニット112と、連結管114を介してクリーニングユニット112に接続された廃液タンク116とを備えている。
【0003】
メインタンク106内のインクは、インク供給チューブ108を通じてサブタンク110へ供給される。サブタンク110内のインクは、インク導出管118を通じてインクヘッド104へ供給される。インクは、インクヘッド104のノズルから記録紙に吐出される。
【0004】
ところで、インクには、それぞれの色に応じた色材(例えば、白色インクにおける酸化チタンや黄色インクにおけるニッケルなど)が含まれている。色材のなかには、沈殿しやすいものがある。このため、インクジェットプリンタ100を一定期間以上使用しないと、インク供給チューブ108内に充填されているインクの色材が沈殿してしまい、インクジェットプリンタ100の印刷の品質が低下するという問題がある。
【0005】
そのようなインクの沈殿を防止するため、インク供給チューブ108に充填されているインクを強制的に排出する方法が知られている。すなわち、インク供給チューブ108に充填されているインクがすべて排出されるまで、インクヘッド104からクリーニングユニット112に向かってインクを吐出する。これにより、インク供給チューブ108には、メインタンク106から新たなインクが供給される。その結果、インク供給チューブ108内のインクは、色材が沈殿していないインクとなる。
【0006】
下記特許文献1には、インクタンクとインクヘッドとを接続する第1流路(上記インク供給チューブに対応)の他に、一端が三方弁を介して第1流路の中途部に接続され、他端がインクタンクに接続された第2流路を設けることが開示されている。特許文献1に開示されたインクジェットプリンタによれば、三方弁を切り替えることにより、インクタンクから供給されたインクを、第2流路を通じてインクタンクに返送することができる。これにより、インクタンク内のインクを攪拌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−008465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、インク供給チューブ108に充填されているインクを強制的に排出する方法(図14参照)では、インクヘッド104から排出されたインクは、クリーニングユニット112から廃液タンク116に収容されて、廃液となる。したがって、インクの無駄が生じるため、インクジェットプリンタ100のコストパフォーマンスが低下する。
【0009】
特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、インクタンク内のインクを攪拌することを目的としている。このインクジェットプリンタでは、第1流路の三方弁の下流側に位置するインクは攪拌することができない。すなわち、実質的に、第1流路内のインクの沈殿を防止することは困難である。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクタンクとインクヘッドとを接続するインク供給経路におけるインクの沈殿を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るインクジェット式記録装置は、インクを貯留したインクタンクと、インクを吐出するインクヘッドと、前記インクタンクに接続された上流端と前記インクヘッドに接続された下流端とを有し、前記インクタンクと前記インクヘッドとを接続するインク供給経路と、一端が前記インク供給経路の中間位置よりも上流端側に接続され、他端が前記インク供給経路の中間位置よりも下流端側に接続されたインク還流経路と、前記インク供給経路と前記インク還流経路との間でインクを循環させるポンプと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インクタンクとインクヘッドとを接続するインク供給経路におけるインクの沈殿を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を表す正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、印刷動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図3】第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、インク循環動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図4】第2の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、印刷動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図5】第2の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、インク循環動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図6】第3の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、印刷動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、インク循環動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図8】第4の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、印刷動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図9】第4の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、インク循環動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図10】第5の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、印刷動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図11】第5の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表すと共に、インク循環動作時のインクの流れを示す説明図である。
【図12】変形例に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表す説明図である。
【図13】(a)は第6の実施の形態に係るインクジェットプリンタの一部の構成を模式的に表す説明図であり、(b)は同インクジェットプリンタのインクヘッドの底面図である。
【図14】従来のインクジェットプリンタの構成を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面に基づいて、本発明に係るインクジェット式記録装置の実施の形態を説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1に示すように、実施の形態に係るインクジェット式記録装置は、媒体である記録用紙5に印刷を行うインクジェットプリンタ10である。なお、本明細書において「媒体」には、普通紙などの紙類からなる記録媒体は勿論のこと、PVCおよびポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材などの各種の材料からなる記録媒体が含まれるものとする。
【0016】
また、本明細書における「インクジェット式」は、インクジェット技術による印刷方式を意味する。「インクジェット式」には、公知の各種手法が含まれ、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式が含まれる。
【0017】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、装置本体2と、装置本体2に固定されたガイドレール49とを備えている。装置本体2には、記録用紙5を支持するプラテン41が設けられている。ガイドレール49は左右方向に延びている。なお、以下では、ガイドレール49の長手方向を主走査方向Yと称することとする。ガイドレール49には、キャリッジ102が係合している。図示は省略するが、ガイドレール49の右端側および左端側にはローラが設けられている。これらローラには、無端状のベルト23が巻き架けられている。キャリッジ102は、ベルト23に固定されている。ベルト23が走行すると、キャリッジ102は主走査方向Yに移動する。すなわち、キャリッジ102は、ガイドレール49に沿って主走査方向Yに移動可能である。なお、記録用紙5は、主走査方向Yと直交する方向である副走査方向に搬送される。
【0018】
装置本体2には、複数のメインタンク106,106Bが着脱可能(言い換えると交換可能)に取り付けられている。すなわち、メインタンク106,106Bは、いわゆるインクカートリッジによって構成されている。メインタンク106には、色材が沈殿しやすいインク(例えば、白色インク等)が貯留されている。メインタンク106Bには、色材が沈殿しにくいインク(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインク等)が貯留されている。なお、図1では、メインタンク106の個数は1個であり、メインタンク106Bの個数は5個であるが、メインタンク106およびメインタンク106Bの個数は何ら限定される訳ではない。
【0019】
キャリッジ102には、複数のインクヘッド104,104Bと、複数のサブタンク110,110Bとが搭載されている。インクヘッド104,104Bの下面には、複数のノズル(図示せず)が形成されている。インクヘッド104,104Bには、それぞれメインタンク106,106Bからインクが供給される。インクヘッド104,104Bはそれらインクを吐出する。サブタンク110,110Bは、所定量のインクを貯留可能な容器によって形成されている。サブタンク110,110Bは、それぞれインクヘッド104,104Bと連通している。本実施形態では、サブタンク110,110Bは、可撓性を有する容器によって形成されている。ただし、サブタンク110,110Bは可撓性を有していなくてもよい。これらインクヘッド104,104Bおよびサブタンク110,110Bは、キャリッジ102と共に主走査方向Yに移動する。
【0020】
各メインタンク106Bと各サブタンク110Bとは、可撓性を有するインク供給チューブ108Bによって接続されている。メインタンク106B内のインクは、インク供給チューブ108Bを通じてサブタンク110Bに供給される。サブタンク110B内のインクはインクヘッド104Bに供給され、インクヘッド104Bのノズルから記録用紙5に向かって吐出される。
【0021】
図2は、メインタンク106に貯留されているインク、すなわち色材が沈殿しやすいインクの経路を示す説明図である。メインタンク106のインクの経路は、可撓性を有するインク還流チューブ16が設けられている点において、メインタンク106Bのインクの経路と異なっている。
【0022】
メインタンク106とサブタンク110とは、可撓性を有するインク供給チューブ107,108,109を介して接続されている。サブタンク110とインクヘッド104とは、インク導出管118を介して接続されている。これらインク供給チューブ107,108,109と、サブタンク110と、インク導出管118とは、メインタンク106とインクヘッド104とを接続するインク供給経路を構成している。インク供給チューブ107とメインタンク106との接続部分は、インク供給経路の上流端である。インク導出管118とインクヘッド104との接続部分は、インク供給経路の下流端である。
【0023】
インク還流チューブ16の一端は、三方弁12を介して、インク供給経路の上流側部分に接続されている。インク還流チューブ16の他端は、三方弁14を介して、インク供給経路の下流側部分に接続されている。なお、ここでインク供給経路の上流側部分とは、インク供給経路の中間位置よりも上流端側(すなわち、メインタンク106側)の部分のことである。インク供給経路の下流側部分とは、インク供給経路の中間位置よりも下流端側(すなわち、インクヘッド104側)の部分のことである。インク還流チューブ16の中途部には、ポンプ18が設けられている。図示は省略するが、ポンプ18には、三方弁14から三方弁12に向かう方向のインクの流れを許容するが、その逆方向のインクの流れを阻止する一方向弁が設けられている。言い換えると、ポンプ18は、インクヘッド104側からメインタンク106側の方向にのみインクを搬送する。
【0024】
三方弁12は、第1配管接続口12a、第2配管接続口12bおよび第3配管接続口12cの3箇所の配管接続口を備えている。第1配管接続口12aには、第1配管接続口12aを開閉する第1弁座12aaが設けられている。第2配管接続口12bには、第2配管接続口12bを開閉する第2弁座12bbが設けられている。第3配管接続口12cは、常時開口している。三方弁12は、例えば、電磁弁により構成することができる。第1弁座12aaと第2弁座12bbとは、常に、一方が開くと他方が閉じ、他方が開くと一方が閉じるように設定されている。なお、図2には、第1弁座12aaを開くとともに、第2弁座12bbを閉じた状態が示されている。
【0025】
インク供給チューブ107の一端はメインタンク106に接続され、三方弁12の第1配管接続口12aには、インク供給チューブ107の他端が接続されている。三方弁12の第2配管接続口12bには、インク還流チューブ16の一端が接続されている。三方弁12の第3配管接続口12cには、インク供給チューブ108の一端が接続されている。
【0026】
三方弁14は、第1配管接続口14a、第2配管接続口14bおよび第3配管接続口14cの3箇所の配管接続口を備えている。第1配管接続口14aには、第1配管接続口14aを開閉する第1弁座14aaが設けられている。第2配管接続口14bには、第2配管接続口14bを開閉する第2弁座14bbが設けられている。第3配管接続口14cは、常時開口している。三方弁14も、例えば、電磁弁により構成することができる。第1弁座14aaと第2弁座14bbとは、常に、一方が開くと他方が閉じ、他方が開くと一方が閉じるように設定されている。なお、図2には、第1弁座14aaを開くとともに、第2弁座14bbを閉じた状態が示されている。
【0027】
インク供給チューブ109の一端はサブタンク110に接続され、三方弁14の第1配管接続口14aには、インク供給チューブ109の他端が接続されている。三方弁14の第2配管接続口14bには、インク還流チューブ16の他端が接続されている。三方弁14の第3配管接続口14cには、インク供給チューブ108の他端が接続されている。
【0028】
インクジェットプリンタ10は、インクヘッド104を封止してインクヘッド104の洗浄を行うクリーニングユニット112と、連結管114を介してクリーニングユニット112に接続された廃液タンク116とを備えている。
【0029】
インクジェットプリンタ10の印刷動作の際には、三方弁12および三方弁14は、図2に示す状態に設定される。すなわち、三方弁12においては、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが開かれ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが閉じられる。三方弁14においては、第1配管接続口14aの第1弁座14aaが開かれ、第2配管接続口14bの第2弁座14bbが閉じられる。インクは、メインタンク106からインク供給チューブ107、三方弁12、インク供給チューブ108、三方弁14、およびインク供給チューブ109を介して、サブタンク110へ供給される。なお、図2における矢印は、印刷動作の際のインクの流れを示している。サブタンク110に供給されたインクは、インク導出管118を介してインクヘッド104へ供給される。インクヘッド104へ供給されたインクは、印刷データに基づいて、所望のタイミングで吐出される。吐出されたインクはインク滴となって記録用紙5上に着滴し、記録用紙5上に画像等を形成する。
【0030】
一方、インクの色材の沈殿を抑制するためには、以下のインク循環動作を行う。インク循環動作の際には、三方弁12および三方弁14は、図3に示す状態に設定される。すなわち、三方弁12においては、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが閉じられ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが開かれる。三方弁14においては、第1配管接続口14aの第1弁座14aaが閉じられ、第2配管接続口14bの第2弁座14bbが開かれる。インク循環動作の際には、ポンプ18が駆動される。これにより、三方弁12と三方弁14とを介して、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環する。なお、図3における矢印は、インク循環動作時のインクの流れを示している。
【0031】
このように、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環するので、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16内に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができる。
【0032】
また、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16内に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができるので、色材の沈殿したインクを排出する作業を省くことができるようになる。また、廃液タンク116へ排出されて廃液となるインクの量を低減することができるようになる。
【0033】
図1に示すように、インク還流チューブ16の一端は、インク供給経路におけるメインタンク106とケーブルベア35との間の部分に接続されている。そのため、インク供給経路の上流端の近傍(言い換えると、メインタンク106の近傍)の位置から、インクを循環させることが可能となる。したがって、インク供給経路の広い範囲にわたってインクを循環させることができる。
【0034】
また、インク還流チューブ16の他端は、インク供給経路におけるケーブルベア35とインクヘッド104との間の部分に接続されている。そのため、インク供給経路の下流端の近傍(言い換えると、インクヘッド104の近傍)の位置まで、インクを循環させることが可能となる。したがって、インク供給経路の広い範囲にわたってインクを循環させることができる。
【0035】
図1に示すように、インク還流チューブ16の一端は、インク供給経路におけるメインタンク106とケーブルベア35との間の部分に接続され、インク還流チューブ16の他端は、インク供給経路におけるケーブルベア35とインクヘッド104との間の部分に接続されている。よって、インク供給経路の広い範囲にわたってインクを循環させることができる。したがって、インク供給経路の広い範囲にわたって、インクの沈殿を抑制することが可能となる。また、インク還流チューブ16とインク供給経路との接続部分は、ケーブルベア35の外側に配置されることになる。したがって、キャリッジ102の移動に伴ってケーブルベア35が変形しても、上記接続部分がケーブルベア35と擦れることはない。よって、上記接続部分の耐久性を高めることができる。
【0036】
図1に示すように、ケーブルベア35は、下方から上方に向かって右方に折り返された屈曲部を有している。なお、この屈曲部の位置は、キャリッジ102の移動に伴って変化する。インク供給チューブ108も、メインタンク106側からインクヘッド104側に至るまでの間に、屈曲部で屈曲している。インク供給チューブ108の屈曲部は、ケーブルベア35の屈曲部の内側に位置している。インク供給チューブ108の屈曲部も、キャリッジ102の移動に伴って移動する。インク還流チューブ16の一端は、インク供給経路におけるメインタンク106とインク供給チューブ108の屈曲部との間に接続されている。インク還流チューブ16の他端は、インク供給経路におけるインク供給チューブ108の屈曲部とインクヘッド104との間に接続されている。
【0037】
図1に示すように、インク還流チューブ16は、ケーブルベア35内に挿通されている。そのため、キャリッジ102が移動した際に、インク還流チューブ16はケーブルベア35に倣って変形する。したがって、インク還流チューブ16はインク供給チューブ108と同様に、キャリッジ102の移動の際に円滑に変形する。
【0038】
なお、本実施の形態では、ケーブルベア35は、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16のそれぞれの周面の全体を覆っている。しかし、ケーブルベア35は、インク供給チューブ108の周面の一部を覆っていてもよく、インク還流チューブ16の周面の一部を覆っていてもよい。例えば、ケーブルベア35は、インク供給チューブ108の長手方向に関して、インク供給チューブ108の周面を断続的に覆っていてもよい。ケーブルベア35は、複数の構成部材が蛇腹状に連結されて構成されている。それら構成部材は、長手方向に互いに隙間を空けずに連続的に配置されていてもよく、互いの間に隙間が形成されるように間欠的に配置されていてもよい。また、ケーブルベア35は、インク供給チューブ108の円周方向に関して、インク供給チューブ108の周面の一部を覆っていてもよい。例えば、ケーブルベア35は、インク供給チューブ108の周面の上側部分、下側部分、前側部分、もしくは後側部分のみを覆っていてもよい。例えば、ケーブルベア35にクランプを取り付け、このクランプを介してインク供給チューブ108をケーブルベア35に取り付けるようにしてもよい。このような場合であっても、インク供給チューブ108は、ケーブルベア35と共に円滑に変形することになる。なお、インク還流チューブ16について同様である。
【0039】
三方弁14は、インク還流チューブ16の他端とインク供給チューブ108とを接続する接続部材である。三方弁14は、キャリッジ102によってサブタンク110と共に移動するような位置に配置されている。すなわち、三方弁14は、サブタンク110の近傍に配置されている。よって、三方弁14はインク供給チューブ109を介してサブタンク110に支持されることになる。したがって、キャリッジ102の移動の際に、三方弁14が揺れることを抑制することができる。なお、「接続部材」は三方弁に限られず、他の流路切換機構であってもよく、後述の実施の形態で説明する三方継手等であってもよい。
【0040】
ポンプ18はインク供給チューブ108に設けられていてもよいが、本実施の形態では、ポンプ18はインク還流チューブ16に設けられている(図2参照)。ポンプ18がインク供給チューブ108に設けられていると、印刷動作の際に、ポンプ18がインクの流動抵抗となる可能性がある。しかし、ポンプ18を、メインタンク106側からインクヘッド104側にインクを送るインク供給チューブ108ではなく、インクヘッド104側からメインタンク106側にインクを送るインク還流チューブ16に設けることとすれば、印刷動作の際に、インク供給チューブ108におけるインクの流動抵抗を抑えることができる。
【0041】
<第2の実施の形態>
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るインクの経路の説明図である。以下の説明においては、図2乃至図3を参照しながら説明した前述の第1の実施の形態と同一または相当する部分については、上記において用いた符号と同一の符号を用い、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0042】
第2の実施の形態に係るインクジェットプリンタ20は、サブタンク110の上流側に設けられていた三方弁14に代えて、サブタンク110の下流側に配置された三方弁22を備えている点において、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタ10と異なっている。
【0043】
三方弁22は、第1配管接続口22a、第2配管接続口22bおよび第3配管接続口22cの3箇所の配管接続口を備えている。第1配管接続口22aには、第1配管接続口22aを開閉する第1弁座22aaが設けられている。第2配管接続口22bには、第2配管接続口22bを開閉する第2弁座22bbが設けられている。第3配管接続口22cは、常時開口している。三方弁22は、例えば、電磁弁により構成することができる。第1弁座22aaと第2弁座22bbとは、常に、一方が開くと他方が閉じ、他方が開くと一方が閉じるように設定されている。なお、図4には、第1弁座22aaを開くとともに、第2弁座22bbを閉じた状態が示されている。
【0044】
インク導出管119の一端はインクヘッド104に接続され、三方弁22の第1配管接続口22aには、インク導出管119の他端が接続されている。インク還流チューブ16の一端は三方弁12の第2配管接続口12bに接続され、三方弁22の第2配管接続口22bには、インク還流チューブ16の他端が接続されている。インク導出管118の一端サブタンク110に接続され、三方弁22の第3配管接続口22cには、インク導出管118の他端が接続されている。
【0045】
インクジェットプリンタ20の印刷動作の際には、三方弁12および三方弁22は、図4に示す状態に設定される。すなわち、三方弁12においては、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが開かれ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが閉じられる。三方弁22においては、第1配管接続口22aの第1弁座22aaが開かれ、第2配管接続口22bの第2弁座22bbが閉じられる。インクは、メインタンク106からインク供給チューブ107、三方弁12、およびインク供給チューブ108を介してサブタンク110に供給される。サブタンク110に供給されたインクは、インク導出管118、三方弁22、およびインク導出管119を介してインクヘッド104へ供給される。なお、図4に示す矢印は、印刷動作の際のインクの流れを示している。インクヘッド104へ供給されたインクは、印刷データに基づいて、所望のタイミングで吐出される。吐出されたインクはインク滴となって記録用紙5上に着滴し、記録用紙5上に画像等を形成する。
【0046】
インク循環動作の際には、三方弁12および三方弁14は、図5に示す状態に設定される。すなわち、三方弁12においては、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが閉じられ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが開かれる。三方弁22においては、第1配管接続口22aの第1弁座22aaが閉じられ、第2配管接続口22bの第2弁座22bbが開かれる。インク循環動作の際には、ポンプ18が駆動される。これにより、三方弁12と三方弁22とを介して、インク供給チューブ108とサブタンク110とインク導出管118とインク還流チューブ16との間で、インクが循環する。なお、図5における矢印は、インク循環動作時のインクの流れを示している。
【0047】
このように、インク供給チューブ108とサブタンク110とインク導出管118とインク還流チューブ16との間でインクが循環するので、インク供給チューブ108、サブタンク110、インク導出管118、およびインク還流チューブ16の内部に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができる。また、色材の沈殿したインクを排出する作業を省くことができるようになる。また、廃液タンク116へ排出されて廃液となるインクの量を低減することができるようになる。
【0048】
<第3の実施の形態>
図6は、本発明の第3の実施の形態に係るインクの経路の説明図である。以下の説明においては、図2乃至図3を参照しながら説明した前述の第1の実施の形態と同一または相当する部分については、上記において用いた符号と同一の符号を用い、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0049】
第3の実施の形態に係るインクジェットプリンタ30は、三方弁14に代えて三方継手32を備えている点において、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタ10と異なっている。
【0050】
三方継手32は、第1配管接続口32a、第2配管接続口32b、および第3配管接続口32cの3箇所の配管接続口を備えている。こうした三方継手32は、例えば、T型パイプやY型パイプ等によって構成することができる。
【0051】
インク供給チューブ109の一端はサブタンク110に接続され、三方継手32の第1配管接続口32aには、インク供給チューブ109の他端が接続されている。インク還流チューブ16の一端は三方弁12の第2配管接続口12bに接続され、三方継手32の第2配管接続口32bには、インク還流チューブ16の他端が接続されている。インク供給チューブ108の一端は三方弁12の第3配管接続口12cに接続され、三方継手32の第3配管接続口32cには、インク供給チューブ108の他端が接続されている。
【0052】
インクジェットプリンタ30の印刷動作の際には、三方弁12は、図6に示す状態に設定される。すなわち、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが開かれ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが閉じられる。インクは、メインタンク106からインク供給チューブ107、三方弁12、インク供給チューブ108、三方継手32、およびインク供給チューブ109を介して、サブタンク110へ供給される。なお、図6における矢印は、印刷動作の際のインクの流れを示している。サブタンク110に供給されたインクは、インク導出管118を介してインクヘッド104へ供給される。インクヘッド104へ供給されたインクは、印刷データに基づいて、所望のタイミングで吐出される。吐出されたインクはインク滴となって記録用紙5上に着滴し、記録用紙5上に画像等を形成する。
【0053】
インク循環動作の際には、三方弁12は、図7に示す状態に設定される。すなわち、第1配管接続口12aの第1弁座12aaが閉じられ、第2配管接続口12bの第2弁座12bbが開かれる。また、ポンプ18が駆動される。これにより、三方弁12と三方継手32とを介して、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環する。なお、図7における矢印は、インク循環動作時のインクの流れを示している。
【0054】
なお、この際には、インク供給チューブ109ならびにサブタンク110に貯留されているインクの圧力により、三方継手32からインク供給チューブ109側に向かうインクの流れは抑えられる。
【0055】
このように、本実施形態においても、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環するので、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16内に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができる。また、色材の沈殿したインクを排出する作業を省くことができるようになる。また、廃液タンク116へ排出されて廃液となるインクの量を低減することができるようになる。
【0056】
<第4の実施の形態>
図8は、本発明の第4の実施の形態に係るインクの経路の説明図である。以下の説明においては、図2乃至図3を参照しながら説明した前述の第1の実施の形態と同一または相当する部分については、上記において用いた符号と同一の符号を用い、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0057】
第4の実施の形態に係るインクジェットプリンタ40は、三方弁12に代えて三方継手42を備えている点において、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタ10と異なっている。
【0058】
三方継手42は、第1配管接続口42a、第2配管接続口42b、および第3配管接続口42cの3箇所の配管接続口を備えている。こうした三方継手42は、例えば、T型パイプやY型パイプ等によって構成することができる。
【0059】
インク供給チューブ107の一端はメインタンク106に接続され、三方継手42の第1配管接続口42aには、インク供給チューブ107の他端が接続されている。三方継手42の第2配管接続口42bには、インク還流チューブ16の一端が接続され、インク還流チューブ16の他端は、三方弁14の第2配管接続口14bに接続されている。三方継手42の第3配管接続口42cには、インク供給チューブ108の一端が接続され、インク供給チューブ108の他端は、三方弁14の第3配管接続口14cに接続されている。
【0060】
インクジェットプリンタ40の印刷動作の際には、三方弁14は、図8に示す状態に設定される。すなわち、第1配管接続口14aの第1弁座14aaが開かれ、第2配管接続口14bの第2弁座14bbが閉じられる。インクは、メインタンク106からインク供給チューブ107、三方継手42、インク供給チューブ108、三方弁14、およびインク供給チューブ109を介して、サブタンク110へ供給される。なお、図8における矢印は、印刷動作の際のインクの流れを示している。サブタンク110に供給されたインクは、インク導出管118を介してインクヘッド104へ供給される。インクヘッド104へ供給されたインクは、印刷データに基づいて、所望のタイミングで吐出される。吐出されたインクはインク滴となって記録用紙5上に着滴し、記録用紙5上に画像等を形成する。
【0061】
一方、インク循環動作の際には、三方弁14は、図9に示す状態に設定される。すなわち、第1配管接続口14aの第1弁座14aaが閉じられ、第2配管接続口14bの第2弁座14bbが開かれる。また、ポンプ18が駆動される。これにより、三方継手42と三方弁14とを介して、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環する。なお、図9における矢印は、インク循環動作時のインクの流れを示している。
【0062】
このように、本実施形態においても、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環するので、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16内に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができる。また、色材の沈殿したインクを排出する作業を省くことができるようになる。また、廃液タンク116へ排出されて廃液となるインクの量を低減することができるようになる。
【0063】
<第5の実施の形態>
図10は、本発明の第5の実施の形態に係るインクの経路の説明図である。以下の説明においては、前述の実施の形態と同一または相当する部分については、上記において用いた符号と同一の符号を用い、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0064】
第5の実施の形態に係るインクジェットプリンタ50は、三方弁12に代えて三方継手42を備え、三方弁14に代えて三方継手32を備えている点において、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタ10と異なっている。
【0065】
三方継手32の構成は第3の実施の形態と同様であり、三方継手42の構成は第4の実施の形態と同様である。それゆえ、三方継手32および三方継手42の説明は省略する。
【0066】
インクジェットプリンタ50の印刷動作の際には、図10に示すように、インクは、メインタンク106からインク供給チューブ107、三方継手42、インク供給チューブ108、三方継手32、およびインク供給チューブ109を介して、サブタンク110へ供給される。なお、図10における矢印は、印刷動作の際のインクの流れを示している。サブタンク110に供給されたインクは、インク導出管118を介してインクヘッド104へ供給される。インクヘッド104へ供給されたインクは、印刷データに基づいて、所望のタイミングで吐出される。吐出されたインクはインク滴となって記録用紙5上に着滴し、記録用紙5上に画像等を形成する。
【0067】
インク循環動作の際には、図11に示すように、ポンプ18が駆動され、三方継手42と三方継手32とを介して、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環する。なお、図11における矢印は、インク循環動作時のインクの流れを示している。
【0068】
なお、この際には、インク供給チューブ109ならびにサブタンク110に貯留されているインクの圧力により、三方継手32からインク供給チューブ109側に向かうインクの流れは抑えられる。
【0069】
このように、本実施形態においても、インク供給チューブ108とインク還流チューブ16との間でインクが循環するので、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16内に充填されているインクの色材の沈殿を抑制することができる。また、色材の沈殿したインクを排出する作業を省くことができるようになる。また、廃液タンク116へ排出されて廃液となるインクの量を低減することができるようになる。
【0070】
なお、前述したように、三方継手42および三方継手32の形状は特に限定されない。図12に示すように、三方継手42および三方継手32として、Y形の三方継手を用いてもよい。他の実施の形態においても、同様である。
【0071】
前述したように、ポンプ18には、インクヘッド104側からメインタンク106側の方向のインクの流れは許容するが、その逆の方向のインクの流れは阻止する一方向弁(図示せず)が設けられている。ポンプ18は、インク還流チューブ16内に、三方継手32から三方継手42に向かうインクの流れを形成する。そのため、ポンプ18は、インク供給チューブ108から三方継手32の第3配管接続口32cに流入したインクを、第2配管接続口32bからインク還流チューブ16に吸引する流れを形成する。その結果、三方継手32の第1配管接続口32a側には負圧が生じ、ひいては、インクヘッド104のノズル(図示せず)内に負圧が生じる。したがって、インク循環動作時に、インクヘッド104のノズルからインクが漏れることを効果的に防止することができる。
【0072】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態は、第5の実施の形態において、インクヘッド104等の構成に変更を加えたものである。本発明に係るインクジェット式記録装置において、インクヘッド104の構成は特に限定されないが、本実施の形態に係るインクヘッド104は、それぞれノズルが形成された複数のヘッドユニットを有している。詳しくは、本実施の形態に係るインクヘッド104は、図13(b)に示すように、2つのヘッドユニット104a,104bを有している。ヘッドユニット104a,104bの下面には、それぞれ複数のノズル4が形成されている。各ヘッドユニット104a,104bのノズル4は、主走査方向Xと直交する方向である副走査方向Yに並んでいる。ヘッドユニット104aのノズル4とヘッドユニット104bのノズル4とは、主走査方向Xに並んでいる。
【0073】
図13(a)に示すように、本実施の形態においては、ヘッドユニット104a,104bに対して、それぞれサブタンク110a,110bが設けられている。三方継手32の第1配管接続口32aにはインク導出管109aの一端が接続されている。インク導出管109aの他端には、三方継手19の第1配管接続口19aが接続されている。三方継手19の第2配管接続口19bには、インク導出管109baの一端が接続され、インク導出管109baの他端にはサブタンク110aが接続されている。三方継手19の第3配管接続口19cには、インク導出管109bbの一端が接続され、インク導出管109bbの他端はサブタンク110bに接続されている。サブタンク110aとヘッドユニット104aとは、インク導出管118aを介して接続されている。サブタンク110bとヘッドユニット104bとは、インク導出管118bを介して接続されている。
【0074】
本実施の形態によれば、メインタンク106と三方継手19との間の部分が、メインタンク106からヘッドユニット104aにインクを供給する経路と、メインタンク106からヘッドユニット104bにインクを供給する経路として、共通化されている。また、インク還流チューブ16も共通化されている。そのため、部品点数を削減することができる。なお、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16は、ケーブルベア35内に収容されるものである。そのため、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16の本数を削減することにより、ケーブルベア35内に収容すべきチューブの本数を削減することができる。また、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16は、キャリッジ102の移動に伴って変形するものである。そのため、インク供給チューブ108およびインク還流チューブ16の本数を削減することにより、キャリッジ102の移動に伴って変形するチューブの本数を削減することができる。
【0075】
なお、第6の実施の形態は、第5の実施の形態において、複数のヘッドユニット104a,104bと複数のサブタンク110a,110bを備えたものであった。しかし、第1乃至第4のいずれか一つの実施の形態において、複数のヘッドユニット104a,104bと複数のサブタンク110a,110bを備えたものであってもよい。すなわち、上記三方継手42の代わりに、三方弁12を設けてもよい。また、上記三方継手32の代わりに、三方弁14または三方弁22を設けてもよい。
【0076】
<変形例>
本発明は上述の実施の形態に限らず、他に種々の形態にて実施することができる。
【0077】
上述した各実施の形態において、インクジェットプリンタ10,20,30,40,50にタイマーを設定しておき、所定時間内に印刷動作が実行されない場合に、インク循環動作を自動的に実行するようにしてもよい。あるいは、インク循環動作を自動的に実行するようにするとともに、ユーザが所定の操作子などを任意のタイミングで操作すると、その操作によってインク循環動作が開始されるようにしてもよい。あるいは、インク循環動作は自動的に開始されることがなく、ユーザが所定の操作子などを任意のタイミングで操作すると、その操作によってインク循環動作が開始されるようにしてもよい。
【0078】
上述した各実施の形態において、インクジェットプリンタ10,20,30,40,50にタイマーを設定しておき、インク循環動作の開始後に所定時間が経過すると、インク循環動作を自動的に終了するようにしてもよい。あるいは、インク循環動作の開始後に所定時間が経過するとインク循環動作を自動的に終了するようにするとともに、ユーザが所定の操作子などを任意のタイミングで操作すると、その操作によってインク循環動作が終了するようにしてもよい。あるいは、インク循環動作が自動的に終了することはなく、ユーザが所定の操作子などを任意のタイミングで操作すると、その操作によってインク循環動作が終了するようにしてもよい。
【0079】
上述した各実施の形態において、ポンプ18によるインクの流通方向は逆であってもよい。
【0080】
上述した実施の形態において、三方弁の代わりに、他の流路切換弁を用いることも可能である。例えば、三方弁の代わりに、四方弁等を用いることも可能である。例えば、四方弁の4つの配管接続口のうち、その一つを常時閉鎖し、またはその一つに一端が閉鎖された閉鎖管を接続すること等により、四方弁を三方弁として利用することが可能である。また、上述した実施の形態において、三方継手の代わりに、四方継手等を利用することも可能である。
【0081】
上述の実施の形態は、色材が沈殿しやすいインクと色材が沈殿しにくいインクとの両方を用いるものであった。しかし、本発明に係るインクジェット式記録装置は、色材が沈殿しやすいインクのみを用いるインクジェット式記録装置であってもよい。すべてのインクの経路にインク還流チューブ16を設けることにより、すべてのインクに対して、インク供給チューブ108における色材の沈殿を抑制することができる。
【0082】
上述した実施の形態において、サブタンク110,110Bは可撓性を有するものであったが、前述したように、サブタンク110,110Bは可撓性を有していないものであってもよい。ただし、サブタンク110,110Bが可撓性を有することにより、以下の効果を得ることができる。すなわち、インクヘッド104,104Bの主走査方向Yの移動に伴うチューブ108,108B等の変形などによって、当該チューブ108,108B等の内部にインクの圧力変動が生じたとしても、サブタンク110,110Bが変形することにより当該インクの圧力変動を吸収して緩和することができる。これにより、インクの圧力変動がインクヘッド104,104Bの吐出動作に悪影響を及ぼしにくくなる。したがって、より安定したインクの吐出動作を実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
2 装置本体
10,20,30,40,50 インクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置)
12 三方弁(接続部材)
14,22 三方弁
16 インク還流チューブ(インク還流経路)
18 ポンプ
19,32 三方継手
35 ケーブルベア
42 三方継手(接続部材)
49 ガイドレール
102 キャリッジ
104 インクヘッド
104B インクヘッド(他のインクヘッド)
104a,104b ヘッドユニット
106 メインタンク(インクタンク)
106B メインタンク(他のインクタンク)
107,108,109 インク供給チューブ
108B インク供給チューブ(他のインク供給経路)
110,110B サブタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留したインクタンクと、
インクを吐出するインクヘッドと、
前記インクタンクに接続された上流端と前記インクヘッドに接続された下流端とを有し、前記インクタンクと前記インクヘッドとを接続するインク供給経路と、
一端が前記インク供給経路の中間位置よりも上流端側に接続され、他端が前記インク供給経路の中間位置よりも下流端側に接続されたインク還流経路と、
前記インク供給経路と前記インク還流経路との間でインクを循環させるポンプと、
を備えたインクジェット式記録装置。
【請求項2】
前記インクタンクを支持する装置本体と、
前記装置本体に固定されたガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、を備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するインク供給チューブを有し、
前記キャリッジの移動と共に変形し、前記インク供給チューブの周面の少なくとも一部を覆うケーブルベアをさらに備え、
前記インク還流経路の前記一端は、前記インク供給経路における前記インクタンクと前記ケーブルベアとの間の部分に接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項3】
前記インクタンクを支持する装置本体と、
前記装置本体に固定されたガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、を備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するインク供給チューブを有し、
前記キャリッジの移動と共に変形し、前記インク供給チューブの周面の少なくとも一部を覆うケーブルベアをさらに備え、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記ケーブルベアと前記インクヘッドとの間の部分に接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】
前記インクタンクを支持する装置本体と、
前記装置本体に固定されたガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、を備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するインク供給チューブを有し、
前記キャリッジの移動と共に変形し、前記インク供給チューブの周面の少なくとも一部を覆うケーブルベアをさらに備え、
前記インク還流経路の前記一端は、前記インク供給経路における前記インクタンクと前記ケーブルベアとの間の部分に接続され、前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記ケーブルベアと前記インクヘッドとの間の部分に接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】
前記インク還流経路は、その周面の少なくとも一部が前記ケーブルベアにより覆われ、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するインク還流チューブを有している、
請求項4に記載のインクジェット式記録措置。
【請求項6】
前記インク還流経路の前記他端と前記インク供給経路とを接続する接続部材をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記インク供給チューブと前記インクヘッドとの間に位置するとともに前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記接続部材は、前記キャリッジによって前記サブタンクと共に移動するような位置に配置されている、
請求項4または5に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】
前記インクタンクを支持する装置本体と、
前記装置本体に固定されたガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、を備え、
前記インク供給経路は、屈曲部で屈曲するとともに、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するインク供給チューブを有し、
前記インク還流経路の前記一端は、前記インク供給経路における前記インクタンクと前記屈曲部との間の部分に接続され、前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記屈曲部と前記インクヘッドとの間の部分に接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】
前記インクヘッドは、それぞれノズルが形成された複数のヘッドユニットを有し、
前記インク供給経路は、前記インク還流経路の前記他端との接続部分よりも下流側において複数の分岐路に分岐し、
前記複数の分岐路は、前記複数のヘッドユニットにそれぞれ接続されている、
請求項1〜7のいずれか一つに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】
前記ポンプは、前記インク還流経路に設けられている、
請求項1〜8のいずれか一つに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項10】
ガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記インク還流経路の前記一端は、三方弁を介して前記インク供給経路に接続され、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記サブタンクよりも上流側の部分に、他の三方弁を介して接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項11】
ガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記インク還流経路の前記一端は、三方弁を介して前記インク供給経路に接続され、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記サブタンクよりも下流側の部分に、他の三方弁を介して接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項12】
ガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記インク還流経路の前記一端は、三方弁を介して前記インク供給経路に接続され、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記サブタンクよりも上流側の部分に、三方継手を介して接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項13】
ガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記インク還流経路の前記一端は、三方継手を介して前記インク供給経路に接続され、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記サブタンクよりも上流側の部分に、他の三方弁を介して接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項14】
ガイドレールと、
前記インクヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記インク供給経路は、前記キャリッジに搭載され、インクを貯留するサブタンクを備え、
前記インク還流経路の前記一端は、三方継手を介して前記インク供給経路に接続され、
前記インク還流経路の前記他端は、前記インク供給経路における前記サブタンクよりも上流側の部分に、他の三方継手を介して接続されている、
請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項15】
他のインクを貯留した他のインクタンクと、
他のインクを吐出する他のインクヘッドと、
前記他のインクタンクと前記他のインクヘッドとを接続する他のインク供給経路と、を備え、
前記他のインク供給経路には、インク還流経路が接続されていない、
請求項1〜14のいずれか一つに記載のインクジェット式記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−279932(P2009−279932A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104939(P2009−104939)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】