説明

インクジェット捺染用の定着促進組成物、インクジェット捺染セット、及びインクジェット捺染方法

【課題】インクジェット捺染における前処理布帛の非画像領域の黄変を防止可能なインクジェット捺染用の定着促進組成物、インクジェット捺染セット、及びインクジェット捺染方法を提供する。
【解決手段】定着促進組成物は、アルカリ剤と保湿剤と水とを含み、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能である。捺染セットは、前記定着促進組成物と、非アルカリ前処理液と、インクジェット捺染用インク組成物との組合せを含む。ンクジェット捺染方法は、布帛全体を非アルカリ前処理液で処理し、続いて、インクジェット記録用プリンタヘッドから、画像領域に、前記定着促進組成物及びインクジェット捺染用インク組成物を任意の順序で吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット捺染用の定着促進組成物、インクジェット捺染セット、及びインクジェット捺染方法に関する。本発明によれば、非画像領域における黄変を有効に防止することができる。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法を捺染に適用したインクジェット捺染では、予め前処理された各種の布帛にインク小滴を吐出し、インクを付着・発色させて画像を形成している。これは、従来の捺染方法で使用されているインク組成物の各種配合成分の中には、糊剤のように、インクジェット記録方法に適した低粘性に調整することが比較的困難な配合成分が存在するため、一方で、糊剤のような高粘性成分についてはパディング処理などによって予め布帛全体に担持させておき、他方で、反応染料を含むインク組成物を低粘性に調整してインクジェット記録用プリンタヘッドから、前記の前処理布帛に吐出させている。
従って、例えば、図1に示すように、布帛10にE字の画像領域1と、それ以外の地部分である非画像領域2とを形成する場合に、捺染スクリーンを用いる従来型の捺染方法では、捺染スクリーンを介して捺染インクを布帛10に付与するので、画像領域1の部分に供給される捺染インクは、捺染スクリーンを通過して布帛10に到達するのに対し、非画像領域2の部分へ供給される捺染インクは、捺染スクリーンに遮断されて布帛10に到達しない。すなわち、非画像領域2の部分には捺染インクが全く付着せず、画像領域1の部分にのみ捺染インクが付着する。
【0003】
これに対して、インクジェット捺染方法によって、図1に示すように、布帛10にE字の画像領域1とそれ以外の地部分である非画像領域2とを形成する場合には、布帛10の全体を前処理液によってパディングして、前処理布帛を予め準備しておき、続いて画像領域1の部分のみにインクジェット記録用プリンタヘッドからインクを吐出させると、布帛10上でインクと前処理液とが合体することによって画像領域1の部分のみが染料定着(発色)し、E字の画像領域1が形成される。非画像領域2には、インクが付着しないので画像は形成されないが、前処理液に含まれていた配合成分は、残留することになる。
【0004】
ところで、インクジェット捺染は、一般的に多品種少量生産に適しているので、前記の前処理布帛は、インクジェット捺染を実施するまで、ロール状に巻き取られた状態で長期間保存されることになる。この長期保存中に、前処理布帛が全体的に黄変することがある。この黄変は、主に絹製布帛やウール製布帛に現れる。これは、前処理液中にアルカリ剤が含まれているために、絹製布帛やウール製布帛を徐々に変性して発色させることが原因であると思われる。なお、こうした黄変は、インクジェット捺染を実施する前の布帛全体に認められるが、インクジェット捺染を実施した後の画像領域では反応染料による発色が行われるために隠蔽されることが多く、実用上の問題にはならない。しかしながら、非画像領域の黄変は隠蔽されずに、そのまま残ってしまう。
【0005】
また、インクジェット捺染では、前処理布帛にインクを印捺した後に、従来の捺染法と同様の定着処理を実施する。この定着処理は、例えば、温度約102℃にて湿度98%以上の環境下で8分間程度のスチーミング処理によって行う。この定着処理においても、例えば、絹製布帛やウール製布帛では非画像領域に黄変が発生する。この理由も、前処理液中にアルカリ剤が含まれているためと考えられる。なお、この黄変も、実際には、布帛全体に発生していると思われるが、画像領域では反応染料による発色に隠蔽され、実用上の問題にはならないことが多い。しかしながら、非画像領域の黄変は隠蔽されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような黄変は、従来型の捺染では発生せず、専らインクジェット捺染に固有の問題点である。しかも、インクジェット捺染においては、前処理布帛を長期間にわたって保存した場合に発生するだけでなく、前処理布帛の調製直後にインク印捺を実施した場合であっても定着処理によって発生する。しかしながら、この種の黄変現象については、従来から全く取り上げられておらず、従って、その解決手段の提案も全く行われていない。
従って、本発明の課題は、インクジェット捺染に固有の前記の黄変を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、
アルカリ剤と保湿剤と水とを含み、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能であることを特徴とする、インクジェット捺染用の定着促進組成物によって解決することができる。
本発明による前記定着促進組成物の好ましい態様においては、ヒドロトロピー剤を更に含む。
【0008】
本発明は、前記の定着促進組成物と、非アルカリ前処理液と、インクジェット捺染用インク組成物との組合せを含むことを特徴とする、インクジェット捺染セットにも関する。
本発明による前記インクジェット捺染セットの好ましい態様においては、前記定着促進組成物又は前記非アルカリ前処理液の少なくとも一方がヒドロトロピー剤を含む。
本発明による前記インクジェット捺染セットの別の好ましい態様においては、前記インクジェット捺染用インク組成物が、アルカリ剤と共に蒸熱することで定着性が向上する反応染料を含む。
【0009】
また、本発明は、布帛全体を非アルカリ前処理液で処理し、続いて、インクジェット記録用プリンタヘッドから、画像領域に、前記の定着促進組成物及びインクジェット捺染用インク組成物を任意の順序で吐出させることを特徴とする、インクジェット捺染方法にも関する。
本発明による前記インクジェット捺染方法の好ましい態様においては、動物性繊維製の布帛に対して適用する。
【発明の効果】
【0010】
従来のインクジェット捺染においては、捺染糊成分の全体を前処理剤とインクとの2成分に分割し、前処理剤によって布帛全体(画像領域及び非画像領域)をパディング処理し、インクをプリンタヘッドから画像領域に吐出させていたのに対し、本発明では、従来の前処理剤を更に、定着促進組成物と非アルカリ前処理液とに分割し、従来の前処理剤に含まれていたアルカリ剤を定着促進組成物のみに含有させ、他方で、糊剤を含み、アルカリ剤を除いた非アルカリ前処理液を新たに用意する。そして、この非アルカリ前処理液を用いて布帛全体(画像領域及び非画像領域)の前処理を実施し、アルカリ剤を含む定着促進組成物及びインクをプリンタヘッドから画像領域に吐出させる。従って、前処理後の布帛にはアルカリ剤が存在しないので、前処理布帛を長期間にわたって保存しても、黄変は発生せず、捺染処理後の定着処理によっても非画像領域の黄変が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔定着促進組成物〕
本発明による定着促進組成物は、少なくともアルカリ剤と保湿剤と水とを含む。また、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能に調整されている。すなわち、本発明による定着促進組成物は、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれている各種配合成分の内、アルカリ剤を必ず含み、高粘性配合成分(例えば、糊剤)を含まない。また、本発明による定着促進組成物は、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能に調整することができる限り、前記のアルカリ剤や保湿剤の他に、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれている任意の配合成分を含むことができる。
【0012】
(1)アルカリ剤
アルカリ剤は、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれており、インクジェット反応染料インクの定着反応速度を向上させる目的で使用されている。従って、本発明による定着促進組成物に含有させるアルカリ剤としても、定着時に反応染料の反応を促進する機能を有する任意のアルカリ剤を用いることができる。具体的には、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれていたアルカリ剤と同じ化合物を用いることができ、例えば、ナトリウム灰、水酸化ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウム等を挙げることができ、特に好適には重炭酸ナトリウムを挙げることができる。
アルカリ剤の含有量は、特に限定されるものではないが、定着促進組成物の全重量に対して、好ましくは1〜7重量%、より好ましくは2〜5重量%である。アルカリ剤の含有量が1重量%未満になると、定着反応促進効果が少なくなることがあり、7重量%を超えると、絹等の動物性繊維を傷めることがある。
【0013】
(2)保湿剤
前記定着促進組成物に対して、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能な物性を付与する目的で保湿剤を用いる。従って、通常のインクジェット記録用インク組成物において使用されている保湿剤を用いることができる。具体的には、常圧における沸点が150℃以上の多価アルコールを用いることが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、チオグリコールなどが挙げられる。
【0014】
なお、定着促進組成物と反応性染料を色材として含有するインクジェット捺染用インクとを同じインクジェット記録ヘッドから吐出する場合には、反応性染料との反応が起こりにくい保湿剤を使用することが好ましい。具体的には、式(I)の化合物が挙げられる。
【化1】

式(I)中において、EP1、EP2、及びEP3は、それぞれ独立してエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を表す。従って、同一分子中にエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基が混在してもよく、またそのいずれかのみ存在していてもよい。l、m、及びnは独立して0又は1以上の自然数を表すが、l、m、及びnの少なくとも一つは1以上であり、かつインク組成物中に含まれる式(I)の化合物全体の平均値としてのl+m+nが1以上30以下であり、より好ましくはその下限は2以上であり、その上限は28以下である。また、その好ましい範囲は3〜26である。l+m+nが上記範囲にあることで、プリントヘッドに定着促進組成物を充填し長時間放置しても直ちに安定した吐出が可能となり、またインク組成物の粘度が調整が行いやすい。
【0015】
式(I)の化合物は、好ましくはグリセリンを出発原料として、アルカリ等の雰囲気下でエチレンオキシドやプロピレンオキシドを目標モル量付加することによって製造することができる。この方法によって得られる式(I)の化合物は混合物であることが一般的であるが、蒸留などのプロセスにより単一化合物とされてもよい。
また、式(I)の化合物として市販品を利用することも可能であり、その例としてはLipo Chemicals Inc.(米国、ニュージャージー州)から入手可能なリポニックEG−1(EP1、EP2、及びEP3がいずれもエチレンオキシ基であり、l+m+nが26の式(I)の化合物)、EG−7(EP1、EP2、及びEP3がいずれもエチレンオキシ基であり、l+m+nが26の式(I)の化合物)が挙げられる。
【0016】
保湿剤の含有量は、特に限定されるものではないが、定着促進組成物の全重量に対して、好ましくは5〜40量%、より好ましくは5〜30重量%である。保湿剤の含有量が5重量%未満になると、乾燥目詰まりすることがあり、40重量%を超えると、定着後、滲みが発生することがある。
【0017】
(3)水
本発明の前記定着促進組成物において、水は主溶媒である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、又は蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、前記定着促進組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
【0018】
(4)増粘剤
本発明の前記定着促進組成物は、必要により、増粘剤を含むことができる。増粘剤としては、水との親和性に優れた化合物が好ましく、前記定着促進組成物の吐出特性に悪影響を与えないことが必要である。増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコールを用いることができる。
【0019】
(5)吐出性
本発明の前記定着促進組成物は、インクジェット記録用プリンタヘッドから、後述する非アルカリ前処理液によって前処理された布帛の画像領域に吐出させて使用するので、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能となる種々の物性を有することが必要である。こうした物性としては、例えば、粘度が20℃で、好ましくは8.0m・Pa・s以下、より好ましくは1.5〜6.0m・Pa・sである。8.0m・Pa・s以下であれば通常の環境温度で何ら支障なくインク吐出が可能である。20℃で8.0m・Pa・sを超えるインクは低温領域での吐出安定性が悪くなる。
【0020】
〔非アルカリ前処理液〕
本発明で用いる前記非アルカリ前処理液は、従来のインクジェット捺染で用いられている前処理剤において、糊剤などの高粘性物質を含めたままで、アルカリ剤を除去したものに相当し、従来のインクジェット捺染における前処理剤と同様の態様で使用することができる。従って、この非アルカリ前処理液は、少なくとも、糊剤及びヒドロトロピー剤を含むことが好ましい。また、還元防止剤を含有することもできる。更に、印捺濃度を向上させるために、シリカを含有していてもよい。
【0021】
(1)糊剤
糊剤は、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれており、インク定着、及び滲み防止に有効である。従って、本発明で用いる非アルカリ前処理液においても、従来のインクジェット捺染の前処理剤に通常含まれている任意の糊剤を用いることができ、例えば、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ナトリウム、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等を用いることができる。特に使用する反応染料との染着性が乏しい糊剤が好適に用いられる。糊剤の含有量は、非アルカリ前処理液の全重量に対して、固形分換算で0.5〜20重量%が望ましい。糊剤の含有量が0.5重量%未満だと、インクが充分に定着せず、滲みが発生することがあり、20重量%を超えると、高粘度になるために非アルカリ前処理液が布帛全体に行き渡らず、印捺斑を生じることがある。
【0022】
(2)水
本発明で用いる非アルカリ前処理液においても、水は主溶媒である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、又は蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、前記定着促進組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
【0023】
(3)非アルカリ性
本発明で用いる非アルカリ前処理液はアルカリ剤を含まず、pHは、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。pHが10を超えると非画像領域に黄変が発生することがある。
本発明で用いる非アルカリ前処理液は、従来のインクジェット捺染における前処理剤と同様の態様で使用し、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出させる必要がないので、粘度などは限定されない。
【0024】
〔定着促進組成物及び非アルカリ前処理液のその他の成分〕
本発明による定着促進組成物及び非アルカリ前処理液は、従来のインクジェット捺染における前処理剤を2分割したものである。従って、前記定着促進組成物が
(1)アルカリ剤と保湿剤と水とを含むこと、及び
(2)インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能であること
を満足し、しかも前記非アルカリ前処理が
(1)糊剤を含むこと、及び
(2)アルカリ剤を含まないこと
を満足する限り、前記定着促進組成物及び前記非アルカリ前処理液は、従来のインクジェット捺染における前処理剤が通常含有している配合成分を、いずれか一方にあるいは両方に、含んでいることができる。それらの配合成分の代表例を念のため、以下に説明する。
【0025】
(1)ヒドロトロピー剤
ヒドロトロピー剤は、従来のインクジェット捺染において前処理剤に含まれており、蒸熱効率の向上、印捺濃度の向上、布帛のパディング処理後の安定性の向上、又はパディング布表面状態の安定化に効果がある。従って、本発明による前記定着促進組成物又は前記非アルカリ前処理液のいずれか一方、又はそれらの両方に、ヒドロトロピー剤を含有させることができる。ヒドロトロピー剤としては、従来のインクジェット捺染の前処理剤に通常含まれている任意のヒドロトロピー剤を含有することができ、具体的には、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、又はジメチルチオ尿素等のアルキル尿素を使用することができる。
ヒドロトロピー剤の含有量は特に限定されるものではないが、前記定着促進組成物又は前記非アルカリ前処理液の全重量に対して、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。ヒドロトロピー剤の含有量が5重量%未満だと、前記の効果を充分に得ることが困難になり、20重量%を超えると、滲み原因となることがある。
【0026】
(2)還元防止剤
本発明で用いる前記定着促進組成物及び前記非アルカリ前処理液の両方、又はいずれか一方は、還元防止剤を含有することもでき、印捺斑防止、印捺濃度・色相の再現性向上に有効である。前記定着促進組成物及び/又は前記非アルカリ前処理液が還元防止剤を含有すると、保存性向上に有効である。予め前記定着促進組成物及び/又は前記非アルカリ前処理液中に還元防止剤を入れることで、インクジェット捺染インクが布帛上で蒸熱されて、染まる際に起こる斑を防止することができる。特に、捺染インクが複数染料で構成されている場合には、低濃度領域で色相が変化してしまうことがあるが、還元防止剤によりこのような不具合も防止することができる。
還元防止剤を含有する非アルカリ前処理液で処理した布帛に対して、還元防止剤を含有する定着促進組成物及び還元防止剤を含有するインクジェット捺染インクで捺染すると、双方の還元防止効果が作用して、色再現性の極めて優れた捺染物を得ることができる。
【0027】
特に、還元防止剤を含有した非アルカリ前処理液で処理された布帛は、保存安定性に優れる。例えば、長期間、高温及び多湿下に置かれた後も、色再現性が劣化することは少ない。非アルカリ前処理液における還元防止剤の量は、非アルカリ前処理液に対して、好ましくは15重量%以下、更に好適には1〜8重量%である。還元防止剤の含有量が15重量%を超えると、非アルカリ前処理液で処理された布帛から粉体の還元防止剤が析出することがある。
【0028】
(3)シリカ
本発明で用いる前記非アルカリ前処理液は、シリカを含有することができ、そのシリカは発色性向上に有効である。シリカとしては、好適には表面が水酸基で覆われているものがよい。水酸基は水に対して強い親和力をもつので、反応染料の定着効率を向上させることができる。また、シリカと尿素とを組み合わせることで、相乗効果が働き、この発色性が著しく向上する。シリカの含有量は、定着促進組成物又は前記非アルカリ前処理液に対して、好ましくは0.5〜8重量%である。0.5重量%未満では発色効果が少なくなる。この効果は特にマゼンタで顕著である。また8重量%を超えるとマゼンタ印捺部分で色むらが発生しやすくなる。更に、シアン、ブルーでは発色濃度低下が起こる。更にまた、シリカが布帛から離れやすくなり、インクジェット吐出不良が起こりやすくなる。
(4)その他の添加物
また、本発明で用いる前記定着促進組成物及び前記非アルカリ前処理液の両方、又はいずれか一方は、上記成分に加えて、諸性能を改善するために添加剤を含有することができる。そのような添加剤の例としては、防腐剤、又はキレート剤(金属封鎖剤)を挙げることができる。防腐剤の好ましい例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL,プロキセルXL−2、プロキセルIB、又はプロキセルTNなどを挙げることができる。防腐剤は、前記定着促進組成物及び前記非アルカリ前処理液そのものを安定化させるばかりではなく、パディング乾燥後の非アルカリ前処理液の安定性にも有効である。
また、キレート剤(金属封鎖剤)は、布帛上の重金属をトラップし、染め斑防止に有効である。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等が好適である。また、BASF社から市販されているTRILON TA、DEKOL SN、Benkiesed社から市販されているCalgon Tは生分解性に優れており環境面で好適である。
【0029】
〔インクジェット捺染用インク組成物〕
本発明において用いるインクジェット捺染用インク組成物は、従来のインクジェット捺染において使用されているインク組成物と本質的に異なるものではない。本発明において用いるインクジェット捺染用インク組成物の配合成分の代表例を以下に説明する。
【0030】
(1)染料
本発明の定着促進組成物及び非アルカリ前処理液は、反応染料を含有する捺染用インクジェットインクと組み合わせて用いることが好ましい。本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物に含まれる反応染料は、加熱蒸着により布帛と化学接合して定着する性質を有する限り、特に制限されないが、例えば、モノクロロトリアジニル系、ジクロロトリアジニル系、クロルピリミジル系、又はビニルスルホン系の反応基を有する染料が好ましい。これらの染料は、個々の目的により選択される。例えば、高濃度の黒色を特に所望する際はビニルスルホン系反応染料が好適である。また、インクジェット捺染用インク組成物を長時間保存することが必要な際は、モノクロロトリアジニル骨格、すなわちモノクロロ置換1,3,5−トリアジン2−イル骨格を有する染料が好ましい。モノクロロトリアジニル骨格を有する反応染料は比較的熱安定が優れているため、長時間保存安定性が要求されるインクジェットインク用染料として特に好適である。インクジェット捺染用インク組成物に含まれる反応染料の具体例を以下に列挙する。
C.I.リアクティブイエロー3、6、12、18、86
C.I.リアクティブオレンジ2、5、12、13、20、
C.I.リアクティブレッド3、4、7、12、13、15、16、24、29、31、32、33、43、45、46、58、59、
C.I.リアクティブバイオレット1、2、
C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15、25、26、39、40、41、46、49、176
C.I.リアクティブグリーン5、8、
C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14、及び
C.I.リアクティブブラック1、2、3、8、10、12、13
なお、本明細書において反応染料とは、カラーインデックス中で反応染料に分類されている化合物をいう。
【0031】
本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物において、反応染料の含有量は特に限定されず適宜決定することができるが、インク組成物の全重量に対して1〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは6〜12重量%程度である。反応染料の含有量が6重量%未満になると、充分な印捺濃度を得ることができず、15重量%を超えると、インクジェット用インク組成物に求められる吐出安定性が悪化し、特に高温下では吐出不良となることがある。また、印捺階調性を特に得たい場合は、上記インク組成物に加えて、染料濃度6重量%以下の淡色系インクを加えることで、中〜低濃度の階調性が向上する。
【0032】
(2)緩衝剤
本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物は、緩衝剤を加えてpHを安定させることが望ましい。またpHを9以下に調整することによりインク組成物中の反応染料の加水分解を遅延させることができる。加水分解の進行は布帛の定着濃度を低下させるのみならず、インクを強い酸性領域に進めるため印捺機を腐食しやすくなる。特に、プリントヘッド部分の腐食はインクジェットシステムに大きなダメージを与える。本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物の好適なpHは6〜9、更に好適には7〜8.5である。pHがあまり高くなると反応染料の加水分解が進行しやすくなる。例えば30℃で1年以上放置することを要する場合は、pH9以下が好ましい。但し、短期間でインクを使い切る場合は、インクのpHが10を超えても差し支えない。
【0033】
これらのpHは、緩衝剤を用いて調整することができる。これらの緩衝剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−モノフォリノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、N,N−Bis−(2−ヒドロキシエチル)グリシン、リン酸、又はトリポリリン酸等のナトリウム又はカリウム塩を挙げることができる。本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物においては、緩衝剤としてはリン酸系緩衝剤を用いることが好ましい。
【0034】
(3)水
本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物においては、水としては任意の水を用いることができるが、純水を用いるのが好ましい。純水は、イオン交換、又は蒸留等で容易に製造することができる。また、純水を更に紫外線等で滅菌処理するのが更に好ましい。
【0035】
(4)還元防止剤
本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物は、還元防止剤を含むことができる。還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩を用いるのが好ましく、メタニトロベンゼンスルホン酸塩を用いるのがより好ましい。塩は、例えば、アルカリ金属塩であり、好ましくはナトリウム塩である。また、この効果はインク中の染料にC.I.リアクティブブルー176が含まれる場合、特に効果が大きい。
【0036】
(5)金属封鎖剤
更に、本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物は、金属イオン封鎖剤を含有することができる。金属封鎖剤としてはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EDTA塩(例えば、ナトリウム塩)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(EDTA−OH)等が好適である。
【0037】
(6)その他の添加物
本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物には、インクの吐出安定性(特には、ピエゾヘッドでの吐出安定性)を向上させる目的で、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)を添加することができる。
また、本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物は、上記成分に加えて、防腐剤を含有することが好ましい。好ましい防腐剤としては、例えば、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルIB、又はプロキセルTNなどを挙げることができる。
更に、前記インクジェット捺染用インク組成物は、ピロリドン系溶媒(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン)又はチオグリコールを含有することによって染料の溶解度を高くし、高濃度染料インクにも優れた吐出安定性を付与することができる。
【0038】
更に、本発明で用いるインクジェット捺染用インク組成物は、上記構成成分を適宜選択して含有するが、粘度が20℃で8.0m・Pa・s以下、好ましくは1.5〜6.0m・Pa・sとすることが好ましい。8.0m・Pa・s以下であれば通常の環境温度で何ら支障なくインク吐出が可能である。20℃で8.0m・Pa・sを超えるインクは低温領域での吐出安定性が悪くなる。
【0039】
〔インクジェット捺染セット〕
本発明によるインクジェット捺染セットは、
(1)前記定着促進組成物、
(2)前記非アルカリ前処理液、及び
(3)前記インクジェット捺染用インク組成物
の組合せからなる。
前記インクジェット捺染セットにおいて、前記定着促進組成物(1)と前記非アルカリ前処理液(2)との両方に含まれている全配合成分を併せると、従来のインクジェット捺染における前処理剤の配合成分と同様の組成になることが好ましい。もっとも、前記の通り、前記定着促進組成物(1)は、少なくともアルカリ剤と保湿剤と水とを含むが、糊剤を含まず、前記非アルカリ前処理液(2)は、少なくとも糊剤と水とを含むが、アルカリ剤を含まない。
前記非アルカリ前処理液(2)は、従来のインクジェット捺染における前処理剤と同様に、布帛の前処理に使用して布帛全体(画像領域及び非画像領域)に付与され、前記定着促進組成物(1)及び前記インクジェット捺染用インク組成物(3)は、それぞれ、インクジェット記録用プリンタヘッドから画像領域のみに吐出させて付与される。
【0040】
〔インクジェット捺染方法〕
本発明によるインクジェット捺染方法は、前記非アルカリ前処理液によって予め前処理を施した布帛に、定着促進組成物及びインクジェット捺染用インク組成物を任意の順序でインクジェット方式によって吐出させて付着させる工程、定着する工程、及び洗浄する工程により主に構成される。それぞれの工程には、公知の方法及び操作を使用することができる。以下、各工程の具体的な態様を例示する。
【0041】
(1)前処理方法
前記非アルカリ前処理液を布帛全体(すなわち、画像領域及び非画像領域)に付着させる方法としては、常法通り、コーティング又はパディング法が望ましい。例えば、パディング時のピックアップ率は、布帛の厚さ、繊維の太さ等で適宜決めることができ、50%以上が望ましく、更に好適には65%以上である。
【0042】
(2)布帛
本発明方法によって捺染することにできる布帛は、植物性繊維、動物性繊維、アミド系繊維からなる布帛又は少なくともこれらの繊維の一つを含む混紡からなる布帛である。好ましくは、動物性繊維(例えば、絹又は羊毛)からなる布帛である。
【0043】
(3)インクジェット捺染
前記非アルカリ前処理液で処理された布帛は、インクジェット方法によって、前記定着促進組成物及び前記インクジェット捺染用インク組成物によって印捺される。印捺順序は限定されず、前記定着促進組成物を最初に印捺し、続いて前記インクジェット捺染用インク組成物を印捺しても、前記インクジェット捺染用インク組成物を最初に印捺し、続いて前記定着促進組成物を印捺してもよい。なお、前記定着促進組成物及び前記インクジェット捺染用インク組成物は、画像領域のみに印捺され、非画像領域には印捺されない。
【0044】
(4)定着
印捺後に、高熱又は高熱の蒸気により定着される。定着条件は、例えば、セルロース系布帛では、95〜105℃にて飽和蒸気近辺で、4〜12分間処理するのが好ましい。また、絹や羊毛等のアミド系繊維では、95〜105℃にて、飽和蒸気近辺で、20〜40分間処理するのが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0046】
<実施例1〜3及び比較例1>
(1)定着促進組成物の調製
以下の表1に示す配合からなる4種の定着促進組成物を調製した。具体的には、炭酸水素ナトリウム(アルカリ剤)を含有する3種の定着促進組成物(実施例1〜3)及び炭酸水素ナトリウムを含有しない1種の定着促進組成物(比較例1)を調製した。
【0047】
【表1】

表1に記載の数値は重量%である。また、「ポリエチレングリコールNo.1000」は、関東化学社製であり、「グリセレス」(リポケミカル社)は、エチレンオキシドが付加されたグリセリンである。
【0048】
(2)非アルカリ前処理液の調製
以下の物性評価において、前項(1)の各定着促進組成物と組み合わせて用いる4種の非アルカリ前処理液を調製した。具体的には、以下の表2に示すように、糊剤(アルギン酸ナトリウム又はカルボキシメチルセルロース)を含み、炭酸水素ナトリウム(アルカリ剤)を含有しない3種の非アルカリ前処理液(A1〜A3)、及び糊剤(アルギン酸ナトリウム)を含み、炭酸水素ナトリウムを含有しない1種の前処理液(C1)である。
【0049】
【表2】

表2に記載の数値は重量%である。
【0050】
(3)インクジェット捺染用インク組成物の調製
以下の物性評価において、前項(1)の定着促進組成物及び前項(2)の非アルカリ前処理液と組み合わせて用いるインクジェット捺染用インク組成物(以下、インク組成物B1)を、以下の表3に示す組成で調製した。
【0051】
【表3】

表3に記載の数値は重量%である。「オルフィンPD002W」(日信化学工業社)は、アセチレングリコール系界面活性剤である。
【0052】
《物性評価》
(A)黄変実験
前項(2)で調製した非アルカリ前処理液A1(アルカリ剤非含有)及び前処理液C1(アルカリ剤含有)を用い、常法により羽二重(絹)をパディング処理した。
続いて、パディング処理布帛を40℃/60%RHの環境下で1ヶ月放置した。この条件は、パディング処理布帛が、通常の市場で2年間放置された場合を想定した実験である。1ヶ月後に目視で評価したところ、非アルカリ前処理液A1(アルカリ剤非含有)で処理した布帛には黄変は認められないのに対し、前処理液C1(アルカリ剤含有)で処理した布帛には、明確な黄変が認められた。
更に、パディング処理後の布帛を、そのパディング処理の直後に、102℃及び飽和湿度付近にて30分間蒸熱した。この条件は、印捺後に羽二重(絹)を常法で定着する場合を想定した実験である。目視で評価したところ、非アルカリ前処理液A1(アルカリ剤非含有)で処理した布帛には黄変は認められないのに対し、前処理液C1(アルカリ剤含有)で処理した布帛には、明確な黄変が認められた。
以上のように、前処理液にアルカリ剤が含まれていると、長期保存又は定着処理によって、布帛に黄変が発生することが分かる。
【0053】
(B)インクジェット捺染試験
本発明によるインクジェット捺染セットによって、良好なインクジェット捺染を得ることができることを以下の試験によって確認した。
インクジェット捺染セットとして、前項(1)で調製した定着促進組成物と、前項(2)で調製した前処理液とを種々に組合せ、更に前項(3)で調製したインク組成物B1を用いて6種の捺染セットを用意した。その内訳は、本発明によるインクジェット捺染セット4種(P1〜P4)、及び比較用のインクジェット捺染セット2種(R1及びR2)であった。
捺染の手順は以下の通りである。
最初に、前項(2)で調製した前処理液によって精華パレス(絹)を常法によってパディングした。続いて、パディング処理した布帛に、前項(3)で調製したインク組成物B1をインクジェット記録方法によって印捺し、次に、前項(1)で調製した定着促進組成物をインクジェット記録方法によって印捺した。更に、印捺した布帛を、102℃及び飽和蒸気圧付近にて30分間蒸熱定着し、常法によって洗浄し、乾燥した。こうして得られた印捺物に関して、OD値(グレタグ社測色計)を測定し、非画像領域の黄変を目視で評価した。結果を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
捺染セットR1の結果とそれ以外の結果とを比較すると明らかなように、定着促進組成物及び前処理液のいずれにもアルカリ剤が含まれていないと、充分な印捺濃度を得ることができないことが分かる。また、捺染セットR2の結果から明らかなように、定着促進組成物及び前処理液の両方にアルカリ剤が含まれていると、非画像領域に黄変が発生する。
これに対し、捺染セットP1〜P4の結果から明らかなように、本発明による捺染セットによれば、いずれも良好な印捺濃度が得られ、しかも黄変も発生しない。また、特に、捺染セットP1〜P3の結果から明らかなように、本発明による捺染セットにおいて、定着促進組成物及び前処理液の両方あるいはいずれか一方に、ヒドロトロピー剤を含有させると、更に良好な印捺濃度を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、従来のインクジェット捺染における前処理布帛の非画像領域の黄変を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】捺染による画像領域と非画像領域とを示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・画像領域;2・・・非画像領域;10・・・布帛。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤と保湿剤と水とを含み、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能であることを特徴とする、インクジェット捺染用の定着促進組成物。
【請求項2】
ヒドロトロピー剤を更に含む請求項1に記載の定着促進組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の定着促進組成物と、非アルカリ前処理液と、インクジェット捺染用インク組成物との組合せを含むことを特徴とする、インクジェット捺染セット。
【請求項4】
前記定着促進組成物又は前記非アルカリ前処理液の少なくとも一方がヒドロトロピー剤を含む、請求項3に記載のインクジェット捺染セット。
【請求項5】
前記インクジェット捺染用インク組成物が、アルカリ剤と共に蒸熱することで定着性が向上する反応染料を含む、請求項3又は4に記載のインクジェット捺染セット。
【請求項6】
布帛全体を非アルカリ前処理液で処理し、続いて、インクジェット記録用プリンタヘッドから、画像領域に、請求項1又は2に記載の定着促進組成物及びインクジェット捺染用インク組成物を任意の順序で吐出させることを特徴とする、インクジェット捺染方法。
【請求項7】
動物性繊維製の布帛に対して適用する、請求項6に記載のインクジェット捺染方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−214030(P2006−214030A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27295(P2005−27295)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】