説明

インクジェット捺染用インク組成物、インクジェット捺染方法およびインクジェット捺染物

【課題】捺染物において、布帛の風合いを損なうことなく、印字画像の鮮明性や色濃度が高く、さらに、より苛酷な引っかきや擦れ等の外的応力に対する耐久性、洗濯による外的応力と洗剤などに対する耐久性(洗濯堅牢度と呼ばれる)を有するインクジェット捺染用インク組成物を提供する。
【解決手段】着色顔料、高分子分散剤、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有するインクジェット捺染用インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット捺染用インク組成物に関し、より詳しくは、捺染物として、布帛の風合が損なわれず、印字画像はいつまでも鮮明で高い着色濃度を維持し、さらにインク塗膜の引っかきや擦れ等に対する耐久性および洗濯堅牢度に優れるインクジェット捺染用インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布帛の捺染方法としては、手描きやスクリーン印刷方式が主体であったが、最近では、極めて簡単に、そして、長尺の布帛に対しても連続して染色が可能なインクジェット記録方法を利用することが多くなっている。そして、インクの着色剤として、耐光性や布帛に対する定着性が良好で、水洗、廃液処理などの後工程が容易な顔料を用いた水性インクが利用されている。
【0003】
しかし、上記水性インクでは、布帛の繊維を直接染めつけて着色する染料と違って、顔料は固形の着色微粒子であり、結着成分で布帛の繊維に結着させて着色するため、引っかき、擦れ、洗濯などで布帛の繊維から顔料が剥がれ落ち、印字画像がぼやけた感じになったり、着色濃度の低下が起こりやすいという問題がある。特に、最近では濃色の布帛であっても抜染せずに、白色の顔料型水性インクを用いて白色に染色し、その上に各色の顔料型水性インクを印字して印字画像を鮮明に際立たせる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかしながら、この方法ではより多くの顔料粒子が布帛の繊維に結着するため、上記の問題も発生しやすい。
【0004】
そこで、本発明者らは、まず、染色の下地となる白色インクの白色顔料と布帛の繊維との結着力やインク皮膜の凝集力を高くする方法でこの問題の解決を試み、水溶性多価金属イオンやカチオン系樹脂等のカチオン系化合物を含有する処理液で処理した布帛に、樹脂エマルジョンを含有する白色の顔料型水性インクを用いて白色に染色する方法を提案している(例えば、特許文献5参照)。しかし、この様な結着力や凝集力を高める方法では、布帛の風合いを損ねることがあった。
【0005】
本発明者らは、さらに、布帛の風合いについても改善した高機能性の捺染物が得られるように、水溶性多価金属塩、ガラス転移温度が0℃以下のノニオン性樹脂エマルジョン、および水性媒体を含有する処理液で処理した布帛に、直接、樹脂エマルジョンを含有する白色の顔料型水性インクを用いて染色する方法を提案している(例えば、特許文献6参照)。
【0006】
この方法により、上記の問題に対してかなりの改善効果が認められるが、より苛酷な条件が求められる場合、例えば、Tシャツなどの衣類の捺染で、風合いとひっかきや洗濯などに対する耐久性とがより強く求められる場合は、さらなる改善が必要となる。そうすると、顔料と布帛の繊維との結着力やインク皮膜の凝集力を高める方法では、上記の通り、風合いと耐久性の両方を向上させるのに限界があり、新たな手法による問題の解決が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−119047号公報
【特許文献2】特開2000−226781号公報
【特許文献3】特開2001−098473号公報
【特許文献4】特開2005−320656号公報
【特許文献5】特開2008−195767号公報
【特許文献6】特開2008−266853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、捺染物において、布帛の風合いを損なうことなく、印字画像の鮮明性や色濃度が高く、さらに、より苛酷な引っかきや擦れ等の外的応力に対する耐久性、洗濯による外的応力と洗剤などに対する耐久性(洗濯堅牢度と呼ばれる)を有するインクジェット捺染用インク組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、これまでの顔料と布帛の繊維との結着力やインク皮膜の凝集力を高める方法だけでは、本発明の課題をすべて解決することは困難と判断し、新たな手法として、ワックスの持つ耐擦過性の効果を導入することにより、インク皮膜の耐久性の向上を試みることとした。
しかし、多くのワックスは、インク皮膜の耐久性を高められると予測される量をインク中に添加しても、インク皮膜の耐久性を十分に向上させることはできなかった。また、より撥水性の高いワックスを、インク皮膜の耐久性を十分に高める量でインク中に添加した場合、水性のタイプでは下地となる白インクと上に重ねて印字する色インクとの間ではじいて、良好な印字画像が得られないという新たな問題も発生する。
【0010】
これに対して、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを添加した場合は、インク皮膜の耐久性を十分に高める量を添加しても、インク間ではじかずに良好な印字画像が得られることを見出した。そして、この材料を利用すると、顔料と布帛の繊維との結着力やインク皮膜の凝集力を適度な範囲にとどめても、インク皮膜の耐久性が得られるため布帛の風合いが損なわれることがないことも見出した。
この様に、本発明者らは、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有する水性インクジェット捺染用インク組成物とすることにより、本発明の課題をすべて解決し得ることを見出し、本発明を完成させたのである。
【0011】
すなわち、本発明は、着色顔料、高分子分散剤、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク組成物に関する。
また、上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスの含有量が、固形分で0.05〜1質量%であることが好ましい。
また、上記結着成分は、自己架橋性のアニオン性樹脂エマルジョン及び/又はノニオン性樹脂エマルジョンであることが好ましい。
また、上記高分子分散剤は、アニオン性水溶性樹脂を塩基性化合物で中和して得られる高分子分散剤であることが好ましい。
また、本発明は、1)水溶性多価金属塩、2)ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョン及びセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、4)水性媒体を含有するインクジェット捺染用処理液を布帛のインクジェットインクの印字領域に塗布する工程、上記インクジェット捺染用処理液が塗布された布帛を加熱する工程、上記インクジェット捺染用処理液が塗付された印字領域に上述のインクジェット捺染料用インク組成物を用いて印字する工程、印字された布帛を加熱する工程を含むことを特徴とするインクジェット捺染方法に関する。
また、本発明は、上述のインクジェット捺染方法で得られることを特徴とするインクジェット捺染物に関する。
【0012】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
<インクジェット捺染用インク組成物>
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、高分子分散剤、着色顔料、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有する。
以下、本発明のインクジェット捺染用インク組成物について、白色のもの(インクジェット捺染用白色インク組成物)と白色以外のもの(白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物)とに分けてそれぞれ詳述する。
【0013】
インクジェット捺染用白色インク組成物(構成材料及び製造法)
本発明において、上記インクジェット捺染用白色インク組成物は、着色顔料である白色顔料、高分子分散剤、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有する。
上記白色顔料としては、二酸化チタンや酸化亜鉛等の遮蔽性の高い白色顔料を挙げることができる。なかでも、上記白色顔料としては、高い遮光性が得られる点から、二酸化チタンが好ましい。
上記二酸化チタンとしては、従来からインクジェット用インクに使用されているもので、ルチル型、アナターゼ型等の各種の二酸化チタンを、アルミナ/シリカ(質量比)=100/0〜33.3/66.7の表面処理剤で表面被覆処理した、平均粒子径0.21〜0.28μm、吸油量が15〜33であるものが好ましい。ここで、上記吸油量は、JIS K5101に規定されている吸油量である。
上記白色顔料の含有量は、上記インクジェット捺染用白色インク組成物中に、好ましくは10〜30質量%の範囲である。
【0014】
上記高分子分散剤としては、アニオン性水溶性樹脂を塩基性化合物で中和して得られる高分子分散剤、好ましくは、ガラス転移温度0〜80℃のアニオン性水溶性樹脂を塩基性化合物で中和して得られる高分子分散剤が使用できる。
【0015】
上記アニオン性水溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシル基含有不飽和単量体(開環してカルボキシル基を与える酸無水物基含有不飽和単量体を含む)の1種又は2種以上と、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート等から選択される不飽和単量体の1種または2種以上との混合物を反応させて得られる共重合体、好ましくはガラス転移温度0〜80℃なるように選択した単量体の混合物を反応させて得られる共重合体が例示できる。
【0016】
このようなアニオン性水溶性樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ベンジル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0017】
なお、上記アニオン性水性樹脂のガラス転移温度が0℃未満の場合、分散した白色顔料粒子同士の融着が発生しやすくなり、保存安定性と吐出安定性とが低下しするおそれがある。一方80℃を超えると、得られる捺染物の風合いが低下するおそれがある。
【0018】
さらに、これらのアニオン性水溶性樹脂の中でも、水性媒体への溶解性と、得られる染色物の耐水性とが良好となる点から、酸価100〜300mgKOH/gのものが好ましく
、白色顔料の顔料分散性、顔料分散安定性の点から重量平均分子量5,000〜30,000のものが好ましい。
【0019】
上記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の有機塩基性化合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記高分子分散剤の含有量は、上記白色顔料100質量部に対して好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部である。高分子分散剤の含有量が10質量部未満の場合は、水性媒体への顔料分散性が低下し、一方40質量部を超える場合は、粘度が高くなり、後述する結着成分の配合量や後述する水性媒体の配合量等が制限されるため洗濯堅牢性、吐出安定性が低下するおそれがある。
【0021】
上記結着成分としては、自己架橋性のアニオン性樹脂エマルジョン及び/又はノニオン性樹脂エマルジョンを挙げることができる。
上記自己架橋性ノニオン性樹脂エマルジョンは、ガラス転移温度が20℃以下であることが好ましく、上記自己架橋性アニオン性樹脂エマルジョンは、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。ノニオン性樹脂エマルジョンのガラス転移温度が20℃を超える場合、又は、アニオン性樹脂エマルジョンのガラス転移温度が0℃を超える場合は、布帛の風合いが低下するおそれがある。
【0022】
また、上記高分子分散剤の含有量に対する上記ノニオン性樹脂エマルジョン、上記アニオン性樹脂エマルジョンの含有量(質量比)は、下記の式(1)〜(3)の範囲を満足することが望ましい。ここで、上記ノニオン性樹脂エマルジョン、上記アニオン性樹脂エマルジョンの含有量は同時にゼロではない。
式(1) (高分子分散剤の含有量):[(ノニオン性樹脂エマルジョンの含有量)+(アニオン性樹脂エマルジョンの含有量)]=1:3〜1:10
式(2) (ノニオン性樹脂エマルジョンの含有量)/(高分子分散剤の含有量)≦8
式(3) (アニオン性樹脂エマルジョンの含有量)/(高分子分散剤の含有量)≦12上記式(1)において、高分子分散剤の含有量に対するノニオン性樹脂エマルジョンとアニオン性樹脂エマルジョンとの合計含有量の質量比が、高分子分散剤の含有量1に対してノニオン性樹脂エマルジョンとアニオン性樹脂エマルジョンとの合計含有量が3より小さい場合は、十分な洗濯堅牢性が得られないおそれがある。一方、高分子分散剤の含有量1に対してノニオン性樹脂エマルジョンとアニオン性樹脂エマルジョンとの合計含有量が10より大きい場合は、インク粘度の制約から十分な顔料濃度が確保できない、あるいは処理液に対する凝集・析出が不十分となり、高い画像濃度が得られなくなるおそれがある。
【0023】
上記ノニオン性樹脂エマルジョン及び上記アニオン性樹脂エマルジョンの樹脂成分としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリ酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体等)ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、より高い耐水性や洗濯堅牢性が要求される場合は、これらのエマルジョンに、風合いが低下しない範囲で、熱により架橋する架橋成分を導入させることが好ましい。
【0024】
上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスとしては、水分散型のポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを挙げることができる。上記水分散型のポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含むインクジェット捺染用白色インク組成物は、紙用フレキソインキに使用されているポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等を含むインクジェット捺染用白色インク組成物と比較して、印字後、表面に浮き上がって配列し得る効果が高いものである。
【0025】
上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンの含有量は、上記インクジェット捺染用白色インキ組成物中固形分で0.05〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.15〜0.35質量%の範囲である。
上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンの含有量が0.05質量%未満であると、引っかき性や耐スクラッチ性が不充分となるおそれがあり、一方、1質量%を超えると、他のインクジェット捺染用インク組成物との重ね合わせ適性が低下するので好ましくない。
【0026】
上記水性媒体としては、特に限定はなく、従来からインクジェット分野で一般的に使用されている水、又は、水と水混和性溶剤との混合物を挙げることができる。
上記水混和性溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、グリセリン等の多価アルコール類、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が例示でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明のインクジェット捺染用白色インクにおいて、上述の白色顔料、高分子分散剤、結着成分及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを合わせた総固形分は、インクジェット捺染用白色インク中に25〜45質量%の範囲であることが好ましい。上記白色顔料、高分子分散剤、結着成分及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを合わせた総固形分の含有量が25質量%未満である場合は、布帛に印字した印字物の印字濃度が低下するおそれがあり、一方45質量%を超えると粘度が高くなる傾向にあり吐出安定性が低下するおそれがある。
【0028】
上記インクジェット捺染用白色インクは、良好な吐出安定性が得られる点から、界面活性剤を更に含むことが好ましい。上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性活性剤を挙げることができる。
なかでも、吐出安定性、発泡・起泡の少ない上記インクジェット捺染用白色インク組成物が得られる点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、具体的にはアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;ジメチルポリシロキサン等のポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤;その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。上記ノニオン界面活性剤は、1種でも2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、HLBが13以上のノニオン系界面活性剤であることがより好ましく、さらにポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
【0029】
上記界面活性剤の含有量は、上記インクジェット捺染用白色インク組成物中に0.1〜2.0質量%の範囲であることが好ましい。0.1質量%未満であると十分な界面活性(表面張力を下げる)効果が得られず、一方、2.0質量%を超えると吐出安定性が低下するおそれがある。
【0030】
また、上記インクジェット捺染用白色インク組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、消泡剤、成膜助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
更に、上記インクジェット捺染用白色インク組成物は、粘度が5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0031】
上記インクジェット捺染用白色インク組成物は、従来一般に用いられる方法により製造することができ、例えば、上述の白色顔料、高分子分散剤、結着成分、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス、水性媒体、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等を混合して、各種分散・攪拌機、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、パールミル等を利用して分散し、さらに残りのアニオン性樹脂エマルジョン及び/又はノニオン性樹脂エマルジョン等の材料を添加混合してインクジェット捺染用白色インク組成物を得る方法等が挙げられる。
【0032】
白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物(構成材料及び製造方法)
本発明の白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物は、着色顔料である白色以外の着色顔料、高分子分散剤、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有する。
上記白色以外の着色顔料としては、黒色顔料のカーボンブラック、白色以外の有機顔料を挙げることができる。例えば、上記白色以外の有機顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キナフタロン顔料等の多環式顔料、塩基性反応型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ、ニトロ顔料等を挙げることができる。
【0033】
特に、鮮明な色相の表現を可能とする点から、C.I.Pigment Red2、3、5、16、23、31、49、57、63、122等の赤色系顔料;C.I.Pigment Blue1、2、15:3、16、17等の青色系顔料;C.I.Pigment
Yellow3、4、5、7、17、50、51、74、81、98、105、180等の黄色系顔料等が使用できる。
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上記白色以外の着色顔料の含有量は、白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物中に、好ましくは10〜30質量%の範囲である。
【0034】
白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上記高分子分散剤としては、例えば、重量平均分子量5,000〜30,000のアニオン性水溶性樹脂を塩基性化合物で中和して得られる高分子分散剤を挙げることができる。上記アニオン性水溶性樹脂の、ガラス転移温度40〜90℃が好ましく、酸価は100〜300mgKOH/gが好ましい。
ここで、上記アニオン性水溶性樹脂としては、例えば、上記インクジェット捺染用白色インク組成物のアニオン性水溶性樹脂で述べたモノマーと同様のモノマーを、上記範囲のガラス転移温度、酸価となるように選択し、上記範囲の重量平均分子量となるように反応して得られる共重合体を使用できる。また、この共重合体の具体例の上記インクジェット捺染用白色インク組成物で述べたものと同様なものが挙げられる。
【0035】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物におけるアニオン性水溶性樹脂は、ガラス転移温度が50〜90℃、酸価が130〜240mgKOH/g、重量平均分子量が8,000〜20,000であることがより好ましい。
【0036】
なお、アニオン性水溶性樹脂の酸価が100mgKOH/g未満の場合は、水性媒体中への樹脂の溶解性が低下し、一方300mgKOH/gを超えると、得られる布帛に印字した印字物の耐水性が低下するおそれがある。
また、アニオン性水溶性樹脂のガラス転移温度が40℃未満の場合は、分散した白色以外の着色顔料粒子同士の凝集により保存安定性と吐出安定性が低下し、一方90℃を超えると得られる捺染物の風合いが低下するおそれがある。
また、アニオン性水溶性樹脂の重量平均分子量が5,000未満の場合は、顔料分散安定性が低下し、一方30,000を超えると水性媒体中への顔料分散性が低下するおそれがある。
上記塩基性化合物としては、上記インクジェット捺染用白色インク組成物の高分子分散剤で述べたものと同様のものを使用できる。
【0037】
上記高分子分散剤の含有量は、白色以外の着色顔料100質量部に対して10〜40質量部が好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。10質量部未満の場合は、水性媒体への顔料分散性が低下し、一方40質量部を超える場合は、粘度が高くなり、後述するアニオン性樹脂エマルジョン、ノニオン性樹脂エマルジョンの配合量や後述する水性媒体の配合量等が制限されるため洗濯堅牢性、吐出安定性が低下するおそれがある。
【0038】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上記結着成分としては、ガラス転移温度が0℃以下のアニオン性樹脂エマルジョン及び/又はガラス転移温度0℃以下のノニオン性樹脂エマルジョンであることが好ましい。上記樹脂エマルジョンのガラス転移温度が0℃を超える場合は、布帛の風合いが低下するおそれがある。
【0039】
また、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上記白色以外の有色顔料に対する上記アニオン性樹脂エマルジョン、上記ノニオン性樹脂エマルジョンの含有量(固形分質量比)は、下記式(4)の範囲を満足することが好ましい。ここで、上記アニオン性樹脂エマルジョン、上記ノニオン性樹脂エマルジョンの含有量は同時にゼロではない。
式(4)(白色以外の有色顔料の含有量):〔(アニオン性樹脂エマルジョンの含有量)+(ノニオン性樹脂エマルジョンの含有量)〕=1:3〜1:6
上記白色以外の有色顔料に対するアニオン性樹脂エマルジョンとノニオン性樹脂エマルジョンの合計含有量(固形分質量比)が、上記白色以外の有機顔料の含有量1に対して上記アニオン性樹脂エマルジョンとノニオン性樹脂エマルジョンとの合計含有量が3より小さい場合は、十分な洗濯堅牢性が得られないおそれがある。一方、上記白色以外の有機顔料の含有量1に対して上記アニオン性樹脂エマルジョンとノニオン性樹脂エマルジョンとの合計含有量が6より大きい場合は、インク粘度・配合枠の制約から十分な顔料濃度が確保できない、或いはインク中の総固形分が高くなることにより吐出安定性が得られなくなるおそれがある。
【0040】
このようなアニオン性樹脂エマルジョン及びノニオン性樹脂エマルジョンとしては、例えば、上記ガラス転移温度を満たす、上述したインクジェット捺染用白色インク組成物で述べたアニオン性樹脂エマルジョン、ノニオン性樹脂エマルジョンと同様のもの(なお、より高い耐水性や洗濯堅牢性が要求される場合は、これらエマルジョンに、風合いが低下しない範囲で、熱により架橋する架橋成分を導入させものが好ましい)を使用できる。
【0041】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物におけるポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスとしては、上述したインクジェット捺染用白色インク組成物で使用し得るポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスと同様のものを挙げることができる。
【0042】
上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンの含有量は、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物中に固形分で0.05〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.35質量%の範囲である。
上記ポリアルキルシロキサンエマルジョンの含有量が0.05質量%未満であると、引っかき性や耐スクラッチ性に対する効果が少なくなるおそれがある。一方、1質量%を超えると、他のインクジェット捺染用インク組成物との重ね合わせ適性が低下するおそれがある。
【0043】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物は、良好な吐出安定性が得られる点から、界面活性剤を更に含むことが好ましい。上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0044】
上記界面活性剤としては、吐出安定性、発泡・起泡の少ない白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物が得られる点からノニオン系界面活性剤が好ましく、具体的には上記インクジェット捺染用白色インク組成物で述べたノニオン系界面活性剤と同様のものを使用できる。
上記界面活性剤の含有量は、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物中に0.1〜2.0質量%の範囲であることが好ましい。0.1質量%より小さいと十分な界面活性(表面張力を下げる)効果が得られず、一方、2.0質量%より大きいと吐出安定性が低下するおそれがある。
【0045】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、上記インクジェット捺染用白色インク組成物で述べた水性媒体と同様のものを挙げることができる。
【0046】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物において、上述の白色以外の有色顔料、高分子分散剤、結着成分及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを合わせた総固形分は、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物中に10〜35質量%の範囲であることが好ましい。10質量%未満である場合は、布帛に印字した印字物の印字濃度が低下し、一方35質量%を超えると吐出安定性が低下するおそれがある。
また、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、消泡剤、成膜助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
【0047】
上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物の粘度は、2〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。また、上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物の表面張力は、25〜45mN/mの範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明の上記白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物は、一般的な方法により製造することができ、例えば、上述の白色以外の有色顔料、高分子分散剤、結着成分、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス、水性媒体、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等を混合し、各種分散・攪拌機(例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、パールミル等)を利用して分散し、更に残りの樹脂エマルジョン等の材料を添加混合して得る方法等が挙げられる。
【0049】
ここで、本明細書中における、ガラス転移温度、酸価及び重量平均分子量は、以下の方法
により求めることができる。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度は、下記のwoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・・・・・+Wx/Tgx
(式中、Tg1〜Tgxは共重合体を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの質量分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である)
<酸価>
酸価は、共重合組成から計算により求めた理論酸価である。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を使用してクロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0050】
<インクジェット捺染方法>
次に、インクジェット捺染方法について説明する。
上記インクジェット捺染方法としては、例えば、後述するインクジェット捺染用処理液を、布帛の少なくともインクジェットインクの印字領域に塗布する工程と、該処理液を塗布した布帛を加熱する工程と、該処理液が塗付された印字領域に、本発明のインクジェット捺染用インク組成物を用いて印字する工程と、印字された布帛を加熱する工程とを含む方法を挙げることができる。
このようなインクジェット捺染方法もまた、本発明の一つである。
【0051】
上記インクジェット捺染用インク組成物として、白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物を印字する場合は、上記本発明のインクジェット捺染用インク組成物を印字する工程は、インクジェット捺染用白色インク組成物を印字する工程、及び、白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物を印字する工程を含むことが好ましい。
【0052】
上記インクジェット捺染用処理液を、布帛のインクジェットインクの印字領域に塗布する方法としては、特に限定されず、一般に公知の方法を挙げることができる。上記布帛のインクジェットインクの印字領域とは、インクジェットインクが印字される領域をいう。
上記処理液が塗布された布帛を加熱する方法としては、特に限定されず、布帛を処理液に侵漬する方法、布帛布の全面又は部分(インクジェットインクの印字領域)に各種塗工機(インクジェットプリンタも含む)で塗布する方法等が挙げられる。
本発明の処理液を付与した布帛の加熱は、乾燥が主目的であり、加熱条件は特に限定されず、例えば、150〜180℃程度で行うことができる。
上記インクジェット捺染用処理液の付与量は、乾燥後重量で10〜50g/mの範囲が適当である。インクジェット捺染用処理液の付与量が上記範囲より少ないと、画像濃度の向上が充分でなく、耐水性や洗濯堅牢性が充分でない傾向があり、一方、上記範囲を超えると、風合いが損なわれる傾向がある。
上記インクジェット捺染用処理液が塗付された印字領域にインクジェット捺染用インク組成物を用いて印字する方法としては特に限定されず、一般に公知のインクジェットプリンタで印字する方法を挙げることができる。例えば、インクジェット記録用ヘッドの室内のインクに記録信号を対応したエネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が挙げられる。
また、上記印字された布帛を加熱する方法としては特に限定されず、公知の加熱手段であ
るヒートプレス機、ドライヤー、乾燥器等の公知の加熱手段を適宜用いて行い、例えば、150〜180℃程度で30〜120秒間程度行えばよく、それにより画像を布帛に定着させる。
【0053】
(インクジェット捺染方法において使用する材料)
<布帛>
まず、布帛としては、従来から使用されているいずれのものでもよいが、例えば、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロンもしくはポリエステル繊維からなる布帛、これら繊維の2種以上からなる混紡布帛等が使用できる。
【0054】
<インクジェット捺染用インク組成物>
インクジェット捺染用インク組成物は、上記で説明したインクジェット捺染用白色インク組成物及び白色以外のインクジェット捺染用色インク組成物が利用できる。
【0055】
<インクジェット捺染用処理液>
インクジェット捺染用処理液としては、1)水溶性多価金属塩、2)ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョン及びセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、4)水性媒体を含有するインクジェット捺染用処理液を使用できる。
【0056】
上記水溶性多価金属塩としては、インクジェット捺染用処理液の分野における公知の化合物を使用でき、例えば、Ca、Mg、Ba等のアルカリ土類金属の解離性塩等が挙げられる。このような化合物の代表的な例としては、例えば、硝酸カルシウム、CaCl、Ca(OH)、(CHCOO)Ca等のカルシウム塩類、MgCl、Mg(OH)、(CHCOO)Mg等のマグネシウム塩類、BaCl等が挙げられる。なかでも、カルシウム塩類が好ましい。特に好ましくは、処理液塗布面の乾燥後における布帛上での塩の析出の問題から、無色の結晶であり、吸湿性を有する硝酸カルシウム等のカルシウム塩類である。
上記処理液中における水溶性多価金属塩の含有量は特に限定されず、例えば、上記処理液中に水溶性多価金属塩が2〜20質量%程度である。
【0057】
上記インクジェット捺染用処理液は、ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョン及びカルボキシメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分を含有する。上記処理液の成分として、このような樹脂成分と吸湿性を有する上記水溶性多価金属塩と後述する界面活性剤を使用することにより、布帛の跡残りを良好に防止できる。また、当該処理液で処理し、インクジェットインクの印字により捺染した場合、布帛の風合い、画像濃度、インク塗膜の耐性、洗濯堅牢度に優れた捺染物を得ることができる。
上記樹脂成分のなかでも、ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョンが好ましい。
【0058】
上記ノニオン性樹脂エマルジョン、上記アニオン性樹脂エマルジョンとしては、樹脂成分として、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸−ハーフエステル共重合体等)、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等のものを挙げることができる。
なかでも、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、より高い耐水性や洗濯堅牢性が要求される場合は、これらエマルジョンに、風合いが低下しない範囲で、熱により架橋する架橋成分を導入させることが好ましい。
【0059】
また、上記ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョンのガラス転移温度は、布帛の風合が良好となる点から20℃以下であることが好ましく、更に処理液中の樹脂エマルジョンの総樹脂量が3質量%を超える場合は、上記ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョンのガラス転移温度は0℃以下であることが好ましい。処理液中の樹脂エマルジョンの総樹脂量が3質量%を超える場合、樹脂エマルジョンのガラス転移温度が0℃より大きいと、布帛の風合いが低下する傾向にある。
【0060】
上記セルロース系樹脂としては、例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。上記カルボキシメチルセルロースとしては、インクジェットインクの分野で使用される公知のものが使用でき、その中でも跡残り、風合が良好となる点から分子量の小さいものが好ましい。
【0061】
上記樹脂成分の含有量としては、上記インクジェット捺染用処理液100質量部中に含まれる上記ノニオン性樹脂エマルジョンの固形分をA質量部、上記アニオン性樹脂エマルジョンの固形分をB質量部、上記セルロース系樹脂の固形分をC質量部としたとき、下記式(5)を満足するように、それぞれの材料が配合されることが好ましい。
式(5) 0.1≦(A/3+B/3+C)≦1.7
なお、式(5)の条件を満足する限り、A、B、Cは各々0質量部であってもよい。
上記含有量が少ないと白色度の向上と洗濯堅牢度の向上の効果が少なくなり、一方、上記含有量の範囲を超えると布帛の風合いが低下する問題が生じるおそれがある。
【0062】
上記インクジェット捺染用処理液は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種である界面活性剤成分を含有する。
【0063】
上記ノニオン系界面活性剤とは、極性基としてイオン性の基を含まない界面活性剤であり、例えば、アセチレングリコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等のアセチレングリコール系界面活性剤(具体的には、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7,−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール等のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等)、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等のアセチレンアルコール系界面活性剤(具体的には、3,5−ジメチル−1−ヘキサン−3−オール等のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;ジメチルポリシロキサン等のポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤;その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
【0064】
また、上記アニオン系界面活性剤とは、分子中にアニオン性の部位を有する界面活性剤で
あり、例えば、ポリオキシエチルアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
【0065】
また、上記両性界面活性剤とは、分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位とを有する界面活性剤であり、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダリニウムベタイン等のカルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。
【0066】
上記界面活性剤成分としては、なかでも、ノニオン系界面活性剤が上記インクジェット捺染用処理液の経時安定性の観点から好ましい。このようなノニオン系界面活性剤としては、HLBが13以上のノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
【0067】
また、上記界面活性剤成分のインクジェット捺染用処理液中の含有量は、0.1〜1.5質量%であることが好ましい。上記含有量が0.1質量%未満であると処理剤が布へ均一に付与されず、印刷ムラの原因になるおそれがある。一方、1.5質量%を超えると洗濯堅牢度が低下するおそれがある。
【0068】
上記水性媒体としては、特に限定はなく、従来からインクジェット捺染方法の処理液に使用されている水、又は、水と水混和性溶剤との混合物等を使用することができる。上記水混和性溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、グリセリン等の多価アルコール類、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が例示でき、これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0069】
また、上記インクジェット捺染用処理液には、性能が低下しない範囲で従来からインクジェット捺染方法の処理液に使用されている水溶性高分子を含有させることもできる。
上記水溶性高分子の例としては、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水溶性高分子が挙げられる。また、合成高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物等が挙げられる。
【0070】
上記インクジェット捺染用処理液は、上記水性媒体に、上述の水溶性多価金属塩、樹脂成分(ノニオン性樹脂エマルジョン等)、界面活性剤、水性媒体、必要に応じて水溶性高分子を添加し、公知の手段にて攪拌することにより得ることができる。
【0071】
上記インクジェット捺染方法によれば、布帛の風合いを損なうことなく、印字画像の鮮明性や色濃度が高く、引っかきや擦れ等の外的応力に対する耐久性や洗濯による外的応力と洗剤等に対する耐久性に優れた捺染物を得ることができる。
このような上記インクジェット捺染方法で得られるインクジェット捺染物もまた、本発明の一つである。
【発明の効果】
【0072】
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、上述した構成からなるものであるため、布帛の風合いを損なうことなく、印字画像の鮮明性や色濃度が高く、引っかきや擦れ等の外的応力に対する耐久性や洗濯による外的応力と洗剤等に対する耐久性とに優れた捺染物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0073】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0074】
<二酸化チタンの特性値>
(平均1次粒子径)
透過型電子顕微鏡写真を基にして画像解析装置にて測定した。
(吸油量)
JIS K5010に基づき測定した。
【0075】
<実施例のインクジェット捺染用処理液の調製>
(インクジェット捺染用処理液1)
水83.7部に、硝酸カルシウム4水和物10部、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の6.0部、アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の0.3部、を加えて攪拌し、インクジェット捺染用処理液1を得た。
【0076】
(インクジェット捺染用処理液2)
水83.7部に、硝酸カルシウム4水和物10部、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の6.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB14.5、商品名:サンノニックSS−120、三洋化成工業社製)の0.3部、を加えて攪拌し、インクジェット捺染用処理液2を得た。
【0077】
(インクジェット捺染用処理液3)
水83.7部に、硝酸カルシウム4水和物10部、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45%)6.0部、アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の0.3部、を加えて攪拌し、インクジェット捺染用処理液3を得た。
【0078】
(インクジェット捺染用処理液4)
水89.2部に、硝酸カルシウム4水和物10部、カルボキシメチルセルロース(商品名:CMCダイセル、ダイセル化学工業(株)製)の0.5部、アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の0.3部、を加えて攪拌し、インクジェット捺染用処理液4を得た。
【0079】
<インクジェット捺染用白色インク、インクジェット捺染用色インクの調製>
[高分子分散剤溶液の調製]
(高分子分散剤溶液1の調製)
ガラス転移温度40℃、重量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化ナトリウム3.2部と水71.8部の混合溶液に溶解させて固形分25%の高分子分散剤溶液1を得た。
【0080】
(高分子分散剤溶液2の調製)
ガラス転移温度60℃、重量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化ナトリウム3.2部と水71.8部の混合溶液に溶解させて固形分25%の高分子分散剤溶液2を得た。
【0081】
[インクジェット捺染用インクベースの調製]
(インクジェット捺染用白色インクベースの調製)
上記高分子分散剤溶液1の36部に水19部を加え混合し、酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、更に酸化チタン(CR−90、アルミナシリカ処理、平均一次粒子径0.25μm、吸油量21ml/100g、石原産業(株)製)45部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用白色インクベースを得た。
【0082】
(インクジェット捺染用水性青色インクベースの調製)
上記高分子分散剤溶液2の16質量部に水64質量部を加え混合し、青色顔料分散用樹脂ワニスを調製し、更に青色顔料(PB15:3、LIONOL BLUE FG−7330、東洋インキ(株)製)20質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性青色インクベースを得た。
【0083】
(インクジェット捺染用水性黄色インクベースの調製)
上記高分子分散剤溶液2の16質量部に水64質量部を加え混合し、青色顔料分散用樹脂ワニスを調製し、更に黄色顔料(PY74、Brilliant Yellow 5GX、クライアント製)20質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性黄色インクベースを得た。
【0084】
(インクジェット捺染用水性赤色インクベースの調製)
上記高分子分散剤溶液2の16質量部に水64質量部を加え混合し、青色顔料分散用樹脂ワニスを調製し、更に赤色顔料(PR122、CROMOPHTAL PINK PT、チバ製)20質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性赤色インクベースを得た。
【0085】
(インクジェット捺染用水性黒色インクベースの調製)
上記高分子分散剤溶液2の16質量部に水64質量部を加え混合し、青色顔料分散用樹脂ワニスを調製し、更に黒色顔料(PBk7 MA100、三菱化学社製)20質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性黒色インクベースを得た。
【0086】
<実施例用の各色インク>
(実施例用のインクジェット捺染用白色インク1)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス
(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.15質量部、水12.25質量部を撹拌混合して実施例用のインクジェット捺染用白色インク1を得た。
【0087】
(実施例用のインクジェット捺染用白色インク2)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水12.1質量部を撹拌混合して実施例用のインクジェット捺染用白色インク2を得た。
【0088】
(実施例用のインクジェット捺染用白色インク3)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.5質量部、水11.9質量部を撹拌混合して実施例用のインクジェット捺染用白色インク3を得た。
【0089】
(実施例用のインクジェット捺染用白色インク4)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の1.0質量部、水11.4質量部を撹拌混合して実施例用のインクジェット捺染用白色インク4を得た。
【0090】
(実施例用のインクジェット捺染用白色インク5)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水12.1質量部を撹拌混合して実施例用のインクジェット捺染用白色インク5を得た。
【0091】
(実施例用のインクジェット捺染用青色インク1)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.15質量部、水の26.35質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク1を得た。
【0092】
(実施例用のインクジェット捺染用青色インク2)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の26.2質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク2を得た。
【0093】
(実施例用のインクジェット捺染用青色インク3)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.5質量部、水の26.0質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク3を得た。
【0094】
(実施例用のインクジェット捺染用青色インク4)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の1.0質量部、水の25.5質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク4を得た。
【0095】
(実施例用のインクジェット捺染用青色インク5)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の26.2質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク5を得た。
【0096】
(実施例用のインクジェット捺染用黄色インク1)
上記インクジェット捺染用水性黄色インクベースの15質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの30質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の23.7質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性黄色インク1を得た。
【0097】
(実施例用のインクジェット捺染用黄色インク2)
上記インクジェット捺染用水性黄色インクベースの15質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の30質量部、グリセリンの30質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の23.7質量部を攪拌して実施例のインクジェット捺染用水性黄色インク2を得た。
【0098】
(実施例用のインクジェット捺染用赤色インク1)
上記インクジェット捺染用水性赤色インクベースの20質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の40質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の18.7質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性赤色インク1を得た。
【0099】
(実施例用のインクジェット捺染用赤色インク2)
上記インクジェット捺染用水性赤色インクベースの20質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の40質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の18.7質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性赤色インク2を得た。
【0100】
(実施例用インクジェット捺染用黒色インク1)
上記インクジェット捺染用水性黒色インクベースの30質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の46.7質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の22.7質量部を攪拌して実施例用のインクジェット捺染用水性黒色インク1を得た。
【0101】
(実施例用のインクジェット捺染用黒色インク2)
上記インクジェット捺染用水性黒色インクベースの30質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の46.7質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックス(商品名:グラノール482、固形分65%、共栄社化学(株)製)の0.3質量部、水の22.7質量部を攪拌して実施例用インクジェット捺染用水性黒色インク2を得た。
【0102】
<比較例用の各色インク>
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク6)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、水12.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク6を得た。
【0103】
(比較例用インクジェット捺染用白色インク7)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、水12.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク7を得た。
【0104】
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク8)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−2213、東邦化学工業(株)社製、固形分30%、粒子径60nm)の5質量部、水7.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク8を得た。
【0105】
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク9)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−6314、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径100nm)の5質量部、水7.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク9を得た。
【0106】
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク10)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−6314、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径100nm)の12質量部、水0.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク10を得た。
【0107】
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク11)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、
ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリプロピレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックP−9018、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径58nm)の5質量部、水7.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク11を得た。
【0108】
(比較例用のインクジェット捺染用白色インク12)
上記インクジェット捺染用白色インクベースの33.3質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)33.3質量部、グリセリン20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)1質量部、ポリプロピレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックP−5060P、東邦化学工業(株)社製、固形分40%、粒子径25nm)の5質量部、水7.4質量部を撹拌混合して比較例用のインクジェット捺染用白色インク12を得た。
【0109】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク6)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の26.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク6を得た。
【0110】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク7)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の26.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク7を得た。
【0111】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク8)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−2213、東邦化学工業(株)社製、固形分30%、粒子径60nm)の5質量部、水の21.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク8を得た。
【0112】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク9)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−6314、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径100
nm)の5質量部、水の21.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク9を得た。
【0113】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク10)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリエチレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックE−6314、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径100nm)の12質量部、水の14.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク10を得た。
【0114】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク11)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリプロピレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックP−9018、東邦化学工業(株)社製、固形分35%、粒子径58nm)の5質量部、水の21.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク11を得た。
【0115】
(比較例用のインクジェット捺染用青色インク12)
上記インクジェット捺染用水性青色インクベースの17.5質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、ポリプロピレンエマルジョンワックス(商品名:ハイテックP−5060P、東邦化学工業(株)社製、固形分40%、粒子径25nm)の5質量部、水の21.5質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク12を得た。
【0116】
(比較例用のインクジェット捺染用黄色インク3)
上記インクジェット捺染用水性黄色インクベースの15質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の35質量部、グリセリンの30質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の24質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性黄色インク3を得た。
【0117】
(比較例用のインクジェット捺染用黄色インク4)
上記インクジェット捺染用水性黄色インクベースの15質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の30質量部、グリセリンの30質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の24質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性黄色インク4を得た。
【0118】
(比較例用のインクジェット捺染用赤色インク3)
上記インクジェット捺染用水性赤色インクベースの20質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の40質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の19質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性赤色インク3を得た。
【0119】
(比較例用のインクジェット捺染用赤色インク4)
上記インクジェット捺染用水性赤色インクベースの20質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の40質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の19質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性赤色インク4を得た。
【0120】
(比較例用のインクジェット捺染用黒色インク3)
上記インクジェット捺染用水性黒色インクベースの30質量部に、ガラス転移温度−38℃のアニオン性アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール952B、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分46質量%)の46.7質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の23質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性黒色インク3を得た。
【0121】
(比較例用のインクジェット捺染用黒色インク4)
上記インクジェット捺染用水性黒色インクベースの30質量部に、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ニチゴー・モビニール(株)製、固形分45質量%)の46.7質量部、グリセリンの20質量部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1質量部、水の23質量部を攪拌して比較例用のインクジェット捺染用水性黒色インク4を得た。
【0122】
<重ね合わせをしない印刷>
<インクジェット捺染用水性白色インクの印刷>
綿100%の黒色布帛に上記処理液1〜4を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例用のインクジェット捺染用水性白色インク1〜5、比較例用のインクジェット捺染用水性白色インク6〜12を、ベタ印字が4回重なるような態様で印字し、その後ヒートプレス機を用いて印字を行った部分を180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用水性白色インクを布帛に定着させ、実施例1〜8、比較例1〜7の捺染物を得た。
【0123】
<インクジェット捺染用水性青色インクの印刷>
綿100%の白色布帛に上記処理液1を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例用のインクジェット捺染用水性青色インク1〜5、比較例用のインクジェット捺染用水性青色インク6〜12を、ベタ印字し、その後ヒートプレス機を用いて印字を行った部分を180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用水性青色インクを布帛に定着させ、実施例9〜13、比較例8〜14の捺染物を得た。
【0124】
<インクジェット捺染用水性黄色インクの印刷>
綿100%の白色布帛に上記処理液1を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾
燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例用のインクジェット捺染用水性黄色インク1又は2、比較例用のインクジェット捺染用水性黄色インク3又は4を、ベタ印字し、その後ヒートプレス機を用いて印字を行った部分を180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用水性黄色インクを布帛に定着させ、実施例14、15、比較例15、16の捺染物を得た。
【0125】
<インクジェット捺染用水性赤色インクの印刷>
綿100%の白色布帛に上記処理液1を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例用のインクジェット捺染用水性赤色インク1又は2、比較例用のインクジェット捺染用水性赤色インク3又は4を、ベタ印字し、その後ヒートプレス機を用いて印字を行った部分を180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用水性赤色インクを布帛に定着させ、実施例16、17、比較例17、18の捺染物を得た。
【0126】
<インクジェット捺染用水性黒色インクの印刷>
綿100%の白色布帛に上記処理液1を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例用のインクジェット捺染用水性黒色インク1又は2、比較例用のインクジェット捺染用水性黒色インク3又は4を、ベタ印字し、その後ヒートプレス機を用いて印字を行った部分を180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用水性黒色インクを布帛に定着させ、実施例18、19、比較例19、20の捺染物を得た。
【0127】
<重ね合わせ印刷>
綿100%の黒色布帛に上記処理液1を、A4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥し、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、インクジェット捺染用水性白色インク1〜5を、ベタ印字が4回重なるような態様で印字し、次いで、該ベタ印字領域に、表2の組合せとなるようにインクジェット捺染用色インクをベタ印字し、その後ヒートプレス機を用いて180℃の温度で30秒間加熱して、インクジェット捺染用白色インク及びインクジェット捺染用色インクを布帛に定着させた実施例20〜30の捺染物を得た。
【0128】
(画像濃度)
<白色捺染物>
実施例1〜8、比較例1〜7の各捺染物の明度を色差計(コニカミノルタ(株)製、商品番号:DR−321)を用いて測定した。その結果を表1〜3に示す。
【0129】
<白色以外の捺染物>
実施例9〜19、比較例8〜20の各捺染物のベタ部の画像濃度(OD値)を、マクベス濃度計(マクベス社製、商品番号:TD−931)を用いて評価した。その結果を表1〜3に示す。
【0130】
(塗膜耐性)
実施例1〜30、比較例1〜20の各捺染物を5回引っ張り伸ばして(各回とも限度まで引っ張り伸ばす)、塗膜の割れ、剥離を目視にて評価した。その結果を表1〜4に示す。評価基準
◎:塗膜の割れ、剥離が見られない
○:塗膜の剥離は見られないが、割れが僅かに見られる
△:塗膜の剥離は見られないが、割れが発生する
×:塗膜の割れ、剥離が見られる
【0131】
(洗濯堅牢度)
<白色捺染物>
実施例1〜8、比較例1〜7の各白色捺染物を家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯→脱水→乾燥)を5回実施し、各捺染物の洗濯前と洗濯後の明度を色差計(コニカミノルタ(株)製、商品番号:DR−321)を用いて測定し、洗濯前の明度(L*)の初期値からの変化率を測定し評価した。その結果を表1〜3に示す。
評価基準
◎:洗濯後において画像濃度が初期値の90%以上を保つもの
○:洗濯後において画像濃度が初期値の80%以上90%未満のもの
△:洗濯後において画像濃度が初期値の70%以上80%未満のもの
×:洗濯後において画像濃度が初期値の70%未満のもの
【0132】
<白色以外の捺染物>
実施例9〜30、比較例8〜20の各白色以外の捺染物、白色に白色以外の色を重ね合わせて得られる各捺染物を家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯→脱水→乾燥)を5回実施し、各捺染物の洗濯前と洗濯後の画像濃度(OD値)を、マクベス濃度計(マクベス社製、商品番号:TD−931)を用いて測定し、洗濯前の初期値からの変化率を測定し評価した。その結果を表1〜4に示す。
評価基準
◎:洗濯後において画像濃度が初期値の90%以上を保つもの
○:洗濯後において画像濃度が初期値の80%以上90%未満のもの
△:洗濯後において画像濃度が初期値の70%以上80%未満のもの
×:洗濯後において画像濃度が初期値の70%未満のもの
【0133】
(風合い)
実施例1〜30、比較例1〜20の各捺染物を手で触り評価した。その結果を表1〜4に示す。
評価基準
◎:捺染物が容易に折れ曲がり、綿100%の黒色布帛そのものの柔らかさに近いもの
○:捺染物が容易に折れ曲がるが、布帛そのものよりも若干ごわつきを感じるもの
△:捺染物がごわつきを感じるもの
×:捺染物が自由に折れ曲がらない程固いもの
【0134】
(処理液の跡残り)
実施例1〜30、比較例1〜20の各捺染物の処理液の跡残りを下記基準にて評価した。その結果を表1〜4に示す。
評価基準
◎:捺染物の処理液塗布面の非画像部分に処理液由来の跡残りが見られないもの
○:捺染物の処理液塗布面の非画像部分に処理液由来の跡残りが若干見られるがほとんど気にならないもの
△:捺染物の処理液塗布面の非画像部分に処理液由来の跡残りが見られるもの
×:捺染物の処理液塗布面の非画像部分に処理液由来の跡残りが非常に目立つもの
【0135】
(引っかき適性)
実施例1〜30、比較例1〜20の各捺染物を爪で引っかいた時の塗膜のはがれ具合を下記基準にて評価した。その結果を表1〜4に示す。
評価基準
◎:塗膜のはがれがみられないもの
○:塗膜のはがれが若干みられるがほとんど気にならないもの
△:塗膜のはがれが見られるもの
×:塗幕のはがれが非常に目立つもの
【0136】
(重ね合わせ適性)
実施例20〜30、の各捺染物について、にじみ、はじき、OD値を下記の基準にて評価した。その結果を表4に示す。
評価基準
◎:にじみ、はじき、OD値の低下がみられないもの
○:にじみ、はじき、OD値の低下が若干見られるがもののほとんど気にならないもの
△:にじみ、はじき、OD値の低下のいずれかが見られるもの
×:にじみ、はじき、OD値の低下のいずれかが目立って見られるもの
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、インクジェット捺染方法において好適に
適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色顔料、高分子分散剤、結着成分、水性媒体及びポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスを含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク組成物。
【請求項2】
前記ポリアルキルシロキサンエマルジョンワックスの含有量が、固形分で0.05〜1質量%である請求項1記載のインクジェット捺染用インク組成物。
【請求項3】
前記結着成分は、自己架橋性のアニオン性樹脂エマルジョン及び/又はノニオン性樹脂エマルジョンである請求項1又は2記載のインクジェット捺染用インク組成物。
【請求項4】
前記高分子分散剤は、アニオン性水溶性樹脂を塩基性化合物で中和して得られる高分子分散剤である請求項1、2又は3記載のインクジェット捺染用インク組成物。
【請求項5】
1)水溶性多価金属塩、
2)ノニオン性樹脂エマルジョン、アニオン性樹脂エマルジョン及びセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、
3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、
4)水性媒体
を含有するインクジェット捺染用処理液を、布帛のインクジェットインクの印字領域に塗布する工程、
前記インクジェット捺染用処理液が塗布された布帛を加熱する工程、
前記インクジェット捺染用処理液が塗付された印字領域に前記請求項1、2、3又は4記載のインクジェット捺染料用インク組成物を用いて印字する工程、並びに、
印字された布帛を加熱する工程
を含むことを特徴とするインクジェット捺染方法。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェット捺染方法で得られることを特徴とするインクジェット捺染物。

【公開番号】特開2011−105915(P2011−105915A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265446(P2009−265446)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000105947)サカタインクス株式会社 (123)
【Fターム(参考)】