説明

インクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ

【課題】 インクジェット印刷用に適した低粘度でかつ保存安定性に優れた油中水(W/O)型エマルションインキを提供する。
【解決手段】非イオン性界面活性剤を用いて水相と油相を乳化したインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキであって、該水相は金属塩を含有し、該金属塩の金属はカリウム及びカルシウムから選ばれた少なくとも1種であるインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。前記金属塩は、カルシウム塩であることが好ましく、塩化カルシウムが特に好ましい。非イオン性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステル、特に、ポリグリセリンとオキシ脂肪酸のエステル化物であることが好ましい。該インキは、油相40〜99質量%及び水相60〜1質量%からなり、ポリグリセリン脂肪酸エステルをインキ全量に対して0.5〜40質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷における使用に適した油中水(W/O)型エマルションインキであって、低粘度でかつ保存安定性に優れたインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷は、微細なノズルからインキ滴を吐出して、非接触で印字するのが特徴であり、インキ滴の微細化、印刷物の高速化、大判化を目指して各社がインクジェット用インキの開発を行っている。
【0003】
インクジェット印刷で用いられるインキ(本明細書中、「インクジェット用インキ」)としては、パーソナル及び事務用途では、一般に水性染顔料インキが用いられる。水性染顔料インキは、用紙繊維の吸水性が高いために印刷濃度が高く、且つ印刷物裏側から見た印刷濃度である裏抜けが少なくなる。その反面、用紙は製紙される時に圧力が掛かった状態で乾燥しているために、水が付着すると用紙繊維間の水素結合が切られて紙カールが発生する。この紙カールは、断裁された枚葉紙を用いる場合に顕著であり、インキ滴の位置精度や用紙搬送に影響を及ぼす。特に高速印刷を目指すためには、紙カールを無くすことが必要であった。
【0004】
紙カールを無くす手法としては、インキ中の水配合量を少なくする、または無くすことが挙げられる。したがって、油性インキを用いれば、紙カールが発生することもなく、高速印刷にも適合する。
【0005】
ラインヘッド型インクジェット方式を採用したビジネスプリンタは、ヘッドが固定されているので高速で大量印刷が可能であり、低価格である点からも注目されている。この高速印刷用インクジェット印刷機には、通常、油性顔料インキが使われるが、他方式のプリンタと比較して、印字した際に印刷物裏側にインキが浸透するため、得られる印刷物は、印刷濃度が低く、裏抜けの多いものになる。
【0006】
この問題の解決方法の一つとして、インキのエマルション化がある(特許文献1参照)。インクジェット用インキをエマルション化することで、印刷濃度を高め、裏抜けを低減することができるが、内水相の割合が増加すると高粘度となり、ノズルからインキ滴を吐出することができなくなる。さらに、インキの保存安定性が悪いと、たとえ粘度を低く抑えることができても、インキ吐出に影響を与えて印字ができなくなる。
【特許文献1】特開2006−56931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、インクジェット印刷用に適した低粘度でかつ保存安定性に優れた油中水(W/O)型エマルションインキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的の下に鋭意研究した結果、油中水(W/O)型エマルションインキの乳化剤として非イオン性界面活性剤を使用し、且つ、水相に特定の金属塩を含有させることにより、低粘度でかつ保存安定性に優れた油中水(W/O)型エマルションインキが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、非イオン性界面活性剤を用いて水相と油相を乳化したインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキであって、該水相は金属塩を含有し、該金属塩の金属はカリウム及びカルシウムから選ばれた少なくとも1種であるインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油中水(W/O)型エマルションを形成するための乳化剤として非イオン性界面活性剤を使用し、水相中に特定の金属塩を含有させることとしたので、インクジェット印刷用に適した低粘度でかつ保存安定性に優れた油中水(W/O)型エマルションインキが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の油中水(W/O)型エマルションインキは、油相及び水相を混合し、該油相中に該水相を微細な粒子として分散させることによって得られる。
【0012】
油相は、溶剤、着色剤、界面活性剤から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
【0013】
溶剤としては、非極性溶剤及び極性溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、または、単一の相を形成する限り、2種以上組み合わせて使用できる。極性溶剤は、非イオン性界面活性剤との水素結合等による相互作用が働くので、エマルションの保存安定性を向上させる作用がある。したがって、本発明では、溶剤として、非極性溶剤に極性溶剤を混合して使用するか、極性溶剤単独を使用することが好ましい。
【0014】
非極性溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の石油系炭化水素溶剤を使用でき、具体的には、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素類、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント」(商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
極性溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
エステル系溶剤としては、例えば、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルドデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0017】
アルコール系溶剤としては、具体的には、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0018】
高級脂肪酸系溶剤としては、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる、
【0019】
エーテル系溶剤としては、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
着色剤としては、染料及び顔料の何れも使用可能であるが、印刷物の耐候性が高いことから、顔料を使用することが好ましい。
【0021】
顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0022】
染料としては、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、アジン系等の油溶性染料を用いることができる。
【0023】
着色剤は、インキ全量に対して0.01〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0024】
着色剤として顔料を使用する場合、油相中における顔料の分散を良好にするために、油相に顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤を使用するのが好ましい。
分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、Efka CHEMICALS社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46,47,48,49,4010,4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名)、花王社製「デモールP、EP、ポイズ520、521、530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」(いずれも商品名)、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、第一工業製薬社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0025】
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に油相中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。
【0026】
非イオン性界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジグリセリド、及び高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等の酸化エチレン付加物等を挙げることができる。
【0027】
このうち、水の多い系で安定な油中水(W/O)型エマルションを形成するポリグリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。ここでいうポリグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの脱水縮合によって得られたポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物を言う。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、グリセリン縮合量は4〜12モルであることが好ましく、これに数モル(例えば1〜10モル)の高級脂肪酸がエステル結合していることが好ましい。高級脂肪酸としては、炭素数8〜24の脂肪酸が好ましく、オキシ脂肪酸であることがより好ましい。好ましいオキシ脂肪酸としては、リシノレイン酸、オキシラウリン酸、オキシミリスチン酸、オキシパルミチン酸、オキシステアリン酸、オキシベヘン酸、オキシトリデカン酸、オキシペンタデカン酸、オキシマルガリン酸、オキシオクタデカン酸、オキシノナデカン酸、オキシアラキン酸、リシエライジン酸等が挙げられる。好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリリシノレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル等が挙げられる。
【0028】
非イオン性界面活性剤のHLBは、油中水(W/O)型エマルションを形成しやすい点から、3〜8が好ましく、印刷濃度が高くなる点から、3〜5がより好ましい。
【0029】
本発明における非イオン系界面活性剤の使用量は、インキ全量に対し、固形分重量比で、0.5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜15質量%であり、さらに好ましくは2.0〜12質量%である。この使用量が0.5質量%に満たない場合には、エマルションの保存安定性の向上が期待できなくなる。また、この使用量が40質量%を超えた場合には、粘度が高くなり、インクジェット用途に適さなくなる。
【0030】
油相は、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶剤の一部と顔料及び顔料分散剤の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
【0031】
水相は、水に金属塩を溶解して構成される。本発明においては、該金属塩として、カリウム及びカルシウムから選ばれた少なくとも1種の金属の塩が用いられ、好ましくは、カルシウム塩が使用される。これらの金属塩は、塩化物であることが好ましい。これらの金属塩は、エマルションインキの粘度を高めることなく、エマルションを安定化させる効果がある。これらの金属塩のうち、エマルションの保存安定性の向上効果が高い点から、塩化カルシウムが特に好ましい。
【0032】
水相は、必要に応じ、さらに、電解質、保湿剤、水溶性高分子、水中油(O/W)型樹脂エマルション、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、凍結防止剤等を含有してもよい。
【0033】
本発明のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキは、上記の油相と水相を混合、乳化させることにより製造できる。水相と油相は、予め別々に調製したのち、油相液中に水相液を添加して乳化させてもよく、または、水相に油相を構成する成分を一括または個別に添加した後、乳化させてもよい。製造には、ディスパーミキサー、ホモミキサー等の公知の乳化機を用いることができる。乳化により分散された水相の粒子径は、0.1〜2.0μmの粒度分布をもつことが好ましい。
【0034】
本発明のインクジェットインキは、油相40〜99質量%、水相60〜1質量%となるように配合される。水相の比率が60質量%を越えると油中水(W/O)型エマルションが形成されにくくなる。水相の比率が1質量%未満の場合、印刷濃度が低くなったり、印刷物に裏抜けが発生する可能性がある。一般に、水相の比率が高くなると、インキ粘度が上昇する傾向があるため、好ましい両相の配合比率は、油相55〜99質量%、水相45〜1質量%である。
【0035】
このようにして得られる本発明のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキの23℃における粘度は、3〜100mP・sの範囲に設定することが好ましく、5〜30mPa・sの範囲に設定することがより好ましく、10〜20mPa・sの範囲に設定することが特に好ましい。インキの粘度は、油相の構成成分の種類及び量、水相の量や金属塩の含有量を調節することによって調整できる。一般的には、水相の量及び/又は非イオン界面活性剤の量が少ないほど、インキの粘度は低下するが、エマルションの保存安定性が低下する傾向がある。本発明では、水相に上記特定の金属塩を添加することにより、水相の含有量が低い領域でも、エマルションの保存安定性を維持しつつ、低粘度の油中水(W/O)型エマルションインキを得ることができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1〜5、比較例1〜5
表1又は表2に示す組成の油相に、表1又は表2に示す水相成分を高速ホモジナイザー(マイクロテック・ニチオン社製ビスコトロン)を用い、3,000rpmで5分間撹拌しながら同表に示す割合になるまで滴下し、その後、10,000rpmで5分間撹拌することにより油中水(W/O)型エマルションインキを調製した。なお、表1及び表2中の各成分の配合量は質量%で示してある。
【0038】
上記実施例及び比較例でそれぞれ得られたインクジェットインキについて、以下の方法によりエマルションの粘度及び保存安定性の評価を行った。これらの評価結果を表1及び表2に示した。
【0039】
(1)インキの粘度
HAAKE社製RS75 RheoStressを用いて測定した。
なお、表1及び表2に示す粘度の比率は、同表に示す各比較例に対する比率である。
【0040】
(2)インキの保存安定性
調製後のインキを室温で放置し、そのエマルションの状態を目視で観察し、下記の基準に従い評価した。
××:1時間で水相が分離。
×:数時間で水相が分離。
△:1日で水相が分離。
○:1週間で水相が分離。
◎:1ヶ月以上安定。
【0041】
【表1】


【0042】
【表2】

【0043】
尚、表1及び表2記載の原材料の記号は、以下の通りである。
MA−8(商品名):三菱化学社製カーボンブラック。
ソルスパース13940:ルーブリゾール社製顔料分散剤ソルスパース13940(商品名)。
AF−7(商品名):新日本石油社製石油系炭化水素溶剤。
モノオレイン酸ソルビタン (HLB 4.3):日光ケミカル社製NIKKOL SO-10V(商品名)。
ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(HLB 3.5):日光ケミカル社製NIKKOL Hexaglyn PR-15(商品名)。
【0044】
表1の結果から、実施例1〜5の場合、カリウム塩又はカルシウム塩の水相への添加により、粘度上昇が少なく抑えられ、かつ、保存安定性が改善されていることがわかる。また、非イオン性界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、金属塩としてカルシウム塩を使用した実施例4及び5は、保存安定性が著しく向上していた。
【0045】
これに対し、比較例1乃至3は、水相が金属塩を含まない例であるが、インキ粘度は低く維持されているものの、保存安定性が劣っていた。比較例4は、水相に添加される金属塩として硫酸マグネシウムを使用した例であるが、インキ粘度の上昇が激しく、また、保存安定性も劣っていた。比較例5は、水相に添加される金属塩として硫酸ナトリウムを使用した例であるが、インキ粘度は低く維持されているものの、保存安定性が著しく劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキは、低粘度でかつ保存安定性に優れているので、インクジェット印刷の分野、特に、ラインヘッド型インクジェット方式を採用したビジネスプリンタのインキとして利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤を用いて水相と油相を乳化したインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキであって、該水相は金属塩を含有し、該金属塩の金属はカリウム及びカルシウムから選ばれた少なくとも1種であるインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項2】
前記金属塩がカルシウム塩である、請求項1に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項3】
前記金属塩が塩化カルシウムである、請求項2に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項5】
油相40〜99質量%及び水相60〜1質量%からなり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルをインキ全量に対して0.5〜40質量%含有する、請求項4に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項6】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがポリグリセリンとオキシ脂肪酸のエステル化物である、請求項5に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。
【請求項7】
23℃における粘度が3〜100mP・sである、請求項5に記載のインクジェット用油中水(W/O)型エマルションインキ。

【公開番号】特開2009−57462(P2009−57462A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225769(P2007−225769)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】