説明

インクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いた記録装置、画像形成方法並びに画像形成物

【課題】黒顔料インク、カラー顔料インクの分散体、分散剤を規定する事で、保存安定性、吐出性、画質(色間滲み、画像濃度)を両立させることが可能なインクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いた記録装置、画像形成方法並びに画像形成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも黒顔料インクと、カラー顔料インクとを組み合わせたインクセットであって、前記黒顔料インクは、アニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、樹脂ポリマーで被覆された黒顔料とが、水に分散された顔料分散体からなる黒顔料インクであり、前記カラー顔料インクは、カラー顔料がノニオン系界面活性剤で水に分散された顔料分散体からなるカラー顔料インクであることを特徴とするインクジェット用記録インクセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いたインクジェット記録装置、画像形成方法並びに画像形成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリント方式は、低騒音で低ランニングコストであり、高速プリントが可能で装置の小型化が容易であり、またカラー化が容易である等の種々の利点を有し、プリンタや複写機等において広く利用されている方式である。このようなプリンタ等では、一般に、吐出特性、定着性等のプリント特性やプリント画像のにじみや光学反射濃度、発色性等のプリント品位などの観点から用いるインクが選択される。
【0003】
ところで、インクは、その含有する色材により、染料インクと顔料インクの二種類に大別されることは広く知られたところである。このうち顔料インクは、染料インクに比べて耐水性、耐光性に優れ、また、鮮明な文字品位を可能とする等の利点を有している。その一方で、顔料インクは染料インクと比較してプリント媒体への定着に時間がかかったり、定着後の画像の耐擦過性も十分でない場合があり、また、1吐出動作によってノズルから吐出されるインクによってプリント媒体上に形成されるインクドットのサイズが小さくなる傾向が見られる。
【0004】
即ち、顔料インクに含まれる顔料は、通常、主に、高分子分散剤の電気的反発力等を利用して、顔料粒子の凝集をもたらす顔料粒子間に作用する分子間力に打ち勝たせてインク中に安定に分散させているものである。従って、インク中には顔料の量に応じて高分子分散剤を添加することが好ましい。
このようなインクを普通紙上にインクジェット記録法を用いて印字すると、水分等のインクの溶媒の紙への浸透、及び空気中への蒸発により顔料同士が凝集する。この際、紙上でのインクの挙動としては、インク中に含まれる高分子分散剤の量が多い程、インクの凝集力が強くなる。その為にインクジェットヘッドから吐出された一定の体積を有するインクによりプリント媒体上に形成されるインクドットの径は小さくなり、また、紙に衝突した際の歪んだ形状に近いままのドット形状となる。よって画像を形成するのに十分な記録濃度を有し、かつ白すじ等の発生がないような記録に必要なドット径のインクドットを得る為には、インクジェットヘッドからのインクの吐出体積を大き目に調整する必要がある。しかし、このような調整を行っても、高分子分散剤が吸着した顔料粒子の凝集力が強いことによる紙中への浸透性の低下と相まって、インクのプリント媒体への定着の遅延を招き、或いは記録画像の耐擦過性を低下させることがあった。
【0005】
ドット径の拡大、および定着性の向上を図る為にインクのプリント媒体への浸透性の向上を目的としてインクに浸透剤を含有させることも考えられている。しかしこれはドット形状の劣化(いわゆるフェザリング等のドット周囲形状の劣化)、紙の裏面へのインクの浸透(いわゆる裏抜け)等の高品位な記録画像を目指すうえでは好ましくない現象を併発する場合がある。また、色材がプリント媒体内部に浸透してしまう為、ドット径は比較的大きくなってもインクドットのODはあまり高くならない場合が多い。
【0006】
また、今後、積極的な展開が図られるであろう、インクジェットプリンターのビジネス用途への応用にあたっては、印字速度のより一層の向上が求められることが予想される。そのときに,インクの記録媒体への定着性が不十分であると、例えば印字済みの記録媒体が、インクジェットプリンターから連続的に排出され順次積層されていく過程において、先に排出された第1の記録媒体の表面のインクの定着前に、該第1の記録媒体に引き続いて排出された第2の記録媒体が該第1の記録媒体の印字面に積層され、第1の記録媒体表面の画像が乱れたり、あるいは第2の記録媒体の裏面に第1の記録媒体のインクが付着したりするといった問題が起こる可能性が考えられる。
更に、自己分散型の顔料を用いたインクが提案されており、このインクでは前記した分散剤によって分散させられた顔料を含むインクに比べて紙上での顔料の凝集力が弱い為か、ドット径の拡大を図ることができるが、未だ十分とはいえない。
【0007】
この様に記録画像の品位を左右する様々な要素、例えばインクの定着性、インクドット径の拡大、インクドット内での濃度の均一性、インクドット自体の高い光学濃度等を高いレベルで満たすようなプリント方法には、多分に研究開発の余地が残されているということができる。
【0008】
一方、インクジェットプリント技術において、印字品位や画像品位のより一層の向上(例えばプリント媒体上の画像の耐水性や光学濃度(OD)の向上等)を目的として、インク及び該インクと反応する処理液とを、プリント媒体上で該インクと該処理液とが反応する様に該プリント媒体上に付与する方法がこれまでに提案され、また、実用化されている。特許文献1においてはアニオン性の原子団が結合される自己分散型顔料とカチオン性の原子団が結合される自己分散型顔料と処理液を規定することで、特許文献2においては黒インクに界面活性剤系分散剤を含まない着色剤、例えば自己分散型やポリマーエマルジョン型、及びアニオン性化合物、例えば水溶性染料を含有し、カラーインクに界面活性剤系分散剤を含む着色剤と規定することで、特許文献3においては、黒インクにカチオン性の自己分散型、カラーインクにアニオン性染料や添加剤を規定することで高品質(フェザリング、ブリーディング)なプリントを提供することが提案された。
しかしこれらは、ヘッド撥水膜での混色の際にインク凝集を引き起こし、その結果撥水膜に固着を発生し、吐出不良を引き起こす問題点、カチオン性は経時安定性に劣る問題点、染料を使用する場合、顔料と比較すると、高品質(フェザリング、ブリーディング)なプリントを得られにくい問題点があり、今尚、吐出性、高品質、経時安定性を満足したインクジェット用記録インクセットを提供できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、黒顔料インク、カラー顔料インクの分散体、分散剤を規定する事で、保存安定性、吐出性、画質(色間滲み、画像濃度)を両立させることが可能なインクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いた記録装置、画像形成方法並びに画像形成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。
(1)少なくとも黒顔料インクと、カラー顔料インクとを組み合わせたインクセットであって、
前記黒顔料インクは、アニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、樹脂ポリマーで被覆された黒顔料とが、水に分散された顔料分散体からなる黒顔料インクであり、
前記カラー顔料インクは、カラー顔料がノニオン系界面活性剤で水に分散された顔料分散体からなるカラー顔料インクである
ことを特徴とするインクジェット用記録インクセット。
(2)前記インクジェット用記録インクセットが、少なくとも更に樹脂エマルジョン、湿潤剤、及び浸透剤を含有するもので、
前記黒顔料インクに含まれる浸透剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤であり、
前記カラー顔料インクに含まれる浸透剤がフッ素系界面活性剤である
ことを特徴とする上記(1)に記載のインクジェット用記録インクセット。
(3)前記黒顔料インクの湿潤剤が、グリセリンもしくはトリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種類と3−メチル−1,3−ブタンジオールとの組み合わせであり、
前記カラー顔料インクの湿潤剤が、グリセリンもしくはトリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種類と1,3−ブタンジオールの組み合わせである
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のインクジェット用記録インクセット。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット用記録インクセットを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット用記録インクセットから黒顔料インク及び/又はカラー顔料インクを吐出させて記録を行なう方式のヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
(6)上記(5)に記載のインクジェット記録装置を用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
(7)上記(6)に記載の画像形成方法で画像支持体に印字されたことを特徴とする画像形成物。
(8)前記画像支持体が紙であることを特徴とする上記(7)に記載の画像形成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、黒顔料インク、カラー顔料インクの分散体、分散剤を規定する事で、保存安定性、吐出性、画質(色間滲み、画像濃度)を両立させることが可能なインクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いた記録装置、画像形成方法並びに画像形成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は、少なくとも黒顔料インクと、カラー顔料インクとを組み合わせたインクジェット用記録インクセットであって、前記黒顔料インクは、アニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、樹脂ポリマーで被覆された黒顔料とが、水に分散された顔料分散体からなる黒顔料インクであり、前記カラー顔料インクは、カラー顔料がノニオン系界面活性剤で水に分散された顔料分散体からなるカラー顔料インクであることを特徴とする。
【0013】
本発明における黒顔料インクに使用される分散剤としてはカーボンブラック種別に応じて適宜選択できるが、アニオン系界面活性剤としてアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコハク酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩よりなる群から選ばれる界面活性剤や、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等、この中でも好ましく用いられるアニオン系界面活性剤は、カーボンブラックとの分散性の相性、界面活性剤の起泡性の面で、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸塩である。
【0014】
芳香族スルホン酸塩は芳香族にスルホン酸を導入し、塩基性化合物で中和したものであり、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等をブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、コリン等で中和したものをあげることができる。また塩基性化合物としてトリスヒドロキシルメチルアミノメタン、グッドバファー等の緩衝剤を用いてもよい。また芳香族スルホン酸塩をホルマリン等で縮合させた物質も使用できる。ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物であり、上記縮合物の繰り返しからなるものであれば特に限定されない。
【0015】
樹脂ポリマーとして例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
【0016】
これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。
【0017】
本発明におけるカラー顔料インクに使用される分散剤としては、有機顔料種別に応じて適宜選択できるが、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリンエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンαナフチルエーテル、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等を用いることができる。
【0018】
本発明におけるカラー顔料インクに使用される分散剤はいかなるものでも良いが、一般式(1)で表わされる化合物にすることにより、平均粒径が小さく、又粒度分布に於ける標準偏差の小さいカラー顔料インクを得ることができる。
【0019】
【化1】

式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、アラルキル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。
【0020】
一般式(1)で示される分散剤で、nは好ましくは20以上100以下、より好ましくは30以上50以下である。nが20未満では分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きく、又粒度分布に於ける標準偏差の大きいインク液のため満足な彩度が得られない。また、nが200より大きいとインクの粘度が高くなり、インクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。POE(n=40)βナフチルエーテルが更に好ましい。
【0021】
本発明における黒顔料インクの浸透剤はポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤であることが好ましく、インクに含有させることによって、顔料微粒子の安定性を阻害することなく、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
該市販品としては、例えばBTシリーズ(日光ケミカルズ)ノニポールシリーズ(三洋化成)、D-,P-シリーズ(竹本油脂)、EMALEX DAPEシリーズ(日本エマルジョン)等として入手できる。
【0022】
本発明におけるカラー顔料インクの浸透剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましく、インクに含有させることによって、顔料微粒子の安定性を阻害することなく、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられる。これらの中でも、下記一般式(2)、及び(3)で表される化合物が信頼性の観点からも特に好ましい。
【0023】
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
【0024】
【化3】

ただし、前記一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表し、CF3、CF2CF3をなどが挙げられる。m,n及びpは、それぞれ整数を表し、mは6〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4を表す。
【0025】
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えばS-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300(Dupont社製);FT-250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。これらノニオン系のフッ素系界面活性剤である前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記浸透剤のインク中への添加量としては、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、浸透性の向上に顕著な効果がなく、前記添加量が10質量%を超えると、高温下で保存した時に粘度上昇、凝集等が起こり、信頼性が悪化することがある。
【0027】
本発明における湿潤剤とは沸点が180℃以上のものであることが好ましい。該湿潤剤がインクジェット記録用インク中に上記トリ-メチルグリシンと混合で含有されていると、よりインクの保水と湿潤性を確保することができ、その結果、インクジェット記録用インクを長期間保存しても色材の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。また、インクジェットプリンターのノズル先端等で開放状態に放置されても、乾燥物の流動性を長時間維持するインクジェット記録用インクが実現できる。更に印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが発生することもなく、高い吐出安定性が得られる。
【0028】
本発明において用いられる湿潤剤としては以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキナンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノべンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。これらの湿潤剤は、トリ−メチルグリシンと混合して使用することができる。
前記の中でも、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び/またはグリセリンを含むことがインクの乾燥による目詰まりすなわち水分蒸発による噴射特性不良の防止、及び本発明の形成画像の彩度を向上する上で優れた効果が得られる。
【0029】
上記のなかでも、黒顔料インクの湿潤剤の場合には、グリセリン若しくはトリメチルグリシドから選ばれる少なくとも一種類と、3−メチル−1,3−ブタンジオールとの組み合わせであることが好ましい。また、カラー顔料インクの湿潤剤としては、グリセリン若しくはトリメチルグリシドから選ばれる少なくとも一種類と、1,3−ブタンジオールとの組み合わせであることが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂エマルジョンの粒子とは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョン粒子を言う。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。このうち、アクリル−スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂が形成画像の耐水性、定着性とインクジェット記録用インクに含有させた際の保存安定性の点で特に好ましく用いられる。
【0031】
本発明のインクセットの黒顔料インクは、前記のアニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、前記の樹脂ポリマーで被覆された黒顔料とが、水に分散された黒顔料分散体からなることを特徴とする。このとき、アニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、樹脂ポリマーで被覆された黒顔料との混合比は、質量比で0.3:0.7〜0.7:0.3の範囲であることが好ましい。
また、カラー顔料インクは、ノニオン系界面活性剤で処理されて水に分散された顔料分散体であることを特徴とする。
本発明のインクジェット用記録インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
【0032】
本発明の顔料インクの作製後に、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた減圧・加圧濾過や遠心分離機による遠心濾過を行い、粗大粒子、異物(ほこり・ごみ)等を除去するのが好ましい。
【0033】
本発明の顔料インクを収容したインクカートリッジを形成することができ、該インクカートリッジを収容したインクジェット装置で該インクに記録信号に応じてオリフィスから吐出させ、被記録材に画像形成を行い、画像形成物を得ることができる。
【0034】
尚、本発明の顔料インクを用いて印字する手段としては、連続噴射型あるいはオンデマンド型の記録ヘッドを有する前記のインクジェット方式のプリンター(インクジェットプリンター)による印刷方式が挙げられる。尚、オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等が例示される。
これらインクカートリッジの形成、インクジェット装置の形成、画像形成方法は、例えば特開2000−198958号公報に記載されたもの等、当技術分野に関する公知技術を適宜採用することができる。
【0035】
また、本発明において記録媒体は、紙などのインク組成物に対して吸収性を有するもの、インク組成物に対して実質的に非吸収性のもののいずれであっても好適に用いられる。本発明によるインクジェット記録方法が適用可能な記録媒体の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート、黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属表面または非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をした記録媒体、紙を基材として撥水処理などがなされた記録媒体、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる記録媒体などが挙げられる。
このうち、紙が経済性の点と画像の自然さの点で最も好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されないものである。なお実施例中の部数は質量部を表すものである。
【0037】
まず、実施例及び比較例で用いた顔料の作製方法について以下で述べる。
−アニオン系界面活性剤型黒顔料−
<顔料αの基本作製方法>
・カーボンブラック
(商品名:デグサ製、NIPEX150) 200部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物
(商品名:竹本油脂製、A−45−PN) 25部
・蒸留水 残り
(合計:1000部)
【0038】
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリーを得た。ディスクタイプのメディアミル(寿工業社UAM型)で0.015mmジルコニアビーズ、充填率70%を用いて、周速6m/s、液温10℃で10分循環分散し、遠心分離機(久保田商事(株)製Model-7700)で粗大粒子を遠心分離し、平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し顔料αを得た。
【0039】
−樹脂ポリマー型黒顔料−
<顔料βの基本作製方法>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亞合成製AS-6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gをメチルエチルケトン40gと混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。ポリマー溶液Aを28gと、C.I.ピグメントブラック7を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くために遠心分離機(久保田商事(株)製Model-7700)で粗大粒子を遠心分離し、平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有、固形分20質量%の顔料βを得た。
【0040】
−ノニオン系界面活性剤型黒顔料−
<顔料γの基本作製方法>
顔料αの組成において、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を一般式(1)の化合物(n=40、商品名:竹本油脂製、試作品)に変更した以外は、顔料αと同様にして、顔料γを得た。
【0041】
【化4】

式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、アラルキル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。
【0042】
−カチオン系界面活性剤型黒顔料−
<顔料δの基本作製方法>
顔料αの組成において、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物をラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(商品名:竹本油脂製、パイオニンB-231)に変更した以外は、顔料αと同様にして、顔料δを得た。
【0043】
−自己分散型黒顔料−
<顔料εの基本作製方法>
CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3,000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗し、乾燥させて、固形分20質量%となるよう純水中に分散させ、充分に撹拌して自己分散型黒顔料εを得た。
【0044】
−ノニオン系界面活性剤型カラー顔料−
<顔料ζの基本作製方法>
・モノアゾイエロー顔料
(商品名:大日精化工業製、ファーストエロー531) 200部
・ポリオキシエチレン-β-ナフチルエーテル
(商品名:竹本油脂製、試作品) 50部
・蒸留水 残り
(合計:1000部)
【0045】
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリーを得た。ディスクタイプのメディアミル(寿工業社UAM型)で0.015mmジルコニアビーズ、充填率70%を用いて、周速6m/s、液温10℃で10分循環分散し、遠心分離機(久保田商事(株)製Model-7700)で粗大粒子を遠心分離し、平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し顔料ζを得た。
【0046】
−アニオン系界面活性剤型カラー顔料−
<顔料ηの基本作製方法>
顔料ζの組成において、ポリオキシエチレン-β-ナフチルエーテルをナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物に変更した以外は、顔料ζと同様にして、顔料ηを得た。
【0047】
−カチオン系界面活性剤型カラー顔料−
<顔料θの基本作製方法>
顔料ζの組成において、ポリオキシエチレン-β-ナフチルエーテルをラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドに変更した以外は、顔料ζと同様にして、顔料θを得た。
【0048】
上記の顔料を用いて黒顔料インク及びカラー顔料インクを作製した。
表1〜3に顔料以外のインク成分として用いた樹脂エマルジョン種、浸透剤種、湿潤剤種及びその組み合わせを示す。
また、表4にインク処方を示し、表5にインクの組み合わせ(インクセット)を示す。
なお、表4における、黒顔料その1と黒顔料その2との配合割合は質量比で1:1の比率になるよう混合した。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
[実施例1〜17]及び[比較例1〜5]
表4の材料を用いて下記組成の顔料インクを調整し、30分攪拌後孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気して、実施例・比較例のインクセットを得た。表5に実施例1〜17及び比較例1〜5の各インクセットの組み合わせを示す。
【0054】
インク処方
顔料分散体(顔料濃度20%の場合、全固形分8%) 40.0部
総湿潤剤(上記インクNo.参照,無しの場合0部) 30.0部
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3.0部
2−ピロリドン 3.0部
総浸透剤(上記インクNo.参照,無しの場合0部) 1.5部
樹脂エマルジョン 2.0部
蒸留水 残り
【0055】
【表5】

【0056】
株式会社リコー製インクジェットプリンターIPSiO GX 5000用インクパックに充填してインクカートリッジを作製した。
ゼロックス(株)社製PPC用紙XEROX4200に印字し、印字画像をXrite濃度計にて測定した。又、吐出安定性、インク保存性についても下記試験法により評価した。測定結果を表6に示す。
【0057】
評価1:色間滲み(黒とカラー境界滲み)
色間滲みの評価は、異なる色が隣接するパターンを印字し、境界部分の滲み度合いを予め定めておいた限度見本に照合し、官能評価を行った。
○:滲みが少ないもの
△:滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×:滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0058】
評価2:画像評価
画像濃度は画像サンプルのベタ画像の測色をXrite濃度計にて測定を行う。
〜黒ベタ濃度〜
○:1.30以上
△:1.20以上1.30未満
×:1.20未満
〜カラーベタ濃度〜
○:0.80以上
△:0.70以上0.80未満
×:0.70未満
【0059】
評価3:吐出安定性
プリンタを恒温恒湿槽に入れ、槽内の環境を温度32℃、湿度30%RHに設定、以下の印刷パターンチャートを20枚連続で印字後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1,000枚印写後、ノズルプレートを顕微鏡で観察し、固着の有無を判断した。
−印刷パターンチャート−
印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度は300dpi、ワンパス印字とした。
○:ノズル近傍に固着なし
△:ノズル近傍にうっすらと固着
×:ノズル近傍に固着あり
【0060】
評価4:インク保存性
各インクをポリエチレン容器に入れ密封し、70℃で3週間保存した後の粒径、表面張力、粘度を測定し初期物性との変化率により下記の様に評価した。
○:10%以内
△:30%以内
×:50%を超える
【0061】
【表6】

【0062】
以上の結果から、黒顔料インク、カラー顔料インクの分散体、分散剤を規定する事で、保存安定性、吐出性、画質(色間滲み、画像濃度)を両立させることが可能なインクジェット用記録インクセット、インクカートリッジ、及びこれを用いた記録装置、画像形成方法並びに画像形成物を提供できることが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2008−213483号公報
【特許文献2】特開2008−260926号公報
【特許文献3】特開2002−265833号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも黒顔料インクと、カラー顔料インクとを組み合わせたインクセットであって、
前記黒顔料インクは、アニオン系界面活性剤で処理された黒顔料と、樹脂ポリマーで被覆された黒顔料とが、水に分散された顔料分散体からなる黒顔料インクであり、
前記カラー顔料インクは、カラー顔料がノニオン系界面活性剤で水に分散された顔料分散体からなるカラー顔料インクである
ことを特徴とするインクジェット用記録インクセット。
【請求項2】
前記インクジェット用記録インクセットが、少なくとも更に樹脂エマルジョン、湿潤剤、及び浸透剤を含有するものであり、
前記黒顔料インクに含まれる浸透剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤であり、
前記カラー顔料インクに含まれる浸透剤がフッ素系界面活性剤である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録インクセット。
【請求項3】
前記黒顔料インクの湿潤剤が、グリセリンもしくはトリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種類と3−メチル−1,3−ブタンジオールとの組み合わせであり、
前記カラー顔料インクの湿潤剤が、グリセリンもしくはトリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種類と1,3−ブタンジオールの組み合わせである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用記録インクセット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録インクセットを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録インクセットから黒顔料インク及び/又はカラー顔料インクを吐出させて記録を行なう方式のヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェット記録装置を用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成方法で画像支持体に印字されたことを特徴とする画像形成物。
【請求項8】
前記画像支持体が紙であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成物。

【公開番号】特開2011−116857(P2011−116857A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275245(P2009−275245)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】