説明

インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置、およびインクジェット記録ヘッドの気泡保持部への気泡形成方法

【課題】インクの吐出に伴うインクの圧力変動を吸収する気泡を安定的に供給する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッドは、インクを吐出する吐出口と、吐出口にインクを供給するインク流路と、一端がインク流路に接続され、他端が外気に開放された大気連絡口25を形成している気泡保持部13と、気泡保持部13に挿入された、弾性材からなる封止部材14とを有している。封止部材14は、封止部材14の挿入方向に沿って封止部材14の両端間を延びるスリット15を有し、スリット15は封止部材14の弾性力によって封止され、弾性力に反発する力の作用によって開かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置、およびインクジェット記録ヘッドの気泡保持部への気泡形成方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドの気泡保持部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドは、一般に、インクを飛翔液滴として吐出させる吐出口(オリフィス)と、吐出口に連通して吐出口にインクを供給するインク流路(ノズル)と、インク流路の一部に設けられ、インク流路内のインクに飛翔液滴を形成する吐出エネルギを与える吐出エネルギ発生手段とを有している。
【0003】
吐出エネルギ発生素子で発生した圧力は、インクを介して吐出口方向とインクタンク方向とに伝わる。吐出口方向に伝わる圧力はインク流路内のインクを吐出口より押し出して飛翔液滴を形成し、記録面にインクの飛翔液滴を付着させる。インク流路内のインクは、この圧力によって圧縮されるので、吐出口からインクが吐出されると、吐出口におけるメニスカスは後退する。メニスカスは、後退が最大になったところから、インクの表面張力によって、所定時間の経過後に、吐出前の初期状態へと復帰する(以後、この現象をリフィルという。)。インクジェット記録装置は、このメカニズムを繰り返すことによって、常に安定なインクの吐出を持続し、高品位な画像を記録することができる。
【0004】
しかし、リフィルが不完全な状態で吐出が続けられると、メニスカスが完全に初期状態に復帰する前に次の吐出がおこなわれ、吐出方向へのインク吐出量が減って記録紙上でのドット径が小さくなったり、吐出速度が不安定となって記録紙上におけるインク液滴の付着位置がばらつくなど、画像品位が極端に劣化するという問題が生じる。
【0005】
特に、多数のインク流路が設けられたインクジェット記録装置においては、多数のインク流路に、同時にまたは若干の時間差をもって、インク吐出のための圧力が発生するため、インクタンク方向に伝わる圧力、すなわち、インクを吐出方向と逆方向に動かす力の総和が大きくなる。これは、インクがインクタンクの方向に後退しようとする慣性力がより大きくなることを意味する。この結果、メニスカスの初期状態への復帰が遅れ、メニスカスが完全に初期状態に復帰する前にインクの吐出が繰り返されて、画像品位が一層劣化することになる。
【0006】
上記の問題を解決するため、大気開放部を設けて、圧力を吸収する技術(特許文献1参照)や、液室等のインク流路の一部に気泡を滞留させておく手段を設ける技術(特許文献2参照)や、液体に吐出エネルギを与える前に、加熱によって液室内に気泡を形成させる技術(特許文献3参照)や、気泡保持部に大気と連通する穴を備え、それを記録装置本体のキャップによって開閉して気泡を取り込む技術(特許文献4参照)などが開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,578,687号明細書
【特許文献2】特開平1−285356号公報
【特許文献3】特開平5−31904号公報
【特許文献4】特開平8−132640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、大気開放部からインクが蒸発し、インクの増粘や、インク流路へのインク固着等が生じ、不吐出や記録不良等の不具合が発生するおそれがある。特許文献2に記載の技術は、本体の吸引動作や物流環境下での振動等で、気泡がインクに置換され、その機能を失ってしまうという問題がある。特許文献3に記載の技術は、液室内で形成される気泡の発生エネルギにより、かえって液室内の液体の流れが乱れてしまうおそれがある。特許文献4に記載の技術は、記録ヘッドが記録のための走査を行わない状態では有効であるが、記録ヘッドが記録のために走査する際には、キャップ部も一緒に動かなくてはならないため、非常に複雑で大きな機構となってしまう。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされ、インクの吐出に伴うインクの圧力変動を吸収する気泡を安定的に供給して、インクをより確実に吐出させることのできるインクジェット記録ヘッド等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出する吐出口と、吐出口にインクを供給するインク流路と、一端がインク流路に接続され、他端が外気に開放された大気連絡口を形成している気泡保持部と、気泡保持部に挿入された、弾性材からなる封止部材とを有している。封止部材は、封止部材の挿入方向に沿って封止部材の挿入方向両端間を延びるスリットを有し、スリットは封止部材の弾性力によって封止され、弾性力に反発する力の作用によって開かれる。
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、上記記載のインクジェット記録ヘッドを備え、または備えることができる。
【0011】
本発明の気泡保持部に気泡を形成する方法は、インクを吐出する吐出口と、吐出口にインクを供給するインク流路と、一端がインク流路に接続され、他端が外気と連通した大気連絡口を形成している気泡保持部とを有するインクジェット記録ヘッドの気泡保持部に気泡を形成する方法である。本方法は、気泡保持部に、弾性部材からなる封止部材であって、封止部材の封止方向両端間を延び、弾性部材の弾性力によって封止されているスリットを有する封止部材を、気泡保持部の内壁に密着させて設けるステップと、気泡保持部のうち、挿入された封止部材よりもインク流路側の部分を、外気に対して負圧にするステップと、スリットに、外気側から、一端が外気に開放され、他端が封止部材のインク流路側の端部を貫通するように管状の大気連通部材を挿入し、気泡保持部の内部に空気を導入するステップと、その後に、スリットから大気連通部材を完全に引き抜き、スリットを再び封止させるステップとを有している。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録ヘッド等によれば、気泡保持部から気泡が消失しても、弾性力に反発する力を作用させてスリットを開け、外気を導入することによって、気泡保持部に気泡を再度形成することができ、気泡の形成後は弾性力に反発する力を解除すれば、スリットが弾性力によって閉鎖されるので、インクの不要な流出を避けることができるので、インクの吐出に伴うインクの圧力変動を吸収する気泡を安定的に供給して、インクをより確実に吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態を説明する。なお、本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクジェット方式の記録装置全般、すなわち、プリンタだけでなく、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の記録装置や、各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置にも適用できる。また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、紙だけでなく、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の記録媒体に記録を行うものであってもよい。
【0014】
また、インクジェット記録ヘッドには記録装置に固定的に搭載されたパーマネントタイプと、交換可能タイプとがあり、さらに交換可能タイプのインクジェット記録ヘッドには、インクタンクと常時一体となっている一体型ヘッドカートリッジと、記録ヘッドにタンクの装着部としてのタンクホルダを設け、必要に応じて両者を分離可能としたタンク分離可能型がある。以下の説明はタンク分離可能型を前提に説明するが、本発明はいずれのタイプについても適用できる。
【0015】
まず、本発明のインクジェット記録ヘッドの概略構成を説明する。図1,2は各々、本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの模式的断面図、および模式的斜視図である(図2の素子基板は部分破断図として示している。)。
【0016】
インクジェット記録ヘッド30は、素子基板1と、チッププレート5と、タンクホルダ10と、インクタンク11とを有している。素子基板1は、インクに吐出エネルギを与えるヒータを備えたエネルギ発生素子2(図2参照)と、インクを吐出する吐出口3を備えたオリフィスプレート4とを有している。チッププレート5は、素子基板1を保持するともに、タンクホルダ10から送られてくるインク100を素子基板1に供給するインク供給口9を有している。タンクホルダ10は、インクタンク11を保持するとともに、チッププレート5にインク100を供給するインク流路(以下、流路12)を有している。チッププレート5には、インクジェット記録装置(図示せず)とのコンタクト部8aを有する電気コンタクト基板8が設けられ、コンタクト部8aは、チッププレート5とタンクホルダ10の周りを延びる電気配線テープ6、およびリード7によって、素子基板1と電気的に接続されている。電気コンタクト基板8はタンクホルダ10に位置決めされた後に固定される。
【0017】
次に、図1、3を参照して、気泡保持部の詳細を説明する。図3は、図1のA部に示す、気泡保持部近傍の拡大図である。図1に示すように、気泡保持部13は、タンクホルダ10の流路12の途中から分岐して設けられている。気泡保持部13は、一端がインク流路12に接続され、他端が外気に開放された大気連絡口25を形成している空洞部である。気泡保持部13の大気連絡口25側には、大気連絡口25に向かって断面積がステップ状に大きくなるショルダ部26が設けられている。なお、気泡保持部13は、インクタンク11から素子基板1に至るインク流路のいずれかの場所から分岐して設けられていればよく、例えばチッププレート5に設けてもよい。
【0018】
ゴム栓部材14が、インク流路12側の端部がショルダ部26に当接されて、他端が大気連絡口25にほぼ揃えられて、その大気連絡口25から気泡保持部13に挿入されている。ゴム栓部材14は気泡保持部13よりわずかに大きな断面積を有するゴム製の封止部材で、ゴムの弾性力によって、気泡保持部13の内壁に密着している。スリット15が、ゴム栓部材14の気泡保持部13への挿入方向(気泡保持部13の軸方向)に沿ってゴム栓部材14の気泡保持部13への挿入方向両端間を延びている。スリット15は、通常はゴムの弾性力によって封止されている。このため、ゴム栓部材14は通常、気泡保持部13の内部空間(ゴム栓部材14のインク流路12側の端部からインク流路12までの空間)を外気に対して封止している。しかし、スリット15は、後述するように大気連通部材19が挿入されることによって、弾性力に反発する力を受けて開かれる。この結果、大気連通部材19を介して、気泡保持部13の内部空間と外気とが連通する。なお、気泡保持部13に密着挿入され、スリットが材料自体の弾性力によって開閉することができれば、ゴム栓部材14の代わりに任意の弾性体を用いることができる。
【0019】
ゴム栓部材14は上述のように、インク流路12側の端部がショルダ部26に当接されており、大気連絡口25に面する他端は、スリット15を覆われることのないように、端部の外周部の少なくとも一部が、固定プレート16とビス17とによって保持され、気泡保持部13に対して固定されている。
【0020】
次に、図4のステップ図を参照して、どのようにして気泡保持部13内に気泡が形成・保持されるかについて説明する。同図(a)は、気泡保持部13内で気泡が完全に消失し、気泡保持部13全体にインク100が充填されている状態を示す。このような状態は、吐出動作によるインク100の振動や、物流時の衝撃等で、気泡が気泡保持部13から徐々に抜け、インクタンク11に戻ったり、吐出口3から流出することによって生じる。なお、気泡保持部13のうちゴム栓部材14よりも流路12側の部分、流路12、インク供給口9、および吐出口3は、インク100の吐出口3からの漏れを防止し、インク100をインクジェット記録ヘッドの内部に保持するために、負圧状態に保たれている。
【0021】
次に、同図(b)に示すように、スリット15に外側から大気連通部材19を挿入する。大気連通部材19は、インクジェット記録装置に設けられ、内部に流路を有する管部材である。大気連通部材19は、一端が外気に開放され、他端がゴム栓部材14の流路12側の端部を貫通するように、スリット15を貫通して挿入される。同図(c)のように、大気連通部材19がスリット15に挿入されると、気泡保持部13の内部は負圧状態に保たれているため、気泡20が、大気連通部材19から気泡保持部13内に入り込む。次に、所定時間経過後、同図(d)に示すように、大気連通部材19をスリット15から抜き取ると、スリット15はゴムの弾性力によって再び封止される。以上のステップによって、所望の量の空気を気泡保持部13に形成することができる。
【0022】
これによって、吐出時動作による振動や、物流時の衝撃等によって、気泡が気泡保持部13から消失しても、気泡保持部13に所望の量の気泡を再度形成することができる。したがって、吐出口3でのインクの吐出に伴うインクの圧力増加は、気泡保持部13内の気泡の圧縮によって緩和され、また、圧縮された気泡が再度膨張しようとする圧力によって、吐出口3へのリフィルが促進される。この結果、記録の不具合が生じるおそれが低減され、非常に高品質なインクジェット記録ヘッドを実現することができる。また、ゴム栓部材14のスリット15が大気開放されている時間は極めて短く、通常は大気に対して封止されているので、インクの蒸発によるインクの増粘や、インク流路へのインクの固着等も発生しない。さらに、気泡保持部に大気と連通する穴を設け、キャップによって開閉して気泡を取り込む従来機構に比べて、構造がシンプルであり、信頼性が高く、非常にコンパクトなインクジェット記録ヘッドを実現することが提供できる。このように、本実施例のインクジェット記録ヘッドは、気泡保持部から気泡が消失しても、弾性力に反発する力を作用させてスリットを開け、外気を導入することによって、気泡保持部に気泡を再度形成することができ、気泡の形成後は弾性力に反発する力を解除すれば、スリットが弾性力によって閉鎖されるので、インクの不要な流出を避けることができるので、インクの吐出に伴うインクの圧力変動を吸収する気泡を安定的に供給して、インクをより確実に吐出させることができる。
【0023】
大気連通部19をスリット15に挿入するタイミングは、適宜定めることができるが、例えば、気泡保持部13に、残存する空気量を読み取るセンサを備え、所定の空気量を下回った時点で挿入するようにしたり、リフィルシーケンスの一部に組み込んで自動的に挿入するように、適宜に制御装置を設けてもよい。また、必要に応じてユーザーが動作させてもよい。
【0024】
大気連通部19をスリット15から抜き取るタイミングも、適宜定めることができるが、例えば、所定時間経過後、大気連通部19を抜き取るようにしたり、上記のセンサによって注入空気量または残存する空気量を読み取り、所望の量に達した時点で抜き取るように、適宜に制御装置を設けてもよい。
【0025】
なお、以上説明した大気連通部19を用いる代わりに、弾性部材に注射針を突き刺す機構や、ボールバルブを用いても同様の効果を得ることが可能であるが、繰り返し動作の信頼性や構造の単純化の観点から、本実施形態のスリットが形成された弾性部材が好ましい。
【0026】
次に、図5のステップ図を参照して、ゴム栓部材を気泡保持部に挿入固定する手順を説明する。まず、同図(a)に示すように、タンクホルダ10の流路12と気泡保持部13を洗浄する(流路12は図1参照)。次に、同図(b)に示すように、ゴム栓部材14を、気泡保持部13に、ゴム栓部材14の端部がショルダ部26に当接するように挿入する。次に、同図(c)に示すように、ゴム栓部材14を固定するカバーである固定プレート16を装着する。次に、同図(d)に示すように、ビス止めボス部18にビス17を取り付けてゴム栓部材14を固定する。
【0027】
ゴム栓部材を気泡保持部に挿入固定する方法は上記に限定されず、他の方法によってもよい。他の一例を、図6のステップ図を参照して説明する。まず、同図(a)に示すように、タンクホルダ10の流路12と気泡保持部13を洗浄する。次に、同図(b)に示すように、ゴム栓部材14を、気泡保持部13に、ゴム栓部材14の端部がショルダ部26に当接するように挿入する。次に、同図(c)に示すように、大気連絡口の外周部を構成するタンクホルダ10から突き出した溶着リブ21をホーン22で熱圧着して溶かし込み、同図(d)に示すように、固定部23を形成し、ゴム栓部材14を固定する。この方法によれば、タンクホルダ10の一部である溶着リブ21によってゴム栓部材14を固定できるので、部品点数の増加を抑えることができる。溶着リブ21を溶融させる手段は、加熱ヒータやインパルスヒータでもよい。さらに、超音波を用いての溶着でも構わない。
【0028】
また、ゴム栓部材を気泡保持部に挿入固定する他の方法として、接着剤によって、ゴム栓部材14を気泡保持部13の内面に接着固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの模式的断面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッドの模式的斜視図である。
【図3】図1,2に示すインクジェット記録ヘッドの気泡保持部近傍の拡大断面図である。
【図4】気泡保持部に気泡を再充填する手順を示すステップ図である。
【図5】気泡保持部の固定方法を示すステップ図である。
【図6】気泡保持部の他の固定方法を示すステップ図である。
【符号の説明】
【0030】
3 吐出口
12 流路
13 気泡保持部
14 ゴム栓部材
15 スリット
16 固定プレート
19 大気連通部材
26 ショルダ部
100 インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出口と、
前記吐出口にインクを供給するインク流路と、
一端が前記インク流路に接続され、他端が外気に開放された大気連絡口を形成している気泡保持部と、
前記気泡保持部に挿入された、弾性材からなる封止部材とを有し、
前記封止部材は、当該封止部材の挿入方向に沿って該封止部材の挿入方向両端間を延びるスリットを有し、該スリットは該封止部材の弾性力によって封止され、該弾性力に反発する力の作用によって開かれる、インクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記封止部材は、前記スリットを覆われることなく、前記気泡保持部に対して固定されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記封止部材は、該封止部材の前記インク流路側の端部が、前記気泡保持部の途中に設けられたショルダ部で保持されることによって固定されている、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記封止部材は、該封止部材の外気側の端部の外周部の少なくとも一部が、カバーで保持されることによって固定されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
前記封止部材は、該封止部材の外気側の端部の外周部の少なくとも一部が、前記大気連絡口の外周部を構成する前記インクジェット記録ヘッドの筐体から突き出した部材が溶着されることによって固定されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
前記封止部材は、接着剤によって前記気泡保持部に固定されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
前記気泡保持部は、インクタンクを保持するタンクホルダに設けられている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
前記気泡保持部は、インクの吐出エネルギを発生させるエネルギ発生素子を保持するチッププレートに設けられている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドを備え、または備えることのできるインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記スリットに、外気側から、一端が外気に開放され、他端が前記封止部材の前記インク流路側の端部を貫通するように挿入される、管状の大気連通部材を有する、請求項9に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記吐出口のインクの回復動作に連動して、前記大気連通部材の前記スリットへの挿入、および前記スリットからの引き抜きをおこなう制御装置を有する、請求項10に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
インクを吐出する吐出口と、前記吐出口にインクを供給するインク流路と、一端が前記インク流路に接続され、他端が外気と連通した大気連絡口を形成している気泡保持部とを有するインクジェット記録ヘッドの該気泡保持部に気泡を形成する方法であって、
前記気泡保持部に、弾性部材からなる封止部材であって、該封止部材の封止方向両端間を延び、該弾性部材の弾性力によって封止されているスリットを有する封止部材を、該気泡保持部の内壁に密着させて設けるステップと、
前記気泡保持部のうち、挿入された前記封止部材よりも前記インク流路側の部分を、外気に対して負圧にするステップと、
前記スリットに、外気側から、一端が外気に開放され、他端が前記封止部材の前記インク流路側の端部を貫通するように管状の大気連通部材を挿入し、該気泡保持部の内部に空気を導入するステップと、
その後に、前記スリットから大気連通部材を完全に引き抜き、該スリットを再び封止させるステップとを有する、
気泡保持部に気泡を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−159835(P2006−159835A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358133(P2004−358133)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】