インクジェット記録ヘッド
【課題】記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくすることが可能なインクジェット記録ヘッドを提供すること。
【解決手段】ノズル列を挟んで形成されたインク供給口列のうち、共通液室の端部に近いインク供給口列のインク供給口同士の間の記録素子基板(記録素子基板)の部分(梁)の熱抵抗を小さくする。
【解決手段】ノズル列を挟んで形成されたインク供給口列のうち、共通液室の端部に近いインク供給口列のインク供給口同士の間の記録素子基板(記録素子基板)の部分(梁)の熱抵抗を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、インクジェット記録方式は高精細な画像を高速で記録することができるとともに、特別な処理を施していない記録媒体に対しても記録を行うことができることから広く普及している。このインクジェット記録方式を実現するインクジェット記録ヘッドには種々の吐出方式があり、インクを加熱発泡させたエネルギで吐出させる方式や圧電素子を利用した方式が代表的である。
【0003】
これらのインクジェット記録ヘッドにおいて、近年さらなる高画質および、記録の高速化の要求がある。そして、記録の高速化のための手段として、インクジェット記録ヘッドのノズル数を増加させることや吐出周波数の向上が従来から提案されている。
【0004】
インクジェット記録ヘッドの吐出周波数の上限を決めている要因の一つに、インクを吐出させた後にノズル内へインクが供給されてインクで満たされるまでの時間(以下、リフィル時間ともいう)が挙げられる。このリフィル時間が短くなるほど、より高い吐出周波数で記録を行うことが可能になる。
【0005】
図11は、従来の記録ヘッドの内部が分かるように示した部分的断面図である。従来のような、ノズル列に沿って開口した単一のインク供給口95から、ただ1つのインク流路97を通り圧力室96へインクが供給されるノズル構造の場合、そのインク流路部分の流抵抗によりリフィル時間が決まってくる。リフィル時間を短縮する技術として特許文献1には、圧力室に複数の流路を形成するよう流路壁を配置しインク流入経路を増やす技術が開示されている。
【0006】
また今日、高精細かつ高階調の高品位記録画像を得るためには、任意のノズルから吐出される吐出量の変化が少なく、かつヘッド内に複数存在するノズル間の吐出量のばらつきが小さいインクジェット記録ヘッドが求められている。しかしながらインクの発泡によって吐出するインクジェット記録ヘッドでは、吐出口近傍の温度によって、吐出されるインクの吐出量が変化する。特にノズル列内に局所的な温度分布があると、インクの吐出量に温度分布に対応したムラが生じ形成される画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる場合がある。このため、インクジェット記録装置では、マルチパス化や駆動パルス制御など装置本体側での改善が種々なされているが、インク吐出量の安定化は、インクジェット記録ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。
【0007】
特許文献2には、記録ヘッドの中央部に放熱フィンを設けて、記録ヘッドの端部付近の温度と中央部付近の温度とを略均一にすることで、記録ムラを低減することが開示されている。
【0008】
また、インクジェット記録ヘッドの温度分布上昇による画像劣化を抑えるために特許文献3では、記録ヘッド基板に熱伝導膜を導入し、この伝熱層をインクに放熱する放熱部に接続することで全体の温度上昇を下げる技術が開示されている。また、特許文献4では、記録ヘッドに供給されるインク流によって記録ヘッド基板自体を冷却する効果を得ようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−181021号公報
【特許文献2】特開平10−157116号公報
【特許文献3】特開2003−170597号公報
【特許文献4】特開2003−118124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のインクジェット記録ヘッドは図11に示すように、ノズル列に沿って単一のインク供給口が開口している。このような構成の場合、気泡生成時に圧力室96で発生する圧力は、インク流路97の方向に逃げることになり、発生した圧力を効率よくインクの吐出に用いることが出来ない場合がある。また、圧力がインク流路17の方向に逃げることから、吐出するインクの吐出方向が、所望の方向に対して曲がってしまうことがある。
【0011】
また従来の構成では、発熱抵抗体によって発生した熱は、基板を伝わりノズル列外側へと拡散し放熱される。これは、インク供給口を設けた部分は、断熱部となるため発熱抵抗体によって発生した熱はノズル列の外側にしか逃げられないからである。そのため熱が逃げにくい構成だった。発熱抵抗体同士の間隔を広くとることで、熱の逃げる経路を増やすことで、記録ヘッド基板の部分的な温度上昇を低減させることもできるが、その場合、記録ヘッド基板のサイズが大きくなることになる。
【0012】
よって本発明は、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくすることが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため本発明のインクジェット記録ヘッドは、基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、を備えるインクジェット記録ヘッドであって、前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のノズル列は、共通液室の端部側に位置する第1ノズル列と、共通液室の中央側に位置する第2ノズル列と、を含む。インク供給口は、ノズル列に沿って形成される、共通液室の端部側に位置する第1インク供給口列と、共通液室の中央側に位置する第2インク供給口列と、を含む。第1インク供給口列と第2インク供給口列との間に、第1ノズル列または第2ノズル列の一方が位置する。第1インク供給口列に含まれる互いに隣接するインク供給口の間に位置する基板の部分の熱抵抗は、第2インク供給口列に含まれる互いに隣接するインク供給口の間に位置する基板の部分の熱抵抗よりも小さくする。
【0015】
これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくすることが可能なインクジェット記録ヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態におけるインクジェット記録装置の機構部分の外観を示した図である。
【図2】本実施形態のインクジェット記録装置に用いられるヘッドカートリッジの外観を示した図である。
【図3】記録ヘッドの外観を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図5】図4のD−D‘における断面を示した図である。
【図6】第1の実施形態に対する比較例を示した図である。
【図7】第1の実施形態の変形例を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図9】第2の実施形態の変形例を示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図11】従来の記録ヘッドの内部が分かるように示した部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の機構部分の外観を示した図であり、図2は、このインクジェット記録装置に用いられるヘッドカートリッジの外観を示した図である。さらに図3は、その記録ヘッドの外観を示した図である。本実施形態におけるインクジェット記録装置のシャシー10は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材により構成され、このインクジェット記録装置の骨格をなす。シャシー10には、図示しないシート状の記録媒体をインクジェット記録装置の内部へと自動的に給送する媒体給送部11が設けられている。更にシャシー10には、媒体給送部11から給送される記録媒体を所望の記録位置へ導くと共に記録位置から媒体排出部12へ導く媒体搬送部13と、記録媒体に所定の記録動作を行う記録部と、記録部に対する回復処理を行うヘッド回復部14とが設けられている。
【0018】
記録部は、キャリッジ軸15に沿って走査移動可能に支持されたキャリッジ16と、このキャリッジ16にヘッドセットレバー17を介して着脱可能に搭載されるヘッドカートリッジ18とからなる。
【0019】
ヘッドカートリッジ18が搭載されるキャリッジ16には、インクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドともいう)19をキャリッジ16上の所定の装着位置に位置決めするためのキャリッジカバー20が設けられている。さらにキャリッジ16には、記録ヘッド19のタンクホルダ21と係合して記録ヘッド19を所定の装着位置に位置決めするように押圧するヘッドセットレバー17とが設けられている。本発明の着脱手段としてのヘッドセットレバー17は、キャリッジ16の上部に図示しないヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられている。また記録ヘッド19との係合部には、ばね付勢される図示しないヘッドセットプレートが設けられ、このヘッドセットプレートのばね力によって記録ヘッド19を押圧しながらキャリッジ16に装着するようになっている。
【0020】
記録ヘッド19に対するキャリッジ16の別の係合部には、コンタクトフレキシブル記録ケーブル(以下、コンタクトFPCともいう)22の一端部が連結されている。そして、このコンタクトFPC22の一端部に形成された図示しないコンタクト部と、記録ヘッド19に設けられた外部信号入力端子であるコンタクト部23とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッド19への電力の供給などを行う。
【0021】
コンタクトFPC22のコンタクト部とキャリッジ16との間には、図示しないゴム等の弾性部材が設けられている。そして、この弾性部材の弾性力とヘッドセットプレートによる押圧力とによって、コンタクトFPC22のコンタクト部と記録ヘッド19のコンタクト部23との確実な接触を可能にしている。コンタクトFPC22の他端部は、キャリッジ16の背面に搭載された図示しないキャリッジ基板に接続されている。
【0022】
本実施形態におけるヘッドカートリッジ18は、インクを貯留するインクタンク24と、このインクタンク24から供給されるインクを記録情報に応じて記録ヘッド19の吐出口から吐出させる前述の記録ヘッド19とを有する。本実施形態の記録ヘッド19は、キャリッジ16に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採用している。
【0023】
また、本実施形態では写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、例えば黒色,淡シアン色,淡マゼンタ色,シアン色,マゼンタ色および黄色の各色インクが独立した6個のインクタンク24を使用可能としている。各インクタンク24には、ヘッドカードリッジ18に対して係止し得る弾性変形可能な取り外し用レバー26が設けられ、この取り外し用レバー25を操作することにより、図3に示すように、記録ヘッド19に対してそれぞれ取り外し可能となっている。従って、取り外し用レバー26は、本発明の着脱手段の一部として機能するものである。記録ヘッド19は、後述する記録素子基板、電気配線基板28、前述のタンクホルダ21などから構成されている。記録素子基板は、電気配線基板28に設けられた四角穴25の部分で、電気配線基板28と接点を介して電気的に接続されている。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。本実施形態の記録ヘッド19では記録素子基板(以下、単に基板ともいう)7に複数の発熱抵抗体41とノズル49が設けられており、この発熱抵抗体41の発熱作用でインクを発泡させ、その発泡によって生じる圧力を利用してインクを吐出口から吐出させる。本実施形態において、発熱抵抗体は圧力室の内部に形成されており、ノズル49は吐出口から圧力室の領域を示すものである。
【0025】
図11で示したような従来の記録素子基板では、圧力室96に対してインク供給路97が片側1箇所にしか設けられていない。このことから、発泡時に生じる圧力がインク供給口97側に逃げることがあり、その影響でインクの吐出方向が記録素子基板の垂直方向に対して曲がって吐出することがあった。そこで本実施形態の記録素子基板7では、ノズル49に対して2箇所のインク流路と、ノズル49の両側に各々が独立したインク供給口を設けて、ノズル49の両側からインクを流入させる構成とした。この場合、発泡時の圧力の逃げはノズル49に対して対称になるため、インクを録素子基板7に対して垂直方向に吐出可能である。
【0026】
そして、本実施形態の記録素子基板7では、同色のインクについて、複数の発熱抵抗体41を有するノズル列が4列、複数のインク供給口からなるインク供給口列が、ノズル列を挟むように5列配置されている。インク供給口列A(第1インク供給口列)の互いに隣接するインク供給口42の間に位置する記録素子基板の部分(以下、このような部分を梁という)43は、ノズル駆動回路部44とノズル列A(第1ノズル列)との間に存在している。また同様にインク供給口列B(第2インク供給口列)の梁45は、ノズル列Aに対してノズル列群中央側で、ノズル列Aおよびノズル列B(第2ノズル列)の間にある。更にインク供給口列Cの梁46は、中央のインク供給口列Cにおけるインク供給口48同士の間に存在している。
【0027】
図5は、図4のD−D‘における断面を示した図である。記録素子基板7の一方の面に備えられた共通液室55からつながる各インク供給口間の梁部分の記録素子基板の厚さは同じであり、この厚さをTとする。つまり、各インク供給口の深さも厚さTと等しく、インクは共通液室から深さTのインク供給口を通って、記録素子基板の他方の面へと供給される。
【0028】
本実施形態では、各梁の熱抵抗の大きさが梁43<梁45≦梁46となるように、各インク供給口列の梁の(長さL)/(断面積W×T)の関係が、
(L43)/(W43×T)<(L45)/(W45×T)≦(L46)/(W46×T) ・・・(式1)
の関係を満たすように各インク供給口を配置した。
【0029】
発熱抵抗体41が発熱した熱は、梁を伝ってノズル列群の両サイドで基板の厚みが厚くなるノズル駆動回路部44の近傍から放熱される。つまり、記録素子基板7の裏面(図4紙面に対して裏側)に設けられた共通液室の両端部の記録素子基板を伝って熱が放熱される。この場合、インク供給口列Bにおける梁45はノズル列Bの放熱経路であるのに対して、インク供給口列Aにおける梁43は、ノズル列Aおよびノズル列Bの両方の放熱経路にあたるため、梁45より多量の熱流束が通ることになる。
【0030】
図6は、本実施形態に対する比較例を示した図であり、梁ごとの熱流束の差を考慮することなく、どの梁も比較的多量の熱流束を通すことが可能なようにインク供給口を設けた場合の記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。このように、どの梁50も比較的多量の熱流束を通すことが可能なようにインク供給口51を設けると効率良く放熱はされるが、各梁の幅を広くする必要があるため、インク供給口のインク供給口並ぶ方向の開口寸法が小さくなる。そのためインクの供給量を確保するために、インク供給口の配列方向と垂直な方向の寸法を大きくする必要が生じる。その結果、記録素子基板自体のサイズが大きくなってしまい好ましくない。
【0031】
そのため、本実施形態の梁43のように多量の熱流束が通る経路の熱抵抗を相対的に小さくすることによって、梁43での熱抵抗による温度上昇を抑えることが可能になる。その場合、梁43が形成されるインク供給口列Aの各々のインク供給口42は、所定の流量を確保するために相対的に大きくなるが、その他のインク供給口は相対的に小さくできる。つまり相対的に小量の熱流束が通る梁45を熱抵抗による昇温が問題にならない程度に狭くすることができるので、記録素子基板7の全体サイズを小さくし、さらに全体の温度上昇を防ぐことが可能となる。
【0032】
本実施形態においては、各ノズル列のノズルをそれぞれ600dpiで配置し、インク供給口は300dpiで配置している。また、各インク供給口の開口深さおよび各梁の厚みは100μm程度でノズル列群内でほぼ一定である。インク供給口42の開口面積は、インク供給性能を満たすような所定の面積以上(本実施形態では2800μm2以上)を必要とする。ここで式1を満たすようにインク供給口を配置すると、梁43の列ではインク供給口42のサイズは(長さ×幅)=70μm×40μmとなり梁の幅W43=44.5μmになる。また、梁45および梁46の列ではインク供給口47、48のサイズが54μm×52μmとなり梁の幅W45=幅W46=32.5μmとなる。
【0033】
以上のように、ノズル列を挟んで形成されたインク供給口列のうち、記録素子基板7の端部側(共通液室の端部側)のインク供給口列のインク供給口同士の間の記録素子基板記録素子基板の部分(梁)の熱抵抗を小さくする。これによって、放熱を効率的に行い記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録素子基板サイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを提供することができた。
【0034】
(変形例)
図7は、本実施形態の変形例を示した図である。図4では供給口列を5列設けた例を示し説明したが、図7ではコストダウンを重視して記録ヘッドのサイズをさらに小さくするためにインク供給口列を3列にしている。このような構成の場合、ノズル列Aの各ノズル49はインク供給路は1つしか備えていない。そのため、2つのインク流路を持ち、2箇所から流入するノズル(ノズル列Bの各ノズル)よりもノズル列Aの各ノズルの方がリフィル時間が長くなり記録ヘッド全体の記録スピードは低下する。
【0035】
しかし、本発明を用いて式1を満たすよう(ただしL46、W46の項は除く)梁43の熱抵抗が小さくなるようインク供給口を配置することで、記録ヘッド全体の温度上昇を抑えながら大幅に記録ヘッドのサイズを小さくすることができる。
【0036】
また、粒状性を向上させ高画質な記録を得るために、吐出量の少ない小さいノズルを設ける場合、ノズル列Aに吐出量の少ない小さいノズルを配置する。これは、一般的に吐出量が少なく小さいノズルでは、リフィルに必要なインクが少ないためにリフィル時間が短くなることから、1つのインク流路を持つノズル列Aのリフィル時間を短縮することで、記録ヘッド全体の記録スピードを低下させないためである。
【0037】
このように吐出量の少ない小さいノズルを設けた高画質が得られる記録素子基板においても、本発明を適用し記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0038】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドの基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、特徴的な構成についてのみ説明する。
【0039】
図8は、本発明の第2の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。本実施形態のインクジェット記録ヘッドにおけるノズル列は、記録時にほぼ中心線Oに対して対称に左右のノズルが駆動されることになる。特に発熱が大きくなる高濃度部の記録において、熱の拡散はノズル列の外側へと拡散すると考えればよい。この場合、梁70は熱の拡散経路には当たらず放熱効率にはほとんど影響を与えていない。そこで図7に示すように梁70の幅W70が更に細くなるよう中心線O上のインク供給口71のサイズを46μm×60μmとし幅W70=24.5μmとする。これによって、記録素子基板記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0040】
(変形例)
図9は、本実施形態の変形例を示した図である。中央のインク供給口80を梁を持たない連続した供給口にすることで供給性能を満たしながら記録素子基板サイズを小さくすることができる。放熱経路である梁43および梁45については第1の実施形態の式1を満たすように梁43の幅W43を太くする。これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドの基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、特徴的な構成についてのみ説明する。
【0042】
図10は、本発明の第3の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。近年、インクジェット記録ヘッドは記録速度の上昇、より高精彩、高画質の要求に答えるべく、同一記録ヘッド内に吐出量の異なる液滴を吐出できるノズルを配置していることが多い。本実施形態はこのような異なる吐出量を持つインクジェット記録ヘッドに本発明を適用した例である。図10において、ノズル列Aとノズル列Bの吐出量が異なる場合は、ノズル列群の両サイドで基板の厚みが厚くなる付近のノズル駆動回路部44に最も近いノズル列Aに、吐出量がより多いノズルを設けている。
【0043】
本実施形態においてはノズル列Aに吐出液滴量がおよそ5〜7plのノズルを配置し、ノズル列Bには吐出駅適量がおよそ1〜3plのノズルを配置している。ノズル列Aにおいて5pl以上の吐出量を吐出させる場合、発熱抵抗体90の面積はおよそ484μm2以上を必要とする。一方、ノズル列Bにおいて3pl以下の吐出量を吐出させるには、発熱抵抗体91の面積はおよそ324μm2以下となる。ノズル列が発する熱量はおおむね発熱抵抗体の面積に比例するため、ノズル列Bに対してノズル列Aの発熱量が大きくなる。よって、より発熱量の多いノズル列Aをノズル列群の両側に配置し、梁43の熱抵抗を小さくすることは熱の拡散に効果的である。また、ノズル列Bの発熱量は比較的小さくなるので梁45および梁46の熱抵抗を梁43ほど小さくしなくても熱の拡散が十分に起こる。これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【符号の説明】
【0044】
7 記録素子基板
43、45、46、50、70 梁
42、47、48、51 インク供給口
41、90、91 発熱抵抗体
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、インクジェット記録方式は高精細な画像を高速で記録することができるとともに、特別な処理を施していない記録媒体に対しても記録を行うことができることから広く普及している。このインクジェット記録方式を実現するインクジェット記録ヘッドには種々の吐出方式があり、インクを加熱発泡させたエネルギで吐出させる方式や圧電素子を利用した方式が代表的である。
【0003】
これらのインクジェット記録ヘッドにおいて、近年さらなる高画質および、記録の高速化の要求がある。そして、記録の高速化のための手段として、インクジェット記録ヘッドのノズル数を増加させることや吐出周波数の向上が従来から提案されている。
【0004】
インクジェット記録ヘッドの吐出周波数の上限を決めている要因の一つに、インクを吐出させた後にノズル内へインクが供給されてインクで満たされるまでの時間(以下、リフィル時間ともいう)が挙げられる。このリフィル時間が短くなるほど、より高い吐出周波数で記録を行うことが可能になる。
【0005】
図11は、従来の記録ヘッドの内部が分かるように示した部分的断面図である。従来のような、ノズル列に沿って開口した単一のインク供給口95から、ただ1つのインク流路97を通り圧力室96へインクが供給されるノズル構造の場合、そのインク流路部分の流抵抗によりリフィル時間が決まってくる。リフィル時間を短縮する技術として特許文献1には、圧力室に複数の流路を形成するよう流路壁を配置しインク流入経路を増やす技術が開示されている。
【0006】
また今日、高精細かつ高階調の高品位記録画像を得るためには、任意のノズルから吐出される吐出量の変化が少なく、かつヘッド内に複数存在するノズル間の吐出量のばらつきが小さいインクジェット記録ヘッドが求められている。しかしながらインクの発泡によって吐出するインクジェット記録ヘッドでは、吐出口近傍の温度によって、吐出されるインクの吐出量が変化する。特にノズル列内に局所的な温度分布があると、インクの吐出量に温度分布に対応したムラが生じ形成される画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる場合がある。このため、インクジェット記録装置では、マルチパス化や駆動パルス制御など装置本体側での改善が種々なされているが、インク吐出量の安定化は、インクジェット記録ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。
【0007】
特許文献2には、記録ヘッドの中央部に放熱フィンを設けて、記録ヘッドの端部付近の温度と中央部付近の温度とを略均一にすることで、記録ムラを低減することが開示されている。
【0008】
また、インクジェット記録ヘッドの温度分布上昇による画像劣化を抑えるために特許文献3では、記録ヘッド基板に熱伝導膜を導入し、この伝熱層をインクに放熱する放熱部に接続することで全体の温度上昇を下げる技術が開示されている。また、特許文献4では、記録ヘッドに供給されるインク流によって記録ヘッド基板自体を冷却する効果を得ようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−181021号公報
【特許文献2】特開平10−157116号公報
【特許文献3】特開2003−170597号公報
【特許文献4】特開2003−118124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のインクジェット記録ヘッドは図11に示すように、ノズル列に沿って単一のインク供給口が開口している。このような構成の場合、気泡生成時に圧力室96で発生する圧力は、インク流路97の方向に逃げることになり、発生した圧力を効率よくインクの吐出に用いることが出来ない場合がある。また、圧力がインク流路17の方向に逃げることから、吐出するインクの吐出方向が、所望の方向に対して曲がってしまうことがある。
【0011】
また従来の構成では、発熱抵抗体によって発生した熱は、基板を伝わりノズル列外側へと拡散し放熱される。これは、インク供給口を設けた部分は、断熱部となるため発熱抵抗体によって発生した熱はノズル列の外側にしか逃げられないからである。そのため熱が逃げにくい構成だった。発熱抵抗体同士の間隔を広くとることで、熱の逃げる経路を増やすことで、記録ヘッド基板の部分的な温度上昇を低減させることもできるが、その場合、記録ヘッド基板のサイズが大きくなることになる。
【0012】
よって本発明は、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくすることが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため本発明のインクジェット記録ヘッドは、基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、を備えるインクジェット記録ヘッドであって、前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のノズル列は、共通液室の端部側に位置する第1ノズル列と、共通液室の中央側に位置する第2ノズル列と、を含む。インク供給口は、ノズル列に沿って形成される、共通液室の端部側に位置する第1インク供給口列と、共通液室の中央側に位置する第2インク供給口列と、を含む。第1インク供給口列と第2インク供給口列との間に、第1ノズル列または第2ノズル列の一方が位置する。第1インク供給口列に含まれる互いに隣接するインク供給口の間に位置する基板の部分の熱抵抗は、第2インク供給口列に含まれる互いに隣接するインク供給口の間に位置する基板の部分の熱抵抗よりも小さくする。
【0015】
これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくすることが可能なインクジェット記録ヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態におけるインクジェット記録装置の機構部分の外観を示した図である。
【図2】本実施形態のインクジェット記録装置に用いられるヘッドカートリッジの外観を示した図である。
【図3】記録ヘッドの外観を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図5】図4のD−D‘における断面を示した図である。
【図6】第1の実施形態に対する比較例を示した図である。
【図7】第1の実施形態の変形例を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図9】第2の実施形態の変形例を示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の記録ヘッドにおけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。
【図11】従来の記録ヘッドの内部が分かるように示した部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の機構部分の外観を示した図であり、図2は、このインクジェット記録装置に用いられるヘッドカートリッジの外観を示した図である。さらに図3は、その記録ヘッドの外観を示した図である。本実施形態におけるインクジェット記録装置のシャシー10は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材により構成され、このインクジェット記録装置の骨格をなす。シャシー10には、図示しないシート状の記録媒体をインクジェット記録装置の内部へと自動的に給送する媒体給送部11が設けられている。更にシャシー10には、媒体給送部11から給送される記録媒体を所望の記録位置へ導くと共に記録位置から媒体排出部12へ導く媒体搬送部13と、記録媒体に所定の記録動作を行う記録部と、記録部に対する回復処理を行うヘッド回復部14とが設けられている。
【0018】
記録部は、キャリッジ軸15に沿って走査移動可能に支持されたキャリッジ16と、このキャリッジ16にヘッドセットレバー17を介して着脱可能に搭載されるヘッドカートリッジ18とからなる。
【0019】
ヘッドカートリッジ18が搭載されるキャリッジ16には、インクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドともいう)19をキャリッジ16上の所定の装着位置に位置決めするためのキャリッジカバー20が設けられている。さらにキャリッジ16には、記録ヘッド19のタンクホルダ21と係合して記録ヘッド19を所定の装着位置に位置決めするように押圧するヘッドセットレバー17とが設けられている。本発明の着脱手段としてのヘッドセットレバー17は、キャリッジ16の上部に図示しないヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられている。また記録ヘッド19との係合部には、ばね付勢される図示しないヘッドセットプレートが設けられ、このヘッドセットプレートのばね力によって記録ヘッド19を押圧しながらキャリッジ16に装着するようになっている。
【0020】
記録ヘッド19に対するキャリッジ16の別の係合部には、コンタクトフレキシブル記録ケーブル(以下、コンタクトFPCともいう)22の一端部が連結されている。そして、このコンタクトFPC22の一端部に形成された図示しないコンタクト部と、記録ヘッド19に設けられた外部信号入力端子であるコンタクト部23とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッド19への電力の供給などを行う。
【0021】
コンタクトFPC22のコンタクト部とキャリッジ16との間には、図示しないゴム等の弾性部材が設けられている。そして、この弾性部材の弾性力とヘッドセットプレートによる押圧力とによって、コンタクトFPC22のコンタクト部と記録ヘッド19のコンタクト部23との確実な接触を可能にしている。コンタクトFPC22の他端部は、キャリッジ16の背面に搭載された図示しないキャリッジ基板に接続されている。
【0022】
本実施形態におけるヘッドカートリッジ18は、インクを貯留するインクタンク24と、このインクタンク24から供給されるインクを記録情報に応じて記録ヘッド19の吐出口から吐出させる前述の記録ヘッド19とを有する。本実施形態の記録ヘッド19は、キャリッジ16に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採用している。
【0023】
また、本実施形態では写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、例えば黒色,淡シアン色,淡マゼンタ色,シアン色,マゼンタ色および黄色の各色インクが独立した6個のインクタンク24を使用可能としている。各インクタンク24には、ヘッドカードリッジ18に対して係止し得る弾性変形可能な取り外し用レバー26が設けられ、この取り外し用レバー25を操作することにより、図3に示すように、記録ヘッド19に対してそれぞれ取り外し可能となっている。従って、取り外し用レバー26は、本発明の着脱手段の一部として機能するものである。記録ヘッド19は、後述する記録素子基板、電気配線基板28、前述のタンクホルダ21などから構成されている。記録素子基板は、電気配線基板28に設けられた四角穴25の部分で、電気配線基板28と接点を介して電気的に接続されている。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。本実施形態の記録ヘッド19では記録素子基板(以下、単に基板ともいう)7に複数の発熱抵抗体41とノズル49が設けられており、この発熱抵抗体41の発熱作用でインクを発泡させ、その発泡によって生じる圧力を利用してインクを吐出口から吐出させる。本実施形態において、発熱抵抗体は圧力室の内部に形成されており、ノズル49は吐出口から圧力室の領域を示すものである。
【0025】
図11で示したような従来の記録素子基板では、圧力室96に対してインク供給路97が片側1箇所にしか設けられていない。このことから、発泡時に生じる圧力がインク供給口97側に逃げることがあり、その影響でインクの吐出方向が記録素子基板の垂直方向に対して曲がって吐出することがあった。そこで本実施形態の記録素子基板7では、ノズル49に対して2箇所のインク流路と、ノズル49の両側に各々が独立したインク供給口を設けて、ノズル49の両側からインクを流入させる構成とした。この場合、発泡時の圧力の逃げはノズル49に対して対称になるため、インクを録素子基板7に対して垂直方向に吐出可能である。
【0026】
そして、本実施形態の記録素子基板7では、同色のインクについて、複数の発熱抵抗体41を有するノズル列が4列、複数のインク供給口からなるインク供給口列が、ノズル列を挟むように5列配置されている。インク供給口列A(第1インク供給口列)の互いに隣接するインク供給口42の間に位置する記録素子基板の部分(以下、このような部分を梁という)43は、ノズル駆動回路部44とノズル列A(第1ノズル列)との間に存在している。また同様にインク供給口列B(第2インク供給口列)の梁45は、ノズル列Aに対してノズル列群中央側で、ノズル列Aおよびノズル列B(第2ノズル列)の間にある。更にインク供給口列Cの梁46は、中央のインク供給口列Cにおけるインク供給口48同士の間に存在している。
【0027】
図5は、図4のD−D‘における断面を示した図である。記録素子基板7の一方の面に備えられた共通液室55からつながる各インク供給口間の梁部分の記録素子基板の厚さは同じであり、この厚さをTとする。つまり、各インク供給口の深さも厚さTと等しく、インクは共通液室から深さTのインク供給口を通って、記録素子基板の他方の面へと供給される。
【0028】
本実施形態では、各梁の熱抵抗の大きさが梁43<梁45≦梁46となるように、各インク供給口列の梁の(長さL)/(断面積W×T)の関係が、
(L43)/(W43×T)<(L45)/(W45×T)≦(L46)/(W46×T) ・・・(式1)
の関係を満たすように各インク供給口を配置した。
【0029】
発熱抵抗体41が発熱した熱は、梁を伝ってノズル列群の両サイドで基板の厚みが厚くなるノズル駆動回路部44の近傍から放熱される。つまり、記録素子基板7の裏面(図4紙面に対して裏側)に設けられた共通液室の両端部の記録素子基板を伝って熱が放熱される。この場合、インク供給口列Bにおける梁45はノズル列Bの放熱経路であるのに対して、インク供給口列Aにおける梁43は、ノズル列Aおよびノズル列Bの両方の放熱経路にあたるため、梁45より多量の熱流束が通ることになる。
【0030】
図6は、本実施形態に対する比較例を示した図であり、梁ごとの熱流束の差を考慮することなく、どの梁も比較的多量の熱流束を通すことが可能なようにインク供給口を設けた場合の記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。このように、どの梁50も比較的多量の熱流束を通すことが可能なようにインク供給口51を設けると効率良く放熱はされるが、各梁の幅を広くする必要があるため、インク供給口のインク供給口並ぶ方向の開口寸法が小さくなる。そのためインクの供給量を確保するために、インク供給口の配列方向と垂直な方向の寸法を大きくする必要が生じる。その結果、記録素子基板自体のサイズが大きくなってしまい好ましくない。
【0031】
そのため、本実施形態の梁43のように多量の熱流束が通る経路の熱抵抗を相対的に小さくすることによって、梁43での熱抵抗による温度上昇を抑えることが可能になる。その場合、梁43が形成されるインク供給口列Aの各々のインク供給口42は、所定の流量を確保するために相対的に大きくなるが、その他のインク供給口は相対的に小さくできる。つまり相対的に小量の熱流束が通る梁45を熱抵抗による昇温が問題にならない程度に狭くすることができるので、記録素子基板7の全体サイズを小さくし、さらに全体の温度上昇を防ぐことが可能となる。
【0032】
本実施形態においては、各ノズル列のノズルをそれぞれ600dpiで配置し、インク供給口は300dpiで配置している。また、各インク供給口の開口深さおよび各梁の厚みは100μm程度でノズル列群内でほぼ一定である。インク供給口42の開口面積は、インク供給性能を満たすような所定の面積以上(本実施形態では2800μm2以上)を必要とする。ここで式1を満たすようにインク供給口を配置すると、梁43の列ではインク供給口42のサイズは(長さ×幅)=70μm×40μmとなり梁の幅W43=44.5μmになる。また、梁45および梁46の列ではインク供給口47、48のサイズが54μm×52μmとなり梁の幅W45=幅W46=32.5μmとなる。
【0033】
以上のように、ノズル列を挟んで形成されたインク供給口列のうち、記録素子基板7の端部側(共通液室の端部側)のインク供給口列のインク供給口同士の間の記録素子基板記録素子基板の部分(梁)の熱抵抗を小さくする。これによって、放熱を効率的に行い記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録素子基板サイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを提供することができた。
【0034】
(変形例)
図7は、本実施形態の変形例を示した図である。図4では供給口列を5列設けた例を示し説明したが、図7ではコストダウンを重視して記録ヘッドのサイズをさらに小さくするためにインク供給口列を3列にしている。このような構成の場合、ノズル列Aの各ノズル49はインク供給路は1つしか備えていない。そのため、2つのインク流路を持ち、2箇所から流入するノズル(ノズル列Bの各ノズル)よりもノズル列Aの各ノズルの方がリフィル時間が長くなり記録ヘッド全体の記録スピードは低下する。
【0035】
しかし、本発明を用いて式1を満たすよう(ただしL46、W46の項は除く)梁43の熱抵抗が小さくなるようインク供給口を配置することで、記録ヘッド全体の温度上昇を抑えながら大幅に記録ヘッドのサイズを小さくすることができる。
【0036】
また、粒状性を向上させ高画質な記録を得るために、吐出量の少ない小さいノズルを設ける場合、ノズル列Aに吐出量の少ない小さいノズルを配置する。これは、一般的に吐出量が少なく小さいノズルでは、リフィルに必要なインクが少ないためにリフィル時間が短くなることから、1つのインク流路を持つノズル列Aのリフィル時間を短縮することで、記録ヘッド全体の記録スピードを低下させないためである。
【0037】
このように吐出量の少ない小さいノズルを設けた高画質が得られる記録素子基板においても、本発明を適用し記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0038】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドの基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、特徴的な構成についてのみ説明する。
【0039】
図8は、本発明の第2の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。本実施形態のインクジェット記録ヘッドにおけるノズル列は、記録時にほぼ中心線Oに対して対称に左右のノズルが駆動されることになる。特に発熱が大きくなる高濃度部の記録において、熱の拡散はノズル列の外側へと拡散すると考えればよい。この場合、梁70は熱の拡散経路には当たらず放熱効率にはほとんど影響を与えていない。そこで図7に示すように梁70の幅W70が更に細くなるよう中心線O上のインク供給口71のサイズを46μm×60μmとし幅W70=24.5μmとする。これによって、記録素子基板記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0040】
(変形例)
図9は、本実施形態の変形例を示した図である。中央のインク供給口80を梁を持たない連続した供給口にすることで供給性能を満たしながら記録素子基板サイズを小さくすることができる。放熱経路である梁43および梁45については第1の実施形態の式1を満たすように梁43の幅W43を太くする。これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドの基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、特徴的な構成についてのみ説明する。
【0042】
図10は、本発明の第3の実施形態の記録ヘッド19におけるノズル列群を示した図で有り、記録素子基板の一部の領域を拡大して示した図である。近年、インクジェット記録ヘッドは記録速度の上昇、より高精彩、高画質の要求に答えるべく、同一記録ヘッド内に吐出量の異なる液滴を吐出できるノズルを配置していることが多い。本実施形態はこのような異なる吐出量を持つインクジェット記録ヘッドに本発明を適用した例である。図10において、ノズル列Aとノズル列Bの吐出量が異なる場合は、ノズル列群の両サイドで基板の厚みが厚くなる付近のノズル駆動回路部44に最も近いノズル列Aに、吐出量がより多いノズルを設けている。
【0043】
本実施形態においてはノズル列Aに吐出液滴量がおよそ5〜7plのノズルを配置し、ノズル列Bには吐出駅適量がおよそ1〜3plのノズルを配置している。ノズル列Aにおいて5pl以上の吐出量を吐出させる場合、発熱抵抗体90の面積はおよそ484μm2以上を必要とする。一方、ノズル列Bにおいて3pl以下の吐出量を吐出させるには、発熱抵抗体91の面積はおよそ324μm2以下となる。ノズル列が発する熱量はおおむね発熱抵抗体の面積に比例するため、ノズル列Bに対してノズル列Aの発熱量が大きくなる。よって、より発熱量の多いノズル列Aをノズル列群の両側に配置し、梁43の熱抵抗を小さくすることは熱の拡散に効果的である。また、ノズル列Bの発熱量は比較的小さくなるので梁45および梁46の熱抵抗を梁43ほど小さくしなくても熱の拡散が十分に起こる。これによって、記録素子基板全体の温度上昇を抑えながら記録ヘッドのサイズを小さくし、インクが垂直方向に吐出するインクジェット記録ヘッドを実現することができた。
【符号の説明】
【0044】
7 記録素子基板
43、45、46、50、70 梁
42、47、48、51 インク供給口
41、90、91 発熱抵抗体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
前記基板の一方の面側の前記第1の供給口列に含まれる供給口の、前記第1の方向に対する前記第2の方向の長さの比は、前記基板の一方の面側の前記第2の供給口列に含まれる供給口の、前記第1の方向に対する前記第2の方向の長さの比よりも大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
前記基板の一方の面側の前記第1の供給口列に含まれる供給口の形状は前記第2の方向に長手方向を有する長方形であり、前記基板の一方の面側の前記第2の供給口列に含まれる供給口の形状は前記第1の方向に長手方向を有する長方形である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項9】
前記基板の他方の面側には、前記第1の供給口列と第2の供給口列とに連通する共通液室が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項10】
前記素子列に含まれる素子の間には流路壁が形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項11】
前記第1の素子列に含まれる素子は、前記第1の供給口列に含まれる供給口と、前記第2の供給口列に含まれる供給口とに連通している、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項1】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記第1の供給口列に含まれる供給口間の間隔は、前記第2の供給口列に含まれる供給口間の間隔よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分における、前記基板に直交するとともに前記第1の方向に沿う方向に関する断面積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる複数の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる複数の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記供給口列と前記複数の素子列とは交互に配され、前記複数の供給口列は、前記第2の方向に関して、前記基板の端部側に配される第1の供給口列と、前記基板の中央部に配される第2の供給口列とを含み、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
基板の一方の面側に形成された、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が第1の方向に複数配列されてなる第1の素子列及び第2の素子列と、
前記基板の一方の面とその裏面の他方の面とを貫通する前記素子に液体を供給するための供給口が前記第1の方向に複数配列されてなる第1の供給口列及び第2の供給口列と、
を備えるインクジェット記録ヘッドであって、
前記第1の方向と交差する第2の方向に関して、前記基板の端部側から第1の供給口列、第1の素子列、第2の供給口列、第2の素子列の順に配されており、
前記基板の前記第1の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積は、前記基板の前記第2の供給口列に含まれる供給口間の部分の体積より大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
前記基板の一方の面側の前記第1の供給口列に含まれる供給口の、前記第1の方向に対する前記第2の方向の長さの比は、前記基板の一方の面側の前記第2の供給口列に含まれる供給口の、前記第1の方向に対する前記第2の方向の長さの比よりも大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
前記基板の一方の面側の前記第1の供給口列に含まれる供給口の形状は前記第2の方向に長手方向を有する長方形であり、前記基板の一方の面側の前記第2の供給口列に含まれる供給口の形状は前記第1の方向に長手方向を有する長方形である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項9】
前記基板の他方の面側には、前記第1の供給口列と第2の供給口列とに連通する共通液室が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項10】
前記素子列に含まれる素子の間には流路壁が形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項11】
前記第1の素子列に含まれる素子は、前記第1の供給口列に含まれる供給口と、前記第2の供給口列に含まれる供給口とに連通している、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−82234(P2013−82234A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23214(P2013−23214)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2009−26170(P2009−26170)の分割
【原出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2009−26170(P2009−26170)の分割
【原出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]