説明

インクジェット記録用インクの製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置

【課題】 pH値の変動が少なく長期保存後においても吐出安定性が高く、かつ印字画像の発色性と定着性が良好な画像を提供することのできるインクを提供すること。
【解決手段】 高分子分散剤と水不溶性色材と水溶性有機溶剤と界面活性剤と水とを含有するインクの製造方法において、(1)高分子分散剤と水不溶性色材と水を主とする色材分散液を調製する工程と(2)第一工程で調製した色材分散液と水と界面活性剤と水溶性有機溶剤とを混合してインク化を行う工程とを少なくとも有し、第一工程後から第二工程後の間に色材分散液またはインクを加熱し、pHを低下させる第三工程を設け、かつ第三工程の前または後に色材分散液またはインクをフィルター濾過する第四工程を少なくとも有し、かつ高分子分散剤が親水基としてカルボン酸基を有し、該カルボン酸基がリチウムで中和されていることを特徴とするインクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インク(以下単に「インク」という)の製造方法、インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。さらに詳しくは、pH値の変動が少なく長期保存後においても吐出安定性が高く、かつ印字画像の発色性と定着性が良好なインクの製造方法、インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷インクの色材として、耐水性や耐光性などの堅牢性に優れた顔料などの水不溶性色材が広く用いられている。近年、インクジェット記録用途においても、画像堅牢性の面から顔料を用いた水性インクをインクとして使用するようになってきている。顔料を水性インクの色材として用いるためには、水性媒体中に顔料を安定して分散させることが要求される。そのため、高分子分散剤や界面活性剤などの分散剤を添加して顔料を水性媒体中に均一に分散させた色材分散タイプの水性インクが使用されている。しかし、これら色材分散タイプのインクは保存しておくと、pH値などの物性が変化する、色材粒子が凝集してインクの濃度むらや沈降が発生するなど、長期保存安定性が悪いという問題がある。インクのpH値が低下すると、インクジェット記録装置のノズル先端部で目詰まりが発生するなど吐出安定性が低下する危険性がある。
【0003】
また、インクジェット記録に用いられるインクは、被記録材である紙への印字において、定着性が良好で滲みがないことなどが望まれている。しかし、顔料を用いたインクの場合では顔料が紙などの表面に残りやすく、特にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材では表面で顔料の凝集が発生しやすくなるため、耐擦過性が悪く発色性も低下しやすくなるという課題もある。
【0004】
上記問題点を解決するために、特許文献1や2では、色材分散液やインクを加熱処理することにより、良好な保存安定性を示すインクが提案されている。しかし、特許文献1では、分散安定性しか考慮されておらず、得られる画像の耐擦過性などは十分とは言えない。また、特許文献2では、顔料分散液やインクを、加熱処理を行なうインクの製造方法が提案されている。しかし、シリアル機のような回復処理のクリーニングを頻繁に行なう場合の吐出性しか考慮されておらず、長期にわたる連続吐出、高速印字などが要求され、回復処理の頻度が少ないラインヘッド機においては、ノズル周辺部へのインクの付着が多くなるという問題点があり、吐出安定性は満足いくレベルではない。
【特許文献1】特開2000−345093公報
【特許文献2】特開平8−73785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたもので、pH値の変動が少なく長期保存後においても吐出安定性が高く、かつ印字画像の発色性と定着性が良好な画像を提供することのできるインクを製造することであり、さらには吐出性能が良好で堅牢性と品位に優れた画像をいつでも安定して記録し得るインク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題点を解決すべく鋭意検討した結果、以下の本発明によって解決できることを見出した。すなわち、本発明は、高分子分散剤と水不溶性色材と水溶性有機溶剤と界面活性剤と水とを含有するインクの製造方法において、
(1)高分子分散剤と水不溶性色材と水を主とする色材分散液を調製する第一工程と
(2)第一工程で調製した色材分散液と水と界面活性剤と水溶性有機溶剤とを混合してインク化を行う第二工程
とを少なくとも有し、第一工程後から第二工程後の間に色材分散液またはインクを加熱し、pHを低下させる第三工程を設け、かつ第三工程の前または後に色材分散液またはインクをフィルター濾過する第四工程を少なくとも有し、かつ高分子分散剤が親水基としてカルボン酸基を有し、該カルボン酸基がリチウムで中和されていることを特徴とするインクの製造方法を提供する。
【0007】
上記本発明においては、上記第三工程が、上記第二工程の後に施されること、上記第三工程における加熱処理前のpH値が、8.5〜10.0の範囲であり、かつ上記第三工程における加熱処理後のpH値が8.3〜9.5の範囲であること、および上記第三工程の後にpH値が、8.5〜10.0の範囲になるように塩基性物質を添加する(この工程を第五工程とする)ことが好ましい。
【0008】
また、上記本発明においては、上記高分子分散剤が、酸価が50mg〜500mg−KOH/gの範囲であり、重量平均分子量が5,000〜20,000の範囲である高分子化合物であること、前記塩基性物質が、水酸化リチウムであること、上記第五工程の後に、さらに上記第三工程を行なうこと、pH値を8.5〜10.0の範囲とすること、および上記第二工程において添加する水溶性有機溶剤として、グリセリンがインク中の水不溶性色材に対して質量比で3.0倍〜6.0倍の範囲で含有されていることが好ましい。
【0009】
また、上記本発明においては、上記第二工程において添加する水溶性有機溶剤として、グリセリンがインク全質量に対して8.0〜12.0質量%の範囲で含有されていること、上記第二工程において添加する界面活性剤として、エチレンオキシドの平均付加重量65のポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類がインク中の水不溶性色材に対して質量比で0.02倍〜0.1倍の範囲で含有されていること、上記インクを密閉状態で60℃2ヶ月間保存した後のpH値が8.5〜10.0の範囲であること、および上記の水不溶性色材が顔料であることが好ましい。また、本発明は、前記本発明の製造方法で製造されたことを特徴とするインクを提供する。
【0010】
また、本発明は、インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行なうインクジェット記録方法において、該インクが、前記本発明のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。この記録方法では、エネルギーが、熱エネルギーであること、被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが前記本発明のインクであることを特徴とするインクカートリッジ、およびインクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが前記本発明のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明によれば、pH値の変動が少なく長期保存後においても吐出安定性が高く、かつ印字画像の発色性と定着性が良好な画像を提供することのできるインクを製造することが可能であり、さらには吐出性能が良好で堅牢性と品位に優れた画像をいつでも安定して記録し得るインク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明のインクの製造方法は、高分子分散剤と水不溶性色材と水溶性有機溶剤と界面活性剤と水とを含有するインクの製造方法において、
(1)高分子分散剤と水不溶性色材と水を主とする色材分散液を調製する工程(第一工程)と
(2)第一工程で調製した色材分散液と水と界面活性剤と水溶性有機溶剤とを混合してインク化を行う第二工程とを少なくとも有し、第一工程後から第二工程後の間に色材分散液またはインクを加熱し、pHを低下させる第三工程を設け、かつ第三工程の前または後に色材分散液またはインクをフィルター濾過する第四工程を少なくとも有し、かつ高分子分散剤が親水基としてカルボン酸基を有し、該カルボン酸基がリチウムで中和されていることで、pH値の変動が少なく保存安定性が良好で、長期にわたる連続印字においても吐出安定性を損なわず、かつ印字画像の発色性と定着性が良好な画像を提供することのできるインクを製造することができることを見出した。
【0014】
本発明においては、前記高分子分散剤に含まれるカルボン酸基はリチウムで中和される。リチウムで中和すると、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミンなどの他のアルカリで中和した場合と比較して、色材の良好な分散安定性、紙などの媒体への強固な付着性を問題ないレベルに維持しつつ、インクジェットプリンターのノズルの周辺への付着を少なくすることができ、長期にわたる連続印字においても良好な吐出安定性を示す。ノズル周辺への付着が減少する理由は明白になっていないが、対応するカルボン酸塩の解離性や、解離したカチオン、およびアニオンの溶媒和の性質に起因すると推察される。しかし、一般的な顔料インクにも見られるように、インクを長期保存、特に高温下で保存しておくと、インクのpH値が低下し、その結果、連続印字性が劣化するという問題点があった。
【0015】
一般的に、インクに用いられる顔料分散液は、顔料と高分子分散剤を攪拌混合し、顔料表面に高分子分散剤を吸着させて、顔料に分散性を付与している。顔料表面に存在する高分子分散剤は塩基性物質により中和されることで、高分子分散剤の親水基が水中でイオンとして解離し、安定に水媒体中に分散することができる。しかし、高分子分散剤の親水基として働く官能基の中には、顔料に吸着したままで中和されずに顔料表面に存在しているものがあり、このような吸着状態は不安定である。インクのpH値が低下する原因としては、これらの顔料に吸着している未中和の官能基が、徐々に水媒体側へ配向し、水媒体中の塩基性物質により中和され、インク中の塩基性物質が不足していくためであると考えられる。
【0016】
本発明のように、色材分散液またはインクを加熱処理すると、色材分散液中の高分子分散剤の熱運動が活発となり、高分子分散剤の分子鎖が広がることで、顔料に吸着している未中和のカルボン酸基は水媒体側へ向き、色材分散液は安定化される。加熱処理により色材分散液の安定化が促進されることで、インクを長期間保存しておいてもpH値の変動が少なく、インクのpHを連続印字性が良好な範囲に維持することができるため、保存した後にラインヘッド機で連続印字させても、インクがノズル周辺に付着することなく、保存する前と同等なレベルを維持し、優れた吐出安定性を示すことができる。
【0017】
さらにインクの状態で加熱処理することで、インク中の水溶性有機溶剤と色材分散液の高分子分散剤の親和性が良好になり、すなわち、インク中の水溶性有機溶剤が高分子分散剤の親水基と充分に溶媒和されるようになり、水溶性有機溶剤で安定化された色材分散液が形成されると考えられる。このような色材分散液の安定化はグリセリンのような水酸基を複数有する水溶性有機溶剤ではより強固に形成されるようになる。インクが被記録材表面に付着した際も、色材分散液が水溶性有機溶剤で安定化されているので、被記録材の表面pHなどの影響によるインクpH低下での色材分散液の凝集が起こりにくくなり、インクが被記録材表面に残ることなく均一に浸透することが可能になる。特にインク受容層を持つ被記録材の場合、従来の顔料インクでは表面で顔料の凝集が発生し耐擦過性と発色性が低下しやすいのに対し、本発明のインクは、インク受容層表面で凝集することなく受容層内部まで均一に浸透され耐擦過性と発色性が良好になる。
【0018】
本発明の製造方法を図1に示すフローチャートを参照して説明する。
第一工程においては、主として高分子分散剤と水不溶性色材と水とを混合して色材分散液を調製する。第二工程においては、上記色材分散液と水と水溶性有機溶剤と界面活性剤とを混合し、色材分散液のインク化を行なう。第二工程で色材分散液に添加する水溶性有機溶剤として、グリセリンがインク中の水不溶性色材に対して質量比で3.0倍〜6.0倍の範囲で含有されていることが好ましい。また、グリセリンがインク全質量に対して8.0〜12.0質量%の範囲で含有されていることが好ましい。
【0019】
また、グリセリン以外にも後記の水溶性有機溶剤や各種添加剤を加えてもよい。さらに界面活性剤としてポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類がインク中の水不溶性色材に対して質量比で0.02倍〜0.1倍の範囲で含有されていることが好ましい。これらインク各成分を混合する際には、濃度むらが生じないように添加するのが好ましく、添加させる溶液相を攪拌しながら添加する方法などが利用できる。
【0020】
第三工程においては、第一工程で調製した色材分散液または第二工程で作成したインクを加熱処理し、それらの液のpHを低下させる。加熱処理前のpH値としては、8.5〜10.0の範囲であることが好ましい。pH値がこの範囲でない場合は、塩基性物質などを添加してpH値の調整を行なってもよい。加熱処理後のpH値としては、8.3〜9.5の範囲であることが好ましい。pH値が8.3より小さいと、加熱処理に多くの時間を要する上に、インクの分散安定性が低下する危険性があり、pH値が9.5より大きいと加熱処理が不十分で、インクのpH値が安定領域に達していないことがある。加熱処理の温度としては、40℃〜90℃の範囲であることが好ましく、60℃〜80℃の範囲であることがより好ましい。
【0021】
また、第三工程の前または後にフィルター濾過を行なう第四工程を少なくとも有する。この第四工程は、インク中のゴミや粗大粒子などの固形物を除去する目的がある。フィルターとしては、有効径が10μm以下、好ましくは3μmのものを使用すると良い。フィルターの材質としては、種々のものが使用できるが、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。フィルター濾過の方法としては、加圧濾過、減圧濾過のいずれも利用できる。
【0022】
さらに第三工程の後に、インクのpH値が8.5〜10.0の範囲になるように塩基性物質を添加し、インクのpH調整を行なうこともできる(この工程を第五工程とする)。使用する塩基性物質としては、高分子分散剤の中和剤である水酸化リチウムがより好ましい。
【0023】
また、第四工程の後に、さらに第三工程を行うと、高温下の長期保存時におけるインクのpH値の低下をより低減することができるようになるのでより望ましい。この第四工程の後にさらに第三工程を行なう操作は複数回繰り返して行なうことも可能である。
【0024】
次いで、本発明のインクに使用する各種材料について説明する。
(高分子分散剤)
本発明のインクに使用する高分子分散剤は、少なくともカルボン酸基を有するモノマー単位を含んでいる。カルボン酸を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0025】
高分子分散剤の分子中に含まれるこれらのカルボン酸基含有モノマー単位の量としては、3〜60mol%、高分子分散剤の酸価としては、50〜500mg−KOH/gが好ましく、より好ましくは100〜250mg−KOH/gの範囲である。酸価が上記の範囲よりも少ないと水性媒質への高分子分散剤の溶解性が不足し、色材粒子の安定な分散ができなくなる。一方、高分子分散剤の酸性基含有モノマー単位が多く酸価が高すぎると、印字物の耐水性が劣化し、また、高分子分散剤の水溶性が高くなりすぎて高分子分散剤単独で水中に溶解してしまい、色材粒子の分散に寄与しなくなる場合もある。
【0026】
カルボン酸基を中和するためのリチウムの添加量はインクの用途に応じて調整すればよいが、カルボン酸基に対する当量で50〜100%、インクのpHとしては8.5〜10.0の範囲になるように添加するのが好ましい。水酸化リチウムの量がカルボン酸基の当量の50%未満では中和が不十分で、高分子分散剤に十分な水溶性を付与することが困難である。また、100%を超えるアルカリを添加すると、インクのpHがアルカリ側に偏りすぎて、インクの安全性の上でも好ましくない。また、リチウムの添加は、高分子分散剤を色材と混合する前でも、混合した後でもよいが、安定な分散状態を得やすいという意味で、混合してカプセル形成した後(高分子分散剤が色材粒子を包囲した後)が好ましい。上記高分子分散剤の重量平均分子量としては、5,000〜20,000が好ましく、10,000〜20,000がより好ましい。
【0027】
(水不溶性色材)
本発明の製造方法に使用する水不溶性色材としては、水に殆ど溶解しない色材であれば使用することができる。具体的には、水に対する溶解度が好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の色材である。このような色材としては、顔料が上記高分子分散剤と安定な水不溶性色材分散液を形成するためより好ましい。
【0028】
以下に、顔料の例を示すが、本発明で使用する色材はこれらに限定されるものではない。
Raven 760 Ultra、Raven 1060 Ultra、Raven 1080、Raven 1100 Ultra、Raven 1170、Raven 1200、Raven 1250、Raven 1255、Raven 1500、Raven 2000、Raven 2500 Ultra、Raven 3500、Raven 5250、Raven 5750、Raven 7000、Raven 5000 ULTRAII、Raven 1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);
【0029】
Black Pearls L、MOGUL-L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
【0030】
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex 35、Printex 45、Printex 55、Printex 85、Printex 95、Printex U、Printex 140U、Printex V、Printex 140V(以上、デグッサ社製);
【0031】
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製);
【0032】
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185;C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71;C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272;C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50;C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64;C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブラウン23、25、26など。
【0033】
また、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、シリカ、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素などの無機酸化物、窒化物、炭化物粒子、さらにはこれらに有機顔料を被覆した複合粒子なども適用できる。
【0034】
本発明のインクの製造方法においての水不溶性色材の含有量は、インク全質量に対して好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%の範囲である。水不溶性色材の量が0.1質量%未満では十分な画像濃度が得にくい場合があり、20質量%を超えると、ノズルにおける目詰りなどによる吐出安定性の低下が起こりやすくなる。また、本発明に用いられる水不溶性色材と高分子分散剤からなる色材分散液の平均粒子径は50nm〜200nmの範囲が好ましく、中でも70nm〜150nmの範囲が特に好ましい。ちなみに200nmより大きな粒子径の場合、分散安定性の低下およびこれらの色材を用いた場合の吐出安定性が不十分となる恐れがある。
【0035】
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクに使用する水溶性有機溶剤としては、水溶性の有機溶媒であれば使用することができ、2種以上の水溶性有機溶剤の混合溶媒としても使用できる。
【0036】
好ましい水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオールなどのトリオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコーリモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシキド、グリセリンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
【0037】
これらの中でも、沸点が120℃以上の水溶性有機溶剤を使用すると、ノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。これらの水溶性有機溶剤のインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
【0038】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族エーテル、ソルビタンエステル、アセチレングリコール、フッソ系界面活性剤などの一般的な界面活性剤を用いることも可能であるが、本発明で特に好ましく用いられる界面活性剤は、ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類である。これらの界面活性剤の添加量は、インク中の水不溶性色材に対して質量比で0.02倍〜0.1倍の範囲で含有されていることが好ましい。さらに本発明におけるポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類としてはエチレンオキシドの平均付加重量が65(平均付加数10)のものが特に好ましい。またHLBに付いては8〜18のもの、特に11〜15のものが好ましい。HLBが8未満では水性媒質への溶解安定性が低下する場合があり、18を超えると、親水性が高くなり、画像濃度が低下し、印字品位が悪くなる場合がある。
【0039】
以上が本発明のインクの必須成分であるが、これらの成分以外に、その他の界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種の添加剤を添加してもよい。
【0040】
本発明のインクジェット記録方法の特徴は、インクにエネルギーを与えてインクを飛翔させて行なうインクジェット記録方法において、上記本発明のインクを使用することである。エネルギーとしては、熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができるが、熱エネルギーを用いる場合が好ましい。
【0041】
本発明のインクジェット記録方法において、被記録材は限定されるものではないが、インクジェット専用紙、ハガキや名刺用紙、ラベル用紙、ダンボール用紙、インクジェット用フィルムなど、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が好ましく使用される。コーティング層を持つ被記録材としては、少なくとも親水性ポリマーおよび/または無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が望ましい。
【0042】
上記本発明のインクを用いて記録を行なうインクジェット記録装置としては、A4サイズ紙を主に用いる一般家庭用プリンターや、名刺やカードを印刷対象とするプリンター、或いは業務用の大型プリンターなどが挙げられるが、好適なインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。
【0043】
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
図2は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクを記録ヘッド(303〜306)に供給できる。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
【0044】
図3は、本実施例に使用したインクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。各ノズル202には、それぞれに対応した発熱体204(ヒータ)が設けられており、記録ヘッド駆動回路からヒータ204に所定の駆動パルスを印加することにより加熱し、気泡を発生させ、その作用で吐出口202からインク液滴を吐出する。なお、ヒータ204はシリコン基板206の上に半導体製造プロセスと同様の手法で形成される。203は各ノズル202を構成するノズル隔壁であり、205は各ノズル202にインクを供給するための共通液室であり、207は天板である。
【0045】
本実施形態による記録装置の一部透視図を図4に示す。記録装置300の被記録用紙302は例えばロール供給ユニット301から供給され、記録装置300本体に具備された搬送ユニットによって、連続的に搬送される。搬送ユニットは搬送モータ312、搬送ベルト313などから構成される。記録は、記録媒体の画像切り出し位置がブラックの記録ヘッド303の下を通過する時に、記録ヘッドからブラックインクを吐出開始、同様に、シアン304、マゼンタ305、イエロー306の順に、各色のインクを選択的に吐出してカラー画像を形成する。
【0046】
記録装置300はこの他、各記録ヘッドを待機中にキャップするキャップ機構311、各々の記録ヘッド303〜306にインクを供給するためのインクカートリッジ307〜310、インクの供給や回復動作のためのポンプユニット(不図示)、記録装置全体を制御する制御基板(不図示)などによって構成されている。
【0047】
図5は本実施例に使用したインクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。記録ヘッド303〜306が下降したとき、そのインク吐出口形成面がキャップ機構311内の塩素化ブチルゴムにより形成されたキャップ400に近接することにより所定の回復動作の実行が可能である。
【0048】
回復処理系におけるインク再生回路部は補給されるインクが貯留されポリエチレン袋に収容されるインクカートリッジ100と、吸引ポンプ403などを介して接続されるサブタンク401と、キャップ400とサブタンク401との間を接続する塩化ビニルにより形成されたインク供給路409に配されキャップ機構311からのインクをサブタンク401に回収する吸引ポンプ403、キャップから回収したインク中のゴミなどを除去するフィルター405、インク供給路408を介して接続され記録ヘッド303〜306の共通液室にインクを供給する加圧ポンプ402、記録ヘッドから戻ったインクをサブタンク401に供給するインク供給路407、弁404a〜404dを主要な要素として構成されている。
【0049】
記録ヘッド303〜306のクリーニング時において回復弁404bを閉鎖し加圧ポンプ402を作動することによりサブタンク401から記録ヘッドにインクを加圧供給し、ノズル406から強制排出させる。これにより記録ヘッドのノズル内の泡、インク、ゴミなどを排出する。吸引ポンプ403は、記録ヘッドからキャップ機構311内に排出されたインクをサブタンク401に回収する。
【0050】
(力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図6に示す。
【0051】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
【0052】
図6において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルムおよび高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行なうように動作する。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」および「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0054】
[実施例1]
(高分子分散剤Iの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸エチル220部、イソボルニルメタクリレート20部、カルビトールアクリレート40部、メタクリル酸120部の混合物、重合開始剤(和光純薬製ABN−E)24部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部、ABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤Iを作製した。得られた高分子分散剤Iの重量平均分子量は約15,000、酸価は250mg−KOH/gであった。
【0055】
(色材分散液Aの作製)
上記の方法で作製した高分子分散剤Iのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるピグメントイエロー128を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、中和剤として水酸化リチウムと所定量のイオン交換水を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度5%の色材分散液Aを得た。得られた色材分散液AのpH値は8.50であった。・・・第一工程
【0056】
(インク1の調製)
下記の表1のように、上記色材分散液A13.3部、グリセリン5.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル(エチレンオキシドの平均付加重量65、HLB=13.0、以下略)0.03部、ジエチレングリコール6.0部、トリエチレングリコール6.0部、イオン交換水69.6部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.56であった。・・・第二工程
【0057】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。加熱処理前のpH値を測定したところ、9.98であった。その後、3μmのフィルターで加圧濾過した。次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行ない、目的のインク1とした。インク1の加熱処理後のpH値を測定したところ、9.12であった。・・・第三、第四工程
【0058】
[実施例2]
(インク2の調製)
下記の表1のように、実施例1の色材分散液A13.3部、グリセリン12.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部、ジエチレングリコール4.0部、トリエチレングリコール4.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.0部、イオン交換水62.6部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.55であった。・・・第二工程
【0059】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。加熱処理前のpH値を測定したところ、9.52であった。
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に3日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値を測定したところ、9.00であった。・・・第三工程
その後、第三工程で得られたインクを3μmのフィルターで加圧濾過した。さらに得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌し、目的のインク2とした。pH値を測定したところ、9.96であった。・・・第四、第五工程
【0060】
[実施例3]
(色材分散液Bの作製)
実施例1で作製した高分子分散剤Iのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、中和剤として水酸化リチウムと所定量のイオン交換水を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度5%の色材分散液Bを得た。得られた色材分散液BのpH値は8.44であった。・・・第一工程
【0061】
(インク3の作製)
下記の表1のように、上記の色材分散液B20.0部、グリセリン9.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.3部、ジエチレングリコール5.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.0部、イオン交換水61.7部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.55であった。・・・第二工程
【0062】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。さらに3μmのフィルターで加圧濾過し、加熱処理前のpHを測定したところ、9.74であった。次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行なった。その後、3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク3とした。加熱処理後のpH値を測定したところ、8.92であった。・・・第三、第四工程
【0063】
[実施例4]
(高分子分散剤IIの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル220部、tert−オクチルメタクリレート20部、トリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート40部、メタクリル酸120部の混合物、重合開始剤(和光純薬製ABN−E)24部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部、ABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤IIを作製した。得られた高分子分散剤IIの重量平均分子量は約15,000、酸価は235mg−KOH/gであった。
【0064】
(色材分散液Cの作製)
上記の方法で作製した高分子分散剤IIのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、中和剤として水酸化リチウムと所定量のイオン交換水を加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度5%の色材分散液Cを得た。得られた色材分散液CのpH値は8.75であった。・・・第一工程
【0065】
(インク4の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液C40.0部、グリセリン12.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.08部、ジエチレングリコール2.0部、トリエチレングリコール2.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル2.0部、イオン交換水41.9部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.79であった。・・・第二工程
【0066】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。さらに3μmのフィルターで加圧濾過し、加熱処理前のpH値を測定したところ、9.02であった。
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に4日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値を測定したところ、8.40であった。・・・第三、第四工程
さらに得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌し、加熱処理前のpH値を測定したところ、9.05であった。・・・第五工程
第五工程で得られたインクをさらに密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値は、8.36であった。・・・第三工程
さらに第三工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌し、目的のインク4とした。pH値を測定したところ、9.02であった。・・・第五工程
【0067】
[実施例5]
(色材分散液Dの作製)
実施例4で作製した高分子分散剤IIのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるピグメントレッド122を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、中和剤として水酸化リチウムと所定量のイオン交換水を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度5%の色材分散液Dを得た。得られた色材分散液DのpH値は8.74であった。・・・第一工程
【0068】
(インク5の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液D16.7部、グリセリン12.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.15部、トリエチレングリコール3.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル3.0部、イオン交換水65.2部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクの加熱処理前のpH値は8.80であった。・・・第二工程
【0069】
その後、第二工程で得られたインクを3μmのフィルターで加圧濾過した。
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に3日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値は、8.31であった。・・・第三、第四工程
さらに得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌した。pH値を測定したところ、9.88であった。その後、3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク5とした。・・・第四、第五工程
【0070】
[実施例6]
(高分子分散剤IIIの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル192部、tert−オクチルメタクリレート20部、トリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート28部、メタクリル酸160部の混合物、重合開始剤(和光純薬製ABN−E)24部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部、ABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤IIIを作製した。得られた高分子分散剤IIIの重量平均分子量は約12,000、酸価は300mg−KOH/gであった。
【0071】
(色材分散液Eの作製)
上記の方法で作製した高分子分散剤IIIのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、中和剤として水酸化リチウムと所定量のイオン交換水を加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度5%の色材分散液Eを得た。得られた色材分散液EのpH値は9.02であった。・・・第一工程
【0072】
(インク6の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液E20.0部、グリセリン8.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部、ジエチレングリコール4.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5.0部、イオン交換水62.9部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクの加熱処理前のpH値は9.23であった。・・・第二工程
【0073】
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値を測定したところ、8.51であった。・・・第三工程
その後、第三工程で得られたインクを3μmのフィルターで加圧濾過した。さらに得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌し、目的のインク6とした。pH値を測定したところ、9.02であった。・・・第四、第五工程
【0074】
[実施例7]
(インク7の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液E20.0部、グリセリン10.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部、ジエチレングリコール6.0部、トリエチレングリコール2.0部、イオン交換水61.9部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は9.20であった。・・・第二工程
【0075】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。さらに3μmのフィルターで加圧濾過し、加熱処理前のpH値を測定したところ、9.65であった。
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値を測定したところ、8.85であった。・・・第三、第四工程
さらに得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーで攪拌し、目的のインク7とした。pH値を測定したところ、9.31であった。・・・第五工程
【0076】
[比較例1]
(インク8の作製)
下記の表1のように、実施例1の色材分散液A13.3部、グリセリン12.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部、ジエチレングリコール4.0部、トリエチレングリコール4.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.0部、イオン交換水62.6部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.52であった。・・・第二工程
その後、第二工程で得られたインクを加熱処理を施さずに3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク8とした。
【0077】
[比較例2]
(色材分散液Fの作製)
高分子分散剤の中和剤として、実施例3で使用した水酸化リチウムに換わり、水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例3と同様にして色材分散液Fを得た。得られた色材分散液FのpH値は8.43であった。
【0078】
(インク9の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液F20.0部、グリセリン6.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.3部、ジエチレングリコール5.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.0部、イオン交換水64.7部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.46であった。・・・第二工程
さらに第二工程で得られたインクに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH値を8.80に調整し、マグネチックスターラーでよく攪拌した。その後、得られたインクを加熱処理を施さずに3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク9とした。
【0079】
[比較例3]
(色材分散液Gの作製)
高分子分散剤の中和剤として、実施例6で使用した水酸化リチウムに換わり、水酸化カリウムを使用した以外は実施例6と同様にして色材分散液Gを得た。得られた色材分散液GのpH値は9.20であった。・・・第一工程
【0080】
(インク10の作製)
下記の表1のように、上記色材分散液G20.0部、グリセリン8.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部、ジエチレングリコール4.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5.0部、イオン交換水62.9部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は9.25であった。・・・第二工程
その後、加熱処理を施さずに3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク10とした。
【0081】
[比較例4]
(インク11の調製)
比較例3で使用したインク10を密閉状態で70℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行った。加熱処理前と加熱処理後のpH値をそれぞれ測定したところ、9.25と8.35であった。その後、3μmのフィルターで加圧濾過しインク11とした。
【0082】
[参考例1]
(高分子分散剤IVの合成)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液に、メタクリル酸メチル270部、イソボルニルメタクリレート85部、カルビトールアクリレート90部、メタクリル酸23部の混合物、重合開始剤(和光純薬製ABN−E)24部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部、ABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤IVを作製した。得られた高分子分散剤IVの重量平均分子量は約21,500、酸価は46mg−KOH/gであった。
【0083】
(色材分散液Hの作成)
実施例3と同様にして、高分子分散剤の中和剤として水酸化リチウムを使用し、色材分散液Hを得た。得られた色材分散液HのpH値は8.55であった。・・・工程(1)
【0084】
(インク12の調整)
上記の色材分散液H20.0部、グリセリン9.0部、ポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.3部、ジエチレングリコール5.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.0部、イオン交換水61.7部を混合し、マグネチックスターラーでよく攪拌し、インク化を行なった。得られたインクのpH値は8.65であった。・・・第二工程
【0085】
第二工程で得られたインクに水酸化リチウム水溶液を添加し、マグネチックスターラーでよく攪拌しながらpH調整を行なった。加熱処理前のpH値を測定したところ、9.58であった。
次いで、得られたインクを密閉状態で80℃の恒温槽に5日間静置し、加熱処理を行なった。加熱処理後のpH値を測定したところ、8.55であった。・・・第三工程
その後、第三工程で得られたインクを3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク12とした。
【0086】
[比較例5]
(インク13の調整)
上記インク8においてポリオキシエチレン(10)アセチレニックグリコールエーテル0.1部をイオン交換水に置き換えた以外はインク8と同様に調整した。得られたインクは加熱処理を施さずpH値を測定したところ8.52であった。・・・第二工程
その後第二工程で得られたインクを3μmのフィルターで加圧濾過し、目的のインク13とした。
【0087】

【0088】
(評価)
実施例1〜7のインクと比較例1〜5および参考例1のインクの分散安定性、これらのインクによる吐出安定性および耐擦過性についての試験を行った。なお、吐出安定性および耐擦過性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。結果、表1に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を有し、印字画像は良好な耐擦過性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の発色性は良好な結果であった。
【0089】

【0090】
*1:保存安定性
各インクを密閉状態で60℃2か月保存し、保存後のpH値を測定した。
*2:分散安定性
各インクを密閉状態で80℃2週間保存した後、さらに開放状態で100℃4時間、熱安定性試験を行い、試験前後の粒子径を測定し、式(a)で粒子径増加率(%)を求め分散安定性の尺度とした。粒子径の測定には動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPARIII;大塚電子(株)社製)を用いた。評価基準は下記の通りとした。

○:粒子径増加率(%)が10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
【0091】
*3:吐出特性
各インクを60℃で2ヶ月間保管した後、ハガキサイズのグラデーションパターンを500枚連続印字し、500枚目の画像のヨレ、不吐の吐出特性を下記の基準で評価した。
◎:ヨレ、不吐が無く、正常に印字されている。
○:不吐は発生していないが、一部にヨレが見られる。
△:不吐が一部発生し、画像全体にヨレが見られる。
×:不吐が多く発生し、画像全体にヨレが見られる。
【0092】
*4:耐擦過性
各インクをP−660CIIで印字した後、印字直後から一定時間毎に印字部分をシルボン紙で擦り、印字画像の汚れを下記の基準で評価した。
◎:印字30秒後の印字画像の汚れが見られない。
○:印字30秒後の印字画像の汚れが見られるが、印字1分間後の印字画像の汚れが見られない。
△:印字1分後の印字画像の汚れが見られるが、印字1時間後の印字画像の汚れが見られない。
×:印字1時間後の印字画像の汚れが見られる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、pH値の変動が少なく長期保存後においても吐出安定性が高く、かつ印字画像の発色性と定着性が良好な画像を提供することのできるインクを製造でき、さらには吐出性能が良好で堅牢性と品位に優れた画像をいつでも安定して記録し得るインク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】インクの製造方法のフローチャート図である。
【図2】インクカートリッジの構造を説明するための模式図である。
【図3】インクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。
【図4】インクジェット記録装置の透視図である。
【図5】インクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。
【図6】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0095】
100:インクカートリッジ
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204:ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録媒体(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子分散剤と水不溶性色材と水溶性有機溶剤と界面活性剤と水とを含有するインクジェット記録用インクの製造方法において、
(1)高分子分散剤と水不溶性色材と水を主とする色材分散液を調製する第一工程と
(2)第一工程で調製した色材分散液と水と界面活性剤と水溶性有機溶剤とを混合してインク化を行う第二工程
とを少なくとも有し、第一工程後から第二工程後の間に色材分散液またはインクを加熱し、pHを低下させる第三工程を設け、かつ第三工程の前または後に色材分散液またはインクをフィルター濾過する第四工程を少なくとも有し、かつ高分子分散剤が親水基としてカルボン酸基を有し、該カルボン酸基がリチウムで中和されていることを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項2】
上記第三工程が、上記第二工程の後に施される請求項1に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項3】
上記第三工程における加熱処理前のpH値が、8.5〜10.0の範囲であり、かつ上記第三工程における加熱処理後のpH値が、8.3〜9.5の範囲である請求項1または2に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項4】
上記第三工程の後にpH値が8.5〜10.0の範囲になるように塩基性物質を添加する(この工程を第五工程とする)請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項5】
上記高分子分散剤が、酸価が50mg〜500mg−KOH/gの範囲であり、重量平均分子量が5,000〜20,000の範囲である高分子化合物である請求項1に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項6】
上記塩基性物質が、水酸化リチウムである請求項4に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項7】
上記第五工程の後に、さらに上記第三工程を行なう請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項8】
pH値を8.5〜10.0の範囲とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項9】
上記第二工程において添加する水溶性有機溶剤として、グリセリンがインク中の水不溶性色材に対して質量比で3.0倍〜6.0倍の範囲で含有されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項10】
上記第二工程において添加する水溶性有機溶剤として、グリセリンがインク全質量に対して8.0〜12.0質量%の範囲で含有されている請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項11】
上記第二工程において添加する界面活性剤として、エチレンオキシドの平均付加重量65のポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類がインク中の水不溶性色材に対して質量比で0.02倍〜0.1倍の範囲で含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項12】
上記インクジェット記録用インクを密閉状態で60℃2ヶ月間保存した後のpH値が8.5〜10.0の範囲である請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項13】
上記の水不溶性色材が顔料である請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするインクジェット記録用インク。
【請求項15】
インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行なうインクジェット記録方法において、該インクが、請求項14に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項16】
エネルギーが、熱エネルギーである請求項15に記載のインクジェット記録方法。
【請求項17】
被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材である請求項15または16に記載のインクジェット記録方法。
【請求項18】
インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが請求項14に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項19】
インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが請求項14に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−143904(P2006−143904A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336684(P2004−336684)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】