説明

インクジェット記録用水系インク

【課題】光沢性と保存安定性に優れたインクジェット記録用水系インク、及びそのインクに用いられる水分散体を提供する。
【解決手段】着色剤、ポリマー粒子、及び2種の水不溶性有機化合物を含有するインクジェット記録用水分散体であって、水不溶性有機化合物(A)のLogP値が4〜9であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が6〜18であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が水不溶性有機化合物(A)のLogP値より大であり、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)とのLogP値の差の絶対値(ΔLogP値)が1以上であるインクジェット記録用水分散体、及びその水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水系インク、及びそのインクに用いられる水分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
その中でも、印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている。(例えば、特許文献1〜3参照)
特許文献1には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクが開示されている。
特許文献2には、カラーブリーディングを抑制するために、水不溶性樹脂を溶解してなる油膜形成成分が含まれている水性インクが開示されているが、溶解させるために水不溶性樹脂の含有量が少く、十分な機能が発揮されていない。
特許文献3には、光沢性を有する画像を形成するために、フタル酸ジエステル10〜1000ppmとラッテクスを含有するインクが開示されているが、フタル酸ジエステルの含有量が少なく、十分な機能が発揮されていない。
特許文献4には、ウレタン粒子に疎水性色素と疎水性ポリマーと高沸点有機溶媒とを含むマイクロカプセル含有着色微粒子分散物が開示されている。
特許文献5には、顔料インク中の脂肪酸誘導体の総含有量が1.0質量%以下であり、該顔料粒子が水不溶性ポリマーで被覆されているインクジェット用顔料インクが開示されている。
しかしながら、上記のインクは、光沢性と保存安定性において満足できるものではない。
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/39226号パンフレット
【特許文献2】特開平8−157761号公報
【特許文献3】特開2003−183554号公報
【特許文献4】特開2004−75759号公報
【特許文献5】特開2003−147236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光沢性と保存安定性に優れた水系インク、該インクに用いられるインクジェット記録用水分散体、及びそのインクを用いて印字した印字物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)着色剤、ポリマー粒子、及び2種の水不溶性有機化合物を含有するインクジェット記録用水分散体であって、水不溶性有機化合物(A)のLogP値が4〜9であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が6〜18であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が水不溶性有機化合物(A)のLogP値より大であり、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)とのLogP値の差の絶対値(ΔLogP値)が1以上である、インクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
【発明の効果】
【0006】
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクは、保存安定性に優れると共に、専用紙に印字した際に、光沢性の優れた印字物を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のインクジェット記録用水分散体、及び水系インクは、LogP値が4〜9である水不溶性有機化合物(A)とLogP値が6〜18である水不溶性有機化合物(B)との2種を含有することが特徴である。以下、詳細に説明する。
【0008】
(水不溶性有機化合物)
本発明で用いられる水不溶性有機化合物は、少なくともその一部がポリマー粒子に含有されてその柔軟性を改良すると考えられる。水不溶性有機化合物がポリマー粒子の柔軟性を改良することで、インクジェット記録装置のノズルから吐出されたポリマー粒子同士の融着性が高まり、ポリマー粒子が記録紙上に均一に拡散して、印字面が平滑になることにより、印字物の光沢性が向上すると考えられる。なお、本明細書中、水不溶性有機化合物とは、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との両方を意味する。
【0009】
水不溶性有機化合物は、水系インクの光沢性の向上の観点から、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。
水100gに対する水不溶性有機化合物の溶解量(20℃)は、好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下、更に好ましくは1g以下、特に好ましくは0.5g以下である。
水不溶性有機化合物(A)は、主に、印字物の光沢性を向上させる観点から、LogP値の下限が4以上であり、好ましくは4.5以上、更に好ましくは5以上、特に好ましくは5.5以上であり、LogP値の上限が9以下であり、好ましくは8.5以下、更に好ましくは8以下、特に好ましくは7.5以下である。これらの観点から、水不溶性有機化合物(A)のLogP値は4〜9であり、好ましくは4.5〜8.5、更に好ましくは5〜8、特に好ましくは5.5〜7.5である。
【0010】
水不溶性有機化合物(B)は、印字物の光沢度を向上させると共に、主に、LogP値の低い水不溶性有機化合物を安定して配合する観点から、LogP値の下限が6以上であり、好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは8.5以上であり、LogP値の上限が18以下であり、好ましくは17以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは15以下、特に好ましくは11以下、最も好ましくは10.5以下である。これらの観点から、水不溶性有機化合物(B)のLogP値は6〜18であり、好ましくは6〜17、より好ましくは6〜16、より好ましくは6〜15、より好ましくは6〜11、より好ましくは7〜11、更に好ましくは8〜10.5、特に好ましくは8.5〜10.5である。
水不溶性有機化合物(B)のLogP値は水不溶性有機化合物(A)のLogP値より大であり、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)とのLogP値の差の絶対値(ΔLogP値)は、印字物の光沢性と共に、保存安定性を向上させる観点から、1.0以上であり、好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上であり、その上限は好ましくは10以下、更に好ましくは9以下、特に好ましくは6以下、最も好ましくは5以下である。前記観点から、ΔLogP値は、好ましくは1.0〜10であり、より好ましくは1.0〜9であり、更に好ましくは1.0〜6、特に好ましくは1.5〜6、最も好ましくは2〜5である。
【0011】
本発明の水分散体中、及び水系インク中、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との重量比〔(A)/(B)〕は、印字物の光沢性と共に、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/7〜7/1、更に好ましくは1/5〜5/1、特に好ましくは1/3〜5/1、最も好ましくは1/2〜5/1である。
また、水不溶性有機化合物(A)とポリマー粒子との相互作用による光沢性を向上させる観点から、[水不溶性有機化合物(A)のLogP値]と[ポリマーのLogP値]との差の絶対値は、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である、0であってもよい。
【0012】
ここで「LogP値」とは、水不溶性有機化合物の1−オクタノール/水の分配係数の対数値を意味し、KowWin(Syracuse Research Corporation,USA)のSRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値を用いる(The KowWin Program methodology is described in the following journal article: Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92.)。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している。LogP値は、一般に有機化合物の親疎水性の相対的評価に用いられる数値である。ポリマーのLogP値は、後述する計算方法により求めることができる。
【0013】
水不溶性有機化合物は、ポリマー粒子に含有させ易くするため、エステル化合物、エーテル化合物、又はスルホン酸アミド化合物であることが好ましく、分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物(f)、及び/又は、分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物(g)がより好ましい。前記(f)化合物のエステル又はエーテル結合は、2〜3個が好ましい。前記(g)化合物のエステル又はエーテル結合は、1〜3個が好ましい。官能基数は、1〜3個が好ましい。なお、リン酸残基とは、リン酸の一部がエステル化又はエーテル化された残りのリン酸基のことをいう。
これらの中では、1価カルボン酸又はその塩と多価アルコールから得られるエステル、多価酸(多価カルボン酸、リン酸)又はその塩と1価アルコールから得られるエステル、又は多価アルコールのエーテル化合物が好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0014】
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)が挙げられる。多価酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸、フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
1価アルコールとしては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール(例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール)、炭素数6〜12の芳香族アルコール(例えば、フェノール)が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の炭素数2〜12の多価アルコールが挙げられる。脂肪酸やアルコールとしては飽和又は不飽和のいずれのものも使用できる。
【0015】
水不溶性有機化合物の具体例としては、(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル、(4)リン酸エステル、(5)オキシ酸エステル、(6)グリコールエステル、(7)エポキシ系エステル、(8)スルホンアミド、(9)ポリエステル、(10)グリセリルアルキルエーテル、(11)グリセリルアルキルエステル、(12)グリコールアルキルエーテル、(13)グリコールアルキルエステル、(14)トリメチロールプロパンのエーテル又はエステル、(15)ペンタエリスリトールのエーテル又はエステル等が挙げられる。
これらの中では、光沢性向上の観点から、前記(1)〜(5)、(8)及び(10)の化合物が好ましく、(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル及び(4)リン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0016】
(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、及び(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルは、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜22の炭化水素基を示す。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。R3は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。R1〜R3は置換基を有していてもよい。AOはアルカンジイルオキシ基を示し、m及びnは、平均付加モル数を意味し、それぞれ独立に0〜30の数である。)
【0019】
1及びR2は、印字物の光沢性を向上させる観点から、好ましくは炭素数2〜18、更に好ましくは炭素数4〜12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、炭素数7〜23、好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基、あるいは炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜10のアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。以下の式においても同様である。
3は、2価の脂肪族炭化水素基、環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基が好ましく、好ましくは炭素数2〜15、更に好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルカンジイル基(アルキレン基)又はアルケニレン基あるいは、炭素数6〜10のアリーレン基、更に好ましくはフェニレン基、炭素数3〜8の環式飽和又は不飽和炭化水素基である。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ヘプタメチレン基、ヘキサメチレン基、ペンタン−1,5−ジイル基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、フェニレン基等が挙げられる。以下の式においても同様である。
m及びnは、それぞれ独立に、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜15、更に好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜14、最も好ましくは2〜12である。
【0020】
AOは、エチレンオキシ基(EO)、プロピレンオキシ基(トリメチレンオキシ基又はプロパン−1,2−ジイルオキシ基)(PO)、又はブチレンオキシ基(テトラメチレンオキシ基等)(BO)等の炭素数2〜4のアルカンジイルオキシ基(アルキレンオキシ基)であり、nが2以上の場合はAOは同一でも異なっていてもよく、異なる場合はAOはブロック付加していても、ランダム付加していてもよい。
1〜R3に結合しうる置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、アセチル、ベンゾイル基等のアシル基、アセチルオキシ基等のアシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、オキソ基、エポキシ基、エーテル基、エステル基等が例示できる。これら置換基は1つであっても2つ以上を組み合わせてもよい。
3が有していてもよい置換基としては、−CO(O)−(AO)L−R1(式中、AOは前記と同じであり、Lは前記のmと同じ意味であり、好ましい範囲も同じである。)が好ましい。この場合、R3は、芳香族炭化水素基であることが特に好ましい。
【0021】
(1)脂肪族ジカルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等の脂肪族二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ビス(オクトキシポリエチレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EOの平均付加モル数n=4〜8)、ビス(オクトキシポリプロピレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、POの平均付加モル数n=4〜8)、ビス(オクトキシポリエチレングリコール・ポロプロピレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの平均付加モル数n=4〜12、ブロック付加)、ビス[オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)]アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの平均付加モル数n=4〜12、ランダム付加)、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジイソブチルセバケート等の炭素数6〜14の脂肪族二塩基酸のジエステルが特に好ましい。
【0022】
(2)芳香族ジ又はトリカルボン酸エステルは、下記式(2−1)又は(2−2)で表される化合物が更に好ましい。
【0023】
【化2】

【0024】
(式(2−1)及び(2−2)中、R1、AO、nは、前記と同じ意味である。ただし、化合物中に存在する複数のR1、AO、nは、同じでも異なっていてもよい。)
式(2−1)、(2−2)における、R1、AO、nの好ましい範囲は、前記と同じである。
【0025】
(2)芳香族ジ又はトリカルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、ビス(ジメチルシクロヘキシル)フタレート、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)フタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル、各種ポリアルキレングリコールとフタル酸とのエステル、ジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル、各種ポリアルキレングリコールとトリメリット酸とのエステル等が挙げられる。
【0026】
これらの中でも、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ビス(オクトキシポリエチレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EOの平均付加モル数n=4〜8)、ビス(オクトキシポリプロピレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、POの平均付加モル数n=4〜8)、ビス(オクトキシポリエチレングリコール・ポロプロピレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの平均付加モル数n=4〜12、ブロック付加)、ビス[オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)]フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの平均付加モル数n=4〜12、ランダム付加)等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステル、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート等の炭素数3〜18のアルキル基を有するベンジルフタレート、及びジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート等の炭素数3〜5の脂肪族アルコール残基を有するトリメリット酸ジエステル、ラウロキシポリエチレングリコール(R1はラウリル基、EOの平均付加モル数=2〜20、好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜8)とトリメリット酸とのトリエステル、ラウロキシポリプロピレングリコール(R1はラウリル基、POの平均付加モル数=2〜20、好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜8)とトリメリット酸とのトリエステル、ラウロキシポリエチレングリコール・ポロプロピレングリコールとトリメリット酸とのトリエステル(3つのR1はラウリル基、EO及びPOの合計平均付加モル数は、好ましくは4〜16、更に好ましくは4〜8、芳香族側からEO・POのブロック付加)、ラウロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)とトリメリット酸とのトリエステル(R1はラウリル基、EO及びPOの合計平均付加モル数は、好ましくは4〜16、更に好ましくは4〜8、ランダム付加)が好ましい。
【0027】
(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルは、下記式(3)で表されるシクロヘキサン(セン)ジカルボン酸エステルが更に好ましい。シクロアルカン(ケン)基としては、炭素数3〜8の不飽和基を1つ有していてもよい、環式炭化水素基が挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
(式(3)中、R1及びR2は前記と同じである。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
(3)シクロアルカン(ケン)ジカルボン酸エステルの具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンエステル類、3,4−シクロヘキセンジカルボン酸ジブチルエステル、3,4−シクロヘキセンカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキセンエステル等が挙げられる。
(4)リン酸エステルは下記式(4)で表される化合物が好ましい。
【0030】
【化4】

【0031】
(式(4)中、R1及びR2は前記と同じである。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
【0032】
(4)リン酸エステルの具体例としては、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等の炭素数5〜9のアルコキシアルキル基を有するリン酸エステル、トリブチルホスフェート等の炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基を有するリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を有するリン酸エステルが特に好ましい。リン酸エステルは、リン酸ジ又はトリエステルが好ましい。
【0033】
(5)オキシ酸エステルは下記式(5)で表される化合物が好ましい。
【0034】
【化5】

【0035】
(式(5)中、R1、R2及びR3は前記と同じである。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
(5)オキシ酸エステルの具体例としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等が挙げられる。
【0036】
(6)グリコールエステルは下記式(6)で表される化合物が好ましい。
【0037】
【化6】

【0038】
(式(6)中、R1、R2及びR3は前記と同じである。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
(6)グリコールエステルの具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)等が挙げられる。
【0039】
(7)エポキシ系エステルは下記式(7)で表される化合物が好ましい。
【0040】
【化7】

【0041】
(式(7)中、R1は前記と同じである。R4及びR5は各々独立に水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R6は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
(7)エポキシ系エステルの具体例としては、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
【0042】
(8)スルホンアミドは下記式(8)で表される化合物が好ましい。
【0043】
【化8】

【0044】
(式(8)中、R1及びR2は前記と同じである。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
(8)スルホンアミドの具体例としては、o−及びp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
【0045】
(9)ポリエステルは下記式(9)で表される化合物が好ましい。
【0046】
【化9】

【0047】
(式(9)中、R1、R2及びR3は前記と同じである。R1とR2及び各R3は同一でも異なっていてもよい。pは1〜18、好ましくは1〜10の数を表す。)
(9)ポリエステルの具体例としては、ポリ(1,2−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等が挙げられる。
(10)グリセリルアルキルエーテルの具体例としては、グリセリルモノエーテル、グリセリルジエーテル、グリセリルトリエーテルが挙げられる。これらの中では、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するグリセリルモノエーテルが好ましい。アルキル基の炭素数は8〜30であるが、好ましくは8〜22、更に好ましくは8〜14である。
アルキル基として、例えば2−エチルヘキシル、(イソ)オクチル、(イソ)デシル、(イソ)ドデシル、(イソ)ミリスチル、(イソ)セチル、(イソ)ステアリル、(イソ)ベヘニル基が挙げられる。
アルキル基の位置については、特に制限はなく、1−アルキルグリセリルモノエーテル、2−アルキルグリセリルモノエーテルいずれであってもよい。
【0048】
(11)グリセリルアルキルエステルの具体例としては、グリセリルモノアルキルエステル、グリセリルジアルキルエステル、グリセリルトリアルキルエステルが挙げられる。
これらの中では、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸)エステルが好ましい。アルキル基の総炭素数は、6以上が好ましく、8以上が更に好ましい。
より具体的には、グリセリルトリアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノアセテート等が挙げられる。
(12)グリコールアルキルエーテルの具体例としては、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
(13)グリコールアルキルエステルの具体例としては、グリコールモノアルキルエステル、グリコールジアルキルエステルが挙げられる。
(12)及び(13)のグリコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、アルキル基としては、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。アルキル基の総炭素数は、6以上が好ましく、8以上が更に好ましい。
上記の水不溶性有機化合物(1)〜(15)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、水不溶性有機化合物は前記式(1)、(2−1)、(2−2)で表される化合物が光沢性の観点から好ましい。
【0049】
(ポリマー粒子)
本発明において、ポリマー粒子は、水不溶性有機化合物との相互作用により、印字濃度、光沢性を向上させるために用いられる。
ポリマー粒子のポリマーは、水不溶性有機化合物を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
【0050】
また、ポリマーのLogP値の計算方法は、以下のように行う。
1.ポリマーを構成する各構成単位が由来する各モノマーのLogP値を前記SRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより求める。なお、連鎖移動剤、開始剤由来のポリマー構成は除外する。
2.各モノマーのLogP値に、ポリマー鎖中のそのモノマー由来の構成単位のモル比率(M)を乗じて、各モノマーの(LogP×M)を求める。
3.上記2で得られた、各モノマーの(LogP×M)を全て合計することで、ポリマーのLogP値を算出する。
なお、塩生成基含有モノマーは、中和する前の該モノマーのLogP値に基づいて計算を行う。
ポリマー粒子は、ポリエステル粒子、ポリウレタン粒子、ビニルポリマー粒子などが挙げられるが、その分散安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニルポリマー粒子が好ましい。
【0051】
(ビニルポリマー)
ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ということがある)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ということがある)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ということがある)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。この水不溶性ビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。
【0052】
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
【0053】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
【0054】
(b)マクロマーは、特にポリマー粒子が着色剤を含有した場合に、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、(b)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0055】
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
【0056】
(b)マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(10)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC36−〔Si(CH32O〕t−Si(CH33 (10)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
【0057】
(c)疎水性モノマーは、印字濃度、光沢性の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
【0058】
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー(c−1成分)、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2成分)が挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
(c)成分の中では、光沢性、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマーとしては特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、印字濃度及び光沢性向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、光沢性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。また、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
【0059】
モノマー混合物には、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」ということがある)が含有されていてもよい。(d)水酸基含有モノマーは、分散安定性を高めるという優れた効果を発現させるものである。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
【0060】
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(11)で表されるモノマー(以下「(e)成分」ということがある)が含有されていてもよい。
CH2=C(R7)COO(R8O)p9 (11)
(式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R8は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R9は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、インクの印字濃度、光沢性を向上するという優れた効果を発現する。
式(11)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
7の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
8O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
9の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜8の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよいフェニル基が挙げられる。
【0061】
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(11)中のpの値を示す。以下、同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテルが好ましい。
【0062】
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B等が挙げられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0063】
水不溶性ビニルポリマー製造時における、上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は水不溶性ポリマー中における(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、特に着色剤との相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、光沢性の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。また、〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、光沢性の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
【0064】
(ポリマーの製造)
本発明で用いられるポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
【0065】
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
【0066】
本発明で用いられるポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性、耐水性及び吐出性の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000が更に好ましく、10,000〜300,000が特に好ましく、40,000〜300,000が最も好ましい。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。使用カラムは東ソー株式会社製、HLC−8120GPCを用いる。
【0067】
本発明で用いられるビニルポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
【0068】
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
【0069】
(着色剤)
着色剤は、本発明の光沢性の効果を発揮するために用いられる。着色剤としては特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等を用いることができるが、耐水性、分散安定性及び耐擦過性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、近年要求が強い高耐候性を発現させるためには、顔料を用いることが好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、ポリマーの粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0070】
疎水性染料は、ポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
これらの中でも、白色と黒色及びその中間色である灰色を除く有彩色の着色剤が好ましい。上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
【0071】
(水分散体/水系インク)
本発明の水分散体又は水系インク中の各成分の含有量及びそれらの割合は次のとおりである。
水不溶性有機化合物の含有量(水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との合計含有量。以下同じ。)は、光沢性向上の観点から、下限は、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.15重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上、最も好ましくは0.5重量%以上であり、上限は、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下、最も好ましくは2重量%以下である。これらの観点から、水不溶性有機化合物の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.15〜5重量%が更に好ましく、0.3〜3重量%が特に好ましく、0.5〜2重量%が最も好ましい。
ポリマー粒子の含有量(水不溶性有機化合物、着色剤を除いた固形分量。以下同じ。)は、印字濃度、光沢性向上の観点から、の観点から、0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%が更に好ましく、1〜15重量%が特に好ましい。
着色剤の含有量は、印字濃度の観点から、1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%が更に好ましく、2〜20重量%が特に好ましい。
〔水不溶性有機化合物の含有量/ポリマー粒子の含有量〕の重量比は、光沢性向上の観点から、の向上の観点から、1/100〜5/1が好ましく、1/50〜2/1がより好ましく、1/50〜1/1が更に好ましく、1/30〜1/1が特に好ましく、1/10〜1/1が最も好ましく、1/6〜1/2が特に最も好ましい。
〔水不溶性有機化合物の含有量/着色剤の含有量〕の重量比は、光沢性向上の観点から、1/40〜5/1であることが好ましく、1/30〜1/1であることが更に好ましく、1/10〜1/1が特に好ましい。
〔ポリマー粒子の含有量/着色剤の含有量〕の重量比は、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、5/95〜90/10であることが好ましく、10/90〜75/25であることが更に好ましく、20/80〜50/50が特に好ましい。
【0072】
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。水分散体とは、水を主媒体として、これに着色剤が分散したものであり、水系インクとは、水を主媒体として用いたインクである。
本発明の水分散体の表面張力(20℃)は、好ましくは30〜65mN/m、更に好ましくは35〜60mN/mである。また、水系インクの表面張力(25℃)は、インクノズルからの良好な吐出性を確保する観点から、好ましくは20〜35mN/m、更に好ましくは25〜35mN/mである。
本発明の水分散体の10重量%の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
【0073】
本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法に、特に限定はない。例えば、水不溶性有機化合物は、ポリマー粒子の水分散体と混合し、適宜攪拌することによりポリマー粒子中に含有される。水不溶性有機化合物の一部は、ポリマー粒子以外に存在していてもよい。
着色剤が、疎水性染料又は顔料の場合は、疎水性染料又は顔料が水不溶性ポリマー粒子に含有されてなるものが、分散安定性及び耐擦過性などの観点から好ましい。
【0074】
そのような水分散体は、例えば、次の工程(1)〜(3)により得ることができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水、及び必要なら中和剤を含有する混合物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を分散処理して、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(3):工程(2)得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(1)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、水不溶性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。特に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0075】
前記工程(2)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(2)の分散は、5〜50℃が好ましく、10〜35℃が更に好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、プライミクス株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を用いる場合に、顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
【0076】
前記工程(3)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されている。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られた着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有するポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、前記工程(1)〜(3)を含み、前記工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程中又は工程後に、水不溶性有機化合物(A)及び(B)を存在させることにより、得ることができる。
好ましくは、工程(3)で得られた着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体と水不溶性有機化合物とを混合して得られるものが好ましい。
【0077】
着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体と水不溶性有機化合物との混合割合は、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体の固形分100重量部に対して、水不溶性有機化合物は、1〜100重量部であることが好ましく、3〜50重量部が好ましく、3〜20重量部が更に好ましい。混合方法は、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体に水不溶性有機化合物を添加してもよく、その逆であってもよい。混合する温度は、5〜50℃程度が好ましい。混合した後、前記の分散方法により、再分散することも好ましい。
得られる水分散体は、水不溶性有機化合物の少なくともその一部がポリマー粒子に含有されており、水不溶性有機化合物と着色剤とを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体である。
【0078】
ポリマー粒子の水分散体はそのまま水系インクとして用いてもよいが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
得られる水分散体及び水系インクにおける、ポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行う。
なお、ポリマー粒子に水不溶性有機化合物及び/又は着色剤が更に含有されても、ポリマー粒子の平均粒径は前記と同じ範囲であることが好ましい。
【0079】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、専用紙に印字したときに高い光沢性の印字物を得ることができる。専用紙としては、60°光沢度が好ましくは10〜45の空隙型光沢媒体を有するインクジェット写真用紙が挙げられる。ここで光沢度は、実施例記載の方法により測定される値である。このような写真用紙は市販されており、好適例としてセイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK等が挙げられる。(削除しました)
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
【実施例】
【0080】
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、さらにメチルエチルケトン115部加え、30分間攪拌し、固形分含有量(有効分含有量)50%のポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を前記方法により測定した。結果を表1に示す。
【0081】
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
(b)スチレンマクロマー
東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
(d)M−90G
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
(d)PP−500
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
【0082】
【表1】

【0083】
[ポリマーのlogP値の計算]
製造例1で合成されたポリマー(メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレンマクロマー/スチレン/M−90G/PP−500=10部/40部/15部/10部/5部/20部)(有効分重量比)のLogP値は、以下のように計算される。
メタクリル酸のLogP値は0.99(分子量:86)、ベンジルメタクリレートのLogP値は2.98(分子量:176)、スチレンのLogP値は2.89(分子量:104)であり、スチレンマクロマーは、メタクリル酸を基本構造に、スチレンが約57モル付加していることから、そのLogP値は165.72(=0.99+57×2.89)となる。
また、下記のとおり、M−90GのLogP値は−0.89、PP−500のLogP値は2.25であり、各モノマーの合計モル数は、0.485(=10/86+15/6000+40/176+10/104+5/496+20/608)である。
製造例1で合成されたポリマーのLogP値は、各モノマーのLogP値に、各モノマーのモル%を乗じた値の合計値であるから、3.20[=0.99×10/86/0.485+2.98×40/176/0.485+165.72×15/6000/0.485+2.89×10/104/0.485+(−0.89)×5/496/0.485+2.25×20/608/0.485]となる。
(M−90G)
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9): メタクリロイルオキシ基を有しており、エチレンオキサイドが9モル付加しており、末端がメチル基であることから、メタクリル酸を基本構造に、エチレンオキサイドを9モル有していることになる。エチレンオキサイドのLogP値が−0.27であり、メタクリル酸のLogP値は0.99であることから、M−90GのLogP値は−0.89(=0.99−0.27×9+0.55、分子量:496)と計算される。
(PP−500)
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9):メタクリロイルオキシ基を有しており、プロピレンオキサイドが9モル付加しており、末端が水素原子であることから、メタクリル酸を基本構造に、プロピレンオキサイドを9モル有していることになる。プロピレンオキサイドのLogP値は0.14であり、メタクリル酸のLogP値は0.99であることから、PP−500のLogP値は2.25(=0.99+0.14×9、分子量:608)と計算される。
【0084】
[水不溶性有機化合物のlogP値の計算]
水不溶性有機化合物 (A)
フタル酸を基本構造にエチレンオキサイドが8モル付加しており、両末端に2−エチルヘキシル基を有している。フタル酸のLogP値は0.57であり、エチレンオキサイドのLogP値は−0.27、2−エチルヘキシル基のLogP値は3.91であることから、水不溶性有機化合物 (A)のLogP値は6.23(0.57−0.27×8+3.91×2)と計算される。
水不溶性有機化合物 (B)
アジピン酸を基本構造にプロピレンオキサイドが8モル付加しており、両末端に2−エチルヘキシル基を有している。アジピン酸のLogP値は0.29であり、プロピレンオキサイドのLogP値は0.14、2−エチルヘキシル基のLogP値は3.91であることから、水不溶性有機化合物 (B)のLogP値は9.23(0.29+0.14×8+3.91×2)と計算される。
水不溶性有機化合物 (C)
反応容器内に、トリメリット酸70部及びエマルゲン104P(ラウリルアルコールのエチレンオキサイド4mol付加物、花王株式会社製)450部、テトライソプロポキシチタネート0.5部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った後、230℃に昇温し,エステル化反応を行った。さらに同温度にて減圧反応を行うことでエステル化反応を完結させ、余分なアルコールをトッピングにより除去して水不溶性有機化合物 (C)を得た。
水不溶性有機化合物 (C)は、トリメリット酸を基本構造にエチレンオキサイドが合計で12モル付加しており、末端にラウリル基を有している。トリメリット酸のLogP値は−0.15であり、エチレンオキサイドのLogP値は−0.27、ラウリル基のLogP値は5.93であることから、水不溶性有機化合物 (C)のLogP値は14.40(−0.15−0.27×12+5.93×3)と計算される。
水不溶性有機化合物のlogP値の計算結果を、表2に纏めて示す。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例1
[水分散体の製造]
製造例1で得られたポリマー溶液81.00部、有機溶媒として、メチルエチルケトン(沸点(101325Pa):79℃)50部、5mol/L NaOH水溶液6.68部、25重量%アンモニア水3.2部を加え混合し、更に顔料としてキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19〔P.V.19〕、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:HostapermRed E5B02)139.50部を加えて、十分に混合した後3本ロールミル〔株式会社ノリタケカンパニー製、商品名:NR‐84A〕を用いて約0.5〜1時間、約20℃で混練してペーストを得た。混練中、有機溶媒が蒸散するにつれて、イオン交換水150部を徐々に添加した。得られたペーストの一部をイオン交換水400部に投入し、十分に攪拌した後、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で15パス分散処理し、得られた分散液を減圧下で、60℃で有機溶媒を含有量が0.01%以下になるまで、有機溶媒と一部の水を除去し、次に日立工機株式会社製、高速冷却遠心分離機(MODEL:CR22G)を用い116000RPM,10分間の遠心分離処理を行った後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去した後、イオン交換水で濃度調整を行い固形分濃度が25重量%の顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得た。
前記水分散体450部、水不溶性有機化合物として、水不溶性有機化合物(A)7.78部、水不溶性有機化合物(B)3.11部、イオン交換水26.98部を加え、ディスパー翼で15℃、6000RPMで2時間混合した後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過した後、イオン交換水で濃度調整を行い固形分濃度が20%の水不溶性有機化合物を含有する、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得た。
【0087】
[水系インクの製造]
得られた水分散体39.65部、グリセリン10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMBE)7部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製)0.3部及びイオン交換水42.05部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表3に示す水系インクを得た。
【0088】
実施例2
水分散体の製造工程で水不溶性有機化合物 (A)を5.45部、水不溶性有機化合物 (B)5.45部用いた以外は、実施例1と同様に水系インクを得た。
実施例3
水分散体の製造工程で水不溶性有機化合物 (A)を7.78部、水不溶性有機化合物 (C) 3.11部用いた以外は、実施例1と同様に水系インクを得た。
比較例1
水分散体の製造工程で水不溶性有機化合物 (A)を10.89部用いた以外は、実施例1と同様に水系インクを得た。
比較例2
水分散体の製造工程で水不溶性有機化合物 (B)を10.89部用いた以外は、実施例1と同様に水系インクを得た。
比較例3
水分散体の製造工程で水不溶性有機化合物を用いないこと以外は、実施例1と同様に水系インクを得た。
【0089】
次に、実施例及び比較例で得られた水系インクの光沢度及び保存安定性を、以下の方法より評価した。その結果を表3に示す。
(1)光沢度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用い、市販の専用紙(写真用紙<光沢>セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:フォトプリント紙、モード設定:フォト〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢度を光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER PG-1)で5回測定し、その平均値を求めた。数値が大きい方が、光沢度が高い。
(2)保存安定性
表2記載のインクをガラス製密閉容器に充填し、70℃、1週間保存後の平均粒径を粒径測定器(大塚電子株式会社製、商品名:ELS−8000)を用いて前記条件で測定し、下記式より粒径増加率を求めた。数値が100に近い方が、保存安定性が良い。
粒径増加率=[保存後の平均粒径(70℃、1週間保存後の粒径)/保存前の平均粒径(保存前の粒径)]×100
【0090】
【表3】

【0091】
表3から、実施例1〜3の水系インクは、比較例1〜4の水系インクに比べて、光沢性と保存安定性、及びそのバランスが優れていることが分かる。また、実施例1及び2の水系インクを用いてインクジェット記録方式により印字した印字物は、充分な印字濃度を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、ポリマー粒子、及び2種の水不溶性有機化合物を含有するインクジェット記録用水分散体であって、水不溶性有機化合物(A)のLogP値が4〜9であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が6〜18であり、水不溶性有機化合物(B)のLogP値が水不溶性有機化合物(A)のLogP値より大であり、水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)とのLogP値の差の絶対値(ΔLogP値)が1以上である、インクジェット記録用水分散体。
【請求項2】
水不溶性有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
【化1】

(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。R1及びR2は同一でも異なっていてもよく、R1〜R3は置換基を有していてもよい。AOはアルカンジイルオキシ基を示し、m及びnは、平均付加モル数を意味し、それぞれ独立に0〜30の数である。)
【請求項3】
水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との重量比〔(A)/(B)〕が、1/10〜10/1である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
【請求項4】
水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との合計含有量が、0.1〜10重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
【請求項5】
水分散体中における、〔水不溶性有機化合物(A)と水不溶性有機化合物(B)との合計含有量/ポリマー粒子の含有量〕の重量比が1/100〜5/1である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
【請求項6】
着色剤が、ポリマー粒子に含有されてなる、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
【請求項7】
ポリマー粒子のポリマーが、(a)塩生成基含有モノマー、(b)マクロマー及び/又は(c)疎水性モノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーである、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。

【公開番号】特開2007−277536(P2007−277536A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61977(P2007−61977)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】