インクジェット記録装置および記録ヘッドの回復処理方法
【課題】ライン型の長尺な記録ヘッドの回復処理時の廃インク量を抑制できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定し、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する。
【解決手段】画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定し、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の記録ヘッドよりインクを吐出させてインク吐出性能を回復させる回復処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷終了時点からタイマーを起動させてその経過時間を監視し、この経過時間が所定時間を超えているか否かを判断して、印刷吐出パターンに基づいて予備吐出パターンを作成し、予備吐出回復処理を実行する技術を開示する。これにより、常に全ノズルから一定量のインク滴の予備吐出を行うのではなく、全ノズルの予備吐出か、非吐出ノズルのみの予備吐出かを設定して、回復処理に使用するインク液の消費量を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−063088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、いわゆるライン型記録ヘッドとして、複数のノズルチップを千鳥配列のように規則的に配置したものが知られている。このような長尺なライン型記録ヘッドに対して、特許文献1に開示された予備吐出回復処理を適用すると、無駄なインク消費が増加するという問題が生じる。具体的には、記録媒体の紙幅が狭い記録媒体への記録を記録終了から所定時間を超えた間隔で連続的に行う場合、特許文献1の予備吐出回復処理を実行させると、記録に使用されない記録媒体の幅を超えた領域の不使用ノズルも含めて予備吐出を常に実行してしまう。
【0005】
本発明は上述の技術的課題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、回復処理時のインクの消費量を最小化できるインクジェット記録装置及びその回復処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェット記録装置は、複数のノズルが配列された記録ヘッドと、前記複数のノズルのインク吐出性能を回復させるために、前記複数のノズルからインクを予備吐出させる予備吐出制御手段と、を有するインクジェット記録装置であって、画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定する手段を有し、前記予備吐出制御手段は、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記記録モードが変更されたかを検出する手段をさらに有し、前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、構成を採用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、いわゆるライン型の長尺な記録ヘッドに対して、回復処理時に消費されるインクの量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の主要部の斜視図である。
【図2】記録装置の主要部の断面図である。
【図3】記録装置のクリーニング動作時の状態を示す斜視図である。
【図4】記録ヘッドの構造の一例を示す図である。
【図5】クリーニング機構の構成を示す斜視図である。
【図6】クリーニング機構の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る回復処理の動作フローチャートを示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態で用いる4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図9】本発明の記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態で用いる10インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図11】記録ヘッドの構造の他の例を示す図である。
【図12】ノズルチップの構造を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態における4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態における10インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明を適用可能なインクジェット記録装置について説明する。
【0011】
図1は実施形態に係る記録装置の記録部を中心とした主要部の構成を示す斜視図であり、図2は図1の断面構造を示す断面図である。図3は記録装置のクリーニング動作時の状態を示す断面図である。
【0012】
本実施形態に係る記録装置1は、ライン型の長尺の記録ヘッドを用いて、記録媒体を搬送方向Aに連続搬送しながらプリントを行なうラインプリンタである。ロール状に巻かれた連続紙などの記録媒体4を保持するホルダ8、記録媒体4を所定速度で搬送方向Aに搬送する搬送機構7、および、記録媒体4に対して記録ヘッド2により記録を行なう記録部3を備える。なお、記録媒体4は連続したロール状の記録媒体に限らず、カットされた記録媒体であってもよい。また、記録装置1は、記録ヘッド2のノズル面に付着した付着物を除去するためのクリーニング部6、搬送方向Aの記録部3の下流に設けられた記録媒体4を切断するカッタユニット、記録媒体を強制乾燥する乾燥ユニット、および、排出トレイを備えている。記録部3は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド2を備える。本例ではCMYKの4色に対応した4つの記録ヘッドとしているが、色数はこれには限定されない。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド2に供給される。複数の記録ヘッド2は、ヘッドホルダ5により一体的に保持されている。さらに、記録装置1は、複数の記録ヘッド2と記録媒体4の表面との間の距離を変更できるよう、ヘッドホルダ5を上下移動させる機構と、ヘッドホルダ5を搬送方向Aと交差する方向に平行移動させる機構を有している。
【0013】
クリーニング部6は、複数(4つ)の記録ヘッド2に対応して複数(4つ)のクリーニング機構9を有する。各クリーニング機構9の詳細は後述する。クリーニング部6は駆動モータ(不図示)により、搬送方向Aにスライド可能となっている。図1および図2は、画像の記録時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3に対して搬送方向Aにおいて下流に位置している。一方、図3はクリーニング動作時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3の記録ヘッド2の直下に位置している。図2および図3において、クリーニング部6の移動可能範囲を矢印で示している。
【0014】
図4は、1つの記録ヘッド2の構造を示す。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。記録ヘッド2は、使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドである。ノズルの配列方向は、搬送方向Aと交差する方向、例えば、搬送方向Aに直交する方向である。
ベース基板124の上に、単一のノズルチップ120が長手方向に沿って配置されている。ノズルチップ120は、図4(b)に示すように、複数のノズルが配列されたノズル列121を複数備えている。
【0015】
図5および図6は、クリーニング部6と1つのクリーニング機構9の詳細構成を示す斜視図である。図5はクリーニング機構の上に記録ヘッドがある状態(クリーニング動作時)、図6はクリーニング機構の上に記録ヘッドがない状態を示している。クリーニング部
6には、クリーニング機構9、キャップ51および位置決め部材71が設けられている。クリーニング機構9は、記録ヘッド2のノズル面に付着した付着物を除去するワイパユニット46と、ワイパユニット46を払拭方向(ノズル配列方向)に沿って移動させる移動機構と、これらを一体的に支持するフレーム47とを有する。移動機構は、駆動源の駆動によって、2本のシャフト45によって案内支持されたワイパユニット46をノズル配列方向に移動させる。駆動源は、駆動モータ41と減速ギア42、43とを有し、ドライブシャフト37を回転させる。ドライブシャフト37の回転は、ベルト44とプーリで伝達されてワイパユニット46を移動させる。図6において、キャップ51はキャップホルダ52に保持されている。キャップホルダ52は記録ヘッド2のノズル面に対して垂直方向にバネで付勢され、バネの弾性力に抗して移動可能となっている。フレーム47がキャップ位置にある状態で記録ヘッド2がノズル面に対して垂直方向に移動して、キャップ51との接触および離間を行なう。キャップ51との密着によりノズル面をキャッピングすることで、ノズルの乾燥が抑制される。また、キャップ51によってノズル内の増粘したインク液を除去するための予備吐出により排出されたインク滴の回収も行う。位置決め部材71はクリーニング動作時およびキャッピング時においてヘッドホルダ5に設けられたヘッド位置決め部材81と搬送方向A、ノズル配列方向およびノズル面に対して垂直方向の3方向において当接することにより、記録ヘッド2とクリーニング部6の位置関係を決める。
【0016】
図7は、本発明に係るインクジェット記録装置の制御系を示すブロック図である。図7において、制御系は、メインバスライン805に対して夫々アクセスする画像入力部803、それに対応する画像信号処理部804、CPU800などのソフトウエア処理系と、操作部806、回復系制御回路807、ヘッド駆動制御回路810、搬送方向Aへの紙送り制御回路811などのハードウエア処理系とに大別される。CPU800は、通常ROM(リードオンリメモリ)801とRAM(ランダムアクセスメモリ)802とを有し、入力情報に対して適正な記録条件を与えて記録ヘッド2を駆動して記録を行う。また、RAM802内には、記録ヘッド2の回復処理を実行するプログラムが格納されており、必要に応じてキャップ51内への予備吐出条件等の回復条件を回復系制御回路807および記録ヘッド2に与える。回復系モータ808は、前述したような記録ヘッド2とこれに対向離間するワイパユニット46と、キャップ51と、キャップ51に排出されたインクを吸引する吸引ポンプ811とを駆動する。ヘッド駆動制御回路810は、記録ヘッド2のインク吐出用電気熱変換体の駆動条件を実行するもので、記録ヘッド2の予備吐出制御や記録用インク吐出制御を実行する。
【0017】
[第1の実施形態]
本実施形態の記録ヘッド2は、1つのノズルチップ120からなる長尺ヘッドであり、記録媒体の最大幅が10インチのサイズまで記録可能な構成となっている。ノズルから吐出するインク滴の体積は10pl(ピコリットル)である。また、これらのインク滴を安定して吐出するための最大ヘッド駆動周波数は3KHzとする。また本実施形態では連続したロール状の記録媒体4を搬送方向Aに搬送速度5インチ/秒で搬送して、解像度が600×600dpiの画像データを記録する。
【0018】
本実施形態においては、図8の記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録を行う記録モードを繰り返し実施している状態から図9の記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録を行う記録モードの状態に変更される場合について図10を参照して説明する。
【0019】
図10は、本実施形態の回復処理の動作フローチャートである。CPU800が図10に示す処理を実行させる。
【0020】
まず、S1101において印刷ジョブ信号を受信すると、S1102においてキャップ51をオープンする。次に、S1103でこれから記録するための記録モードの情報を受信する。記録モードは、画像の記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定され、複数の記録モードが存在する。例えば、記録装置が図8のような記録モードに設定されている場合には、記録モードの情報として、例えば、「記録媒体サイズが4インチ幅」という情報を受信する。図8において、記録媒体は、ノズル配列方向の中央位置に配置されるものとすると、記録媒体サイズが分かれば、画像記録に使用する使用ノズルの数および位置が決まる。なお、記録モードの情報は、使用ノズルの数および位置を特定できるものであればよい。
【0021】
次いで、S1104において、受信した記録モードの情報と前回記録時の記録モードの情報とを比較し、同じかどうかの判断を行う。すなわち、記録モードが変更されたかを検出する。この判断において、記録モードに変更がない場合、すなわち、「Yes」の場合には、ノズルのインク吐出性能を回復させるために第1の予備吐出を実施する。
【0022】
本実施形態の第1の予備吐出は、ノズルチップ120に形成されている複数のノズルのうち、設定されている記録モード(S1104において特定した記録モード)における使用ノズル(および、当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる。具体的には、図8における(b)の領域のノズル(使用ノズル)および図8における(a)および(c)の領域のノズル(不使用ノズル)からインクを予備吐出させる。
第1の予備吐出において、インクを吐出させる各ノズルからのインク吐出数は、例えば、100発である。この第1の予備吐出回復処理により、キャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。
【0023】
次いで、S1107において搬送速度5インチ/秒で記録媒体の搬送を行いながら、S1108において、搬送された4インチ幅の記録媒体に対して画像記録を行う。S1109において、記録媒体への画像記録が終了かどうかの判断を行う。「No」の場合は、S1107に戻り、引き続き記録媒体の搬送とS1108の画像記録を行う。「Yes」の場合は、S1110においてキャップ51によるキャップクローズで記録ヘッドのノズル内のインク乾燥を抑制する。
【0024】
この様に、図8に示した同じ記録モードを繰り返し実施している場合には、図8の(a)〜(c)の領域以外の領域のノズルからインクの予備吐出が実施されないので、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0025】
次に、図8の記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録する記録モードから図9の記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録する記録モードに変更された場合の処理について説明する。記録モードが図8の状態から図9の状態に変更された場合には、図10のフローチャートのS1103において、変更後の記録モードの情報として、例えば、「記録媒体サイズが10インチ幅」という情報を受信する。S1104において、記録モードが前回記録時と同じかどうかの判断を行うと、「No」となり、S1106において、第2の予備吐出を実施する。
【0026】
本実施形態の第2の予備吐出処理は、記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる。具体的には、図9における(d)および(e)の領域のノズルが、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルであり、(f)および(g)の領域のノズルが新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルである。また、図9の領域(b)のノズルは、図8の(b)の領域のノズルと同じであり、既に使用ノズルである。第2の予備吐出処理において、インクを吐出させる各ノズルからのインク吐出数は、例えば、500発であり、第1の予備吐出の場合よりも多くすることが好ましい。この第2の予備吐出回復処理により、キャップオープン時にノズル内で増粘したインクを、キャップ51の中に排出する。
【0027】
次にS1105において、引き続き、上記した第1の予備吐出処理を実施する。この第1の予備吐出処理によりキャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。図9に示す記録モードにおいて、全ての領域(b)、(d)、(e)、(f)および(g)のノズルからインクを予備吐出させる。
【0028】
この様に、不使用ノズルから使用ノズルに変更されたノズルからのみインクを予備吐出させることにより、無駄なインク消費を抑制することができる。さらに、新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルからもインクを予備吐出させることで、使用ノズルと不使用ノズルとの境界近傍の不使用ノズルにおけるインクの増粘による画像劣化を防止することができる。
【0029】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、記録ヘッドに1つのノズルチップ120からなる長尺ヘッドを用いた場合について説明したが、本実施形態では、図11に示すように、複数のノズルチップを備える記録ヘッドを用いる場合について説明する。
【0030】
図11に示す記録ヘッド2は、使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドである。ノズルの配列方向は、記録媒体の搬送方向と交差する方向、例えば直交する方向Bである。同一寸法且つ同一構造の複数(本例では12個)のノズルチップ220が、図11(b)に示すように、ベース基板124の上に、2列の千鳥配置で規則的に配列されている。
【0031】
図12は記録ヘッド2を構成するノズルチップ220の構造を示す図である。ノズルチップ220は、インクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列221が複数形成されたノズル面222を備えると共に、各ノズルに対応して形成されたエネルギ素子が埋め込まれているノズル基板を有する。複数(本例では4つ)のノズル列121は、搬送方向Aにおいて等間隔に並列されている。各ノズル列221は、例えば、1インチ当たり600ドット(600dpi)間隔で960個のノズルが配列され、1.6インチの長さを有する。ノズルチップ220のノズル基板は、ベース基板224の上に設けられている。ノズル基板とベース基板224との間は電気接続部で接続され、電気接続部は樹脂材からなる封止部223で被覆され、腐食や断線が起きないように保護されている。
【0032】
次に、上記構成の記録ヘッドを用いた回復処理の動作について説明する。なお、第2の実施形態は、基本的な処理について、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態において用いた図10のフローチャートを参照して、第2の実施形態について説明する。また、図13は、記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録する記録モード、図14は、記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録する記録モードを示す図である。
図13および図14の各ノズルチップ220上のA〜Lは、図11(b)に示した12個のノズルチップ120に対応している。
【0033】
S1103において受信した記録モードの情報が、図13に示す記録モードである場合であり、S1104において前回記録時の記録モードと同じと判断した場合には、複数のノズルチップ220のうち、設定されている記録モードの使用ノズルを含むノズルチップ220の各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、上記した第1の予備吐出処理を実行する。具体的には、図13に示した記録モードの使用ノズルを含むノズルチップ220は、D,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップ220であり、これらの6個のノズルチップ220のすべてのノズルからインクを予備吐出させる。この様に、図13に示した同じ記録モードを繰り返し実施している場合には、記録で使用されないノズルチップA,B,C,J,K,Lの6個のノズルチップに対して、予備吐出を実施しないで済むために、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0034】
次に、記録モードが図13に示す記録モードから図14に示す記録モードに変更された場合には、S1104において記録モードの変更が検出される。そして、S1106において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップ220の各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、上記した第2の予備吐出処理を実行する。具体的には、A,B,C,J,K,Lの6個のノズルチップ220のすべてのノズルからインクを予備吐出させる。
【0035】
次に、S1105において、引き続き第1の予備吐出処理を実施する。本実施形態の第1の予備吐出処理は、図14に示した記録モードにおける使用ノズルを含むノズルチップ内の全てのノズルからインクを予備吐出させる。この第1の予備吐出回復処理によりキャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。図14の記録モードにおいて第1の予備吐出させるノズルチップ220は、A〜Lの12個のノズルチップとなる。
【0036】
この様に、図13の記録モードから図14の記録モードに切り替わったタイミングにおいてのみ、予備吐出を行うことで無駄なインク消費を抑制することができる。また、不使用ノズルから使用ノズルに切り替わったノズルチップに対してのみ予備吐出を行うことで、今まで使用していたノズルチップD,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップに対して、予備吐出を実施しないで済むために、更に無駄なインク消費を抑制することができる。また、使用ノズルを含むノズルチップの全てのノズルから予備吐出させることにより、使用ノズルと不使用ノズルとの境界付近の不使用ノズルから増粘したインクが吐出されるのを回避できるので、画像劣化を防止できる。
【0037】
[第3の実施形態]
第1および第2の実施形態では、記録モードが記録媒体のサイズに対応して変更される場合について説明したが、本実施形態では、記録ヘッドの複数のノズルにおける使用ノズルの位置の変更に対応して記録モードが変更される場合について説明する。なお、第3の実施形態は、基本的な処理について、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態において用いた図10のフローチャートを参照して、第3の実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態では、例えば、図13に示したような、一定の記録モードの下で、記録ヘッド2の各ノズルチップ内の各ノズルからのインクの吐出数を計測する。そして、各ノズル計測したインク吐出数が所定のインク吐出数を超えた場合には、最もインク吐出数が少ないノズルを含むノズルチップを用いて記録する記録モードに変更する。例えば最も吐出発数が少ないノズルを含むノズルチップ220がAの位置である場合には、図15に示すように、記録ヘッドと記録媒体との位置を相対的に移動させて画像を記録する。このように、使用ノズルの数が同じであっても、使用ノズルの位置の適宜変更を変更することにより、記録ヘッドの耐久寿命を延長させることができる。なお、記録ヘッドと記録媒体との相対位置を変更する機構の詳細説明は省略する。
【0039】
具体的には、図13に示す記録モードが繰り返されている場合には、S1105において、D,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップ220のノズルからインクの予備吐出が実施される。そして、図13に示す記録モードから図15に示す記録モードに変更された場合には、S1104において記録モードの変更が検出され、S1106において第2の予備吐出処理が実施される。このとき、図15に示す記録モードで使用されるノズルチップ220は、A〜Eの位置にあるノズルチップ220であるが、新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップ220は、A〜Cの位置にある3つのノズルチップ220である。
【0040】
次に、S1105において、引き続き第1の予備吐出処理を実施する。本実施形態の第1の予備吐出処理は、図15に示したA〜Eの位置にある各ノズルチップ220内の全てのノズルからインクを予備吐出させる。
【0041】
このように本実施形態では、第2の予備吐出処理において、今まで使用していたノズルチップD,E,Fの3個のノズルチップについては、インクの予備吐出を実施しないで済むために、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0042】
[その他の実施形態]
第3の実施形態においては、複数のノズルチップを千鳥配列したライン型記録ヘッドを用いた場合について説明したが、図4に示した単一のノズルチップの場合にも、当然実施可能である。
【0043】
また、上記実施形態においては、記録開始時にのみ第1の予備吐出を実施する場合について説明したが、このタイミングに限定されることはなく、図10のS1110のキャップクローズを行う直前に、記録で使用するノズルを含むノズルチップ内の全てのノズルに対して行う第1の予備吐出を行うことで、画像データがなかった使用ノズル等に対する増粘したノズル内のインクを排出する様にしても良い。
【0044】
また、上記実施形態において、記録媒体に画像記録を行っている時の予備吐出に関して記載していないが、第3の予備吐出処理として画像記録中は使用ノズルを含むノズルチップ単位ではなく、使用ノズルからのみインクを予備吐出させる構成としてもよい。これにより、吐出により発生するインクミスト発生を抑制することができる。
【0045】
また、記録開始時に既にノズル内の泡除去やインク充填、ノズル面に付着した付着物除去等のための回復処理が行われ、ノズル内の増粘インクが解消されている場合には、図10のS1105の第1の予備吐出、S1106の第2の予備吐出を実施しなくても良い。
【0046】
また、本発明の第1の予備吐出処理、第2の予備吐出処理におけるインク吐出数は、上記した吐出数に限定されるわけではなく、インク種、インク色、記録ヘッドの配列、ノズル口径、吐出量、キャップクローズ(累積)時間、キャップオープン(累積)時間等に応じて異ならせることができる。
【符号の説明】
【0047】
2 記録ヘッド
4 記録媒体
51 キャップ
120,220 ノズルチップ
121,221 ノズル列
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の記録ヘッドよりインクを吐出させてインク吐出性能を回復させる回復処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷終了時点からタイマーを起動させてその経過時間を監視し、この経過時間が所定時間を超えているか否かを判断して、印刷吐出パターンに基づいて予備吐出パターンを作成し、予備吐出回復処理を実行する技術を開示する。これにより、常に全ノズルから一定量のインク滴の予備吐出を行うのではなく、全ノズルの予備吐出か、非吐出ノズルのみの予備吐出かを設定して、回復処理に使用するインク液の消費量を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−063088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、いわゆるライン型記録ヘッドとして、複数のノズルチップを千鳥配列のように規則的に配置したものが知られている。このような長尺なライン型記録ヘッドに対して、特許文献1に開示された予備吐出回復処理を適用すると、無駄なインク消費が増加するという問題が生じる。具体的には、記録媒体の紙幅が狭い記録媒体への記録を記録終了から所定時間を超えた間隔で連続的に行う場合、特許文献1の予備吐出回復処理を実行させると、記録に使用されない記録媒体の幅を超えた領域の不使用ノズルも含めて予備吐出を常に実行してしまう。
【0005】
本発明は上述の技術的課題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、回復処理時のインクの消費量を最小化できるインクジェット記録装置及びその回復処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェット記録装置は、複数のノズルが配列された記録ヘッドと、前記複数のノズルのインク吐出性能を回復させるために、前記複数のノズルからインクを予備吐出させる予備吐出制御手段と、を有するインクジェット記録装置であって、画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定する手段を有し、前記予備吐出制御手段は、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記記録モードが変更されたかを検出する手段をさらに有し、前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、構成を採用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、いわゆるライン型の長尺な記録ヘッドに対して、回復処理時に消費されるインクの量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の主要部の斜視図である。
【図2】記録装置の主要部の断面図である。
【図3】記録装置のクリーニング動作時の状態を示す斜視図である。
【図4】記録ヘッドの構造の一例を示す図である。
【図5】クリーニング機構の構成を示す斜視図である。
【図6】クリーニング機構の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る回復処理の動作フローチャートを示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態で用いる4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図9】本発明の記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態で用いる10インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図11】記録ヘッドの構造の他の例を示す図である。
【図12】ノズルチップの構造を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態における4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態における10インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における4インチ幅の記録媒体に対する記録ヘッドの使用ノズル位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明を適用可能なインクジェット記録装置について説明する。
【0011】
図1は実施形態に係る記録装置の記録部を中心とした主要部の構成を示す斜視図であり、図2は図1の断面構造を示す断面図である。図3は記録装置のクリーニング動作時の状態を示す断面図である。
【0012】
本実施形態に係る記録装置1は、ライン型の長尺の記録ヘッドを用いて、記録媒体を搬送方向Aに連続搬送しながらプリントを行なうラインプリンタである。ロール状に巻かれた連続紙などの記録媒体4を保持するホルダ8、記録媒体4を所定速度で搬送方向Aに搬送する搬送機構7、および、記録媒体4に対して記録ヘッド2により記録を行なう記録部3を備える。なお、記録媒体4は連続したロール状の記録媒体に限らず、カットされた記録媒体であってもよい。また、記録装置1は、記録ヘッド2のノズル面に付着した付着物を除去するためのクリーニング部6、搬送方向Aの記録部3の下流に設けられた記録媒体4を切断するカッタユニット、記録媒体を強制乾燥する乾燥ユニット、および、排出トレイを備えている。記録部3は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド2を備える。本例ではCMYKの4色に対応した4つの記録ヘッドとしているが、色数はこれには限定されない。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド2に供給される。複数の記録ヘッド2は、ヘッドホルダ5により一体的に保持されている。さらに、記録装置1は、複数の記録ヘッド2と記録媒体4の表面との間の距離を変更できるよう、ヘッドホルダ5を上下移動させる機構と、ヘッドホルダ5を搬送方向Aと交差する方向に平行移動させる機構を有している。
【0013】
クリーニング部6は、複数(4つ)の記録ヘッド2に対応して複数(4つ)のクリーニング機構9を有する。各クリーニング機構9の詳細は後述する。クリーニング部6は駆動モータ(不図示)により、搬送方向Aにスライド可能となっている。図1および図2は、画像の記録時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3に対して搬送方向Aにおいて下流に位置している。一方、図3はクリーニング動作時の状態を示し、クリーニング部6は記録部3の記録ヘッド2の直下に位置している。図2および図3において、クリーニング部6の移動可能範囲を矢印で示している。
【0014】
図4は、1つの記録ヘッド2の構造を示す。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。記録ヘッド2は、使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドである。ノズルの配列方向は、搬送方向Aと交差する方向、例えば、搬送方向Aに直交する方向である。
ベース基板124の上に、単一のノズルチップ120が長手方向に沿って配置されている。ノズルチップ120は、図4(b)に示すように、複数のノズルが配列されたノズル列121を複数備えている。
【0015】
図5および図6は、クリーニング部6と1つのクリーニング機構9の詳細構成を示す斜視図である。図5はクリーニング機構の上に記録ヘッドがある状態(クリーニング動作時)、図6はクリーニング機構の上に記録ヘッドがない状態を示している。クリーニング部
6には、クリーニング機構9、キャップ51および位置決め部材71が設けられている。クリーニング機構9は、記録ヘッド2のノズル面に付着した付着物を除去するワイパユニット46と、ワイパユニット46を払拭方向(ノズル配列方向)に沿って移動させる移動機構と、これらを一体的に支持するフレーム47とを有する。移動機構は、駆動源の駆動によって、2本のシャフト45によって案内支持されたワイパユニット46をノズル配列方向に移動させる。駆動源は、駆動モータ41と減速ギア42、43とを有し、ドライブシャフト37を回転させる。ドライブシャフト37の回転は、ベルト44とプーリで伝達されてワイパユニット46を移動させる。図6において、キャップ51はキャップホルダ52に保持されている。キャップホルダ52は記録ヘッド2のノズル面に対して垂直方向にバネで付勢され、バネの弾性力に抗して移動可能となっている。フレーム47がキャップ位置にある状態で記録ヘッド2がノズル面に対して垂直方向に移動して、キャップ51との接触および離間を行なう。キャップ51との密着によりノズル面をキャッピングすることで、ノズルの乾燥が抑制される。また、キャップ51によってノズル内の増粘したインク液を除去するための予備吐出により排出されたインク滴の回収も行う。位置決め部材71はクリーニング動作時およびキャッピング時においてヘッドホルダ5に設けられたヘッド位置決め部材81と搬送方向A、ノズル配列方向およびノズル面に対して垂直方向の3方向において当接することにより、記録ヘッド2とクリーニング部6の位置関係を決める。
【0016】
図7は、本発明に係るインクジェット記録装置の制御系を示すブロック図である。図7において、制御系は、メインバスライン805に対して夫々アクセスする画像入力部803、それに対応する画像信号処理部804、CPU800などのソフトウエア処理系と、操作部806、回復系制御回路807、ヘッド駆動制御回路810、搬送方向Aへの紙送り制御回路811などのハードウエア処理系とに大別される。CPU800は、通常ROM(リードオンリメモリ)801とRAM(ランダムアクセスメモリ)802とを有し、入力情報に対して適正な記録条件を与えて記録ヘッド2を駆動して記録を行う。また、RAM802内には、記録ヘッド2の回復処理を実行するプログラムが格納されており、必要に応じてキャップ51内への予備吐出条件等の回復条件を回復系制御回路807および記録ヘッド2に与える。回復系モータ808は、前述したような記録ヘッド2とこれに対向離間するワイパユニット46と、キャップ51と、キャップ51に排出されたインクを吸引する吸引ポンプ811とを駆動する。ヘッド駆動制御回路810は、記録ヘッド2のインク吐出用電気熱変換体の駆動条件を実行するもので、記録ヘッド2の予備吐出制御や記録用インク吐出制御を実行する。
【0017】
[第1の実施形態]
本実施形態の記録ヘッド2は、1つのノズルチップ120からなる長尺ヘッドであり、記録媒体の最大幅が10インチのサイズまで記録可能な構成となっている。ノズルから吐出するインク滴の体積は10pl(ピコリットル)である。また、これらのインク滴を安定して吐出するための最大ヘッド駆動周波数は3KHzとする。また本実施形態では連続したロール状の記録媒体4を搬送方向Aに搬送速度5インチ/秒で搬送して、解像度が600×600dpiの画像データを記録する。
【0018】
本実施形態においては、図8の記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録を行う記録モードを繰り返し実施している状態から図9の記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録を行う記録モードの状態に変更される場合について図10を参照して説明する。
【0019】
図10は、本実施形態の回復処理の動作フローチャートである。CPU800が図10に示す処理を実行させる。
【0020】
まず、S1101において印刷ジョブ信号を受信すると、S1102においてキャップ51をオープンする。次に、S1103でこれから記録するための記録モードの情報を受信する。記録モードは、画像の記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定され、複数の記録モードが存在する。例えば、記録装置が図8のような記録モードに設定されている場合には、記録モードの情報として、例えば、「記録媒体サイズが4インチ幅」という情報を受信する。図8において、記録媒体は、ノズル配列方向の中央位置に配置されるものとすると、記録媒体サイズが分かれば、画像記録に使用する使用ノズルの数および位置が決まる。なお、記録モードの情報は、使用ノズルの数および位置を特定できるものであればよい。
【0021】
次いで、S1104において、受信した記録モードの情報と前回記録時の記録モードの情報とを比較し、同じかどうかの判断を行う。すなわち、記録モードが変更されたかを検出する。この判断において、記録モードに変更がない場合、すなわち、「Yes」の場合には、ノズルのインク吐出性能を回復させるために第1の予備吐出を実施する。
【0022】
本実施形態の第1の予備吐出は、ノズルチップ120に形成されている複数のノズルのうち、設定されている記録モード(S1104において特定した記録モード)における使用ノズル(および、当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる。具体的には、図8における(b)の領域のノズル(使用ノズル)および図8における(a)および(c)の領域のノズル(不使用ノズル)からインクを予備吐出させる。
第1の予備吐出において、インクを吐出させる各ノズルからのインク吐出数は、例えば、100発である。この第1の予備吐出回復処理により、キャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。
【0023】
次いで、S1107において搬送速度5インチ/秒で記録媒体の搬送を行いながら、S1108において、搬送された4インチ幅の記録媒体に対して画像記録を行う。S1109において、記録媒体への画像記録が終了かどうかの判断を行う。「No」の場合は、S1107に戻り、引き続き記録媒体の搬送とS1108の画像記録を行う。「Yes」の場合は、S1110においてキャップ51によるキャップクローズで記録ヘッドのノズル内のインク乾燥を抑制する。
【0024】
この様に、図8に示した同じ記録モードを繰り返し実施している場合には、図8の(a)〜(c)の領域以外の領域のノズルからインクの予備吐出が実施されないので、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0025】
次に、図8の記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録する記録モードから図9の記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録する記録モードに変更された場合の処理について説明する。記録モードが図8の状態から図9の状態に変更された場合には、図10のフローチャートのS1103において、変更後の記録モードの情報として、例えば、「記録媒体サイズが10インチ幅」という情報を受信する。S1104において、記録モードが前回記録時と同じかどうかの判断を行うと、「No」となり、S1106において、第2の予備吐出を実施する。
【0026】
本実施形態の第2の予備吐出処理は、記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる。具体的には、図9における(d)および(e)の領域のノズルが、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルであり、(f)および(g)の領域のノズルが新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルである。また、図9の領域(b)のノズルは、図8の(b)の領域のノズルと同じであり、既に使用ノズルである。第2の予備吐出処理において、インクを吐出させる各ノズルからのインク吐出数は、例えば、500発であり、第1の予備吐出の場合よりも多くすることが好ましい。この第2の予備吐出回復処理により、キャップオープン時にノズル内で増粘したインクを、キャップ51の中に排出する。
【0027】
次にS1105において、引き続き、上記した第1の予備吐出処理を実施する。この第1の予備吐出処理によりキャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。図9に示す記録モードにおいて、全ての領域(b)、(d)、(e)、(f)および(g)のノズルからインクを予備吐出させる。
【0028】
この様に、不使用ノズルから使用ノズルに変更されたノズルからのみインクを予備吐出させることにより、無駄なインク消費を抑制することができる。さらに、新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルからもインクを予備吐出させることで、使用ノズルと不使用ノズルとの境界近傍の不使用ノズルにおけるインクの増粘による画像劣化を防止することができる。
【0029】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、記録ヘッドに1つのノズルチップ120からなる長尺ヘッドを用いた場合について説明したが、本実施形態では、図11に示すように、複数のノズルチップを備える記録ヘッドを用いる場合について説明する。
【0030】
図11に示す記録ヘッド2は、使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドである。ノズルの配列方向は、記録媒体の搬送方向と交差する方向、例えば直交する方向Bである。同一寸法且つ同一構造の複数(本例では12個)のノズルチップ220が、図11(b)に示すように、ベース基板124の上に、2列の千鳥配置で規則的に配列されている。
【0031】
図12は記録ヘッド2を構成するノズルチップ220の構造を示す図である。ノズルチップ220は、インクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列221が複数形成されたノズル面222を備えると共に、各ノズルに対応して形成されたエネルギ素子が埋め込まれているノズル基板を有する。複数(本例では4つ)のノズル列121は、搬送方向Aにおいて等間隔に並列されている。各ノズル列221は、例えば、1インチ当たり600ドット(600dpi)間隔で960個のノズルが配列され、1.6インチの長さを有する。ノズルチップ220のノズル基板は、ベース基板224の上に設けられている。ノズル基板とベース基板224との間は電気接続部で接続され、電気接続部は樹脂材からなる封止部223で被覆され、腐食や断線が起きないように保護されている。
【0032】
次に、上記構成の記録ヘッドを用いた回復処理の動作について説明する。なお、第2の実施形態は、基本的な処理について、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態において用いた図10のフローチャートを参照して、第2の実施形態について説明する。また、図13は、記録媒体サイズが4インチ幅の記録媒体に記録する記録モード、図14は、記録媒体サイズが10インチ幅の記録媒体に記録する記録モードを示す図である。
図13および図14の各ノズルチップ220上のA〜Lは、図11(b)に示した12個のノズルチップ120に対応している。
【0033】
S1103において受信した記録モードの情報が、図13に示す記録モードである場合であり、S1104において前回記録時の記録モードと同じと判断した場合には、複数のノズルチップ220のうち、設定されている記録モードの使用ノズルを含むノズルチップ220の各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、上記した第1の予備吐出処理を実行する。具体的には、図13に示した記録モードの使用ノズルを含むノズルチップ220は、D,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップ220であり、これらの6個のノズルチップ220のすべてのノズルからインクを予備吐出させる。この様に、図13に示した同じ記録モードを繰り返し実施している場合には、記録で使用されないノズルチップA,B,C,J,K,Lの6個のノズルチップに対して、予備吐出を実施しないで済むために、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0034】
次に、記録モードが図13に示す記録モードから図14に示す記録モードに変更された場合には、S1104において記録モードの変更が検出される。そして、S1106において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップ220の各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、上記した第2の予備吐出処理を実行する。具体的には、A,B,C,J,K,Lの6個のノズルチップ220のすべてのノズルからインクを予備吐出させる。
【0035】
次に、S1105において、引き続き第1の予備吐出処理を実施する。本実施形態の第1の予備吐出処理は、図14に示した記録モードにおける使用ノズルを含むノズルチップ内の全てのノズルからインクを予備吐出させる。この第1の予備吐出回復処理によりキャップクローズ時にノズル内で増粘したインクをキャップ51の中に排出する。図14の記録モードにおいて第1の予備吐出させるノズルチップ220は、A〜Lの12個のノズルチップとなる。
【0036】
この様に、図13の記録モードから図14の記録モードに切り替わったタイミングにおいてのみ、予備吐出を行うことで無駄なインク消費を抑制することができる。また、不使用ノズルから使用ノズルに切り替わったノズルチップに対してのみ予備吐出を行うことで、今まで使用していたノズルチップD,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップに対して、予備吐出を実施しないで済むために、更に無駄なインク消費を抑制することができる。また、使用ノズルを含むノズルチップの全てのノズルから予備吐出させることにより、使用ノズルと不使用ノズルとの境界付近の不使用ノズルから増粘したインクが吐出されるのを回避できるので、画像劣化を防止できる。
【0037】
[第3の実施形態]
第1および第2の実施形態では、記録モードが記録媒体のサイズに対応して変更される場合について説明したが、本実施形態では、記録ヘッドの複数のノズルにおける使用ノズルの位置の変更に対応して記録モードが変更される場合について説明する。なお、第3の実施形態は、基本的な処理について、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態において用いた図10のフローチャートを参照して、第3の実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態では、例えば、図13に示したような、一定の記録モードの下で、記録ヘッド2の各ノズルチップ内の各ノズルからのインクの吐出数を計測する。そして、各ノズル計測したインク吐出数が所定のインク吐出数を超えた場合には、最もインク吐出数が少ないノズルを含むノズルチップを用いて記録する記録モードに変更する。例えば最も吐出発数が少ないノズルを含むノズルチップ220がAの位置である場合には、図15に示すように、記録ヘッドと記録媒体との位置を相対的に移動させて画像を記録する。このように、使用ノズルの数が同じであっても、使用ノズルの位置の適宜変更を変更することにより、記録ヘッドの耐久寿命を延長させることができる。なお、記録ヘッドと記録媒体との相対位置を変更する機構の詳細説明は省略する。
【0039】
具体的には、図13に示す記録モードが繰り返されている場合には、S1105において、D,E,F,G,H,Iの6個のノズルチップ220のノズルからインクの予備吐出が実施される。そして、図13に示す記録モードから図15に示す記録モードに変更された場合には、S1104において記録モードの変更が検出され、S1106において第2の予備吐出処理が実施される。このとき、図15に示す記録モードで使用されるノズルチップ220は、A〜Eの位置にあるノズルチップ220であるが、新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップ220は、A〜Cの位置にある3つのノズルチップ220である。
【0040】
次に、S1105において、引き続き第1の予備吐出処理を実施する。本実施形態の第1の予備吐出処理は、図15に示したA〜Eの位置にある各ノズルチップ220内の全てのノズルからインクを予備吐出させる。
【0041】
このように本実施形態では、第2の予備吐出処理において、今まで使用していたノズルチップD,E,Fの3個のノズルチップについては、インクの予備吐出を実施しないで済むために、無駄なインク消費を抑制することができる。
【0042】
[その他の実施形態]
第3の実施形態においては、複数のノズルチップを千鳥配列したライン型記録ヘッドを用いた場合について説明したが、図4に示した単一のノズルチップの場合にも、当然実施可能である。
【0043】
また、上記実施形態においては、記録開始時にのみ第1の予備吐出を実施する場合について説明したが、このタイミングに限定されることはなく、図10のS1110のキャップクローズを行う直前に、記録で使用するノズルを含むノズルチップ内の全てのノズルに対して行う第1の予備吐出を行うことで、画像データがなかった使用ノズル等に対する増粘したノズル内のインクを排出する様にしても良い。
【0044】
また、上記実施形態において、記録媒体に画像記録を行っている時の予備吐出に関して記載していないが、第3の予備吐出処理として画像記録中は使用ノズルを含むノズルチップ単位ではなく、使用ノズルからのみインクを予備吐出させる構成としてもよい。これにより、吐出により発生するインクミスト発生を抑制することができる。
【0045】
また、記録開始時に既にノズル内の泡除去やインク充填、ノズル面に付着した付着物除去等のための回復処理が行われ、ノズル内の増粘インクが解消されている場合には、図10のS1105の第1の予備吐出、S1106の第2の予備吐出を実施しなくても良い。
【0046】
また、本発明の第1の予備吐出処理、第2の予備吐出処理におけるインク吐出数は、上記した吐出数に限定されるわけではなく、インク種、インク色、記録ヘッドの配列、ノズル口径、吐出量、キャップクローズ(累積)時間、キャップオープン(累積)時間等に応じて異ならせることができる。
【符号の説明】
【0047】
2 記録ヘッド
4 記録媒体
51 キャップ
120,220 ノズルチップ
121,221 ノズル列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配列された記録ヘッドと、前記複数のノズルのインク吐出性能を回復させるために、前記複数のノズルからインクを予備吐出させる予備吐出制御手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定された複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定する手段を有し、
前記予備吐出制御手段は、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録モードが変更されたかを検出する手段をさらに有し、
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合に、前記第2の予備吐出処理を実行し、変更後の記録モードに応じて前記第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドは、それぞれ複数のノズルが配列された複数のノズルチップを有し、
前記予備吐出制御手段は、前記複数のノズルチップのうち、設定されている記録モードの使用ノズルを含むノズルチップの各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、前記第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップの各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、前記第2の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録モードは、記録媒体のサイズに対応して変更される、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録モードは、前記複数のノズルにおける使用ノズルの位置の変更に対応して変更される、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記予備吐出制御手段は、画像の記録中に第3の予備吐出処理を実行し、
前記第3の予備吐出処理は、設定されている記録モードにおける使用ノズルのみからインクを予備吐出させる、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
複数のノズルが配列された記録ヘッドの当該複数のノズルのインク吐出性能を回復させる記録ヘッドの回復処理方法であって、
画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定し、
記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする記録ヘッドの回復処理方法。
【請求項10】
前記記録モードが変更されたことを検出し、
前記記録モードの変更を検出した場合に、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、請求項9に記載の記録ヘッドの回復処理方法。
【請求項1】
複数のノズルが配列された記録ヘッドと、前記複数のノズルのインク吐出性能を回復させるために、前記複数のノズルからインクを予備吐出させる予備吐出制御手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定された複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定する手段を有し、
前記予備吐出制御手段は、記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録モードが変更されたかを検出する手段をさらに有し、
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合に、前記第2の予備吐出処理を実行し、変更後の記録モードに応じて前記第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドは、それぞれ複数のノズルが配列された複数のノズルチップを有し、
前記予備吐出制御手段は、前記複数のノズルチップのうち、設定されている記録モードの使用ノズルを含むノズルチップの各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、前記第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記予備吐出制御手段は、前記記録モードの変更が検出された場合には、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルを含むノズルチップの各々における全てのノズルからインクを予備吐出させることにより、前記第2の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録モードは、記録媒体のサイズに対応して変更される、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録モードは、前記複数のノズルにおける使用ノズルの位置の変更に対応して変更される、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記予備吐出制御手段は、画像の記録中に第3の予備吐出処理を実行し、
前記第3の予備吐出処理は、設定されている記録モードにおける使用ノズルのみからインクを予備吐出させる、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
複数のノズルが配列された記録ヘッドの当該複数のノズルのインク吐出性能を回復させる記録ヘッドの回復処理方法であって、
画像記録に使用する使用ノズルの数および位置に応じて規定される複数の記録モードのうち、設定されている記録モードを特定し、
記録媒体への画像の記録の前又は後において、前記複数のノズルのうち、設定されている記録モードにおける使用ノズルおよび当該使用ノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第1の予備吐出処理を実行する、ことを特徴とする記録ヘッドの回復処理方法。
【請求項10】
前記記録モードが変更されたことを検出し、
前記記録モードの変更を検出した場合に、記録媒体への画像の記録の前において、不使用ノズルから新たに使用ノズルとなったノズルおよび当該新たに使用ノズルとなったノズルの近傍の不使用ノズルから選択的にインクを予備吐出させる第2の予備吐出処理を実行する、請求項9に記載の記録ヘッドの回復処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−166375(P2012−166375A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27196(P2011−27196)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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