説明

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

【課題】高浸透性インク、樹脂エマルジョンを含有したインクを使用する場合の接液性の低下を抑える。
【解決手段】インク吐出面側にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層140が形成された記録ヘッド34を備え、インクは、少なくとも水、顔料を含むインク組成物中に下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有するインクである。


ただし、一般式(1)中、ただし、一般式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、又はアリル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、インクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、インクを用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行うものがある。
【0003】
なお、本願において、「インクジェット記録装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置(画像形成装置)を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
このようにインクジェット記録装置では液体吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出させて記録を行うため、ノズルの形状、精度がインク滴の噴射特性に大きな影響を与える。また、ノズルを形成しているノズル形成部材(ノズル板という。)の表面の特性もインク滴の噴射特性に影響を与えることが知られている。例えば、ノズル板表面のノズル開口周辺部にインクが付着して不均一なインクだまりが発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられたり、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴の飛翔速度が不安定になる等の不都合が生じることが知られている。
【0005】
そこで、一般に、液体吐出ヘッドにおいては、液滴吐出側表面に撥水層(撥インク層、撥液層などとも称される。)などを形成するようにしている。
【0006】
ところで、撥水層としては、PTFE/Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着したもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂を塗布したもの等が挙げられるが、高画質化のための紙への浸透性の高い低表面張力のインク、または画像定着性向上、色材の分散安定性向上のために樹脂エマルジョンを含有した付着性の高いインクに対しては、極めて撥水性の高い特定の撥水層が必要となってきている。
【0007】
このような撥水性の高い撥水層としては、フッ素系撥水付与剤、特にフッ素系シランカップリング剤を含有する層を真空蒸着、塗布などにより形成して用いられる(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開特公平3−43065号公報
【特許文献2】特開平10−323984号公報
【0008】
しかしながら、これらの撥水層にあっては、初期的な撥水性は高いが耐久性が十分でない、つまり、液体吐出ヘッドにおいてはノズルの状態を維持回復するためにノズル面(吐出面)をワイピング部材で払拭するが、このワイピングに対する耐久性が十分でないという問題がある。
【0009】
そこで、ワイピング耐久性などの機械的耐久性を改善するために種々の対策が講じられている。
【特許文献3】特開2003−341070号公報
【特許文献4】特開2007−106024号公報
【特許文献5】特開2007−125849号公報
【0010】
また、インクとしては、特許文献6に記載されているように、シリコーン樹脂の撥水層を使用する場合に、インク中にポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテルを含有し、ワイピング耐久性などの機械的耐久性の向上を図るものもある。
【特許文献6】特開2007−253616号公報
【0011】
また、特許文献7には撥水層の撥水性の低下に対応するための含フッ素シリコンカップリング層の製造方法が記載されている。
【特許文献7】特開平6−210857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来のヘッドにあっては、撥水層にインクが長期間接した場合に撥水層が剥離したり、インクが撥水層に吸着されて撥水性が低下したりという課題が生じている。特に、低表面張力の高浸透性インクや樹脂エマルジョンを含有した付着性の高いインクに対する撥水性の低下を抑制できないという課題がある。
【0013】
なお、上述した特許文献6にはシリコーン樹脂の撥水層を使用する場合にインク中にポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテルを含有してワイピング耐性を向上することが記載されているが、フッ素系シランカップリング剤を含有する撥水層を用いた場合については何ら言及されていない。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、極めて高い撥水性を有するフッ素系撥水付与剤、特にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層のインク接液性を改善し、インク接液による撥水性の低下、ノズル形状の変化等による劣化を抑え、特に低表面張力の高浸透性インク、樹脂エマルジョンを含有した付着性の高いインクを使用する場合に高い信頼性を維持でき、長期にわたる吐出安定性が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、
インクの液滴を吐出するノズルを有し、インク吐出面側にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層が形成された記録ヘッドを備え、
前記インクは、少なくとも水、顔料を含むインク組成物中に下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有するインクである
構成とした。
【0016】
【化1】

ただし、一般式(1)中、ただし、一般式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、又はアリル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。
【0017】
ここで、前記界面活性剤がポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルである構成とできる。
【0018】
また、前記記録ヘッドの撥水層に含まれるフッ素系シランカップリング剤が変性パーフルオロポリオキセタンである構成とできる。
【0019】
また、前記インク組成物の表面張力が30mN/m以下である構成とできる。
【0020】
また、前記インク組成物中にフッ素系界面活性剤を含有する構成とできる。
【0021】
この場合、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(2)で表される構造である構成とできる。
【0022】
【化2】

ただし、一般式(2)中、m=0〜10、n=0〜40である。
【0023】
また、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(3)で表される構造である構成とできる。
【0024】
【化3】

ただし、一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。m、n、pは、整数を表す。
【0025】
また、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(4)で表される構造である構成とできる。
【0026】
【化4】

ただし、一般式(4)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。x、y、zは、整数を表す。
【0027】
また、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(5)で表される構造である構成とできる。
【0028】
【化5】

ただし、一般式(5)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。m、nは、整数を表す。
【0029】
また、前記インク組成物中に樹脂エマルジョンを含有している構成とできる。
【0030】
この場合、前記インク組成物中の樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、及びアクリルシリコーン系樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種を含む構成とできる。
【0031】
本発明に係るインクジェット記録方法は、本発明に係るインクジェット記録装置で画像を記録する構成とした。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る画像形成装置によれば、インクの液滴を吐出するノズルを有し、インク吐出面側にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層が形成された記録ヘッドを備え、インクは、少なくとも水、顔料を含むインク組成物中に前記一般式(1)で表される界面活性剤を含有するインクである構成としたので、極めて高い撥水性を有するフッ素系撥水付与剤、特にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層のインク接液性を改善し、インク接液による撥水性の低下、ノズル形状の変化等による劣化を抑え、特に低表面張力の高浸透性インク、樹脂エマルジョンを含有した付着性の高いインクを使用する場合に高い信頼性を維持でき、長期にわたる吐出安定性が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0034】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0035】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0036】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色の記録液カートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット5によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0037】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0038】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0039】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
【0040】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0041】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0042】
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、この空吐出受け84に一体形成され、ワイパブレード83に付着したインクを除去するための清掃部材であるワイパクリーナ部85と、ワイパブレード83のクリーニング時にワイパブレード83をワイパクリーナ85側に押し付けるワイパクリーナ86と、キャリッジ22をロックするキャリッジロック87などとを備えている。
【0043】
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0044】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0045】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0046】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0047】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0048】
次に、この画像形成装置における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
【0049】
この液体吐出ヘッドは、例えばSUS基板或いは単結晶シリコン基板をエッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
【0050】
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図3では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0051】
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
【0052】
また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル126を接続している。
【0053】
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。
【0054】
ノズル板103は、金属、樹脂材料などで形成したもので、各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。ノズル104の内部形状(内側形状)は、ホーン形状、略円柱形状又は略円錘台形状にすることができる。このノズル板103の表面(インク滴吐出表面:ノズル表面)には、撥水層140を形成している。
【0055】
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位Veから下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
【0056】
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0057】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0058】
次に、ノズル板103の表面に形成した撥水層140について説明する。
本発明では、低表面張力な高浸透性インクに対しても十分な撥水性を保持するために、撥水層140は、ノズル板103上にフッ素系撥水付与剤、特にフッ素系シランカップリング剤を含む層で構成している。
【0059】
この場合、ノズル板103のノズル基板と撥水層140との間に、フッ素系シランカップリング剤との結合点となる水酸基を多く存在させて密着性を向上させるために、無機酸化物層を介在させることもできる。無機酸化物層はSiO、TiOなどが挙げられ、その膜厚(層厚)は10〜2000Åが好ましく、さらに好ましくは100〜1000Åである。
【0060】
また、撥水層140に含有するフッ素系シランカップリング剤は、低分子物質、樹脂などで特に限定されるものではないが、例えば特公平3−43065号公報、特開平6−210857号公報、特開平10−32984号公報、特開2000−94567号公報、特開2002−145645号公報、特開2003−341070号公報、特開2007−106024号公報、特開2007−125849号公報等に開示されたものが挙げられる。特に、好ましい例としては、変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業製オプツールDSX)を挙げることができる。この場合、膜厚としては1〜200Åが好ましく、さらに好ましくは10〜100Åである。
【0061】
また、フッ素系シランカップリング剤による撥水層140の形成方法としては、スピンコート、ロールコート、ディッピング等の塗布、印刷、真空蒸着等の方法が挙げられる。
【0062】
フッ素系シランカップリング剤による撥水層140は、下地層と化学結合が形成されているので、機械的な耐久性は高いが、インク接液のように結合が切れるような化学的なハザードに対しては十分な耐久性を持ち合わせていない。そこで、本発明のインクを用いることによりインク接液性が大幅に改善された。
【0063】
次に、本発明で用いるインク組成物について説明する。
まず、次の一般式(1)で示した界面活性剤について説明すると、この界面活性剤は顔料の分散剤として非常に有効である。
【0064】
【化6】

ただし、一般式(1)中、ただし、一般式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、又はアリル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。
【0065】
前記一般式(1)中、R1のうち、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)、又はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0066】
炭素数1〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジルなどが挙げられる。
【0067】
前記一般式(1)中、nは、20〜200の整数が好ましく、20〜100がより好ましく、30〜50が更に好ましい。前記nが20未満であると、分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きく、また粒度分布における標準偏差の大きい顔料を含むインクとなるため満足な彩度が得られない。一方、nが200を超えると、インクの粘度が高くなり、インクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
【0068】
前記一般式(1)で示した界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(n=20)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=40)1−メチルβナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=60)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=60)1,5−ジメチルβナフチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルが特に好ましい。
【0069】
これらの顔料に対する添加割合は、質量基準として、顔料1に対し、0.1〜2.0が好ましく、0.1〜1.0がより好ましい。0.1〜2.0の範囲にすることにより平均粒径が小さく、また粒度分布における標準偏差の小さいインクを提供できる。顔料に対する界面活性剤が0.1未満では、平均粒径が大きく、また粒度分布の幅が大きいインク液のためノズルプレートに付着したインク中の顔料の粗大粒子量が多く、ワイピング時にインク中の粗大粒子の摩擦により撥インク層が損傷してしまう。前記添加割合が2.0より大きいと、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
【0070】
次に、フッ素系界面活性剤について説明する。このフッ素系界面活性剤をインクに含有させることによって、インク中で色材である顔料を安定に分散させ、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られるが、表面張力が低下するため、ノズル面に対しても濡れ性が上がり、前述のように、ノズル周辺部にインクが付着して不均一なインク溜まりが発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられたり、大きなばらつきが生じたりして吐出安定性が低下する。
【0071】
フッ素系界面活性剤のインク中への添加量としては、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であるが、本発明では特に限定されるものではない。
【0072】
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられ、次の一般式(2)、(3)、(4)、(5)で示した構造のものが特に信頼性の観点からも好ましい。
【0073】
【化7】

ただし、一般式(2)中、m=0〜10、n=0〜40である。
【0074】
【化8】

ただし、一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。m、n、pは、整数を表す。
【0075】
【化9】

ただし、一般式(4)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。x、y、zは、整数を表す。
【0076】
【化10】

ただし、一般式(5)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。m、nは、整数を表す。
【0077】
さらにフッ素系化合物として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93,FC−95,FC−98,FC−129,FC−135,FC−170C,FC−430,FC−431,FC−4430(住友スリーエム社製),メガファックF−470,F−1405,F474(大日本インク化学工業社製)、ゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(デュポン社製)、エフトップEF−351,352,801,802(ジェムコ社製)等が簡単に入手でき本発明に用いることができる。この中でも,特に信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(デュポン社製)が好適に使用できる。これら市販のものは、数種類の分子量のものの混合物(前記一般式(1)では、m、nが分布を有している)であることが多いが、本発明の効果においては問題なく認められる。
【0078】
これらは、単独または二種以上を混合して用いることも可能で、また、後述するアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の他の各種界面活性剤と混合して用いることも可能である。
【0079】
次に、樹脂エマルジョンについて説明する。インクが紙のような記録媒体に着弾した際、増粘ないし凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、更に紙への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては紙上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。さらに、樹脂エマルジョンを添加することで顔料の分散安定性が向上する。但し、撥インク層へのインク付着性の増加などにより、撥インク層の耐久性が低下する。
【0080】
樹脂エマルジョンとしては、例えばスチレン−アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、これらの中でも、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
【0081】
樹脂エマルジョンは、顔料インク作製原料として使用する際、又は本発明のインク組成物作製後において、O/W型のエマルジョンとして存在するものである。ポリウレタン系樹脂のエマルジョンには、比較的親水性の通常のポリウレタン系樹脂を外部に乳化剤を使用してエマルジョン化したものと、樹脂自体に乳化剤の働きをする官能基を共重合等の手段で導入した自己乳化型のエマルジョンがある。いずれも実施可能であるが、顔料インク組成物の組み合わせによって、顔料及びエマルジョン粒子の分散安定性に若干の差異があるので注意を要する。顔料や分散剤との各種組み合わせにおいて、常に分散安定性に優れているのはアニオン型自己乳化型ポリウレタンのエマルジョン樹脂である。その際、顔料の固着性及び分散安定性の面でポリウレタン系樹脂はポリエステル型、ポリカーボネート型よりもエーテル型である方が好ましい。その理由は定かではないが、非エーテル型は耐溶剤性に弱いものが多く、インクの高温保存時に粘度が凝集しやすい。
【0082】
樹脂エマルジョンとしては、市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、J−450、J−734、J−7600、J−352、J−390、J−7100、J−741、J74J、J−511、J−840、J−775、HRC−1645、HPD−71(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、いずれも、ジョンソンポリマー社製);UVA383MA(アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョン、BASF社製);AP4710(アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョン、昭和高分子株式会社製);SF460、SF460S、SF420、SF110、SF300、SF361(ポリウレタン系樹脂エマルジョン、いずれも日本ユニカー株式会社製)などが挙げられる。
【0083】
前記樹脂エマルジョンの含有量は、前記インクジェット記録用インク中、樹脂固形分として0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、記録媒体へ着弾した後、樹脂が顔料を覆う量が不十分で、耐擦過効果が小さく、20質量%より多いと、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
【0084】
また、前記一般式(1)に示した界面活性剤、フッ素系界面活性剤以外にも、顔料の分散剤、インクとしての浸透剤として他の界面活性剤を含有させることも可能である。
【0085】
他の水溶性界面活性剤の具体例として、例えばアニオン界面活性剤としてはアルキルアリル又はアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等がある。
【0086】
カチオン界面活性剤としてはアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等がある。
【0087】
ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシド等がある。
【0088】
両性界面活性剤としてはイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等がある。分散剤としての界面活性剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で前記一般式(1)に示した界面活性剤に加えて単独または二種以上を適宣添加されて良い。
【0089】
次に、その他のインク構成(組成)成分について説明する。
本発明では色材としては、顔料を用いるものであり、顔料としては、無機顔料として、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。
【0090】
インク組成物中の色材としての顔料の添加量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。一般に顔料濃度が高くなると画像濃度が上がり画質が向上するが、定着性や吐出安定性、目詰まり等の信頼性に対しては悪影響が出易くなる。
【0091】
本発明において好ましく用いられる顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、150、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
【0092】
顔料の粒径については特に制限は無いが、最大個数換算で最大頻度が20〜150nmの粒径の顔料インクを用いることが本発明では好ましい。粒径が150nmを超えると、インク組成物としての顔料分散安定性が悪くなるばかりでなく、吐出安定性も劣化し、画像濃度などの画像品質も低くなり好ましくない。粒径が20nm未満では、インク組成物の保存安定性、プリンタでの噴射特性は安定するが、そのように細かな粒径にまで分散せしめるのは、分散操作や、分級操作が複雑となり、経済的にインクを製造することが困難となる。
【0093】
その他の添加剤で防腐防黴剤、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0094】
防腐防黴剤としては、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム等が挙げられる。
【0095】
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコ−ル酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
【0096】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
【0097】
本発明のインク組成物は、顔料、一般式(1)に示した界面活性剤、その他構成成分を水性媒体中に分散または溶解し、さらに必要に応じて攪拌混合して作製する。分散はサンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行なうことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができるが、本発明はインクの製造方法に左右されるものではない。
【0098】
前述したように、本発明に係るインクジェット記録装置は、カラーフィルター、有機EL等の製造装置、その他各種パターニング装置と称される画像形成装置にも適用することができる。
【0099】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
〔実施例1〕
以下の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミルを用いて循環分散して顔料分散液(a)を作製した。
<顔料分散液(a)>
C.I.ピグメントレッド122 15重量部
界面活性剤 ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル 11重量部
一般式(1)のm=0、n=40
純水 74重量部

【0100】
以下の混合物を2時間撹拌後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルタで濾過して、インク組成物(1)を作製した。
<インク組成物(1)>
顔料分散液(a) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤FS−300(Du Pont社製) 2重量部
前記一般式(1)のm=6〜8、n=26以上
ポリウレタン系樹脂エマルジョンW5661(三井武田ケミカル製) 2.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 15重量部
【0101】
上記作製したインクを前述したインクジェット記録装置としてプリンタ(リコー製IPSIO G707)を用いて、以下の方法で吐出安定性を評価した。
【0102】
<ノズル板及び撥水層>
なお、上記プリンタのヘッドのノズル板はポリイミドフィルム(Du Pont製カプトン 粒子添加無し)上に、スパッタリング法にて約10ÅのSiO層を形成後、真空蒸着法にて約50Åの変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業製オプツールDSX)の撥水層を形成し、ポリイミドフィルム側からエキシマレーザーでノズル孔加工を行なって作製したものを用いた。
【0103】
<ノズル撥水性評価>
作製したノズル板の初期の後退接触角を拡張収縮法にて測定した後、インク組成物(1)中に浸漬して50℃−1ヶ月間放置した後の後退接触角を再度測定した。結果を表1に示した。
【0104】
<吐出安定性評価>
10分間連続して印字を行ない、ノズル面にインクが付着した状態のまま保湿キャップで密封してプリンタを50℃−60%RH環境下にて1ヶ月間放置した後、クリーニングを実施して放置前と同等に復帰させた。この後、以下の条件で間欠印写試験を行って吐出安定性を評価した。結果を表1に示した。
【0105】
すなわち、以下の印刷パターンチャートを20枚連続で印字後、20分間印字を実施しない休止状態にし,これを50回繰り返し、累計で1000枚印写後、もう1枚同チャートを印写した時の5%チャートベタ部の筋,白抜け,噴射乱れの有無を目視にて以下の基準で評価した。なお、印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度は360dpi、ワンパス印字とした。
【0106】
なお、表1中の吐出安定性の評価の符号「A」、「B」、「C」の意味は、次のとおりである。
A:ベタ部にスジ,白抜け,噴射乱れが無い
B:ベタ部にスジ,白抜け,噴射乱れが若干認められる
C:ベタ部全域にわたってにスジ,白抜け,噴射乱れが認められる
【0107】
〔実施例2〕
実施例1において、以下のインク組成物(2)を用いた。
<インク組成物(2)>
顔料分散液(a) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤(一般式(3)においてn=4、m=21、p=4、Rf=CFCF) 1重量部
ポリウレタン系樹脂エマルジョンSF460S(日本ユニカー社製) 2.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 16重量部
【0108】
〔実施例3〕
実施例1において、顔料分散液、インクに以下のものを用いた。
<顔料分散液(b)>
C.I.ピグメントブルー15:3 15重量部
界面活性剤ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル 11重量部
一般式(1)のm=0、n=40
純水 74重量部
【0109】
以下の混合物を2時間撹拌後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過してインク組成物(3)を作製した。
<インク組成物(3)>
顔料分散液(b) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤(一般式(4)のR1:CF,Rf:C,x:4,y:4,z:20) 1重量部
スチレン-アクリル系樹脂エマルジョンJ−450(ジョンソンポリマー社製)
2.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 16重量部
【0110】
〔実施例4〕
実施例1において、顔料分散液、インクに以下のものを用いた。
<顔料分散液(c)>
C.I.ピグメントブルー15:3 15重量部
界面活性剤 ポリオキシエチレン(n=20)β−ナフチルエーテル 11重量部
一般式(1)のm=0、n=20
純水 74重量部
【0111】
以下の混合物を2時間撹拌後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過してインク組成物(4)を作製した。
<インク組成物(4)>
顔料分散液(c) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤FS−300(Du Pont社製) 1.5重量部
前記一般式(1)のm=6〜8、n=26以上
ポリウレタン系樹脂エマルジョンW5661(三井武田ケミカル製) 2.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 15.5重量部
【0112】
〔実施例5〕
実施例1において、顔料分散液、インクに以下のものを用いた。
<顔料分散液(d)>
C.I.ピグメントイエロー74 15重量部
界面活性剤 ポリオキシエチレン(n=40)1−メチル−β−ナフチルエーテル
11重量部
一般式(1)の R1=CH、m=1、n=40
純水 74重量部
【0113】
以下の混合物を2時間撹拌後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過してインク組成物(5)を作製した。
<インク組成物(5)>
顔料分散液(c) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤(一般式(5)のR1:CH,R2:H,Rf:C,m:16,n:6) 1重量部
アクリルシリコーン系樹脂エマルジョンAP4710(昭和高分子社製)
2.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 16重量部
【0114】
〔実施例6〕
以下の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミルを用いて循環分散して顔料分散液(e)を作製した。
<顔料分散液(e)>
カーボンブラック NIPEX180(Degussa社製) 15重量部
界面活性剤ポリオキシエチレン(n=60)β−ナフチルエーテル 6重量部
一般式(1)のm=0、n=60
純水 79重量部
【0115】
以下の混合物を2時間撹拌後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過してインク組成物(6)を作製した。
<インク組成物(6)>
顔料分散液(e) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
界面活性剤ECTD3NEX(日光ケミカルズ製) 2重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 17.5重量部
【0116】
上記作製したインクを前述したインクジェット記録装置としてプリンタ(リコー製IPSIO G707)を用いて、実施例1と同様に、吐出安定性を評価した。
【0117】
[ノズル板及び撥水層]
なお、上記プリンタのヘッドのノズル板は、SUS基板表面上に変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業製オプツールDSX)を浸漬法にて塗布して100℃−1時間加熱して約100Åの撥水層を形成した。このとき、ノズル孔内部を水溶性樹脂でマスキングし、撥水層塗布形成後、剥離除去したため、ノズル孔内壁面には撥水層が形成されていない。
【0118】
〔実施例7〕
実施例6において、以下のインク組成物(7)を用いた。
<インク組成物(7)>
顔料分散液(e) 50重量部
1,3−ブタンジオール 20重量部
グリセリン 10重量部
界面活性剤 ソフタノールEP−7025(日本触媒製) 1.5重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
純水 16重量部
【0119】
〔比較例1〕
実施例1において、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルの代わりに、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=7)オクチルエーテルを用いて以下の顔料分散液(f)を作製して用いた。
<顔料分散液(f)>
C.I.ピグメントレッド122 15重量部
界面活性剤 ポリオキシエチレン(n=7)オクチルエーテル 11重量部
純水 74重量部
【0120】
〔比較例2〕
実施例2において、以下の顔料分散液(g)を用いた。
<顔料分散液(g)>
C.I.ピグメントレッド122を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%の顔料分散液を作製した。
【0121】
〔比較例3〕
実施例3において、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=40)1−メチル−β−ナフチルエーテルの代わりに、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=12)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムを用いて以下の顔料分散液(h)を作製して用いた。
<顔料分散液(h)>
C.I.ピグメントブルー15:3 15重量部
界面活性剤ポリオキシエチレン(n=12)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム
11重量部
純水 74重量部
【0122】
〔比較例4〕
実施例4において、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=40)1−メチル−β−ナフチルエーテルの代わりに、分散剤として水溶性スチレン−アクリル樹脂IIRC−1645(ジョンソンポリマー製)を用いて以下の処方で顔料分散液(i)を作製して用いた。
<顔料分散液(i)>
C.I.ピグメントブルー15:3 15重量部
水溶性スチレン-アクリル樹脂IIRC−1645(ジョンソンポリマー製)
2重量部
純水 83重量部
【0123】
〔比較例5〕
実施例5において、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=20)β−ナフチルエーテルの代わりに、界面活性剤オクチルプロペニルフェノールエチレンオキサイド(50モル付加体)を用いて、以下の顔料分散液(j)を作製して用いた。
<顔料分散液(j)>
C.I.ピグメントイエロー74 15重量部
界面活性剤オクチルプロペニルフェノールエチレンオキサイド(50モル付加体)
11重量部
純水 74重量部
【0124】
〔比較例6〕
実施例6において、以下の顔料分散液(k)を用いた。
<顔料分散液(k)>
カーボンブラック NIPEX180(Degussa社製)200gをスルホラン500ml中に良く混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウエットケーキを得る。このカーボンブラックウエットケーキを1000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮し、1μmのナイロンフィルターで濾過し顔料濃度20重量%の顔料分散液を作製した。
【0125】
〔比較例7〕
実施例7において、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=60)β−ナフチルエーテルの代わりに、界面活性剤ポリオキシエチレン(n=12)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムを用いて、以下の顔料分散液(k)を作製して用いた。
<顔料分散液(k)>
カーボンブラック NIPEX180(Degussa社製) 15重量部
界面活性剤ポリオキシエチレン(n=12)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム
6重量部
一般式(1)のm=0、n=60
純水 79重量部
【0126】
【表1】

【0127】
このように、ノズル形成部材のインク吐出面側にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層を備える記録ヘッドを使用し、少なくとも水、色材を含むインク組成物中に前記一般式(1)で表される界面活性剤を含有したインクを吐出させることで、撥水層のインク接液による劣化を抑えることができて、高い信頼性で画像を記録することができる。
【0128】
この場合、界面活性剤がポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルであるとすることで、撥水層を形成するフッ素系シランカップリング剤が変性パーフルオロポリオキセタンである場合に耐インク接液性に効果的である。
【0129】
また、本発明によりフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層のインク接液性を向上させることにより、上記撥水層の当初の効果である低表面張力(30mN/m以下)の高浸透性インク又は樹脂エマルジョンを含有した付着性の高いインクに対する撥水性を耐久性含めて確保することが可能となる。低表面張力インクとして、フッ素系界面活性剤を含有する場合、特に前記一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表される特定構造の海面活性剤を含有する場合であっても、インク接液による撥水性の低下なく、長期に亘り撥水性を確保することができる。また、樹脂エマルジョンとしては、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、及びアクリルシリコーン系樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種を含有するインクを使用する場合であっても、インク接液による撥水性の低下なく、長期に亘り撥水性を確保することができる。
【0130】
なお、上記各実施形態では本発明に係るインクジェット記録装置としてプリンタ構成で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などのインクジェット記録装置に適用することができる。なお、前述したように、本願における「インク」には媒体上の表面性質を改質する定着処理液なども含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】同画像形成装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向に沿う断面説明図である。
【図4】同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。
【符号の説明】
【0132】
33…キャリッジ
34…記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
101…ノズル板
104…ノズル
140…撥水層(撥インク層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの液滴を吐出するノズルを有し、インク吐出面側にフッ素系シランカップリング剤を含む撥水層が形成された記録ヘッドを備え、
前記インクは、少なくとも水、顔料を含むインク組成物中に下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有するインクである
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【化1】

ただし、一般式(1)中、ただし、一般式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、又はアリル基を表し、lは0〜7の整数を表し、nは20〜200の整数を表す。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記界面活性剤がポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの撥水層に含まれるフッ素系シランカップリング剤が変性パーフルオロポリオキセタンであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記インク組成物の表面張力が30mN/m以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記インク組成物中にフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェット記録装置において、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(2)で表される構造であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【化2】

ただし、一般式(2)中、m=0〜10、n=0〜40である。
【請求項7】
請求項5に記載のインクジェット記録装置おいて、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(3)で表される構造であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【化3】

ただし、一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。m、n、pは、整数を表す。
【請求項8】
請求項5に記載のインクジェット記録装置おいて、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(4)で表される構造であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【化4】

ただし、一般式(4)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。x、y、zは、整数を表す。
【請求項9】
請求項5に記載のインクジェット記録装置おいて、前記インク組成物中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(5)で表される構造であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【化5】

ただし、一般式(5)中、R1は水素、アルキル基、又はフッ素含有基を表す。Rfは、フッ素含有基を表す。m、nは、整数を表す。
【請求項10】
請求項1に記載のインクジェット記録装置おいて、前記インク組成物中に樹脂エマルジョンを含有していることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェット記録装置において、前記インク組成物中の樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、及びアクリルシリコーン系樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のインクジェット記録装置で画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−214457(P2009−214457A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61483(P2008−61483)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】