説明

インクジェット記録装置及びプログラム

【課題】印刷中にインクを乾燥させるため一旦印刷を中断してインク汚れを防ぐ。
【解決手段】キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行い(S101)、今回のスキャン印字で使用されたインク消費量と直近の所定回数(例えば5回)のスキャンで消費したインク消費量から、インク消費量を表す値を求める(S102)、そのインク消費量を表す値が予め定めた閾値を越えているか否か判断し(S103)、越えたときは(S103、YES)、印刷を中断して中断時間を設定する(S104)、印刷中断後、前記設定した中断時間が経過したとき(S105、YES)印刷中断を解除する(S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行うインクジェット方式の記録装置即ちインクジェット記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、ノズルからインクの液滴を記録用紙に吐出して記録などを行うため、吐出されたインクが未だ乾いていない状態で印刷された記録用紙を排出すると、先に排出した記録用紙を汚してしまったり、或いは長尺な記録用紙の場合には、その長尺な記録用紙のスタック性に制約があると(例えば、排紙部が記録用紙の大きさに対応できていない等の制約がある)、記録用紙自体にインクが付着してダメージを与えてしまうことがある。
【0003】
図4は、広幅ロール紙への印刷後、排紙を完了する際の代表的な例を示す。図示のように、特に広幅ロール紙へ印刷を行う場合は、印刷済みの記録用紙は自重で落下するような排紙の仕組みになっている場合が多い。
このような広幅ロール紙へ印刷を行う場合は、後処理装置が設置されていることもあるが、多くの場合、記録用紙が自重で落下するに任せる排紙方式を採っている。また、場合によっては、数mに達する長尺の印刷もあり、排紙された記録用紙は、受け口の中で丸まった状態になることが多い。
この場合、特にインクジェットヘッドによる印刷の場合は、既に述べたようにインクが十分に乾いていないと、印刷面がこすれて印刷物の品質が落ちる可能性がある。
【0004】
この問題を解決する手段として、記録用紙を素早く乾燥させるために、インクジェット記録装置内にヒーターを設置したり、印刷に使用したインク量がある閾値を越えた場合に、排紙する前に一旦停止させ、乾燥時間を設ける記録制御手段が既に知られている(特許文献1参照)。
【0005】
即ち、特許文献1には、記録用紙を乾燥させる目的で、両面印刷を行う場合において、記録用紙の片面印刷終了後から、次の動作である記録媒体搬送動作開始前までに待機時間を設け、その間にインクを乾燥させるインクジェット記録装置が開示されている。
この発明は、後述する本発明とは記録用紙を停止させて印刷面のインクを乾燥させる点では類似する点がある。
【0006】
しかし、このインクジェット記録装置は、1ページの印刷を完了したタイミングで印刷に使用したインク量を、閾値と比較して乾燥時間を設定する構成を採っている。そのため、記録用紙は途中で停止することなく排紙口に排紙されてくる。他方、広幅機に代表される長尺な記録用紙の“1ページ”は一般的な定形紙(A3記録用紙など)と比べると、それよりもかなり長いことがある。そのような長尺な記録用紙への印刷を行う場合は、排紙スペースに余裕がないと、記録用紙はインクが乾燥していない状態で折れ曲がり、そのため印刷面がこすれて画像にダメージを与えてしまうという問題が生じる。
つまり、この従来のインクジェット記録装置の構成では、長尺な記録用紙の場合、1ページの印刷の最中に、当該ページの印刷済み領域がインクジェット記録装置の外に出てしまい、記録用紙にダメージを与える可能性があるという問題は解消できていない。また、記録用紙を乾燥させるためのヒーターを設置する方式では、消費電力や装置のコストが高くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、インクジェット記録装置において、長尺な記録用紙への印刷の場合でも、乾燥前の記録用紙が排出されることで先に排出した記録用紙を汚してしまったり、印刷画像にダメージが発生することを回避できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行うインクジェット記録装置であって、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を表す値を算出するインク消費量算出部と、前記インク消費量を表す値と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断する印刷中断判断部と、を備え、前記印刷中断判断部が、前記インク消費量を表す値が前記閾値を越えていると判断したとき、所定時間印刷を中断するインクジェット記録装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記印刷を中断する所定時間を設定する中断時間設定部と、印刷の中断からの経過時間が前記所定時間を経過したとき、印刷中断を解除するタイマー部、を備えたインクジェット記録装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたインクジェット記録装置において、前記閾値は記録用紙幅毎に設定されることを特徴とするインクジェット記録装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、前記インク消費量を表す値は、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を記録用紙幅で割った単位消費量であり、前記印刷中断判断部は、前記単位消費量と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断するインクジェット記録装置である。
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、前記インク消費量を表す値は、直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を印字から経過した時間に応じて所定の割合で低減させて求めた、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量の加重平均値であり、前記所定の閾値はインク消費量の加重平均値に対応して定めた閾値であるインクジェット記録装置である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、環境湿度測定手段又は環境温度測定手段を備え、前記閾値を測定された環境湿度又は環境温度に応じて変更自在としたインクジェット記録装置である。
請求項7の発明は、キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行うインクジェット記録装置のコンピュータを、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を表す値を算出するインク消費量算出部と、前記インク消費量を表す値と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断する印刷中断判断部と、して機能させ、かつ前記印刷中断判断部が、前記インク消費量を表す値が前記閾値を越えていると判断したとき、所定時間印刷を中断するようにしたコンピュータ読取可能なプログラムである。
請求項8の発明は、請求項7に記載されたコンピュータ読取可能なプログラムにおいて、さらに、前記印刷を中断する所定時間を設定する中断時間設定部、印刷の中断からの経過時間が前記所定時間を経過したとき、印刷中断を解除するタイマー部、として機能させるコンピュータ読取可能なプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1ページの印刷の最中に、記録用紙への印刷を中断し、インク乾燥時間を確保できるため、長尺の記録用紙の場合でも、記録用紙が未乾燥のまま外に出ることがなく、したがって、先に排出した記録用紙を汚してしまったり、印刷画像にダメージを与えたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一実施形態に係る構成を概略的に示した構成図である。
【図2】本実施形態のインクジェット記録装置の内部構成を示した機能ブロック図である(環境湿温度を検出するセンサ、紙種を記憶するメモリを含む)。
【図3】印刷を一時停止するか否かを判断する制御を説明したフローチャートである。
【図4】広幅ロール紙への印刷後、排紙を完了する際の代表的な例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態に係る構成を概略的に示した構成図である。
本インクジェット記録装置1は、例えば、外部PC(Personal Computer)を接続し、印字データ、制御データを受信するためのネットワークコントロールユニット(NCU)を備えたものであり、ネットワークを介して接続された外部のPCから印刷要求に基づき、給紙部10に収納した記録用紙Pを給紙ローラ12により1枚ずつ分離して搬送し、外部PCから送信された画像データに基づき、印刷を行う。
なお、以下の説明では、記録用紙Pはシート紙を用いるインクジェット記録装置に適用したものとして説明するが、本発明は、当然のことながらロール紙を用いるインクジェット記録装置に好適である。
【0012】
本実施形態のインクジェット記録装置は、ネットワークを介して接続された外部のPCから印刷要求が来ると、給紙部10(手差し給紙部40)に収納した記録用紙Pを給紙ローラ12により1枚ずつ分離して上方に搬送する。そして、図示しないレジストセンサの位置で一旦停止され、レジストローラ14により記録用紙Pの先端を合わせた後、画像データの出力タイミングに合わせてレジストローラ14により再度給紙される。記録用紙Pは、その後ベルト搬送部15で搬送され、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色毎に設けられたヘッド部20で印字が行われる。印字後の記録用紙Pは、水平搬送ローラ及び拍車16により搬送され、必要に応じて印刷を一時中断してインクの乾燥時間を置いた後、排紙ローラ18側に送り、排紙部30に排紙する。
【0013】
ヘッド部20は、記録用紙Pに画像記録を行うインクジェットヘッドを搭載するキャリッジを備えている。インクジェットヘッドは、各色(C、M、Y、K)のヘッドを有し、印刷(記録)を行う場合には、インクジェットヘッドを備えたキャリッジ(図示せず)を記録用紙Pの搬送方向に対して垂直の方向に走査(印字スキャン)し、インクを各色毎の印字データに基づいてインクジェットヘッドにより記録用紙上に吐出する。
排紙部30は、ヘッド部20で印刷がなされた記録用紙Pを排紙する排紙トレイである。
なお、図示していないが、本インクジェット記録装置には、前記キャリッジを副走査方向に搬送する副走査モータ、インクジェットヘッドを主走査方向にスキャンさせる主走査モータなどの駆動手段が備えられている。
【0014】
図2は、本実施形態のインクジェット記録装置の内部構成を示した機能ブロック図である。
本インクジェット記録装置は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、NV(不揮発性)RAM104、湿温度センサ110、操作部120、駆動部130、を備え、それぞれバス200を介して接続されている。
【0015】
CPU101は、本インクジェット記録装置全体を制御する中央演算処理装置である。CPU101、ROM102、RAM103、NVRAM104は制御部(コンピュータ)100を構成し、ROM102は、CPU101が実行するプログラムを格納する読み出し専用のメモリである。RAM103は、CPU101が制御を行うために必要なデータを格納し、また各種処理で使用されるワークエリアの役割を果たす読み書き可能なメモリである。NVRAM104は、後述するインクジェットヘッドのインク消費量や複数の閾値等を記憶する。
また、制御部100では、CPU101がROM102内のプログラムを読み込んで後述する処理等の機能を実行する。
【0016】
操作部120は、インクジェット記録装置を操作する各種操作キーや、機器状態等をユーザに知らせるためのLCD(Liquid Crystal Display)等の表示器を備える。
【0017】
駆動部130は、ヘッド部20におけるキャリッジモータや印字ヘッドキャリッジの駆動を行うモータのほか、ベルト搬送部15における駆動ローラ、給紙部10における給紙ローラ12、排紙のための排紙ローラ18等を駆動して記録用紙の給紙、搬送、排紙を行うためのメインモータを備える。
湿温度センサ110は、記録用紙Pに吐出されたインクの乾燥具合を判断するために必要な環境温度、環境湿度を検知するものであり、本インクジェット記録装置内の適宜の場所に配置されている。
【0018】
本実施形態は、書き込みスキャン毎のインク消費量をカウントするインク消費量カウント手段140を備えている。インク消費量カウント手段140は、それ自身は公知のものであり、例えば、ノズルからのインク吐出量(吐出回数)をカウントする(特開2004−66553号公報参照)、或いはスキャンデータの画像データの画素パターンをカウントし、インクの吐出量を検出する画素パターンカウント手段(特開2004−303156号公報参照)などが使用できる。
【0019】
制御部100において、CPU101はプログラムによる機能実現手段として、インク消費量算出部100aと、印刷中断判断部100bと、中断時間設定部100cと、タイマー部100dを備えている。
インク消費量算出部100aは、従来のインク消費量カウント手段のカウント結果に基づき印刷(又は記録)に用いたインク消費量を算出する。
印刷中断判断部100bは、算出したインク消費量と予め定めた閾値を比較して、実行中の印刷を中断するか否かの判断を行う。即ち、前記インク消費量が前記閾値を越えたときは、記録用紙を乾燥させる必要があると判断し、印刷を一時中断するための制御を行う。
中断時間設定部100cは、印刷中断判断部100bが実行中の印刷中断を決定したとき、その閾値に応じた中断時間を設定する。
タイマー部100dは、印刷中断開始後の経過時間を監視して、中断時間設定部100cで設定された中断時間経過時に印刷を再開させる制御を行う。
【0020】
次に、以上のように構成されたインクジェット記録装置における、印刷の停止(中断)処理手順を図3に示すフロー図に基づいて説明する。
まず、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行い(S101)、その際、インク消費量算出部100aは、インク消費量カウント手段140で得られた今回のスキャン(1スキャン)印字で使用されたインク消費量と、NVRAM104に記憶されている直近の所定回数(例えば5回)のスキャン印字で消費したインク消費量から、インク消費量を表す値(インク消費量自体でも、或いは後述するようにインク消費量を反映する値でもよい)を求める(S102)。印刷中断判断部100bはそのインク消費量を表す値が予め定めた閾値を越えているか否か判断し(S103)、越えたときは(S103、YES)、印刷を中断し、かつ中断時間設定部100cが閾値に対応して定めた中断時間を、タイマー部100dに設定する(S104)。タイマー部100dは印刷中断後の経過時間を監視し、所定時間経過したとき(S105、YES)、印刷中断を解除する(S106)。その段階で印刷が終了していれば(S107、YES)処理を終了する。
【0021】
また、ステップS103で、印刷中断判断部100bがインク消費量を表す値についてそれが予め定めた閾値を越えていないと判断したときは(S103、NO)、そのまま印刷を続け、印刷が完了したとき(S107、YES)に処理を終了する。
【0022】
ここで、本実施形態では、インク消費量を表す値を算出するに当たり、インク消費量算出部100aは、インク消費量を表す値として、今回行った1スキャン印字におけるインク消費量と、直近の所定回数(例えば5回)のスキャン印字で消費したインク消費量、もしくはスキャン印字毎の消費したインク消費量の加重平均を求める。
このように、インク消費量の加重平均を求めるのは、インク消費量を求める際、直近のスキャンで印字した部分と、数回前のスキャンで印刷した部分とでは、インクの乾き方に差が出てくる。つまり、数回前のスキャン印字で多めにインクを使用していても、その後の数回の印刷を行っている間に、乾燥が進んでいることが予想されるためである。
【0023】
具体的には、今回のスキャンと直近数回のスキャン印字におけるインク消費量を表す値を計算する場合に、過去のスキャン印字におけるインク消費量に対して印字されてからの経過時間に応じたウエイトを付けて、その経過時間に応じて寄与分を低減させる。具体的には、インク消費量に係数としてα/印字後経過時間(msec)の値を掛ける。ここでαは所定の定数であり、実験により求めた適切な値とする。上記係数αは、0以上1未満となる。
このようにして、インク消費量の平均を算出する場合に、過去分のインク消費量の寄与分を下げることで、実体に近い状態で未乾燥のインク消費量を算出することができる。
【0024】
次に、閾値の設定に当たって考慮すべき点について説明する。
一般的に記録用紙幅が狭い場合は、必然的にインク消費量も少なくなる。そのため、全ての記録用紙に対して共通の閾値を設定すると、狭幅の記録用紙の場合は印刷が停止し難くなり、乾燥時間が設定できない可能性が出てくる。
そこで、第1の方法としは、記録用紙幅に応じた閾値を設けることが考えられる。これにより、狭幅の記録用紙においても、乾燥時間を確保することができる。
また、第2の方法としては、インク消費量を表す値として、インク消費量を記録用紙幅で割った値を閾値と比較するようにしてもよい。即ち、単位幅あたりのインク消費量(単位消費量)を算出することで、記録用紙幅毎に閾値を設定しなくても、記録用紙幅に関係なく共通の閾値で判断することができる。
なお、当然のことながら、閾値を第2の方法で設定した場合には、図3のステップS102に示す処理においても、インク消費量算出部100aはこれに対応させてインク消費量を表す値として前記単位消費量を算出することになる。
【0025】
更に、以上のようにして設定される閾値は、環境湿温度によって変動させるようにすることが望ましい。即ち、通常、インクは環境温度が高く、環境湿度が低ければ乾きやすく、環境温度が低く、環境湿度が高ければ乾きにくい。最悪条件にのみ合わせて閾値を決めた場合、無駄に乾燥時間を確保する場合が発生する。
そこで、環境湿温度に応じて異なる閾値を段階的に設けることで、無駄に印刷を停止することなく、かつ、乾燥時間の確保が不足することが無いようにすることができる。
【0026】
本実施形態では、当該記録用紙Pにインクジェットノズルから、使用するインクを吐出したときの湿度、温度の変化に対応した乾燥時間の変化を実験で求め、例えば、所定温度において所定量のインクを吐出したときの湿度変化に基づく乾燥時間の変化を示す特性曲線を各温度毎に予め作成しておく。それをテーブルとしてメモリ(NVRAM104)に保持しておき、最低乾燥時間を上回るようにそれぞれインク消費量を表す値に対応した閾値を設定し、制御部100の印刷中断判断手段100bが閾値と対比して判断する構成とすることができる。
【0027】
なお、一の処理フローにおけるインク消費量を表す値に対して閾値を複数用意しておき、それぞれの閾値毎に、確保する乾燥時間を設定しておく。第一の閾値を越えただけの場合は1秒、第二の閾値も越えた場合は2秒、第三の閾値も越えた場合は5秒、というようにすれば、無駄に生産性を落とすことが無く、また、必要ならば十分な乾燥時間を確保することもできる。
また、記録用紙の種類によっても乾燥時間を切り替えられるようにしてもよい。
【0028】
以上で説明したように、本実施形態によれば、インクジェット記録装置における記録用紙の乾燥時間を確保するに当たり、従来のように、ページ単位でインク消費量を判断するのではなく、印刷に使ったインク量について、今回のスキャン(1スキャン)で消費したインク消費量と、直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量からインク消費量を表す値を求め、これを閾値と比較してその値が閾値を越えた場合には印刷を一時的に中断して記録用紙の乾燥時間を設けることができる。
それにより、インク消費量を表す値が閾値を上回っているときは、ページ排紙の途中で乾燥のために記録用紙を一時停止することができ、前記従来の問題を解消することができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・インクジェット記録装置、10・・・給紙部、12・・・給紙ローラ、14・・・レジストローラ、15・・・ベルト搬送部、16・・・水平搬送ローラ及び拍車、18・・排紙ローラ、20・・・ヘッド部、30・・・排紙部、40・・・手差し給紙部、100・・・制御部(コンピュータ)、100a・・・インク消費量算出部、100b・・・印刷中断判断部、100c・・・中断時間設定部、100d・・・タイマー部、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・NVRAM、110・・・湿温度センサ、120・・・操作部、130・・・駆動部、140・・・インク消費量カウント手段、P・・・記録用紙。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2007−069530号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行うインクジェット記録装置であって、
今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を表す値を算出するインク消費量算出部と、
前記インク消費量を表す値と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断する印刷中断判断部と、を備え、
前記印刷中断判断部が、前記インク消費量を表す値が前記閾値を越えていると判断したとき、所定時間印刷を中断するインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記印刷を中断する所定時間を設定する中断時間設定部と、
印刷の中断からの経過時間が前記所定時間を経過したとき、印刷中断を解除するタイマー部、を備えたインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたインクジェット記録装置において、
前記閾値は記録用紙幅毎に設定されるインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、
前記インク消費量を表す値は、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を記録用紙幅で割った単位消費量であり、
前記印刷中断判断部は、前記単位消費量と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断するインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、
前記インク消費量を表す値は、直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を印字から経過した時間に応じて所定の割合で低減させて求めた、今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量の加重平均値であり、
前記所定の閾値はインク消費量の加重平均値に対応して定めた閾値であるインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、
環境湿度測定手段又は環境温度測定手段を備え、前記閾値を測定された環境湿度又は環境温度に応じて変更自在としたインクジェット記録装置。
【請求項7】
キャリッジに搭載されたヘッドを主走査方向にスキャンさせて書き込みを行うインクジェット記録装置のコンピュータを、
今回のスキャンと直近の所定回数のスキャンで消費したインク消費量を表す値を算出するインク消費量算出部と、
前記インク消費量を表す値と所定の閾値に基づき印刷の中断の要否を判断する印刷中断判断部と、して機能させ、かつ
前記印刷中断判断部が、前記インク消費量を表す値が前記閾値を越えていると判断したとき、所定時間印刷を中断するようにしたコンピュータ読取可能なプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたコンピュータ読取可能なプログラムにおいて、
さらに、前記印刷を中断する所定時間を設定する中断時間設定部、
印刷の中断からの経過時間が前記所定時間を経過したとき、印刷中断を解除するタイマー部、として機能させるコンピュータ読取可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171318(P2012−171318A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38257(P2011−38257)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】