説明

インクジェット記録装置及び縁無し記録方法

【課題】縁無し記録において、搬送方向へ往復動する支持部によりシートが確実に支持され、かつ記録速度の高速化及び装置の小型化を実現し得る手段を提供する。
【解決手段】プリンタ部11は、インク滴を選択的に噴出する記録ヘッド39と、上面109が記録ヘッド39と対向配置されたプラテン42と、プラテン42の上面109から記録ヘッド39へ向かって突出しかつ搬送向き89に沿って離間距離111が隔てられて配置された第1支持部102及び第2支持部103と、プラテン42に設けられて第1支持部102と第2支持部103との間を搬送向き89に沿って往復動可能な可動部88と、可動部88に設けられてプラテン42の上面109から記録ヘッド39へ向かって突出しかつ搬送向き89に沿って離間距離112が隔てられて配置された一対の第3支持部121,122と、可動部88を搬送向き89に沿って往復動させる駆動機構105とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドからシートに選択的にインク滴を噴出して縁無し記録を行うインクジェット記録装置及び縁無し記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを用いて記録用紙(シート)に画像を記録するインクジェット方式の画像記録装置(以下、「インクジェット記録装置」とも称される。)が知られている。このインクジェット記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備え、記録ヘッドのノズルからインク滴を記録用紙へ向けて選択的に噴出する。このインク滴が記録用紙に着弾することによって、記録用紙に所望の画像が記録される。インクジェット記録装置において、記録用紙は、給紙カセット又は給紙トレイと呼ばれる箱形状又はトレイ形状の空間に複数枚が貯えられており、画像記録が行われる際に、記録ヘッドの直下へ給送される。記録ヘッドの直下には、インクジェット記録装置用プラテン(以下、「プラテン」とも称される。)が設けられており、このプラテン又はプラテンに設けられたリブなどによって、記録用紙が記録ヘッドに対向した状態に支持される。
【0003】
ところで近年、デジタルカメラが一般的に普及し、デジタルカメラで撮影した画像データを個人で専用の記録用紙に記録する、いわゆる家庭内写真プリントが広く行われるようになってきた。このような写真の画像を専用の記録用紙に記録する際に、記録用紙の周縁に余白を設けることなく記録用紙全体に画像を記録する記録方法が知られており、この記録方法がいわゆる縁無し記録と称されている。縁無し記録においては、記録用紙の周縁とほぼ同じ位置乃至外側にまで記録ヘッドからインク滴が噴出される。このため、縁無し記録においては、記録用紙に着弾しなかったインク滴がプラテンに着弾することがある。プラテンに着弾したインク滴が記録用紙の裏面などに付着しないように、プラテンにはインク受け部が記録用紙を支持するリブなどより凹んで形成されている。また、縁無し記録の際には、記録用紙がプラテンのリブなどを覆うまで記録ヘッドからインク滴が噴出されないように制御されている。
【0004】
また、前述された縁無し記録において、記録ヘッドがインク滴を噴出する領域を広くして記録速度の高速化を実現すると共に、記録ヘッドに平行に記録用紙を支持すべく、可動リブ(可動支持部)を設けた構成が提案されている(特許文献1〜4)。この構成では、プラテンに設けられて搬送方向へ延びるリブにおいて、記録ヘッドによる画像記録領域に対応する位置に記録用紙が接触し得ない溝を形成し、その溝に記録用紙の搬送方向へスライド移動する可動リブを設ける。これにより、縁無し記録において記録用紙に着弾しなかったインク滴がリブの溝に着弾するので、その後に搬送される記録用紙には溝内のインク滴は付着しない。また、リブの溝においては、記録用紙の先端又は後端の位置に応じてスライドされる可動リブが記録用紙を支持するので、溝上において、記録面が記録ヘッドに対して平行となるように記録用紙が支持される。
【0005】
【特許文献1】特開2006−326990号公報
【特許文献2】特開2007−118480号公報
【特許文献3】特開2007−175971号公報
【特許文献4】特開2007−176093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、写真などの画像データを記録用紙に記録するときは、一般に記録用紙に噴出されるインク滴の量が多くなる。また、記録用紙の繊維の流れが記録用紙の長辺に対して交差する方向である、いわゆる横目紙を長辺に沿って搬送して記録を行うと、インクの浸透により記録用紙が大きく撓むことがある。このような様々な要因により、インク滴が着弾した記録用紙がプラテン上で撓むことがあり得る。一方、前述されたように、画像記録の高速化を実現すべく記録ヘッドによる画像記録領域を搬送方向へ拡げると、その画像記録領域に対応する溝の幅(搬送方向の距離)も長くなる。そして、いわゆる縁無し記録において、可動リブが搬送される向きの上流側又は下流側へ移動すると、溝上において記録用紙が支持されない状態が生じ、プラテン上で撓んだ記録用紙が溝の底に接触するおそれがある。リブの溝には、縁無し記録において記録用紙に着弾しなかったインク滴が着弾するので、その溝に記録用紙が垂れ下がると、記録用紙にインクが付着して汚れるおそれがある。
【0007】
前述された問題に対して、可動リブが記録用紙を支持する部位を搬送方向へ長くするとすれば、可動リブをリブ間から退避させるためにスライドさせなければならない距離が長くなる。つまり、リブより搬送向きの上流側及び下流側に可動リブを退避させるために設けられる領域が広くなる。その結果、プラテンが大きくなり、ひいては装置の小型化に反することとなる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、いわゆる縁無し記録において、搬送向きに沿って往復動する支持部によりシートが確実に支持され、かつ記録速度の高速化及び装置の小型化を実現し得る手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を選択的に噴出する記録ヘッドと、その上面が上記記録ヘッドと対向配置されたプラテンと、上記プラテンの上面から上記記録ヘッドへ向かって突出してシートを支持し、かつシートが搬送される搬送向きに沿って第1距離が隔てられて配置された第1支持部及び第2支持部と、上記プラテンに設けられて、少なくとも上記第1支持部と第2支持部との間を搬送向きに沿って往復動可能な可動部と、上記可動部に設けられて上記プラテンの上面から上記記録ヘッドへ向かって突出してシートを支持し、かつ搬送向きに沿って上記第1距離より短い第2距離が隔てられて配置された複数の第3支持部と、上記プラテンへシートを搬送する搬送機構と、上記可動部を搬送向きに沿って往復動させる駆動機構と、を具備するものである。
【0010】
インクジェット記録装置は、縁無し記録を実施し得る。縁無し記録において、記録ヘッドに対向配置されたプラテン上にシートが搬送される。プラテン上に搬送されたシートの先端側は第1支持部に支持される。さらに搬送されたシートの先端側は第3支持部に支持される。このとき、第3支持部は、初期位置から第1支持部側(搬送向きの上流側)へ移動されている。また、シートの先端側は、複数の第3支持部の一部に支持されていても全部に支持されていてもよい。そして、シートの搬送に追従して可動部が移動されると、第3支持部はシートを支持した状態でシートに追従する。複数の第3支持部は搬送向きに沿って隔てられて配置されているので、プラテン上のシートは搬送向きに対して複数の箇所で支持される。また、第3支持部間の距離である第2距離は、第1支持部と第2支持部との間の距離である第1距離より短いので、第1支持部と第2支持部との間においてシートが複数の第3支持部によって支持される。これにより、シートが第1支持部と第2支持部との間に垂れ込むことが防止される。さらにシートが搬送されて、シートの先端側が第2支持部にも支持されると、可動部はシートに追従せずに、例えば第1支持部と第2支持部との中間付近で待機される。この待機位置は初期位置と同位置であってもよい。
【0011】
さらにプラテン上をシートが搬送されると、シートの後端側が第3支持部に支持される。このとき、第3支持部は、待機位置から第1支持部側(搬送向きの上流側)へ移動されている。シートの後端側が複数の第3支持部の全部に支持された状態で、シートの搬送に追従して可動部が移動される。可動部の移動に伴い、第3支持部がシートを支持した状態でシートに追従する。複数の第3支持部は搬送向きに沿って隔てられて配置されているので、プラテン上のシートは搬送向きに対して複数の箇所で支持される。また、第2距離が第1距離より短いので、第1支持部と第2支持部との間においてシートが複数の第3支持部によって支持される。これにより、シートが第1支持部と第2支持部との間に垂れ込むことが防止される。
【0012】
なお、本明細書においては別段の定めがない限り、「方向」とは、例えば+,−のように相対する向きを有する直線で表されるものであり、「向き」とは、方向のうち例えば+又は−のように1個のアローヘッドを有する矢印で表されるものである。
【0013】
(2) 上記駆動機構は、上記第1支持部及び第2支持部のうち搬送向きの上流側に位置する第1支持部に支持されて搬送されるシートの先端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側に配置された一部の第3支持部に支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させるものであってもよい。
【0014】
プラテン上に搬送されて第1支持部に支持されたシートの先端側は、複数の第3支持部のうち一部に支持される。そして、シートの搬送に追従して可動部が移動されると、第3支持部は、その一部によってシートの先端側を支持した状態でシートに追従する。この状態においてシートの先端側に縁無し記録が行われると、シートの先端に着弾しなかったインク滴は、シートを支持する一部の第3支持部とシートを支持しない残りの第3支持部との間に着弾する。したがって、シートを支持しない残りの第3支持部にインク滴が着弾しないので、その後に残りの第3支持部がシートを支持しても、そのシートが汚されることがない。また、第3支持部を第1支持部側(搬送向きの上流側)へ移動するにあたり、第3支持部のすべてを画像記録領域の外側に移動させる必要がないので可動部の移動領域を短くすることができ、かつ、記録ヘッドの全領域を使用してシートの先端側に縁無し記録を実施することができるので、記録速度の高速化及び装置の小型化が実現される。
【0015】
(3) 上記第1距離は、記録ヘッドがインク滴を噴出可能な領域における搬送向きに沿った第3距離より長く、上記第2距離は当該第3距離より短いものであってもよい。
【0016】
第1距離が第3距離より長いことにより、画像記録領域の外側において第1支持部及び第2支持部がシートを支持することができるので、記録ヘッドの全領域からインク滴を噴出しても、そのインク滴が第1支持部及び第2支持部に着弾しない。これにより、記録速度の高速化が実現される。また、第2距離が第3距離より短いので、画像記録領域内において搬送向きに対して複数箇所で第3支持部がシートを支持することができるので、シートが第1支持部と第2支持部との間に垂れ込むことを防止しうる。
【0017】
(4) 上記複数の第3支持部が、上記第1方向へ列設されてもよい。
【0018】
これにより、シートの幅方向(第1方向)に対して複数箇所でシートを支持できるので、記録ヘッドとシートとのギャップがシートの全面に対して同等となるようにシートが支持され、高精度な画像記録が実現される。
【0019】
(5) 上記可動部は、上記プラテンの上面に対して上記記録ヘッドと反対側に配置され、上記複数の第3支持部は、プラテンの上面に形成されたスリットを通じて当該上面から記録ヘッドへ突出するものであってもよい。
【0020】
(6) 本発明に係る縁無し記録方法は、プラテンの上面から記録ヘッドへ向かって突出し、シートが搬送される搬送向きに沿って第1距離が隔てられて配置された第1支持部及び第2支持部の間を往復動する可動部に、プラテンの上面から記録ヘッドへ向かって突出し、搬送向きに沿って上記第1距離より短い第2距離が隔てられて配置された複数の第3支持部が設けられたインクジェット記録装置において、上記第1支持部及び第2支持部のうち搬送向きの上流側に位置する第1支持部に支持されて搬送されるシートの先端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側の一部に支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドから当該シートの先端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行う第1ステップと、上記第2支持部に支持されて搬送されるシートの後端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のすべてに支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドから当該シートの後端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行う第2ステップと、を含む。
【0021】
第1ステップにおいて、シートの先端側が複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側の一部に支持された状態を維持して可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドからシートの先端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行うと、シートの先端に着弾しなかったインク滴は、シートを支持する一部の第3支持部とシートを支持しない残りの第3支持部との間に着弾する。したがって、シートを支持しない残りの第3支持部にインク滴が着弾しないので、その後に残りの第3支持部がシートを支持しても、そのシートが汚されることがない。また、第3支持部を第1支持部側(搬送向きの上流側)へ移動するにあたり、第3支持部のすべてを画像記録領域の外側に移動させる必要がないので可動部の移動領域を短くすることができ、かつ、記録ヘッドの全領域を使用してシートの先端側に縁無し記録を実施することができるので、記録速度の高速化及び装置の小型化が実現される。
【0022】
第2ステップにおいて、シートの後端側が複数の第3支持部のすべてに支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドからシートの後端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行うと、シートの後端に着弾しなかったインク滴は、シートを支持する第3支持部より搬送向きの上流側に着弾する。したがって、第3支持部にインク滴が着弾しないのでシートが汚されることがない。
【0023】
(7) 上記第1ステップにおいて、記録ヘッドがインクを噴出可能な領域のうち、シートを支持しない残りの一部の第3支持部より搬送向きの上流側の領域を用いて縁無し記録を行ってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シートの搬送に追従可能な可動部に、搬送向きに沿って第2距離が隔てられて配置された複数の第3支持部が設けられたので、第1支持部と第2支持部との間において、シートが搬送向きに対して複数の箇所で支持される。これにより、シートが第1支持部と第2支持部との間に垂れ込むことが防止されるので、縁無し記録においてシートが汚されることが防止される。
【0025】
また、複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側に配置された一部の第3支持部にシートの先端側が支持された状態を維持して可動部がシートに追従するので、第3支持部のすべてを画像記録領域の外側に移動させる必要がないので可動部の移動領域を短くすることができ、かつ、記録ヘッドの全領域を使用してシートの先端側に縁無し記録を実施することができる。これにより、記録速度の高速化及び装置の小型化が実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態が詳細に説明される。なお、本実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更され得る。
【0027】
[図面の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。図2は、複合機10の内部構成を示す縦断面図である。図3は、プリンタ部11の主要構成を示す部分拡大断面図である。図4は、プリンタ部11の主要構成を示す平面図である。図5は、プリンタ部11の主要部を示す斜視図である。図6は、複合機10の制御部64の構成を示すブロック図である。図7は、プラテン42の拡大斜視図である。図8は、可動部88の拡大斜視図である。図9は、可動部88を底面側からみた拡大斜視図である。図10は、駆動機構105の拡大斜視図である。図11は、可動部88の拡大断面図である。図12は、記録用紙の搬送時における可動部88の変位を(a)から(d)の順に示す図である。図13から図15は、縁無し記録における記録用紙184と第3支持部121,122との位置関係を示す図である。
【0028】
[複合機10の概略構成]
複合機10は、プリンタ部11及びスキャナ部12を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機10のうちプリンタ部11が、本発明に係るインクジェット記録装置に相当する。したがって、複合機10においてプリント機能以外の機能は任意のものであり、本発明に係るインクジェット記録装置は、例えばスキャナ部12が省略された単機能のプリンタとして実施されてもよい。
【0029】
複合機10のプリンタ部11は、主にコンピュータやデジタルカメラなどの外部情報機器と接続され得る。外部情報機器から送信された画像データや文書データを含む記録データに基づいて、プリンタ部11が被記録媒体としての記録用紙に画像や文書を記録する。また、複合機10にはカード形式のメモリなどの各種記憶媒体が装着され得る。この記憶媒体に記憶された画像データなどに基づいても、プリンタ部11が記録用紙に画像を記録し得る。
【0030】
図1に示されるように、複合機10の外形は、横幅及び奥行きが高さよりも大きい幅広薄型の略直方体である。複合機10の下部がプリンタ部11である。複合機10は、正面側に開口13を有する。開口13の内側に、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が上下2段に設けられている。給紙トレイ20には、複数枚の記録用紙が保持される。画像記録に際して、給紙トレイ20に保持された記録用紙がプリンタ部11の内部へ給送されて所望の画像が記録され、画像記録後の記録用紙が排紙トレイ21へ排出される。
【0031】
複合機10の上部がスキャナ部12である。スキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されているが、スキャナ部12の構成は本発明に直接関係しないので、ここではその詳細な説明が省略される。
【0032】
複合機10の正面上部に操作パネル15が設けられている。操作パネル15は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するための装置であって、各種操作ボタンや液晶表示部から構成されている。複合機10は、操作パネル15からの操作指示に基づいて動作する。複合機10が外部情報機器に接続されている場合には、この外部情報機器からプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機10が動作する。また、複合機10の正面にスロット部16が設けられている。カード形式のメモリカードは、スロット部16に装着されてデータの読み書きが可能となる。
【0033】
[プリンタ部11の概略構成]
以下、プリンタ部11の概略構成が説明される。図2に示されるように、複合機10の底側に給紙トレイ20が配置されている。給紙トレイ20には、例えばA4サイズなどの所定サイズ以下の記録用紙が保持可能である。もっとも、給紙トレイ20にスライドトレイを設けてトレイ面を拡大可能とすれば、所定サイズ(例えばA4サイズ)の記録用紙より大きな記録用紙(例えばリーガルサイズ)を給紙トレイ20に保持させることもできる。
【0034】
給紙トレイ20の奥側には分離板22が設けられている。分離板22は、その上端がプリンタ部11の背面側へ傾倒されている。後述される給紙ローラ25の回転によって給紙トレイ20から給送された記録用紙が、例え重送して給送されたとしても、これらの記録用紙は分離板22によって分離され、かつ分離された最上位置の記録用紙が上方へ案内される。
【0035】
排紙トレイ21は、給紙トレイ20の上側に配置されている。排紙トレイ21は、画像記録後の記録用紙を積載状態で保持する。給紙トレイ20から排紙トレイ21へは、後述される用紙搬送路23によって記録用紙が搬送可能である。画像記録は、記録用紙の搬送過程において画像記録ユニット24によって行われる。
【0036】
図3に示されるように、給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を用紙搬送路23へ供給する。給紙ローラ25は、アーム26の先端に支持されている。給紙ローラ25は、LFモータ71(図6参照)を駆動源として、アーム26に沿って設けられた駆動伝達機構27を介して駆動されて回転される。この駆動伝達機構27は、複数のギアが相互に噛合されてなり、各ギアの回転が順次伝達されることによって、LFモータ71の駆動を給紙ローラ25へ伝達する。
【0037】
アーム26は、その基端部が基軸28に支持されて、基軸28を回動中心軸として回転可能である。このアーム26の回転によって、給紙ローラ25が、給紙トレイ20に対して接離可能に上下動する。アーム26は、自重により又はバネなどに付勢されて下側へ弾性付勢されている。このため、アーム26は、通常において給紙トレイ20側へ回転し、給紙トレイ20が挿抜される際に給紙トレイ20により上側へ押しやられて回転する。アーム26が弾性付勢によって下側へ回転すると、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力により、最上位置の記録用紙が分離板22へ送り出される。記録用紙は、その先端が分離板22に当接して上方へ案内され、用紙搬送路23へ送り込まれる。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合(いわゆる重送)があるが、この記録用紙は分離板22との当接によって制止される。
【0038】
用紙搬送路23は、給紙トレイ20における分離板22の上側から、上方へUターンして装置正面側へ延びるいわゆるUターンパスとして形成されている。このUターンパスのうち、装置背面側において湾曲している部分が本明細書において湾曲部17と称される。用紙搬送路23は、画像記録ユニット24などが配設されている箇所以外は、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、湾曲部17は、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とが対向配置されて、これらが装置フレームに固定されることにより構成されている。外側ガイド部材18が外側ガイド面を構成し、内側ガイド部材19が内側ガイド面を構成している。湾曲部17には、回転コロ29が設けられている。この回転コロ29は、回転自在である。回転コロ29のローラ面は、外側ガイド面から用紙搬送路23内へ露出されている。したがって、回転コロ29が記録用紙の記録面側(記録ヘッド39と対向する面)に接触しうる。回転コロ29が記録用紙に当接しながら回転することによって、湾曲部17において記録用紙が円滑に搬送される。
【0039】
[画像記録ユニット24]
図3に示されるように、画像記録ユニット24は、用紙搬送路23において湾曲部17より搬送向き89の下流側に配置されている。画像記録ユニット24は、キャリッジ38と、インクジェット方式の記録ヘッド39とを備えている。記録ヘッド39は、キャリッジ38に搭載されている。キャリッジ38は、記録用紙の搬送方向と直交する水平方向(図4の矢印87)へ往復動する。図3には現れていないが、複合機10の内部には、記録ヘッド39とは独立して各色インク毎にインクカートリッジが配置されている。これらのインクカートリッジから各インクチューブ41(図4参照)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが記録ヘッド39に供給される。
【0040】
なお、本実施形態では、記録用紙は搬送向き89にのみ搬送されるものとして説明がされるが、本発明に係るインクジェット記録装置において、各種記録制御に応じてシートが正搬送(搬送向き89)及び逆搬送(搬送向き89とは反対の向き)に搬送されてもよいことは言うまでもない。
【0041】
各図には現れていないが、記録ヘッド39は、その下面に複数のノズルを有する。各ノズルは、C・M・Y・Bkの各色インクに対応して記録用紙の搬送向き89に沿ってそれぞれ1列又は2列に配置されている。各ノズル内に設けられたピエゾ素子の振動によって、各ノズルから各色インクのインク滴が噴出される。キャリッジ38が往復動される間に、記録ヘッド39から各色インクが微小なインク滴として選択的に噴出される。これにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像が記録される。なお、各ノズルの搬送向き89に沿ったピッチや数は、記録される画像の解像度などに応じて適宜設定される。また、カラーインクの種類数に応じて各色に対応したノズルの列数が増減される。
【0042】
図4及び図5に示されるように、用紙搬送路23の上側において、一対のガイドレール43、44が配置されている。ガイドレール43、44は、記録用紙の搬送向き89に所定距離が隔てられて、記録用紙の搬送向き89と直交する方向(矢印87)を長手方向として配置されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11の筐体内に設けられており、プリンタ部11を構成する各部材を支持するフレームの一部を構成する。
【0043】
記録用紙の搬送向き89の上流側に配設されたガイドレール43は、ほぼ平板形状である。ガイドレール43における長手方向(矢印87)の長さは、キャリッジ38の往復動範囲より長く設定されている。記録用紙の搬送向き89の下流側に配設されたガイドレール44も、ほぼ平板形状であり、その長手方向の長さはガイドレール43の長さと同等である。また、ガイドレール44の搬送向き89の上流側の縁部45は、上方へ向かって略直角に曲折されている。
【0044】
キャリッジ38は、ガイドレール43、44を跨ぐように配置されている。つまり、キャリッジ38の搬送向き89の上流側の端部がガイドレール43上に載置され、キャリッジ38の搬送向き89の下流側の端部がガイドレール44上に載置されている。各図には現れていないが、キャリッジ38は、ガイドレール44の縁部45を、2箇所の把持部などによって挟み込んでいる。これにより、キャリッジ38は、記録用紙の搬送向き89に対して位置決めされ、かつ、ガイドレール43、44の長手方向、つまり記録用紙の搬送向き89と直交する方向へ摺動可能である。この摺動に際して上記把持部が縁部45を挟みながらスライドする。
【0045】
ガイドレール44の上面には、ベルト駆動機構46が配設されている。ベルト駆動機構46は、駆動プーリ47、従動プーリ48及び無端環状のベルト49を有する。駆動プーリ47及び従動プーリ48は、ガイドレール44の長手方向における両端付近にそれぞれ配置されている。ベルト49は、駆動プーリ47と従動プーリ48との間に架け渡されている。ベルト49の内側には複数の歯が設けられており、この歯が駆動プーリ47の歯と噛合する。駆動プーリ47は、CRモータ73(図5参照)により回転駆動される。駆動プーリ47の回転が伝達されてベルト49が周運動する。
【0046】
キャリッジ38は、ベルト49と連結されている。したがって、ベルト49の周運動に基づいてキャリッジ38がガイドレール43、44上を水平方向87へ往復動する。前述のように記録ヘッド39がキャリッジ38に搭載されていることから、キャリッジ38の往復動とともに、記録ヘッド39が、記録用紙の搬送向き89と直交する水平方向87へ往復動する。
【0047】
図4に示されるように、リニアエンコーダ77(図6参照)のエンコーダストリップ50がガイドレール44に配設されている。エンコーダストリップ50は帯状に形成され、その長手方向に沿って透光部と遮光部とが所定ピッチで交互に配置されている。エンコーダストリップ50は、ガイドレール44の長手方向の両端に設けられた支持部33、34に支持されて、ガイドレール44の上側に長手方向へ延びるように配置されている。キャリッジ38の上面には、透過型センサである光学センサ35が設けられている。光学センサ35は、エンコーダストリップ50に対応して配置され、キャリッジ38の往復動の際にエンコーダストリップ50のパターンを検知する。光学センサ35の検知信号は、キャリッジ38に搭載された不図示のヘッド制御基板からパルス信号として出力される。このパルス信号に基づいてキャリッジ38の移動方向及び速度が算出され、キャリッジ38の往復動が制御される。なお、図5では、エンコーダストリップ50,支持部33,34、光学センサ35が省略されている。
【0048】
ガイドレール43,44の下側に、記録ヘッド39と対向してプラテン42が配設されている。プラテン42は、キャリッジ38の往復動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分を占めるように配設されている。プラテン42の幅は、プリンタ部11が搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きく設定されている。したがって、搬送される記録用紙の幅方向における両端は、常にプラテン42上を通過する。後に詳述されるが、このプラテン42に可動部88(図8参照)が設けられている。可動部88は、記録用紙の搬送向き89に沿って往復動される。
【0049】
図4に示されるように、プラテン42の両側には、パージ機構51や廃インクトレイ84などのメンテナンスユニットが配設されている。パージ機構51は、記録ヘッド39のノズルから気泡や異物を吸引除去するためのものである。廃インクトレイ84は、フラッシングと呼ばれる記録ヘッド39からのインクの空噴出を受けるためのものである。なお、図5では、パージ機構51が省略されている。
【0050】
図4に示されるように、インクチューブ41は、合成樹脂製のチューブであり、キャリッジ38の往復動に追従して撓む弾性を有する。インクチューブ41はC・M・Y・Bkの各色インクに対応して4本が設けられている。各インクチューブ41の一端はインクカートリッジと連結されて、インクカートリッジから流出するインクが各インクチューブ41を流れる。各インクチューブ41は、装置の幅方向に沿って中央付近まで引き出されて、その一部が装置本体のクリップ36に固定され、他端が記録ヘッド39と連結されている。各インクチューブ41は、クリップ36からキャリッジ38までの部分が装置本体などに固定されておらず、この部分がキャリッジ38の往復動に追従して姿勢変化する。なお、図4においては、クリップ36からカートリッジ装着部側へ延びるインクチューブ41は省略されている。また、図5では、インクチューブ41が省略されている。
【0051】
制御部64(図6参照)を構成するメイン基板から記録ヘッド39のヘッド制御基板への記録用信号などの伝送は、フラットケーブル85を通じて行われる。フラットケーブル85は、メイン基板とヘッド制御基板とを電気的に接続する。なお、上記メイン基板は装置正面側(図4において紙面の下側)に配設されており、図4には示されていない。フラットケーブル85は、電気信号を伝送する複数本の導電線をポリエステルフィルムなどの合成樹脂フィルムで覆って絶縁した薄帯状のものである。フラットケーブル85も、インクチューブ41と同様に、キャリッジ38の往復動に追従して撓む弾性を有する。
【0052】
[搬送機構]
記録用紙を搬送する搬送機構は、前述された給紙ローラ25の他、搬送ローラ60及びピンチローラ59、排紙ローラ62及び拍車63を主要部材として構成されている。
【0053】
図3に示されるように、画像記録ユニット24より搬送向き89の上流側に一対の搬送ローラ60及びピンチローラ59が設けられている。ピンチローラ59は、搬送ローラ60と接離する方向に移動可能に設けられている。ピンチローラ59は、コイルバネにより搬送ローラ60に圧接するように付勢されている。搬送ローラ60とピンチローラ59との間に記録用紙が進入すると、ピンチローラ59が記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避するとともに、記録用紙を搬送ローラ60に圧接させる。これにより、搬送ローラ60の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。搬送ローラ60及びピンチローラ59は、用紙搬送路23を搬送される記録用紙を狭持してプラテン42上へ搬送する。
【0054】
画像記録ユニット24より搬送向き89の下流側に一対の排紙ローラ62及び拍車63が設けられている。排紙ローラ62及び拍車63は、記録済みの記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、LFモータ71から駆動力が伝達されて同期回転される。搬送ローラ60及び排紙ローラ62が記録制御に応じて間欠駆動されることにより、記録用紙が所定の改行幅で間欠して搬送される。搬送ローラ60に対応して設けられたロータリーエンコーダ76(図6参照)は、搬送ローラ60と共に回転するエンコーダディスク61のパターンを光学センサ82(図5参照)で検知する。この検知信号に基づいて、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転が制御される。
【0055】
拍車63は、排紙ローラ62と接離する方向に移動可能に設けられている。拍車63は、コイルバネにより排紙ローラ62に圧接するように付勢されている。排紙ローラ62と拍車63との間に記録用紙が進入すると、拍車63が記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避するとともに、記録用紙を排紙ローラ62に圧接する。これにより、排紙ローラ62の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。
【0056】
用紙搬送路23には、搬送ローラ60より搬送向き89の上流側にレジセンサ95が配置されている。レジセンサ95は、図3に図示されている検出子と図示されていない光学センサとを有するいわゆるメカニカルセンサである。レジセンサ95の検出子は、用紙搬送路23を貫くように突出したレバー形状であり、回動により用紙搬送路23に出没する。検出子は、図示しないバネ材により弾性付勢されて常に用紙搬送路23へ突出している。しかし、バネ材が検出子に付勢している弾性力は、1枚の記録用紙が当接するだけで容易に検出子が回動可能な程度のものである。したがって、この検出子に対して用紙搬送路23を搬送される記録用紙が当接すると、検出子はバネ材による弾性付勢に抗して回動し、用紙搬送路23から退避する。レジセンサ95は、このような検出子の回動を光学センサにより検出して電気信号として出力する。レジセンサ95が出力する電気信号に基づいて、検出子の位置を記録用紙の先端又は後端が通過したことが判定される。
【0057】
[制御部64]
制御部64は、プリンタ部3のみでなくスキャナ部2も含む複合機10の全体動作を制御するものであり、前述のフラットケーブル85が接続されるメイン基板により構成される。なお、スキャナ部12の制御に関する構成は、本発明の主要な構成ではないので、その詳細な説明は省略される。
【0058】
図6に示されるように、制御部64は、CPU(Central Processing Unit)65、ROM(Read Only Memory)66、RAM(Random Access Memory)67、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)68を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。制御部64は、バス69を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)70に接続されている。
【0059】
ROM66には、複合機10の各種動作を制御するためのプログラムなどがROM66に格納されている。RAM67は、CPU65が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM68に、電源オフ後も保持すべき設定やフラグなどが格納される。
【0060】
ASIC70は、CPU65からの指令に従い、LFモータ71に通電するPWM信号などを生成する。この信号は、LFモータ71の駆動回路72に付与され、この駆動回路72を介して駆動信号がLFモータ71に通電される。このようにして、LFモータ71の回転制御が行われる。LFモータ71は、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の駆動源であり、かつ給紙ローラ25の駆動源でもある。
【0061】
駆動回路72は、LFモータ71を所望の回転で駆動させるものである。駆動回路72は、ASIC70からの出力信号を受けて、LFモータ71を回転するための電気信号を形成する。この電気信号を受けてLFモータ71が回転する。LFモータ71の回転が給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62、可動部88へ伝達される。
【0062】
ASIC70は、CPU65からの指令に従い、CRモータ73に通電するPWM信号などを生成する。この信号は、CRモータ73の駆動回路74に付与され、この駆動回路74を介して駆動信号がCRモータ73に通電される。このようにして、CRモータ73の回転制御が行われる。
【0063】
駆動回路74は、CRモータ73を所望の回転で駆動させるものである。駆動回路74は、ASIC70からの出力信号を受けて、CRモータ73を回転するための電気信号を形成する。この電気信号を受けてCRモータ73が回転する。CRモータ73の回転力は、ベルト駆動機構46を介してキャリッジ38へ伝達され、これにより、キャリッジ38が往復動される。このようにして、キャリッジ38の往復動が制御部64により制御される。
【0064】
駆動回路75は、記録ヘッド39を所定のタイミングで駆動させるものである。CPU65から出力される駆動制御手順に基づいて、ASIC70が出力信号を生成する。この出力信号に基づいて駆動回路75が記録ヘッド39を駆動制御する。この駆動回路75は、ヘッド制御基板に搭載されている。駆動回路75から出力される信号は、フラットケーブル85を介して制御部64を構成するメイン基板からヘッド制御基板へ伝送される。これにより、記録ヘッド39は、所定のタイミングで各色インクを記録用紙に対して選択的に噴出する。
【0065】
搬送ローラ60の回転量を検出するロータリーエンコーダ76、キャリッジ38の位置検知を行うリニアエンコーダ77、記録用紙の先端及び後端の検知を行うレジセンサ95がASIC70に接続されている。キャリッジ38は、複合機10の電源オンにより、ガイドレール43、44の一方の端まで移動され、リニアエンコーダ77による検知位置が初期化される。キャリッジ38が初期位置からガイドレール43、44上を移動すると、キャリッジ38に設けられた光学センサ35がエンコーダストリップ50のパターンを検知する。制御部64は、光学センサ35の検知に基づくパルス信号数によって、キャリッジ38の移動方向及び速度を把握する。制御部64は、この移動方向及び速度に基づいてキャリッジ38の往復動を制御すべく、CRモータ73の回転を制御する。また、制御部64は、レジセンサ95の信号及びロータリーエンコーダ76が検出するエンコーダ量に基づいて記録用紙の先端又は後端の位置を把握する。制御部64は、記録用紙の先端がプラテン42の所定の位置に到達すると、記録用紙を所定の改行幅ごとに間欠搬送すべくLFモータ71の回転を制御する。この改行幅は、画像記録の条件として入力された解像度などに基づいて設定される。
【0066】
スキャナ部12、複合機10の操作指示を行うための操作パネル15、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部16、パソコンなどの外部情報機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース78及びUSBインタフェース79などがASIC70に接続されている。さらに、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)80やモデム(MODEM)81もASIC70に接続されている。
【0067】
[プラテン42]
図7に示されるように、プラテン42は、概略として平板形状であり、その上面109が記録ヘッド39の下面と対向されて配置されている。プラテン42は、記録用紙の幅方向(矢印87の方向)を長手方向として配置されている。
【0068】
プラテン42は、フレーム100と、フレーム100に設けられた第1支持部102及び第2支持部103と、フレーム100にスライド可能に設けられた可動部88とを主要な構成とし、さらに、可動部88をスライド駆動する駆動機構105が一体に組み付けられている。
【0069】
フレーム100は、例えば合成樹脂や鋼板からなり、プラテン42の骨格を構成する。フレーム100は、断面形状が下向きに開口した略C字形状である。フレーム100の長手方向の両端に、ブラケット106、107がフレーム100と一体にそれぞれ設けられている。フレーム100は、ブラケット106、107を用いてプリンタ部11のフレームに固定される。フレーム100の長手方向の一端側(図7において手前側)に駆動機構取付部108がフレーム100と一体に設けられている。駆動機構取付部108は、水平方向に開口したフック部110を有する。このフック部110によって駆動機構105が支持される。
【0070】
フレーム100の上面109に、第1支持部102及び第2支持部103が設けられている。第1支持部102は、上面109における搬送向き89の上流側端部94側において、複数が長手方向(矢印87)に沿って所定間隔で一列に設けられている。各第1支持部102は薄肉平板形状のリブとして上面109において搬送方向を長手方向として上方へ突出しており、そのリブの角部は面取加工が施されている。
【0071】
第2支持部103は、上面109における搬送向き89の下流側端部96側において、長手方向(矢印87)に沿って延出されている。第2支持部103は、搬送向き89に沿った断面形状が山形であって記録ヘッド39へ向かって上方へ突出している。第2支持部103はフレーム100の長手方向(矢印87)へ渡って延出されている。
【0072】
フレーム100の長手方向(矢印87)が、プラテン42の上面109に沿って搬送向き89と直交する方向であり、本発明における第1方向に相当する。
【0073】
複数の第1支持部102と、フレーム100の長手方向(矢印87)に延出されている第2支持部103とは、搬送向き89に沿って隔てられている。本実施形態においては、各第1支持部102と第2支持部103との間として認識される上面109の一部分が溝116と称される。溝116は、上面109においてプラテン42の長手方向(矢印87)へ延びている。溝116の搬送向き89に沿った長さ(各第1支持部102と第2支持部103との離間距離111)は、記録ヘッド39における搬送向き89に沿って各ノズルが占める領域の距離に対応されている。すなわち、離間距離111は、各ノズルからインク滴が噴出される領域114(図13参照)における搬送向き89に沿った距離より広い。この離間距離111が本発明における第1距離に相当する。また、記録ヘッド39の各ノズルからインク滴が噴出される領域114における搬送向き89に沿った距離が本発明における第2距離に相当する。
【0074】
フレーム100の上面109には、記録用紙の搬送方向へ延びるスリット119が複数設けられている。各スリット119は、プラテン42の長手方向に沿って所定間隔で配置されている。ほとんどのスリット119は、隣り合う第1支持部102の間から第2支持部103より搬送向き89の下流側まで延出されている。したがって、第2支持部103は、結果としてプラテン42の長手方向に対して複数のスリット119により分断されている。各スリット119を通じて、後述される可動部88の第3支持部121,122が、上面109から記録ヘッド39へ向かって上方へ突出している。しかしながら、フレーム100の長手方向(矢印87)における各スリット119の幅は、可動部88の第3支持部121,122が通過可能であれば十分である。したがって、本実施形態のプラテン42においては、第2支持部103は、複数のスリット119により分断されているものの、仮に可動部88が存在しない場合のプラテンの構成、すなわち第2支持部103が複数のスリット119によって分断されていないプラテンの構成に比して、記録用紙を支持する機能には何ら変わりがないのである。
【0075】
図8及び図9に示されるように、可動部88は、下面が開放された箱状に形成されたベース120と、ベース120に設けられた複数の第3支持部121,122とを有する。第3支持部121,122は、薄肉平板のリブであり、ベースの短手方向(搬送向き89に沿った方向)を長手方向としてベース120からそれぞれ上方へ突出する。この第3支持部121,122が、プラテン42のフレーム100の下側からスリット119を通じてフレーム100の上面109の上側へそれぞれ突出する。つまり、可動部88は、フレーム100の上面109に対して記録ヘッド39と反対側に配置されて、第3支持部121,122が記録ヘッド39へ向かってそれぞれ突出している。なお、第3支持部121,122の詳細な構造は後述される。
【0076】
可動部88は、合成樹脂又は金属から構成され得る。ベース120は、概略としてプラテン42の長手方向に細長の平板形状であるが、その断面形状は下方へ開口したC字形状である。ベース120は、フレーム100の下側の開口からその内部へ嵌め込まれる。
【0077】
図8に示されるように、ベース120の長手方向の両端部にスライドローラ93が設けられている。各スライドローラ93は、ベース120の長手方向を軸方向としてベース120に回転自在に軸支されている。また、各スライドローラ93の周面の一部が、ベース120の上面から膨出しており、フレーム100の内面と当接して可動部88のスライドに従動して回転する。
【0078】
駆動機構105は、可動部88を記録用紙の搬送向き89に沿って往復動させるためのものである。駆動機構105は、排紙ローラ軸92の回転を可動部88へ伝達する。図10に示されるように、駆動機構105は、回転板125と、回転板125の回転運動を可動部88の並進運動に変換するレバー部材126(図8及び図9参照)とを有する。回転板125は、排紙ローラ軸92から動力伝達機構124を介して伝達される駆動により回転する。
【0079】
図10に示されるように、回転板125は円盤形状であり、例えば樹脂や金属から構成され得る。回転板125は、円形の円盤部141と、円盤部141の上面の中央に立設された円筒軸127とを有する。円筒軸127は、プラテン42のフレーム100に回転可能に支持される。図には示されていないが、フレーム100に設けられた支軸が円筒軸127に挿入されて支持される。この支軸は、フレーム100の長手方向及び記録用紙の搬送方向に対して直交する方向、つまり上下方向に延出される。
【0080】
回転板125は、動力伝達機構124から駆動伝達されて正転又は逆転する。回転板125の上面には、回転板125の回転方向に対して垂直面を有する形状のカム136,137がそれぞれ円筒軸127を中心とした円周形状に形成されており、この各カム136,137の垂直面にロック部材139,140がそれぞれ係合され得る。ロック部材139とカム136との係合によって、回転板125の正転が規制され、ロック部材140とカム137との係合によって、回転板125の逆転が規制される。カム136,137の垂直面によって回転板125の正転又は逆転が規制される回転角度は、後述される動作に応じて設定される。したがって、カム136,137には複数の垂直面が所定の回転角度に対応して形成されている。
【0081】
図9に示されるように、回転板125の裏面142には、案内溝143が設けられている。案内溝143は、円筒軸127(図10参照)に対して軌跡曲線を描くように形成されている。案内溝143は、裏面142に沿って円筒軸127の中心を通る仮想軸を基準に上下対称に形成されたアルキメデス螺旋に沿って形成されている。
【0082】
図9に示されるように、レバー部材126は、クランク形状の平板であり、可動部88のベース120と回転板125とを連結する。具体的には、レバー部材126の先端部145がベース120の裏面側と係合しており、かつ、レバー部材126の基端部146が回転板125の案内溝143と係合している。レバー部材126の中間部147は、プラテン42のフレーム100に支持されているが、レバー部材126とプラテン42のフレーム100との支持構造は図示されていない。なお、この支持構造の一例として、フレーム100に設けられた支軸に中間部147を回動自在に嵌合させる構造が挙げられる。これにより、レバー部材126は、中間部147を中心として回動自在である。
【0083】
レバー部材126の基端部146は、回転板125の案内溝143と係合した状態において、中間部147を中心として回動する。このレバー部材126の回動がベース120に伝達される。ベース120は、フレーム100に嵌め込まれて記録用紙の搬送向き89に沿った方向にのみスライド可能である。よって、回転板125の回転がレバー部材126を介してベース120に伝達され、ベース120が記録用紙の搬送向き89に沿ってスライドする。
【0084】
レバー部材126の先端部145の変位量は、レバー部材126の基端部146の変位量の所定倍となる。具体的には、この倍率は、中間部147から先端部145までの距離と中間部147から基端部146までの距離との比率に対応する。したがって、先端部145の変位量は、基端部146の変位量を所定倍に増幅したものとなる。よって、回転板125の回転量はレバー部材126によって所定倍となってベース120の搬送向き89に沿った変位量に変換される。ベース120の変位量は、第3支持部121,122が第1支持部102と第2支持部103との間を往復動可能な量として設定される。
【0085】
図10に示されるように、動力伝達機構124は、排紙ローラ軸92に設けられたトルクリミッタ148と、歯車149〜151とを有する。なお、同図においては歯車149〜151の歯が省略されている。トルクリミッタ148は、排紙ローラ軸92に設けられたフランジ153と、摩擦板152と、押圧板154と、コイルバネ155とを有する。摩擦板152は、典型的には不織布が採用され得る。押圧板154は、摩擦板152を介してフランジ153に当接される。コイルバネ155は、押圧板154を摩擦板152と共にフランジ153に弾性的に付勢する。コイルバネ155によって押圧板154がフランジ153に押しつけられると、両者間に所定の摩擦力が発生する。この摩擦力によって、押圧板154とフランジ153との間で動力伝達が行われる。押圧板154とフランジ153との間で伝達されるトルクが一定以上となると、摩擦板154がフランジ153に対して滑り、動力伝達が行われない。コイルバネ155の弾性力を適宜設定することによって、トルクリミッタ148により動力伝達が制限されるトルクが変動する。
【0086】
同図では省略されているが、押圧板154の外周面に歯が形成されており、この歯が歯車149と噛み合っている。したがって、押圧板154が回転すると歯車149も回転する。歯車149は歯車150と噛み合っており、さらに歯車150は、歯車151と噛み合っている。歯車150の回転中心軸と歯車151の回転中心軸とは直交しており、歯車150及び歯車151は傘歯車列を構成する。図10に示されるように、歯車151の外周面が回転板125の外周面と接触している。本実施形態では、歯車151と回転板125との接触により生ずる摩擦力によって、両者間でトルク伝達が行われる。なお、歯車151及び回転板125の双方に歯が形成され、両者が平歯車列を構成して駆動伝達してもよいことは勿論である。
【0087】
図10に示されるように、回転板125と隣接して回転規制手段156が設けられている。回転規制手段156は、ロック部材139及びロック部材140と、コイルバネ157と、ロック部材139の姿勢を変化させる当接部材158とを有する。コイルバネ157は、ロック部材139が回転板125と係合する方向へロック部材139を弾性的に付勢する。このため、コイルバネ157の両端部は、ロック部材139と、プラテン42のフレーム100と、にそれぞれ係合されている。当接部材158は、ロック部材139を姿勢変化させるべくキャリッジ38が当接する部分である。
【0088】
ロック部材139は、クランク形状であり、その基端側が支持軸159によって回動自在に支持されている。したがって、ロック部材139は、支持軸159を中心として矢印160の方向へ回動可能である。ロック部材139の先端には係合爪161が設けられている。係合爪161は、回転板125のカム137と所定の回転角度において係合可能である。
【0089】
ロック部材139が支持軸159を中心に回動することによって、係合爪161がカム137と係脱する。なお、コイルバネ157の弾性付勢によって、外力を受けない常時においては、ロック部材139は係合向きへ付勢されている。係合爪161がカム137に係合すると、回転板125が所定の回転角度において正転が制止される。これにより、駆動機構105から駆動伝達されても回転板125は所定の回転角度に維持される。
【0090】
図10に示されるように、当接部材158はロック部材139の基端側に設けられて、支持軸159を中心としてロック部材139と一体に回動可能である。当接部材158の先端部164は、上方へ延びるレバー形状であり、キャリッジ38が当接可能である。キャリッジ38が当接部材158の先端部164に当接すると、ロック部材139がカム137から離脱する。
【0091】
ロック部材140は、回転板125のカム136と所定の回転角度において係合可能である。ロック部材140は、コイルバネ162に弾性付勢されて、外力を受けない常時においては係合向きへ付勢されている。ロック部材140がカム136に係合すると、回転板125の逆転が制止される。ロック部材140がカム136と係合する回転板125の回転角度は初期位置に対応して設定されている。ロック部材140とカム136との係合は、排紙ローラ軸92が逆転する駆動伝達に対して回転板125の回転を制止し、一方、排紙ローラ軸92が正転する(搬送向き89に対応する回転)駆動伝達に対して回転板125の回転を制止しない。したがって、排紙ローラ軸92が逆転されると、回転板125が初期位置まで回転すればロック部材140とカム136とが係合して回転板125の回転を制止する。これにより、回転板125がイニシャライズされる。
【0092】
[第3支持部121,122]
図8及び図11に示されるように、ベース120の上面に、搬送向き89へ離間されて一対の第3支持部121,122が設けられている。図8に示されるように、一対の第3支持部121,122が、ベース120の長手方向(矢印87)に沿って所定間隔で配置されている。各第3支持部121,122はほぼ同形状であり、フレーム100に組み付けられた状態において、記録用紙の搬送向き89に沿って延びる薄肉のリブ形状である。また、各第3支持部121,122は、ベース120から記録ヘッド39へ向かって突出しており、その突出先端は山形である。各第3支持部121,122の厚みは、スリット119の幅に対応しており、一対の第3支持部121,122の各々の配置は、複数のスリット119の配置と対応している。
【0093】
各第3支持部121において搬送向き89に沿って延びる先端面は、搬送向き89の上流側から第1傾斜面130、支持面131、第2傾斜面132に大別される。支持面131は、ほぼ水平な平面である。第1傾斜面130は、支持面131における搬送向き89の上流端から鉛直方向に対して所定の角度をなして降下する平面である。第2傾斜面132は、支持面131における搬送向き89の下流端から鉛直方向に対して所定の角度をなして降下する平面である。なお、参照符号は付されていないが、各第3支持部121において搬送向き89の上流端及び下流端となる両側面は鉛直方向に沿った平面である。このような形状の各第3支持部121において、記録用紙は支持面131により下側から支持される。また、支持面131に支持された記録用紙は、その腰により平坦な姿勢を維持するので、第1傾斜面130及び第2傾斜面131とは接触しない。
【0094】
各第3支持部122において搬送向き89に沿って延びる先端面は、搬送向き89の上流側から第1傾斜面133、支持面134、第2傾斜面135に大別される。支持面134は、ほぼ水平な平面である。第1傾斜面133は、支持面134における搬送向き89の上流端から鉛直方向に対して所定の角度をなして降下する平面である。第2傾斜面135は、支持面134における搬送向き89の下流端から鉛直方向に対して所定の角度をなして降下する平面である。なお、参照符号は付されていないが、各第3支持部122において搬送向き89の上流端及び下流端となる両側面は鉛直方向に沿った平面である。このような形状の各第3支持部122において、記録用紙は支持面134により下側から支持される。また、支持面134に支持された記録用紙は、その腰により平坦な姿勢を維持するので、第1傾斜面133及び第2傾斜面135とは接触しない。
【0095】
図11に示されるように、一対の第3支持部121,122は、搬送向き89に対して離間距離112を隔てられている。この離間距離112は、支持面131における搬送向き89の下流端から支持面134における搬送向き89の上流端まで搬送向き89に沿った距離である。この離間距離112は、前述された記録ヘッド39において各ノズルからインク滴が噴出される領域114(図13参照)における搬送向き89に沿った距離より短い。その結果、離間距離112は、第1支持部102と第2支持部103との離間距離111(図7参照)より短いものとなる。したがって、図7に示されるように、可動部88が第1支持部102と第2支持部103との間のほぼ中央に位置せしめられると、搬送向き89に対して上流側から第1支持部102、第3支持部121、第3支持部122、第2支持部103の順で、それぞれ所定の離間距離を隔てられて配置される。
【0096】
また、離間距離112は、傾斜面132における搬送向き89に沿った距離115、傾斜面133における搬送向き89に沿った距離116、及び記録ヘッド39から記録用紙184の先端にインク滴が噴出される際の安全マージン117の和より大きい。すなわち、(離間距離112)>(距離115)+(距離116)+(安全マージン117)である。ここで、安全マージン117とは、いわゆる縁無し記録において、記録ヘッド39から記録用紙184の先端にインク滴が噴出される際に、記録用紙184の搬送誤差や噴出タイミング誤差などの各種誤差によって、記録用紙184の先端にインク滴が着弾しない可能があると想定される記録用紙184の先端から搬送向き89の下流側への距離である。
【0097】
さらに各距離を一般的に換言すると、離間距離112は、搬送向き89の上流側の第3支持部121が記録用紙184を支持する部位における最下流位置と、搬送向き89の下流側の第3支持部122が記録用紙を支持する部位における最上流位置との搬送向き89に沿った距離である。距離115は、搬送向き89の上流側の第3支持部121が記録用紙184を支持する部位における最下流位置から第3支持部121における最下流位置までの搬送向き89に沿った距離である。距離116は、搬送向き89の下流側の第3支持部122における最下流位置から第3支持部122が記録用紙184を支持する部位における最下流位置までの搬送向き89に沿った距離である。
【0098】
離間距離112が前述された関係とされることにより、仮に、縁無し記録において、記録用紙184の先端が傾斜面132における搬送向き89の下流端の直上に位置するように可動部88の動作制御が行われた場合に、前述されたような各種誤差が生じたとしても、記録ヘッド39から記録用紙184の先端へ向かって噴出されたインク滴が第3支持部121の傾斜面132や第3支持部122の傾斜面133に付着することがない。
【0099】
[縁無し記録方法]
複合機10は、操作パネル15において所定の操作が行われるか、外部情報機器から所定の指令が送信されることによって、画像記録の態様が選択される。画像記録の態様とは、いわゆる縁有り記録又は縁無し記録である。以下、縁無し記録が選択された際の画像記録が説明される。
【0100】
画像記録の開始指令があると、まず、給紙トレイ20に積載された記録用紙が用紙搬送路23へ給送される。具体的には、制御部64がLFモータ71を駆動して、給紙ローラ25が回転される。給紙トレイ20から用紙搬送路23に給送された記録用紙は、用紙搬送路23に沿って下方から上方へ反転するように搬送される。
【0101】
用紙搬送路23において、記録用紙の先端がレジセンサ95に当接してレジセンサ95がONとなる。記録用紙がさらに搬送されることにより、記録用紙の先端が搬送ローラ60及びピンチローラ59に当接する。搬送ローラ60は、搬送向き89と逆向きに回転されているので、この状態では記録用紙の先端は搬送ローラ60及びピンチローラ59に挟持されず、記録用紙は、搬送ローラ60及びピンチローラ59に当接した状態でレジスト処理される。記録用紙がレジスト処理された後、制御部64はLFモータ71の回転を反転させて、搬送ローラ60を搬送向き89へ回転させる。これにより、レジスト処理された記録用紙が搬送ローラ60及びピンチローラ59にニップされる。そして、記録用紙がプラテン42上へ搬送される。
【0102】
給紙からレジスト処理されるまでの間においても、排紙ローラ62が回転するが、前述されたように、回転板125が初期位置となればロック部材140によって回転板125の回転が制止されることにより、トルクリミッタ148に一定以上のトルクが発生して滑りが生じ、回転板125が初期位置で制止された状態で排紙ローラ62のみが逆転する。
【0103】
続いて、本発明に係る縁無し記録方法における第1ステップに対応する動作が説明される。第1ステップにおいては、記録用紙184の先端側が第1支持部102と第3支持部121とに支持された状態が維持されて可動部88が記録用紙184に追従され、その記録用紙184の搬送過程において記録ヘッド39から記録用紙184の先端側にインク滴が選択的に噴出される。
【0104】
詳述するに、記録用紙184の先端が搬送ローラ60へ到達したときには、可動部88は初期位置であるプラテン42の中央に位置し(図12(a))、レバー部材126の基端部146は、回転板125の案内溝143における初期位置に配置されている。なお、可動部88の変位が理解しやすいように、図12(a)〜(d)は、プラテン42をその背面側から見た図であり、更にプラテン42の裏カバーが外された状態で図示されている。
【0105】
レジスト処理後にLFモータ61が正転されて、搬送ローラ60及び排紙ローラ61が搬送向き89へ回転すると、記録用紙184が搬送ローラ60及びピンチローラ59にニップされて搬送向き89へ搬送される。記録用紙184の先端がプラテン42上へ到達すると、LFモータ71が間欠駆動される。また、記録用紙184の先端がプラテン42に到達する前後において所定のタイミングでCRモータ73が駆動されてキャリッジ38が当接部材158に当接する。当接部材158が回動されると、ロック部材139の係合爪161とカム137との係合が解除され、回転板125が回転可能となる。したがって、レジスト処理後に、LFモータ71によって排紙ローラ軸92が回転されると、この回転が動力伝達機構124を介して回転板125に伝達され、回転板125が回転する。そして、回転板125の回転がレバー部材126により可動部88へ伝達され、可動部88と共に第3支持部121,122が第1支持部102と第2支持部103との間をスライド移動する。
【0106】
記録用紙184の先端が第1支持部102を通過する前に、可動部88が搬送向き89の上流側へスライド移動されて停止する。つまり、回転板125が初期位置から所定の回転角度(例えば90°)だけ回転すると、カム137に係合爪161が再び係合されて、回転板125の回転が再び制止される。このとき、一対の第3支持部121,122のうち搬送向き89の上流側に位置された第3支持部121が第1支持部102とほぼ同位置となる(図13(a))。一方、第3支持部122は、第1支持部102より搬送向き89の下流側に位置し、この第3支持部122の位置は記録ヘッド39からインク滴が噴出される領域114内である。つまり、一対の第3支持部121,122のうち搬送向き89の上流側に位置する第3支持部121のみがインク滴が噴出される領域114の外側に移動される。
【0107】
図13(b)に示されるように、記録用紙184の先端がプラテン42へ到達してさらに搬送されると、記録用紙184は、第1支持部102及び第3支持部121に支持される。換言すれば、記録用紙184が、第1支持部102及び第3支持部121を上側から覆う。このとき、記録用紙184の先端は、一対の第3支持部121と第3支持部122との間に位置する。
【0108】
その後、所定のタイミングでCRモータ73が駆動されてキャリッジ38が当接部材158に当接する。これにより、前述と同様にロック部材139が回動されて、係合爪161とカム137との係合が解除され、回転板125が再び回転可能となる。その結果、LFモータ71の間欠駆動により、可動部88と共に第3支持部121,122が搬送向き89の下流側へ変位する。記録用紙184も、LFモータ71の間欠駆動によって回転する搬送ローラ60によって搬送されるので、記録用紙184は、その先端が一対の第3支持部121と第3支持部122との間に位置された状態でプラテン42上を搬送される。この搬送過程において、記録用紙184は第1支持部102及び第3支持部121により支持されている。可動部88、回転板125及びレバー部材126の相対的位置関係は、図12(a)〜(d)の順に変化する。
【0109】
図12(b)〜(d)に示されるように、回転板125が再び回転すると、レバー部材126は、中間部147を揺動中心として揺動し、その結果、可動部88は、搬送向き89の下流側へ移動する。そして、回転板125の回転角度が初期位置から所定角度(例えば270°)に到達すると、第3支持部121,122が第2支持部103付近までスライド移動する。さらに、回転板125が回転すると、レバー部材126が中間部147を揺動中心として揺動して、可動部88が搬送向き89の上流側へ移動する。そして回転板125が初期位置から1回転すると、可動部88が回転板125の初期位置に対応する位置に復帰する。
【0110】
図14(a),(b)に示されるように、記録用紙184の搬送が間欠している間に、キャリッジ38とともにスライドされる記録ヘッド39から各色のインク滴が選択的に噴出されて記録用紙184に着弾する。縁無し記録では、少なくとも記録用紙184の周囲の縁までインク滴が噴出されるが、記録用紙184の先端側においては、記録用紙184の間欠搬送に伴って記録ヘッド39がインク滴を噴出可能な領域114のうち記録用紙184の先端に対応する位置から搬送向き89の上流側においてのみインク滴が噴出される。
【0111】
前述されたように、可動部88が搬送向き89の上流側へスライド移動されて停止したときに、一対の第3支持部121,122のうち搬送向き89の上流側の第3支持部121のみがインク滴が噴出される領域114の外側に移動されている。そして、記録用紙184は、一対の第3支持部121,122のうち第3支持部121のみを上側から覆っている。したがって、記録用紙184の先端が第3支持部121を覆って領域114に進入すれば、直ちに記録ヘッド39からインク滴を噴出させて画像記録が行われる。つまり、記録用紙184の先端の位置に対応させながら記録ヘッド39の領域114のすべてが使用されて記録用紙184に縁無し記録が実施される。
【0112】
図14(a),(b)にそれぞれ示されるように、記録用紙184の先端は第3支持部121と第3支持部122との間に位置している。そして、第3支持部121,122が搬送向き89へスライド移動される間において、記録用紙184の先端と第3支持部121,122との位置関係は維持される。前述されたように、第3支持部121は記録用紙184に覆われているので、仮に記録用紙184へ着弾しないインク滴があったとしても、第3支持部121にインク滴が付着することはない。
【0113】
一方、記録用紙184の先端は第3支持部121と第3支持部122との間にあるので、仮に記録用紙184に着弾しないインク滴があったとしても、そのインク滴は第3支持部121と第3支持部122との間のベース120上に着弾する。また、前述されたように、記録ヘッド39からは、記録用紙184の先端に対応する位置から搬送向き89の上流側においてのみインク滴が噴出される。換言すれば、記録ヘッド39の領域114のうち、記録用紙184の先端側を支持しない第3支持部122より搬送向き89の上流側の領域からのみインク滴が噴出される。したがって、記録ヘッド39から第3支持部122へ向かってインク滴が噴出されないので、第3支持部122にインク滴が付着することはない。
【0114】
回転板125が初期位置に復帰すると、前述されたように、係合爪161がカム137に係合することによって回転板125の回転が制止される。一方、LFモータ71の駆動力は搬送ローラ60及び排紙ローラ軸92に伝達されて、記録用紙184は間欠して搬送される。そして、記録用紙184の後端がプラテン42へ到達する。記録用紙184の後端の位置は、レジセンサ95の検知信号に基づいて判定される。そして、所定のタイミングでキャリッジ38が当接部材158に当接され、当接部材158が回動される。その結果、前述と同様に、ロック部材139の係合爪161とカム137との係合が解除され、回転板125が回転可能となる。
【0115】
回転板125の正転によって、第3支持部121,122が第1支持部102と第2支持部103との間をスライド移動する。可動部88、回転板125及びレバー部材126の相対的位置関係は、再び図12(b)〜(d)の順に変化する。詳細に説明するに、図15(a)に示されるように、第3支持部121,122が搬送向き89の上流側へ移動すると、係合爪161とカム137との係合によって回転板125の回転が制止され、第3支持部121が搬送向き89に対して第1支持部102とほぼ同位置となって可動部88が停止する。そして、記録用紙184の後端が第1支持部102を通過する前に、キャリッジ38が当接部材158に当接する。これにより、係合爪161とカム137との係合が解除され、回転板125が回転可能となる。その結果、可動部88にLFモータ71からの駆動力が伝達された可動部88が移動し、これに伴って第3支持部121,122も搬送向き89の下流側へスライド移動する。また、可動部88、回転板125及びレバー部材126の相対的位置関係は、図12(b)〜(d)の順に変化する。
【0116】
図15(a),(b)に示されるように、記録用紙184も、LFモータ71の間欠駆動によって回転する搬送ローラ60によって搬送されるので、記録用紙184は、その後端側が一対の第3支持部121,122を共に覆った状態でプラテン42上を搬送される。記録用紙184の後端が第1支持部102から第2支持部103まで搬送される際に、記録用紙184は第3支持部121,122に支持される。一対の第3支持部121,122は搬送向き89に沿って隔てられて配置されており、その離間距離112(図11参照)は、第1支持部102と第2支持部103との離間距離111(図7参照)より短いので、第1支持部102と第2支持部103との間において、記録用紙184の後端側は一対の第3支持部121,122に搬送向き89に対して2箇所でそれぞれ支持される。
【0117】
記録用紙184の搬送が間欠している間に、キャリッジ38とともにスライドされる記録ヘッド39から各色のインク滴が選択的に噴出されて記録用紙184に着弾する。縁無し記録では、記録用紙184の周囲の縁までインク滴が噴出されるが、仮に記録用紙184へ着弾しないインク滴があったとしても、記録用紙184に覆われている第3支持部121,122にインク滴が付着することはない。そして、回転板125が一回転すると、回転板125は初期位置に復帰する。画像記録が終了すると、LFモータ71は連続駆動され、記録用紙184が排紙トレイ21へ排出される。
【0118】
ここでは詳細に説明されないが、プリンタ部11は、記録用紙の周囲に記録されるべき画像が無い、いわゆる縁有り記録も行い得る。このような縁有り記録では、記録ヘッド39から記録用紙184に向けて噴出されるインク滴は全て記録用紙184上に着弾するので、可動部88が記録用紙184に追従して移動する必要はない。したがって、キャリッジ38が当接部材158に当接されることはなく、回転板125は初期位置に停止したままである。可動部88は常時においてプラテン42の中央に配置されているので、記録用紙184の先端又は後端が第1支持部102と第2支持部103との間に垂れることがなく、記録ヘッド39と記録用紙184との間の距離(ヘッドギャップ)が一定に保たれる。
【0119】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、プリンタ部11は、縁無し記録において、プラテン42上に搬送された記録用紙184の先端側を一対の第3支持部121,122のうち搬送向き89の上流側の第3支持部121にのみ支持させて、可動部88を記録用紙184の間欠搬送に追従させるので、記録用紙184の先端側に縁無し記録が行われると、記録用紙184の先端側に着弾しなかったインク滴は、第3支持部121と第3支持部122との間に着弾する。したがって、第3支持部122にインク滴が付着しないので、記録用紙184の後端側を第3支持部122に支持させても記録用紙184がインクで汚されることがない。
【0120】
また、一対の第3支持部121,122を共に記録ヘッド39からインク滴が噴出される領域114の外側に移動させる必要がないので可動部88の移動領域を短くすることができ、かつ、記録用紙184の先端の位置に対応させながら記録ヘッド39の全領域を使用して記録用紙184に縁無し記録を実施することができるので、記録速度の高速化及び装置の小型化が実現される。
【0121】
また、プリンタ部11は、縁無し記録において、記録用紙184の後端側を一対の第3支持部121,122に共に支持させて、可動部88を記録用紙184の間欠搬送に追従させるので、記録用紙184は搬送向き89に対して複数の箇所で支持される。これにより、記録用紙184が第1支持部102と第2支持部103との間に垂れ込むことが防止される。
【0122】
また、第1支持部102と第2支持部103との離間距離111は、記録ヘッド39の領域114における搬送向き89に沿った距離より長いので、領域114の外側において第1支持部102及び第2支持部103が記録用紙184を支持する。したがって、記録ヘッド39の領域114のすべてからインク滴を噴出しても、そのインク滴が第1支持部102及び第2支持部103に付着しないので、記録速度の高速化が実現される。
【0123】
また、一対の第3支持部121,122の離間距離112は、記録ヘッド39の領域114の搬送向き89に沿った距離より短いので、領域114内において搬送向き89に対して2箇所で第3支持部121,122が記録用紙184を支持する。これにより、記録用紙184が第1支持部102と第2支持部103との間に垂れ込むことが防止される。
【0124】
また、一対の第3支持部121,122が、プラテン42の上面109に沿って搬送方向と直交する方向(矢印87)へ列設されているので、記録用紙184の幅方向(矢印87)に対して複数箇所で記録用紙184を支持できる。これにより、記録ヘッド39と記録用紙184とのギャップが記録用紙184の全面に対して一定になるので、高精度な画像記録が実現される。
【0125】
なお、前述された実施形態では、縁無し記録において記録用紙184の先端がプラテン42に搬送された際に、一対の第3支持部121,122のうち搬送向き89の上流側に位置する第3支持部121のみが記録用紙184の先端側を支持し、記録用紙184の先端が第3支持部121と第3支持部122との間に位置されることとしたが、一対の第3支持部121,122が共に記録用紙184の先端側を支持することとしてもよい。
【0126】
一対の第3支持部121,122が共に記録用紙184の先端側を支持するためには、一対の第3支持部121,122を共に記録ヘッド39からインク滴が噴出される領域114の外側に移動させることとなるが、一対の第3支持部121,122により記録用紙184が搬送向き89に対して2箇所で支持されるので、記録用紙184の先端側が第1支持部102と第2支持部103との間に垂れ込むことが防止されるという利点がある。
【0127】
また、前述された実施形態では、本発明における第3支持部として一対の第3支持部121,122が示されているが、本発明における第3支持部は一対のものに限定されず、搬送方向に3個以上が離間距離112を隔てられて列設された複数のリブなどから構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、複合機10の内部構成を示す縦断面図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の主要構成を示す部分拡大断面図である。
【図4】図4は、プリンタ部11の主要構成を示す平面図である。
【図5】図5は、プリンタ部11の主要部を示す斜視図である。
【図6】図6は、複合機10の制御部64の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、プラテン42の拡大斜視図である。
【図8】図8は、可動部88の拡大斜視図である。
【図9】図9は、可動部88を底面側からみた拡大斜視図である。
【図10】図10は、駆動機構105の拡大斜視図である。
【図11】図11は、可動部88の拡大断面図である。
【図12】図12は、記録用紙の搬送時における可動部88の変位を(a)から(d)の順に示す図である。
【図13】図13は、縁無し記録における記録用紙184と第3支持部121,122との位置関係を示す図である。
【図14】図14は、縁無し記録における記録用紙184と第3支持部121,122との位置関係を示す図である。
【図15】図15は、縁無し記録における記録用紙184と第3支持部121,122との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
11・・・プリンタ部(インクジェット記録装置)
25・・・給紙ローラ(搬送機構)
39・・・記録ヘッド
42・・・プラテン
59・・・ピンチローラ(搬送機構)
60・・・搬送ローラ(搬送機構)
62・・・排紙ローラ(搬送機構)
63・・・拍車(搬送機構)
88・・・可動部
102・・・第1支持部
103・・・第2支持部
105・・・駆動機構
109・・・上面
119・・・スリット
121,122第3支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を選択的に噴出する記録ヘッドと、
その上面が上記記録ヘッドと対向配置されたプラテンと、
上記プラテンの上面から上記記録ヘッドへ向かって突出してシートを支持し、かつシートが搬送される搬送向きに沿って第1距離が隔てられて配置された第1支持部及び第2支持部と、
上記プラテンに設けられて、少なくとも上記第1支持部と第2支持部との間を搬送向きに沿って往復動可能な可動部と、
上記可動部に設けられて上記プラテンの上面から上記記録ヘッドへ向かって突出してシートを支持し、かつ搬送向きに沿って上記第1距離より短い第2距離が隔てられて配置された複数の第3支持部と、
上記プラテンへシートを搬送する搬送機構と、
上記可動部を搬送向きに沿って往復動させる駆動機構と、を具備するインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記駆動機構は、上記第1支持部及び第2支持部のうち搬送向きの上流側に位置する第1支持部に支持されて搬送されるシートの先端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側に配置された一部の第3支持部に支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させる請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記第1距離は、記録ヘッドがインク滴を噴出可能な領域における搬送向きに沿った第3距離より長く、上記第2距離は当該第3距離より短い請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記複数の第3支持部が、上記第1方向へ列設された請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記可動部は、上記プラテンの上面に対して上記記録ヘッドと反対側に配置され、
上記複数の第3支持部は、プラテンの上面に形成されたスリットを通じて当該上面から記録ヘッドへ突出する請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
プラテンの上面から記録ヘッドへ向かって突出し、シートが搬送される搬送向きに沿って第1距離が隔てられて配置された第1支持部及び第2支持部の間を往復動する可動部に、プラテンの上面から記録ヘッドへ向かって突出し、搬送向きに沿って上記第1距離より短い第2距離が隔てられて配置された複数の第3支持部が設けられたインクジェット記録装置において、
上記第1支持部及び第2支持部のうち搬送向きの上流側に位置する第1支持部に支持されて搬送されるシートの先端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のうち搬送向きの上流側の一部に支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドから当該シートの先端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行う第1ステップと、
上記第2支持部に支持されて搬送されるシートの後端側において、当該シートが上記複数の第3支持部のすべてに支持された状態を維持して上記可動部をシートに追従させつつ、記録ヘッドから当該シートの後端側にインク滴を選択的に噴出して縁無し記録を行う第2ステップと、を含む縁無し記録方法。
【請求項7】
上記第1ステップにおいて、記録ヘッドがインクを噴出可能な領域のうち、シートを支持しない残りの一部の第3支持部より搬送向きの上流側の領域を用いて縁無し記録を行う請求項6に記載の縁無し記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−12607(P2010−12607A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171879(P2008−171879)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】