説明

インクジェット記録装置

【課題】 インクジェット記録装置において、ノズル面に加え移動防止部材に付着したインクを確実に除去し、インクによる記録媒体等への汚染を防止する。
【解決手段】 ノズルからインクをインク滴として吐出させるインクジェットヘッドのノズル面に、そのノズル面を外力から保護してノズルから吐出したインクが通過する通過孔を有する保護部材と、保護部材に付着したインクがインクジェットヘッドの表面に沿って移動することを防止する移動防止部材とを設け、さらに、ノズル面に付着したインクを吸引する吸引キャップ16に、移動防止部材に付着したインクをそれに対向する位置から吸収する吸収体24を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、記録媒体に対してノズル面に形成されたノズルからインクをインク滴として吐出させるインクジェットヘッドを備えており、このインクジェットヘッドによって記録媒体に画像を記録する装置である。
【0003】
このようなインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドは記録動作時に記録媒体に近接するため、インク滴が記録媒体と衝突することで生じるインク飛散がインクジェットヘッドのノズル面を汚染してしまうことがある。
【0004】
特に、オンデマンド型のインクジェット記録装置では、ノズル滴の吐出エネルギーが小さく、インクジェットヘッドが記録媒体に対して数mm程度の間隔で設けられているため、インク飛散によってノズル面が汚染されやすく、ノズルの目詰まりが発生してしまう。一旦ノズルの目詰まりが発生すると、インクをノズルから吐出させる加圧力が小さいため、ノズルの目詰まりを除去することは難しい。
【0005】
このようなノズルの目詰まりを予防あるいは除去するためのクリーニング技術としては、非記録動作中に吸引キャップ等によりノズルからインクを吸引する吸引技術や、可撓性を有する平板状のワイプブレードでノズル面をワイピング(拭き払い)してノズル面に付着したインクの除去を行うワイプ技術(特許文献1参照)等が提案されている。
【0006】
一方、インクジェットヘッドのノズル面には、板状に形成されたマスクプレートが設けられることがある。このマスクプレートは、ノズル面を外力から保護するための保護部材と、その保護部材の表面やノズル面等に付着したインクが表面張力等によりインクジェットヘッドの表面に沿って移動することを防止する移動防止部材とから構成されている。このようなマスクプレートには、例えば複数のノズルから吐出したインクが通過する複数の通過孔がそれぞれノズルに対向する位置に位置付けられて設けられている。インクジェットヘッドのノズル面は、保護部材によって吸引キャップやワイプブレード等による外力から保護されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−90781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような吸引技術やワイプ技術を用いた場合にも、クリーニング後にインクがノズル面に残留することがあり、ノズル面が汚染されたままの状態になってしまう。このようなノズル面の汚染は、記録媒体の繊維、塵や埃等の付着を招き、インクジェットヘッドの長期間の使用におけるノズルの目詰まりの原因となり、インクの吐出安定性等を低下させる要因となる。
【0009】
特に、従来の技術では、マスクプレートの移動防止部材に付着したインクを除去することはできず、付着したインクが集合してある程度の量になると落下してしまう。このインクは、記録媒体の繊維や塵、埃等を含んでいることもある。記録媒体がインクジェットヘッドの下方を通過する場合には、落下したインクによってその記録媒体が汚染されてしまう。さらに、電子回路基板等の他部材がインクジェットヘッドの下方にあった場合にも、落下したインクによってその他部材が汚染されてしまう。これが、インクジェットヘッドの故障の原因になることもある。
【0010】
本発明の目的は、インクジェットヘッドのノズル面に加え移動防止部材に付着したインクを確実に除去し、インクによる記録媒体等への汚染を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ノズル面に形成されたノズルからインクをインク滴として吐出させるインクジェットヘッドと、前記ノズル面に設けられそのノズル面を外力から保護し、前記ノズルから吐出したインクが通過する通過孔を有する保護部材と、前記保護部材に付着したインクが前記インクジェットヘッドの表面に沿って移動することを防止する移動防止部材と、前記移動防止部材に付着したインクを吸収する吸収体と前記ノズル面に付着したインクを吸引するための第1吸引口とを有する吸引キャップを具備し、その吸引キャップの吸収体を前記移動防止部材に付着したインクに接触させ、その吸引キャップの第1吸引口から前記ノズル面に付着したインクを吸引する吸引部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズル面や保護部材等に付着したインクは吸引キャップにより第1吸引口から吸引され、移動防止部材に付着したインクは吸収体により吸収されるため、インクジェットヘッドのノズル面に加え移動防止部材に付着したインクを確実に除去し、インクによる記録媒体等への汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。図1は本実施の形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す模式図、図2はインクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドの概略構成を示す側面図、図3はインクジェットヘッド記録装置が備える吸引キャップの概略構成を示す側面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、インクジェット記録装置1は、用紙等の記録媒体(図示せず)に対してインクをノズル2からインク滴として吐出させるインクジェットヘッド3、インクジェットヘッド3にインクを供給するインク供給部4及びインクジェットヘッド3に対して吸引動作を行う吸引部5等を備えている。また、インクジェット記録装置1は、記録媒体を順次送り出して副走査方向に搬送する記録媒体搬送部(図示せず)やインクジェットヘッド3を搭載して主走査方向に往復移動するキャリッジ(図示せず)等も備えている。なお、ここでは、インクジェットヘッド3は、ノズル2を下方向に向けてキャリッジに搭載されている。
【0015】
インクジェットヘッド3は、複数のノズル2が略一直線上に並べて形成されているノズルプレート6、複数のノズル2にそれぞれ連通する複数の圧力室(図示せず)、それらの圧力室に連通する共通インク室(図示せず)、その共通インク室にインクを供給するためのインク供給口7等を備えており、インク供給口7から共通インク室を介して圧力室に供給されたインクをノズル2からインク滴として吐出させるように構成されている。なお、ノズルプレート6の外面はノズル面6aとして機能する。
【0016】
このようなインクジェットヘッド3は、そのノズル面6aが下方に向けられて支持部材(図示せず)により支持されており、駆動回路基板(図示せず)に設けられた駆動IC等に電気的に接続されている。ここで、支持部材は、ノズル面6aを下方に向けて、すなわちノズル2から吐出するインクの吐出方向を下方に向けてインクジェットヘッド3を支持する部材である。これにより、インクジェットヘッド3のインクの吐出方向は下方となる。
【0017】
なお、本実施の形態においては、インクジェットヘッド3は、そのノズル面6aが下方に向けられて設けられているが、これに限るものではなく、また、インクの吐出方向も下方に限るものではない。
【0018】
また、本実施の形態においては、圧電素子(例えばピエゾ素子)を利用する圧電方式のインクジェットヘッド3が用いられているが、これに限るものではなく、例えば発熱体を利用するサーマルインクジェット方式のインクジェットヘッドが用いられても良い。
【0019】
ノズル面6aには、インクをはじく撥インク特性を有する撥インク層(図示せず)が設けられている。撥インク層は、ノズル2の周面を含み、ノズル面6aの全面に設けられている。これにより、インク滴の吐出直進性の安定化を実現することができる。
【0020】
さらに、ノズル面6aには、板状に形成されたマスクプレート8が設けられている。マスクプレート8は、撥インク層を有するノズル面6a等を外力から保護するための保護部材9、及びその保護部材9の表面やノズル面6a等に付着したインクが表面張力等によりインクジェットヘッド3の表面に沿って移動することを防止する移動防止部材10から構成されている。これらにより、ノズル面6aは外力から保護され、インクがインクジェットヘッド3の表面に沿って移動して駆動回路基板等に流れ込むことが防止されている。
【0021】
また、マスクプレート8は、保護部材9と移動防止部材10とを一体に製造することで形成されている。本実施の形態では、マスクプレート8は、その材料となるプレートの両端部をそれぞれ所定の角度で同方向に曲げて保護部材9と移動防止部材10とを生成することで形成されている。なお、マスクプレート8は、保護部材9に移動防止部材10を設けることで形成されても良い。ここで、本実施の形態では、保護部材9と移動防止部材10とは同一材料で形成されているが、これに限るものではなく、例えば保護部材9はフィルム等で形成され、移動防止部材10はプレート等で形成されても良い。この場合には、移動防止部材10は、ノズルプレート6やインクジェットヘッド3等に設けられる。
【0022】
マスクプレート8には、複数のノズル2から吐出したインクが通過する複数の通過孔11がそれぞれノズル2に対向する位置に位置付けられて設けられている。通過孔11は、ノズル2の穴径より大きい貫通孔である。通過孔11は円形状に形成されているが、これに限るものではなく、例えば楕円形状に形成されていても良い。なお、通過孔11は、1つのノズル2が1つの通過孔11内に位置付けられるように形成されているが、これに限るものではなく、例えば複数のノズル2が1つの通過孔11内に位置付けられるように形成されても良い。
【0023】
このようなマスクプレート8は、ノズルプレート6のノズル面6aに傷や破損等が生じて、インクジェットヘッド3の基本特性が低下することを防止することができる。また、マスクプレート8は、記録媒体の記録面とインクジェットヘッド3とのギャップの調整に際して、ノズルプレート6のノズル面6aに傷等のダメージが発生することも防止することができる。さらに、マスクプレート8は、例えば、インクジェットヘッド3の輸送に際して、ノズルプレート6のノズル面6aに対して加わる可能性がある外力に対しても、ノズルプレート6のノズル面6aを保護することができる。
【0024】
インク供給部4は、インクジェットヘッド3のインク供給口7にインク供給経路12を介して接続されインクを収容するインクタンク13、インクタンク13からインクジェットヘッド3の内部にインクを供給するための加圧力を発生させる加圧ポンプ14及び加圧ポンプ14とインクタンク13とを連通させる加圧経路15から構成されている。このようなインク供給部4は、加圧ポンプ14による加圧力によって、インクタンク13からインクジェットヘッド3内にインク供給経路12を介してインクを供給する。
【0025】
吸引部5は、インクジェットヘッド3のノズル2に対向する位置に位置付けられて複数のノズル2が並ぶ方向に移動自在に設けられた吸引キャップ16、吸引キャップ16を複数のノズル2が並ぶ方向に移動させる移動部17、インクジェットヘッド3のノズル面6aやマスクプレート8の保護部材等に付着したインクを吸引するための吸引力を吸引キャップ16に付与する付与部18等から構成されている。付与部18は、インクジェットヘッド3のノズル面6a等に付着したインクを吸引するための吸引力を発生させる吸引ポンプ19、吸引キャップ16と吸引ポンプ19とを連通させる吸引経路20、吸引ポンプ19に廃液経路21を介して接続されて廃インクを収容する廃インクタンク22等を備えている。
【0026】
吸引キャップ16は、複数のノズル2の一部、例えばノズル面6aの一部を覆うように形成されている。この吸引キャップ16には、マスクプレート8に嵌合する形状で形成された凹部23が設けられている(図3参照)。この凹部23は、インクジェットヘッド3の複数のノズル2が並ぶ方向、すなわちノズル面6aの長手方向に沿って伸びる溝状に形成されている。凹部23の側面23aには、インクを吸収する吸収体24がそれぞれ設けられている。凹部23の底面23bには、インクジェットヘッド3のノズル面6aやマスクプレート8の保護部材9等に付着したインクを吸引するための第1吸引口25が形成されており、凹部23の側面23aにも、吸収体24に吸収されているインクを吸引するための第2吸引口26がそれぞれ形成されている。これらの第1吸引口25及び第2吸引口26は、吸引キャップ16の内部に設けられた内部吸引経路27を介して吸引経路20に接続されている。
【0027】
吸収体24は、凹部23の側面23aに形成された第2吸引口26を覆うように位置付けられている。ここでは、吸収体24は、凹部23の側面23aの長手方向に伸びて側面23aと同じ程度の面積を有しており、確実に第2吸引口26を塞いでいる。吸収体24としては、例えば連続気泡を有する発泡体や、インクを収容する複数の貫通孔を有する部材等が用いられている。このような吸収体24は、例えばウレタンやゴム等により形成される。
【0028】
吸引キャップ16は、吸収体24がマスクプレート8の移動防止部材10に接触する接触位置に位置付けられて、複数のノズル2が並ぶ方向に移動自在に設けられている。なお、吸引キャップ16は、吸収体24がマスクプレート8の移動防止部材10に接触しない非接触位置に位置付けられても良いが、移動防止部材10に付着したインクを吸収できる位置に位置付けられる必要がある。吸収体24は、移動防止部材10に対向する位置から移動防止部材10に残留しているインクを吸収する。
【0029】
なお、本実施の形態においては、吸引キャップ16は、複数のノズル2の一部、例えばノズル面6aの一部を覆うように形成されているが、これに限るものではない。例えば、全てのノズル2、例えばノズル面6aの全体を覆うように吸引キャップ16を形成しても良く、この場合には、移動部17が不要になる。
【0030】
移動部17は、吸引キャップ16を複数のノズル2が並ぶ方向に移動自在に支持する支持部材(図示せず)、吸引キャップ16を複数のノズル2が並ぶ方向に案内して移動させるガイドスクリュウ28及びガイドスクリュウ28を回転駆動させる駆動モータ29から構成されている。このような移動部17は、駆動モータ29の駆動力によりガイドスクリュウ28を回転駆動して、インクジェットヘッド3の複数のノズル2が並ぶ方向にそのノズル面6aに沿って吸引キャップ16を往復自在に移動させる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、吸引キャップ16が移動部17によりインクジェットヘッド3に対して移動するようにしているが、これに限るものではなく、例えばインクジェットヘッド3が吸引キャップ16に対して移動するようにしても良い。すなわち、吸引キャップ16とインクジェットヘッド3とは相対的に移動すれば良い。
【0032】
このような吸引部5は、移動部17により吸引キャップ16を複数のノズル2が並ぶ方向に移動させながら、吸引ポンプ19による吸引力(第1吸引力)によって、インクジェットヘッド3のノズル面6aやマスクプレート8の保護部材9等に付着したインクをノズル2に対向する位置から吸引する。同時に、吸引部5は、マスクプレート8の移動防止部材10に付着したインクを吸収体24により吸収し、この吸収したインクを吸引ポンプ19による吸引力(第2吸引力)によって吸引する。吸引されたインク(廃インク)は、内部吸引経路27、吸引経路20及び廃液経路21を通り、廃インクタンク22に流れ込む。なお、吸引ポンプ19は、第1吸引力及び第2吸引力を発生させている。第1吸引力とは、インクジェットヘッド3のノズル面6aに付着したインクを第1吸引口25から吸引するための吸引力であり、第2吸引力とは、吸収体24に吸収されているインクを第2吸引口26から吸引するための吸引力である。
【0033】
図4はインクジェット記録装置1が備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図である。
【0034】
インクジェット記録装置1はコントローラ50を内蔵している。このコントローラ50は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)51、CPU51が実行する各種プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)52、CPU51のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)53及びタイマ54等をバスライン55で接続することによって構成されている。
【0035】
CPU51には、インクジェットヘッド制御部56を介してインクジェットヘッド3が接続されており、駆動モータ制御部57を介して駆動モータ29が接続されており、ポンプ制御部58を介して加圧ポンプ14及び吸引ポンプ19が接続されている。さらに、CPU51には、入出力装置制御部59を介して操作パネルやLCD等から構成された入出力装置60が接続されている。また、CPU51には、通信インターフェース(図示せず)を介して例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置(図示せず)が接続されており、さらに、駆動制御部(図示せず)を介して記録媒体搬送部(図示せず)及びキャリッジ(図示せず)が接続されている。
【0036】
このような構成において、インクジェット記録装置1は、通信インターフェースを介して外部装置から受信した画像データに基づいて、記録媒体搬送部によって副走査方向に記録媒体を搬送しながら、インクジェットヘッド3が搭載されたキャリッジをホームポジション(待機位置)から主走査方向に移動させ、インクジェットヘッド3を駆動制御することによって画像を記録媒体に記録する(記録動作)。このとき、インクジェットヘッド3は、選択的に所望の圧力室の体積を変化させてインクに圧力(吐出力)を加えることで、圧力室に供給されたインクをノズル2から選択的にインク滴として吐出させる。これにより、画像が記録媒体に記録される。
【0037】
また、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド3の非記録動作時に、インクジェットヘッドをホームポジションに移動させて、吸引部5によるクリーニング動作を行う。インクジェット記録装置1は、駆動モータ29を駆動制御してガイドスクリュウ28を回転させて、吸引部5の吸引キャップ16を複数のノズル2が並ぶ方向に移動させる。このとき、吸引キャップ16は、移動部17により複数のノズル2が並ぶ方向に移動しながら、吸引ポンプ19による吸引力によってインクジェットヘッド3のノズル面6aやマスクプレート8の保護部材9等に付着したインクを吸引する。同時に、吸引キャップ16の吸収体24は、マスクプレート8の移動防止部材10に付着したインクを吸収して移動防止部材10からインクを除去する。
【0038】
吸引キャップ16に吸引されたインクは、吸引キャップ16の内部吸引経路27、吸引経路20及び廃液経路21を通り、廃インクタンク22に流れ込む。同時に、吸収体24に吸収されたインクも吸引ポンプ19による吸引力によって吸引され、吸引キャップ16の内部吸引経路27、吸引経路20及び廃液経路21を通り、廃インクタンク22に流れ込む。これにより、吸収体24はインクを吸収しても短時間で乾燥するため、良好な吸収状態を維持することができる。
【0039】
このように本実施の形態によれば、インクジェットヘッド3のノズル面6aやマスクプレート8の保護部材9等に付着したインクは吸引キャップ16により第1吸引口25から吸引され、マスクプレート8の移動防止部材10に付着したインクは吸収体24により吸収される。これにより、ノズルプレート6のノズル面6aに加え移動防止部材10に付着したインクを確実に除去し、インクによる記録媒体等への汚染を防止することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、吸引キャップ16は、吸収体24に覆われてその吸収体24に吸収されているインクを吸引するための第2吸引口26を有しており、吸引部5は、吸収体24に吸収されているインクを第2吸引口26から吸引することから、吸収体24に吸収されているインクも吸引されるため、吸収体24は短時間で乾燥して良好な吸収状態を維持することが可能になり、移動防止部材10に付着したインクを確実に除去することができる。
【0041】
本実施の形態においては、吸引キャップ16は、ノズル面6aの一部を覆うキャップであり、吸引部5は、吸引キャップ16がノズル面6aに沿って移動するようにインクジェットヘッド3と吸引キャップ16とを相対的に移動させる移動部17を具備していることから、吸引キャップ16の小型化を実現し、小型の吸引キャップ16でもノズル面6a及びマスクプレート8からインクを良好に除去することができる。
【0042】
本実施の形態においては、吸収体24が、連続気泡を有する発泡体である場合には、移動防止部材10に付着したインクを良好に除去することができる。また、吸収体24が、インクを収容する複数の貫通孔を有する場合にも、移動防止部材10に付着したインクを良好に除去することができる。
【0043】
本実施の形態においては、ノズル2から吐出するインクの吐出方向を下方に向けてインクジェットヘッド3を支持する支持部材を備えることから、インクの吐出方向が下方になるため、インクの吐出方向が下方でない場合に比べると、小さな吐出力でもインク滴を目標とする位置に着弾させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の一形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図3】インクジェットヘッド記録装置が備える吸引キャップの概略構成を示す側面図である。
【図4】インクジェット記録装置が備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 インクジェット記録装置
2 ノズル
3 インクジェットヘッド
5 吸引部
6a ノズル面
9 保護部材
10 移動防止部材
11 通過孔
16 吸引キャップ
17 移動部
24 吸収体
25 第1吸引口
26 第2吸引口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面に形成されたノズルからインクをインク滴として吐出させるインクジェットヘッドと、
前記ノズル面に設けられそのノズル面を外力から保護し、前記ノズルから吐出したインクが通過する通過孔を有する保護部材と、
前記保護部材に付着したインクが前記インクジェットヘッドの表面に沿って移動することを防止する移動防止部材と、
前記移動防止部材に付着したインクを吸収する吸収体と前記ノズル面に付着したインクを吸引するための第1吸引口とを有する吸引キャップを具備し、その吸引キャップの吸収体を前記移動防止部材に付着したインクに接触させ、その吸引キャップの第1吸引口から前記ノズル面に付着したインクを吸引する吸引部と、
を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記吸引キャップは、前記吸収体に覆われてその吸収体に吸収されているインクを吸引するための第2吸引口を有しており、
前記吸引部は、前記吸収体に吸収されているインクを前記第2吸引口から吸引する、
請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記吸引キャップは、前記ノズル面の一部を覆うキャップであり、
前記吸引部は、前記吸引キャップが前記ノズル面に沿って移動するように前記インクジェットヘッドと前記吸引キャップとを相対的に移動させる移動部を具備している、
請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記吸収体は、連続気泡を有する発泡体である、
請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記吸収体は、インクを収容する複数の貫通孔を有する、
請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記ノズルから吐出するインクの吐出方向を下方に向けて前記インクジェットヘッドを支持する支持部材を備える、
請求項1ないし5のいずれか一記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−35437(P2006−35437A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214130(P2004−214130)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】