説明

インクジェット記録装置

【課題】 本発明は、簡単な構成で、ジャムした記録紙を簡単に除去できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 本発明のインクジェット記録装置は、プラテン上にセットされた記録紙上にキャリッジに搭載したインクジェットヘッドのノズル孔からインクを吐出して記録を行う。そして、本発明のインクジェット記録装置は、記録紙のジャムを検知するジャム検知手段と、このジャム検知手段の検知結果に基づいてインクジェットヘッドとプラテンの間の距離を可変する可変手段とを有する。よって、ジャム検知時ジャム記録紙を除去する際、インクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることにより、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関し、詳細にはインクジェット記録装置内のジャム記録紙を除去するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インクをノズル孔から吐出させて記録紙に画像を形成するインクジェット記録装置が普及し、プリンタとしての主流になっている。このインクジェット記録装置について従来よりいくつも提案されているが、その一つとして特許文献1がある。この特許文献1について図面を用いて以下に概説する。
【0003】
図19は通常のインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す通常のインクジェット記録装置10は、搬送ローラ対11で搬送される記録紙Sをプラテン12上に通し、ガイドロッド13に沿ってキャリッジ14を主走査方向に移動させながら、そのキャリッジ14に搭載するインクジェットヘッド15によって、プラテン12上を通した記録紙Sに記録を行い、記録後の記録紙Sは搬送ローラ16と搬送歯車17によって排紙される。このようなインクジェット記録装置10によれば、画質を考えると記録紙Sとインクジェットヘッド15の間の距離が短いほど良いが、ただ記録紙Sの反りや浮きなどを考慮する必要があるため、僅かな隙間を持たせている。
【特許文献1】特開平5−57998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図20に示すように、記録紙Sの搬送中や印字中にジャムが発生した場合、ユーザがジャムした記録紙Sを除去するために、記録紙Sを図中矢印Aの方向に引っ張った時に、記録紙Sがインクジェットヘッド15に擦れる恐れがある。その時、紙粉やホコリ等がノズル孔に入り、吐出不良を起こす可能性がある。また、記録紙Sがキャリッジ14やインクジェットヘッド15に引っ掛って破れ、その紙片が残ってしまい、再びジャムの原因となったり、図示しない維持回復機構の部分で不具合を発生させたりする恐れがある。
【0005】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、簡単な構成で、ジャムした記録紙を簡単に除去できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明のインクジェット記録装置は、プラテン上にセットされた記録紙上にキャリッジに搭載したインクジェットヘッドのノズル孔からインクを吐出して記録を行う。そして、本発明のインクジェット記録装置は、記録紙のジャムを検知するジャム検知手段と、このジャム検知手段の検知結果に基づいてインクジェットヘッドとプラテンの間の距離を可変する可変手段とを有することに特徴がある。よって、ジャム検知時ジャム記録紙を除去する際、インクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることにより、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【0007】
また、可変手段は、プラテンに対してキャリッジを昇降するキャリッジ昇降手段であることにより、簡単な機構で、インクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることができ、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【0008】
更に、キャリッジ昇降手段は、キャリッジを概略平行に昇降させることが好ましい。
【0009】
また、キャリッジ昇降手段は、キャリッジを軸回動する軸回動機構であることにより、簡単な機構でインクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることができ、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【0010】
更に、可変手段は、キャリッジのインクジェットヘッドのヘッド面に対してプラテンを昇降するプラテン昇降手段であることにより、簡単な機構で、インクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることができ、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【0011】
また、プラテン昇降手段は、プラテンを概略平行に昇降させることが好ましい。
【0012】
更に、プラテン昇降手段は、プラテンを軸回動する軸回動機構であることにより、簡単な機構でインクジェットヘッドとプラテン間の距離を開けることができ、ジャム記録紙除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【0013】
また、軸回動機構の駆動手段は、ソレノイド又はモータであることにより、例えばジャム記録紙を除去するために装置のカバーを開け、そして除去後カバーを閉めたことに連動してソレノイド又はモータのオン/オフすることで無駄な電力の消費を抑えられると共に、ソレノイド又はモータへの駆動信号を制御することによりキャリッジ又はプラテンの昇降距離を自在に可変することができる。
【0014】
更に、記録紙の厚さや種類に応じてキャリッジ昇降手段又はプラテン昇降手段の昇降距離を可変することにより、ジャム記録紙を除去する際除去する空間を十分確保することができ、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインクジェット記録装置によれば、ジャム検知の際インクジェットヘッドとプラテンの間の距離を開けることにより、ジャム記録紙の除去を行いやすくし、記録紙がヘッドに擦れないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明のインクジェット記録装置におけるジェム検知機構の構成を示す概略断面図である。同図において、図19及び図20と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図1に示す本実施の形態例インクジェット記録装置100によれば、入口センサ101が記録紙Sの搬送路上であって後述するレジストセンサ102の検出位置から搬送ローラ対11側へ所定距離L1の位置に設けられている。また、レジストセンサ102は印字領域の直前に設けられている。更に、出口センサ103が、印字領域を超え、レジストセンサ102の検知位置から所定距離L2の位置に設けられている。
【0017】
このようなジャム検知機構を有するインクジェット記録装置におけるジャム検知について図2〜図9に示すジャム検知の動作フローに従って説明する。
【0018】
先ず、図2に示すように、図1の入力センサ101が記録紙Sの先端を検知し、印字のタイミングを取る(ステップS101;YES)。そのとき、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS102)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて図1のレジストセンサ102から図1の出口センサ103までの距離L2を、記録紙Sの先端が搬送されるに要する時間t2を算出する。その上で、記録紙Sの先端が距離L1を所定の搬送速度で搬送するに要する所定時間t1と、算出した時間t2との加算値である時間T1を算出する(ステップS103)。そして、時間T1が経過した後(ステップS104;YES)、出口センサ103が記録紙Sの先端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS105;NO、ステップS106)。一方、時間T1が経過した後(ステップS104;YES)、出口センサ103が記録紙Sの先端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS105;YES、ステップS107)。
【0019】
次に、図3に示すように、図1の入力センサ101が記録紙Sの後端を検知すると(ステップS201;YES)、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS202)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて入力センサ101から図1の出口センサ103までの距離(L1+L2)を、記録紙Sの後端が搬送されるに要する時間T2を算出する(ステップS203)。そして、時間T2が経過した後(ステップS204;YES)、出口センサ103が記録紙Sの後端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS205;NO、ステップS206)。一方、時間T2が経過した後(ステップS204;YES)、出口センサ103が記録紙Sの後端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS205;YES、ステップS207)。
【0020】
次に、図4に示すように、図1の入力センサ101が記録紙Sの先端を検知し、印字のタイミングを取る(ステップS301;YES)。そのとき、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS302)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて記録紙Sの後端が入口センサ101を通過するに要する時間T3を算出する(ステップS303)。そして、時間T3が経過した後(ステップS304;YES)、入口センサ101が記録紙Sの後端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS305;NO、ステップS306)。一方、時間T3が経過した後(ステップS304;YES)、入口センサ101が記録紙Sの後端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS305;YES、ステップS307)。
【0021】
次に、図5に示すように、図1の入力センサ101が記録紙Sの先端を検知し、印字のタイミングを取る(ステップS401;YES)。そのとき、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS402)。そして、記録紙Sの先端が距離L1を所定の搬送速度で搬送するに要する所定時間T4(=t1)が経過した後(ステップS403;YES)、図1のレジストセンサ102が記録紙Sの先端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS404;NO、ステップS405)。一方、時間T4が経過した後(ステップS403;YES)、レジストセンサ102が記録紙Sの先端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS404;YES、ステップS406)。
【0022】
次に、図6に示すように、図1の入力センサ101が記録紙Sの後端を検知すると(ステップS501;YES)、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS502)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて記録紙Sの後端が図1のレジストセンサ102を通過するに要する時間T5を算出する(ステップS503)。そして、時間T5が経過した後(ステップS504;YES)、レジストセンサ102が記録紙Sの後端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS505;NO、ステップS506)。一方、時間T5が経過した後(ステップS504;YES)、レジストセンサ102が記録紙Sの後端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS505;YES、ステップS507)。
【0023】
次に、図7に示すように、図1のレジストセンサ102が記録紙Sの先端を検知すると(ステップS601;YES)、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS602)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて記録紙Sの先端が図1の出口センサ103を通過するに要する時間T6を算出する(ステップS603)。そして、時間T6が経過した後(ステップS604;YES)、出口センサ103が記録紙Sの先端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS605;NO、ステップS606)。一方、時間T6が経過した後(ステップS604;YES)、出口センサ103が記録紙Sの先端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS605;YES、ステップS607)。
【0024】
次に、図8に示すように、図1のレジストセンサ102が記録紙Sの後端を検知すると(ステップS701;YES)、装置内に設けられたタイマが計時を開始する(ステップS702)。そして、記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて記録紙Sの後端が図1の出口センサ103を通過するに要する時間T7を算出する(ステップS703)。そして、時間T7が経過した後(ステップS704;YES)、出口センサ103が記録紙Sの後端を検知できない時は、ジャムが発生したと判定する(ステップS705;NO、ステップS706)。一方、時間T7が経過した後(ステップS704;YES)、出口センサ103が記録紙Sの後端を検知していた時は、ジャムが発生していないと判定する(ステップS705;YES、ステップS707)。
【0025】
次に、図9に示すように、図1のキャリッジ14に移動信号が供給されているにもかかわらず(ステップS801)、主走査方向の位置を検出するリニアセンサ(図示せず)がキャリッジ14の移動を検知しなかったときは、記録紙Sが図1のインクジェットヘッド15に当たってキャリッジ14が動けない状態、つまりジャムが発生したと判定する(ステップS802;NO、ステップS803)。一方、リニアセンサがキャリッジの移動を検知したときは、ジャムが発生していないと判定する(ステップS802;YES、ステップS804)。
【0026】
以上説明したジャム検知の結果ジャムが発生したときは、後述する本発明のジャム記録紙除去機構を用いてジャム状態の記録紙を除去することによりインクジェットヘッドに擦る可能性がほとんど無くなり、ノズル詰まりによる画像不良等の発生を抑えることができる。なお、ジャム検知判定を行う際の判定時間を記録紙Sの長手方向の長さや画質モードや印字データ量などの印字条件に応じて算出したが、許容範囲を鑑みた予め定めた時間で判定してもよく、あるいは時間で判定せずに仮想の用紙が到達する位置に設置した各センサによる検知結果のみで判定してもよい。
【0027】
図10は本発明の第1の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す本実施の形態例のインクジェット記録装置200は、キャリッジ14をプラテン12から離間させる図中矢印Bの方向に上昇させてプラテン12とキャリッジ14の間隔を広げさせ、ジャム状態の記録紙Sをインクジェットヘッド15に擦ることなく除去でき、除去後はキャリッジ14を元の位置まで下降させるキャリッジ昇降手段(図示せず)を有している。なお、ガイド板201はキャリッジ14の設置空間の関係からほぼ垂直方向にキャリッジ14が昇降するためのガイド機能をなす部材である。
【0028】
図11は本発明の第2の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す本実施の形態例のインクジェット記録装置200において、キャリッジ14はガイドロッド13とガイド板201によって姿勢が保たれている。また、キャリッジ昇降手段のレバー202を回動自在に支持する軸受が図示していない側板の穴に挿入されている。更に、ガイドロッド13は回動しないように例えばD形に加工されて、そしてキャリッジ昇降手段の軸受に挿入されている。ここで、キャリッジ昇降手段のレバー202の軸受の中心位置はガイドロッド13の中心位置からずれている。よって、図11の(b)のように、キャリッジ昇降手段における軸受と連動するレバー202(力点)を図中矢印Cの方向に回動させると、キャリッジ昇降手段の軸受は支点として回動し、作用点としてのガイドロッド13は上昇する。ガイド板201は固定されているので、キャリッジ14はガイド板201に沿って殆ど垂直に上下動することができる。このような機構を有するキャリッジ昇降手段により、キャリッジ14をプラテン12から上昇させてプラテン12とキャリッジ14の間隔を広げさせ、ジャム状態の記録紙Sをインクジェットヘッド15に擦ることなく除去でき、除去後はキャリッジ14を元の位置まで下降させることができる。
【0029】
図12は本発明の第3の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図において、図11と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態例のインクジェット記録装置200において、キャリッジ14はガイドロッド13によって姿勢が保たれている。また、キャリッジ昇降手段のレバー202を回動自在に支持する軸受が図示していない側板の穴に挿入されている。更に、ガイドロッド13は軸受に回動しないように例えばD形や四角形に加工されて、そしてキャリッジ昇降手段の軸受に挿入されている。ここで、キャリッジ昇降手段のエバー202の軸受の中心位置はガイドロッド13の中心位置と一致している。よって、図12の(b)のように、キャリッジ昇降手段における軸受と連動するレバー202(力点)を図中矢印Cの方向に回動させると、キャリッジ昇降手段の軸受とガイドロッド13は支点及び作用点として回動して、ガイドロッド13に係止された状態のキャリッジ14はガイドロッド13の軸中心に回動する。よって、このような機構を有するキャリッジ昇降手段により、キャリッジ14をプラテン12から離れさせてプラテン12とキャリッジ14の間隔を広げさせ、ジャム状態の記録紙Sをインクジェットヘッド15に擦ることなく除去でき、除去後はキャリッジ14を元の位置まで回動させることができる。
【0030】
図13は本発明の第4の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図において、図11と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態例のインクジェット記録装置200において、キャリッジ14はガイドロッド13とガイド板201によって姿勢が保たれている。また、キャリッジ昇降手段のレバー202を回動自在に支持する軸受が図示していない側板の穴に挿入されている。更に、ガイドロッド13は回動しないように例えばD形に加工されて、そしてキャリッジ昇降手段の軸受に挿入されている。また、キャリッジ昇降手段としてレバー202に連結し、レバー202を上下に駆動するソレノイド203が設けられている。ここで、キャリッジ昇降手段の軸受の中心位置はガイドロッド13の中心位置からずれている。よって、図13のように、キャリッジ昇降手段としてのソレノイド203が駆動して、キャリッジ昇降手段における軸受と連動するレバー202(力点)を下方に引き下げると、キャリッジ昇降手段の軸受は支点として回動し、作用点としてのガイドロッド13は上昇する。ガイド板201は固定されているので、キャリッジ14はガイド板201に沿って殆ど垂直に上下動することができる。このようにソレノイド203を用いた機構を有するキャリッジ昇降手段により、キャリッジ14をプラテン12から上昇させてプラテン12とキャリッジ14の間隔を広げさせ、ジャム状態の記録紙Sをインクジェットヘッド15に擦ることなく除去でき、除去後はキャリッジ14を元の位置まで下降させることができる。
【0031】
また、インクジェットヘッド15と記録紙Sとの間は近い方が良いが、図14の(a)に示すように若干の距離xを持たせるように設定されている。しかし、例えば図14の(b)に示すように封筒の場合、貼り合わせている所は紙が三重や四重にもなっており、インクジェットヘッド15に擦る可能性が高い。従って、同様に距離xを保つためには、図13に示すような手動の高さ調整用レバー204を装置筐体205側から操作可能に設けて、この高さ調整用レバー204を封筒や厚紙に応じて操作してキャリッジ14を上げるなどして、インクジェットヘッド15とプラテン12との間の距離を確保するようにしている。また、記録紙の厚さや封筒等の種類に応じてジャム検知時におけるキャリッジ昇降手段又は後述するプラテン昇降手段の昇降距離を可変してジャム記録紙を除去する空間を十分確保するようにする。なお、高さ調整用レバー204の動作角をy°、レバー202の動作角をz°とする、y°<z°となるように調整されているものとする。
更に、本実施例ではレバー202を回動させる駆動手段としてソレノイドを用いたが、図15に示すようにレバー202の端部に形成されたギアとなる凹凸形状に、モータ206の回動軸に連結されたウォームギア207が噛み合わせ、モータ206が駆動することによりレバー202を上下動させてキャリッジ14を昇降することができる。この場合、モータ206の駆動を制御することによってキャリッジ14の高さを変えることができるので、封筒・厚紙対応の位置やジャム除去用位置への動作が可能である。
【0032】
次に、図13に示す第4の実施の形態例でのソレノイドを用いてインクジェットヘッドとプラテンの間隔を開ける昇降手段によるジャム記録紙除去処理動作について当該動作フローを示す図16に従って説明すると、ジャム検知後操作者がジャム記録紙を除去するためにカバーを開けたことを検知すると(ステップS901、ステップS902;YES)ソレノイドがオンしてインクジェットヘッドとプラテンの間隔を開ける動作が行われキャリッジが移動する間隔を開ける動作を行う(ステップS903,S904)。そして、操作者によってジャム記録紙が除去されるとソレノイドはオフとなってキャリッジを元の位置に戻す(ステップS905,S906)。このようにソレノイドが自動的にオン/オフすることによって、無駄な電力を使う必要が無くなる。そして、カバーが閉じられたことを検知すると(ステップS907;YES)記録紙が除去されたことが確認するためのセンサが記録紙を検知していない正常状態になったら(ステップS908;YES)、キャリッジを待機位置などに移動させ、インクジェットヘッドに保湿キャップを当てるなど待機状態にする(ステップS909)。更には、ヘッドクリーニング等のメンテナンス動作を行い(ステップS910)、紙粉や埃が付着してしまった場合でも除去することができ、ノズルの詰まりを押えることができる。一方、カバーが閉じられ記録紙が除去されていない状態であれば(ステップS908;NO)、ジャムが解消されていない旨のエラーメッセージを表示して再度ジャム記録紙の除去を操作者に促す(ステップS911)。なお、キャリッジの移動の範囲は、キャリッジが記録紙の範囲から外にあれば、ジャム紙の除去がやり易くなる。例えば印字中の空吐出を行う空吐出位置や、上述した待機位置に移動するようにすれば、記録紙幅によらず必ずそれ以上に外側になる。
【0033】
図17は本発明の第5の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。同図において、図11と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態例のインクジェット記録装置200によれば、プラテン12は複数のリンク部材208の回転軸によって回動可能になっており、リンク部材208と軸連結して設けられたレバー209を図中矢印Dの方向に引き上げると、プラテン12も回動してインクジェットヘッド15とプラテン12の間を広げることができる。なお、本実施の形態例のようなプラテン昇降手段としてリンク部材208を介してプラテン12を昇降させているが、図18に示すようにプラテン12を回動自在に支持する支持部材の回動軸にレバー209を直接連結させ、このレバー209を図中矢印Dの方向に引き上げ、プラテン12も回動してインクジェットヘッド15とプラテン12の間を広げてもよい。また、本実施の形態例ではレバーを手動で上下動させているが、第4の実施の形態例のようにソレノイドやモータを用いて上下動させてもよい。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のインクジェット記録装置におけるジェム検知機構の構成を示す概略断面図である。
【図2】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図3】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図4】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図5】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図6】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図7】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図8】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図9】ジャム検知の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図14】厚紙と封筒に記録を行う際の様子を示す概略断面図である。
【図15】第4の実施の形態例のインクジェット記録装置における別のキャリッジ昇降手段の構成を示す概略断面図である。
【図16】第4の実施の形態例でのソレノイドを用いたキャリッジ昇降手段によるジャム記録紙除去処理動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第5の実施の形態例に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図18】第5の実施の形態例のインクジェット記録装置における別のプラテン昇降手段の構成を示す概略断面図である。
【図19】通常のインクジェット記録装置の構成を示す概略断面図である。
【図20】通常のインクジェット記録装置におけるジャム記録紙の除去の様子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0036】
100,200;インクジェット記録装置、101;入口センサ、
102;レジストセンサ、103;出口センサ、201;ガイド板、
202;レバー、203;ソレノイド、204;高さ調整用レバー、
205;装置筐体、206;モータ、207;ウォームギア、
208;リンク部材、209;レバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテン上にセットされた記録紙上にキャリッジに搭載したインクジェットヘッドのノズル孔からインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
記録紙のジャムを検知するジャム検知手段と、該ジャム検知手段の検知結果に基づいて前記インクジェットヘッドと前記プラテンの間の距離を可変する可変手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記可変手段は、前記プラテンに対して前記キャリッジを昇降するキャリッジ昇降手段である請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記キャリッジ昇降手段は、前記キャリッジを概略平行に昇降させる請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記キャリッジ昇降手段は、前記キャリッジを軸回動する軸回動機構である請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記可変手段は、前記キャリッジの前記インクジェットヘッドのヘッド面に対して前記プラテンを昇降するプラテン昇降手段である請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記プラテン昇降手段は、前記プラテンを概略平行に昇降させる請求項5記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記プラテン昇降手段は、前記プラテンを軸回動する軸回動機構である請求項5記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記軸回動機構の駆動手段は、ソレノイドである請求項4又は7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記軸回動機構の駆動手段は、モータである請求項4又は7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記記録紙の厚さや種類に応じて前記キャリッジ昇降手段又は前記プラテン昇降手段の昇降距離を可変する請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−144633(P2007−144633A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338303(P2005−338303)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】