インクジェット記録装置
【課題】サマータイム制御に対応させて印字設定を自動的に行うことができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】冬時間41のときには被印字物に冬時間の時刻を印字し、夏時間42のときには被印字物に夏時間の時刻を印字する。夏時間42と冬時間41とが重複する重複期間44において時刻を印字する際には、サマータイム終了時TEまでは夏時間マークを印字し、サマータイム終了後には冬時間マークを印字する。これにより、サマータイムの開始と終了に応じて自動的に時刻印字が行われるとともに、重複期間において同一時刻となって印字された時刻をこれに付加されたマークにより正確に区別することができる。
【解決手段】冬時間41のときには被印字物に冬時間の時刻を印字し、夏時間42のときには被印字物に夏時間の時刻を印字する。夏時間42と冬時間41とが重複する重複期間44において時刻を印字する際には、サマータイム終了時TEまでは夏時間マークを印字し、サマータイム終了後には冬時間マークを印字する。これにより、サマータイムの開始と終了に応じて自動的に時刻印字が行われるとともに、重複期間において同一時刻となって印字された時刻をこれに付加されたマークにより正確に区別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置に関し、特にサマータイム制御に対応したインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品加工技術や工業製品製造技術の分野などの製造技術分野においては、製品の製造日時や流通経路などを管理する「トレーサビリティ」に対する需要が、消費者および生産者の区別なく高まっている。トレーサビリティを高めるために、各々の製品にその製造日時や管理番号などの製品固有情報を表示するようにしている。その表示を行うために、食品の収納容器や製品自体を被印字物として、これに非接触で文字や図形を印字つまりマーキングすることができる帯電制御式のインクジェット記録装置が使用されている。このインクジェット記録装置は、印字ヘッドのノズルを被印字物に接触させることなく、インクを被印字物に向けてノズルから飛翔させて印字することができるので、特に工場ラインにおいて製品を短時間で大量に加工、製造する場合に有効に機能している。
【0003】
製品固有情報の1つとして製造日時を被印字物に印字する場合には、被印字物に印字時の現在時刻を正確に印字する必要がある。現在時刻の表示方法の1つに、サマータイムがある。サマータイムは、資源を有効に活用する目的で欧米を中心に採用されている表示方法であり、サマータイムとは日照時間の長い夏季期間には時計表示を一定時間進める制度のことを意味するとともに、進められた時刻を意味している。この制度が採用される場合には、サマータイム開始時に時計表示を一定時間進め、サマータイム終了時に時計表示を一定時間戻すことになる。サマータイムが採用されている多くの国や地域では、サマータイム開始時には時計表示を1時間進めるようにしているが、30分進めるようにした地域もある。サマータイムの採用によって、夜間の電力消費の抑制、余暇活動の促進、交通事故や犯罪率の低下といった効果が期待できるとされている。
【0004】
サマータイムが採用されている地域で使用される各種電子機器には、時刻表示の方式としてサマータイムを表示することになる。電子時計機能を備えた各種電子機器に対するサマータイムの時刻表示技術としては、サマータイム期間の設定情報を予め入力しておくことにより、サマータイム期間の開始日または終了日で自動的に時刻調整をするようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−283688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のインクジェット記録装置で現在時刻変更を行う場合には、手入力または外部からの通信手段により変更操作が行われている。サマータイムが採用されている地域において使用されるインクジェット記録装置については、内蔵時計の誤差を正す目的で行う通常の現在時刻変更に加えて、サマータイムに対応する目的で行う現在時刻変更をサマータイム開始日時と終了日時に行う必要がある。しかし、特に手入力で現在時刻を変更する際には、現在時刻変更の間は印字作業が中断されるため、製品の製造ラインに大きなロスを生じさせてしまうことになるとともに、現在時刻の変更操作を行う作業者に煩わしさを与えてしまう。
【0007】
一方、サマータイム制御をその開始時に時計表示を例えば1時間進めるようにした場合には、サマータイム制御の特性上、サマータイム開始時には時計表示が1時間進むことになるので、1時間の空白期間が発生するのに対し、サマータイム終了時には時計表示が1時間戻されるので、サマータイム終了時の前後には重複期間が発生して同じ時刻が1時間繰り返されることになる。したがって、インクジェット記録装置を用いて現在時刻を被印字物に印字する場合には、実際には時刻が相違するにも拘わらず、同じ時刻となって印字された製品が混在することになり、印字時期を正確に特定することはできない。このため、製品のトレーサビリティの向上を図るためには、この1時間を何らかの方法で区別する方法を確立させる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、サマータイム制御に対応させて印字設定を自動的に行うことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインクジェット記録装置は、被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置であって、サマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を入力するサマータイム期間入力手段と、前記サマータイム期間入力手段により入力されたサマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を記憶する記憶手段と、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときには被印字物に冬時間の時刻を印字する一方、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときには、被印字物に冬時間よりもオフセット時間だけ進められた夏時間の時刻を印字する時刻印字制御手段と、サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間において時刻を印字する際には、サマータイム終了までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを印字する一方、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを印字する時間表現マーク印字制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときに時刻を印字する際には前記夏時間マークを印字し、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときに時刻を印字する際には前記冬時間マークを印字することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、被印字物に対して時刻を印字する際に、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記夏時間マークと前記冬時間マークの内容を入力するマーク入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録装置の使用地域に対応したサマータイム開始時とサマータイム終了時とが記憶された前記記憶手段から信号に基づいて使用地域を表示する使用地域表示画面を有し、当該使用地域表示画面がサマータイム開始時とサマータイム終了時を入力する前記サマータイム期間入力手段を構成することを特徴とする。
【0011】
本発明のインクジェット記録装置は、前記記憶手段は複数の地域についてのサマータイム開始時とサマータイム終了時とを記憶し、前記使用地域表示画面は複数の地域を表示することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、現在時刻が夏時間のときには、自動的に夏時間に基づいて被印字物に時刻を印字するサマータイム自動制御モードに設定する自動制御モード入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記オフセット時間を入力するオフセット時間入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記サマータイム期間入力手段によるサマータイム開始時とサマータイム終了時とを、週単位または月日単位で入力することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、それぞれの前記入力手段により入力された入力情報をディスプレイに画面表示することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、サマータイム開始時とサマータイム終了時とを表示するサマータイム期間表示画面は、夏時間と冬時間とを図表で表示するチャート表示部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間においては、被印字物に対してサマータイム終了時までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを自動的に印字し、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを自動的に印字するようにしたので、インクジェット記録装置の作動を停止させることなく、サマータイム制御のために時刻変更操作を行うことが不要となる。これにより、工場で大量に製造加工するための製造ラインを停止させることなく、夏時間と冬時間に対応させて製品に対する最適な時刻印字を自動的に行うことができる。重複期間に印字される製品には、夏時間マークと冬時間マークとが印字されるので、サマータイム終了時前後の重複期間内に印字された時刻を正確に区別することができ、製品を管理するためのトレーサビリティを向上させることができる。
【0013】
夏時間マークと冬時間マークとを重複期間を含めて全期間において印字するようにすると、製品に付される時刻を容易に区別することができる。印字モード入力手段により夏時間マークと冬時間マークとを印字するモードと、これらを印字しない不印字モードとに切り換えられるようにすると、サマータイムが適用されない地域と適用される地域のいずれにおいてもインクジェット記録装置を使用することができる。夏時間マークと冬時間マークの内容をマーク入力手段により入力することができるので、製品に応じて任意のマークを印字することができる。記憶部内に予めサマータイム開始時と終了時の時刻を格納しておくことにより、サマータイム期間の設定操作を容易に行うことができる。サマータイム開始時と終了時のデータを複数の地域について予め記憶部内に格納しておくことにより、サマータイム制度が適用されるいずれの地域においてもサマータイム期間の設定操作を容易に行うことができる。
【0014】
サマータイム期間を週単位として入力するようにすると、サマータイム期間を毎年変更する作業が不要となる。一方、サマータイム期間を月、日で入力するようにすると、サマータイム期間の開始時と終了時とが具体的になる。サマータイム期間など種々の入力内容は、ディスプレイの画面に点灯表示されるので、入力内容が視覚的に表示されて、インクジェット記録装置の設定操作性が向上することになる。夏時間と冬時間とを図表で画面に表示すると、サマータイム期間が視覚的に表示され、その設定操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態であるインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示された印字ヘッドの内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の制御部を示すブロック図である。
【図4】夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにしたサマータイムが採用されている地域における時計の時刻表示について視覚的に示した概略図である。
【図5】サマータイムに関する定義を視覚的に示した概略図である。
【図6】サマータイム開始時とサマータイム終了時の時間表現に応じて、空白期間と重複期間の範囲が変化する状態を示す概略図である。
【図7】現在時刻入力表示画面の一例を示す概略図である。
【図8】現在時刻入力表示画面の変形例の一部分を示す概略図である。
【図9】(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の具体例を示す概略図である。
【図10】サマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の変形例を示す概略図である。
【図11】(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の変形例を示す概略図である。
【図12】サマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の一部を示す概略図である。
【図13】(A)は重複期間における製品に対する印字例を比較例として示す概略図であり、(B)は重複期間における製品に対する印字パターンの具体例を示す概略図である。
【図14】時間表現を表す冬時間マークと夏時間マークの付与形態を選択する時間表現入力表示画面を示す概略図である。
【図15】時刻表示制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【図16】現在時刻が新たに入力された場合における現在時刻の再設定のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図17】サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとでの印字制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【図18】各種時刻の取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図19】変更なしの時刻計算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】変更ありの時刻計算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】時刻の状態取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】印字内容の取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示されるように、インクジェット記録装置11は、正面に操作表示部12が設けられた装置本体13を有し、装置本体13には印字ヘッド14が導管14aにより接続されている。このインクジェット記録装置11は、例えば、図1に示されるように、食品や飲料等を生産する工場の生産ラインに据え付けられ、食品等の梱包物を印字対象物つまり被印字物10として、これに管理番号や製造日時などの製品固有情報を印字つまりマーキングするために使用される。印字ヘッド14はベルトコンベア15により搬送される被印字物10に近接されて図示しない支持台に設置され、ベルトコンベア15により矢印で示される方向に移動する被印字物10にインクジェット記録装置11により印字作業が行われる。
【0017】
生産ラインとしてのベルトコンベア15には、ベルトコンベア15による被印字物10の移動速度にかかわらず同じ幅で被印字物10に印字するために、移動速度に応じた信号を出力するエンコーダ16が被印字物10の移動方向位置検出手段として設けられている。ベルトコンベア15により搬送された被印字物10が印字ヘッド14に対して移動方向上流側の所定の位置まで到達したことを検出し、インクジェット記録装置11に対して印字開始を指示するための信号を出力する印字センサ17がベルトコンベア15に近接して配置されている。エンコーダ16および印字センサ17はそれぞれ装置本体13内の制御部に信号線を介して接続されている。
【0018】
印字ヘッド14は、図2に示されるように、インク柱18を吐出するノズル20を有し、ノズル20には装置本体13内に配置されたインク容器22内のインクを供給するインク供給流路23が接続され、インク供給流路23には供給ポンプ24が設けられている。インク容器22内のインクは、供給ポンプ24により吸引、加圧されてインク柱18となってノズル20の噴出口21から噴出される。ノズル20には電歪素子25が備えられており、インクは電歪素子25により一定周期で振動され、ノズル20の噴出口21から噴出されるインク柱18は粒子化される。生成されるインク粒子19の数は、電歪素子25に印加される励振電圧の周波数により決定され、その周波数と同数となる。
【0019】
ノズル20の前方には帯電電極26が配置されており、インク粒子19には印字情報に対応した大きさの電圧を帯電電極26に印加することによって電荷が与えられるようになっている。帯電電極26の前方には偏向電極27が配置されており、偏向電極27はプラス偏向電極27aとこれに隙間を介して対向するマイナス偏向電極27bとを有している。帯電電極26により帯電されたインク粒子19は、両方の偏向電極27a,27bの間に形成される電界中を飛翔している間に帯電量に比例した力を受けて偏向され、被印字物10に向かって飛翔して被印字物10に着弾する。その際に、インク粒子19は帯電量に応じて矢印Rで示す偏向方向つまり主走査方向に着弾位置が変化し、さらに主走査方向Rに対してほぼ直角な移動方向つまり副走査方向にベルトコンベア15が被印字物10を移動させることで、偏向方向と直行した方向にもインク粒子19は着弾される。これにより、複数の着弾粒子によってドットマトリックス状に文字や図形が被印字物10にマーキングされることになる。
【0020】
印字に使用されないインク粒子19を回収するために、ノズル20の噴出口21に対向して印字ヘッド14内にはガター28が配置されており、偏向電極27a,27bの間を偏向されずに直線的に飛翔するインク粒子19はガター28により捕捉される。捕捉されたインク粒子19は、回収流路29によりインク容器22に回収されるようになっている。
【0021】
図1に示されるインクジェット記録装置11は、ベルトコンベア15により搬送しながら被印字物10に対して印字しており、被印字物10はベルトコンベア15により印字ヘッド14に対して副走査方向に移動する。これに対して、ベルトコンベア15を停止させた状態のもとで被印字物10に対して印字作業を行う場合には、印字ヘッド14を移動することによって被印字物10は印字ヘッド14に対して副走査方向に移動することになる。このように、被印字物10に対して印字ヘッド14を副走査方向に相対的に移動させることにより被印字物10にマーキングが施される。
【0022】
図3はインクジェット記録装置11の制御部30を示すブロック図である。制御部30は制御信号を演算するMPU(マイクロプロセッシングユニット)を備えたコントローラ31を有し、コントローラ31には、制御プログラムおよび演算式などを予め記憶しておくROMと、一時的にデータを記憶するRAMを有する記憶部32が設けられている。図1に示す操作表示部12は、印字情報等をキー入力するタッチパネル33の機能と、インクジェット記録装置11の印字内容や現在時刻等の情報を表示するディスプレイ34の機能とを有している。タッチパネル33の操作により入力された信号はコントローラ31に送られ、コントローラ31からはディスプレイ34に表示信号が出力される。印字を行う際の印字データや各種印字設定がタッチパネル33のキー操作により入力されると、そのデータは記憶部32のメモリに記憶される。
【0023】
図1に示したエンコーダ16と印字センサ17はそれぞれコントローラ31に接続され、コントローラ31からは図2に示した電歪素子25,帯電電極26および偏向電極27に対して制御信号が出力される。生産ラインを構成するベルトコンベア15により搬送される被印字物10に対して印字するときには、印字センサ17からの信号に基づいて被印字物10の位置を特定する。
【0024】
制御部30には、RTC(Real Time Clock)35と内蔵電池36とを有する内部時計記憶素子37が設けられており、内部時計記憶素子37は現在時刻を保存する目的で設けられている。「時刻を制御するプログラム」はプログラム格納装置としての記憶部32内のROMに格納されており、このプログラムによりコントローラ31に対する入出力信号が制御される。RTC35から送られる入力信号に基づいてRTC35に保存されている現在時刻は、コントローラ31内の図示しない検出装置により取得され、取得された現在時刻は、ディスプレイ34の画面に表示される。コントローラ31からの出力信号により、RTC35の内容を更新つまり変更することができる。
【0025】
コントローラ31は、記憶部32に格納された印字データに基づいて被印字物10に対して管理番号や製造日時などの製品固有情報を印字するために、印字ヘッド14内の偏向電極27などに駆動信号を送ることになり、コントローラ31は時刻や他のマークなどからなる製品固有情報の印字を制御する印字制御手段を構成している。
【0026】
上述したように、夜間の電力消費の抑制、余暇活動の促進、交通事故や犯罪率の低下などの効果を期待してサマータイムが採用されている地域がある。これらの地域においては、サマータイムとそうでない時刻とを明確に区別して表現される場合が多い。例えば、北米においては、「Daylight Saving Time(DST)」と「Standard Time(ST)」という表現で区別され、欧州においては「Summer Time」と「Time」という表現で区別されている。本明細書では、それにならい、言及する時刻がサマータイムかどうかを明確に区別する場合には、サマータイムを「夏時間」と表現し、サマータイムでない時刻を「冬時間」として表現することにする。また、夏時間を冬時間よりも進める時間をオフセット時間と表現することにする。ここで、夏時間と冬時間は、時間の状態を修飾する用語でもあるので、これらをまとめて「時間表現」と呼ぶことにする。
【0027】
夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにした場合、つまりオフセット時間を1時間とした場合には、夏時間は冬時間を1時間進めた時間であると言える。したがって、ある一瞬の時刻の時間表現を他方の時間表現で表したい場合には、計算式「夏時間=冬時間+1時間」で求めることができる。
【0028】
図4は、夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにしたサマータイムが採用されている地域における時計の時刻表示について視覚的に示した概略図である。
【0029】
図4において冬時間41における時刻AWをサマータイム開始時TSとすると、時刻AWとなった瞬間に時刻表示が自動的に1時間進み、夏時間42における時刻ASとなる。例えば、特定の月日の冬時間41の午前2時にサマータイムが開始されるとすると、時刻ASは午前3時となる。このため、見かけ上は時刻表示として使用されない空白の1時間である空白期間43が存在することになる。一方、夏時間42における時刻BSをサマータイム終了時TEとすると、時刻BSとなった瞬間に時刻表示が自動的に1時間戻り、冬時間41における時刻BWとなる。例えば、特定の月日の夏時間が午前3時となったときにサマータイムが終了されるとすると、時刻BWは午前2時となる。このため、見かけ上は時刻表示として2回使用される重複の1時間である重複期間44が存在することになる。図4において、符号Cは夏時間におけるサマータイム終了時BSからオフセット時間である1時間を戻した時の時刻を示し、符号Dは冬時間におけるサマータイム終了時BWから1時間後の時刻を示す。また、符号Eは夏時間を基準とした場合におけるサマータイム開始時ASから1時間前の時刻を示し、符号Fは冬時間41を基準とした場合におけるサマータイム開始時TSから1時間後の時刻を示す。
【0030】
図5は、サマータイムに関する定義を視覚的に示した概略図である。時刻がサマータイムであり続ける期間をサマータイム期間45と言う。サマータイム期間45はサマータイム開始時TSからサマータイム終了時TEまでの期間であり、サマータイム期間中の時刻の時間表現は夏時間42である。図4および図5により、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現は、それぞれ夏時間42と冬時間41の2通りあることがわかる。つまり、サマータイム開始時TSには、冬時間41のサマータイム開始時AWと夏時間42のサマータイム開始時ASとが存在する。また、サマータイム終了時TEには、冬時間41のサマータイム終了時BWと夏時間42のサマータイム終了時BSとが存在する。このため、インクジェット記録装置により時刻を再計算するプログラムを使用するには、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現を統一する必要がある。
【0031】
図6は、図4および図5に示されたサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現に応じて、空白期間43と重複期間44の範囲が変化する状態を示す概略図である。説明の便宜のために、サマータイム開始時TSおよびサマータイム終了時TEに設定する時刻を特定の日の2:00:00(午前2時00分00秒)と定義する。まず、サマータイム開始時TSが冬時間41の場合つまり冬時間基準46wと、サマータイム開始時TSが夏時間42の場合つまり夏時間基準46sとを比較する。冬時間基準46wの場合は、サマータイム開始時TSとして時刻AWを設定した場合なので、空白期間43は冬時間の2:00:00から3:00:00までとなる。一方、夏時間基準46sの場合には、サマータイム開始時TSとして時刻ASを設定した場合なので、空白期間43は夏時間42の1:00:00から2:00:00までとなる。これにより、時間表現の違いによって、空白期間43の範囲が1時間ずれることがわかる。
【0032】
次いで、サマータイム終了時TEが冬時間41の場合つまり冬時間基準47wと、サマータイム終了時TEが夏時間42の場合つまり夏時間基準47sとを比較する。冬時間基準47wの場合は、サマータイム終了時TEとして時刻BWを設定した場合なので、重複期間44は冬時間の2:00:00から3:00:00までとなる。一方、夏時間基準47sの場合には、サマータイム終了時TEとして時刻BSを設定した場合なので、重複期間44は夏時間42の1:00:00から2:00:00までとなる。これにより、時間表現の違いによって、重複期間44の範囲が1時間ずれることがわかる。
【0033】
図6に示されるように、同一時刻を設定しても、時間表現の違いでサマータイム期間45と空白期間43と重複期間44に影響がでることがわかる。そのため、設定ミス低減を図るために、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEを設定するときには、時間表現も設定することにする。
【0034】
図7〜図12は、タッチパネル33の機能とディスプレイ34としての機能とを有する操作表示部12にそれぞれ点灯表示される画面の一例を示す概略図である。それぞれの画面は、タッチパネルとしての機能を有する操作表示部12の特定部位を作業者が指で操作することにより各種の情報を入力することができるとともに、入力結果が操作表示部12に点灯表示される。
【0035】
図7は、現在時刻入力表示画面51の一例を示す概略図である。この画面51には現在時刻を秒単位で表示する現在時刻入力表示部61を有し、この画面51にはサマータイム制御を採用するかどうかを選択するためのサマータイム自動制御モードの入力表示部62が設けられている。この入力表示部62は、「あり」と表示される部分と「なし」と表示される部分とを有し、自動制御モード入力手段を構成している。入力表示部62の「あり」と表示された部分が操作されると、現在時刻が夏時間42のときには、自動的に夏時間42に基づいて被印字物10に時刻を印字するようにサマータイム自動制御モードが設定される。これにより、サマータイム期間中には現在時刻を冬時間41を基準とすると、それよりも自動的に1時間進める処理を行い、その結果が現在時刻入力表示部61に時刻表示される。
【0036】
この画面51の入力表示部62を操作することによって、予めサマータイム自動制御を採用するか否かを設定することができ、被印字物10に対する印字作業を中断させることなくサマータイム設定を行うことができる。「あり」の部分を操作した後に「決定」60と表示された部分を操作すると、サマータイム自動制御モードが設定されたことが、記憶部32に格納される。一方、「なし」の部分を操作した後に「決定」60と表示された部分を操作すると、サマータイム自動制御モードが解除されて現在時刻入力表示部61には冬時間41に基づいた時刻が表示される。この現在時刻入力表示部61を操作することにより、現在時刻の変更ないし更新操作も行われる。
【0037】
図8は、現在時刻入力表示画面51の変形例の一部分を示す概略図である。サマータイム自動制御の入力表示部62の「あり」が操作されたときに、現在時刻入力表示部61には「夏時間」の文字が点灯表示され、現在時刻入力表示部61の背景部分61aの色彩が他の部分と相違されるようになっている。また、この画面51にはサマータイム期間を示すアイコン63が表示される。このように、サマータイム期間中のみ画面表示を変更することによって、作業者は時間表現の違いを視覚的に判別できることになる。「あり」と表示された部分が操作された場合には夏時間においては、図8に示すように、夏時間の文字を点灯させるとともに背景部分61aを地の色と相違した色彩で点灯させるようにすると、冬時間においてはこれらが点灯されないので、時間表現により、図7を冬画面、図8を夏画面とも言うことができる。
【0038】
図9(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の具体例を示す概略図である。それぞれの期間入力表示画面52は図4に示したサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとを表示するサマータイム期間入力表示部64を有しており、この入力表示部64に表示されるサマータイム開始時TSと終了時TEの内容は図示省略したキーの部分を操作することにより変更することができる。このように、図9に示す期間入力表示画面52のサマータイム期間入力表示部64は、サマータイム開始時とサマータイム終了時を入力するためのサマータイム期間入力手段を構成している。
【0039】
図9(A)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとが週単位で入力することができる。図9(A)においては、3月の第2日曜日午前2時が冬時間41を基準としたサマータイムの開始時TSであり、終了時TEが夏時間42を基準として11月の第1日曜日の午前2時であることを示している。図9(A)に示されるように、週と曜日に基づいてサマータイム開始時TSと終了時TEとを入力するとともに表示するようにすると、カレンダーの日付に依存しない項目によりそれぞれを設定することができ、一度設定すればサマータイム期間の変更を毎年行う必要がないという利点がある。
【0040】
図9(B)に示す期間入力表示画面52に設けられたサマータイム期間入力表示部64には、図4のサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとを、「年」「月」「日」「時」「分」および「時間表現」により表現している。このような表示方式においては、カレンダーの日付が具体的に表示されるので、サマータイム期間が視覚的にわかりやすいという利点がある。
【0041】
図10は期間入力表示画面52の変形例を示す概略図であり、この期間入力表示画面52にはサマータイムが採用される使用地域を表示する使用地域表示部65が設けられている。図3に示した記憶部32には、各地域のサマータイム期間45のデータが格納されており、使用地域の設定項目には、大陸、国、地域が含まれている。これらの項目の部分が作業者により操作されると、全ての項目を満たす地域のサマータイム期間が記憶部32から読み出されて、サマータイム条件が設定され、設定された内容が表示される。このように、予め記憶部32に各地域のサマータイム期間のデータを格納しておくことにより、図9に示したようにサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの各項目を入力する煩雑さが解消される。
【0042】
図11(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の変形例を示す概略図である。それぞれの画面52には、文字で表示するサマータイム期間入力表示部64に加えて、サマータイム期間を図表形式で示すチャート表示部66が設けられている。このチャート表示部66に表示される図表は、図4に示した時刻表示形式となっている。図11(A)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム終了時TEが夏時間42を基準として表示されており、これに対応させてチャート表示部66にはサマータイム終了時TEが夏時間を基準とした図表により時刻表示されている。これに対し、図11(B)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム終了時TEが冬時間41を基準として表示されており、これに対応させてチャート表示部66にはサマータイム終了時TEが冬時間を基準とした図表により時刻表示されている。図11に示すように、チャート表示部66を設けると、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとが視覚的に自動的に時刻表示されるので、サマータイム期間の設定ミスを低減することができる。
【0043】
図12はサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の一部を示す概略図である。
【0044】
この期間入力表示画面52には、夏時間と冬時間の時間差つまり時刻表示の幅を設定し表示するためのオフセット入力表示部67が設けられている。サマータイム開始時TSに進める時間つまり時刻表示の幅の値は、図4に示した空白期間43と重複期間44の範囲に直接影響を与えることになる。インクジェット記録装置11が使用される多くの地域においては、サマータイム開始時TSには時計表示を1時間進めるようにしているが、オフセット時間入力手段としてのオフセット入力表示部67を操作することによって、サマータイム開始時TSに進める時間つまりオフセット時間を任意の時間に設定することができる。これにより、サマータイム開始時TSに進めるオフセット時間が1時間以外となったとしても、このオフセット入力表示部67を操作することにより、オフセット時間の変更に柔軟に対応することができる。オフセット入力表示部67には時間を表示する部分と、分を表示する部分とを有している。
【0045】
インクジェット記録装置のプリントモードとしてサマータイム制御が行われているときには、図4に符号I,Vで示した冬時間41のときに印字された被印字物10には冬時間が時刻として印字され、符号IIで示した夏時間42のときに印字された被印字物10には夏時間が時刻として印字されることになる。これに対し、現在時刻が重複期間44のときには、同一の時刻が符号IIIで示す夏時間42のときと、符号IVで示す冬時間41のときとで2回印字されることになる。つまり、印字された被印字物10には夏時間42で時刻印字されたものと、冬時間41で時刻印字されたものとが混在することになる。時刻が印字された製品つまり被印字物10のトレーサビリティについて、印字した時刻を含めて厳密に管理しようとすると、図4に示されるように、重複期間44に印字された製品数は他の時間に印字された製品数の2倍となる。このため、印字時刻に基づいて製品を判別する場合には、重複期間44における製品の印字時期を特定することができなくなり、この時刻間でのトレーサビリティ管理が不十分になる。この問題は、サマータイム制御を行って印字する場合には必ず発生することになる。
【0046】
図13(A)は重複期間44における製品に対する印字例を比較例として示す概略図である。図示するように、重複期間44においては、夏時間に基づいて印字された時刻と、冬時間に基づいて印字された時刻とがいずれも「01:15:00」と印字され、実際には印字された時間が相互に相違するにも拘わらず、同一時刻として印字された製品が混在することになる。このため、重複期間44における製品の印字時期を特定することができない。
【0047】
図13(B)は重複期間44における製品に対する印字パターンの具体例を示す概略図である。
【0048】
図13(B)に示すように、重複期間44のうち夏時間42に基づく時刻については時刻の末尾に時間表現を示す夏時間マーク「S」が付加され、冬時間に基づく時刻については時刻の末尾に時間表現を示す冬時間マーク「W」が付加される。これにより、時刻の表現は図13(A)に示した場合と同様に「01:15:00」と印字されるが、それぞれ夏時間マーク「S」と冬時間マーク「W」のいずれかの時間表現マークが付加されるので、重複期間44における製品の印字時期を正確に特定することができ、製品のトレーサビリティ管理を十分に行うことができる。時刻表現マークとしては、製品製造者や需要者が識別することができるマークであれば、「Summer」「Winter」と標記するようにしても良く、絵文字などを標記するようにしても良く、時刻が表示される部分の地の色を相違させるようにしても良い。
【0049】
図14は時間表現を表すマークつまり冬時間マークと夏時間マークの付与形態を選択する時間表現入力表示画面53を示す概略図である。
【0050】
この画面53には自動印字内容入力表示部68が設けられており、この入力表示部68には夏時間42に基づく時刻で印字されるときには、夏時間マーク「S」が付加されることが表示され、冬時間41に基づく時刻で印字されるときには、冬時間マーク「W」が付加されることが表示されている。時間表現を表すマークとして他のマークを使用する場合には、予め記憶部32に格納された他のマークが、この自動印字内容入力表示部68を操作することにより選択される。このように、自動印字内容入力表示部68は夏時間マーク「S」と冬時間マーク「W」の内容を入力するマーク入力手段となっている。
【0051】
時間表現入力表示画面53には印字モード入力表示部69が設けられており、印字モード入力表示部69における「重複期間」の項目が操作されると、重複期間44に印字される製品には「S」または「W」の時間表現を表すマークが時刻の末尾に自動的に印字される。一方、「全期間」の項目が操作されると、重複期間44も含めて冬時間41に基づく時刻が印字されるときも、夏時間42に基づく時刻が印字されるときにも、時間表現のマークが付加される。「なし」の項目が操作されると、時間表現マークの付加が禁止される。このように、印字モード入力表示部69は、夏時間マークと冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、これらを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を構成している。この印字モード入力手段としての印字モード入力表示部69は、上述のように、重複期間44のみに時間表現マークを印字するモードと、全期間について時間表現マークを印字するモードとを切り換えるモード切換手段としての機能を有している。
【0052】
上述したそれぞれの画面においては、決定60の文字が付された部分を操作することにより、入力された情報が設定されて、記憶部32に製品固有情報として格納される。
【0053】
図15は、インクジェット記録装置による印字操作がサマータイム自動制御モードにより実行されると設定された場合における時刻表示制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【0054】
インクジェット記録装置が起動されると、ステップS1においては図4に示した各種時刻を取得つまり読み出すサブルーチンが後述のように実行され、RTC35から現在時刻Tを取得してその時間表現を取得する(ステップS2,S3)。ステップS4で前回の時刻制御時からサマータイム自動制御が変更されたか否かを判定し、変更されなかった場合は後述するようにステップS5の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンが実行され、変更された場合には後述するようにステップS6の「変更ありの時刻計算」のサブルーチンが実行される。ステップS7において現在時刻Tの時間表現が冬時間であると判定された場合には、図7および図8に示した現在時刻入力表示部61,61aには現在時刻Tとして冬時間を表示し、夏時間であると判定された場合には現在時刻Tとして夏時間を表示する(ステップS8,S9)。
【0055】
図16は、サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとで現在時刻Tが新たに入力された場合における現在時刻の再設定のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0056】
ステップS11〜S13では上述したステップS1〜S3と同様の処理が実行されて現在時刻Tの時間表現を求め、ステップS14において画面操作により入力された時刻Sを取得する。現在時刻を変更するための時刻の入力は、図7および図8に示す現在時刻入力表示部61,61aに表示された部分を操作することにより行うことができる。ステップS15にて現在時刻Tの時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS16で時刻Sの範囲が判定される。ステップS16でNOと判定されたときは、図4に示されるように時刻Sが夏時間42の範囲ではなく冬時間41の範囲なので、ステップS17でRTC35を時刻Sに再設定する。ステップS16でYESと判定されたときには、ステップS18において時刻Sの範囲が判定される。ステップS18においてYESと判定されたときは、この時刻Sが図4に示されるように夏時間42であり、冬時間41から夏時間42に変更する必要があるので、ステップS19にて時刻Sの時間表現を夏時間として、ステップS17でRTC35を時刻Sに再設定する。一方、ステップS18でNOと判定されたときは、入力された時刻Sが図4に示されるように空白期間43であるので、ステップS20ではRTC35の再設定を行うことなくルーチンを抜ける。
【0057】
ステップS15で夏時間であると判定されたときには、ステップS21において時刻Sの範囲が判定される。このステップS21においてYESと判定されたときは図4に示されるように時刻Sが夏時間42の範囲であるので夏時間のままに設定する場合であり、ステップS22でRTC35を時刻Sに再設定する。ステップS21でNOと判定されたときは、ステップS23で時刻Sの範囲を判定する。このステップS23でNOと判定されたときは、夏時間から冬時間に変更する必要があるので、ステップS24において時間表現が冬時間に設定変更され、ステップS22でRTC35を時刻Sに再設定する。一方このステップS23でYESと判定されたときは、入力された時刻Sが図4に示されるように空白期間であるので、ステップS25ではRTC35の再設定を行うことなくルーチンを抜ける。
【0058】
図17は、サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとでの印字制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【0059】
ステップS31〜S33では上述したステップS1〜S3と同様の処理が実行されて現在時刻Tの時間表現を求め、ステップS34においてはステップS5と同様の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンが実行される。ステップS35において時間表現を自動的に印字すると判定された場合には、ステップS36では「時刻Tの状態取得」のサブルーチンが後述のように実行され、ステップS37では後述する「印字内容N取得」のサブルーチンが実行される。ステップS36では時刻Tがサマータイム期間45、空白期間43、重複期間44のうちいずれの状態にあるかが取得され、ステップS37では時刻Tの時間表現を示す印字内容Nを取得する。印字内容Nは、図14に示したように、冬時間の場合には「W」の時間表現マークであり、夏時間の場合には「S」の時間表現マークとなっている。
【0060】
ステップS38において印字内容Nを印字すると判定されたときには、時刻TとWまたはSの時間表現を示す印字内容Nを印字し、ステップS38において印字内容Nを印字しないと判定されたときには、時刻Tのみを印字する(ステップS39,S40)。このように、時刻Tのみを印字するのは、図14に示された印字モード入力表示部69の「なし」の部分が操作されて不印字モードが設定された場合である。
【0061】
図18は、上述したステップS1などに示した「各種時刻の取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンにおいては、図4に示したサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとに、夏時間=冬時間+1時間の計算式を用いることにより、図4における時刻AW,AS,BW,BS,C〜Fが計算される。
【0062】
まず、ステップS41ではメモリつまり記憶部32に格納されたサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時刻を読み出してこれらの時刻を取得し、ステップS42においてサマータイム開始時TSの時間表現を判定する。時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS43にて冬時間を基準としたサマータイム開始時AWと夏時間を基準としたサマータイム開始時ASとを計算する。一方、ステップS42において時間表現が夏時間であると判定されたときには、ステップS44にてそれぞれのサマータイム開始時AW,ASを計算する。
【0063】
ステップS45においてはサマータイム終了時TEの時間表現が冬時間であるか夏時間であるかを判定して、冬時間であると判定されたときにはステップS46によりサマータイム終了時BW,BSを計算し、夏時間であると判定されたときにはステップS47によりサマータイム終了時BW,BSを計算する。これらの計算結果に基づいて、ステップS48では時刻F〜Cが計算される。
【0064】
図19は、上述したステップS5,S34の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンを示すフローチャートである。サマータイム自動制御が前回の時刻制御から変化していないときには、ステップS51で時刻Tの時間表現を判定し、時刻Tの時間表現が冬時間の場合には、ステップS52で記憶部32からそれぞれの時刻AW,BW,D,Fを読み出してこれらの値を取得し、ステップS53にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS53においてYESと判定されるのは、前回の時刻制御後にサマータイム開始時を過ぎたため、現在時刻Tが冬時間から夏時間になったものの、時刻Tはまだ冬時間のままであるという場合である。この場合には、ステップS54が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が夏時間に設定される。
【0065】
一方、ステップS51において時刻Tの時間表現が夏時間であると判定された場合には、ステップS55でそれぞれの時刻AS,BS,C,Eを記憶部32から読み出してこれらの値を取得し、ステップS56にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS56においてNOと判定されるのは、前回の時刻制御後にサマータイム終了時を過ぎたため、現在時刻が夏時間から冬時間になったものの、時刻Tはまだ夏時間のままであるという場合である。この場合には、ステップS57が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が冬時間に設定される。
【0066】
図20は、上述したステップS6の「変更ありの時刻計算」のサブルーチンを示すフローチャートである。サマータイム自動制御が前回の時刻制御時から変化しているときには、ステップS61においてサマータイム自動制御が「なし」から「あり」に変化したか否かを判定する。「なし」から「あり」に変化した場合には、ステップS62にて記憶部32から時刻AW,BW,D,Fを読み出してこれらの値を取得し、ステップS63にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS63においてYESと判定されるのは、サマータイム制御が採用されて現在時刻が夏時間の範囲にあるものの、時刻Tはまだ冬時間のままであるという場合である。この場合にはステップS64が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が夏時間に設定される。
【0067】
一方、ステップS61においてサマータイム自動制御が「あり」から「なし」に変化したと判定された場合には、ステップS65にて時刻Tの時間表現を判定する。時刻Tが夏時間と判定されるのは、サマータイム制御が外れて現在時刻が冬時間となったものの、時刻Tはまだ夏時間のままであるという場合であり、時刻Tを冬時間にする必要があるためステップS66の処理が実行される。ステップS65で冬時間と判定されたときには、そのままルーチンを抜ける。
【0068】
図21は、時刻Tがサマータイム期間、空白期間、重複期間のうちいずれの状態にあるかを取得するための図17に示したステップS36の「時刻Tの状態取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップS71にて計算する時刻Tを取得し、ステップS72にて時刻Tの時間表現を判定する。時間表現がこのステップS72で冬時間と判定されたときには、ステップS73で各時刻AW,BW,D,Fを記憶部32から取得し、ステップS74にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS74でYESと判定されるのはステップS75に示すように時刻Tがサマータイム期間内の場合であり、NOと判定されるのはステップS76に示すように時刻Tがサマータイム期間外の場合である。ステップS77にて時刻Tの範囲を判定し、このステップS77で時刻Tが範囲内であると判定されたときは時刻Tが空白期間である(ステップS78)。一方、ステップS77で範囲外と判定されたときには、ステップS79で時刻Tの範囲を判定し、この範囲内であると判定されたときには、時刻Tは重複期間である(ステップS80)。
【0070】
ステップS72において時刻Tが夏時間であると判定されたときには、ステップS81で各時刻AS,BS,C,Eを取得し、ステップS82にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS82でYESと判定されるのは、ステップS83に示すように時刻Tがサマータイム期間内の場合であり、NOと判定されるのはステップS84で示すように時刻Tがサマータイム期間外の場合である。ステップS85では、時刻Tの範囲を判定し、このステップS85でYESと判定されたときには、時刻Tは空白期間である(ステップS86)。一方、ステップS85でNOと判定されたときには、ステップS87で時刻Tの範囲を判定する。このステップS87でYESと判定されたときには、時刻Tは重複期間である(ステップS88)。
【0071】
図22は、図17に示したステップS37の時刻Tの時間表現を示す「印字内容Nの取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0072】
ステップS91にて時刻Tの時間表現を取得し、ステップS92で時刻Tの時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS93において自動印字内容Nとして冬時間を表す文字「W」が設定される。一方、ステップS92において時刻Tの時間表現が夏時間であると判定されたときには、ステップS94において自動印字内容Nとして夏時間を表す文字「S」が設定される。それぞれの時間表現を表すマークは、図14に示された自動印字内容入力表示部68を操作することにより、記憶部32に予め格納された内容が読み出される。
【0073】
ステップS95においては、図14に示された印字モード入力表示部69の操作により入力された印字モードに基づいて、印字内容Nを重複期間44にのみ印字するか、全期間について印字するか、あるいは印字しないかが判定される。これにより、重複期間44にのみ印字する場合には、ステップS96で示すように重複期間44にのみ印字内容Nが印字され、全期間において印字する場合にはステップS97で示すように印字内容Nは冬期間と夏期間の全てにおいて印字される。一方、時間表現を印字しない状態に設定されているときには、ステップS98で示すように印字内容Nを印字しないものとして、時刻のみが印字されることになる。
【0074】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、被印字物10に対しては時間単位と分単位とを時刻として印字するようにしているが、時間単位のみを時刻として印字するようにしても良い。図1に示されるインクジェット記録装置11は、印字ヘッド14が導管14aにより接続されるとともに内部にインク容器22などが装着された装置本体13には、タッチパネル33とディスプレイ34の機能を有する操作表示部12が設けられているが、操作表示部12を装置本体13から分離させて配置するようにしても良い。また、種々の情報を入力するためのタッチパネル33に代えて、入力キーが設けられた操作ボードを用いるようにしても良く、その場合には入力された情報を表示するディスプレイが操作ボードから分離されて設けられることになる。
【符号の説明】
【0075】
10…被印字物、11…インクジェット記録装置、12…操作表示部、13…装置本体、14…印字ヘッド、30…制御部、31…コントローラ(時刻印字制御手段、時間表現マーク印字制御手段)、32…記憶部(記憶手段)、33…タッチパネル、34…ディスプレイ、41…冬時間、42…夏時間、43…空白期間、44…重複期間、45…サマータイム期間、51…現在時刻入力表示画面、52…期間入力表示画面、53…時間表現入力表示画面、61…現在時刻入力表示部、64…サマータイム期間入力表示部、65…使用地域表示部、66…チャート表示部、67…オフセット入力表示部、68…自動印字内容入力表示部、69…印字モード入力表示部、TE…サマータイム終了時、TS…サマータイム開始時。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置に関し、特にサマータイム制御に対応したインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品加工技術や工業製品製造技術の分野などの製造技術分野においては、製品の製造日時や流通経路などを管理する「トレーサビリティ」に対する需要が、消費者および生産者の区別なく高まっている。トレーサビリティを高めるために、各々の製品にその製造日時や管理番号などの製品固有情報を表示するようにしている。その表示を行うために、食品の収納容器や製品自体を被印字物として、これに非接触で文字や図形を印字つまりマーキングすることができる帯電制御式のインクジェット記録装置が使用されている。このインクジェット記録装置は、印字ヘッドのノズルを被印字物に接触させることなく、インクを被印字物に向けてノズルから飛翔させて印字することができるので、特に工場ラインにおいて製品を短時間で大量に加工、製造する場合に有効に機能している。
【0003】
製品固有情報の1つとして製造日時を被印字物に印字する場合には、被印字物に印字時の現在時刻を正確に印字する必要がある。現在時刻の表示方法の1つに、サマータイムがある。サマータイムは、資源を有効に活用する目的で欧米を中心に採用されている表示方法であり、サマータイムとは日照時間の長い夏季期間には時計表示を一定時間進める制度のことを意味するとともに、進められた時刻を意味している。この制度が採用される場合には、サマータイム開始時に時計表示を一定時間進め、サマータイム終了時に時計表示を一定時間戻すことになる。サマータイムが採用されている多くの国や地域では、サマータイム開始時には時計表示を1時間進めるようにしているが、30分進めるようにした地域もある。サマータイムの採用によって、夜間の電力消費の抑制、余暇活動の促進、交通事故や犯罪率の低下といった効果が期待できるとされている。
【0004】
サマータイムが採用されている地域で使用される各種電子機器には、時刻表示の方式としてサマータイムを表示することになる。電子時計機能を備えた各種電子機器に対するサマータイムの時刻表示技術としては、サマータイム期間の設定情報を予め入力しておくことにより、サマータイム期間の開始日または終了日で自動的に時刻調整をするようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−283688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のインクジェット記録装置で現在時刻変更を行う場合には、手入力または外部からの通信手段により変更操作が行われている。サマータイムが採用されている地域において使用されるインクジェット記録装置については、内蔵時計の誤差を正す目的で行う通常の現在時刻変更に加えて、サマータイムに対応する目的で行う現在時刻変更をサマータイム開始日時と終了日時に行う必要がある。しかし、特に手入力で現在時刻を変更する際には、現在時刻変更の間は印字作業が中断されるため、製品の製造ラインに大きなロスを生じさせてしまうことになるとともに、現在時刻の変更操作を行う作業者に煩わしさを与えてしまう。
【0007】
一方、サマータイム制御をその開始時に時計表示を例えば1時間進めるようにした場合には、サマータイム制御の特性上、サマータイム開始時には時計表示が1時間進むことになるので、1時間の空白期間が発生するのに対し、サマータイム終了時には時計表示が1時間戻されるので、サマータイム終了時の前後には重複期間が発生して同じ時刻が1時間繰り返されることになる。したがって、インクジェット記録装置を用いて現在時刻を被印字物に印字する場合には、実際には時刻が相違するにも拘わらず、同じ時刻となって印字された製品が混在することになり、印字時期を正確に特定することはできない。このため、製品のトレーサビリティの向上を図るためには、この1時間を何らかの方法で区別する方法を確立させる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、サマータイム制御に対応させて印字設定を自動的に行うことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインクジェット記録装置は、被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置であって、サマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を入力するサマータイム期間入力手段と、前記サマータイム期間入力手段により入力されたサマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を記憶する記憶手段と、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときには被印字物に冬時間の時刻を印字する一方、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときには、被印字物に冬時間よりもオフセット時間だけ進められた夏時間の時刻を印字する時刻印字制御手段と、サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間において時刻を印字する際には、サマータイム終了までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを印字する一方、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを印字する時間表現マーク印字制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときに時刻を印字する際には前記夏時間マークを印字し、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときに時刻を印字する際には前記冬時間マークを印字することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、被印字物に対して時刻を印字する際に、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記夏時間マークと前記冬時間マークの内容を入力するマーク入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録装置の使用地域に対応したサマータイム開始時とサマータイム終了時とが記憶された前記記憶手段から信号に基づいて使用地域を表示する使用地域表示画面を有し、当該使用地域表示画面がサマータイム開始時とサマータイム終了時を入力する前記サマータイム期間入力手段を構成することを特徴とする。
【0011】
本発明のインクジェット記録装置は、前記記憶手段は複数の地域についてのサマータイム開始時とサマータイム終了時とを記憶し、前記使用地域表示画面は複数の地域を表示することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、現在時刻が夏時間のときには、自動的に夏時間に基づいて被印字物に時刻を印字するサマータイム自動制御モードに設定する自動制御モード入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記オフセット時間を入力するオフセット時間入力手段を有することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、前記サマータイム期間入力手段によるサマータイム開始時とサマータイム終了時とを、週単位または月日単位で入力することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、それぞれの前記入力手段により入力された入力情報をディスプレイに画面表示することを特徴とする。本発明のインクジェット記録装置は、サマータイム開始時とサマータイム終了時とを表示するサマータイム期間表示画面は、夏時間と冬時間とを図表で表示するチャート表示部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間においては、被印字物に対してサマータイム終了時までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを自動的に印字し、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを自動的に印字するようにしたので、インクジェット記録装置の作動を停止させることなく、サマータイム制御のために時刻変更操作を行うことが不要となる。これにより、工場で大量に製造加工するための製造ラインを停止させることなく、夏時間と冬時間に対応させて製品に対する最適な時刻印字を自動的に行うことができる。重複期間に印字される製品には、夏時間マークと冬時間マークとが印字されるので、サマータイム終了時前後の重複期間内に印字された時刻を正確に区別することができ、製品を管理するためのトレーサビリティを向上させることができる。
【0013】
夏時間マークと冬時間マークとを重複期間を含めて全期間において印字するようにすると、製品に付される時刻を容易に区別することができる。印字モード入力手段により夏時間マークと冬時間マークとを印字するモードと、これらを印字しない不印字モードとに切り換えられるようにすると、サマータイムが適用されない地域と適用される地域のいずれにおいてもインクジェット記録装置を使用することができる。夏時間マークと冬時間マークの内容をマーク入力手段により入力することができるので、製品に応じて任意のマークを印字することができる。記憶部内に予めサマータイム開始時と終了時の時刻を格納しておくことにより、サマータイム期間の設定操作を容易に行うことができる。サマータイム開始時と終了時のデータを複数の地域について予め記憶部内に格納しておくことにより、サマータイム制度が適用されるいずれの地域においてもサマータイム期間の設定操作を容易に行うことができる。
【0014】
サマータイム期間を週単位として入力するようにすると、サマータイム期間を毎年変更する作業が不要となる。一方、サマータイム期間を月、日で入力するようにすると、サマータイム期間の開始時と終了時とが具体的になる。サマータイム期間など種々の入力内容は、ディスプレイの画面に点灯表示されるので、入力内容が視覚的に表示されて、インクジェット記録装置の設定操作性が向上することになる。夏時間と冬時間とを図表で画面に表示すると、サマータイム期間が視覚的に表示され、その設定操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態であるインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示された印字ヘッドの内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の制御部を示すブロック図である。
【図4】夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにしたサマータイムが採用されている地域における時計の時刻表示について視覚的に示した概略図である。
【図5】サマータイムに関する定義を視覚的に示した概略図である。
【図6】サマータイム開始時とサマータイム終了時の時間表現に応じて、空白期間と重複期間の範囲が変化する状態を示す概略図である。
【図7】現在時刻入力表示画面の一例を示す概略図である。
【図8】現在時刻入力表示画面の変形例の一部分を示す概略図である。
【図9】(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の具体例を示す概略図である。
【図10】サマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の変形例を示す概略図である。
【図11】(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の変形例を示す概略図である。
【図12】サマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面の一部を示す概略図である。
【図13】(A)は重複期間における製品に対する印字例を比較例として示す概略図であり、(B)は重複期間における製品に対する印字パターンの具体例を示す概略図である。
【図14】時間表現を表す冬時間マークと夏時間マークの付与形態を選択する時間表現入力表示画面を示す概略図である。
【図15】時刻表示制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【図16】現在時刻が新たに入力された場合における現在時刻の再設定のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図17】サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとでの印字制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【図18】各種時刻の取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図19】変更なしの時刻計算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】変更ありの時刻計算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】時刻の状態取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】印字内容の取得のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示されるように、インクジェット記録装置11は、正面に操作表示部12が設けられた装置本体13を有し、装置本体13には印字ヘッド14が導管14aにより接続されている。このインクジェット記録装置11は、例えば、図1に示されるように、食品や飲料等を生産する工場の生産ラインに据え付けられ、食品等の梱包物を印字対象物つまり被印字物10として、これに管理番号や製造日時などの製品固有情報を印字つまりマーキングするために使用される。印字ヘッド14はベルトコンベア15により搬送される被印字物10に近接されて図示しない支持台に設置され、ベルトコンベア15により矢印で示される方向に移動する被印字物10にインクジェット記録装置11により印字作業が行われる。
【0017】
生産ラインとしてのベルトコンベア15には、ベルトコンベア15による被印字物10の移動速度にかかわらず同じ幅で被印字物10に印字するために、移動速度に応じた信号を出力するエンコーダ16が被印字物10の移動方向位置検出手段として設けられている。ベルトコンベア15により搬送された被印字物10が印字ヘッド14に対して移動方向上流側の所定の位置まで到達したことを検出し、インクジェット記録装置11に対して印字開始を指示するための信号を出力する印字センサ17がベルトコンベア15に近接して配置されている。エンコーダ16および印字センサ17はそれぞれ装置本体13内の制御部に信号線を介して接続されている。
【0018】
印字ヘッド14は、図2に示されるように、インク柱18を吐出するノズル20を有し、ノズル20には装置本体13内に配置されたインク容器22内のインクを供給するインク供給流路23が接続され、インク供給流路23には供給ポンプ24が設けられている。インク容器22内のインクは、供給ポンプ24により吸引、加圧されてインク柱18となってノズル20の噴出口21から噴出される。ノズル20には電歪素子25が備えられており、インクは電歪素子25により一定周期で振動され、ノズル20の噴出口21から噴出されるインク柱18は粒子化される。生成されるインク粒子19の数は、電歪素子25に印加される励振電圧の周波数により決定され、その周波数と同数となる。
【0019】
ノズル20の前方には帯電電極26が配置されており、インク粒子19には印字情報に対応した大きさの電圧を帯電電極26に印加することによって電荷が与えられるようになっている。帯電電極26の前方には偏向電極27が配置されており、偏向電極27はプラス偏向電極27aとこれに隙間を介して対向するマイナス偏向電極27bとを有している。帯電電極26により帯電されたインク粒子19は、両方の偏向電極27a,27bの間に形成される電界中を飛翔している間に帯電量に比例した力を受けて偏向され、被印字物10に向かって飛翔して被印字物10に着弾する。その際に、インク粒子19は帯電量に応じて矢印Rで示す偏向方向つまり主走査方向に着弾位置が変化し、さらに主走査方向Rに対してほぼ直角な移動方向つまり副走査方向にベルトコンベア15が被印字物10を移動させることで、偏向方向と直行した方向にもインク粒子19は着弾される。これにより、複数の着弾粒子によってドットマトリックス状に文字や図形が被印字物10にマーキングされることになる。
【0020】
印字に使用されないインク粒子19を回収するために、ノズル20の噴出口21に対向して印字ヘッド14内にはガター28が配置されており、偏向電極27a,27bの間を偏向されずに直線的に飛翔するインク粒子19はガター28により捕捉される。捕捉されたインク粒子19は、回収流路29によりインク容器22に回収されるようになっている。
【0021】
図1に示されるインクジェット記録装置11は、ベルトコンベア15により搬送しながら被印字物10に対して印字しており、被印字物10はベルトコンベア15により印字ヘッド14に対して副走査方向に移動する。これに対して、ベルトコンベア15を停止させた状態のもとで被印字物10に対して印字作業を行う場合には、印字ヘッド14を移動することによって被印字物10は印字ヘッド14に対して副走査方向に移動することになる。このように、被印字物10に対して印字ヘッド14を副走査方向に相対的に移動させることにより被印字物10にマーキングが施される。
【0022】
図3はインクジェット記録装置11の制御部30を示すブロック図である。制御部30は制御信号を演算するMPU(マイクロプロセッシングユニット)を備えたコントローラ31を有し、コントローラ31には、制御プログラムおよび演算式などを予め記憶しておくROMと、一時的にデータを記憶するRAMを有する記憶部32が設けられている。図1に示す操作表示部12は、印字情報等をキー入力するタッチパネル33の機能と、インクジェット記録装置11の印字内容や現在時刻等の情報を表示するディスプレイ34の機能とを有している。タッチパネル33の操作により入力された信号はコントローラ31に送られ、コントローラ31からはディスプレイ34に表示信号が出力される。印字を行う際の印字データや各種印字設定がタッチパネル33のキー操作により入力されると、そのデータは記憶部32のメモリに記憶される。
【0023】
図1に示したエンコーダ16と印字センサ17はそれぞれコントローラ31に接続され、コントローラ31からは図2に示した電歪素子25,帯電電極26および偏向電極27に対して制御信号が出力される。生産ラインを構成するベルトコンベア15により搬送される被印字物10に対して印字するときには、印字センサ17からの信号に基づいて被印字物10の位置を特定する。
【0024】
制御部30には、RTC(Real Time Clock)35と内蔵電池36とを有する内部時計記憶素子37が設けられており、内部時計記憶素子37は現在時刻を保存する目的で設けられている。「時刻を制御するプログラム」はプログラム格納装置としての記憶部32内のROMに格納されており、このプログラムによりコントローラ31に対する入出力信号が制御される。RTC35から送られる入力信号に基づいてRTC35に保存されている現在時刻は、コントローラ31内の図示しない検出装置により取得され、取得された現在時刻は、ディスプレイ34の画面に表示される。コントローラ31からの出力信号により、RTC35の内容を更新つまり変更することができる。
【0025】
コントローラ31は、記憶部32に格納された印字データに基づいて被印字物10に対して管理番号や製造日時などの製品固有情報を印字するために、印字ヘッド14内の偏向電極27などに駆動信号を送ることになり、コントローラ31は時刻や他のマークなどからなる製品固有情報の印字を制御する印字制御手段を構成している。
【0026】
上述したように、夜間の電力消費の抑制、余暇活動の促進、交通事故や犯罪率の低下などの効果を期待してサマータイムが採用されている地域がある。これらの地域においては、サマータイムとそうでない時刻とを明確に区別して表現される場合が多い。例えば、北米においては、「Daylight Saving Time(DST)」と「Standard Time(ST)」という表現で区別され、欧州においては「Summer Time」と「Time」という表現で区別されている。本明細書では、それにならい、言及する時刻がサマータイムかどうかを明確に区別する場合には、サマータイムを「夏時間」と表現し、サマータイムでない時刻を「冬時間」として表現することにする。また、夏時間を冬時間よりも進める時間をオフセット時間と表現することにする。ここで、夏時間と冬時間は、時間の状態を修飾する用語でもあるので、これらをまとめて「時間表現」と呼ぶことにする。
【0027】
夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにした場合、つまりオフセット時間を1時間とした場合には、夏時間は冬時間を1時間進めた時間であると言える。したがって、ある一瞬の時刻の時間表現を他方の時間表現で表したい場合には、計算式「夏時間=冬時間+1時間」で求めることができる。
【0028】
図4は、夏時間を冬時間よりも1時間進めるようにしたサマータイムが採用されている地域における時計の時刻表示について視覚的に示した概略図である。
【0029】
図4において冬時間41における時刻AWをサマータイム開始時TSとすると、時刻AWとなった瞬間に時刻表示が自動的に1時間進み、夏時間42における時刻ASとなる。例えば、特定の月日の冬時間41の午前2時にサマータイムが開始されるとすると、時刻ASは午前3時となる。このため、見かけ上は時刻表示として使用されない空白の1時間である空白期間43が存在することになる。一方、夏時間42における時刻BSをサマータイム終了時TEとすると、時刻BSとなった瞬間に時刻表示が自動的に1時間戻り、冬時間41における時刻BWとなる。例えば、特定の月日の夏時間が午前3時となったときにサマータイムが終了されるとすると、時刻BWは午前2時となる。このため、見かけ上は時刻表示として2回使用される重複の1時間である重複期間44が存在することになる。図4において、符号Cは夏時間におけるサマータイム終了時BSからオフセット時間である1時間を戻した時の時刻を示し、符号Dは冬時間におけるサマータイム終了時BWから1時間後の時刻を示す。また、符号Eは夏時間を基準とした場合におけるサマータイム開始時ASから1時間前の時刻を示し、符号Fは冬時間41を基準とした場合におけるサマータイム開始時TSから1時間後の時刻を示す。
【0030】
図5は、サマータイムに関する定義を視覚的に示した概略図である。時刻がサマータイムであり続ける期間をサマータイム期間45と言う。サマータイム期間45はサマータイム開始時TSからサマータイム終了時TEまでの期間であり、サマータイム期間中の時刻の時間表現は夏時間42である。図4および図5により、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現は、それぞれ夏時間42と冬時間41の2通りあることがわかる。つまり、サマータイム開始時TSには、冬時間41のサマータイム開始時AWと夏時間42のサマータイム開始時ASとが存在する。また、サマータイム終了時TEには、冬時間41のサマータイム終了時BWと夏時間42のサマータイム終了時BSとが存在する。このため、インクジェット記録装置により時刻を再計算するプログラムを使用するには、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現を統一する必要がある。
【0031】
図6は、図4および図5に示されたサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時間表現に応じて、空白期間43と重複期間44の範囲が変化する状態を示す概略図である。説明の便宜のために、サマータイム開始時TSおよびサマータイム終了時TEに設定する時刻を特定の日の2:00:00(午前2時00分00秒)と定義する。まず、サマータイム開始時TSが冬時間41の場合つまり冬時間基準46wと、サマータイム開始時TSが夏時間42の場合つまり夏時間基準46sとを比較する。冬時間基準46wの場合は、サマータイム開始時TSとして時刻AWを設定した場合なので、空白期間43は冬時間の2:00:00から3:00:00までとなる。一方、夏時間基準46sの場合には、サマータイム開始時TSとして時刻ASを設定した場合なので、空白期間43は夏時間42の1:00:00から2:00:00までとなる。これにより、時間表現の違いによって、空白期間43の範囲が1時間ずれることがわかる。
【0032】
次いで、サマータイム終了時TEが冬時間41の場合つまり冬時間基準47wと、サマータイム終了時TEが夏時間42の場合つまり夏時間基準47sとを比較する。冬時間基準47wの場合は、サマータイム終了時TEとして時刻BWを設定した場合なので、重複期間44は冬時間の2:00:00から3:00:00までとなる。一方、夏時間基準47sの場合には、サマータイム終了時TEとして時刻BSを設定した場合なので、重複期間44は夏時間42の1:00:00から2:00:00までとなる。これにより、時間表現の違いによって、重複期間44の範囲が1時間ずれることがわかる。
【0033】
図6に示されるように、同一時刻を設定しても、時間表現の違いでサマータイム期間45と空白期間43と重複期間44に影響がでることがわかる。そのため、設定ミス低減を図るために、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEを設定するときには、時間表現も設定することにする。
【0034】
図7〜図12は、タッチパネル33の機能とディスプレイ34としての機能とを有する操作表示部12にそれぞれ点灯表示される画面の一例を示す概略図である。それぞれの画面は、タッチパネルとしての機能を有する操作表示部12の特定部位を作業者が指で操作することにより各種の情報を入力することができるとともに、入力結果が操作表示部12に点灯表示される。
【0035】
図7は、現在時刻入力表示画面51の一例を示す概略図である。この画面51には現在時刻を秒単位で表示する現在時刻入力表示部61を有し、この画面51にはサマータイム制御を採用するかどうかを選択するためのサマータイム自動制御モードの入力表示部62が設けられている。この入力表示部62は、「あり」と表示される部分と「なし」と表示される部分とを有し、自動制御モード入力手段を構成している。入力表示部62の「あり」と表示された部分が操作されると、現在時刻が夏時間42のときには、自動的に夏時間42に基づいて被印字物10に時刻を印字するようにサマータイム自動制御モードが設定される。これにより、サマータイム期間中には現在時刻を冬時間41を基準とすると、それよりも自動的に1時間進める処理を行い、その結果が現在時刻入力表示部61に時刻表示される。
【0036】
この画面51の入力表示部62を操作することによって、予めサマータイム自動制御を採用するか否かを設定することができ、被印字物10に対する印字作業を中断させることなくサマータイム設定を行うことができる。「あり」の部分を操作した後に「決定」60と表示された部分を操作すると、サマータイム自動制御モードが設定されたことが、記憶部32に格納される。一方、「なし」の部分を操作した後に「決定」60と表示された部分を操作すると、サマータイム自動制御モードが解除されて現在時刻入力表示部61には冬時間41に基づいた時刻が表示される。この現在時刻入力表示部61を操作することにより、現在時刻の変更ないし更新操作も行われる。
【0037】
図8は、現在時刻入力表示画面51の変形例の一部分を示す概略図である。サマータイム自動制御の入力表示部62の「あり」が操作されたときに、現在時刻入力表示部61には「夏時間」の文字が点灯表示され、現在時刻入力表示部61の背景部分61aの色彩が他の部分と相違されるようになっている。また、この画面51にはサマータイム期間を示すアイコン63が表示される。このように、サマータイム期間中のみ画面表示を変更することによって、作業者は時間表現の違いを視覚的に判別できることになる。「あり」と表示された部分が操作された場合には夏時間においては、図8に示すように、夏時間の文字を点灯させるとともに背景部分61aを地の色と相違した色彩で点灯させるようにすると、冬時間においてはこれらが点灯されないので、時間表現により、図7を冬画面、図8を夏画面とも言うことができる。
【0038】
図9(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の具体例を示す概略図である。それぞれの期間入力表示画面52は図4に示したサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとを表示するサマータイム期間入力表示部64を有しており、この入力表示部64に表示されるサマータイム開始時TSと終了時TEの内容は図示省略したキーの部分を操作することにより変更することができる。このように、図9に示す期間入力表示画面52のサマータイム期間入力表示部64は、サマータイム開始時とサマータイム終了時を入力するためのサマータイム期間入力手段を構成している。
【0039】
図9(A)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとが週単位で入力することができる。図9(A)においては、3月の第2日曜日午前2時が冬時間41を基準としたサマータイムの開始時TSであり、終了時TEが夏時間42を基準として11月の第1日曜日の午前2時であることを示している。図9(A)に示されるように、週と曜日に基づいてサマータイム開始時TSと終了時TEとを入力するとともに表示するようにすると、カレンダーの日付に依存しない項目によりそれぞれを設定することができ、一度設定すればサマータイム期間の変更を毎年行う必要がないという利点がある。
【0040】
図9(B)に示す期間入力表示画面52に設けられたサマータイム期間入力表示部64には、図4のサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとを、「年」「月」「日」「時」「分」および「時間表現」により表現している。このような表示方式においては、カレンダーの日付が具体的に表示されるので、サマータイム期間が視覚的にわかりやすいという利点がある。
【0041】
図10は期間入力表示画面52の変形例を示す概略図であり、この期間入力表示画面52にはサマータイムが採用される使用地域を表示する使用地域表示部65が設けられている。図3に示した記憶部32には、各地域のサマータイム期間45のデータが格納されており、使用地域の設定項目には、大陸、国、地域が含まれている。これらの項目の部分が作業者により操作されると、全ての項目を満たす地域のサマータイム期間が記憶部32から読み出されて、サマータイム条件が設定され、設定された内容が表示される。このように、予め記憶部32に各地域のサマータイム期間のデータを格納しておくことにより、図9に示したようにサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの各項目を入力する煩雑さが解消される。
【0042】
図11(A)(B)はそれぞれサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の変形例を示す概略図である。それぞれの画面52には、文字で表示するサマータイム期間入力表示部64に加えて、サマータイム期間を図表形式で示すチャート表示部66が設けられている。このチャート表示部66に表示される図表は、図4に示した時刻表示形式となっている。図11(A)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム終了時TEが夏時間42を基準として表示されており、これに対応させてチャート表示部66にはサマータイム終了時TEが夏時間を基準とした図表により時刻表示されている。これに対し、図11(B)に示すサマータイム期間入力表示部64には、サマータイム終了時TEが冬時間41を基準として表示されており、これに対応させてチャート表示部66にはサマータイム終了時TEが冬時間を基準とした図表により時刻表示されている。図11に示すように、チャート表示部66を設けると、サマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとが視覚的に自動的に時刻表示されるので、サマータイム期間の設定ミスを低減することができる。
【0043】
図12はサマータイム期間を入力表示する期間入力表示画面52の一部を示す概略図である。
【0044】
この期間入力表示画面52には、夏時間と冬時間の時間差つまり時刻表示の幅を設定し表示するためのオフセット入力表示部67が設けられている。サマータイム開始時TSに進める時間つまり時刻表示の幅の値は、図4に示した空白期間43と重複期間44の範囲に直接影響を与えることになる。インクジェット記録装置11が使用される多くの地域においては、サマータイム開始時TSには時計表示を1時間進めるようにしているが、オフセット時間入力手段としてのオフセット入力表示部67を操作することによって、サマータイム開始時TSに進める時間つまりオフセット時間を任意の時間に設定することができる。これにより、サマータイム開始時TSに進めるオフセット時間が1時間以外となったとしても、このオフセット入力表示部67を操作することにより、オフセット時間の変更に柔軟に対応することができる。オフセット入力表示部67には時間を表示する部分と、分を表示する部分とを有している。
【0045】
インクジェット記録装置のプリントモードとしてサマータイム制御が行われているときには、図4に符号I,Vで示した冬時間41のときに印字された被印字物10には冬時間が時刻として印字され、符号IIで示した夏時間42のときに印字された被印字物10には夏時間が時刻として印字されることになる。これに対し、現在時刻が重複期間44のときには、同一の時刻が符号IIIで示す夏時間42のときと、符号IVで示す冬時間41のときとで2回印字されることになる。つまり、印字された被印字物10には夏時間42で時刻印字されたものと、冬時間41で時刻印字されたものとが混在することになる。時刻が印字された製品つまり被印字物10のトレーサビリティについて、印字した時刻を含めて厳密に管理しようとすると、図4に示されるように、重複期間44に印字された製品数は他の時間に印字された製品数の2倍となる。このため、印字時刻に基づいて製品を判別する場合には、重複期間44における製品の印字時期を特定することができなくなり、この時刻間でのトレーサビリティ管理が不十分になる。この問題は、サマータイム制御を行って印字する場合には必ず発生することになる。
【0046】
図13(A)は重複期間44における製品に対する印字例を比較例として示す概略図である。図示するように、重複期間44においては、夏時間に基づいて印字された時刻と、冬時間に基づいて印字された時刻とがいずれも「01:15:00」と印字され、実際には印字された時間が相互に相違するにも拘わらず、同一時刻として印字された製品が混在することになる。このため、重複期間44における製品の印字時期を特定することができない。
【0047】
図13(B)は重複期間44における製品に対する印字パターンの具体例を示す概略図である。
【0048】
図13(B)に示すように、重複期間44のうち夏時間42に基づく時刻については時刻の末尾に時間表現を示す夏時間マーク「S」が付加され、冬時間に基づく時刻については時刻の末尾に時間表現を示す冬時間マーク「W」が付加される。これにより、時刻の表現は図13(A)に示した場合と同様に「01:15:00」と印字されるが、それぞれ夏時間マーク「S」と冬時間マーク「W」のいずれかの時間表現マークが付加されるので、重複期間44における製品の印字時期を正確に特定することができ、製品のトレーサビリティ管理を十分に行うことができる。時刻表現マークとしては、製品製造者や需要者が識別することができるマークであれば、「Summer」「Winter」と標記するようにしても良く、絵文字などを標記するようにしても良く、時刻が表示される部分の地の色を相違させるようにしても良い。
【0049】
図14は時間表現を表すマークつまり冬時間マークと夏時間マークの付与形態を選択する時間表現入力表示画面53を示す概略図である。
【0050】
この画面53には自動印字内容入力表示部68が設けられており、この入力表示部68には夏時間42に基づく時刻で印字されるときには、夏時間マーク「S」が付加されることが表示され、冬時間41に基づく時刻で印字されるときには、冬時間マーク「W」が付加されることが表示されている。時間表現を表すマークとして他のマークを使用する場合には、予め記憶部32に格納された他のマークが、この自動印字内容入力表示部68を操作することにより選択される。このように、自動印字内容入力表示部68は夏時間マーク「S」と冬時間マーク「W」の内容を入力するマーク入力手段となっている。
【0051】
時間表現入力表示画面53には印字モード入力表示部69が設けられており、印字モード入力表示部69における「重複期間」の項目が操作されると、重複期間44に印字される製品には「S」または「W」の時間表現を表すマークが時刻の末尾に自動的に印字される。一方、「全期間」の項目が操作されると、重複期間44も含めて冬時間41に基づく時刻が印字されるときも、夏時間42に基づく時刻が印字されるときにも、時間表現のマークが付加される。「なし」の項目が操作されると、時間表現マークの付加が禁止される。このように、印字モード入力表示部69は、夏時間マークと冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、これらを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を構成している。この印字モード入力手段としての印字モード入力表示部69は、上述のように、重複期間44のみに時間表現マークを印字するモードと、全期間について時間表現マークを印字するモードとを切り換えるモード切換手段としての機能を有している。
【0052】
上述したそれぞれの画面においては、決定60の文字が付された部分を操作することにより、入力された情報が設定されて、記憶部32に製品固有情報として格納される。
【0053】
図15は、インクジェット記録装置による印字操作がサマータイム自動制御モードにより実行されると設定された場合における時刻表示制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【0054】
インクジェット記録装置が起動されると、ステップS1においては図4に示した各種時刻を取得つまり読み出すサブルーチンが後述のように実行され、RTC35から現在時刻Tを取得してその時間表現を取得する(ステップS2,S3)。ステップS4で前回の時刻制御時からサマータイム自動制御が変更されたか否かを判定し、変更されなかった場合は後述するようにステップS5の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンが実行され、変更された場合には後述するようにステップS6の「変更ありの時刻計算」のサブルーチンが実行される。ステップS7において現在時刻Tの時間表現が冬時間であると判定された場合には、図7および図8に示した現在時刻入力表示部61,61aには現在時刻Tとして冬時間を表示し、夏時間であると判定された場合には現在時刻Tとして夏時間を表示する(ステップS8,S9)。
【0055】
図16は、サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとで現在時刻Tが新たに入力された場合における現在時刻の再設定のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0056】
ステップS11〜S13では上述したステップS1〜S3と同様の処理が実行されて現在時刻Tの時間表現を求め、ステップS14において画面操作により入力された時刻Sを取得する。現在時刻を変更するための時刻の入力は、図7および図8に示す現在時刻入力表示部61,61aに表示された部分を操作することにより行うことができる。ステップS15にて現在時刻Tの時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS16で時刻Sの範囲が判定される。ステップS16でNOと判定されたときは、図4に示されるように時刻Sが夏時間42の範囲ではなく冬時間41の範囲なので、ステップS17でRTC35を時刻Sに再設定する。ステップS16でYESと判定されたときには、ステップS18において時刻Sの範囲が判定される。ステップS18においてYESと判定されたときは、この時刻Sが図4に示されるように夏時間42であり、冬時間41から夏時間42に変更する必要があるので、ステップS19にて時刻Sの時間表現を夏時間として、ステップS17でRTC35を時刻Sに再設定する。一方、ステップS18でNOと判定されたときは、入力された時刻Sが図4に示されるように空白期間43であるので、ステップS20ではRTC35の再設定を行うことなくルーチンを抜ける。
【0057】
ステップS15で夏時間であると判定されたときには、ステップS21において時刻Sの範囲が判定される。このステップS21においてYESと判定されたときは図4に示されるように時刻Sが夏時間42の範囲であるので夏時間のままに設定する場合であり、ステップS22でRTC35を時刻Sに再設定する。ステップS21でNOと判定されたときは、ステップS23で時刻Sの範囲を判定する。このステップS23でNOと判定されたときは、夏時間から冬時間に変更する必要があるので、ステップS24において時間表現が冬時間に設定変更され、ステップS22でRTC35を時刻Sに再設定する。一方このステップS23でYESと判定されたときは、入力された時刻Sが図4に示されるように空白期間であるので、ステップS25ではRTC35の再設定を行うことなくルーチンを抜ける。
【0058】
図17は、サマータイム自動制御モードが設定された状態のもとでの印字制御のアルゴリズムを示すメインフローチャートである。
【0059】
ステップS31〜S33では上述したステップS1〜S3と同様の処理が実行されて現在時刻Tの時間表現を求め、ステップS34においてはステップS5と同様の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンが実行される。ステップS35において時間表現を自動的に印字すると判定された場合には、ステップS36では「時刻Tの状態取得」のサブルーチンが後述のように実行され、ステップS37では後述する「印字内容N取得」のサブルーチンが実行される。ステップS36では時刻Tがサマータイム期間45、空白期間43、重複期間44のうちいずれの状態にあるかが取得され、ステップS37では時刻Tの時間表現を示す印字内容Nを取得する。印字内容Nは、図14に示したように、冬時間の場合には「W」の時間表現マークであり、夏時間の場合には「S」の時間表現マークとなっている。
【0060】
ステップS38において印字内容Nを印字すると判定されたときには、時刻TとWまたはSの時間表現を示す印字内容Nを印字し、ステップS38において印字内容Nを印字しないと判定されたときには、時刻Tのみを印字する(ステップS39,S40)。このように、時刻Tのみを印字するのは、図14に示された印字モード入力表示部69の「なし」の部分が操作されて不印字モードが設定された場合である。
【0061】
図18は、上述したステップS1などに示した「各種時刻の取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンにおいては、図4に示したサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEとに、夏時間=冬時間+1時間の計算式を用いることにより、図4における時刻AW,AS,BW,BS,C〜Fが計算される。
【0062】
まず、ステップS41ではメモリつまり記憶部32に格納されたサマータイム開始時TSとサマータイム終了時TEの時刻を読み出してこれらの時刻を取得し、ステップS42においてサマータイム開始時TSの時間表現を判定する。時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS43にて冬時間を基準としたサマータイム開始時AWと夏時間を基準としたサマータイム開始時ASとを計算する。一方、ステップS42において時間表現が夏時間であると判定されたときには、ステップS44にてそれぞれのサマータイム開始時AW,ASを計算する。
【0063】
ステップS45においてはサマータイム終了時TEの時間表現が冬時間であるか夏時間であるかを判定して、冬時間であると判定されたときにはステップS46によりサマータイム終了時BW,BSを計算し、夏時間であると判定されたときにはステップS47によりサマータイム終了時BW,BSを計算する。これらの計算結果に基づいて、ステップS48では時刻F〜Cが計算される。
【0064】
図19は、上述したステップS5,S34の「変更なしの時刻計算」のサブルーチンを示すフローチャートである。サマータイム自動制御が前回の時刻制御から変化していないときには、ステップS51で時刻Tの時間表現を判定し、時刻Tの時間表現が冬時間の場合には、ステップS52で記憶部32からそれぞれの時刻AW,BW,D,Fを読み出してこれらの値を取得し、ステップS53にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS53においてYESと判定されるのは、前回の時刻制御後にサマータイム開始時を過ぎたため、現在時刻Tが冬時間から夏時間になったものの、時刻Tはまだ冬時間のままであるという場合である。この場合には、ステップS54が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が夏時間に設定される。
【0065】
一方、ステップS51において時刻Tの時間表現が夏時間であると判定された場合には、ステップS55でそれぞれの時刻AS,BS,C,Eを記憶部32から読み出してこれらの値を取得し、ステップS56にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS56においてNOと判定されるのは、前回の時刻制御後にサマータイム終了時を過ぎたため、現在時刻が夏時間から冬時間になったものの、時刻Tはまだ夏時間のままであるという場合である。この場合には、ステップS57が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が冬時間に設定される。
【0066】
図20は、上述したステップS6の「変更ありの時刻計算」のサブルーチンを示すフローチャートである。サマータイム自動制御が前回の時刻制御時から変化しているときには、ステップS61においてサマータイム自動制御が「なし」から「あり」に変化したか否かを判定する。「なし」から「あり」に変化した場合には、ステップS62にて記憶部32から時刻AW,BW,D,Fを読み出してこれらの値を取得し、ステップS63にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS63においてYESと判定されるのは、サマータイム制御が採用されて現在時刻が夏時間の範囲にあるものの、時刻Tはまだ冬時間のままであるという場合である。この場合にはステップS64が実行されて時刻Tが計算されるとともに、時間表現が夏時間に設定される。
【0067】
一方、ステップS61においてサマータイム自動制御が「あり」から「なし」に変化したと判定された場合には、ステップS65にて時刻Tの時間表現を判定する。時刻Tが夏時間と判定されるのは、サマータイム制御が外れて現在時刻が冬時間となったものの、時刻Tはまだ夏時間のままであるという場合であり、時刻Tを冬時間にする必要があるためステップS66の処理が実行される。ステップS65で冬時間と判定されたときには、そのままルーチンを抜ける。
【0068】
図21は、時刻Tがサマータイム期間、空白期間、重複期間のうちいずれの状態にあるかを取得するための図17に示したステップS36の「時刻Tの状態取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップS71にて計算する時刻Tを取得し、ステップS72にて時刻Tの時間表現を判定する。時間表現がこのステップS72で冬時間と判定されたときには、ステップS73で各時刻AW,BW,D,Fを記憶部32から取得し、ステップS74にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS74でYESと判定されるのはステップS75に示すように時刻Tがサマータイム期間内の場合であり、NOと判定されるのはステップS76に示すように時刻Tがサマータイム期間外の場合である。ステップS77にて時刻Tの範囲を判定し、このステップS77で時刻Tが範囲内であると判定されたときは時刻Tが空白期間である(ステップS78)。一方、ステップS77で範囲外と判定されたときには、ステップS79で時刻Tの範囲を判定し、この範囲内であると判定されたときには、時刻Tは重複期間である(ステップS80)。
【0070】
ステップS72において時刻Tが夏時間であると判定されたときには、ステップS81で各時刻AS,BS,C,Eを取得し、ステップS82にて時刻Tの範囲を判定する。このステップS82でYESと判定されるのは、ステップS83に示すように時刻Tがサマータイム期間内の場合であり、NOと判定されるのはステップS84で示すように時刻Tがサマータイム期間外の場合である。ステップS85では、時刻Tの範囲を判定し、このステップS85でYESと判定されたときには、時刻Tは空白期間である(ステップS86)。一方、ステップS85でNOと判定されたときには、ステップS87で時刻Tの範囲を判定する。このステップS87でYESと判定されたときには、時刻Tは重複期間である(ステップS88)。
【0071】
図22は、図17に示したステップS37の時刻Tの時間表現を示す「印字内容Nの取得」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0072】
ステップS91にて時刻Tの時間表現を取得し、ステップS92で時刻Tの時間表現が冬時間であると判定されたときには、ステップS93において自動印字内容Nとして冬時間を表す文字「W」が設定される。一方、ステップS92において時刻Tの時間表現が夏時間であると判定されたときには、ステップS94において自動印字内容Nとして夏時間を表す文字「S」が設定される。それぞれの時間表現を表すマークは、図14に示された自動印字内容入力表示部68を操作することにより、記憶部32に予め格納された内容が読み出される。
【0073】
ステップS95においては、図14に示された印字モード入力表示部69の操作により入力された印字モードに基づいて、印字内容Nを重複期間44にのみ印字するか、全期間について印字するか、あるいは印字しないかが判定される。これにより、重複期間44にのみ印字する場合には、ステップS96で示すように重複期間44にのみ印字内容Nが印字され、全期間において印字する場合にはステップS97で示すように印字内容Nは冬期間と夏期間の全てにおいて印字される。一方、時間表現を印字しない状態に設定されているときには、ステップS98で示すように印字内容Nを印字しないものとして、時刻のみが印字されることになる。
【0074】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、被印字物10に対しては時間単位と分単位とを時刻として印字するようにしているが、時間単位のみを時刻として印字するようにしても良い。図1に示されるインクジェット記録装置11は、印字ヘッド14が導管14aにより接続されるとともに内部にインク容器22などが装着された装置本体13には、タッチパネル33とディスプレイ34の機能を有する操作表示部12が設けられているが、操作表示部12を装置本体13から分離させて配置するようにしても良い。また、種々の情報を入力するためのタッチパネル33に代えて、入力キーが設けられた操作ボードを用いるようにしても良く、その場合には入力された情報を表示するディスプレイが操作ボードから分離されて設けられることになる。
【符号の説明】
【0075】
10…被印字物、11…インクジェット記録装置、12…操作表示部、13…装置本体、14…印字ヘッド、30…制御部、31…コントローラ(時刻印字制御手段、時間表現マーク印字制御手段)、32…記憶部(記憶手段)、33…タッチパネル、34…ディスプレイ、41…冬時間、42…夏時間、43…空白期間、44…重複期間、45…サマータイム期間、51…現在時刻入力表示画面、52…期間入力表示画面、53…時間表現入力表示画面、61…現在時刻入力表示部、64…サマータイム期間入力表示部、65…使用地域表示部、66…チャート表示部、67…オフセット入力表示部、68…自動印字内容入力表示部、69…印字モード入力表示部、TE…サマータイム終了時、TS…サマータイム開始時。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置であって、
サマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を入力するサマータイム期間入力手段と、
前記サマータイム期間入力手段により入力されたサマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を記憶する記憶手段と、
サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときには被印字物に冬時間の時刻を印字する一方、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときには、被印字物に冬時間よりもオフセット時間だけ進められた夏時間の時刻を印字する時刻印字制御手段と、
サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間において時刻を印字する際には、サマータイム終了までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを印字する一方、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを印字する時間表現マーク印字制御手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェット記録装置において、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときに時刻を印字する際には前記夏時間マークを印字し、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときに時刻を印字する際には前記冬時間マークを印字することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のインクジェット記録装置において、被印字物に対して時刻を印字する際に、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記夏時間マークと前記冬時間マークの内容を入力するマーク入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、インクジェット記録装置の使用地域に対応したサマータイム開始時とサマータイム終了時とが記憶された前記記憶手段から信号に基づいて使用地域を表示する使用地域表示画面を有し、当該使用地域表示画面がサマータイム開始時とサマータイム終了時を入力する前記サマータイム期間入力手段を構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5記載のインクジェット記録装置において、前記記憶手段は複数の地域についてのサマータイム開始時とサマータイム終了時とを記憶し、前記使用地域表示画面は複数の地域を表示することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、現在時刻が夏時間のときには、自動的に夏時間に基づいて被印字物に時刻を印字するサマータイム自動制御モードに設定する自動制御モード入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記オフセット時間を入力するオフセット時間入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記サマータイム期間入力手段によるサマータイム開始時とサマータイム終了時とを、週単位または月日単位で入力することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、それぞれの前記入力手段により入力された入力情報をディスプレイに画面表示することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、サマータイム開始時とサマータイム終了時とを表示するサマータイム期間表示画面は、夏時間と冬時間とを図表で表示するチャート表示部を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
被印字物にインク粒子を飛翔させて非接触でマークを印字する帯電制御式のインクジェット記録装置であって、
サマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を入力するサマータイム期間入力手段と、
前記サマータイム期間入力手段により入力されたサマータイム開始時とサマータイム終了時の時刻を記憶する記憶手段と、
サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときには被印字物に冬時間の時刻を印字する一方、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときには、被印字物に冬時間よりもオフセット時間だけ進められた夏時間の時刻を印字する時刻印字制御手段と、
サマータイム終了時よりもオフセット時間前までの夏時間と冬時間とが重複する重複期間において時刻を印字する際には、サマータイム終了までは夏時間の時刻であることを表示する夏時間マークを印字する一方、サマータイム終了後には冬時間の時刻であることを表示する冬時間マークを印字する時間表現マーク印字制御手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェット記録装置において、サマータイム開始時からサマータイム終了時までの夏時間のときに時刻を印字する際には前記夏時間マークを印字し、サマータイム終了時からサマータイム開始時までの冬時間のときに時刻を印字する際には前記冬時間マークを印字することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のインクジェット記録装置において、被印字物に対して時刻を印字する際に、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字するマーク印字モードと、前記夏時間マークと前記冬時間マークとを印字しない不印字モードとを設定する印字モード入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記夏時間マークと前記冬時間マークの内容を入力するマーク入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、インクジェット記録装置の使用地域に対応したサマータイム開始時とサマータイム終了時とが記憶された前記記憶手段から信号に基づいて使用地域を表示する使用地域表示画面を有し、当該使用地域表示画面がサマータイム開始時とサマータイム終了時を入力する前記サマータイム期間入力手段を構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5記載のインクジェット記録装置において、前記記憶手段は複数の地域についてのサマータイム開始時とサマータイム終了時とを記憶し、前記使用地域表示画面は複数の地域を表示することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、現在時刻が夏時間のときには、自動的に夏時間に基づいて被印字物に時刻を印字するサマータイム自動制御モードに設定する自動制御モード入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記オフセット時間を入力するオフセット時間入力手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記サマータイム期間入力手段によるサマータイム開始時とサマータイム終了時とを、週単位または月日単位で入力することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、それぞれの前記入力手段により入力された入力情報をディスプレイに画面表示することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、サマータイム開始時とサマータイム終了時とを表示するサマータイム期間表示画面は、夏時間と冬時間とを図表で表示するチャート表示部を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−140168(P2011−140168A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2154(P2010−2154)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
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