説明

インクジェット記録装置

【課題】記録ヘッドの移動距離を短くして、画像記録に要する時間を短縮するインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】制御部130は、記録用紙19の搬送を所定位置ごとに停止させる。制御部130は、各停止位置においてキャリッジ67を搬送方向と交差する方向に移動させ、ノズルにインク滴を吐出させて1パス分の画像記録を行わせる。制御部130は、画像領域31を記録するためのキャリッジ67の移動時間が最短となるように、第1番目のパスにおいて使用するノズル領域と当該ノズル領域に応じた記録開始位置とを決定し、決定されたノズル領域で第1番目のパスの画像を記録させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に液滴を吐出することによって画像記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液滴を吐出して被記録媒体に画像記録を行うインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置における画像記録は、ノズルから液滴の一例であるインク滴が吐出されることによって実現される。
【0003】
インクジェット記録装置による被記録媒体への画像記録は、以下のようにして実行される。つまり、複数のノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドが、被記録媒体の上方に配置されている。被記録媒体は、例えば搬送用のローラによって記録ヘッドの下方を一方向に搬送される。被記録媒体の搬送は、所定の距離ごとに停止される。記録ヘッドは、ローラの回転が停止した各パスにおいて、被記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動しながら、複数のノズルから被記録媒体へインク滴を吐出する。インク滴の吐出が完了すると、再び被記録媒体の搬送が開始される。同時に記録ヘッドは、次のパスでインク滴を吐出するための位置へと移動する。
【0004】
記録される画像によって、被記録媒体には、インク滴が吐出される領域(記録領域とする。)とインク滴が吐出されない領域(非記録領域とする。)とが存在することがある。また、記録領域及び非記録領域は、1つのパスに対応する範囲の中に混在することもある。記録領域及び非記録領域の配置によっては、記録ヘッドが多くの距離を移動する必要があり、その場合、画像記録に要する時間が長くなる。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1には、プリントヘッド(記録ヘッド)の現在位置と、後の主走査(パス)で印刷されるべき印刷ブロックの位置とに基づいて、主走査パターンを決定するシリアルプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−71540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたシリアルプリンタにおいては、それぞれのパスが、記録される画像のどの領域に割り当てられるかについては考慮されず、先頭のパスから使用可能なノズルの最大数を用いて記録が行われていた。そのため、画像記録に要する時間を短くすることには限界があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録ヘッドの移動距離を短くして、画像記録に要する時間を短縮するインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録媒体を第1向きへ搬送する搬送部と、上記第1向きと直交し且つ被記録媒体の画像記録面に沿った第2向き、及び上記第2向きと反対向きの第3向きへ移動可能なキャリッジと、上記キャリッジに搭載されており、搬送される被記録媒体と対向し液滴を吐出するノズルがそれぞれ上記第1向きに沿って所定数配置されたノズル面を有し、上記搬送される被記録媒体に向けて上記ノズルから液滴を吐出して、被記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、被記録媒体を上記搬送部に搬送させて予め決定された記録開始位置に停止させる開始搬送ステップと、被記録媒体に対して上記キャリッジを上記第2向き又は上記第3向きへ移動させつつ、上記ノズルから液滴を吐出させて1パス分の画像記録を行わせる画像記録ステップと、上記キャリッジを次のパスの移動開始位置まで移動させるキャリッジ移動ステップと、上記搬送部に被記録媒体を次のパス位置まで搬送させて停止させる間欠搬送ステップと、を実行し、上記画像記録ステップと上記キャリッジ移動ステップと上記間欠搬送ステップとを繰り返して被記録媒体の所定領域に複数パスで画像記録を行わせる制御部と、を具備する。上記制御部は、上記所定領域に画像を記録するための画像データに基づいて、上記所定領域を記録する上記キャリッジの移動時間が最短となる、第1番目のパスにおいて使用するノズル領域と当該ノズル領域に応じた上記記録開始位置とを決定し、決定されたノズル領域で上記画像記録ステップにて第1番目のパスの画像を記録させる。
【0010】
被記録媒体は、例えば搬送部によってキャリッジの下方を第1向きに搬送される。制御部は、予め決定された記録開始位置において、被記録媒体を停止させる。制御部は、被記録媒体に対してキャリッジを上記第2向き又は上記第3向きへ移動させて1パス分の画像記録を行う。また、制御部は、キャリッジを次のパスの記録開始位置まで移動させ、かつ搬送部に被記録媒体を次のパス位置まで搬送させる。制御部は、新たなパスにおいても同様に1パス分の画像記録を行わせる。即ち、制御部は所定間隔ごとのパスにおいて被記録媒体の搬送を停止させて1パス分の画像記録を行わせる。
【0011】
必要なパス数を増加させない範囲で、第1番目のパスで使用するノズル領域(即ち、第1番目のパスで記録される第1向きのドット領域)が決定される。制御部は、第1番目のパスで使用するノズル領域の候補ごとに、画像全体を記録するために必要なキャリッジの総移動時間を求める。制御部は、キャリッジの総移動時間を最短とするノズル領域に基づいて記録開始位置を決定する。
【0012】
(2) 上記制御部は、各パスにおける液滴の吐出が必要な範囲、及び当該範囲の画像を記録する際に上記キャリッジが移動する向きに基づいて上記キャリッジの移動時間を算出してもよい。
【0013】
一般的なインクジェット記録装置において、キャリッジが第2向き又は第3向きのいずれか一方に移動しているときのみノズルが液滴を吐出する片方向記録処理と、キャリッジが第2向き及び第3向きに移動しているときにそれぞれノズルが液滴を吐出する両方向記録処理とが使い分けられる。また、パスごとに片方向記録処理又は両方向記録処理が選択されることもある。制御部は、これらの複数の条件から各パスごとのキャリッジの移動方向を決定する。また、制御部は、各パスにおいて液滴の吐出が必要な範囲と当該移動方向とに基づいて、キャリッジの移動時間を算出する。
【0014】
(3) 上記制御部は、上記第1番目のパスで液滴を吐出させる上記ノズル領域の候補であって、上記所定領域におけるパス数と使用可能な最大ノズル数とに基づいて決定される上記ノズル領域の候補の中から当該ノズル領域を決定してもよい。
【0015】
上記所定領域におけるパス数と使用可能な最大ノズル数と基づいて、第1番目のパスで液滴を吐出させるノズル領域の候補が決定される。制御部は、当該候補の中から当該ノズルの数を求めることで、演算に要する時間を短縮することができる。
【0016】
(4) 上記制御部は、上記第1番目のパスで液滴を吐出する上記ノズル領域を、使用可能なノズルのうち上記第1向きの下流側のノズル領域に決定してもよい。
【0017】
第1番目のパスで液滴を吐出するノズルが下流側のノズルである場合、被記録媒体における第1番目のパスの停止位置から第2番目のパスの停止位置までの距離が短くなる。従って、被記録媒体の搬送に要する時間が短くなり、画像記録に要する時間を短縮することができる。
【0018】
(5) 上記制御部は、上記所定領域の画像として、一枚の被記録媒体に記録される画像ごとに上記ノズル領域と上記記録開始位置とを決定してもよい。
【0019】
本構成では、一枚の被記録媒体に記録される画像ごとに、記録開始位置が決定され、それぞれの頭出し位置に基づく画像記録が行われる。
【0020】
(6) 上記制御部は、上記所定領域の画像として、一枚の被記録媒体に記録される画像が区画領域によって区画された各領域の画像ごとに上記ノズル領域と上記記録開始位置とを決定してもよい。ここで、上記区画領域は、上記第2向き又は上記第3向き全体に渡って液滴が吐出されない領域が、上記第1向きに所定の長さ以上連続したものである。
【0021】
本構成では、一枚の被記録媒体に記録される画像について、第2向き又は第3向き全体に渡って液滴が吐出されない領域が上記第1向きに所定の長さ以上続いていた場合、その領域(区画領域)で区画される上記第1向き上流側及び下流側のそれぞれの画像領域ごとに、記録開始位置が決定され、それぞれの頭出し位置に基づく画像記録が行われる。このような方法によると、区画領域がパスの一部に含まれないため、被記録媒体を区画領域で停止させずに搬送することができる。従って、画像記録に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、記録ヘッドの移動距離を短くして、画像記録に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、複合機1の斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部2の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、記録ヘッド65の下面64を示す平面図である。
【図4】図4は、制御部130の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、複数のパスにおいて記録用紙19に画像が記録される様子を模式的に示す平面図である。
【図6】図6(A)は、画像記録の処理において、制御部130が行う処理の流れを示すフローチャートである。図6(B)は、パス数決定ステップにおいて、制御部130が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、区画領域32の上流側及び下流側に、画像領域31がそれぞれ設定される様子を模式的に示す平面図である。
【図8】図8(A)は、ノズル領域決定ステップにおいて、制御部130が行う処理の流れを示すフローチャートである。図8(B)は、ノズル領域決定ステップの一部である移動時間算出ステップにおいて、制御部130が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、各パスの記録向きが決定される様子を模式的に示す平面図である。
【図10】図10は、ノズル領域68として、下流側のノズル70が使用された場合、及び上流側のノズル70が使用された場合のキャリッジ67の位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向14が定義され、操作パネル9が設けられている側を手前側(正面)として前後方向12が定義され、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向13が定義される。
【0025】
[複合機1]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3などを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する。
【0026】
なお、本実施形態において、複合機1はプリンタ機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機1は両面画像記録機能を有していてもよい。また、本発明を実現するうえで、スキャナ機能やファクシミリ機能などは任意の機能であり、例えば、本発明に係るインクジェット記録装置が、プリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。なお、ここでは、スキャナ部3の詳細な説明は省略される。
【0027】
複合機1は、主にコンピュータなどの外部情報機器(不図示)と接続された状態で使用される。プリンタ部2は、外部情報機器から受信した記録データやスキャナ部3で読み取られた原稿の記録データに基づいて、記録用紙19に画像を記録する。
【0028】
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作ボタンや液晶表示部11から構成されている。複合機1は、操作パネル9からの指示情報、又は外部機器からプリンタドライバやスキャナドライバなどを通じて送信される指示情報に基づいて、複合機1の動作を統括する制御部130(本発明の制御部の一例、図4参照)により動作される。
【0029】
[プリンタ部2]
図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。
【0030】
開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙19(本発明の被記録媒体の一例)が収容される。排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。
【0031】
図2に示されるように、給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ76(図4参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙19に圧接して、その状態で回転する。これにより、積載された記録用紙19が、以下で説明される搬送路23へ供給される。
【0032】
搬送路23は、給紙トレイ20の後側の端部から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出されている。搬送路23は、搬送ローラ対54(本発明の搬送部の一例)による挟持位置、記録部24の下側、及び排出ローラ対55(本発明の搬送部の一例)による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙19は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。記録用紙19は、記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。搬送路23は、記録部24などが配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド部材29と内側ガイド部材28によって形成されている。
【0033】
以下、記録用紙19が、搬送ローラ対54による挟持位置から記録部24の下方及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ搬送される向き(図2に破線の矢印で示される方向)を、搬送向き15(本発明の第1向きに相当)として説明を行う。
【0034】
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対54が設けられている。搬送ローラ対54は、搬送ローラ47とピンチローラ48とが一体にユニット化されたものである。記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排紙ローラ49と拍車50とを有する排出ローラ対55が設けられている。
【0035】
搬送ローラ47及び排紙ローラ49は、搬送モータ59(図4参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。搬送ローラ47が正転駆動(図2における反時計回りに駆動)されることで、給紙トレイ20から給紙された記録用紙19は、搬送ローラ対54により狭持されて、搬送向き15へ搬送される。排紙ローラ49が正転駆動されることで、記録部24による画像記録済みの記録用紙19は、排出ローラ対55により狭持されて、搬送向き15へ搬送される。
【0036】
図2に示されるように、搬送ローラ47の回転量を検出するロータリーエンコーダ68が設けられている。ロータリーエンコーダ68は、搬送ローラ47と同軸に設けられて搬送ローラ47と共に回転するエンコーダディスク51と光学センサ60とからなる。エンコーダディスク51には、その円周方向に一定間隔で光を透過する透過部と光を透過しない非透過部とが等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。搬送ローラ47と共にエンコーダディスク51が回転すると、光学センサ60によってロータリーエンコーダ68のマークが検出される毎にパルス信号が生成される。パルス信号は制御部130へと出力される。
【0037】
[記録部24]
記録部24は、搬送路23を搬送向き15へ搬送される記録用紙19に対して、画像を記録するものである。記録部24は、インクジェット方式で画像記録を行う。記録部24は、主として記録ヘッド65(本発明の記録ヘッドに相当)、プラテン66、及びキャリッジ67(本発明のキャリッジに相当)によって構成されている。
【0038】
キャリッジ67は、搬送路23の上方に設けられている。キャリッジ67は、例えば、プリンタ部2の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられた2本のガイドレール(不図示)によって支持されている。詳細には、2本のガイドレールは、左右方向13に延設されている。また、2本のガイドレールは、前後方向12に所定間隔をあけて配置されている。キャリッジ67は、2本のガイドレールを跨ぐようにして配置されている。これにより、キャリッジ67は、2本のガイドレール上を左右方向13に摺動可能である。ガイドレールの上面に、ベルト駆動機構(不図示)が配設されている。また、ベルト駆動機構を構成するベルトは、キャリッジ67と連結されている。そして、キャリッジ駆動モータ103(図4参照)からベルト駆動機構に駆動力が伝達されることにより、キャリッジ67は左右方向13に摺動される。
【0039】
つまり、本実施形態において、キャリッジ67は、搬送向き15と直交し且つ記録用紙19の画像記録面に沿った右向き(本発明の第2向きの一例)、及び左向き(本発明の第3向きの一例)へ往復移動可能である。キャリッジ67は、後述する制御部130に制御されることによって、右向きへの移動と左向きへの移動を交互に繰り返す。なお、左向きが本発明の第2向きで、右向きが本発明の第3向きであってもよい。
【0040】
ガイドレールには、リニアエンコーダ42(図4参照)のエンコーダストリップ(不図示)が配設されている。エンコーダストリップには、光を透過する透過部と、光を透過しない非透過部とが等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。キャリッジ67には、エンコーダストリップのパターンを検出するための光学センサ(不図示)が搭載されている。光学センサによってエンコーダストリップのマークが検出される毎にパルス信号が生成される。パルス信号は、制御部130へと出力される。
【0041】
記録ヘッド65には、インクタンク(不図示)からインクチューブ(不図示)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。各インクチューブは、合成樹脂製のチューブであり、キャリッジ67の移動に応じて撓むような可撓性を有する。インクチューブは、4色のインクに対応して4本が設けられている。
【0042】
記録ヘッド65は、キャリッジ67に搭載されている。記録ヘッド65は、キャリッジ67の下面側に露出され、プラテン66と対向されている。プラテン66は、搬送路23の下側にキャリッジ67と対向して配置されており、記録用紙19を支持する。なお、プラテン66の左右方向13の幅は、記録用紙19の最大幅より十分に大きいものである。キャリッジ67が往復移動することにより、記録ヘッド65がプラテン66上の記録用紙19に対して走査され、記録ヘッド65から吐出されたインク滴が記録用紙19に着弾して画像記録が行われる。記録用紙19のインク滴が着弾する側の面が、本発明の画像記録面に相当するものである。
【0043】
図3に示されるように、記録ヘッド65は、その下面64(本発明のノズル面に相当)に、複数のノズル70(図3において複数の円で示されている。本発明のノズルに相当)を備えている。各ノズル70は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インクごとに設けられている。なお、図3において、下側から上側へ向かって記録用紙19が搬送され(搬送向き15)、左右方向13に沿ってキャリッジ67が往復移動される。
【0044】
CMYBkの各色インクに対応するノズル70は、各々が搬送向き15に沿って一列に整列されており、各色インクに対応するノズル70の各列が、キャリッジ67の左右方向13に並べられている。各ノズル70の数や搬送向き15のピッチは、記録画像の解像度等に応じて適宜設定される。また、カラーインクの種類数に応じてノズル70の列数が増減され得る。つまり、記録ヘッド65は、左右方向13に沿って所定順序で配置された異なる色を吐出する複数種類のノズル70がそれぞれ搬送向き15に沿って所定数配置された下面64を有している。
【0045】
記録用紙19は、制御部130に制御された搬送ローラ47及び排紙ローラ49によって、記録部24のプラテン66上を、搬送向き15へ所定の改行幅で搬送及び停止(間欠搬送)される。記録用紙19の搬送が停止されている間に、記録ヘッド65が、左右方向13に移動されながらインク滴を選択的に記録用紙19へ吐出する。記録用紙19の間欠搬送と記録ヘッド65の移動とが繰り返されて、記録用紙19に画像が記録される。
【0046】
例えば、記録用紙19の所定位置に黒色の画像が記録される場合、記録ヘッド65は、記録用紙19の所定位置に向けて、ブラックのインク滴のみを吐出し、他の色のインク滴を吐出しない。また、記録用紙19の所定位置にカラーの画像が記録される場合、記録ヘッド65は、記録用紙19の所定位置に向けて、シアン、マゼンタ、及びイエローのうち少なくとも1色のインク滴を吐出する。記録ヘッド65が右向きに移動されながらインク滴が吐出される場合、所定位置には、イエロー、マゼンタ、シアンの順序でインク滴が吐出される。一方、記録ヘッド65が左向きに移動されながらインク滴が吐出される場合、所定位置には、シアン、マゼンタ、イエローの順序でインク滴が吐出される。
【0047】
以上より、記録ヘッド65は、搬送路23に向けて1色または複数色のインク滴をノズル70から吐出することによって、記録用紙19に画像を記録する。
【0048】
[制御部130]
制御部130は、複合機1の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0049】
ROM132には、CPU131が複合機1の記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0050】
ASIC135には、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、搬送モータ59、及び記録ヘッド65が接続されている。ASIC135には、それぞれのモータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。つまり、制御部130は、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、及び搬送モータ59を制御する。
【0051】
また、ASIC135には、ロータリーエンコーダ68から出力されるパルス信号、ロータリーエンコーダ69から出力されるパルス信号、及びリニアエンコーダ42から出力されるパルス信号が入力される。制御部130は、ロータリーエンコーダ68からのパルス信号に基づいて、搬送ローラ47の回転量を算出し、算出した回転量を目標回転量に一致するよう搬送モータ59を回転させる駆動回路に駆動信号を出力する。つまり、制御部130は、ロータリーエンコーダ68からのパルス信号に基づいて、搬送ローラ47の回転量を制御する。制御部130は、ロータリーエンコーダ69からのパルス信号に基づいて、給紙ローラ25の回転量を算出し、算出した回転量が目標回転量に一致するよう給紙モータ76を回転させる駆動回路に駆動信号を出力する。つまり、制御部130は、ロータリーエンコーダ69からのパルス信号に基づいて、給紙ローラの回転量を制御する。
【0052】
また、制御部130は、リニアエンコーダからのパルス信号に基づいて、キャリッジ67の速度及び位置を算出し、算出した速度または位置を目標速度または目標位置に一致するようキャリッジ駆動モータ103を回転させる駆動回路に駆動信号を出力する。つまり、制御部130は、リニアエンコーダ42からのパルス信号に基づいて、キャリッジ67の移動を制御する。詳細には、制御部130は、キャリッジ67を停止した状態から加速させ、定速状態を経て、減速させ、停止させる。なお、記録ヘッド65からのインクの吐出は、キャリッジ67が定速の状態で行われる。
【0053】
制御部130は、記録用紙19に画像を記録する際、搬送モータ59を制御して、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55による記録用紙19の搬送を一時停止させる。そして、制御部130は、記録用紙19の搬送が一時停止されている間に、片方向記録処理、及び双方向記録処理を選択的に実行する。
【0054】
片方向記録処理は、キャリッジ67を右向きへ移動させつつノズル70からインク滴を吐出させ、かつキャリッジ67を左向きへ移動させるときにノズル70からインク滴を吐出させない処理である。以下に詳述する。制御部130は、片方向記録処理を実行する際、リニアエンコーダ42からのパルス信号によって、キャリッジ67の現在位置を把握する。キャリッジ67の現在位置がこれから画像を記録しようとしている記録用紙19上の領域よりも右側である場合、制御部130は、ノズル70からインク滴を吐出させることなく、キャリッジ67を左向きに移動させる。これにより、キャリッジ67は、当該領域よりも左側へ移動される。その後、制御部130は、ノズル70からインク滴を吐出させながら、キャリッジ67を右向きに移動させる。一方、キャリッジ67の現在位置が、これから画像を記録しようとしている記録用紙19上の領域よりも左側である場合、制御部130は、ノズル70からインク滴を吐出させながら、キャリッジ67を右向きに移動させる。
【0055】
双方向記録処理は、キャリッジ67を右向き及び左向きに移動させつつノズル70からインク滴を吐出させる処理である。以下に詳述する。制御部130は、片方向記録処理を実行する際、リニアエンコーダ42からのパルス信号によって、キャリッジ67の現在位置を把握する。制御部130は、キャリッジ67の現在位置がこれから画像を記録しようとしている記録用紙19上の領域よりも右側である場合、ノズル70からインク滴を吐出させ画像を記録しながら、キャリッジ67を左向きに移動させる。一方、制御部130は、キャリッジ67の現在位置が当該領域よりも左側である場合、ノズル70からインク滴を吐出させ画像を記録しながら、キャリッジ67を右向きに移動させる。つまり、制御部130は、キャリッジ67の移動向きが左右いずれの向きであっても、ノズル70からインク滴を吐出させながら、キャリッジ67を移動させる。
【0056】
キャリッジ67が、左右方向13に移動する間に、記録ヘッド65に形成されたノズル70は、記録用紙19の上方を破線で示されたライン80に沿って移動する。なお、図3には、搬送向き15の最下流に形成されたノズル70の移動経路としてのライン80のみが記されているが、実際には、全てのノズル70がライン80と平行な経路に沿って移動する。
【0057】
キャリッジ67が移動されるとき、各ノズル70からインク滴が吐出されることによって、記録用紙19の面上においてライン80に沿って画像が記録される。なお、ライン80は、図には示されていないが、左右方向13に沿って一列に並んだドットの集まりである。
【0058】
記録用紙19が一時停止されるそれぞれの位置における画像の記録がパスと称される。図5において、点線で囲まれた領域が、画像が記録される画像領域31である。図5(A)において、n_allで示される範囲がそれぞれ一度のパスで画像が記録可能な前後方向12の範囲である。n_allは、前後方向12に整列されたノズル70の数であり、この範囲には最大n_all本のライン80が含まれることになる。図5(A)の例によると、画像領域31(本発明の所定領域の一例)全体を記録するためには、少なくとも4パスが必要である。n_allは、記録ヘッド65に形成されたノズル70のうち全てのノズルの場合もある。しかしながら、解像度等の記録条件によっては、形成されているノズル70のうち、前側の一部または後側の一部を除いたノズル分となる場合もある。n_allが、本発明における、使用可能な最大ノズル数に相当する。
【0059】
図5(A)では、画像記録の最終パス(一番下のパス)において、パスの範囲が画像領域31からcライン分はみ出している。これは、画像記録の最終パスにおいて、前後方向12に整列されたノズル70の少なくともc個分は使用されないことを意味している。従って、各パスにおいて記録される画像の範囲を、最大cライン分搬送向き15にずらすことが可能である。図5(B)は、各パスにおいて記録される画像の範囲をpライン分(c>p)だけ搬送向き15にずらした状態を示している。このようなパスの範囲に基づいて画像記録が行われる場合、第1番目のパスにおいて、前後方向12に整列されたノズル70の少なくともp個が使用されないことになる。また最終パスにおいては少なくともc−p個が使用されないことになる。
【0060】
それぞれのパスを画像領域31のどの範囲に設定するかによって、画像記録に必要なキャリッジ67の移動距離が変化することがある。例えば、図5(A)の場合よりも、図5(B)の場合の方が画像記録に必要なキャリッジ67の移動距離は少なくなる。その理由が以下に説明される。ここでは、説明を簡略化するために、ブラック一色で双方向記録処理により記録を行う場合を説明する。なお、図5において、時系列に沿った記録用紙19に対するBkインクのノズル列の位置がそれぞれバツ印(P1〜P16)で示されている。
【0061】
第1番目のパスの記録開始(ノズル70がインク滴の吐出を開始する瞬間)から最終パスの記録終了(ノズル70がインク滴の吐出を停止する瞬間)までの間にキャリッジ67が移動する距離を考える。図5(A)の場合、キャリッジ67は、記録用紙19が記録部24に搬送されるまでの間に、画像領域31の右端(P2の位置)よりも左右方向13における右側の移動開始位置(Bkインクのノズル列がP1の位置)に移動する。移動開始位置とは、画像領域31にBkインクのノズル70が到達するまでに定速となる加速距離分、画像領域31よりも右側の位置である。記録用紙19の搬送は、第1番目のパスに対応する領域が記録ヘッド65と重なる位置で停止される。記録用紙19が停止している間にキャリッジ67は左方向に移動する。記録ヘッド65のBkインクのノズル列が画像領域31の右端(P2の位置)から画像領域31の左端(P3の位置)までを移動する間に、ノズル列を構成するノズル70がインク滴を吐出する。即ち、第1番目のパスの画像が記録される。Bkインクのノズル列が画像領域31の左端まで移動した後、ノズル70はインク滴の吐出を終了し、その後、左右方向13における次パスの移動開始位置(Bkインクのノズル列がP4の位置)に到達するとキャリッジ67は停止する。
【0062】
再び記録用紙19の搬送が開始され、記録用紙19の搬送は、第2番目のパスに対応する領域が記録ヘッド65と重なる位置で停止される。第1番目のパスと同様に、ノズル70がインク滴を吐出した状態でキャリッジ67が第1番目のパスとは逆方向(右方向)に移動し、第2番目のパスの画像が記録される。以降、同様にして第4番目のパスまでの画像が記録される。第4番目のパスの画像領域31の右端(P15の位置)までBkインクのノズル列が到達し、インク滴の吐出が終了すると、キャリッジ67が減速し、所定の停止位置(Bkインクのノズル列がP16の位置)にてキャリッジ67が停止する。キャリッジ67の移動距離は、第1番目のパスにおける移動開始位置から、パス毎に移動し、第4番目のパスにおける停止位置までの移動距離の合計となる。図5(A)の例においては、移動距離の合計は、P1〜P4の距離であるL1と、P5〜P8の距離であるL2と、P9〜P12の距離であるL3と、P13〜P16の距離であるL4と、を全て足し合わせた値となる。ただし、画像領域31によっては、前パスの停止位置から次パスの移動開始位置までに、前パスの移動方向と逆方向への移動が必要な場合もある。その場合、移動距離をそれぞれ加算すればよい。
【0063】
図5(B)の場合も同様にして、キャリッジ67の移動距離が求められる。図5(B)では、第1番目のパスで画像が記録される左右方向13の範囲が狭くなっているため、図5(B)のP1及びP2は、図5(A)のP1及びP2よりも左側に位置している。その結果、第1番目のパスでキャリッジ67の移動距離が短くなり、第1番目のパスの記録開始から最終パスの記録終了までのキャリッジ67の移動距離は短くなる。即ち、キャリッジ67の移動時間は短くなる。
【0064】
制御部130は、記録用紙19が記録部24に搬送されるまでの間に、画像記録に要するキャリッジ67の移動時間を最短とする、第1番目のパスに使用するノズル70の範囲(以下ノズル領域とする。)を決定する。制御部130は、決定されたノズル領域に基づいて、第1番目のパスの画像記録を行う。例えばノズル領域に含まれる上下方向12のノズル数が少ないほど、上述された例におけるpが大きくなる。
【0065】
[記録制御]
上述の如く構成されたプリンタ部2においては、制御部130によって用紙を給紙し、記録を行う一連の記録制御が実行される。以下、図6(A)のフローチャートに基づいて、記録制御の概要が説明される。
【0066】
外部機器や操作パネル9から、複合機1に画像記録指示が入力されると、制御部130は、給紙モータ76を駆動し、給紙ローラ25を回転させる。給紙トレイ20に収納された記録用紙19は、搬送ローラ対54に向かって搬送路23に沿って搬送される。また、制御部130は、搬送モータ59を駆動し、搬送ローラ47を回転させる。これにより、給紙ローラ25によって搬送路23を搬送されてきた記録用紙19は、記録ヘッド65と対向する位置に向かって搬送される。
【0067】
記録用紙19が記録部24に搬送されるまでの間に、制御部130は、例えば外部機器やスキャナ部3から出力された記録用紙19一枚分以上の画像データを取得する(S11)。画像データは、記録用紙19に画像を記録するためのデータである。すなわち、記録用紙19の各位置に記録されるべき画像の情報の集合体である。制御部130は、取得された画像データに対して画像領域決定ステップを実行し、画像領域31を決定する(S12)。制御部130は、決定された画像領域31ごとに、パス数決定ステップ(S14)及びノズル領域決定ステップ(S15)を実行する。記録用紙19が記録部24に搬送されると、制御部130は、パス数決定ステップ及びノズル領域決定ステップで決定されたノズル領域に基づいて、記録部24に各画像領域31を順番に記録させる(S17)。各ステップの詳細が以下に説明される。
【0068】
[画像領域決定ステップ]
制御部130は、記録される画像データに基づき、パスを設定する範囲である画像領域31を決定する。画像データを走査した結果、記録用紙19の左右方向13全体に渡って画像が記録されない領域が、前後方向12に所定の長さ以上連続していると判断された場合、制御部130は、その領域(区画領域32とする。)によって区画される上流側及び下流側の画像の範囲をそれぞれ画像領域31に設定する。図7において、記録用紙19の左右方向13全体に渡って画像が記録されない領域が、前後方向12にeライン分連続している。eライン分の長さが事前に決定された所定の長さ以上であるため、区画領域32の上流側及び下流側にそれぞれ画像領域31が設定されている。ここで、所定の長さとは、例えば前後方向12に整列された全ノズル数n_allに対応する長さであってもよい。また、制御部130は、上述された処理を行うことなく、一枚の記録用紙19に記録される画像全体を1つの画像領域31に決定してもよい。
【0069】
[パス数決定ステップ]
制御部130は、画像領域31を記録するために必要なパス数を算出する。また、制御部130は、第1番目のパスで使用される前後方向12のノズル数の候補を決定する。パス数決定ステップにおいて、制御部130が行う処理の内容が、図6(B)のフローチャートに基づいて説明される。画像領域31に画像を記録するためのパス数mは、画像領域31のライン数L_maxを1パスで記録可能なライン数で割った商以上の最小の整数によって求められる。また、1パスで記録可能なライン数は、前後方向12に整列されたノズル数n_all(本発明の最大ノズル数の一例)に等しい。従って、制御部130は、L_maxをn_allで割った商以上の最小の整数をパス数mとする(S21)。例えば、画像領域31の前後方向12の長さが8.5インチであり、記録ヘッド65の前後方向12の解像度が300dpiである場合、L_maxは、8.5と300の積であり、2550ラインである。n_allが210である場合、2550を210で割った商は12.14であるため、パス数mは、13パスである。
【0070】
また、第1番目のパスで未使用にできる最大のノズル数p_maxは、mパスで記録可能なライン数とL_maxとの差によって求められる。また、mパスで記録可能なライン数は、mとn_allとの積である。従って、制御部130は、mとn_allとの積からL_maxを引いた値をp_maxとする(S22)。また、制御部130は、第1番目のパスで使用されるノズル数nの候補を、n_all−p_maxからn_allの範囲に設定する(S23)。ここで、ノズル数nの範囲が本発明のノズル領域の候補に相当する。上述された例では、13パスで記録可能なライン数は、13と210との積であり、2730ラインである。従って、p_maxは、2730と2550との差であり、180である。即ち、ノズル数nの範囲は30から210である。この範囲でノズル数nを変化させても、画像領域31を記録するために必要なパス数mは増加しない。なお、画像領域31によっては、同一パス内において、使用されるノズル70が一定ではなく、一部のノズル70を使用しない領域も想定される。本実施形態におけるノズル数nは、各パスにおいて、常に使用されるものではなく、1パスを記録する際に一度でもインクを吐出するノズル70の集合である。
【0071】
[ノズル領域決定ステップ]
ノズル領域決定ステップにおいて、制御部130が行う処理の内容が、図8(A)のフローチャートに基づいて説明される。制御部130は、ノズル数nの値を、n_all−p_maxからn_allの範囲で変化させながら、それぞれのノズル数nについて移動時間算出ステップを実行する(S31、S32)。移動時間算出ステップでは、当該ノズル数nにおけるキャリッジ67の総移動時間t(本発明の移動時間の一例)が算出される。制御部130は、ループの中で比較及び更新の処理を行いながら(S33、S34)、キャリッジの67の総移動時間tを最短とするnの値n_tmを決定する。なお、S34のt_minは、ループの中でtの最小値を一時的に記憶する変数であり、初期値として変数に設定可能な最大値が設定されている。また、nの値は事前に設定された値ずつ変化される(S35)。本実施形態では、a=1を想定しているが、aを1より大きく設定することで、移動時間算出ステップの実行回数が削減される。ループを終了した後、制御部130は、n_tmに基づいて、第1番目のパスで使用されるノズル領域を決定する(S36)。
【0072】
[移動時間算出ステップ]
上述された通り、移動時間算出ステップは、nの値に応じて複数回実行される。移動時間算出ステップにおいて、制御部130が行う処理の内容が、図8(B)のフローチャートに基づいて説明される。まず、制御部130は、第1番目のパスでn個のノズル70を使用した場合に各パスに対応する画像領域31の範囲を決定する(S41)。第1番目のパスに対応する範囲は、画像領域31の1ライン目からnライン目までであり、第2番目以降のパスに対応する範囲は、n_allラインずつ上流側にずれる。
【0073】
制御部130は、画像データを走査し、左右方向13における画像が記録される範囲の端部33(図9参照)をパスごとに決定する(S42)。即ち、各パスにおいて記録用紙19の両端部33の内側にだけインク滴が吐出される。
【0074】
制御部130は、各パスごとに、双方向記録処理又は片方向記録処理のいずれかを選択する(S43)。そのために、例えば制御部130は、画像データに基づき、各パスごとに、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの複数色のインク滴が重なるように吐出される多色領域34が当該パスに存在するか否かを判断する。多色領域34(図9参照)を有するパスには片方向記録処理が選択され、それ以外のパスには片方向記録処理が選択される。
【0075】
制御部130は、各パスごとの記録向き、即ちキャリッジ67がどちらに移動しているときにインク滴が吐出されるかを決定する(S44)。パスごとの記録向きは、例えば以下の方法によって決定される。片方向記録処理が選択されたパスには、右向き記録が選択される。つまり、キャリッジ67が右向きに移動しているときにインク滴が吐出される。双方向記録処理が選択されたパスには、1つ前のパスの記録向きとは反対の記録向きが選択される。その際、第1番目のパスには事前に決定された記録向きが選択される。
【0076】
図9において、画像領域31には5つのパスが割り当てられている。第3番目及び第4番目のパスに跨って多色領域34が存在している。従って、第3番目及び第4番目のパスには片方向記録処理が選択され、記録向きは右向きとなる。第1番目、第2番目、及び第5番目のパスには両方向記録処理が選択される。第1番目のパスには事前に決定された記録向きが選択され、この例では左向きである。第2番目及び第5番目のパスの記録向きは、それぞれ1つ前のパス、即ち第1番目及び第4番目のパスの記録向きと逆向きとなり、それぞれ右向き及び左向きとなる。
【0077】
右向き記録が選択されたパスにおいては、左側の端部33が、ノズル70がインク滴の吐出が開始する位置である記録開始端35となり、右側の端部33が、ノズル70がインク滴の吐出を終了する位置である記録終了端36となる。また、左向き記録が選択されたパスにおいては、右側の端部33が記録開始端35となり、左側の端部33が記録終了端36となる。図9において、記録開始端35及び記録終了端36が、それぞれ円形及び三角形の印で示されている。また、矢印37は、各パスにおける記録向きを示している。なお、図には示されないが、各パスの移動開始位置は、記録開始端35よりも加速に必要な所定の距離だけ記録向き上流側に位置する。即ち、左向き記録が選択されたパスにおいては、移動開始位置は、記録開始端35よりも所定の距離だけ右側に位置し、右向き記録が選択されたパスにおいては、移動開始位置は、記録開始端35よりも所定の距離だけ左側に位置する。以上の手順によって、当該パス数nにおけるキャリッジ67の移動経路が決定される。ただし、パスごとの記録向きは、上述されたものとは異なる方法で決定されてもよい。
【0078】
制御部130は、キャリッジ67の移動経路に基づいて、総移動時間tを算出する(S45)。tの算出のために、制御部130は、例えば以下のような処理を実行してもよい。制御部130は、キャリッジ67の移動経路を分割して、インク滴の吐出が必要な範囲である吐出経路と、インク滴の吐出が必要ない範囲である非吐出経路とに区分けする。吐出経路は、例えば、各パスの記録開始端35に記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジ67の移動方向上流側のノズル列が到達してから、各パスの記録終了端36に記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジ67の移動方向下流側のノズル列が到達するまでにおいて、キャリッジ67が通過する経路である。また、非吐出経路は、例えば、先行するパスの記録終了端36に記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジ67の移動方向下流側のノズル列が到達してから、後続のパスの記録開始端35に記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジ67の移動方向下流側(次パスのキャリッジの移動方向上流側)のノズル列が到達するまでにおいて、キャリッジ67が通過する経路である。また、非吐出経路は、例えば、第1番目のパスにおいて、キャリッジ67の移動開始位置から、記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジの67の移動方向上流側のノズル列が記録開始端35に到達するまでにおいて、キャリッジが通過する経路でもある。制御部130は、各吐出経路及び非吐出経路の長さ及び移動向きに基づいて画像記録に要するキャリッジ67の総移動時間tを算出する。
【0079】
総移動時間tの算出のために、例えば専用のプログラムが使用されてもよい。総移動時間tを算出するプログラムは、キャリッジ67の移動特性、例えばノズル70がインク滴を吐出した状態及びインク滴を吐出していない状態でのキャリッジ67の移動速度の上限、キャリッジ67の加速度、及びキャリッジ67の停止や方向転換に伴うロスタイム等を考慮することで適宜設計することができる。また、画像データには、各ラインにおける色情報が含まれており、どのノズル70からインクを吐出させるかが指定される。従って、キャリッジの移動開始位置等は、その色情報を考慮して設計してもよい。なお、各パスの記録開始端35から記録終了端36までの間にも、インク滴の吐出が必要ない範囲が存在することがあるが、演算に要する時間を短縮するため、その範囲全体を吐出経路として演算が行われてもよい。また、最終パスにおける記録終了端36に記録ヘッド65のノズル70のうちキャリッジ67の移動方向下流側のノズル列が到達した以降の動作におけるキャリッジの移動経路は、非吐出経路として含めなくてもよい。しかしながら、次ページの記録用紙19の記録位置への搬送時間が短い場合は、非吐出経路として上記時間を含んで総移動時間tを算出することで、複数枚への画像記録を行う際の記録時間短縮につながる。
【0080】
総移動時間tが算出されて、当該ノズル数nにおける移動時間算出ステップは終了される。あるいは、制御部130は、S44における第1番目のパスの記録向きを逆向きにして、以降の処理を再度実行してもよい。その場合、2回の処理において短かった方のキャリッジ67の総移動時間がtとして出力される。
【0081】
全てのノズル数nについて移動時間算出ステップが終了した際、キャリッジ67の総移動時間tを最小とするn_tmが決定される(図8(A)のS33、S34)。制御部130は、n_tmに基づいて、第1番目のパスで使用されるノズル領域を決定する(図8(A)のS36)。前後方向12に整列されたノズル70のうち、隣接するn個のノズル70が第1番目のパスで使用されるノズル領域に選択される。その際、ノズル領域には記録用紙19の搬送向き下流端のノズル70から上流側にn個のノズル70が選択されもよい。
【0082】
図10には、第1番目のパスに記録が行われる際の、ノズル数は同じであるが使用されるノズル領域が異なる2つのキャリッジ67が示されている。左側のキャリッジ67は、ノズル領域68として、搬送向き上流側のノズル70が使用された例である。右側のキャリッジ67は、ノズル領域68として、搬送向き下流側のノズル70が使用された例である。2つのキャリッジ67は、ノズル領域68が画像領域31の第1番目のパスの範囲に重なっている。この状態でキャリッジ67が左右方向13に移動することで、第1番目のパスの記録が行われる。左側の例においては、第1番目のパスが終了した後、第2番目のパスが開始されるまでに、記録用紙19はn_allライン分搬送されなければならない。一方、右側の例においては、第1番目のパスが終了した後、第2番目のパスが開始されるまでに、記録用紙19はn_tmライン分だけ搬送されればよいことが分かる。即ち、第1番目のパスで搬送向き下流側のノズル70が使用された場合、搬送向き上流側のノズル70が使用された場合と比較して、第2番目のパスの開始に要する時間は短くなる。
【0083】
[画像領域31の記録]
決定されたノズル領域と画像データとに基づいて、画像領域31の記録が行われる(図6(A)のS17)。制御部130は、上述された各ステップを完了の後、キャリッジ67を第1番目のパスにおける移動開始位置に移動させる。また、制御部130は、決定されたノズル領域が第1番目のパスの範囲に重なる位置で記録用紙19の搬送を停止させる(本発明の開始搬送ステップの一例)。このときの記録用紙19の位置が、本発明の記録開始位置に相当するものである。
【0084】
制御部130は、第1番目のパスの移動開始位置から記録開始端35に向けて、キャリッジ67を移動させる。記録開始端35を通過するまでの間に、キャリッジ67は加速を完了して定速状態となっている。キャリッジ67が記録開始端35から記録終了端36まで定速移動する中で、制御部130は、ノズル領域内のノズル70にインク滴を吐出させて画像の記録を行わせる(本発明の画像記録ステップの一例)。これによってノズル領域のノズル数n_tmに対応する範囲の画像が記録される。キャリッジ67が記録終了端36を通過すると、制御部130は、ノズル70にインク滴の吐出を終了させる。なお、記録開始端35から記録終了端36までの間に、インク滴の吐出が必要ない範囲が存在する場合、制御部130は、ノズル70にインク滴の吐出を間断的に実行させる。
【0085】
続けて、制御部130は、前後方向12に整列されたノズル70全体が第2番目のパスの範囲に重なる位置まで記録用紙19を搬送させ、停止させる(本発明の間欠搬送ステップの一例)。また、制御部130は、キャリッジ67を第2番目のパスの移動開始位置まで移動させる(本発明のキャリッジ移動ステップの一例)。なお、記録用紙19の搬送とキャリッジ67の移動とは並行して行われてもよい。第2番目のパスにおいては、前後方向12に整列されたノズル70の全てが使用されて、第1番目のパスと同様の画像の記録が行われる。即ち、制御部130は、キャリッジ67を第2番目のパスの移動開始位置から記録開始端35に向けて移動させ、加速させる。制御部130は、キャリッジ67が記録開始端35から記録終了端36まで定速移動する中で、ノズル70にインク滴を吐出させて画像の記録を行わせる。
【0086】
以降のパスにおいても、前後方向12に整列されたノズル70の全ての範囲が使用されて、画像領域31に画像の記録が行われる。
【0087】
記録される画像領域31が複数存在する場合、図6(A)のS13からS16のループにおいて、制御部130は、先に搬送向き下流側(先に記録される側)の画像領域31についてパス数決定ステップ、及びノズル領域決定ステップを実行し、その後に搬送向き上流側(後で記録される側)の画像領域31について同様のステップを実行する。なお、搬送向き下流側の画像領域31の記録が行われている間に、搬送向き上流側の画像領域31について上記各ステップが実行されてもよい。
【0088】
下流側の画像領域31の記録が完了した後、制御部130は、搬送向き上流側の画像領域31のために決定されたノズル領域が搬送向き上流側の画像領域31の第1番目のパスの範囲に重なる位置まで記録用紙19を搬送させる(本発明の開始搬送ステップの一例)。また、制御部130は、キャリッジ67を搬送向き上流側の画像領域31の第1番目のパスにおける記録開始端35に移動させる。以降は搬送向き下流側の画像領域31と同様にして、搬送向き上流側の画像領域31の記録が行われる。
【0089】
[実施形態の作用効果]
制御部130は、必要なパス数mを増加させない範囲で、キャリッジの総移動時間tを最短とする第1番目のパスで使用するノズル領域を決定するので、画像記録に要する時間を短縮することができる。
【0090】
また、制御部130は、パスごとに双方向記録処理又は片方向記録処理を選択してキャリッジ67の移動経路を決定し、キャリッジの総移動時間を算出する。従って、パスごとに双方向記録処理と片方向記録処理とを使い分ける必要がある場合でも、画像記録に要する時間を短縮することができる。
【0091】
また、画像領域31を記録するためのパス数mと前後方向12に整列されたノズル数n_allとに基づいて第1番目のパスで液滴を吐出させるノズル領域の候補が決定されるため、ノズル領域を決定するための演算に要する時間を短縮することができる。
【0092】
また、第1番目のパスで液滴を吐出するノズル領域として、搬送向き下流側のノズル70が使用されるため、記録用紙19を第1番目のパスの停止位置から第2番目のパスの停止位置まで搬送するための時間を短くすることができる。
【0093】
また、記録用紙19に記録される画像全体のうち、区画領域32によって区画される搬送向き上流側及び搬送向き下流側の画像の範囲が画像領域31として選択された場合、区画領域32がパスの一部に含まれないため、画像記録に要する時間を短縮することができる。一方、記録用紙19に記録される画像全体が画像領域31として選択された場合、演算に要する時間を短縮することができる。
【0094】
[変形例]
制御部130は、画像データに応じて画像領域決定ステップ、パス数決定ステップ、及びノズル領域決定ステップを行うか否かを選択してもよい。上記ステップが行われなかった場合、制御部130は、記録用紙19に記録される画像全体にパスを設定し、第1番目のパスから使用可能な全てのノズル領域を使用して画像の記録を行う。上記ステップが行われるか否かは、例えば記録される画像の解像度に応じて決定されてもよい。解像度の高い画像において上記ステップが行われた場合、演算に要する時間が長くなり、かえって画像記録に要する時間が長くなってしまうおそれがある。解像度に応じて上記ステップを行うか否かが決定されることで、演算に要する時間が超過してしまうことを回避することができる。
【0095】
また、制御部130は、第1番目のパスで使用されるノズル数nの候補が多い場合でも、事前に設置された回数を越えない範囲で移動時間算出ステップを実行してもよい。移動時間算出ステップの回数に上限が設けられることで、演算に要する時間が超過してしまうことを回避することができる。
【0096】
また、移動時間算出ステップにおいて、キャリッジ67の総移動時間を算出するために、本実施形態と異なる方法が用いられてもよい。例えばキャリッジ67の総移動時間は、キャリッジ67の総移動距離、及びキャリッジ67の停止回数や方向転換の回数に基づいて算出されてもよい。ステップ数の少ないアルゴリズムによって総移動時間tを近似的に求めることで、演算に要する時間を短縮することができる。
【0097】
また、画像データの取得は、1ページ単位が望ましいが、画像データによっては、記録用紙19の左右方向13全体に渡って画像が記録されない領域が、前後方向12に所定の長さ以上連続している場合がある。その画像が記録されない領域が判別できた時点までの画像データに基づいて、画像領域を決定し、パス数やノズル領域決定を実行してもよい。これにより、画像記録開始までの時間の短縮が可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1・・・複合機
13・・・左右方向(第2向き、第3向き)
15・・・搬送向き(第1向き)
19・・・記録用紙(被記録媒体)
31・・・画像領域(所定領域)
32・・・区画領域
54・・・搬送ローラ対(搬送部)
55・・・排出ローラ対(搬送部)
64・・・下面(ノズル面)
67・・・キャリッジ
68・・・ノズル領域
70・・・ノズル
130・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を第1向きへ搬送する搬送部と、
上記第1向きと直交し且つ被記録媒体の画像記録面に沿った第2向き、及び上記第2向きと反対向きの第3向きへ移動可能なキャリッジと、
上記キャリッジに搭載されており、搬送される被記録媒体と対向し液滴を吐出するノズルがそれぞれ上記第1向きに沿って所定数配置されたノズル面を有し、上記搬送される被記録媒体に向けて上記ノズルから液滴を吐出して、被記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
被記録媒体を上記搬送部に搬送させて予め決定された記録開始位置に停止させる開始搬送ステップと、被記録媒体に対して上記キャリッジを上記第2向き又は上記第3向きへ移動させつつ、上記ノズルから液滴を吐出させて1パス分の画像記録を行わせる画像記録ステップと、上記キャリッジを次のパスの移動開始位置まで移動させるキャリッジ移動ステップと、上記搬送部に被記録媒体を次のパス位置まで搬送させて停止させる間欠搬送ステップと、を実行し、上記画像記録ステップと上記キャリッジ移動ステップと上記間欠搬送ステップとを繰り返して被記録媒体の所定領域に複数パスで画像記録を行わせる制御部と、を具備し、
上記制御部は、上記所定領域に画像を記録するための画像データに基づいて、上記所定領域を記録する上記キャリッジの移動時間が最短となる、第1番目のパスにおいて使用するノズル領域と当該ノズル領域に応じた上記記録開始位置とを決定し、決定されたノズル領域で上記画像記録ステップにて第1番目のパスの画像を記録させるインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記制御部は、各パスにおける液滴の吐出が必要な範囲、及び当該範囲の画像を記録する際に上記キャリッジが移動する向きに基づいて上記キャリッジの移動時間を算出する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記第1番目のパスで液滴を吐出させる上記ノズル領域の候補であって、上記所定領域におけるパス数と使用可能な最大ノズル数とに基づいて決定される上記ノズル領域の候補の中から当該ノズル領域を決定する請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記第1番目のパスで液滴を吐出する上記ノズル領域を、使用可能なノズルのうち上記第1向きの下流側のノズル領域に決定する請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記所定領域の画像として、一枚の被記録媒体に記録される画像ごとに上記ノズル領域と上記記録開始位置とを決定する請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記所定領域の画像として、一枚の被記録媒体に記録される画像が区画領域によって区画された各領域の画像ごとに上記ノズル領域と上記記録開始位置とを決定し、
上記区画領域は、上記第2向き又は上記第3向き全体に渡って液滴が吐出されない領域が、上記第1向きに所定の長さ以上連続したものである請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210714(P2012−210714A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76317(P2011−76317)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】