説明

インクジェット記録装置

【課題】プラテン上で記録媒体の縁部の外側に吐出されたインクを廃液回収体へスムースに導くことができ、記録装置本体の姿勢などに左右されることなくインクの漏れや溢れ出しが生じにくいインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置が、インクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに対向する位置で記録媒体を支持するプラテン4と、プラテン4に設けられ、記録ヘッドから記録媒体の端部の外側に吐出されたインクを受ける吸収体11と、プラテン4の下方に設けられ、吸収体11からインクが導かれる廃液回収体12a,12bと、を備えている。廃液回収体12a,12bは毛管力によって廃液を吸い上げることが可能であり、その長手方向の長さは、廃液回収体12a,12bが毛管力によって廃液を保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、プラテン上に支持されている記録媒体(シート)に記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うものがある。そのインクジェット記録装置では、プラテンがシートの被記録面を好ましい状態に保つ。また、シートの縁部に余白のない記録(以下「縁無し記録」という)を行うためにシートの縁部の外側にはみ出して吐出されたインクを受容するための吸収体(液体吸収材)が設けられたものがある(特許文献1参照)。具体的には、プラテンに設けられた凹部内に吸収体が装着されている。縁無し記録時にシートの縁部の外側にはみ出して吐出されたインクは、この吸収体から廃液回収体に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4572317号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、例えば小さなサイズのシートに縁無し印刷を行う際に、吸収体の、廃液回収体へインクを導く部位から大きく離れた部位にインクが吐出されると、吸収体から廃液回収体へのインクの移行がスムースに行われない可能性がある。その場合、吸収体に保持されない自由インクがプラテンの凹部に大量に存在する可能性がある。
【0005】
仮に、そのような状態でインクジェット記録装置が傾けられると、自由インクがプラテンの凹部から外部へ漏れ出す。また、廃液回収体の容量を超えたインクが廃液回収体に導かれた場合に、インクジェット記録装置が傾けられると、液体保持力の限界を超えてインクが廃液回収体から溢れ出す。その結果、インクによって筐体の内部および外部や様々な部品が汚される。
【0006】
本発明の目的は、プラテン上で記録媒体の縁部の外側に吐出されたインクを廃液回収体へスムースに導くことができ、記録装置本体の姿勢などに左右されることなくインクの漏れや溢れ出しが生じにくいインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに対向する位置で記録媒体を支持するプラテンと、プラテンに設けられ、記録ヘッドから記録媒体の端部の外側に吐出されたインクを受ける吸収体と、プラテンの下方に設けられ、吸収体からインクが導かれる廃液回収体と、を備えている。廃液回収体は毛管力によってインクを吸い上げることが可能であり、その長手方向の長さは、廃液回収体が毛管力によってインクを保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、プラテン上に吐出されたインクを廃液回収体へスムースに導くことができ、吸収体に保持されていない自由インクが生じるのを抑制できる。また、廃液回収体は、記録装置本体がどのような向きに傾けられたり立てられたりしても、廃液の漏れや溢れ出しが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の記録ヘッドとその周辺を正面から見た斜視図である。
【図3】図2に示す記録ヘッドとその周辺を下方から見た斜視図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の記録部の断面図である。
【図5】図1に示すインクジェット記録装置を概略的に示すブロック図である。
【図6】図1に示すインクジェット記録装置のプラテンとその周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して、同一の符号は同一または対応する部分を示す。また、同種の部品が複数存在する場合には参照数字に添字(A,Bなど)を付して区別して示し、それらの部品を全体的に示す場合や、いずれか特定せずに示す場合には、添字を付さずに参照数字のみで示す。
【0011】
図1は本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す斜視図である。このインクジェット記録装置は、給紙部101と、搬送部102と、記録部103と、回復機構部(クリーニング機構部)104と、を備えている。給紙部101は、記録媒体(シート)を記録装置本体の内部へ供給する。搬送部102は、記録装置本体の内部を通してシートを搬送する。記録部103は、画像情報に基づいてシートに画像を記録する。回復機構部104は、画像記録の品位を維持するために、記録部103の記録ヘッド5のインク吐出性能を維持または回復させる。
【0012】
給紙部101に積載されたシートは、図示しない給紙モータで駆動される給紙ローラ123によって1枚ずつ分離されて送り出され、搬送部102へ給送される。搬送部102に給送されたシートは、搬送モータによって駆動される搬送ローラ121およびピンチローラによって、記録部103を通して搬送される。記録部103では、主走査方向(シートの幅方向)に移動するキャリッジ6に搭載された記録ヘッド5が画像情報に基づいて駆動され、記録ヘッド5の吐出口からインクを吐出させることによりシートに記録が行われる。記録ヘッド5は、発熱素子、ピエゾ素子、静電素子、MEMS素子などのエネルギー発生素子を有し、インクジェット方式でインクを吐出させる。記録されたシートは、搬送ローラ121と同期して駆動される排紙ローラ123とそれに押圧される拍車とによって、記録装置本体の外部へ排出される。
【0013】
記録部103は、キャリッジ6と、キャリッジ6に搭載された記録カートリッジ3を備えている。キャリッジ6は、記録装置本体に設置されたガイドシャフトおよびガイドレールに沿って主走査方向に往復移動可能に案内支持されており、キャリッジモータによりキャリッジベルト124を介して往復駆動される。キャリッジ6の移動は、キャリッジ6に搭載されたエンコーダセンサと装置本体側に張架されたエンコーダスケール125とによって、位置および速度を検知され、その検知結果に基づいて制御される。キャリッジ6の移動(主走査)に同期して行われる記録ヘッド5の記録動作と、シートの所定ピッチごとの搬送(副走査)とを交互に繰り返すことにより、シート全体の記録が行われる。図1〜4に示すように、本実施形態の記録部103は、ブラック用とカラー用の2つの記録ヘッド5A,5Bと、それらに対応するブラック用とカラー用の記録カートリッジ3A,3Bを有している。
【0014】
回復機構部104は、記録ヘッド5の吐出口の目詰まり等を解消することで記録画像の品位を正常な状態に維持または回復させるためのものである。この回復機構部104は、吐出口を覆うためのキャッピング手段、吐出口からインクを吸引するためのポンプ等の吸引手段、吐出口面を拭掃するためのワイピング手段などを備えている。本実施形態の回復機構部104は、キャリッジ6が回復機構部104に移動してきたときにキャリッジ6とともに所定範囲にわたって移動可能なスライダ7(図1参照)を備えている。そして、キャッピング手段のキャップ1A,1B(図4参照)とワイピング手段のワイパーはスライダ7に搭載されている。
【0015】
図5は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略を示すブロック図である。各種信号を処理する制御部B1のインターフェイス部に、パーソナルコンピュータ(PC)B2や操作パネルB3や各種センサB15が接続されている。また、制御部B1には、搬送モータドライブB4や画像形成モータドライブB12が接続されている。搬送モータドライブB4に接続された搬送モータB5や、主駆動伝達系B6、主搬送ローラユニットB7、搬送駆動伝達系B8、搬送ローラユニットB9、給紙駆動伝達系B10、給紙ローラユニットB11が、直接または間接的に制御部B1に接続されている。さらに、画像形成モータドライブB12に接続された画像形成部モータB13や画像形成部B14が、直接または間接的に制御部B1に接続されている。
【0016】
このような構成であり、パーソナルコンピュータB2または操作パネルB3から制御部B1へ送られる画像形成命令信号や、制御部B1の内部のタイマーなどによって、画像形成動作が開始される。制御部B1は、搬送モータドライバB4を介して搬送モータB5を作動させると同時に、画像形成モータドライバB12を介して画像形成部モータB13を作動させる。搬送モータB5は、主駆動伝達系B6を介して、画像形成動作時に記録媒体を主体的に搬送する主搬送ローラユニットB7を駆動する。さらに、主搬送ローラユニットB7は、搬送駆動伝達系B8を介して搬送ローラユニットB9を駆動して、給紙されたシート(記録媒体)を主搬送ローラの位置まで搬送する。一方、画像形成モータB13は、画像形成部B14を駆動して画像形成動作を行わせる。さらに、画像形成部B14は、搬送駆動伝達系B8の動作と協働して給紙駆動伝達系B10を作動させ、積載された記録媒体を一枚ずつに分離して給紙するように給紙ローラユニットB11を動作させる。給紙駆動伝達系B10の動作により、給紙ローラユニットB11に対する動力の伝達と非伝達とを、適宜のタイミングで切り替える。それにより、給紙ローラユニットB11と搬送ローラユニットB9の同期駆動と非同期駆動とを選択的に行うことができる。
【0017】
各モータの回転状態および負荷状態やシートの搬送状態は、記録装置の各部位に設けられた各種センサB15によって検知され、検知信号が制御部B1に送られる。制御部B1は、その検知信号に含まれている情報と操作パネルB3やパーソナルコンピュータB2からの信号等に基づいて各モータを制御して記録を行う。
【0018】
次に縁無し記録について説明する。図6に示すように、本実施形態のプラテン4は主走査方向に長い形状を有している。記録ヘッド5と対向するプラテン4の上面には、複数のリブ8が搬送方向上流から下流に向かって、主走査方向に所定の間隔をおいて形成されている。さらに、プラテン4には、主走査方向に延びる凹部が形成されており、その内部に、インクを吸収する吸収体11が配置されている。凹部の底部には、図4に示す貫通穴9が形成されている。プラテン4の下方に位置するベース13には、概ね箱形の廃インク収納部13a,13bが設けられ、その内部に廃液回収体12a,12bが配設されている。吸収体11や廃液回収体12a,12bは、パルプや、化学繊維、麻、古紙などを原料とする不織布や、高分子吸収体や、発泡ウレタン(いわゆるスポンジ)などから形成されている。
【0019】
シートへの縁無し記録時に、シートの各縁部の外側にはみ出して吐出されたインク(廃液)は、プラテン4に設けられた凹部に着弾し、凹部内の吸収体11により吸収される。吸収体11に吸収されたインクは吸収体11の底部へと進み、貫通穴9を通ってプラテン4の下方へ排出され、廃液回収体12a,12bに吸収されて保持される。このように、記録ヘッド5から吐出されたインクは速やかに吸収され、インクミストの浮遊による不具合が防止される。そして、プラテン4の表面がインクで汚損されることなく、シートへの縁無し記録が実行される。
【0020】
縁無し記録において凹部に吐出されたインクは吸収体11によって吸収される。吸収体11がインクを吸収した状態で、例えばユーザの取り扱いや輸送によって記録装置本体が大きく傾けられると、吸収体11の底部に滞留したインクはプラテン4の端部、具体的には、主走査方向に延びる凹部の端部10aまたは10bに集中する。そのような場合、従来は、凹部の端部10aまたは10bから外にインクが溢れ出ることがある。特に、小サイズの複数のシートに対して縁無し記録を続けて行った場合、凹部の、主走査方向中央付近の底部にインクが滞留しやすい。その状態で記録装置本体を傾けると、凹部の端部10aまたは10bに急激にインクが集中し、吸収体11から廃液回収体12へのインクの移行が円滑に行われなくなる。このような現象が発生すると、インクが記録装置の外部にまで漏出して、記録装置の外観や机等を汚すおそれがある。
【0021】
そこで、本実施形態では、インクが凹部および吸収体11から溢れ出て装置外部にまで漏出しないように、以下に説明する構成を採用している。
【0022】
プラテン4の凹部には、そのインクジェット記録装置で使用可能な(使用が想定されている)シートのうちの最も幅が小さいサイズのシートがセットされた際に、そのシートの主走査方向の幅方向の両端部の近傍外側に貫通穴9a,9bがそれぞれ設けられている。吸収体11が吸収したインクは、この貫通穴9a,9bを通って下方に排出される。前記したような小さいサイズのシートに対して縁無し記録を行った場合には、記録ヘッド5から吐出されたインクの着弾位置のすぐ近傍に貫通穴9a,9bが位置している。凹部に吐出されたインクは、プラテン4の凹部内に自由インクとして留まることなく、貫通穴9a,9bを介して廃液回収体に円滑に移行する。それよりも大きなサイズのシートに縁無し記録を行う場合には、プラテン4の凹部内の、貫通穴9a,9bから遠い位置にインクが吐出される。このインクは、吸収体11の毛細管現象により貫通穴9a,9b近傍まで導かれる。そして、貫通穴9a,9bを介して廃液回収体12に円滑に移行する。
【0023】
さらに、本実施形態では、吸収体11に一体形成された毛管力を有するインク誘導手段11aが貫通穴9a,9b内に挿入され、廃液回収体12に接している。従って、貫通穴9a,9bにおいて自由インクの状態になることはなく、吸収体11から廃液回収体までインクがより円滑に移行する。その場合、各部材の毛管力の大きさが、吸収体11(インク誘導手段11a)<廃液回収体12の関係となるようにすると、廃液回収体12へのインク移行がより円滑である。
【0024】
なお、本実施形態では、コストを考慮して、インク誘導手段11aを吸収体11に一体形成しているが、吸収体11と別部材のインク誘導手段11aを吸収体11と廃液回収体12の間に配置してもよい。その場合、各部材の毛管力の大きさが、吸収体11<インク誘導手段11a<廃液回収体12の関係となるようにすると、廃液回収体12へのインク移行がより円滑である。
【0025】
そして、本実施形態においては、廃液回収体12は、その長手方向の長さが、廃液回収体12が廃液を保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さくなるような形状に形成されている。この点について説明すると、通常、廃液回収体12として用いられるパルプや、化学繊維、麻、古紙などを原料とする不織布や、高分子吸収体や、発泡ウレタン(いわゆるスポンジ)などは、あまり大きな液体保持力はもたない。廃液回収体12の種類および内部構造や廃液の種類などによって多少左右されるが、廃液回収体12が液体を吸い上げて保持可能な鉛直方向の高さは概ね100mm程度である。そこで、本実施形態では、廃液回収体12の長手方向の長さを、廃液回収体12が液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)より小さくなるようにした。廃液回収体12の長手方向の長さとは、廃液回収体12の平面形状が長方形の場合には長辺の長さであり、廃液回収体12の平面形状が長方形以外の場合には、その平面形状に近似した長方形を仮想した場合のその仮想的な長方形の長辺の長さである。
【0026】
このような構成を実現するために、2つに分割された廃液回収体12a,12bをプラテンの長手方向に沿って並べて配置し、各々の長手方向の長さは、それぞれが液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)より小さい。一般的なインクジェット記録装置のプラテン4の主走査方向の長さは100mm以上である場合が多く、このプラテン4のほぼ全長にわたる廃液回収体を設けると、その長手方向の長さは、液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)以上になる。そのため、複数に分割することによって、各廃液回収体12a,12bの個々の長手方向の長さが、それぞれが液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)より小さくなるようにしている。なお、廃液回収体12の分割数は2に限らず、3以上としてもよい。あるいは、上述の条件を満たすのであれば廃液回収体12は1つとしてもよい。
【0027】
仮に、廃液回収体の長手方向の長さが、液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)以上であると、廃液回収体12に廃インクが含浸された状態で廃液回収体が傾けられると、廃インクの漏れや溢れ出しが生じる可能性がある。通常の印刷状態では問題が生じなくても、例えば製品寿命の末期で廃液回収体12の全域にインクが含浸された状態で、ジャム処理や記録装置の保管のために、廃液回収体12が垂直に立てられたり、垂直に近い角度に傾けられる可能性がある。そのような場合には、水頭差によって、その状態における廃液回収体12の下部にインクが集中し、廃液回収体12が液体保持可能な鉛直方向の高さを越える高さまでインクを保持する状態になり、インクが溢れ出す可能性が高い。
【0028】
これに対し、本実施形態では、前記したように廃液回収体12の長手方向の長さが、廃インクを保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さい。従って、廃液回収体が前後左右のどの方向に傾けられても、また垂直に立てられても、廃液回収体12が液体保持可能な鉛直方向の高さよりも高くなることはない。すなわち、廃液回収体12が液体保持可能な鉛直方向の高さを越えた高さまで廃インクを保持する状態になることはないので、廃インクが溢れ出すことを抑えられる。
【0029】
廃液回収体12の厚さ方向の寸法は、廃液回収体12が液体を保持可能な鉛直方向の最大高さ(概ね100mm)よりも小さい。
【0030】
なお、縁有り記録の場合には、インクがシートの縁部の外側にはみ出して吐出されることはない。そのような場合でも、記録ヘッド5のメンテナンスのための予備吐出をプラテン4の吸収体11に対して行うので、その吐出位置を可変にして、吸収体11の比較的広い範囲にほぼ均等に分散してインクが吐出されるように制御することが好ましい。
【0031】
以上説明したとおり、本実施形態では、ユーザの使用状態に左右されずに、シートの縁部の外側のプラテン4上に吐出されたインクを、廃液回収体12へスムースに導くことができる。従って、プラテン4上で吸収体11に保持されていない状態の自由インクとなることを抑えられる。また、廃液回収体12の長手方向の長さが、液体を保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さいため、記録装置本体がどのような向きに傾けられたり立てられたりしても、インクの漏れや溢れ出しを抑えて保持し続けることが可能である。従って、ユーザのイレギュラーな操作(紙ジャムの処理など)や、未使用時の保管状況に左右されることなく、インクの漏れや溢れ出しが生じにくい。
【0032】
本発明は、以上説明した実施形態の構成に限定されることなく、例えば記録ヘッドの数や吐出口列の数などは任意に設定および変更可能である。また、本発明は、複数の異なる色のインクを用いてカラー記録を行う装置、同じ色のインクで濃度を変えて階調記録を行う装置、これらを組み合わせた装置などにおいて、使用するインクの種類や数に限定されることなく実施できる。
【0033】
本発明は、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。例えば、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なカートリッジを用いる構成や、記録ヘッドにインクタンクを着脱可能に装着する構成や、記録ヘッドとインクタンクを別部材にして両者の間をインク供給路等で接続する構成などが考えられる。
【符号の説明】
【0034】
4 プラテン
5,5A,5B 記録ヘッド
11 吸収体
11a インク誘導手段
12,12a,12b 廃液回収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向する位置で記録媒体を支持するプラテンと、前記プラテンに設けられ、前記記録ヘッドから前記記録媒体の端部の外側に吐出されたインクを受ける吸収体と、前記プラテンの下方に設けられ、前記吸収体からインクが導かれる廃液回収体と、を備え、
前記廃液回収体は毛管力によってインクを吸い上げることが可能であり、その長手方向の長さは、該廃液回収体が毛管力によってインクを保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さい
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
複数の前記廃液回収体が前記プラテンの長手方向に沿って設けられており、複数の前記廃液回収体の各々の長手方向の長さは、該廃液回収体が毛管力によってインクを保持可能な鉛直方向の最大高さよりも小さい、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記吸収体と前記廃液回収体を接続するインク誘導手段をさらに有し、前記インク誘導手段は、使用が想定される記録媒体のうち最も小さい幅を有する記録媒体の幅方向の端部に対応した位置に配置されている、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
毛管力の大きさが、前記吸収体<前記インク誘導手段<前記廃液回収体の関係を満たす、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インク誘導手段は前記吸収体に一体形成されている、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
毛管力の大きさが、前記吸収体<前記廃液回収体の関係を満たす、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、メンテナンスのための予備吐出として、前記吸収体の分散した位置にインクを吐出することが可能である、請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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