説明

インク供給装置及び画像記録装置

【課題】インクカートリッジとの接続部やインク流路の近傍にセンサや基板を配置可能な手段を提供する。
【解決手段】カートリッジ装着部110は、インクカートリッジ30と接続されることにより、インクカートリッジ30からインクが流入される接続部103と、接続部103から延出されたインクチューブ20と、接続部103及びインクチューブ20より重力方向の下側に配置されており、インクカートリッジ30の挿抜によりスライドされるスライド部材135を検出可能な光センサ117と、光センサ117と電気的に接続された基板111と、基板111の重力方向の上側を覆うカバー108と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部にインクカートリッジが着脱されるインク供給装置、及び当該インク供給装置を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるチューブ供給方式の画像記録装置では、インクカートリッジが、記録ヘッドを搭載するキャリッジの外部に配置されており、このインクカートリッジと記録ヘッドとがチューブを介して接続されている。このインクカートリッジは、例えば、装置本体の正面に開口を有するカートリッジ装着部に対して、開口を介して水平方向へ装着される(特許文献1参照)。このカートリッジ装着部は、インクカートリッジを着脱可能に収容する。カートリッジ装着部にインクカートリッジが装着されると、インクカートリッジから記録ヘッドに至るインク通路が形成される。このインク通路を通じてインクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給される。
【0003】
インクカートリッジに貯留されたインクを外部へ流出させるために、カートリッジ装着部にはインクニードルと称される中空針などが設けられている。インクニードルがインクカートリッジに挿入されることによって、インクカートリッジに貯留されたインクがインクニードルを通じて外部へ流出可能となる。
【0004】
また、カートリッジ装着部には、インクカートリッジに貯留されたインクの残量を検出するためのセンサが設けられることがある(特許文献2)。また、カートリッジ装着部には、インクカートリッジが装着されているかを検出するためのセンサが設けられることがある。また、キャリッジの上にインクカートリッジを装着する、いわゆるオンキャリッジタイプの画像記録装置において、キャリッジより下方に設けられた光学センサによって、当該光学センサの上側を移動するキャリッジに搭載されたインクカートリッジの残量を検知するものが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−132098号公報
【特許文献2】特開2007−15393号公報
【特許文献3】特開平11−138842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述されたような各種のセンサをインクニードルの近くに配置すると、インクニードルに対して位置決めされたインクカートリッジを正確に検知できるという利点がある。しかしながら、各種のセンサや基板などをインクニードルやチューブの近傍に配置すると、例えば、画像記録装置がユーザからサービスセンターに輸送されるときに、インクニードルやチューブからインクが漏れ出し、センサや基板にインクが付着して、センサや基板の故障の原因となり得る。このような問題は、インクニードルやチューブより重力方向の下側にセンサや基板が配置されたときに生じやすい。このように、カートリッジ装着部におけるセンサや基板のレイアウトは、インクニードルやチューブの配置との関係で制約を受けており、一般的には、インクニードルなどの下側にセンサなどを配置することが避けられていた(例えば、特表2002−513341号、請求項8参照)。なお、オンキャリッジタイプの画像記録装置においては、インクカートリッジの下側にセンサが配置されることがあるが、センサの上側に常にインクカートリッジが存在するわけではないので、インクカートリッジ等から漏れだしたインクがセンサに付着するおそれは少ない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、インクカートリッジとの接続部やインク流路の近傍にセンサや基板を配置可能な手段を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、カートリッジ装着部に対してインクカートリッジががたついても、センサによる被検出対象の検出、及びインクカートリッジと接続部との接続が確実になされる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、カートリッジ装着部にインクカートリッジが着脱されるインク供給装置に関する。上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジからインクを抽出する接続部と、上記接続部から延出されたインク流路と、上記接続部又は上記インク流路より重力方向の下側に配置されており、上記インクカートリッジを検出可能な第1センサと、上記接続部又は上記インク流路より重力方向の下側に配置されており、上記第1センサと電気的に接続された基板と、重力方向において上記接続部又は上記インク流路と上記第1センサ又は上記基板との間に配置されており、上記接続部又は上記インク流路から上記第1センサ又は上記基板へのインクの流れを遮断する第1遮断部材と、を具備する。
【0010】
インクカートリッジがカートリッジ装着部へ装着されると、接続部がインクカートリッジと接続されて、インクカートリッジから接続部へ、さらにはインク流路へインクが流通され得る。
【0011】
第1センサは、インクカートリッジの状態により変化し得る被検出対象を検出する。インクカートリッジの状態とは、インクカートリッジの着脱状態やインク残量である。被検出対象は、インクカートリッジに設けられていてもカートリッジ装着部に設けられていてもよい。被検出対象の変化は、例えばスライドや回動のような移動であっても、透過率の変化のような光学的な特性の変化であっても、電気的又は磁性的な特性の変化であってもよい。
【0012】
第1センサは、基板に直接に固定されていても、導線などを介して基板に接続されていてもよい。基板は、接続部又はインク流路より重力方向の下側に配置されているが、その上側を第1遮断部材が遮断してるので、仮に接続部又はインク流路からインクが漏れたとしても、インクが基板に付着することがない。
【0013】
(2) 上記第1遮断部材は、天板と、上記天板から垂下された複数の垂下板と、上記天板又は上記垂下板の少なくとも一方に設けられた凸条又は溝と、を有するものであってもよい。
【0014】
天板に滴下したインクが、重力又は毛管力によって凸条又は溝に沿って流れることによって、所望の位置へインクを導くことができる。
【0015】
(3) 上記凸条又は溝は、上記第1遮断部材の垂下板に設けられて重力方向へ延出されたものであってもよい。
【0016】
凸条又は溝に導かれて流れるインクは、第1センサ又は基板より重力方向の下側まで到達する。これにより、第1遮断部材の側方から第1センサ又は基板側へインクが流れ込むことが防止される。
【0017】
(4) 上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジの着脱に応じて姿勢変化する被検出子を備え、上記第1センサは上記被検出子を検出可能であってもよい。
【0018】
これにより、接続部の近傍に配置された第1センサによって、インクカートリッジの着脱を検出できるので、インクカートリッジと接続部とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0019】
(5) 上記カートリッジ装着部は、装着状態の上記インクカートリッジが脱抜される第1向きへ当該インクカートリッジを付勢する付勢部材と、装着状態の上記インクカートリッジを上記付勢部材の付勢に抗して第1向きへの移動を制止する第1姿勢、及び上記インクカートリッジを第1向きへ移動可能とする第2姿勢に姿勢変化されるロック部材と、を更に有するものであってもよい。
【0020】
装着状態のインクカートリッジが付勢部材によって付勢されるので、カートリッジ装着部とのガタツキの範囲内でインクカートリッジが回転等するおそれが生じるが、前述されたように、接続部の近傍に配置された第1センサによって、インクカートリッジの着脱を検出できるので、インクカートリッジと接続部とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0021】
(6) 上記ロック部材は、装着状態の上記インクカートリッジにおける重力方向の上側の面に設けられた被係合部と係合するものであってもよい。
【0022】
インクカートリッジとロック部材との係合箇所が重力方向の上側であることによって、その係合箇所を中心としてインクカートリッジがガタツキの範囲内で回転しやすいが、前述されたように、接続部の近傍に配置された第1センサによって、インクカートリッジの着脱を検出できるので、インクカートリッジと接続部とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0023】
(7) 上記カートリッジ装着部は、上記接続部より重力方向の上側に配置されており、装着状態の上記インクカートリッジの一部を検出可能な第2センサと、上記接続部より重力方向の上側に配置されており、少なくとも上記第2センサの下側を覆う第2遮断部材と、を更に有するものであってもよい。
【0024】
第2センサは、インクカートリッジの一部を検出することによって、例えば、インクカートリッジの着脱やインク残量などを検出し得る。インクカートリッジの一部は、例えばスライドや回動のような移動により変化したり、透過率の変化のような光学的な特性が変化したり、電気的又は磁性的な特性が変化したりする。
【0025】
第2センサが接続部の近傍に配置されていても、その下側を第2遮断部材が覆っているので、仮に接続部からインクが飛散したとしても、インクが第2センサに付着することがない。
【0026】
(8) 上記第2遮断部材は、上記第2センサにおける上記インクカートリッジが挿入される第2向き側をも覆うものであってもよい。
【0027】
仮に、インクカートリッジが誤った姿勢でカートリッジ装着部へ挿入されたり、カートリッジ装着部と適合しない形状のインクカートリッジが挿入されたりしたとしても、インクカートリッジが直接に第2センサと衝突することが防止される。
【0028】
(9) 上記インクカートリッジの一部は、当該インクカートリッジが貯留するインク量の変化によって少なくとも2種類の透光状態に変化するものであり、上記第2センサは、上記インクカートリッジの一部を光学的に検出するものであってもよい。
【0029】
(10) 本発明は、上記インク供給装置と、上記インク供給装置から供給されたインクを吐出して、被記録媒体に画像を記録する記録部と、を具備する画像記録装置として捉えられてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、接続部又はインク流路より重力方向の下側に配置された第1センサ又は基板の上側に第1遮断部材が設けられているので、仮に接続部又はインク流路からインクが漏れたとしても第1センサ又は基板に付着することがない。これにより、接続部やインク流路の近傍に第1センサや基板を配置することができる。これにより、カートリッジ装着部に対してインクカートリッジががたついても、センサによる被検出対象の検出、及びインクカートリッジと接続部との接続とが確実になされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインク供給装置100を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ30の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、カートリッジ装着部110の開口112側の構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、カートリッジ装着部110の開口112と反対側の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、カートリッジ装着部110の正面図である。
【図6】図6は、カートリッジ装着部110の側面図である。
【図7】図7は、カバー108が取り外された状態におけるカートリッジ装着部110の開口112と反対側の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を示す断面図である。
【図9】図9は、カバー108の斜視図である。
【図10】図10は、カバー108の側壁87側からみた正面図である。
【図11】図11は、カバー108の側壁88側からみた背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0033】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。プリンタ10が、本発明に係る画像記録装置に相当する。
【0034】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。サブタンク28から供給されたインクが、記録ヘッド21のノズル29から選択的に吐出される。記録ヘッド21が、本発明における記録部に相当する。インクチューブ20が、本発明におけるインク流路に相当する。
【0035】
給紙トレイ15に載置された記録用紙は、給紙ローラ23によって搬送路24へ送給される。搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26に対向して配置されている。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0036】
[インクカートリッジ30]
図2に示されるように、インクカートリッジ30はインクを貯留する容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留するインク室36である(図8参照)。インク室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31により形成される空間であってもよいし、本体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。
【0037】
インクカートリッジ30は、図2に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿抜方向50」と称する。)に沿って挿抜される。すなわち、インクカートリッジ30は、挿抜方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、挿抜方向50に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。インクカートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に挿抜される。図2における高さ方向(上下方向)52が、重力方向に相当する。
【0038】
インクカートリッジ30は、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、幅方向51に小さく、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる本体31の壁が前壁40であり、後方側となる本体31の壁が後壁42である。前壁40と後壁42とは、挿抜方向50(インクカートリッジ30の長手方向)において対向している。なお、挿抜方向50は奥行き方向53と平行である。
【0039】
本体31の前壁40における高さ方向52の中央付近には、残量検知部33が設けられている。各図には現れていないが、残量検知部33は、インク室36に通ずるように、インク室36に向けて一方が開口した箱形である。また、残量検知部33は、光センサ114(図8参照)から出射された光を透過させる透光性の樹脂からなる一対の壁を含む。
【0040】
図8に示されるように、残量検知部33の一対の壁の間は中空である。残量検知部33の中空部分にはセンサーアーム60のインジケータ部62が位置してている。センサーアーム60は、棒状のアーム本体61の回動支点となる支軸に対して両端側に、インジケータ部62及びフロート部63とがそれぞれ設けられたものである。センサアーム60は、インク室36において、幅方向51に沿って延びる支軸64により回動可能に支持されている。センサーアーム60は、インク室36に残存するインク量に対応して、フロート部63が上下することにより、インジケータ部62が残量検知部33の重力方向下側に位置する下位姿勢と、インジケータ部62が残量検知部33の重力方向上側に位置する上位姿勢に姿勢変化可能である。なお、図8では、インジケータ部62が下位姿勢である状態が示されている。
【0041】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、カートリッジ装着部110に設けられた光センサ114に対して、残量検知部33は、赤外光を透過させる状態と、残量検知部33が赤外光を遮光又は減衰させる状態とに変化する。具体的には、インジケータ部62が上位姿勢(インクが所定量未満)であれば残量検知部33は光を透過させ、インジケータ部62が下位姿勢(インクが所定量以上)であれば、残量検知部33は光を遮光又は減衰させる。この残量検知部33の透光状態に応じて、インク室36内のインク残量が所定量未満になったことが判定される。
【0042】
なお、残量検知部33には、センサーアーム60がなくてもよい。すなわち、光センサ114は、発光素子と受光素子とが水平方向に対向されている。そして、発光素子から出射された光は受光素子に受光される。そして、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子から出射された光が遮断又は減衰され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子から出射された光が透過されるように構成されていてもよい。例えば、透光性の一対の樹脂壁が屋根のように配置され、インクがある状態で空気中から樹脂壁に入射した光は屈折して斜め下方に進行し、さらに樹脂壁からインクに入射したとき樹脂壁とインクの屈折率が近似していることから光が直進又は屈折して受光素子には所定の受光量が入力されない。また、インクが所定量未満である状態では、空気中から樹脂壁に入射した光は屈折して斜め下方に進行し、樹脂壁から空気中に入射した光は水平方向へ進行し、再び樹脂壁に入射して屈折して斜め上方に進行した後、樹脂壁から空気中に入射し、水平方向へ進行して受光素子で受光される。また、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子から出射された光が受光素子に到達しないように反射され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子から出射された光が受光素子に到達するように反射されるように構成されていてもよい。
【0043】
図2に示されるように、本体31の前壁40における残量検知部33の上側に前壁40を奥行き方向53へ貫通する開口が形成されており、その開口よりも奥行き方向53における後壁42側に、大気連通口32が設けられている。大気連通口32は、インク室36を形成している壁を奥行き方向53へ貫通する貫通孔である。大気連通口32を介してインク室36の空気層と外部とが連通され得る。詳細な説明は省略されるが、大気連通口32は、バルブなどによって開閉可能に構成されている。大気連通口32が開かれることによって、梱包時には負圧状態であったインク室36の気圧が大気圧となる。なお、この大気連通口32は、必ずしも前壁40に設けられる必要はなく、インク室36の内部と外部とを連通させるものであれば配置は限定されない。また、インク室36内が負圧に維持された状態でインクカートリッジ30が使用される場合は、大気連通口32は必ずしも設けられなくてもよい。
【0044】
図2に示されるように、本体31の前壁40における残量検知部33の下側に、インク供給部37が設けられている。このインク供給部37には、インク室36を形成している壁の一部を奥行き方向53へ貫通する孔を有するインク流路38が設けられている。そして、このインク流路38を囲うように、前壁40から奥行き方向53に沿って外側へ突出する円筒状の外径のインク供給部37が設けられている。インク流路38は、インク供給部37の中心部において奥行き方向38に沿って延びている。インク流路38を通ってインク室36から、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122へインクが流出される(図8参照)。
【0045】
図2に示されるように、本体31の上壁39における奥行き方向53の中央付近には、被係合部43が形成されている。被係合部43は、インクカートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる平面を有する。被係合部43には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、ロックレバー145が係合する。この被係合部43は、インクカートリッジ30を開口112を介して外部(図8における矢印55)に押し出させる付勢力を受けるものである。なお、この被係合部43の幅方向51における左右には奥行き方向53に沿って延びる平面を有する一対のリブが配置されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿抜されるときに、この一対のリブがカートリッジ装着部110のガイド溝115に沿って案内される被ガイド部49として機能する。
【0046】
図2に示されるように、本体31には、第1突起45及び第2突起46が設けられている。第1突起45は、本体31の前壁40の上端に設けられている。第1突起45の幅は、前壁40の幅と同じである。第1突起45は、前壁40から奥行き方向53に沿って後壁42とは反対側へ延出されている。この第1突起45は、前壁40の幅と同幅であるが、前壁40の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。第1突起45における幅方向51の中央には奥行き方向53へ延びる溝47が形成されている。この溝47における幅方向51の中央には、高さ方向52及び奥行き方向53へ延びるリブ48が設けられている。
【0047】
第2突起46は、本体31の前壁40の下端に設けられている。したがって、第2突起46は、インク供給部37の下方に配置されている。第2突起46の幅は、前壁40の幅と同じである。第2突起46は、前壁40から奥行き方向53に沿って後壁42とは反対側へ延出されている。第2突起46の先端は、インク供給部37の先端よりインク室36から離れた位置まで延出されている。
【0048】
なお、本実施形態では、第1突起45及び第2突起46の幅方向51の各寸法が同等であるが、第1突起45及び第2突起46の幅方向51の寸法は適宜変更可能であり、例えば、リブ48のように奥行き方向53に沿って延びる板状の突起であってもよい。
【0049】
図2に示されるように、本体31の下壁41には、奥行き方向53に渡って延びる被ガイド部44が設けられている。被ガイド部44は、下壁41から下方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。被ガイド部44は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿抜される際に、後述されるガイド溝115に挿入されて移動されるものである。
【0050】
図2に示されるように、本体31の上壁39には、奥行き方向53に渡って延びる被ガイド部49が設けられている。被ガイド部49は、上壁39から上方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。被ガイド部49は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿抜される際に、後述されるガイド溝115に挿入されて移動されるものである。
【0051】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、インクカートリッジ30から記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0052】
[カートリッジ装着部110]
図3等に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を形成するケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。インクカートリッジ30は、ケース101の内部空間の底部を画定している底面に設けられたガイド溝115に被ガイド部44が挿入されることによって挿抜方向50へ案内される。ケース101には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。なお、各図には、ケース101の内部空間の底面側にのみガイド溝115が現れているが、内部空間の天面側にも同様のガイド溝115が形成されている。
【0053】
図3に示されるように、ケース101には、内部空間を縦方向(上下方向)に長い各インク色に対応した4つの空間に仕切り分ける3つのプレート102が設けられている。このプレート102によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。プレート102は、ケース101において開口112と反対側となる終端側に設けられている。
【0054】
図5に示されるように、ケース101の終面の下部に接続部103が設けられている。接続部103は、終面の上下方向における下側に、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部37に対応する位置に、各インク色毎にそれぞれ配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つの接続部103が設けられている。
【0055】
接続部103は、インクニードル122と、保持部121とを有する。インクニードル122は、管状の樹脂針からなる。インクニードル122は、図6に示されるように、ケース101の開口112と反対側の外側面側(ケース101の終面の裏側)でインクチューブ20に接続されている。各インクニードル122から開口112と反対側へ引き出された各インクチューブ20は、上方へ引き上げられたのち、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に延出されている。
【0056】
保持部121は、凹陥状(円筒状)に形成されている。保持部121の中心部にインクニードル122が配置されている。図8に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インク供給部37が保持部121の凹陥部に挿入される。このとき、インク供給部37の外周面と保持部121の凹陥部の内面とが密着した状態、或いはインク供給部37の外周面と保持部121の凹陥部の内面とに隙間を介した状態でインクニードル122がインク供給部37のインク流路38に挿入される。これにより、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、インクニードル122へ流入する。
【0057】
図5に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より重力方向の上側にセンサユニット104が設けられている。センサユニット104は、基板113と、光センサ114とを備える。センサユニット104において、基板113に光センサ114が装着されて固定されている。センサユニット104の基板113には、4つの光センサ114が取り付けられている。これら4つの光センサ114は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30にそれぞれ対応している。4つの光センサ114は、各プレート102の間において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0058】
各光センサ114は、LEDなどの発光素子118と、フォトトランジスタなどの受光素子119とをそれぞれ有する。発光素子118及び受光素子119は、それぞれが樹脂製のフレームに囲まれている。このような発光措置118と受光素子119とが、所定の間隔を空けて対向配置されている。発光素子118は、フレームの一部が切り欠かれており、そこから一方向へ赤外光を出力可能である。受光素子119は、触れ^無の一部が切り欠かれており、その切欠きへ入射した赤外光を受光可能である。発光素子118と受光素子119との間の空間には、インクカートリッジ30の残量検知部が進入可能である。この光センサ114が、第2センサに相当する。
【0059】
ケース101にインクカートリッジ30が装着された状態で、発光素子118から光が出射されると、その光は残量検知部33に照射される。インク室36にインクが所定量以上満たされている状態では、残量検知部33に照射された光は、センサーアーム60のインジケータ部62によって遮られる。インク室36のインクが所定量未満になると、センサーアーム60が回動して、残量検知部33に照射された光が、センサーアーム60のインジケータ部62によって遮られない。つまり、インク室36が貯留するインク量によってセンサーアーム60の姿勢が変化し、センサーアーム60の姿勢変化によって発光素子118から出力された赤外光が、残量検知部33によって遮断されるか、透過される。受光素子119の受光量は、発光素子118から照射された光がインジケータ部62によって遮られるか否かによって異なる。この違いによって、受光素子119は、異なる電気信号を出力する。光センサ114から出力される電気信号の違いによって、インク室102内のインクが所定量未満であるか否かが判断され得る。
【0060】
図3に示されるように、ケース101には、各光センサ114の発光素子118及び受光素子119を覆うカバー105,106が設けられている。カバー105,106は、4つの光センサ114に対応して4組が設けられている。各カバー105は、各発光素子118をそれぞれ覆っている。各カバー106は、各受光素子119をそれぞれ覆っている。カバー105,106が、第2遮断部材に相当する。
【0061】
カバー105は、プレート102から水平方向へ突出されており、水平方向へ延びる第1壁124及び重力方向へ延びる第2壁125を有する。第1壁124における開口112側の端から第2壁125が重力方向上向きへ延出されている。つまり、第1壁124と第2壁125とは直交して連結されている。第1壁124は、発光素子118の重力方向の下側を覆っている。第2壁125は、発光素子118の開口側、つまりインクカートリッジ30が挿入される向き側(図8における矢印56側)を覆っている。
【0062】
カバー116は、プレート102から水平方向へ突出されており、水平方向へ延びる第1壁126及び重力方向へ延びる第2壁127を有する。第1壁126における開口112側の端から第2壁127が重力方向上向きへ延出されている。つまり、第1壁126と第2壁127とは直交して連結されている。第1壁126は、受光素子119の重力方向の下側を覆っている。第2壁127は、受光素子119の開口側、つまりインクカートリッジ30が挿入される向き側(図8における矢印56側)を覆っている。
【0063】
図8に示されるように、ケース101の天面の開口終端部には光センサ116が設けられている。光センサ116は、インクカートリッジ30の第1突起45のリブ48を検知するものである。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つの光センサ116が設けられている。ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、光センサ116の光路に第1突起45のリブ48が進入する。このときの光センサ116の信号の変化を検知することで、インクカートリッジ30の装着状態が判定され得る。光センサ116は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものであるが、ここでは、光センサ116の詳細な構成の説明は省略する。
【0064】
図8に示されるように、スライド部材135は、カートリッジ装着部110の終面の下端側に形成された空間130に配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのスライド部材135が設けられている。空間130は、カートリッジ装着部110の内部空間と連続している。スライド部材135は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133が案内することによって挿抜方向50に沿ってスライド可能に支持されている。スライド部材135は、概ね直方体の外形をなす。各図には詳細に現れていないが、スライド部材135の上端には、挿抜方向50に沿って延びるリブ136が設けられている。スライド部材135は、インクカートリッジ30の第2突起46の挿入経路に配置されており、第2突起46と当接可能である。スライド部材135が、被検出子に相当する。
【0065】
空間130にはコイルバネ139が設けられている。コイルバネ139は、スライド部材135を開口112側、つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜き出される向きへ、つまり開口112へ向かって、インクカートリッジ30を弾性付勢するものである。コイルバネ139は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133に挿通されて、空間130の終端を画定している終壁131とスライド部材135との間に介在されている。コイルバネ139が自然長である場合、つまり、スライド部材135に外力が加えられていない状態では、スライド部材135は、開口112側の所定の位置に配置される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、インクカートリッジ30の第2突起46がスライド部材135に当接して、スライド部材135が空間130の終壁131側へ押圧される。これにより、コイルバネ139が収縮されるとともに、スライド部材135が終壁131側の位置(図8参照)へスライドされる。収縮したコイルバネ139は、スライド部材135を介してインクカートリッジ30をケース101から抜け出る向き(矢印55)へ付勢する。コイルバネ139が、本発明における付勢部材に相当する。矢印55で示される向きが、第1向きに相当する。
【0066】
図8に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より重力方向の下側であって、スライド部材135より重力方向の上側にセンサユニット107が設けられている。センサユニット104は、基板111と、光センサ117とを備える。基板111に光センサ117が装着されることで、センサユニット107が構成されている。センサユニット107には、4つの光センサ117が設けられている。これら4つの光センサ117は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。換言すれば、4つの光センサ117は、4つのスライド部材135に対応している。4つの光センサ117は、空間130の上側において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に配列されている。光センサ117が、第1センサに相当する。
【0067】
ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、スライド部材135が空間130の終壁131側へスライドされて、リブ136が光センサ117の光路に進入する。このときの光センサ117の信号の変化を検知することで、インクカートリッジ30の装着状態が判定され得る。光センサ117は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものであるが、ここでは、光センサ117の詳細な構成の説明を省略する。
【0068】
図7に示されるように、センサユニット107は、ケース101の終面の裏側(ケース101の外側面側)において、基板111を水平方向に沿って延びるように配置されてケース101に支持されている。ケース101に支持された基板111から各センサ117が、重力方向下向きへ突出されて空間130へ進入している。ケース101に支持された基板111の上面は、各センサ117との接点等が露出されている。この接点等は、基板111の回路パターンと各センサ117とを電気的に接続している。
【0069】
図4に示されるように、センサユニット107の基板111の上面は、カバー108によって覆われている。カバー108は、インクニードル122やインクチューブ20より重力方向下側に配置されている。カバー108は、ケース101に組み付けられることにより、基板111の上面を覆った状態に保持されている。
【0070】
図8に示されるように、ケース101には、ロックレバー145が設けられている。ロックレバー145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を、コイルバネ139の付勢力に抗して、装着状態に維持するためのものである。ロックレバー145は、ケース101の開口112の上側に設けられている。本実施形態では、ケース101に装着可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのロックレバー145が設けられている。
【0071】
ロックレバー145は、全体がアーム状に形成されている。ロックレバー145の中央付近に支軸147が設けられている。この支軸147がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112の上側においてロックレバー145が支軸147を中心に回動可能に支持されている。ロックレバー145は、大別すると、操作部149と、係合部146とに大別される。操作部149は、ケース101の開口112から外側へ突出されている。操作部149は、ロックレバー145を回動させるための操作を受け付ける部分である。係合部146は、ケース101の内部へ進入している。係合部146は、インクカートリッジ30の被係合部43と係合可能である。係合部146が被係合部43と係合することにより、コイルバネ139に付勢されているインクカートリッジ30が、ケース101に対して装着状態に維持される。係合部146が被係合部43と係合可能な位置となるロックレバー145の回動位置(図8参照)がロック位置(第1姿勢)と称され、係合部146が被係合部43と係合しない位置がアンロック位置(第2姿勢)と称される。ロックレバー145が、本発明におけるロック部材に相当する。
【0072】
ロックレバー145には、コイルバネ148が取り付けられている。コイルバネ148によって、ロックレバー145は、ロック位置側へ付勢されている。ロック位置のロックレバー145に対して、操作部149が重力方向下向きへ押し下げられると、ロックレバー145がロック位置からアンロック位置へ回動される。このロックレバー145が、保持部材に相当する。
【0073】
[カバー108]
図4に示されるように、カバー108は、センサユニット107の基板111の上面を覆っている。図9から図11に示されるように、カバー108は、4つの光センサ117が配列された方向に細長な直方体の箱であり、その底面側に開口80が形成されている。開口80は基板111の外形より若干大きい。したがって、開口80を通じて、基板111がカバー108の内部へ進入可能である。カバー108の長手方向54の両端となる側壁81,82には、その下端から下方へ延出された係合片83,84が形成されている。係合片83,84には、側壁81,82に渡って貫通孔85,86がそれぞれ形成されている。この貫通孔85,86に、ケースに設けられた係合爪71,72が挿通されることによって、係合片83,84と係合爪71,72とが係合されて、カバー108がケース101に組み付けられる。このカバー108が、第1遮断部材に相当する。
【0074】
側壁81,82に渡って、上壁87及び側壁88,89が設けられている。換言すれば、上壁87から各側壁81,82,88,89が上下方向に垂下されている。上壁87は、カバー108がケース101に組み付けられた状態において、センサユニット107の基板111と平行になる。側壁88,89は、側壁81,82と共に、カバー108がケース101に組み付けられた状態において、センサユニット107の基板111の周りを囲む。これら各側壁81,82,88,89及び上壁87によって、センサユニット107の基板111の上面側が覆われる。
【0075】
側壁88は、カバー108がケース101に組み付けられた状態において、接続部121と対向する。この側壁88には、重力方向へ延びる複数のリブ90が設けられている。各リブ90は、側壁88からケース101の終面の裏側へ向けて水平方向外側へ突出されている。また、各リブ90における重力方向の上端91は、側壁88の上端より上側へ突出されている。各リブ90における重力方向の下端92は、側壁88の下端より下側へ突出されている。したがって、カバー108がケース101に組み付けられた状態において、各リブ90は、センサユニット107の基板111の重力方向の上側から下側まで延びる。
【0076】
各リブ90は、各リブ90に滴下したインクを重力方向下向きへ導くためのものである。各リブ90の上端91付近に滴下したインクは、重力により、各リブ90に沿って上端91から下端92へ流れ落ちる。下端92に到達したインクは、重力により、下端92から重力方向下向きへ落下する。下端92は、側壁88の下端より下側まで延びているので、各リブ90に滴下したインクが、側壁88の下端を伝ってセンサユニット107の基板111側へ流れ込むことが防止される。リブ90が、凸条に相当する。
【0077】
上壁87の周縁には、つまり側壁81,82,88,89付近には、他の部分、つまり中央部分より高さが低い溝96が形成されている。溝96は、上壁87の周縁を囲うように四角い環形状に形成されている。
【0078】
側壁81,82,89の上端は、上壁87より若干上側へ突出されている。側壁81,82には、各々の上端から係合片83,84の下端に渡って延び、かつ各側壁81,82の厚み方向へ凹む溝94が各々2箇所に形成されている。各溝94によって、各側壁81,82の上端の一部が上壁87の溝96の底と同じ高さになっている。側壁89には、2箇所において下端から重力方向下向きへ突出する突片93が設けられている。側壁89には、各々の上端から突片93の下端に渡って延び、かつ側壁89の厚み方向へ凹む溝95が4箇所に形成されている。各溝95によって、側壁89の上端の一部が上壁87の溝96の底と同じ高さになっている。
【0079】
各溝94,95は、上壁87に滴下して貯まったインクを重力方向下向きへ導くためのものである。上壁87に滴下したインクは、溝96に沿って各側壁81,82,89側へ導かれ、そのインクが各側壁81,82,89の上端における各溝94,95に到達すると、重力により、各溝94,95に沿ってインクが流れ落ちる。各溝94,95の下端に到達したインクは、重力により、その下端から重力方向下向きへ落下する。各溝94,95の下端となる係合片83,84及び突片93は、各側壁81,82,89の下端より下側へ延出されたものなので、上壁82に滴下したインクが、各側壁81,82,89の下端を伝ってセンサユニット107の基板111側へ流れ込むことが防止される。
【0080】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、接続部121及びインクチューブ20より重力方向の下側に配置されたセンサユニット107の基板111の上側がカバー108により覆われているので、仮に接続部121やインクチューブ20からインクが漏れたとしても、基板111にインクが付着することがない。これにより、接続部121やインクチューブ20の近傍にセンサユニット107、すなわち光センサ117や基板111を配置することができる。これにより、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30ががたついても、光センサ117によるスライド部材135の検出、及びインクカートリッジ30と接続部121との接続とが確実になされる。
【0081】
また、カバー108は、センサユニット107の基板111の重力方向の上側から重力方向の下側まで延びるリブ90を有するので、リブ90に滴下したインクは、重力によってリブ90に沿って流れ落ちることによって、基板111より重力方向の下側まで到達する。これにより、カバー108の側壁88の下端から基板111側へインクが流れ込むことが防止される。
【0082】
また、カバー108の上壁87には溝96が形成されており、また、側壁81,82,89には溝94,95が形成されているので、カバー108の上壁87に滴下したインクは、重力又は毛管力によって、溝94,95,96に沿って側壁81,82,89の下端へ流れ落ちる。これにより、カバー108の側壁81,82,89の下端から基板111側へインクが流れ込むことが防止される。
【0083】
また、インクカートリッジ30の着脱に応じて姿勢変化するスライド部材135が接続部121の近傍に配置されており、接続部121の近傍に配置された光センサ117がスライド部材135を検知することによって、インクカートリッジ30の着脱を検出できるので、インクカートリッジ30のインク供給部37と接続部121とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0084】
また、装着状態のインクカートリッジ30がコイルバネ139によって付勢されるので、カートリッジ装着部110とのガタツキの範囲内でインクカートリッジ30が回転等するおそれが生じるが、前述されたように、接続部121の近傍に配置された光センサ117によって、インクカートリッジ30の着脱が検出されるので、インクカートリッジ30のインク供給部37と接続部121とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0085】
また、ロックレバー145は、装着状態のインクカートリッジ30における重力方向の上側の面に設けられた被係合部43と係合するので、被係合部43を中心としてインクカートリッジ30がガタツキの範囲内で回転しやすいが、前述されたように、接続部121の近傍に配置された光センサ117によって、インクカートリッジ30の着脱を検出できるので、インクカートリッジ30のインク供給部37と接続部121とが完全に接続された状態を装着状態と判定することが可能となる。
【0086】
また、ケース101に、装着状態のインクカートリッジ30の残量検知部33を検出可能な光センサ114の下側及び挿入向き56を覆うカバー105,106が設けられたので、仮に接続部121からインクが飛散したとしても、インクが光センサ114に付着することがない。また、仮に、インクカートリッジ30が誤った姿勢でカートリッジ装着部110へ挿入されたり、カートリッジ装着部110と適合しない形状のインクカートリッジ30が挿入されたりしたとしても、インクカートリッジ30が直接に光センサ114と衝突することが防止される。
【0087】
[変形例]
なお、本実施形態では、光センサ117は、光学的にスライド部材135を検出するものであるが、本発明における被検出対象の変化は、スライド部材135のようなスライドや回動のような移動に限定されず、例えばスライド部材135の光学的な特性が変化したり、電気的又は磁性的な特性が変化したりするものであり、第1センサは、これらの変化を検出可能なものであってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、ケース101に設けられたスライド部材135の移動が光センサ117により検出されるものとしたが、スライド部材135が設けられることなく、インクカートリッジ30の第2突起46が光センサ117に検出されてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、光センサ117が基板111に直接に固定されているものとしたが、光センサ117は、導線などを介して基板111に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10・・・プリンタ(画像記録装置)
20・・・インクチューブ(インク流路)
30・・・インクカートリッジ
21・・・記録ヘッド(記録部)
33・・・残量検知部(インクカートリッジの一部)
43・・・被係合部
48・・・リブ
90・・・リブ(凸条)
94〜96・・・溝
100・・・インク供給装置
103・・・接続部
105,106・・・カバー(第2遮断部材)
108・・・カバー(第1遮断部材)
110・・・カートリッジ装着部
111・・・基板
114・・・光センサ(第2センサ)
117・・・光センサ(第1センサ)
135・・・スライド部材(被検出対象、被検出子)
145・・・ロックレバー(ロック部材)
148・・・コイルバネ(付勢部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ装着部にインクカートリッジが着脱されるインク供給装置であって、
上記カートリッジ装着部は、
上記インクカートリッジからインクを抽出する接続部と、
上記接続部から延出されたインク流路と、
上記接続部又は上記インク流路より重力方向の下側に配置されており、上記インクカートリッジを検出可能な第1センサと、
上記接続部又は上記インク流路より重力方向の下側に配置されており、上記第1センサと電気的に接続された基板と、
重力方向において上記接続部又は上記インク流路と上記第1センサ又は上記基板との間に配置されており、上記接続部又は上記インク流路から上記第1センサ又は上記基板へのインクの流れを遮断する第1遮断部材と、を具備するインク供給装置。
【請求項2】
上記第1遮断部材は、
天板と、
上記天板から垂下された複数の垂下板と、
上記天板又は上記垂下板の少なくとも一方に設けられた凸条又は溝と、を有する請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項3】
上記凸条又は溝は、上記第1遮断部材の垂下板に設けられて重力方向へ延出されたものである請求項2に記載のインク供給装置。

【請求項4】
上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジの着脱に応じて姿勢変化する被検出子を備え、上記第1センサは上記被検出子を検出可能である請求項1から3のいずれかに記載のインク供給装置。
【請求項5】
上記カートリッジ装着部は、
装着状態の上記インクカートリッジが脱抜される第1向きへ当該インクカートリッジを付勢する付勢部材と、
装着状態の上記インクカートリッジを上記付勢部材の付勢に抗して第1向きへの移動を制止する第1姿勢、及び上記インクカートリッジを第1向きへ移動可能とする第2姿勢に姿勢変化されるロック部材と、を更に有する請求項4に記載のインク供給装置。
【請求項6】
上記ロック部材は、装着状態の上記インクカートリッジにおける重力方向の上側の面に設けられた被係合部と係合するものである請求項5に記載のインク供給装置。
【請求項7】
上記カートリッジ装着部は、
上記接続部より重力方向の上側に配置されており、装着状態の上記インクカートリッジの一部を検出可能な第2センサと、
上記接続部より重力方向の上側に配置されており、少なくとも上記第2センサの下側を覆って上記接続部から上記第2センサへのインクの飛散を遮断する第2遮断部材と、を更に有する請求項4から6のいずれかに記載のインク供給装置。
【請求項8】
上記第2遮断部材は、上記第2センサにおける上記インクカートリッジが挿入される第2向き側をも覆うものである請求項7に記載のインク供給装置。
【請求項9】
上記インクカートリッジの一部は、当該インクカートリッジが貯留するインク量の変化によって少なくとも2種類の透光状態に変化するものであり、
上記第2センサは、上記インクカートリッジの一部を光学的に検出するものである請求項7又は8に記載のインク供給装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のインク供給装置と、
上記インク供給装置から供給されたインクを吐出して、被記録媒体に画像を記録する記録部と、を具備する画像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−850(P2012−850A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137802(P2010−137802)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】