説明

インク吐出ヘッドの製造方法及びインク吐出ヘッド

【課題】摩擦に対して性能の劣化しにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドの製造方法及びインク吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】板状の基板11と、基板11の一方の面に形成されたヒーター12と、少なくともヒーター12を含み、基板11の一方の面に形成されるインク室を区画するための流路壁14bと、流路壁14bの上に形成され、インクが吐出される吐出孔Aを有するノズル層14aと、ノズル層14aの上面に形成される撥水層15とを備える。撥水層15は、紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む樹脂材料によって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンター等に用いられるインク吐出ヘッドを製造する方法及びインク吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等に用いられる熱源駆動方式のインク吐出ヘッドは、熱源を用いてインクに気泡を発生させ、その気泡の膨張力によりインク液滴を吐出させるものである。インク吐出ヘッドは、インクを吐出するための吐出孔を、ノズル層に有する。ここで、インク等の液体が吐出孔の周辺に付着すると、吐出されるインク液滴の吐出方向にズレが生じ、高精度での印字ができなくなるという問題がある。そこで、特許文献1では、エポキシ樹脂とフルオロカーボン化合物とを含む撥水層が、吐出孔の周辺に形成される。この撥水層によって、吐出孔の周辺へのインクの付着が防止できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3679668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、インク吐出ヘッドのノズル層は、インクの吐出後に、樹脂製のワイパーなどによってその表面を拭われる。これは、吐出後にノズル層に付着したインクが乾燥し、吐出孔の目詰まりなどを起こすことを防止するためである。しかし、ワイパーがノズル層の表面を擦るため、ノズル層の表面に撥水層が形成されている場合、撥水層に負荷がかかる。そのため、撥水層に傷を生じたり、撥水層が剥離したりといった性能の劣化が生じる可能性がある。これらの性能の劣化は、インク吐出ヘッドの寿命を縮めることになるため、問題である。インク吐出ヘッドの長寿命化には、ワイパーなどによる摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層が求められる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決し、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドの製造方法及びインク吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、板状の基板と、前記基板の一方の面に形成された、インクを吐出するためのエネルギーをインクに与えるエネルギー発生素子と、を備える基板を準備する準備工程と、少なくとも前記エネルギー発生素子を含み、前記エネルギー発生素子によって過熱されるインクを収容するインク室を区画する流路壁を、前記一方の面に形成する流路壁形成工程と、前記流路壁の上に、インクが吐出される吐出孔を有するノズル層を形成するノズル層形成工程と、紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む撥水樹脂材料を用いて、前記ノズル層の上面に撥水層を形成する撥水層形成工程と、前記ノズル孔上の領域を避けて、前記撥水層に対して紫外線を照射することで、前記撥水層を硬化する硬化工程と、前記硬化工程の後に、紫外線によって硬化していない前記樹脂材料を可溶な溶媒を用いて、前記撥水層の非硬化領域を除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記撥水層を加熱する加熱処理工程と、を備えることを特徴とするインク吐出ヘッドの製造方法である。
【0007】
これによれば、撥水層がポリアミド樹脂を含む撥水樹脂材料によって構成される。ポリアミド樹脂は、例えば特許文献1などで用いられるエポキシ樹脂などと比較して、弾性率が高い。そのため、ワイパーなどによって擦られても傷が生じにくい、即ち、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層が得られる。
【0008】
さらに、前記ノズル層形成工程の後且つ前記撥水層形成工程の前に、水素結合可能な水素原子を含む極性基を、前記ノズル層の上面に形成する極性基形成工程をさらに備えてもよい。
【0009】
これによれば、水素結合可能な水素原子を含む極性基がノズル層の上面に形成される。撥水層はポリアミド樹脂を含むため、アミド結合の部分に、カルボニル基を有する。そのため、ノズル層の上面に形成された極性基の水素原子と、カルボニル基の酸素原子との間で、水素結合が生じる。その結果、ノズル層と撥水層との接合がより強固となり、摩擦によっても剥離しにくい撥水層が得られる。
【0010】
さらに、前記フルオロカーボンを有する化合物は、紫外線反応基を含んでもよい。
【0011】
これによれば、フルオロカーボンを有する化合物は、紫外線反応基を含む。即ち、フルオロカーボンを有する化合物自体にも、紫外線によって架橋する反応基が結合されている。そのため、撥水膜を紫外線硬化する際に、ポリアミド樹脂とフルオロカーボンを有する化合物との間にも架橋反応が生じる。その結果、ポリアミド樹脂とフルオロカーボンを有する化合物とがより強固に結合され、摩擦によっても撥水性が損なわれにくい撥水層が得られる。
【0012】
さらに、前記撥水樹脂材料は、前記フルオロカーボンを有する化合物を前記ポリアミド樹脂に対して1〜50wt%含んでもよい。
【0013】
ポリアミド樹脂に対するフルオロカーボンを有する化合物の含有量が1wt%未満の場合、撥水層の撥水性が低下する。一方、ポリアミド樹脂に対するフルオロカーボンを有する化合物の含有量が50wt%より大きい場合、弾性率が高いというポリアミド樹脂の分量が少なくなり過ぎるため、撥水層が摩擦に対して弱くなる。そのため、フルオロカーボンを有する化合物の含有量が1〜50wt%である場合、十分な撥水性を備えつつ、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層が得られる。
【0014】
さらに、前記撥水層形成工程は、前記撥水樹脂材料の薄膜が樹脂フィルム上に形成された貼付フィルムを、前記一方の面と前記撥水樹脂材料の薄膜とが接するように、前記一方の面に対して貼り付ける貼付工程と、前記貼付工程の後に、前記貼付フィルムから前記樹脂フィルムを剥離する剥離工程とを有してもよい。
【0015】
これによれば、貼付フィルムを利用して撥水層が形成される。撥水層は吐出孔の形成後に形成されるため、例えばスプレーコートやスピンコートによって撥水層がノズル層の上に塗布される場合だと、インク室の内部に撥水層の構成材料が吐出孔入り込む。その結果、水を含むインクを収容すべきインク室が、撥水性を有する可能性がある。一方、貼付フィルムを利用しての撥水層形成は、撥水層の構成材料がインク室の中に入り込まない。そのため、インク室が撥水性を有することは無い。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の他の側面は、板状の基板と、前記基板の一方の面に形成され、インクを吐出するためのエネルギーをインクに与えるエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を含み、前記基板の一方の面に形成され、前記エネルギー発生素子によって過熱されるインクを収容するインク室を区画する流路壁と、前記流路壁の上に形成され、インクが吐出される吐出孔を有するノズル層と、前記ノズル層の上面に形成され、紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む樹脂材料によって構成される撥水層と、を備えることを特徴とするインク吐出ヘッドである。
【0017】
これによれば、撥水層がポリアミド樹脂を含む撥水樹脂材料によって構成される。そのため、ワイパーなどによって擦られても傷が生じにくい、即ち、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドが得られる。
【0018】
さらに、前記フルオロカーボンを有する化合物は、紫外線反応基を含んでもよい。
【0019】
これによれば、ポリアミド樹脂とフルオロカーボンを有する化合物とが架橋反応によってより強固に結合された、摩擦によっても撥水性が損なわれにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドが得られる。
【0020】
さらに、前記樹脂材料は、前記フルオロカーボンを有する化合物を前記ポリアミド樹脂に対して1〜50wt%含んでもよい。
【0021】
これによれば、十分な撥水性を備えつつ、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドが得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層を有するインク吐出ヘッドの製造方法及びインク吐出ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る、インク吐出ヘッド100を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る、インク吐出ヘッド100を示す断面図。
【図3】第1実施形態に係る、インク吐出ヘッド100の製造方法の説明図。
【図4】第1実施形態に係る、インク吐出ヘッド100の製造方法の説明図(図3の続き)。
【図5】ノズル層14aと撥水層15との間の水素結合を模式的に示す図。
【図6】撥水剤を変化させた場合における、撥水層の概観を説明する図。
【図7】撥水剤の添加量及び撥水層のポストベーク条件を変化させた場合における、撥水性の変化を説明する図。
【図8】第2実施形態に係る、インク吐出ヘッド200を示す断面図。
【図9】第2実施形態に係る、インク吐出ヘッド200の製造方法の説明図。
【図10】第2実施形態に係る、インク吐出ヘッド200の製造方法の説明図(図9の続き)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下に図面を参照しつつ、本発明に係る第1実施形態を示す。まず、図1及び図2を用いて、インク吐出ヘッド100の構成について説明する。
【0025】
[インク吐出ヘッド100の構成]
図1に示されるように、インク吐出ヘッド100は、一方向に整列した複数の吐出孔Aを有する。この吐出孔Aのそれぞれは、個別に設けられたインク室CH(図2参照)にそれぞれ連通する。インク室CH内には、インクを吐出するためのエネルギー発生素子として機能するヒーター12(図2参照)が、それぞれ含まれる。インク吐出ヘッド100の下面からインク室CHへとつながるインク供給口Bによって、インク室CHへとインクが供給される。インク室CHに供給されたインクは、ヒーター12の加熱によりその一部が気泡となる。この気泡によって押し出されたインク室CH内のインクは、吐出孔Aから吐出する。
【0026】
図2は、インク吐出ヘッド100を、複数の吐出孔Aの整列方向と直交する方向に切断した断面(即ち、図1のa―a断面)の図である。インク吐出ヘッド100の層構造は、基板11と、ヒーター12と、インク室壁部14と、撥水層15から主に構成される。基板11には、インク供給口Bが開口する。このインク供給口Bを通って、基板11の下面から、インク室CHにインクが供給される。以下、各層構造について説明する。
【0027】
インク室壁部14は、基板11の一方の面(例えば、上面)に形成される。インク室壁部14は、基板11から上方に立設される流路壁14bと、その流路壁14bの上端から横方向に延出するノズル層14aとで構成される。流路壁14bは、ヒーター12及びインク供給口Bを含み、インク室CHを区画する。なお、流路壁14bは、ヒーター12及びインク供給口Bを全周に渡って囲う様態であっても、一部や一辺が開口した状態で囲う様態であっても、どちらでも差し支えない。ノズル層14aのヒーター12に対向する位置には、吐出孔Aが形成される。なお、ノズル層14a及び流路壁14bは、一体に構成される。
【0028】
撥水層15は、ノズル層14aの上面に形成される。撥水層15は、紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む撥水樹脂材料によって構成される。吐出孔Aの周囲は、撥水層15が形成されない親水部Sとなっている。ここで、フルオロカーボンを有する化合物の含有量は、ポリアミド樹脂に対して1〜50wt%が望ましい。仮に、フルオロカーボンを有する化合物の含有量が1wt%未満の場合、撥水層15の撥水性が低下する。一方、フルオロカーボンを有する化合物の含有量が50wt%より大きい場合、撥水層15が摩擦に対して弱くなる。
【0029】
[インク吐出ヘッド100の製造方法]
以下、図3及び図4を用いて、インク吐出ヘッド100の製造工程を説明する。
【0030】
先ず、図3(A)に示されるように、シリコン製の基板11の上に、ヒーター12が形成される。ヒーター12は、例えば、窒化タンタル(TaN)やタンタル・アルミニウム(TaAl)などの抵抗発熱体を、200〜1000Å程度の厚みになるように、反応性スパッタリング法によってヒーター12の形成位置に堆積することで形成される。なお、本実施形態での図示は省略されるが、ヒーター12の上にチタン/アルミニムからなる配線層や、その配線層の上に酸化クロム/窒化シリコン保護膜などが形成されてもよい。
【0031】
次に、図3(B)に示されるように、インク室CH(図2参照)に対応し、ヒーター12を少なくとも含む位置に、ポジレジスト13が形成される。ポジレジスト13は、例えば、アルコール系やケトン系の有機溶剤や、弱アルカリ水溶液に可溶なレジストなどによって構成される。具体的には、例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のAZP4903や、東京応化工業(株)製のPMERやOFPR−800などが、ポジレジスト13として利用可能である。一例として、AZ4903がスピンコートで基板11上に塗布された後、120℃で5分アニールされる。その後、良好なパターニング性を得るために、基板11が水に20分浸漬される。そして、基板11が2000mJ/cmの強度で露光された後に、弱アルカリ性の水溶液で現像されることで、ポジレジスト13のパターンが形成される。なお、ポジレジスト13の膜厚は、一例として25μm程度である。
【0032】
次に、図3(C)に示されるように、ポジレジスト13を覆うように、ノズル層14a及び流路壁14bを有するインク室壁部14が形成される。ポジレジスト13から左右にはみ出し、ポジレジスト13の横に位置するインク室壁部14の領域は、流路壁14bとなる。即ち、図3(C)に示される工程は、流路壁14bを形成する流路壁形成工程と、ノズル層14aを形成するノズル層形成工程との両方に該当する。ここで、インク室壁部14は、例えば、エポキシ樹脂によって構成される。本実施形態では、例えば、日本化薬(株)の光硬化エポキシ樹脂SU−8などが利用される。この樹脂の溶剤は、例えば、シクロヘキサンなどの有機溶剤である。ポジレジスト13上に塗布されたエポキシ樹脂は、基板11との密着性の向上とエポキシ樹脂中の溶媒を蒸発させるために、加熱される。吐出孔Aの形成は、例えば、フォトリソグラフィーによって行われる。具体的には、ポジレジスト13上に塗布された紫外線硬化性樹脂上の、吐出孔Aに対応する位置にフォトマスクが載置される。その後、紫外線が照射され、吐出孔A以外の位置の紫外線硬化性樹脂が硬化する。そして、有機溶剤にインク吐出ヘッド100が浸される。紫外線硬化性樹脂の硬化した部分は、有機溶剤に対して不溶である。そのため、フォトマスクによって紫外線に晒されていない吐出孔Aに対応する位置の紫外線硬化性樹脂のみが溶解する。これによって、吐出孔Aが形成される。なお、本実施形態では、流路壁14bと基板11とは直接接触する。しかし、流路壁14bと基板11との密着性を向上するために、両者の間にポリイミドなどで構成される密着層が形成されても差し支えない。
【0033】
次に、図3(D)に示されるように、ポジレジスト13が除去される。ポジレジスト13の除去は、インク吐出ヘッド100を、アセトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの有機溶剤に浸すことで行われる。有機溶剤に溶解したポジレジスト13が、吐出孔Aから流出することで、ポジレジスト13が除去される。
【0034】
次に、図3(E)に示されるように、異方性エッチングによって、基板11の一部が除去されることで、基板11を貫通するインク供給口Bが形成される。具体的には、例えば、基板11の下面に、酸化シリコンなどで構成される薄膜が形成される。この薄膜は、四フッ化メタン(CF4)などのガスを用いたドライエッチングや、フッ酸を用いたウェットエッチングによって開口部が形成され、エッチングマスクとなる。そして、水酸化カリウム(KOH)水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液などのアルカリ溶液を用いたウェットエッチングによって、エッチングマスクに形成された開口部から、基板11の上面に向かってエッチングが進む。これにより、インク供給口Bが形成される。
【0035】
次に、図3(F)に示されるように、水素結合可能な水素原子を含む極性基が、ノズル層14aの上面に形成される。この工程は、例えば、水素及び酸素のプラズマを、ノズル層14aの上面に吹き付けることで行われる。これにより、図5に示されるように、ノズル層14aの上面にOH基が形成される。本実施形態の撥水層15は、ポリアミド樹脂を含む。そのため、撥水層15のアミド結合の部分には、カルボニル基が存在する。このカルボニル基を構成する酸素原子が、ノズル層14aの上面に形成されたOH基の水素原子と水素結合する。また、ポリアミド樹脂に含まれる水素原子も同様に、ノズル層14aの上面に形成されたOH基の酸素原子と水素結合する。この水素結合によって、ノズル層14aと撥水層15とは、より強固に接合される。
【0036】
次に、図4(A)に示されるように、ノズル層14a上面に、撥水層15が形成される。本実施形態では、撥水層15を構成する撥水樹脂材料に含まれるポリアミド樹脂として、日立化成(株)製のKI−1000T5WLなどが利用される。KI−1000T5WLは、変性アミド樹脂を22−32wt%、3種類の光架橋剤を22−32wt%、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を45−55wt%、それぞれ含有する。なお、硬化時における引張り弾性率は、2.8GPaである。一方、特許文献1などで利用されるエポキシ樹脂の場合、引張り弾性率はこれよりも低い。例えば、エポキシ樹脂の例として、日本化薬(株)製のSU−8 3000の場合、引っ張り弾性率は2.0Gpaと、ポリアミド樹脂よりも3割程度低い。そのため、本実施形態では、ワイパーなどによって擦られても傷が生じにくい、摩擦に対して性能が劣化しにくい撥水層15が得られる。また、フルオロカーボンを有する化合物としては、例えば、DIC(株)製のメガファックシリーズなどが利用される。これらのフルオロカーボンを有する化合物は、UV反応性基を含有するオリゴマーで構成される、フッ素系界面活性剤である。そのため、撥水層15を紫外線硬化する際に、ポリアミド樹脂との間にも架橋反応が生じる。その結果、ポリアミド樹脂とフルオロカーボンを有する化合物とがより強固に結合され、摩擦によっても撥水性が損なわれにくい撥水層15が得られる。撥水層15の形成は、ポリアミド樹脂とフルオロカーボンを有する化合物とを含む撥水樹脂材料を、スピンコートによってノズル層14aの上面に塗布することで行われる。このとき、吐出孔Aからインク室CHにも撥水樹脂材料が侵入する(ヒーター12上の撥水樹脂材料15a参照)。
【0037】
次に、図4(B)に示されるように、撥水層15の上面から紫外線を露光することにより、撥水層15が硬化する。このとき、吐出孔Aの上部に、マスクMが載置される。これにより、インク室CH内に侵入した撥水樹脂材料15aに対して、紫外線を遮光できる。このとき、マスクMのサイズを、吐出孔Aのサイズよりも大きく設定することで、吐出孔Aの周囲に撥水層15の形成を阻害できる。撥水層15が形成されない吐出孔Aの周囲は、親水部Sとして機能する。親水部Sは吐出孔Aよりも僅かに大きいだけなので、インクの吐出には影響を与えない。
【0038】
最後に、撥水層15が現像される。即ち、インク吐出ヘッド100をPGMEAなどの有機溶剤に浸すことで、硬化していない樹脂混合物が溶解除去される。即ち、紫外線が当たっていない吐出孔A周囲の親水部S及びインク室CH内の撥水樹脂材料15aが除去される。その後で、所定の雰囲気温度下にインク吐出ヘッド100が置かれることにより、撥水層15が加熱(ポストベーク)される。以上により、インク吐出ヘッド100が製造される。
【0039】
[撥水層15の検討]
図6及び図7を用いて、撥水層15に利用するフルオロカーボンを有する化合物の種類と、その添加量及びポストベーク条件に関する考察を説明する。
【0040】
図6は、フルオロカーボンを有する化合物として、DIC(株)製のメガファックシリーズの中で、品番RS−72−K、RS−75、exp−TF1630を利用した場合における、撥水膜15の概観を説明する図である。RS−72−Kは、フルオロカーボンの有効成分に対応する固形物を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解したものであり、有効成分を30wt%含む。RS−75は、フルオロカーボンの有効成分に対応する固形物を、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンとの混合溶媒(MEK/MIBK)に溶解したものであり、有効成分を40wt%含む。exp−TF1630は、フルオロカーボンの有効成分に対応する固形物のみからなるため、PGMEAを溶媒として、有効成分の含有量を50wt%として実験を行った。
【0041】
各フルオロカーボンを有する化合物の、ポリアミド樹脂に対する相溶性を説明する。なお、ポリアミド樹脂としては、前記した日立化成(株)製のKI−1000T5WLが用いられる。相溶性は、先に説明した各フルオロカーボンを有する化合物を、ポリアミド樹脂に対して混合することで確認された。具体的には、各フルオロカーボンを有する化合物が、ポリアミド樹脂に対して、5wt%となるように混合された。RS−72−Kは、ポリアミド樹脂に対して非相溶であった。RS−75は、ポリアミド樹脂に対して相溶であった。exp−TF1630は、ポリアミド樹脂に対して半透明となり、一部が相溶した。
【0042】
各フルオロカーボンを有する化合物とポリアミド樹脂との混合溶液を用いて、撥水膜15を形成した場合の、撥水膜15の概観を説明する。なお、図6の「概観」列に示される写真において、破線で囲った領域は、吐出孔Aである。ポリアミド樹脂に非相溶のRS−72−Kは、ポリアミド樹脂に非相溶な成分が、撥水膜15の表面に細かなブツ(図6の「概観」列における黒点)として確認された。ポリアミド樹脂に相溶のRS−75は、撥水膜15の表面は一様に綺麗であり、ブツは確認できなかった。ポリアミド樹脂に対して一部相溶のexp−TF1630は、一部非相溶として残った成分が、撥水膜15の表面に10−20μm程度の細かなブツとして確認された。
【0043】
全てのフルオロカーボンを有する化合物とポリアミド樹脂との混合溶液において、十分な撥水性は確認されている。そのため、どの混合溶液が用いられても、本発明の目的は達成される。しかし、撥水膜15の表面が綺麗なほうが、ワイパーで擦られる際の摩擦を考えると、望ましい。各フルオロカーボンを有する化合物は、その溶剤の種類において相違する。ポリアミド樹脂は、RS−75の溶剤であるMEK/MIBKに対して相溶である。従って、ポリアミド樹脂に対して相溶性を有する溶剤が、フルオロカーボンを有する化合物の溶剤として利用される場合、フルオロカーボンを有する化合物とポリアミド樹脂とは相溶となり、表面の綺麗な撥水膜15が得られると考えられる。なお、ポリアミド樹脂と同じPGMEAに溶解したexp−TF1630に非相溶のブツが確認されたことは、元のexp−TF1630が固体であったため、PGMEA中に完全に溶解しなかったためと思われる。
【0044】
図7を用いて、フルオロカーボンを有する化合物の、ポリアミド樹脂に対する添加量及びポストベーク条件を変化させて場合における、撥水性の変化を説明する。
【0045】
図7(A)に示されるように、以下の5種類の条件において作成された撥水膜15に対して、撥水性が測定された。なお、フルオロカーボンを有する化合物としては、前述のメガファックRS−75が用いられた。
・条件A:RS−75の添加無し、120℃で30分、150℃で30分、220℃で1時間を順に、計2時間ポストベーク
・条件B:RS−75をKI−1000T5WLに対して5wt%添加、120℃で30分、150℃で30分、220℃で1時間を順に、計2時間ポストベーク
・条件C:RS−75をKI−1000T5WLに対して5wt%添加、120℃で30分ポストベーク
・条件D:RS−75をKI−1000T5WLに対して10wt%添加、120℃で30分、150℃で30分、220℃で1時間を順に、計2時間ポストベーク
・条件E:RS−75をKI−1000T5WLに対して10wt%添加、120℃で30分ポストベーク
なお、条件Aは、フルオロカーボンを有する化合物を含まない、参考例としての撥水膜である。
【0046】
図7(B)は、エチレングリコールを撥水膜15上に滴下し、その接触角を測定した結果を示す図である。図7(C)は、エチレングリコールと純水とを重量比1:1で混合した液体を撥水膜15上に滴下し、その接触角を測定した結果を示す図である。図7(D)は、純水を撥水膜15上に滴下し、その接触角を測定した結果を示す図である。図7(B)〜(D)において、縦軸は、いずれも接触角を示す。図7(B)〜(D)から明らかに、フルオロカーボンを有する化合物を含まない条件Aよりも、フルオロカーボンを有する化合物を含む条件B〜Eの方が、接触角が大きい。また、フルオロカーボンを有する化合物の重量比を比較した場合、5wt%である条件B,Cよりも、10wt%である条件D,Eの方が、接触角が大きい。さらに、フルオロカーボンを有する化合物の重量比が同一の条件において、ポストベーク条件の差を比較した場合、120℃で30分間のポストベークを行った条件C,Eよりも、120℃から徐々に温度を上昇させていった例、具体的には、120℃で30分、150℃で30分、220℃で1時間を順に、計2時間ポストベークを行った条件B,Dの方が、接触角が大きい。これらの傾向は、滴下する液滴(エチレングリコール、純水、それらの混合液)に関らず、同様であった。接触角が大きいほど、滴下された液滴を良く弾く、即ち、撥水性が高い。以上の結果から、フルオロカーボンを有する化合物の混合量は10wt%、ポストベーク条件は、時間と共に温度上昇する方が望ましいことが分かった。
【0047】
<第2実施形態>
図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るインク吐出ヘッド200の構成について説明する。なお、インク吐出ヘッド200の概観は、図1に示されるインク吐出ヘッド100と同じである。インク吐出ヘッド200は、その断面構造と製造工程とにおいて、インク吐出ヘッド100と相違する。
【0048】
[インク吐出ヘッド200の構成]
図8に示されるように、インク吐出ヘッド200の層構造は、基板21と、流路壁23と、ノズル層25と、撥水膜26から主に構成される。インク吐出ヘッド200の断面構造は、流路壁26とノズル層28とが別体に構成される点において、図2に示されるインク吐出ヘッド100の断面構造と相違する。それ以外の構成に関しては、インク吐出ヘッド200とインク吐出ヘッド100とは同様であるため、説明は省略される。
【0049】
[インク吐出ヘッド200の製造方法]
以下、図9及び図10を用いて、インク吐出ヘッド200の製造工程を説明する。
【0050】
図9(A)に示される工程は、前記した実施形態における、図3(A)に示される工程と同一である。そのため、詳細な説明は省略される。
【0051】
次に、図9(B)に示されるように、基板21上のヒーター22を含むように、流路壁26が、基板21の上に形成される。流路壁23は、前記した実施形態と同様に、日本化薬(株)の光硬化エポキシ樹脂SU−8で構成される。なお、流路壁23は、ヒーター22を全周に渡って囲う様態であっても、一部や一辺が開口した状態で囲う様態であっても、どちらでも差し支えない。また、流路壁23の膜厚は、例えば10−30μm程度になるように調整されてよい。
【0052】
次に、図9(C)に示されるように、犠牲層24が形成される。犠牲層24は、流路壁23の上面を覆う領域にも形成される。たとえば、犠牲層24の形成は、流路壁23によって形成された空間に、半硬化樹脂を注入し乾燥させることで行われる。本実施形態では、半硬化樹脂として、東レ(株)のポリイミド材、フォトニースが半硬化状態で使用される。フォトニースは、アルカリ溶液には可溶であるが、有機溶剤には不溶である。流路壁23を構成するエポキシ樹脂は、熱や光によって、犠牲層24が注入される前に、完全に硬化している。流路壁23を構成するエポキシ樹脂は、非硬化時には有機溶剤に可溶であるが、硬化時には有機溶剤に不溶である。そのため、流路壁23と犠牲層24との間で、クロスミキシングは生じない。また、犠牲層24として、ノボラック樹脂が利用されても良い。具体例としては、旭有機材工業(株)製のEP4080G、EP4050GなどをPGMEAなどである。ノボラック樹脂は、キシレンやトルエンなどには溶解性が極めて低いが、アルカリ水溶液やアセトンなどには溶解する。流路壁23を構成するエポキシ樹脂は、完全に硬化しているため、有機溶剤対して不溶となっている。そのため、ノボラック樹脂が利用される場合でも、流路壁23と犠牲層24との間で、クロスミキシングは生じない。
【0053】
次に、図9(D)に示されるように、犠牲層24の上面が平坦になるように、犠牲層24が上面から削除される。ここで、犠牲層24が流路壁23の上に残っていると、隣接するインク室の間が連通する可能性がある。そのため、犠牲層24と流路壁23とが同一平面上に位置するまで、換言すれば、流路壁23の上面が露出するまで、犠牲層24が平坦化されるのが望ましい。このとき、流路壁23の上面も僅かながら削除されてよい。なお、犠牲層24の平坦化は、例えば、研磨、研削、切削などの機械加工によって行われる。あるいは、機械加工による粗平坦化の後で、インク吐出ヘッド200をアルカリ溶液に浸すことで、犠牲層24を上面から溶解させるなどの微細平坦化が行われてもよい。
【0054】
次に、図9(E)に示されるように、流路壁23及び犠牲層24を覆うように、ノズル層25が形成される。ノズル層25には、ヒーター22に対向する位置に、インクを吐出するノズル孔Cが設けられる。ノズル層25は、流路壁23と同様に、日本化薬(株)の光硬化エポキシ樹脂SU−8で構成される。スピンコートやスプレーコートなどによって、エポキシ樹脂が流路壁23及び犠牲層24を覆うように塗布される。そして、流路壁23との密着性をよくするとともにノズル層25に残った溶媒を蒸発させるために、塗布されたエポキシ樹脂が加熱される。このようにして形成したノズル層25にフォトリソグラフィーを行い、吐出孔Cが形成される。吐出孔Cの現像の際にはキシレンやトルエンなど、犠牲層24を溶解しない溶媒が利用される。但し、PGMEAやアセトンやアルカリ水溶液などを利用して、吐出孔C近辺にある犠牲層24の一部まで除去してしまっても差し支えない。
【0055】
次に、図9(F)に示されるように、犠牲層24が除去される。犠牲層24が半硬化ポリイミドで構成される場合、TMAH2.38%のアルカリ水溶液にインク吐出ヘッド200を浸すことで、犠牲層24が除去される。犠牲層24がノボラック樹脂で構成される場合、アセトンやPGMEAなどの有機溶剤にインク吐出ヘッド200浸すことで、有機溶剤に溶解した犠牲層24が吐出孔Cから流出することで、犠牲層24が除去される。
犠牲層24が除去される。
【0056】
次に、図9(G)に示されるように、基板21の下面から上面へと貫通するインク供給口Dが形成される。この工程は、図3(D)に示される工程と同一であるため、詳細な説明は省略される。
【0057】
次に、図10(A)に示されるように、水素結合可能な水素原子を含む極性基が、ノズル層25の上面に形成される。この工程は、図3(F)に示される工程と同一である。そのため、詳細な説明は省略される。
【0058】
次に、図10(B)に示されるように、撥水層26を構成する撥水樹脂材料が樹脂フィルム27上に形成された貼付フィルムが、ノズル層25の上面と撥水層26とが接するようにして、ノズル層25の上面に対して貼り付けられる。ここで、貼付フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリイミドなどの樹脂フィルム27上に、撥水樹脂材料をコートすることで得られる。撥水樹脂材料としては、前記した実施形態と同様に、日立化成(株)製のKI−1000T5WLとDIC(株)製のメガファックシリーズとが混合されたものが利用されてよい。ここで、撥水層26は樹脂フィルム27上に形成されているため、前記した実施形態とは異なり、貼付フィルムがノズル層25にラミネートされる際に、撥水樹脂材料はインク室CH内には侵入しない。そのため、インク室CHが撥水性を有することは無い。
【0059】
次に、図10(C)に示されるように、貼付フィルムから樹脂フィルム27が剥離される。樹脂フィルム27の剥離後、撥水層26の上面から紫外線を露光することにより、撥水層26が硬化する。このとき、吐出孔Cの上部に、マスクMが載置される。これにより、吐出孔Cの上に存在する撥水樹脂材料に対して、紫外線を遮光できる。
【0060】
最後に、図10(D)に示されるように、撥水層26の現像とポストベークとが行われる。この工程は、図4(C)で示される工程と同様である。以上により、インク吐出ヘッド200が製造される。
【0061】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うインク吐出ヘッドの製造方法もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0062】
100,200 インク吐出ヘッド
11,21 基板
12,22 ヒーター
13 ポジレジスト
14 インク室壁部
14b,23 流路壁
14a,25 ノズル層
15,26 撥水層
24 犠牲層
27 樹脂フィルム
A,C 吐出孔
B,D インク供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基板と、前記基板の一方の面に形成された、インクを吐出するためのエネルギーをインクに与えるエネルギー発生素子と、を備える基板を準備する準備工程と、
少なくとも前記エネルギー発生素子を含み、前記エネルギー発生素子によって過熱されるインクを収容するインク室を区画する流路壁を、前記一方の面に形成する流路壁形成工程と、
前記流路壁の上に、インクが吐出される吐出孔を有するノズル層を形成するノズル層形成工程と、
紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む撥水樹脂材料を用いて、前記ノズル層の上面に撥水層を形成する撥水層形成工程と、
前記ノズル孔上の領域を避けて、前記撥水層に対して紫外線を照射することで、前記撥水層を硬化する硬化工程と、
前記硬化工程の後に、紫外線によって硬化していない前記樹脂材料を可溶な溶媒を用いて、前記撥水層の非硬化領域を除去する除去工程と、
前記除去工程の後に、前記撥水層を加熱する加熱処理工程と、
を備えることを特徴とするインク吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記ノズル層形成工程の後且つ前記撥水層形成工程の前に、水素結合可能な水素原子を含む極性基を、前記ノズル層の上面に形成する極性基形成工程をさらに備える、
請求項1に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記フルオロカーボンを有する化合物は、紫外線反応基を含む、
請求項1又は2に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記撥水樹脂材料は、前記フルオロカーボンを有する化合物を前記ポリアミド樹脂に対して1〜50wt%含む、
請求項1〜3の何れか1項に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記撥水層形成工程は、
前記撥水樹脂材料の薄膜が樹脂フィルム上に形成された貼付フィルムを、前記一方の面と前記撥水樹脂材料の薄膜とが接するように、前記一方の面に対して貼り付ける貼付工程と、
前記貼付工程の後に、前記貼付フィルムから前記樹脂フィルムを剥離する剥離工程とを有する、
請求項1〜4の何れか1項に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
板状の基板と、
前記基板の一方の面に形成され、インクを吐出するためのエネルギーをインクに与えるエネルギー発生素子と、
少なくとも前記エネルギー発生素子を含み、前記基板の一方の面に形成され、前記エネルギー発生素子によって過熱されるインクを収容するインク室を区画する流路壁と、
前記流路壁の上に形成され、インクが吐出される吐出孔を有するノズル層と、
前記ノズル層の上面に形成され、紫外線によって硬化可能なポリアミド樹脂と、フルオロカーボンを有する化合物とを少なくとも含む樹脂材料によって構成される撥水層と、
を備えることを特徴とするインク吐出ヘッド。
【請求項7】
前記フルオロカーボンを有する化合物は、紫外線反応基を含む、
請求項6に記載のインク吐出ヘッド。
【請求項8】
前記樹脂材料は、前記フルオロカーボンを有する化合物を前記ポリアミド樹脂に対して1〜50wt%含む、
請求項6又は7に記載のインク吐出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−201069(P2012−201069A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69593(P2011−69593)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】