インク容器
【課題】 インク収納部内の負圧制御を行うべく外気を導入する機構を具えたインク容器にあって、不測の衝撃等によって負圧制御機構が破損したり、負圧制御機構から周囲にインクが漏出したりする不都合を回避する。
【解決手段】 インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して内容積を変化させることが可能な可動部材160を有した当該インク収納部101と、可動部材の移動に伴うインク収納部の内容積を変化を許容するバッファ室120とを具え、負圧制御機構をインク容器内部に設けてこれをバッファ室に接続(140’)し、バッファ室を介して外気を導入するようにする。
【解決手段】 インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して内容積を変化させることが可能な可動部材160を有した当該インク収納部101と、可動部材の移動に伴うインク収納部の内容積を変化を許容するバッファ室120とを具え、負圧制御機構をインク容器内部に設けてこれをバッファ室に接続(140’)し、バッファ室を介して外気を導入するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に使用されるインク容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に適用されるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)へのインクの供給方式には種々のものがある。特にパーソナルユースないしはオフィスユースの比較的小型の記録装置においては、記録ヘッドに対してインク容器が着脱可能に取り付けられ、このインク容器からインクを記録ヘッドに直接供給するようにした構成が採用されることが多い。
【0003】
かかる方式にあって、記録ヘッドに直接的にインクを供給するインク容器には、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生させる負圧制御機構が設けられる。
【0004】
負圧制御機構としては、従来、インクを含浸保持する多孔質体または繊維状部材の集合体からなるインク吸収体をインク容器内に収納し、そのインクの保持力によって適切な負圧を生じさせるものが多かった。しかし最近では、高速記録の要望に対応したインク容量の増加ないしインク収容効率の向上、あるいは記録画像の堅牢性の向上の要望に対応した顔料インクの使用などを考慮して、吸収体を使用せず、インク容器内にインクがそのまま貯留されるようにした構成が採用されることが多くなってきている。この構成に採用される負圧制御機構としては、インク収納空間の一部にばね等により当該収納空間の容積を拡張する方向に付勢された可動部材を用いる一方、インク収納部内のインクが減少するとともに高まる負圧が所定の値まで到達したときに開放する弁機構が設けられる。
【0005】
この弁機構の構造としては、インク容器の外壁にインク収納空間と外気とを連通する微小な間隙を有し、その間隙に発生するインクのメニスカス保持力によってインク収納空間と外気との遮断を行い、インクの使用に伴いインク収納空間内の負圧がメニスカス保持力以上に高まったとき、この間隙に発生していたインクメニスカスを破って外気がインク収納空間に導入されるものが一般的に採用されている。このときの外気が導入されるインク収容空間内の負圧の値は、外壁の間隙におけるインクメニスカス保持力ないしは間隙の寸法によってコントロールすることができる。
【0006】
具体的には、特許文献1および特許文献2には、外部から容器内に連通する開口と、これに取り付けられる球体(ボール)とを具備し、球体と開口とが間隙を形成して外気導入用のオリフィスをなすようにした構成が記載されている。また、これら特許文献では、球体が配置される開口から外気に接する開口までを狭隘な通路(大気導入路)で接続しているが(特に特許文献1では迷路状の複雑な通路となっている)、これらはオリフィスの部分に形成されるインクのメニスカスによる力(液体シール)が液体シールが破られたときに、収容するインクが外部に漏出する不都合を防止するとともに、間隙にメニスカスを形成しているインクの蒸発を抑制するためと考えられる。
【0007】
【特許文献1】特開平7−125241号公報
【特許文献2】米国特許第6,168,267号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されたような構成は、容器内外の気圧差、インクの温度上昇による粘性の低下、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度などに関し、想定を超えるような条件によっては、液体シールが破られたときに上記狭隘な通路(大気導入路)のみではインクを保持できず、周囲環境にインクが漏出する不都合が生じる。また、特許文献1および特許文献2では、インク容器外壁に設けた溝の開放側面を、それぞれ、蓋状の部材ないしはシール部材で密閉することでチャネルを形成しているが、その密閉状態に不備があった場合や、ここに衝撃が加わって破損が生じたような場合、流路自体が大気に曝されてしまい、液体シールが破られたときのインク漏出が生じ易いものとなる。
【0009】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもので、いかなる状況においても空気導入部から液体が漏出することがなく、もって周囲環境のインクによる汚染を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明インク容器は、収納したインクを導出するためのインク導出部を有するインク収納部と、
該インク収納部の少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材と、
一部に大気連通部を有し、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室と、
前記インク収納部からのインクの導出に伴って発生する前記インク収納部内の負圧を制御するための負圧制御機構であって、前記インク収納部内の空間と連通するとともに、外部からの前記インク収納部内への外気の導入を許容し、かつ前記インク収納部から外部へのインクの導出を阻止するための負圧制御機構と、
を具え、該負圧制御機構をインク容器内部に設けて前記バッファ室に接続してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材を有した当該インク収納部と、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室とを具えたインク容器であって、前記インク収納部に収納されたインクを導出するためのインク導出部と、前記バッファ室を外気と連通させる大気連通部との、2つの部位を除いて密閉構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、負圧制御機構を容器内部に設けることで、インク容器を落すなどの予期しない衝撃がインク容器に加わっても、負圧制御機構が破損する恐れを極めて小さくできる。また、負圧制御機構を構成する弁構造はインク収納部の一部を画成する可動部材の外側にあって一部に大気連通部を設けた空気室内に接続され、インク収納部は負圧増大に伴う外気の取り込みを空気室を介して行う。従って、不測の衝撃や過大な環境変化(減圧など)によってインク収納部内のインクが弁構造から流出しても、その流出インクは空気室に一旦貯留されるので、インク容器外部に漏出する恐れも極めて小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態によるインク容器の外観を示す斜視図、図2はその蓋部材を取り除き、内部を露出させた状態で示す模式的斜視図、図3はさらにいくつかの部材を取り外して実施形態の主要部を露出させた状態で示す模式的斜視図である。
【0015】
インク容器1は比較的扁平な略直方体形状を有しており、インク容器側壁100の上縁部であるインク容器蓋用シール面102の全周に蓋10を密着させた状態で配している。側壁100の一部、例えばインク容器1の使用時の姿勢すなわちインクジェット記録装置に装着される際の姿勢において鉛直方向の最低位となる側壁部分には、インク導出部200が突設され、インクジェット記録ヘッドHに結合可能である。インク導出部200は中空円柱状であり、中空部であるインク導出路210はインク容器側壁100に垂直に延在し、その一端が記録ヘッド側のインク導入口に接続されるとともに、他端がインク容器1の内部のインク収納部101に面して開口している。
【0016】
なお、インク容器1はインクジェット記録ヘッドHと分離不能に一体化されるものでもよいし、インクジェット記録ヘッドH(もしくは適宜の流路部材)を介して接続可能とされるものでもよい。その場合には、インク容器1が単体で取り扱われることを考慮して、非接続状態においてインク導出路210を閉塞する手段を設けることができる。そのような手段としては、接続対象であるインクジェット記録ヘッドへの着脱に伴って、インクジェット記録ヘッド側のインク導入部によりインク連通路を開閉する弁体とすることができる。最も単純には、記録ヘッド側のインク導入口を形成する管状部材の挿入を受容するスリットを形成したゴム等の弾性部材をインク導出路210の一端に配し、当該挿入がなされないときにはスリットが閉じることでインク漏出を防止する構成とすることができる。
【0017】
インク収納部101の内側には、第1〜第4の空気室側壁121〜124で囲まれた空気室120(特許請求の範囲におけるバッファ室)があり、空気室120の底面129はインク容器1自体の筐体の一部である底面が兼用されている。また、空気室120の上面には柔軟性のある材料でなるシート部材160が配され、空気室側壁121〜124の上側縁部である第1〜第4のシート部材用シール面125〜128の全周に、ある程度撓んだ状態で熱溶着等により密着させた状態で取り付けられている。シート部材160上には、空気室側壁121〜124の上縁部がなす開口の寸法よりもやや小さい寸法の圧力板180が載置されている。そして、圧力板180と蓋10との間に配置されるばね等の付勢部材170によって、圧力板180およびシート部材160は空気室120の底面129に向けて付勢されている。
【0018】
空気室120の内部空間は、一部の空気室側壁(図示の例では側壁123)からインク一部の容器側壁(図示の例ではインク容器1の使用時の姿勢において鉛直方向の最低位となる側壁部分)までを貫いて延在する大気連通部150によって、外気と直接連通している。すなわち、インク容器1は、空気室120を外気と連通させる大気連通部150と、インク収納部101をインクジェット記録ヘッドとインク連通するインク導出路210との、2つの部位を除いて密閉構造を有しており、外観構成上、これが本実施形態の特徴をなすものである。すなわち、上記従来例の場合には、これらに加えて、インク容器側壁の一部に設けられる負圧制御用の弁構造およびその関連流路を介して、インク収納部が大気連通可能な構成を有するからである。
【0019】
次に、本実施形態の主要部に係る負圧制御機構の構成について説明する。図3は、インク収納部101の容積バッファとして機能する部位であるシート部材160、圧力板付勢部材170および圧力板180を取り除いた状態のインク容器1を示している。
【0020】
空気室120の側壁を形成する第1〜4の空気室側壁121〜124のうち第4の空気室側壁124を肉厚に形成し、インク導出部200ないしインク導出口210のインク容器内端部が対向するようにしている。この空気室側壁124には、インク導出口210の径よりも小径で、かつ内部に行くほど内径を漸減する断面形状略円形の盲管状の穴130がインク導出口210と同軸上に設けられている。そして、この穴130に対して、インク導出口210側から図中矢印A1で示すように球状の栓部材301を圧入する。この栓部材301は、破線で示すようにその全体が穴130内にほぼ収容される程度の寸法とされている。穴130に対しては、圧入部分の横断面を表す図4に示すように、栓部材301を穴130に圧入した状態で所定の間隙を形成する溝131が形成されている。
【0021】
第4の空気室側壁124の上側縁部のシート部材用シール面128には、この穴130の最奥部近傍の位置から空気室120近傍の位置まで比較的複雑な経路(図示の例では蛇行形状)にて延在する溝140が形成されている。そして、この溝140の両端は、接続部141と接続部142とを介して、それぞれ、栓部材301が位置する穴130の奥側の空間と、空気室120とに接続される。
【0022】
従って、シート部材160を第1〜第4のシート部材用シール面125〜128の全周に密着させたとき、その溝140の開放面がシート部材160によって覆われることで、空気室120から栓部材301が位置する穴130の奥側の空間に至る大気導入路140’が形成される。また、栓部材301が位置する穴130の奥側の空間はインク収納部101に対する大気導入室130’をなし、穴130に設けた溝131と栓部材301との間隙がメニスカス保持部131’をなす。
【0023】
なお、メニスカス保持部131’の寸法はインクジェット記録ヘッドのインク吐出口に形成されるメニスカス保持力に応じて決定され、インクジェット記録ヘッドのインク吐出動作、およびこれに付随するインク吐出口(ないしはこれに連通する液路)へのインクのリフィルを妨げることのない値で、かつ、非記録時(吐出動作を行わないとき)において吐出口からインクが漏出しない程度にインク収納部101内の負圧が維持できる値である。
【0024】
空気室120の内部は、上述のように、大気連通口150を介して外気と連通している。一方インク収納室101は、通常インクが内部に収納されているときには、メニスカス保持部131’にインクのメニスカスが形成されているので、外気とは連通状態に無い。
【0025】
次に、本実施形態のインク容器の動作を説明する。
【0026】
図5は図2と同様、蓋10を取り外して示すインク容器1の模式的斜視図、図6はそのVI−VI断面を示している。
【0027】
インク導出部200に接続されるインクジェット記録ヘッドH(図1)からのインク吐出動作等により、インク収納部101内のインク量が減少するに伴って、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が、圧力板付勢部材170の付勢力に抗して空気室120の底面から離れる方向(すなわち空気室内容積を増大する方向)に移動して、インク収納部101の内容積を調整する(すなわちインク収納部内容積を縮小する)。このとき、空気室120は、大気連通口150から外気を取り込み、大気圧を保っている。
【0028】
また、仮に周囲環境が減圧され、インク収納部101の内圧が相対的に高まり、インク収納部101内にインクとともに存在する気泡や、インク中の溶存空気が膨張した場合には、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が圧力板付勢部材170の付勢方向(すなわち空気室内容積を縮小する方向)に移動して、インク収納部101の内圧(負圧)を緩和する。このとき、空気室120は、大気連通口150から外部へ空気を放出し、大気圧を保つ。
【0029】
以上のように、空気室120はインク収納部101の容積バッファとして機能している。
【0030】
次に、図7を用いて本実施形態の主要部に係る負圧制御機構の動作を説明する。この図7は図5のVII−VII断面を示している。
【0031】
インクがインク収納部101内に収納されている場合、インクがメニスカス保持部131’にメニスカスを形成する。従って、インク容器1が単体の場合すなわちインクジェット記録ヘッドに結合していない状態では、上述のようにインク導出口210も不図示の手段によって密閉されているので、インク容器1は密閉状態にある。
【0032】
インクジェット記録ヘッドにインク容器1が装着された状態では、インクジェット記録ヘッドからのインク吐出動作等によりインク収納部101内のインク量が減少するに伴って、密閉状態にあるインク収納部101内の負圧が増加する。当初は、インク収納部101内のインクが減少するに伴って、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が圧力板付勢部材170の付勢力に抗して空気室120の底面から離れる方向に移動してインク収納部101の容積を調整するので、インク収納部101内部の負圧は一定になっている。
【0033】
しかしその後、さらにインク消費が進行すると、圧力板付勢部材170の圧縮量が増加して行き、所定量まで圧縮されるとそれ以上の圧縮が実質的に行えなくなり、インク収納部101の容積調整が行われなくなる。これ以降は、インク消費とともにインク収納部101内部の負圧は増加していく。この負圧が所定の圧力に到達すると、メニスカス保持部131’に形成されているインクのメニスカスが破られ、外部の空気が、大気連通口150、空気室121、大気導入路140’および大気導入室130’を介して、インク収納部101に導入される。この外気の導入によってインク収納部101の負圧が減少する。そして所定の圧力まで到達すると、再びメニスカス保持部131’にメニスカスが形成され、インク収納部101は密閉状態となる。これらのインク消費に伴う負圧の増大、外気の導入および負圧の緩和に伴うインク収納部の最密閉の工程は、インク容器1内のインクがなくなるまで繰り返し行われる。
【0034】
本実施形態に係るインク容器は、従来例のように弁構造および大気導入路からなる負圧制御機構が容器外壁に設けられるのではなく、容器内部に設けられている。すなわち、穴130、溝131および栓部材301によって構成される弁構造と、大気導入路140'とは、インク容器1の内部構造体である空気室側壁124に設けられている。そのため、インク容器1を落すなどの予期しない衝撃がインク容器に加わっても、弁構造ないし流路が破損する恐れが極めて小さい。
【0035】
また、穴130および栓部材131からなる弁構造は、大気導入路140’を介して、インク容器内部に設けた空気室120に接続されており、インク収納部101は負圧増大に伴う外気の取り込みを直接行うのではなく、空気室120を介して行う。従って、不測の衝撃や過大な環境変化(減圧など)によって弁構造のインクメニスカスが破られ、インク収納部内のインクが弁構造から進入し、大気導入路140’を介して流出しても、その流出インクは空気室120に一旦貯留されるので、インク容器外部に漏出する恐れも極めて小さくなる。つまり空気室120は、インク消費時におけるインク収納部101の容積バッファとして機能するだけでなく、外部すなわち周囲環境へのインク漏出を防止するバッファ室としても機能するのである。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明は、インク収納部内を直接外気と連通可能な構造を有するのではなく、インク容器内の通路と、バッファ室すなわちインク収納部の一部を画成する可動部材(シート部材)の外側にあって一部に大気連通部を設けた空気室とを介して外気と連通可能な構造を有することで、不測の衝撃や環境変化によっても外部へのインク漏出が生じないようにしたものであって、各部の配置や構成については適宜のものを採用できる。
【0037】
例えば、上例では、インク容器1の使用時(インクジェット記録ヘッドへの取り付け時)の姿勢において底面となる位置に大気連通部150を設けているが、他の部位に配置してもよいことは勿論である。また、大気連通部を空気室内方に延在する管状部材とすれば、空気室内に流出して貯留されるインクの外部への漏出をより効果的に防止することができる。
【0038】
また、上述のように、メニスカス保持部131’の寸法はインクジェット記録ヘッドのインク吐出口に形成されるメニスカスの好ましい保持力に応じて決定されるものである。従って、この条件が満たされるのであれば、メニスカス保持部131’の形状は図4に示したものに限られず、例えば次のように構成することもできる。
【0039】
図8はメニスカス保持部を構成する部位の他の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、溝131を設けた略円形断面を有する穴とする代わりに、穴130を楕円の断面形状を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに微小な間隙132が構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。
【0040】
図9はメニスカス保持部を構成する部位のさらに他の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、穴130を六角形の形状の断面を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに微小な間隙133が各隅部に構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。なお、この実施形態の変形例として、穴130の断面形状を他の多角形状としてもよい。
【0041】
図10はメニスカス保持部を構成する部位の別の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、穴130を円弧状の曲線部分と直線部分とをもつ断面形状を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに、直線部分と曲線部分とが接する部位に微小な間隙134が構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。なお、この実施形態の変形例として、穴130の断面形状における直線部分を2箇所以上としてもよい。
【0042】
さらに、穴130の形状を適切に定めて間隙が形成されるようにする代わりに、例えば穴130を円形状とする一方、栓部材301を非球状として間隙が形成されるようにすることも可能である。
【0043】
また、上述の第1の実施形態では、負圧制御機構を構成するため弁構造の穴130を、インク導出部200に対向する端面をもつ空気室側壁124に、インク導出口201と同軸に形成した。この構成は、弁構造を形成する際の栓部材301の圧入がインク容器1の外部からでも可能となるため、製造工程上有利である。しかし弁構造は、インク容器1の内部に位置するのであれば、その他の部位、例えば空気室側壁121、122または123に設けられるものでもよい。
【0044】
これは、弁構造と空気室120とを接続する大気導入路140’についても同様である。また、この大気導入路140’について、上例では空気室側壁124の一面に形成した溝と当該面を覆うシート部材160とで形成されるようにしたので、製造工程が簡略で、かつ部品点数削減の観点からも有利であり、また大気導入路140’の好ましい形状を選択する上でも有利である。しかし大気導入路140’を側壁内部を貫通する穴とすることもできるし、別体の管状部材としてもよい。また、大気導入路140’の形状についても、負圧制御を目的とした間隙からのインク漏れと、間隙にメニスカスを形成しているインクの蒸発とを有効に抑制し得るのであれば、上例のような蛇行形状に限られず、直線状、屈曲形状あるいは湾曲形状であってもよいのは勿論である。
【0045】
さらに、上例では、栓部材と穴との間隙に形成されるインクのメニスカスによる力(液体シール)で負圧制御を行う弁構造としたが、圧力差に応じて変位可能な弁体をもつ機械的な一方向弁が設けられるものでもよい。
【0046】
(インクジェット記録装置への適用例)
図11は上述したインク容器を着脱可能なインクジェット記録装置の概略構成例を示すものである。
【0047】
図示のインクジェット記録装置において、キャリッジ500は無端ベルト501に固定され、かつガイドシャフト502に沿って移動可能になっている。無端ベルト501はプーリ503および504に巻回され、プーリ503にはキャリッジ駆動モータ504の駆動軸が連結されている。従って、キャリッジ500は、モータ504の回転駆動に伴いガイドシャフト502に沿って往復方向(A方向)に主走査される。
【0048】
キャリッジ500上には、インクジェットヘッドユニットが搭載されている。ここで、インクジェットヘッドユニットは、インク吐出口列がプリント媒体としての用紙Pと対向し、かつ上記配列方向が主走査方向と異なる方向(例えば用紙Pの搬送方向である副走査方向)に一致するようにキャリッジ500に搭載される。なお、インク吐出口列およびインク容器1の組は、使用するインク色に対応した個数を設けることができ、図示の例では4色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)に対応して4組設けられている。また、図示の装置には、キャリッジの主走査方向上の移動位置を検出するなどの目的でリニアエンコーダ506が設けられている。
【0049】
プリント媒体としての記録紙Pは、キャリッジ500のスキャン方向と直交する矢印B方向に間欠的に搬送される。記録紙Pは搬送方向上流側の一対のローラユニット509および510と、下流側一対のローラユニット511および512とにより支持され、一定の張力を付与されてインク吐出口に対する平坦性を確保した状態で搬送される。
【0050】
以上のような構成によって、キャリッジ500の移動に伴いインクジェットヘッド410の吐出口の配列幅に対応した幅のプリントと用紙Pの搬送とを交互に繰り返しながら、用紙P全体に対するプリントが行われる。
【0051】
なお、キャリッジ500は、プリント開始時またはプリント中に必要に応じてホームポジションで停止する。このホームポジションには、各インクジェットヘッド410の吐出口が設けられた面(吐出口面)をキャッピングするキャップ部材513が設けられ、このキャップ部材513には吐出口から強制的にインクを吸引して吐出口の目詰まり等を防止するための吸引回復手段(不図示)が接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインク容器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の蓋部材を取り除き、内部を露出させた状態でインク容器を示す模式的斜視図である。
【図3】図2からさらにいくつかの部材を取り外し、主要部を露出させた状態でインク容器を示す模式的斜視図である。
【図4】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の一例を示すために、栓部材圧入部分の横断面を表す図である。
【図5】図2と同様、蓋を取り外して示すインク容器の模式的斜視図であり、図6および図7の断面位置を示す図である。
【図6】図5のVI−VI断面を示す模式的断面図である。
【図7】図5のVII−VII断面を示す模式的断面図である。
【図8】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の他の例を示す図である。
【図9】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部のさらに他の例を示す図である。
【図10】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の別の例を示す図である。
【図11】本発明のインク容器を着脱可能なインクジェット記録装置の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インク容器
10 蓋
100 インク容器側壁
101 インク収納部
102 インク容器蓋シール面
120 空気室
121〜124 空気室側壁
125〜128 シート部材用シール面
129 空気室底面
130 穴
130’ 大気導入室
131 溝
131’ メニスカス保持部
140 溝
140’ 大気導入路
141、142 大気導入接続部
150 大気連通部
160 シート部材
170 圧力板付勢部材
180 圧力板
200 インク導出部
210 インク導出口
301 栓部材
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に使用されるインク容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に適用されるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)へのインクの供給方式には種々のものがある。特にパーソナルユースないしはオフィスユースの比較的小型の記録装置においては、記録ヘッドに対してインク容器が着脱可能に取り付けられ、このインク容器からインクを記録ヘッドに直接供給するようにした構成が採用されることが多い。
【0003】
かかる方式にあって、記録ヘッドに直接的にインクを供給するインク容器には、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生させる負圧制御機構が設けられる。
【0004】
負圧制御機構としては、従来、インクを含浸保持する多孔質体または繊維状部材の集合体からなるインク吸収体をインク容器内に収納し、そのインクの保持力によって適切な負圧を生じさせるものが多かった。しかし最近では、高速記録の要望に対応したインク容量の増加ないしインク収容効率の向上、あるいは記録画像の堅牢性の向上の要望に対応した顔料インクの使用などを考慮して、吸収体を使用せず、インク容器内にインクがそのまま貯留されるようにした構成が採用されることが多くなってきている。この構成に採用される負圧制御機構としては、インク収納空間の一部にばね等により当該収納空間の容積を拡張する方向に付勢された可動部材を用いる一方、インク収納部内のインクが減少するとともに高まる負圧が所定の値まで到達したときに開放する弁機構が設けられる。
【0005】
この弁機構の構造としては、インク容器の外壁にインク収納空間と外気とを連通する微小な間隙を有し、その間隙に発生するインクのメニスカス保持力によってインク収納空間と外気との遮断を行い、インクの使用に伴いインク収納空間内の負圧がメニスカス保持力以上に高まったとき、この間隙に発生していたインクメニスカスを破って外気がインク収納空間に導入されるものが一般的に採用されている。このときの外気が導入されるインク収容空間内の負圧の値は、外壁の間隙におけるインクメニスカス保持力ないしは間隙の寸法によってコントロールすることができる。
【0006】
具体的には、特許文献1および特許文献2には、外部から容器内に連通する開口と、これに取り付けられる球体(ボール)とを具備し、球体と開口とが間隙を形成して外気導入用のオリフィスをなすようにした構成が記載されている。また、これら特許文献では、球体が配置される開口から外気に接する開口までを狭隘な通路(大気導入路)で接続しているが(特に特許文献1では迷路状の複雑な通路となっている)、これらはオリフィスの部分に形成されるインクのメニスカスによる力(液体シール)が液体シールが破られたときに、収容するインクが外部に漏出する不都合を防止するとともに、間隙にメニスカスを形成しているインクの蒸発を抑制するためと考えられる。
【0007】
【特許文献1】特開平7−125241号公報
【特許文献2】米国特許第6,168,267号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されたような構成は、容器内外の気圧差、インクの温度上昇による粘性の低下、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度などに関し、想定を超えるような条件によっては、液体シールが破られたときに上記狭隘な通路(大気導入路)のみではインクを保持できず、周囲環境にインクが漏出する不都合が生じる。また、特許文献1および特許文献2では、インク容器外壁に設けた溝の開放側面を、それぞれ、蓋状の部材ないしはシール部材で密閉することでチャネルを形成しているが、その密閉状態に不備があった場合や、ここに衝撃が加わって破損が生じたような場合、流路自体が大気に曝されてしまい、液体シールが破られたときのインク漏出が生じ易いものとなる。
【0009】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもので、いかなる状況においても空気導入部から液体が漏出することがなく、もって周囲環境のインクによる汚染を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明インク容器は、収納したインクを導出するためのインク導出部を有するインク収納部と、
該インク収納部の少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材と、
一部に大気連通部を有し、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室と、
前記インク収納部からのインクの導出に伴って発生する前記インク収納部内の負圧を制御するための負圧制御機構であって、前記インク収納部内の空間と連通するとともに、外部からの前記インク収納部内への外気の導入を許容し、かつ前記インク収納部から外部へのインクの導出を阻止するための負圧制御機構と、
を具え、該負圧制御機構をインク容器内部に設けて前記バッファ室に接続してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材を有した当該インク収納部と、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室とを具えたインク容器であって、前記インク収納部に収納されたインクを導出するためのインク導出部と、前記バッファ室を外気と連通させる大気連通部との、2つの部位を除いて密閉構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、負圧制御機構を容器内部に設けることで、インク容器を落すなどの予期しない衝撃がインク容器に加わっても、負圧制御機構が破損する恐れを極めて小さくできる。また、負圧制御機構を構成する弁構造はインク収納部の一部を画成する可動部材の外側にあって一部に大気連通部を設けた空気室内に接続され、インク収納部は負圧増大に伴う外気の取り込みを空気室を介して行う。従って、不測の衝撃や過大な環境変化(減圧など)によってインク収納部内のインクが弁構造から流出しても、その流出インクは空気室に一旦貯留されるので、インク容器外部に漏出する恐れも極めて小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態によるインク容器の外観を示す斜視図、図2はその蓋部材を取り除き、内部を露出させた状態で示す模式的斜視図、図3はさらにいくつかの部材を取り外して実施形態の主要部を露出させた状態で示す模式的斜視図である。
【0015】
インク容器1は比較的扁平な略直方体形状を有しており、インク容器側壁100の上縁部であるインク容器蓋用シール面102の全周に蓋10を密着させた状態で配している。側壁100の一部、例えばインク容器1の使用時の姿勢すなわちインクジェット記録装置に装着される際の姿勢において鉛直方向の最低位となる側壁部分には、インク導出部200が突設され、インクジェット記録ヘッドHに結合可能である。インク導出部200は中空円柱状であり、中空部であるインク導出路210はインク容器側壁100に垂直に延在し、その一端が記録ヘッド側のインク導入口に接続されるとともに、他端がインク容器1の内部のインク収納部101に面して開口している。
【0016】
なお、インク容器1はインクジェット記録ヘッドHと分離不能に一体化されるものでもよいし、インクジェット記録ヘッドH(もしくは適宜の流路部材)を介して接続可能とされるものでもよい。その場合には、インク容器1が単体で取り扱われることを考慮して、非接続状態においてインク導出路210を閉塞する手段を設けることができる。そのような手段としては、接続対象であるインクジェット記録ヘッドへの着脱に伴って、インクジェット記録ヘッド側のインク導入部によりインク連通路を開閉する弁体とすることができる。最も単純には、記録ヘッド側のインク導入口を形成する管状部材の挿入を受容するスリットを形成したゴム等の弾性部材をインク導出路210の一端に配し、当該挿入がなされないときにはスリットが閉じることでインク漏出を防止する構成とすることができる。
【0017】
インク収納部101の内側には、第1〜第4の空気室側壁121〜124で囲まれた空気室120(特許請求の範囲におけるバッファ室)があり、空気室120の底面129はインク容器1自体の筐体の一部である底面が兼用されている。また、空気室120の上面には柔軟性のある材料でなるシート部材160が配され、空気室側壁121〜124の上側縁部である第1〜第4のシート部材用シール面125〜128の全周に、ある程度撓んだ状態で熱溶着等により密着させた状態で取り付けられている。シート部材160上には、空気室側壁121〜124の上縁部がなす開口の寸法よりもやや小さい寸法の圧力板180が載置されている。そして、圧力板180と蓋10との間に配置されるばね等の付勢部材170によって、圧力板180およびシート部材160は空気室120の底面129に向けて付勢されている。
【0018】
空気室120の内部空間は、一部の空気室側壁(図示の例では側壁123)からインク一部の容器側壁(図示の例ではインク容器1の使用時の姿勢において鉛直方向の最低位となる側壁部分)までを貫いて延在する大気連通部150によって、外気と直接連通している。すなわち、インク容器1は、空気室120を外気と連通させる大気連通部150と、インク収納部101をインクジェット記録ヘッドとインク連通するインク導出路210との、2つの部位を除いて密閉構造を有しており、外観構成上、これが本実施形態の特徴をなすものである。すなわち、上記従来例の場合には、これらに加えて、インク容器側壁の一部に設けられる負圧制御用の弁構造およびその関連流路を介して、インク収納部が大気連通可能な構成を有するからである。
【0019】
次に、本実施形態の主要部に係る負圧制御機構の構成について説明する。図3は、インク収納部101の容積バッファとして機能する部位であるシート部材160、圧力板付勢部材170および圧力板180を取り除いた状態のインク容器1を示している。
【0020】
空気室120の側壁を形成する第1〜4の空気室側壁121〜124のうち第4の空気室側壁124を肉厚に形成し、インク導出部200ないしインク導出口210のインク容器内端部が対向するようにしている。この空気室側壁124には、インク導出口210の径よりも小径で、かつ内部に行くほど内径を漸減する断面形状略円形の盲管状の穴130がインク導出口210と同軸上に設けられている。そして、この穴130に対して、インク導出口210側から図中矢印A1で示すように球状の栓部材301を圧入する。この栓部材301は、破線で示すようにその全体が穴130内にほぼ収容される程度の寸法とされている。穴130に対しては、圧入部分の横断面を表す図4に示すように、栓部材301を穴130に圧入した状態で所定の間隙を形成する溝131が形成されている。
【0021】
第4の空気室側壁124の上側縁部のシート部材用シール面128には、この穴130の最奥部近傍の位置から空気室120近傍の位置まで比較的複雑な経路(図示の例では蛇行形状)にて延在する溝140が形成されている。そして、この溝140の両端は、接続部141と接続部142とを介して、それぞれ、栓部材301が位置する穴130の奥側の空間と、空気室120とに接続される。
【0022】
従って、シート部材160を第1〜第4のシート部材用シール面125〜128の全周に密着させたとき、その溝140の開放面がシート部材160によって覆われることで、空気室120から栓部材301が位置する穴130の奥側の空間に至る大気導入路140’が形成される。また、栓部材301が位置する穴130の奥側の空間はインク収納部101に対する大気導入室130’をなし、穴130に設けた溝131と栓部材301との間隙がメニスカス保持部131’をなす。
【0023】
なお、メニスカス保持部131’の寸法はインクジェット記録ヘッドのインク吐出口に形成されるメニスカス保持力に応じて決定され、インクジェット記録ヘッドのインク吐出動作、およびこれに付随するインク吐出口(ないしはこれに連通する液路)へのインクのリフィルを妨げることのない値で、かつ、非記録時(吐出動作を行わないとき)において吐出口からインクが漏出しない程度にインク収納部101内の負圧が維持できる値である。
【0024】
空気室120の内部は、上述のように、大気連通口150を介して外気と連通している。一方インク収納室101は、通常インクが内部に収納されているときには、メニスカス保持部131’にインクのメニスカスが形成されているので、外気とは連通状態に無い。
【0025】
次に、本実施形態のインク容器の動作を説明する。
【0026】
図5は図2と同様、蓋10を取り外して示すインク容器1の模式的斜視図、図6はそのVI−VI断面を示している。
【0027】
インク導出部200に接続されるインクジェット記録ヘッドH(図1)からのインク吐出動作等により、インク収納部101内のインク量が減少するに伴って、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が、圧力板付勢部材170の付勢力に抗して空気室120の底面から離れる方向(すなわち空気室内容積を増大する方向)に移動して、インク収納部101の内容積を調整する(すなわちインク収納部内容積を縮小する)。このとき、空気室120は、大気連通口150から外気を取り込み、大気圧を保っている。
【0028】
また、仮に周囲環境が減圧され、インク収納部101の内圧が相対的に高まり、インク収納部101内にインクとともに存在する気泡や、インク中の溶存空気が膨張した場合には、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が圧力板付勢部材170の付勢方向(すなわち空気室内容積を縮小する方向)に移動して、インク収納部101の内圧(負圧)を緩和する。このとき、空気室120は、大気連通口150から外部へ空気を放出し、大気圧を保つ。
【0029】
以上のように、空気室120はインク収納部101の容積バッファとして機能している。
【0030】
次に、図7を用いて本実施形態の主要部に係る負圧制御機構の動作を説明する。この図7は図5のVII−VII断面を示している。
【0031】
インクがインク収納部101内に収納されている場合、インクがメニスカス保持部131’にメニスカスを形成する。従って、インク容器1が単体の場合すなわちインクジェット記録ヘッドに結合していない状態では、上述のようにインク導出口210も不図示の手段によって密閉されているので、インク容器1は密閉状態にある。
【0032】
インクジェット記録ヘッドにインク容器1が装着された状態では、インクジェット記録ヘッドからのインク吐出動作等によりインク収納部101内のインク量が減少するに伴って、密閉状態にあるインク収納部101内の負圧が増加する。当初は、インク収納部101内のインクが減少するに伴って、圧力板180およびシート部材160の撓み代分が圧力板付勢部材170の付勢力に抗して空気室120の底面から離れる方向に移動してインク収納部101の容積を調整するので、インク収納部101内部の負圧は一定になっている。
【0033】
しかしその後、さらにインク消費が進行すると、圧力板付勢部材170の圧縮量が増加して行き、所定量まで圧縮されるとそれ以上の圧縮が実質的に行えなくなり、インク収納部101の容積調整が行われなくなる。これ以降は、インク消費とともにインク収納部101内部の負圧は増加していく。この負圧が所定の圧力に到達すると、メニスカス保持部131’に形成されているインクのメニスカスが破られ、外部の空気が、大気連通口150、空気室121、大気導入路140’および大気導入室130’を介して、インク収納部101に導入される。この外気の導入によってインク収納部101の負圧が減少する。そして所定の圧力まで到達すると、再びメニスカス保持部131’にメニスカスが形成され、インク収納部101は密閉状態となる。これらのインク消費に伴う負圧の増大、外気の導入および負圧の緩和に伴うインク収納部の最密閉の工程は、インク容器1内のインクがなくなるまで繰り返し行われる。
【0034】
本実施形態に係るインク容器は、従来例のように弁構造および大気導入路からなる負圧制御機構が容器外壁に設けられるのではなく、容器内部に設けられている。すなわち、穴130、溝131および栓部材301によって構成される弁構造と、大気導入路140'とは、インク容器1の内部構造体である空気室側壁124に設けられている。そのため、インク容器1を落すなどの予期しない衝撃がインク容器に加わっても、弁構造ないし流路が破損する恐れが極めて小さい。
【0035】
また、穴130および栓部材131からなる弁構造は、大気導入路140’を介して、インク容器内部に設けた空気室120に接続されており、インク収納部101は負圧増大に伴う外気の取り込みを直接行うのではなく、空気室120を介して行う。従って、不測の衝撃や過大な環境変化(減圧など)によって弁構造のインクメニスカスが破られ、インク収納部内のインクが弁構造から進入し、大気導入路140’を介して流出しても、その流出インクは空気室120に一旦貯留されるので、インク容器外部に漏出する恐れも極めて小さくなる。つまり空気室120は、インク消費時におけるインク収納部101の容積バッファとして機能するだけでなく、外部すなわち周囲環境へのインク漏出を防止するバッファ室としても機能するのである。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明は、インク収納部内を直接外気と連通可能な構造を有するのではなく、インク容器内の通路と、バッファ室すなわちインク収納部の一部を画成する可動部材(シート部材)の外側にあって一部に大気連通部を設けた空気室とを介して外気と連通可能な構造を有することで、不測の衝撃や環境変化によっても外部へのインク漏出が生じないようにしたものであって、各部の配置や構成については適宜のものを採用できる。
【0037】
例えば、上例では、インク容器1の使用時(インクジェット記録ヘッドへの取り付け時)の姿勢において底面となる位置に大気連通部150を設けているが、他の部位に配置してもよいことは勿論である。また、大気連通部を空気室内方に延在する管状部材とすれば、空気室内に流出して貯留されるインクの外部への漏出をより効果的に防止することができる。
【0038】
また、上述のように、メニスカス保持部131’の寸法はインクジェット記録ヘッドのインク吐出口に形成されるメニスカスの好ましい保持力に応じて決定されるものである。従って、この条件が満たされるのであれば、メニスカス保持部131’の形状は図4に示したものに限られず、例えば次のように構成することもできる。
【0039】
図8はメニスカス保持部を構成する部位の他の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、溝131を設けた略円形断面を有する穴とする代わりに、穴130を楕円の断面形状を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに微小な間隙132が構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。
【0040】
図9はメニスカス保持部を構成する部位のさらに他の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、穴130を六角形の形状の断面を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに微小な間隙133が各隅部に構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。なお、この実施形態の変形例として、穴130の断面形状を他の多角形状としてもよい。
【0041】
図10はメニスカス保持部を構成する部位の別の実施形態を示す栓部材圧入部分の横断面図である。この例は、穴130を円弧状の曲線部分と直線部分とをもつ断面形状を有するものとし、球状である栓部材301が圧入されたときに、直線部分と曲線部分とが接する部位に微小な間隙134が構成されるようにして、メニスカスを保持するものである。なお、この実施形態の変形例として、穴130の断面形状における直線部分を2箇所以上としてもよい。
【0042】
さらに、穴130の形状を適切に定めて間隙が形成されるようにする代わりに、例えば穴130を円形状とする一方、栓部材301を非球状として間隙が形成されるようにすることも可能である。
【0043】
また、上述の第1の実施形態では、負圧制御機構を構成するため弁構造の穴130を、インク導出部200に対向する端面をもつ空気室側壁124に、インク導出口201と同軸に形成した。この構成は、弁構造を形成する際の栓部材301の圧入がインク容器1の外部からでも可能となるため、製造工程上有利である。しかし弁構造は、インク容器1の内部に位置するのであれば、その他の部位、例えば空気室側壁121、122または123に設けられるものでもよい。
【0044】
これは、弁構造と空気室120とを接続する大気導入路140’についても同様である。また、この大気導入路140’について、上例では空気室側壁124の一面に形成した溝と当該面を覆うシート部材160とで形成されるようにしたので、製造工程が簡略で、かつ部品点数削減の観点からも有利であり、また大気導入路140’の好ましい形状を選択する上でも有利である。しかし大気導入路140’を側壁内部を貫通する穴とすることもできるし、別体の管状部材としてもよい。また、大気導入路140’の形状についても、負圧制御を目的とした間隙からのインク漏れと、間隙にメニスカスを形成しているインクの蒸発とを有効に抑制し得るのであれば、上例のような蛇行形状に限られず、直線状、屈曲形状あるいは湾曲形状であってもよいのは勿論である。
【0045】
さらに、上例では、栓部材と穴との間隙に形成されるインクのメニスカスによる力(液体シール)で負圧制御を行う弁構造としたが、圧力差に応じて変位可能な弁体をもつ機械的な一方向弁が設けられるものでもよい。
【0046】
(インクジェット記録装置への適用例)
図11は上述したインク容器を着脱可能なインクジェット記録装置の概略構成例を示すものである。
【0047】
図示のインクジェット記録装置において、キャリッジ500は無端ベルト501に固定され、かつガイドシャフト502に沿って移動可能になっている。無端ベルト501はプーリ503および504に巻回され、プーリ503にはキャリッジ駆動モータ504の駆動軸が連結されている。従って、キャリッジ500は、モータ504の回転駆動に伴いガイドシャフト502に沿って往復方向(A方向)に主走査される。
【0048】
キャリッジ500上には、インクジェットヘッドユニットが搭載されている。ここで、インクジェットヘッドユニットは、インク吐出口列がプリント媒体としての用紙Pと対向し、かつ上記配列方向が主走査方向と異なる方向(例えば用紙Pの搬送方向である副走査方向)に一致するようにキャリッジ500に搭載される。なお、インク吐出口列およびインク容器1の組は、使用するインク色に対応した個数を設けることができ、図示の例では4色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)に対応して4組設けられている。また、図示の装置には、キャリッジの主走査方向上の移動位置を検出するなどの目的でリニアエンコーダ506が設けられている。
【0049】
プリント媒体としての記録紙Pは、キャリッジ500のスキャン方向と直交する矢印B方向に間欠的に搬送される。記録紙Pは搬送方向上流側の一対のローラユニット509および510と、下流側一対のローラユニット511および512とにより支持され、一定の張力を付与されてインク吐出口に対する平坦性を確保した状態で搬送される。
【0050】
以上のような構成によって、キャリッジ500の移動に伴いインクジェットヘッド410の吐出口の配列幅に対応した幅のプリントと用紙Pの搬送とを交互に繰り返しながら、用紙P全体に対するプリントが行われる。
【0051】
なお、キャリッジ500は、プリント開始時またはプリント中に必要に応じてホームポジションで停止する。このホームポジションには、各インクジェットヘッド410の吐出口が設けられた面(吐出口面)をキャッピングするキャップ部材513が設けられ、このキャップ部材513には吐出口から強制的にインクを吸引して吐出口の目詰まり等を防止するための吸引回復手段(不図示)が接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインク容器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の蓋部材を取り除き、内部を露出させた状態でインク容器を示す模式的斜視図である。
【図3】図2からさらにいくつかの部材を取り外し、主要部を露出させた状態でインク容器を示す模式的斜視図である。
【図4】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の一例を示すために、栓部材圧入部分の横断面を表す図である。
【図5】図2と同様、蓋を取り外して示すインク容器の模式的斜視図であり、図6および図7の断面位置を示す図である。
【図6】図5のVI−VI断面を示す模式的断面図である。
【図7】図5のVII−VII断面を示す模式的断面図である。
【図8】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の他の例を示す図である。
【図9】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部のさらに他の例を示す図である。
【図10】インク容器に適用可能な負圧制御用の弁構造を構成するメニスカス保持部の別の例を示す図である。
【図11】本発明のインク容器を着脱可能なインクジェット記録装置の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インク容器
10 蓋
100 インク容器側壁
101 インク収納部
102 インク容器蓋シール面
120 空気室
121〜124 空気室側壁
125〜128 シート部材用シール面
129 空気室底面
130 穴
130’ 大気導入室
131 溝
131’ メニスカス保持部
140 溝
140’ 大気導入路
141、142 大気導入接続部
150 大気連通部
160 シート部材
170 圧力板付勢部材
180 圧力板
200 インク導出部
210 インク導出口
301 栓部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納したインクを導出するためのインク導出部を有するインク収納部と、
該インク収納部の少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材と、
一部に大気連通部を有し、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室と、
前記インク収納部からのインクの導出に伴って発生する前記インク収納部内の負圧を制御するための負圧制御機構であって、前記インク収納部内の空間と連通するとともに、外部からの前記インク収納部内への外気の導入を許容し、かつ前記インク収納部から外部へのインクの導出を阻止するための負圧制御機構と、
を具え、該負圧制御機構をインク容器内部に設けて前記バッファ室に接続してなることを特徴とするインク容器。
【請求項2】
前記負圧制御機構は、前記インク容器の内部構造体に設けられた盲管状の穴と、該穴に嵌合された栓部材と、前記穴に設けられ、嵌合された前記栓部材との間でインクのメニスカスを形成するための所定の間隙を形成する部分とを有する弁構造、および、前記穴の奥部から前記バッファ室を接続するべく前記内部構造体に設けられた大気導入路を含むことを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項3】
前記バッファ室は前記インク収納部内に配置されており、前記バッファ室は、周囲を囲繞する側壁と、前記インク容器の筐体が兼用される面と、該面に対向する面に配されて前記可動部材をなす柔軟なシート部材であって、その周縁部が前記側壁によって密着する当該シート部材とにより形成され、前記内部構造体を一部の前記側壁としたことを特徴とする請求項2に記載のインク容器。
【請求項4】
前記大気導入路は、前記シート部材が密着する前記一部の側壁の面に設けられた溝と、前記密着するシート部材とによって形成されることを特徴とする請求項3に記載のインク容器。
【請求項5】
前記弁構造が設けられる前記内部構造体としての前記一部の側壁は、前記インク導出部に対向する端面を有する側壁であり、該側壁に前記穴が前記インク導出部と同軸に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインク容器。
【請求項6】
前記穴の開口面積は前記インク導出部の開口面積より小であることを特徴とする請求項5に記載のインク容器。
【請求項7】
前記負圧制御機構は、前記インク容器の内部構造体に設けられた盲管状の穴と、該穴に嵌合された栓部材と、前記穴に設けられ、嵌合された前記栓部材との間でインクのメニスカスを形成するための所定の間隙を形成する部分とを有する弁構造、および、前記穴の奥部から前記バッファ室を接続するべく前記内部構造体に設けられた大気導入路を含むことを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項8】
インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材を有した当該インク収納部と、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室とを具えたインク容器であって、前記インク収納部に収納されたインクを導出するためのインク導出部と、前記バッファ室を外気と連通させる大気連通部との、2つの部位を除いて密閉構造を有することを特徴とするインク容器。
【請求項9】
インクジェット記録ヘッドに向けて導出すべきインクを収納してなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のインク容器。
【請求項1】
収納したインクを導出するためのインク導出部を有するインク収納部と、
該インク収納部の少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材と、
一部に大気連通部を有し、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室と、
前記インク収納部からのインクの導出に伴って発生する前記インク収納部内の負圧を制御するための負圧制御機構であって、前記インク収納部内の空間と連通するとともに、外部からの前記インク収納部内への外気の導入を許容し、かつ前記インク収納部から外部へのインクの導出を阻止するための負圧制御機構と、
を具え、該負圧制御機構をインク容器内部に設けて前記バッファ室に接続してなることを特徴とするインク容器。
【請求項2】
前記負圧制御機構は、前記インク容器の内部構造体に設けられた盲管状の穴と、該穴に嵌合された栓部材と、前記穴に設けられ、嵌合された前記栓部材との間でインクのメニスカスを形成するための所定の間隙を形成する部分とを有する弁構造、および、前記穴の奥部から前記バッファ室を接続するべく前記内部構造体に設けられた大気導入路を含むことを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項3】
前記バッファ室は前記インク収納部内に配置されており、前記バッファ室は、周囲を囲繞する側壁と、前記インク容器の筐体が兼用される面と、該面に対向する面に配されて前記可動部材をなす柔軟なシート部材であって、その周縁部が前記側壁によって密着する当該シート部材とにより形成され、前記内部構造体を一部の前記側壁としたことを特徴とする請求項2に記載のインク容器。
【請求項4】
前記大気導入路は、前記シート部材が密着する前記一部の側壁の面に設けられた溝と、前記密着するシート部材とによって形成されることを特徴とする請求項3に記載のインク容器。
【請求項5】
前記弁構造が設けられる前記内部構造体としての前記一部の側壁は、前記インク導出部に対向する端面を有する側壁であり、該側壁に前記穴が前記インク導出部と同軸に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインク容器。
【請求項6】
前記穴の開口面積は前記インク導出部の開口面積より小であることを特徴とする請求項5に記載のインク容器。
【請求項7】
前記負圧制御機構は、前記インク容器の内部構造体に設けられた盲管状の穴と、該穴に嵌合された栓部材と、前記穴に設けられ、嵌合された前記栓部材との間でインクのメニスカスを形成するための所定の間隙を形成する部分とを有する弁構造、および、前記穴の奥部から前記バッファ室を接続するべく前記内部構造体に設けられた大気導入路を含むことを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項8】
インクをそのまま収納するためのインク収納部であって、その少なくとも一部を画成して前記インク収納部の内容積を変化させることが可能な可動部材を有した当該インク収納部と、前記可動部材の移動に伴う前記インク収納部の内容積の変化を許容するバッファ室とを具えたインク容器であって、前記インク収納部に収納されたインクを導出するためのインク導出部と、前記バッファ室を外気と連通させる大気連通部との、2つの部位を除いて密閉構造を有することを特徴とするインク容器。
【請求項9】
インクジェット記録ヘッドに向けて導出すべきインクを収納してなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のインク容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−110959(P2006−110959A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303459(P2004−303459)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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