インク容器

【課題】インク室内の圧力が大気圧より低くされた場合でも、インク室内に十分なインク収容量を確保することができるインク容器を提供すること。
【解決手段】インク容器20のインク室100に、アーム70が設けられている。アーム70は軸77で揺動可能に軸支される。軸77の一端は、フレーム50に形成された軸受リブ77の軸受け67に嵌入されている。インク室100には、支持ブロック170が配設されている。支持ブロック170には軸受け183が形成されており、該軸受け173が軸77の他端に嵌め入れられることにより、支持ブロック170がフレーム50に固定される。支持ブロック170には複数のリブ174〜177が設けられている。これらリブ174〜177は、インク室100側に撓もうとするフィルム65に当接してフィルム65を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを収容するためのインク容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェット方式の記録装置(以下「記録装置」と称する。)が知られている。この記録装置には、インクカートリッジが着脱可能に設けられる(特許文献1参照)。インクカートリッジは、記録装置へ供給されるインクを収容するものであり、その内部には、インクが収容されるインク室が設けられている。この種のインクカートリッジにおいては、上記インク室が、インクカートリッジのフレーム部と、フレーム部110の両面に溶着されるフィルムとにより区画されたものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−262564号公報
【特許文献2】特開2007−144808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インク室内における脱気度を高めてインク室における気泡の発生を防止するべく、従来から、インク室にインクが注入された状態でインク室内の圧力を大気圧よりも低くすることが知られている。しかしながら、特許文献2に記載の従来のインクカートリッジにおいてインク室内の圧力を大気圧未満にすると、フィルムがインク室内側に撓む。フィルムが内部側に撓むと、インク室でインクを収容可能な容量が小さくなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インク室内の圧力が大気圧より低くされた場合でも、インク室内に十分なインク収容量を確保することができるインク容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明のインク容器は、少なくとも一方の側面が開放されたフレームと、上記フレームの開放された側面を覆うとともに上記フレームとの間でインク室を区画するフィルムと、上記フレームの内壁に設けられ、上記インク室内で所定方向へ動作する可動部材と、上記可動部材の可動範囲を確保した状態で上記フィルムを支持する支持部材とを具備する。
【0007】
このように構成されているため、インク室内の空気が吸引されてインク室内の圧力が大気圧よりも低くされた場合に、フィルムがインク室内側に撓もうとしても、フィルムの内面側が支持部材に当接して支持される。そのため、フィルムの撓みが軽減される。
【0008】
(2) 上記支持部材は、上記フレームに装着された状態で少なくとも一方の側面に沿って配置される板部材と、上記板部材から上記フレームの両側面へ向けて延出された少なくとも2つのリブとを有する。上記可動部材は、上記2つのリブ間に配置された状態で動作可能に設けられている。
【0009】
(3) 複数の上記リブが、上記フレームで囲まれた空間に配置されている。
【0010】
可動部材は、フレームで囲まれた空間に配置される。この空間に複数のリブが配置されることで、上記空間の略全域においてフィルムを支持することができる。これにより、上記空間の略全域におけるフィルムの撓みを軽減することができる。
【0011】
(4) 上記リブは、少なくとも上記可動部材の最大幅より大きい寸法に形成されている。
【0012】
これにより、インク室内の圧力が大気圧よりも低くされた場合でも、フィルムが可動部材に接触しない。
【0013】
(5) また、上記リブは、上記フレームの両側面間の距離に相当する寸法に形成されたものであってもよい。
【0014】
これにより、インク室内の圧力が大気圧よりも低くされた場合でも、フィルムが上記フレームの両側面に略一致された状態で支持される。
【0015】
(6) 上記支持部材は、上記フレームの内壁に着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0016】
(7) 上記フィルムは、多層の合成樹脂フィルムで形成され、上記インク室側の層は上記フレームと同じ材質で構成されている。
【0017】
(8) 上記フレームは、その内部空間が上記インク室と連続する中空であって透光性を有する透光領域を有する。上記可動部材は、上記インク室で揺動可能に設けられたアーム部材であって、その第1端が上記透光領域内で姿勢変化するものである。
【0018】
(9) 上記可動部材は、上記インク室内のインク量に応じて変位する浮力体を上記第1端とは反対側の第2端に有するものである。
【0019】
(10) 上記フレームは、上記可動部材を上記所定方向へ動作可能に支持する支持軸の一端を受ける第1受け部を有する。上記支持部材は、上記フレームに装着された状態で上記支持軸の他端を受ける第2受け部を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インク室内の圧力が大気圧より低くされた場合でも、インク室内に十分なインク収容量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
図1は、インクカートリッジ10の外観形状を示す斜視図であり、(A)には、挿入方向30の前方側から見た斜視図が示されており、(B)には、挿入方向30の後方側から見た斜視図が示されている。図2は、インクカートリッジ10の分解斜視図である。図3は、インクカートリッジ10の側面図である。なお、図3(B)には、インク容器20が破線で示されている。
【0023】
インクカートリッジ10は、インクジェット方式のプリンタなどに代表される記録装置に装着されて使用される。詳細については省略するが、インクカートリッジ10は、記録装置が備えるカートリッジ収容部に着脱可能に構成されており、上記カートリッジ収容部に対して、図1に示される状態で矢印30の方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入されて装着される。インクカートリッジ10が装着されると、インクカートリッジ10に収容されたインクが記録装置の記録ヘッドへ供給可能となる。
【0024】
図1に示されるように、インクカートリッジ10は、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ10は、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が上記幅方向よりも長い略直方体形状に形成されている。
【0025】
図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ10は、大別して、インク容器20(本発明のインク容器の一例)と、ハウジング26と、スライダ27と、コイルバネ23,24とを備えている。インクカートリッジ10の外装はハウジング26及びスライダ27で構成されている。
【0026】
ハウジング26は、インク容器20を保護するものである。このハウジング26によって、インク容器20の前面41(挿入方向30の前方側の面)を除く略全体が覆われている。ハウジング26は、インク容器20を2方向(図2の左右方向)から挟み込む第1カバー21及び第2カバー22から構成されている。図2に示されるように、第1カバー21は、インク容器20の右側面46(挿入方向30の前方側から見て右側の面)に取り付けられている。具体的には、第1カバー21の内面に設けられた複数の係合爪12がインク容器20に形成された係合溝13に嵌め入れられることによって、第1カバー21がインク容器20に取り付けられる。これにより、第1カバー21によってインク容器20の右側面46が覆われる。一方、第2カバー22は、インク容器20の左側面45(挿入方向30の前方側から見て左側の面)に、第1カバー21と同様の取付方法で取り付けられている。これにより、第2カバー22によってインク容器20の左側面45が覆われる。なお、これらのカバー21,22は、インク容器20を構成するフレーム50や大気連通バルブ80、インク供給バルブ90などと干渉しない形状に形成されている。
【0027】
スライダ27は、インク容器20が具備する大気連通バルブ80やインク供給バルブ90などを保護するものである。なお、大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90については、インク容器20とともに後段で詳述する。スライダ27は、インク容器20との間にコイルバネ23,24を介在させた状態でインク容器20に着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、インク容器20の前面41の上部に穿設されたバネ受け23Aにコイルバネ23が装着され、前面41の下部に穿設されたバネ受け24Aにコイルバネ24が装着されており、バネ受け23Aの上部及びバネ受け24Aの下部それぞれに設けられた係合爪15,16が、スライダ27に形成された係合溝17,18それぞれに嵌め入れられる。これにより、ハウジング26の前方部(挿入方向30の前方側の部位)28がスライダ27で覆われる。
【0028】
本実施形態では、スライダ27は、ハウジング26の前方部28に沿って奥行き方向(長手方向、矢印33の方向)にスライドするように設けられている。図3(A)には、スライダ27がインク容器20の前面41に最も近づいた第2位置にある状態が示されており、図1及び図3(B)には、スライダ27がインク容器20の前面41から離れた第1位置にある状態が示されている。スライダ27が第2位置にある状態では、大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90がスライダ27から外部へ露出される。一方、スライダ27が第1位置にある状態では、大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90がスライダ27内に配置される。なお、スライダ27のスライド機構は本発明に直接関係しないため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0029】
次に、図4から図9を参照して、本発明の一実施形態に係るインク容器20について詳細に説明する。ここに、図4は、インク容器20の拡大斜視図である。図5は、インク容器20の内部構造を示す側面図である。図6は、インク容器20の分解斜視図である。図7は、アーム70の外観形状を示す斜視図である。図8は、支持ブロック170の外観形状を示す斜視図である。図9は、支持ブロック170の四面図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には左側面図が示されており、(C)には右側面図が示されており、(D)には平面図が示されている。なお、図5では、フィルム65が省略されている。
【0030】
図4に示されるように、インク容器20は、インクカートリッジ10と概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。インクカートリッジ10が記録装置のカートリッジ収容部(不図示)に装着されると、インク容器20は、スライダ27が第2位置にある状態で上記カートリッジ収容部に収められる。なお、本実施形態では、図4から図6に示されるように、インク容器20において、挿入方向30の前方側の面を前面41、挿入方向30の後方側の面を後面42、鉛直上方側の面を上面43、鉛直下方側の面を下面44とする。また、前面41、後面42、上面43、下面44それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を左側面45及び右側面46とする。ここで、前面41から見て左側が左側面45であり、右側が右側面46である。本実施形態では、一対の左側面45及び右側面46がインク容器20において最大面積となっている。
【0031】
インク容器20は、大別して、フレーム50(本発明のフレームの一例)と、アーム70(本発明の可動部材の一例、アーム部材に相当)と、支持ブロック170(本発明の支持部材の一例)と、保護部材150と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、フィルム65(図6参照、本発明のフィルムの一例)とにより構成されている。
【0032】
フレーム50は、インク容器20の筐体を構成する部材であり、インク容器20の六面41〜46を形成する。したがって、インク容器20の六面41〜46は、フレーム50の六面に一致する。以下において、インク容器20の各面に付された符号を用いてフレーム50の各面を示す。
【0033】
フレーム50は、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されており、例えば、樹脂材料を射出成形することにより得られる。本実施形態では、フレーム50は、ポリプロピレンで形成されている。なお、樹脂材料として、ポリアセタールやナイロンなどを採用することも可能である。
【0034】
図4に示されるように、フレーム50は、外周壁51と、複数の内壁52とを備える。内壁52は、外周壁51の内側に配設されている。外周壁51及び内壁52は、フレーム50として一体に形成されている。外周壁51及び内壁52は、インク容器20の左側面45から右側面46に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面41、上面43、後面42、下面44に概ね沿って環状に配設されている。これにより、フレーム50の左側面45及び右側面46それぞれに開口57が形成される。つまり、フレーム50の左側面45及び右側面46は、それぞれ、開放されている。
【0035】
図6に示されるように、フレーム50の左側面45及び右側面46それぞれに、透明な樹脂で構成された薄肉状のフィルム65が周知の熱溶着法によって溶着されている。具体的には、外周壁51の幅方向31の両端部にフィルム65が溶着される。これにより、フィルム65によって開口57が閉塞されて、外周壁51とフィルム65とによって囲まれた空間がインク室100として区画される。このように区画されたインク室100にインクが収容される。なお、フレーム50に代えて、例えば、一方の側面だけが開放された器状のフレームを用いることも可能である。この場合、上記器状のフレームにおいて開放された側の面がフィルム65で溶着されることにより、インク室100が区画される。
【0036】
内壁52は、外周壁51で囲まれた領域内に配設されている。フレーム50には、インク室100の上部空間を幅方向31の中央で仕切り分ける仕切り板53が外周壁51と一体に設けられている。内壁52は、外周壁51或いは仕切り板53に一体に設けられている。この内壁52の幅方向31の両端部にもフィルム65が溶着されている。これにより、フィルム65の撓みを抑制することができる。また、第1カバー21及び第2カバー22がインク容器20側に変形したとしても、内壁52によって第1カバー21及び第2カバー22の変形が規制される。これにより、インク容器20やフィルム65の破損が軽減される。なお、インク室100の下部、つまり、仕切り板53の下方の空間102(図6参照)は、後述するアーム70及び支持ブロック170が配置されるため、幅方向31に渡って仕切り分けられておらず、左側面45から右側面46へ貫通している。
【0037】
フィルム65は、合成樹脂製の複数のフィルムが積層されて構成されており、多層構造を有する。具体的には、フィルム65は、ポリプロピレンからなる第1シートと、ナイロンからなる第2シートと、ポリエチレンテレフタラートからなる第3シートとが、インク室100側から外方向へ順次積層された3層構造を有する。つまり、インク室100側の第1シートは、フレーム50と同じ材質(ポリプロピレン)で構成されている。なお、本実施形態では、合成樹脂製のフィルム65を用いることとしたが、例えば、金属箔を合成樹脂製のフィルムで挟みようにして構成された薄肉状のフィルムを用いることも可能である。もちろん、合成樹脂以外の素材(パルプ、金属、天然樹脂など)で構成されたフィルムを用いてもかまわない。
【0038】
外周壁51の幅方向(矢印31の方向)の中心に軸受リブ74(図6参照)が立設されている。図6に示されるように、軸受リブ74は、前面41及び下面44で形成されるコーナー付近の外周壁51に設けられている。軸受リブ74は、外周壁51における右側面46側の端部に立設されている。軸受リブ74の左側面45側の面に、円孔状の軸受け67(本発明の第1受け部の一例)が形成されている。図6に示されるように、この軸受け67に、円柱状の軸77が嵌め入れられ、更に、軸77にアーム70の軸孔78が挿通される。なお、軸77の他端は、後述するように、支持ブロック170側で支持される。
【0039】
図4及び図5に示されるように、フレーム50の後面42にインク注入部105が形成されている。インク注入部105は、後面42からインク室100側に穿設された円孔である。インク注入部105は、後面42の下端付近においてフレーム50と一体に形成されている。インク注入部105は、インク室100に連通している。インク注入部105を通じてインクがインク室100へ注入される。インクの注入手法としては、インク室100における脱気度を高めてインク室100における気泡の発生を防止するべく、減圧注入法(真空注入法とも呼ばれている)が採用される。具体的には、インク室100にインクを注入する前にインク室100内の空気を吸引排気してインク室100内の圧力を真空に近い圧力まで減圧し、その後、内外の圧力差を利用してインクをインク室100内に注入する。インクの注入後は、インク室100内の圧力は、大気圧よりも若干低い圧力に維持される。上記減圧注入法でインクをインク室100に注入する場合、インク室100が大気圧より低い圧力に常に維持されるため、内外の圧力差によってフィルム65がインク室100側に撓もうとする。しかしながら、本実施形態では、支持ブロック170が設けられているため、この撓みは軽減される。なお、支持ブロック170及びその作用効果については後段で詳述する。
【0040】
フレーム50の前面41には、検知窓140(本発明の透光領域の一例)が形成されている。検知窓140は、インク室100に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知窓140は、フレーム50と一体に形成されている。したがって、検知窓140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知窓140は、外部からの光を透過することができる。なお、検知窓140には、記録装置に取り付けられたフォトインタラプタなどの光センサによって光が照射される。光センサは発光素子と受光素子とを有する。本実施形態では、発光素子から出射された光が側壁140Bに照射され、側壁140Bを透過した検出光が上記受光素子によって受光される。
【0041】
検知窓140は、インク容器20の前面41の中段付近からインク容器20の外側(図5の右向き)へ向かって突設されてる。この検知窓140は、図示されるように、略矩形状の5つの壁面で区画され、内部が中空状の略箱状に形成されている。具体的には、検知窓140は、前面41に平行で、前面41から外向きに所定距離だけ離間した矩形状の前壁140Aと、この前壁140Aの幅方向の二辺を含む一対の側壁140Bと、前壁140Aの上辺を含む上壁140Cと、前壁140Aの下辺を含む下壁140Dとにより区画されている。なお、前壁140Aの幅(幅方向31の寸法)は、前面41の幅よりも小さく形成されている。
【0042】
検知窓140の上部に大気連通バルブ80が設けられている。大気連通バルブ80は、フレーム50の前面41の上部に穿設された大気連通用の貫通孔81(図6参照)を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。この大気連通バルブ80は、主として、バルブ本体87、バネ86、シール部材83、キャップ85などの部材で構成されている。大気連通バルブ80は、常時は、貫通孔81を閉塞しており、インクカートリッジ10が記録装置に装着されると、大気連通バルブ80が作動して、貫通孔81が開放される。これにより、インク室100内の空気層が大気圧と同圧になる。なお、本実施形態では、貫通孔81を閉塞する機構として大気連通バルブ80を用いることとしたが、大気連通バルブ80に代えて、貫通孔81をビニール製の粘着テープやフィルムなどで閉塞する簡素な閉塞手段を用いることも可能である。
【0043】
検知窓140の下方にインク供給バルブ90が設けられている。インク供給バルブ90は、フレーム50の前面41の下部に穿設されたインク供給用の貫通孔91を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。このインク供給バルブ90は、主として、バルブ本体97、バネ96、バネ受け94、シール部材93、キャップ95などの部材で構成されている。インク供給バルブ90は、常時は、貫通孔91を液密に閉塞しており、インクカートリッジ10が記録装置に装着されると、図示しないインクニードルによってインク供給バルブ90が作動して、貫通孔91が開放される。これにより、インク室100内のインクを上記インクニードルを通じて記録装置側へ供給することが可能となる。
【0044】
図5に示されるように、検知窓140の内部には、前壁140A、側壁140B、上壁140C及び下壁140Dによって囲まれた空間142が形成される。検知窓140のインク室100側には壁は設けられておらず、空間142がインク室100へ連続して通じている。この空間142に対して、後述するアーム70のインジケータ部72が進入或いは離間する。図5には、空間142内の所定位置にインジケータ部72が進入した第1姿勢が実線で示されている。
【0045】
以下、図5から図7を参照しながら、アーム70の構成について詳細に説明する。
【0046】
アーム70は、インク室100に収容されたインクの液量を検知するための部材である。アーム70の一方端(第1端)に、空間142に対して進入し或いは空間142から離間するインジケータ部72が設けられている。また、アーム70の他方端(第2端)にフロート部73(本発明の浮力体の一例)が設けられている。
【0047】
アーム70は、その略中心部に軸孔78が形成されている。この軸孔78に軸77が挿通される。軸77はアーム70を回動自在に支持するためのものであり、その一端は、軸受リブ74に形成された軸受け67(図6参照)に支持され、その他端は支持ブロック170に支持される。アーム70が軸77で軸支されることによって、インク室100内において矢印35(図5参照)の方向へ揺動可能に支持される。なお、本実施形態では、軸77が別部材として構成されているものとしたが、軸77がアーム70に一体に形成されていてもかまわない。
【0048】
フロート部73は、例えば、内部が中空状に形成されており、インクなどの液体に対して浮力を有する浮力体の役割を担っている。したがって、フロート部73は、インク量が所定量以下になると上方に変位する。これにより、フロート部73の変位に応じてアーム70が回動する。本実施形態では、インク中において、軸孔78からフロート部73に至る第2部位76が浮き上がるようにフロート部73が形成されている。なお、フロート部73を中空形状とせず、フロート部73自体をインクの比重よりも小さい比重の素材で形成してもよい。
【0049】
インジケータ部72は、インク室100内のインクの残量を指し示すためのものである。アーム70が図5において時計方向へ回動されると、インジケータ部72が検知窓140の空間142に進入する。空間142に進入したインジケータ部72は、検知窓140の下壁140Dの内面に当接して、それ以上の回動が阻止される。これにより、アーム70が第1姿勢となる。一方、アーム70が図5において反時計方向へ回動されると、インジケータ部72が下壁140Dの内面から離間する第2姿勢に変化する。アーム70は、第2姿勢において、インジケータ部72が下壁140Dの内面から所定距離だけ隔てた位置で静止する。
【0050】
本実施形態では、アーム70は、軸孔78からフロート部73に至る第2部位76が軸孔78からインジケータ部72に至る第1部位75よりも重量が大きくなるように形成されている。したがって、空気中においては、第2部位76が第1部位75よりも重い。そのため、インク室100にインクが入っていない状態では、アーム70は、軸77を中心にして、図5において反時計方向へ回動する。これにより、インジケータ部72が検知窓140の空間142から離間する。つまり、インジケータ部72が空間142から離間していることは、インク室100にインクが入っていないことを意味する。なお、フロート部73の下端がインク室100の底面に当接すると、アーム70の回動が停止して、アーム70が第2姿勢に維持される。
【0051】
一方、インク室100に所定量以上のインクが貯留されている状態、言い換えれば、フロート部73がインク液中にある状態では、フロート部73に浮力が発生する。この浮力によって、第1部位75と第2部位76との重量の均衡が逆転する。すなわち、インク中では、フロート部73の重力方向に働く力はインジケータ部72の重量方向に働く力よりも小さくなる。したがって、アーム70は、軸77を中心にして、図5において時計方向へ回動する。このとき、インジケータ部72は検知窓140の空間142に進入して、インジケータ部72の下端が下壁140Dの内面に当接した第1姿勢で保持される。つまり、インジケータ部72が空間142に進入していることは、インク室100に所定量以上のインクが貯留されていることを意味する。
【0052】
上述のようにアーム70が動作するため、空間142におけるインジケータ部72の位置を検知窓140の外部から目視で確認し、或いは、フォトインタラプタなどの光センサで監視することで、インク室100内のインクの液量が一定量以上あるかどうかを検知することができる。言い換えれば、インジケータ部72の動きによって、インク室100内のインクの量が目視或いは光センサなどにより外部から判別できる。なお、本実施形態においては回動するアーム70によってインクの液量の判別を行うこととしたが、例えば、アーム70に代えて、インクの液面に追従して移動する浮力体を用いてもよい。このような浮力体の位置に基づいてインクの液量の判別を行ってもよい。
【0053】
図5に示されるように、アーム70の周囲に保護部材150が取り付けられている。保護部材150は、例えばワイヤーや針金などの線状鋼材を屈曲成形することにより製作される。この保護部材150は、U字状に屈曲されたU字部150Aを有する。保護部材150は、図6に示されるように、フレーム50に形成された掛け部131にU字部150Aが引っ掛けられ、軸受リブ74に形成された孔(不図示)及び支持ブロック170に形成された孔183に保護部材150の端部150Bが挿入されることによって、フレーム50に対して固定される。
【0054】
以下、図6、図8及び図9を参照しながら、支持ブロック170の構成について詳細に説明する。なお、図8には、説明の便宜のため、外周壁51の一部及び保護部材150が破線で示されている。
【0055】
支持ブロック170は、軸77を支持するとともに、インク室100側に撓むフィルム65を支持するための支持部材である。この支持ブロック170は、インク室100の下部、言い換えれば、仕切り板53の下方において幅方向31に貫通する空間102(図6参照)に配置される。本実施形態では、支持ブロック170は、図6に示されるように、フレーム50に対して着脱可能に構成されている。
【0056】
図8に示されるように、支持ブロック170は、プレート171(本発明の板部材の一例)と、複数のリブ174〜177(本発明のリブの一例)とを有する。プレート171及びリブ174〜177は、フレーム50と同じ材質で一体に形成されている。
【0057】
リブ174及びリブ175は、プレート171の第1面172に垂直に立設されている。リブ174,175は、略L字状に形成されている。リブ174及びリブ175は、プレート171の上端187付近に配置されている。本実施形態では、リブ174とリブ175とは、所定間隔だけ隔てられて配置されている。これにより、リブ174とリブ175との間に、プレート171とリブ174とリブ175とによって囲まれた平面視で略C字状の開口179が形成される。本実施形態では、この開口179にアーム70の第1部位75が挿通される。したがって、アーム70は、開口179の範囲内で揺動可能(動作可能)となる。つまり、空間102に支持ブロック170が設けられた状態であっても、アーム70の動作が確保される。
【0058】
支持ブロック170は、リブ175から略水平方向へ延出された支持部189を有する。この支持部189は、リブ175の略中央部からリブ174とは反対の方向へ延出されている。支持部189に、リブ176及びリブ177が設けられている。リブ176とリブ177とは、所定間隔だけ隔てられている。したがって、リブ174〜177は、空間102(図6参照)において、分散して配置されている。
【0059】
リブ176及びリブ177は、リブ174,175と略同形状の略L字状に形成されている。本実施形態では、リブ176,177は、支持部189を中心にしてリブ174,175と同方向へ均等長さとなるように延出されている。
【0060】
リブ174〜177の幅W2は、仮にインク容器20においてフィルム65がインク室100側に撓んだ場合でも、フィルム65がアーム70に接触しないサイズに形成されている。詳細には、リブ174,175の幅W2(図9参照)は、アーム70において最も幅寸法の大きいフロート部73の幅W1(図7参照)よりも大きい寸法に形成されている。更に詳細には、リブ174,175の幅W2は、プレート171の幅と略同じ寸法に形成されている。
【0061】
図9(B)に示されるように、プレート172の第1面172の下部には、溝182が形成されている。溝182は、横向き略三角形状に形成されている。溝182の頂部181には、孔183が形成されている。このような溝182が形成されているため、支持ブロック170が空間102に配設された状態で、保護部材150の端部150Bが溝182に沿って頂部181へ向けて押し込まれると、端部150Bが頂部181へ案内されて、孔183に挿入される。これにより、保護部材150の端部150Bを孔183に挿入する作業が容易となる。
【0062】
プレート172の第2面173には、軸77の一端が嵌め入れられる軸受け185(本発明の第2受け部の一例)が形成されている。軸受リブ74の軸受け67に一端が固定された軸77にアーム70の軸孔78が挿通された状態で、図6に示されるように、軸受け185と軸77の他端とが合わさるように第2面173側から支持ブロック170が軸受リブ74に対して嵌め合わされると、軸受け185が軸77の他端に嵌め入れられる。これにより、アーム70が揺動可能に支持されるとともに、支持ブロック170をプレート50に取り付けることが可能となる。このとき、アーム70の第1部位75(図7参照)が開口179に挿通される。なお、プレート50に支持ブロック170が取り付けられた状態で、リブ174〜177は、左側面45及び右側面46に対して垂直に配置される。
【0063】
上述したように、本実施形態では、インク室100の空間102に支持ブロック170が配設されているため、減圧注入法によってインク室100内にインクを注入する際に、内外の圧力差によってフィルム65がインク室100内側に撓もうとしても、フィルム65の内側面が支持ブロック170にリブ174〜177に当接して支持される。そのため、フィルム65の撓みなどの変形が軽減される。これにより、インク室100内において十分なインク収容量を確保することが可能となる。また、インク室100内においてフィルム64及びフレーム50で囲まれるインク流路がフィルム65で狭められることもない。そのため、インク流路におけるインクの流通性が悪化することがなくなる。
【0064】
また、支持ブロック170の開口179に干渉することなくアーム70の第1部位75が挿通される。これにより、アーム70は、開口179の範囲に限って揺動することが可能となる。つまり、支持ブロック170を空間102に配設したにもかかわらず、アーム70の揺動範囲を確保することができる。
【0065】
また、リブ174〜177が空間102において分散して配置されているため、空間102の全域において均等にフィルム65の撓みを軽減することができる。
【0066】
また、リブ174〜177の幅W2が、アー部70のフロート部73の幅W1よりも大きい寸法に形成されているため、インク室100内の圧力が減圧された場合でも、フィルム65がアーム70に接触することがない。
【0067】
また、本実施形態では、まず、軸77の一端を軸受リブ74の軸受け67に嵌め入れて固定し、そして、軸77にアーム70を挿通した上で、支持ブロック170をフレーム50等に取り付ける。これによって、アーム70及び軸77を確実に支持することができる。また、フレーム50へのアーム70及び軸77の取り付けが容易となる。
【0068】
なお、上述した実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインクカートリッジ10の外観形状を示す斜視図であり、(A)には、挿入方向30の前方側から見た斜視図が示されており、(B)には、挿入方向30の後方側から見た斜視図が示されている。
【図2】図2は、インクカートリッジ10が分解された状態を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、インクカートリッジ10の側面図である。
【図4】図4は、インク容器20の拡大斜視図である。
【図5】図5は、インク容器20の内部構造を示す側面図である。
【図6】図6は、インク容器20の分解斜視図である。
【図7】図7は、アーム70の外観形状を示す斜視図である。
【図8】図8は、支持ブロック170の外観形状を示す斜視図である。
【図9】図9は、支持ブロック170の四面図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には左側面図が示されており、(C)には右側面図が示されており、(D)には平面図が示されている。
【符号の説明】
【0070】
10・・・インクカートリッジ
20・・・インク容器
50・・・フレーム
67・・・軸受け
70・・・アーム
73・・・フロート部
100・・・インク室
140・・・検出窓
150・・・保護部材
170・・・支持ブロック
171・・・プレート
174〜177・・・リブ
185・・・軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の側面が開放されたフレームと、
上記フレームの開放された側面を覆うとともに上記フレームとの間でインク室を区画するフィルムと、
上記フレームの内壁に設けられ、上記インク室内で所定方向へ動作する可動部材と、
上記可動部材の可動範囲を確保した状態で上記フィルムを支持する支持部材と、を具備するインク容器。
【請求項2】
上記支持部材は、
上記フレームに装着された状態で少なくとも一方の側面に沿って配置される板部材と、
上記板部材から上記フレームの両側面へ向けて延出された少なくとも2つのリブとを有し、
上記可動部材は、上記2つのリブ間に配置された状態で動作可能に設けられている請求項1に記載のインク容器。
【請求項3】
複数の上記リブが、上記フレームで囲まれた空間に配置されている請求項2に記載のインク容器。
【請求項4】
上記リブは、少なくとも上記可動部材の最大幅より大きい寸法に形成されている請求項2又は3に記載のインク容器。
【請求項5】
上記リブは、上記フレームの両側面間の距離に相当する寸法に形成されている請求項2から4のいずれかに記載のインク容器。
【請求項6】
上記支持部材は、上記フレームの内壁に着脱可能に構成されている請求項1から5のいずれかに記載のインク容器。
【請求項7】
上記フィルムは、多層の合成樹脂フィルムで形成され、上記インク室側の層は上記フレームと同じ材質で構成されている請求項1から6のいずれかに記載のインク容器。
【請求項8】
上記フレームは、その内部空間が上記インク室と連続する中空であって透光性を有する透光領域を有し、
上記可動部材は、上記インク室で揺動可能に設けられたアーム部材であって、その第1端が上記透光領域内で姿勢変化するものである請求項1から7いずれかに記載のインク容器。
【請求項9】
上記可動部材は、上記インク室内のインク量に応じて変位する浮力体を上記第1端とは反対側の第2端に有する請求項8に記載のインク容器。
【請求項10】
上記フレームは、上記可動部材を上記所定方向へ動作可能に支持する支持軸の一端を受ける第1受け部を有し、
上記支持部材は、上記フレームに装着された状態で上記支持軸の他端を受ける第2受け部を有する請求項1から9のいずれかに記載のインク容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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