説明

インク組成物、これを用いて製造したカラーフィルタ、およびこれを含む表示素子

【課題】優れた微細顔料分散によるコントラスト比の向上および揮発性の低下による初期ジェッティング性の向上を果たすことができるインク組成物、これを用いて製造したカラーフィルタ、およびこれを含む表示素子を提供する。
【解決手段】本発明は、a)バインダーポリマー、b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、c)熱重合開始剤または光重合開始剤、d)I)沸点が180℃以上である
溶媒、II)水酸基を有する溶媒およびIII)沸点が180℃未満である溶媒、およびe)顔料を含むインク組成物、これを用いて製造したカラーフィルタ、およびこれを含む表示素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細顔料分散によるコントラスト比の向上と揮発性の低下による初期ジェッティング性の向上を果たすことができるインク組成物、これを用いて製造したカラーフィルタ、およびこれを含む表示素子に関する。
本出願は、2008年5月16日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2008−0045723号の出願日の利益を主張し、その内容すべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的な液晶ディスプレイはバックライトから出た光が下部偏光板を通過しながら偏光され、前記偏光された光が液晶層とカラーフィルタ層、そして再び上部偏光板を介して出る過程で液晶によって透過率が調節されて映像を実現する装置である。液晶ディスプレイにおいて良い画質を得るためには、偏光板によって偏光された光の偏光特性を低下させないことが重要である。特に、カラーフィルタ層に含まれた顔料粒子の大きさが大きい場合、多重散乱(multiple scattering)によって偏光された光が散るようになり(depolarization)、液晶ディスプレイのコントラストを低下させる。したがって、カラーフィルタの製作に用いられる顔料粒子の大きさを小さくすることが高画質を実現するのに必須である。しかし、顔料の大きさが小さくなると表面積が増加して分散し難くなる。
【0003】
当業界では、一般的に微細顔料の分散に、PGMEA (propylene glycol methyl ether acetate)、EEP(ethyl ethoxy propionate)、MPA(methoxy propanol)、BPA(butoxy propanol)などの溶媒を多く用いる。しかし、前記溶媒は、沸点が180℃以下で低く、揮発性が比較的に大きいため、インクジェット工程に直ちに用いる場合に初期ジェッティング性が低下する問題がある。
【0004】
初期ジェッティング性とは、インクジェットヘッドを数秒〜数分間休止した後、再びインクをジェッティングする時のインクのジェッティング性(または吐出性)を意味する。すなわち、初期ジェッティング性に優れるということは、ヘッドを数秒〜数分間休止した後にも、インクドロップ(drop)の位置不安定、吐出不安定、未吐出などがなく、安定して吐出されることを意味する。インクジェット工程によってカラーフィルタを量産する時、ガラス(glass)基板の取り替えやアライン(align)などの理由により、ヘッドを数秒〜数分間休止した後に再びジェッティングする場合があり、この時、初期ジェッティング性が不安定であれば、前側のピクセルにインクが満たされなかったり、間違った所にインクが落ちて混色が発生したりする問題が生じる。このような現象を防止するためには初期ジェッティング性が安定したインクを用いなければならない。
【0005】
初期ジェッティング性の問題はインクの揮発性が大きいために現れる現象である。インクをジェッティング(または吐出)してから、それを止めれば、ノズル端部からインクの溶媒成分が揮発し、これにより、局部的に粘度増加が起こるようになる。このような状態で以前の条件と同様にジェッティングをすると、インクが数mm区間くらい吐出されないか、吐出位置の不安定などの問題が発生する。しかし、このような現象は吐出時間を持続的に維持すれば無くなる。このような現象を防止するためにはインクの揮発性を減らさなければならない。
【0006】
日本特開平11−202114号公報(特許文献1)には、揮発性を減らすために、湿潤剤としてグリセリン(glycerin)、ジエチレングリコール(diethyleneglycol)またはエチレングリコール(ethylene glycol)のうちの1種以上を含有するカラーフィルタ用インクが開示されている。しかし、湿潤剤を用いる場合、完全乾燥が難しいという問題があり、顔料の分散安定性の問題によりその使用が制約的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−202114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、優れた微細顔料分散によるコントラスト比の向上および揮発性の低下による初期ジェッティング性の向上を果たすことができるインク組成物、これを用いて製造したカラーフィルタ、およびこれを含む表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、a)バインダーポリマー、b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、c)熱重合開始剤または光重合開始剤、d)I)沸点が180℃以上である溶媒、II
)水酸基を有する溶媒およびIII)沸点が180℃未満である溶媒、およびe)顔料を含むインク組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、ブラックマトリクスパターンによって形成した遮光部および前記インク組成物を用いて形成したインク層によって充填された画素部を含むカラーフィルタを提供する。
また、本発明は前記カラーフィルタを含む表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るインク組成物は、優れた微細顔料分散によるコントラスト比の向上および揮発性の低下による初期ジェッティング性の向上を果たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のインク組成物は、a)バインダーポリマー、b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、c)熱重合開始剤または光重合開始剤、d)I)沸点が180℃以上で
ある溶媒、II)水酸基を有する溶媒およびIII)沸点が180℃未満である溶媒、およびe)顔料を含むことを特徴とする。
【0013】
前記a)バインダーポリマーとしてはバインダーの役割を果たすことができるものであれば特に限定されず、当業界に知られた通常のモノマー(monomer)のホモ重合体または2種以上のモノマーを共重合して製造した共重合体(copolymer)を用いることができる。
【0014】
前記モノマーの非制限的な例としては、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸またはこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
前記a)バインダーポリマーの重量平均分子量は1,000〜50,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,000未満である場合には製造されたカラーフィルタインク膜の強度が低下し得るし、重量平均分子量が50,000を超過する場合にはインクの粘度が高くなってジェッティング性が悪くなるか不可能となり得る。
【0016】
前記a)バインダーポリマーの含量はインク組成物の総重量に対し1〜20重量%であることが好ましい。前記バインダーポリマーの含量が1重量%未満である場合には所望の膜強度を得ることができず、耐化学性(または耐薬品性)が顕著に悪くなり得るし、20重量%を超過する場合にはインク組成物の粘度が高くなってジェッティング性が顕著に悪くなり、所望のカラーを得ることができない。
【0017】
前記b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、分子中に少なくとも1つ以上の付加重合可能な不飽和基を有する化合物を用いることができる。
前記b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の非制限的な例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択された1種以上であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0018】
前記b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物はインク組成物の総重量に対し1〜20重量%であることが好ましい。前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の含量が1重量%未満である場合には不充分な架橋結合により耐化学性および膜強度が低下し得るし、20重量%を超過する場合には他のインク組成物の量が減ってカラーフィルタ膜のカラーおよび分散性、接着性などの特性が低下し得る。
【0019】
前記c)熱重合開始剤の具体的な例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、V−40、VA−086、VA−085、VF096、Vam−110、Vam−111(以上、Wako pure chemicals ind.)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートおよび1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンからなる群から選択された単独または2種以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0020】
また、前記c)光重合開始剤の具体的な例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、または2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物;2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、または2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどのビイミダゾール系化合物;3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル−3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、2−エポキシエチル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、3−{クロロ−4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3,−ブタジエニル−s−トリアジン、または2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;および日本チバ社のCGI−242、CGI−124などのオキシム系化合物からなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0021】
前記c)熱重合開始剤または光重合開始剤はインク組成物の総重量に対し0.1〜5重量%であることが好ましい。前記熱重合開始剤または光重合開始剤の含量が0.1重量%未満である場合には、十分なラジカルが生成されず、カラーインク膜の硬化度が減少し得、それによって膜強度と耐化学性が低下し得る。また、含量が5重量%を超過する場合には、過量の開始剤により、粘度増加およびヒューム(fume)が発生し得る。
【0022】
本発明においては、溶媒として前記d)I)沸点が180℃以上である溶媒、II)水
酸基を有する溶媒、およびIII)沸点が180℃未満である溶媒を用いることにより、インクジェット方法に用いる時、微細顔料分散によるコントラスト比の向上と揮発性の低下による初期ジェッティング性の向上を果たすことができる。
【0023】
前記I)沸点が180℃以上である溶媒は主溶媒であって、ノズル端部が乾燥すること
を防止してインクジェッティング(吐出)が円滑に行われるように調節する役割を果たす。前記I)沸点が180℃以上である溶媒としては、水酸基を有することなく、180℃〜300℃の沸点を有し、それと同時に常温における蒸気圧が0.5mmHgである溶媒が好ましい。その非制限的な例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ethylene glycol monobutyl ether acetate)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(diethylene glycol monobutyl ether acetate)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(diethylene glycol monoethyl ether acetate)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、およびジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートからなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0024】
前記I)沸点が180℃以上である溶媒は全体溶媒の総重量に対し50〜95重量%含
まれることが好ましい。前記沸点が180℃以上である溶媒の含量が50重量%未満である場合にはインクの揮発性が大きくてジェッティング性(吐出性)が問題になり得るし、95重量%を超過する場合には粘度が高くなってかえってジェッティング性が減少し得、顔料の分散性が良くなくてインクの安定性およびコントラストが減少し得る。
【0025】
前記II)水酸基を有する溶媒はIII)沸点が180℃未満である溶媒の揮発性を低く維持する役割を果たし、溶媒の沸点に関係なく水酸基を有する溶媒であれば特に制限されない。その非制限的な例としてはアルコール類、フェノール類、グリコールエーテル類が挙げられ、グリコールエーテル類がより好ましい。その具体的な例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブトキシプロパノール、i−プロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;フェノール、2−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−ノニルフェノール、2−ナフチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−ドデシルフェノール、4−オクタデシルフェノールなどのフェノール類;およびエチレングリコールモノフェニルエーテル(ethylene glycol monophenyl ether)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ethylene glycol monohexyl ether)、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル(ethylene glycol 2−ethylhexyl ether)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(diethylene glycol monomethyl ether)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(diethylene glycol monoethyl ether)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(diethylene glycol monopropyl ether)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethylene glycol monobutyl ether)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(diethylene glycol monohexyl ether)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(triethylene glycol monomethyl ether)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(triethylene glycol monoethyl ether)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(triethylene glycol monobutyl ether)、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル(triethylene glycol monopropyl ether)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類からなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0026】
前記II)水酸基を有する溶媒は全体溶媒の総重量に対し5〜50重量%含まれ、前記III)沸点が180℃未満である溶媒より高い含量で含まれることが好ましい。前記水酸基を有する溶媒の含量が5重量%未満である場合には揮発性の低下効果が示されず、50重量%を超過する場合にはインクの高粘度化によってジェッティングし難くなり得る。また、前記水酸基を有する溶媒がIII)沸点が180℃未満である溶媒より低い含量で含まれる場合には、水酸基を有する溶媒による揮発性の低下効果が十分に示されず、インクを長時間吐出する時にジェッティング安定性が低下し得る。
【0027】
前記III)沸点が180℃未満である溶媒は、微細顔料成分の分散を容易にし、インクの粘度を適切に下げる役割を果たすものであり、好ましくは50℃以上180℃未満の沸点を有する溶媒である。その非制限的な例としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ethylene glycol monomethyl ether acetate)、エチレングリコールエチルエーテルアセテート(ethylene glycol ethyl ether acetate)、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート(propylene glycol monobutyl ether acetate)、エチルイソブチルエーテル(ethyl iso−butyl ether)、エチルエトキシプロピオネート(ethyl ethoxy propionate)、メトキシプロパノール(methoxy propanol)、ブトキシプロパノール(butoxy propanol)、2−ブトキシエタノール(2−butoxy ethanol)、ブチルアセテート(butyl acetate)、1−ブトキシ−2−プロパノール(1−Butoxy−2−propanol)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、ジメチルケトン(dimethyl ketone)、メチルブチルケトン(methyl butyl ketone)およびメチルヘキシルケトン(methyl hexyl ketone)からなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0028】
前記III)沸点が180℃未満である溶媒は全体溶媒の総重量に対し0.01〜30重量%含まれることが好ましい。前記沸点が180℃未満である溶媒の含量が0.01重量%未満である場合には微細顔料が安定的に分散され ないおそれがあり、30重量%を超過する場合にはインクの揮発性が増加して初期ジェッティング性を低下させ得る。
【0029】
前記I)、II)およびIII)成分を全て含む溶媒はインク組成物の総重量に対し6
5〜85重量%含まれることが好ましい。前記溶媒の含量が65重量%未満である場合にはインクの粘度が高くなり得るし、85重量%を超過する場合にはインクの固形分含量が低くなり、同じ厚さを持たせるためにはピクセルに満たさなければならないインク滴の数がより大きくなり得る。
【0030】
前記e)顔料は分散に悪影響を及ぼさないものであれば汎用の顔料を用いてもよいが、微細加工した粒子の顔料を用いることが好ましい。前記顔料粒子の粒度は主に0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下の顔料粒子が90%以上分布しているものがより好ましい。前記顔料の大きさが0.3μmより大きい場合には、光の透過が円滑でないため、製造されたカラーフィルタの透過性が不良になり得、高いコントラスト比を得ることができない。
【0031】
本発明のインク組成物において色特性を示すために用いられるレッド顔料としては、ナフトール系レッド顔料であるPig.Red#1、Pig.Red#2、Pig.Red#3、Pig.Red#4、Pig.Red#5、Pig.Red#6、Pig.Red#7、Pig.Red#8、Pig.Red#9、Pig.Red#10、Pig.Red#11、Pig.Red#12、Pig.Red#13、Pig.Red#14、Pig.Red#15、Pig.Red#16、Pig.Red#17、Pig.Red#18、Pig.Red#21、Pig.Red#22、Pig.Red#23、Pig.Red#31、Pig.Red#32、Pig.Red#95、Pig.Red#112、Pig.Red#114、Pig.Red#119、Pig.Red#146、Pig.Red#147、Pig.Red#148、Pig.Red#150、Pig.Red#151、Pig.Red#184、Pig.Red#187、Pig.Red#188、Pig.Red#210、Pig.Red#245、Pig.Red#253、Pig.Red#258、Pig.Red#261;ナフトール系と金属錯体であるPig.Red#49、Pig.Red#49:1、Pig.Red#49:2、Pig.Red#49:3、Pig.Red#50:1、Pig.Red#51:1、Pig.Red#53、Pig.Red#53:1、Pig.Red#68、Pig.Red#243、Pig.Red#247;ジスアゾピラゾロン系であるPig.Red#37、Pig.Red#38、Pig.Red#41;ジスアゾ系縮合物であるPig.Red#144、Pig.Red#166、Pig.Red#220、Pig.Red#221、Pig.Red#242;2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸系金属錯体であるPig.Red#48:1、Pig.Red#48:2、Pig.Red#48:3、Pig.Red#48:4、Pig.Red#48:5、Pig.Red#52:1、Pig.Red#52:2、Pig.Red#57:1、Pig.Red#58:2、Pig.Red#58:4、Pig.Red#63:1、Pig.Red#63:2、Pig.Red#64、Pig.Red#64:1、Pig.Red#200;ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Red#60:1、Pig.Red#66、Pig.Red#67;トリアリールカルボニウム系であるPig.Red#81:1、Pig.Red#81:3、Pig.Red#169;アントラキノン系であるPig.Red#89、Pig.Red#177;チオインジゴ系であるPig.Red#88、Pig.Red#181;キナクリドン系であるPig.Red#122、Pig.Red#207、Pig.Red#209;ペリレン系であるPig.Red#123、Pig.Red#149、Pig.Red#178、Pig.Red#179、Pig.Red#190、Pig.Red#194、Pig.Red#224;ベンズイミダゾロン系であるPig.Red#171、Pig.Red#175、Pig.Red#176、Pig.Red#185、Pig.Red#208;ピランスロン系であるPig.Red#216;ジケトピロロピロール系であるPig.Red#254;イソインドリン系であるPig.Red#260などを用いることができる。
【0032】
バイオレット顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Violet#1、Pig.Violet#2、Pig.Violet#3、Pig.Violet#27、Pig.Violet#39;アントラキノン系であるPig.Violet#5:1;ナフトール系であるPig.Violet#25、Pig.Violet#50;キナクリドン系であるPig.Violet#19;ジオキサジン系であるPig.Violet#23、Pig.Violet#37;ペリレン系であるPig.Violet#29;ベンズイミダゾロン系であるPig.Violet#32などを用いることができる。
【0033】
ブルー顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Blue#1、Pig.Blue#2、Pig.Blue#9、Pig.Blue#10、Pig.Blue#14、Pig.Blue#18、Pig.Blue#19、Pig.Blue#56、Pig.Blue#62;Cuフタロシアニン系であるPig.Blue#15、Pig.Blue#15:1、Pig.Blue#15:3、Pig.Blue#15:4、Pig.Blue#15:6;無金属フタロシアニン系であるPig.Blue#16;インダンスロン系であるPig.Blue#60、Pig.Blue#64;インジゴ系であるPig.Blue#66、Pig.Blue#63などを用いることができる。
【0034】
グリーン顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Green#1、Pig.Green#2、Pig.Green#4;Cuフタロシアニン系であるPig.Green#7、Pig.Green#36;金属錯体であるPig.Green#8、Pig.Green#10などを用いることができる。
【0035】
イエロー顔料としては、モノアゾ系であるPig.Yellow#1、Pig.Yellow#2、Pig.Yellow#3、Pig.Yellow#5、Pig.Yellow#6、Pig.Yellow#10、Pig.Yellow#49、Pig.Yellow#65、Pig.Yellow#73、Pig.Yellow#74、Pig.Yellow#75、Pig.Yellow#97、Pig.Yellow#98、Pig.Yellow#111、Pig.Yellow#116、Pig.Yellow#167;モノアゾ系金属錯体であるPig.Yellow#61、Pig.Yellow#62:1、Pig.Yellow#100、Pig.Yellow#168、Pig.Yellow#169、Pig.Yellow#183;ビスアセトアセトアリリド系であるPig.Yellow#16;ジアリリド系であるPig.Yellow#12、Pig.Yellow#13、Pig.Yellow#14、Pig.Yellow#17、Pig.Yellow#55、Pig.Yellow#63、Pig.Yellow#81、Pig.Yellow#83、Pig.Yellow#87、Pig.Yellow#113、Pig.Yellow#114、Pig.Yellow#124、Pig.Yellow#126、Pig.Yellow#127、Pig.Yellow#152、Pig.Yellow#170、Pig.Yellow#171、Pig.Yellow#172、Pig.Yellow#174;フラバンスロン系であるPig.Yellow#24;ジアゾ系縮合物であるPig.Yellow#93、Pig.Yellow#94、Pig.Yellow#95、Pig.Yellow#128、Pig.Yellow#166;アントラキノン系であるPig.Yellow#123、Pig.Yellow#147;アルダジン系であるPig.Yellow#101;ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Yellow#104;アントラピリミジン系であるPig.Yellow#108;イソインドリノン系であるPig.Yellow#109、Pig.Yellow#110、Pig.Yellow#139、Pig.Yellow#185;ベンズイミダゾロン系であるPig.Yellow#123、Pig.Yellow#154、Pig.Yellow#175、Pig.Yellow#180、Pig.Yellow#181;キノフタロン系であるPig.Yellow#138;金属錯体であるPig.Yellow#117、Pig.Yellow#129、Pig.Yellow#150、Pig.Yellow#153、Pig.Yellow#177、Pig.Yellow#179などを用いることができる。
【0036】
この他、オレンジ顔料としては、モノアゾ系であるPig.Orange#1、Pig.Orange#6;ナフトール系であるPig.Orange#2、Pig.Orange#5、Pig.Orange#22、Pig.Orange#24、Pig.Orange#38;ナフトール金属錯体であるPig.Orange#17、Pig.Orange#17:1、Pig.Orange#46;ジスアゾピラゾロン系であるPig.Orange#13、Pig.Orange#34;ジアリリド系であるPig.Orange#15、Pig.Orange#16;ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Orange#19;ジスアゾ系縮合物であるPig.Orange#31;ベンズイミダゾロン系であるPig.Orange#36、Pig.Orange#60;ピランスロン系であるPig.Orange#40;ペリノン系であるPig.Orange#43;キナクリドン系であるPig.Orange#48;イソインドリン系であるPig.Orange#61、Pig.Orange#66またはPig.Orange#69などを用いることができる。
【0037】
前記インク組成物において色特性を示すために用いられる顔料は、求められる色特性に応じ、全体インク組成物の総重量に対し5〜30重量%添加することが好ましい。前記インク組成物に用いられる着色剤の含量が適切ではない場合にはカラーフィルタを製造する時に所望画質の製品を得ることができない。
【0038】
本発明のインク組成物は分散剤をさらに含むことができる。前記分散剤は顔料を均一に分散させるために用いられる。前記分散剤の非制限的な例としては、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性シリコン系、フッ素系などの界面活性剤を用いるか、高分子界面活性剤(高分子分散剤)を用いることが好ましい。例えば、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル系の高分子分散剤を用いることができる。前記分散剤はインク組成物の総重量に対し2〜15重量%添加されることが好ましい。
【0039】
本発明に係るインク組成物は、前記分散剤の他にも、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、消泡剤、分散助剤、凝集防止剤および界面活性剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
前記添加剤は前記インク組成物の総重量に対し0.01〜3重量%添加されることが好ましい。
また、本発明は、ブラックマトリクスパターンによって形成した遮光部および前記インク組成物を用いて形成したインク層によって充填された画素部を含むカラーフィルタを提供する。
【0040】
前記カラーフィルタは、基板上に当業界に知られた方法を利用してブラックマトリクスパターンを形成した後に硬化させることにより、基板上にブラックマトリクスパターンによって形成した遮光部および前記ブラックマトリクスパターンによって区切られた画素部を製造するステップと;前記ブラックマトリクスパターンによって区切られた画素部に本発明のインク組成物をインクジェット方法によって充填するステップ:および前記充填されたインク組成物を硬化するステップによって製造することができる。
【0041】
前記基板としてはその材料に特に限定はないが、ガラス基板、プラスチック基板またはその他のフレキシブル基板などを用いることができ、耐熱性の強い透明ガラス基板が好ましい。
【0042】
前記インクジェット方法は、インクノズルを利用し、前記ブラックマトリクスパターンによって区切られた画素部に液滴状のインクを非接触方式によって吐出する方法である。
【0043】
前記充填されたインク組成物は、熱重合開始剤を用いた場合、50〜120℃でプリベーク(pre−bake)した後、180〜240℃でポストベーク(post−bake)を行うことが好ましい。前記熱硬化の温度が180℃未満である場合には、溶媒の蒸発および熱硬化が不充分であるために膜の強度および化学耐性が落ち、240℃を超過する場合には、過度な画素部の体積収縮によって基板との密着性および精密度に問題が生じ得るし、形成された膜が熱によって損傷し得る。
【0044】
また、充填されたインク組成物の硬化は、光重合開始剤を用いた場合、40〜300mJ/cm2の露光量で行うことが好ましい。前記露光量が40mJ/cm2未満である場合には、光硬化が不充分であるために膜の強度および化学耐性が落ち、300mJ/cm2を超過する場合には露光工程にかかる時間が長くなってタクトタイムなどが問題となり得る。前記露光工程後に形成されたインク膜を180〜230℃のオーブンに入れてさらに硬化することが好ましい。
【0045】
また、本発明は前記カラーフィルタを含む表示素子を提供する。前記表示素子は液晶表示素子であり得る。前記液晶表示素子の一例としては光源、偏光板、TFT−アレイ基板、画素電極、液晶セル、共通電極、カラーフィルタおよび偏光板などが順次積層された構造を有する液晶表示装置が挙げられるが、この構造だけに限定されるものではない。
【0046】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法は本発明のインク組成物を用いることを除いては当技術分野の技術を利用することができる。
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけのものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0047】
[合成例:アクリル共重合体の製造]
反応容器に熱重合開始剤としてV65 1.6重量部を溶媒に溶かした後、ベンジルメタクリレート/メタアクリル酸を68/32のモル比で投入した後、窒素雰囲気で65℃を維持しながら7.5時間反応させた。前記で得た共重合体溶液を攪拌器が取り付けられたフラスコに投入し、グリシジルメタクリレートを加えた後、110℃で6時間さらに反応させてアクリル共重合体を製造した。
【0048】
[実施例1]
インク組成物100重量部に対し、レッド顔料R254 5.8重量部、Y150 1.1重量部、顔料分散剤4.3重量部、前記合成例で製造したアクリル系共重合体3.4重量部、重合性単量体であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.9重量部、熱重合開始剤としてV−40(1,1’−Azobis(cyclohexane−1−carbonitrile)0.5重量部、溶媒としてグリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)53.3重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)23.4重量部、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ブトキシプロパノール(Butoxy propanol)を含むその他の溶媒1.3重量部を3時間混合して赤色のインク組成物を製造した。
【0049】
[実施例2〜4および比較例1〜6]
下記表1および表2に記載された構成と含量で実施例1と同じ方法によってインク組成物を製造した。
【表1】

【表2】

前記比較例2および比較例6で製造したインク組成物は分散安定性が良くなく、高粘度を示した。よって、インクジェット用インクとして用いることができなかった。
【0050】
[実験例]
[コントラスト比特性]
前記実施例1、実施例2および比較例1で製造したインク組成物を用いて上、下部に偏光板が取り付けられたカラーフィルタを製造した。前記上部に取り付けられた偏光板を回転させ、下部偏光板と垂直/水平時における輝度値を測定して下記表3にコントラスト比を示した。
【表3】

前記表3から分かるように、本発明に係るインク組成物は、沸点が低い溶媒の含量が少ないことにもかかわらず、従来技術と同等なレベルのコントラスト比を示した。
【0051】
[初期ジェッティング性]
初期ジェッティング性の評価方法
インクジェットヘッドに前記実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例6で製造したインク組成物を注入した後、液滴間のピッチ(pitch)を40にし、同じパターンを2回実施した。この時、第1パターンはパージ(purge)、ワイピング(wiping)を経た後、6分間の待機時間をおいてジェッティングした。その次、第2パターンは約数秒内に第1パターンの下側にジェッティングした。前記第2パターンは待機時間が数秒内で短いために正常吐出されるため、それを基準に初期ジェッティングが不安定な区間の長さを計算して下記表4に示した。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)バインダーポリマー、b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、c)熱重合開始剤または光重合開始剤、d)I)沸点が180℃以上である溶媒、II)水酸基を
有する溶媒およびIII)沸点が180℃未満である溶媒、およびe)顔料を含むインク組成物。
【請求項2】
前記a)バインダーポリマーは、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、メタアクリル酸、マレイン酸、およびイタコン酸からなる群から選択された1種または2種以上を重合して製造することを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記a)バインダーポリマーの重量平均分子量は1,000〜50,000であることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記a)バインダーポリマーはインク組成物の総重量に対し1〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物はインク組成物の総重量に対し1〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記c)熱重合開始剤は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、V−40、VA−086、VA−085、VF096、Vam−110、Vam−111(以上、Wako pure chemicals ind.)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートおよび1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記c)光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物およびオキシム系化合物からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記c)熱重合開始剤または光重合開始剤はインク組成物の総重量に対し0.1〜5重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項10】
前記III)沸点が180℃未満である溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチルイソブチルエーテル、エチルエトキシプロピオネート、メトキシプロパノール、ブトキシプロパノール、2−ブトキシエタノール、ブチルアセテート、1−ブトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、ジメチルケトン、メチルブチルケトンおよびメチルヘキシルケトンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記III)沸点が180℃未満である溶媒は全体溶媒の総重量に対し0.01〜30重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項12】
前記II)水酸基を有する溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブトキシプロパノール、i−プロピルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、2−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−ノニルフェノール、2−ナフチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−ドデシルフェノール、4−オクタデシルフェノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項13】
前記II)水酸基を有する溶媒は全体溶媒の総重量に対し5〜50重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項14】
前記I)沸点が180℃以上である溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテルア
セテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、およびジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項15】
前記I)沸点が180℃以上である溶媒は全体溶媒の総重量に対し50〜95重量%含
まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項16】
前記I)、II)およびIII)成分を全て含む溶媒はインク組成物の総重量に対し6
5〜85重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項17】
前記インク組成物は、分散剤、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、消泡剤、分散助剤、凝集防止剤および界面活性剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項18】
基板上にブラックマトリクスパターンによって形成した遮光部および前記ブラックマトリクスパターンによって区切られた画素部を製造するステップと;前記ブラックマトリクスパターンによって区切られた画素部に請求項1〜17のうちのいずれか一項によるインク組成物をインクジェット方法によって充填するステップ;および前記充填されたインク組成物を硬化するステップを含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項19】
ブラックマトリクスパターンによって形成した遮光部および請求項1〜17のうちのいずれか一項のインク組成物を用いて形成したインク層によって充填された画素部を含むカラーフィルタ。
【請求項20】
請求項19のカラーフィルタを含む表示素子。

【公開番号】特開2009−275226(P2009−275226A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117658(P2009−117658)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】