説明

インク組成物、及び、インクジェット記録方法

【課題】保存安定性、基材との密着性、基材上でのインク乾燥性(耐ブロッキング性、膜の強度)、及び、吐出安定性に優れたインク組成物、及び、インクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】極性有機溶剤と、下記式(1)又は式(2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有することを特徴とするインク組成物、及び、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法。R1〜R6はそれぞれ独立に、炭素原子数4〜18のアルキル基を表し、M1及びM2はそれぞれ独立に、Ca又はMgを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤型のインク組成物、及び、インクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非吸収性基材を対象とした印刷方式として、軟包材用グラビア印刷、サニタリー用フレキソ印刷、金属版用シルクスクリーン印刷、屋内外広告用インクジェット印刷などが一般的に知られている。しかし、これらの印刷方式に用いられるインク組成物は、第二種有機溶剤に該当するトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の溶剤を用いることが一般的であり、環境濃度設定、臭気等から局所排気装置の設置、又は、定期健康診断等の義務が発生するなど取り扱いが難しく、より安全衛生性の高いインクが求められてきた。特にインクジェットは専用大規模工場で印刷されるグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷と異なり、小規模な事業所などで使用されるため、より安全性、有害性、臭気を配慮しなければならない。
安全性向上のため、軟包材グラビア印刷、サニタリー用フレキソ印刷では、環境濃度設定値が低いトルエンを使用しないノントルエンインクやアルコールを主成分とする水性インクが開発された。
インクジェット用インク組成物でも水性タイプが開発の中心であったが、このタイプではポリ塩化ビニル等の高分子表面を有する基材表面には印刷できない欠点があり、第二種有機溶剤に非該当である非極性炭化水素系溶剤を用いたインクが開発されている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1には、分散媒と、色材を少なくとも含む荷電粒子と、荷電調整剤とを含有する静電インクジェット用インク組成物であって、前記荷電調整剤が、下記(A)成分および(B)成分を含み、かつ下記(B)成分:(A)成分の質量比が10:3から40:3である混合物を含有することを特徴とする静電インクジェット用インク組成物が開示されている。
(A)(i)C14〜18アルキルサリチル酸のクロム塩;(ii)ジデシルスルホコハク酸カルシウム;および(iii)ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートおよび2−メチル−5−ビニルピリジンのコポリマーで、このコポリマーは20〜30質量%のビニルピリジン含有量と15,000〜250,000の平均分子量とを有し、その少なくとも50%の塩基性窒素基がスルホコハク酸ジデシルエステルの塩であるもの;の各1〜10質量部から構成される塩混合物;
(B)(i)ラウリルメタクリレートと(ii)2−または4−ビニルピリジン、スチレンおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートからなる群から選択されたモノマーとの塩を含まないコポリマーで、このコポリマーが15,000〜100,000の分子量を有し、前記モノマーB(i)対B(ii)の質量比が4:1から50:1であるコポリマー。
特許文献2には、非極性有機溶剤に、界面活性剤、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ホスファチジルコリン又はそれらの混合物を溶解した逆ミセル溶液と染料水溶液との混合溶液から形成されたインクジェット用油性インクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−233000号公報
【特許文献2】特開2002−212466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたインク組成物は、保存安定性が劣り、非極性有機溶剤を使っているためプラスチック基剤への密着性が劣っていた。また分散媒として比較的沸点の低い有機溶剤を使用しているため基材上でのインク乾燥性は早いが、インク吐出を休止すると溶剤が乾燥し、ヘッドノズルが詰まりやすいなどの欠点があった。
また、特許文献2に記載されたインク組成物は、保存安定性が優れている一方で、非極性溶剤を使用しているためプラスチック基剤への密着性が劣る欠点があった。また、溶剤の乾燥性が早く、インク吐出を休止するとヘッドノズルが詰まりやすいなどの欠点があった。
そこで、最近では同じく第二種有機溶剤に非該当であり、極性高沸点溶剤である2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンといった含窒素複素環化合物、又は、ラクトン系化合物を副溶剤として併用することで、上記問題点の解決を目指した溶剤系インク組成物が開発されてきた。
しかし、これらのインク組成物は、比較的乾燥性の遅い溶剤を使用しており、基材上でのインク速乾性とヘッド上でのインク乾燥防止を両立するには不十分な点があった。
上記のように、インクの保存安定性やプラスチック基材への密着性、基材上でのインク乾燥性、吐出安定性などの課題を十分に満足するインク組成物の実現が要求されていた。
【0006】
本発明の目的、すなわち、本発明が解決しようとする課題は、保存安定性、基材との密着性、基材上でのインク乾燥性(耐ブロッキング性、膜の強度)、及び、吐出安定性に優れたインク組成物、及び、インクジェット記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記<1>又は<10>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<9>と共に以下に示す。
<1>極性有機溶剤と、下記式(1)又は式(2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有することを特徴とするインク組成物、
【0008】
【化1】

(式(1)及び式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、炭素原子数4〜18のアルキル基を表し、M1及びM2はそれぞれ独立に、Ca又はMgを表す。)
【0009】
<2>前記式(1)及び式(2)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%である、上記<1>に記載のインク組成物、
<3>前記極性有機溶剤が、下記式(3)で表される化合物を含む、上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
【0010】
【化2】

(式(3)中、R7及びR8はそれぞれ独立に、−NR10−又は酸素原子を表し、R9は−Cmn−で表される炭化水素基を表し、分岐を有していてもよく、mは2〜8の整数を表し、nは(2m−4)、(2m−2)又は2mのいずれかの整数を表し、R10は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は水素原子を表す。)
【0011】
<4>前記極性有機溶剤が、環状炭酸エステル化合物、及び/又は、環状ウレア化合物を含む、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<5>前記極性有機溶剤が、プロピレンカーボネート、及び/又は、エチレンカーボネートを含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<6>前記極性有機溶剤の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、50〜90重量%である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<7>着色剤を更に含む、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<8>前記R1〜R6がそれぞれ独立に、炭素原子数8〜12のアルキル基である、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<9>溶媒として、前記極性有機溶媒のみを含有する、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<10>被記録媒体上に、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に熱を加え、前記インク組成物を定着する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保存安定性、基材との密着性、基材上でのインク乾燥性(耐ブロッキング性、膜の強度)、及び、吐出安定性に優れたインク組成物、及び、インクジェット記録方法を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
(インク組成物)
本発明のインク組成物は、極性有機溶剤と、下記式(1)又は式(2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有することを特徴とする。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として好適に使用することができる。
【0015】
【化3】

(式(1)及び式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、炭素原子数4〜18のアルキル基を表し、M1及びM2はそれぞれ独立に、Ca又はMgを表す。)
【0016】
式(1)又は式(2)で表される化合物は油溶性が高いため、インク組成物からの析出が無く、ひいてはインクの保存安定性を向上させ、また界面活性能を有するため、基材上のインク組成物の液滴は濡れ広がり、表面積が大きく、乾燥が早いと考えられる。撥インク処理を施してあるヘッドノズル近傍では、従来のインク組成物では、極微量しかインク組成物が存在しないためすぐ乾燥してしまうが、式(1)又は式(2)で表される化合物を含有する本発明のインク組成物では、濡れ広がって乾燥を防止できると推定される。
【0017】
(A)極性有機溶媒
本発明のインク組成物は、極性有機溶媒を含有する。
本発明における極性有機溶媒としては、炭酸エステル化合物、ウレア化合物、ウレタン化合物、グリコールエーテル化合物、エステル化合物、アミド化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、アルコール化合物、スルホン化合物、スルホキシド化合物、及び、ニトリル化合物が挙げられる。
これらの中でも、前記極性有機溶媒としては、炭酸エステル化合物、ウレア化合物、ウレタン化合物、グリコールエーテル化合物、環状エステル化合物、環状アミド化合物が好ましく例示でき、環状炭酸エステル化合物、環状ウレア化合物、環状ウレタン化合物、グリコール化合物、グリコールエーテル化合物、環状エステル化合物、環状アミド化合物がより好ましく例示でき、環状炭酸エステル化合物、環状ウレア化合物、環状ウレタン化合物が更に好ましく例示でき、環状炭酸エステル化合物、環状ウレア化合物が特に好ましく例示できる。
本発明のインク組成物は、極性有機溶剤を1種単独で含有しても、2種以上を任意の割合で含有していてもよい。
また、本発明のインク組成物は、溶媒として、極性有機溶媒のみを含有することが好ましい。
【0018】
本発明のインク組成物は、極性有機溶媒として、式(3)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0019】
【化4】

(式(3)中、R7及びR8はそれぞれ独立に、−NR10−又は酸素原子を表し、R9は−Cmn−で表される炭化水素基を表し、分岐を有していてもよく、mは2〜8の整数を表し、nは(2m−4)、(2m−2)又は2mのいずれかの整数を表し、R10は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は水素原子を表す。)
【0020】
式(3)におけるR7及びR8のうち、少なくとも1つは酸素原子であることが好ましく、両方とも酸素原子である、すなわち、式(2)で表される有機溶媒がカーボネート化合物であることがより好ましい。
式(3)におけるR10は、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子であることが好ましい。
式(3)中、R9におけるmは、2〜6の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。
式(3)中、R9におけるnは、(2m−2)又は2mであることが好ましく、2mであることがより好ましい。
また、R9として具体的には、エチレン基、1−メチルエチレン基及びプロピレン基などが好ましく例示できる。中でも、エチレン基又は1−メチルエチレン基が特に好ましい。
【0021】
本発明のインク組成物は、極性有機溶剤として、環状カーボネート化合物(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、環状ウレア化合物(例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、及び、環状ウレタン化合物(例えば、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、3−プロピル−2−オキサゾリジノン等)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、環状カーボネート化合物、及び/又は、環状ウレア化合物を含有することがより好ましく、環状カーボネート化合物を含有することが更に好ましく、エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを含有することが特に好ましい。
【0022】
極性有機溶媒として用いることができるグリコールエーテル化合物としては、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテルが好ましく挙げられ、ポリオキシエチレングリコールのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテルがより好ましく挙げられ、下記の式(α)、式(β)又は式(γ)で表される化合物が更に好ましく挙げられる。
【0023】
ポリオキシアルキレングリコールのジアルキルエーテルとしては、式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルが好ましい。
21−(OC24n−OR22 ・・・(α)
式(α)において、R21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R21とR22とは同一でも異なっていてもよい。nは、2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましい。
21及びR22における炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
【0024】
式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましく挙げられ、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましく挙げられる。
【0025】
ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテルとしては、式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、及び、式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく挙げられる。
31−(OC24n−OH ・・・(β)
41−(OC36n−OH ・・・(γ)
【0026】
前記式(β)において、R31は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは3〜6の整数を表す。R31で表される炭素数1〜6のアルキル基の中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテルの具体例としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0027】
また、前記式(γ)において、R41は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3の整数を表す。R41で表される炭素数1〜4のアルキル基の中でも、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
前記式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルの具体例としては、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0028】
上記のほか、グリコールエーテル化合物としては、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物が挙げられる。
具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノブチルエステル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル等が例示される。
【0029】
極性有機溶媒として用いることができる環状エステル化合物としては、下記式(δ)で表される化合物が好ましく挙げられる。
【0030】
【化5】

【0031】
式(δ)におけるR51は、二価の炭化水素基を表し、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよいが、直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
また、R51における二価の炭化水素基の炭素数は、2〜20であることが好ましく、3〜8であることがより好ましく、3〜5であることが更に好ましい。
これらの中でも、式(δ)で表される化合物としては、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
【0032】
極性有機溶媒として用いることができる環状アミド化合物としては、下記式(ε)で表される化合物が好ましく挙げられる。
【0033】
【化6】

【0034】
式(ε)におけるR61は、二価の炭化水素基を表し、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよいが、直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
また、R61における二価の炭化水素基の炭素数は、2〜20であることが好ましく、3〜8であることがより好ましく、3〜5であることが更に好ましい。
式(ε)におけるR62は、水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい
これらの中でも、式(ε)で表される化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタムが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0035】
本発明のインク組成物は、炭化水素化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、及び、エーテル化合物(ただし、グリコールエーテル化合物は除く。)等の無極性有機溶媒や、水等の無機溶媒を含まないことが好ましい。すなわち、本発明のインク組成物は、溶媒として、極性有機溶媒のみを含有することが好ましい。
【0036】
本発明のインク組成物における溶媒の総含有量は、インク組成物の全重量に対し、50重量%以上であることが好ましく、50〜95重量%であることがより好ましく、50〜90重量%であることが更に好ましく、70〜90重量%であること特に好ましく、80〜90重量%であることが最も好ましい。
また、本発明のインク組成物における極性有機溶媒の総含有量は、インク組成物の全重量に対し、30重量%以上であることが好ましく、50〜95重量%であることがより好ましく、50〜90重量%であることが更に好ましく、70〜90重量%であることが特に好ましく、80〜90重量%であることが最も好ましい。
【0037】
(B)式(1)又は式(2)で表される化合物
本発明のインク組成物は、式(1)又は式(2)で表される化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)を含有する。
【0038】
【化7】

(式(1)及び式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、炭素原子数4〜18のアルキル基を表し、M1及びM2はそれぞれ独立に、Ca又はMgを表す。)
【0039】
前記R1〜R6における炭素原子数4〜18のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、前記R1〜R6における炭素原子数4〜18のアルキル基は、炭素原子数8〜12であることが好ましい。
前記式(1)におけるR1及びR2はそれぞれ独立に、硫黄原子が結合している位置以外のベンゼン環状の任意の位置で結合することができる。
前記R1〜R6における炭素原子数4〜18のアルキル基として具体的には、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−メチルドデシル基、トリデシル基、2−メチルトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、及び、cis−9−オクタデセニル基が好ましく挙げられ、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、及び、オクタデシル基がより好ましく挙げられ、2−エチルヘキシル基、及び、ドデシル基が特に好ましく挙げられる。
前記式(1)又は式(2)におけるM1及びM2は、Mgであることがより好ましい。
式(1)におけるM1と−SO3の酸素原子との結合、及び、式(2)におけるM2と−SO3の酸素原子との結合は、イオン結合であっても、共有結合であってもよい。
また、本発明のインク組成物は、式(1)又は式(2)で表される化合物を1種単独で含有していても、2種以上含有していてもよく、また、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物をそれぞれ1種以上含有していてもよい。
本発明のインク組成物は、式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有していることが好ましく、式(1)又は式(2)で表される化合物として式(2)で表される化合物のみを含有していることがより好ましい。
また、前記式(1)又は式(2)で表される化合物は、下記式(1’)又は式(2’)で表される化合物であることが好ましい。
【0040】
【化8】

【0041】
式(1’)又は式(2’)におけるR1〜R4、M1及びM2は、式(1)又は式(2)におけるR1〜R4、M1及びM2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(1)又は式(2)で表される化合物の具体例としては、以下に示すような(1)−1〜(1)−5、及び、(2)−1〜(2)−4が好ましく例示できる。
【0042】
【化9】

【0043】
【化10】

【0044】
式(1)で表される化合物の作製方法としては、特に制限はないが、アルキルベンゼンを三酸化硫黄と反応させた後、カルシウム化合物又はマグネシウム化合物で中和して作製する方法が例示できる。
また、式(1)で表される化合物は、市販品を使用することもできる。
【0045】
式(2)で表される化合物の作製方法としては、特に制限はないが、炭素数4〜18のアルキルアルコールと無水マレイン酸とを反応させた後に、スルホ化を行う方法が例示できる。
これらのアルコール類の例としては、ブチルアルコール、カプリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の天然動植物由来の高級アルコール、及び、チーグラー法による合成直鎖脂肪族第一級アルコール、2−エチルヘキサノール、2−メチルドデカノール、2−メチルトリデカノール等の通常オキソ合成によって得られる側鎖脂肪族第一級アルコール、n−パラフィンを液相酸化して得られる第二級アルコール等が挙げられ、特に、炭素数が8〜12のアルコールが好ましい。
また、式(2)で表される化合物は、市販品を使用することもできる。
【0046】
本発明のインク組成物における式(1)及び式(2)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.05〜12重量%であることがより好ましく、0.1〜10重量%であることが更に好ましく、0.2〜5重量%であることが特に好ましく、0.5〜2重量部であることが最も好ましい。上記範囲であると、密着性、耐ブロッキング性、及び、膜の強度により優れる。
【0047】
(C)着色剤
本発明のインク組成物は、(C)着色剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、油溶性染料、水溶性染料、分散染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。この中でも、着色剤としては、耐候性に優れ、色再現性に富む点から、顔料、及び/又は、油溶性染料であることが好ましく、顔料であることがより好ましい。
【0048】
<顔料>
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状有機化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。なお、前記顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年、朝倉書店発行)、橋本勲著「有機顔料ハンドブック」(2006年、カラーオフィス発行)、W. Herbst, K. Hunger編「Industrial Organic Pigments」(1992年、Wiley−VHC発行)、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載のものが挙げられる。
【0049】
前記有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
前記黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、10、65、73、74、75、97、98、111、116、130、167、205等のモノアゾ顔料、61、62、100、168、169、183、191、206、209、212等のモノアゾレーキ顔料、12、13、14、16、17、55、63、77、81、83、106、124、126、127、152、155、170、172、174、176、214、219等のジスアゾ顔料、24、99、108、193、199等のアントラキノン顔料、60等のモノアゾピラゾロン顔料、93、95、128、166等の縮合アゾ顔料、109、110、139、173、185等のイソインドリン顔料、120、151、154、175、180、181、194等のベンズイミダゾロン顔料、117、129、150、153等のアゾメチン金属錯体顔料、138等のキノフタロン顔料、213等のキノキサリン顔料が好ましい。
【0050】
前記赤色又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド 193等のモノアゾレーキ顔料、38等のジスアゾ顔料、2、5、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、22、23、31、32、112、114、146、147、150、170、184、187、188、210、213、238、245、253、256、258、266、268、269等のナフトールAS顔料、3、4、6等のβ−ナフトール顔料、49、53、68等のβ−ナフトールレーキ顔料、237、239、247等のナフトールASレーキ顔料、41等のピラゾロン顔料、48、52、57、58、63、64:1、200等のBONAレーキ顔料、81:1、169、172等のキサンテンレーキ顔料、88、181、279等のチオインジゴ顔料、123、149、178、179、190、224等のペリレン顔料、144、166、214、220、221、242、262等の縮合アゾ顔料、168、177、182、226、263等のアントラキノン顔料、83等のアントラキノンレーキ顔料、171、175、176、185、208等のベンズイミダゾロン顔料、122、202(C.I.ピグメントバイオレット 19との混合物を含む)、207、209等のキナクリドン顔料、254、255、264、270、272等のジケトピロロピロール顔料、257、271等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。
【0051】
前記青色又はシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー 25、26等のナフトールAS顔料、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、75、79等のフタロシアニン顔料、1、24:1、56、61、62等の染付けレーキ顔料、60等のアントラキノン系顔料、63等のインジゴ顔料、80等のジオキサジン顔料が好ましい。
前記緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン 1、4等の染付けレーキ顔料、7、36等のフタロシアニン顔料、8等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。
前記橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ 1等のモノアゾ顔料、2、3、5等のβ−ナフトール顔料、4、24、38、74等のナフトールAS顔料、13、34等のピラゾロン顔料、36、60、62、64、72等のベンズイミダゾロン顔料、15、16等のジスアゾ顔料、17、46等のβ−ナフトールレーキ顔料、19等のナフタレンスルホン酸レーキ顔料、43等のペリノン顔料、48、49等のキナクリドン顔料、51等のアントラキノン系顔料、61等のイソインドリノン顔料、66等のイソインドリン系顔料、68等のアゾメチン金属錯体顔料、71、73、81等のジケトピロロピロール顔料が好ましい。
【0052】
前記褐色顔料としては、C.I.ピグメントブラウン 5等のBONAレーキ顔料、23、41、42等の縮合アゾ顔料、25、32等のベンズイミダゾロン顔料が好ましい。
前記紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット 1、2、3、27等の染付けレーキ顔料、13、17、25、50等のナフトールAS顔料、5:1等のアントラキノンレーキ顔料、19等のキナクリドン顔料、23、37等のジオキサジン顔料、29等のペリレン顔料、32等のベンズイミダゾロン顔料、38等のチオインジゴ顔料が好ましい。
前記黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック 1等のインダジン顔料、7であるカーボンブラック、10であるグラファイト、11であるマグネタイト、20等のアントラキノン顔料、31、32等のペリレン顔料が好ましい。
前記白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 4である酸化亜鉛、6である酸化チタン、7である硫化亜鉛、12である酸化ジルコニウム(ジルコニウムホワイト)、18である炭酸カルシウム、19である酸化アルミニウム・酸化ケイ素(カオリンクレー)、21又は22である硫酸バリウム、23である水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、27である酸化ケイ素、28であるケイ酸カルシウムが好ましい。
白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。
中でも前記酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さい、屈折率が大きい、隠蔽力や着色力が大きい、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れていることから、好適に使用される。なお、前記酸化チタンに加えて他の白色顔料(上述した白色顔料以外のものであってもよい。)を併用してもよい。
【0053】
顔料粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、顔料、分散剤、媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。平均粒径が上記の範囲であると、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、及び、透明性に優れる。
【0054】
<油溶性染料>
以下に、本発明に用いることができる油溶性染料について説明する。
本発明に用いることができる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。したがって、油溶性染料とは、いわゆる水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
【0055】
本発明に用いることができる油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。
例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0056】
本発明に用いることができる油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。
例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0057】
本発明に用いることができる油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。
例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
【0058】
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、第四級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0059】
以下に限定されるものではないが、好ましい油溶性染料の具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
【0060】
<分散染料>
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で、分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
【0061】
本発明に用いることができる着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、着色剤の含有量は、着色剤の物性(比重、着色力や色味等)、インク組成物を何色組み合わせて印刷物を作製するかといった条件により適宜選択することができるが、隠蔽力や着色力の点から、インク組成物全体の重量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが特に好ましい。
【0062】
本発明において、着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、予め本発明に用いることができる極性有機溶剤に添加し、分散させて顔料分散物(「ミルベース」ともいう。)を作製した後、配合することもできる。
【0063】
本発明のインク組成物において、着色剤として顔料を使用することが好ましく、使用する場合には、インク組成物中に安定に顔料を分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤の主鎖骨格は、特に制限はないが、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリウレア骨格等が挙げられ、インク組成物の保存安定性の点で、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格が好ましい。また、高分子分散剤の構造に関しても特に制限はないが、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられ、同様に保存安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。
【0064】
高分子分散剤としては、ビックケミー社より市販されている湿潤分散剤DISPERBYKシリーズの101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKAシリーズの4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5244、ルーブリゾール社より市販されているSOLSPERSEシリーズの3000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、53095、54000、55000、56000、71000、楠本化成(株)より市販されているDISPARLONシリーズの1210、1220、1831、1850、1860、2100、2150、2200、7004、KS−260、KS−273N、KS−860、KS−873N、PW−36、DN−900、DA−234、DA−325、DA−375、DA−550、DA−1200、DA−1401、DA−7301、味の素(株)より市販されているアジスパーシリーズのPB−711、PB−821、PB−822、PN−411、PA−111、エアープロダクツ社より市販されているサーフィノールシリーズの104A、104C、104E、104H、104S、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、420、440、DF110D、DF110L、DF37、DF58、DF75、DF210、CT111、CT121、CT131、CT136、GA、TG、TGE、日信化学工業(株)より市販されているオルフィンシリーズのSTG、E1004、サンノプコ(株)製SNスパースシリーズの70、2120、2190、(株)ADEKAより市販されているアデカコール及びアデカトールシリーズ、三洋化成工業(株)より市販されているサンノニックシリーズ、ナロアクティーCLシリーズ、エマルミンシリーズ、ニューポールPEシリーズ、イオネットMシリーズ、イオネットDシリーズ、イオネットSシリーズ、イオネットTシリーズ、サンセパラー100が挙げられる。
【0065】
また、高分子分散剤としては、上記の市販品以外にも、塩基性基を含有するカチオン性モノマーと酸性基を有するアニオン性モノマーと疎水基を有するモノマーと必要によりノニオン性モノマーや親水基を有するモノマーなどの他のモノマーとを共重合させて合成したものを用いることができる。カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、疎水基を有するモノマー及びノニオン性モノマーや親水基を有するモノマーなどの他のモノマーの詳細については、特開2004−250502号公報の段落0034〜0036に記載のモノマーを挙げることができる。
【0066】
また、高分子分散剤は、分子内に疎水基を含むものが好ましく、水に不溶性であるものがより好ましい。疎水基を含む高分子顔料分散剤は、記録物の耐水性をより向上させることができる。好ましい高分子顔料分散剤の例として、分子内にポリエステル鎖を有するポリエステル系分散剤を挙げることができる。柔軟なポリエステル鎖を含むことにより、顔料に対する吸着性が増し分散性が向上する。具体的には、例えば、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開平9−171253号公報に記載のポリエステル型マクロモノマーを共重合成分とするグラフト重合体、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられる。
ポリエステル系高分子分散剤として、例えば、ルーブリゾール社製の「SOLSPERSE」(例えば、SOLSPERSE17000、24000GR、28000、32000、38500)、ビックケミー社製の「DISPERBYK」(例えば、DISPERBYK−161、162、167、168)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「EFKA」(例えば、EFKA4047、4050)、味の素(株)製の「アジスパー」(例えば、アジスパーPB711、PN411、PA111、PB821、PB822)などが挙げられ、いずれも上市されている。
【0067】
これらの高分子分散剤の中でも、保存安定性と硬化速度のバランスの点で、高分子分散剤の酸価とアミン価との差の絶対値が、0mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることがより好ましく、0mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
なお、酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。
アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。複数の分散剤を用いる場合はその重量平均として表すことができる。
【0068】
インク組成物中の分散剤の好ましい添加量は、インク組成物中における顔料の重量をP、インク組成物中における高分子分散剤の重量をDとした場合、その重量比(D/P)が、0.01≦D/P≦2.0であることが好ましく、0.03≦D/P≦1.5であることがより好ましく、0.05≦D/P≦0.6であることが更に好ましい。上記範囲であると、顔料の凝集・沈降、インク粘度上昇が生じず、保存安定性に優れるインク組成物が得られ、インク粘度が低粘度で吐出安定性にも優れるインク組成物が得られる。
【0069】
さらに、分散時には、分散剤に加えて、一般にシナジストと呼ばれる分散助剤(例えば、ルーブリゾール社より市販されているSOLSPERSEシリーズの5000、12000、22000、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKA6745等)や、各種界面活性剤、消泡剤を添加して、顔料の分散性、濡れ性を向上させることも好ましい。
【0070】
本発明において、顔料の分散を行う場合には、顔料と分散剤とを混合した後、極性有機溶媒に添加して分散する、又は、極性有機溶媒と分散剤とを混合した後、顔料を添加して分散することが好ましい。分散には、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ソルトミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。中でもビーズミル分散装置は、分散性に優れるので好ましい。
ビーズミル分散を行う際に使用するビーズは、好ましくは0.01〜3.0mm、より好ましくは0.05〜1.5mm、更に好ましくは0.1〜1.0mmの平均径を有するものを用いることにより、安定性に優れた顔料分散物を得ることができる。
【0071】
(D)樹脂
本発明のインク組成物は、少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。樹脂を含有することにより、画像の耐擦過性をより向上させることができる。
また、前記樹脂には、前述した高分子分散剤も含まれる。
本発明に用いることができる樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂が好ましく、下記式(P)で表されるモノマー単位を、全モノマー単位に対し、40〜100モル%有する樹脂がより好ましい。また、樹脂において、下記式(P)で表されるモノマー単位は、1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
【0072】
【化11】

【0073】
式(P)中、Raは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合、COO又はCONRbを表し、Rbは水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Yは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、炭化水素基内に、エーテル結合、エステル結合又はアミド結合を含んでいてもよい。また、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。
【0074】
樹脂を作製するモノマーの好ましい例としては、スチレン、p−メトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−スルファモイルフェニル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、上記以外の公知のモノマーを、必要に応じて使用することもできる。
【0075】
また、樹脂としては、アニオン性樹脂が好ましく、アニオン性の(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。アニオン性樹脂は、酸価が7〜150mgKOH/gであることが好ましく、20〜100mgKOH/gであることがより好ましく、30〜80mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価は、7mgKOH/g以上であると顔料や媒体表面との親和性が良好になり、150mgKOH/g以下であると、インク組成物の粘度を抑えながら、耐擦過性の向上効果が効果的に得られる。
【0076】
前記アニオン性樹脂は、重量平均分子量として5,000〜100,000が好ましく、8,000〜60,000がより好ましく、10,000〜30,000がさらに好ましい。重量平均分子量が5,000以上であると、インク組成物中で顔料粒子にアニオン性樹脂が吸着した際に立体反発の効果が得られ易く、保存性の向上効果が高くなると共に、画像部の強度が向上し、また、100,000以下であると、インク粘度を抑えてインクの流動性を保つことができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算分子量として求められる。
【0077】
また、アニオン性樹脂としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造の少なくとも1つを含むポリエーテル構造を有する樹脂が好ましく挙げられる。
ポリエーテル構造を有する樹脂としては、ポリエーテル構造を有するマクロモノマーと、アニオン性モノマーと、必要に応じてカチオン性モノマー、ノニオン性モノマー、疎水性モノマー、親水性モノマーなどの他のモノマーとを共重合させて合成されたものを用いることができる。ポリエーテル構造を有するマクロモノマーには、アクリロイル基やメタクリロイル基に直接又はアルキル基を介してメトキシポリエチレングリコールやメトキシポリプロピレングリコールが結合したマクロモノマーが好適に用いられ、また、アニオン性モノマーなどの他のモノマーには、前記高分子分散剤を合成するためのモノマーとして例示したのと同様のものが好適に用いられる。前記アニオン性樹脂としては、これらモノマーを共重合してなる(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0078】
前記ポリエーテル構造を有するマクロモノマーとしては、市販品として、日油(株)製のPE−200,PE−350,AE−200,AE−350,AP−400,AP−550,AP−800,70PEP−350B,10PEP−550B,AEP,50POEP−800B,50AOEP−800B,PLE,ALE,PSE,ASE,PNE,ANE,PNP,ANP,PNEP−600,PME−200,PME−400,PME−1000,AME−400,PP−500,PP−800,PP−1000、新中村化学工業(株)製のAMP−10G,AMP−20G,AMP−60G,AM−90G,大阪有機化学工業(株)製のビスコート#355HP,ビスコート#310,ビスコート#310HP,ビスコート#310HG,ビスコート#312,ビスコート#700、共栄社化学(株)製のライトアクリレートEHDG−A,ライトアクリレートEC−A,ライトアクリレートMTG−A,ライトアクリレート130A,ライトアクリレートP−200A,ライトアクリレートNP−4EA,ライトアクリレートNP−8EA,ライトエステルMC,ライトエステル130MA,ライトエステル041MA、新中村化学工業(株)製のNKエステルM−20G,NKエステルM−40G,NKエステルM−90G、(株)ADEKA製のアデカリアソープNE−10,アデカリアソープNE−20,アデカリアソープNE−40などが挙げられる。
【0079】
本発明のインク組成物における樹脂の含有量は、インク組成物の全重量に対し、1〜25重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましく、3〜15重量%であることが更に好ましい。
また、本発明のインク組成物に顔料を使用する場合、樹脂の含有量としては、含有する顔料の総重量に対して、10〜200重量%が好ましく、15〜150重量%がより好ましく、20〜100重量%が更に好ましい。上記範囲であると、顔料との比率が良好で良好な定着性が得られ、また、インク組成物の粘度を抑えられる。
本発明のインク組成物中における樹脂及び着色剤等からなるインク固形分は、1〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜25重量%であることが更に好ましい。
【0080】
(その他の成分)
本発明のインク組成物は、前述の成分以外にも、必要に応じて、界面活性剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料、顔料誘導体などの公知の添加剤を、任意成分として添加してもよい。
【0081】
<インク組成物の調製方法>
本発明のインク組成物の調製方法としては、特に制限はなく、公知の溶剤型インク組成物の調製方法を用いることができる。具体的には、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製する方法が例示できる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、着色剤、高分子分散剤及び有機溶媒をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を樹脂と有機溶剤とともに混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な撹拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時にアニオン性樹脂を添加するようにしてもよい。
【0082】
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が20〜40mN/mであることが好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。また、本発明のインク組成物の粘度は、1〜20mPa・sが好ましく、3〜15mPa・sがより好ましい。粘度は、VISCOMETER TV−22(東機産業(株)製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定されるものである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避できる。さらにインク組成物の液滴着弾時におけるインク組成物の滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
【0083】
また、顔料を使用した場合、インク組成物中の顔料粒子の分散平均粒子径としては、体積平均粒径D50で50〜150nmが好ましく、60〜100nmがより好ましい。D50は、50nm以上であると、記録物の耐光性の点で適当であり、150nm以下であると、吐出性が良好であり、より解像度の高い精細な記録物が得られる。
これらは、前記有機溶媒の選択や他の成分の種類や量を適宜調整することにより容易に調整することができる。
【0084】
また、本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましく、23〜33mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では、35mN/m以下が好ましい。
【0085】
(インクジェット記録方法、及び、印刷物)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に熱を加え、前記インク組成物を定着する工程、を含むことを特徴とする。これらの工程を行うことで、被記録媒体上に定着したインク組成物による画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインク組成物を用いて記録された印刷物であり、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。
【0086】
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法における被記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
【0087】
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0088】
本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0089】
上記のインクジェット記録装置を用いて、インク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク組成物の粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
【0090】
インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、設定温度の±5℃であることが好ましく、設定温度の±2℃であることがより好ましく、設定温度±1℃であることが更に好ましい。
【0091】
次に、吐出されたインク組成物に熱を加え、前記インク組成物を定着する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により溶剤を蒸発させ、樹脂が含まれる場合には、樹脂を軟化させることによって被記録媒体表面に定着する。
【0092】
加熱手段としては、溶媒を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
【0093】
本発明のインクジェット記録方法には、本発明のインク組成物を含むインクセットを好適に使用することができる。例えば、イエロー色のインク組成物に、シアン色のインク組成物、マゼンタ色のインク組成物、ブラック色の組成物を組み合わせてインクセットとして使用することが例示できる。
本発明のインク組成物を使用してフルカラー画像を得るためには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりなる4色の濃色インク組成物を組み合わせたインクセットであることが好ましい。また、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物群と、ライトシアン、ライトマゼンタのインク組成物群と、を組み合わせたインクセットであることが更に好ましい。
なお、本発明における「濃色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の1.5重量%を超えているインク組成物を意味する。
【0094】
なお、本発明のインクジェット記録方法にてカラー画像を得るためには、各色のインク組成物(インクセット)を用い、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。具体的には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインク組成物からなるインクセットを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。さらに、ライトシアン、ライトマゼンタ色のインク組成物群と、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイト、イエローの濃色インク組成物群と、の計7色が少なくとも含まれるインクセットを使用する場合には、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
【0095】
本発明において、被記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の被記録媒体を使用することができる。被記録媒体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。中でも、本発明のインク組成物は密着性に優れるため、被記録媒体として非吸収性被記録媒体に対して好適に使用することができ密着性の観点から、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等のプラスチック基材が好ましく、ポリ塩化ビニル基材がより好ましく、ポリ塩化ビニルシート又はフィルムが更に好ましい。
【実施例】
【0096】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は重量基準である。
【0097】
実施例、比較例で使用した顔料分散物、インク組成物の素材を以下に示す。
【0098】
<着色剤>
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、C.I.Pigment Blue 15:3、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT355D(マゼンタ顔料、C.I.Pigment Violet 19、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW 4G01(イエロー顔料、C.I.Pigment Yellow 155、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、カーボンブラック、デグサ社製)
・KRONOS2300(ホワイト顔料、酸化チタン、KRONOS社製)
【0099】
<溶媒>
・プロピレンカーボネート(4−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、極性有機溶媒、日本曹達(株)製)
・エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン、極性有機溶媒、東亞合成(株)製)
・1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(極性有機溶媒、川研ファインケミカル(株)製)
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(極性有機溶媒、東邦化学工業(株)製)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(極性有機溶媒、東邦化学工業(株)製)
・トリエチレングリコールジメチルエーテル(極性有機溶媒、東邦化学工業(株)製)
・γ−ブチロラクトン(極性有機溶媒、BASFジャパン(株)製)
・N−メチル−2−ピロリドン(極性有機溶媒、三協化学(株)製)
・シクロヘキサン(非極性有機溶媒、BASFジャパン(株)製)
・ジオキサン(非極性有機溶媒、東京化成工業(株)製)
【0100】
<高分子分散剤>
・アジスパーPB821(ポリエステル系高分子分散剤、味の素(株)製)
・SOLSPERSE32000(ポリエステル系高分子分散剤、ルーブリゾール社製)
・SOLSPERSE36000(ルーブリゾール社製)
【0101】
<式(1)で表される化合物(特定化合物)>
・(1)−1(ビス(t−ブチルベンゼンスルホン酸)カルシウム)
・(1)−2(ビス(2−エチルヘキシルベンゼンスルホン酸)マグネシウム)
・(1)−3(ビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)カルシウム、Bayer AG社製)
・(1)−4(ビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)マグネシウム、Nanjing Chemlin Chemical Industry社製)
・(1)−5(ビス(オクタデシルベンゼンスルホン酸)マグネシウム、Nanjing Chemlin Chemical Industry社製)
【0102】
【化12】

【0103】
<式(2)で表される化合物(特定化合物)>
・(2)−1(ビス[2−スルホブタン二酸1,4−ビス(2−エチルヘキシル)]マグネシウム、竹本油脂(株)製)
・(2)−2(ビス(2−スルホブタン二酸1,4−ジ−t−ブチル)カルシウム)
・(2)−3(ビス(2−スルホブタン二酸1,4−ジドデシル)マグネシウム)
・(2)−4(ビス(2−スルホブタン二酸1,4−ジオクタデシル)マグネシウム)
【0104】
【化13】

【0105】
<式(1)又は式(2)で表される化合物以外の化合物(比較化合物)>
・C−1(t−ブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・C−2(オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、東京化成工業(株)製)
・C−3(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製)
・C−4(オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・C−5(2−スルホブタン二酸1,4−ジ−t−ブチルナトリウム)
・C−6(2−スルホブタン二酸1,4−ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウム、竹本油脂(株))
・C−7(2−スルホブタン二酸1,4−ジドデシルナトリウム)
・C−8(2−スルホブタン二酸1,4−ジオクタデシルナトリウム)
【0106】
【化14】

【0107】
上記式(1)又は式(2)で表される化合物、及び、比較化合物のうち、製造元の記載のない化合物は、公知の方法、又は、公知の方法を応用し、合成した。
【0108】
<樹脂>
・ELVACITE 2013(メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体、デュポン(株)製)
【0109】
<顔料分散物の作製>
下記の表1に示す配合で顔料分散物を作製した。なお、表1における配合量の各数値は、重量部を表す。
具体的には、撹拌機で均一になるまで撹拌し、得られた予備分散液を、さらに縦型ビーズミル(アイメックス(株)製レディーミル)で0.1mmジルコニアビーズを用いて3〜6時間分散し、顔料分散物A〜Sをそれぞれ作製した。
【0110】
【表1】

【0111】
(実施例1〜32、及び、比較例1〜10)
<インク組成物の調製>
得られた顔料分散物A〜Sを用い、下記表2〜6に示す組成の実施例1〜32、及び、比較例1〜10のインク組成物をそれぞれ調製した。なお、表2〜6における配合量の各数値は、重量部を表す。
次に、インクジェット記録装置として、市販のインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.社製SP−300V)を用意した。
得られた各インク組成物を上記インクジェットプリンタに装填し、ポリ塩化ビニルシートに画像を形成し、以下の各評価用の印刷物を得た。
得られた各インク組成物及び印刷物を使用し、以下の評価を行った。評価結果を表2〜6に示す。
【0112】
<インク組成物の保存安定性評価>
得られたインク組成物を容器に密封し、60℃で1週間経時させたのち、インク組成物の分離を観察した。以下の基準に従って評価した。
○:インク組成物に変化はなかった。
△:インク組成物はわずかに分離していたが軽く振ることで問題なく使える。
×:インク組成物は完全に分離していた。
【0113】
<密着性評価(クロスハッチテスト)>
基材との密着性評価方法としてクロスハッチテスト(JIS K 5600−5−6)を行った。上記インクジェット画像記録方法に従い、画像部の平均膜厚が12μmのベタ画像を描画した。
その後、各々の印刷物に対して、クロスハッチテストを実施した。なお、評価は、JIS K5600−5−6に従い、0〜5の6段階評価とした。ここで、評価0がカットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがないことを意味する。
【0114】
<インク乾燥性>
インク乾燥性の評価として、以下の耐ブロッキング性と膜強度評価とを実施した。
【0115】
〔耐ブロッキング性評価(重ね合わせた基材への転写量評価)〕
上記インクジェット画像記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行った後、印刷物の硬化膜全体が覆われるよう、未印刷のエステルフィルムE5000を硬化膜上部に重ね、さらに上部から0.200g/cm2の加重を加え、30℃雰囲気下で1日放置した。また、耐ブロッキング性は、以下の基準で評価した。
4:上部フィルムへの転写、及び、張り付きがなかった。
3:上部フィルムへの転写が全フィルム面積の1%未満であった。
2:上部フィルムへの転写が全フィルム面積の1%以上5%以下であった。
1:上部フィルムへの転写が全フィルム面積の5%以上であった。
【0116】
〔膜強度評価(鉛筆硬度試験)〕
膜強度を評価する方法として、鉛筆硬度試験(JIS K 5600−5−4)を行った。上記インクジェット画像記録方法に従い、画像部の平均膜厚が12μmのベタ画像を描画した。
装置として、HEIDON HHS2000(新東科学(株)製)を用い、加重は750g、操作速度0.2mm/secとし、20mmの操作を行った。
【0117】
<吐出安定性評価>
上記インクジェットプリンタを用いて、ヘッドから30分間吐出し、停止後、5分間経過した後に記録媒体上にベタ画像及び細線を記録して得られた画像(5cm×5cm)を観察した。観察した画像を下記の評価基準に従って目視により評価した。
A:白抜けの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
B:白抜けの発生等によるドット欠けの発生がわずかに認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
C:白抜けの発生等によるドット欠けの発生があるが、実用に耐えないほどの画像ではなかった。
D:白抜けの発生等によるドット欠けの発生が多く、実用に耐えない画像であった。
【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性有機溶剤と、
下記式(1)又は式(2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有することを特徴とする
インク組成物。
【化1】

(式(1)及び式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、炭素原子数4〜18のアルキル基を表し、M1及びM2はそれぞれ独立に、Ca又はMgを表す。)
【請求項2】
前記式(1)及び式(2)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記極性有機溶剤が、下記式(3)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載のインク組成物。
【化2】

(式(3)中、R7及びR8はそれぞれ独立に、−NR10−又は酸素原子を表し、R9は−Cmn−で表される炭化水素基を表し、分岐を有していてもよく、mは2〜8の整数を表し、nは(2m−4)、(2m−2)又は2mのいずれかの整数を表し、R10は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は水素原子を表す。)
【請求項4】
前記極性有機溶剤が、環状炭酸エステル化合物、及び/又は、環状ウレア化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記極性有機溶剤が、プロピレンカーボネート、及び/又は、エチレンカーボネートを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記極性有機溶剤の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、50〜90重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項7】
着色剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記R1〜R6がそれぞれ独立に、炭素原子数8〜12のアルキル基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
溶媒として、前記極性有機溶媒のみを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項10】
被記録媒体上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
吐出されたインク組成物に熱を加え、前記インク組成物を定着する工程、を含むことを特徴とする
インクジェット記録方法。

【公開番号】特開2011−63735(P2011−63735A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216430(P2009−216430)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】