説明

インク組成物、画像形成方法、及び印画物

【課題】得られる印画物の臭気が抑制され、硬化性、特に、薄膜としたときの硬化性や、ブロッキング耐性に優れ、かつ分散安定性にも優れたインク組成物、及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】(a)顔料と、(b)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体と、(c)重合性化合物と、(d)ベンゾフェノン誘導体とを含むことを特徴とするインク組成物。


[一般式(1)において、Ra1は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、−COO−、−CONRa4−、又はフェニレン基を表し、Ra4は、水素原子又はアルキル基を表す。Bは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Tは単結合、−O−、または、−NRa5−を表し、Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。Ra2、Ra3はそれぞれ独立に、アルキル基である。Ra2、Ra3は互いに結合して環を形成してもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録に好適なインク組成物、及びこれを用いた画像形成方法に関し、さらには、該画像形成方法により得られる印画物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像データ信号に基づき、記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、騒音が少なく、非常に微小な液滴を打滴することにより、高精彩な画像を低いランニングコストで記録できるといった利点をも有するものである。
【0003】
インクジェット記録方法に好適なインク組成物として、顔料、重合性化合物、及び重合開始剤を含み、紫外線等の活性エネルギーによりインク組成物を硬化させて画像を形成させるインク組成物が提供されている。例えば、特許文献1には、N−ビニルラクタム類の含有量、及びN−ビニルラクタム類と重合開始剤との比率を特定の範囲とすることで、基材への密着性、及び得られる画像の柔軟性を高めたインク組成物が開示され、重合開始剤としてベンゾフェノン化合物を併用することが開示されている。また、特許文献2には、顔料の分散剤として、アミド官能基を有するグラフトポリマーを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−19408号公報
【特許文献2】特表2003−517063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の各技術では、得られる印画物の臭気の抑制、インク組成物の硬化性、特に、薄膜としたときの硬化性や、ブロッキング(画像面同士、あるいは、画像面と基材とが接触して経時した際に局部的に画像が貼り付いて剥がれない現象)に対する耐性を向上する観点からは、何ら検討がなされていない。また、インク組成物を長期保存した場合でも、顔料を安定に分散させることができる分散安定性の向上の観点で、更なる改良が求められていた。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、得られる印画物の臭気が抑制され、インク組成物の硬化性、特に、薄膜としたときの硬化性や、ブロッキング耐性において優れた効果が得られるとともに、分散安定性にも優れたインク組成物、及びそれを用いた画像形成方法、並びに印画物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> (a)顔料と、(b)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体と、(c)重合性化合物と、(d)ベンゾフェノン誘導体とを含むことを特徴とするインク組成物である。
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(1)において、Ra1は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、−COO−、−CONRa4−、又はフェニレン基を表し、Ra4は、水素原子又はアルキル基を表す。B1は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Tは単結合、−O−、または、−NRa5−を表し、Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。Ra2、Ra3はそれぞれ独立に、アルキル基である。Ra2、Ra3は互いに結合して環を形成してもよい。
【0010】
<2> 前記(b)重合体が下記一般式(2)で表される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする<1>に記載のインク組成物である。
【化2】

【0011】
一般式(2)において、Rb1は、水素原子又はメチル基を表す。Jは、単結合、−CO−、−COO−、−CONRb2−、−OCO−、又はフェニレン基を表し、Rb2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を表す。Wは単結合又は2価の連結基を表す。Pは縮合環残基を表す。
【0012】
<3> 前記一般式(2)におけるPが、キナクリドン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン、フタルイミド、又はナフタルイミドから水素原子を1つ除いた残基であることを特徴とする<2>に記載のインク組成物。
【0013】
<4> 前記(b)重合体が脂肪族アミノ基を有する繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
【0014】
<5> インク組成物中における前記(d)ベンゾフェノン誘導体の含有量が1〜10質量%であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
【0015】
<6> インク組成物中における前記(b)重合体が含む一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量(α)と、前記(d)ベンゾフェノン誘導体の含有量(β)との質量比(α/β)が、0.05〜1.0であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
【0016】
<7> 前記(d)ベンゾフェノン誘導体は、下記一般式(5)で表されることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに1項に記載のインク組成物である。
【0017】
【化3】

【0018】
〔Rc1〜Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又は、フェニルスルファニル基である。Rc1とRc2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【0019】
<8> さらに、前記(d)ベンゾフェノン誘導体以外の(e)重合開始剤を含むことを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
【0020】
<9> インクジェット用であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに1項に記載のインク組成物である。
【0021】
<10> <1>〜<9>のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット法により記録媒体上に付与するインク付与工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【0022】
<11> <10>の画像形成方法により得られることを特徴とする印画物である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、得られる印画物の臭気が抑制され、インク組成物の硬化性、特に、薄膜としたときの硬化性や、ブロッキング耐性において優れた効果が得られるとともに、分散安定性にも優れたインク組成物、及びそれを用いた画像形成方法、並びに印画物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のインク組成物、画像形成方法、及び印画物について詳細に説明する。
【0025】
[インク組成物]
本発明のインク組成物は、(a)顔料と、(b)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体と、(c)重合性化合物と、(d)ベンゾフェノン誘導体とを含む。また、本発明のインク組成物は、必要に応じてその他の成分を含有して構成される。
【0026】
【化4】

【0027】
一般式(1)において、Ra1は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、−COO−、−CONRa4−、又はフェニレン基を表し、Ra4は、水素原子又はアルキル基を表す。B1は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Tは単結合、−O−、または、−NRa5−を表し、Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。Ra2、Ra3はそれぞれ独立に、アルキル基である。Ra2、Ra3は互いに結合して環を形成してもよい。
【0028】
本発明のインク組成物は、一般式(1)で表される繰り返し単位を重合体中に多数含むことから、一般式(1)中の芳香族アミノ基部位と、顔料とが酸−塩基相互作用を効率よく形成して、吸着性が向上し、かつ顔料を微細な状態で長時間安定に分散することができると推定される。
また、一般式(1)の構造を重合体中に含むことから、インク組成物を硬化させ、硬化膜を形成しても、該硬化膜中で比較的分子量の高い状態のまま存在することができるため、硬化膜を軟化させる、いわゆる、可塑剤としての作用が小さく、硬化度の高い硬化膜を得ることができる。したがって、ブロッキング(画像面同士、あるいは、画像面と基材とが接触して経時した際に局部的に画像が貼り付いて剥がれない現象)に対する耐性が向上するものと考えられる。
さらに、前記(b)重合体が、硬化膜中で重合性化合物の反応の進行の度合いに関わらず、比較的分子量の高い状態のまま存在するため、揮発しにくく、得られる印画物の臭気を抑制できるものと推定される。
【0029】
さらに、(d)ベンゾフェノン誘導体は、水素引き抜き型の重合開始剤として、光還元を受けてラジカルを発生する。また、酸素による重合阻害を受けたラジカル重合末端には、酸素が付加したパーオキサイドラジカルが生じているが、このパーオキサイドラジカル(低活性のラジカル重合末端)は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位中のRa2−N−Ra3基に含まれるアルキル基(Ra2、及びRa3)から水素を引き抜き、炭素ラジカルに再活性化することができる。したがって、酸素の重合阻害を受けやすい膜表面の硬化性を高めると推定される。
なお、前述の各メカニズムは、推定であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
以下、本発明のインク組成物における各成分について詳述する。
【0031】
<(a)顔料>
本発明のインク組成物は、(a)顔料を必須成分として含む。本発明のインク組成物が含有する(a)顔料に特に制限はなく、目的に応じて公知の種々の顔料を適宜選択して用いることができる。
【0032】
本発明のインク組成物が含有する(a)顔料としては、一般に用いられる有機顔料、無機顔料を用いることができる。通常、市販されている顔料はいずれも使用でき、さらに、市販の顔料分散物や表面処理剤などで予め処理された顔料も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
【0033】
(a)顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、橋本勲著「有機顔料ハンドブック」(2006年刊)、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報等に記載の顔料が挙げられる。
【0034】
前記有機顔料としては、例えば、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、緑色顔料、オレンジ顔料、茶色顔料、バイオレット顔料、黒色顔料などが挙げられる。
【0035】
前記イエロー顔料は、イエロー色を呈する顔料であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非ベンジジン系アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料、ピラゾロン顔料、アセトロン顔料、金属錯塩顔料、ニトロソ顔料、金属錯体アゾメチン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料などが挙げられる。これらのうち、本発明で好ましく使用できる顔料として、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、PYと略称する)1、PY3、PY12、PY13、PY14、PY16、PY17、PY18、PY24、PY60、PY74、PY83、PY93、PY94、PY95、PY97、PY100、PY109、PY110、PY115、PY117、PY120、PY128、PY138、PY139、PY150、PY151、PY153、PY154、PY155、PY166、PY167、PY173、PY175、PY180、PY181、PY185、PY194、PY213、PY214、PY219等が挙げられる。中でも、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アセトロン顔料等のベンズイミダゾロン顔料、イソインドリンが好ましく、PY74、PY120、PY150、PY151、PY155、PY180、PY185が好ましい。
【0036】
前記マゼンタ顔料は、赤あるいはマゼンタ色を呈する顔料であり、例えば、モノアゾ系顔料、β−ナフトール顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、アリザリンレーキ顔料、ナフトロン顔料、ナフトールAS系レーキ顔料、ナフトールAS顔料、ジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。
これらのうち、本発明で好ましく使用できる顔料として、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、PRと略称する)1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6、PR21、PR38、PR42、PR46、PR53:1、PR57:1、PR52:1、PR46、PR48、PR81、PR83、PR88、PR144、PR149、PR166、PR179、PR178、PR190、PR224、PR123、PR224、PR19、PR122、PR202、PR207、PR209、PR180、PR83、PR170、PR171、PR172、PR174、PR175、PR176、PR177、PR179、PR185、PR194、PR208、PR214、PR220、PR221、PR242、PR247、PR254、PR255、PR256、PR262、PR268、PR264、PR269、PR272、PR282、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。中でもキナクリドン顔料が好ましく、PR42、PR122、PR202、PR209、PR282、C.I.ピグメントバイオレット(以下、PVと略称する)19などの、無置換キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン、およびこれらの混晶が好ましい。
【0037】
前記シアン顔料は、青あるいはシアン色を呈する顔料であり、ジスアゾ系顔料、フタロシアニン顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン系顔料、アルカリブルー顔料等が挙げられる。本発明で好ましく使用できる顔料としては、C.I.ピグメントブルー(以下、PBと略称する)1、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PB18、PB24、PB25、PB60、PB79等が挙げられる。この中でも銅フタロシアニン顔料が好ましく、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、が好ましい。
【0038】
前記緑色顔料は、緑色を呈する顔料であり、フタロシアニン顔料や金属錯体顔料などが挙げられる。本発明で好ましく使用できる顔料としては、C.I.ピグメントグリーン(以下、PGと略称する)7、PG8、PG10、PG36などが挙げられる。
【0039】
前記オレンジ顔料は、オレンジ色を呈する顔料であり、例えば、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、Β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、イソインドリノン顔料、ペリノン顔料、ジスアゾ顔料、キナクリドン顔料、アセトロン顔料、ピラゾロン顔料などが挙げられる。本発明で好ましく使用できる顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ(以下、POと略称する)2、PO3、PO4、PO5、PO13、PO15、PO16、PO22、PO24、PO34、PO36、PO38、PO43、PO48、PO49、PO51、PO55、PO60、PO61、PO62、PO64、PO66、PO72、PO74等が挙げられる。
【0040】
前記茶色顔料は、茶色を呈する顔料であり、例えばPBr25、PBr32等のナフトロン顔料等が挙げられる。
前記バイオレット顔料は紫色を呈する顔料であり、例えばナフトロン顔料、ペリレン顔料、ナフトールAS顔料、ジオキサジン顔料等が挙げられる。本発明で好ましく使用できる顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット(以下、PVと略称する)13、PV17、PV23、PV29、PV32、PV37、PV50等が挙げられる。
【0041】
前記黒色顔料は、黒色を呈する顔料であり、例えば、カーボンブラック、インダジン顔料、ペリレン顔料等が挙げられ、本発明では、C.I.ピグメントブラック(以下、PBkと略称する)1、PBk7、PBk31、PBk32等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いる(a)顔料の平均粒径は小さいほど発色性に優れるため、体積平均粒径が0.01μm以上0.4μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.02μm以上0.3μm以下の範囲である。また、顔料粒子の最大粒径は3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
【0043】
インク組成物中における(a)顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。なお、上記(a)顔料の体積平均粒径の数値は、レーザー回折・散乱法を用いて得られる値であり、具体的には測定装置としてLA−920(堀場製作所製)を用い、トリプロピレングリコールメチルエーテルを測定溶媒として測定した値である。
【0044】
本発明において、(a)顔料の含有量は、インク組成物中、固形分換算で0.1質量%以上30質量%以下添加されることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0045】
これらの(a)顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジェナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の公知の分散装置をいずれも用いることができる。
【0046】
<(b)一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体>
本発明のインク組成物は、(b)一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有する。
前記(b)重合体は、前記(a)顔料の分散剤として用いられる。
【0047】
【化5】

【0048】
一般式(1)式において、Ra1は、水素原子又はメチル基を表す。
【0049】
Aは、−COO−、−CONRa4−、又はフェニレン基を表し、Ra4は、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基は、炭素数1〜4であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。これらの中でも、Aは、−COO−、又は、フェニレン基であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
【0050】
1は炭素数1〜10のアルキレン基である。前記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。また、置換基を有していても、無置換であってもよい。
【0051】
1としての前記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、が挙げられる。前記アルキレン基としては、無置換または水酸基で置換されていることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜8の無置換のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜3の無置換のアルキレン基である。
【0052】
Tは単結合、−O−、または、−NRa5−を表し、Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、前述のRa4と同一の例を挙げることができる。これらの中でも、単結合、又は−O−であることが好ましく、−O−であることがより好ましい。
【0053】
a2、Ra3はそれぞれ独立に、アルキル基である。Ra2、Ra3は互いに結合して環を形成してもよい。アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。また、置換基を有していても、無置換であってもよく、アルキル基中に−O−結合、−NH−結合を有していてもよい。炭素数1〜4のアルキル基としては、前述のRa4と同一の例をあげることができる。
【0054】
a2、Ra3としての前記アルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子を含む基(好ましくは、炭素数1〜4)が挙げられる。
【0055】
a2、Ra3が互いに結合して環を形成する場合には、Ra2、Ra3が結合する窒素原子と併せて、環を形成し、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環を形成しても良い。
【0056】
これらの中でも、Ra2、Ra3としては、炭素数1〜4の無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基)であることが好ましく、Ra2、Ra3が、ともにメチル基であることがより好ましい。
【0057】
前記(b)重合体中における一般式(1)の繰り返し単位の含有量は、2質量%〜35質量%が好ましく、5質量%〜30質量%がより好ましい。一般式(1)の含有量をこの範囲にすることによって、本発明の効果をより向上することができる。
【0058】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を与えるモノマー(単量体)としては、例えば以下のものを例示することができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。これらの化合物は例えば、EP2033949A1号公報などを 参考に合成することができる。
【0059】
【化6】

【0060】
本発明のインク組成物に用いられる前記(b)重合体は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に加え、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む事が好ましい。上記一般式(2)で表される繰り返し単位を併用することで、(a)顔料と(b)重合体との親和性(吸着性)をより高めることができる。
【0061】
【化7】

【0062】
一般式(2)において、Rb1は、水素原子又はメチル基を表す。
【0063】
Jは、単結合、−CO−、−COO−、−CONRb2−、−OCO−、又はフェニレン基を表し、Rb2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を表す。
【0064】
b2がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基があげられる。
【0065】
b2がアリール基である場合、好ましくは、前記アリール基の炭素数は6〜20であり、6〜14であることがより好ましい。Rb2のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、−C−CO−C、ナフチル基等を挙げることができる。
【0066】
b2がアリールアルキル基である場合、好ましくは、前記アリールアルキル基の炭素数は7〜20であり、7〜14であることがより好ましい。Rb2のアリールアルキル基の具体例としては、−C−C、−C−C−C、−CH−C−C−C等を挙げることができる。
【0067】
これらの中でも、Rb2としては、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0068】
また、Jとしては、これらの中でも、−COO−、−CONH−、又はフェニレン基であることが好ましく、−COO−、又はフェニレン基であることがより好ましく、フェニレン基であることが特に好ましい。
【0069】
は単結合又は2価の連結基を表す。Wで表される2価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数7〜13のアリールアルキレン基、又はアリーレン基であることが好ましい。前記アルキレン基、及びアリールアルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。また、置換基を有していても、無置換であってもよい。有していてもよい前記置換基としては、水酸基、ハロゲン原子等があげられる。
【0070】
が炭素数1〜10のアルキレン基である場合、無置換であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4の無置換のアルキレン基である。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基等を例示することができ、中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基等は特に好ましい。
【0071】
が炭素数7〜13のアリールアルキレン基である場合、炭素数7〜10であることがより好ましい。アリールアルキレン基の具体例としては、−C−C等を挙げることができる。
【0072】
がアリーレン基であるとき、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。中でもフェニレン基は特に好ましい。
【0073】
また、Wで表される2価の連結基中には、イミノ結合(−NH−)、アミド結合(−CONH−)、エステル結合(−COO−又は−OCO−)、エーテル結合(−O−)、スルホンアミド結合(−NHSO−又は−SONH−)、ウレタン結合(−NHCOO−又は−OCONH−)、ウレイレン結合(−NHCONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、又は複素環を有する基(具体的には、トリアジン、イソシアヌル酸、ピペラジン等の複素環から水素原子を2つ除いた基)、が結合基として介在していてもよい。
【0074】
これらの中でも、Wとしては、単結合、又は炭素数1〜4の無置換または水酸基で置換されたアルキレン基であることが好ましい。
【0075】
は縮合環残基を表す。Pで表される縮合環残基としては、複素環、芳香環または環状ケトンが2〜5個縮環した縮合環から水素原子を1つ除いた残基をあげることができる。
【0076】
前記縮合環残基は、置換基を有していても、無置換であってもよい。Pとしての縮合環残基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、又は塩素原子)を含む基、オキソ基、等をあげることができる。これらの中で、好ましい置換基としては、オキソ基をあげることができる。
【0077】
で表される縮合環残基としては、具体的には、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール等の環状化合物が縮環した縮合環から水素原子を一つ除いた基、キサンテン、ベンズイミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、キナクリドン、アントラキノン、フタルイミド、キナルジン、キノフタロン、ナフタルイミド等の縮合環から、水素原子を一つ除いた基を好ましい例としてあげることができる。
【0078】
これらの中でも、2つ以上の複素環が縮環した縮合環残基がより好ましく、例えば、ベンズイミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、キナクリドン、アントラキノン、フタルイミド、キナルジン、キノフタロン、ナフタルイミド等の縮合環から、水素原子を一つ除いた基を例示できる。
【0079】
本発明では、Pとして、キナクリドン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン、フタルイミド、又はナフタルイミドからなる群から選ばれる何れかの縮合環から、水素原子を一つ除いた基が特に好ましく、アクリドン、アントラキノン、フタルイミド、カルバゾール又はナフタルイミドが最も好ましい。
【0080】
また、Pで表される縮合環残基は、使用する(a)顔料に含まれる縮合環と同一、又は類似の構造を選択すれば、(a)顔料との親和性をより高めることができ、好ましい。例えば、前記(a)顔料として、キナクリドン系顔料を用いる場合、Pとしては、キナクリドン、アクリドン、又はアントラキノン等の縮合環から水素原子を1つ除いた残基とすればよい。
【0081】
上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む前記(b)重合体は、一般式(2)で表される繰り返し単位を与えるモノマーを均一系の重合反応により導入して合成すれば、重合体中に所望の組成比で安定的に導入することができる。
【0082】
上記一般式(2)で表される繰り返し単位は2種以上を含んでいてもよく、その含有量は、顔料への吸着性と分散媒および重合溶媒への溶解性の観点から、(b)重合体の全体に対し合計で2質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下が最も好ましい。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位を与えるモノマーの好適な具体例としては、例えば、以下に示すモノマー(例示モノマー:M−1〜M−19)が挙げられる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
【化8】



【0084】
【化9】



【0085】
【化10】



【0086】
前記(b)重合体は前記一般式(1)の繰り返し単位、及び必要により加えられる一般式(2)の繰り返し単位の他に、さらに、脂肪族アミノ基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。脂肪族アミノ基を有する繰り返し単位を含むことにより、顔料との相互作用を高めることができる。
【0087】
本発明に用いられる脂肪族アミノ基を有する重合体は、例えば、(b)重合体を製造する際に脂肪族アミノ基とエチレン性二重結合とを有するモノマーをコモノマーとして使用することで、製造することができる。脂肪族アミノ基とエチレン性二重結合とを有するモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1、1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びt−ブチルアミノエチルメタクリレート(以上(メタ)アクリレート類);2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド、及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド(以上アミノアルキル(メタ)アクリルアミド類)。これらのうち、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0088】
上記脂肪族アミノ基とエチレン性二重結合とを有するモノマーに由来する繰り返し単位の組成比は、顔料への吸着性と分散媒および重合溶媒への溶解性の観点から、(b)重合体の全量に対し2質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が最も好ましい。
【0089】
前記(b)重合体は、さらに、他の繰り返し単位を有していてもよい。例えば、(b)重合体は、末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性のオリゴマー(以下、単に「マクロモノマー」と称する。)に由来する繰り返し単位をさらに含むグラフト共重合体であることが特に好ましい。
【0090】
マクロモノマーに由来する繰り返し単位を含む(b)重合体は、マクロモノマーの溶媒に対する高い親和性により、顔料をより安定に分散させることができる。マクロモノマーの溶媒への親和性は、例えばHOYにより提唱された溶解性パラメーターにより見積もることができる。(例えば、「ジャーナルオブペイントテクノロジー」1970年、42巻、76−78ページを参照。)
【0091】
溶質と溶媒の溶解性パラメーターδtの値が近い場合、溶質の溶媒への溶解性が良いとされることから、マクロモノマーの溶解性パラメーターは、液体媒体の溶解性パラメーターの80%から120%の範囲であることが好ましく、85%から115%の範囲がより好ましい。マクロモノマーの溶解性パラメーターの好適な範囲は、本発明のインク組成物においても同様である。溶解性パラメーターの値がこの範囲であれば、マクロモノマーの構造は特に限定されない。マクロモノマーの溶解性パラメーターがこの範囲であることで、インク組成物に含有される顔料の分散安定性がより優れたものとなる。
【0092】
マクロモノマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端にのみ有することが、所望のグラフト重合体を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
マクロモノマーにおけるポリマー鎖部分は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びブタジエンからなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体若しくは共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はポリカプロラクトンであることが一般的である。
【0093】
マクロモノマーは、下記一般式(3)で表されるマクロモノマーであることが好ましい。
【0094】
【化11】



【0095】
一般式(3)中、R11及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R12は、炭素原子数1〜12の直鎖、又は分岐のアルキレン基(好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基であり、置換基(例えば水酸基)を有していてもよく、さらにエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、アミド結合等を介して連結していてもよい)を表す。
Yは、フェニル基、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するフェニル基、又は−COOR14を表す。但し、R14は、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜10のアリールアルキル基を表す。Yとしては、フェニル基、又はR14が炭素原子数1〜12のアルキル基である−COOR14であることが好ましい。
qは15〜200を表し、好ましくは20〜150であり、より好ましくは20〜100である。
【0096】
マクロモノマーの好ましい例としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−イソブチル(メタ)アクリレート、又はポリスチレンの分子末端の一個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーを挙げることができる。市場で入手できるこのような重合性オリゴマーとしては、例えば、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)、又は片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0097】
マクロモノマーとしては、前記一般式(3)で表されるマクロモノマーだけでなく、下記一般式(4)で表されるマクロモノマーも好ましい。
【0098】
【化12】



【0099】
上記一般式(4)中、R21は水素原子又はメチル基を表し、R22は、炭素数1〜8の直鎖、又は分岐のアルキレン基を表す。X21は、−OR23又は−OCOR24を表す。ここで、R23及びR24は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは2〜200を表す。
【0100】
21は、水素原子又はメチル基を表す。
22は、炭素数1〜8の直鎖、又は分岐のアルキレン基を表し、中でも、炭素数1〜6の直鎖、又は分岐のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
21が−OR23を表す場合、R23は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基であることが好ましい。X21が−OCOR24を表す場合、R24は、炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましい。
nは、2〜200を表し、5〜150が好ましく、10〜100が特に好ましい。
【0101】
一般式(4)で表されるマクロモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
【0102】
一般式(4)で表されるマクロモノマーは、前記したように市販品としても入手可能である。市販品としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:NKエステルM−40G,M−90G,M−230G(以上、新中村化学(株)製)、ブレンマーPME−100,PME−200,PME−400,PME−1000,PME−2000、PME−4000(以上、日本油脂(株)製))、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、日本油脂(株)製)、ラウリロキシポリエチレングリコールアクリレート(商品名:ブレンマーALEシリーズ、日本油脂(株)製)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000,日本油脂(株)製)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー70PEP−370B,日本油脂(株)製)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー55PET−800,日本油脂(株)製)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーNHK−5050,日本油脂(株)製)などが挙げられる。
【0103】
これらの中で、特に一般式(3)で表されるマクロモノマーが好ましく、一般式(3)において、R11、R13がメチル基、Yが−COOR14であって、R14が炭素数1〜6のアルキル基である場合が特に好ましい。マクロモノマーは、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20000の範囲にあることが好ましく、特に、2000〜15000の範囲が好ましい。
(b)重合体中に含まれるマクロモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、(b)重合体の全量に対して、40質量%以上95.5質量%以下が好ましく、50質量%以上92.5質量%以下がより好ましく、55質量%以上90質量%以下が最も好ましい。前記(b)重合体におけるマクロモノマーに由来する繰り返し単位の割合が、この範囲にあることで、液体媒体への親和性が向上し、(b)重合体の(a)顔料に対する吸着性をより高めることができる。
【0104】
以下に、本発明において好ましく用いられるマクロモノマーの具体例を示す。尚、本発明はこれに限るものではない。
【0105】
【化13】



【0106】
(b)重合体は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を与えるモノマー、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を与えるモノマー、脂肪族アミノ基とエチレン性二重結合を有するモノマー、及び前述のマクロモノマーと、さらに、該マクロモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。該共重合可能な他のモノマーの例としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)、不飽和カルボン酸(例、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸)、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾールなど)、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、ビニルエーテル(シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニル及び脂肪族共役ジエン(例、1、3−ブタジエン及びイソプレン)を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステルが好ましい。
【0107】
前記(b)重合体が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位、前記一般式(2)で表される繰り返し単位、脂肪族アミノ基とエチレン性二重結合を有するモノマー、及び前記マクロモノマーに由来する繰り返し単位の他に、上記の共重合可能な他のモノマーに由来する繰り返し単位を有する場合、当該他のモノマーに由来する繰り返し単位を、(b)重合体の質量に対して、30質量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0108】
前記(b)重合体の好ましい重量平均分子量(Mw)は、顔料の分散安定性及び顔料分散物の粘度の観点から、10000以上300000以下の範囲が好ましく、特に15000以上200000以下の範囲が好ましい。ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(キャリア:リチウムブロミド1mM含有N−メチルピロリドン)により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0109】
本発明のインク組成物は、前記(b)重合体を1種のみ含んでもよく、2種以上を併用してもよい。インク組成物中における(b)重合体の含有量は、(a)顔料100質量部に対し、5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。
【0110】
なお、本発明のインク組成物には、効果を損なわない限りにおいて、前記(b)重合体に加えて、公知の顔料分散剤を併用することができる。その添加量としては、(b)重合体100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましい。さらに、必要に応じて分散助剤として、各種(a)顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、(a)顔料100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
【0111】
<分散媒>
本発明のインク組成物において、(a)顔料などの諸成分を分散させる際に使用する分散媒としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、溶剤を分散媒としてもよいし、溶剤を使用せずに後述する(c)重合性化合物自体を分散媒として用いてもよい。さらに、溶剤と(c)重合性化合物とを併用して分散媒としてもよい。
分散媒として溶剤を用いる場合、該溶剤としては、公知のアルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが好ましく用いられる。具体的には、アルキレンオキシドモノアルキルエーテル、アルキレンオキシドモノアルキルエーテルアセテート、アルキレングリコールジアセテート、ジカルボン酸ジエアルキルエステル、(メタ)アクリレート類、ジビニルエーテル類などが好ましい。
【0112】
<水>
また、本発明のインク組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、極微量の水を含んでいてもよいが、実質的に水を含有しない、非水性インク組成物であることが好ましい。具体的には、インク組成物全量に対して、水の含有量は3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。
【0113】
<(c)重合性化合物>
本発明のインク組成物は、(c)重合性化合物を含有する。本発明のインク組成は、溶剤を使用せず(いわゆる、無溶剤)に(c)重合性化合物、そのものを分散媒として用いることが好ましい。その場合、(c)重合性化合物としては、低粘度(例えば粘度が30mPa・s以下)のものを用いることが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、極少量の溶剤を用いてもよい。
【0114】
(c)重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述する(d)ベンゾフェノン誘導体(重合開始剤)と(b)重合体との間の相互作用で生じる開始種により重合反応を生起する、ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましい。
【0115】
(c)重合性化合物は、1種又は複数を混合して用いることができる。また、(c)重合性化合物は、単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。単官能化合物の割合が大きいと硬化物は柔軟なものになりやすく、多官能化合物の割合が大きいと硬化性に優れる傾向がある。従って、単官能化合物と多官能化合物の割合は用途に応じて任意に決定されるものである。
【0116】
(c)重合性化合物としては、例えば、光ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を生じる各種公知のラジカル重合性のモノマーを使用することもできる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、N−ビニル化合物、ビニルエーテル等のビニル化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方、或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0117】
これらの例としては、たとえば、例えば特開2008−208190号公報や同2008−266561号公報に記載の(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、スチレン化合物、N−ビニル化合物などが挙げられる。
これらのうち、本発明においては、ラジカル重合性モノマーとして、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、から選ばれる1種または複数のモノマーを用いることが好ましい。硬化速度、インク組成物の粘度、印画サンプルの膜物性の観点から重合性官能基を複数有する多官能の重合性モノマーと単官能の重合性モノマーとを併用することも好ましい。
【0118】
本発明のインク組成物中における(c)重合性化合物の含有量は、インク組成物の全量に対し、50質量%以上95質量%以下が好ましく、より好ましくは55質量%以上92質量%以下である。
【0119】
<(d)ベンゾフェノン誘導体>
本発明のインク組成物は、(d)ベンゾフェノン誘導体を含む。本発明では、(d)ベンゾフェノン誘導体を重合開始剤として用いる。前記(d)ベンゾフェノン誘導体を含有することによって、活性エネルギー線により速やかに硬化し、かつ本発明の効果を得ることができる。
【0120】
ここで活性エネルギー線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。これらのうち、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線又は電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、活性エネルギー線として、紫外線を照射することにより硬化可能なものが好ましい。紫外線を発生させる光源としては、300nm〜400nmに発光波長を有するものが好ましく、公知の紫外線ランプである低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ショートアーク放電ランプ、紫外線発光ダイオード、半導体レーザー、蛍光灯などを使用することができ、開始剤に適した光量や波長により、高圧放電ランプに属する高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、ショートアーク放電ランプに属するキセノンランプが好ましく用いられる。また、省エネルギーの観点から紫外線発光ダイオードも好ましく用いられる。
【0121】
(d)ベンゾフェノン誘導体としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK (1993)、p77〜117や、特公昭47−6416記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、が好ましく挙げられる。中でも、250nm〜380nmの範囲の紫外光で励起され、前記(b)重合体から水素原子を引き抜き抜いて、ラジカル種を発生させる化合物、または前記(b)重合体とエキサイプレックスを形成し、電子移動とプロトン移動によりラジカル種を発生できる化合物が好ましい。下記にベンゾフェノン誘導体の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
本発明に用いられるベンゾフェノン誘導体としては下記一般式(5)で表されるベンゾフェノン化合物が好ましい。
【化14】

【0123】
c1〜Rc4としては、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又は、フェニルスルファニル基である。Rc1とRc2は互いに結合して環を形成してもよい。
【0124】
c1〜Rc4のアルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基があげられる。また、前記アルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよい。
【0125】
c1〜Rc4のアルキルオキシ基としては、炭素数6〜10であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。また、前記アルキルオキシ基は、置換基を有していても、無置換であってもよい。
【0126】
c1〜Rc4としてのアルキル基、又はアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルオキシ基、アルキルエステル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アリル基、ビニルフェニル基等が挙げられる。
【0127】
c1〜Rc4のアルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などがあげられる。
また、前記アルキルオキシカルボニル基は、置換基を有していても、無置換であってもよい。
前記アルキルオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としては、前述のRc1〜Rc4としてのアルキル基、又はアルキルオキシ基が有していてもよい置換基と同一の例をあげることができるが、特に、炭素数1〜4のアルキルオキシ基で置換されたアルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0128】
c1〜Rc4のフェニルスルファニル基(フェニルチオ基ともいう)は、置換基を有していても、無置換であってもよい。前記フェニルスルファニル基が有していてもよい置換基としては、前述のRc1〜Rc4としてのアルキル基、又はアルキルオキシ基が有していてもよい置換基と同一の例をあげることができるが、置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0129】
c1とRc2とが互いに結合して環を形成する場合には、5〜7員環であることが好ましく、脂環でも芳香環であってもよい。
【0130】
これらの中で、Rc1〜Rc4としては、水素原子、メチル基、フェニルスルファニル基、メトキシカルボニル基が好ましく、Rc1〜Rc4が全て水素原子(すなわち、無置換体)あることが最も好ましい。
【0131】
本発明に好ましく用いられるベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−アリルジメチルアンモニウムメチルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン(ダイセルサイテック製EbecrylP36)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オンなどが好ましく用いられる。
【0132】
本発明に用いる(d)ベンゾフェノン誘導体は、2種以上を併用してもよい。前記(d)ベンゾフェノン誘導体のインク組成物中における含有量は1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が最も好ましい。この範囲に設定することにより、本発明の効果をより向上することができる。
【0133】
本発明に用いられるインク組成物中における前記(b)重合体が含む一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量(α)と、前記(d)ベンゾフェノン誘導体の含有量(β)との質量比(α/β)は、硬化性向上の観点から、0.05〜1.0であるであることが好ましく、0.1〜1.0であることがより好ましく、0.2〜1.0であることが最も好ましい。
【0134】
また、前記(d)ベンゾフェノン誘導体に加えて、さらに(d)ベンゾフェノン誘導体以外の他の(e)重合開始剤を併用することも好ましい。併用することができる(e)重合開始剤としては、公知の重合開始剤が使用可能であり、例えば、自己分解型の重合開始剤を併用すれば、硬化性をより高めることができる。併用可能な好ましい(e)重合開始剤として、具体的には、アシルホスフィンオキシド類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類等をあげることができる。
【0135】
前記(d)ベンゾフェノン誘導体と、他の(e)重合開始剤とを併用する場合、その合計量は、インク組成物中において、1.5質量%〜15質量%の範囲であることが好ましく、3質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
【0136】
<重合禁止剤>
本発明のインク組成物は、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、およびキノン類、N−オキシド化合物類、ピペリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、およびカチオン染料類からなる群より選択される化合物が好適に挙げられる。
【0137】
具体的には、ハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、レゾルシノール、カテコール、t−ブチルカテコール、ハイドロキノンモノアルキルエーテル(例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル等)、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよびその誘導体、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシドおよびその誘導体等、ピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン 1−オキシルフリーラジカル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット、およびビクトリアピュアブルーBOH等が挙げられる。
【0138】
上記のうち、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル等のハイドロキノンモノアルキルエーテル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のヒンダートフェノールが好ましい。
【0139】
重合禁止剤のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の全質量に対して、1000〜20000ppmが好ましく、2000〜17000ppmがより好ましく、4000〜15000ppmがより好ましい。
【0140】
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、さらに増感色素、共増感剤等の種々の添加剤を目的に応じて使用することができる。
増感色素としては、例えば特開2010−13630公報の段落[0228〜0237]に記載の増感色素を好ましく用いることができる。
共増感剤としては、例えば、特開2010−13630公報の段落[0238〜0240]に記載の共増感剤を挙げることができる。
この他にも例えば、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤や、インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することもできる。
【0141】
また、膜物性を調整する目的で、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、本発明のインク組成物には、液物性の調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
【0142】
[インク組成物の物性]
本発明のインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度でのインク粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、20mPa・s以下であることがより好ましく、前記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。
なお、25℃(室温)でのインク粘度は、0.5mPa・s以上200mPa・s以下、好ましくは1mPa・s以上100mPa・s以下であり、より好ましくは2mPa・s以上50mPa・s以下である。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体を用いた場合でも、記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未反応モノマーの低減、臭気低減、インク液滴着弾時のドット滲みの抑制といった点で効果を向上できる。
【0143】
また、本発明のインク組成物をインクジェット用として用いた場合の表面張力は、好ましくは20mN/m以上40mN/m以下、より好ましくは23mN/m以上35mN/m以下である。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の観点から35mN/m以下が好ましい。
【0144】
このようにして調整されたインク組成物は、インクジェット用インクとして好適であり、具体的には、インクジェット用の活性エネルギー線硬化型インク組成物として好適である。インク組成物をインクジェットプリンターにより記録媒体上に付与し、その後付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化すれば、画像記録を行うことができる。
【0145】
以下、本発明のインク組成物を用いた画像形成方法について説明する。
【0146】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、記録媒体上にインクジェット法により、前記インク組成物を付与するインク付与工程を含む。インクジェット法による記録方法においては、インク組成物を25℃以上80℃以下の温度範囲に制御して、インク組成物の粘度を30mPa・s以下とした後、射出することが好ましく、この方法を用いることにより高い射出安定性を実現することができる。
インク組成物温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、設定温度±2℃とすることがより好ましく、設定温度±1℃とすることが特に好ましい。
【0147】
本発明の画像形成方法に好ましく用いられるインクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましく、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
【0148】
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0149】
本発明のインク組成物における活性エネルギー線(好ましくは、紫外線)の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV(紫外)光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
【0150】
また、本発明のインク組成物を用いた場合、インク組成物を一定温度に加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒以上0.5秒以下とすることが好ましく、より好ましくは0.01秒以上0.3秒以下、さらに、0.01秒以上0.15秒以下経過後に活性エネルギー線を照射することが特に好ましい。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。
また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
【0151】
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて記録媒体へ記録し、画像を形成することで、印画物を製造することができる。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、本発明のインク組成物は、このような温度条件下で保存された場合でも、顔料分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
【0152】
[記録媒体]
本発明のインク組成物を適用しうる記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。その他、記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。
【0153】
[印画物]
本発明の印画物は、前記記録媒体と、前記インク組成物により前記記録媒体上に形成された画像とを有するものである。すなわち、例えば、前記インク組成物をインクジェットプリンターにより記録媒体に付与し、その後、好ましくは、付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射又は加熱して硬化することで、印画物を得ることができる。
なお、前記本発明のインク組成物は、インクによる画像形成以外に用いてもよい。特に、本発明のインク組成物は、紫外線などのエネルギー線照射により硬化し、強度の高い硬化膜が得られるため、例えば、インク組成物を平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成などに使用してもよい。
【実施例】
【0154】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例における形態に限定されるものではない。
【0155】
なお、特に断りのない限り、「部」、及び「%」は質量基準である。また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperAWM−Hを(東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列に接続し、溶離液としてN−メチルピロリドンを用いた。また、条件としては、試料濃度を0.1質量%、流速を0.5ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行った。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−80」、「F−10」、「F−2」、「A−2500」、「A−1000」の5サンプルから作製した。
【0156】
<(b)重合体の合成>
−モノマーS−1、S−6(一般式(1)に含まれる繰り返し単位)の合成−
モノマーS−1、及びS−6をEP2033949号公報の記載を参考に合成した。
【0157】
−モノマーM−4、M−17(一般式(2)に含まれる繰り返し単位)の合成−
モノマーM−4、及びM−17を特開2010−13630号公報の記載を参考に合成した。
【0158】
−重合体P−1(一般式(1)の繰り返し単位を有する重合体(b))の合成−
上述のモノマーS−1 4.0g、マクロモノマーN−1[末端にメタクリロイル基を有するポリ(メチルメタクリレート)マクロモノマー、商品名:AA−6、東亞合成(株)製、重量平均分子量5300]16.0g、及びメチルエチルケトン20gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネートジメチルバレロニトリル(V−601、和光純薬社製)を140mg加え、75℃に2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を140mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン1000mLに攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで重合体P−1(グラフト共重合体)を得た。
重合体P−1の重量平均分子量は、150,000であった。
【0159】
−重合体P−2〜P−8(本発明の重合体(b))、及び比較重合体1の合成−
重合体P−1の合成に用いたモノマーの種類及びその使用量を、下記表1に記載したものに変更し、重合開始剤量を適宜調整した以外は、重合体P−1と同様にして重合体P−2〜P−8、及び比較重合体1を合成した。生成した重合体(ポリマー)のGPCによる重量平均分子量は表1の通りであった。
尚、表中、M−10は9−ビニルカルバゾール(東京化成工業社製)、DMAPAAmは3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド(和光純薬工業(株)製)、tBuAEMAは2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(Aldrich社製)、マクロモノマーN−3は末端にメタクリロイル基を有するポリ(ブチルメタクリレート−co−ヒドロキシエチルアメタクリレート)マクロモノマー、商品名:AX−707S、東亞合成(株)製、重量平均分子量7000を示す。また、得られた重合体(b)、及び比較重合体の構造は下記の通りであった。
【0160】
【表1】

【0161】
【化15】

【0162】
[実施例1]
<インク組成物1の作製>
200mLのビーカーに、8.0gの(b)重合体P−1(本発明の(b)重合体)を72.0gの(c)重合性化合物、2−フェノキシエチルアクリレート(商品名SR339、サートマー社製、以下PEAと略称する)に溶解させた。更に(a)顔料(ベンズイミダゾロン系イエロー顔料PY120、商品名:Novoperm Yellow H2G、クラリアント社製)20gを加えマグネチックスターラーで1時間混合し、予備分散を行った。得られた分散液をビーズミル(モーターミルM50、アイガー社製、ビーズ:ジルコニアビーズ、直径0.65mm)を用い、周速9.0m/sで2.0時間分散を行い、ミルベースを得た。得られたミルベース15.0gと表2に記載の(c)重合性化合物、(d)ベンゾフェノン誘導体、及び重合禁止剤をさらに加えて混合撹拌した後、メンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1のインク組成物1を作成した。
【0163】
[実施例2〜15、比較例1〜2]
<インク組成物2〜17の作成>
インク組成物1の作成において、用いた(b)重合体の種類、(c)重合性化合物の添加量、(d)ベンゾフェノン誘導体の添加量、その他の重合開始剤、及び重合禁止剤の添加量を表2に記載したように変更した以外は同様にして、実施例2〜15、及び、比較例1〜2のインク組成物2〜17を得た。なお、インク組成物11〜14、ミルベース作成工程において、顔料、(b)重合体、及びPEAの量を適宜変更して表に記載のインク組成物を得た。尚、表中「NVC」はN−ビニルカプロラクタム(Aldrich社製)、「Irg819」は重合開始剤であるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Irgacure819、チバジャパン社製)、「ST−1」はトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩の8%PEA溶液(商品名:FIRSTCURE ST−1、ALBEMARLE社製)、「MEHQ」は4−メトキシフェノール(東京化成工業社製)、ベンゾフェノン誘導体B−1はベンゾフェノン(Aldrich社製)、B−2は4−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業(株)社製)、B−3は[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン(商品名KAYACURE BMS 日本化薬(株)社製)を表す。B−1、B−2、B−3の具体的な構造を下記に示す。
なお、表中において、空欄は添加していない(添加量0)であることを示す。
【0164】
【化16】



【0165】
【表2】

【0166】
[評価結果]
得られたインク組成物を下記の評価方法に従って評価した。その結果を表3に記す。
【0167】
−分散安定性−
各インク組成物の40℃における粘度をE型粘度計(東機産業製)を用いて測定した。また、各インク組成物を60℃で1週間保存後の粘度を同様に測定し、その増加の割合から分散状態を評価した。
A:粘度の増加が10%未満で分散安定性に問題ないレベル。
B:粘度の増加が10%以上20%未満で分散安定性がやや低下するレベル。
C:粘度の増加が20%以上であり分散安定性が著しく低下するレベル。
※Cは実用上、問題があるレベル。
【0168】
−硬化性−
得られた各インク組成物を、ピエゾ型インクジェットヘッド(CA3ヘッド、東芝テック(株)製、印画密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)を用いて、塩化ビニルフィルム上に膜厚30μmになるようにベタ印画してから、Deep UVランプ(ウシオ電機(株)製、SP−7)で900mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光して印画サンプルを得た。硬化皮膜を指で触れて、べたつきがなくなるまで、露光を繰り返した。
硬化に要した露光回数から下記のように評価した。
A:4回以下
B:5回
C:6回以上
【0169】
−薄膜硬化性−
得られた各インク組成物を、硬化性評価と同じ機器を用い、膜厚10μmになるように、塩化ビニルフィルム上にベタ印画してから、Deep UVランプで900mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光した。印画サンプルを得た。硬化皮膜を指で触れて、べたつきがなくなるまで、露光を繰り返した。
硬化に要した露光回数から下記のように評価した。
A:3回以下
B:4回
C:5回以上
【0170】
−ブロッキング耐性―
印画面と基材面を重ね合わせ、一定時間後に剥ぎ取った時に、印画面の膜の破れや基材面への転写の有無を評価した。
尚、ブロッキング試験に用いた印画物は、いずれも硬化性の評価サンプルと同様に印画し、5,000mJ/cmの露光エネルギーで露光したものを用いた。また、印画物の保管は、印画面と基材面を重ね合わせた上に、重りによって均一な加重(1kg/cm2)を印画物全体にかけた状態を24時間、室温で行った。24時間後、印画面と基材面を剥ぎ取り、目視によって下記基準に従い評価した。
A:印画面には膜の破れ等がなく、かつ、基材面にはインクまたは下塗り液の転写が無い。
B:印画面には膜の破れや膜の内部破壊が一部に見られるか、又は、基材面にインクまたは下塗り液の転写が一部に見られる(ここで一部とは全面積の50%未満)。
C:印画面には膜の破れや膜の内部破壊が全面に見られるか、又は、基材面にインクまたは下塗り液の転写が全面に見られる(ここで全面とは全面積の50%以上)。
※Cは実用上、問題があるレベル。
【0171】
−臭気−
硬化性試験で作製した塗布膜の臭気を官能評価で実施した。
A:不快な臭気を感じないもの
B:不快な臭気をわずかに感じるもの
C:臭気が著しく不快であるもの
【0172】
【表3】

【0173】
表3より、実施例の各インク組成物は、得られる印画物の臭気が抑制され、インク組成物の硬化性、特に、薄膜としたときの硬化性や、ブロッキング耐性において優れた効果が得られるとともに、分散安定性にも優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)顔料と、(b)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体と、(c)重合性化合物と、(d)ベンゾフェノン誘導体とを含むこと
を特徴とするインク組成物。
【化1】



[一般式(1)において、Ra1は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、−COO−、−CONRa4−、又はフェニレン基を表し、Ra4は、水素原子又はアルキル基を表す。Bは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Tは単結合、−O−、または、−NRa5−を表し、Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。Ra2、Ra3はそれぞれ独立に、アルキル基である。Ra2、Ra3は互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項2】
前記(b)重合体が下記一般式(2)で表される繰り返し単位をさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【化2】



[一般式(2)において、Rb1は、水素原子又はメチル基を表す。Jは、単結合、−CO−、−COO−、−CONRb2−、−OCO−、又はフェニレン基を表し、Rb2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を表す。Wは単結合又は2価の連結基を表す。Pは縮合環残基を表す。]
【請求項3】
前記一般式(2)におけるPが、キナクリドン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン、フタルイミド、又はナフタルイミドから水素原子を1つ除いた残基であることを特徴とする請求項2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記(b)重合体が脂肪族アミノ基を有する繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項5】
インク組成物中における前記(d)ベンゾフェノン誘導体の含有量が1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項6】
インク組成物中における前記(b)重合体が含む一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量(α)と、前記(d)ベンゾフェノン誘導体の含有量(β)との質量比(α/β)が、0.05〜1.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに1項に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記(d)ベンゾフェノン誘導体は、下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【化3】


〔Rc1〜Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又は、フェニルスルファニル基である。Rc1とRc2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【請求項8】
さらに、前記(d)ベンゾフェノン誘導体以外の(e)重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
インクジェット用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに1項に記載のインク組成物。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット法により記録媒体上に付与するインク付与工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
請求項10記載の画像形成方法により得られることを特徴とする印画物。

【公開番号】特開2012−67227(P2012−67227A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214324(P2010−214324)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】