インサート成形による外部マニホルドを形成してシーリングされた膜式電気化学的電池スタック
本発明は、とりわけ様々な電気化学的用途における使用に適する、膜カセットおよびそのスタックを提供する。本発明は、反応剤および/または冷却剤を膜カセットの1つまたは2つ以上の反応物流動場または冷却剤流動場に配送する、1つまたは2つ以上のマニホルドを含む、膜カセットをさらに提供する。特に、本発明は、外部マニホルドのプレナムがスタックカプセル化中に作成される、インサート成形法について記載する。本発明は、インサート成形法もしくは機械加工によるか、または別個の構成要素を用いてマニホルドランナー幾何形状を作成するいくつかの方法について記載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その出願の全文を参照により本明細書に組み入れてある、2006年4月10日出願の米国特許出願第11/401785号の部分継続である。
【背景技術】
【0002】
膜式電気化学的電池、特に、陽子交換膜(PEM)燃料電池はよく知られている。PEM燃料電池は、実質的に環境排出物なしに化学エネルギーを電力に変換するものであり、エネルギーが貯蔵されるのではなく、供給燃料から抽出される点においてバッテリーとは異なる。したがって、燃料電池は充電/放電サイクルに束縛されることなく、燃料が連続的に供給される限り、特定の電力出力を維持することができる。多額の資金が燃料電池研究および商品化に投資されてきており、このことはこの技術が市場において相当な将来性を有することを示している。しかしながら、従来型発電技術と比較したときの燃料電池のコストの高さは、燃料電池の一般普及を遅らせている。燃料電池を製作し組み立てるコストは、必要な材料および労力のために、高額になることがある。実際に、燃料電池のコストの85%までが製造に帰する可能性がある。
【0003】
従来から、内部マニホルド型スタックを、燃料電池およびその他の電気化学用途において使用する上での問題の一つは、内部マニホルドのまわりをシーリングする際に犠牲となる領域である。一つの対処法は、マニホルドの一部または全部をスタックの外部に配置することである。この設計に伴う困難さの一つは、マニホルドとスタックの間のシーリングにおいて経験される。従来型スタックの場合と同様に、シーリングは、典型的にはガスケットと圧縮によって達成される。不運なことには、ガスケット/圧縮方式のシールには、熱サイクルに対する感受性、均一な圧縮と関連するハードウエアの必要性、精密な公差の部品類、および繊細な組立要件を含む、いくつかの固有の欠点がある。
【0004】
一般的に、単一セルPEM燃料電池は、薄いイオン導電性膜で隔てられたアノードおよびカソード室(compartment)とからなる。この触媒膜は、ガス拡散層を含むか、または含まず、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)と呼ばれることが多い。エネルギー変換は反応物、還元剤および酸化剤が、PEM燃料電池のアノード室およびカソード室にそれぞれ供給されたときに始まる。酸化剤としては、純酸素、空気などの酸素含有ガス、塩素などのハロゲン類がある。還元剤としては、本明細書では燃料とも呼ばれるが、水素、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アルコール混合物およびその他の水素富化有機物があげられる。アノードにおいては、還元剤は酸化されて陽子を生成し、この陽子は膜を横断してカソードに移動する。カソードにおいて、陽子は酸化剤と反応する。全体的な電気化学レドックス(redox: reduction/oxidation)反応は自然発生して、エネルギーが放出される。この反応の間中、PEMは、還元剤と酸化剤が混合するのを防ぎ、イオン移動の発生を可能にする。
【0005】
現在の最新の燃料電池設計は、単一セルよりも多くのセルを含み、事実、一般的にいくつかのMEA、流動場およびセパレータプレートを直列に結合して、燃料電池「スタック」を形成し、これによって、ほとんどの商業用途で必要とされる、より高い電圧および大きな電力出力を提供する。流動場は、燃料電池中に反応物を配送することを可能にするものであり、通常は、燃料電池内で多孔質電極層と隔てられている。スタック構成によっては、燃料電池スタック内部での燃料、酸化剤および冷却流の混合を防止するために、1枚または2枚以上のセパレータプレートをスタック設計の一部として使用してもよい。そのようなセパレータプレートは、スタックに対して構造的な支持を与えることもできる。
【0006】
バイポーラプレートは、酸化剤流動場、燃料流動場およびセパレータプレートの組合せと同じ機能を実行し、これらを使用することによって機能する燃料電池において必要な構成要素の数を低減することができるので、燃料電池の設計において頻繁に使用される。これらのバイポーラプレートは、流動場として機能するMEAに接触するプレート表面に形成されたチャネルの配列を含む。ランド部は電極からの電流を導通するのに対して、ランド部間のチャネルは、燃料電池が使用する反応物を配送するとともに、水などの反応副産物の除去を容易化する役割を果たす。燃料は、バイポーラプレートの一面上で燃料取入れ口から燃料取出し口まで、チャネルによって誘導されるままに配送されるのに対して、酸化剤は、バイポーラプレートの反対面上で酸化剤取入れ口から酸化剤取出し口まで、チャネルによって誘導されるままに配送され、この2つの面はこのプレートを貫通して連結されていない。バイポーラプレート流動場チャネルの詳細な設計は、温度、電力出力、ガス加湿および流量などの燃料電池スタックの動作パラメータに対して最適化してもよい。燃料電池スタックに使用される理想的なバイポーラプレートは、炭素/ポリマー複合材またはグラファイトなどの、薄肉、軽量で耐久性のある高度に導電性の耐食性構造である。燃料電池スタックにおいて、各バイポーラプレートは、その燃料流動場面を介してスタックの1つのMEAに燃料を配送し、その間に反対側の酸化剤流動場面を介して、第2のMEAに酸化剤を配送する役割を果たす。薄い多孔質の紙シート、通常グラファイトまたは炭素でできた布またはフェルトを、それぞれの流動場とMEAの触媒化面との間に設置して、MEAを支持してもよく、この場合に、それは流動場における溝と対向して、隣接するランド部に電流を流すとともに、MEAに反応物を配送するのを助ける。この薄いシートは、通常はガス拡散層(GDL)と名づけられ、MEAの一部として組み入れることができる。
【0007】
必然的に、MEAのGDL部分などの、あるスタック構成要素は、燃料電池スタックの中に、その外へ、またその内部で反応物および副生成物の配送を行うために、多孔質である。スタック内部の要素が多孔性であるために、スタック構成要素間(またはスタックの外側)でのすべての液体またはガスのリークを防止するとともに、環境への露出による様々なスタック要素の乾燥を防止する手段も必要である。この目的で、通常、ガスケットまたはその他のシールが、MEAまたはPEMとその他のスタック構成要素の表面間、およびスタック周辺部の部分の上に設けられる。これらのシーリング手段は、エラストマー材料で構成される場合も、接着材料で構成される場合も、一般的に、シーリングされている特定の表面上に、設置、取付け、形成または直接塗布される。これらの処理は、労働集約的であり、大量生産には適さず、そのために燃料電池のコストを高くする。さらに、これらの工程の変動性によって、製造歩留まりの低下や装置の信頼性の低下を生じる。
【0008】
燃料電池スタックには、冷却剤流動場の1つまたは2つ以上の内部に加湿チャネルも含めてもよい。これらの加湿チャネルは、燃料電池の動作温度にできる限り近い温度で、燃料および酸化剤を加湿する仕組みを提供する。これによって、燃料電池に進入するガスとPEMの温度との高い温度差によって、水蒸気がPEMから燃料流および酸化剤流へと移るときの、PEMの脱水を防止するのに役立つ。
【0009】
燃料電池スタックは、電力出力、冷却、およびその他の技術要件に応じて、その設計が広範囲に変わるが、製造の困難さとさらなる燃料電池コストの増大をもたらす、複雑な組立体においては、多数のMEA、シール、流動場およびセパレータプレートを使用することもある。これらの多数の個々の構成要素は、通常、1つの単独の複合ユニットに組み立てられる。燃料電池スタックの形成は、帯締め法(banding)またはその他の方法を使用してもよいが、一般的には、エンドプレートとボルトを使用して、ユニットを圧縮することによって、ガスケットシールとスタック構成要素とを互いに緊密に保持して、それらの間で電気的接触が維持される。これらの圧縮を加える従来型手段は、スタックにさらなる構成要素と複雑度を付加するとともに、追加のシーリング要件を課する。
【0010】
燃料電池スタック組立体設計における、これらの欠点に対処し、それによって製造コストを低減するために、様々な試みが、燃料電池技術においてなされてきた。しかしながら、ほとんどのスタック組立体設計は、まだ構成要素の手作業による位置合せ、シーリング手段の能動設置および/または多段工程を必要とし、これらのそれぞれは、実施における重要な欠点を示している。例えば、Schmitらへの米国特許第6080503号、Chiらへの米国特許第4397917号およびEppらへの米国特許第5176966号に記載された工程を参照されたい。
【0011】
さらに、従来型燃料電池カセットにおいては、2つのタイプのMEAが支配的である。すなわち、1)ガス拡散層の境界を越えて膜が延びるMEA、および2)ガスケット材料が、ほぼ同一サイズと形状の膜とGDLによって、MEA自体の縁端中に形成されている(例えば、Ballardへの米国特許第6423439号を参照)MEAである。第1のタイプでは、別個のガスケットを使用して、GDLを越えて延びる膜縁端と、スタックの他の部分(バイポーラプレート)との間がシーリングされる。第2のタイプでは、MEAのガスケットが、スタックのその他の部分と直接的にシーリングを行う。これらの方法のそれぞれは、シールを形成するために圧縮することを必要とする。これらの圧縮方式のシールでは、スタック内のすべての構成要素が高い精度を有して、均一な負荷が維持されるようすることが必要である。MEA製造業者は、上記のMEA型式を供給するのに慣れている。
【0012】
さらに別の試みが、燃料電池設計および性能の改善のために行われている。例えば、米国特許第4212929号は、燃料電池スタックの改良型シーリング方法について記載している。その特許は、マニホルドとスタックの間で締め付けられるポリマーシールフレームを使用するシーリングシステムを報告している。記載のように、圧縮の間にシーリングフレームがスタックと共に移動し、典型的なマニホルドシールに伴うリーク率が減少する。米国特許第5514487号および米国特許第5750281号の両方は、ある数のマニホルドプレートを含む、縁端マニホルド接合体について記載している。これらのプレートは、燃料電池スタックの反対両側に装着されて、反応物流と冷却剤流をスタックの外周に沿って選択的に誘導するように機能する。これらの設計は、その他の従来型組立体に限定的な改善をもたらすが、それらは一般的に大量生産には適さない。
【0013】
当該技術のこれらおよびその他の欠点を認識して、本願の譲受人は、スタックまたはそのモジュールの内部のマニホルドポートをシーリングする一連の革新的な方法、ならびに労働集約度が低く、かつ大量生産により適するスタックまたはモジュールの周辺部をシーリングする方法を開発した(国際公開WO03/036747を参照)。この公報は、燃料電池スタック(およびその他の電気化学デバイス)の「ワンショット」組立を開示しており、この組立では、構成要素部分のすべてが、ガスケットなしで型の中に組み立てられる。その型の中に樹脂が導入され、この樹脂は、樹脂トランスファー成形技法または射出成形技法のいずれかによって、組立体のある部分を選択的に貫通する。硬化すると、その樹脂は、構成要素をシーリングして、スタック内部のすべてのマニホルドチャネルを画定する。正味効果は、従来型スタックのガスケットを、構成要素の組立後に導入される、接着剤方式シールで置き換えることである。
【0014】
我々は、GDLと膜が互いにおよそ同じ全体外形であり、かつ同じ全体スタックプロファイルである、MEAを有する燃料電池について前述した(国際公開WO03/092096参照)。この技法の主な利点は、事後処理の必要なく、ロール・ツー・ロールMEAを直接使用できる能力である。しかしながら、各MEAの横断面の大部分が、様々なマニホルド開口およびスタックの周辺部をシーリングするのに使用されて、セル横断面の約50%だけが、電気化学反応に使用される。
【0015】
我々は、また、膜式電気化学的電池、より具体的には、周辺部まわりに成形ガスケットを有する、1つまたは2つ以上の複合材MEAを含む、PEM燃料電池スタックを開発した。複合材MEAのガスケット部分は、シーリング工程の間にシーラントの流れを調整することのできる、1つまたは2つ以上の構造を有する(国際公開2004/047210を参照)。
【0016】
別の先行特許出願において、本願の譲渡人は、各モジュールがある数のユニットセルを互いに永久に接合する、別個のモジュールを一緒に組み立てて、必要な電力出力の燃料電池スタックを形成する、革新的な燃料電池スタック設計を報告している(参照により本明細書に組み入れてある、国際公開WO02/43173を参照)。
【0017】
先行技術に対するこれらの進歩にもかかわらず、本願の譲渡人は、この技術に対してさらなる改善を加えることができることを認識した。1つの改善は、例えば、全MEA領域のより多くの部分を電気化学工程に利用することである。例えば、内部マニホルド設計を含む、燃料電池スタックを特に参照すると、カセットのある横断面は、シーラントチャネルと反応物/冷却剤マニホルド用に使用しなくてはならず、したがって、潜在的に活性な領域が必然的に犠牲にされる。また、より複雑度が低く、より信頼性の高い、かつ製造のためのコストの低い改良型燃料電池スタックを提供することが望まれる。さらに、重量およびサイズが低減されて、(上記のように)全MEA表面積のより大きな割合が、スタック内部で発生する電気化学反応に利用可能である、例えば触媒領域およびプロトン移動に対して利用可能である、改良型燃料電池スタックを提供することが強く望まれる。
【0018】
冷却剤透過、クロスリーク(cross-leaks)および外部リークを低減または解消する機能を備え、かつバイポーラプレートや冷却プレートなどの内部構成要素の均一な接合(mating)をもたらすスタックを開発することが特に望ましい。
【0019】
また、代替態様を開発することが強く望まれる。そのような2つの例としては、個別のランナー/ブリッジ構成要素(これらの構成要素はバイポーラプレートの側面内の穴を不要にする)を使用するインサート成形法があり、第2の例は、(組立および/または燃料電池性能を最適化するために)プレナムインサート材の代替形状を使用する方法である。
【発明の開示】
【0020】
本発明の目的および利点は、以下の説明に記述されており、それから明白となるとともに、本発明を実施することによって学習されるであろう。本発明のさらなる利点は、明細書およびその請求の範囲に詳細に指摘される方法およびシステムによって、また添付の図面から実現、達成される。これらおよびその他の長所を達成するため、および本発明の目的に応じて、本明細書において具現化して概説するように、本発明は、膜電極接合体と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、前記膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む少なくとも1つの燃料電池を有する、燃料電池スタックを含む。
【0021】
燃料電池スタックはまた、前記燃料電池の周辺部のまわりに形成された単体プレナムハウジングであって、前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを少なくとも部分的に画定する、前記単体プレナムハウジングを含む。
【0022】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池は、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、単体プレナムハウジングは、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドをさらに画定し、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成することができる。
【0023】
セルスタックには、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して配置された蒸気バリヤインサートをさらに含めて、該蒸気バリヤインサートは、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プレナムハウジングの成形材料によって包囲することができる。燃料電池スタックには、プレナムハウジングの外周部に近接して配置された蒸気バリヤ層をさらに含めて、該蒸気バリヤ層は、燃料電池スタックの周辺部を通過して流体が流出するのを低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プラスチック、金属、複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せから選択される材料で作ることができる。
【0024】
本発明の別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して還元剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0025】
本発明のさらに別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して酸化剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0026】
本発明の別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、冷却剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0027】
本発明の別の観点によれば、還元剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。酸化剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。さらに、冷却剤マニホルドが燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能であることも考えられる。
【0028】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックは、直列に電気接続された複数の燃料電池を含むことができる。燃料電池スタックは、燃料電池と熱的に連通する複数の冷却プレートをさらに含むこともできる。
【0029】
本発明のさらに別の観点によれば、還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレートとしてそれぞれ一体的に形成することが可能であり、該セパレータプレートは、バイポーラプレート、および冷却プレートからなる群から選択される。還元剤流路と酸化剤流路は、燃料電池の周辺部における、セパレータプレートの厚さを部分的にだけ貫通して延びるポートにおいてそれぞれ終端させることができる。
【0030】
各セパレータプレートは、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接して輪郭形成構造(contoured feature)を画定し、該輪郭形成構造は、プレナムハウジングが形成されているときに、脱着可能な型と接合するように適合させて、構成することができる。輪郭形成構造は、実質的に凹形形状とすることが可能であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合させることができる。セパレータエンドプレートには、カーボン/ポリマー複合材料、グラファイト、金属、およびその他任意好適な材料の中から選択される材料を含めることができる。グラファイトには、グラファイトテープを含めることができることも考えられる。バイポーラプレートは、金属シートから打ち抜き加工することができる。
【0031】
本発明の別の観点によれば、還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含むことができる。単体プレナムハウジングは、第2の還元剤流路と流体連通して、前記第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドと、第2の酸化剤流路と流体連通して、前記第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドとをさらに画定することができる。
【0032】
本発明のさらに別の観点によれば、冷却プレートに、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含めることが可能であり、単体プレナムハウジングは、第2の冷却剤流路と流体連通する第2の冷却剤マニホルドをさらに画定することが可能であり、該第2の冷却剤マニホルドと前記第2の冷却剤流路は協働して第2の冷却剤プレナムを形成する。
【0033】
本発明のさらに別の観点によれば、膜電極接合体の活性領域は、スタックの第1のエンドプレートから前記スタックの第2のエンドプレートの方向に沿って燃料電池を貫通する孔を設けないことによって最大化することができる。
【0034】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックには、スタックの第1端に第1のエンドプレートと、前記スタックの第2端に第2のエンドプレートをさらに含めることができる。燃料電池スタックには、第1および第2のエンドプレートを互いに連結して燃料電池を所定位置に保持する複数の締め具をさらに含めることができる。エンドプレートの少なくとも1つに、マニホルドの1つの末端に近接してその中に形成されたくぼみを含め、該くぼみが、プレナムハウジングが形成されているときに脱着可能な型を受け入れるように適合させて、構成することができる。
【0035】
各エンドプレートは、(i)熱硬化性ポリマー、(ii)熱可塑性ポリマー、(iii)金属、(iv)金属合金、(v)充填ポリマー複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せの中から選択される材料を含むようにすることも考えられる。本発明のさらに別の観点によれば、一方のエンドプレートに充填穴を含め、他方のエンドプレートが通気穴を含めて、成形方法によりプレナムハウジングを形成することを容易にすることができる。
【0036】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池カセットには、膜電極接合体に電気的に結合された集電体をさらに含めることができる。また、エンドプレートの少なくとも1つに、燃料電池スタックを通過して材料を移送するための、還元剤プレナムおよび酸化剤プレナムと流体連通するポートを含めることができることも考えられる。
【0037】
本発明の別の観点によれば、マニホルドの少なくとも1つが、マニホルドの第1端からマニホルドの第2端へとテーパーがつけられた構造を有することができる。テーパー付きマニホルドは、燃料電池スタックの外部ポートの方向に、マニホルドの長さに沿ってより大きな横方向寸法へと拡大する、より小さな横方向寸法を有することができる。テーパー付きマニホルドは、燃料電池の周辺部に近接する実質的に円筒状表面と、該実質的に円筒状表面と対向するテーパー付き表面とによって画定することができる。
【0038】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックは、マニホルドの1つの一端に一体的に形成された管状インサートをさらに含み、該管状インサートは、プレナムハウジングの材料と適合する材料で構成され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成することができる。管状インサートは、プレナムハウジングに近接する燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通って突出させることができる。
【0039】
本発明は、燃料電池スタックを製造する方法も含む。この方法は、少なくとも1つの燃料電池を準備するステップであって、該燃料電池は、膜電極接合体と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む。この方法は、また、前記燃料電池の周辺部のまわりにプレナムハウジングを成形することを含み、該プレナムハウジングは、前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを、少なくとも部分的に画定する。
【0040】
さらに本発明によると、燃料電池は、前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含む、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含むことができて、成形ステップは、前記冷却剤流路と流体連通するとともに、前記冷却剤流路と協働して冷却剤プレナムを形成する冷却剤マニホルドを形成することを含むことができる。
【0041】
成形ステップは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つの内部表面を画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質幕のの縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。
【0042】
冷却剤プレートには、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含めることが可能であり、成形ステップには、第2の冷却剤流路と流体連通するとともに、該第2の冷却剤流路と協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、第2の冷却剤マニホルドを形成することをさらに含めることができる。
【0043】
この方法は、成形ステップの前に、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して蒸気バリヤインサートを配置することをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、所定位置に成形されると、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プラスチック、金属、複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せから選択される材料で製作することができる。
【0044】
本発明の別の観点によれば、この方法には、還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレート中に一体的に形成することをさらに含めて、該セパレータプレートは、バイポーラプレート、および冷却プレートからなる群から選択することができる。この方法には、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接する各セパレータプレートの縁端において輪郭形成表面を形成することをさらに含めて、該輪郭形成表面は脱着可能なマニホルド型と接合されるように適合化かつ構成することができる。
【0045】
輪郭形成構造は、実質的に凹形形状であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合させることができる。この方法は、燃料電池の周辺部における流路に近接する燃料電池スタックのエンドプレート内にくぼみを形成することをさらに含み、該くぼみはマニホルド型の端部を受け入れるように適合化かつ構成することができる。マニホルド型を、輪郭形成部分に対して位置決めすることをさらに含めることができることも考えられる。
【0046】
この方法には、燃料電池および型のまわりに材料を成形して、マニホルドを画定することをさらに含めることもできる。燃料電池スタックの第1のエンドプレートに、成形材料を受け入れるための充填穴を含め、燃料電池スタックの第2のエンドプレートに、流体および成形材料の通気を可能にする通気穴を含めて、成形工程の間にプレナムを成形することを容易にすることができる。この方法には、型を取り外すことをさらに含めることができる。
【0047】
本発明のさらに別の観点によれば、還元剤流動場に、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含め、酸化剤流動場に、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含めることができ、成形ステップには、第2の還元剤流路と流体連通するとともに、該第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドを形成すること、および第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、該第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドを形成することを含めることができる。
【0048】
本発明のさらに別の観点によれば、この方法には、第1のエンドプレートを、少なくとも1つの燃料電池の第1端に設置し、第2のエンドプレートを、前記少なくとも1つの燃料電池の第2端に設置することをさらに含めることができる。この方法には、第1および第2のエンドプレートを複数の締め具で互いに連結して、燃料電池を所定位置に保持することをさらに含めることができる。
【0049】
この方法には、少なくとも1つの脱着可能なランナー型を、酸化剤流路と還元剤流路の少なくとも一方に挿入して、成形コンパウンドが流路に進入するのを防ぐとともに流れ経路を画定することをさらに含めることができることも考えられる。この方法には、燃料電池とランナー型のまわりに材料を成形して、流れ経路を形成することをさらに含めることができる。
【0050】
この方法には、ランナー型を取り外すこと、およびマニホルド型を挿入することをさらに含めることができることも予想される。マニホルド型は、実質的に円筒形状にすることができる。マニホルド型には、型の第1端から前記型の第2端への方向に沿ってテーパーが付けることができることも予想される。この方法には、燃料電池およびマニホルド型のまわりに材料を成形してマニホルドを形成することをさらに含めることもできる。この方法には、マニホルド型を取り外すことをさらに含めることができることも予想される。
【0051】
本発明のさらに別の観点によれば、この発明には、型を燃料電池に対して設置することをさらに含めて、脱着可能な型が、酸化剤マニホルドと還元剤マニホルドの少なくとも一方の容積を画定する形状を有するようにすることができる。型には、細長いマニホルド部分、および複数のランナー部分を含めて、該ランナー部分を、燃料電池の周辺部における流れ経路に接触するように適合化かつ構成することができる。
【0052】
この方法には、燃料電池および型のまわりに材料を成形することをさらに含めることができる。この方法には、型作業を実行する前に燃料電池と型を型空洞の内部に設置することをさらに含めて、該型空洞は、燃料電池スタックの周辺境界を画定する幾何形状を有するようにすることができることも予想される。この方法には、成形作業を解除した後に、型を取り外すことをさらに含めることができる。
【0053】
本発明の別の観点によれば、本発明には、マニホルドの1つの一端に近接するプレナムハウジング中に、管状インサートを一体的に形成することをさらに含めて、該管状インサートは、前記プレナムハウジングの材料と適合する材料で製作し、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成するようにすることができる。この方法には、燃料電池スタックのエンドプレートを、管状インサートが燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通過して突出するように、管状インサートの上に取り付けることをさらに含めることができる。
【0054】
成形ステップの間に導入される材料は、圧力式樹脂トランスファー、真空式樹脂トランスファー、射出成形、その他任意好適な技法、およびその組合せの中から選択される技法によって導入することができる。この材料は、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入することができる。この材料は、0psiから約250psiの間の正の圧力下で圧力式樹脂トランスファーによって導入できることも予想される。この材料は、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力下で、真空式樹脂トランスファーによって導入することができる。
【0055】
前述の概要説明および以下の詳細な説明は、例示的なものであり、請求しようとする本発明をさらに説明することを意図するものであることを理解すべきである。
【0056】
発明の詳細な説明
定義
本発明のさらなる説明の前に、本発明がより易しく理解されるように、いくつかの用語を最初に定義し、便宜のためにここに収集する。
本明細書において使用する場合には、用語「プレナム(plenum)」は、反応物マニホルドおよび/または冷却剤マニホルドの共通容積を生成する幾何形状または構成要素、例えば図1に示すプレナム110を意味する。
【0057】
用語「ランナー(runners)」、例えば図1におけるランナー128は、反応物および/または冷却剤を個々のセル/流動場(例えば、図12に示す流動場1208および図11に示す場1108)に配送するマニホルドの区間である。ある態様においては、ランナーは、燃料電池スタック(例えば、図100におけるスタック100)のバイポーラプレート中に一体化されている(例えば、図5におけるバイポーラプレート602内の一体ランナー604)。別の態様においては、ランナーは、成形の後で取り除かれる、1つまたは2つ以上のインサート(例えば、図2におけるランナーインサート202)によって所定位置に成形される。両方の態様に対して、プレナムは、成形後に取り除かれる、インサートによって所定位置に成形される。
【0058】
用語「ブリッジ(bridge)」は、側面ドリル加工なしでランナーを提供するために、流動場またはバイポーラプレートに付加される不連続構成要素、例えば図12におけるブリッジ1202である。
用語「マニホルド」は、ランナーとプレナムの組合せ、例えば図1におけるマニホルド150として定義される。
【0059】
本発明のMAEスタック
ある観点において、本発明は、電気化学的カセットを提供し、該電気化学的カセットは、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの還元剤外部マニホルド、および少なくとも1つの酸化剤外部マニホルドを備える、少なくとも1つの電気化学的電池を含み、各流動場は、セルの周辺部を通過して延びる、少なくとも1つの開口を含み、各外部マニホルドは、1次マニホルド、および外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場における周辺開口と流体接触する、少なくとも1つのポートを含み、1つまたは2つ以上のMEA、酸化剤流動場、還元剤流動場、およびセパレータプレートが組み立てられて、シーラントによってその周辺部のまわりをカプセル化されており、各外部マニホルドは、少なくとも部分的にシーラントによって画定された容積であり、この容積は、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場内の周辺開口と接触している。
【0060】
ある態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、シーラント、例えば図1における成形領域170によって実質的に画定された容積である、電気化学的カセットを提供する。
別の態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、シーラントと、1つまたは2つ以上のMEA、多孔質膜、非多孔質膜、酸化剤流動場、還元剤流動場、第2のシーラント層、またはセパレータプレートを含む、少なくとも1つの追加の要素とによって、実質的に画定される容積である、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様において、外部マニホルドは、シーラントと、非多孔質膜またはプレートとによって実質的に画定される容積である。さらに別の態様において、外部マニホルドは、シーラントと第2のシーラント層とによって実質的に画定される容積である。
【0061】
さらに別の態様において、本発明は、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドが、シーラントと任意選択で1つの追加の流体不透過性材料とによって実質的に境界が定められた容積を含み、該容積は、マニホルドが材料を配送または除去しようとする流動場の周辺開口に流体的に接続されている、少なくとも1つの脱着可能な型要素によって画定されている、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、脱着可能な型要素は、カセットの周辺部をシーラントでカプセル化した後に取り外される。
その他の態様においては、本発明は、セパレータプレートおよび1つまたは2つ以上の流動場が、バイポーラプレートに一体化されて、各流動場周辺開口が、バイポーラプレートの厚さの一部分だけを通過して延びている、電気化学的カセットを提供する。
【0062】
さらに別の態様においては、各流動場周辺開口は、該流動場周辺開口と接触して設置されている脱着可能型要素と流体密シールを形成することのできるアダプタを含む。「流体密シール」または「シーラント密シール」は、本明細書では同義で使用され、例えば、ガス密シールおよび/または液体密シールであり、シーラントは、MEAの縁端に透過することがあるが、マニホルド開口に進入することは防止される。さらに別の態様においては、各流動場開口は、バイポーラプレートの表面の一部分を貫通して延びて、外部マニホルドと、マニホルドがそれに対して材料を配送している流動場との間の流体接触をもたらす。さらに別の態様においては、各流動場開口は、バイポーラプレートの表面を貫通して延びることなく、プレートの厚さの一部分を貫通して延びている。
【0063】
さらに別の態様においては、アダプタは、平面表面を有する脱着可能な型要素と接合させることのできる平面を含むか、またはアダプタは、円筒状の脱着可能な型要素または楕円柱と接合させることのできる曲面を含む。
さらに別の態様においては、脱着可能な型要素は、本体と、複数の突起を含み、アダプタは、脱着可能な形要素の突起と流体密シールを形成することのできる凹形容積を含む。
【0064】
さらに別の態様においては、各流動場周辺開口は、外部マニホルドを形成するのに使用される成形要素に対して流体密シールを形成する。さらに別の態様においては、成形要素は、プレナムと少なくとも1つのランナーを含む固体であり、プレナムはマニホルドの容積を画定し、ランナー群は、マニホルドが成形要素の取外し後に流動場に流体接続されるように、各流動場周辺開口と流体密なシールを形成する。さらに別の態様においては、カセットは、各冷却材流動場が、流動場の周辺部を通って延びる少なくとも2つの開口と、それぞれが1次マニホルドを含む少なくとも2つの冷却剤外部マニホルドとを含む、少なくとも1つの冷却剤流動場、および冷却剤流動場内の周辺開口に結合可能な少なくとも1つのポートを含む。さらに別の態様においては、各バイポーラプレートは、ゼロまたは1つの酸化剤流動場、ゼロまたは1つの還元剤流動場、およびゼロまたは1つの冷却剤流動場を有する。
【0065】
その他の態様においては、本発明は、各膜電極接合体が還元剤流動場および酸化剤流動場と接触している、電気化学的カセットを提供する。
別の態様においては、本発明は、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドが、実質的に均一な成分によって範囲を定められている容積を含み、各マニホルドが、主マニホルド、およびマニホルドがそれに対して材料を配送するか、または除去しようとする、等しい数の流動場の周辺開口に接合させることのできる、少なくとも1つのポートを含む。
【0066】
さらに別の態様においては、各外部マニホルドは、シーラントと、1つまたは2つ以上のMEA、多孔質膜、非多孔質膜、酸化剤流動場、還元剤流動場、第2のシーラント層、またはセパレータプレートを含む、少なくとも1つの追加の要素とによって実質的に範囲を定められた容積である。さらに別の態様においては、外部マニホルドは、シーラントおよび/または非多孔質膜またはプレートによって実質的に境界が定められた容積である。さらに別の態様においては、外部マニホルドは、シーラントおよび第2のシーラント層によって実質的に境界が定められた容積である。
【0067】
さらに別の態様においては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、シーラントによって範囲を定められた容積を含む。
【0068】
その他の態様においては、本発明は、電気化学的カセットであって、シーラントが、脱着可能な成形要素と、マニホルドがカプセル化工程の間に材料をそこに配送しようとする流動場の周辺開口との間の結合部を同時にシーリングし、成形要素の取外しによって形成される空隙が、マニホルドが材料をそこに配送しようとする流動場に流体接続された外部マニホルドの容積を形成する。
さらに他の態様においては、本発明は、各複合材MEAおよび各セパレータプレートが、溝、穴またはその全厚さを通過して延びるその他の孔を含まない、電気化学的カセットを提供する。
【0069】
さらに他の態様においては、本発明は、電気化学的カセットであって、少なくとも1つの冷却剤流動場をさらに含み、各冷却剤流動場は、流動場の周辺部を通過して延びる少なくとも2つの開口、それぞれが主マニホルドを含む少なくとも2つの冷却剤外部マニホルド、および冷却剤流動場内の周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートを含む、前記カセットを提供する。
【0070】
さらに別の態様においては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、主マニホルド導管と、マニホルドが材料をそこに配送しようとする等しい数の流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートを含む、単一構成要素を備え;各冷却剤外部マニホルド開口は、主マニホルド導管と、等しい数の冷却剤流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートとを含む、単一構成要素を備える。
【0071】
さらに他の態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、少なくとも2つの主マニホルドと、各主マニホルドおよび各組のポートが材料を、各主マニホルドがそこに材料を配送または除去しようとしている流動場に配送または除去することができるように流体連通していない、少なくとも2組のポートとを含む、電気化学的カセットを提供する。
ある態様においては、電気化学的カセットは、燃料電池カセットである。
【0072】
その他の態様においては、バイポーラプレートは、カーボン/ポリマー複合材料、グラファイトまたは金属の少なくとも1種から機械加工または成形される。
さらに他の態様においては、バイポーラプレートは、金属シートから打ち抜き加工される。さらに別の態様においては、バイポーラプレートはグラファイトテープである。用語「グラファイトテープ」は、成形、型押し、かつ樹脂注入されてある形に硬化させたグラファイト、例えばカーボンポリマー複合材料である。
【0073】
その他の態様において、本発明は、シーラントが圧力式樹脂トランスファー、真空式樹脂トランスファー、または射出成形によって導入される、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、シーラントまたは樹脂が、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入される。さらに別の態様においては、シーラントは0psiから約250psiの正圧力の下で圧力式樹脂トランスファーによって導入される。さらに別の態様においては、シーラントまたは樹脂は、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力の下で真空式樹脂トランスファーによって導入される。
【0074】
その他の観点では、本発明は、電気化学的カセットであって、(a)膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの脱着可能な成形要素を準備して還元剤マニホルドを形成するステップであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる少なくとも1つの開口を含み、各脱着可能なマニホルド要素が、主マニホルドを含む外部マニホルドと、外部マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場における少なくとも1つの周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートとを画定する3次元容積を有する前記ステップ、(b)前記還元剤マニホルドを形成する、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、および脱着可能な成形要素を組み立てるステップ、(c)カセットに圧力差を加えることによって、1)カセットの周辺縁端が樹脂で互いにカプセル化され、2)還元剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素と、酸化剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素とが、還元剤マニホルドと酸化剤マニホルドを形成するように、カセットの周辺部をシーリングするステップとを含む方法によって、製造される前記電気化学的カセットを提供する。
【0075】
一態様において、本発明は、酸化剤マニホルドを形成する、少なくとも1つの脱着可能な成形要素をさらに含む、電気化学的カセットを提供する。
別の観点においては、本発明は、電気化学的カセットであって、(a)膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの脱着可能な成形要素を準備して還元剤マニホルドを形成するステップであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる少なくとも1つの開口を含み、各脱着可能なマニホルド要素が、主マニホルドを含む外部マニホルドと、外部マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場における少なくとも1つの周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートとを画定する3次元容積を有する前記ステップ、(b)前記還元剤マニホルドを形成する膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、および脱着可能な成形要素を組み立てるステップ、(c)カセットに圧力差を加えることによって、1)カセットの周辺縁端が樹脂で互いにカプセル化され、2)還元剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素と、酸化剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素とが、還元剤マニホルドを形成し、酸化剤流動場は開放されたままとなるように、カセットの周辺部をシーリングするステップとを含む方法によって、製造される前記電気化学的カセットを提供する。
【0076】
ある態様においては、本発明は、各バイポーラプレートまたはセパレータプレートが、外部マニホルド幾何形状とともに、典型的な流動場幾何形状を含むように、側面ドリル加工されている、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、各外部マニホルドは、シーラントによって境界を定められている。
ある観点では、本発明は、(a)少なくとも1つの本発明の電気化学的カセット、(b)少なくとも1つのエンドプレートアセンブリを含み、該エンドプレートが1つまたは2つ以上の電気化学的カセットのスタックの上端部および/または下端部に組みつけられた、燃料電池スタックを提供する。
【0077】
一態様において、本発明は、エンドプレートおよび燃料電池カセット(複数を含む)がカプセル化されて、組み合わせてシーリングされるように、エンドプレートアセンブリが、カプセル化の前に、電気化学的カセット(複数を含む)と組み立てられている、燃料電池スタックを提供する。
別の態様においては、本発明は、加圧手段がスタックに適用されて、燃料電池スタックに圧縮力を与える、燃料電池スタックを提供する。ある態様においては、圧縮は、カプセル化の前、その途中、またはその後に行われる。
【0078】
その他の態様においては、本発明は、電気化学的カセット(複数を含む)をカプセル化した後に、エンドプレートアセンブリが1つまたは2つ以上の電気化学的カセットに取り付けられる、燃料電池スタックを提供する。
さらに他の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリが圧縮式シール(compressive seal)によって取り付けられる、燃料電池スタックを提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリの少なくとも1つが、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、金属、または金属合金で構成された、燃料電池スタックを提供する。
【0079】
別の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリの少なくとも1つが、充填ポリマー複合材料で構成されている、燃料電池スタックを提供する。さらに別の態様においては、充填ポリマー複合材料は、ガラス繊維強化熱可塑性物質、またはグラファイト強化熱可塑性物質である。
別の態様においては、本発明は、エンドプレートの1つの少なくとも一部分が、導電性の金属または金属合金で構成されている、燃料電池スタックを提供する。さらに別の態様においては、少なくともカセットの一部分、またはエンドプレートアセンブリの1つが、銅集電体である。
【0080】
ある態様においては、本発明は、ランナー管の要件が不要となることにおいて効果をもたらす。マニホルドおよびランナーの幾何形状は、シーラント中に直接、鋳造される。さらに別の態様においては、これらの幾何形状は、バイポーラプレートを側面ドリル加工して、ランナー幾何形状をバイポーラプレート内部に含めることによって形成され、この方法は、マニホルドの1ステップ成形と呼ばれる。さらに別の態様においては、ランナー穴幾何形状は、バイポーラプレートの側面中に成形される。別の態様によれば、バイポーラプレート内部のブリッジ構成要素を使用して、バイポーラプレートの側面ドリル加工を行うことなくランナー幾何形状が達成される。その他の態様において、別個のランナーおよびプレナム成形部品が使用され、本明細書では2ステップ法と呼ぶ。その他の態様においては、一体型ランナー/プレナム成形部品が使用される。
【0081】
本発明のある好ましい態様においては、本発明の燃料電池スタックは、(例えば、冷却剤透過を低減する)蒸気バリヤも含む。(蒸気形態の)冷却剤の、スタック側壁を通過しての透過は、時間経過とともに重大な冷却剤損失につながる可能性がある。これによって、冷却剤貯留槽を再充填するために、燃料電池セルシステムの、定期的な保守が必要となる。このような作用は、一般的には望ましくなく、最適燃料電池スタック設計の1つの目標は、このような透過を低減または削除することである。この問題に対処するために、インサート成形燃料電池スタックは、蒸気バリヤ構成要素を使用してもよい。この構成要素の実施例である、図13に示す蒸気バリヤ1350は、それが実質的にマニホルドを包囲するように、冷却剤マニホルド、空気マニホルド、または燃料マニホルドの上に取り付けられる。
【0082】
当業者は、蒸気バリヤ構成要素は、様々な材料、好ましくは不透過性または低透過性の材料(典型的には金属またはプラスチック)で構築することができることに気づくであろう。蒸気バリヤは、スタックに組み付け、次いで所定位置に成形するか、代替的には、成形ステップおよび硬化ステップの後にスタックに付加してもよい。図16は、1セル当り18平方cm(2.8平方インチ)の36個のセルスタックにおける蒸気バリヤの有効性を示す透過試験の結果を示す。図16では、蒸気バリヤを備えないセルスタック、蒸気バリヤを備えるセルスタック、および蒸気バリヤを備え、それに加えてそのまわりに箔で包装されたセルスタックに対する透水性が比較されている。図16に示すように、蒸気バリヤは、セルスタックからの水分損失を実質的に低減し、追加の箔包装によってさらに蒸気損失が減少する。
【0083】
本発明の固有の設計には、テーパー付きマニホルドプレナム幾何形状を含めることができる。本発明のこの観点は、図14に示すもののような、テーパー付きマニホルドインサート1440を含む。好ましくは、このインサートには、スタック構成要素から外向きの側面1450にテーパーがつけられており、それによってバイポーラプレートおよび冷却プレートのすべてに対する均一な接合機能が促進される。本発明に従って使用されると、テーパー付きマニホルドインサート1440は、従来型スタック設計に対して、多数の利点(例えば、より均一な速度、圧力低下、および流れ分布)をもたらす。
【0084】
さらに他の好ましい態様においては、本発明のインサート成形スタックは、圧縮式(機械式)シールと接着式を併用する。図15に示す、このシーリング機構1530は、クロスリークおよび/または外部リークを実質的に低減または解消する。インサート成形スタックの構築において、末端バイポーラプレートとエンドプレート1520の結合部におけるマニホルドの移行部は、成形コンパウンドがエンドプレートへの十分な粘着力を有さない限り、リーク経路を生成する可能性がある。このリーク経路は、クロスリークおよび/または外部リークにつながる可能性がある。
【0085】
成形コンパウンドへの粘着のために、エンドプレートをプライミングすること、またはその他の方法でそれらを処理することの必要性を回避するために、組合わせ圧縮/接着シーリング機構1530を使用してもよい。このシーリング機構は、スタック構築に使用される成形コンパウンドに粘着する、Oリングまたは短い管部分とすることができる。これは、リーク経路を停止して、それをそれぞれのマニホルドに収容する、接着式シールを生成する。Oリングまたは管それ自体は、(図15における上端エンドプレートの底面から突出する)管状ポートに圧縮式でシーリングされる。圧縮式シールは、リーク経路が、Oリングまたは管の内側に進行するのを防止する。このような圧縮シーリングと接着シーリングの組合せにより、簡便で、耐性があり、信頼性のあるシーリング配設が生成される。
【0086】
その他の態様において、図12を参照すると、本発明は、別個のランナー/ブリッジ構成要素1202を使用するインサート成形方法の実現例を示す。これらの構成要素は、バイポーラプレート602における穴を不要にする。上述の方法は、プレナムのプレートへの一体化においてなされた改善によって、シーリングステップおよび成形ステップに基づいている。図12は、どのようにしてブリッジ1202が、流動場1208の端末領域と協働して、バイポーラプレート1201にドリル加工する必要なく、ポート1204を画定できるかを示す。さらに、ブリッジ1202と流動場1208の末端領域との組合せは、図6について以下にさらに説明するように、一体ランナー機能1206を作成し、成形中のプレナムインサートを不要にする。しかしながら、当業者は、ブリッジは、バイポーラプレートと組み合わせて使用して、ドリル加工なしに、またバイポーラプレートから延びる一体ランナー機能を形成することなく、ポートを形成できることを容易に認識するであろう。
【0087】
単一ステップ成形方法は、図6および7に示すように、必要なランナー幾何形状604をすでに包含する、バイポーラプレート602を使用する。したがって、プレナム幾何形状だけを、成形ステップ中に作成する必要がある。プレナムは、バイポーラプレートおよび冷却プレート602の側面に対してシーリングするとともに、図7において成形の前に、図8において成形中/成形後に、図9において成形取出し後に示すように、成形中にカプセル化される垂直挿入されたインサート606を介して作成される。
【0088】
図2を参照すると、2ステップ法は、バイポーラプレートおよび冷却プレート206におけるポート204の内側に適合するとともに、スタック構成要素から外側に延びるランナーインサート202を介して、ランナー幾何形状が所定位置に成形される、初期成形ステップを必要とする。このステップの間に、プレナムインサート207も、所定位置に成形されるが、プレナムの外側範囲は、ランナーインサートをスタックから水平に取り外す必要のために、このステップの後に開放されたままとなる。ランナーおよびプレナムを、図5に示すように一体式プレナム/ランナーインサート506として、単体にすることも可能である。この初期成形ステップ(図3を参照)の後に、図4に示すように、プレナム幾何形状を完成して包囲するために、第2次作業(構成要素の成形または接着)が必要となる。
【0089】
現在の革新によって、先述の「ワンショット」製作技法による、外部マニホルドの使用が可能となる。一般に、流動場(例えば、1108、1208)は、活性領域を超える最小縁端(例えば、2〜3mm)で使用される。流動場は、外部縁端に対して開放されて、それぞれの反応物に対する少なくとも1つの入力を提供する。燃料電池のカソード側に使用される流動場においては、少なくとも1つの入力および1つの出力が設けられる。同様に、外側縁端上に少なくとも1つの入力と1つの出力開口を有する、冷却流動場を使用することができる。流動場は、金属またはカーボン複合材料、あるいは燃料電池の機能に適合するその他の材料で作製することができる。単一構成要素のいずれかの側面に2つの流動場を含む、流動場のバイポーラ構成も使用することもできる。膜電極接合体は、名目上は流動場と同一の大きさと寸法に切断される。
【0090】
流動場およびMAE構成要素は、(セル数、冷却層の数および配置などを含む)スタック設計に固有に、互いに積層される。これらの構成要素は、MEA活性領域が(バイポーラプレート内部または個別部品としての)必要な流動場に露出されるように、おおまかに位置合せされて、組立体を形成する。この組立体には、必要な流動場構成要素と相対的に組み立てられたMEAからなる、任意の数のセルおよび冷却層を含めることができる。結果として得られる組立体は、残りの工程の間、締結力によって(例えば、図7に示す圧縮ねじ710によって)互いに保持される。
【0091】
典型的には、外部マニホルドのポートと、MEA/バイポーラプレートまたはMEA/流動場/セパレータプレートの組立スタックの周辺開口が、互いに接合されて、それらが材料をそこに配送(除去)しようとする流動場に、各マニホルドを流体接続する。組立後に、シーラント樹脂が導入されて、この樹脂が、外部マニホルドのポートと、マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場の周辺開口との間の結合部をシーリングするとともに、組立カセットの周辺部を同時にカプセル化する。
【0092】
複数のMEAを備えるか、または電気化学反応が大量の熱を発生する、本発明の電気化学的カセットにおいて、カセットの動作中に生成される熱を消散させるために、1つまたは2つ以上の冷却剤流動場を電気化学的カセット内に組み入れることが一般的に望ましい。ある用途に対してはその他の配設が好適であるが、冷却剤流動場は、典型的には、約1から約8層のMEA層の組の間、より好ましくは2、3、4、5、もしくは6層のMEA層の組の間に挿入される。少なくとも1つの冷却剤流動場を備える電気化学的カセットにおいては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、主マニホルド導管と、そのマニホルドがそこに材料を配送しようとする同数の流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートとを備え、各冷却材外部マニホルドは、主マニホルド導管と、同数の冷却材流動場の周辺開口と接合させることのできる、少なくとも1つのポートとを備える。
【0093】
やはり本発明が意図するものとして、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの還元剤外部マニホルド、および少なくとも1つの酸化剤外部マニホルドを含む、少なくとも1つの電気化学的セルを備える、電気化学的カセットであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる、少なくとも1つの開口(例えば、204、1204)を含み、各外部マニホルドは、1次マニホルドと、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする流動場における周辺開口と流体接触する、少なくとも1つのポートとを含み、1つまたは2つ以上のMEA、酸化剤流動場、還元剤流動場、およびセパレータプレートが組み立てられて、シーラントによってその周辺部のまわりをカプセル化されており、各外部マニホルドは、少なくとも部分的にシーラントによって範囲を定められた容積であり、該容積は、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場内の周辺開口と接触しており、各外部マニホルドは、その長さに沿って実質的に一様な横断面を有する単一の導管からなる、主マニホルド(例えば、図11における1110)を含む、前記電気化学カセットがある。
【0094】
本発明の外部マニホルド型の電気化学的カセットの新規な設計によって、より大きな割合のMEA表面積が電気化学反応に利用されるとともに、所与のカセット容量に対してより小型のカセット(例えば、全体カセット寸法および重量)が得られる。本明細書で提供するカセット設計は、カセットの構成要素の製造および組立を簡略化する。本発明によれば、カセットの活性領域は、大幅に増加する。特に、セパレータプレート(バイポーラプレート)およびMEAは、内部マニホルド構造を使用する燃料電池組立体の場合のように、その厚さを通過して延びる穴またはその他の孔を必要としない。
【0095】
本発明のカセットは、プレートの周辺部のまわりの各反応剤(reagent)流動場への少なくとも1つ、好ましくは2つの開口を有する、1つまたは2つの反応剤流動場を含む1つまたは2つ以上のプレートを含む。より具体的には、プレートは、反応剤流動場毎に少なくとも1つ、好ましくは2つの開口を含み、この開口は、スタックが樹脂でカプセル化されるときに、外部マニホルドのポートと流体密なシールを形成することができる。好ましくは、流動場またはプレートの周辺開口、およびマニホルドのポートは、樹脂カプセル化中に圧力または真空が加えられるときに、スタック組立と流体密シールの形成を容易化するように成形されている。
【0096】
以下は、参照により本明細書に組み入れてある、US20040247982A1に記載された、いくつかの革新の簡単な説明である。A.この発明のカセットは、マニホルドのポートが、セパレータプレート、流動場、およびMEAの組立スタック内の対応する周辺開口と接合されてカセットを形成することができるように、製造または組み立てられる、処理された外部マニホルドを含む。B.燃料電池構成要素の締め付け組立体に対して、個別のマニホルド部品が付加されて、それぞれの層上の特定の反応物の入力または出力に対応するすべての開口を連結する。これらのマニホルド部品は、無垢の原材料から機械加工するか、任意の数の材料から鋳造するか、または適当な樹脂から成形することができる。C.一般に、これらのマニホルド部品は、それらが接するスタック構成要素のそれぞれに、ぴったりとはまる必要がある。D.外部マニホルドの組立は、主マニホルド管、ホース、またはパイプを設け、主マニホルドの側壁を通過する一連の開口を配置し、開口内にポート用のホース、パイプまたは配管類を挿入することによって行われる。
【0097】
好ましくは、マニホルド開口に挿入されるポート配管は、ポートと主マニホルドとの間の連結が流体密であるか、または燃料電池を樹脂でカプセル化した後に流体密となるように、実質的に同一の直径を有する。シーラントおよび反応物、例えば酸化剤および/または燃料に対して化学的に安定な任意の材料が、外部マニホルド開口の製造における使用に適するが、好ましい材料は、スタック組立を容易化するのに十分な柔軟性を有する、非電導性樹脂である。一般的に好ましいマニホルド材料は、シリコーン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、Tygon(登録商標)配管、ブチルゴム、その他から選択される。E.燃料電池用途での使用に対して、本発明のカセットは、典型的には、次の構成要素、すなわち膜電極接合体(MEA)、流動場、セパレータプレート、および外部マニホルドを含む、スタック状組立体の形態で使用される。好ましくは、次いでスタック状組立体は、樹脂中にカプセル化されて、MEAとセパレータプレートを接着するとともに、外部マニホルドをセパレータプレートまたは流動場に対してシーリングして、マニホルドと少なくとも流動場のいくつかの間の導管を形成する。好ましい態様において、1つまたは2つの流動場、およびセパレータプレートが単一のバイポーラプレート内に設けられ、このバイポーラプレートが、次いでMEA層およびその他のバイポーラプレートと積み重ねられる。
【0098】
上記の説明について、本発明は、製造性および性能における大幅な改善を可能にする。別個の構成要素としてのマニホルドを無くすることによって、部品数は大幅に減少する。マニホルドの製作における精密製造ステップが無くなる。ランナーとプレナム挿入および取付けステップを無くすることによって、小物部品の取り扱いが大幅に減少する。さらに、結果として得られる各ランナーを通過するプレナムからの流れ幾何形状は、ランナー機能が、小型管状構成要素の手作業組立とは異なり、バイポーラプレート製造の間のドリル加工または成形ステップで達成されるので、セル間でより安定している。
【0099】
外部からマニホルドを付加されたスタック組立体は、空洞型内部に設置されて、樹脂が構成要素のまわりに導入される。樹脂は、スタックの外部から加えられる圧力によるか、またはスタック内部に付加される真空によって(すなわち、それぞれのマニホルドを通過して)、スタック組立体の縁端中に押し込まれる。熱可塑性樹脂の冷却によるか、または熱硬化性樹脂の場合にはキュアリングによって硬化すると、カプセル化された燃料電池スタックを型から取り外すことができる。樹脂は、各MEAの縁端をシーリングすること、ならびにマニホルド部品を含む、すべてのスタック構成要素を互いに結合させることの両方の役割を果たす。
【0100】
また、最終カプセル化には、(図1に示すエンドプレート120、図6および7に示すエンドプレート620、および図15に示すエンドプレート1520などの)エンドプレート、および集電体部品も含めることにより、組立工程のさらなる統合化、ならびに最終製品の信頼性向上が可能である。エンドプレート構成要素には、カプセル化ステップの前、その間、またはその後にスタック構成要素部品を圧縮する機能を含めることができる。別個のガスケットを必要とすることなしに燃料電池が製作されるので、必要な圧縮は、従来型燃料電池スタックにおける圧縮の何分の1かにすぎず、良好な電気接触を維持するのに使用される。
【0101】
本発明の燃料電池は従来型の装置に対していくつかの利点をもたらし、そのような利点としては、それに限定はされないが、次のものがある。構成要素面積の大部分が、組立体に能動的に使用される、すなわちわずかな部分だけがスタックのシーリング/マニホルド部に使用され、MEA横断面積の少なくとも80以上、好ましくは85%から約95%が、電気化学反応に能動的に使用される。連続的に被覆されたMEAは、簡便に使用することができる(すなわち、MEAのロール・ツー・ロール方式の製造工程に適合する)。スタック内部のすべての構成要素をカプセル化することで、頑強な製品が提供される。シーリングにガスケットおよび圧縮を必要としないので、構成要素部品を、非常に緩い公差で製作することができる。反応物流をエンドプレートまたはコレクタプレートから隔離することによってスタック内の腐食が低減または防止される。冷却剤流を複合材料MEAから隔離することによって、MEAの非水系冷却剤への露出に伴う問題が低減または防止される。
【0102】
好ましくは、燃料電池構成要素のすべてが、ほぼ同一の周囲形状に切断される。好ましい態様においては、MEA層は、切削部または、その厚さを貫通するその他の穴あるいはチャネルのない無垢のシートであり、バイポーラプレート(複数を含む)は、反対側両面に1つまたは2つの流動場と、各流動場に対して開口している、バイポーラプレートの周辺部まわりの流動場あたり、少なくとも2つの孔とを有する。好ましくは、孔は、外部マニホルド内のポートと結合して、緊密なシールを形成することが可能であり、それによってシーラントを要らなくする。
【0103】
MEAのガス拡散層(GDL:gas diffusion layer)の多孔質性のために、MEAとバイポーラプレートの周辺部に導入されたシーラントは、GDLに相互浸透し、MEAとバイポーラプレートを一緒にシーリングするとともに、バイポーラプレート孔を外部マニホルドのポートに対してシーリングする。従来式方法においては、ポリマー膜は、シーリング目的のフレームを設けるために、GDLを通り越して延ばすことが必要なることが多い。結果的に、これによって製造コストが増大する。それと対照的に、本発明によれば、実質的に同一の大きさおよび形状であるGDLとポリマー膜によって、シーリングが達成される。このことは、本発明において使用されるMEAは、連続式製造が可能であり、それに伴い製造コストを低減することができるので、有利である。
【0104】
ある用途においては、特に流動場への大量の材料、またはそのより均一な配送が望まれる場合には、本発明は、流動場が、材料を配送する2つ以上の外部マニホルド、および2つ以上の排出マニホルドと流体接触する電気化学式カセットを意図する。本明細書において提供される電気化学的カセット設計は、一部には、カセット組立の容易さと、個々の外部マニホルドへの流動場開口に対して必要とされる横断面積が小さいという理由で、多重マニホルド/流動場接続を提供する。すなわち、本発明のカセットには、ある場合には、スタックの各流動場と流体接触する複数の材料配送および/または材料排出外部マニホルドを組み入れる。
【0105】
例示的な組立設計を説明したが、最終燃料電池カセットの出力要件に応じて、燃料電池は、任意所望の数の構成要素を互いに組み立てることができることを、当業者は認識するであろう。個別の設計に関わりなく、構成要素は、最終燃料電池の要件に合致するように組み立てられる。それぞれの場合に、外部マニホルドは、バイポーラまたはセパレータプレート/流動場のそれぞれにおける等価流動場への孔のそれぞれに結合するのに適する大きさを有して位置合せされたポートを有し、この外部マニホルドが、次いで、スタック組立体と位置合わせされて、流動場のそれぞれとシールを形成する。
【0106】
上述の燃料電池カセット組立体を真空樹脂トランスファー技法を使用してシーリングするために、成形インサートの材料および幾何形状は、燃料電池カセット組立体内部の還元剤、酸化剤および冷却用幾何形状への流体連通を可能にするように選択される。次いで、シーラントが、組み立てられた構成要素の外周のまわりに導入される。組立体内部の外部マニホルドのそれぞれを介して、真空に引かれる。圧力差によって、シーラントが組立体の縁端中へと引き込まれ、組立体内の構成要素の周辺部を一緒にシーリングするとともに、組立体を完成燃料電池カセットに形成する。またシーラントは、MEAのGDLを透過する。外周シーリングは、シーラントがMEAの隣接部分同士を結合したときに完了する。
【0107】
射出成形技法を使用して燃料電池カセットをシーリングするには、駆動加圧手段を使用して、外部マニホルド系を含む組立体の周辺部のまわりにシーラントが注入される。シーラントは、外部マニホルドの内部導管中、または外部マニホルドの内部導管に対して開口している流動場中には導入されない。この好ましい態様においては、熱可塑性プラスチック樹脂を、組立体の縁端のまわりのシーラントとして使用し、燃料電池カセットを型から取り外す前に冷却、硬化させる。関連する温度および圧力に適応することのできる型が使用される。代替的に、熱硬化性樹脂を、時間と温度の任意好適な組合せで硬化処理して、同様に使用することができる。
【0108】
シーリング工程を達成するのに必要な圧力差および時間は、燃料電池カセット構築に使用される材料の関数である。これらには、樹脂の粘性および流れ特性、ならびにMEAにおいて使用されるガス拡散層のタイプが含まれる。当業者は、これらのパラメータに基づいて適当な時間および圧力を判断することができるであろう。本発明の実施者はまた、シーリング工程中の視覚検査によって最も適当な時間および圧力を確認することもできる。
【0109】
カプセル化に使用される樹脂またはシーラントは、それが動作中の燃料電池システムにおいて判明する条件に対して必要な化学的および機械的な特性(例えば、酸化安定性)を有するように、選択される。適当な樹脂/シーラントには、熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性エラストマー類の両方が含まれる。好ましい熱可塑性プラスチックとしては、熱可塑性オレフィンエラストマー類、熱可塑性ポリウレタン類、プラストマー類、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリプロピレンおよびポリスチレンがあげられる。好ましい熱硬化性エラストマーとしては、エポキシ樹脂、ウレタン類、シリコーン類、フルオロシリコーン類、およびビニルエステル類があげられる。
【0110】
ある好ましい態様においては、エンドプレート(例えば、120、620、1520)は、上記のシーリングステップの間に、MEA層とバイポーラプレートとのスタック状組立体に直接、接着される。代替的に、エンドプレートは、一表面に流動場を有し、他の表面に電気リード線および/または様々なアダプタを有する、改変バイポーラプレートとすることができる。この態様を使用することからいくつかの利点が生じる。燃料電池カセットと従来型エンドプレートの間の圧縮式シールをなくすることによって、燃料電池スタックの信頼性が向上するとともに、重量が実質的に減少する。また、組み入れたエンドプレートには、様々な取付け具を含めて、燃料電池スタックをさらに簡略化することができる。
【0111】
本発明の好ましい一態様においては、真空式または圧力式の樹脂トランスファー成形を使用して、(スタックの外側の外部縁端から導入された)シーラントが、MEAの周辺縁端中、ならびにバイポーラプレートおよびマニホルドのまわりに引き込まれるか、または押し込まれる。好ましくは、シーラントは、シールが液密またはガス密になるようにMEAの外部縁端と接触するGDLのその部分、およびバイポーラプレートと、非多孔質複合材料を形成する。本発明のこの態様は、製造が容易であり、したがって燃料電池カセットの大量生産に好ましいシーリング手段である点において好ましい。
本発明の燃料電池カセットに使用するのに好ましい複合材料膜電極接合体は、膜、触媒層およびガス拡散層を含む積層膜電極接合体を含む。納入業者としては、とりわけ3M、デュポン、ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey)、W.L.Gore、Umicore、E−Tek、PEMEASがあげられる。
【0112】
電気化学的セルおよび燃料電池用途での使用に適する好ましいカセットとしては、さらに、好ましくはエンドプレートに一体化された少なくとも2つの集電体があげられる。すなわち、好ましいカセットにおいて、エンドプレートの1つの少なくとも一部分は、電導性の金属または金属合金で構成される。より好ましくは、エンドプレートの1つの少なくとも一部分は、銅集電体である。エンドプレートおよび燃料電池カセットを組み立てて、本発明が提供する燃料電池スタックを形成する手段は、特に限定はされず、圧縮ガスケットシール、Oリング、または樹脂および/またはシーラント中への共同カプセル化を含めることができる。好ましい態様において、エンドプレートは、樹脂によるカプセル化の前、かつシーラントの導入の前に、燃料電池カセットと組み立てられて、エンドプレートと燃料電池カセットを組み合わせて、例えば同時にカプセル化、シーリングするようにされる。
【0113】
本発明のその他の好ましい態様において、1つまたは2つ以上の燃料電池カセットが製造されて、次いで、1つまたは2つ以上の圧縮ガスケットおよびエンドプレートと共に位置合せしてスタックにされる。貫通ボルト(例えば、図7における710)、繋留具(tie downs)、またはその他の機械式締結具などの圧縮手段を、燃料電池スタックに取り付けて、燃料電池カセットとエンドプレートを機械的にシーリングする。
好ましい態様において、個々のカセットの外部マニホルドは、隣接する他のカセットの外部マニホルドと液密またはガス密なシールを形成することができる。
【0114】
本発明のカセットおよびスタックにおける層の大きさおよび層の数は、特に限定されない。通常、各流動場および/または膜接合体は約1cm2から約1m2の間である。しかしながら、当業者は理解するように、ある用途においては、より大きい、またより小さい流動場層および/または膜接合体層が好適である。本発明の燃料電池カセットの層寸法および層数、ならびに燃料電池カセットは、様々な用途に対して十分な電力を生成する能力がある。しばしば、本発明の燃料電池カセットおよび燃料電池スタックの電力出力は、約0.1Wから約100kWの間であり、より好ましくは、約0.5Wから約10kWの間である。
【0115】
本発明の燃料電池は、一部には、反応剤マニホルドから集電体/エンドプレートを空間分離したことにより、耐食性の向上と動作寿命の延長をもたらす。外部マニホルドは、集電体プレートおよび複合材料MEAから隔離されたマニホルドを介して反応剤流動場に燃料および酸化剤を配送する。導電性金属または金属合金で形成された、集電体の腐食は、現行集電体を酸化するか、またはその他の方法でそれと反応する能力のある反応剤を、外部マニホルドおよびマニホルドがそれに材料を配送する流動場へ、隔離することによって防止される。同様に、MEAから反応剤マニホルドを隔てることによって、MEAの両表面がマニホルドを通過して流れる反応剤に露出されるのを防止し、それによって多くの従来型燃料電池設計に関連するクロスセル電位(cross-cell potential)問題を防止する。さらに、MEAと冷却剤流体との接触が回避される。
【0116】
任意の従来型MEAは、本発明の燃料電池スタックに使用するのに適している。さらに、反応剤流動場またはバイポーラプレートとして、名目的に同一横断面を有する正方形、円形、長方形またはその他の規則形状のMEAが、本発明の燃料電池スタックに使用するのに適している。複合材料MEAは、追加の改変、例えばMEA構造における追加の開口または非電導性ガスケットの組込みなどを行うことなく、本発明のセルにおいて使用するのに適している。実質的に同一横断面を有する、実質的に均一な複合材料MEAを、流動場および/またはセパレータプレートとして組み込むことによって、電気化学反応に使用することのできるMEAの部分が最大化される。
【0117】
本発明の改良型燃料電池スタックは、従来型燃料電池構成要素から製造が可能であり、射出成形法および真空式樹脂トランスファー成形法の両方、ならびに圧力式樹脂トランスファー成形法を使用することができる。
本発明は、最小の労働で燃料電池スタックの製作を可能にし、それによってそのコストを劇的に低減するとともに工程自動化を可能にする。さらに、本発明において、エンドプレートの圧縮またはその他の圧縮手段によるのではなく、燃料電池構成要素へのシーラントの粘着によってシーリングされる。これによって、最終スタックに必要となる圧縮が減少し、それによってシールの信頼性を向上させ、電気接触を向上させ、かつより広範囲の樹脂の使用を可能にする。さらに、エンドプレートは、燃料電池カセット中に成形して、それによってスタック全体(例えば、燃料電池カセットおよびエンドプレート)を1ステップで製造してもよい。
【0118】
本発明の好ましい燃料電池カセットを、以下の説明的な態様によってさらに説明するが、それらは説明の目的だけで示すものであり、その中で開示される特定の構成要素や量に本発明を限定することを意図するものではない。
【0119】
実施例
本発明は、電気化学的用途およびイオン交換用途での使用に適する、様々なカセットを提供する。上述のように、本発明のカセットは、燃料電池での使用に特に適している。
実施例1:2ステップ成形法
一般に、2ステップ法は、バイポーラプレートおよび冷却プレート内のポートの内側にはまり、スタック構成要素から外側に延びるランナーインサートを介してランナー幾何形状が所定位置に成形される、初期成形ステップを必要とした。このステップの間に、プレナムも、所定位置に成形されたが、プレナムの外側の範囲は、ランナーインサートをスタックから水平方向に取り外す必要性から、このステップ後には開放状態のままである。この初期成形ステップの後に、プレナム幾何形状を完成させて封入するのに、第2次操作(構成要素の成形または粘着)が必要であった。
【0120】
実施例2:別個のランナーインサートおよびプレナムインサート
この成形工程中に、ランナーおよびプレナム幾何形状の両方を形成するのに、脱着可能なインサートを使用した。ランナーインサートを、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面内のポート中に挿入して、スタックの内部領域からシーラントコンパウンドを遮断した。別個の単一のインサートを使用して、ランナーを形成し、プレナムは、ランナーインサートと物理的に接触して成形シールを形成する別個のインサートによって形成した。
【0121】
第1の成形ステップに対して、プレナムインサートは、典型的には、型自体の内部壁によって外側に拘束されていた。初期成形、キュアリング、および型外しの完了の後に、プレナムインサートは、最初にスタックの外部壁から取り外した。これによって、個別に取り外すことのできるランナーインサートへのアクセスが可能になる。
図2は、ランナーとプレナムインサートを備えるスタック構成要素の分解図を示す。図3は、最初の成形ステップ後のスタックの例である(6つのプレナムインサートの2つがこの例では残っている)。
【0122】
実施例3:不連続型ランナー/ブリッジ構成要素
その他の態様において、プレートはランナー幾何形状を有さない。その代わりに、プレートは、別個の構成要素であるランナー/ブリッジ構成要素を受け入れる空隙を有する。この構成要素は、シリコーンシーラントが、ランナーに進入するのを遮断し、MEAの縁端においてブリッジ機能をもたらす。この構造の利点は、プレートが貫通穴構造を有する必要がなく、また厳密な公差を必要としないことである。ランナー/ブリッジは、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、またはその他任意の所望の材料で製作した。ランナー/ブリッジは、バイポーラプレートならびにプレナムへのシーリングを容易にする機能を有した。これらのランナー/ブリッジ構成要素は、一体型バイポーラプレートランナー構想よりも、大きな公差を受け入れることができる。
【0123】
第1の成形ステップが完了して、インサートが取り外された後に、プレナム幾何形状を完成させるのに使用できる2つの基本技法があった。第1の技法においては、予備成形された構成要素を、スタックの表面に粘着させて、プレナムの露出面を閉止した。これらの構成要素は、プレナムの開放側を覆い、その外周のまわりにシーリングされる、プラスチックまたは金属の平坦シートと同等に単純にすることができる。代替的に、構成要素は、スタックの表面に粘着する、部分管または、その他の部分的に閉止された形状とすることができる。
【0124】
第2の技法において、第2の成形ステップを使用して、プレナム幾何形状の残部を生成した。典型的には、別個の、より大きな型を使用して、成形コンパウンドが、プレナムインサートのまわりにプレナムの残りの側を形成できるようにした。プレナムインサートは、ランナーインサートを取り外した後に、再設置した。次いで、スタックを再び成形して、プレナム幾何形状の残部を形成した。
図4は、最終成形ステップ後の、2ステップインサート成形スタックの実施例を示す。この図においては、標準配管構成要素へ接続する移行部として、スタップの頂部の所定位置に管420が成形されたが、様々なインターフェイスまたは取付け具を所定位置に成形してもよい。成形ステップの後に、プレナムインサートは、単に垂直方向に取り外して、完成スタックにおいてみられる取付け具に置き換えた。
【0125】
実施例4:一体型ランナー/プレナム、単一構成要素インサート
別の観点においては、この方法は、プレナムとランナー幾何形状の両方を備える一組のインサートを、第1の成形ステップにおいて使用したことを除いて、実施例1の方法と同一であった。これらのインサートは、スタックの側面から水平に取り外した。この技法を使用することによって、組立および型外しステップが、小型部品搬送が減少すること、および部品数が減少することによって簡略化される。
図5は、スタック構成要素と一体型ランナー/プレナムインサート506を分解図で示している。前述したように、ランナーインサートは、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面内のポートの中に挿入して、成形コンパウンドをプレートの内部領域から遮断した。
【0126】
第1の成形ステップが完了した後の、第2ステップ選択肢は、別個のランナー/プレナムインサートに対する方法と同一であった。プレナムが第2の成形ステップを完了している場合には、プレナム幾何形状のみを備えるインサート(ランナーなし)を、使用しなくてはならない。代替的に、単一ステップでスタックを成形するための一体化ランナー/プレナムインサートの使用は、型外しステップにおいて成形プレナム幾何形状を介してランナーインサートを取り外すのに十分なほど、インサートを折り畳み可能、または柔軟にした場合に達成された。
【0127】
実施例5:一体型ランナー幾何形状を備えるバイポーラプレートを使用する単一ステップ成形
単一ステップ成形法では、必要なランナー幾何形状をすでに包含するバイポーラプレートを使用した。したがって、プレナム幾何形状だけを、成形ステップの間に生成する必要がある。プレナムは、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面に対してシーリングする、成形中に完全にカプセル化された、垂直に挿入されたインサートを介して作成された。
実施例6:プレナムインサートを備える一体型ランナーを備えるバイポーラプレート
図6は、プレナムインサートなしの、スタック構成要素の組立体を示す。バイポーラプレートの側面および冷却プレートにおいてランナー幾何形状を形成する穴は、この図で見えている。
【0128】
図7は、プレナムインサートを備える、スタックの明細組立体図面を示す。ロッドインサート701は、エラストマー管606が、十分に支持されて、各バイポーラプレート層に対するシールを確保することを可能にするように、その長さ全体にわたる剛性を有するインサートを提供する。エラストマー管は、成形プレナムの内径を生成するとともに、成形ステップ中に個々の層をそれぞれ遮断する際にいくらかの柔軟性をもたらす役割を果たす。この柔軟性によって、通常の製造公差および構成要素のわずかな位置合せ不良を許容する。上端ポート703は、シリコーン管または燃料電池スタック用の処理ポートとしての役割を果たす、その他の接続としてもよい。上端ポート703は、好ましくはスタックの成形コンパウンドに粘着可能であり、機械式シールまたは圧縮式シールなしに、連続するプレナムを形成する。参照番号620は、燃料電池スタックの圧縮プレート(またはエンドプレート)を指す。エンドプレート620は、プレナム整列構造704、充填穴706および通気穴708などのプレナムインサートの位置合せを可能にするいくつかの幾何形状を有して、成形工程を容易化する。
【0129】
スタック製造工程はいくぶん柔軟性があり、典型的例は以下のとおりである。
1.スタックのすべての構成要素(下端エンドプレート、バイポーラプレート、定寸(cut-to-size)MEA、集電体(使用する場合)、上端エンドプレート、圧縮ねじおよびハードウエア、シーリングリング(例えば、シーリングリング709))を組み立てる。必要に応じて様々な位置合せ器具を使用して、干渉を取り除く。圧縮ねじおよびハードウエアを挿入;ゆるやかに締め付ける(手締め)。
2.ロッドインサートの上からエラストマー管を挿入し、次いで管/インサートを上端エンドプレート内の穴に挿入する。
3.上端ポートをインサートの上から、上端エンドプレート中に挿入する。
【0130】
4.圧縮ネジを指定値まで締める。
5.型を組み立てて、スタックを挿入する。
6.成形コンパウンドを、通気穴がほとんどこぼれない程度まで注入する。
7.通気穴に蓋をして、成形コンパウンドに指定の時間/圧力をかける。
8.成形機器を取り外し、型上の充填穴に詮をし、上端エンドプレート上の通気穴に栓をする。
9.指定の時間と温度で型内のスタックを硬化させる。
10.型からスタックを取り外し、プレナムインサートを取り外す。
【0131】
図8は、成形されて、まだ型の中にある状態のスタックを示す。図9は、型外しの後のスタックを示す。図9に示すスタックと類似のスタックを構築して試験した。このスタックは、4個のセルと2個の冷却層を備えた。スタックは洩れがないことがわかった。このスタックに対するV−I曲線を図10に示してある。図11は、成形工程の間にインサートによって形成される一体化プレナムを示す、破断図のスタックである。図12は、一体化ランナー、逃げ溝(undercuts)のないバイポーラプレートを可能にする不連続ブリッジ構成要素を備えるバイポーラプレートを製作する方法を示す。この設計は、一体型ランナーおよびプレナムインサートを備えるバイポーラプレートの構築利点と、簡略化されたバイポーラプレート製造を考慮に入れている。このプレートには、一体化ランナーを形成するのに必要な逃げ溝がなく、したがって、簡略化された成形法、機械加工法または打ち抜き加工法によって、厳しい公差なしに製作することができる。不連続ブリッジ構成要素は、熱可塑性エラストマーを含む、任意好適な材料で製作することができる。一体化ランナーバイポーラプレート構築のこの変形形態には、様々な製造およびコスト上の利点がある。
【0132】
本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、本発明の考案および方法において様々な修正形態および変更形態を考案できることが、当業者には明白であろう。すなわち、本発明には、添付の請求の範囲とその均等物の範囲に含まれる、修正形態および変更形態を含めることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】様々な構成要素を示す、典型的な電気化学的セルスタックの概略横断面図である。
【図2】ランナーおよびプレナムインサートを備えるスタック構成要素の破断図である。
【図3】第1の成形ステップの後の、スタックの一例の図である(この図では6つのプレナムインサートの内の2つが残っている)。
【図4】最終成形ステップの後の、2ステップインサート成形スタックの一例を示す図である。
【図5】スタック構成要素および一体型ランナー/プレナムインサートを示す破断図である。
【図6】プレナムインサートなしの、スタック構成要素の組立を示す図である。
【図7】いくつかのプレナムインサートを備えるスタックの明細組立図である。
【図8】プレナムインサートがまだ所定位置で、まだ型の中にある成形状態のスタックを示す図である。
【0134】
【図9】プレナムインサートがまた所定位置にある、型外し後のスタックを示す図である。
【図10】図8および9に示すスタックに対する、電圧・電流(V−I)曲線を示す図である。
【図11】成形工程後にインサートを取り外すことによって形成される一体型プレナムを示す、スタックの破断図である。
【図12】単一ステップ成形に必要なランナー幾何形状を得るために、バイポーラプレート内部での不連続ブリッジ構成要素の使用を示す図である。
【図13】冷却剤透過を低減するために蒸気バリヤ構成要素を使用するスタックを示す図である。
【図14】テーパー付きのマニホルドプレナム幾何形状を組み入れたスタックを示す図である。
【図15】末端バイポーラプレートとエンドプレートの結合に関して、圧縮(機械式)シールと接着式シールの組合せを使用するスタック設計を示す図である。
【図16】本発明による蒸気バリヤの有効性を実証する、セル蒸気リーク曲線を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その出願の全文を参照により本明細書に組み入れてある、2006年4月10日出願の米国特許出願第11/401785号の部分継続である。
【背景技術】
【0002】
膜式電気化学的電池、特に、陽子交換膜(PEM)燃料電池はよく知られている。PEM燃料電池は、実質的に環境排出物なしに化学エネルギーを電力に変換するものであり、エネルギーが貯蔵されるのではなく、供給燃料から抽出される点においてバッテリーとは異なる。したがって、燃料電池は充電/放電サイクルに束縛されることなく、燃料が連続的に供給される限り、特定の電力出力を維持することができる。多額の資金が燃料電池研究および商品化に投資されてきており、このことはこの技術が市場において相当な将来性を有することを示している。しかしながら、従来型発電技術と比較したときの燃料電池のコストの高さは、燃料電池の一般普及を遅らせている。燃料電池を製作し組み立てるコストは、必要な材料および労力のために、高額になることがある。実際に、燃料電池のコストの85%までが製造に帰する可能性がある。
【0003】
従来から、内部マニホルド型スタックを、燃料電池およびその他の電気化学用途において使用する上での問題の一つは、内部マニホルドのまわりをシーリングする際に犠牲となる領域である。一つの対処法は、マニホルドの一部または全部をスタックの外部に配置することである。この設計に伴う困難さの一つは、マニホルドとスタックの間のシーリングにおいて経験される。従来型スタックの場合と同様に、シーリングは、典型的にはガスケットと圧縮によって達成される。不運なことには、ガスケット/圧縮方式のシールには、熱サイクルに対する感受性、均一な圧縮と関連するハードウエアの必要性、精密な公差の部品類、および繊細な組立要件を含む、いくつかの固有の欠点がある。
【0004】
一般的に、単一セルPEM燃料電池は、薄いイオン導電性膜で隔てられたアノードおよびカソード室(compartment)とからなる。この触媒膜は、ガス拡散層を含むか、または含まず、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)と呼ばれることが多い。エネルギー変換は反応物、還元剤および酸化剤が、PEM燃料電池のアノード室およびカソード室にそれぞれ供給されたときに始まる。酸化剤としては、純酸素、空気などの酸素含有ガス、塩素などのハロゲン類がある。還元剤としては、本明細書では燃料とも呼ばれるが、水素、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アルコール混合物およびその他の水素富化有機物があげられる。アノードにおいては、還元剤は酸化されて陽子を生成し、この陽子は膜を横断してカソードに移動する。カソードにおいて、陽子は酸化剤と反応する。全体的な電気化学レドックス(redox: reduction/oxidation)反応は自然発生して、エネルギーが放出される。この反応の間中、PEMは、還元剤と酸化剤が混合するのを防ぎ、イオン移動の発生を可能にする。
【0005】
現在の最新の燃料電池設計は、単一セルよりも多くのセルを含み、事実、一般的にいくつかのMEA、流動場およびセパレータプレートを直列に結合して、燃料電池「スタック」を形成し、これによって、ほとんどの商業用途で必要とされる、より高い電圧および大きな電力出力を提供する。流動場は、燃料電池中に反応物を配送することを可能にするものであり、通常は、燃料電池内で多孔質電極層と隔てられている。スタック構成によっては、燃料電池スタック内部での燃料、酸化剤および冷却流の混合を防止するために、1枚または2枚以上のセパレータプレートをスタック設計の一部として使用してもよい。そのようなセパレータプレートは、スタックに対して構造的な支持を与えることもできる。
【0006】
バイポーラプレートは、酸化剤流動場、燃料流動場およびセパレータプレートの組合せと同じ機能を実行し、これらを使用することによって機能する燃料電池において必要な構成要素の数を低減することができるので、燃料電池の設計において頻繁に使用される。これらのバイポーラプレートは、流動場として機能するMEAに接触するプレート表面に形成されたチャネルの配列を含む。ランド部は電極からの電流を導通するのに対して、ランド部間のチャネルは、燃料電池が使用する反応物を配送するとともに、水などの反応副産物の除去を容易化する役割を果たす。燃料は、バイポーラプレートの一面上で燃料取入れ口から燃料取出し口まで、チャネルによって誘導されるままに配送されるのに対して、酸化剤は、バイポーラプレートの反対面上で酸化剤取入れ口から酸化剤取出し口まで、チャネルによって誘導されるままに配送され、この2つの面はこのプレートを貫通して連結されていない。バイポーラプレート流動場チャネルの詳細な設計は、温度、電力出力、ガス加湿および流量などの燃料電池スタックの動作パラメータに対して最適化してもよい。燃料電池スタックに使用される理想的なバイポーラプレートは、炭素/ポリマー複合材またはグラファイトなどの、薄肉、軽量で耐久性のある高度に導電性の耐食性構造である。燃料電池スタックにおいて、各バイポーラプレートは、その燃料流動場面を介してスタックの1つのMEAに燃料を配送し、その間に反対側の酸化剤流動場面を介して、第2のMEAに酸化剤を配送する役割を果たす。薄い多孔質の紙シート、通常グラファイトまたは炭素でできた布またはフェルトを、それぞれの流動場とMEAの触媒化面との間に設置して、MEAを支持してもよく、この場合に、それは流動場における溝と対向して、隣接するランド部に電流を流すとともに、MEAに反応物を配送するのを助ける。この薄いシートは、通常はガス拡散層(GDL)と名づけられ、MEAの一部として組み入れることができる。
【0007】
必然的に、MEAのGDL部分などの、あるスタック構成要素は、燃料電池スタックの中に、その外へ、またその内部で反応物および副生成物の配送を行うために、多孔質である。スタック内部の要素が多孔性であるために、スタック構成要素間(またはスタックの外側)でのすべての液体またはガスのリークを防止するとともに、環境への露出による様々なスタック要素の乾燥を防止する手段も必要である。この目的で、通常、ガスケットまたはその他のシールが、MEAまたはPEMとその他のスタック構成要素の表面間、およびスタック周辺部の部分の上に設けられる。これらのシーリング手段は、エラストマー材料で構成される場合も、接着材料で構成される場合も、一般的に、シーリングされている特定の表面上に、設置、取付け、形成または直接塗布される。これらの処理は、労働集約的であり、大量生産には適さず、そのために燃料電池のコストを高くする。さらに、これらの工程の変動性によって、製造歩留まりの低下や装置の信頼性の低下を生じる。
【0008】
燃料電池スタックには、冷却剤流動場の1つまたは2つ以上の内部に加湿チャネルも含めてもよい。これらの加湿チャネルは、燃料電池の動作温度にできる限り近い温度で、燃料および酸化剤を加湿する仕組みを提供する。これによって、燃料電池に進入するガスとPEMの温度との高い温度差によって、水蒸気がPEMから燃料流および酸化剤流へと移るときの、PEMの脱水を防止するのに役立つ。
【0009】
燃料電池スタックは、電力出力、冷却、およびその他の技術要件に応じて、その設計が広範囲に変わるが、製造の困難さとさらなる燃料電池コストの増大をもたらす、複雑な組立体においては、多数のMEA、シール、流動場およびセパレータプレートを使用することもある。これらの多数の個々の構成要素は、通常、1つの単独の複合ユニットに組み立てられる。燃料電池スタックの形成は、帯締め法(banding)またはその他の方法を使用してもよいが、一般的には、エンドプレートとボルトを使用して、ユニットを圧縮することによって、ガスケットシールとスタック構成要素とを互いに緊密に保持して、それらの間で電気的接触が維持される。これらの圧縮を加える従来型手段は、スタックにさらなる構成要素と複雑度を付加するとともに、追加のシーリング要件を課する。
【0010】
燃料電池スタック組立体設計における、これらの欠点に対処し、それによって製造コストを低減するために、様々な試みが、燃料電池技術においてなされてきた。しかしながら、ほとんどのスタック組立体設計は、まだ構成要素の手作業による位置合せ、シーリング手段の能動設置および/または多段工程を必要とし、これらのそれぞれは、実施における重要な欠点を示している。例えば、Schmitらへの米国特許第6080503号、Chiらへの米国特許第4397917号およびEppらへの米国特許第5176966号に記載された工程を参照されたい。
【0011】
さらに、従来型燃料電池カセットにおいては、2つのタイプのMEAが支配的である。すなわち、1)ガス拡散層の境界を越えて膜が延びるMEA、および2)ガスケット材料が、ほぼ同一サイズと形状の膜とGDLによって、MEA自体の縁端中に形成されている(例えば、Ballardへの米国特許第6423439号を参照)MEAである。第1のタイプでは、別個のガスケットを使用して、GDLを越えて延びる膜縁端と、スタックの他の部分(バイポーラプレート)との間がシーリングされる。第2のタイプでは、MEAのガスケットが、スタックのその他の部分と直接的にシーリングを行う。これらの方法のそれぞれは、シールを形成するために圧縮することを必要とする。これらの圧縮方式のシールでは、スタック内のすべての構成要素が高い精度を有して、均一な負荷が維持されるようすることが必要である。MEA製造業者は、上記のMEA型式を供給するのに慣れている。
【0012】
さらに別の試みが、燃料電池設計および性能の改善のために行われている。例えば、米国特許第4212929号は、燃料電池スタックの改良型シーリング方法について記載している。その特許は、マニホルドとスタックの間で締め付けられるポリマーシールフレームを使用するシーリングシステムを報告している。記載のように、圧縮の間にシーリングフレームがスタックと共に移動し、典型的なマニホルドシールに伴うリーク率が減少する。米国特許第5514487号および米国特許第5750281号の両方は、ある数のマニホルドプレートを含む、縁端マニホルド接合体について記載している。これらのプレートは、燃料電池スタックの反対両側に装着されて、反応物流と冷却剤流をスタックの外周に沿って選択的に誘導するように機能する。これらの設計は、その他の従来型組立体に限定的な改善をもたらすが、それらは一般的に大量生産には適さない。
【0013】
当該技術のこれらおよびその他の欠点を認識して、本願の譲受人は、スタックまたはそのモジュールの内部のマニホルドポートをシーリングする一連の革新的な方法、ならびに労働集約度が低く、かつ大量生産により適するスタックまたはモジュールの周辺部をシーリングする方法を開発した(国際公開WO03/036747を参照)。この公報は、燃料電池スタック(およびその他の電気化学デバイス)の「ワンショット」組立を開示しており、この組立では、構成要素部分のすべてが、ガスケットなしで型の中に組み立てられる。その型の中に樹脂が導入され、この樹脂は、樹脂トランスファー成形技法または射出成形技法のいずれかによって、組立体のある部分を選択的に貫通する。硬化すると、その樹脂は、構成要素をシーリングして、スタック内部のすべてのマニホルドチャネルを画定する。正味効果は、従来型スタックのガスケットを、構成要素の組立後に導入される、接着剤方式シールで置き換えることである。
【0014】
我々は、GDLと膜が互いにおよそ同じ全体外形であり、かつ同じ全体スタックプロファイルである、MEAを有する燃料電池について前述した(国際公開WO03/092096参照)。この技法の主な利点は、事後処理の必要なく、ロール・ツー・ロールMEAを直接使用できる能力である。しかしながら、各MEAの横断面の大部分が、様々なマニホルド開口およびスタックの周辺部をシーリングするのに使用されて、セル横断面の約50%だけが、電気化学反応に使用される。
【0015】
我々は、また、膜式電気化学的電池、より具体的には、周辺部まわりに成形ガスケットを有する、1つまたは2つ以上の複合材MEAを含む、PEM燃料電池スタックを開発した。複合材MEAのガスケット部分は、シーリング工程の間にシーラントの流れを調整することのできる、1つまたは2つ以上の構造を有する(国際公開2004/047210を参照)。
【0016】
別の先行特許出願において、本願の譲渡人は、各モジュールがある数のユニットセルを互いに永久に接合する、別個のモジュールを一緒に組み立てて、必要な電力出力の燃料電池スタックを形成する、革新的な燃料電池スタック設計を報告している(参照により本明細書に組み入れてある、国際公開WO02/43173を参照)。
【0017】
先行技術に対するこれらの進歩にもかかわらず、本願の譲渡人は、この技術に対してさらなる改善を加えることができることを認識した。1つの改善は、例えば、全MEA領域のより多くの部分を電気化学工程に利用することである。例えば、内部マニホルド設計を含む、燃料電池スタックを特に参照すると、カセットのある横断面は、シーラントチャネルと反応物/冷却剤マニホルド用に使用しなくてはならず、したがって、潜在的に活性な領域が必然的に犠牲にされる。また、より複雑度が低く、より信頼性の高い、かつ製造のためのコストの低い改良型燃料電池スタックを提供することが望まれる。さらに、重量およびサイズが低減されて、(上記のように)全MEA表面積のより大きな割合が、スタック内部で発生する電気化学反応に利用可能である、例えば触媒領域およびプロトン移動に対して利用可能である、改良型燃料電池スタックを提供することが強く望まれる。
【0018】
冷却剤透過、クロスリーク(cross-leaks)および外部リークを低減または解消する機能を備え、かつバイポーラプレートや冷却プレートなどの内部構成要素の均一な接合(mating)をもたらすスタックを開発することが特に望ましい。
【0019】
また、代替態様を開発することが強く望まれる。そのような2つの例としては、個別のランナー/ブリッジ構成要素(これらの構成要素はバイポーラプレートの側面内の穴を不要にする)を使用するインサート成形法があり、第2の例は、(組立および/または燃料電池性能を最適化するために)プレナムインサート材の代替形状を使用する方法である。
【発明の開示】
【0020】
本発明の目的および利点は、以下の説明に記述されており、それから明白となるとともに、本発明を実施することによって学習されるであろう。本発明のさらなる利点は、明細書およびその請求の範囲に詳細に指摘される方法およびシステムによって、また添付の図面から実現、達成される。これらおよびその他の長所を達成するため、および本発明の目的に応じて、本明細書において具現化して概説するように、本発明は、膜電極接合体と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、前記膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む少なくとも1つの燃料電池を有する、燃料電池スタックを含む。
【0021】
燃料電池スタックはまた、前記燃料電池の周辺部のまわりに形成された単体プレナムハウジングであって、前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを少なくとも部分的に画定する、前記単体プレナムハウジングを含む。
【0022】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池は、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、単体プレナムハウジングは、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドをさらに画定し、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成することができる。
【0023】
セルスタックには、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して配置された蒸気バリヤインサートをさらに含めて、該蒸気バリヤインサートは、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プレナムハウジングの成形材料によって包囲することができる。燃料電池スタックには、プレナムハウジングの外周部に近接して配置された蒸気バリヤ層をさらに含めて、該蒸気バリヤ層は、燃料電池スタックの周辺部を通過して流体が流出するのを低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プラスチック、金属、複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せから選択される材料で作ることができる。
【0024】
本発明の別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して還元剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0025】
本発明のさらに別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して酸化剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0026】
本発明の別の観点によれば、単体プレナムハウジングは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、冷却剤マニホルドを画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質膜の縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。
【0027】
本発明の別の観点によれば、還元剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。酸化剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。さらに、冷却剤マニホルドが燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能であることも考えられる。
【0028】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックは、直列に電気接続された複数の燃料電池を含むことができる。燃料電池スタックは、燃料電池と熱的に連通する複数の冷却プレートをさらに含むこともできる。
【0029】
本発明のさらに別の観点によれば、還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレートとしてそれぞれ一体的に形成することが可能であり、該セパレータプレートは、バイポーラプレート、および冷却プレートからなる群から選択される。還元剤流路と酸化剤流路は、燃料電池の周辺部における、セパレータプレートの厚さを部分的にだけ貫通して延びるポートにおいてそれぞれ終端させることができる。
【0030】
各セパレータプレートは、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接して輪郭形成構造(contoured feature)を画定し、該輪郭形成構造は、プレナムハウジングが形成されているときに、脱着可能な型と接合するように適合させて、構成することができる。輪郭形成構造は、実質的に凹形形状とすることが可能であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合させることができる。セパレータエンドプレートには、カーボン/ポリマー複合材料、グラファイト、金属、およびその他任意好適な材料の中から選択される材料を含めることができる。グラファイトには、グラファイトテープを含めることができることも考えられる。バイポーラプレートは、金属シートから打ち抜き加工することができる。
【0031】
本発明の別の観点によれば、還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含むことができる。単体プレナムハウジングは、第2の還元剤流路と流体連通して、前記第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドと、第2の酸化剤流路と流体連通して、前記第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドとをさらに画定することができる。
【0032】
本発明のさらに別の観点によれば、冷却プレートに、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含めることが可能であり、単体プレナムハウジングは、第2の冷却剤流路と流体連通する第2の冷却剤マニホルドをさらに画定することが可能であり、該第2の冷却剤マニホルドと前記第2の冷却剤流路は協働して第2の冷却剤プレナムを形成する。
【0033】
本発明のさらに別の観点によれば、膜電極接合体の活性領域は、スタックの第1のエンドプレートから前記スタックの第2のエンドプレートの方向に沿って燃料電池を貫通する孔を設けないことによって最大化することができる。
【0034】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックには、スタックの第1端に第1のエンドプレートと、前記スタックの第2端に第2のエンドプレートをさらに含めることができる。燃料電池スタックには、第1および第2のエンドプレートを互いに連結して燃料電池を所定位置に保持する複数の締め具をさらに含めることができる。エンドプレートの少なくとも1つに、マニホルドの1つの末端に近接してその中に形成されたくぼみを含め、該くぼみが、プレナムハウジングが形成されているときに脱着可能な型を受け入れるように適合させて、構成することができる。
【0035】
各エンドプレートは、(i)熱硬化性ポリマー、(ii)熱可塑性ポリマー、(iii)金属、(iv)金属合金、(v)充填ポリマー複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せの中から選択される材料を含むようにすることも考えられる。本発明のさらに別の観点によれば、一方のエンドプレートに充填穴を含め、他方のエンドプレートが通気穴を含めて、成形方法によりプレナムハウジングを形成することを容易にすることができる。
【0036】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池カセットには、膜電極接合体に電気的に結合された集電体をさらに含めることができる。また、エンドプレートの少なくとも1つに、燃料電池スタックを通過して材料を移送するための、還元剤プレナムおよび酸化剤プレナムと流体連通するポートを含めることができることも考えられる。
【0037】
本発明の別の観点によれば、マニホルドの少なくとも1つが、マニホルドの第1端からマニホルドの第2端へとテーパーがつけられた構造を有することができる。テーパー付きマニホルドは、燃料電池スタックの外部ポートの方向に、マニホルドの長さに沿ってより大きな横方向寸法へと拡大する、より小さな横方向寸法を有することができる。テーパー付きマニホルドは、燃料電池の周辺部に近接する実質的に円筒状表面と、該実質的に円筒状表面と対向するテーパー付き表面とによって画定することができる。
【0038】
本発明のさらに別の観点によれば、燃料電池スタックは、マニホルドの1つの一端に一体的に形成された管状インサートをさらに含み、該管状インサートは、プレナムハウジングの材料と適合する材料で構成され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成することができる。管状インサートは、プレナムハウジングに近接する燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通って突出させることができる。
【0039】
本発明は、燃料電池スタックを製造する方法も含む。この方法は、少なくとも1つの燃料電池を準備するステップであって、該燃料電池は、膜電極接合体と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む。この方法は、また、前記燃料電池の周辺部のまわりにプレナムハウジングを成形することを含み、該プレナムハウジングは、前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを、少なくとも部分的に画定する。
【0040】
さらに本発明によると、燃料電池は、前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含む、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含むことができて、成形ステップは、前記冷却剤流路と流体連通するとともに、前記冷却剤流路と協働して冷却剤プレナムを形成する冷却剤マニホルドを形成することを含むことができる。
【0041】
成形ステップは、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つの内部表面を画定することができる。燃料電池の周辺部の一部分は、非多孔質幕のの縁端、およびプレートの縁端の少なくとも一方を含む。酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つが、燃料電池の周辺部によって画定されないようにすることが可能である。
【0042】
冷却剤プレートには、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含めることが可能であり、成形ステップには、第2の冷却剤流路と流体連通するとともに、該第2の冷却剤流路と協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、第2の冷却剤マニホルドを形成することをさらに含めることができる。
【0043】
この方法は、成形ステップの前に、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して蒸気バリヤインサートを配置することをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、所定位置に成形されると、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成することができる。蒸気バリヤインサートは、プラスチック、金属、複合材料、その他任意好適な材料、およびその組合せから選択される材料で製作することができる。
【0044】
本発明の別の観点によれば、この方法には、還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレート中に一体的に形成することをさらに含めて、該セパレータプレートは、バイポーラプレート、および冷却プレートからなる群から選択することができる。この方法には、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接する各セパレータプレートの縁端において輪郭形成表面を形成することをさらに含めて、該輪郭形成表面は脱着可能なマニホルド型と接合されるように適合化かつ構成することができる。
【0045】
輪郭形成構造は、実質的に凹形形状であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合させることができる。この方法は、燃料電池の周辺部における流路に近接する燃料電池スタックのエンドプレート内にくぼみを形成することをさらに含み、該くぼみはマニホルド型の端部を受け入れるように適合化かつ構成することができる。マニホルド型を、輪郭形成部分に対して位置決めすることをさらに含めることができることも考えられる。
【0046】
この方法には、燃料電池および型のまわりに材料を成形して、マニホルドを画定することをさらに含めることもできる。燃料電池スタックの第1のエンドプレートに、成形材料を受け入れるための充填穴を含め、燃料電池スタックの第2のエンドプレートに、流体および成形材料の通気を可能にする通気穴を含めて、成形工程の間にプレナムを成形することを容易にすることができる。この方法には、型を取り外すことをさらに含めることができる。
【0047】
本発明のさらに別の観点によれば、還元剤流動場に、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含め、酸化剤流動場に、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含めることができ、成形ステップには、第2の還元剤流路と流体連通するとともに、該第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドを形成すること、および第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、該第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドを形成することを含めることができる。
【0048】
本発明のさらに別の観点によれば、この方法には、第1のエンドプレートを、少なくとも1つの燃料電池の第1端に設置し、第2のエンドプレートを、前記少なくとも1つの燃料電池の第2端に設置することをさらに含めることができる。この方法には、第1および第2のエンドプレートを複数の締め具で互いに連結して、燃料電池を所定位置に保持することをさらに含めることができる。
【0049】
この方法には、少なくとも1つの脱着可能なランナー型を、酸化剤流路と還元剤流路の少なくとも一方に挿入して、成形コンパウンドが流路に進入するのを防ぐとともに流れ経路を画定することをさらに含めることができることも考えられる。この方法には、燃料電池とランナー型のまわりに材料を成形して、流れ経路を形成することをさらに含めることができる。
【0050】
この方法には、ランナー型を取り外すこと、およびマニホルド型を挿入することをさらに含めることができることも予想される。マニホルド型は、実質的に円筒形状にすることができる。マニホルド型には、型の第1端から前記型の第2端への方向に沿ってテーパーが付けることができることも予想される。この方法には、燃料電池およびマニホルド型のまわりに材料を成形してマニホルドを形成することをさらに含めることもできる。この方法には、マニホルド型を取り外すことをさらに含めることができることも予想される。
【0051】
本発明のさらに別の観点によれば、この発明には、型を燃料電池に対して設置することをさらに含めて、脱着可能な型が、酸化剤マニホルドと還元剤マニホルドの少なくとも一方の容積を画定する形状を有するようにすることができる。型には、細長いマニホルド部分、および複数のランナー部分を含めて、該ランナー部分を、燃料電池の周辺部における流れ経路に接触するように適合化かつ構成することができる。
【0052】
この方法には、燃料電池および型のまわりに材料を成形することをさらに含めることができる。この方法には、型作業を実行する前に燃料電池と型を型空洞の内部に設置することをさらに含めて、該型空洞は、燃料電池スタックの周辺境界を画定する幾何形状を有するようにすることができることも予想される。この方法には、成形作業を解除した後に、型を取り外すことをさらに含めることができる。
【0053】
本発明の別の観点によれば、本発明には、マニホルドの1つの一端に近接するプレナムハウジング中に、管状インサートを一体的に形成することをさらに含めて、該管状インサートは、前記プレナムハウジングの材料と適合する材料で製作し、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成するようにすることができる。この方法には、燃料電池スタックのエンドプレートを、管状インサートが燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通過して突出するように、管状インサートの上に取り付けることをさらに含めることができる。
【0054】
成形ステップの間に導入される材料は、圧力式樹脂トランスファー、真空式樹脂トランスファー、射出成形、その他任意好適な技法、およびその組合せの中から選択される技法によって導入することができる。この材料は、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入することができる。この材料は、0psiから約250psiの間の正の圧力下で圧力式樹脂トランスファーによって導入できることも予想される。この材料は、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力下で、真空式樹脂トランスファーによって導入することができる。
【0055】
前述の概要説明および以下の詳細な説明は、例示的なものであり、請求しようとする本発明をさらに説明することを意図するものであることを理解すべきである。
【0056】
発明の詳細な説明
定義
本発明のさらなる説明の前に、本発明がより易しく理解されるように、いくつかの用語を最初に定義し、便宜のためにここに収集する。
本明細書において使用する場合には、用語「プレナム(plenum)」は、反応物マニホルドおよび/または冷却剤マニホルドの共通容積を生成する幾何形状または構成要素、例えば図1に示すプレナム110を意味する。
【0057】
用語「ランナー(runners)」、例えば図1におけるランナー128は、反応物および/または冷却剤を個々のセル/流動場(例えば、図12に示す流動場1208および図11に示す場1108)に配送するマニホルドの区間である。ある態様においては、ランナーは、燃料電池スタック(例えば、図100におけるスタック100)のバイポーラプレート中に一体化されている(例えば、図5におけるバイポーラプレート602内の一体ランナー604)。別の態様においては、ランナーは、成形の後で取り除かれる、1つまたは2つ以上のインサート(例えば、図2におけるランナーインサート202)によって所定位置に成形される。両方の態様に対して、プレナムは、成形後に取り除かれる、インサートによって所定位置に成形される。
【0058】
用語「ブリッジ(bridge)」は、側面ドリル加工なしでランナーを提供するために、流動場またはバイポーラプレートに付加される不連続構成要素、例えば図12におけるブリッジ1202である。
用語「マニホルド」は、ランナーとプレナムの組合せ、例えば図1におけるマニホルド150として定義される。
【0059】
本発明のMAEスタック
ある観点において、本発明は、電気化学的カセットを提供し、該電気化学的カセットは、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの還元剤外部マニホルド、および少なくとも1つの酸化剤外部マニホルドを備える、少なくとも1つの電気化学的電池を含み、各流動場は、セルの周辺部を通過して延びる、少なくとも1つの開口を含み、各外部マニホルドは、1次マニホルド、および外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場における周辺開口と流体接触する、少なくとも1つのポートを含み、1つまたは2つ以上のMEA、酸化剤流動場、還元剤流動場、およびセパレータプレートが組み立てられて、シーラントによってその周辺部のまわりをカプセル化されており、各外部マニホルドは、少なくとも部分的にシーラントによって画定された容積であり、この容積は、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場内の周辺開口と接触している。
【0060】
ある態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、シーラント、例えば図1における成形領域170によって実質的に画定された容積である、電気化学的カセットを提供する。
別の態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、シーラントと、1つまたは2つ以上のMEA、多孔質膜、非多孔質膜、酸化剤流動場、還元剤流動場、第2のシーラント層、またはセパレータプレートを含む、少なくとも1つの追加の要素とによって、実質的に画定される容積である、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様において、外部マニホルドは、シーラントと、非多孔質膜またはプレートとによって実質的に画定される容積である。さらに別の態様において、外部マニホルドは、シーラントと第2のシーラント層とによって実質的に画定される容積である。
【0061】
さらに別の態様において、本発明は、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドが、シーラントと任意選択で1つの追加の流体不透過性材料とによって実質的に境界が定められた容積を含み、該容積は、マニホルドが材料を配送または除去しようとする流動場の周辺開口に流体的に接続されている、少なくとも1つの脱着可能な型要素によって画定されている、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、脱着可能な型要素は、カセットの周辺部をシーラントでカプセル化した後に取り外される。
その他の態様においては、本発明は、セパレータプレートおよび1つまたは2つ以上の流動場が、バイポーラプレートに一体化されて、各流動場周辺開口が、バイポーラプレートの厚さの一部分だけを通過して延びている、電気化学的カセットを提供する。
【0062】
さらに別の態様においては、各流動場周辺開口は、該流動場周辺開口と接触して設置されている脱着可能型要素と流体密シールを形成することのできるアダプタを含む。「流体密シール」または「シーラント密シール」は、本明細書では同義で使用され、例えば、ガス密シールおよび/または液体密シールであり、シーラントは、MEAの縁端に透過することがあるが、マニホルド開口に進入することは防止される。さらに別の態様においては、各流動場開口は、バイポーラプレートの表面の一部分を貫通して延びて、外部マニホルドと、マニホルドがそれに対して材料を配送している流動場との間の流体接触をもたらす。さらに別の態様においては、各流動場開口は、バイポーラプレートの表面を貫通して延びることなく、プレートの厚さの一部分を貫通して延びている。
【0063】
さらに別の態様においては、アダプタは、平面表面を有する脱着可能な型要素と接合させることのできる平面を含むか、またはアダプタは、円筒状の脱着可能な型要素または楕円柱と接合させることのできる曲面を含む。
さらに別の態様においては、脱着可能な型要素は、本体と、複数の突起を含み、アダプタは、脱着可能な形要素の突起と流体密シールを形成することのできる凹形容積を含む。
【0064】
さらに別の態様においては、各流動場周辺開口は、外部マニホルドを形成するのに使用される成形要素に対して流体密シールを形成する。さらに別の態様においては、成形要素は、プレナムと少なくとも1つのランナーを含む固体であり、プレナムはマニホルドの容積を画定し、ランナー群は、マニホルドが成形要素の取外し後に流動場に流体接続されるように、各流動場周辺開口と流体密なシールを形成する。さらに別の態様においては、カセットは、各冷却材流動場が、流動場の周辺部を通って延びる少なくとも2つの開口と、それぞれが1次マニホルドを含む少なくとも2つの冷却剤外部マニホルドとを含む、少なくとも1つの冷却剤流動場、および冷却剤流動場内の周辺開口に結合可能な少なくとも1つのポートを含む。さらに別の態様においては、各バイポーラプレートは、ゼロまたは1つの酸化剤流動場、ゼロまたは1つの還元剤流動場、およびゼロまたは1つの冷却剤流動場を有する。
【0065】
その他の態様においては、本発明は、各膜電極接合体が還元剤流動場および酸化剤流動場と接触している、電気化学的カセットを提供する。
別の態様においては、本発明は、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドが、実質的に均一な成分によって範囲を定められている容積を含み、各マニホルドが、主マニホルド、およびマニホルドがそれに対して材料を配送するか、または除去しようとする、等しい数の流動場の周辺開口に接合させることのできる、少なくとも1つのポートを含む。
【0066】
さらに別の態様においては、各外部マニホルドは、シーラントと、1つまたは2つ以上のMEA、多孔質膜、非多孔質膜、酸化剤流動場、還元剤流動場、第2のシーラント層、またはセパレータプレートを含む、少なくとも1つの追加の要素とによって実質的に範囲を定められた容積である。さらに別の態様においては、外部マニホルドは、シーラントおよび/または非多孔質膜またはプレートによって実質的に境界が定められた容積である。さらに別の態様においては、外部マニホルドは、シーラントおよび第2のシーラント層によって実質的に境界が定められた容積である。
【0067】
さらに別の態様においては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、シーラントによって範囲を定められた容積を含む。
【0068】
その他の態様においては、本発明は、電気化学的カセットであって、シーラントが、脱着可能な成形要素と、マニホルドがカプセル化工程の間に材料をそこに配送しようとする流動場の周辺開口との間の結合部を同時にシーリングし、成形要素の取外しによって形成される空隙が、マニホルドが材料をそこに配送しようとする流動場に流体接続された外部マニホルドの容積を形成する。
さらに他の態様においては、本発明は、各複合材MEAおよび各セパレータプレートが、溝、穴またはその全厚さを通過して延びるその他の孔を含まない、電気化学的カセットを提供する。
【0069】
さらに他の態様においては、本発明は、電気化学的カセットであって、少なくとも1つの冷却剤流動場をさらに含み、各冷却剤流動場は、流動場の周辺部を通過して延びる少なくとも2つの開口、それぞれが主マニホルドを含む少なくとも2つの冷却剤外部マニホルド、および冷却剤流動場内の周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートを含む、前記カセットを提供する。
【0070】
さらに別の態様においては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、主マニホルド導管と、マニホルドが材料をそこに配送しようとする等しい数の流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートを含む、単一構成要素を備え;各冷却剤外部マニホルド開口は、主マニホルド導管と、等しい数の冷却剤流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートとを含む、単一構成要素を備える。
【0071】
さらに他の態様においては、本発明は、各外部マニホルドが、少なくとも2つの主マニホルドと、各主マニホルドおよび各組のポートが材料を、各主マニホルドがそこに材料を配送または除去しようとしている流動場に配送または除去することができるように流体連通していない、少なくとも2組のポートとを含む、電気化学的カセットを提供する。
ある態様においては、電気化学的カセットは、燃料電池カセットである。
【0072】
その他の態様においては、バイポーラプレートは、カーボン/ポリマー複合材料、グラファイトまたは金属の少なくとも1種から機械加工または成形される。
さらに他の態様においては、バイポーラプレートは、金属シートから打ち抜き加工される。さらに別の態様においては、バイポーラプレートはグラファイトテープである。用語「グラファイトテープ」は、成形、型押し、かつ樹脂注入されてある形に硬化させたグラファイト、例えばカーボンポリマー複合材料である。
【0073】
その他の態様において、本発明は、シーラントが圧力式樹脂トランスファー、真空式樹脂トランスファー、または射出成形によって導入される、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、シーラントまたは樹脂が、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入される。さらに別の態様においては、シーラントは0psiから約250psiの正圧力の下で圧力式樹脂トランスファーによって導入される。さらに別の態様においては、シーラントまたは樹脂は、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力の下で真空式樹脂トランスファーによって導入される。
【0074】
その他の観点では、本発明は、電気化学的カセットであって、(a)膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの脱着可能な成形要素を準備して還元剤マニホルドを形成するステップであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる少なくとも1つの開口を含み、各脱着可能なマニホルド要素が、主マニホルドを含む外部マニホルドと、外部マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場における少なくとも1つの周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートとを画定する3次元容積を有する前記ステップ、(b)前記還元剤マニホルドを形成する、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、および脱着可能な成形要素を組み立てるステップ、(c)カセットに圧力差を加えることによって、1)カセットの周辺縁端が樹脂で互いにカプセル化され、2)還元剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素と、酸化剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素とが、還元剤マニホルドと酸化剤マニホルドを形成するように、カセットの周辺部をシーリングするステップとを含む方法によって、製造される前記電気化学的カセットを提供する。
【0075】
一態様において、本発明は、酸化剤マニホルドを形成する、少なくとも1つの脱着可能な成形要素をさらに含む、電気化学的カセットを提供する。
別の観点においては、本発明は、電気化学的カセットであって、(a)膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの脱着可能な成形要素を準備して還元剤マニホルドを形成するステップであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる少なくとも1つの開口を含み、各脱着可能なマニホルド要素が、主マニホルドを含む外部マニホルドと、外部マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場における少なくとも1つの周辺開口に結合することのできる少なくとも1つのポートとを画定する3次元容積を有する前記ステップ、(b)前記還元剤マニホルドを形成する膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、および脱着可能な成形要素を組み立てるステップ、(c)カセットに圧力差を加えることによって、1)カセットの周辺縁端が樹脂で互いにカプセル化され、2)還元剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素と、酸化剤マニホルドを形成する脱着可能な成形要素とが、還元剤マニホルドを形成し、酸化剤流動場は開放されたままとなるように、カセットの周辺部をシーリングするステップとを含む方法によって、製造される前記電気化学的カセットを提供する。
【0076】
ある態様においては、本発明は、各バイポーラプレートまたはセパレータプレートが、外部マニホルド幾何形状とともに、典型的な流動場幾何形状を含むように、側面ドリル加工されている、電気化学的カセットを提供する。さらに別の態様においては、各外部マニホルドは、シーラントによって境界を定められている。
ある観点では、本発明は、(a)少なくとも1つの本発明の電気化学的カセット、(b)少なくとも1つのエンドプレートアセンブリを含み、該エンドプレートが1つまたは2つ以上の電気化学的カセットのスタックの上端部および/または下端部に組みつけられた、燃料電池スタックを提供する。
【0077】
一態様において、本発明は、エンドプレートおよび燃料電池カセット(複数を含む)がカプセル化されて、組み合わせてシーリングされるように、エンドプレートアセンブリが、カプセル化の前に、電気化学的カセット(複数を含む)と組み立てられている、燃料電池スタックを提供する。
別の態様においては、本発明は、加圧手段がスタックに適用されて、燃料電池スタックに圧縮力を与える、燃料電池スタックを提供する。ある態様においては、圧縮は、カプセル化の前、その途中、またはその後に行われる。
【0078】
その他の態様においては、本発明は、電気化学的カセット(複数を含む)をカプセル化した後に、エンドプレートアセンブリが1つまたは2つ以上の電気化学的カセットに取り付けられる、燃料電池スタックを提供する。
さらに他の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリが圧縮式シール(compressive seal)によって取り付けられる、燃料電池スタックを提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリの少なくとも1つが、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、金属、または金属合金で構成された、燃料電池スタックを提供する。
【0079】
別の態様においては、本発明は、エンドプレートアセンブリの少なくとも1つが、充填ポリマー複合材料で構成されている、燃料電池スタックを提供する。さらに別の態様においては、充填ポリマー複合材料は、ガラス繊維強化熱可塑性物質、またはグラファイト強化熱可塑性物質である。
別の態様においては、本発明は、エンドプレートの1つの少なくとも一部分が、導電性の金属または金属合金で構成されている、燃料電池スタックを提供する。さらに別の態様においては、少なくともカセットの一部分、またはエンドプレートアセンブリの1つが、銅集電体である。
【0080】
ある態様においては、本発明は、ランナー管の要件が不要となることにおいて効果をもたらす。マニホルドおよびランナーの幾何形状は、シーラント中に直接、鋳造される。さらに別の態様においては、これらの幾何形状は、バイポーラプレートを側面ドリル加工して、ランナー幾何形状をバイポーラプレート内部に含めることによって形成され、この方法は、マニホルドの1ステップ成形と呼ばれる。さらに別の態様においては、ランナー穴幾何形状は、バイポーラプレートの側面中に成形される。別の態様によれば、バイポーラプレート内部のブリッジ構成要素を使用して、バイポーラプレートの側面ドリル加工を行うことなくランナー幾何形状が達成される。その他の態様において、別個のランナーおよびプレナム成形部品が使用され、本明細書では2ステップ法と呼ぶ。その他の態様においては、一体型ランナー/プレナム成形部品が使用される。
【0081】
本発明のある好ましい態様においては、本発明の燃料電池スタックは、(例えば、冷却剤透過を低減する)蒸気バリヤも含む。(蒸気形態の)冷却剤の、スタック側壁を通過しての透過は、時間経過とともに重大な冷却剤損失につながる可能性がある。これによって、冷却剤貯留槽を再充填するために、燃料電池セルシステムの、定期的な保守が必要となる。このような作用は、一般的には望ましくなく、最適燃料電池スタック設計の1つの目標は、このような透過を低減または削除することである。この問題に対処するために、インサート成形燃料電池スタックは、蒸気バリヤ構成要素を使用してもよい。この構成要素の実施例である、図13に示す蒸気バリヤ1350は、それが実質的にマニホルドを包囲するように、冷却剤マニホルド、空気マニホルド、または燃料マニホルドの上に取り付けられる。
【0082】
当業者は、蒸気バリヤ構成要素は、様々な材料、好ましくは不透過性または低透過性の材料(典型的には金属またはプラスチック)で構築することができることに気づくであろう。蒸気バリヤは、スタックに組み付け、次いで所定位置に成形するか、代替的には、成形ステップおよび硬化ステップの後にスタックに付加してもよい。図16は、1セル当り18平方cm(2.8平方インチ)の36個のセルスタックにおける蒸気バリヤの有効性を示す透過試験の結果を示す。図16では、蒸気バリヤを備えないセルスタック、蒸気バリヤを備えるセルスタック、および蒸気バリヤを備え、それに加えてそのまわりに箔で包装されたセルスタックに対する透水性が比較されている。図16に示すように、蒸気バリヤは、セルスタックからの水分損失を実質的に低減し、追加の箔包装によってさらに蒸気損失が減少する。
【0083】
本発明の固有の設計には、テーパー付きマニホルドプレナム幾何形状を含めることができる。本発明のこの観点は、図14に示すもののような、テーパー付きマニホルドインサート1440を含む。好ましくは、このインサートには、スタック構成要素から外向きの側面1450にテーパーがつけられており、それによってバイポーラプレートおよび冷却プレートのすべてに対する均一な接合機能が促進される。本発明に従って使用されると、テーパー付きマニホルドインサート1440は、従来型スタック設計に対して、多数の利点(例えば、より均一な速度、圧力低下、および流れ分布)をもたらす。
【0084】
さらに他の好ましい態様においては、本発明のインサート成形スタックは、圧縮式(機械式)シールと接着式を併用する。図15に示す、このシーリング機構1530は、クロスリークおよび/または外部リークを実質的に低減または解消する。インサート成形スタックの構築において、末端バイポーラプレートとエンドプレート1520の結合部におけるマニホルドの移行部は、成形コンパウンドがエンドプレートへの十分な粘着力を有さない限り、リーク経路を生成する可能性がある。このリーク経路は、クロスリークおよび/または外部リークにつながる可能性がある。
【0085】
成形コンパウンドへの粘着のために、エンドプレートをプライミングすること、またはその他の方法でそれらを処理することの必要性を回避するために、組合わせ圧縮/接着シーリング機構1530を使用してもよい。このシーリング機構は、スタック構築に使用される成形コンパウンドに粘着する、Oリングまたは短い管部分とすることができる。これは、リーク経路を停止して、それをそれぞれのマニホルドに収容する、接着式シールを生成する。Oリングまたは管それ自体は、(図15における上端エンドプレートの底面から突出する)管状ポートに圧縮式でシーリングされる。圧縮式シールは、リーク経路が、Oリングまたは管の内側に進行するのを防止する。このような圧縮シーリングと接着シーリングの組合せにより、簡便で、耐性があり、信頼性のあるシーリング配設が生成される。
【0086】
その他の態様において、図12を参照すると、本発明は、別個のランナー/ブリッジ構成要素1202を使用するインサート成形方法の実現例を示す。これらの構成要素は、バイポーラプレート602における穴を不要にする。上述の方法は、プレナムのプレートへの一体化においてなされた改善によって、シーリングステップおよび成形ステップに基づいている。図12は、どのようにしてブリッジ1202が、流動場1208の端末領域と協働して、バイポーラプレート1201にドリル加工する必要なく、ポート1204を画定できるかを示す。さらに、ブリッジ1202と流動場1208の末端領域との組合せは、図6について以下にさらに説明するように、一体ランナー機能1206を作成し、成形中のプレナムインサートを不要にする。しかしながら、当業者は、ブリッジは、バイポーラプレートと組み合わせて使用して、ドリル加工なしに、またバイポーラプレートから延びる一体ランナー機能を形成することなく、ポートを形成できることを容易に認識するであろう。
【0087】
単一ステップ成形方法は、図6および7に示すように、必要なランナー幾何形状604をすでに包含する、バイポーラプレート602を使用する。したがって、プレナム幾何形状だけを、成形ステップ中に作成する必要がある。プレナムは、バイポーラプレートおよび冷却プレート602の側面に対してシーリングするとともに、図7において成形の前に、図8において成形中/成形後に、図9において成形取出し後に示すように、成形中にカプセル化される垂直挿入されたインサート606を介して作成される。
【0088】
図2を参照すると、2ステップ法は、バイポーラプレートおよび冷却プレート206におけるポート204の内側に適合するとともに、スタック構成要素から外側に延びるランナーインサート202を介して、ランナー幾何形状が所定位置に成形される、初期成形ステップを必要とする。このステップの間に、プレナムインサート207も、所定位置に成形されるが、プレナムの外側範囲は、ランナーインサートをスタックから水平に取り外す必要のために、このステップの後に開放されたままとなる。ランナーおよびプレナムを、図5に示すように一体式プレナム/ランナーインサート506として、単体にすることも可能である。この初期成形ステップ(図3を参照)の後に、図4に示すように、プレナム幾何形状を完成して包囲するために、第2次作業(構成要素の成形または接着)が必要となる。
【0089】
現在の革新によって、先述の「ワンショット」製作技法による、外部マニホルドの使用が可能となる。一般に、流動場(例えば、1108、1208)は、活性領域を超える最小縁端(例えば、2〜3mm)で使用される。流動場は、外部縁端に対して開放されて、それぞれの反応物に対する少なくとも1つの入力を提供する。燃料電池のカソード側に使用される流動場においては、少なくとも1つの入力および1つの出力が設けられる。同様に、外側縁端上に少なくとも1つの入力と1つの出力開口を有する、冷却流動場を使用することができる。流動場は、金属またはカーボン複合材料、あるいは燃料電池の機能に適合するその他の材料で作製することができる。単一構成要素のいずれかの側面に2つの流動場を含む、流動場のバイポーラ構成も使用することもできる。膜電極接合体は、名目上は流動場と同一の大きさと寸法に切断される。
【0090】
流動場およびMAE構成要素は、(セル数、冷却層の数および配置などを含む)スタック設計に固有に、互いに積層される。これらの構成要素は、MEA活性領域が(バイポーラプレート内部または個別部品としての)必要な流動場に露出されるように、おおまかに位置合せされて、組立体を形成する。この組立体には、必要な流動場構成要素と相対的に組み立てられたMEAからなる、任意の数のセルおよび冷却層を含めることができる。結果として得られる組立体は、残りの工程の間、締結力によって(例えば、図7に示す圧縮ねじ710によって)互いに保持される。
【0091】
典型的には、外部マニホルドのポートと、MEA/バイポーラプレートまたはMEA/流動場/セパレータプレートの組立スタックの周辺開口が、互いに接合されて、それらが材料をそこに配送(除去)しようとする流動場に、各マニホルドを流体接続する。組立後に、シーラント樹脂が導入されて、この樹脂が、外部マニホルドのポートと、マニホルドがそこに材料を配送しようとする流動場の周辺開口との間の結合部をシーリングするとともに、組立カセットの周辺部を同時にカプセル化する。
【0092】
複数のMEAを備えるか、または電気化学反応が大量の熱を発生する、本発明の電気化学的カセットにおいて、カセットの動作中に生成される熱を消散させるために、1つまたは2つ以上の冷却剤流動場を電気化学的カセット内に組み入れることが一般的に望ましい。ある用途に対してはその他の配設が好適であるが、冷却剤流動場は、典型的には、約1から約8層のMEA層の組の間、より好ましくは2、3、4、5、もしくは6層のMEA層の組の間に挿入される。少なくとも1つの冷却剤流動場を備える電気化学的カセットにおいては、各還元剤外部マニホルドおよび各酸化剤外部マニホルドは、主マニホルド導管と、そのマニホルドがそこに材料を配送しようとする同数の流動場の周辺開口と接合させることのできる少なくとも1つのポートとを備え、各冷却材外部マニホルドは、主マニホルド導管と、同数の冷却材流動場の周辺開口と接合させることのできる、少なくとも1つのポートとを備える。
【0093】
やはり本発明が意図するものとして、膜電極接合体(MEA)、還元剤流動場、酸化剤流動場、セパレータプレート、少なくとも1つの還元剤外部マニホルド、および少なくとも1つの酸化剤外部マニホルドを含む、少なくとも1つの電気化学的セルを備える、電気化学的カセットであって、各流動場が、セルの周辺部を通過して延びる、少なくとも1つの開口(例えば、204、1204)を含み、各外部マニホルドは、1次マニホルドと、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする流動場における周辺開口と流体接触する、少なくとも1つのポートとを含み、1つまたは2つ以上のMEA、酸化剤流動場、還元剤流動場、およびセパレータプレートが組み立てられて、シーラントによってその周辺部のまわりをカプセル化されており、各外部マニホルドは、少なくとも部分的にシーラントによって範囲を定められた容積であり、該容積は、外部マニホルドが材料をそこに配送しようとする、流動場内の周辺開口と接触しており、各外部マニホルドは、その長さに沿って実質的に一様な横断面を有する単一の導管からなる、主マニホルド(例えば、図11における1110)を含む、前記電気化学カセットがある。
【0094】
本発明の外部マニホルド型の電気化学的カセットの新規な設計によって、より大きな割合のMEA表面積が電気化学反応に利用されるとともに、所与のカセット容量に対してより小型のカセット(例えば、全体カセット寸法および重量)が得られる。本明細書で提供するカセット設計は、カセットの構成要素の製造および組立を簡略化する。本発明によれば、カセットの活性領域は、大幅に増加する。特に、セパレータプレート(バイポーラプレート)およびMEAは、内部マニホルド構造を使用する燃料電池組立体の場合のように、その厚さを通過して延びる穴またはその他の孔を必要としない。
【0095】
本発明のカセットは、プレートの周辺部のまわりの各反応剤(reagent)流動場への少なくとも1つ、好ましくは2つの開口を有する、1つまたは2つの反応剤流動場を含む1つまたは2つ以上のプレートを含む。より具体的には、プレートは、反応剤流動場毎に少なくとも1つ、好ましくは2つの開口を含み、この開口は、スタックが樹脂でカプセル化されるときに、外部マニホルドのポートと流体密なシールを形成することができる。好ましくは、流動場またはプレートの周辺開口、およびマニホルドのポートは、樹脂カプセル化中に圧力または真空が加えられるときに、スタック組立と流体密シールの形成を容易化するように成形されている。
【0096】
以下は、参照により本明細書に組み入れてある、US20040247982A1に記載された、いくつかの革新の簡単な説明である。A.この発明のカセットは、マニホルドのポートが、セパレータプレート、流動場、およびMEAの組立スタック内の対応する周辺開口と接合されてカセットを形成することができるように、製造または組み立てられる、処理された外部マニホルドを含む。B.燃料電池構成要素の締め付け組立体に対して、個別のマニホルド部品が付加されて、それぞれの層上の特定の反応物の入力または出力に対応するすべての開口を連結する。これらのマニホルド部品は、無垢の原材料から機械加工するか、任意の数の材料から鋳造するか、または適当な樹脂から成形することができる。C.一般に、これらのマニホルド部品は、それらが接するスタック構成要素のそれぞれに、ぴったりとはまる必要がある。D.外部マニホルドの組立は、主マニホルド管、ホース、またはパイプを設け、主マニホルドの側壁を通過する一連の開口を配置し、開口内にポート用のホース、パイプまたは配管類を挿入することによって行われる。
【0097】
好ましくは、マニホルド開口に挿入されるポート配管は、ポートと主マニホルドとの間の連結が流体密であるか、または燃料電池を樹脂でカプセル化した後に流体密となるように、実質的に同一の直径を有する。シーラントおよび反応物、例えば酸化剤および/または燃料に対して化学的に安定な任意の材料が、外部マニホルド開口の製造における使用に適するが、好ましい材料は、スタック組立を容易化するのに十分な柔軟性を有する、非電導性樹脂である。一般的に好ましいマニホルド材料は、シリコーン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、Tygon(登録商標)配管、ブチルゴム、その他から選択される。E.燃料電池用途での使用に対して、本発明のカセットは、典型的には、次の構成要素、すなわち膜電極接合体(MEA)、流動場、セパレータプレート、および外部マニホルドを含む、スタック状組立体の形態で使用される。好ましくは、次いでスタック状組立体は、樹脂中にカプセル化されて、MEAとセパレータプレートを接着するとともに、外部マニホルドをセパレータプレートまたは流動場に対してシーリングして、マニホルドと少なくとも流動場のいくつかの間の導管を形成する。好ましい態様において、1つまたは2つの流動場、およびセパレータプレートが単一のバイポーラプレート内に設けられ、このバイポーラプレートが、次いでMEA層およびその他のバイポーラプレートと積み重ねられる。
【0098】
上記の説明について、本発明は、製造性および性能における大幅な改善を可能にする。別個の構成要素としてのマニホルドを無くすることによって、部品数は大幅に減少する。マニホルドの製作における精密製造ステップが無くなる。ランナーとプレナム挿入および取付けステップを無くすることによって、小物部品の取り扱いが大幅に減少する。さらに、結果として得られる各ランナーを通過するプレナムからの流れ幾何形状は、ランナー機能が、小型管状構成要素の手作業組立とは異なり、バイポーラプレート製造の間のドリル加工または成形ステップで達成されるので、セル間でより安定している。
【0099】
外部からマニホルドを付加されたスタック組立体は、空洞型内部に設置されて、樹脂が構成要素のまわりに導入される。樹脂は、スタックの外部から加えられる圧力によるか、またはスタック内部に付加される真空によって(すなわち、それぞれのマニホルドを通過して)、スタック組立体の縁端中に押し込まれる。熱可塑性樹脂の冷却によるか、または熱硬化性樹脂の場合にはキュアリングによって硬化すると、カプセル化された燃料電池スタックを型から取り外すことができる。樹脂は、各MEAの縁端をシーリングすること、ならびにマニホルド部品を含む、すべてのスタック構成要素を互いに結合させることの両方の役割を果たす。
【0100】
また、最終カプセル化には、(図1に示すエンドプレート120、図6および7に示すエンドプレート620、および図15に示すエンドプレート1520などの)エンドプレート、および集電体部品も含めることにより、組立工程のさらなる統合化、ならびに最終製品の信頼性向上が可能である。エンドプレート構成要素には、カプセル化ステップの前、その間、またはその後にスタック構成要素部品を圧縮する機能を含めることができる。別個のガスケットを必要とすることなしに燃料電池が製作されるので、必要な圧縮は、従来型燃料電池スタックにおける圧縮の何分の1かにすぎず、良好な電気接触を維持するのに使用される。
【0101】
本発明の燃料電池は従来型の装置に対していくつかの利点をもたらし、そのような利点としては、それに限定はされないが、次のものがある。構成要素面積の大部分が、組立体に能動的に使用される、すなわちわずかな部分だけがスタックのシーリング/マニホルド部に使用され、MEA横断面積の少なくとも80以上、好ましくは85%から約95%が、電気化学反応に能動的に使用される。連続的に被覆されたMEAは、簡便に使用することができる(すなわち、MEAのロール・ツー・ロール方式の製造工程に適合する)。スタック内部のすべての構成要素をカプセル化することで、頑強な製品が提供される。シーリングにガスケットおよび圧縮を必要としないので、構成要素部品を、非常に緩い公差で製作することができる。反応物流をエンドプレートまたはコレクタプレートから隔離することによってスタック内の腐食が低減または防止される。冷却剤流を複合材料MEAから隔離することによって、MEAの非水系冷却剤への露出に伴う問題が低減または防止される。
【0102】
好ましくは、燃料電池構成要素のすべてが、ほぼ同一の周囲形状に切断される。好ましい態様においては、MEA層は、切削部または、その厚さを貫通するその他の穴あるいはチャネルのない無垢のシートであり、バイポーラプレート(複数を含む)は、反対側両面に1つまたは2つの流動場と、各流動場に対して開口している、バイポーラプレートの周辺部まわりの流動場あたり、少なくとも2つの孔とを有する。好ましくは、孔は、外部マニホルド内のポートと結合して、緊密なシールを形成することが可能であり、それによってシーラントを要らなくする。
【0103】
MEAのガス拡散層(GDL:gas diffusion layer)の多孔質性のために、MEAとバイポーラプレートの周辺部に導入されたシーラントは、GDLに相互浸透し、MEAとバイポーラプレートを一緒にシーリングするとともに、バイポーラプレート孔を外部マニホルドのポートに対してシーリングする。従来式方法においては、ポリマー膜は、シーリング目的のフレームを設けるために、GDLを通り越して延ばすことが必要なることが多い。結果的に、これによって製造コストが増大する。それと対照的に、本発明によれば、実質的に同一の大きさおよび形状であるGDLとポリマー膜によって、シーリングが達成される。このことは、本発明において使用されるMEAは、連続式製造が可能であり、それに伴い製造コストを低減することができるので、有利である。
【0104】
ある用途においては、特に流動場への大量の材料、またはそのより均一な配送が望まれる場合には、本発明は、流動場が、材料を配送する2つ以上の外部マニホルド、および2つ以上の排出マニホルドと流体接触する電気化学式カセットを意図する。本明細書において提供される電気化学的カセット設計は、一部には、カセット組立の容易さと、個々の外部マニホルドへの流動場開口に対して必要とされる横断面積が小さいという理由で、多重マニホルド/流動場接続を提供する。すなわち、本発明のカセットには、ある場合には、スタックの各流動場と流体接触する複数の材料配送および/または材料排出外部マニホルドを組み入れる。
【0105】
例示的な組立設計を説明したが、最終燃料電池カセットの出力要件に応じて、燃料電池は、任意所望の数の構成要素を互いに組み立てることができることを、当業者は認識するであろう。個別の設計に関わりなく、構成要素は、最終燃料電池の要件に合致するように組み立てられる。それぞれの場合に、外部マニホルドは、バイポーラまたはセパレータプレート/流動場のそれぞれにおける等価流動場への孔のそれぞれに結合するのに適する大きさを有して位置合せされたポートを有し、この外部マニホルドが、次いで、スタック組立体と位置合わせされて、流動場のそれぞれとシールを形成する。
【0106】
上述の燃料電池カセット組立体を真空樹脂トランスファー技法を使用してシーリングするために、成形インサートの材料および幾何形状は、燃料電池カセット組立体内部の還元剤、酸化剤および冷却用幾何形状への流体連通を可能にするように選択される。次いで、シーラントが、組み立てられた構成要素の外周のまわりに導入される。組立体内部の外部マニホルドのそれぞれを介して、真空に引かれる。圧力差によって、シーラントが組立体の縁端中へと引き込まれ、組立体内の構成要素の周辺部を一緒にシーリングするとともに、組立体を完成燃料電池カセットに形成する。またシーラントは、MEAのGDLを透過する。外周シーリングは、シーラントがMEAの隣接部分同士を結合したときに完了する。
【0107】
射出成形技法を使用して燃料電池カセットをシーリングするには、駆動加圧手段を使用して、外部マニホルド系を含む組立体の周辺部のまわりにシーラントが注入される。シーラントは、外部マニホルドの内部導管中、または外部マニホルドの内部導管に対して開口している流動場中には導入されない。この好ましい態様においては、熱可塑性プラスチック樹脂を、組立体の縁端のまわりのシーラントとして使用し、燃料電池カセットを型から取り外す前に冷却、硬化させる。関連する温度および圧力に適応することのできる型が使用される。代替的に、熱硬化性樹脂を、時間と温度の任意好適な組合せで硬化処理して、同様に使用することができる。
【0108】
シーリング工程を達成するのに必要な圧力差および時間は、燃料電池カセット構築に使用される材料の関数である。これらには、樹脂の粘性および流れ特性、ならびにMEAにおいて使用されるガス拡散層のタイプが含まれる。当業者は、これらのパラメータに基づいて適当な時間および圧力を判断することができるであろう。本発明の実施者はまた、シーリング工程中の視覚検査によって最も適当な時間および圧力を確認することもできる。
【0109】
カプセル化に使用される樹脂またはシーラントは、それが動作中の燃料電池システムにおいて判明する条件に対して必要な化学的および機械的な特性(例えば、酸化安定性)を有するように、選択される。適当な樹脂/シーラントには、熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性エラストマー類の両方が含まれる。好ましい熱可塑性プラスチックとしては、熱可塑性オレフィンエラストマー類、熱可塑性ポリウレタン類、プラストマー類、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリプロピレンおよびポリスチレンがあげられる。好ましい熱硬化性エラストマーとしては、エポキシ樹脂、ウレタン類、シリコーン類、フルオロシリコーン類、およびビニルエステル類があげられる。
【0110】
ある好ましい態様においては、エンドプレート(例えば、120、620、1520)は、上記のシーリングステップの間に、MEA層とバイポーラプレートとのスタック状組立体に直接、接着される。代替的に、エンドプレートは、一表面に流動場を有し、他の表面に電気リード線および/または様々なアダプタを有する、改変バイポーラプレートとすることができる。この態様を使用することからいくつかの利点が生じる。燃料電池カセットと従来型エンドプレートの間の圧縮式シールをなくすることによって、燃料電池スタックの信頼性が向上するとともに、重量が実質的に減少する。また、組み入れたエンドプレートには、様々な取付け具を含めて、燃料電池スタックをさらに簡略化することができる。
【0111】
本発明の好ましい一態様においては、真空式または圧力式の樹脂トランスファー成形を使用して、(スタックの外側の外部縁端から導入された)シーラントが、MEAの周辺縁端中、ならびにバイポーラプレートおよびマニホルドのまわりに引き込まれるか、または押し込まれる。好ましくは、シーラントは、シールが液密またはガス密になるようにMEAの外部縁端と接触するGDLのその部分、およびバイポーラプレートと、非多孔質複合材料を形成する。本発明のこの態様は、製造が容易であり、したがって燃料電池カセットの大量生産に好ましいシーリング手段である点において好ましい。
本発明の燃料電池カセットに使用するのに好ましい複合材料膜電極接合体は、膜、触媒層およびガス拡散層を含む積層膜電極接合体を含む。納入業者としては、とりわけ3M、デュポン、ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey)、W.L.Gore、Umicore、E−Tek、PEMEASがあげられる。
【0112】
電気化学的セルおよび燃料電池用途での使用に適する好ましいカセットとしては、さらに、好ましくはエンドプレートに一体化された少なくとも2つの集電体があげられる。すなわち、好ましいカセットにおいて、エンドプレートの1つの少なくとも一部分は、電導性の金属または金属合金で構成される。より好ましくは、エンドプレートの1つの少なくとも一部分は、銅集電体である。エンドプレートおよび燃料電池カセットを組み立てて、本発明が提供する燃料電池スタックを形成する手段は、特に限定はされず、圧縮ガスケットシール、Oリング、または樹脂および/またはシーラント中への共同カプセル化を含めることができる。好ましい態様において、エンドプレートは、樹脂によるカプセル化の前、かつシーラントの導入の前に、燃料電池カセットと組み立てられて、エンドプレートと燃料電池カセットを組み合わせて、例えば同時にカプセル化、シーリングするようにされる。
【0113】
本発明のその他の好ましい態様において、1つまたは2つ以上の燃料電池カセットが製造されて、次いで、1つまたは2つ以上の圧縮ガスケットおよびエンドプレートと共に位置合せしてスタックにされる。貫通ボルト(例えば、図7における710)、繋留具(tie downs)、またはその他の機械式締結具などの圧縮手段を、燃料電池スタックに取り付けて、燃料電池カセットとエンドプレートを機械的にシーリングする。
好ましい態様において、個々のカセットの外部マニホルドは、隣接する他のカセットの外部マニホルドと液密またはガス密なシールを形成することができる。
【0114】
本発明のカセットおよびスタックにおける層の大きさおよび層の数は、特に限定されない。通常、各流動場および/または膜接合体は約1cm2から約1m2の間である。しかしながら、当業者は理解するように、ある用途においては、より大きい、またより小さい流動場層および/または膜接合体層が好適である。本発明の燃料電池カセットの層寸法および層数、ならびに燃料電池カセットは、様々な用途に対して十分な電力を生成する能力がある。しばしば、本発明の燃料電池カセットおよび燃料電池スタックの電力出力は、約0.1Wから約100kWの間であり、より好ましくは、約0.5Wから約10kWの間である。
【0115】
本発明の燃料電池は、一部には、反応剤マニホルドから集電体/エンドプレートを空間分離したことにより、耐食性の向上と動作寿命の延長をもたらす。外部マニホルドは、集電体プレートおよび複合材料MEAから隔離されたマニホルドを介して反応剤流動場に燃料および酸化剤を配送する。導電性金属または金属合金で形成された、集電体の腐食は、現行集電体を酸化するか、またはその他の方法でそれと反応する能力のある反応剤を、外部マニホルドおよびマニホルドがそれに材料を配送する流動場へ、隔離することによって防止される。同様に、MEAから反応剤マニホルドを隔てることによって、MEAの両表面がマニホルドを通過して流れる反応剤に露出されるのを防止し、それによって多くの従来型燃料電池設計に関連するクロスセル電位(cross-cell potential)問題を防止する。さらに、MEAと冷却剤流体との接触が回避される。
【0116】
任意の従来型MEAは、本発明の燃料電池スタックに使用するのに適している。さらに、反応剤流動場またはバイポーラプレートとして、名目的に同一横断面を有する正方形、円形、長方形またはその他の規則形状のMEAが、本発明の燃料電池スタックに使用するのに適している。複合材料MEAは、追加の改変、例えばMEA構造における追加の開口または非電導性ガスケットの組込みなどを行うことなく、本発明のセルにおいて使用するのに適している。実質的に同一横断面を有する、実質的に均一な複合材料MEAを、流動場および/またはセパレータプレートとして組み込むことによって、電気化学反応に使用することのできるMEAの部分が最大化される。
【0117】
本発明の改良型燃料電池スタックは、従来型燃料電池構成要素から製造が可能であり、射出成形法および真空式樹脂トランスファー成形法の両方、ならびに圧力式樹脂トランスファー成形法を使用することができる。
本発明は、最小の労働で燃料電池スタックの製作を可能にし、それによってそのコストを劇的に低減するとともに工程自動化を可能にする。さらに、本発明において、エンドプレートの圧縮またはその他の圧縮手段によるのではなく、燃料電池構成要素へのシーラントの粘着によってシーリングされる。これによって、最終スタックに必要となる圧縮が減少し、それによってシールの信頼性を向上させ、電気接触を向上させ、かつより広範囲の樹脂の使用を可能にする。さらに、エンドプレートは、燃料電池カセット中に成形して、それによってスタック全体(例えば、燃料電池カセットおよびエンドプレート)を1ステップで製造してもよい。
【0118】
本発明の好ましい燃料電池カセットを、以下の説明的な態様によってさらに説明するが、それらは説明の目的だけで示すものであり、その中で開示される特定の構成要素や量に本発明を限定することを意図するものではない。
【0119】
実施例
本発明は、電気化学的用途およびイオン交換用途での使用に適する、様々なカセットを提供する。上述のように、本発明のカセットは、燃料電池での使用に特に適している。
実施例1:2ステップ成形法
一般に、2ステップ法は、バイポーラプレートおよび冷却プレート内のポートの内側にはまり、スタック構成要素から外側に延びるランナーインサートを介してランナー幾何形状が所定位置に成形される、初期成形ステップを必要とした。このステップの間に、プレナムも、所定位置に成形されたが、プレナムの外側の範囲は、ランナーインサートをスタックから水平方向に取り外す必要性から、このステップ後には開放状態のままである。この初期成形ステップの後に、プレナム幾何形状を完成させて封入するのに、第2次操作(構成要素の成形または粘着)が必要であった。
【0120】
実施例2:別個のランナーインサートおよびプレナムインサート
この成形工程中に、ランナーおよびプレナム幾何形状の両方を形成するのに、脱着可能なインサートを使用した。ランナーインサートを、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面内のポート中に挿入して、スタックの内部領域からシーラントコンパウンドを遮断した。別個の単一のインサートを使用して、ランナーを形成し、プレナムは、ランナーインサートと物理的に接触して成形シールを形成する別個のインサートによって形成した。
【0121】
第1の成形ステップに対して、プレナムインサートは、典型的には、型自体の内部壁によって外側に拘束されていた。初期成形、キュアリング、および型外しの完了の後に、プレナムインサートは、最初にスタックの外部壁から取り外した。これによって、個別に取り外すことのできるランナーインサートへのアクセスが可能になる。
図2は、ランナーとプレナムインサートを備えるスタック構成要素の分解図を示す。図3は、最初の成形ステップ後のスタックの例である(6つのプレナムインサートの2つがこの例では残っている)。
【0122】
実施例3:不連続型ランナー/ブリッジ構成要素
その他の態様において、プレートはランナー幾何形状を有さない。その代わりに、プレートは、別個の構成要素であるランナー/ブリッジ構成要素を受け入れる空隙を有する。この構成要素は、シリコーンシーラントが、ランナーに進入するのを遮断し、MEAの縁端においてブリッジ機能をもたらす。この構造の利点は、プレートが貫通穴構造を有する必要がなく、また厳密な公差を必要としないことである。ランナー/ブリッジは、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、またはその他任意の所望の材料で製作した。ランナー/ブリッジは、バイポーラプレートならびにプレナムへのシーリングを容易にする機能を有した。これらのランナー/ブリッジ構成要素は、一体型バイポーラプレートランナー構想よりも、大きな公差を受け入れることができる。
【0123】
第1の成形ステップが完了して、インサートが取り外された後に、プレナム幾何形状を完成させるのに使用できる2つの基本技法があった。第1の技法においては、予備成形された構成要素を、スタックの表面に粘着させて、プレナムの露出面を閉止した。これらの構成要素は、プレナムの開放側を覆い、その外周のまわりにシーリングされる、プラスチックまたは金属の平坦シートと同等に単純にすることができる。代替的に、構成要素は、スタックの表面に粘着する、部分管または、その他の部分的に閉止された形状とすることができる。
【0124】
第2の技法において、第2の成形ステップを使用して、プレナム幾何形状の残部を生成した。典型的には、別個の、より大きな型を使用して、成形コンパウンドが、プレナムインサートのまわりにプレナムの残りの側を形成できるようにした。プレナムインサートは、ランナーインサートを取り外した後に、再設置した。次いで、スタックを再び成形して、プレナム幾何形状の残部を形成した。
図4は、最終成形ステップ後の、2ステップインサート成形スタックの実施例を示す。この図においては、標準配管構成要素へ接続する移行部として、スタップの頂部の所定位置に管420が成形されたが、様々なインターフェイスまたは取付け具を所定位置に成形してもよい。成形ステップの後に、プレナムインサートは、単に垂直方向に取り外して、完成スタックにおいてみられる取付け具に置き換えた。
【0125】
実施例4:一体型ランナー/プレナム、単一構成要素インサート
別の観点においては、この方法は、プレナムとランナー幾何形状の両方を備える一組のインサートを、第1の成形ステップにおいて使用したことを除いて、実施例1の方法と同一であった。これらのインサートは、スタックの側面から水平に取り外した。この技法を使用することによって、組立および型外しステップが、小型部品搬送が減少すること、および部品数が減少することによって簡略化される。
図5は、スタック構成要素と一体型ランナー/プレナムインサート506を分解図で示している。前述したように、ランナーインサートは、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面内のポートの中に挿入して、成形コンパウンドをプレートの内部領域から遮断した。
【0126】
第1の成形ステップが完了した後の、第2ステップ選択肢は、別個のランナー/プレナムインサートに対する方法と同一であった。プレナムが第2の成形ステップを完了している場合には、プレナム幾何形状のみを備えるインサート(ランナーなし)を、使用しなくてはならない。代替的に、単一ステップでスタックを成形するための一体化ランナー/プレナムインサートの使用は、型外しステップにおいて成形プレナム幾何形状を介してランナーインサートを取り外すのに十分なほど、インサートを折り畳み可能、または柔軟にした場合に達成された。
【0127】
実施例5:一体型ランナー幾何形状を備えるバイポーラプレートを使用する単一ステップ成形
単一ステップ成形法では、必要なランナー幾何形状をすでに包含するバイポーラプレートを使用した。したがって、プレナム幾何形状だけを、成形ステップの間に生成する必要がある。プレナムは、バイポーラプレートおよび冷却プレートの側面に対してシーリングする、成形中に完全にカプセル化された、垂直に挿入されたインサートを介して作成された。
実施例6:プレナムインサートを備える一体型ランナーを備えるバイポーラプレート
図6は、プレナムインサートなしの、スタック構成要素の組立体を示す。バイポーラプレートの側面および冷却プレートにおいてランナー幾何形状を形成する穴は、この図で見えている。
【0128】
図7は、プレナムインサートを備える、スタックの明細組立体図面を示す。ロッドインサート701は、エラストマー管606が、十分に支持されて、各バイポーラプレート層に対するシールを確保することを可能にするように、その長さ全体にわたる剛性を有するインサートを提供する。エラストマー管は、成形プレナムの内径を生成するとともに、成形ステップ中に個々の層をそれぞれ遮断する際にいくらかの柔軟性をもたらす役割を果たす。この柔軟性によって、通常の製造公差および構成要素のわずかな位置合せ不良を許容する。上端ポート703は、シリコーン管または燃料電池スタック用の処理ポートとしての役割を果たす、その他の接続としてもよい。上端ポート703は、好ましくはスタックの成形コンパウンドに粘着可能であり、機械式シールまたは圧縮式シールなしに、連続するプレナムを形成する。参照番号620は、燃料電池スタックの圧縮プレート(またはエンドプレート)を指す。エンドプレート620は、プレナム整列構造704、充填穴706および通気穴708などのプレナムインサートの位置合せを可能にするいくつかの幾何形状を有して、成形工程を容易化する。
【0129】
スタック製造工程はいくぶん柔軟性があり、典型的例は以下のとおりである。
1.スタックのすべての構成要素(下端エンドプレート、バイポーラプレート、定寸(cut-to-size)MEA、集電体(使用する場合)、上端エンドプレート、圧縮ねじおよびハードウエア、シーリングリング(例えば、シーリングリング709))を組み立てる。必要に応じて様々な位置合せ器具を使用して、干渉を取り除く。圧縮ねじおよびハードウエアを挿入;ゆるやかに締め付ける(手締め)。
2.ロッドインサートの上からエラストマー管を挿入し、次いで管/インサートを上端エンドプレート内の穴に挿入する。
3.上端ポートをインサートの上から、上端エンドプレート中に挿入する。
【0130】
4.圧縮ネジを指定値まで締める。
5.型を組み立てて、スタックを挿入する。
6.成形コンパウンドを、通気穴がほとんどこぼれない程度まで注入する。
7.通気穴に蓋をして、成形コンパウンドに指定の時間/圧力をかける。
8.成形機器を取り外し、型上の充填穴に詮をし、上端エンドプレート上の通気穴に栓をする。
9.指定の時間と温度で型内のスタックを硬化させる。
10.型からスタックを取り外し、プレナムインサートを取り外す。
【0131】
図8は、成形されて、まだ型の中にある状態のスタックを示す。図9は、型外しの後のスタックを示す。図9に示すスタックと類似のスタックを構築して試験した。このスタックは、4個のセルと2個の冷却層を備えた。スタックは洩れがないことがわかった。このスタックに対するV−I曲線を図10に示してある。図11は、成形工程の間にインサートによって形成される一体化プレナムを示す、破断図のスタックである。図12は、一体化ランナー、逃げ溝(undercuts)のないバイポーラプレートを可能にする不連続ブリッジ構成要素を備えるバイポーラプレートを製作する方法を示す。この設計は、一体型ランナーおよびプレナムインサートを備えるバイポーラプレートの構築利点と、簡略化されたバイポーラプレート製造を考慮に入れている。このプレートには、一体化ランナーを形成するのに必要な逃げ溝がなく、したがって、簡略化された成形法、機械加工法または打ち抜き加工法によって、厳しい公差なしに製作することができる。不連続ブリッジ構成要素は、熱可塑性エラストマーを含む、任意好適な材料で製作することができる。一体化ランナーバイポーラプレート構築のこの変形形態には、様々な製造およびコスト上の利点がある。
【0132】
本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、本発明の考案および方法において様々な修正形態および変更形態を考案できることが、当業者には明白であろう。すなわち、本発明には、添付の請求の範囲とその均等物の範囲に含まれる、修正形態および変更形態を含めることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】様々な構成要素を示す、典型的な電気化学的セルスタックの概略横断面図である。
【図2】ランナーおよびプレナムインサートを備えるスタック構成要素の破断図である。
【図3】第1の成形ステップの後の、スタックの一例の図である(この図では6つのプレナムインサートの内の2つが残っている)。
【図4】最終成形ステップの後の、2ステップインサート成形スタックの一例を示す図である。
【図5】スタック構成要素および一体型ランナー/プレナムインサートを示す破断図である。
【図6】プレナムインサートなしの、スタック構成要素の組立を示す図である。
【図7】いくつかのプレナムインサートを備えるスタックの明細組立図である。
【図8】プレナムインサートがまだ所定位置で、まだ型の中にある成形状態のスタックを示す図である。
【0134】
【図9】プレナムインサートがまた所定位置にある、型外し後のスタックを示す図である。
【図10】図8および9に示すスタックに対する、電圧・電流(V−I)曲線を示す図である。
【図11】成形工程後にインサートを取り外すことによって形成される一体型プレナムを示す、スタックの破断図である。
【図12】単一ステップ成形に必要なランナー幾何形状を得るために、バイポーラプレート内部での不連続ブリッジ構成要素の使用を示す図である。
【図13】冷却剤透過を低減するために蒸気バリヤ構成要素を使用するスタックを示す図である。
【図14】テーパー付きのマニホルドプレナム幾何形状を組み入れたスタックを示す図である。
【図15】末端バイポーラプレートとエンドプレートの結合に関して、圧縮(機械式)シールと接着式シールの組合せを使用するスタック設計を示す図である。
【図16】本発明による蒸気バリヤの有効性を実証する、セル蒸気リーク曲線を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの燃料電池であって、
i)膜電極接合体と、
ii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、
iii)前記膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む、前記少なくとも1つの燃料電池、および
b)前記燃料電池の周辺部のまわりに形成された単体プレナムハウジングであって、
i)前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、
ii)前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを少なくとも部分的に画定する、前記単体プレナムハウジング
を含む、燃料電池スタック。
【請求項2】
a)燃料電池が、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、
b)単体プレナムハウジングが、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドをさらに画定し、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成する、
請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して還元剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して酸化剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項5に記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、冷却剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の燃料電池スタック。
【請求項9】
還元剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項10】
酸化剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項11】
冷却剤マニホルドが燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項12】
燃料電池スタックが、直列に電気接続された複数の燃料電池を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項13】
燃料電池と熱的に連通する複数の冷却プレートをさらに含む、請求項12に記載の燃料電池スタック。
【請求項14】
還元剤流動場と酸化剤流動場が、セパレータプレート中にそれぞれ一体的に形成されており、該セパレータプレートが、(i)バイポーラプレート、および(ii)冷却プレートからなる群から選択される、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項15】
還元剤流路と酸化剤流路が、燃料電池の周辺部における、セパレータプレートの厚さを部分的にだけ貫通して延びるポートにおいてそれぞれ終端している、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項16】
還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項17】
単体プレナムハウジングが、
i)第2の還元剤流路と流体連通するとともに、前記第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドと、
ii)第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、前記第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドと
をさらに画定する、請求項16に記載の燃料電池スタック。
【請求項18】
a)冷却プレートが、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含み、
b)単体プレナムハウジングが、第2の冷却剤流路と流体連通する第2の冷却剤マニホルドをさらに画定し、該第2の冷却剤マニホルドと前記第2の冷却剤流路が協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項19】
膜電極接合体の活性領域が、スタックの第1のエンドプレートから前記スタックの第2のエンドプレートの方向に沿って燃料電池を貫通する孔を設けないことによって最大化された、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項20】
セパレータプレートが、(i)カーボン/ポリマー複合材料、(ii)グラファイト、および(iii)金属からなる群から選択される材料を含む、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項21】
バイポーラプレートが、金属シートから打ち抜き加工される、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項22】
グラファイトがグラファイトテープを含む、請求項20に記載の燃料電池スタック。
【請求項23】
スタックの第1端に第1のエンドプレートと、前記スタックの第2端に第2のエンドプレートをさらに含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項24】
第1および第2のエンドプレートを互いに連結して燃料電池を所定位置に保持する複数の締め具をさらに含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項25】
エンドプレートの少なくとも1つが、マニホルドの1つの末端に近接してその中に形成されたくぼみを含み、該くぼみは、プレナムハウジングが形成されているときに脱着可能な型を受け入れるように適合かつ構成されている、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項26】
各エンドプレートが、(i)熱硬化性ポリマー、(ii)熱可塑性ポリマー、(iii)金属、(iv)金属合金、(v)充填ポリマー複合材料、およびその組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項27】
膜電極接合体に電気的に結合された集電体をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項28】
エンドプレートの少なくとも1つが、燃料電池スタックを通過して材料を移送するための、還元剤プレナムおよび酸化剤プレナムと流体連通するポートを含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項29】
各セパレータプレートが、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接して輪郭形成構造を画定し、該輪郭形成構造は、プレナムハウジングが形成されているときに、脱着可能な型と接合されるように適合かつ構成されている、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項30】
輪郭形成構造が、実質的に凹形形状であって、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合されている、請求項29に記載の燃料電池スタック。
【請求項31】
一方のエンドプレートが、充填穴を含み、他方のエンドプレートが通気穴を含み、成形方法によりプレナムハウジングを形成することを容易にする、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項32】
酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して配置された蒸気バリヤインサートをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成されている、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項33】
蒸気バリヤインサートは、プレナムハウジングの成形材料によって包囲されている、請求項32に記載の燃料電池スタック。
【請求項34】
プレナムハウジングの外周部に近接して配置された蒸気バリヤ層をさらに含み、該蒸気バリヤ層は、燃料電池スタックの周辺部を通過して流体が流出するのを低減するように適合化かつ構成されている、請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項35】
蒸気バリヤインサートが、(i)プラスチック、(ii)金属、(iii)複合材料およびその組合せからなる群から選択される材料で作られた、請求項32に記載の燃料電池スタック。
【請求項36】
マニホルドの少なくとも1つが、マニホルドの第1端からマニホルドの第2端へとテーパーがつけられた構造を有する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項37】
テーパー付きマニホルドが、燃料電池スタックの外部ポートの方向に、マニホルドの長さに沿ってより大きな横方向寸法へと拡大する、より小さな横方向寸法を有する、請求項36に記載の燃料電池スタック。
【請求項38】
テーパー付きマニホルドが、燃料電池の周辺部に近接する実質的に円筒状表面と、該実質的に円筒状表面と対向するテーパー付き表面とによって画定される、請求項37に記載の燃料電池スタック。
【請求項39】
マニホルドの1つの一端に一体的に形成された管状インサートをさらに含み、該管状インサートは、プレナムハウジングの材料と適合する材料で構成され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項40】
管状インサートが、プレナムハウジングに近接する燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通って突出する、請求項39に記載の燃料電池スタック。
【請求項41】
燃料電池スタックを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの燃料電池を準備するステップであって、該燃料電池は、
i)膜電極接合体と、
ii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、
iii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む、前記ステップ、
b)前記燃料電池の周辺部のまわりにプレナムハウジングを成形するステップであって、該プレナムハウジングが、
i)前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、
ii)前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを、少なくとも部分的に画定する、前記ステップを含む、前記方法。
【請求項42】
燃料電池が、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、成形ステップが、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドを形成することを含み、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
成形ステップが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、(i)酸化剤マニホルド、(ii)還元剤マニホルド、および(iii)冷却剤マニホルドの少なくとも1つの内部表面を画定する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(i)酸化剤マニホルド、(ii)還元剤マニホルド、および(iii)冷却剤マニホルドの少なくとも1つが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレート中に一体的に形成することをさらに含み、該セパレータプレートは、(i)バイポーラプレート、および(ii)冷却プレートからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含み、成形ステップが、
a)第2の還元剤流路と流体連通するとともに、該第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドを形成すること、および
b)第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、該第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドを形成することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
冷却剤プレートが、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含み、成形ステップが、
a)第2の冷却剤流路と流体連通するとともに、該第2の冷却剤流路と協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、第2の冷却剤マニホルドを形成することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
第1のエンドプレートを、少なくとも1つの燃料電池の第1端に設置し、第2のエンドプレートを、前記少なくとも1つの燃料電池の第2端に設置することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
第1および第2のエンドプレートを複数の締め具で互いに連結して、燃料電池を所定位置に保持することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの脱着可能なランナー型を、酸化剤流路と還元剤流路の少なくとも一方に挿入して、成形コンパウンドが流路に進入するのを防ぐとともに流れ経路を画定することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
燃料電池とランナー型のまわりに材料を成形して、流れ経路を形成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ランナー型を取り外すこと、およびマニホルド型を挿入することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
マニホルド型は、実質的に円筒形状である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
マニホルド型は、型の第1端から前記型の第2端への方向に沿ってテーパーが付けられている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
燃料電池およびマニホルド型のまわりに材料を成形してマニホルドを形成することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
マニホルド型を取り外すことをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
型を燃料電池に対して設置することをさらに含み、脱着可能な型が、酸化剤マニホルドと還元剤マニホルドの少なくとも一方の容積を画定する形状を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項59】
型が、細長いマニホルド部分、および複数のランナー部分を含み、該ランナー部分は、燃料電池の周辺部における流れ経路に接触するように適合化かつ構成されている、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
燃料電池および型のまわりに材料を成形することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
型作業を実行する前に燃料電池と型を型空洞の内部に設置することをさらに含み、該型空洞は、燃料電池スタックの周辺境界を画定する幾何形状を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
成形作業を解除した後に、型を取り外すことをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
燃料電池の周辺部における流路のポートに近接する各セパレータプレートの縁端において輪郭形成表面を形成することをさらに含み、該輪郭形成表面は脱着可能なマニホルド型と接合されるように適合化かつ構成されている、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
輪郭形成構造は、実質的に凹形形状であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合されている、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
燃料電池の周辺部における流路に近接する燃料電池スタックのエンドプレート内にくぼみを形成することをさらに含み、該くぼみはマニホルド型の端部を受け入れるように適合化かつ構成されている、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
マニホルド型を、輪郭形成部分に対して位置決めすることをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
燃料電池および型のまわりに材料を成形して、マニホルドを画定することをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
燃料電池スタックの第1のエンドプレートが、成形材料を受け入れるための充填穴を含み、燃料電池スタックの第2のエンドプレートが、流体および成形材料の通気を可能にする通気穴を含み、成形工程の間にプレナムを成形することを容易にする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
型を取り外すことをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
成形ステップの前に、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して蒸気バリヤインサートを配置することをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、所定位置に成形されると、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成されている、請求項42に記載の方法。
【請求項71】
蒸気バリヤインサートが、(i)プラスチック、(ii)金属、(iii)複合材料およびその組合せからなる群から選択される材料で製作される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
マニホルドの1つの一端に近接するプレナムハウジング中に、管状インサートを一体的に形成することをさらに含み、該管状インサートは、前記プレナムハウジングの材料と適合する材料で製作され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成する、請求項41に記載の方法。
【請求項73】
燃料電池スタックのエンドプレートを、管状インサートが燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通過して突出するように、管状インサートの上に取り付けることをさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
成形ステップの間に導入される材料が、(ii)圧力式樹脂トランスファー、(ii)真空式樹脂トランスファー、(iii)射出成形、およびその組合せからなる群から選択される技法によって導入される、請求項41に記載の方法。
【請求項75】
材料が、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
材料が、0psiから約250psiの間の正の圧力下で圧力式樹脂トランスファーによって導入される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
材料が、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力下で、真空式樹脂トランスファーによって導入される、請求項73に記載の方法。
【請求項1】
a)少なくとも1つの燃料電池であって、
i)膜電極接合体と、
ii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、
iii)前記膜電極接合体の第1の側面に近接して配置されて、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む、前記少なくとも1つの燃料電池、および
b)前記燃料電池の周辺部のまわりに形成された単体プレナムハウジングであって、
i)前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、
ii)前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを少なくとも部分的に画定する、前記単体プレナムハウジング
を含む、燃料電池スタック。
【請求項2】
a)燃料電池が、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、
b)単体プレナムハウジングが、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドをさらに画定し、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成する、
請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して還元剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して酸化剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項5に記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
単体プレナムハウジングが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、冷却剤マニホルドを画定する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端、および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の燃料電池スタック。
【請求項9】
還元剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項10】
酸化剤マニホルドが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項11】
冷却剤マニホルドが燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項12】
燃料電池スタックが、直列に電気接続された複数の燃料電池を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項13】
燃料電池と熱的に連通する複数の冷却プレートをさらに含む、請求項12に記載の燃料電池スタック。
【請求項14】
還元剤流動場と酸化剤流動場が、セパレータプレート中にそれぞれ一体的に形成されており、該セパレータプレートが、(i)バイポーラプレート、および(ii)冷却プレートからなる群から選択される、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項15】
還元剤流路と酸化剤流路が、燃料電池の周辺部における、セパレータプレートの厚さを部分的にだけ貫通して延びるポートにおいてそれぞれ終端している、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項16】
還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項17】
単体プレナムハウジングが、
i)第2の還元剤流路と流体連通するとともに、前記第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドと、
ii)第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、前記第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドと
をさらに画定する、請求項16に記載の燃料電池スタック。
【請求項18】
a)冷却プレートが、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含み、
b)単体プレナムハウジングが、第2の冷却剤流路と流体連通する第2の冷却剤マニホルドをさらに画定し、該第2の冷却剤マニホルドと前記第2の冷却剤流路が協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項19】
膜電極接合体の活性領域が、スタックの第1のエンドプレートから前記スタックの第2のエンドプレートの方向に沿って燃料電池を貫通する孔を設けないことによって最大化された、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項20】
セパレータプレートが、(i)カーボン/ポリマー複合材料、(ii)グラファイト、および(iii)金属からなる群から選択される材料を含む、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項21】
バイポーラプレートが、金属シートから打ち抜き加工される、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項22】
グラファイトがグラファイトテープを含む、請求項20に記載の燃料電池スタック。
【請求項23】
スタックの第1端に第1のエンドプレートと、前記スタックの第2端に第2のエンドプレートをさらに含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項24】
第1および第2のエンドプレートを互いに連結して燃料電池を所定位置に保持する複数の締め具をさらに含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項25】
エンドプレートの少なくとも1つが、マニホルドの1つの末端に近接してその中に形成されたくぼみを含み、該くぼみは、プレナムハウジングが形成されているときに脱着可能な型を受け入れるように適合かつ構成されている、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項26】
各エンドプレートが、(i)熱硬化性ポリマー、(ii)熱可塑性ポリマー、(iii)金属、(iv)金属合金、(v)充填ポリマー複合材料、およびその組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項27】
膜電極接合体に電気的に結合された集電体をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項28】
エンドプレートの少なくとも1つが、燃料電池スタックを通過して材料を移送するための、還元剤プレナムおよび酸化剤プレナムと流体連通するポートを含む、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項29】
各セパレータプレートが、燃料電池の周辺部における流路のポートに近接して輪郭形成構造を画定し、該輪郭形成構造は、プレナムハウジングが形成されているときに、脱着可能な型と接合されるように適合かつ構成されている、請求項14に記載の燃料電池スタック。
【請求項30】
輪郭形成構造が、実質的に凹形形状であって、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合されている、請求項29に記載の燃料電池スタック。
【請求項31】
一方のエンドプレートが、充填穴を含み、他方のエンドプレートが通気穴を含み、成形方法によりプレナムハウジングを形成することを容易にする、請求項23に記載の燃料電池スタック。
【請求項32】
酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して配置された蒸気バリヤインサートをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成されている、請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項33】
蒸気バリヤインサートは、プレナムハウジングの成形材料によって包囲されている、請求項32に記載の燃料電池スタック。
【請求項34】
プレナムハウジングの外周部に近接して配置された蒸気バリヤ層をさらに含み、該蒸気バリヤ層は、燃料電池スタックの周辺部を通過して流体が流出するのを低減するように適合化かつ構成されている、請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項35】
蒸気バリヤインサートが、(i)プラスチック、(ii)金属、(iii)複合材料およびその組合せからなる群から選択される材料で作られた、請求項32に記載の燃料電池スタック。
【請求項36】
マニホルドの少なくとも1つが、マニホルドの第1端からマニホルドの第2端へとテーパーがつけられた構造を有する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項37】
テーパー付きマニホルドが、燃料電池スタックの外部ポートの方向に、マニホルドの長さに沿ってより大きな横方向寸法へと拡大する、より小さな横方向寸法を有する、請求項36に記載の燃料電池スタック。
【請求項38】
テーパー付きマニホルドが、燃料電池の周辺部に近接する実質的に円筒状表面と、該実質的に円筒状表面と対向するテーパー付き表面とによって画定される、請求項37に記載の燃料電池スタック。
【請求項39】
マニホルドの1つの一端に一体的に形成された管状インサートをさらに含み、該管状インサートは、プレナムハウジングの材料と適合する材料で構成され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項40】
管状インサートが、プレナムハウジングに近接する燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通って突出する、請求項39に記載の燃料電池スタック。
【請求項41】
燃料電池スタックを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの燃料電池を準備するステップであって、該燃料電池は、
i)膜電極接合体と、
ii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる還元剤流路を含む還元剤流動場と、
iii)該膜電極接合体の第1の側面に近接して配置され、前記燃料電池の周辺部に延びる酸化剤流路を含む酸化剤流動場とを含む、前記ステップ、
b)前記燃料電池の周辺部のまわりにプレナムハウジングを成形するステップであって、該プレナムハウジングが、
i)前記還元剤流路と流体連通するとともに、前記還元剤流路と協働して還元剤プレナムを形成する還元剤マニホルドと、
ii)前記酸化剤流路と流体連通するとともに、前記酸化剤流路と協働して酸化剤プレナムを形成する酸化剤マニホルドとを、少なくとも部分的に画定する、前記ステップを含む、前記方法。
【請求項42】
燃料電池が、膜接合体と熱的に連通する冷却剤プレートをさらに含み、該冷却剤プレートは前記燃料電池の周辺部に延びる冷却剤流路を含み、成形ステップが、前記冷却剤流路と流体連通する冷却剤マニホルドを形成することを含み、該冷却剤マニホルドと前記冷却剤流路は協働して冷却剤プレナムを形成する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
成形ステップが、燃料電池の周辺部の一部分と協働して、(i)酸化剤マニホルド、(ii)還元剤マニホルド、および(iii)冷却剤マニホルドの少なくとも1つの内部表面を画定する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
燃料電池の周辺部の一部分が、(i)非多孔質膜の縁端および(ii)プレートの縁端の少なくとも一方を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(i)酸化剤マニホルド、(ii)還元剤マニホルド、および(iii)冷却剤マニホルドの少なくとも1つが、燃料電池の周辺部によって画定されない、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
還元剤流動場と酸化剤流動場を、セパレータプレート中に一体的に形成することをさらに含み、該セパレータプレートは、(i)バイポーラプレート、および(ii)冷却プレートからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
還元剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の還元剤流路を含み、酸化剤流動場が、燃料電池の周辺部に延びる第2の酸化剤流路を含み、成形ステップが、
a)第2の還元剤流路と流体連通するとともに、該第2の還元剤流路と協働して第2の還元剤プレナムを形成する、第2の還元剤マニホルドを形成すること、および
b)第2の酸化剤流路と流体連通するとともに、該第2の酸化剤流路と協働して第2の酸化剤プレナムを形成する、第2の酸化剤マニホルドを形成することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
冷却剤プレートが、燃料電池の周辺部に延びる第2の冷却剤流路を含み、成形ステップが、
a)第2の冷却剤流路と流体連通するとともに、該第2の冷却剤流路と協働して第2の冷却剤プレナムを形成する、第2の冷却剤マニホルドを形成することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
第1のエンドプレートを、少なくとも1つの燃料電池の第1端に設置し、第2のエンドプレートを、前記少なくとも1つの燃料電池の第2端に設置することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
第1および第2のエンドプレートを複数の締め具で互いに連結して、燃料電池を所定位置に保持することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの脱着可能なランナー型を、酸化剤流路と還元剤流路の少なくとも一方に挿入して、成形コンパウンドが流路に進入するのを防ぐとともに流れ経路を画定することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
燃料電池とランナー型のまわりに材料を成形して、流れ経路を形成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ランナー型を取り外すこと、およびマニホルド型を挿入することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
マニホルド型は、実質的に円筒形状である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
マニホルド型は、型の第1端から前記型の第2端への方向に沿ってテーパーが付けられている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
燃料電池およびマニホルド型のまわりに材料を成形してマニホルドを形成することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
マニホルド型を取り外すことをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
型を燃料電池に対して設置することをさらに含み、脱着可能な型が、酸化剤マニホルドと還元剤マニホルドの少なくとも一方の容積を画定する形状を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項59】
型が、細長いマニホルド部分、および複数のランナー部分を含み、該ランナー部分は、燃料電池の周辺部における流れ経路に接触するように適合化かつ構成されている、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
燃料電池および型のまわりに材料を成形することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
型作業を実行する前に燃料電池と型を型空洞の内部に設置することをさらに含み、該型空洞は、燃料電池スタックの周辺境界を画定する幾何形状を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
成形作業を解除した後に、型を取り外すことをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
燃料電池の周辺部における流路のポートに近接する各セパレータプレートの縁端において輪郭形成表面を形成することをさらに含み、該輪郭形成表面は脱着可能なマニホルド型と接合されるように適合化かつ構成されている、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
輪郭形成構造は、実質的に凹形形状であり、プレナムハウジングが形成されているときに、実質的に円筒形状の型を受け入れるように適合されている、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
燃料電池の周辺部における流路に近接する燃料電池スタックのエンドプレート内にくぼみを形成することをさらに含み、該くぼみはマニホルド型の端部を受け入れるように適合化かつ構成されている、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
マニホルド型を、輪郭形成部分に対して位置決めすることをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
燃料電池および型のまわりに材料を成形して、マニホルドを画定することをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
燃料電池スタックの第1のエンドプレートが、成形材料を受け入れるための充填穴を含み、燃料電池スタックの第2のエンドプレートが、流体および成形材料の通気を可能にする通気穴を含み、成形工程の間にプレナムを成形することを容易にする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
型を取り外すことをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
成形ステップの前に、酸化剤マニホルド、還元剤マニホルド、および冷却剤マニホルドの少なくとも1つに近接して蒸気バリヤインサートを配置することをさらに含み、該蒸気バリヤインサートは、所定位置に成形されると、燃料電池スタックの周辺部を通過する流体の流出を低減するように適合化かつ構成されている、請求項42に記載の方法。
【請求項71】
蒸気バリヤインサートが、(i)プラスチック、(ii)金属、(iii)複合材料およびその組合せからなる群から選択される材料で製作される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
マニホルドの1つの一端に近接するプレナムハウジング中に、管状インサートを一体的に形成することをさらに含み、該管状インサートは、前記プレナムハウジングの材料と適合する材料で製作され、前記管状インサートは、それが取り付けられているマニホルドを含む流体流通路の一部分を形成する、請求項41に記載の方法。
【請求項73】
燃料電池スタックのエンドプレートを、管状インサートが燃料電池スタックのエンドプレートのポートを通過して突出するように、管状インサートの上に取り付けることをさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
成形ステップの間に導入される材料が、(ii)圧力式樹脂トランスファー、(ii)真空式樹脂トランスファー、(iii)射出成形、およびその組合せからなる群から選択される技法によって導入される、請求項41に記載の方法。
【請求項75】
材料が、約+15psiから約−15psiの間の圧力差の下で導入される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
材料が、0psiから約250psiの間の正の圧力下で圧力式樹脂トランスファーによって導入される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
材料が、約750Torrから約1mTorrの間の部分圧力下で、真空式樹脂トランスファーによって導入される、請求項73に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−533821(P2009−533821A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505460(P2009−505460)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/008954
【国際公開番号】WO2007/120717
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(503191449)プロトネクス テクノロジー コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/008954
【国際公開番号】WO2007/120717
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(503191449)プロトネクス テクノロジー コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]