説明

インジケータランプ

【課題】 視認性に優れた表示機器を提供する。
【解決手段】 発光素子80の発光面を、拡散体を含有する投光性樹脂で覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器に関し、特に、通電状態を示すインジケータランプなどの表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチは、例えば、非特許文献1に記載されているように、赤色発光ダイオードからなるインジケータランプを備えている。インジケータランプは、スイッチがオンのときに点灯する。このため、スイッチのオン/オフが視認できる。
【0003】
【非特許文献1】SMC株式会社 薄型シリンダー C5シリーズ カタログ CAT.S20−184 14頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発光ダイオードは、一般的に、照射角が狭い。したがって、発光ダイオードが見えにくい態様でスイッチを取り付けなければならない場合には、インジケータランプが発光していても、それを視認することができない。これでは、折角のインジケータランプが有効に利用されない。
【0005】
また、発光ダイオードは、照射角の狭さを補完するために、発光面にレンズが取り付けられているものがある。レンズ付きの発光ダイオードであっても、照射角は限定的である。それに、発光ダイオードのレンズの分だけ、スイッチが大型化してしまう。
【0006】
さらに、インジケータランプを備えていないタイプの既存のスイッチでも、スイッチのオン/オフを視認できるようにして欲しいとの要請もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に考慮して、視認性等が優れた表示機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の表示機器は、発光素子の発光面を、拡散体を含有する投光性樹脂で覆う。このため、発光素子からの発光光は、樹脂の外部に出射する際には、拡散光となる。したがって、インジケータランプの水平方向へも発光素子からの光が出射され、発光素子の照射角が狭くても、スイッチのオン/オフが視認できる。
【0009】
表示機器であるところのインジケータランプは、絶縁体で覆われた導体を2本以上内包するシースに取り付け可能であり、前記各導体の一方に接続される第1の接続部と、前記各導体の他方に接続される第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に備える発光素子と、少なくとも前記発光素子を覆う光拡散体が含有されている投光性樹脂とを含む。
【0010】
このインジケータランプは、シース上であれば、ユーザにとって都合のよい位置に取り付けることが可能となる。したがって、インジケータランプが有効利用される。
【0011】
インジケータランプ本体は、前記発光素子からの光を拡散する拡散体が含有されている樹脂で覆うとよい。こうすると、インジケータランプが外気と遮断されるので、インジケータランプの防水性も高まる。なお、発光素子の被覆とインジケータランプ本体の被覆との双方を、一度に行える点もメリットである。
【0012】
この樹脂には、取り扱い性に優れたホットメルト樹脂を用いるとよい。特に、固形時に透明のホットメルト樹脂と、固形時に有色のホットメルト樹脂とを混合したものを用いると、有色のホットメルト樹脂が拡散体として機能することになるので、拡散体を個別に用意する必要が無い点で好ましい。
【0013】
第1及び第2の接続部は、前記絶縁体のうち接触部分を切断する切断部を有するとよい。こうすると、シースへのインジケータランプの取り付け時に、ニッパー等の工具を用いて絶縁体を切断する、という面倒な作業が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態のインジケータランプ本体90の模式図である。図1(a)はインジケータランプ本体90の長手方向の側面図、図1(b)はインジケータランプ本体90の底面図、図1(c)はインジケータランプ本体90の短手方向の側面図を示している。
【0016】
インジケータランプ本体90は、例えば、ガラス繊維を10〜30%程度含有させたポリアミド樹脂、又は、ガラス繊維を10〜30%程度含有させたポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などのように、硬性を有する樹脂から成る筐体91を備えている。
【0017】
筐体91は、図1(a)に示すように、外形が略直方体状である。また、筺体91は、図1(c)に示すように、短手方向の側面には、アーチ状の開口部92が形成されている。開口部92は、図1(b)に示すように、シース10を受けるシース受部として機能する。
【0018】
ここで、シース10は、絶縁体12,14,16でそれぞれ覆われた導体を内包している。これらの導体は、例えば、インジケータランプが接続されるスイッチの正極端子に接続されるものと、スイッチの負極端子に接続されるものと、スイッチの外部端子に接続されるものと、を含む。
【0019】
以下、絶縁体12に係る導体を、スイッチの負極端子に接続されるものとし、絶縁体16に係る導体を、スイッチの正極端子に接続されるものとして説明する。
【0020】
また、筐体91の底面は、図1(b)に示すように、角部93〜96を除いて、開口されている。筐体91の長手方向の側面も、角部93〜96の側面間が開口されている。筐体91内は、以下説明する圧着端子であるところのノッチコンタクト84,86が位置する部分を除いて、空洞である。
【0021】
図1(a)に示すように、筐体91の上面には、発光素子であるところのLED80と、LED80に所要の電流を流すための抵抗82とが取り付けられている。LED80の第1端子と抵抗82の第1端子とは、例えば半田付け等によって、互いに直列接続されている。LED80及び抵抗82は、小型化、軽量化のために、チップ状のものが用いられている。
【0022】
LED80の第2端子に隣接してノッチコンタクト84を通す貫通孔(図示せず)が形成されている。LED80の第2端子は、ノッチコンタクト84の上端部と半田付け等により接続されている。すなわち、LED80の第2端子は、インジケータランプが接続されるスイッチの端子のうち、相対的に低電圧の端子に接続されている。
【0023】
同様に、抵抗82の第2端子に隣接してノッチコンタクト86を通す貫通孔(図示せず)が形成されている。抵抗82の第2端子は、ノッチコンタクト86の上側と半田付け等により接続されている。すなわち、抵抗82の第2端子は、インジケータランプが接続されるスイッチの端子のうち、相対的に高電圧の端子に接続されている。
【0024】
ノッチコンタクト84,86は、下部にノッチ部分が位置する。ノッチ部分の幅は、下端は広いものの、それ以外は、絶縁体12,14,16の内径の約半分の寸法、換言すると、導体18,20,22の外径の約半分の寸法である。
【0025】
ノッチ部分に、絶縁体12で覆われた導体を押し込むと、絶縁体12だけがノッチ部分により切断され、絶縁体12で覆われていた導体とノッチコンタクト84とが接触し、これらが電気的に接続される。この際、導体はそれの外径よりも小さいノッチ部分によって押されるために形状が長細く変形している。このように、上記条件のノッチ部分を有するノッチコンタクト84,86を用いると、絶縁体12をニッパー等の工具で切断する、という工程を経ることなく、ノッチコンタクト84等と導体との電気的接続が実現できる。
【0026】
インジケータランプ本体90は、樹脂によって覆われる。この樹脂の形状は、例えば、底が平面状で、長手方向に直交する断面がアーチ状となる。本実施形態では、この樹脂を、黒色のホットメルトと透明のホットメルトとの混合物としている。このような樹脂は、黒色掛かった半透明である。
【0027】
この樹脂は、例えば1:2〜2:1の割合で混合させればよい。混合割合は、LED80の輝度、照射角に依存する。輝度が高いほど、また、照射角が狭いほど、黒色のホットメルトの含有量を増やすとよい。黒色のホットメルトは、LED80から照射された光を拡散する拡散体として機能する。このため、インジケータランプを水平方向から見た場合であっても、LED80が発光している状態を視認できる。
【0028】
ちなみに、LED80として、赤色チップLEDを用いて、かつ、透明のホットメルト樹脂のみでインジケータランプ本体90を覆った状態で、LED80を点灯させてみた。この場合には、LED80の照射角から外れた位置では、LED80の照射光を視認することができなかった。また、インジケータランプの周辺が明るい場合には、この光を視認しづらかった。これらの点は、LED80をチップLEDではなく、レンズ付きのLEDを用いても大差がなかった。
【0029】
これに対して、黒色のホットメルト樹脂と透明のホットメルト樹脂との混合物を用いた場合には、LED80の照射角から外れている場合であっても、インジケータランプの周辺が明るい場合であっても、照射光を視認することができた。
【0030】
なお、LED80の発光色、ホットメルトの色は、上記の場合に限定されず、例えば、青色LED、緑色LEDを用いることもできるし、淡黄色を含む黄色のホットメルト樹脂、白色のホットメルト樹脂を用いることもできる。特に、LED80の発光色とホットメルトの色とを、補色或いはそれに近いに関係とするとよい。
【0031】
つづいて、インジケータランプを、シース10に取り付ける方法について説明する。まず、図1(a)に示すようなインジケータランプ本体90を用意する。また、シース10をインジケータランプに取り付けるのに先立って、シース10自体を分断する。そして、分断部分を中心として、シース10の両側を互いに引っ張り、絶縁体12,14,16を、剥き出し状態にする。
【0032】
それから、絶縁体12をノッチコンタクト84のノッチ部分に押し込む。こうして、ノッチコンタクト84と絶縁体12で覆われた導体とを電気的に接続する。引き続き、絶縁体16をノッチコンタクト86のノッチ部分に押し込む。こうして、ノッチコンタクト86と絶縁体16で覆われた導体とを電気的に接続する。
【0033】
なお、絶縁体14で覆われた導体は、ノッチコンタクト84,86のいずれにも、押し込み作業は行わず、ノッチコンタクト84,86のとなりを通すようにする。そして、シース10を開口部92に押し込む。以上の各作業により、図1(b)に示すように、シース10に対して、インジケータランプ本体90が取り付けられる。最後に、インジケータランプ本体90を、有色のホットメルトと透明のホットメルトとの混合物で覆うことで、インジケータランプの、シース10への取り付けが完了する。
【0034】
なお、インジケータランプの材料、形状等については、上記のものに限定されない。LED80からの照射光の視認性を向上させるためには、少なくともLED80の上部が、拡散体を含有する投光性がある樹脂で覆われていればよい。
【0035】
また、インジケータランプの防水性が不要であるような場合には、インジケータランプ本体90を必ずしも樹脂等で覆う必要はない。
【0036】
以上、本実施形態では、インジケータランプに本発明を適用する場合を例に説明したが、少なくとも発光素子の発光面を、拡散体を含有する投光性がある樹脂で覆うものは全て本発明の範疇に含まれ、適用可能なものの例としては、信号機、ディスプレイ、自動車のテールランプ等の表示機器がある。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スイッチ産業全般に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態のインジケータランプ本体90の模式図である。
【符号の説明】
【0039】
10 シース部
12,14,16 絶縁体
80 LED
82 抵抗
84,86 ノッチコンタクト
90 インジケータランプ本体
91 筐体
92 開口部
93〜96 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、光拡散体が含有されていて前記発光素子の発光面を覆う投光性樹脂とを含む、表示機器。
【請求項2】
さらに、前記発光素子の端子と前記発光素子に電流を流すための導体とをそれぞれ接続する第1及び第2の接続部を有する、請求項1記載の表示機器。
【請求項3】
前記投光性樹脂は、ホットメルト樹脂である、請求項1又は2記載の表示機器。
【請求項4】
前記投光性樹脂は、固形時に透明のホットメルト樹脂と、固形時に有色のホットメルト樹脂とを混合した樹脂である、請求項1から3記載の表示機器。
【請求項5】
前記拡散体は、有色のホットメルト樹脂である、請求項1から4のいずれか記載の表示機器。
【請求項6】
前記第1及び第2の接続部は、前記絶縁体のうち接触部分を切断する切断部を有する、請求項1から5のいずれか記載の表示機器。

【図1】
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【公開番号】特開2006−295069(P2006−295069A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117257(P2005−117257)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(593182381)アサ電子工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】