説明

インジケータ

【課題】従来よりも高感度で、所定の温度が所定の時間加わったか否かを判断する。
【解決手段】周囲温度が上昇して融解材料14の融点に達すると融解材料14が溶け、基材11にある速度で吸収されてゆく。そして、基材11に吸収された分だけ融解材料14の体積が減り、電極21及び23の電極間距離が縮まる。同時に、吸収された融解材料14は基材11に浸透していく。電極21及び23と融解材料14とはコンデンサを構成しており、融解材料14の融解が進むにつれて電極間距離が小さくなり、そのためコンデンサの静電容量は大きく変化していくので、静電容量の変化を読み取ることで変化量を随時確認することができ、更に最終的に電極21及び23が接することで抵抗変化としても読み取ることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインジケータに係り、特に所定の温度と時間で変色するように設計された熱時間積算型インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
食品には、消費期限が記載されているが、これらは特定の製品の予測される保存状態(温度、湿度、日当たりなど)に基づいていなければならない。そのため、推奨される保存状態も明記されている。しかしながら、実際の保存状態は予測制御できないため、時間−温度積算型のインジケータが必要とされる。
【0003】
また、医療機器の高圧蒸気滅菌には滅菌が可能な温度と時間が滅菌対象物に加わったかどうかを目視で確認するためのケミカルインジケータ(CI)が日常使用されている。CIは一般的に、滅菌可能な温度と時間(例えば121℃が20分加わった時点)で変色するように設計された色素が台紙に塗布されたものである。ある温度になると変色する、いわゆるサーモラベルはこういった時間加算はできない。
【0004】
インジケータとは、広義の意味では、表示器、指示器、指示計、標識、表示、指針、指標であり、測定対象も幅広いが、ここでは時間計測に使用し、作業者が目視によって簡易的に必要条件を満たしたかどうかが変色などによって確認できる時間インジケータの種類について説明する。
【0005】
時間インジケータは、2種類に大別される。一つは、時間のみでなく対象物に加わった累積熱露出を考慮したものである。これはインジケータの変化速度をある関数で温度とともに増加させることで達成される。このようなインジケータには、温度の変化に継続的に反応するものと、ある温度以下では変色しないというように閾値温度に到達することが必要とされるものとがある。例えば、滅菌業務に使用されているインジケータの場合、滅菌可能な温度以上での累積時間を加味する必要がある。これらは、一般的に「時間−温度インジケータ」や「熱時間積算型インジケータ」(Time-Temperature Indicator:TTI)と呼ばれる。もう一つは、感熱性がなく、経過時間の視覚的表示を与えるものであり、一般的に「タイマー」と呼ばれる。
【0006】
TTIは、腐敗が懸念される品目、例えば、食品、食品添加物、生物材料、薬品、化粧品などの期限モニタリングや、食品や医療現場における殺菌、滅菌など、ある温度以上が一定時間加わったことを作業者が目視で確認する際に大変有用である。一方、タイマーは腐敗が生じない品目、例えば、ある品目の交換、完了または更新する必要のある注意喚起として有用である。ただし、以上は応用例であってこれらに限るものではない。
【0007】
TTIやタイマーは、化学反応機構、拡散機構、毛管現象機構を用いて実現されている。時間インジケータは変色などによって目視で確認できるため、利用者が一目で不良を判断できる点は評価できる。しかし、変色度合いによって評価する場合、定量評価でないため、判定結果に個人差が出る可能性がある。したがって、色度計で定量化が行われている場合もあるが、色度計は高価であり、また、対象物が大量であると作業者の大きな負担となる。そこで、変色でなく、例えば毛管現象を利用し、細長い紙に液体が徐々に染み込んだ領域の長さによって、ある領域まで達した時点でアクセプトとするようなインジケータもある(住友スリーエム株式会社)。この方式であれば定量的な評価が可能である。
【0008】
また、近年、食品や医療の安全確保のため、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態であることを指すトレーサビリティが重要視されていることから、インジケータの情報をパーソナルコンピュータ(以下、PC)に取り込みたいといったニーズが高まっている。そのような場合にはインジケータの評価結果を作業者がPCに入力していることが多いのが現状であり、PCへの入力作業の省力化・無人化のため無線タグ(Radio Frequency Identification:RFID)が利用され始めている。
【0009】
RFIDは、タグやラベル状に加工されたアンテナ付ICチップを人や物に付与し、そこに記憶された情報をリーダ/ライタと呼ばれる装置で読み取ることで、物体認識や個人認証などを行うものである。RFIDを利用する利点としては、一つは認識対象物に接触することなく非接触で認証が行えるという点であり、もう一つは、そのような非接触認証を複数の対象に対して同時に行える複数同時認証という点である。なお、RFIDは、バーコード等と同じ、自動認識・データキャリアの一種であるが、バーコードでは2次元コードが光学的に読み取りを行うのに対して、RFIDは電波を使用する。RFIDは、バーコードと比較して、ダンボール箱などの遮蔽物があっても非接触で読み取り可能、同時に複数の認識対象物を読み取ることができ、一般に数百ビットのデータ書き込み/読み取りが可能などといった利点がある。
【0010】
RFIDはこれらの利点により、現在人の手により行われている多くの業務オペレーションを自動化、あるいは簡素化することができるため、莫大なコストを削減が可能であり、さらに、人為的なミスの防止やシステムのリアルタイム性が向上することにより、情報の質が向上し、企業リソースの正確な把握や、迅速な意思決定を支援するものとしても期待されている。
【0011】
ところで、従来から食品などの温度履歴を記録する機器として「温度ロガー」と呼ばれる機器が存在し、食品メーカにおいて製造工程や物流段階の温度管理に用いられてきた。しかし、温度ロガーはケーブルでPCなどに接続しないとデータの吸い上げができない。また、本体が大きく日常的に多頻度でデータ収集を行うには障害となっていた。
【0012】
一方、温度センサ付きRFIDは非接触で温度採集の起動/停止/データの吸い上げができるという大きな利便性があり、ワンチップ化(1つのシリコンチップ上にRFID回路/温度センサを搭載)により小型化されると共に、部品点数の削減から低コスト化にも期待が持たれている。
【0013】
また、特許文献1には、二つの電極(金属/半導体)間に誘電体(多孔性材料)がサンドイッチされてなるコンデンサと、このコンデンサに隣接して配置された粘弾性ポリマーを収容する容器とからなる構造のインジケータが開示されている。この特許文献1に記載の従来のインジケータは、容器がコンデンサへの粘弾性ポリマーの移動を可能にする出口を有しており、ある時間温度が経過すると粘弾性ポリマーが溶けて容器内からコンデンサの多孔性材料に浸透し、それにより多孔性材料が化学反応してその誘電率が変化することでコンデンサの静電容量が変化する。従って、コンデンサの静電容量により時間温度を測定できる。このインジケータは、時間温度に関係なく二つの電極(金属/半導体)間の距離は一定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2008−520962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、温度センサ付きRFIDは、タグ自体を目視することによる確認はできず、読み取り機を持っていない作業者が直接確認することはできないため、迅速な処理が行えず、取り違えや誤認識の可能性もある。望ましくは、変色などのバロメータが作業者の目視によっても確認でき、かつ、電気信号として取り出せるRFIDである。
【0016】
ここで、目視用のTTIと、電気信号取り出し用の温度センサ付きRFIDの併用も考えられるが、二重のコストがかかること、両者の表示の対応が取れていないと判断基準が難しくなり誤判断に繋がるため、好ましくない。よって、TTIの情報がそのままRFIDの出力として取り出せる、RFID内蔵型TTIが最も望ましい形態といえる。また、食品や滅菌対象物一つ一つに使用することを想定すると低コストで作製できる材料、作製工程が求められる。
【0017】
一方、特許文献1記載のインジケータは、感度が低いという課題がある。特許文献1記載のインジケータは、加熱により粘弾性ポリマーが溶けて、二電極間の距離が一定であるコンデンサの多孔性材料に浸透し、それにより多孔性材料の誘電率が変化することでコンデンサの静電容量が変化するが、多孔性材料の誘電率の変化は最終的に2倍程度であるため、コンデンサの静電容量の変化も2倍程度しか得られず、感度が低い。
【0018】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、従来よりも高感度で、所定の温度が所定の時間加わったか否かを判断できるインジケータを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の他の目的は、簡単な構成により低コストなRFID内蔵型のインジケータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明のインジケータは、特定の温度以下では固体的な性状を有し流動性がなく、特定の温度に到達すると融解し流動性が生じ時間の経過とともに体積が減少していく特性の融解材料と、互いに対向配置され、かつ、融解材料を挟んでコンデンサを構成しており、融解材料の融解による体積の減少に応じて互いの距離が狭くなり、最終的に距離が無くなり接する第1及び第2の電極と、第1の電極が上面の一部に形成されており、融解した融解材料が浸透する材料からなる基材とを有することを特徴とする。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、本発明のインジケータは、融解材料が顕色剤又は発色剤を含み、かつ、基材中又は基材上の一部に発色剤又は顕色剤を含み、融解材料が流動性を持つ条件で、融解材料の基材への浸透に伴って顕色剤が進行し、顕色剤と発色剤の両者が接した時点で発色することを特徴とする。
【0022】
更に、上記の目的を達成するため、本発明のインジケータは、第1及び第2の電極間の距離を、電気的変量の変化として読み取る読み取り手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来よりも高感度で、所定の温度が所定の時間加わったか否かを判断でき、また、読み取り手段を備えたインジケータを簡単で低コストな構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のインジケータの一実施の形態の断面図及び上面図を、融解材料の基材への浸透の進行に応じて示した図である。
【図2】材料Aと材料Bとの共融点と、組成比(Bに対するAの割合)との関係を示す図である。
【図3】本発明のインジケータの120℃に加熱時の時間経過に対する融解材料のろ紙への浸透長と、時間経過に対する融解材料の容量変化の実験結果を示す図である。
【図4】本発明のインジケータの120℃加熱開始後5分後に100℃で2分間キープした場合の、時間経過に対する融解材料のろ紙への浸透長と、時間経過に対する融解材料の容量変化の実験結果を示す図である。
【図5】本発明のインジケータの実施例2の上面図である。
【図6】本発明のインジケータの実施例3の上面図である。
【図7】本発明のインジケータの実施例4を融解材料の基材への浸透の進行に応じて示した上面図である。
【図8】本発明のインジケータとRFIDとを組み合わせた構成の外観図と、RFIDチップの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明になるインジケータの一実施の形態の断面図及び上面図を、融解材料の基材への浸透の進行に応じて示す。図1(a−1)及び(a−2)は、本実施の形態のインジケータの初期状態の断面図及びインジケータを融解材料14の位置で基板11に対して平行に切断してインジケータを見た上面図(以下、単に上面図)を示す。ここで、同図(a−1)及び(a−2)に示すように、本実施の形態のインジケータ10は、台紙15上の基材11と、基材11上に設けられた電極21と、透明フィルム13と、透明フィルム13上に設けられた電極23と、電極21と電極23との間に設けられた所望の融点を持つ融解材料14とで構成される、熱時間積算型インジケータである。
【0027】
基材11は、溶けて流体となった融解材料14を吸収する材料で構成されている。電極21及び電極23は表面が導電性コーティングされた部材であってもよい。融解材料14は、所定の温度以下では固体的な性状を有し流動性がなく、所定の温度に到達すると融解し流動性が生じる材料である。基材11の材料と融解材料14の材料とは、後述するよう融解材料14が所望の時間をかけて基材11に浸透するような組合せを選択すれば良い。
【0028】
次に、本実施の形態のインジケータ10の動作原理について説明する。本実施の形態のインジケータ10は、図1(a―1)及び(a−2)に示す初期状態において、周囲温度が上昇して融解材料14の融点に達すると融解材料14が溶け、基材11にある速度で吸収されてゆく。基材11には、図1中、Acceptから基材11の電極21の設けられた端と対向する一端までの領域であるアクセプトエリアが設けられており、融解材料14が基材11に浸透した程度を目視できる。暫くすると図1(b−1)及び(b−2)の断面図及び上面図に示すように、溶けた分だけ融解材料14の体積が減り、電極21及び電極23の電極間距離が縮まる。基材11に吸収された融解材料14は基材11に対して、図1(b−1)及び(b−2)に17で示すように溶解材料14が設けられた基材11の一端から対向する一端に向かって(図の左から右方向)浸透する。 更に時間が経過すると、インジケータ10は、図1(c−1)及び(c−2)の断面図及び上面図に示すように、融解材料14の体積が更に減り、電極21及び電極23の電極間距離が更に縮まる。吸収された融解材料14の浸透は18に示すように基材11に対して。そして、最終的には、インジケータ10は、図1(d−1)及び(d−2)の断面図及び上面図に示すように、融解材料14はすべて溶けて基材11に対して19で示すように吸収されると共に、電極21と電極23とが接する状態となる。
【0029】
本実施の形態のインジケータ10において、電極21及び電極23と融解材料14とはコンデンサを構成しており、融解材料14の融解が進むにつれて電極間距離が小さくなるためコンデンサの静電容量が大きく変化していく。静電容量の変化を読み取ることで変化量を随時確認することができ、更に最終的に電極21及び電極23が接することで抵抗変化としても読み取ることが可能である。
【0030】
また、本実施の形態のインジケータ10は、目視でも吸収された融解材料14の浸透度合いが透明フィルム13側から観察でき、予め設定されたアクセプトエリアに到達しているかどうかが簡単に分かる。このアクセプトエリアへの到達時間と電極21と電極23とが接する時間とが同じになるように設計することが望ましい。
【0031】
途中で温度が下がった場合、融解材料14が再び固まるため、基材11への浸透が進行しなくなる。従って、本実施の形態のインジケータ10は、所定の温度以上が加わった時間のみが加算される仕組みである。
【0032】
このように、本実施の形態のインジケータ10は、電極のパターニングは必要なく、電極間距離で容量変化を読み取る構成であるため、非常に高精度で、かつ、高感度での容量測定が可能である。例えば、電極21と電極23との電極間距離は初期状態では2mmであるとすると、融解材料14の融解が進むことで電極間距離が0.2mmとなった場合は静電容量は10倍にも変化し、特許文献1記載の従来のインジケータに比べて極めて高感度となる。また、本実施の形態のインジケータ10は感度の倍率が誘電率によらないため、材料の選択肢が非常に広いという特長もある。
【0033】
更に、本実施の形態のインジケータ10は、最終的に電極21と電極23とが接するので、所定の温度が所定の時間加わったか否かを静電容量を測定せずとも導通の有無を調べることで容易に検出でき、更に、単純構成であり極めて低コストで製造することができる。
【0034】
なお、目視での良好な視認性のため、融解材料14と基材11とが異なる色であることが望ましい。そのために基材11、あるいは融解材料14が着色されていてもよい。融解材料14の基材11に対する浸透速度によって、加算される時間の調節が可能である。浸透速度は、例えば、融解材料14の粘度、基材11の材質・形状・密度、によって変えることができる。また、電極21及び電極23の大きさは任意である。
【0035】
ある特定の温度以下では固体的な性状を有し流動性がなく、ある特定の温度に到達すると融解し流動性が生じる融解材料14としては、例えば蝋などの高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステル化合物や、蝋のような物理的性質を示す中性脂肪や高級脂肪酸、炭化水素から構成されるパラフィンワックスなどが挙げられる。より具体的には、低融点材料としては、出光石油化学株式会社のポリアルファ−オレフィン系機能材料(融点28℃〜53℃)があり、融点はこの範囲内で自由に制御可能で、溶融粘度も例えば140℃程度において約50〜1500mPa・Sの範囲で制御可能である。また、クラリアント社(Clariant)のメタロセン触媒によるポリエチレンワックスは、融点約85℃〜130℃において溶融粘度10〜10000mPa・S程度で設定可能のものが市販されている。メタロセン触媒によるポリプロピレンワックスは、融点約85℃〜160℃において溶融粘度10〜10000mPa・S程度で設定可能のものが市販されている。その他には、ステアリン酸アミド(融点98〜102℃)、ポリオレフィンなどがある。
【0036】
一般に高分子材料はその重合度を変えることで融点が変化する。例えば、三井化学株式会社のポリオレフィンワックスは、同じ材料で異なる重合度の材料として、800P(分子量8000、融点127℃)、400P(分子量4000、融点126℃)、200P(分子量2000、融点122℃)、100P(分子量900、116℃)が市販されている。また、分子構造の一部を変えて融点をコントロールすることが可能である。例えば、一般的に直鎖の分子数を増やすと融点は高くなり、側鎖を増やすことで融点は低くなる。また、末端基をカルボキシル基やヒドロキシ基とすることでも融点を低くすることができる。このように、所望の融点の材料が市販されていない場合には、化学合成によって任意に設定することも可能である。
【0037】
特定の温度で融解する物質は、単体でなくてもよく、融点の異なる物質の混合物を用いてもよい。その場合、混合物の組成比率を調節することで共融点(融解温度)を種々コントロールすることができる。例えば、材料Aと材料Bとの共融は、横軸を組成比(Bに対するAの割合)、縦軸を融点とすると、一般的に図2に示すような曲線となる。
【0038】
基材11の材料としては、多孔性材料、ウィック材料、および吸収材料が例示される。特定の温度で融解した融解材料14が、所望の時間をかけて吸収、拡散または浸透する基材であればよい。基材11の長さ、幅によって動作時間の制御が可能である。基材11への溶融材料14の浸透は、毛管現象によるものであり、重力の影響を無視できるため、物品(インジケータ10)の設置状態に影響されない。
【0039】
基材11上の電極21は導電性のあるシート(導電性膜)であればよく、アルミニウム箔などの金属箔、金属箔と積層一体となった樹脂や紙などのシート、金属粉末を含む樹脂フィルム、不織布や布に導電性のある粉末を塗布したものなども同様の機能を持つと考えられる。また、電極21には、融解材料14の少なくとも一部と基材11とが接するよう、孔が設けられていることが望ましい。また、シート状でなくとも、導線や、導線で構成される網目状のグリッドでもよい。
【0040】
電極23は、基材11上の電極21の対向電極を担う導電性膜であり、上述したように初期状態では電極21とは融解材料14を隔てて設けられている。また、電極23は電極21と同様に、導電性のあるシートであればよく、アルミ箔などの金属箔、金属箔と積層一体となった樹脂や紙などのシート、金属粉末を含む樹脂フィルム、不織布や布に導電性のある粉末を塗布したものなどを用いることができる。電極23には孔が設けられていることや、導線で構成される網目状のグリッドであることに特に利点はないが、そのようなものであっても構わない。
【0041】
なお、本発明のインジケータは、任意でインジケータの一部または全てを覆うカバーを含んでいてもよい。このカバーは、可撓性、半剛性または剛性であってよい。また、このカバーは、インジケータの動作および融解材料14の基材11への浸透を妨げないようなものを選択するのが好ましい。更にカバーは、好ましくは、融解材料14がインジケータから漏れるのを防ぐものを選択すべきである。カバーは、これに限られるものではないが、プラスチックをはじめとする様々な材料から作製することができる。
【0042】
また、カバーは、一体構造または、例えば、2ピースのテープを結合することにより形成されたマルチピース構造であってもよいし、例えば、融解材料が基材へ浸透する進行度合いが観察できる透明な窓を備え、また融解材料の進捗方向のカバーの一部分の上に位置づけされた目盛を有する不透明材料で作製することができる。あるいは、カバーは、グラフィックスを備えた透明材料から作製してもよいが、一部は、進行度合いが見える窓を提供するために、グラフィックスがないようにすべきである。カバーは、例えば、テープバッキングがカバーとなるような感圧接着テープの基材へのラミネーションをはじめとする様々なやり方で物品に接合してもよい。あるいは、転写感圧接着剤を基材および流体リザーバにラミネートして、例えば、カバーを感圧接着剤にラミネートすることができる。
【実施例1】
【0043】
次に、図1を用いて本発明の実施例1について説明する。ここでは120℃が10分加わったことが判断できるインジケータを想定している。融解材料14にはクラリアント社(Clariant)のメタロセンワックスリコセングレード「PP 4202」(融点120℃、粘度70mPa・S)、基材11にはアドバンテック東洋株式会社の定性ろ紙「No.131」、電極21及び電極23には住軽アルミ箔株式会社の業務用アルミ箔、透明フィルム13には帝人株式会社のPENフィルム「テオネックスQ51(厚み25μm)」を使用した。また、基材11の電極21が設けられた面と対向する下面側にはインジケータ10を支持するための台紙15が設けられている。この台紙15には防水コーティングされた厚紙を使用した。
【0044】
台紙15上に7mm×60mmにカットしたろ紙(基材11)を両面テープ(日東電工株式会社LA-150)で接着し、その上に4mm×7mmのアルミ箔(電極21)を同両面テープで接着する。電極21上に融解材料14を溶かした状態で1ml滴下すると即座に固まり定着する。電極23を透明フィルム13上に、電極21の大きさより若干大きいサイズで電極21と対向する位置に接着する。これを台紙15に被せ、周辺部分も両面テープで固定する。電極21、電極23から導線にてテスタ(日置電機株式会社ディジタルハイテスタ 3801-50)に繋がり抵抗と静電容量(以下、単に容量という)を観察できるようになっている。
【0045】
オーブン内では、本実施例のインジケータの動作の一部始終を観察することが難しいため、PID温度制御可能なホットプレートを用いて実験を行った。まず、基材11への溶解材料14の浸透を示す浸透長と時間の関係を調べた。図3(a)に結果を示す。120℃に加熱されたホットプレート上にインジケータ10を置くと、5秒後に融解材料14が溶け始め、2分後には基材11の電極21側の端部から1.5cmまで浸透し、5分後に3cm、10分後に6cmまで浸透した。これより、融解材料14の基材11へ浸透する速度はほぼ一定であり、時間と浸透長とは比例関係にあることが分かる。従って、基材11に用いるろ紙の種類、厚み、長さなどの形状によって所望の時間で動作させることができると予想できる。このとき、テスタでは1分毎に容量を測定した。結果を図3(b)に示す。容量Cは次式
C=ε0*ε*S/d
(ε0:真空の誘電率、ε:比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離)
で表わされるから、電極間距離dの減少に伴い増加する。図3(b)の様に、容量は1×10−11から6×10−11に変化し明らかな容量変化として読み取ることができる。また、抵抗は電極21及び電極23が接触するまで最大(絶縁状態)であり、今回の実験ではホットプレート上に載せてからおよそ10分後に最小(導通状態)に変化した。
【0046】
次に、120℃印加開始から5分後に、100℃に下げて2分間キープし、その後再び120℃を印加した。すると、120℃以下になった瞬間に融解材料14が固化しそれ以上基材11へ浸透しなくなり、再度120℃になると融解し浸透が進行した。最終的に電極21及び電極23が接して導通したのは開始から12分10秒後であり、先に確認したインジケータが導通状態となるまでの時間(10分)に今回設けた温度が120℃に満たない時間(2分)とが合算された時間に略等しくなる結果となった。また、容量変化も基材11への浸透長と対応して変化した。この様子を図4(a)、(b)に示す。
【0047】
以上の結果より、実験的に作ったサンプルであっても極めて再現性良く浸透が進行し、それに伴い容量が変化していることがわかる。ろ紙の長さ6cmの地点以降をアクセプトエリアとすれば、所望の特性を達成できるTTIとなる。
【0048】
実際に、オーブンや滅菌用のオートクレーブ内で使用する場合、インジケータ周辺全体に温度が加わるため、今回と若干異なる可能性があるが、前述したように基材11の種類や形状、融解材料14の粘度、基材11と融解材料14との親和性などにより所望の時間特性を得ることが可能であると考えられる。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明になるインジケータの実施例2の上面図を示す。本実施例のインジケータ30は、インジケータ10の変形型であって、電極21には、基材11と融解材料14との接触を妨げないよう、孔16が設けられている。
【実施例3】
【0050】
図6は、本発明になるインジケータの実施例3の上面図を示す。本実施例のインジケータ40は、インジケータ10の変形型であって、基材11と融解材料14との接触を妨げないよう電極21の代わりに、導線グリッドで構成した電極21’を設けたものである。
【実施例4】
【0051】
図7は、本発明になるインジケータの実施例4の上面図を示す。本実施例のインジケータ50は、インジケータ10における融解材料14を融解材料14’に変え、基材11はアクセプトエリアに発色剤52(または顕色剤)を設けたものである。インジケータ50は、融解材料14’中に顕色剤51(または発色剤)を含み、融解材料が流動性を持つ条件で、基材11への浸透に伴って顕色剤51が進行する。顕色剤51と発色剤52とが接すると発色する。
【0052】
図7(a)は、本実施例のインジケータ50の初期状態の上面図を示し、融解材料14’は顕色剤51が含まれており、また、基材11のアクセプトエリアには発色剤52が含まれているとする。融解材料14’が流体となる条件では、図7(b)の上面図に示すように、流体の基材11への浸透に伴って顕色剤51が移動する。そして、更に流体の基材11への浸透が進み最終的に流体が発色剤52を含むアクセプトエリアまで到達すると図7(c)に511で示すように発色する。
【0053】
なお、顕色剤51と発色剤52とは融解材料14’、基材11のどちらに含まれていてもよい。また、発色させる場所も目的に応じて所望の位置で発色剤52と顕色剤51とが反応するように設計すればよい。ここで、発色剤52としては、電子供与性呈色化合物であるフルオラン系化合物、スピロピラン系化合物、フタリド系化合物、ラクタム系化合物などをあげることができる。これらの電子供与性呈色化合物は、単独存在するときは可視域の波長に吸収はなく、電子供与性呈色化合物のその近傍に電子受容性顕色剤が存在すると、相互作用により可視域の波長で吸収が生じ発色する化合物である。
【0054】
具体的な化合物として例えばスピロピラン類としては、下記のものがあげられる。
【0055】
6−ブロモ−1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−8−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、5−クロロ−1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、5−クロロ−1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[9,10−b][1,4]オキサジン]、6,8−ジブロモ−1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチルスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−5’−メトキシ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−8−メトキシ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]フェナンスロ[9,10−b][1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]ピラン]、1,3−ジヒドロ−5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]ピラン]。
【0056】
また、フタリド化合物としては具体例としては、下記のものがあげられる。
3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ)−3−[4−(N−テトラヒドロフルフリル−N−エチルアミノ)フェニル]フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ピロリジノフェニル)−4−アザフタリド、3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−[4−(N−メチル−p−トルイジノ)フェニル]−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)フタリド、3,3−ビス[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−7−アザフタリド 、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−n−ペントキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−フェノキシフェニル)−4−アザフタリド 、3,3−ビス(4−ジ−n−プロピルアミノ−2−n−プロポキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ピロリジノ−2−メトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]−4−アザフタリド、3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル−2−エトキシフェニル)−3−[4−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フェニル]−4−アザフタリド、3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジ−n−ブチル−2−エトキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−プロピルアミノ−2−エチルフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ピペラジノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−[4−(N−テトラヒドロフルフリル−N−エチルアミノ)フェニル]−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジ−n−ブチル−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルチオフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)−3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ピロリジノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−[4(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−3−[4−(N−テトラヒドロフルフリル−N−エチルアミノ)フェニル]−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]−3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−[N−エチル−p−トルイジノ]−4,7−ジアザフタリド、3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ピロリジノ−2−メチルフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−[4−(N−エチルアニリノ)フェニル]−3−(4−ジ−n−プロピル−2−メチルチオフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)フタリド、3−[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジ−n−プロピルアミノ−n−プロポキシフェニル)−3−(1−n−ペンチル−2−メチルイドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−[4−(N−エチルアニリノ)−2−エトキシフェニル]−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−3−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フタリド、3−(4−ピロリジノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ピロリジノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−3−[4−(N−エチルアニリノ−2−エトキシフェニル]−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−[4−(N−テトラヒドロフルフリル−N−エチルアミノ)−2−エチルフェニル]−4,7−ジアザフタリド 、3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルチオフェニル)−4,7−ジアザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)フタリド、3−[1,1−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ピロリジノフェニル)フタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]フタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−[4−(N−エチルアニリノ)フェニル]フタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)フタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−4−アザフタリド3−[1,1−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ピロリジノフェニル)−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−[4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル]−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−[4−(N−エチルアニリノ)フェニル]−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−[4−(N−メチル−p−トルイジノフェニル]−4,7−ジアザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジ−n−プロピルアミノ−2−n−プロポキシフェニル)−4,7−ジアザフタリド 、3−[1,1−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)
−4,7−ジアザフタリド。
【0057】
また、顕色剤51としては電子受容性顕色剤としてフェノール系、ビスフェーノール系顕色剤などが挙げられ、例えば具体例としては、下記のものがあげられる。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
ビス(4−ジヒドロキシフェニル)メタン
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン
また、これら発色剤52または顕色剤51が融解材料14’の浸透に伴って浸透移動するような材料の基材11を選択する必要があり、例えば紙などのセルロース類、合成繊維でできた不織布、多孔質のポリエチレンフィルムなどが好適である。
【実施例5】
【0058】
本発明のインジケータは、時間温度の経過を容量変化や抵抗変化として読み取ることが可能であるため、RFIDと組み合わせることで物品管理をスムーズに行うことができる。本発明のインジケータと組み合わせるRFIDは低コストで実現可能なパッシブタグであることが望ましい。パッシブタグはタグ側に電源を持たず、リーダ/ライタから照射された電波を利用して電力とする。
【0059】
本発明のインジケータの実施例5は、図1に示す実施の形態の熱時間積算型のインジケータ(TTI)10とRFIDとを組み合わせた構成であり、図8(a)はその構成図、図8(b)は、RFIDタグ回路の一例のブロック図を示す。なお、インジケータ30、40又は50とRFIDとを組み合わせることも可能である。RFIDの構成は、ここでは特開2007-111137号公報記載の「バッテリーレス型RFIDタグを用いた温度管理機能付き棚札システム」を参考にしている。
【0060】
図8(a)において、本実施形態のTTI10は、RFIDチップ61に接続されている。RFIDチップ61は、リーダ/ライタとの交信のためのアンテナ62を含むRFIDタグ63で構成されている。ここでRFIDチップ61は図8(b)のブロック図で示される。
【0061】
図8(b)において、アンテナ62はリーダ/ライタと電磁波による無線通信を行うため、同調回路64に接続され、キャリア周波数に同調させて共振回路を構成する。同調回路64の後段には、リーダ/ライタのアンテナから送信された電磁波がRFIDタグのアンテナ62を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波し、その誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路65に接続される。
【0062】
次に、整流回路65の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路66と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作や、信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作のための変復調回路67が接続される。また、変復調回路67の後段には、変復調回路67の制御や、不揮発性メモリであるFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)69に対するRFIDチップ61の固有ID情報及び本実施の形態のTTI10にて検出した容量、抵抗、電圧、電流のいずれかの信号のデータの書込み又は読出し制御を行うためのロジック回路68を接続する。また、本実施の形態のTTI10から出力される容量、抵抗、電圧、電流のいずれかの信号をA/D変換して適正なデジタル値に変換するA/Dコンバータ(図示せず)と、TTI10と接続するためのインターフェース回路70が、ロジック回路68とFRAM69に接続されている。なお、FRAM69は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がオフになってもRFIDチップ61の固有ID情報等のデータは消失することはない。使用する周波数は、通信距離や用途によって様々であり、それに見合った周波数帯を使用すればよい。
【0063】
従来のTTIは視覚的な化学的インジケータであり、変色によるインジケータは精度が低かった。また、その代替は電子機器であり表示のための電子ディスプレイを必要とし、高価で、大きく、電源を必要とした。
【0064】
これに対し、本発明のインジケータは電子機器に比べ極めて低コストで作製可能である。さらに、熱時間積算型インジケータ10(あるいは、30、40又は50)をRFIDと組み合わせた実施例5の構成とすることにより、対象物に所定の温度で所定の時間加わったかを変色により直接目視にて確認できるだけでなく、その変色の情報がそのままRFIDの出力として取り出せるため、遠隔でも確認することができ、また、TTI10(あるいは、30、40又は50)の抵抗変化をメモリに記録すれば温度履歴を読み取ることが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
10、30、40、50 熱時間積算型インジケータ(TTI)
11 基材
21、23 電極
21’電極(導線グリッド)
13 透明フィルム
14、14’融解材料
15 台紙
16 孔
51 顕色剤(または発色剤)
52 発色剤(または顕色剤)
61 RFIDチップ
62 アンテナ
64 同調回路
65 整流回路
66 クロック生成回路
67 変復調回路
68 ロジック回路
69 FRAM
70 インターフェース回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の温度以下では固体的な性状を有し流動性がなく、前記特定の温度に到達すると融解し流動性が生じ時間の経過とともに体積が減少していく特性の融解材料と、
互いに対向配置され、かつ、前記融解材料を挟んでコンデンサを構成しており、前記融解材料の融解による体積の減少に応じて互いの距離が狭くなり、最終的に前記距離が無くなり接する第1及び第2の電極と、
前記第1の電極が上面の一部に形成されており、融解した前記融解材料が浸透する材料からなる基材と
を有することを特徴とするインジケータ。
【請求項2】
前記融解材料は顕色剤又は発色剤を含み、かつ、前記基材中又は前記基材上の一部に発色剤又は顕色剤を含み、前記融解材料が流動性を持つ条件で、前記融解材料の前記基材への浸透に伴って前記顕色剤が進行し、前記顕色剤と前記発色剤の両者が接した時点で発色することを特徴とする請求項1記載のインジケータ。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極間の距離を、電気的変量の変化として読み取る読み取り手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のインジケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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