説明

インストルメントパネルのメータユニット取り付け構造

【課題】メータ装着口の外部から視認できる位置でメータユニットの突起をガイド部に受入れて、最終の取り付け位置まで姿勢規制を含め案内し、容易かつ迅速に挿入し確実に取り付けられるようにする。
【解決手段】メータユニット1の両側壁の上下に側方に突出した突起2、3を、インストルメントパネル1のメータ装着口5の両側壁に受け入れたメータユニット1の対応する側の上下の突起2、3を、またメータ装着口5を通じ外部から視認できる位置で前方から受け入れ後方へ案内する上下2段のガイド部6、7をそれぞれ設け、上下2段のガイド部6、7は、互いの隣接距離X1と上下一対の突起間の距離X2とにより、メータユニット1の受入れ位置Aから取り付け位置Bまでの挿入径路Cと姿勢との規制を伴い案内する案内径路61、71を有することにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のインストルメントパネルのメータ装着口にメータユニットを取り付ける、インストルメントパネルのメータユニット取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルに配置されているメータは、直射日光が当たると見づらくなるので、それを防止するメータクラスタが広く採用されている。しかし、日光の照射を防止するためにパネルの周囲に配置されるメータクラスタは、メータユニットの設置作業には邪魔な存在となりえる。このような課題に対して、メータユニットの上辺前部に位置するメータクラスタが、メータユニットの取り付け作業の邪魔にならないようにする構造として、従来、図4に示す例、図5に示す例、下記の特許文献1に開示された例などがある。
【0003】
図4に示す例では、インストルメントパネルaはメータ装着口bの天井部から前部に張り出すメータクラスタcを有し、下方には開放状態に形成されている。これにより、メータユニットmはメータクラスタcからメータ装着口bに続く大きな空間を通じて、メータクラスタcの邪魔なくメータ装着口bの奥部へ挿入できる。この挿入の最終段階でメータユニットmは後面の係合爪jとメータ装着口b奥壁の係合窓eとが弾性係合して装着状態になる。
【0004】
この後、メータ装着口bまわりの段部fにメータフード部dを前部から当てがい、後面の係合爪kと段部fの係合窓gとの弾性係合を伴い装着する。これにより、メータユニットmの外まわりをメータフード部dにより前面から覆って内装する。
【0005】
また、この装着によって、前方に張り出させるように設けたメータフード部dの上縁部が、メータクラスタcの開放された下方を閉じ、メータクラスタ下面壁hとなる。このようにして、メータユニットmの取り付け作業が終了する。
【0006】
図5に示す例は、メータクラスタcをメータフード部dの外側まで設けて、インストルメントパネルaには設けていない。従って、インストルメントパネルaのメータ装着口bに、メータユニットmを奥部まで挿入する際に、メータクラスタcの邪魔なしに作業ができる。挿入後、メータ装着口bまわりの段部fにメータフード部dを前部から当てがい、後面の係合爪kと段部fの係合窓gとの弾性係合を伴い装着する。これにより、メータユニットmの外まわりをメータフード部dによって前面から覆って内装するのと同時に、メータクラスタcがメータフード部dの外側まで延びてメータユニットmの前部に位置させられる。
【0007】
特許文献1に開示の例は、メータユニットは、上面に上方に向く係合爪を突設し、下面に取り付け座を下方に向け延設したものとしている。これに対応して、インストルメントパネルには、上壁下面に下方に向く係合爪を突設し、下壁上面にメータユニットをその挿入に伴い上方に押し上げて前記爪同士を係合させるガイド部と、前記取り付け座のねじ止め部とを設けている。これらにより、メータユニットは、後傾姿勢でメータクラスタ内に干渉を避けながら挿入していくことで前記係合爪同士を対向させられる。
【0008】
この状態でメータユニットの下部側を装着位置に向け押し込むと、メータユニットは装着姿勢に向け起立しながら、前記ガイド部の案内による押し上げで、前記係合爪同士を係合させられる。この係合の終了と同時に、取り付け座がねじ止め部に当接する。そこで、ねじ止め部に取り付け座をねじ止めするとメータユニットの取り付けが終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−221928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図4に示す従来例では、組み付けたメータユニットmを覆うメータフードdにメータクラスタcの下面壁hを形成するので、メータクラスタcがメータユニットmよりも横に大きく、コストの高いものとなる。また、インストルメントパネルaに下面壁hを含むメータフードdに見合う大きな開口が必要になるので、インストルメントパネルaの剛性が低く、建付け、見栄えなどが悪くなる。
【0011】
図5に示す例では、メータクラスタcの全体をメータフードdに設けて、インストルメントパネルaから独立した別部品としているので、インストルメントパネルaと、メータクラスタcおよびメータフードd一体部品との剛性が高く、メータユニットmの組み付け性がよい。反面、メータクラスタcはメータフードdの外側まで延びて一体部品となしているので、図4に示す例よりも大型化、重量化し、コストも高い。
【0012】
また、メータクラスタcおよびメータフードd一体部品の大型化、重量化のため、インストルメントパネルaとの取り付け部の剛性が低い。また、インストルメントパネルaの上面に、メータクラスタcおよびメータフードd一体部品との間の割線が、インストルメントパネルaの上面と、この上面から外方に突出し露出するメータクラスタcおよびメータフードd一体部品との相関線位置に現れる。この割線は、いわゆる窓写りし、運転者の視野の妨げとなる。さらに、このようなインストルメントパネルa上面の割線は、インストルメントパネルaの耐熱性能上を低下させることにもなる。
【0013】
また、特許文献1が開示する例では、メータユニットをメータクラスタに後傾姿勢に挿入して、その上部の自由端部となっている同じく後傾姿勢の係合爪を、メータクラスタ上壁下面の下向きになっている係合爪に、やや下方から斜め向きで位置合わせして、係合させる初期作業が必須になる。しかし、このような位置合わせや係合させ始める初期作業は、簡単な組付け作業とはいえない。
【0014】
また、その係合位置はメータクラスタの上壁とメータユニットの上部との間で係合状態を外部から確認するのも容易でない。係合状態を外部から視認しにくいという点は、作業時間が長くなるとともに、品質低下にもつながる。例えば、初期係合以降、本係合までに必要なメータユニットの動きはガイド部の案内に委ねられるが、初期係合の段階での係合ミスは適正な本係合を阻みメータユニットの傷つきにつながる。特に、前記係合部がメータクラスタ内に入り込んで隠れている場合は、初期作業は完全なブラインド作業になるので上記のような問題が生じやすくなる。
【0015】
本発明は、上記のような点に鑑み、メータ装着口の外部から視認できる位置でメータユニットの突起をガイド部に受入れて、最終の取り付け位置まで姿勢規制を含め案内し、容易かつ迅速に挿入し確実に取り付けられるメータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のメータユニットの取り付け構造は、メータユニットの両側壁の上下位置に、側方に突出した突起を設け、インストルメントパネルのメータ装着口の両側壁に、受け入れたメータユニットの対応する側の上下一対の突起を、メータ装着口を通じ外部から視認できる位置で前方から受け入れ後方へ案内する上下2段のガイド部を設け、上下2段のガイド部は、これらの隣接距離と上下一対の突起間の距離とにより、メータユニットの受入れ位置から取り付け位置までの挿入径路と姿勢との規制を伴い案内する案内径路を有することを特徴とする。
【0017】
このような構成では、インストルメントパネルのメータ装着口にメータユニットを挿入する際、それらの両側壁間で、上下一対の突起と、これらに対応する上下2段のガイド部の少なくとも受け入れ部とは、外部に開放されたままで、作業者に視認させられる。この視認のもとに上下一対の突起を、対応する上下2段のガイド部に挿入させることができる。
【0018】
この挿入時、メータユニットは、上下2段のガイド部の、上下の突起に対する受入れ限界を満足する姿勢に規制される。この初期挿入後は、メータユニットを後方へさらに挿入していくだけで、上下2段のガイド部により、受け入れた上下の突起を介しメータユニット受入れ位置から取り付け位置への挿入径路と姿勢とを、ガイド部間の隣接距離と突起間の距離によって決まる一義的な案内条件にて案内できる。これによって、メータユニットを所定の取り付け位置に確実に位置させられる。
【0019】
また、本発明のメータユニットの取り付け構造は、さらに、上下2段のガイド部が、幅方向でオーバーラップしないものである。
【0020】
このような構成では、上記に加え、さらに、上下2段のガイド部の、幅方向で外側に位置するガイド部に受け入れられる突起は、幅方向内側に位置するガイド部に受け入れられる突起よりも、長くなる関係上、内側に位置するガイド部には干渉して入らない。また、内側のガイド部に受け入れられる短い突起は、外側のガイド部に届かない。従って、メータユニットの取付時の初期作業で、係合ミスが生じることなく、迅速な取り付け作業を可能にする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のメータユニット取り付け構造によれば、インストルメントパネルのメータ装着口とそれに挿入するメータユニットとの両側壁間を通じ、外部から視認しながら上下一対の突起を対応する上下2段のガイド部の少なくとも受け入れ部に、容易に位置合わせし、かつ、確実に挿入することができる。それ以降は、メータユニットを後方へさらに挿入するだけで、上下2段のガイド部による上下の突起を介した一義的な案内条件のもとに所定の取り付け位置まで確実に案内し、位置させられる。
【0022】
従って、メータユニットを手間なく確実に取り付けられ、挿入の失敗によるメータユニットの傷つきも回避できる。また、このような簡易な挿入、取り付け作業環境でありながら、上下2段のガイド部による一義的な案内条件により、受入れ位置から所定の取り付け位置までの、メータユニットの挿入径路と姿勢とを、メータ装着口の形状や構造、メータクラスタの存在など周辺環境に見合って理想的に規制できる。結果、上部がメータクラスタの背後に位置するような取り付け環境に対しても、作業者の熟練の有無や個人差の影響無しにメータクラスタとの干渉を避けた取り付けが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係るインストルメントパネルのメータ装着口へのメータユニット取り付け構造の1つの具体例を、メータユニットの挿入過程を段階的に重ねて示す断面図である。
【図2】同メータユニット取り付け構造の正面図である。
【図3】図1、図2のインストルメントパネルのメータ装着口およびそのまわりと、メータユニットと、メータフードと、を示す概略斜視図である。
【図4】従来のインストルメントパネルのメータ装着口およびそのまわりと、メータユニットと、メータフードと、の1つの組み合わせ例を示す概略斜視図である。
【図5】従来のインストルメントパネルのメータ装着口およびそのまわりと、メータユニットと、メータフードと、の別の組み合わせ例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る1つの具体例につき、図1〜3を参照して説明し、本発明の理解に供する。従って、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。また、左右に一対ある構成要素は1つの番号で呼び、左右の構成要素を区別する場合は、左側構成要素に小文字「a」を付し、右側構成要素に小文字「b」を付す。
【0025】
図1〜図3を参照して、本発明のメータユニット取り付け構造では、メータユニット1の両側壁1a、1bの上下位置に、図1、図3(b)に示すような側方に突出した突起2、3をそれぞれ設けている。突起2は突起3よりメータパネルユニット1の側面1a、1bから長く突出している。
【0026】
一方、図2、図3(a)に示すインストルメントパネル4のメータ装着口5の両側壁5a、5bには、挿入されるメータユニット1の上下一対の突起2、3を、メータ装着口内に受け入れるための受け入れ部60、70とそれに続くガイド部6、7が形成されている。メータ装着口5の幅は、メータユニット1の幅より広く形成されている。従って、受入れ部60、70は、メータ装着口5に対する正面視で、メータパネルユニット1の幅より外側に形成されている。すなわち、メータユニット1の装着時には突起2、3と受入れ部60、70を同時に視認することができる。
【0027】
受入れ部は、メータ装着口5の両側壁5a、5bから、メータ装着口5の内側に向けて所定厚みだけ膨出成形され、メータ装着口5の奥部から手前に設けられた傾斜面である。
【0028】
受入れ部60a、60bと、受入れ部70a、70bは、それぞれメータ装着口5の底部壁5cから同一高さに形成され、また、受入れ部60a、60bは、受入れ部70a、70bより高い位置に形成されている。さらに、受入れ部70a、70bは、受入れ部60a、60bよりメータ装着口内側に向かって膨出形成されている。言い換えると、メータ装着口5の両側壁5a、5bから受入れ部60a、60bがメータ装着口5の内側に向かって所定幅だけ膨出形成され、そのさらに内側で受入れ部60a、60bより下側に受入れ部70a、70bが形成されている。そして、ガイド部6a、6bおよび7a、7bが、この受入れ部60a、60b、70a、70bに続いて形成される。
【0029】
従って、受入れ部60aと60b間の間隔は、受入れ部70a、70b間の間隔より広い。またそれぞれに続く左右のガイド6a、6b間および左右のガイド7a、7b間も同様である。つまり、これら一対の受入れ部およびガイド部は、幅方向でお互いにオーバーラップしない関係にある。
【0030】
また、受入れ部60a、60bの傾斜面の所定幅は、メータユニット1の突起2、3の長さの差程度が好ましい。後述するように、受入れ部60a、60bと70a、70bの幅の違いで、メータユニット1のメータ装着口への挿入位置が一義的に決まる。従って、受入れ部60a、60bの傾斜面の幅が狭すぎると、誤って突起2a、2bが受入れ部70a、70bに挿入される場合が生じる。一方、幅が広すぎると、メータ装着口を必要以上に広げなければならず、強度や建付けの観点から好ましくない。
【0031】
図1を参照して、これら上下2段のガイド部6、7は、メータ装着口入口に形成された受入れ部60、70に続いて、メータ装着口奥に向かって形成されている。より具体的には、ガイド部6は、受入れ部60に続いて、メータ装着口5上方に向かう第1の傾斜面と、さらに上方に向かう第2の傾斜面を有する。
【0032】
ガイド部7は、受入れ部7に連続して、メータ装着口5奥に向かう案内経路71を有する。案内経路71は、メータ装着口5奥で突き当たり、階段状の段差が1段設けられている。そして、段差の上面は、少なくとも突起3の直径以上の奥行きを有する。
【0033】
また、少なくともメータ装着口5を正面視した際の左右のガイド部6a、6bの間隔は、受入れ部60a、60bからメータ装着口の奥へ向うに従い狭まる。挿入されたメータユニット1のセンターを確保するためである。
【0034】
次に、本発明のメータユニット取り付け構造に対して、メータユニットを取り付ける工程を説明する。まず、本発明のメータユニットの取り付け構造は上記の構造を有するので、インストルメントパネル4のメータ装着口5にメータユニット1を挿入する際、それらの両側壁1a、5a間、1b、5b間が隙間S分だけ開いている。従って、作業者は、上下一対の突起2、3と、これらに対応する上下2段のガイド部6、7の少なくとも受け入れ部60、70を、同時に視認することができる。
【0035】
この視認のもとに上下一対の突起2、3を、対応する上下2段のガイド部6、7に図1の一点鎖線で例示した初期位置に挿入させることができる。この挿入によって、メータユニット1は、上下の突起2、3が上下2段のガイド部6、7に沿う姿勢に規制される。
【0036】
この初期挿入後は、メータユニット1を後方へさらに挿入していくだけで、上下2段のガイド部6、7により、受け入れた上下の突起2、3を介しメータユニット受入れ位置Aから取り付け位置Bへの挿入径路にて案内できる。なお、受入れ位置Aは、ガイド部7の受入れ部70であり、取り付け位置Bは、ガイド部6の突き当たりである。また、経路Cは、メータユニット1の上部の軌跡を示す。メータユニット1は、距離Xはなれた上下一対の突起によって、隣接距離X1離れたガイド部6と7の経路61、71を通過してゆく。
【0037】
言い換えると、インストルメントパネル4のメータ装着口5とそれに挿入するメータユニット1との両側の隙間Sを通じ、外部から視認しながら上下一対の突起2、3を対応する上下2段の受入れ部60、70からそれに続くガイド部6、7に、容易に位置合わせし、かつ、確実に挿入することができる。
【0038】
つまり、メータユニット1を、メータパネルに、手間なく確実に取り付けられる。また、挿入の失敗によるメータユニット1の傷つきも回避できる。また、このような簡易な挿入、取り付け作業環境でありながら、受入れ位置Aから所定の取り付け位置Bまでの経路とメータユニット1の姿勢は、上下2段のガイド部6、7による一義的な案内条件により、メータ装着口5の形状や構造、メータクラスタ11の存在など周辺環境に応じて理想的に規制することができる。
【0039】
従って、図1に例示する実線の取り付け位置のように上部がメータクラスタ11の背後に位置するような取り付け環境に対しても、熟練の有無や個人差の影響無しにメータユニット1を傷付けることなく、しかも確実に取り付けることができる。
【0040】
上下2段のガイド部6,7は、図2に例示するように、幅方向でオーバーラップしないようにしている。これに対応して、幅方向の外側に位置するガイド部6に受け入れられる突起2は、幅方向内側に位置するガイド部7に受け入れられる突起3よりも長く設けられている。つまり、幅方向外側のガイド部6に受け入れられる突起2は、内側に位置するガイド部7には干渉して受け入れられない。また、内側のガイド部7に受け入れられる短い突起3は、外側のガイド部6に届かず受け入れられない。
【0041】
このことは、以下の3つの誤挿入を防止することができる。まず第1には、突起2、3が上下に反転する逆さ姿勢でメータユニット1が誤挿入されることである。また第2には、上側の突起2が下側のガイド部7に向かう位置にメータユニット1が誤挿入されることである。また第3には、下側の突起3が上側のガイド部6に向かう位置にメータユニット1が誤挿入されることである。従って、そのような誤挿入を招いてメータユニット1とメータ装着口5内部、開口周辺のインストルメントパネル4の外面、メータクラスタ11などと干渉し合い相互が傷つくようなことを回避できる。また、本発明のメータユニット取り付け構造では、上下の突起2、3と上下のガイド部6、7の位置関係を正面側から視認できるので、作業者は誤挿入状況を容易に認識できる。
【0042】
さらに詳述する。ガイド部6、7は突起2、3を受け入れる溝構造にすることもできる。しかし、ガイド部6,7は、突起2、3を介してメータユニット1の重力と、挿入作業力とを、下方側、後方側から受止める棚形状としてもよい。ガイド部6、7を棚形状とすることで、案内径路61、71は、メータユニット1の重力を受け止め、なおかつ反受止め側には、開放形状となるので、樹脂成形が容易になるという利点がある。
【0043】
また、上側の突起2は、メータユニット1が取り付け位置Bとなる時、図1、図2に示すようにメータユニット1の取り付け位置上端よりも低く、またメータ装着口5の上部開口縁、メータクラスタ11の下に位置するようにしている。これにより、作業者は、上下のガイド部6、7に沿って上下の突起2、3が、受入れ位置Aから取り付け位置Bまで案内されていく様子を、前記両側の隙間Sを通じ外部から容易に視認することができる。
【0044】
また、このような棚形状のガイド部6、7は、前記重力と挿入作業力の突起2、3を介した2点(左右のガイド部の合計で4点)での受止めによって、挿入されてくるメータユニット1に、その位置及び姿勢を規制する作用を安定して発揮する。従って、メータユニット1を押し込み続けるだけで所定の取り付け位置への理想的な挿入、取り付けが保証される。
【0045】
本実施の形態では、メータユニット1を取り付け位置に挿入したとき、図1、図2に示すように、メータユニット1の背部下の両側に形成した係合爪12がメータ装着口5の図3(a)に例示する後部壁5cの窓14の下部後端縁などで形成した係合部13に弾性係合して、メータユニット1をその下部で取り付け位置への取り付け状態になるようにしている。
【0046】
また、メータユニット1の上部は、図1、図2に示すように、取り付け位置Aにある上側の突起2を、ガイド部6の上端部と、ガイド部6の上端から前方へ延びたストッパ15とで作るコーナ面に受け入れることによって、前記係合爪12と係合部との係合位置を基点にしたメータユニット1の前傾を拘束して取り付け位置への取り付け状態としている。
【0047】
さらに、ガイド部6は、受入れ部から奥に向けて、左右ガイド部の幅が狭まるように形成されているので、突起2の挿入に従って、メータユニット1は、メータ装着口の中央に規制されるように拘束される。
【0048】
しかし、これに限られることはなく、ねじ止めすることもできるし、後付けする図3(c)に示すようなメータフード53によって押さえ付けて取り付け状態にすることもできる。
【0049】
図示例の上下2段のガイド部6、7は図1に示すように、メータ装着口5の底部壁5cに対して後方への上り勾配を有して案内径路61、71が形成され、上下の突起2、3との間の一義的な案内条件によって、上段のガイド部6は上側の突起2を、図1に示す挿入位置21から途中位置22を経て取り付け位置23へと案内する。一方、下段のガイド部7は下側の突起3を、図1に示す挿入位置31から途中位置32、33を経て取り付け位置34へと案内するようにしている。
【0050】
この案内による上下の突起2、3の挿入位置から途中位置22、32への持ち上げを伴う移動によって、メータユニット1を、一点鎖線で示す後傾した挿入姿勢から、上端がメータクラスタ11の背部に臨むまで起立させて挿入深さを増した二点鎖線で示す起き上がり姿勢に変化させる。
【0051】
これに続く上側の突起2の途中位置22から取り付け位置23への持ち上げ移動と、下側の突起3の途中位置32から次の途中位置33への持ち上げ移動とによって、メータユニット1を二点鎖線で示す起き上がり姿勢から、取り付け位置側へ若干起き上がって、上端がメータクラスタ11内に進入し、破線で示す取り付け直前姿勢に変化させる。この時、メータユニット1の上端は、メータクラスタ11の底部壁11aよりも上に突出して、挿入深さえを若干増した位置になる。
【0052】
取り付け位置でガイド部6とストッパ部15とで拘束されている突起2が不動な状態で突起3の途中位置32から取り付け位置34への移動により、メータユニット1を破線で示す取り付け直前姿勢から、突起2を中心にした取り付け位置に立ち上がった実線の姿勢とし、既述の取り付け状態とする。この時は、突起2を中心にした突起3の旋回移動が位置33から位置34へ生じる。つまり、ガイド部6、7は、メータユニット1にメータクラスタ11を避けて上部がメータクラスタによって覆い隠される取り付け位置に挿入するための理想的な挿入径路Cを与えている。
【0053】
なお、メータユニット1は、図3(b)に概略形状を示すように、メータ装着口5との間に両側に隙間Sを残す幅方向寸法を持ったほぼ矩形の基部51と、この基部51前面のほぼ中央部で突出したメータ部52とを有している。このメータユニット1は、図1に破線で示す取り付け直前姿勢から実線で示す取り付け姿勢への変化で、基部51の上端がメータクラスタ11内に進入することで、メータ部52の上端がメータ装着口5の上部開口縁5eに当接される。
【0054】
そこで、メータフード53はメータ部52とメータ装着口5との間にできる、正面視して図2に示す横長な馬蹄形の隙間Sを埋める図3(c)のような形状として隙間S部を埋めるように、図2、図3に示す段部54に当てがって取り付ける。この取り付けは、メータフード53の下部後端の両側から後方へ突出した係合爪55を段部54に形成した窓が形成する係合部56に弾性係合させて行う。
【0055】
なお、下側の突起3と、これを受け入れるガイド部7とは、メータユニット1の下端と、メータ装着口5の底部壁5cとで、代替することができる。これにより、突起3とガイド部7とを省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、インストルメントパネルのメータ装着口に、メータユニットを、まわりとの干渉を避けられる理想的な挿入径路で、簡単かつ確実に挿入し、取り付けるのに実用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 メータユニット
2、3 突起
4 インストルメントパネル
5 メータ装着口
6、7 ガイド部
60、70 受入れ部
11 メータクラスタ
12 係合爪
13 係合部
61、71 案内径路
A 挿入位置
B 取り付け位置
C 挿入径路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータユニットの両側壁の上下位置に、側方に突出した突起を設け、インストルメントパネルのメータ装着口の両側壁に、受け入れたメータユニットの対応する側の上下一対の突起を、メータ装着口を通じ外部から視認できる位置で前方から受け入れ後方へ案内する上下2段のガイド部を設け、上下2段のガイド部は、これらの隣接距離と上下一対の突起間の距離とで決まる受入れ限界によるメータユニットの受入れ位置から取り付け位置までの挿入径路と姿勢との規制を伴い案内する案内径路を有することを特徴とするメータユニット取り付け構造。
【請求項2】
上下2段のガイド部は、幅方向でオーバーラップしないものとした請求項1に記載のメータユニット取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−189893(P2011−189893A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59620(P2010−59620)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】