説明

インスリン様増殖因子I受容体に対する抗体およびその使用

本発明は、IGF-IRに結合し、そしてIGF-IRへのIFG-IおよびIFG-IIの結合を抑制する抗体であり、前記抗体が、
a) IgG1のアイソタイプであり、
b) IGF-IR対IGF-IIの結合の抑制対、IGF-IR対IGF-Iの結合の抑制のIC50値の比率が1:3から3:1を示し、
c) 前記抗体を用いることのないこうしたアッセイと比較する時、0.5%の熱不活性化胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを提供する3T3細胞を用い、細胞リン酸化アッセイにおいて5nMのIGF-IRリン酸化濃度で、少なくとも80%に対し抑制し、そして
d) 前記抗体を用いることなく、こうしたアッセイと比較する場合、0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを提供する3T3細胞を使用し、細胞リン酸化アッセイに10μMの濃度で、IGF-IRリン酸化として測定されたIGF-IRの刺激活性がなく、抗腫瘍治療に改良された特性を有することを示す、
ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン様増殖因子I受容体に対する抗体(IGF-IR)、これらの生成方法、前記抗体を含む医薬的組成物、およびその使用に関する。
インスリン様増殖因子I受容体(IGP-IR,EC2.7.12,CD 221 抗原)が、膜貫通タンパク質チロシンキナーゼのファミリーに属する(Leroith,D.,らによるEndocrin. Rev.16(1995)143-163、およびAdams,T.EらによるCell.Mol.Life Sci.57(2000) 1050-1063)。IGP-IRが高親和性にてIGF-Iと結合し、そしてin-vivo中でこのリガンドに対して生理的応答を開始する。しかしながら、さらにIGP-IRが、わずかに低い親和性にてIGF-IIにも結合する。IGP-IRが、過剰発現すると、細胞の悪性形質転換を促進し、IGP-IRが細胞の悪性形質転換に関与することが実証され、そしてそれによりガン治療用の治療剤の生成に有益な標的である(Adams,T.E.らにより、Cell.Mol.Life Sci.57(2000)1050-1063)。
【背景技術】
【0002】
IGF-IRに対する抗体が、技術的状態に対し良く知られ、in vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果が検査されている(Benini,S.,らによるClin.Cancer .7(2001)1790-1790-1797、Scotlandi,K.H.らによるCancer Gene Ther.9(2002)296-307; Scotlandi,K.H.らによるInt.J.Cancer101(2002)11−16、Brunetti,AらによるBiochem.Biophys.Res.Commun、165(165(1989)212-218、Prigent,S.A.らによるJ.Biol.Chem.265(1990)9970-9977、Li,S.L.らによるCancer Immunol.Immunother.49(2000)243-252、
【0003】
Pessino,A.らによるBiochem.Biophys.Res.Commun.162(1989)1236-1243、Surinya,K.H.らによる、J.Biol.Chem.277(2002)16718-16725、Soos,M.A.らによる、J.Biol.Chem.,267(1992)12955-12963、Soos,M.A.らによるProc.Natl.Acad.Sci.USA86(1989)5217-5221、O’Brien,R.M.による、EMBO J.6(1987)4003-4010、Taylor,R.,らによる、Biochem.J.242(1987)123-129、Soos,M.A.らによる、Biochem.J.235(1986)199-208、Li,S.L.,らによる、Biochem.Biophys.Res.Commum.196(1993)92-98、Delafontaine,P.,らによる、J.Mol.Cell.Cardiol.26(1994)1659-1673、Kull,F.C.Jrらによる、J.Biol.Chem.258(1983)6561-6566、Morgan,D.O.およびRoth,R.A.,Biochemistry25(1986)1364-1371、
【0004】
Forsayeth,J.R.,らによる、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84(1987)3448-3451、Schaefer,E.M.らによる、J.Biol.Chem.265(1990)13248-13253、Gustafson,T.A.およびRutter,W.J.,らによる、J.Biol.Chem.265(1990)18663-18667、Hoyne,P.A.,らによるFEBS Lett.469(2000)57-60、Tulloch,P.A.らによる、J.Struct,Biol.125(1999)、11-18、Rohlik,Q.T.らによるBiochem.Biochem.Biophys.Res.Comm.149(1987)276-281、およびKalebic,T.らによるCancer Res.54(1994)5531-5534、Adams,T.E.,らによる、Cell.Mol.Life ,Sci.57(2000)1050-1063、Dricu,Aらによる、Glycobiology9(1999)571-579、Kanter-Lewensohn,L.,らによるMelanoma Res.8(1998)389-397、Li,S.L.,らによる、Cancer Immunol. Immunother.49(2000)243-252)、にて研究されている。
さらにIGF-IRに対する抗体が、さらに多くの刊行物に、たとえばArteaga,C.L.らによるBreast Cancer Res.Treatment22(1992)101-106、およびHailey,J.らによるMol.Cancer Ther.1(2002)1349-1353に記載されている。
【0005】
特にαIR3と称するIGF-IRに対するモノクロナール抗体が、IGF-IRを介在する方法、およびIGF-Iを介在するガンなどの疾患の研究、および調査に広く使用される。α-IR-3が、Kull,F.C.,によるJ.Biol.Chem.258(1983)6561-6566に記載されている。一方では、約100件の刊行物が、α-IR-3ドキソルビシンおよびビンクリスチンなどの細胞抗増殖性剤単独、および共に、抗腫瘍効果に関する調査による処置、およびαIR3の治療的使用を公開している。αIR3が、IGF受容体に結合するIGF-Iを抑制し、IGF-IRに結合するIGF-IIを抑制しないとして周知のマウスのモノクロナール抗体である。αIR3が、腫瘍細胞の増殖およびIGF-IRのリン酸化を高濃度にて刺激する(Bergmann,U.,らによる、Cancer Res.55(1995)2007-2011、
【0006】
Kato,H.らによる、J.Biol.Chem.268(1993)2655-2661)。IGF-Iの結合よりIGF-IRに結合するIGF-IIをより強力に抑制するその他の抗体(例えば1H7,LiS.L.,による、Cancer Immunol.Immunother.49(2000)243-252)が存在する。
抗体および抗体の特性および特徴付けの技術的状態の概要が、Adams,T.E.,らによるCell.Mol.Life Sci.57(2000)1050-1063に記載されている。技術的状態が記載されているほとんどの抗体が、マウスを起源とするものである。こうした抗体が、技術的に良く知られているように、化学化又はヒト化のようなさらに変化されることなく、ヒトの患者の治療に有益でない。
【0007】
これらの欠点に基づいて、ヒトの抗体が、ヒトの患者の治療における治療剤として明らかに好ましい。ヒトの抗体は、技術的状況が十分知られている(van Dijk,M.A.,and van de Winkel,J.G.Opin.Pharmacol.5(2001)368-374)。こうした技術に基づいて、極めて多様な標的に対するヒトの抗体を生成することができる。IGF-IRに対するヒトの抗体の例が、WO 02/053596に記載されている。
しかしながら、抗腫瘍治療が必要な患者に確実な利点を伴うIGF-IRに対する抗体の必要性がさらにある。患者のために関係する利点は、簡単な言葉で抗腫瘍形成剤の治療により生ずる腫瘍増殖の減少、および時間的進行が有意に延長することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の要約
本発明は、IGF-IRに結合し、且つIGF-IRへのIFG-I及びIFG-IIの結合を抑制する抗体を含み、前記抗体が、
a) IgG1のアイソタイプであり、
b) IGF-IRに対するIGF-IIの結合抑制のIC50値に対する、IGF-IRに対するIGF-Iの結合抑制のIC50値における比率が1:3から3:1を示し、
c) 0.5%の熱不活性化胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、前記抗体を用いることなく、こうしたアッセイと比較する場合、HT29細胞を使用し細胞リン酸化アッセイにおいて、5nMのIGF-IRリン酸化濃度で、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を抑制し、そして
d) 0.5%の熱不活性化胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、前記抗体を用いることなく、こうしたアッセイと比較する場合、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを具備する3T3細胞を使用する細胞リン酸化アッセイにおいて10μMの濃度で、PKBリン酸化として測定されたIGF-IR刺激活性を全く示さない、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明による抗体が、抗腫瘍治療を必要とする患者に有益であり、そして腫瘍増殖の減少、および進行期間の有意な延長を提供する。本発明による抗体は、IGFの非調節に関連する疾患、特に腫瘍疾患に罹患した患者に対し利点となる新規な、そして進歩性のある特性を有する。本発明による抗体が、上記特性により特徴付けられる。そのためその特性は、特にIGF-IRに特異的に結合し、IGF-IRに対しIGF-IとIGF-IIの結合を上記比率にて抑制し、IgG1のアイソタイプであり、そしてIGF-IRの過剰発現の細胞のIC50値の200倍の濃度においてさえ、IGF-IRのシグナリングを活性化しない。
【0010】
「IGF-I相同性(mimetic)活性」を有しない抗体が、治療剤として使用される場合に大き利点を提供する。好ましくは、さらに本発明による抗体が、ADCCにより100nMの前記抗体の濃度で、24時間後の調製によるIGF-IR発現細胞のうち、20%以上の細胞の細胞死を誘発する。好ましくは、さらに本発明による抗体が、CDCにより100nMの抗体濃度で4時間後の調製によるIGF-IR発現細胞のうち、20%以上の細胞の細胞死を誘発する。好ましくは、本発明による抗体が、5nMの濃度で、腫瘍細胞中のIGF-IRのIGF-I 介在シグナル形質導入を完全に抑制する。
【0011】
さらに本発明は核酸を含む。コード化されたポリペプチドが、以下定義されたそれぞれ別の抗体の鎖と共に構築することができる、すなわち:
a) CDRsとして、配列番号:1または3のCDR1(aa31-35)、DR2(aa50-66)およびCD3(aa99-107)を含む抗体の重鎖、
b) CDRs群として、配列番号:2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む抗体の軽鎖、
である。
【0012】
抗体は、好ましくはモノクロナール抗体、さらにキメラ抗体(ヒトの定常域鎖)、ヒト様(humanized)抗体、そして特に好ましくはヒト抗体である。抗体が、抗体18へ競合してヒトのIGF-IR (EC 2.7.1.112,SwissProt P08069)に結合する。さらに抗体は、親和性が10-8M(KD)以下、好ましくは10-9から10-13Mであることを特徴とする。
好ましくは抗体が、インスリン受容体へインスリンの検知可能な濃度依存性結合に抑制を全く示さないことである。
【0013】
好ましくは、本発明は、
a) CDRs群として、抗体の重鎖が、配列番号1または3のCDR1(aa31-35)、DR2(aa50-66)、およびCD3(aa99-107)を含み、
b) CDRs群として、抗体の重鎖が、配列番号2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む、
配列を有する相補性決定領域(CDRs)が含まれる抗体を提供する。
【0014】
抗体は、IgG1の種(type)が好ましく、そのためC1q相補結合を提供し、そしてCDCを誘発する。さらに抗体が、IgGFc受容体に結合でき、そして抗体依存性細胞の細胞障害を誘発できることを特徴とする。本発明による抗体が、関連する異種移植腫瘍モデルにおいて治療動物の担体と比較して進行時間をかなり延長させ、そして腫瘍の増殖を減少させる。抗体が、in vitroよびin vivoにおけるIGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IRの結合を抑制し、好ましくはIGF-IおよびIGF-IRに対しほぼ同じ方法が好ましい。
【0015】
さらに本発明は、本発明によるアンタゴニス的なモノクロナール抗体を生成せるハイブリドーマ細胞株を提供する。本発明による好ましいハイブリドーマ細胞株、<IGF-IR>HUMAB Clone 18(抗体 18)、<IGF-IR>HUMAB Clone 22(抗体 22)が、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ),Germanyに寄託された。
【表1】

前記細胞株から得ることのできる抗体が、本発明の好ましい例である。
【0016】
さらに本発明は、こうした抗体をコードする核酸、前記核酸を含む核酸ベクター、およびこうした抗体の組み換え体産生のための宿主細胞を提供する。
さらに本発明は、本発明によるIGF-IRに対するアンタゴニスト的抗体の有効量を、ガン罹患と診断された患者に(そしてそのため抗腫瘍治療が必要である)投与することを含む、ガン治療のための方法を提供する。抗体が、医薬組成物において単独、又はそれ以外として放射線治療あるいは細胞傷害剤又はその先駆薬剤などを組み合わせて投与することができる。
【0017】
さらに本発明は、ガン治療のため、そして本発明による医薬組成物の製造のため、本発明による抗体の使用を含む。さらに本発明は、本発明による医薬組成物の製造のための方法を含む。さらに本発明は、本発明による抗体を含む医薬的組成物を医薬的に有効な量にて抗体を、所望により医薬目的として抗体の成形に有益な緩衝液、そして/又はアジュバントと共に含む。さらに本発明は、医薬的に受け入れ可能な担体にこうした抗体を含む医薬的組成物を提供する。1例において、医薬的組成物を、製造製品又はキットに含むことができる。
【0018】
さらに本発明は、原核又は真核宿主細胞内にて前記核酸を発現できる、本発明による核酸が含まれるベクターを含む。さらに本発明は、本発明によるベクターを含む。加えて本発明は、本発明による医薬組成物の製造方法を含む。さらに本発明は、本発明による組み換えヒト抗体の生成方法を含み、原核又は真核宿主細胞内に本発明による核酸を発現し、そして前記細胞から前記抗体を取り出すことを特徴とする。さらに本発明は、こうした組み換え方法により得ることのできる抗体を含む。
【0019】
さらに本発明は、0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを提供する3T3細胞を使用した細胞リン酸化アッセイが、前記抗体にて行われ、そして前記抗体が、前記抗体を用いることなくこうしたアッセイと比較した場合、10μMの濃度でPKBリン酸化として測定されたIGF-IRの刺激活性を示さない前記抗体が、選択されることを特徴とする、IGF-IRに対する複数の抗体からIGF-IRに対する1の抗体を選択する方法を含む。好ましくは抗体が、1又は複数の追加的特性を有することである。
【0020】
さらに本発明は、前記抗体と0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)とを含む培地中で、IGF-IRに対する複数の抗体からIGF-IRに対する1の抗体を選択し、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを提供する3T3細胞を使用した細胞リン酸化アッセイを行い、そして前記抗体を用いることなくこうしたアッセイと比較した場合、10μMの濃度でPKBリン酸化として測定されたIGF-IRの刺激活性を示さない前記抗体を選択し、組み換え発現の手段により前記抗体を生成し、前記抗体を取り出し、そして前記抗体を医薬的に受け入れ可能な緩衝液そして/又はアジュバントと組み合わせることを特徴とする。好ましくは抗体が、1又は複数の追加的特性を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の詳細な説明
用語「抗体」は、全抗体、抗体の断片、ヒトの抗体、ヒト様抗体、および本発明による特徴的特性が保持されているかぎり、一般的な遺伝子操作がされた抗体を含むがそれに限定されない種々の形状の抗体を包含する。
「抗体断片」は、全長の抗体、通常少なくとも抗原結合部分、又はその種々の領域を含む。抗体断片の例としては、ダイヤボデイ(diabodies),一本鎖抗体分子、免疫障害性物質、および抗体断片から形成される複数の特異的抗体が含まれる。加えて抗体断片が、つまり機能的抗原結合ポケットにVH鎖と共に構成でき、これによりIGF-IRに対しIGF-IおよびIGF-IIの結合を抑制する特性を提供する一本鎖ポリペプチドを含む。
【0022】
さらに「抗体断片」は、適切な抗体定常ドメインと結合した後、それ自体イフェクター機能(ADCC/CDC)を提供できないが、本発明による方法で本機能を提供できる、断片を含む。
本明細書に使用される、「モノクロナール抗体」又は「モノクロナール抗体組成物」は、単一のアミノ酸組成物の抗体分子の調製を指している。従って、用語「ヒトモノクロナール抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導される可変および定常領域を有する単一の特異的結合を示す抗体を言及している。1例において、ヒトモノクロナール抗体が、形質転換した非ヒトである動物、たとえば正常な細胞へ融合したヒト重鎖形質転換、およびヒト軽鎖形質転換を含むゲノムを有する形質転換マウスから得られたB細胞を含む。
【0023】
用語「キメラ抗体は、1の資源又は種の可変領域、すなわち結合領域、および異なる領域から誘導された、通常組み換えDNA技術により調製された少なくとも1部の定常領域を含むモノクロナール抗体を指している。マウスの可変領域およびヒトの定常領域を含むキメラ抗体が特に好ましい。こうしたマウス/ヒトのキメラ抗体が、マウスの免疫ブロブリン可変領域をコード化するDNA断片、およびヒトの免疫ブロブリン定常領域をコード化するDNA断片を含む、発現する免疫ブロブリン遺伝子の産生物である。
【0024】
本発明により包含される「キメラ抗体」の他の形状は、クラス又はサブクラスが、原抗体のものから修飾又は変更したものである。さらにこうした「キメラ」抗体が、「クラス・切り換え(switched)抗体」を指し手いる。キメラ抗体の生成方法は、現段階で技術的に周知な従来の組み換えDNA,および遺伝子トランスフェクト技術を包含する。たとえば、Morrison,S.L.,らによる、Proc.Natl.Acad Sci.USA 81(1984)6851-6855;米国特許番号5,202,238および5,204,244を参照。
【0025】
用語「ヒト様抗体」は、フレームワーク又は「相補決定領域」(CDR)が、親免疫ブロブリンCDRと比較し異なる特異性の免疫ブロブリンCDRを含むように、修飾された抗体を指している。好ましい例においてマウスのCDRが、「ヒト様抗体」を調製するためにヒト抗体のフレームワーク領域へ移植される。たとえば、Riechmann,L.,らによる、Nature 332(1988)323-327;およびMeuberger,M.S.,らによる、Nature 314(1985)268-270を参照。特にキメラおよび2機能抗体として上記抗原を認識する配列を表すCDRに相当するCDRが好ましい。
【0026】
本明細書に使用される用語「ヒト抗体」が、ヒト生殖系免疫グロブリン配列から誘導される可変領域および定常領域を有する抗体を含む意味である。可変重鎖が、生殖系配列 DP-50(GenBank LO6618)から誘導されることが好ましく、そして可変軽が、生殖系配列 L6(GenBank X01668)から誘導されることが好ましい。抗体の定常領域が、ヒトIgG1型の定常領域である。そうした領域がアロタイプにて可能であり、そしてたとえばJohnson,G.,and Wu,T.T.,Nucleic acids Res.28(2000)214-218に記載され、そして本明細書に引用されたデータベースで、そして本発明によるADCCおよび好ましくはCDCの誘導特性が保持されるかぎり、有効である。
【0027】
本明細書に使用される用語「組み換えヒト抗体」は、SP2-0,NS0又はCHO細胞などの宿主細胞から、又は宿主細胞にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用し、発現されたヒト免疫グロブリン遺伝子又は抗体に対し形質転換した動物(たとえばマウス)から、単離された抗体など、組み換え手段により調製され、発現され、作り出され、又は単離された全てのヒト抗体を含む意味である。こうした組み換えヒト抗体が、ヒト生殖性免疫グロブリン配列から誘導される可変領域および定常領域を再構成の形状にて有する。本発明による組み換えヒト抗体が、in vivoにおける体細胞超突然変異に曝されやすい。従って、組み換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖系細胞のVHおよびVL配列から誘導され、そしてそれに関係するが、in vivoにおけるヒト抗体生殖系細胞のレパートリに、天然に存在しない配列である。
【0028】
本明細書に使用されるように、「結合」は、約10-13から10-8M(KD)、好ましくは10-13から10-9Mの親和性にて、IGF-IRに結合する抗体を指している。本明細書に使用される用語「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含む意味である。核酸分子が、1本鎖又は2本鎖で良いが、好ましくは2本鎖DNAである。
【0029】
「定常領域」は、抗原へ抗体の結合に直接関与していないが、イフェクター機能(ADCC,
相補性結合、およびCDC)に関与している。本発明による抗体の定常領域が、IgG1型である。これらの特徴を有するヒト定常領域が、Kabatらによる、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health, Bethesda,MD.(1991)、and Bruggemann.M.らによる、J. Exp.Med.166(1987)1351-1361、Love,T.W.,らによるMethods Enzymol.178(1989)515-527に詳細に記載されている。
【0030】
実施例では、配列番号5乃至8に示される。その他の有益な、そして好ましい定常領域は、本発明のためDSMZに寄託されたハイブリドーマ細胞株から得ることができる抗体の定常領域である。本発明に有効な定常領域が、補体結合を提供する。ADCCおよび所望によるCDCが、可変領域と定常領域を組み合わせることにより提供される。
本明細書に使用されるように「可変領域」(軽鎖(LH)の可変領域、重鎖(VH) の可変領域)は、抗原に対し抗体の結合に直接関与する軽鎖と重鎖のそれぞれの対を示している。ヒトの軽鎖および重鎖の可変領域が、同じ一般構造を有し、そして各領域が4のフレームワーク(FR)領域を含み、その配列が広く保守され、3の「超可変部」(又は相補性決定領域、CDRs)により接合されている。フレームワーク領域が、βシート立体配座を適用し、そしてCDRsがβシート構造に接続するループ構造を形成することができる。各鎖におけるCDRsが、フレームワーク領域によりこれらの3次元構造に保持され、そして抗原結合部位をその他の鎖からのCDRsと共に形成する。抗体の重鎖と軽鎖のCDR3領域が、本発明による結合特異性/親和性において特に重要な役割をはたし、従って本発明のさらなる目的を提供する。
【0031】
本明細書に使用される場合、用語「超可変領域」又は「抗体の抗原結合部分」は、抗原結合に応答可能な抗体のアミノ酸残基を指している。超可変領域が、「相補性決定領域」又は「CDRs」からのアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書に示される超可変領域残基以外のこれらの可変ドメイン領域である。そのため、抗体の軽鎖および重鎖が、N-からC-末端までの領域FR1,CDR1, FR2,CDR2 FR3,CDR3,およびFR4を含む。特に重鎖にCDR3は、抗原結合に最も関与する領域である。CDRおよびFR領域が、Kabatらによる、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)) による標準的定義り決定され、そして/又は「超可変ループ」からのこれらの残基が決定される。
【0032】
本明細書に使用される用語「IGF-IRへ結合」は、in vitroアッセイにおいて、好ましくは抗体が表面に結合され、そしてIGF-IRの結合が、Surface Plasmon Resonance(SPR)により測定される結合アッセイにおいて、IGF-IRへの抗体の結合を意味する。結合することでは、結合親和性(KD)が10-8M以下か、好ましくは10-13乃至10-9Mであることの意味である。
IGF-IRへの結合は、BIAcore assay(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden)により研究可能である。結合の親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体から抗体の会合するための速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)により定義される。本発明による抗体は、KDが10-10M以下であることを示す。
【0033】
さらにIGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IIの結合は、本発明による抗体により抑制される。その抑制化を、腫瘍細胞上のIGF-IRに対するIGF-I及びIGF-IIの結合のアッセイにおけるIC50として測定した。こうしたアッセイが、実施例7に記載されておいる。こうしたアッセイにおいて、前記腫瘍細胞(たとえばHT29)の表面で提供されるIGF-IRに結合された放射性同位元素により標識化したIGF-I又はIGF-IIの量、あるいはそのIGF-IR結合断片は、抗体の濃度が増大しない場合と増大する場合にて測定される。IGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IIの結合のための本発明による抗体のIC50値は、わずか2nMであり、そしてIGF-IRに対するIGF-I/IGF-IIの結合に対するIC50値の比率は、約1:3乃至3:1である。
【0034】
IC50値が、少なくとも3の独立した測定の平均値又は中央値として測定される。1のIC50値が範囲の外でも良い。
本明細書に使用される用語「IGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IIの結合を抑制すること」は、in vitroアッセイにおけるHT29(ATCC HTB-38)腫瘍細胞の表面上に提示されるIGF-IRに対するI125-標識化IGF-I又はIGF-IIの結合を抑制することを指している。抑制することは、IC50値が2nM以下であることを意味している。
【0035】
用語「IGF-IR発現細胞」は、少なくとも約20,000受容体/細胞に過剰発現するIGF-I受容体であるこうした細胞を指している。こうした細胞は、たとえば、NCL H322M又はHT29などの腫瘍細胞株、又はIGF-IRに対する発現ベクターにてトランスフェクトした後、IGF-IRを過剰発現する細胞株(たとえば3T3 ATCC CRL1658)である。細胞当りの受容体の量は、Lammers,R.,らによる、EMBO J.8(1989)1369-1375により測定される。
【0036】
用語「IGF-IRのリン酸化の抑制」は、前記抗体のないこうしたアッセイと比較した時、0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを提供する3T3細胞を使用する、細胞リン酸化アッセイを指している。リン酸化が、チロシンリン酸化タンパク質に対する抗体特異性を用いたウエスターン・ブロッテングにより検出された。こうしたアッセイが、実施例11に記載されている。FCSの不活性が、相補系の不活性のため56℃まで短時間で加熱することにより行う。
【0037】
用語「PKBリン酸化の抑制」は、前記抗体のないこうしたアッセイと比較した時、0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当りIGF-IRの400,000乃至600,000分子を提供する3T3細胞を使用する、細胞リン酸化アッセイを指している。リン酸化が、PKBのセリン473でリン酸化されたPKBに対して抗体特異性を用いたウエスターン・ブロッテング(Akt 1,Swiss Prot Acc.NO.P31749)により検出された。こうしたアッセイが、実施例11に記載されている。
【0038】
用語「抗体依存性細胞の細胞障害(ADCC)」は、エフェクター細胞の存在下、本発明による抗体によりヒト腫瘍標的細胞の溶離を指している。好ましくはADCCが、単球又はNK細胞のようなバフィーコート(buffy coats)から新たに単離されたPBMCなどイフェクター細胞、又は精製されたイフェクター細胞の存在下、本発明による抗体を伴うIGF-IR発現細胞調製処理により測定される。抗体が、24時間後、20%以上の腫瘍細胞の溶離物を100nMの濃度にて生じさせる場合、ADCCが見出された。ADCCが24時間より4時間にてより顕著であると見出された場合、測定が4時間にて行われた。このアッセイが、好ましくは51Cr又はEuにて標識化された腫瘍細胞にて行われ、そして特に放出された51Cr又はEuの測定が行われた。コントロールは、抗体を用いることなくイフェクター細胞を伴い腫瘍細胞のインキュベートを含む。
【0039】
用語「補体依存性細胞傷害(CDC)」は、補体の存在下本発明による抗体によって、ヒト腫瘍標的細胞の溶解を指している。CDCが、好ましくは、補体の存在下本発明による抗体にて、IGF-IR発現細胞の調製物の処理により測定される。抗体により、4時間後に、20%以上の腫瘍細胞の溶離物(細胞死)が100nMの濃度で生ずる場合、CDCが見出される。このアッセイが、好ましくは51Cr又はEuにて標識化された腫瘍細胞にて行われ、そして特に放出された51Cr又はEuの測定が行われた。コントロールは、抗体を用いることなくイフェクター細胞を伴い腫瘍細胞のインキュベートを含む。
【0040】
用語「IGF-I に媒介されたシグナル形質導入の完全な抑制」は、IGF-IRのIGF-I に媒介されたリン酸化の抑制を指している。こうしたアッセイに対し、IGF-IR発現細胞、好ましくはH322M細胞がIGF-Iにて刺激され、そして本発明による抗体にて処置(5nM又はそれより高い抗体濃度が有効である)される。従ってSDS PAGEが実施され、そしてIGF-IRのリン酸化を、リン酸化されたチロシンに対し特異的な抗体にて、ウエスターン・ブロッテング分析によって測定した。可視性のウエスターンブロット上で、バンドが検出できない場合にシグナル形質導入の完全な抑制が見出され、それがリン酸化されたIGF-IRを指している。
【0041】
本発明による抗体が、抗体18と同じIGF-IRのエピトープへの結合を示し、又は抗体18よる結合の立体障害によるIGF-IRへの結合に抑制される。結合抑制が、固定された抗体18、そして20-50nMの濃度でのIGF-IR、および100nMの濃度にて検出される抗体を用いて、SPRアッセイにより検出することができる。50%以上のシグナル減数は、抗体が抗体18と競合していることを示している。こうしたアッセイが、固定化された抗体として抗体22を使用することにより同じ方法で行うことができる。
【0042】
用語「エピトープ」は、抗体に特異的に結合できるタンパク質決定因子を意味する。通常エピトープが、アミノ酸又は糖側鎖などの化学的に活性な表面分子群から成り、そして通常特異的3次元構造の特徴、および特定電荷特徴を有する。立体配置と非立体配置のエピトープは、前者に結合するが後者に結合しないことが、変性溶媒の存在下において失われることにおいて、区別される。
【0043】
本発明による抗体は、さらに本発明による抗体は、本発明による抗体の上記特徴の影響又は変更を与えない「保守性配列の修飾」、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の修飾を有するこうした抗体を含む。修飾化を、部位指向突然変異生成およびPCR媒介突然変異生成など、技術的に周知な標準的な技術により導入することができる。保守的なアミノ酸置換基は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基にて置き換えられる置換基を含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、技術的に定義されてきた。
【0044】
これらのファミリーが、塩基性側鎖(たとえば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(たとえば、トレオノン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(たとえば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸を含む。従って予測されるヒトの抗IGF-IR抗体における非必須アミノ酸残基が、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基と置き換えできることが好ましい。
アミノ酸置換基が、Riechmann,L.,らによる、Nature 332(1988)323-327およびQueen,C.,らによる、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86(1989)10029-10033により記載の分子モデルに基づく突然変異生成により行うことができる。
【0045】
本発明の好ましい例において、本発明による抗体が、抗体18および22が結合する同じエピトープに結合する、結合パラメータKa、KdおよびKDから選択される群から選択される1又は複数の特徴付け、細胞上のIGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IIの結合を抑制するためのIC50値、および腫瘍細胞におけるIGF-Iの刺激によりIGF-IRのリン酸化を抑制するためのIC50値、によりさらに特徴付けられる。
【0046】
IGF-IRのリン酸化の抑制により、PKBなど下流の要素におけるリン酸化の抑制、腫瘍細胞におけるIGF-IRの下限調節、およびin vitroにおける腫瘍細胞の3次元増殖に及ぼす影響を引き起こす。さらに抗体が、これらの薬物動態的値および薬効的値、および他の種との交差反応により特徴付けられることが好ましい。本発明による抗体が、IGF-IRによるチロシンリン酸化を抑制し、そしてさらにPKBによるチロシンのリン酸化を同程度の抑制することが好ましい。
【0047】
本発明による抗体が、好ましくは腫瘍細胞および腫瘍群(たとえば異種移植腫瘍)におけるIGF-IRタンパク質レベルの下限調節することである。本発明による抗体は、好ましくはコロニー形成アッセイにおいて、腫瘍細胞の3次元増殖、およびIGF-IR発現細胞の増殖(たとえばNIH3T3細胞)を抑制することである。本発明による抗体が、200nmol/lの濃度にてその抗体を用い、結合競合アッセイにおいて、インスリン受容体を過剰発現する3T3細胞上でインスリン受容体へインスリンの結合を抑制しないことである。
【0048】
本発明による抗体が、組み換え手段により生成されることが好ましい。こうした方法は、技術的状態で広く知られており、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質の発現、そして次に抗体ポリペプチドの単離、そして通常は医薬的に受け入れ可能な純度に精製することがあげられる。タンパク質の発現のため、軽鎖および重鎖をコード化する核酸又はその断片を、標準的な方法により発現ベクター内に挿入する。発現が、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母又はE.coli細胞のような適切な原核細胞又は真核細胞において行われ、そして抗体がその細胞から取り出される(溶離後の上澄み液又は細胞)。
抗体の組み換え体の生成は、技術的状態で周知であり、そしてたとえばthe revirw article of Makrides,S.C.,Protein Expr.Purif.17(1999);Geisse,S.らによる、Protein Expr.Purif.8 (1996)271-282; Kaufman,R.J,Mol.Biotechnol.16(2000)151-161;Werner,R.G.,Drug Res.48(1998)870-880に記載されている。
【0049】
抗体が、細胞全体、細胞の溶離体、又は1部精製された形状、または以後に精製の形状で提示することができる。精製は、アルカリ/SDS処理、CsClバンデング、カラムクロマトグラフィ、アガロースゲル電気泳動、および他の十分周知の技術を含む標準技術により、他の細胞成分、又は他の感染体たとえば核酸又はタンパク質を除去するために行われる。Ausubel,F.,らによる、ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)を参照。NS0細胞における発現については、たとえばBarnes,L.M.らによる、Cytotechnology 32 (2000)109-123、and Barnes,L.M.らによる、Biotech.Bioeng.73(2001)261-270にて記載されている。一過性発現では、たとえば、Durocher,Y.,らにより、Nucl.Acad.Sci.30 (2002)E9により記載されている。
【0050】
種々の領域のクローニングは、Orlandi,R.,らによる、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86(1989)3833-3837; Carter,P.,らによる、USA 89(1992)4285-4289; and、 Norderhaug,L.,らによる、J.Immunol.Methods 204(1997)77-87により記載されている。好ましい一過性発現系(HEK293)が、Schlaeger,E.-J.,and Christensem,K.,in Cytotechnology 30 (1999)71-83 and by Schlaeger,E.-J.,in J.Immunol.Methods 194(1996) 191-199により記載されている。
【0051】
たとえば、原核生物として適切なコントロール配列が、プロモータ配列、所望によるオペレータ配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞が、プロモウター、エンハンサー、およびポリアデニール化シグナルを利用するものとして知られている。
核酸が、別の核酸配列と機能的に相互作用する適切な位置に配置された時、核酸が「遺伝子操作的に結合した」ことである。たとえば、前駆配列(presequence)又は分泌リーダ(secretory leader)としてのDNAが、それがポリペプチドの分泌に関与する先駆タンパク質として発現される場合、ポリペプチドとしてのDNAに遺伝子操作的に結合される、プロモータ又はエンハンサーが、それが配列の転写に影響を与える場合、コードする配列に遺伝子操作可能に結合される、又はリボソーム結合部位が、それが翻訳を容易にするよう位置付けられた場合、コードする配列へ遺伝子操作可能に結合される。
【0052】
一般的に、「遺伝子操作による結合」は、結合されるDNA配列が隣接し、そして分泌リーダ(secretory leader)の場合に、隣接し、そしてリーデングフレームにおいて隣接する意味である。しかしながら、エンハンサーは隣接する必要がない。結合(linking)は、従来の制限部位(restriction)に接合することにより行われる。こうした部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチド・アダプター又はリンカーが、従来の実施法に従って行われる。
【0053】
モノクロナール抗体が、たとえば、タンパク質A-セファローズ、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィなどの従来の免疫グロブリン精製方法により、培養培地から適切に分離される。ハイブリドーマ細胞が、こうしたDNAおよびRNAに資源として用いることができる。いったん単離されると、DNAを発現ベクターに挿入可能であり、次いでそれ以外のたんぱく質を生成しないHEK 293細胞、CHO細胞、又はミエローマ細胞などの宿主細胞へトランスフェクトされ、宿主細胞中で組み換えモノクロナール抗体の合成物を得ることができる。
【0054】
ヒトIGF-IR抗体のアミノ酸配列の変異型が、抗体のDNA内に適切なヌクレオチドの変異型を導入することにより、又はペプチドの合成により調製される。しかしながら、こうした修飾を、上記のように極めて限定された範囲でのみ、行うことができる。たとえば、その修飾体は、IgGアイソタイプおよびエピトープの結合などの上記抗体の特徴を変更することなく、しかし組み換え体の生成の改良、タンパク質の安定性、又は精製の容易性の改良可能である。
【0055】
さらに抗-IGF-IR抗体の適切な立体構造の維持に、関与されないいずれかのシステイン残基が、主にセリンと置換可能であり、分子の酸化の安定化を改良し、異常な交差結合防止する。逆にいえば、セステイン結合体が、抗体に加えられ、その安定性を改良可能である。(特にこの場合、抗体がTv断片などの抗体断片である)。抗体の別型のアミノ酸変異体は、抗体の元の糖鎖形状が変化する。変更とは、抗体に見出される1又は複数の炭水化物成分を欠失すること、そして/又は抗体において提示されない1又は複数の糖鎖形成部位を付加することの、意味である。抗体の糖鎖形成部を、典型的にN部位に結合する。
【0056】
N 部位の結合が、アスバラギン残基の側鎖の炭水化物成分の付着を指している。トリペプチド配列、アスパラギン-X-セリン、およびアスパラギン-X-トレオニンで、ここでXがプロリン以外のいずれかのアミノ酸であり、アスパラギン残基の側鎖に炭水化物成分の酵素的な付着に対する認識配列でる。従ってポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的な糖鎖形成部位を創り出す。抗体への糖鎖部位の付加することにより、上記1又は複数のトリペプチド配列(N-結合糖鎖結合部位に対し)を含むように、アミノ酸配列を変更することにより都合よく達成される。
【0057】
抗-IGF-IR抗体のアミノ酸配列の変異型をコード化する核酸分子が、技術的に周知な多様な方法により調製される。これらの方法は、天然の資源からの単離(天然に産生するアミノ酸配列の可変部の場合において)、またはヒト様抗-IGF-IR抗体の初期に調製された可変部又は非可変部バージョンとしてのオリゴヌクレオチド媒介による(又は部位に指向された)変異形成、PCRによる変異形成、およびカセット変異形成による調製を含むがそれに限定されない。
【0058】
さらに本発明が、化学治療剤、毒性物(たとえば、細菌、カビ類、植物又は動物資源、又はその断片)、放射性活性同位元素(すなわち、放射性の結合)又は細胞傷害剤のプロドラックにおける酵素活性毒性物など細胞傷害剤結合の本発明による抗体を含む、免疫結合に関係するこうした免疫結合の生成に有効な薬剤は、上に記載されている。使用可能な酵素的に活性な毒素、およびその断片とては、ジフテリア A鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エクソトシン A鎖(緑膿菌から)、リシンA鎖、アブリン A鎖、モデシンA鎖、α-サリシン、シナアブラギリ(Aleuritesfordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、コウシュ・ヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、モモルデカ・カランチア(momordica charantia)抑制剤、クリシン、クロチン、サパロナリア・オフィシナリス抑制剤、ゲロニン、ミトオゲリン、レストリクトシン、ファノマイシン、エノマイシン、およびトリコセチンがあげられる。
【0059】
抗体及び細胞傷害剤の結合は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオル)プロピオネイト(SPDP)、免疫チオラン(IT)、エミドエステルの二機能誘導体(たとえば、ジメチルアジポイミデイトHCl)、活性化エステル(ジスクシンイミジル基質など)、アルデヒド(グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)、ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアチニンなど)、ジイソシアネイト(トルエン2,6-ジイソシアナイトなど)、およびビス活性フルオリン化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)など種々の二機能タンパク質の結合剤を使用して行われた。たとえば、リシン免疫毒性は、(Viitetta,E.S.,らによる、Science 238 (1987)1098-1104)における記載のように調製することができる。カーボン-14-標識化-1-イソチオシアネイトベンジル-3-メチルジエチレン トリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)が、抗体に対し放射性ヌクレオチドの結合のための例示的なキレート剤である。WO 94/11026を参照。
【0060】
共有結合による修飾の別型としては、抗体に対し化学的に又は酵素的結合グリコシドが関与している。これらの方法は、これらがN部位-又はO部位に-結合した糖鎖形成するための糖鎖形成能力を有する宿主細胞において、抗体を産生する必要がないという利点がある。使用される結合モードによれば、糖鎖が、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインなどの遊離スルフヒドリル、(d)セリン、トレオニン、又はトリプトファンなどの遊離ヒドロキシ基、(e)フェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンなどの芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に付着することができる。これらの方法は、WO 87/05330、and in Aplin,J.D. and Wriston,J.C.CRC Crit,Rev.Biochem.(1981)259-306に記載されている。
【0061】
抗体上に存在するいずれかの炭水化物成分を除去することが、化学的又は酵素的に行うことができる。化学的に脱糖鎖するには、化合物としてトリフルオロメタンスルホン酸、又は同等の化合物へ抗体を暴露する必要がある。この処理により、抗体が無傷な状態であるが、結合糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除いた大部分又は全ての糖に分解が起こる。化学的に脱糖鎖が、Sojahr,H.T.,and Bahl,O.P.,Arch.Biochem.Biophys.259 (1987)52-57 により、そして Edge,A.S.,らによる、Anal.Biochem.118(1981)131-137にて記載される。酵素による抗体上の炭水化物の分解が、Thotakura,N.R.,and Bahl,O.P.,Meth.Enzymol.138 (1987)350-359記載による多様なエンドグリコシターゼ、およびエクソグリコシターゼの使用により、行われる。
【0062】
抗体の別な型の共有結合による修飾は、種々の非タンパク質様ポリマーの一つ、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルカレンに、米国特許番号4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192又は4,179,337における記載の方法で、抗体の結合を含む。さらに別の観点において、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物、たとえば本発明によるヒト抗IGF-IR抗体を発現するトランスジェニック・マウスから単離されたB細胞を提供する。好ましくは単離されたB細胞が、トランスジェニック・非ヒト動物、たとえばIGF-IR抗原を、そして/又はIGF-IRを発現する細胞を精製し又は豊富に調製して、免疫化したトランスジェニック・マウスから得られる。
【0063】
好ましくは、トランスジェニック非ヒト動物、たとえばトランスジェニック・マウスは、本発明の全て又は1部の抗体をコード化するヒト重鎖トランスジーン、およびヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する。次に単離されたB-細胞を固定化し、ヒト抗IGF-IR抗体の資源(ハイブリドーマ)を提供する。従って、さらに本発明は、本発明によるヒトモノクロナール抗体を産生できるハイブリドーマを提供する。
【0064】
1例において、ハイブリドーマは、トランスジェニック非ヒト動物、たとえばトランスジェニック・マウスから得られるB細胞を含み、そのトランスジェニック・マウスが、固定化された細胞に融合した、本発明による抗体の全て又は1部をコード化するヒト重鎖トランスジーン、およびヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する。具体的例において、トランスジェニック非ヒト動物、本発明の全て又は1部の抗体をコード化するヒト重鎖トランスジーン、およびヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック・マウスである。
【0065】
トランスジェニック非ヒト動物、IGF-IR抗原そして/又はIGF-IRを発現する細胞を精製し又は豊富に調製して、免疫化することができる。好ましくは、トランスジェニック非ヒト動物、たとえばトランスジェニック・マウスは、IGF-IRに対するヒト・モノクロナール抗体のIgG1のアイソタイプを産生することができる。本発明によるヒトモノクロナール抗体が、IGF-IR抗原そして/又はIGF-IRを発現する細胞を精製し又は豊富に調製し、本発明の全て又は1部の抗体をコード化するヒト重鎖トランスジーン、およびヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する、トランスジェニック非ヒト動物、たとえばトランスジェニック・マウスを免疫化することにより、産生することができる。次に動物のB細胞(たとえば脾臓のB細胞)が、ミエローマ細胞から得られ、そしてそれと融合し、IGF-IRに向けたヒトモノクロナールを分泌する不死のハイブリドーマ細胞を生成する。
【0066】
好ましい例において、IGF-IRに向けて指向されるヒトモノクロナール抗体を、マウス系よりもヒト免疫系部分を移送するトランスジェニック・マウスを用いて、生成することができる。「HuMAb」マウスとして本明細書に言及されるこれらのトランスジェニック・マウスが、内在性μおよびκ鎖遺伝子座(Lonberg,N.,らによる、Nature 368 (1994) 856-859)を不活性にする標的突然変異体と共に、重鎖(μおよびγ)、およびκ軽鎖(定常領域の遺伝子)を含む非再配置されたヒト免疫グロブリン遺伝子をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子相同性位置を含む。
【0067】
従ってマウスは、マウスのIgM又はKの発現の減少を呈し、免疫感作に応答し、導入されたヒト重鎖および軽鎖の遺伝子導入は、クラススイッチそして体細胞変異を受け、高親和性ヒトIgGモノクロナール抗体を生成する(Lonberg,N.,らによる、Nature 368(1994)856-859; reviewed in Lonberg,N.,Handbook of Experimental Pharmacology 113(1994) 49-101;Lonberg,N.,and Huszar,D.、Intern.Rev.Immunol.25 (1995)65-93; and Harding,F.,and Lonberg,N.,Ann.Acad.Sci 764 (1995)536-546)。
【0068】
HuMAbマウスの調製が、Taylor,L.,らによる、Nuclric Acids Research 20 (1992)6287-6295;Chen,J.,らによる、International Immunology 5(1993)647-656; Tuaillon,N.らによる、Proc.Natl.Acad.Sci USA 90(1993)372-3724; Choi,T.K.らによる、Nature Genetics 4(1993)117-123;Chen,J.,らによる、EMBOJ.12(1993)821-830; Tuaillon,N.,らによる、Immunol.152(1994)2912-2920;Lonberg,N.らによる、Nature 368(1994)856-859;Lonberg,N.,Handbook of Experimental Pharmacology 113 (1994)49-101;Taylor,L.,らによる、Int.Immunol.6 (1994)579-591; Lonberg,N.,and Huszar,D.,Intern.Rev.Immunol.25(1995) 65-93;Harding,F.,and Lonberg,N.、Ann.N.Acad.Sci 764(1995) 536-546; Fishwild,D.M.,らによる、Nat.Biotechnol.14 (1996)845-851に記載され、その全ての内容が、これによりこれらの全体の引用により取り入れられる。さらに米国特許番号5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425; 5,789,650; 5,877,397;5,661,016;5,814,318;5,874,299;5,545,807;5,770,429;WO 98/24884;WO94/25585;WO 93/1227;WO 92/22645;and WO 92/03918を参照。
【0069】
IGF-IRに対し全長のヒトモノクロール抗体を生成するために、HuMAbマウスを、精製し又は高い濃度に調製したIGF-IR抗原、そして/又は一般的方法によりIGF-IRを発現する細胞にて免疫化することができ、それが、Lonberg,N.,らによる、Nature 368(1994) 856-859; Fishwild,D.M.,らによる、Nat.Biotechnol.14(1996)845-851 and WO 98/2488にて記載されている。好ましくは、マウスは、最初の免疫から6-16週経過したマウスである。たとえば、精製され、又は高い濃度にて調製された可溶なIGF-IR抗原(たとえば、IGF-IRを発現する細胞から精製)を用いて、HuMAbマウスの腹腔内に免疫化することができる。
【0070】
精製され、又は高い濃度にて調製されたIGF-IR抗原により、抗体が得られない場合において、さらにマウスを、免疫応答を促進するために、IGF-IR発現細胞、たとえば腫瘍細胞株にて免疫化することができる。種々の抗原により積み重ねられた経験により、HuMAbトランスゲニックマウスを、最初にフロイントの完全アジュバントにおいて、抗原にて腹腔内(i.p.)で免疫化し、次にフロイントの不完全アジュバントにおいて抗原にて隔週ごとに腹腔内の免疫化(たとえば全部で6回まで)した時、最良の応答をする。その免疫応答が、眼窩後の出血により得られる血漿試料にて免疫化方法の過程を通して監視することができる。血漿をELISAによりスクリーニングでき、そして抗IGF-IRヒト免疫グロブリンの十分なタイターを有するマウスを有するマウスを、B細胞に相当した不死化のために使用可能である。マウスを抗原により静注し、3乃至4日後に犠牲にし、そして脾臓およびリンパ節から取り出した。
【0071】
各抗原に対する2-3の融合を行う必要があることが、予測される。幾匹かのマウスを各抗原のため免疫化することになる。たとえば、HCo7とHco12菌株が、全部で12匹のHuMAbマウスを免疫化できる。Hco7マウスが、これらの内在性軽鎖(κ)遺伝子(Chen,J.,らによる、EMBO J.12(1993)821-830に記載のように)におけるJKDの破壊、内在性重鎖遺伝子(WO 01/14424の実施例1記載のような)におけるCMDの破壊、Kco5ヒトκ軽鎖導入遺伝子(Fishwild,D.M.,らによる、Nat.Biotechnol.14(1996)845-851記載のように)、およびHco7ヒト重鎖導入遺伝子(米国特許番号5,770,429記載のように)を有す。
【0072】
Hco12マウスが、これらの内在性軽鎖(κ)遺伝子(Chen,J.,らによる、EMBO J.12 (1993)821-830に記載のように)におけるJKDの破壊、内在性重鎖遺伝子(WO 01/14424の実施例1記載のような)におけるCMDの破壊、Kco5ヒトκ軽鎖導入遺伝子(Fishwild,D.M.,らによる、Nat.Biotechnol.14(1996)845-851記載のように)、およびHco12ヒト重鎖導入遺伝子(WO 01/14424の実施例2記載のように)を有す。
【0073】
マウスのリンパ球が単離され、そしてハイブリドーマを生成する標準方法に基づくPEGを用い、マウスの骨髄腫細胞株にて融合することができる。次に得られたハイブリドーマが、抗原特異的抗体を産生するためにスクリーニングされる。たとえば、免疫したマウスから脾臓およびリンパ節由来の単一細胞の懸濁液を、50%のPEGを伴う1/6数のSP 2/0非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRT 1581)に融合した。細胞を、平底マイクロタイター・プレートへ約2 x 105にて入れて、次に選択培地にて約2週間インキュベートする。
【0074】
その後個々のウエルを、ヒト抗-IGF-IRモノクロナールIgMおよびIgG抗体としてELISAによりスクリーニングする。いったん拡張的なハイブリドーマの増殖が起こると、通常10-14日後に培地を分析する。抗体分泌ハイブリドーマを、再度平板培養し再度スクリーニングし、そしてさらにヒトIgGに対し、抗-IGF-IRモノクロナール抗体を陽性である場合、希釈を制限することにより少なくとも2倍サブクローンすることができる。次に安定化可能なサブクーロンを、in vitroにおいて培養し、特徴付けのために組織培養培地において抗体を産生した。
【0075】
CDRの配列が、抗体-抗原の相互作用に関与することから、異なるヒト抗体からのフレオームワーク上へ、本発明によるCDR配列を含む発現ベクターを構成することにより、本発明による組み換え抗体の発現が可能である(たとえば、Riechmann,L.,らによる、Nature 332 (1998) 323-327;Jones,P.,らによる、Nature 321(1986)522-525;and Queen,C.,らによる、Proc.Natl.Acad.,Sci.U.S.A.86(1989)10029-10033を参照)。
【0076】
こうしたフレームワーク配列を、生殖系ヒト抗体遺伝子配列を含む公のDNAデータベースから得ることができる。これらの生殖系配列が、成熟した抗体遺伝子配列と相違し、その理由は、完全に構成される可変遺伝子を含んでいなく、B細胞成熟中に結合するV(D)Jにより形成される。さらに生殖性遺伝子配列が、個々に均等に交差する可変領域で、高親和性の二次レパートリー抗体の配列と異なることになる。
【0077】
好ましくは、本発明が、IGF-IRに結合するポリペプチドをコード化する核酸断片を含み、これにより、前記ポリペプチドが、
a) CDRsとして、配列番号1または3のCDR1(aa31-35)、CDR2(aa50-66)およびCD3(aa99-107)を含む抗体の重鎖、
b) CDRsとして、配列番号2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む抗体の軽鎖、
から成る群から選択される、IGF-IRに対するIGF-IおよびIGF-IIの結合を抑制する。
【0078】
再構成される重鎖および軽鎖可変領域が、プロモータ、翻訳開始領域、定常領域、3’未翻訳ポリアデニール化および転写末端の配列と組み合わせ、発現ベクターを生成する。重鎖および軽鎖発現構成体を、その後に両方の鎖を発現する単一の宿主細胞を形成するように融合される宿主細胞に同時トランスフェクト、連続したトランスフェクト、又は別々のトランスフェクトされた単一ベクター内に組み合わせることができる。
【0079】
従って、本発明が、以下コード化する核酸を発現することを特徴とする、本発明による組み換えヒト抗体を産生する方法を提供し、その核酸が、
a) CDRsとして、配列番号1または3のCDR1(aa31-35)、CDR2(aa50-66)およびCD3(aa99-107)を含む抗体の重鎖、
b) CDRsとして、配列番号2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む抗体の軽鎖、
をコードする。
【0080】
さらに本発明は、in vitroにおけるIGF-IRの診断のため、好ましくは、試料のIGF-IRと本発明による抗体との間を結合することを判定する、免疫学的アッセイにより、本発明による抗体の使用を含む。別の観点において本発明が、組成物たとえば医薬的組成物を提供し、その組成物が、医薬的に受け入れ可能な担体と共に形成される、ヒトモノクロナール抗体の一つ又はその組み合わせ、或いはその抗原結合部分を含む。さらに本発明による医薬的組成物が、治療の組み合わせにおいて、すなわち別の薬剤を組み合わせ投与することができる。たとえば、組み合わせによる治療が、少なくとも抗腫瘍剤と本発明の組成物又はその他の従来の治療を含む。
【0081】
「化学治療剤」は、ガン治療に有効な化学化合物である。化学治療剤の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、サイトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスホアミド、チオテパ、タキソテレ(docetaxel)、ブスルファン、ゲムシタビン、サイトキシン、タキソール、メトトレキサイト(Methotrexate)、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスフアミド、ミトマイシン C、ミトキサントロン、ビンクレイスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カーミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、ミトマイシン、エスペラマイシン(米国特許番号4,675,187)、メルファラン、および他の関連ナイトロジェン・マスタードがあげられる。
【0082】
本明細書に用いられる用語「細胞毒性剤」が、細胞機能を抑制又は防止し、そして細胞破壊を生じさせる物質を指している。この用語は、放射性同位元素、化学治療剤、および細菌性菌類、植物又は動物の原細胞又はその断片の酵素的な活性毒素などの毒性物を含むと考えられる。本願に使用される用語「プロドラック」は、親ドラックと比較して腫瘍細胞に対する細胞毒性が有意に少なく、そして酵素的に活性化することが」でき、又はより活性な親の形状に変換することができる医薬的活性物質の前駆体又は誘導体を指している。
【0083】
たとえば、Wilman,「Prodrug in Cancer Chemotherapy」Biochemical Socirty Transactions, 14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986),and Stellaによる、「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,」Directed Drug Delivery,Borchardtらによる、(ed.),pp.247-267,Humana Press(1985)を参照。
【0084】
本発明のプロドラックは、リン酸を含むプロドラック、チオフォスフェイトを含むプロドラック、硫酸を含むプロドラック、ペプチドを含むプロドラック、D-アミノ酸修飾のプロドラック、グリコシル化プロドラック、β-ラクタム環状プロドラック、所望による置換されたフェノキシアセトアミドを含むプロドラック、又は所望による置換されたフェニルアセトアミドを含むプロドラック、5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロリジンプロドラックを含むが、それに限定されず、それらはより活性な細胞傷害性遊離薬剤に変換することができる。本発明において使用するためのプロドラックの形状に誘導することができる細胞傷害性薬剤の例は、上記のこれらの化学治療剤を含むがそれに限定されない。
【0085】
本明細書に使用されるように、「医薬的に受け入れ可能な担体」としては、何らかの、そして全ての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗カビ剤、イソトニックおよび吸収遅延剤、および生理学的に適合できるものなどがあげられる。担体が、静脈内、皮下、非経口、脊髄又は表皮による投与(注入又は滲出により)に適切なことが好ましい。
「医薬的に受け入れ可能な塩」は、抗体の所望される生物的活性を保持するが、何らかの所望されない毒性的効果を与えない(Berge,S.M.,らによる、J.Pharm.Sci. 66(1977)1-19を参照)塩を指している。こうした塩が、本発明に含まれている。こうした塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩が、塩酸塩などの非毒性無機酸から誘導される塩を含む。
【0086】
本発明の組成物が、技術的に周知な種々の方法により投与することができる。専門技術者に適切であると考えられるように、投与経路そして/又はモードが、所望する結果により変化することになる。特定経路の投与により本発明の化合物を投与するためには、その不性化を防止すべき物質を伴う化合物を被覆すること、又は共投与することが、必要となる。たとえば、その化合物が、適切な担体、たとえば、リポソーム又は希釈物において、対象物へ投与することができる。医薬的に受け入れ可能な希釈物が、生理食塩水、および衰勢緩衝溶液を含む。
【0087】
医薬的に受け入れ可能な担体が、無菌の水溶液又は無菌の注入可能な溶液を必要に応じて調製、又は分散のための無菌粉末を含む。医薬的に活性な物質に対しこうした媒体および薬剤の使用が、技術的に周知である。
本明細書に使用される語句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、通常注射による腸内以外の投与形態、そして局所の投与形態を意味し、そして静脈内、筋肉内、動脈内、包膜内、カプセル内、眼窩内、心臓内、皮下内、腹腔内、透過性気管(transtracheal)、皮下、表皮下、関節内、サブ・カプセル、くも膜下、脊椎内、硬膜外、および胸骨内への注射、および滲出が、制限なくあげられる。
【0088】
さらにこれらの組成物が、保存剤、加湿剤,乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含む。微生物の存在の防止が、上記滅菌方法のよること、とたとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの種々の抗細菌剤、および抗カビ剤の封入によることの両方にて確実に可能である。さらに糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含むことが好ましい。
【0089】
加えて注射可能な医薬形態の持続性吸収が、モノステアリン酸アルミニウム、およびゲラチンなどの吸収を遅延する薬剤の封入によりもたらす事ができる。
選択される投与経路の関係なく、適切な水和物形状にて使用可能な本発明による化合物、そして/又は本発明の医薬組成物が、当業者の周知の従来の方法にて医薬的に受け入れ可能な投与量の形態に処方される。本発明の医薬組成物における活性成分の実際の投与量レベルが、特定患者、組成物、患者に毒性のない投与形態に応答して、所望の治療を行うために効果的である活性成分の量を得るように、変更することができる。
【0090】
選択される投与量レベルが、種々の薬物による動態的要因に依存することになり、その動態的要因としては、用いられる本発明の特異的組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定化合物の排出速度、治療期間、その他の薬剤、使用される特定組成物と組み合わせて用いられる化合物そして/又は物質、年齢、性別、体重、状態として一般的健康、および以前に治療された患者の薬物履歴などがあげられ、そして同様の要因は、医薬技術において十分に知られている。組成物が、無菌であり、そして組成物が注射器により誘導される程度に流体にする必要がある。水に加えて、担体として、等張的に緩衝する生理食塩水溶液が好ましい。
たとえば、適切な流動性は、レシチンなどの被覆を用いることにより、分散性の場合必要な粒子サイズを維持することにより、そして界面活性剤を使用することにより、維持することができる。
【0091】
多くの場合、等張剤、たとえばマニトール、又はソルビトールなどの糖類、ポリアルコール、および組成物中に塩化ナトリウムを含むことが好ましい。以下の実施例、文献、配列リスト、および図面が、本発明の理解を支援するために提供され、その真の範囲が、添付クレームにおいて記載される。その変更が、本発明の精神を逸脱することなく、記載された方法において行うことができることが理解されよう。
配列1欄の記載
配列番号1−4:抗体18および22の軽鎖および重鎖の可変領域のヌクレオチドおよびアミノ配列。
配列番号5および6:ヒトの定常領域のヌクレオチドおよびアミノ配列。
【0092】
実施例1抗IGF-IR抗体を生成するハイブリドーマ細胞株の生成
ハイブリドーマの培養
生成されたHuMAbハイブリドーマを、37℃で2mMのL-グルタミン(BioWhittaker)および4%の原クローニング因子(Igen,France)、そして5%のCO2にて補給されたハイブリドーマ発現培地(Hybridoma Express Medium)(PAA Laboratories GmbH,Austria)で培養した。
【0093】
遺伝子導入マウスの免疫化方法
10匹のHCo7の遺伝子導入マウス(雄4匹、雌6匹)、菌株GG2201(Medarex,San Jose,CA,USA)が、1x106のNIH 3T3細胞にてそれぞれ免疫化され、IGF-IRおよび、そしてIGF-IRの20μの可溶な細胞外ドメインに対し発現ベクターにてトランスフェクトされた。6匹の免疫化全体に行われ、3匹に,IGF-IR発現細胞にて腹腔内(IP)への免疫化、そして3匹が、組み換えタンパク質にて、尾の底部にて皮下(SC)免疫化が行われた。最初の免疫化に対し、100μの1x106 NIH 3T3 IGF-IR細胞を、100μの完全フロイントアジュバント(CFA;Difco Laboratories,Detroit,USA)と混合した。その他の全ての免疫化に対し、PBS中100μlの細胞を使用するか、又は組み換えタンパク質を、100μの不完全フロイントアジュバント(ICFA;Difco)と混合した。
【0094】
抗原特異的ELISA
免疫化されたマウスの血清中の抗-IGF-IRタイターが、抗原特異的ELISAにより決定される。PBS中1μg/mlの濃度でIGF-IR可溶な細胞外ドメインを、4℃と一昼夜又は37℃で2時間、96ウエルプレートへ被覆した。その後、そのブロックをPBSTC(0.05%Tween(商標)-20および2%のトリ血清(Gibco BRL))、1時間(h)、室温にて遮断した。最初タップ(tap)による血清を、PBSTC中で1/50に希釈し、他のすべてのタップ(tap)からの血清を、PBSTC中で1/100に前希釈(pre-diluted)し、次に1/6400に希釈した。希釈された血清をウエルに加え、そして37℃で1時間インキュベートした。前希釈(pre-diluted)の血清を負のコントロールとして使用した。200ng/mlのヤギの抗-ヒトIGF-IR(100μg/ml)を正のコントロールとして使用した。
【0095】
次にプレートを、PBSTにて2回洗浄し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)・結合ラット抗ヒトIgG(ab’)2(DAKO)にてインキュベートし、PBSTC内で37℃、1時間1/2000に希釈した。ウエルを、PBSTで2度洗浄し、そしてアッセイ物を、新たに調製されたABTS(商標)溶液(1mg/ml)(ABTS:2,2’-アジノ bis(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)にて、室温(RT)、暗所にて30分間生成した。吸光度を、405nmで測定した。
【0096】
FACS分析
抗原特異性ELISAにより決定することに加えて、免疫化されたマウスの血清中の抗-IGF-IRタイターが、さらにFACS]分析により決定された。NIH 3T3 IGF-IR細胞および非トランスフェクトされたNIH 3T3 IGF-IR細胞を、30分間、4℃で希釈された血清によりインキュベートした。プレ・タップ(Pre-tap)血清が負のコントロールとして使用される。最初、200ng/mlヤギの抗-ヒトIGF-IRを、正のコントロールとして使用した。細胞を1%のウシ血清アルブミンおよび0.01%アジド(azide)にて補給されたPBSにおいて、3度洗浄した。次に細胞を、FACS緩衝液中で1/100に希釈されたラット抗-ヒトIgGの光イソチオシアネイト(FITC)-接合抗原結合断片(F(ab’)2断片)にて、4℃で30分間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液中で2度洗浄し、そして試料をFACS Calibur(Becton Dickinson Erebodegem−Aalst,Belgium)上で分析した。
【0097】
マウスの追加免疫
抗IGF-IRの血清タイターが十分であると分かった時、融合4か3日前に、200μのPBS内で15μgのIGF-IR細胞外ドメインにて静注に2回追加免疫をした。
ハイブリドーマの生成
マウスを犠牲にし、腹部大動脈および大静脈を側面に位置する脾臓およびリンパ節が、収集される。
融合相手SP 2.0細胞と脾臓細胞およびリンパ節の融合が、標準的な操作手順に従って行われた。融合の結果からハイブリドーマが、ヒト抗体を生成するかどうかを決定するために、κ-ELISAを行った。ELISAプレートが、PBS中1/10000に希釈されたラット抗体-ヒトIgG-κ-軽鎖抗体(DAKO)にて、被覆し、4℃で1昼夜インキュベートした。ウエル物を破棄した後、プレートをPBSTCにより室温で1時間インキュベートにより遮断した。その後ウエルが、PBSTCにより1/2に希釈された、ハイブリドーマ培養上澄み液にて培養した。PBSTC中で1/2希釈された培養培地を、負のコントロールとして使用し、PBSTC中で1/100に希釈されたκ-軽鎖陽性マウスとして使用する。そしてウエルを2度洗浄し、そして試験物を、新たに調製されたABTS(商標)溶液(1mg/ml)中、室温(RT)にて暗い状態で30分間生育成した。吸光度を、405nmで測定した。
モノクロナール抗体18および22を調製した。
【0098】
実施例2IGF-IRに対する抗-IGF-IR抗体の親和性の決定
装置: BIACORE(商標)3000
チップ: CM5
カップリング: アミン・カップリング
緩衝液: HBS(HEPES,NaCl),pH7.4,25℃
親和性を測定するために、抗ヒトFCγ抗体(ラビットから)が、IGF-IRに対する抗体を表示するため、チップ表面に結合される。IGF-IR細胞外ドメインに、種々の濃度の溶液に加えられる。3分間のIGF-IRの結合により会離が測定される。抗体18および22への親和性データが、試料表1に示される。
【0099】
試料表1: SPR(BIACORE(商標)3000)により測定された親和性データ
【表2】

【0100】
実施例3腫瘍細胞の3次元増殖および細胞-細胞接触(3D培養)でIGF-I受容体の過剰発現
材料および方法:
IGF-IR表面発現に及ぼす影響を研究するために、NCl H322M細胞が、低密度又は超密集度のいずれかの光学グレイドのグラスカバースライド上のRPMI培地で、培養した。並行して、コントロール群から単離されたH322M異種移植組織が、イソペンタン中でショック凍結され、そして低温切断にて、5μmの厚さに切断した。免疫蛍光標識を、マウス-抗IGF-IRモノクロナール抗体(αIR3,5μg/ml)又は本発明による抗体を使用し、その後ヤギ抗-マウス、又はCy3(Amersham Biosciences,GB)又はAlexa Fluor(商標)488(Molecular Probes,Inc.,USA)にて標識化されたヤギ抗-マウスにて行った。試料が、Leica SP2 confocal顕微鏡上にて表示され、そしてFACSにより分析した。
【0101】
結果:
高密度にて培養されたH322M細胞が、confocal顕微鏡により表示された時、IGF-IRが、特に細胞と細胞の接触部位に集合したことが、明らかになっている。In vivoにおいて、すなわち特に異種移植組織に増殖したH322M細胞と比較すると、表面IGF-I受容体の構成が関係するかぎり、in vitro における培養物に濃密に充填される顕著な類似性がある。
さらにH322M細胞の超密集培養物における表面IGF-I受容体の上限調節が、FACSにより定量化された。細胞を細胞と細胞を有意に接触することなく、低密度と比較し高密度条件下で増殖する時、IGF-IR受容体表面発現が10倍を超えて増大した。
HT29、MDA231、およびMCF-7などの他の腫瘍細胞が、細胞と細胞の接触部位の確立に基づいて、細胞表面上のIGF-I受容体の上限調節が、H322M細胞特有の特徴でなく、さらにin vivoにおいて見出されたより多い組織様機構の一般的特徴であると見られる(図1)。
【0102】
実施例4抗体18により治療下(WST-アッセイ)3D培養においてIGF-IRを発現するH322M腫瘍の増殖を抑制
H322M細胞を、プラスチック表面への接着を抑制するようポリ-HEMA(ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレイト)被覆皿上でRPMI640/0.5%FCS培地で培養した。これらの条件に基づいて、H322M細胞が、3次元的に増殖する密集した楕円面(独立的な固着と称す)を形成する。これらの楕円面は、所定位置の固体腫瘍の3次元組織構造および構成を示す。楕円面の培養物を、0から240nMへ量を増大させた抗体の存在下、5日間インキュベートした。WST変換アッセイを用い、増殖抑制を測定した。H322Mの楕円面の培養物を、抗体18を異なる濃度(1乃至240nM)で処理した場合、増殖の投与量依存性抑制が観察可能である(図2)。
【0103】
実施例53D培養におけるIGF-IRを発現するH322M腫瘍増殖の抑制(コロニー形成アッセイ)
H322M細胞を、プラスチック表面への接着を抑制するようポリ-HEMA被覆皿上でRPMI1640/10%NCS培地で培養した。これらの条件に基づいて、H322M細胞が、3次元的に増殖する密集したほぼ円形(独立的な固着と称す)を形成する。これらの楕円面は、所定位置の固体腫瘍の3次元組織構造および構成を示す。楕円面の培養物を、0から7.5μg/mlへ量を増大させた抗体の存在下、5乃至10日間インキュベートした。<HVB>モノクロナール抗体を負のコントロールとして使用した。
【0104】
コロニーを、相コントラストに用いた反転(inverted)顕微鏡(Zeiss Axiovert)上で表示しそして自動画像システム(MetaMorph)を用いて計数した。H322Mの楕円状培養物を、抗体18を異なる濃度で(0.5乃至7.5μg/ml)にて処理した時、容量依存による増殖の抑制が観察可能であるが、コントロール抗体<HBV>が、ほとんどか、全く影響を及ぼさない。コロニーの数およびサイズが、7.5μg/mlの抗体18にて処理された培養物において明らかに減少した。
直径が100μより大きいコロイニーの定量分析では0.5μg/mlの抗体18にて処理された培養物において、コロニーの数が、約66%減少したことを表わしている(図4)。
【0105】
実施例6IGF-IRを発現する腫瘍細胞に結合するIGF-IおよびIGF-IIの抑制
本発明の抗体が、IGF-I受容体(IGF-IR)にリガンドIGF-IおよびIGF-IIの結合を遮断できることを決定するために、放射性活性に標識化されたリガンド・ペプチドによる競合的実験を行った。ヒト腫瘍細胞(HT29,NCI H322M,0.5 to 1 x 105/ml)を、2mM L-グルタミン、1x非必須アミノ酸(Gibco.Cat番号11140-035)、1mMのビルビン酸ナトリウム(gibco,Cat.番号11360-039),および10%の熱不活性化FCS(PAA,Cat.番号A15-771)により補給されたRPMI 1640培地(PAA,Cat.番号E15-039)において平板培養した。T175形式(format)の6個の瓶において各実験用のそれぞれの培地に20mlの細胞を植え付けし、そして37℃で、5%のCO2で2日間培養し単層の密集化細胞が得られた。
【0106】
個々の細胞を収集するために、T175フラスコ当り2mlの1xチロシン/EDTA(Gibco,Cat番号25300-054)を加え、そして細胞の分離が、Zeiss Axiovert25顕微鏡にて監視された。その細胞を収集し、そして前記の10%のFCSを伴う培地を、全量50mlに加えた。細胞を、遠心分離機にて、1000rpmで10分間(Heraeus sepatech,Omnifuge 2.0 RS) 再度単離し、そして50mlの結合緩衝液(120mMのNaCl,5mMのKCl,1.2mMのMgSO4,1mMのEDTA,10mMのD(+)グルコース、15mMのNaAc, 100mMのHepes pH7.6,1%BSA)中で再懸濁した。細胞を計数し、遠心分離により再単離し、結合緩衝液にて1x106細胞/mlへ調節した。
【0107】
I125-標識化したIGF-IおよびIGF-IIペプチド(Amersham,-2000 Ci/mmol,Cat.番号IM172およびIM238)を,0,1%のCH3COOHに溶解し、最終活性が4x105の/計数値(分 x ml)に、結合緩衝液中で希釈した。25μ前希釈したI125標識化したIGF-I又はIGF-IIペプチドと共に特異的濃度で75μlの抗体を、200μlの細胞懸濁液に加え、4℃で3.5時間インキュベートした。
細胞を、2000rpm(Eppendorf,5415C)で5分間遠心分離機にて再単離し、そして上澄み液を取り出した。1mlの結合緩衝液に2度洗浄した後、シンチレーション管に移した。細胞表面受容体に結合された放射性活性のペプチド量を、シンチレーション計数機で測定した。
IGF-I受容体にIGF-IおよびIGF-IIペプチドの結合を抗体が抑制できることを実証する得られたIC50の曲線を図5および図6に示す。
抗体18に対する平均IC50値が、0.3nMである。抗体αIR3に対する結果を、図7に示す。IGF-II結合に対する検出可能な抑制が全く観察されなかった。
【0108】
実施例7IGF-IR結合のための抗体競合アッセイ
IGF-IRモノクロナール抗体のエピトープ・マッピングに対する、親和性測定(実施例2)に対する同様の方式が、選択されたが、IGF-IRを溶液中抗体と共に少なくとも0.5時間室温でプレ・インキュベートした。この混合物を注入し、そしてIGF-IRの結合(又は抑制)が検出された。このアッセイにより、IGF-IRに結合するモノクロナール抗体の相互抑制活性の測定が可能である。本発明の抗体が、aa 217-274(Gustafson,T.A.,and Rutter,W.J.,Biol.Chem.265(1990) 18663-18667)へ結合に周知である抗体である、αIR3と共にIGF-IRへの結合に対し競合することが、見出された。
【0109】
実施例8IGF-IRおよびAkt/PKBのIGF-Iを介在するリン酸化の抑制
IGF-I受容体(IGF-IR)の活性化およびリン酸化を本発明の抗体が抑制できることを決定するために、競合実験をIGF-Iペプチドにて行いそしてその後、リン酸化チロシンに対し特異的抗体にてウエスターン・ブロットテング分析を行った。
ヒト腫瘍細胞(HT29,NCI H322M,5x104/ml)を、2mM L-グルタミン、1x非必須アミノ酸(Gibco.Cat番号11140-035)、1mMのビルビン酸ナトリウム(gibco,Cat.番号11360-039),および0.5%の熱不活性化FCS(PAA,Cat.番号A15-771)により補給されたRPMI 1640培地(PAA,Cat.番号E15-039)において平板培養した。IC50の値を決定するために、12ウエルのプレートを、各実験のためのそれぞれの培地に1mlの細胞にて植え付けし、そして37℃で、5%のCO2で2日間培養した。
【0110】
48時間低血清培地で培養した後、その培地を慎重に取り出し、そしてそれぞれの培地で希釈した抗体を違った濃度にて置き換えた。37℃そして5%のCO2で5分間培養した後、IGF-Iペプチドを2nMの最終濃度で加え、そして細胞を上記条件下10分間再度培養した。
その培地を、吸引により慎重に取り出し、そしてウエル当り100μの冷えた溶離緩衝液 (50mM Hepes pH 7.2,150 mM NaCl,1mM EGTA,10%glycerol、1% のTriton(商標)-X100、100mM NaF,10mM Na4P2O7,Complete(商標)protease inhibitor) が加えられた。
【0111】
その細胞を、細胞スクラッパー(scraper)(Corning,Cat番号3010)を用いて切離なし、そしてウエル内容物をエッペンドルフ型反応チューブに移した。細胞の断片を、13000rpm、4℃で10分間、遠心分離器にかけて取り出し、そして上澄み液の半分を、1:1(v/v)比の2xラミリ(Laemmli)試料緩衝液へ加えた。
IGF-IRの免疫沈降のために、IGF-IRβに対し(C-20,Santa Cruz Biotechologies)1μlのポリクロナール抗体、又はヒトのIGF型1受容体の細胞外ドメイン(α-鎖)のアミノ酸440-586内のエピトープを認識するマウスのモノクロナール抗体(IgG1)を加える(mAb 24-55,GroPep)直前、細胞溶離物の残りの上清液にて、清浄化回転(clearifying spin)、(13000rpmおよび4℃で10分間)が行こなわれた。
【0112】
回転式エッペンドルフ型反応チューブ内で、4℃にてインキュベートし2時間後、25μのタンパク質GのSepharose(商標)ビーズ(Amersham Biosciences, Cat番号17-0618-01)を加え、その後4℃で1時間別のインキュベート工程が行われた。結合した抗体-タンパク質複合体を伴うビーズを、遠心分離(2000rpmで4℃にて1分間)により単離し、洗浄緩衝液(0.1%のTriton(商標)-X100だけの溶離緩衝液)にて3回洗浄した。ラミリー(Laemmli)試料緩衝液中ビーズを煮沸した後、細胞タンパク質をSDS-PAGEにて分離し、そして半乾燥ウエスターン・ブロッテングによりニトロセルローズ膜(PROTRAN(商標) BA 85,Schleicher & Schuell)へ移し変えた。
【0113】
リン酸化チロシン特異的抗体(Upstate,clone 4G10, Cat番号05-321)を用いて、免疫精製IGF-IRのリン酸化状態を決定した。リン酸化されたAkt/PKBの検出のために、リン酸化された Ser473(Cell Signalling,Cat番号9271)に対し特異性を有する抗体を適用した。
観察により、IGF-IRとAkt/PKBとの両方のIGF-Iにより誘発されたリン酸化の遮断を図8に示す。
【0114】
実施例9in vitroにおけるIGF-IRの抗体介在下限調節の誘発
腫瘍細胞におけるIGF-I受容体(IGF-IR)の量に及ぼす本発明の抗体の効果を検出するために、時間経過による実験およびその後IGF-IR特異的抗体によるウエスターン・ブロッテング分析を行った。RPMI 1640培地(PAA,Cat.番号E15-039)においてヒト腫瘍細胞(HT29, 5x104 細胞/ml)が、2mM L-グルタミン、1x非必須アミノ酸(Gibco.Cat番号11140-035)、1mMのビルビン酸ナトリウム(gibco,Cat.番号11360-039),および10%の熱不活性化FCS(PAA,Cat.番号A15-771)により補給された。各培養期間に対し、12ウエルのプレートの1を、各実験のためのそれぞれの培地で1mlの細胞にて植え付けし、そして37℃で、5%のCO2で24時間培養した。
【0115】
その培地を慎重に取り出し、そしてそれぞれの培地で希釈した抗体を違った濃度にて置き換えた。2のコントロール・ウエルにおいて、培地を、抗体を伴わない培地か、コントロール抗体を(AB-1,Oncogene,Cat.番号GR11)を伴う培地のいずれかにより置き換えた。細胞を、37℃そして5%のCO2で培養し、そして個々のプレートを、15分、24時間、および48時間後のさらなるプロセシングのため取り出した。
【0116】
その培地を、吸引により慎重に取り出し、そしてウエル当り100μlの冷えた溶離緩衝液 (50mM Hepes pH 7.2,150 mM NaCl,1mM EGTA,10%glycerol、1% のTriton(商標)-X100、100mM NaF,10mM Na4P2O7,Complete(商標)protease inhibitor) が加えられた。その細胞を、細胞スクラッパー(scraper)(Corning,Cat番号3010)を用いて切離なし、そしてウエル内容物をエッペンドルフ型反応チューブに移した。細胞の断片を、13000rpm、4℃で10分間、遠心分離器にかけて取り出し、そして上澄み液を、1:1(v/v)比の2xラミリ(Laemmli)試料緩衝液へ加えた。細胞タンパク質をSDS-PAGEにより分離し、そして半乾燥ウエスターン-ブロッテングによりニトロセルローズ膜(PROTRAN(商標)BA 85、Scheicher & Schuell,Cat.番号10 401196)へ移した。
IGF-IRに対し特異的抗体(C-20,Santa Cruz Biotechologies)1μlを、IGF-IRのタンパク質レベルを決定するために使用した。抗体の追加より24時間以下の時間後、本発明の抗体により誘発されたIGF-IRの下限調節が観察された。
【0117】
実施例10ヒト・インスリン受容体を発現する3T3-細胞へのインスルン結合の抑制
さらに本発明の抗体が、インスリン受容体(IR)にインスリンの結合を遮断するかどうかを決定するために、放射性活性にて標識化されたリガンド・ペプチドによる競合的実験を行った。ヒト腫瘍細胞(HT29,NCI H322M,0.5 to 1 x 105/ml)を、2mM L-グルタミン(Gibco,Cat.番号25030-024)、および10%の熱不活性化FCS(PAA,Cat.番号A15-771)により補給された高グルコース(PAA,Cat.番号E15-009)を伴うMEM Dulbecco培地(DMEM)において平板培養した。T175形式(format)の6個の瓶において、各実験用のそれぞれの培地に20mlの細胞を植え付けし、そして37℃で、5%のCO2で2日間培養し密集化した単層の細胞が得られた。
【0118】
個体の細胞を収集するために、T175フラスコ当り2mlの1xチロシン/EDTA(Gibco,Cat番号25300-054)を加え、そして細胞の分離が顕微鏡にて監視された。その細胞を収集し、そして前記の10%のFCSを伴う培地を、全容積50mlに加えた。細胞を、遠心分離機にて、1000rpmで10分間再単離し、そして50mlの結合緩衝液(120mMのNaCl,5mMのKCl,1.2mMのMgSO4,1mMのEDTA,10mMのD(+)グルコース、15mMのNaAc,100mMのHepes pH7.6,1%BSA)中で再懸濁した。細胞を計数し、遠心分離により再単離し、結合緩衝液にて1x106細胞/mlになるよう調節した。
0.1%のCH3COOHに溶解した、I125-標識化したインシュリン・ペプチド(Amersham,Cat.番号IM166,~2000 Ci/mmol)を、結合緩衝液中で最終活性が4*105の計数値/(分 x ml)に希釈した。前希釈した25μlのI125で標識化したインシュリン・ペプチドと共に75μlの抗体を、200μlの細胞懸濁液(最終抗体濃度200nM) に加え、そして4℃で3.5時間インキュベートした。
【0119】
細胞を、2000rpmで5分間遠心分離機にて再単離し、そして上澄み液を取り出した。1mlの結合緩衝液中2度洗浄した後、細胞を1mMの結合緩衝液に再懸濁し、そしてシンチレーション管に移した。細胞表面受容体に結合した放射性活性のペプチド量を、シンチレーション計数機で測定した。
その結果により、本発明の抗体が、インスリン受容体へインスリン・リガンドの結合を干渉しないことが実証された(図9)。
【0120】
実施例11IGF-IRおよびAkt/PKBのリン酸化刺激の除外
本発明の抗体のIGF-IR刺激活性を除外するため、IGF-Iリガンドを存在しないが、本発明の抗体そして引用の抗体(αIR3、Oncogene,Germany)の存在にて、IGF-IRの燐酸化が決定される。これは、燐酸化状態特異的抗体を用い、ウエスターン・ブロット分析により実行される。IGF-IRにてトランスフェクトされた(5*104細胞/ml,Pietrzkowski,Z.らによる、Cell Growth Differ.4(1992)199-205)3T3細胞(ATCC CRL 1658)が、2mMnのL-グルタミン(Gibco,CatNo.25030-024)および0.5%の熱不活性FCS(PAA,Cat番号A15-771)にて補給された高グルコース(PAA,Cat番号 E15-009)によるMEM Dulbecco 培地(DMEM)に入れられるか、又はヒト腫瘍細胞(HT29,NCl H322M,5*104/ml)が、2mMのL-グルタミン、1x非必須アミノ酸(Gibco,Cat番号11140-035)、1mMのピルベイトナトリウム(Gibco,Cat番号11360-039)、および0.5%熱不活性FCS(PAA, Cat番号A15-771)にて補給されたRPMI 1640培地(PAA, Cat番号E15-039)に入れられる。C50値を判定するために12のウエル・プレートを、各実験のためのそれぞれの培地に1mlの細胞にて接種し、そして37℃および5%のCO2で2日間培養した。
【0121】
低血清培地による48時間の培養の後、その培地を慎重に取り出し、そしてそれぞれの培地で希釈した抗体を違った濃度にて戻した。その培地を、吸引により慎重に取り出し、そしてウエル当り100μlの冷えた溶離緩衝液(50mM Hepes pH 7.2,150 mM NaCl,1mM EGTA, 10% glycerol, 1% Triton-X100,100mM NaF,10mM Na4P2O7,CompleteTMprotease inhibitor)が加えられた。
【0122】
その細胞が、細胞スクラッパー(scraper)(Corning,Cat番号3010)を用いて離され、そしてウエル内の内容物をエッペンドルフ型反応チューブに移した。細胞の断片を、13000rpmで10分間、4℃(Eppendorf centrifuge 5415R)にて遠心分離器にかけて、取り出し、そして上清液の半分を、1:1(v/v)比の2xラミリ(Laemmli)試料緩衝液へ加えた。IGF-IRの免疫沈降に対し、IGF-IRに対し1μlの抗体を加える(C-20,Santa Cruz Biotechologies,Cat番号sc-713又はmAb 24-55, GroPep Cat番号.MAD1)直前に、細胞溶離物の残りの上清液を、清浄化する回転(apin)を行った。
【0123】
回転式エッペンドルフ型反応チューブに4℃にてインキュベート2時間後、25μのタンパク質GのSepharoseTMビーズ(Amersham Biosciences, Cat番号17-0618-01)を加え、その後4℃で1時間別のインキュベート工程が行われた。結合した抗体-タンパク質複合体が結合したビーズを、遠心分離(2000rpmで4℃にて1分間)により単離し、洗浄緩衝液(0.1%のTriton-X100だけの溶離緩衝液)にて3回洗浄した。ラミリー(Laemmli)試料緩衝液にビーズを煮沸した後、細胞タンパク質をSDS-PAGEにて分離し、そして半乾燥ウエスターン・ブロッテングによりニトロセルローズ膜(PROTRAN BA 85,Schleicher & Schuell,Cat番号10 401196)へ移し変えた。
【0124】
リン酸化チロシン特異的抗体(チロシンリン酸化タンパク質を認識するUpstate,clone 4G10, Cat番号05-321)を用いて免疫精製IGF-IRのリン酸化状態を決定した。リン酸化されたAkt/PKBの検出のため、リン酸化された Ser473(Cell Signalling,Cat番号9271)に対し特異性のAkt1に対する抗体を適用した。
【0125】
観察によれば、IGF-IRのシグナリング経路における下流のAkt/PKBキナーゼが、引用の抗体を5nMより高い濃度により活性化されるが、本発明による抗体を最大10,000nMの濃度によって有為に活性化されなかった。その結果を図10および11 (HM = 0.5%FCSを伴う低血清培地、HM+IGFI = 0.5%のFCSおよび10nMのhIGF-Iを伴う低血清培地) に示した。
【0126】
実施例12H322Mゼノグラフト(xenograft)モデルにおける下限調節する受容体の誘発
腫瘍がヌードマウスにおいて誘発され、そして相違する濃度による本発明の抗体を一度で治療した。治療より24時間後、腫瘍を抽出し液体窒素下で均一化(homogenized)された。冷やした溶離緩衝液を、緩衝液の体積と腫瘍の重量比を3:1にして (50mMのHepes pH7.2, 150mMのNaCl,1mMのEGTA,10%のグリセロール,1%のTriton-X100、100mMのNaF,1mMのNa3VO4, 10mMのNa4P2O7,CompleteTM protease プロテアーゼ抑制剤,1mMのPMSF) 加え、そして解凍した腫瘍均質物を完全に混合した。
【0127】
氷上で15分間組織を安定化した後、不溶な断片を13000rpmで10分間、そして4℃(エッペンドルフ型遠心分離機5415R)にて除去した。試料のタンパク質濃度を、Micro BCATMReagents (Pierce)にて決定し、そして溶離緩衝液を加え同一の濃度に調整した。上澄み液の1部を、1;1(v/v)の比率の2xのラミリ(Laemmli)試料緩衝液に加えた。
【0128】
細胞タンパク質をSDS-PAGEにて分離し、そして半乾燥ウエスターン・ブロッテングによりニトロセルローズ膜(PROTRAN BA 85,Schleicher & Schuell,Cat番号10 401196)へ移し変えた。IGF-IR特異的抗体(C-20,Santa Cruz Biotechnologies,Ca番号sc-713)を使用してIGF-IRを検出した。本発明の抗体による治療に基づいて、推定されるEC50を、0.6mg/kg(図12)によるIGF-IRのレベルで濃度依存による減少が観察された。
【0129】
実施例13ELISAを結合するC1q
紹介
本発明による抗体が、C1qを固定できることを決定するため、ELISAが使用される。C1qが、獲得免疫系の1部で、そして免疫複合体に結合することにより、幾つかの酵素原の順次活性化を引き金とする。次にその酵素が、C3分子の分割を起こし、それが炎症反応、異種物のオプソニック作用、又は細胞膜の異常な粒子および溶離物を開始することになる。
主にELISAプレートが抗体の濃度範囲にて被覆され、そこにヒトのC1qが加えられる。C1qの結合が、ヒトC1qに対向する抗体により、その後にペルオキシダーゼ標識化結合体により検出される。
【0130】
物質および方法
抗体18,8および23、そしてコントロール抗体を、10,5,1および0.5μg/mlの濃度にて試験した。試料表1が、試験された試料の明細を示している。負のコントロールとして、C1qの結合が非常に弱いヒトIgG4(CLB,ストック0.5μg/ml)を使用した。ヒトIgG1を正のコントロールとして組み入れた。2μg/mlの濃度のヒトC1qストック溶液を使用した。C1qを検出するために、C1qに対向するラビット抗体(Dako)および西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma)に結合した抗-ラビットIgG抗体が、使用された。
計算および適合する曲線
試験されたHuMAbの最大結合(Bmax)に関する計算では、Graphpad Prism softwareを用いたを非線形適合(1部位の結合)回帰曲線使用し決定した。
【0131】
結果
本発明による抗体が、ヒトのC1qタンパク質の投与量依存を示す。405nmの光学的密度(OD405)をHuMAb濃度に対しプロットし、そしてその曲線が、非線形回帰曲線を用いて適合した。最大結合(Bmax)として最良適合値が試料表2に一覧的に示され、同様曲線(R2)の関連係数およびそれぞれの値に対する標準的偏差を示す。最も低い関係係数が、0.950(IgG4)の値であった。最大結合値が0.279の場合、ヒトIgG4(負のコントロール)が、C1qの最小結合を示す。正のコントロールIgG1および同様最大結合が、それぞれ1.729と2.223にて示される。
【0132】
試料表2
C1q結合ELISA(n=3)にて試験されたHuMAbの最大結合(Bmax)
【表3】

相関係数(R2)および標準偏差、さらには一覧表示される。
ヒトのIgG4(負のコントロール、0.279のO.D.)の結合C1qと比較すると、試験された全ての抗体が、C1qを等しく固定することができる。
【0133】
実施例14抗-IGF-IR HuMAbsによりエフェクター機能介在の抗体の決定
生成されたHuMAb 抗体を惹起できることを決定するために、免疫イフェクター機構、相補性依存細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞の細胞障害(ADCC)の研究が行われた。
CDC(National Cancer Institute,lung adenocarcinoma cell line),H322M,H460およびNIH 3T3細胞(2-6x106)を、45乃至120分100μのCi51Cr(Amersham Pharmacia Biotech,UK,Cat CJS11)にて標識化した。標識かした後、細胞を40mlのPBSにて2回洗浄し、そして1500rpmにて3分間回転(spun)した。次に細胞は、丸底プレート中で、1容量50μlにてウエル当り5,000を入れた。
【0134】
抗体を、単位容量が50μlの培養培地に、25乃至0.1μg/mlの範囲の最終濃度で、50μlの細胞懸濁液へ加え、そして30乃至60分インキュベートした。インキュベートした後、過剰な抗体をPBSにて2度洗浄して除去した。100μlの活性又は非活性(56℃で30分間)のプールされたヒトの血清、モルモット、ラビット、又はヌードマウス血清を、1/3乃至1/30に希釈して加え、そしてその細胞を3時間インキュベートし、その後細胞を、1500rpmで3分間回転した。
【0135】
100μlの上澄み液を採取し、プロピレン・チューブに移して、γ計数機にて計数した。
ADCCにおける抗体の効果を研究するために、H322M,H460およびNIH 3T3又は他の適切なIGF-IR発現細胞(2-6x106)を、45乃至120分100μのCi51Cr (Amersham Phamacia Biotech,UK,Cat CJS11) にて標識化し、40mlのPBSにて2回洗浄し、そして1500rpmにて3分間回転(spun)した。その細胞が、丸底プレート中で、1容量50μlにてウエル当り5,000入れられた。HuMAb抗体を、容量が50μlの培養培地に、25乃至0.1μg/mlの範囲の最終濃度で、50μlの細胞懸濁液へ加え、そして30乃至60分インキュベートした。
【0136】
インキュベートした後、50μlのイフェクター細胞、単離された新鮮なPBMC、又は淡黄色の薄膜から精製されたイフェクター細胞を、100:1から5:1の範囲のE:T比で加えた。そのプレートを500乃至700rpmで2分間遠心分離し、37℃で1昼夜インキュベートした。インキュベート後、1500rpmで3分間回転した。100μlの上澄み液を採取し、プロピレン・チューブに移し、γ計数機にて計数した。
CDC又はADCCにより最大の細胞溶離が、各標的細胞から放射能活性の自然放出として補正された洗浄剤により溶離された標的細胞から放射能の最大放出の%として表現される。
【0137】
実施例15H322M腫瘍増殖の抑制
確立された効果により無胸腺症(athymic)ヌード・マウスにおける腫瘍を誘発することにより、in vivoにおける抗体の効果を研究した。ヒトH322M NSCLC細胞を、6週間経過した無胸腺症(athymic) nuマウス(nu/nu)に、マトリゲル(Matrigel)と共に皮下に共注入した。その目的のために、5x106H322M細胞を、100μl培養培地に集中させ、そして100μlのマトリゲル(Matrigel)にて今後した。この混合物200μlを、マウスの右側腹へ注入した。腫瘍の体積を、ノギス(Vernier calipers)を用い週2回腫瘍に直径を測定することにより、Geranらにより最初に公開された公式により計算し、Geranら (「Protocols for screening chemical agents and natural products against animal tumors and other biological systems」、Cancer Chemother. Rep.11.301,1972) が、腫瘍体積[mg = (長さx(幅)2)を公開している。
【0138】
抗体を腹腔内(i.p.)に10ml/kg投与した。その治療には、抗体を2重の投与量にて二重の体積に投与した。腫瘍が、上記のヌードマウスにおいて誘発された。腫瘍の平均体積が、160mgに増殖した後、マウスを、治療の初日に1度与えられた負荷用量として、12,1.2および0.12mg/kgにて開始し継続した用量として、6,0.6および.06mg/kgの抗体を、週1度から6度腹腔内に治療した。図13は、動物を犠牲にし実験を終了した時、67日まで治療中に測定された腫瘍の体積を示している。その実験により、rhu抗IGF-IR mAb 18によりIGF-IR軸を遮断することにより、単一薬剤として6および0.6mg/kgにて投与される場合、抗腫瘍効果が生ずることが、証明されている。
【0139】
加えて抗体 18を、同じモデルにてゲムスタビン(gemcitabine)と組み合わせて試験した。腫瘍を上記と同様に誘発し、そして腫瘍が確立されそして全ての群で平均170mm3に成長した時た時に、治療を開始した。抗体を6および0.6mg/kgにてそして0.6mgで62mg/kgのゲムスタビン(gemcitabine)と組み合わせて週に1度、腹腔内(i.p.)に投与した。ゲムスタビン(gemcitabine)を、1サイクル、すなわち全体で4回3日目毎に投与した。再度抗体を2重用量にて投与することで、治療を開始した。図14は、時間経過による多様な治療に対する腫瘍サイズを示している。7日目毎に1度投与される抗体18が、それ自体腫瘍増殖を抑制し、周知の抗代謝化合物として、ゲムスタビン(gemcitabine)の効果を強化することが、実験により証明された。
【0140】
実施例163T3腫瘍増殖の抑制
ヒトのIGF-IRを過剰発現するマウスの3t3繊維芽細胞が使用されたのを除ぞいて、腫瘍が、実施例15記載のように必ずヌードマウスに誘発される。約180mgの確立された腫瘍を有するマウスが、抗体18を18,6又は0.6mg/kgで7回として週1度腹腔内にて治療した。再度治療が、負荷用量として(36,12および1.2mg/kg)として与えられる抗体の二重化された用量で開始さた。抗体による治療により、週1度18および6mg/kgにて投与される場合、腫瘍の成長が遅れる可能性があることが、実験により実証された。
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【0152】
Surinya,K.H., らによる、J.Biol.Chem.277(2002)16718-16725
Taylor,L., らによる、Int.Immunol.6(1994)579-591Choi,T.K.,らによる、Nature Genetics 4(1993)117-123
【0153】
Taylor,L., らによる、Nucleic Acids Reserch 20(1992)6287-6295
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Tulloch,P.A., らによる、J.Struct. Biol.125(1999)11-18
【0154】
米国特許番号 4,179,337
米国特許番号 4,301,144
米国特許番号 4,487,603
米国特許番号 4,496,689
米国特許番号 4,640,835
【0155】
米国特許番号 4,670,417
米国特許番号 4,675,187
米国特許番号 4,791,192
米国特許番号 5,202,238
米国特許番号 5,204,244
米国特許番号 5,545,806
【0156】
米国特許番号 5,545,807
米国特許番号 5,569,825
米国特許番号 5,625,126
米国特許番号 5,633,425
米国特許番号 5,661,016
米国特許番号 5,770,429
【0157】
米国特許番号 5,789,650
米国特許番号 5,814,318
米国特許番号 5,874,299
米国特許番号 5,877,397
van Dijk,M.A.and van de Winkel,J.G.,Curr.Opin.Pharmacol.5(2001)368-374
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Wilman,「Prodrugs in Cancer Chemothrapy」Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)
【0158】
WO 01/14424
WO 02/053596
WO 87/05330
WO 92/03918
WO 92/22645
WO 93/1227
WO 94/11026
WO 94/25585
WO 98/24884
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、低密度および高密度細胞培養におけるIGF-IRの表面発現。
【図2】図2は、3D培養における培養を抑制するためのWSTアッセイ(NCI H322M細胞)。
【図3】図3は、3D培養(顕微鏡写真)における増殖抑制するためのコロニー形成アッセイ。
【図4】図4は、3D培養(定量化)における増殖抑制するためのコロニー形成アッセイ、ctr = control;C1 18 = 抗体18。
【図5】図5は、抗体18および22(IC50値)によりHT29細胞に結合するI125-IGF-IIの抑制。
【図6】図6は、抗体18によりHT29細胞に結合するI125-IGF-IIの抑制。
【図7】図7は、抗体αIR3によりHT29細胞に結合するI125-IGF-IIの抑制。
【図8】図8は、IGF-IRおよびAkt/PkB両方のリン酸化を誘発されるIGF-Iの抑制。
【図9】図9は、抗hlGF-IR抗体により3T3-IR細胞に結合するI125-インスリンの抑制のないことを示す(MAX w/o Ab: I125-インスリンの最大結合;MIN:1μMのインスリンと競合後の最小結合)。
【図10】図10は、lGF-IRを過剰発現する3T3細胞上のAK18刺激による活性が全くないことを示す。
【図11】図11は、ヒトの腫瘍細胞(HT29)上のAK18の刺激活性がないことを示す。
【図12】図12は、in vitroにおける抗体18によりH322N細胞表面に暴露されたIGF-IRの下限調節を示す。
【図13】図13は、初期の腫瘍の容積に、AK18による治療を示す。
【図14】図14は、ゲムスタビン(gemucitabine)を用いる場合、又は用いない場合のAK18による治療を示す。
【図15】図15は、初期の腫瘍の容積に、AK18による治療を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGF-IRに結合し、且つIGF-IRへのIFG-I及びIFG-IIの結合を抑制する抗体において、
a) IgG1のアイソタイプであり、
b) IGF-IRへIGF-IIの結合の抑制におけるIC50値に対する、IGF-IRへIGF-Iの結合の抑制におけるIC50値の比率が1:3から3:1を示し、
c) 0.5%の熱不活性化胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、HT29細胞を使用する細胞リン酸化アッセイにおいて、前記抗体を用いない前記のアッセイと比較した場合、5nMの濃度で少なくとも80%にてIGF-IRのリン酸化を抑制し、そして
d) 0.5%の熱不活性化胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを備えた3T3細胞を使用する細胞リン酸化アッセイにおいて、前記抗体を用いない前記のアッセイと比較する場合、10μMの濃度でIGF-IRのリン酸化として測定されたIGF-IR刺激活性を全く示さない、
ことを特徴とする抗体。
【請求項2】
前記抗体が、ADCCにより抗体100nMの前記抗体の濃度で、24時間後の調製したIGF-IR発現細胞のうち、20%以上の細胞死を誘発することを特徴とする、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、CDCにより、100nMの抗体濃度で、4時間後、IGF-IR発現細胞の調製物のうち、20%以上の細胞死を誘発することを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項記載の抗体。
【請求項4】
ヒト抗体又はヒト型化抗体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抗体。
【請求項5】
約10-13乃至10-9M(KD)の親和性を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の抗体。
【請求項6】
a) CDRsとして、配列番号1または3のCDR1(aa31-35)、CDR2(aa50-66)およびCD3(aa99-107)を含む抗体の重鎖、
b) CDRsとして、配列番号2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む抗体の軽鎖、
の配列を有する相補決定領域(CDRs)として含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の抗体。
【請求項7】
ハイブリドーマ細胞株<IGF-IR>HUMAB Clone18(DSM ACC2587)又は<IGF-IR>HUMAB Clone22 (DSM ACC2594)から得ることができる、請求項1乃至6の何れか1項記載の抗体。
【請求項8】
医薬組成物生成のための請求項1乃至7のいずれか1項記載の抗体の使用。
【請求項9】
医薬的有効量にて請求項1乃至7のいずれか1項記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項10】
<IGF-IR>HUMAB Clone18(DSM ACC2587)および<IGF-IR>HUMAB Clone22(DSM ACC2594)のハイブリドーマ細胞株。
【請求項11】
請求項1乃至7記載の抗体の医薬的に有効量を含む医薬組成物の生成方法。
【請求項12】
下記定義のそれぞれ別な抗体と共に構築できるポリペプチドをコードする核酸において、
ここで前記ポリペプチドが、
a) CDRsとして、配列番号1または3のCDR1(aa31-35)、CDR2(aa50-66)およびCD3(aa99-107)を含む抗体の重鎖、
b) CDRsとして、配列番号2または4のCDR1(aa24-34)、CDR2(aa50-56)およびCD3(aa89-98)を含む抗体の軽鎖、
のいずれである核酸。
【請求項13】
原核又は真核宿主細胞中で前記核酸を発現できる請求項12記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項14】
請求項13記載のベクターを含む原核又は真核宿主細胞。
【請求項15】
IGF-IRに結合し、且つIGF-IRに対するIGF-I及びIGF-IIの結合を抑制するポリペプチドの生成方法において、原核又は真核宿主細胞中で、請求項11記載の重鎖をコードする核酸、および軽鎖をコードする核酸を発現し、そして前記細胞から前記ポリペプチドを取り出すことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の抗体の治療としての有効量を患者に投与することを特徴とする、抗腫瘍治療が必要な患者の治療方法。
【請求項17】
抗体が、細胞障害剤、その前駆薬剤、又は細胞障害性放射線治療を組み合わせて投与されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを備えた3T3細胞を使用した細胞リン酸化アッセイを、前記抗体にて行い、そして前記抗体を用いることなくこうしたアッセイと比較した場合、10μMの濃度でPKBリン酸化として測定されたIGF-IR刺激活性を全く示さない前記抗体が、選択されることを、特徴とするIGF-IRに対し複数の抗体からIGF-IRに対する抗体を選択する方法。
【請求項19】
前記抗体を伴う0.5%の熱不活性胎児牛血清(FCS)を含む培地中で、細胞当り400,000乃至600,000分子のIGF-IRを備えた3T3細胞を使用した細胞リン酸化アッセイを行うIGF-IRに対し複数の抗体からIGF-IRに1の抗体を選択し、組み換え発現の手段により前記抗体を生成し、前記抗体を取り出し、そして前記抗体と医薬的に受け入れ可能な緩衝液、そして/又はアジュバントとを組み合わせることを特徴とする医薬的組成物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−538273(P2008−538273A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518159(P2006−518159)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007562
【国際公開番号】WO2005/005635
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】